「払わなければ時効」…損害賠償を踏み倒すことは許される?
しかし、強制執行するために、債権者側で債務者の保有している財産を調査し、裁判所からは時に現実的には困難なまでの財産の特定を債権者側に求められることがあります。
そのようなとき、賠償を命じる判決に債務者が従わない場合であっても、
(1)債権者側が債務者の財産を調査できない
(2)債務者に本当に財産がない
に該当する場合は、強制執行しても実際には債権を回収できないことになります」(星野弁護士)
■踏み倒しても刑事罰にはならない
「実際の事件では支払いを命じる判決があっても、債権者側が債務者の財産を調査できない場合や、債務者に本当に財産がないケースはかなり多数あります。
このような場合、執行官の強制執行妨害など積極的な妨害をしない限り、判決にただ従わないだけでは判決を無視して踏み倒しても犯罪ではないので刑事罰になりません。
したがって現状は、債務者が判決に従わず財産が不明か不存在のため強制執行による判決内容実現も不可能で、事実上支払いを命じる判決を踏み倒されるケースは多数に上ります」(星野弁護士)
■法改正での改善が期待される
「現在の運用では、預金などを金融機関の本店に一括して調査照会できないなどの不都合もあり、踏み倒しとなるケースが後を絶ちません。