くらし情報『音楽に青春というプロローグを。〈ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール〉【洒脱なレディ論】』

音楽に青春というプロローグを。〈ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール〉【洒脱なレディ論】

それどころかどこにも着地点を持たぬまま、バンドは解散。結局、イヴはグラスゴーという小さな田舎町から飛び出しロンドンの音楽大学を目指す。ジェームズはあいかわらずライフガードの生活だ。別の道を選んだ経緯は、まさしくスタンスの問題である。イヴにとって音楽というものは、いま以上に広い社会と共有したいという目的において唯一の手段であり、それは「自分のレコードが出せれば満足、誰が聴くかは二の次だ」というジェームズの想いとはとっくに違ってしまっていた。「小説や映画ならあなたたちは恋人同士になるはずなのに」「僕らはちがう。イヴにとっての唯一の救いは歌なんだ」というキャシーとジェームズのやりとりがその核心を突いている。好きの一辺倒だけでは、惚れた腫れたは続かぬというのは世の常のよう。
評論家らしく時代背景を分析して共通点を見つけては賛否を述べる……ことよりも、主人公と同じ目線で「今」に胸を焦がすことをこの映画においてはオススメしたい。特に、いまレディへと向かう同世代の一人として。殊にゴッド・ヘルプ・ザ・ガールは、人生のこのポイントで出会えてよかった作品のひとつになること請け負いです。そして観た後にぜひ問わせてください。

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