くらし情報『作家・山内マリコさんインタビュー心を開ける相手がいれば無理して“居場所”を増やす必要はない』

作家・山内マリコさんインタビュー心を開ける相手がいれば無理して“居場所”を増やす必要はない

単純に、性格的に1対1の関係の方が私にとっては居心地がいいから、結婚も性に合っているのかも。

――とはいえ、1人の人間の中にも多面性がありますよね。平野啓一郎さんが提唱した「分人化」(表面的な「キャラ」や「仮面」ではなく、「人格」と呼べるレベルで人間にはいくつかの顔があり、相手によってそれを使い分けているという考え方)のように、たとえば夫婦という関係性を維持するために夫に見せられない一面を、親友や別の人との関係で発散したい、という人もいるのではないでしょうか?

山内:それってただの浮気じゃん(笑)。別の人が同性の友達だったらいいけど、そうでないパターンの方が多い気がする。リスクヘッジ、みたいなご大層なこと言っておきながら、結局ただのズブズブな不倫してそうな感じ。「分人」って、自分探しで答えの出なかった挫折感を抱えた世代への慰め、鎮魂、みたいな側面は好きなのですが、あんまりラジカルに人格を使い分けられたら困りますよ。

私は、その人としかできない話をするような関係は、すごくいいと思うんです。その人とでしか達せない深みに行けるような関係性は、大いにアリだと思います。
苦手なのは、それほど深い話ができるわけでもない人と、孤立したくないからと、だらだら一緒にいること。

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