「片手」「両手」ってどういう意味? 元・不動産営業マンに聞きました
ですから指し値が無茶な内容でない限り、買い付けが入ればA社は売主を説得しようとします。
これはA社の両手取引でも変わりません。
売主の側にとっても早い段階で指し値に応じて売ってしまうことにメリットはあります。
指し値を断って破談になればその後物件が売れ残る恐れがあり、そうなると値引きか売却中止しかないからです。
そもそも売主は指し値が入ってくることを前提にして、相場に少し上乗せして値付けをしているものです。
そして買主の希望する金額が納得できなければ断ればいい話です。
お互いが意地になって50万円の差額がどうしても埋まらず、両手取引が成立しなかった経験が筆者にはあります。
従って、両手取引で誰かが不利になる、という事は実際にはないのです。
■ 「両手を狙って物件を囲い込む」というのは本当?
ふじよ / PIXTA(ピクスタ)
「両手取引を狙うあまり、業者は物件情報を他社に流さず囲い込む」という指摘もよく見ます。
囲い込みにより売却が遅れたり、それによる値引きで売主が不利益を被るというものです。
両手取引はもちろん効率的ですが、特定の物件に狙ってできるほど客付けというのは簡単なものではありません。