紀元前4世紀の哲学者ソクラテスが教える「お金との最適な距離」
では、その心は、それが宿った人間の魂を全体としてどのようなものにつくり変えていくものなのか?すなわち、投資家のメンタリティを持つことが、人間の生き方にどういう影響を与えるのか?
ここで重要なのは、投資が必ず儲かるものではなく、不確実性が伴うものであるという事実。どんなに優秀な投資家であっても、損をする可能性はゼロではないということ。
つまり投資は、確実に富をもたらす性質のものではないとソクラテスはいうのです。
■備えあれば本当に「憂いなし」でもない
だとすれば、投資によって将来の生活不安を和らげたいと願う投資家たちは、自分の意のままにならない事柄に自らの運命を委ねているということになるはず。
ところで、自分の意のままにならない事柄に運命を委ねる人は、内面的になにかの不安を抱え込みやすくなるのではないか? ソクラテスはそう疑問を投げかけます。
サトルはそれに対して「備えあれば憂いなし」と反論しますが、ソクラテスはそこを指摘します。本当に「憂いなし」なのか?ほかならぬ「備え」のために、ずっと大きな憂いを抱えているように見えると。
■なにを愛し求めるかで人の価値が決まる
次にソクラテスはサトルに対し、一般的にいって、「なにかを追い求めようとする場合、そのなにかの点で不安になったとすれば、それについて考えることはいっそう多くなる」