KERAが贈る毒と笑いに満ちた「家族」のブラック・コメディ
舞台『8月の家族たちAugust:Osage County』 稽古の模様撮影:源賀津己
ブロードウェイでトニー賞最優秀作品賞をはじめ4部門を受賞した舞台『8月の家族たちAugust:Osage County』。その日本初演がまもなく幕を開ける。上演台本・演出を手がけるのは、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)。父の失踪をきっかけに集まった家族たちの不協和音を、ブラック・コメディとして描き出す。稽古は始まったばかりだが、KERAには確信が生まれているようだ。
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物語は、詩人でアルコール中毒の父親(村井國夫)が失踪し、ガン治療薬の過剰摂取もあって錯乱状態にある母(麻実れい)のもとに、3人の娘やその家族と叔母家族が集まるところから始まる。稽古場で演じられているのはちょうど、長女(秋山菜津子)とその夫(生瀬勝久)、娘(小野花梨)が戻ってきた場面だった。久々に会う母と娘、叔母と夫のちょっとした噛み合わなさが早くもおかしい。
長女夫婦が喧嘩を始めるシーンでも笑いが起こる。KERAが台詞の発し方や互いの押し引きの加減について少し指示を出すと、その笑いは増幅していく。実家の父と母も、どうやらすでに離婚しているこの夫婦も、抱える事態は深刻であるにもかかわらず、彼らが躍起になるほどその姿は滑稽に見えてくるのだ。