相次ぐ保釈中人物の逃亡事件!今後取るべき対策を弁護士が解説
このほか、事案に応じ、国外逃亡被疑者等が日本国内で行った犯罪に関する資料等を逃亡先国の捜査機関等に提供するなどして、逃亡先国における国外犯処罰規定の適用を促している」
(下線部は強調のため筆者が付した)との記述があります。
ただし、被告人が、例えばレバノンに滞在しているという場合、現在、日本とレバノンとの間に犯罪人引渡条約は締結されていないので、犯罪人引渡条約に基づく引渡しを求めることはできず、仮に、日本がレバノンに対して引渡しを要請したとしても、これに応じるかどうかはレバノン側の決定に委ねられることになるでしょう。この点につき、平成30年版「犯罪白書」には、
「逃亡犯罪人引渡条約を締結していない外国との間で、逃亡犯罪人引渡法(昭和28年法律第68号)に基づき、相互主義の保証の下で、逃亡犯罪人の引渡しの請求に応ずることができるとともに、その国の法令が許す限り、逃亡犯罪人の引渡しを受けることもできる。」(下線部は強調のため筆者が付した)、「逃亡犯罪人引渡条約を締結することで、締約国間では、一定の要件の下に逃亡犯罪人の引渡しを相互に義務付けることになるほか、我が国の逃亡犯罪人引渡法で原則として禁止されている自国民の引渡しを被要請国の裁量により行うことを認めることにより、締約国との間の国際協力の強化を図ることができる。