七之助が勘三郎と三津五郎の魂に誓う、八月納涼歌舞伎
落語が原作というと、これまで八月納涼歌舞伎では怪談物を上演することが多かったが、『山名屋浦里』に続いて、よりコメディ色の強い作品が登場する。
「第一部にふさわしく、軽い気持ちで楽しく観られるものを選びました。ひとりで語る落語と、役者が演じる歌舞伎とでは、やはり違います。落語と同じオチが歌舞伎でうまく幕になるとは限らないし、歌舞伎は視覚的に楽しませる分、落語より狭まる部分もあるかもしれない。巧い噺家だと、座布団に座って長屋の話をするだけで長屋のにおいまでして来るのに対して、歌舞伎は視覚的に分かってしまう怖さがある一方、動きや掛け合いで楽しませることもできます。そこをどう魅せるか、これから小佐田さんとの相談や稽古で詰めていきます」
『東海道中膝栗毛』は、十返舎一九の原作を奔放に賑やかに発展させた作品。一昨年、昨年と、形を変えながら上演され、七之助は昨年から出演している。「まだ何も聞いていないのですが、去年は芝居に絡む役ではなかったので、今回はもっと作品に絡みたいと言いました。
俳優祭的なところもありますが、お客様が喜ばれるし、歌舞伎の幅の広さがわかる演目だと思います」
『盟三五大切』では、芸者の小万に初役で挑む。