【特集・沢村一樹さん】建築家・谷尻誠さんと語る、住まいと暮らしと仕事のこと(前編)
谷尻さん:昔は家の土間で商いをやっていて、子育てをしながらお店をやっているという風景が日常でしたけど、いつの間にか子育てと商いが独立してしまったんです。でも、一周回って働くことと生活することがすごく近くなっていますよね。
沢村さん:ちなみに、谷尻さんに設計を依頼される方は、どういった人たちが多いんですか?
谷尻さん:僕がつくったものを見て来られる方もいますし、雑誌のインタビューなどを読んで来られる方もいますね。
沢村さん:谷尻さんの考え方に共感した方が来るわけですね。
谷尻さん:そうですね。そういう方が多いですね。
沢村さん:じゃあ、今までの暮らしと全然別の暮らしをイメージできる人じゃないとつらいですよね。
谷尻さん:やっぱり住宅メーカーに頼む人は、今までの暮らしの延長上だと思うんですよ。
例えば、3LDKがいいとか。そのセオリーを自分に合わせると、僕らに頼む場合はセオリー自体を一緒につくるやり方なので、ある意味、0(ゼロ)から1なのか、1から10なのかという違いでもあると思います。
沢村さん:今までつくってきた家で、「失敗だったなぁ」という家はありますか?
谷尻さん:大きな失敗はないんですけど、小さな失敗はたくさんありますね。