浮気に溺れる夫…サレ妻が本音を吐露「何もない自分が嫌だった」気になるその後…
第6話:浮気に溺れる夫と前を向く妻
さらさ「あのさ、お母さん」
ひなたを抱えて玄関のドアに手をかけていた母が振り返る。
母「…なによ急に」
母が、困ったような顔をした。
さらさ「これからのことで真剣な話があってきた」
さらさの心臓がバクバクしてくる。
これまでの宗太のこと、沙彩にあったこと、沙織に聞いた海外の話。
育児に追われていた、さらさにとって刺激的で、向上心を刺激する内容だった。
その思いが、母の背中を見てさらさの中の何かを突き動かした。
思わず口にだした気持ちに、さらさがはっとする。
(いや、でも玄関で言うことじゃないか…)
困り顔のまま黙る母に、ぼそっと呟く。
さらさ「それだけ初めに伝えたくて、なんか言っちゃった」
母が、ふっと笑う。
母「…分かった。話は中でね。まったく、寿命が縮みそうだわ」
実家の中は、いつもと変わらない景色が広がっていた。
でも、なんだか今は懐かしく見えてしまう自分がいる。
(私、意外と帰ってなかったのかも)
小さいころと変わらずラブリーな布がかけられたピアノ。
その上に乗っかるぬいぐるみ。家族の写真。
リビングにある革のソファにどさりと座り込み、背をのばした。