デビュー10周年公演は、特別なプロコフィエフと共に
彼は自ら短編小説も書いていて、例えば『ピーターと狼』はそれを音楽に置き換えて表現したものだと思います。ユーモアもあり、小さな作品の中に彼の想いが詰まっていると感じるのです。ピーターのテーマは有名ですし、聴いていて心がウキウキする、楽しい場面をリサイタルの中に盛り込みたいと思いました」
物語を創作するような感性の持ち主だったプロコフィエフ。それだけに、「シンデレラ」や「ロミオとジュリエット」というバレエ音楽においても「登場人物のキャラクターを際立たせる旋律を創ることが上手。それにより物語に立体感が生まれる」と滝は話す。
共演は、高校時代の同級生でモスクワ音楽院で学んだピアニストの沼沢淑音。「3年間ともに学んだ仲間ですが、卒業後、実は一度も会っていないんです。その後のご活躍は見聞きしているので、共演が楽しみ。
お互い遠慮も妥協もない音楽づくりができるのではないかと期待しています」
デビューからの10年を振り返ると、自身の中に多くの変化があった。「自分がどこまでこの楽器を弾きこなせるようになるのか、先生を変える経験も経て、上手になりたいという想いで走り続けた10年でした。そんな中、ヴァイオリンを弾くことでその先に何があるのかを考えるようになりました。