【特集・沢村一樹さん】建築家・谷尻誠さんと語る、住まいと暮らしと仕事のこと(前編)
でも、その失敗は正直にお施主さんに言いますよ。今は、今できる最大の仕事をするけれど、それは成長の過程でもあるので、あとからできものがいいに決まっていますよね。
負荷がかかれば、人はそれを乗り越えるために成長する
沢村さん:話が変わりますが、やっぱり照明は大事ですか?僕は、インテリアは照明が肝だと思っていますけど。
谷尻さん:大事ですね。やっぱり照明は、その場所の雰囲気をつくります。明るいダイニングレストランって、何か雰囲気良くないですよね。人は暗いと声が小さくなりますし、その分、親密な会話ができるんです。明るい場所で親密な会話って、できないですよね。
沢村さん:へぇ~、やっぱりそういったことも考えているんですね。よく人のことを観察しているんだなと思います。
谷尻さん:すごく、“人”好きですね。
沢村さん:そういった思いやりが作品に出ていると思いますね。
谷尻さん:ありがとうございます。いくら他の人の家を設計するといっても、自分が住みたくなるような家じゃないとダメなんですよ。変な話、お施主さんのオーダーをかなえることが仕事ですけど、我慢して自分が住みたくない家を設計するのと、自分が住みたいと思う家を設計するのでは、後者の方が誠実な気がして。