半導体および電子部品のディストリビュータであるMouser Electronicsは6月3日、日本のカスタマサービスセンターを東京に開設したと発表した。同センターは6月上旬より本格稼働を開始する予定だという。同社の代表取締役社長兼CEOのグレン・スミス(Glenn Smith)氏は、「我々の設計・開発エンジニアにアプローチしていくというビジネスモデルは、大量生産よりも設計が重視されるようになってきた日本という地域のニーズにマッチしている」と説明。実際に2014年の日本地域の売上高は前年比で36%増であり、アジア・太平洋地域におけるシェアは11%に及んでいる。「我々の顧客は幅が広く、上は大企業から下はホビイストのような個人だったり、学生だったり。どのような位置づけの人であっても、我々のサービスを必要としている人であれば、同じように対応していく」とのことで、成長が続く日本地域においては、技術的サポートが重要と判断し、同社21カ所目となるサポート拠点を開設することを決定したとする。また、こうした成長を受けて、同社Senior Vice President,EMEA and APAC businessesのマーク・バーロノン(Mark Burr-Lonnon)氏は、「この数年、全社業績は右肩上がりで成長を続けており、2007年から2014年までの7年間で7億ドル増加した。2015年の予測はさらに成長を見込んだもので、これが達成されれば、グローバルのトップ10ディストリビュータに入ることも夢ではない」とし、日本市場での成長に期待を寄せる。日本市場における売り上げの半数は半導体/組み込み関連だという。購入している層としてはメーカーのエンジニアが多く、そのうちの半数以上が産業機器関係だとし、「我々の生命線は、新製品をいち早く提供するということ。この点については、ほかのディストリビュータは我々ほど価値を提供できていない。日本の顧客もその点に価値を見出してくれているから、我々を活用してくれているのだと思う」(同)と日本の顧客の購買背景を分析する。なお同氏は、「これまでは各地域の銀行口座での取引はできなかったが、今回を機にできるようになった。日本地域には日本地域に根差したマーケティング活動を行っていきたいと考えており、日本の半導体や電子部品メーカーが販売する製品の世界に向けた販売活動の支援も強化していきたい」とも話しており、サポートセンターの立ち上げは単なる購買顧客に対するサポートの充実だけではなく、日本のエレクトロニクス企業のグローバルでの躍進の手助けにもつながることであることを強調していた。
2015年06月04日資生堂と「バーバリー(BURBERRY)」が、化粧品分野での提携を発表。今後バーバリー社が製造するメイクアップ及びフレグランス商品の日本への輸入販売を資生堂が手掛けることになった。資生堂はこれまでにも、高級フレグランスなどを手掛ける子会社の「ボーテ プレステージインターナショナル(Beaute Prestige International)」を通じてバーバリーのフレグランスの輸入販売業務を一部の国で行っていたが、日本でのバーバリーのフレグランス及びメイクアップの取り扱いは初めてとなる。今後は、バーバリーの新フレグランス「My Burberry」の日本発売にあたり資生堂が国内のディストリビューターを担当。資生堂は6月3日より阪急うめだ本店、阪急オンラインストア、バーバリー直営店の5つの路面店及び13のショップインショップでのディストリビュージョンを手掛けることになる。なお、今回の提携はバーバリー社が日本で進めているグローバル商品の拡大の一環。バーバリーは今秋、東京と大阪のデパート2店に“ギフト”をコンセプトにフレグランスやメイクアップを含むビューティーアイテムを取り扱うカウンター「Burberry Beauty Box」も設置する予定だ。今回の提携について、資生堂代表取締役執行役員常務の坂井透は「近年、ファッションとビューティーの境界線が曖昧になりつつありますが、当社の事業領域の軸足は、デザイナーズフレグランスなどを除けばビューティーに特化しています。そのような中で、バーバリーのようなグローバル・ラグジュアリーブランドと提携し、その商品を販売ポートフォリオに加えられることは、資生堂グループのハイプレステージ市場におけるプレゼンスの強化という側面できわめて意義深いと捉えています」とコメント。バーバリー・ビューティー・シニア・プレジデントのシモーナ・カッターネオは、「バーバリーが今夏以降グローバルコレクションの展開を加速するなか、この提携は英国発のバーバリーのブランド体験を提供する上で大きな役割を果たすと思います」と語っている。
2015年06月03日NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は5月28日、NTTグループにおけるセキュリティ関連各社が共同で編集、編纂した「グローバル脅威インテリジェンス・レポート 2015年」の日本語版を公開した。このレポートは、NTT Com Security AG、Solutionary,Inc.、Dimension Data Holdings plc、NTT Data Inc.、NTTの研究所の協力を得て、NTT Innovation Institute(NTT I3)がとりまとめたもの。2014年のITセキュリティに関わる脅威のグローバル全体でのトレンドや対策方法、関連技術などを取り上げており、12日に発表された英語版「2015 Global Threat Intelligence Report」の全文日本語訳となる。レポートでは、依然として多くの企業や組織があまり高度ではない脅威に対してさえも十分な準備ができていない状況と、サーバなどのシステムだけではなく、システムを利用するエンドユーザーを防衛線として認識すべきであることを調査結果として解説している。また、それらの調査結果を踏まえた効果的な対策を、ケーススタディも交えて紹介している。例えば、企業内システムにおいて検出された脆弱性のうち、76%は公表後2年以上が経過したものであり、その多くはエクスプロイト・キットによって容易に攻撃が可能なものだったという。また、2014年において頻度の多い脆弱性上位10位のうち7種類が、エンドユーザーが利用する端末で検出されており、また、休日などでエンドユーザーである従業員が出社していない週末に、攻撃の頻度が下落していることからもエンドユーザーを攻撃対象としていることがわかる。さらに、攻撃対象としては昨年と同様に、金融機関が18%と最も高い割合を占め、マルウェアを用いた攻撃では、大学などの教育機関でのイベント検知が全体の3分の1と高い割合を占めている。グローバルにおけるNTTグループの顧客企業に対する攻撃のうち、56%は米国内のIPアドレスを攻撃の起点としており、これにより、攻撃者が高度にネットワーク化された米国のリソースや、標的となる企業に近いシステムを悪用し、地理的フィルタリングによる防御を回避して、攻撃を行っていることが予測できる。
2015年06月02日クラウディアンが提供する日本発のオブジェクトストレージソフトウェア「CLOUDIAN HyperStore」は、数TBクラスの小規模からPBクラスの大規模環境まで、冗長性と拡張性に優れたストレージを構築できることから、サービスプロバイダーやクラウドプロバイダーをはじめ、エンタープライズから中堅・中小規模企業まで幅広いユーザーを獲得している。CLOUDIAN HyperStoreのストレージ技術は先進的で、非常に注目すべきプロダクトである。さらに、人気の秘密は、技術力だけではない。特に品質に厳しい日本のユーザーが注目しているのは、クラウディアンのサポート力である。大容量のストレージシステムを安価に構築できるオブジェクトストレージは、クラウドやアナリティクス、DR/BCPなど、いま注目を集めているサービスに必須の新しい技術の1つである。それゆえにユーザーは、信頼できる技術サポートがなければ、安心して利用することができない。クラウディアンのサポートの大きな特徴の1つは、世界中のユーザーに提供するサービスを日本で主導しているという点にある。そこで、グローバル テクニカル サポート ダイレクター 後藤哲明氏に、同社のサポートサービスの特徴について伺った。○日本発のサポートサービス少数精鋭で世界中をサポート── どのように世界中へ技術サポートを届けているのでしょうか後藤氏クラウディアンのサポート部門は、日本と米国シリコンバレーのオフィスに在籍している技術スタッフで構成されています。マネジメントを統括しているのは日本にいる私ですが、組織的にどちらが上ということはなく、フラットで少数精鋭の体制を整えています。欧州のお客様には、現地のパートナー企業が一次サービスを提供していますが、技術的な解決策は私たちが提供しています。サポートスタッフは日米でシフトを組み、いわゆる“Follow the Sun”の運用で、全世界のお客様へ24時間365日のサポートを提供しています。夕方ころから出勤してくる日本のスタッフもいれば、早朝から働く米国のスタッフもいます。タイミングによっては、米国のお客様を日本のスタッフが、あるいは日本のお客様を米国のスタッフがサポートすることもあります。深夜の急なトラブルでも、安心してサービスを利用することができます。── グローバルなサポートを提供するうえで、注意しているのはどのような点でしょうか後藤氏こうした体制で最も重要なのは、コミュニケーションです。一般的なグローバル企業の場合、国ごとにサポート部門を設けて、それぞれ閉じた形でサービスを提供していることがほとんどです。しかしそれでは、情報共有が不十分になり、サポートも不十分になってしまいます。なぜなら、米国で生じたトラブルの解決策が、日本でも活用できるかもしれないからです。もちろん、グローバルにサポートを提供するのであれば、ある程度の情報共有は行っているでしょう。しかし、各国の商慣習や文化、個々のお客様の特色などを知っていることが、サービス品質の向上につながるというケースは多々あります。そこで、フラットな同一の組織として情報共有を行っていることが、重要なポイントとなるのです。私たちはCRMシステムを用いてお客様の情報を共有していますが、シフトを交代するときには、必ずグループチャットでコミュニケーションを取ってから引き継ぎを行います。内部的な状況やお客さまの感情など、CRMに登録しにくい細かな情報も共有することができます。また、このチャット情報は、他のスタッフも閲覧できるため、次の引き継ぎにも役立ちます。実は、当社の開発部門も、国をまたいだ体制になっています。こうしたフラットな組織づくりによって、高品質な製品・サービスをグローバルで一様に提供できるのが、クラウディアンのサポートにおける特長の1つと言えるでしょう。○日本のユーザーは厳しい?求めるサポートの違い── 日本のユーザーはサービス品質に厳しいと言われています後藤氏当社のお客様は、多くの顧客を抱えるサービスプロバイダーや大規模なエンタープライズ企業が中心で、ミッションクリティカルなサービスのストレージとしてCLOUDIAN HyperStoreが活用されています。そのため、サポートサービスにも非常に高い品質が期待されています。私たちは、日本の厳しいビジネス環境で育てられたサポートのノウハウや経験を、海外のお客様にも提供したいと考えています。しかし、日本向けのサービスが、そのまま欧米でも通用するというわけではありません。例えば、日本のお客様はきめ細かなサポートを求めますが、自分で調べられることは調べるという傾向があります。その一方で、米国のお客様は、スピーディな解決策が好みで、ベストエフォートであっても細かな手順や関連情報をなるべくタイムリ―に提供されることを要望されます。こうした文化の違いをどれほど理解できるかが、サポート品質に影響するのです。そこで当社のサポートスタッフは、日米でメンバー交換を行って、互いの文化や商慣習を学ぶ機会を設けています。その中でも、日米のお客様で異なるのは、チャットの活用でしょうか。ここ数年、SNSなどを活用して、サポートのチャネルを増やす取り組みが活発に行われています。日本でもお客様とのやり取りにチャットを利用する場面が、ときどき見られるようになりましたが、特に欧米のお客様は、チャットの気軽に利用されることが多いです。○サポートサービスを技術がサポート── クラウディアンの製品にはサポートを強化する機能が搭載されています後藤氏一般的なサポートは、何かトラブルが発生してから連絡を受けて提供する“リアクティブ”なサービスにすぎません。当社では、お客様のCLOUDIAN HyperStoreからログデータを収集し、Hadoopを活用してビッグデータ解析を行い、トラブルの予兆を発見して事前にサービスを開始する“プロアクティブ”な「スマートサポート」を提供しています。高品質なサポートをグローバルへ一様に提供するためには、必要以上に組織を大規模化せず、少数精鋭でオープンな体制を整える必要があります。そのためには、増員せずに済む仕組みが必要です。当社の製品は、市場や業界のトレンドを先取りしていることから、追随する製品の動向よりも、お客様から頂くフィードバックを特に大事にしています。そのため、開発スタッフは、私たちサポートチームの意見を非常に大切にしてくれています。その成果の1つであるスマートサポートは、お客様サポートの手間を減らす技術です。サポートが不要になるということは、トラブルがなくなるということです。それはつまり、お客様に余計な負担をかけず、ビジネスへ影響を与えることがないということです。とは言え、体制を強化したいのも事実で、実はサポートエンジニアを募集中です。── サポートエンジニアとしての心構えを教えてください後藤氏テクノロジーに精通しており、開発経験があるとよいのですが、がまん強くお客様の話を聞く耳を持つことが何よりです。トラブルに見舞われたお客様は、どうしても焦ってしまうものです。私たちが冷静になって動じず、状況を判断し、原因を的確に分析することが非常に重要です。それさえできれば、国内外のさまざまなお客様とコミュニケーションを取れることは、非常に面白い経験となるはずです。大変なこともありますが、トラブルの原因を発見できたときは、喜びもひとしおです。お客様の環境は私たちサポートチームが守っていくので、安心してCLOUDIAN HyperStoreを利用していただきたいですね。
2015年06月02日2015年5月29日(現地時間)、Microsoftは高速リングを選択しているユーザー向けに最新ビルド10130をリリースした。別記事で述べたようにWindows 10の開発は7月中旬に終える見込みだが、実質的な6月版となる本ビルドは、アイコンデザインの変更やアプリケーションの動作改善、一部UIに関する改良を加えている。特にアイコンデザインはフラットデザインを目指したビルド10122以前と異なるのが特徴的だ。それではいつもどおり前ビルドと見比べて異なる点を紹介しよう。○アイコンデザインを刷新昨今のUIトレンドはフラットデザインと言われてきた。それまでの立体感を持たせた現実世界的なスキューモーフィズム・デザインからフラットデザインに変更したのは、Windows 8のモダンUIである。だが、モダンUIと旧来のデスクトップを融合せたWindows 10が、両者を両立させることは難しい。そのため、デスクトップアイコンもフラットデザインをベースにした簡素なアイコンを採用してきたことは、本レビューをご覧になってきた方ならご承知のとおりだろう。しかし以前からの噂どおりビルド10130は、そのアイコンデザインを一新させた。そもそもWindowsフィードバックを眺めてみると、"中途半端なデザイン""美しくない"と手厳しい意見が多い。筆者もカートゥーン的なアイコンにはいつまでも慣れず、一抹の不安を感じてきた。OSG(Operating Systems Group)Data and FundamentalsチームのGabriel Aul氏もビルド10130リリースを伝える公式ブログで「以前のプレビュービルドはあまりにもフラットすぎて豊かさに欠けていた」と反省し、スイスのグラフィックデザイン、ドイツのプロダクトデザインを調査して一貫したデザインに更新したと述べている。上図はWindows 8.1/Windows 10ビルド10122以前/同ビルド10130のドライブアイコン及びユーザーアイコンを並べたものだ。ご覧になるとWindows 10はドロップシャドウの削除やオーバーレイアイコンのデザイン変更を行ったことに改めて気付かされる。また、ビルド10130のユーザーフォルダーはWindows 8.1のデザインを模しながらフラットデザイン風にアレンジしたことに気付くはずだ。開発スケジュールを鑑みるとアイコンデザインはこれで決定すると思われるが、7月中旬の開発完了を前提にすると、開発チームにはあと90日ほど残されている。Aul氏は「デスクトップとモバイル上のモノラインスタイルアイコンのバランスを取りながら提供する」と述べており、開発終了までは何らかの変更が加わるかもしれない。○カスタマイズ可能になったスタートメニュースタートメニューに関する設定が可能になったのも本ビルドが備える特徴の1つだ。「設定」の「パーソナル設定\スタート」は文字どおりスタートメニューに関する設定項目を集めたものだが、ビルド10122は「一覧のカスタマイズ」を強制的にグレーアウトし、ユーザーに設定の変更を許していない。その理由は不明だが、ビルド10130は"おすすめアプリやコンテンツ"を推奨する機能やアプリケーション使用履歴、グループ表示の有無を制御できる。なお、何度か再サインインを繰り返してみたが、リコメンドメッセージは確認できなかった。また、Windows 7における「[スタート]メニューのカスタマイズ」ダイアログに相当する「一覧のカスタマイズ」が使用可能になったのも本ビルドから。こちらはスタートメニューの左下に"エクスプローラー"や"設定"、"(電源の)オン/オフ"といった項目の表示/非表示を切り替える設定である。ただし、ビルド10122からアップデートした環境では、各アイコンが消えてしまうバグが残っているため、「一覧のカスタマイズ」から設定を変更してからWindows 10へ再サインインするとよい。これで同項目による設定内容はリアルタイムで反映される。○ジャンプリストとMicrosoft Edgeなどの改善Aul氏が「ジャンプリストのUIを洗練した」と述べているように配色をタスクバーと連動するものに変更した。下図に並べた画像を拡大するとタスクバーとジャンプリストの配色はほぼ同じく、一貫した印象を持つことができる。しかし、「設定」の「パーソナル設定\色」にある「スタート、タスクバー、アクションセンターを透明にする」とは連動しない。同項目のスイッチをオフした状態でジャンプリストを開くと、配色が異なっていることに気付くだろう。もちろんすべてが連動すればよい訳でもなく、フラットデザインはレイヤーの上下関係が分かりにくくなるため、ジャンプリストの配色は固定でも構わないように思えてきた。ベンチマークの好結果で期待を集めるMicrosoft Edgeにも改善が加わり、お気に入りなどを管理する"ハブ"のピン留め機能や印刷機能の向上などがポイントだ。主にフィードバックを受けてのマイナーチェンジだが、他にもフルスクリーンビデオ視聴のため全画面表示の改善も加わったとAul氏は説明している。仮想デスクトップ使用時におけるタスクバーの動作に関して、Microsoftは4月ビルドの時点で、タスクバーに表示するボタンを使用中のデスクトップに限定(="フィルター済みタスクバー")するのか、それとも仮想デスクトップを含めるすべてを対象にする(="グローバルタスクバー")のかユーザーに投票を求めていた。その結果は全体を表示するグローバルタスクバーとフィルター済みタスクバーの満足度スコアは3.8対4.2。その結果「設定」の「システム\マルチタスク」に並ぶ「タスクバーに次の場所で開いているウィンドウを表示する」の既定値は「使用中のデスクトップのみ」としたとAul氏は説明している。もっともこれらの設定は同箇所から自由に変更できるため、特に気にする必要はないだろう。○本ビルドから加わったゲームバーと新仮想プリンターその他にもAul氏は[Ctrl]+[C]キーでCortanaが呼び出せる機能をアピールしているが、同昨日はビルド10122も備えている。もっとも表示言語を日本語にしている場合、Cortanaは使用できず、ビルド10130では同ショートカットキー自体が動作しなくなっていた。これは誤操作を避けるための処置と思われる。以前のビルドで同ショートカットキーを誤って押した際、Cortanaが使用するサーバーへのアクセスが発生していたため、個人的にはありがたい改善だ。ただし、検索ボックスにフォーカスを移動する[Win]+[Q]キーも動作しなくなったため、一時的なものかもしれない。ショートカットキーと言えば、GDC(Game Developers Conference)2015で発表した[Win]+[G]キーの動作をようやく確認できた。下図に示した「ゲームバー」は左から「Xbox」アプリの呼び出し、ゲームのバックグラウンド録画、スクリーンショットの作成、録画の即時開始、設定とボタンが並ぶ。もっとも現時点では未完成らしく、録画機能はいずれも動作しない。スクリーンショットの作成は成功を示すトースト通知が現れるものの、「Xbox」アプリが正常に起動しないため確認できなかった。些末(さまつ)な部分では、仮想プリンターがこれまでの「Print as a PDF」から「Microsoft Print to PDF」に改称……いや、新たな仮想プリンターが加わっている。Aul氏も「以前の"Print as a PDF"は削除して構わない」と述べているとおり、古い仮想プリンターは削除しておこう。ところで上図をご覧になると思い出すように、MicrosoftはXPS(XML Paper Specification)をPDFのライバル電子フォーマットとしてプッシュし、2009年6月には国際標準規格にもなったが、あまり目立った形跡を見付けられないのが現状だ。Microsoft自身の方針変換というよりビジネスモデルの変革を踏まえ、個別のフォーマットにこだわっている場合ではないのかもしれない。○ビルド10130の不明確な動作Aul氏が公式ブログで述べているように、ビルド10130はいくつか既知の問題が存在する。Wi-Fi接続に失敗する場合はPCの再起動を推奨し、タスクバーからのフライアウト(=ポップアップ)失敗や「メール」のハングアップやバックグラウンド同期ミスは、更新プログラムで対応するそうだ。筆者が本ビルドに触れて気付いたのは、先のフライアウトが失敗する際はほぼエクスプローラーがハングアウトしているケースである。例えばスタートメニューやアクションセンターが現れない際、Windows 10に再サインインすると必ずと言ってよいほど、Explorer.exeがハングアップしていることを確認した。また、ビルド10122まで使用できたPIN(暗証番号)によるサインインオプションが選択できず、パスワードによるサインインを強制されるのも本ビルドで出くわした不具合の1つ。こちらは「アカウント\サインインオプション」に「Windows Hello」を追加する際に何らかのコードが加わったため、誤動作を起こしているのだろう。このようにビルド10130は高速リングで提供していることからも分かるように、不安定なプレビュービルドである。もっともAul氏は「ビルド10130がよさそうな場合は低速リング及びISOリリースする」と述べていることから、いずれの問題も簡単に改善するのだろう。Windows Insider Program参加者はこれらの問題を踏まえて、低速リングにとどまるか高速リングを選択するか判断してほしい。阿久津良和(Cactus)
2015年06月01日●DeNAが自動車業界に参入する理由は?ディー・エヌ・エーとZMPは、ロボットタクシー事業の実現に向けた合弁会社「ロボットタクシー」を29日に設立する。それに先立ち両社は28日、都内で共同記者説明会を開催した。○今こそネット企業が参入すべきロボットタクシーでは、DeNAのインターネットサービスにおけるノウハウと、ZMPの自動運転に関する技術を連携させることで、いわゆる“無人タクシー”の実現を目指す。当面は自動運転技術の研究・開発、さらに将来の利用者の開拓や利用促進を行っていく。なぜ、いまこのタイミングでDeNAは自動車業界に参入するのだろうか。説明会に登壇したディー・エヌ・エー執行役員の中島宏氏は、その理由と狙いについて「言うまでもなく、自動車産業は日本で最も規模の大きな産業。周辺事業を含めるとトータルで50兆円以上の規模となる。それに加えて、いま自動車産業は変革の時期を迎えている。巨大な自動車産業が、遅れてきたIT革命にさらされている、という人もいる。DeNAにとってもビジネスチャンスがあると判断した」と説明した。また同氏は「個人的な想い」と前置きした上で、「日本の基幹産業である自動車産業が世界で勝つためにも、日本のインターネット会社が自動車産業に参入していくべきである」と力説した。グローバル市場に目を転じると、Google、Apple、アリババといった巨大な企業がインターネットと自動車の融合を模索している。したがって今後、日本の自動車メーカーが世界で生き残っていくには、インターネットによる変革にいち早く順応する必要がある、というのが中島氏の主張だ。●ZMPではすでに公道での実験を開始○公道で実証実験を開始続いて、ZMP 代表取締役社長の谷口恒氏が登壇して挨拶した。同社ではロボットタクシーの実現に向けて、すでに公道における実証実験を開始している。これは愛知県と愛知県警の協力のもと、2014年末から名古屋市内で行っているものだ。緊急の場合に備えて運転席にドライバーを乗車させた上で、ハンドルやアクセル、ブレーキなどの操作をすべてコンピュータに任せ、2km程度の距離を時速60kmほどで走らせているという。谷口氏は、ロボットタクシーの意義について「運転できない人のため。例えば、高齢者には移動の自由を提供したい。子供たちには安全と安心を、ハンディキャップをもった人にも便利な足を提供したい」と説明した。ロボットタクシーの構想を発表してからというもの、全国から「1日でも早く実現してほしい」という声が多くよせられているという。●事故の際など、課題も山積○今後の課題現在の道路交通法では、まだ無人の乗用車を公道に走らせることができない。国際的にも、ジュネーブ条約で禁止されている。ロボットタクシーを実現させるためには、これらの法が改正されることが絶対条件となる。しかし、法が改正されるまで待っていたらグローバル企業に出し抜かれる、というのが中島氏と谷口氏の共通認識だ。このためリスクをとって、先行して開発を進めている。ロボットタクシーが事故を起こした場合の対応など、これから詰めていかなければいけない課題も多い。また、利用者の懸念をどう克服していくかも、大きな問題。谷口氏は「乗車する一般の利用者が“怖い”と思ったり、受け入れがたい状況になってしまうと、どんなに優れた技術でも社会に浸透しない。ロボットタクシーは安全で楽しく、便利なものだと、ご理解いただけるように、努力をしていかなくてはならない」と説明した。法の問題を抜きにすれば、技術的には数年もかからないうちに無人タクシーを実現できる見込みだという。中島氏は「2020年には、充分に間に合うと思っている。東京オリンピックの頃に、東京に無人のタクシーを走らせたい。外国の方に東京はすごい、と言われるような状況にしたい」と夢を語った。
2015年05月28日5月13日からの3日間、東京ビッグサイトにて開催された「Japan IT Week 春 2015」。この大イベントを構成する専門展のひとつ、情報セキュリティEXPO【春】で、今回最大のキーワードとなっていたのが「マイナンバー」だ。制度の開始を10月に控え、企業でも現在、対応準備の真っただ中ではなかろうか。ひとつの番号に多くの個人情報が紐づくマイナンバーの導入となると、今、漏洩対策が特段の関心事となるのは当然だろう。セキュリティ専門企業として、ソリューション開発やサービス提供をグローバル展開しているペンタセキュリティシステムズ株式会社(以下、ペンタセキュリティ)では、既存システムを改修不用で、かつ大幅なパフォーマンス低下もなしに暗号化できるソリューションや、専門のエンジニアがいなくても使いこなせるWAF(Web Application Firewall)などを展示し、注目を集めていた。○マイナンバーにおけるコスト、パフォーマンスなどの課題をクリアした暗号化ソリューションペンタセキュリティ・ブースに設けられたステージでは、同社・グローバルビジネス本部陳 貞喜氏から、今、企業に必要とされるセキュリティ対策が語られた。「マイナンバーはDBの中で、個人のインデックスとして利用され、必然的に呼び出される頻度は高くなるでしょう。もし社内ネットワークにマルウェアが入り込んでいたら、流出や漏洩の危険性は大きなものとなります。それを防ぐには暗号化が重要です」(陳氏)暗号化ソリューションで一般的なのは、アプリケーション側で暗号化・復号を行うもの。暗号化対象関連のクエリを修正する手間とコストがかかる上、既存システムにあとから追加構築が難しく、暗号化ソリューションを導入することを拒んでしまう原因でもあった。こうした問題を解消するのが、ペンタセキュリティの暗号化モジュール「D’Amo(ディアモ)」だ。パッケージとして提供されている「D’Amo」を既存のDBに追加(アドオン)し、管理コンソールからポリシーを設定するだけで、暗号化や復号が可能となる。しかも指定したカラム単位での暗号化ができるため、パフォーマンスの低下も最小限ですむ。また設定や復号権限の管理のためには、分かりやすいGUIが用意されている。ブースでは暗号化・復号、権限設定などのデモンストレーションが行われ、セキュリティの専門知識がなくとも簡単に扱えることがアピールされていた。なおDBにOSSのMySQLやMariaDBを利用している環境向けには、「D’Amo」と同等の機能を持った「MyDiamo(マイディアモ)」も用意されている。これまでコストやパフォーマンス、専任スタッフの不足などの理由から、暗号化に二の足を踏んでいた企業にとって、「D’Amo」「MyDiamo」は頼りになる存在となるはずだ。○マイナンバーとセキュリティの関係性 - 多様化するアプリケーションにWAFは必須マイナンバー制度スタートは、DBの暗号化を検討する機会であるとともに、従来のセキュリティを見直すきっかけにもなるだろう。「企業のITシステムは、ネットワーク、システム、アプリケーションの3つのレイヤーにまとめられますが、そのすべてに適切な処置が施されていなければ安全と言えません。ネットワークには、ファイアウォールやIPS/IDS、システムには定期的なアップデートやアンチウィルスソフトの導入、という対策は殆どの企業が実行されているでしょう。ただ、アプリケーションのセキュリティまでは手が回っていないケースが多いようです」(陳氏)Webサイトの閲覧だけでなく、スマートフォンをはじめとするデバイスへの対応など、日に日に多様化していくアプリケーションのセキュリティ対策は困難を極める。そこで必須となるのがWAFだ。ペンタセキュリティでは、攻撃ロジックを解析して不正を検知する第三世代のWAF機能に加え、情報漏洩防止、不正ログイン防止、Web改ざん防止などの機能がオールインワンになったソリューション「WAPPLES(ワップル)」を提供している。ペンタセキュリティの本社がある韓国では、すでに今年10周年もの歴史と多くの実績を持つソリューションだ。○ハードウェア、バーチャル、クラウド … ニーズにあわせて「WAPPLES」は現在、利用環境に合わせ、ハードウェアアプライアンス型、バーチャルアプライアンス型の他、サイト閲覧ユーザからのアクセスを一旦クラウド上のWAFで受け、不正の検知やアクセス制御を行ってから、サイトへリダイレクトするサービスも用意されている。クラウド型はペンタセキュリティが提供する「cloudbric(クラウドブリック)」以外に、パートナー企業が「WAPPLES」ベースで開発・提供しているサービスもあり、ニーズにあわせて選ぶことが可能だ。例えば株式会社大和ソフトウェアリサーチが提供しているクラウド型WAFサービス「SCSS-WAF」では、サイトのトラフィック量にあわせて、5つの価格帯からサービスタイプを選ぶことができる。ポリシー変更やレポート提出、コンサルティングなどはオプションとなっており、必要に応じて追加することも可能だ。すでに複数の国内大手流通・販売会社での導入実績があるという。「ペンタセュリティでは、当社ソリューションの導入を検討していただけるお客様はもちろんですが、当社の技術を利用して、新ビジネス、新サービスを企画してくださる企業様からのお声がけもお待ちしています」(陳氏)韓国で、日本のマイナンバーに類する「住民登録番号」が導入されてから50年余り。“国民総背番号制度”の課題を知りつくした韓国発のソリューションは、注目に値する。
2015年05月28日エンタープライズSNSを展開するビートコミュニケーションは、同社のプラットフォーム「Beat Shuffle」に、海外支店やグループ企業との連携を強められる「グローバルユーザー招待機能」を搭載し、26日にリリースした。同社は、2004年というSNS黎明期からエンタープライズ向けにサービス展開してきた企業で、企業の内部に眠るナレッジやノウハウの共有、部署を越えたコラボレーションで数々の企業の業務効率化を実現してきた実績を持つ。「Beat Shuffle」は同社SNSの中核をなすプラットフォームで、3月にはオンプレミス版やiOS/Androidアプリ版の提供を開始するなど、開発のピッチを上げている。今回、搭載された「グローバルユーザー招待機能」では、招待されたユーザーをゲストユーザーという扱いにすることで、参加コミュニティ以外のコンテンツやユーザー情報にアクセスできないようにできる。これにより企業の現地スタッフや関連会社のメンバー、外部の専門家などを気軽に招待しながら、セキュアな環境で情報のやりとりが可能になる。国内市場におけるビジネスの縮小に直面した多くの日本企業が海外需要を取り込むための海外進出を進めているが、現地雇用社員や現地関連会社のメンバーとのマネジメント上での課題を抱えていると同社では、機能の開発の背景についても発表している。
2015年05月28日企業がシステム構築の選択肢としてクラウドをまず候補に挙げる「クラウドファースト」への流れが進む中、富士通は、SaaSやPaaS、IaaSなどのさまざまなクラウドサービスを「Cloud Initiative」として体系化。それらサービスのインテグレーションまで含めたソリューションを展開している。その中で、VMwareのテクノロジーをベースとして構築したホステッドタイプのプライベートクラウドが「FUJITSU Cloud IaaS Private Hosted LCP」(Private Hosted LCP)だ。○高い信頼性と充実したサポート体制Private Hosted LCPは、専用線で接続する機密性の高いクラウドで、大規模から中規模の基幹システムをセキュアな環境で提供するサービスである。Private Hosted LCPの最大の強みは、その高い信頼性にある。メーカーとして長年ものづくりに携わる富士通が、その信頼性をクラウドサービスにも同レベルで持ち込もうとしているためだ。Private Hosted LCPは日本を含め15カ国に展開。国内では、東日本と西日本の2箇所にPrivate Hosted LCP基盤を構え、運用している。同サービスの中で特に高く評価されているのが、インテグレーションと運用サービスだ。富士通は、Private Hosted LCPのクラウド基盤を単体で提供するのみならず、導入時のインテグレーションから導入後の運用まで、トータルでサポートを提供する体制を整えている。「すでにクラウドを導入した企業が抱えている悩みのひとつが運用です。クラウド化によって物理サーバはなくなったものの、システムそのものがなくなるわけではないため、いかに運用負荷を低減するかという部分で悩む企業が多いのです」と、富士通 サービス&システムビジネス推進本部 クラウドビジネス推進統括部 クラウドサービス推進部 永田雅人氏は語る。「十分なサポートを提供できていないクラウドベンダーもあります。何かトラブルがあった場合、お客様はサポートを別のSIerなどに頼らざるを得ません。そのため、システムそのものの導入コストが下がったとしても、逆に運用コストが上がったという話を聞きます。しかし、特に日本においては、システム導入時のインテグレーションからその後の運用まで、トータルサポートを希望する企業が多いのです。そこで富士通は、ユーザー企業がシステム全体を最適に利用できるよう、総合的なサポートを含めたクラウドを提供したいと考えました。当社は、長年にわたって提供しているデータセンターアウトソーシングビジネスの評価が高く、このビジネスで培った運用スキルやノウハウをPrivate Hosted LCPに生かしています」(永田氏)事実、SAPで稼働させていた基幹業務システムの更新時にPrivate Hosted LCPを導入した保土谷化学工業では、オンプレミスから同サービス環境への移行時、富士通の担当SEとサービスマネージャーの存在を高く評価していたという。「一部のデータベースをオンプレミスに残したまま、Private Hosted LCPとのハイブリッド環境を構築するケースでした。その際、SEとサービスマネージャーが集中してシステムインテグレーションを担当し、3.5カ月という短期間で移行を実現しました。その後の運用負担も軽減できたとご満足いただいています」と永田氏は言う。また、一度は富士通を検討しつつも海外のクラウドベンダーを選択したユーザー企業が、1年後にやはり富士通を利用したいと戻ってきたこともあると、永田氏は語る。「そのお客様は、他社を選定したものの通常運用時のサポートや障害時の対応に満足できず、再検討した結果、富士通を選んでいただくことになりました。ものづくりで培った信頼性の高さやサポートの実績が、お客様に安心感を与えているようです」(永田氏)Private Hosted LCPは、流通業や製造業、情報産業など幅広い業界で導入されているほか、高い信頼性を求める金融業界からも引き合いが増えているという。「Private Hosted LCPではFISC対応も実施しており、金融業界でも安心して使っていただける仕様になっています」と、永田氏はアピールしている。○顧客ニーズの高いVMware vSphere基盤Private Hosted LCPは、ハイパーバイザーにVMwareのテクノロジーを採用したプライベートクラウド基盤だ。同サービスがVMware vSphereベースであることの意味について、富士通 アウトソーシング事業本部 ビジネス開発室 シニアマネージャーの鈴木康紀氏は、「VMware vSphereはグローバルで高いシェアを持ち、これまでに作り込んだシステムをVMware vSphereベースで運用している企業が多いのが現状です。クラウドファーストという考えが浸透し、オンプレミスからクラウドへの移行を考えた際、同じハイパーバイザーがベースとなっている方が移行においてスムーズであることは明白です。すでにVMwareの製品を利用しているお客様は、VMwareに安心感を抱いています」と説明、顧客ニーズを考えるとVMwareのテクノロジーをベースとしたクラウドサービスは必須だとした。また、SIerとしてVMware製品のインテグレーションや運用に長年携わってきた経験のある鈴木氏は、「VMware vSphereは非常に安定したハイパーバイザーです。技術者が多くて情報も豊富、サポートも充実しているため、信頼性を担保するには使いやすい製品です」と説明する。鈴木氏によると、Private Hosted LCPがサービスインした2013年10月以来、VMware vSphereを含め、お客様システムの停止に繋がるトラブルは一度も発生していないという。これまでにもVMware製品をオンプレミスのシステムに導入するなど、富士通とヴイエムウェアの結びつきは強かったが、ヴイエムウェアが新たに発表したパートナープログラム「VMware vCloud Air Network」により、「オンプレミスの資産を一部残しつつ、クラウドに移行したいというハイブリッド環境を望むお客様も増えているので、こうしたニーズに適材適所で提案できるようになりました」と鈴木氏は話す。また鈴木氏は、ヴイエムウェアとのパートナーシップに期待することとして、次のように話す。「富士通はお客様に信頼性が高く付加価値のあるシステムを提供するために、最先端技術と実績のある技術をバランスよく活用しています。ヴイエムウェアのような最先端技術を次々と生み出す企業と、検証や構築・運用に強みのある我々富士通がパートナーシップを結ぶことで、新しい技術を採用してもお客様に安心して提供できると考えています」(鈴木氏)永田氏は、今後もさまざまなクラウドサービスを提供していきたいと語る。「富士通の強みはインテグレーションやマネジメント力。これに、VMware製品のグローバルな普及率と技術力が組み合わさることで、Private Hosted LCPというより良いサービスが生まれました。富士通では、お客様のニーズに合ったクラウドこそが、一番いいクラウドだと考えています。今後もさまざまな製品やサービスを組み合わせるインテグレーションによって、お客様のニーズに応えていきたいですね」(永田氏)
2015年05月28日エイチ・アイ・エス エコ・スタディツアーデスクは、と協働で、中学・高校生を対象に 「『将来のキャリアを本気で考えよう!』シリコンバレーで自分の将来を考える旅9日間」の発売を開始した。今回、同社とともに同ツアーの企画に取り組む企業・Good Try JAPANは、中学生・高校生向けに「グローバルキャリア教育プログラム」の提供を行っている。同ツアーでは、将来、グローバル社会を生き抜くために必要な「考える力」「自分の意思で選択する力」を、9日間の旅の中で養うことを目的としている。ツアーを実施する場所は、Apple、Google、Facebookといった世界的なIT企業が多く存在するアメリカのシリコンバレー。世界中からスタートアップを目指す意識の高い若者が集まる場所でもある。気候も良く、開放的な雰囲気の環境の中で、将来を考えることがワクワクするプログラムになればと同地をツアー開催地に選んだという。ツアー中は、起業家やNPOの代表が、子供たちの自発的な行動を促すためにコミュニケーションを図り、子供たちに具体的に考えることや自己実現・目標達成の手段を学ぶことを促していく。中には、アメリカの高校生とサンフランシスコの街に出て、英語を使ってコミュニケーションしながら、ミッションをクリアするゲームも含まれている。スタンフォード大学では、自分の将来を仲間とともに考えるワークショップを実施する。2人1組のペアでお互いにインタビューし、自分の将来の姿についての解像度を高めていく。プログラム期間は毎晩、体験したことを共有し合い、学んだことをアウトプットするという。また、ベンチャー企業、日本領事館、デザイン事務所、NPO、大学など様々な分野で活躍する先輩たちから話を聞く機会も設ける。Apple社、Google社の訪問も予定している。同ツアーの出発日は、7月28日、8月11日。旅行代金は69万8,000円(燃油サーチャージ含む)。参加条件は中学生・高校生。最小催行人員は12名様 (限定人数15名)。添乗員が同行する。申込みはH.I.Sで受け付けている。
2015年05月27日5月26日、企業向けクラウド型財務・人事アプリケーションプロバイダのWorkdayの日本法人であるワークデイが、事業説明会を開催した。同社の代表取締役社長 ゼネラルマネージャの金翰新氏は、グローバル展開する日本企業をターゲットに事業展開を進めていくと方針を示した。同社が提供するクラウド型人事ソリューション「Workday ヒューマン キャピタル マネジメント(Workday HCM)」をグローバルに事業展開するアパレル製造小売業のファーストリテイリングが導入したことを挙げて、今後はモデルケースを拡充させていくという。「従来の人事システムの概念を脱却できない企業に対して、Workday HCMの価値を理解してもらうためには、ビジョンの明確化、将来を見据えた開発、モデルケースの提示が必要。パートナーとの提携も一層強化していきたい」(金氏)同社のHCM プロダクト マネージメント ディレクターの宇田川博文氏は、2015年4月にリリースしたインサイトアプリケーションの2つの機能について説明した。「1つ目の『タレントインサイト』は、過去の従業員の行動、傾向から、現在の従業員に対して予測を行う機能。優秀な社員の離職リスクの特定や、それに伴う業績への影響、リスクに関するさまざまな要因を提示する。将来に対する意思決定をレコメンドするサービスだ。2つ目は『プロフェッショナル サービス オートメーション』。『Workday ファイナンシャル マネジメント』と『Workday HCM』の機能を統合させ、人事管理からプロジェクト管理、経費管理、請求管理、分析が行える」Workdayは全ての顧客に対して同一バージョンを提供している。年に2回バージョンアップされ、宇田川氏の説明にあった新機能は、導入企業全社で利用できる。また、同社はペイロールとパートナーシップを締結したことによって、第三者の提供する給与計算システムとのインテグレーション、導入、管理に伴うコストや負担の軽減をサポートし、人事ソリューションだけでなく、給与計算も統合されたシステムで管理できる体制となった。米国、カナダ、英国向けの給与計算システムは既に用意されており、2016年にはフランス向けのシステムが立ちがる予定だという。
2015年05月27日ソニーモバイルコミュニケーションズは、5.2インチAndroidスマートフォン「Xperia Z4」と同等のスペックを備える「Xperia Z3+」を6月よりグローバル市場で発売する。「Xperia Z3+」は、5.2インチサイズのAndroidスマートフォン。OSにはAndroid 5.0、CPUにはQualcomm Snapdragon 810(オクタコア、2.1GHz+1.5GHz)、2,070万画素のメインカメラを搭載し、ハイレゾ再生やLDACに対応するなど、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクから発売予定の「Xperia Z4」と同等のスペックを備えている。ただし、グローバル市場向け端末であるため、ワンセグやおサイフケータイといった機能は搭載していない。主な仕様は次の通り。サイズ/重量は、幅約71.9mm×高さ約146.3mm×厚さ約6.9mm/約144g。内部メモリは3GB。ストレージは32GB。外部ストレージはmicroSD(128GB)。ディスプレイ解像度は1,920×1,080ピクセル。背面には2,070万画素、前面には510万画素のカメラを内蔵。バッテリー容量は2,930mAh。IPX5/8に準拠した防水、IP6Xに準拠した防塵性能を備える。通信面では、LTE、GSM GPRS、UMTS HSPAをサポート。そのほか、Bluetooth 4.1、NFC、Wi-Fiなどに対応。カラーバリエーションは、White、Black、Copper、Aaqua Greenの4色。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年05月27日ピクテ投信投資顧問は22日、ピクテの芸術・文化に関わる活動を紹介する「Art and Culture」をウェブサイト上で公開した。スイス・ジュネーブに本社を置くピクテ・グループは、長きにわたり文化・芸術に携わる多くの活動をグローバルに展開し続けている。日本においても、そうした活動を通して出会ったすぐれた人物やプロジェクトを積極的に紹介し、ピクテ投信投資顧問のウェブサイトを訪問するすべての人に、その活動の幅の広さと質の高さを感じてもらいたいという考えのもと「Art and Culture」を公開したとしている。○コンテンツ紹介■ Patronage -パトロネージュ-世界を舞台に活躍を目指すアーティストを支援する、ピクテの様々な取り組みを紹介■ Pioneer -パイオニア-幅広いジャンルの「パイオニア」の人たちから、業界を超えて多くを学ぶインタビュー集■ Voice -ヴォイス-ピクテのグローバルな人材が登場し、ビジネスから芸術活動に至るまで、さまざまな情報やメッセージを「ピクテの声」として提供■ Prix Pictet -プリ・ピクテ-サステーナビリティーをテーマに、社会・環境問題に迫る優れた写真・写真家の発掘・支援を行う、グローバルでの認知度が急上昇しているアワード。その活動と作品等を紹介「Art and Culture」は今後さらにコンテンツを拡充し、幅広い分野の人々との様々な形での関わりを紹介していく予定という。同社は、ウェブサイトを訪問する人々の毎日が、資産運用の面からもまた芸術・文化の面からも豊かで感動のあるものとなることを願い、良質なコンテンツの提供を目指すとしている。○各種リンクピクテ投信投資顧問ウェブサイトYouTubeチャンネル公式サイトTwitter公式アカウントFacebook公式
2015年05月26日出産してから価値観が変わった。今の会社で育休を取得してそのまま働き続けていていいのだろうか。夫の転勤で働き方を見直せざるを得なくなった。育休から復帰した後、時短でなんとか成果を出そうと頑張ったけれど、キャリアは明らかに同僚から遅れている…。こんな風に考えるママやプレママはいることでしょう。筆者自身も上の子どもたちの出産を機に辞めることになり、それまで考えていたようなキャリアがすべて崩れ去った経験も持っています。子どもを持ったことで働き方が変わっていないママはほぼいないといっても過言ではありません。今回は、筆者が運営する「東京ワーキングママ大学」などを通して感じた、子育てしながら働くママたちの「ママになってからのキャリア」についてさまざまなケースを盛り込み、ご紹介します。自分の働き方に悩む女性たちの次なるステップを考える一つの情報としてお役立てください。○出産後の働き方のパターンは?筆者が最近感じているのは、出産後の働き方のバリエーションが多くなってきているのではないかということです。女性活躍のトレンドにも後押しされて、以前はハードルが高かった転職や起業への道も徐々に変わってきていると感じています。まずは、出産後の働き方のバリエーションを見てみましょう。大きく分けて4つに分類できます。1.同じ会社に属して働く2.別の会社に属して働く(正社員、契約社員、派遣、パート・アルバイト)3.フリーランスになる4.起業するちなみに筆者の場合、現在6歳になる双子の妊娠時に単身赴任をしていたため、仕事と育児の両立が難しくなり、長く勤務していた会社をやむなく退職し、フリーランスとして独立しました。その後、子育てしながら働くことが当たり前でない社会に愕然とし、働くママのための支援プロジェクト「キラきゃりママ」を立ち上げ、2011年にはママ・子どもを基軸としたPR / マーケティング会社「グローバルステージ」を創業。2013年には「東京ワーキングママ大学」の母体となる一般社団法人日本ワーキングママ協会を立ち上げ今に至ります。もともと起業家志望でもなく、ごく普通のサラリーマンだった状態から妊娠を経て、上記の3→4と働き方を変えました。ただ、このようなケースは一般的ではありません。全体からすると数%の世界です。何らかのビジョンとミッションを持ち、実現したいことがある方向けです。最もオーソドックスな形は1でしょう。同じ会社で働くという方法です。ただ、必ずしも同じ部署で働き続けられるわけではなく、育休を経て別の部署に異動になる方もいらっしゃいます。この部署異動がプラスに働いたり、逆にマイナスに働いたり、さまざまなケースを見てきました。異動を打診されてモチベーションを落とし、育休中に転職先を探して転職された方などもおられます。あるいは出産後、まず1を選択したが、数年後に2を選択するというセカンドキャリアのあり方も。キャリアビジョンがしっかりしていればありうるという意味で、新しい可能性を感じるケースです。2の具体的な事例としては、長時間労働や土日出勤が求められる不規則勤務な職場に勤めていて、そのままの働き方が難しくなり、中小企業へ転職し、管理職として活躍されている方などが挙げられます。中小企業の良さは、規模にもよりますが、制度が整っていないため、自分の希望する働き方を調整できるということです。以前の会社だったらできなかった時短勤務も、交渉しだいで手に入れることができたり、学校行事など、自分のライフスタイルや環境に合わせた働き方ができるという点でメリットがあります。3や4でよく見られるのは、夫が転勤族などで働く場所が変わるため、フリーランスとなる、あるいは起業するというケースです。独立志向の高いベンチャー気質のある企業出身者などにも見受けられます。最近はフリーランスとして独立して、「クラウドソーシング」を使って仕事を受注したり、業務委託でコネクションのある企業から複数の仕事を請け負ったりするママも増えました。インターネットを利用して不特定多数の人に業務を発注したり、受注者の募集を行う「クラウドソーシング」の台頭もあり、フリーランスとなっても、仕事を手に入れやすい環境が整っています。特に3のケースで注目したいのは、一度家庭内の事情や子育てにある程度専念したいという思いからフリーランスを選択した後、子どもの成長に応じて、正社員に戻るというパターンです。これは、子どもの成長に合わせて、働き方を変えることができるという点で、「子どもが小さいうちはそばで成長を見守りたい」とか、「子どもが病気がちで正社員を続けるのが厳しい」など、様々な事情を抱えるママたちにとって、朗報ではないでしょうか。キャリアやスキルを途切れさせることなく、数年を経て正社員に戻れるという道ができつつあることは、「いったんやめてしまうと元に戻ることはできない」というこれまでの常識に風穴があいたとも言えそうです。これまで見たように、子育てママたちの働き方は少しずつ「状況に応じて変えられる」方向性に社会が向かっていることは間違いないと断言できます。しかしながら、ここで大事なのは、ご紹介したママたちはおおむね、キャリアや働き方について軸を持ち、過去に専門性やビジネススキルを培ってきたという背景があり、働き方を変えることができたという点です。ただ、専門性やスキルがないとだめだというわけではなく、いつでも自分自身を高め、到達したいポイントに向かうことはできます。すべては自分に向き合い、考えること、行動することから始まります。ママにとっても子どもにとっても心地よいセカンドキャリアのあり方とはどのような働き方なのか、考えるきっかけになっていればうれしく思います。※画像は本文と関係ありません。○著者プロフィール株式会社グローバルステージ代表取締役 大洲早生李慶應義塾大学商学部商学科卒業後、株式会社日立製作所に入社。2003年より宣伝部愛知万博プロジェクトにて日立パビリオンの総合プロデュースおよび広報を手掛ける。4年半の単身赴任生活を送った後、2008年に双子を妊娠。両立不可能となり退職。その体験から働くママ支援プロジェクト「キラきゃりママ」を立ち上げる。直後に第三子を出産。「母と子のリアルを、みんなで支える」をビジョンに、働くママの支援活動を開始する。2011年4月に法人化、株式会社グローバルステージ代表取締役に就任し、ママと子どもを基軸としたマーケティング / PRコンサルティングを国内外で展開。2013年9月に一般社団法人日本ワーキングママ協会を立ち上げ、母たちが戦略的にキャリアを築き、能力を発揮できる社会の実現を目指す。6歳の男女双子、4歳男児の母。株式会社グローバルステージ東京ワーキングママ大学
2015年05月26日PostgreSQLグローバルデベロップメントグループは5月22日(ノルウェー時間)、「PostgreSQL: PostgreSQL 9.4.2, 9.3.7, 9.2.11, 9.1.16, and 9.0.20 released!」において、サポートしているすべてのバージョンにおいて、それぞれ最新版となるバージョンをリリースしたと伝えた。公開された最新版はそれぞれ次のとおり。PostgreSQL 9.4.2PostgreSQL 9.3.7PostgreSQL 9.2.11PostgreSQL 9.1.16PostgreSQL 9.0.20今回のアップデートには、不具合修正や機能改善、脆弱性の修正などが含まれている。注目したいのは、特定の条件下でデータ汚染やデータ損失などが発生する不具合が修正されている点で、PostgreSQLグローバルデベロップメントグループでは9.4系と9.3系のすべてのユーザに対して最新版へアップデートすることを強く推奨している。また今回のアナウンスでは、9.0系のサポートが2015年9月に終了することに触れるとともに、9.0系のユーザに対してより新しいバージョンへアップグレードすることも推奨している。9.0系に対するアップデートはあと1回実施されることが予定されており、それが最後のリリースとなる見通し。
2015年05月25日今年も恒例の「世界禁煙デー」(5月31日)が近づいてきた。WHO(世界保健機関)では、この日に向けて禁煙に関するキャンペーンを実施するという。WHOのグローバル・リサーチセンターが神戸にある。WHO神戸センター(WKC/正式名称はWHO健康開発総合研究センター)は、1995年に設立され、社会・経済・環境の変化が健康に及ぼす影響、およびそれらが政策にどう反映されるかを研究している。WHOの本部はジュネーブで、世界各地に6つの地域事務局、約150の各国事務所を持つが、スイス国外にある本部組織はこの神戸センターだけ。これは前WHO事務局長の故・中嶋宏博士と前兵庫県知事、故・貝原俊民氏の尽力によるもので、その活動は兵庫県、神戸市、神戸商工会議所および神戸製鋼所から成る「神戸グループ」により支援されている。このWKCとはどのような活動をしているのか、そして、今年の世界禁煙デーはどのようなテーマで実施するのか。WKC所長のアレックス・ロス氏にお話を伺った。○喫煙被害のグローバリゼーションへの対策に取り組む――WKCの活動理念について教えてください。ロス氏: 「WKCは、科学分野においてのリサーチ、技術協力、能力開発、情報共有などをサポートしています。この10年ほどは、急激な都市化が健康に及ぼす影響について本部の研究をリードしてきました。今日では、特に高齢化社会に対応するためのユニバーサル・ヘルス・カバレッジやイノベーションの推進にむけた実質的なリサーチへと重点を移行しているところです。健康問題について他部門連携で多角的に分析するWKCのやり方は、WHOでもめずらしいと言えるでしょう。世界的に見て、近年の顕著な特徴の1つは急速で大規模な都市化と、そこに集中する人口の大きさです。2、3年前にはついに、都市部の人口が地方の人口を抜きました。現在では世界人口の54%が都市部に暮らしており、2050年までには66%まで増えるといわれています。大都市においては、性差や貧困などが、健康に関する支援や治療を受ける際の格差(健康格差)を生みつつあります。政治的にデリケートな問題ではありますが、私たちは行政が、これらの構造を理解する手助けをするとともに、政府の異なる部門が協働して解決に向けて取り組めるような戦略を練り、人々の健康が平等に守られるよう共に働きかけています。都市生活は、非伝染性の持病、たとえば癌、肺や心臓の疾患、脳梗塞や糖尿病などのリスク要因に良くも悪くも影響を与えます。喫煙、運動不足、偏った食生活、飲酒のほか、大気の汚染などの環境要因もあげられます。WHO本部のタバコ・フリー・イニシアティブのメンバーとWHO西太平洋事務局の職員の協力で開発した、禁煙都市を実現するための行政向け条例モデルとトレーニング・ガイドがあります。これは、社会の異なる部門が共に健康問題に取り組むためWKCが行った実質的アプローチの一例です。これらの活動が、ひいては国全体における『たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(WHO FCTC)』の施行につながります。これはWKCのサイトでも詳しく紹介しています。FCTCは、万人が最高水準の健康を享受する権利を再認識する初の世界的健康条約で、その監視機構はWHOになります。喫煙被害のグローバリゼーションへの対策として各国が開発したものです。たとえば、貿易の自由化に主に起因するタバコの価格の低下、外国資本、宣伝広告、多国展開、不法取引など、複雑な要因のからむ喫煙被害の問題を減らすことを目的としています」○今年のテーマは「タバコの不法取引を止めよう」――「世界禁煙デー」とはどのような取り組みでしょうか?ロス氏: 「毎年5月31日、WHOは『世界禁煙デー』というグローバル・キャンペーンを行います。喫煙による健康被害に焦点を当て、効果的な対策を提唱しています。テーマは毎年変わり、今年は『タバコの不法取引を止めよう』です。不法取引を無くすよう各国に呼びかけ、また、2012年11月にWHO FCTC初の議定書として承認された、『タバコの不法取引排除のためのプロトコル』に賛同するよう促します。なぜ不法取引が健康に関係するかというと、タバコ業界や犯罪組織がここから不当な利益を得て、そのツケ、たとえば保険や医療保障にかかるコストを、一般社会が払わされることになるからです。あらゆる面で、不法取引は世界中の主要懸案事項です。国際税関機構の情報も含めた研究によると、世界的に見て、多ければ10本に1本のタバコが不法マーケットからのものとされています。また、EUによると、不法取引によってEU加盟国にもたらされる税収、および関税収入の損失は、毎年100億ユーロ以上にのぼるとみられています。不法取引は豊かな国だけの問題ではありません。世界中のほとんどすべての国がなんらかの形で影響を受けます。タバコの不法取引の脅威に対応するため、国際社会はこのプロトコルを採択したのです」――2015年のキャンペーンの目標を教えてください。ロス氏: 「今年の世界禁煙デーのゴールは、次の4つです。(1)タバコの不法取引によって入手可能になる低価格の非正規品が招く健康被害、とくに若年層や低所得者層に対する影響への着目を促す。(2)増税や値上げ、グラフィックを用いた警告文などの喫煙コントロール対策がヘルスケアにどう影響するか、また不法取引によってそれがどう妨害されるかを示す。(3)業界が不法取引にどのように関わっているかを示す。(4)不法取引によってもたらせる高額な収益が、いかに犯罪組織の麻薬、人身・武器売買、テロなどの活動の財源となっているのかを明るみに出す。これを実現するためには、すべての関係国にプロトコルの批准、参加、そして施行を促し、早期に活発に活動してもらう必要があります。税収の損益だけでなく、タバコ規制に関して不法取引は多くの国に多大な影響を与えます。日本には政府の厳しい規制がありますし、地理的にも影響を受けにくいかもしれませんが、世界的に見ると深刻な問題です。キャンペーンに関するより詳しい情報は、WHOのサイトで紹介しています」――ゴール達成のための戦略はどのように考えていますか?ロス氏: 「プロトコルです。FCTCはWHOが策定した2つの条約の1つで、現在約180か国が批准しています。FCTCに調印するためには、すべての国が要求に見合う行動を起こさなければなりません。日本は最初に調印した国の1つです。最大の目標は、民間セクターの個人レベルだけではなく、財務省や国務省 、国境の税関、税務署など、各国の政策決定レベルでの注意を喚起すること。2つ目の目標は、より多くの国にプロトコルを批准してもらうことです。消費者サイドは、ときにいちばん安価な商品を求める傾向にあります。とくに、タバコの価格の高い国では顕著です。不法取引に対する法の厳格な施行は、現行法を尊重する意味でも、喫煙者を減らすというそもそもの目標を達成する意味でも重要です。昨年のテーマは『タバコの税』でした。課税率をあげれば喫煙者が減るという明確なエビデンスもあり、こちらも消費者にアピールする重要な手立てとなりました」――最後に、マイナビニュースの読者にメッセージをお願いします。ロス氏: 「究極のメッセージは『吸わないこと』です。健康への害は計り知れません。癌にはじまり、乳幼児を含め大切な家族に及ぼす受動喫煙の影響まで、喫煙が健康に与える害のエビデンスには目を見張るものがあります。中毒になりやすい若年層も、長いあいだ業界のターゲットとされてきました。若者を喫煙という悪習慣から守ることができれば、後年中毒になるリスクは大幅に縮小します。もしすでに喫煙の習慣があるなら、『止めること』です。医療・保健機関のプロに禁煙方法を相談してください。あなたの命にかかわることですから。安全な喫煙場所などありえません。日本ではときどき、別の部屋で吸えば大丈夫というような認識があるようですが、煙は必ず室内を循環します。まわりの人も巻き添えになります。本当に、その害は強調してもしきれないほどです。日本において、公共の場での喫煙についての法制度が整っている県は現在、兵庫と神奈川の2県だけです。日本でスモーク・フリー環境を実現するためには、法律が改善されなければなりません」――ありがとうございました。世界的に見ると、喫煙による害で毎年600万人が命を落としている。その10%以上が非喫煙者だ。6秒ごとに約1名がタバコの害で亡くなっており、これは成人の死亡件数の約1割にあたる。私たちが今、行動を起こさなければ、2030年までにその数は800万人になるといわれている。「世界禁煙デー」をきっかけに、喫煙行動について考えてみてはいかがだろうか。○お話を聞いたアレック・ロス所長のプロフィールWHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)所長。米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校で学んだ公衆衛生政策、殊に保健制度の専門家。これまで、WHO本部(ジュネーヴ)にてパートナーシップ部長、感染症担当事務局長補付部長、エイズ・結核・マラリア担当事務局長補付首席補佐官などの管理職を歴任。この間WHOパートナーシップ政策を構築し、国際保健の取り組み、国連機関、NGO、民間部門との関係をはぐくむ。また、国際連帯税(たばこ税)などの革新的な保健融資制度にも取り組み、エイズ・結核・マラリア対策グローバル基金や国際医療品購入ファシリティー(UNITAID:ユニットエイド)の創設にも尽力する。WHO勤務に先立ち、英国国際開発省にて国内外担当上級保健顧問(2001~2003年)、米国国際開発庁、米国保健社会福祉省、米国下院議会など数々の米国政府機関で上級職員として勤務(1987~2001年)。(取材・文 = モーゲンスタン陽子)
2015年05月25日理化学研究所(理研)は5月22日、4月1日に就任した松本紘新理事長(前京都大学総長)が会見を開き、今後の経営方針として人事制度の一本化や英語の公用語化などの改革案を含む「科学力展開プラン」を発表した。会見で松本理事長は、理研が4月に独立行政法人から研究開発法人になったことで「研究開発成果を最大化することがミッションとなった」とコメント。したがって、今回発表された「科学力展開プラン」はそれを実現するための"道しるべ"ということになる。○研究の現場が抱える課題を指摘する5つの柱同プランは5つの柱で構成されている。まず、1つ目の柱は「研究開発成果を最大化する研究運営システムを開拓・モデル化」となっている。「研究開発成果を最大化する」という部分は同研究所のミッションにある通りだが、ポイントは研究運営システムが含まれている点だ。理研には現在、定年制と任期制という2種類の雇用形態があるが、これを一本化し新しいテニュア制度(身分保障制度)を構築するという。人事制度ではこのほか、評価・予算配分制度の見直しに加えて、研究責任者の権限と責任を明確化する取り組みを進める。また、研究者が資金調達の専門家、機材の技術者、ソフトウェア開発者など、研究以外の役割も自分でこなさなくてはならず、研究に集中できない現状を解消するために、研究をサポートするスタッフの充実も検討していくという。さらに、松本理事長は研究資金や研究ポスト獲得のために短期で成果が得られる研究が増加していることを問題視し「じっくりと腰を据えて中長期的な研究に取り組めるような基盤的研究資金の安定化が必須」と語ったほか、予算が研究センターごとにきっちりと分かれすぎていることが柔軟な研究運営の障害となっている点も指摘した。昨年のSTAP細胞問題でより厳しく問われるようになった不正防止策については、現在実施している不正防止アクションプランを着実に遂行するとした。2つ目の柱は「至高の科学力で世界に先んじて新たな研究開発成果を創出する」となっている。これは、社会のニーズに対応し、科学技術で牽引するために、基礎研究を深化させ、分野を超えた研究を推進し、日本だけでなく世界に対して提言を発信することを目指すという姿勢を表したものだ。簡単に言えば"優秀な研究者を集めて、色々な分野で研究を深化させながら、分野を超えた研究を活性化させる"と言っている。自然科学の総合研究所である理研にとっては当たり前のことのようだが、背景にはあまりに細分化された研究では、それがどんなに画期的でも実社会での活用法が見えないという問題がある。これを解消するために、先進的な基礎研究の成果を活かして社会のニーズにマッチした成果を創出することに力を入れていく方針を強く打ち出したわけだ。3つ目の柱は「イノベーションを生み出す『科学技術ハブ』機能を形成する」ことだ。ここで述べられている「科学技術ハブ」機能とは、国内外の大学・研究機関や産業界との連携を指す。これには他の研究機関と連携を深めることで、規制緩和など政府に対する提言力を強める狙いがある。規制によって研究が停滞し、革新的な成果を得るチャンスが失われることを減らそうというわけだ。「科学技術はチャレンジしなければならない。チャレンジしていく中で、規制に引っかかってしまうことがある。こうした規制の緩和を国にしていただけるような提言をしていきたい」(松本理事長)。4つ目の柱とされたのは「国際頭脳循環の一極を担う」こと。つまり、海外の優秀な研究者が喜んで理研に来るような環境を作り、グローバルでの理研のプレゼンスを高めることだ。松本理事長はその第1歩として英語を公用語とすることを決めた。この決定に対して研究者からはほとんど反対が無かったとのことで、事務方に対しても粘り強く働きかけていくとしている。また、グローバル標準の研究環境の実現に向けて、研究者だけでなく、役員や事務方の職員にも外国人を増やしていく方針だ。5つ目の柱には「世界的研究リーダーを育成する」ことを掲げた。具体的には、若手研究者にキャリアパスをしっかりと提示できるシステムを構築するほか、国際的な人材交流も拡大する。また、松本理事長が京都大学時代に立ち上げた「白眉プロジェクト」のような、特に優秀な若手に充実した研究環境を与える仕組みも導入する。さらに、博士号を持ちながらも就職できない、いわゆるポスドク問題にも言及し、大学と連携して取り組んでいくとした。以上5つの柱で示された研究者の雇用問題、資金不足、海外交流の停滞などは、他の研究機関でも問題となっている。松本理事長は「他の研究機関の手本となるようなモデルを構築したい」と語ったが、そのためにはSTAP細胞問題で失った信用を取り戻す必要があるだろう。今回の発表で語られた数々の改革をどれだけ実際に実行し、成果を得ることができるか、松本理事長の手腕が問われることとなる。
2015年05月25日2006年6月7日、金融商品取引法成立に伴い新たな内部統制のルールとして施行された「J-SOX(日本版SOX法)」は、2008年4月1日からすべての上場企業に適用された。企業側では、多大なコストをかけてIT統制の仕組みを整えたものの、今度はその運用のために費やす多大な労力が業務の妨げとなっている。○J-SOX以降の承認業務負荷が課題黒田電気では、J-SOX法以降に必要となった詳細な承認フローが業務負担になっていた。第一管理本部 システム部の安田晋也氏は、こう経緯を語る。「当社は商社として、お客様のニーズを探してそれに見合ったものを提供していくのが基本的なスタンスです。企業と企業の間に入って両者の取引がうまく成立するためのサービスをグローバル規模で提供しています。例えば素材のみを売る素材メーカーと、その素材を加工した製品が欲しい部品メーカーがある場合、一時加工する業者を探して素材を加工業者へ持っていき、出来上がった加工製品を要望されたタイミングで部品メーカーへ納品します。在庫を持ちたくない素材メーカーと、欲しいタイミングで納品を希望する部品メーカーの間に立ち、代理で素材を発注し納品された製品の在庫を一時保管するような業務も多く発生します」(安田氏)部品メーカーから送られてきたフォーキャスト(製品のリードタイムを短縮するため、発注元が納品業者に先行して渡す所要計画情報あるいは購入予測情報)をもとに、予測をして業者へ製品発注を行うが、そこに多大な業務が発生しているという。「フォーキャストの段階なので、仮の単価で発注して後で価格が変わるということはよくあります。2008年のJ-SOX法以降は先行発注の場合、販売先に対して責任を持っている者が必ず発注前に確認するというルールになり、担当営業の上長が承認しない案件は発注も入荷もできない仕組みになりました。ところが、上長も営業活動のため日中は社内にはおりませんので、承認業務は事務所に戻ってから対応するか、出先でノートPCを立ち上げて行う方法しかなく、非常に効率が悪い状態になっていました」(安田氏)急ぎの承認案件は、内勤社員が承認者へ電話を入れて催促していたが、出先でノートPCから社内システムに接続するには、データカードをONにして、PCを立ち上げ、VPNで基幹システムに接続してようやく承認システムへのアクセスが可能になる。「修正の承認はさらに面倒なことに、紙面で押印が必要となり、その作業のため帰社を余儀なくされていました。業務効率化と工数削減の仕組みを整えるため、新たな承認システムの導入が必要でした」(安田氏)○外出の多い営業マンからの承認業務をスマートフォンで効率化そこで同社では、SAPシステム(基幹業務を部門ごとではなく統合的に管理するためのソフトウェアパッケージ)導入に連動してスマートフォンから承認作業を行える仕組みを構築、2014年4月より運用をスタートした。内勤担当者が仕入れ情報を入力すると、自動的に承認者のスマートフォンに「承認してください」とアナウンスメールが飛び、画面にもポップアップで表示される。実際に同社が導入したシステムは、以下の動画のようなものだ。承認者がその場でスマートフォンからアプリを開いて内容を確認し、「承認」ボタンを押すとSAPシステムに反映され、先の処理に進める。加えて訂正作業も、スマートフォンのアプリから承認可能になり、訂正用紙に押印するため会社に戻る必要もなくなった。承認者の富川尚樹氏は、その効果を語る。「承認回数は、少ない日でも10件~15件、多い日は30件ほどあります。以前は、PCを立ちあげて社内ネットワークに入るまでかなりの時間がかかっていました。1件あたり、毎回5分前後の時間は要していたと思います。今は1~2分ほどで完了するので、スマートフォンから承認作業ができることで業務スピードは格段に向上しました」(富川氏)承認を確実に行えることは対外的にも大きな意味を持つと富川氏はいう。「納期厳守のための時間短縮ツールは絶対に重要です。承認がスムーズに行えれば注文書をすぐに出せ、仕入れ部門や発送部門が動けるようになります。お客様の要求に確実かつ短納期で対応していくことで信頼を得て、さらに受注が増えていくという効果はあります」(富川氏)○SAPシステム導入に伴いAndroidを使った承認システムを開発アプリの開発は、SAPシステム導入のサブシステムの位置づけで進められた。SAPシステム全体としての開発期間は1年ほどだが、アプリ事体の開発はトータル3か月程度で完成した。開発当初、iOSとAndroid OSの双方を検討し、最終的にAndroid OSを選択した。アプリベンダーは、フィーチャーフォンのOS開発を手掛けてきたノウハウのあるSky株式会社に依頼した。「SkyからiOSとAndroid OSの双方の見積もりをもらいましたが、iOSはアップル社の審査を通さねばならないので、開発からApp Store公開のライセンス取得まで時間が掛かり、その分費用が高くなります。開発後の修正も、App Storeを通さねばなりません。iPhone、Androidどちらの端末でも使用できるようHTMLファイルで作成する案も検討しましたが、使い勝手が落ちてしまいます。企業側からみるとオリジナルのシステムを制作するにはAndroid OSの方が簡単ですね」(安田氏)アジアにも多数の顧客を持つ同社では、上海や香港にもグループ会社があり中国人の社員も多い。今回のアプリ開発は、将来のグローバル規模での活用も視野に入れ多言語仕様にした。「端末コストが高いiPhoneで設定してしまうとコストが弊害となり海外での導入が進まない可能性があります。Androidで開発しておけば今後のグローバル規模での展開にも移行しやすいと考えました」(安田氏)競合が多数あるなか、商社としての付加価値を高めるには、顧客のさまざまな要望に応えるため、どれだけ多くの仕入先、業者とのパイプがあるかが勝負になる。そのため、営業担当は常に社外を飛び回ってコネクションを作ることに集中できる体制づくりが必須だと安田氏はいう。「事務処理しなければならないから会社に戻るというのはさせたくありません。過去、営業担当にはノートPCやデータカードを携帯させる業務スタイルを早くから取り入れてきた経緯があります。今はもうそれでは間に合わない時代になっています。今後もスマートフォンからできることを増やし、無駄を省いた業務スタイルを検討していく予定です」(安田氏)
2015年05月25日デルには「グローバルコマンドセンター」という部署がある。法人サポートに関連する部署だが、サポートそのものを担当するわけではない。デルカラーであるブルーの照明に照らされた部屋には、技術力を持つエンジニアが並び、普段は静かに画面を監視。デルの法人向けサポートのクオリティを保つことに注力している。「ITのニーズは多様化し、企業のミッションクリティカルな所にもITが入って行く中、人の力だけでは限界があります。そこで、システムで対応しようということで誕生したのが、グローバルコマンドセンターです。全世界に拠点を持ち、日本では川崎で10名程度が対応しています」と語るのは、グローバルサポート&デプロイメント統括本部長である木村大氏だ。グローバルコマンドセンターでは、サポートの依頼連絡を受けた時点から、依頼書の作成、部品の在庫確認や発注、対応人員の確保、現場への到着といった、各フェーズの進行具合を監視している。「規定の何時間以内、当日中といった時間の中でサポートを行うためには、連絡を受けてから何分以内にこれができていなければならない、この時点ではこれが完了していなければ間に合わない、というタイミングがあります。また、人間同士で伝達していると漏れがある可能性もあります。システム的に進捗具合を確認し、対応が遅れているようならばエスカレーションする。それがグローバルコマンドセンターの役割です」と木村氏は語る。海外では自然災害が多いが、日本の場合は交通渋滞等に対応することが多くなるという。すでに日本での活動も10年を迎え、さまざまなデータも蓄積されてきた。トラブル対応では、この蓄積されたデータに価値がある。「遅れなど問題が起こるところには、原因があります。これまでその原因をDB化して改善活動に活かしてきました。実際の対応はパートナー各社が行うことになりますが、そのパートナーをマネジメントする部署とも連動して、現場の対応向上にもつなげています。SLAはかなり改善しています」と、グローバルコマンドセンター マネージャーである三島浩樹氏は語った。○問題発生前に対応するプロアクティブさが魅力の「プロサポートプラス」デルの法人向けサポートにはいくつかの種類がある。まず基本的なハードウェア保守サポートを行うのが「ベーシックサポート」だ。これに、ソフトウェアの使用についてのサポートも加えて、24時間365日の電話対応も行うのが「デル・プロサポート」となる。そして近年、売上を伸ばしているのが、さらに上位サービスとなる「プロサポートプラス」という付加価値サービスだ。インシデントのレポーティングや分析、計画的な評価や効率的なバッチ管理によるプロアクティブなメンテナンスなどを提供する。「デル・プロサポートプラス」は、専任のテクニカル・アカウント・マネージャがサポートするもので、リモート監視を実施する「SupportAssist」が収集した情報をもとに、クリティカルなパッチやアップデートの必要性を特定するほか、月次の保守契約とサポート履歴レポートにより、保守費用の予算策定とプランニングの支援などを行う。さらに、対応時間を短縮したり、オンサイト診断を行ったりするオプションサービスも用意。IT資産保護やデータ保護に特化したサービスも用意している。「サービス開始から2年、グローバルでも日本でも伸びています。特に日本市場では昨年比の倍に伸びているほどで、スピーディで激変するIT環境への対応が求められる中、保守への付加価値が高まっていると感じています」と木村氏。「プロサポートプラス」では、仮想環境等にも対応できる上位エンジニアが直接対応するため、複雑な状況でも関係部署へのたらい回しのようなことにはならない。また、システムの更新状況などをリモートで監視した上で、重要度の高い更新についてはリモートで対応してもらえるなど、トラブル発生時以外にも企業のITに深く入り込んだ活動を行う。「最も大きな価値は、グローバルで横のつながりを持っていることでしょう。国内でまだ発生していないインシデントでも、海外で発生した場合にはその報告を受け、同じ環境のお客様に対応することができます。実際に問題が発生する前に情報を集めて対応する、はっきりと不具合が出る前の兆候を捉えて対応するといったプロアクティブなサポートへのニーズがあります」と木村氏は語る。それだけのサポートを人だけの対応で行おうとすれば大きなコストがかかるが、グローバルコマンドセンターのようにうまくシステム化することでオペレーションコストの低減とサービス品質の向上を両立させ、ユーザーニーズに応えている。○グローバル展開にも対応した高度なサポートを提供近年は、海外展開する企業も多い。そうした中でも、デルの「プロサポートプラス」を利用していれば、グローバルで共通した対応を受けられるというメリットがある。ユーザー企業ごとに担当のエンジニアがつくため、さまざまな事情を理解した上で対応してもらえるというのも安心だ。「新製品や既存製品に対する理解を深めるためのトレーニングを定期的に行なったり、お客様の対応に必要となる資格を取得させたりとエンジニアの教育も行っています」と木村氏。エンジニアは持っている技術に応じてレベル分けされ、必要に応じた人員配置ができるようにも工夫されている。そうした十分な対応環境を整えた上で、さらに対応の精度を向上させているのが、前述のグローバルコマンドセンターだ。グローバルコマンドセンターの活動は「ベーシックサポート」にも対応しているが、そこから集められたデータが最も活用されるのが「プロサポートプラス」だともいえる。「グローバルコマンドセンターではお客様の位置を地図上に表示しての監視も行っています。逐次上がってくるアラートは地図上にも反映され、停電など地域的な問題が発生した際にはそれが視覚的に把握できるようにもなっています。また、グローバルサポートセンターに付属した会議室には複雑な問題が発生した時、各部署から人員が集まってきて早急な対応を行うための拠点ともなります」と三島氏。高度なサポートサービスを実現させる体制と、その実行状況を監視してクオリティの維持と向上に取り組むシステム。この2つが、デルのユーザーを支えている。
2015年05月25日○深刻化する日本のITエンジニア不足いまIT業界は、深刻なITエンジニア不足の問題に直面している。みずほ銀行の基幹システム統合や日本郵政のシステム開発といった大規模な案件に加え、マイナンバー制度の導入に伴うシステム構築などによりITエンジニアの需要が急増。これらは、2015年~2017年頃にかけてシステムエンジニア不足がピークを迎えることから「2015年問題」や「2020年問題」として知られているが、2020年に東京オリンピックの開催が決まったことでも、さらなる人材不足の加速が予想されている。数万人規模におよぶ人材不足が懸念される中、企業はどのように対応していくべきなのか。その解決方法として注目されているのがオフショア開発である。オフショア開発先といえば以前は中国が中心だったが、ここ数年で中国オフショア開発を取り巻く環境が大きく変化してきた。人件費の高騰や為替変動による影響でコストが増加したほか、中国特有のカントリーリスク「チャイナリスク」を避ける企業が増え始めたのである。こうした中、中国に替わる新たなオフショア開発先として注目を集めているのがベトナムだ。業界でも早くからベトナムでのオフショアを開始し、中~大規模ウェブシステムやスマートフォンアプリの開発、サイト制作サービスなどの請負開発事業を展開する、セタ・インターナショナル 執行役員 グローバル・エンジニアリング部 コンサルティング室長の吉田謙氏は「地域だけでなく、企業がオフショア開発に求めるニーズにも変化が表れ始めています」と語る。オフショア開発といえば、従来は「とにかく開発コストを抑える」ことが主眼だったが、最近ではコストメリットがあるのは当然とした上で、日本国内のITエンジニア不足を補う目的で採用する企業が増えているのだという。○日本側の体制作りと現地へ伝える仕組みも重要企業がオフショア開発を行うにあたっては、大きく3つの課題が存在する。まず大きな壁となるのが、言語の違いによるコミュニケーションの難しさだ。コミュニケーションが円滑でなければ、どうしても日本側の意図を正確に伝えづらくなってしまう。また、細かい部分でのニュアンスの違いが積み重なった結果、時として想定外のトラブルに発展することもある。また、日本文化に対する理解や商慣習の違いも重要だ。海外のITエンジニアには、当然ながら“阿吽の呼吸”や“行間を読む”といった日本特有の文化が通じない。日本国内と同じような感覚で依頼すると、開発作業自体が上手く進まなかったり、思わぬ落とし穴が待ち受ける可能性は高くなる。オフショア開発であることを念頭に置き、より細かく正確な指示を心がける必要があるのだ。さらに、要件定義や仕様に関する認識の違いも重要なファクターとなる。認識の齟齬がなくなるよう、事前に綿密な打ち合わせを行うことも必要不可欠といえるだろう。吉田氏はプロフェッショナルの立場から「オフショア開発は、現地の開発チームだけを育てていても上手くいきません。日本側の体制作りをしっかりと行うことはもちろん、それを現地の開発チームへ的確に伝えられる仕組みも必要になります」とアドバイスする。○安心・低価格・高品質なオフショア開発を実現こうした課題を解決するべく、セタ・インターナショナルのオフショア開発では、詳細設計や開発、テスト等をベトナム側のエンジニアが、要件定義などの上流工程を日本のブリッジエンジニアが担当するという方式も選択できる。セタ・インターナショナルの日本のエンジニアがこれまで培ってきた正確かつスムーズなやり取り、的確なプロジェクト管理の進め方を顧客企業の担当者が吸収し、日本のブリッジエンジニアがいなくてもベトナムと直接開発ができるようになることで、よりコストメリットを享受でき、規模の拡大にもつながる。多くは失敗に終わるといわれるオフショア開発の導入期、その成功確率を可能な限り向上させる、同社ならではの取り組みである。また、同社のオフショア開発は低価格でありながら極めて高品質な点も大きな特徴だ。セタ・インターナショナル ベトナムオフショア開発センターの社員は、ベトナム随一の技術系大学であるハノイ工科大学やハノイ国家大学出身のエリート技術者が社員全体の約半数を占めている。さらに、ベトナム人ブリッジエンジニアの多くは日本の大手IT企業やSIerでの勤務経験があり、日本語能力試験2級相当の語学力を持ち、また英語に精通しているエンジニアも少なくない。これにより、日本語から英語、英語から日本語のローカライズに柔軟に対応する体制も構築することができる。そしてもうひとつ、ベトナム現地ブリッジエンジニアや現地システムエンジニアを顧客の専任開発チームとして月額費用固定で開発する「ラボ型開発モデル」、日本人のプロジェクトマネージャーが中心となり現地のブリッジエンジニアや現地のシステムエンジニアと協力して開発を行う「受託開発モデル」と、開発方法を選択できるのも大きなポイントといえる。スピードやコスト、開発内容、契約期間といった各種用件に応じて、最適なオフショア開発環境が構築できるのである。○各業界大手も採用する納得の実力それではここで、セタ・インターナショナルがこれまでに手がけてきたオフショア開発事例を紹介しよう。●ガリバーインターナショナル中古車流通の最大手ガリバーインターナショナルは、日本で成功したビジネスモデルを海外、特にASEANへの展開を急速に進めている。同社はスピード感を求められるグローバル環境のなかで、ラボ型開発を選択した。海外展開を進めるにあたっては、社内のツールを外部ベンダーと共有し、開発スタイルを進化させることが必要だと強く感じていたが、日本のベンダーは自社のスタイルを変えることに難色を示す。セタ・インターナショナルは同社の採用するツールを共有することをすぐに快諾。結果、スピード感ある対応を実現できたとのことだ。(「SETA MAGAZINE May 2015 Vol.1より引用)●ゴルフダイジェスト・オンラインゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO)といえば、ゴルフ好きなら誰もが知っている企業だ。リテールビジネス/ゴルフ場ビジネス/メディアビジネスを展開する同社では、約10年前から中国やインドでのオフショア開発にトライしていたが、現在セタ・インターナショナルに集約されている。その主な目的は、多様化するシステムの膨大な運用・保守や追加開発作業をアウトソーシングするため。運用保守では、一定規模の開発案件と比べてより細かい単位の作業が求められる。そこでGDOでは、2011年にセタ・インターナショナルのラボ型開発を採用。細かな保守作業の依頼に加え、ナレッジを蓄積できる環境の構築により、品質やスピードの向上が図れたそうだ。●ウェザーニューズウェザーニューズでは、BtoBビジネスの拡大や海外進出にあたり、開発体制の強化が求められていた。同社ではこれまで「オフショア開発=コスト削減」のイメージが強かったが、品質を重視するセタ・インターナショナルのオフショア開発を知り、開発体制の強化に有効な手段だと感じたという。こうして同社では、ラボ型開発を採用することとなった。ラボ型開発のメリットは、勤勉なエンジニアを固定できる点にある。彼らは気象・天気について積極的に学び、良いものを作り上げたいという気概が伝わってくるそうだ。また、突発的な変更などが発生した際、迅速に対応できるのも人員固定のメリットとなっている。このように、セタ・インターナショナルが展開する低価格かつ高品質なオフショア開発は、企業にとって非常に大きな力となってくれる。特に、ITエンジニア不足がより深刻化する日本において、今後そのニーズは確実に増していくだろう。
2015年05月22日日本マイクロソフトは5月21日、パブリッククラウドサービス「Office 365(クラウド プロダクティビティ スイート)」を日本郵船グループが導入すると発表した。出張や移動が多くても高い生産性で業務を遂行できる効率的なワークスタイルの確立に向け、230ヵ所を超える拠点のグローバルコミュニケーション基盤として活用する。サービス利用は2015年8月から順次開始し、3年後を目標に日本郵船グループ全体、約3万ユーザーへの展開を予定している。日本郵船グループは 新中期経営計画において、「事業の差別化戦略」「コンプライアンス徹底」を挙げている。今回のOffice 365導入により、3M(ムダ、ムラ、ムリ)削減を通じた現場レベルの効率化、およびツール間、部門間を横断したデータのアーカイブ化によるグローバルでのコンプライアンス遵守体制整備を実現するという。Office 365の採用にあたっては、マイクロソフトの世界有数のサイバーセキュリティ対策の経験・ノウハウ・ソリューションを保持し、その検知をデータセンター運営やOffice 365 のセキュリティ対策に反映していることクラウドの管理面やサービスの運用面、特に障害の予兆検知や、高い耐震性を誇る日本データセンターにおけるサービス提供含め、自然災害にも充分に対策し安心・安全なサービス体制を構築していること顧客データのプライバシー保護の原則を徹底する姿勢コミュニケーション基盤全体を横断的に監視することのできるOffice 365の統合的なコンプライアンス管理などが評価され、日本郵船のグローバルコミュニケーション基盤として採用が決定した。日本マイクロソフトは、日本郵船グループが進めるグローバルコミュニケーション基盤の統合に加え、今後の拡張として検討されているKnow Who(従業員スキル情報の有効活用)やSNSを利用したコラボレーションなど、日本郵船グループ全体のワークスタイル変革、および持続的成長に繋がる活動のパートナーとして引き続き貢献していくとしている。
2015年05月22日どこかで聞いたことのある話の受け売りをしたり、あるいは直感だけに頼った意見を述べて、教師や上司から「もっと自分の頭で考えろ!」と言われてしまったことはないだろうか。「自分の頭で考える」という言葉はよく目にするが、では自分の頭で考えるために具体的にどうすればいいかと問われると、困ってしまう人が少なくない。とりあえず頭を抱えて1時間ぐらい唸ってみさえすれば外見上は自分の頭で考えているように見えるかもしれないが、そうやって唸ったところでどこかで聞いたことがあるようなありきたりな結論しか出てこないことは十分ありうる。そもそも、この「自分の頭で考える」とはどのような思考法のことを指しているのだろうか?このような疑問を抱いたことがある人には、今回紹介する『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』(苅谷剛彦/講談社+α文庫/2002年5月/880円+税)を強くおすすめしたい。本書のタイトルでもある「知的複眼思考法」とは、自分自身の視点からものごとを多角的に捉えて考え抜く思考法のことだ。これはつまり「常識にとらわれず、自分の頭で考える」ことにほかならない。自分の頭で考えたくてもどうすればよいかわからず途方に暮れている人や、自分の頭で考えているつもりなのにどこかで聞いたことがあるようなありきたりな結論しか出せないことに悩んでいる人は、ぜひ本書を手にとってみてほしい。「考える」ことについての認識が大きく変わるはずである。○氾濫する「紋切り型の決まり文句」本書が目指すのは、常識にとらわれたものの見方から脱却し、ものごとを一面的にではなく多面的に見られるようになるための基礎を築くことである。では、ここでいうところの「常識にとらわれたものの見方」とはなんだろうか。たとえば、僕たちの周囲には「紋切り型の決まり文句」が溢れている。本書に載っている例をいくつか挙げると、「今は情報化の時代だから……」「グローバル化の進む現代の日本では……」「今の日本は『構造改革』が必要だから……」などなど、誰もがこういったフレーズを、一度ぐらいはどこかで耳にしたことがあるはずだ。こういった紋切り型の決まり文句は、新聞やテレビ、書籍、インターネットの記事などに頻出している。頻出しているので、いつしかこれらの決まり文句が意味する内容について深く考えたり疑ったりすることがなくなっていく。最終的には、こういったフレーズを目にした時の反応まで型にはまったものへと固定されてしまう。たとえば、「グローバル化の進む現代の日本では……」という字面を目にして「これからのビジネスパーソンは英語が必須だ」という反応をするのは一面的には正しいかもしれないが、そこで思考停止して他に何も考えなくなってしまうのは「常識にとらわれたものの見方」から脱却できていない状態だといえる。「常識にとらわれたものの見方」から脱却するためには、こういった耳障りのいい紋切り型の決まり文句をそのまま受け入れてしまわないことが大切である。事実や根拠が示されていないフレーズは、いくら聞き慣れていても疑ってみなければいけない。○創造のために批判的に本を読むこのように、複眼思考において「鵜呑み」は厳禁である。これは読書をする際にも当然気をつけなければならない。自分の複眼的視点を手に入れるために読書をするのであれば、本に書かれていることをすべてそのまま受け入れてはいけない。著者と対等な立場に立ち、批判的に読む必要がある。もっとも、ここでいう「批判的に読む」というのは、著者の人格を否定して攻撃的に非難しながら読むことではない。ネット上などではこの点を混同している人を見かけるが、ここでいう批判的というのは著者の思考の過程をきちんと吟味しながら読むことである。論理の飛躍はないか、主張を裏付けるためのデータは十分に提示されているか、反対意見への反論が書かれている場合それが正しく否定になっているか、著者がその本を書いた狙いはどこにあるのか、などをよく検討しながら読み進めていけば少なくとも書いてあることを「鵜呑み」にして思考停止状態に陥ることは避けられる。このような批判的読書は、結果的に自分の意見を創造すること、つまり自分の頭で考えることにつながっていく。今まであまり批判的に本を読んだことがなかったという人は、ぜひ本書でこの「創造のための批判的読書法」を学んでみて欲しい。読書によって得られるものが格段に増えるようになるはずだ。○インターネット時代だからこそ自分の頭で考える訓練を本書の初版が発売されたのは1996年のことで、今から約20年前ということになる。20年前と比べると、現代はインターネットの発達によって手に入る情報の量が格段に多くなっている。とりあえずGoogleの検索窓に知りたいことを入力すれば、なんとなくそれらしい情報は手に入る。もっとも、受け取った情報をそのまま鵜呑みにすると痛い目にあう。「自分の頭で考える」必要性は20年間でますます強くなってきている。本書で紹介されている知的複眼思考法は、インターネット上の情報に接する際にも当然ながら役に立つ。身につけておけば、時代に左右されず一生使える思考法になるに違いない。日野瑛太郎ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。
2015年05月22日日本のものづくりが危機に瀕している。韓国や中国のメーカーが台頭するなか、かつてのように品質やサービスの高さを武器に世界と戦っていくことが難しくなってきた。そんななか、「IoT(モノのインターネット)は日本のものづくり復権のカギになる」と主張するのがKiiのCEOの荒井真成氏だ。Kiiは先ごろ、世界最大の携帯機器卸である米ブライトスターとIoT分野のグローバル企業連合「Space」を発表した。すでに、アリババやソフトバンク子会社を含む多くの企業が参加を表明しており、Kiiはこの「Space」を通じ日本発のIoTプラットフォーマーとして、日本企業がIoT分野でグローバル展開を進めることを支援する構えだ。そこで荒井氏に日本の強みを生かすIoT戦略のポイントを聞いたので紹介する。○IoTブームは残り1年半「IoTをめぐる今の状況は、インターネット勃興期と非常によく似ています。当時、『良い面も悪い面もあるが、とにかく作って世に出してしまえ』と、Webブラウザを中心に、さまざまな企業が市場に参入して、どんどんと盛り上がっていました。現在、シリコンバレーでもIoTのイノベーティブなソリューションが数多く生まれ、スタートアップに対する投資が大流行しています」と荒井氏は、シリコンバレーにおけるIoTの熱狂について話す。この熱狂の背景にあるのは、センサー技術やデータ解析手法の発展だ。モノや考え方自体は以前からあったものだが、より小さく精密、精緻かつ安価になったことで、モノが生み出す可能性が爆発的に広がった。さらに、オバマ政権下での医療保険制度改革や、医療分野での民間財団の取り組みの進展が、ヘルスケア分野でのIoTデバイスの活用に拍車をかけているという。「IoTブームの特徴は、かつてのように1社が独占的にソリューションを作るのではなく、さまざま分野に強みをもつ企業が集まり、全員参加型で作り上げている点です。まったく経験のない人たちがアイデアを出しクラウドファウンディングを使って投資を募るケースにおいては、誰もが参加できる状況です。かつて我々の業界でIoTと言えばInteroperability Testing(機器の相互運用性テスト)のことでしたが、今ではそう言って通じる人はいませんね(笑)」(荒井氏)そう語る荒井氏は、1995年に設立された米インテリシンクの創業メンバーとして、モバイル端末向けのデータ同期サービスを黎明期から支え、同社のプロダクトマーケテンィグ担当副社長として日本の代表も務めた。のちにインテリシンクはノキアに買収されたが、2007年にノキアから事業バイアウトする形でKiiの前身となるシンクロアを創業。2010年に米国企業を買収したのを機にKiiと名称変更して、モバイルアプリやIoT向けのプラットフォームのグローバル展開を進めた。モノがインターネットにつながる時代の到来は当時から予期しており、そのビジョンは今、急速に具体化しつつあると語る。「Webブラウザを中心にしたインターネットのブームがはじけるまでおよそ3年。その3年の間に技術の進化があり、マネタイズの仕組み等のさまざまな課題を乗り越え、今につながるエコシステム(生態系)が形づくられました。同じように考えると、現在のIoTブームが落ち着いて、将来が見えてくるのは約1年半後。2016年の暮れからは、新しいエコシステムが具体的に動き始めるでしょう」(荒井氏)○求められる「すり合わせ」と「作りこみ」そのうえで荒井氏は、IoTが日本のものづくり復権のカギになると指摘する。日本のものづくりの強みは、すり合わせと作り込みとだと言われていたが、現在では、それらが通用する製品分野ほとんどなくなったと言われるようになって久しい。また、近年多くの製品分野で、アイデアの商用化に長けた米国や、安い原価で大量に製品を製造する能力を持った中国に市場を奪われてしまった。だが、IoTでは、日本企業が得意とする、すり合わせや作り込みがまだまだ生かせるのだという。「IoTデバイスを実際に試してみるとわかります。米国でこれまでに発表されたものの中には、完成度が低すぎるものが多くあります。たとえば、セットアップに苦労するWebカメラやLED電球。苦労して使えるようにしても、身につけているだけで痛くなるウェアラブルデバイス。数週間使ってみても、なぜそれを身につける必要があるのかわからないヘルスケアデバイス。きちんとものを考え、国や地域ごとに何を出せばいいのかを調べ、製品を世界に展開してきた日本企業の経験は、IoT分野で必ず生きてきます。むしろ、今がチャンスです」(荒井氏)荒井氏が"最高のコンビネーション"として挙げるのが、国を超えて企業が連携していくソリューションだ。たとえば、ビジネスモデルはそれを得意とする米国企業にまかせ、同じく製造はそれを得意とする中国企業にまかせる。日本企業は、製品を最後まで"作り切る"ことや顧客サポートなどのきめ細かいサービスやノウハウの提供に力を注ぐ。そのようにして、それぞれのいいとこ取りをすることで、消費者が望む100%に近い製品をつくり上げるというわけだ。実際に、海外企業から日本企業の作り込みのノウハウを求める声は多いという。たとえば、シリコンバレーのある企業では、音を分析してそこに何が起きているかを判断できる分析アルゴリズムを持っている。そのアルゴリズムを日本企業と共同開発することで、留守中の自宅の音を分析して子どもの帰宅を確認したり、不法な侵入者を検知したりするソリューションに仕上げていこうとしているケース等があるという。また、子どもの誘拐が多い中南米市場向けに、子どもの動きをみまもるデバイスを提供しようという企業もある。フィンランドのHaltianというノキアからスピンアウトしたIoTデバイス専業会社だが、サービスの作り込みの部分で、Kiiをはじめとした日本企業と共同開発を行っている。一般的に日本では企業間連携や資金調達の場が不足していると言われている。しかしながら、米国の有名なクラウドファウンディングサイトKickstarterに刺激されたクラウドファンディングサイトなども多数出てきた。ソニーがシリコンバレー型ファンドWiLと合弁会社Qrioを作り、「Qrio Smart Lock」というインターネット連動の鍵を開発中なのは好例であろう。DMMが手がける「DMM.make」でもIoT事業の育成をしているし、富士通はシリコンバレーの製造業インキュベータであるTechShopを今年中に日本でオープンすると発表している。○IoTソリューション成功のための5大要素荒井氏は、IoTソリューションを成功に導くには、大きく5つの要素が必要だと説明する。5つの要素とは、技術、製造、流通販売、ビジネスモデル、開発だ。1つめの技術については、主にソリューションを提供するためのクラウド基盤やフロント、バックエンドのサービスを指している。IoTの領域では市場の反応を見ながら、速やか且つ柔軟にサービスを更新し続けることが大切で、サービスを他社と差別化するために、フロント部分の技術にリソースを注ぎ、バックエンド側を実績があり、多くの顧客を抱えている専門家から外部調達する方がよい。2つめの製造というのは、デバイスの製造のことだ。アイデアがあっても、それを試作したり、大量生産したりできなければ、製品としての意味はない。これまではプロトタイプ向けの金型を作るだけでも多大な投資が必要だったが、3Dプリンター等でそれが容易になった。また、台湾や中国などでOEMメーカーとして経験を積んだ企業が、低価格で金型の製造から生産までをサービスとして提供するようになってきた。そうした企業とどう連携するかがポンイトだ。3つめの流通販売は、つくった製品を流通させる段階で必要になる要素だ。新製品で新しいチャネルを立ち上げることは予想以上に手間とコストがかかる。これはスタートアップだけでなく、大手企業にとっても難しい課題で、特に、世界最大の市場と期待される中国については、法規制や独特な慣習がネックになる。また、流通販売は、4つめの要素である、ビジネスモデルともかかわってくる。4つめのビジネスモデルは、日本企業が不得手とされてきた部分だ。IoTソリューションは、デバイス単体で存在するのではない。従来のように製品を売って終わりではなく、月額課金が可能なモデル等が出てくることも考えられ、インターネットにつないで、いかにソリューションとしての価値を高めるかが重要になる。そのためには、どのようにビジネスモデルを作り、誰と組んでどう売っていくかが大きなポイントになる。5つめの開発は、いろいろなアイデアを組み合わせて、ソリューションに仕上げるためのパートナー間の連携を意味する。ここでは、デバイス製造メーカー、サードパーティ開発者、プラットフォーマーそれぞれがオープンな環境で協力しあえることが重要だという。「この5つが揃ってはじめてIoTの土俵に乗ることができると考えます。土俵に乗ることで、日本のいいところと海外のイノベーションが組み合わさり、ものづくりは復活していく。Kiiがいま取り組んでいるのは、企業が土俵に乗りやすくするための支援をすることです」(荒井氏)○世界的なIoTエコシステムとしての「Space」Kiiが先ごろ発表したSpaceは、IoTソリューション成功の5つの要素を、企業が簡単に利用できるようにするための"場"という位置づけだ。世界最大のモバイル機器ディストリビューターである米ブライトスター(Brightstar)の販売網、中国アリババ(Alibaba)の持つEコマースプラットフォームやKiiのクラウドの利用、そしてソフトバンクをはじめとする各国の携帯通信事業者と連携することで、世界規模での一貫したエコシステムを構築した。このエコシステムを利用することで、アイデアの具体化から、製造、流通、販売、サポート、すり合わせ、作り込みまでを一貫して行うことが可能になる。たとえば中国では、以前よりグレートファイアウォールと呼ばれるITネットワークと法規制の障壁があったため、その他の地域と共通の品質での提供が難しかった。しかし、Kiiのとアリババの提携により、このクラウド環境を利用することで、Space上に構築した他のクラウド環境と共通の物を提供することができるようになるという。また、製造や流通販売については、Spaceを活用して、これまで以上にスムーズな展開が可能になるという。特に、製造については、台湾のインキュベーターHWtrekや、中国深センのFoxconnのインキュベーションセンターSyntrend等と提携しており、これらを活用して、プロトタイピングの支援や製作を行うことができる。世界展開については、米ブライトスターの流通販売網を活用することができる。ブライトスターを通じ、通信キャリアの課金システムを使えば、月額課金も可能になる。「Spaceにより、これまで離れていた人同士が繋がるようになります。これまでになく革新的なソリューションがさらに生まれるはずです」(荒井氏)その他、詳しくはまだ明かせないとしつつも、現在、Spaceのエコシステム上では、子ども、教育、省エネをテーマにこれまでにないソリューションの開発が急ピッチで進められているところだと話す。荒井氏が予測するように、IoTはさらに大きなうねりとなり、1年半後には新しいエコシステムが構築されていくはずだ。このことは、日本のものづくりを復権させるという点でも、日本企業にとって大きなチャンスになると言えそうだ。
2015年05月22日地図や情報検索などが手元で行えて、海外旅行中も何かとお役立ちなスマートフォン。しかし、不用意に海外で使えば高額請求のリスクも……。海外でスマートフォンのデータ通信を利用するには、いくつかの方法がある。今回は、"モバイルWi-Fiルーター"を活用する方法を紹介したい。○モバイルWi-Fiルーターって?Wi-Fiルーターとは、インターネット回線を無線LAN接続するための端末のこと。インターネットにつながったWi-Fiルーターをいわば基地局として経由して、パソコンやスマートフォン、ゲーム機など無線LANに対応した機器を接続することにより、インターネットにつなぐことができる。海外で使用する際は、滞在国に対応したモバイルWi-Fiルーターを出発前にレンタルするのが確実で手っ取り早い。現地到着後すぐに利用できるのもメリットだ。海外用のモバイルWi-Fiルーターをレンタルする方法としては、ネットまたは空港で申し込むのが一般的だ。ほとんどのサービス会社が主要な国際線空港での受け取りに対応しており、早めに申し込めば渡航前日までに自宅に配送してくれることも。料金は日数や渡航先によって異なるが、渡航先によってはレンタルできる端末の在庫がない場合もあるので、できれば早めに手配をしておきたい。○事業者は特徴や対応国もさまざまなお、海外用モバイルWi-Fiルーターのレンタルサービスを提供している主要な事業者と特徴は以下の通りだ。■グローバルWiFi業界最多の200以上の国と地域に対応。成田、羽田、中部、関西、福岡、新千歳、新潟、小松、那覇の各空港で受け渡しが可能な他、ハワイ、台湾、韓国でも受け取れる。国別の期間限定キャンペーンも実施している。■Wi-Ho130ヶ国以上に対応。滞在国1ヶ国用、ヨーロッパ40ヶ国、世界130ヶ国以上で使えるWi-Fiルーターを選んで、それに応じて1日あたりの料金が設定されている。成田、羽田、関西の国際線ターミナルで受け渡しが可能で、宅配の場合も送料が無料。■グローバルデータ(イモトのWiFi)対応国は175ヶ国。滞在1ヶ国の「カントリープラン」、対応国すべてで接続可能な「世界周遊プラン」、ヨーロッパ40ヶ国で使える「ヨーロッパ周遊プラン」がある。受け渡し可能な空港は、成田、羽田、中部、関西、福岡の各空港。■エクスモバイル170ヶ国に対応。「1ヶ国専用プラン」「ヨーロッパ周遊コース」「ビジネス世界周遊コース」の3つの料金コースがある。成田、関西空港で受け渡しができ、羽田、中部、福岡、新千歳の各空港では受け取りのみ可能。どの事業者を選ぶかは、滞在予定の国や地域、滞在予定時間や利用空港などに応じて、よく考えて決めたい。プランにあったWi-Fiルーターで快適な海外旅行を楽しもう。
2015年05月22日ヤフーは21日、ソフトバンクのバイスチェアマンを務めるニケシュ・アローラ氏を新取締役会長とする役員人事を発表した。現取締役会長の孫正義氏は取締役に退く。ニケシュ・アローラ氏はソフトバンクの孫正義代表の後継者として、孫代表に指名された人物。もともとは米Googleの経営陣の一人として活躍し、2014年にソフトバンクに参画、ソフトバンクのバイスチェアマン、米国で設立されたSoftBank Internet and Media,Inc(以下、SIMI)のCEOとして活動してきた。ソフトバンクでは7月11日に、グローバル企業への変革を進めるために「ソフトバンクグループ株式会社」に称号変更し、新会社のなかで同氏は孫氏につぐナンバー2の位置につく。そして、ヤフーのなかでも要職を務めることになる。今回の新人事の狙いについて、同社では、「ニケシュ・アローラはグローバルな広い知見とともに、インターネット事業への深い知識を有しております。インターネット企業としての企業価値最大化のために招聘いたします」としている。なお、今回発表の人事は、6月18日開催予定の定時株主総会で承認されることを前提としたものとなる。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年05月21日●基本的には同一ソニーモバイルが4月20日に発表した「Xperia Z4」(以下Z4)は、日本のスマホメーカーとしては異例とも言える、キャリアの発表前の発表が話題になったが、蓋を開けてみれば国内の三大キャリアすべてから登場することとなった。ここではNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルから販売されるXperia Z4を比較していく。○本体は基本的にどれも同じまずは本体の外見から見てみよう。当たり前といえば当たり前だが、基本的にすべて同じデザインだ。実は前モデル「Xperia Z3」(以下Z3)のときは、キャリアによって扱うスペックの数値が微妙に異なっていたのだが、これはキャリアによって測定方法が異なるため、測定値にも差が出てしまっていたとのこと。今回は全社共通のスペックになっている。外見上の違いは、ロゴの入り方で見分けられる。ドコモ版Z4は、背面中央にキャリアのロゴが入り、のロゴは下端部に移動している。au版Z4はXPERIAロゴが中央に、キャリアロゴが下端に来ている。一方ソフトバンク版は中央にソニーロゴ、下端にXPERIAロゴと、ソニー製品であることを全面的に主張している。また、おサイフケータイや周辺機器向けにFelica/NFCを搭載しているが、ソフトバンクのみNFCロゴになっている。このあたりの理由をソフトバンクの発表会場で確認してみたところ、グローバルモデルに合わせたという話だった。カラーリングを含めて外見はほとんど同じなため、どれを選んでも大差はないが、強いて言えばキャリアロゴの入っていないソフトバンク版が中古端末市場などで人気が出るのではないだろうか?●プリインアプリの違いは?○ソフトウェア的な違いは?最近は以前ほどではなくなったものの、キャリアが提供するさまざまなアプリがプリインストールされている。このあたりはSIMロック解除が義務付けられたとは言っても変わらないようで、Z4でもキャリアのアプリがいくつか入っている。もっとも、たとえばドコモのdビデオなどのように、別キャリアからでも利用できるようになったサービスが多いため、MNPなどでキャリアを変えてもあまり影響は大きくないだろう。ソニーによるプリインストールアプリについてはほぼ共通だが、au版Z4のARカメラにのみ、au向けのダウンロードコンテンツが用意されているとのことだった。これについては端末ごとにキャリアを識別する仕組みがあり、仮にMNPしても、au版のXPERIAでしかダウンロードできないとのこと。どうしてもこのコンテンツだけは外せない! という方がいらっしゃれば(……滅多にいないと思うが)au版を狙うといいだろう。●通信面での違いは?○通信部は別パーツ? それとも同一?3キャリアで異なる可能性がある部分といえば、通信機能を司る無線モデムのチップだろう。ドコモ版とau版はそれぞれLTE-Advanced(PREMIUM 4G)やWiMAX 2+による下り最大225Mbps通信を、ソフトバンク版は4G LTEで下り最大187.5Mbps、4Gで下り最大165Mbpsでの通信に対応する。ちなみに、ソフトバンクの「4G LTE」とはFDD-LTEを使った通信で、先日までは112.5Mbpsだったものが、キャリアアグリゲーション(CA)によって187.5Mbpsに向上した。また「4G」のほうは、旧ウィルコムから受けついだAXGPをCAで使うことで165Mbpsに到達する。AXGPは技術的にTDD-LTEに近いため、実質TDD-LTEと言ってもいいだろう。LTEについては全キャリア基本的に共通の方式(FDD-LTE)だが、WiMAX 2+やSoftBank 4Gなど、他社がサポートしない通信方式もある。また3Gの通信方式はドコモとソフトバンクがW-CDMA、auがCDMA 1X WINと分かれており、2つの通信方式の間に互換性はない。このため、iPhone 6など一部のグローバル端末の例外を除き、メーカーはキャリアごとに専用の端末を製造していた。これが、SIMロックを解除しても、MNPに実質使えないという事情になっていたわけだ。ところが、この5月からユーザーが希望した場合、キャリアにはSIMロックの解除が義務付けられた。こうなれば、わざわざキャリアごとに内部を分けて製造する必要性はなくなる。グローバル端末のように全周波数帯をサポートする無線モデムを搭載したほうが効率がいいはずだ。各社の発表会で担当者を捕まえるたびにSIMロック解除後の対応について確認したのだが、ハードウェア的に対応していても、キャリア側でどの周波数帯を使えるようにするか、設定ファイルはどうするかといった問題もあり、まだ彼らもどうなるかはよくわからないという。Z4自体は強力なカメラ機能や極薄軽量ながら防水防塵を実現するなど魅力的な端末でもあり、MNPをするにしても、愛着を持って1台を長く使っていきたいという人も多いだろう。SIMロック解除が義務付けられても、端末側がサポートしていないのでは仕方がない。どうなるかは未知数だが、ユーザーにとって都合がいい方向に転がってくれることを祈るばかりだ。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年05月20日ペンタセキュリティシステムズは5月18日、同社の主力製品であるWebセキュリティソリューション「WAPPLES(ワップル)」が発売10周年を迎えたと発表した。同社は1997年に韓国で創立し、当初PKIソリューション、侵入検知システムなどを開発。2004年3月に主力製品の1つであるデータ暗号化ソリューションの「D’Amo(ディアモ)」、そして2005年4月に「WAPPLES」の提供を開始した。企業のデータ保護のみならず、韓国政府の行政電子署名システムの構築なども手掛けている。国外へは、2006年より日本、東南アジア、オーストラリアなどへ提供している。WAPPLESのファイアウォールは、独自開発の論理演算検知エンジン(COCEP、Contents Classification and Evaluation Processing)を利用し、Webアプリケーション(WAF)として機能する。当時、ファイアウォール製品の多くがネットワークファイアウォールであったため、ほかとは一線を画す存在であった。WAPPLESの累積出荷台数は、2015年1月時点で2500を突破し、世界の17万のWebサイトを保護している実績を持つ。韓国国内での2011年から2014年までの受注金額ベースの平均シェアは68%で、WAF市場でトップを維持している。保有するセキュリティ研究所は、韓国国内外にて特許(ルール基盤Web攻撃検知、Webアプリケーション攻撃の検知方法など)を取得した。PCI-DSS、韓国国家情報院セキュリティ適合検証、国際CC EAL4などの評価機関から認証を受けている。米国のIT市場調査機関であるフロスト・アンド・サリバンから2年連続で「今年のWAF」を受賞するなど、グローバル市場でも高く評価されている。今後の展開について同社の最高技術責任者のDS Kim氏は「セキュリティ分野とは無関係な人でもWebセキュリティに無知な人でも使えるようなWAFを目指す」とコメントし、WAF市場のさらなる拡大を目指す。その一環として、2015年よりクラウド型WAFサービスのcloudbric(クラウドブリック)のグローバル展開、IoTセキュリティR&Dセンターを設立した。
2015年05月20日オンライン決済システムを提供するStripe(ストライプ)は5月19日、日本市場向けに招待制ベータ版のテスト運用を開始することを発表した。また、サービスの提供開始に先立ち、6月にストライプジャパンを設立し、年末にかけて段階的にプロダクトを提供していく。グローバルにオンライン決済サービスを提供することを目指している同社の決済システムは、TwitterやFacebookのほか、クラウドファンディングサービスのKickstarter(キックスターター)といった企業に採用されている。日本での招待制ベータ版の公開はAPAC市場への進出の足がかりとしている。Stripeは、三井住友カードと提携して、既存システムと異なる決済プラットフォームを日本の顧客向けに提供。これは世界の通貨に対応しており、正式リリース時には約130以上の通貨に対応予定。このシステムにより、日本の事業者は世界中どこからでも瞬時に決済できる。さらに、同社のプラットフォームには、様々な情報を可視化して管理できるデジタル・ダッシュボード機能も搭載されており、収益計算、チャージバック管理、銀行口座への入金確認などの事務処理にかかる手間やコストを軽減することができるとしている。Stripeは世界中の金融機関と連携しており、国内外における様々な決済をワンストップで行えるグローバルなプラットフォームを構築し、また、関連法令に準拠し、本人確認、個人情報保護、セキュリティなどの面においても万全な体制を整え、安全なオンライン決済環境を提供するとしている。
2015年05月19日日立ソリューションズは5月18日、グループ会社であるHitachi Solutions Americaの子会社として、Hitachi Solutions Asia Pacificを設立したと発表した。新会社は、ERP製品「Microsoft Dynamics AX」やCRM製品「Microsoft Dynamics CRM」、フィールドサービス効率化システム「Field Service Automation」のシステム構築に関わる東南アジアの拠点となる。日立ソリューションズはHitachi Consultingから欧米のグループ会社にMicrosoft Dynamics事業の移管を受け、10月にはHitachi Solutions AmericaにMicrosoft Dynamics事業のグローバル統括推進センタ「Global Center of Excellence」を設置し、欧米と日本、中国、インドで事業を展開してきた。今回、世界規模で企業のグローバル化が加速するなか、東南アジアで増加する欧米や日本などの外資系企業からの引き合いに対応するため、新会社を設立したという。新会社は主にシンガポールやマレーシア、タイにおいて、Microsoft Dynamics製品の導入コンサルティングを行う。また、Microsoftと戦略的に協力し、関連製品やサービスの開発を進めるHitachi Solutions India Pvtが同地域にシステム構築や運用保守サービスを提供する。
2015年05月19日野村総合研究所(NRI)とNRIセキュアテクノロジーズ、トレンドマイクロの3社は5月18日、アマゾン ウェブ サービス(AWS)を利用するグローバル企業のための情報セキュリティに関する手引書を共同で作成したと発表した。26日より無償で提供する。グローバルにビジネス展開をする企業が、各国に安全かつ高品質な情報システムを準備する場合、AWSなどのクラウドインフラを利用することで、その実現を容易にできる。しかし、企業は各国が定めるセキュリティ確保やリスク管理への対応しなくてはならず、従来はその負担が課題となっていた。3社が提供する手引書は、多くのグローバル企業が重要拠点と位置付ける国の政府・業界団体のリスク管理規定を踏まえて作成される。これを活用することで、AWS環境下で情報システムを構築する際、具体的に実施すべき事項が明確となり、作業負荷の軽減が期待できる。第1弾として、アジア・パシフィック地域でビジネス上の重要性が高いシンガポールでの手引書作成が始められている。基準の厳しい金融情報システム向けMAS-TRMガイドラインへの対応が目標だ。今後3社は、アジア・パシフィック地域において、金融以外の業種に関するリスク管理ガイドラインについても同様の手引書を作成し、日系企業のビジネスをサポートする予定だという。
2015年05月19日