「仁」が変えるパリの寿司。北海道からフランスへ、地産地消で挑む食文化の継承
そう語る渡邉さんの意志は固い。そしてその目標は着々をパリの街に浸透している。
「フランスは古くから肉文化なので魚、特に鮮魚の正しい扱い方の認知度が低い気がします。でも元来フランス人は食材に対する意識は高いので、日本の本物のやり方を伝えれば必ずわかってもらえると思っていました。」渡邉さんの言う通り、仁がオープンしてからパリで鮮魚に対する認識が変わった。後に続くように本格的な寿司屋がオープンしたり、スーパーの一角でデモンストレーションをして巻きたてを販売していたり、一般の人でも日本らしい寿司を食べられる環境が徐々に整ってきたのだ。マリアージュは日本酒で
「ひと と さかな と さけ」をコンセプトとする仁の魅力は寿司だけではない。パリ随一の品揃えを誇るこだわりの日本酒もパリジャン・パリジェンヌを引きつける要因の一つだ。魚と一緒で、仁がオープンする以前のパリではレストランで提供される日本酒の種類が少なく、どこに行っても同じような銘柄しか置いていなかった。
中国系の人が運営する日本食店も多く、中国酒もSAKEと表記している場合があるため日本酒と勘違いする人もいるようで、フランス人の中では「日本酒=度数が高くてウォッカのようなお酒」