悩める若者が居場所を探す『坂道のアポロン』に、おひとりさま女性も共感?
さまざまなバックボーンを抱えた若者たちが、ジャズを通じて自分の居場所を確立していきます。薫と千太郎は、性格が陰と陽くらい違い、接点がなさそうなのですが、ビバ音楽の力ですね。
私は、家族に対して複雑な思いを抱えている主人公の話に猛烈に惹かれるんです。少女漫画では恋愛ものと同じくらい、親や兄弟といった、家庭の悩みについて描く作品が多い。それは、作者自身が抱えている問題であり、自分の人生を左右する重要なテーマだからでしょう。家族のトラウマがあるイケメンのほうがつけいりやすいというしたたかな女のもくろみもあるんでしょうが。
少女漫画では、報われない家庭での鬱屈した思いが、恋愛で昇華されていきます。でもまあ、家族に夢が持てなければ、積極的に家族を作ろうという気にならないだろうし、現実はなかなかそうはいきませんわな……。
Text/和久井香菜子