バイキングに行ったら料理がほとんどない…返金は可能?
例えば、多数の種類の料理があることを前提とし、またはそのことを謳い文句にして金額が設定されているような場合には、原則として、入店可能時間内に入店したものに対しては、表示されている種類の飲食物を提供する旨の合意があったといえそうです。
他方、多数の種類の飲食物を提供することを謳い文句にしていたとしても、注釈で店側の都合により一部飲食物を提供できない場合があることを明示しているような場合には、バイキング形式の朝食を提供する義務の一部は縮小され得ることになるといえるでしょう。
また、仮にそのような明示がなくとも、営業時間の終了間際ということにもなれば、店側として閉店準備のために、飲食物の一部の提供がなされないことも社会的通念上はやむを得ないと考えられます。
逆に、閉店までまだ随分と時間があり、多数のお客さんが来店しているのにもかかわらず、飲食物が補充されないということになれば、そこには店側の義務違反があるということにもなりそうです。
他方、今回のケースはホテルへの宿泊代を支払ったことに伴う問題ですが、ホテルへの宿泊に対する代金の支払いは、あくまでホテル側の主たる義務である宿泊に対する対価として考えられ、特にバイキング形式の朝食を売りにしているような場合でもない限り、“朝食を提供する”ことは付随的なものと見ることもできます。