せっかくの美しい浴衣姿をキープするために浴衣でのお出かけは楽しいものの、動いていれば崩れてくるのは必然。きちんと着ていたら凛とした着姿も、はだけたり、ずれたりしてくると一気にだらしない印象になってしまいます。下手に直そうとすると、さらに崩れてしまいそうという人のために、困ったときに使える応急処置を紹介します。胸元がゆるんでしまったときの直し方長時間着ていると、どうしても襟元がゆるんできて、だらしない印象に。気がついたら下着が見えてきてしまっていた、なんてことも。そんなときは、まず胸紐をほどいて、左右の袖の下の身八つ口という隙間に指を入れます。左脇から下前の襟を、右脇からも上前の襟を軽く引っ張ります。あまった部分を帯にしまいこみ、位置が決まったら、体に沿わせて紐をしっかり結びましょう。裾が落ちてきてしまったときの直し方上前をめくって、下前を引っ張り上げ、腰紐に挟み込みます。上前も引き上げて整え、腰紐を結び直します。監修:南出千賀子協力:KIMONO BIJIN出演/草別 真誉“全国の着物女子と着物に関するまとめやステキな情報が集まる女の子のためのコミュニティメディア。浴衣以外にも着物や和を楽しむための情報が毎日更新中!”出典:
2016年07月15日浴衣と帯に+αで、個性的&華やかに着慣れてくると、いろいろな浴衣姿にチャレンジしたくなるもの。でも、浴衣と帯を何セットも買うのも大変ですよね。浴衣も帯もそのままに、ガラッと印象を変える小物使いを取り入れれば、ひと夏に、浴衣で何度もお出かけしたくなっちゃいそうです。1.大きめのお花に視線集中!浴衣と同系色の花飾りを髪につければ、一気に華やかに。和装なら、多少大きめで存在感のあるタイプでも思いきってつけられます。2.帯締めで、遊び心をプラス着物と違って、帯周りが寂しくなりがちな浴衣。本来は、着物の帯がずり落ちないように固定する「帯締め」ですが、浴衣につけてみて個性を出すのもおすすめです。結び方ひとつで印象も変わるので、いろいろな結び方を研究してみるのもいいかもしれません。お気に入りの帯締めを一本持っておくと便利です。帯&帯締めのアレンジ方法a.帯の裏地が見えるように斜めに折り返します。b.帯締めを中央に揃えます。c.自分から見て左側の帯締めを上に重ね交差させ、下から上に通し、結びます。d.上の方に来た帯締めを折り返し、反対側の帯締めを上から下に通し、ぎゅっと結びます。e.余った帯締めを花びらの形に挟み込みます。f.できあがりです。3.扇子を使って、涼む姿も優雅に折りたためて持ち運びにも便利な扇子は、浴衣のときの必携アイテム。バタバタと扇ぐのではなく、マナーを守って扇ぎましょう。女性の場合は、四本の指を伸ばして、親指との間に挟み持ち、手の甲を見せながら向こうから手前に扇ぐのが正しい持ち方とされています。扇ぐ場所は、顔の下で。4.涼しげで履き心地もいいレース足袋おしゃれなだけでなく、鼻緒でずれて足が痛くなるのを防止してくれるという効果も期待できるレース足袋。通販などでも安く手に入るので、気軽に取り入れられそうです。5.手ぬぐいで、汗を拭くのもささっと和装のときに持ちたいのが、薄くてコンパクト、速乾性もある手ぬぐい。”クロスの法則”で、拭いたい方の逆の手を使うようにすると、より女性らしい仕草になります。監修:南出千賀子協力:KIMONO BIJIN“全国の着物女子と着物に関するまとめやステキな情報が集まる女の子のためのコミュニティメディア。浴衣以外にも着物や和を楽しむための情報が毎日更新中!”出典:出演/草別 真誉
2016年06月30日暦文化研究家・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?■新暦ならではのお楽しみ「ブルームーン」がめぐってくる!突然ですが、月相図(月の満ち欠けのマーク)が載っている手帳やカレンダーが手元にあったら、今月のページを見てください。満月のマークが2つありますよね。1つ目は7月2日(木)、2つ目は31日(金)です。このように、ひと月に2度満月が生じるとき、2度目の満月のことを俗に「ブルームーン」といいます。ここでいう「ひと月」とは、私たちが普段使っている新暦の暦月のことです。月の満ち欠けの周期は約29.5日ですが、新暦のひと月は、2月以外は30日もしくは31日なので、暦月のはじめに満月が生じると、月末に再び満月がめぐってくるわけです。一方、旧暦では、ひと月のうちに2度の満月が生じることは絶対にありえません!というのも、旧暦では毎月第一日目(ついたち)は新月と決まっているからです。当然、次の新月(翌月)に至るまで満月は1度しかありません。つまりブルームーンは、新暦ならではの産物なのです。近年、月のリズムや二十四節気などが注目され、旧暦人気が高まっていますが、新暦だって捨てたもんじゃありませんよね。旧暦にはないブルームーンが楽しめるのですから。ブルームーンという名称から「青い月が見られるのかな」と期待している人も少なくないでしょう。しかし実際は、月が青く輝くわけではありません。ちょっぴり残念ですね。ブルームーンは天文現象ではなく、暦月と月の満ち欠けのめぐりあわせによるもの。そのため、「ブルームーンはめったに起こらない幸運なこと。見れば幸せになれる」という言い伝えがあります。何の変哲もない、いつもと同じ満月。でも、見る者を幸せにするというのですから、その恩恵を受けるべく、7月31日はぜひとも月を眺めましょう。■恋の小道具として使える?!おいしいブルームーンとはところで、ブルームーンというカクテルがあるのをご存知ですか?ドライ・ジン、パルフェ・タムール、レモンジュースをあわせてシェイクした、口当たりの良いお酒です。ブルームーンというネーミングですが、見た目は淡いスミレ色をしています。その色の正体は「パルフェ・タムール」というリキュール(ヴァイオレット・リキュールや、クレーム・ド・ヴァイオレットとも呼ばれています)。パルフェ・タムールとは、フランス語で「完全な愛」という意味。そのため、このカクテルをオーダーすると、同席している相手に対して「あなたは私にとって完璧な存在(完全な愛)」と、それとなく伝えていることになります。カクテルという小道具を使った告白ですね!けれどブルームーンには、まったく正反対の「できない相談」「叶わぬ恋」という意味もあるのがおもしろいところ。つまり、タイプではない相手から迫られそうになったとき、このカクテルをオーダーすると、やんわりと相手を拒絶する意味になるのです。31日のブルームーンは金曜日。デートに誘ったり誘われたり、仕事帰りの飲み会からいい雰囲気になったり……いろんなチャンスがめぐってきそう!自分から積極的になりたいときと、相手の気持ちに応えられないとき、どちらにも使えるブルームーンを恋の小道具として使い分けてみては?そうすれば「めったに起こらない幸運」があなたのもとにおとずれるかもしれません。景山えりか(かげやまえりか)暦文化研究家、星のティーセラピー(R)レッスン倶楽部主宰旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2015年07月29日暦文化研究家・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?■ウナギだけじゃない!土用の丑の日に食べるもの7月24日(金)は「土用の丑の日」です。この日は、「ウナギを食べる日」として知っている人も多いと思います。そもそも土用とは、年に4回あって、立春・立夏・立秋・立冬の直前の約18日間をさします。現在では土用というと、夏の土用をさすことがほとんどです。丑の日の「丑」は、十二支の丑のこと。暦において十二支は、年だけでなく、日や時刻、方位などにも割り当てられています。ですから、12日に1度は丑の日が巡ってくることになります。今年の場合、夏の土用は7月20日(月)から8月7日(金)まで。その期間中、丑の日にあたるのは、冒頭でお知らせした7月24日。それから、8月7日も!そうです、今年は2回も丑の日があるのです。2回目の丑の日のことを「二の丑」といいます。それでは、なぜ(夏の)土用の丑の日にウナギを食べるのでしょう?それは、昔からこの日に「う」のつくものを食べると夏バテしないという伝承があったから。夏の土用の時期は一年のうちで一番暑いとき。そのため昔の人は健康に配慮したこのような習わしをつくったのでしょう。「う」のつく食べ物のなかでもウナギは、『万葉集』で大伴家持が夏やせにはウナギがよいという歌を詠んでいるほどで、古くから夏の健康食とされていたようです。けれど本来は、うどん、うり(瓜)、うめぼし(梅干し)、うし(牛肉)、うま(馬肉)なども食されていましたから、ウナギが苦手な人も「う」のつく食べ物で、暑さを乗り切りましょう。■極上のリラクゼーション!夏の疲れを癒す「丑湯」とはほかには、(夏の)土用の丑の日に、湯船に薬草を入れた「丑湯(うしゆ)」に入ると夏バテをしないといわれています。今でいう、ハーブバスですね。ハーブの香りに包まれたバスタイムは、極上の癒し時間。夏の疲れも吹き飛びそう!自宅で丑湯をするなら、ハーブティーで使うドライハーブが便利。オススメのハーブは、リラックス効果が期待できるジャーマンカモミール、爽快感が気持ちのいいペパーミント、優雅な気分になれるローズなど。湯船に入れるときには、ガーゼに包んだり、お茶袋に入れたりすると後始末が簡単です。また、濃い目のハーブティーを淹れ、そのまま液状入浴剤として湯船に入れても◎。いずれも、使用量や濃さなどはお好みで調節してください。土用の丑の日の習わしは、夏の暑さに対処し、自分の体と向き合う先人たちの知恵。それは、私たち現代人が失いつつある、自然に対する豊かな感性です。現代風にアレンジしつつも、暦通りに昔の習慣を実践してみることは、失われつつある感性をはぐくみ、さらには磨きをかけることにつながっていくはずです。景山えりか(かげやまえりか)暦文化研究家、星のティーセラピー(R)レッスン倶楽部主宰旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2015年07月22日暦文化研究家・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?■上半期最後の「水無月」は、月のリズムで心地よく7月16日(木)は新月です。旧暦では6月1日にあたり、「水無月(みなづき)」を迎えます。水無月と聞くと、「水」の文字のイメージから梅雨と結びつけたくなるかもしれませんね。ですが、梅雨にあたるのは前月の「皐月(さつき)」です。確かに、水無月のはじめこそ梅雨を引きずってはいるものの、すぐに梅雨明けとなります。照りつける太陽と、広がる夏空。それが水無月です。水無月=梅雨という誤ったイメージは、身近なものによる刷り込みもあります。というのも、新暦のカレンダーや手帳を見ると、6月に水無月と併記されていることが多いから。これでは混乱してしまいますよね。本来、皐月や水無月といった異称は、旧暦の暦月に対して用いるものです。暦(旧暦)をたしなむならば、ぜひとも覚えておいてください。なお、旧暦6月の異称には、・風待月(かぜまちづき)・鳴神月(なるかみづき)・涼暮月(すずくれづき)・蝉の羽月(せみのはづき)・常夏月(とこなつづき)などもあります。夏の夕立の光景や夕涼みする様子が、目に浮かぶようですね。■月のリズムを活用して、大きな節目を迎える準備を新暦ではすでに7月を迎え、下半期がスタートしました。友人や仕事仲間と「今年も、もう半年がすぎちゃったね!」という会話をした人も多いでしょう。ですが、旧暦ではまだ上半期。今年前半を気持ちよく締めくくるチャンスは残っています。そこで、上半期最後のひと月を、月のリズムで過ごしてみるのはいかがでしょう。月のリズムは大きく4つのステージに分けられ、それぞれに違った意味合いがあります。日付と照らし合わせながら、各ステージのテーマを確認して、水無月の予定を立てる参考にしてみてくださいね。・新月/旧暦6月1日(7月16日)テーマは「始まり」。今まで気になっていたことや、やりたかったことへの一歩を踏み出すのに最適。直感に従って、新しいことにチャレンジを!とくに、旧暦下半期に本格化したいことを、このタイミングで試しに始めてみるとよさそう。・満ちていく月/旧暦6月2日~15日(7月17日~7月30日)テーマは「活力」。刻々と輝きを増していく月のように、体も心も上向きに。自分に自信を持って、積極的に行動すると吉。気候はジメジメとした梅雨が明け、いよいよ夏本番!行きたい場所へエネルギッシュに出かけましょう。・満月/旧暦6月16日(7月31日)テーマは「癒し」。満ちていく月の行動が実を結ぶ一方で、ポジティブさが強欲や衝動に変化する可能性も。自分と向き合い、冷静に考えるべきタイミング。また、この満月は「ブルームーン」にあたります。ブルームーンについては、後日この連載でお知らせしますので、お楽しみに!・欠けていく月/旧暦6月17日~29日(8月1日~8月13日)テーマは「沈静」。生活環境や心身のメンテナンスを心がけるとき。暑い日が続いてだるさを感じたときは、ぬるめの湯船につかったり、お昼寝をしたりして、自分をいたわって。また、新しいサイクルに向けて準備する期間でもあります。旧暦下半期の計画を立てるのも◎。次にやってくる旧暦7月は、下半期のはじまりであると同時に、暦の上では秋のはじまりです。大きな節目を気持ちよく迎えるために、水無月(旧暦6月)の日々を月のリズムで有効に過ごしましょう。景山えりか(かげやまえりか)暦文化研究家、星のティーセラピー(R)レッスン倶楽部主宰旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2015年07月15日暦文化研究家・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?■梅雨の湿気を体から追い出して、むくみ知らずのすっきりボディに7月7日(火)に二十四節気の「小暑」を迎えました。暦のうえでは暑気に入り、本格的な夏を実感しはじめる頃です。とはいえ、まだ梅雨が明けていない地域も多く、一年のうちで湿気の多い時季でもあります。じめじめとした陽気のせいで、体のだるさを感じたり、食欲がなくなったり、天気と同じように体調もスッキリしないことが多いですよね。雨の日が続くと、室内で過ごす時間が長くなるので、体を動かす機会がどうしても少なくなりがちに。すると、体内循環が悪くなり、むくみやすくなってしまいます。自然のリズムに合わせた養生法において、この時季は「体の過剰な湿気」を取り除くことが大切です。そうすることで、これからやってくる暑い日々を健やかに、夏バテをすることなく過ごせるとされています。ジムで体を動かしたり、湯船につかったりして、汗をかくのも有効ですが、「体の水はけ」をよくするハーブティーなら、仕事や家事の合間に取り入れられるのでお手軽です。セレクトに迷ったときは、次にご紹介するハーブをお試しあれ。どのハーブも、分量はティーカップ1杯に対してティースプーン1杯を目安に。熱湯を注いだら3分ほど蒸らすことが、香りとおいしさを引き出すコツです。・リンデンフラワーヨーロッパでは、女性の美しさ、やさしさ、平和を象徴するハーブです。体にたまった余分な水分や毒素を排出する効果が期待できるといわれています。また、ほんのりとした甘さを感じさせる上品な香りは、リラックスにも役立ちます。不安や興奮を鎮めて、心身の緊張をときほぐす作用があるといわれているので、仕事や恋愛に頑張りすぎてしまったときのティータイムにどうぞ。・どくだみ日本でおなじみのハーブです。利尿作用があり、体内の水分調整に役立つといわれています。また、便通を整えてくれる働きもあるので、便秘が気になる人にもオススメです。どくだみには独特の香りがあります。その香りを強調させないようにするには、火にかけてぐらぐらと煮出さないこと。熱湯を注いで数分間蒸らすだけにとどめましょう。すると、独特の香りがやわらぎ、ほんのりとした甘みも感じられ、飲みやすくなります。・クミスクチン昔から沖縄で親しまれています。体内の余分な水分や老廃物を排出する働きがあるとされ、むくみを軽減するとともに、むくみやすい体質そのものを改善するといわれています。マレーシアやインドネシアでは古くから利尿の薬として、ドイツでは腎臓の薬として扱われていた歴史を持つほど。苦味はなく、番茶のような味わいなので、日常茶として気軽に楽しめます。むくみが改善されると、ボディラインがスッキリとしてくるもの。梅雨のシーズンを壮快に過ごすためのハーブティーですが、気がついたら下半身や足首がほっそりしていた、なんてうれしい効果が期待できるかもしれませんね。景山えりか(かげやまえりか)暦文化研究家、星のティーセラピー(R)レッスン倶楽部主宰旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2015年07月08日暦文化研究家・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?■新暦・旧暦・月遅れ……七夕は年に3回ある!天の川の両岸に離れ離れとなってしまった織姫と彦星が、年に一度会うことが許されている7月7日。もうすぐ、七夕ですね。毎年この時季は全国的に梅雨にあたり、夜空がすっきりと晴れることはなかなかありません。そのうえ、七夕の星として知られる織女星(こと座のベガ)と牽牛星(わし座のアルタイル)が空高く見やすい位置に昇るのは、日付が変わる頃です。これでは、せっかくの七夕行事が盛り上がりませんよね。なぜ、このようなことになるのでしょう?そもそも、中国で誕生した織姫と彦星の七夕伝説と、織姫にあやかって機織りや裁縫の上達を願う「乞巧奠(きっこうでん)」という行事が日本に伝わったのは奈良時代。これに日本古来の「棚機女(たなばたつめ)」という伝説などが結びついて、平安時代に宮中行事になりました。年中行事として庶民に浸透したのは江戸時代のこと。当時は旧暦が使われていましたから、旧暦7月7日に七夕行事をするのが本来の姿というわけです。つまり、今は行事の日付だけが受け継がれているので、新暦7月7日だと季節感が合っていないのです。今年の場合、旧暦7月7日を新暦におきかえると8月20日(木)になります。その頃にはすでに梅雨は明け、晴天率も高く、星空ウォッチングに絶好のシーズン。七夕の星たちも日が暮れて間もなくすると南の空の見やすい高さに昇ってきます。ですが、旧暦の日付を新暦におきかえると、毎年日取りが違ってきます。これでは、七夕祭りなどのイベントを計画するには不便です。そこで登場したのが「(新暦の)月遅れ」。月遅れとは、行事などを1ヵ月遅らせて、次の月に行うこと。新暦7月7日の月遅れは8月7日となります。各地で毎年開催される七夕祭りが、7月7日ではなく8月7日に行われるのは、この月遅れを採用しているから。そうすることで、新暦と旧暦の季節感のズレを少しでもなくそうというわけです。■短冊は願い事にあわせて色を選んで!・新暦の七夕(毎年7月7日)・月遅れの七夕(毎年8月7日)・旧暦の七夕(今年は8月20日)というように、私たちは年に3回も七夕が楽しめます。願い事も、ちゃっかり3回しちゃいましょう!願い事を短冊に書くときは、短冊の色選びがポイントです。「ささのは、さ~らさら♪」の歌い出しでおなじみの童謡『たなばたさま』を思い出してみてください。歌詞に「ごしきのたんざく」とありますよね。この五色(ごしき)とは、中国の陰陽五行説に由来するもので、「青・赤・黄・白・黒」をさします。これらは「五常(ごじょう)」と呼ばれる、人が守るべき道徳「仁・礼・信・義・智」に対応しています。青(仁):他者への思いやり赤(礼):礼儀、秩序を保つ黄(信):欺かないこと白(義):正しいおこない黒(智):物事を理解する心短冊に願いを書くときには、五常の意味を踏まえて、願い事に合う色を選んでみましょう。たとえば、職場でのコミュニケーション力向上を願うなら青や赤の短冊を、自分の浮気癖を封じて恋愛スキルを上げたいなら黄色や白、資格取得の勉強がはかどるように願うなら黒の短冊というように。前述した通り、織姫にあやかって機織りや裁縫の上達を願うことが七夕の由来ですから、恋愛運や仕事運、金運などの運気アップを漠然と願うのは筋違いというもの。欲望丸出しというのもいただけません。短冊に書くのは、習い事などの上達やスキルアップに通じる願い事が◎と心得ておきましょう。七夕は、星に叶えてほしい願い事を自分から引き出して、自分自身と向き合う機会です。五色の紙に願いをしたためてみる。そうすれば心が整理され、今の自分が本当に望んでいることがハッキリするはずです。景山えりか(かげやまえりか)暦文化研究家、星のティーセラピー(R)レッスン倶楽部主宰旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2015年07月01日暦文化研究家・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?■香り豊かなハーブの力で、梅雨のプチうつを乗りきって6月22日(月)に「夏至」を迎えましたが、日本では梅雨の真っ最中。雨が降ったり、空がくもっていたりすると、日照時間の長さも感じにくいですね。1年のうちでもっとも日が長いというより、もっとも湿気の多い時季というほうがしっくりきます。雨の日が続くと、頭がボーッとして判断力が鈍ったり、体は重だるく気分は沈みがちになったりしませんか?この時季にそうなるとしたら、それはある意味、心身が自然のリズムにあっているということです。というのも、こういった心身の状態は梅雨時の特徴だから。とはいえ、そのまま放っておくのもよくありません。なんとか気分を発散しようと、衝動買いや過食に走ってしまったら大変です。気分がスッキリしない梅雨時は、香り豊かなハーブティーが元気を与えてくれますよ。カップに口をつける前に、まずは鼻を近づけて。深呼吸をしながら、立ち上る湯気とともにハーブティーの香りをかげば、そのさわやかな香りに心が晴れていくのを感じるはず。以下にご紹介する3つのハーブは、とくにこの時季にオススメです。・ペパーミント清涼感のあるメンソールの香り。ストレスをやわらげ、心身をリフレッシュしたいときに。スーッとした香りによって活力が出て、疲れた体と心をスッキリさせます。また、消化促進や胃腸の調子を整える働きがあるといわれているので、食後のティータイムにぴったり。シングルティーはもちろんのこと、緑茶や紅茶とブレンドしてもおいしくいただけます。・ローズマリースッとしたスパイシーな香り。心身の疲れを癒し、ぼーっとした頭をスッキリさせたいときに。血行促進の作用があるとされ、血行不良が原因の冷えや肩こりに効果的です。さらに、脳の働きを活性化して記憶力や集中力を高めるといわれています。大切な打ち合わせやプレゼンの日の朝は、目覚めの1杯にローズマリーティーを飲んで出勤を。・オレンジピール柑橘系の甘酸っぱい香り。不安や緊張をほぐして、気力を回復させたいときに。また、ストレスによる胃腸の不調にやさしく働きかけるので、元気不足で食欲がでないときや、便秘や軽い下痢にも効果が期待できます。不安感やストレスが続いて眠れない夜に飲むと、気分がリフレッシュされて心地よい眠りにつけそうです。どのハーブティーにしても、効果を期待しすぎて一度にたくさん飲もうとしないでくださいね。飲みたいときに、飲みたいお茶を、飲みたい分だけ。それで十分。おいしいと感じるものをマイペースに続けていきましょう。飲まない日があってもかまわないのです。だって、今の自分に必要なものは、ちゃんと体が知っているのですから。自分の五感にしたがってハーブティーを楽しんで、梅雨時を気持ちよ~く乗りきりましょう。次回は●月●日第2回 ******(●月●日公開)-->景山えりか(かげやまえりか)暦文化研究家、星のティーセラピー(R)レッスン倶楽部主宰旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2015年06月24日暦文化研究家・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?■夏至はターニングポイント!自然のリズムで新しい流れにのって6月22日(月)は、二十四節気の「夏至」です。一年のうちで、昼がもっとも長くなることで知られていますね。太陽の勢力が頂点に達するこの日、北欧では夏至祭がおこなわれることで有名です。日本では梅雨のシーズンなので、太陽のパワーを直接感じるのは難しいかもしれませんが、年に1度しかないこの日をぜひ意識してみてください。それでは夏至を楽しく過ごす方法をご紹介しましょう。■ハーブの力で運命の人と出会う!夏至のパワーは前夜から徐々に高まり、大地に影響を与えています。昔から、夏至の前夜に摘んだハーブ(薬草)には、特別なパワーが宿っていると信じられてきました。なかでも、セントジョンズワート(セイヨウオトギリソウ)を枕の下に敷いて眠ると、結婚相手が夢に現れると伝えられています。セントジョンズワートを直接摘める環境にある人は少数派でしょうから、ここはハーブティーを代用しましょう。セントジョンズワートは、月経時にあらわれる気分の落ち込みや、深い悲しみや絶望感をやわらげるハーブ。不眠にも効果的といわれているので、夏至の前夜(今年は6月21日の夜!)に飲むのにぴったりですね。ハーブティーを飲んで眠りにつけば、運命の人が夢に現れるかもしれません!■自然とたわむれ、妖精を探す夏至は、古くから妖精と関係が深い日です。ウィリアム・シェイクスピアの作品『夏の夜の夢』(もしくは、真夏の夜の夢)は、夏至の夜、森に集った妖精たちのお話。トーベ・ヤンソンの童話、ムーミンのシリーズに登場するニョロニョロは、夏至の前夜にまかれたニョロニョロの種から誕生し、夏至の日には世界中から「ニョロニョロの島」に集まって、ひみつの会合を開きます。太陽の光を存分に受け取れる夏至の日は、自然界が喜びに満ちあふれ、妖精たちも活動的になるのでしょうね。私たちも、庭の緑や公園、街路樹など、身近な自然に目を向けてみましょう。もしかしたら葉の陰に隠れた、「ちいさな妖精たち」に出会えるかもしれませんよ。■夏至の夜はキャンドルでリラックス夏至の日の太陽を西の空に見送ったあとには、一年のうちで一番短い夜が待っています。部屋の電気を消して、太陽の余韻を楽しみながらキャンドルナイトで締めくくりましょう。ゆらめく炎を見つめながら友人たちと語り合ったり、何も考えずにひとりでぼーっとしたり。いつもと違うリラックスした時間は、自分の本当の気持ちに気がつくきっかけをつくります。季節を月のリズムでたとえるとしたら、太陽の力がピークになる夏至の日は、満月のようなもの。いわば、次の流れをむかえるためのターニングポイントです。自然との調和を楽しみながら、夏至の日を大切に過ごすことで、これから自分の進むべき道が少しずつ見え始めるかもしれません。次回は●月●日第2回 ******(●月●日公開)-->景山えりか(かげやまえりか)暦文化研究家、星のティーセラピー(R)レッスン倶楽部主宰旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2015年06月17日星とお茶のコンシェルジュ・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?171年ぶりの名月が出現!自分と向き合い「今ここ」を実感して旧暦には、明確な季節区分があります。【春】1月・2月・3月【夏】4月・5月・6月【秋】7月・8月・9月【冬】10月・11月・12月先週お伝えしたように、今年は9月と10月の間に「閏9月」が入る年。そのため、平年よりも秋が長く、秋の風物詩である「名月」が3回も楽しめます。実は、これがスゴイことなんです!それでは順を追って説明しましょう。まず「名月」とは、旧暦8月15日の「中秋の名月(十五夜)」と、旧暦9月13日の「十三夜」のこと。秋のお月見といえば、十五夜に次いで翌月の十三夜も眺めるのが古くからの習わしで、どちらか一方のお月見しかしないことを「片月見(かたつきみ)」といって、縁起が悪いと忌み嫌いました。というわけで、平年の名月は2回だけ。ですが、今年は閏9月が入るため、9月13日が2回あります。名月は計3回となり、十三夜は2度出現することになるのです。前回、2度目の十三夜(閏9月13日)があったのは、天保14年(1843年)。今年は、なんと171年ぶりに2度目の十三夜がめぐってくることになります!こんな特別な年は、きっと一生に一度きり。まさに、閏9月13日の十三夜は「奇跡の月」。その月が見られるのは、11月5日です。月の出は15時40分、月の入りは翌日の3時53分(東京)。空が晴れてくれれば、ほぼ一晩中お月見が楽しめます。このようなチャンスは、私たちが「今を生きている」からこそ得られたもの。171年という時の長さに思いを馳せれば、月との対面がより感動的になりそうです。願いをかなえるための知恵を授けてくれる十三夜名月の十三夜に限らず、毎月めぐってくる十三夜(旧暦13日の月)は、仏教と縁があります。13日が虚空蔵菩薩の縁日だからです。旧暦の時代、十三夜は虚空蔵菩薩と結びつけられて、信仰の対象とされていました。虚空蔵菩薩は、月の化現(けげん)と考えられ、尊像の背には月輪があり、知恵と福徳を授けることで知られています。昔の人は、十三夜の月に手を合わせ、知恵や福を授かろうと祈りをささげていたわけです。11月5日の夜、171年ぶりの特別な十三夜の月には、光とともに虚空蔵菩薩のパワーが湛えられているはず。たっぷりと月光を浴びれば、これからの恋愛や人生に必要な知恵を受け取ることができるかもしれません。連載第8回で紹介した「飲月」をするのもオススメです。景山えりか(かげやまえりか)星とお茶のコンシェルジュ、文筆家。旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2014年10月30日星とお茶のコンシェルジュ・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?変わりやすい秋の空は、男心か女心か?先週の特別な満月の日(10月8日)に、二十四節気の「寒露」を迎えました。寒露とは、朝晩が一段と冷え込むようになり、草や葉に宿った露に触れると冷たさを感じる頃です。この時季は、大陸から移動してくる高気圧が澄んだ空気をはこんでくるため、快晴の日が多いのが特徴。抜けるような空がすっかり晴れ渡った天気を「秋晴れ」といったり、「天高く馬肥ゆる秋」と表現したりします。一方で、秋の移動性高気圧の動きは速いため、気持ちのよい天気は数日しか続きません。このような変わりやすさをたとえたのが、「男心と秋の空」という言葉。「男心じゃなくて、女心じゃないの?」と思った人もいるのでは?実はどっちも正解。辞書を引くと、両方ともちゃんとあります。ですが、古くは「男心と秋の空」といったのです!時代の流れとともに表現がかわり、今では女心の方が定着しているようです。しかし、言葉の成り立ちを考えると、そもそも心変わりしやすいのは、女性ではなく男性の方だったのかもしれませんね。人恋しい夜は「夜明けのハーブティー」でほっこりと移り気になりやすいのは男女のどちらか、という話題はさておき、秋の夜長をひとりで過ごしていると人恋しくなるもの。ちょっぴり寂しい気分のときは、あたたかいハーブティーで体の内側からほっこりしましょう。空気の乾燥がすすむこの時季は、うるおい効果が期待できる「マロウブルー」がオススメです。マロウブルーは、水分をキープする粘液質を多く含むため、皮膚や粘膜を保護して、うるおいを与える働きがあるといわれています。空気の乾燥によって引き起こされる肌のカサつきや、のどの痛み、目の疲れが気になるときに飲むと、しっとりと癒されますよ。ほのかに花の香りがしますが、味わいはまったくクセがなく、いたってシンプル。ハーブティーが苦手な人も、白湯を飲む感覚で気軽に楽しめるのが魅力です。ティーに使うのは花の部分で、お湯を注ぐと名前の通りブルーに。そのまま置いておくと淡いグレーに変化します。また、レモン果汁を加えるとピンクに色が変わることから、マロウブルーのことを「夜明けのハーブティー」と呼びます。暗い色から明るい色へと変化する様子を眺めていると、心までパッと明るくなって、前向きな気持ちになれるから不思議です。移り気な男性も女性もマロウブルーでひと息入れれば、体も心もうるおいで満たされ、自分の本当の気持ちに気がつけるかもしれません。景山えりか(かげやまえりか)星とお茶のコンシェルジュ、文筆家。旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2014年10月16日星とお茶のコンシェルジュ・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?恋+月=もっとキレイに!月をまるごと飲み干して、美しさに磨きをかけて今日は旧暦9月15日。十五夜の満月で、いよいよ皆既月食です!先週、皆既月食についてお伝えしましたが、ここでおさらいしておきましょう。まず月食とは、月が地球の影に入り込み、満月なのに暗くなったり、欠けているように見えたりする現象のこと。地球を真ん中にして、太陽と月が一直線に並ぶとき、つまり満月のときに起こります。ですが、満月のたびに月食になるわけではありません。天球上を移動する太陽と月の通り道が、ぴったりと同じではないからです。だからといって、月食は決して珍しい現象ではなく、ほぼ毎年、地球のどこかで見られます(もちろん、月食が1回も起こらない年もあります)。前回の皆既月食は4月15日でしたが、日本の地平線下で皆既の状態となったため、見ることはできませんでした。ちなみに2015年は、4月と9月に皆既月食が起こりますが、日本から見られるのは4月のみ。また、2016年は月食が起こらない年となります。さて、今夜の月は、18時15分に欠け始めて21時35分に欠け終わります。そのうち、皆既となるのは19時25分から20時25分まで。さらに、満月の時刻は19時51分です。月が正真正銘の満月となる瞬間、その姿から明るさは失われ、赤黒くて妖艶な光を放っていることでしょう。そして21時35分過ぎ、月は完全に明るさを取り戻すのです。皆既月食の一連の様子は、月が一度死に、再びよみがえるかのよう。再生された満月の光には、特別なパワーが宿っているように感じられます。そこで、日本に昔から伝わる風習を試してみませんか?その風習とは、盃などに月を映して飲む「飲月」です。ほぼ一定のサイクルで満ち欠けを繰り返す月は、不老不死の象徴です。水に映して飲み干せば、そうした月のパワーが体の中にダイレクトに伝わると、昔の人は考えたのでしょう。年齢に関係なく、女性は恋をするとキレイになるといいますが、満月の光を浴びながら月を飲めば、もっとキレイになれそう!また、月を飲むことは、「ツキ」を自分のものにすることに通じるので、縁起もよさそうです。【月を飲むときのポイント】Point1・口が広い器を用意します。Point2・好きな飲み物をなみなみと注ぎます。Point3・器の角度を調整して、水面に月を映します。Point4・うまく映らないときは、器をテーブルなどに置いて水面の揺れを防ぎます。Point5・水面に映る月から目を離さないようにしながら、そっと口に持っていきます。月が低空にいると水面にうまく映せませんから、南の空高く昇ったところをねらうのがコツ。今夜の月の南中時刻は23時36分頃なので、目安にしてみてください。飲月に効果があるのかどうか、科学的に実証することは難しいでしょう。けれど、風習として伝わっているということは、理屈を抜きにして効果を実感した人が多くいたからに違いありません。月光が全身にしみわたるような感覚、内側から浄化されるような清々しい気分、体の芯から発光するような若々しい美しさ。それは飲月を試した人だけが実感できる、月からの贈り物です。景山えりか(かげやまえりか)星とお茶のコンシェルジュ、文筆家。旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2014年10月08日星とお茶のコンシェルジュ・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?今日は重陽の節句。霊力の高い菊のパワーで、体と心を浄化して10月2日は旧暦9月9日にあたり、五節句のひとつ「重陽の節句」です。五節句とは、1年のうちで大事な節目として江戸幕府が定めた式日のことで、次の5つをいいます。■1月7日・人日(じんじつ)■3月3日・上巳(じょうし)■5月5日・端午(たんご)■7月7日・七夕(しちせき)■9月9日・重陽(ちょうよう)この中で、1月は七草粥を食べて無病息災を願い、3月は雛祭り、5月は端午の節句、7月は七夕祭りとして今も行われています。けれど9月の重陽は、時代が下るとともに自然と廃れてしまい、どのような行事をするのか知らない人が多いかもしれませんね。重陽は、中国から伝わった菊の花が主役の節句です。中国では奇数(陽数)は縁起がいいとされ、中でも一番大きい「9」が重なる旧暦9月9日を「重陽」や「重九(ちょうく)」と呼んで、特におめでたい節句としていました。日本では平安初期に宮中行事として観菊の宴が催され、秋の花である菊を盃に浮かべた菊酒を飲んで邪気を払い、無病息災と長寿を願ったといいます。また、中国の重陽にはない日本独自の風習として、節句の前夜に菊の花に綿を着せ、菊の露と香りを移し、翌朝にその綿で体を拭って身を清めると、老衰を防いで長生きできるという「菊の被綿(きせわた)」の行事も行われていました。自然の力を活用した、なんとも優雅な習わしですね。今でいうアンチエイジングケアに通じているようで、ちょっと真似してみたくなります。それでは、今の暮らしに重陽のエッセンスを取り入れるアイデアをいくつかご紹介しましょう。(1)「食用菊」を使い、サラダやおひたしをつくって食べる。(2)中国茶の一種である「菊花茶」を飲む。(3)キク科の植物である「カモミール」を原料とする化粧水で肌をケアする。(4)菊の花を湯船に浮かべて「菊湯」を楽しむ。(5)部屋に菊の花を飾る。(5)は、花の部分がピンポン玉のように球形をしたピンポンマム(ピンポン菊)が可愛らしくてオススメ。キク科に範囲を広げれば、マーガレットやガーベラ、ダリア、コスモスなど、豊かな色彩と華やかさも楽しめます。菊は薬効にすぐれ、昔から高い霊力があるとされた花。明日は菊のパワーを活用して、身も心も空間も、しっかりと浄化しましょう。10月8日は皆既月食!神秘的な月の姿にうっとり菊で清められた心身は、来週の水曜(10月8日)に特別な満月の光をチャージするチャンスが巡ってきます。なんと「皆既月食」が起こるのです!月食とは、月が地球の影に入り込んで、満月なのに暗くなったり、欠けているように見えたりする現象のこと。当日の時間帯は次の通りです。月の欠け始め:18時15分月の欠け終わり:21時35分このうち皆既になる時間帯は、19時25分から20時25分まで。皆既といっても、月の姿が完全に見えなくなるわけではなく、月が赤銅色に見えます。雲や建物に隠されたり、雨が降ったりしなければ、日本のほとんどの地域で皆既月食の一部始終を見られるので、10月8日は夜空に注目です!皆既月食は、いわば満月のスペシャルバージョン。地球の影に隠れて光を失った月が、再び輝きを取り戻す姿は特別なパワーをたたえています。次週は、その満月パワーを取り入れる方法をご紹介します。どうぞお楽しみに。景山えりか(かげやまえりか)星とお茶のコンシェルジュ、文筆家。旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2014年10月02日星とお茶のコンシェルジュ・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?収穫の秋到来!恋を実らせる秘訣とは?今日(9月24日)は、新月です。旧暦では9月1日にあたり、「長月」を迎えました。長月という名前は、秋の夜長を意味する「夜長月」が略されたものといわれています。また、秋雨が降り続く時季でもあることから、「長雨月」の略という説もあります。語源が何にせよ、秋の深まりを表していることには違いないでしょう。そして、旧暦9月の別名には、・紅葉月(もみじづき)・色取月(いろどりづき)・菊月(きくづき)・小田刈月(おだかりづき)・寝覚月(ねざめづき)などがあり、自然界が秋らしい色彩をまとった様子が感じられます。旧暦の季節区分では、7月・8月・9月の3カ月間が秋。長月は暦の上では晩秋となり、いよいよ収穫の時季です。実りの秋は、体と心にとっても充実のとき。登山やハイキングに出かけて美しい自然の中に身を置いたり、本や映画の世界に没頭したり、美術館へ足を運んでアート作品に刺激を受けたり、自分を思いっきり磨きましょう。そうやって繊細な感受性をはぐくんでおくと、人の心の機微に触れられるようになります。恋愛においては、「恋人にはこうあって欲しい」「こんな恋がしたいのに!」という理想や強いこだわりから解放されて、自然体で楽しめるようになるでしょう。相手を深く理解しようとする姿勢が生まれ、恋愛の質も向上します。秋の自分磨きこそ、恋を大きく実らせる秘訣です。おおらかな呼吸のリズムで、体と心の調和をはかって食欲の秋、読書の秋、芸術の秋……世の中においしいものや美しいものがあふれる秋は、自分を磨いて豊かな感受性をはぐくむのにぴったり。ですが、熱心になり過ぎて息をつめているようでは、かえって逆効果というもの。この記事を読んでいる今、パソコンやスマホの画面に向かって首を突き出し、肩には力が入り、呼吸が浅くなってはいませんか?すぐに力を抜いて、深呼吸をしてください。すーっと霧が晴れていくように、頭がクリアになっていくのを感じるはずです。体と心を調和させる深い呼吸は、感度を高める土台となってくれます。とはいえ、特別な呼吸法をマスターする必要はありません。いつもより少し長めに息を吸って、長く吐いてみる。たったそれだけのことで、気分がすっきりとしてきますよ。高く広がる青空と、澄んだ空気が気持ちのいい秋。ゆったりと大きく息を吸って、ゆっくりと吐いて。おおらかな呼吸のリズムは、体と心のにごりを取り除きます。クリアになった心身は、まるで乾いたスポンジのよう。五感が研ぎ澄まされて、いろいろなものを吸収し、感受性がより豊かになるでしょう。景山えりか(かげやまえりか)星とお茶のコンシェルジュ、文筆家。旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2014年09月24日星とお茶のコンシェルジュ・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?今年の「中秋の名月」は9月8日。名月=満月ではない理由とは?ひんやりとした夜の空気に、月光が冴えわたる季節となりました。月好きお待ちかねの、お月見シーズンの到来です!お月見といえば「中秋の名月」が有名です。中秋の名月とは、旧暦8月15日の月のこと。旧暦の季節区分では、7月(初秋)・8月(仲秋)・9月(晩秋)の3カ月間が秋です。8月15日は、その真ん中にあたるので「中秋」といいます。よく混同される「仲秋」は、旧暦8月全体をさすので、「仲秋の名月」と書くのは誤りです。今年の中秋の名月は、9月8日(月)。月の満ち欠けを確認すると、その翌日(9月9日)が満月です。「中秋の名月って、満月のことじゃないの?」と思う人がいるかもしれませんね。そう、「中秋の名月=満月」とは限らないのです。月が地球の周囲をまわるスピードは一定ではないので、新月から満月に至る期間が、毎回ぴったり15日間というわけではありません。さらに、新月の瞬間が旧暦8月1日のどの時刻におきるかによっても、日付と満月のタイミングに影響します。そのため、満月が旧暦14日や16日、17日になることもあるというわけです。ちなみに次回、中秋の名月と満月が同日になるのは2021年9月21日。東京五輪よりも先のこととなります。お月見デートはウォーターフロントへ。水面に映る月が、運命の人をおしえてくれる!お月見のルーツは、中国から伝わった名月鑑賞の風習だと考えられています。平安時代には宮中で観月の宴が催され、貴族たちは月を愛でながら和歌を詠んだそう。お月見は、もともとは身分の高い人の楽しみだったんですね。その後、一般庶民が月を楽しむようになったのは、江戸時代の頃といわれています。昔の日本人は、池や川など、水面に映った月を好んで観賞しました。江戸では、品川や高輪、不忍池、隅田川などが月見の名所として知られています。月見舟に乗って、水面に映った月影を愛でる。想像するだけで風流ですね。中秋の名月に合わせてお月見デートをするなら、ウォーターフロントへ出かけてみてはどうでしょう。もちろん、名月は直接見ても美しいものですが、空高く昇った月を見続けるのって、意外と首や肩が凝るものです。その点、水面に映る月ならば、いくら見ても疲れません。二人で心行くまでお月見ができます。水面をやさしくなでる夜風に、揺らめく月影。眺める者たちを照らす、水面に映った月の穏やかな光――もう、最高にロマンチックです!ただし、派手な演出がないお月見は、見る人との関係を際立たせます。単純に月を眺めているだけですから、だんだん退屈に思えてくる相手もいますし、一緒にいて心地良く感じる人もいるでしょう。気の合う友達同士のはずが、相手に対する恋心に気がつくなんてことも。「この人と、ずっと月を眺めていたいな」と思えたら、その人は一生大切な人になるかもしれません。月の導きに素直に従えば、うれしいことが起こりそうな予感です。景山えりか(かげやまえりか)星とお茶のコンシェルジュ、文筆家。旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2014年09月04日星とお茶のコンシェルジュ・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?いつの時代も月は乙女の心のよりどころ突然ですが「三日月」を見たことはありますか?三日月とは、新月の日を1日目と数えて、3日目の月のこと。旧暦では、一日(ついたち)は必ず新月なので、毎月三日が三日月となります。それでは、今日から年末までの三日月の日を確認しておきましょう。・8月27日(旧暦8月3日)・9月26日(旧暦9月3日)・10月26日(旧暦閏9月3日)・11月24日(旧暦10月3日)・12月24日(旧暦11月3日)三日月は、太陽を追いかけるようにして西へと沈んでしまうため、夜遅くに見ることはできません。私たちが目にできるのは「夕方の西の空」に限られています。その姿は、アクセサリーやイラストなどでよく見かける三日月形とは違って、とてもシャープ。細く鋭く光る様子は、闇夜からよみがえった月という感じです。昔から三日月は、輝きを取り戻した真新しい月という意味での新月として尊ばれていました。中国には「拝新月」と呼ばれる、三日月を拝む女性の風習が存在していたほど。日本にも古くから三日月信仰があり、西の夕空に現れた三日月に向かって女性たちが手を合わせたり、豆腐を捧げたりしたと伝えられていますが、時代が下るとともに三日月に対する信仰や風習は廃れてしまい、その実態はよくわからないままです。けれど、現代女性が新月に願い事をするように、昔の女性たちは夕暮れ時に三日月を見上げながら、若さや長寿、待ち人が来るのを願ったはず。今も昔も、月が女性の心のよりどころであることに変わりはないのです。幸運を引き寄せる三日月のおまじない月が満ちたり欠けたりする仕組みを知らなかった昔の人々にとって、夕空に姿を現した三日月は「新月」そのもの。物事の始まりを象徴し、未来への希望を感じさせたに違いありません。中国や日本だけでなく、三日月は幸運を授けてくれるパワーの源として扱われ、おまじないや言い伝えが多く存在します。ここで、代表的なものを紹介しましょう。A.三日月を眺めながらポケットの中の銀貨をひっくり返すと幸運を呼ぶ。B.三日月に向かってお辞儀や敬礼をすると願いが叶う。C.自分の右肩越しに、振り返るようにして三日月を見ると幸運に恵まれる。Aを実践するなら、銀貨の替わりに500円玉や100円玉(銀色の硬貨)を使ってもいいかもしれませんね。BとCは、特別な道具も必要なく、誰でも試せるところが魅力ですが、一人ではちょっと躊躇してしまうかも。そんなときは、友達を誘ってイベントにしてしまうのがオススメ。ただしCは、左の肩越しやガラス越しに見ると不運を引き寄せてしまうのでご注意を。さあ、8月27日は三日月です!建物や雲にさえぎられることがなければ、太陽が沈む頃、西の空に三日月を見つけることができます。願いを胸に月を眺めてみましょう。あなたの大切な思いが、どうか届きますように。景山えりか(かげやまえりか)星とお茶のコンシェルジュ、文筆家。旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2014年08月27日星とお茶のコンシェルジュ・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?旧暦の自然観を楽しんで、自分本来の美しさを引き出す8月25日(月)は新月です。旧暦では8月1日にあたり、「葉月」を迎えます。葉月と聞くと、青々とした葉が陽射しを受けて、キラキラと輝いている夏のイメージが思い浮かぶかもしれません。けれど、それは現代人の感覚。葉月とは、葉が落ちる月を意味する「葉落月(はおちづき)」が転じたもの。そう、季節は「秋」なのです。また、旧暦8月の別名には、・秋風月(あきかぜのつき)・濃染月、木染月(こぞめづき)・紅染月(こうぞめづき)・月見月(つきみづき)・燕去月(つばめさりづき)などがあります。1,000年以上に渡って旧暦を使い続けていた日本人の、季節の移り変わりに対する豊かな感性がうかがえますね。日中はまだまだ暑い日が続きそうですが、暦の上では秋真っ盛り。そんな旧暦の自然観を楽しむことは、現代人の粋というもの。古くからあるのに、私たちにとっては新しい感覚。それを暮らしや装いに取り入れることは、暦をたしなむ第一歩。まずはファッションやメイクに秋のエッセンスをプラスしてみましょう。季節を意識した佇まいは、自分も自然の一部であることを感じさせてくれます。まるで、自然と一体化するような、自然に帰るような心地よさ。暦をたしなむことで得られるリラックス感は、肩の力が抜けているのに存在感がある、自然体の美しさを自分自身から引き出すはずです。骨盤のバランスを整えて、恋愛モードを全開に!夏の暑さでゆるみきっていた体は、葉月を迎える頃から少しずつ締まってくるといわれています。特に、骨盤がキリッと締まりだすのが、秋に適応しようとする体の特徴です。女性のスラリとした体つきを表す「小股の切れ上がる」という言葉が、ぴったりという感じ。まさに秋は女っぷりを上げる季節なのです!しかし、体が夏の暑さを引きずってゆるんだ状態のままだと、頭がぼうっとして判断力が鈍ったり、体が冷えやすくなったり。季節変化に体がついていけず、不調を招いてしまいます。そこで骨盤を整えるように心がけることが、葉月を過ごすうえでのポイントです。夏の蒸し暑さが終わり、だんだんと涼しくなってくる葉月は、屋外で体を動かしたい時季。秋の空気を体いっぱいに吸い込める公園や屋上、太陽の光がさんさんと降り注ぐスタジオなどで、骨盤調整のエクササイズやヨガをしてみましょう。骨盤が程よく締まって左右のバランスが整うと、背筋が伸びて、頭がクリアになり、感受性が豊かになります。感受性が豊かになると、人を好きになる気持ちも高まります。自然体の美しさ、女性であることの喜び、恋する気持ち……葉月を楽しむことで生まれる、体と心の好循環。暦をたしなむ人だけに与えられる、自然からの贈り物です。景山えりか(かげやまえりか)星とお茶のコンシェルジュ、文筆家。旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2014年08月21日星とお茶のコンシェルジュ・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?特別な満月の洗礼を受け、暦をたしなむ新しい毎日が始まる恋愛がうまくいっていないとき、相手の気持ちや態度を変えようとしてしまうこと、ありませんか?そんな自分をちょっぴり反省しながら、恋愛指南本のページをめくると、こんな言葉が目に飛び込んできます。「相手を変えようとするのではなく、あなた自身が変わればいいのです」。そっかーと思うものの、自分を変えるのってなかなか難しいですよね。でも、相手に多くを求めすぎてしまう恋愛傾向を変えたいとも思う。そんなとき、「暦」が力を貸してくれます。暦といっても、私たちが日常生活の中で日付や曜日を確認するカレンダーのことではありません。そもそも暦とは、天体観測をもとに作られています。天体の規則的な運行は、季節の移り変わりと連動しています。その自然の変化をまとめたものが本来の暦。日本では、古代中国で考えられた暦を飛鳥時代の頃に採用し、改訂を重ねながら1,000年以上に渡って使い続けてきました。それが「旧暦」です。旧暦は、月の満ち欠けを基準に、太陽の運行を組み合わせたもの。刻々と変化する月のカタチと日の長さ、植物や虫のいとなみ、空気の感触……細やかな季節の兆しは、旧暦の中にあるのです。昔の日本人は、旧暦から四季の移ろいを読み取り、自然の声に耳を傾けながら暮らしていました。月を眺め、折々の生き物や花を愛でる。なんて、心豊かな暮らしぶりなのでしょう。私たちも、旧暦にもとづく自然観や風習を暮らしに取り入れると、「空が真っ青で気持ちがいい」「旬のモノって、こんなにおいしいんだ!」など、これまで当たり前だと思っていたことに豊かな情感があふれ、自然と感謝する気持ちが湧き出てくるようになります。暦をたしなむことで、物事のとらえ方や心の明るさが変わっていくのです。恋愛に行き詰ったとき、アクションの矛先を相手や自分自身に向けるのではなく、身の回りの自然に向けてみる。それも暦を通して。そうすれば、小さいけれどキラリと輝く幸せをたくさん見つけることができます。無理して自分を変えたわけではないのに、いつもの毎日が違って見えてくる。それは、恋愛の傾向や相手との関係を変えるきっかけになるはずです。8月11日は今年最大の満月『スーパームーン』さて、旧暦の自然観や風習については次回以降にゆずるとして、ぜひ眺めてほしい月をここでご紹介しましょう。それは8月11日(月)の満月です。この満月は、見かけの大きさが今年最大となるスーパームーン!月が地球にもっとも近づいたタイミングで満月になります。天文学でいう「満月」とは、月と太陽が地球を真ん中にして反対側になった「瞬間」をさします。つまり、日付だけでなく、時刻も重要なポイントです。今年最大の満月(スーパームーン)は、8月11日の午前3時9分です。夜空を見上げて、月と親しんでみてください。特別な満月が放つ月光の洗礼を受けて、暦をたしなむ新しい毎日が始まります。景山えりか(かげやまえりか)星とお茶のコンシェルジュ、文筆家。旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2014年08月07日