くらし情報『作家・山内マリコさんインタビュー心を開ける相手がいれば無理して“居場所”を増やす必要はない』

作家・山内マリコさんインタビュー心を開ける相手がいれば無理して“居場所”を増やす必要はない

――会社だけ、家庭だけに押し込められ、追いつめられないようにするために、最近では「逃げ道をいくつか作って、依存先は分散させた方がいい」といった考え方が提唱されるようになりましたが、それについてはどう思いますか?

山内:所属先や取引先をひとつにしないっていう意味なら賛成です。定年退職後の男性は、ちょっと気の毒なくらい人生のリスタートを迫られているし、専業主婦も実はリスクが高い。

昭和モデルって男女がすごく偏っているから、そこのバランスを探るのは大事なことです。ひとつの仕事がダメになったときに経済的に困らないようにするため、複数の仕事を持つとか、そういうのはいいと思う。ただ、“依存先”と言われると、「ん?」と引っかかりますね。

――と、言うと?

山内:自分の精神バランスをいい状態でキープするために、人やコミュニティを使い分けるみたいな考えは、あんまり好きじゃない。いざというとき、孤立しないようにいろんなコミュニティにちょこちょこ顔を出す、みたいなやり方は、性格的に苦手なんです。

1人の人と仲を深め合うのは好きだけど、大勢とそこそこ仲良くするのってあんまり得意じゃないので。
人間関係を自分本位にコントロールしようとする人には、抵抗があるし、警戒します。

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