2022年8月31日 16:45
小さいころから英語を学習すると日本語が中途半端になっちゃうって本当?
というイメージです。さらに2歳を過ぎると、母親とドイツ語で会話しながら父親には英語で質問する、というように、どちらの言語を使うかは相手に合わせている様子が増えました。バイリンガルが言語を混ぜて話すのは、自分の主張を通すため、親が言った言葉をそのまま言うため、話題を変えるためと、効果的にコミュニケーションをとるための行動であると考えられています(Genesee & Nicoladis, 2009; Goodz, 1989; Lanvers, 2001)。
さらに、 近年の言語学で注目されている「Translanguaging」(トランス・ランゲージング)という概念では、二言語を混ぜて話す行動は、文字や音、構造や社会文化的背景など二言語間のさまざまな違いを乗り越えながら言語を理解し、二言語を巧みに使うことで効果的にコミュニケーションを図る能力として、極めて肯定的に捉えられています(Wei, 2018)。
■ 大切なことは「両方の言語とも大切だ」と思えるような環境づくり
このように、子どものころの第二言語習得が母語に悪影響を及ぼすといった説は、学術的な根拠が不十分です。また、二つの言語を混ぜて話すことは、能力不足ではなく、相手や状況に応じて効果的にコミュニケーションを図ろうとするバイリンガル特有の高度な言語能力です。