東芝は5月18日、グローバルでの、より質の高いリード獲得を目的として、新たにLinkedInが提供するマーケティング・ソリューション「LinkedIn Lead Accelerator」の活用を開始した。同社は、LinkedInや海外媒体でのネイティブアドを活用したBtoB事業に関連するコンテンツの流通や、検索エンジン最適化、見込客の獲得などをマーケティング・プラットフォームのHubSpotで統合管理している。今回の「LinkedIn Lead Accelerator」の活用により、ターゲット見込客に対し、属性やサイト訪問履歴に基づく関連性の高いコンテンツと広告をタイムリーに提供することが可能となり、長期的な関係を構築する仕組みをつくることができるという。同社は今後、LinkedInやネイティブアドを、グローバルでのブランディングから見込客創出・獲得といった各ステージに合わせ活用し、BtoB事業の取り組みをグローバルでさらに推進していきたい考えだ。
2015年05月19日東京海上日動火災保険はこのたび、日本商工会議所の会員向けに海外PL保険の団体制度(制度名称:グローバルプロテクト)を7月1日から開始すると発表した。海外に進出する中小企業は年々増加しているという。政府も「新成長戦略」において中小企業の海外展開を重要な政策課題と位置づけ、「中小企業海外展開支援大綱」に基づき積極的に支援している。一方、中小企業にとって海外展開はリスクと隣り合わせであり、なかには製品の品質をめぐり訴訟に発展する場合もあるとしている。こうしたリスクへ備え、中小企業の海外展開を支援するべく、同社と日本商工会議所は、会員企業向けに海外PL保険の団体制度を設計するという。○グローバルプロテクトの概要加入対象:各地商工会議所の会員事業者(事業者単位に任意加入)保険期間:7月1日から1年間(募集開始は5月から)補償の内容:(1)日本国外で発生した生産物に起因する対人・対物事故について、被保険者に対して損害賠償請求がなされたことによって損害に対して法律上の損害賠償金や弁護士報酬等の費用を保険金として支払う。(2)生産物回収費用(リコール費用)も5万ドルまで自動補償する。(3)同社が訴訟対応や示談代行などを行い、被保険者をサポートする○グローバルプロテクトの特徴充実した補償内容部品・原材料メーカーが国内の完成品メーカーに販売した製品が完成品に組み込まれて輸出された場合でも、追加保険料なく自動補償されるので、様々な品目で加入しやすい制度設計となっている。また、製品の輸出を検討している中小企業は、輸出前段階において海外現地で展示会や商談会等を開催することがあるが、このときの来場者や取引先にケガなどを負わせた場合の賠償責任も補償する。さらに、海外で製品を販売したときに、万が一その品質に不具合があれば現地当局から製品のリコールを命じられる場合があるが、こうした場合の回収費用や廃棄費用を100万ドルまでオプションとして補償する割安な保険料水準日本商工会議所の団体制度であるため、通常に加入するよりも大幅に割安な保険料で加入できる
2015年05月18日高速なソフトウェア構成管理(SCM)ツールを開発し世界中の企業に提供しているPERFORCE SOFTWARE。同社のグローバルマーケティング担当副社長、クリス・フーバー氏と、アジア・太平洋・南米地区のセールスディレクター 、マイケル・アレッシオ氏に、現在のソフトウェア開発の課題と、その解決策について話を聞いた。○高速なソフトウェア構成管理ツールで市場を席巻──まずはPERFORCE SOFTWAREについてご紹介いただけますか。マイケル氏当社は1997年に、クリストファー・セイワルドによって設立されました。彼はそれまでデータベース関連の仕事をしていて、ある頃から、ソースコードの活用が十分にできないことに疑問を感じるようになったのです。そこで、当社を立ち上げて高速なソフトウェア構成管理ツールを開発・提供したところ、市場から高く評価され、事業は目覚ましい成功を収めることができました。おかげさまで設立以来、すべての四半期で高い業績を継続し続けています。現在、我々は3つの大陸の4地域でビジネスを展開しており、顧客はグローバルで10,000社以上に及んでいます。またその多くが世界的に名高い企業ばかりなのも特徴です。──日本でのビジネスはいつ頃から展開しているのですか。クリス氏2001年に、東陽テクニカさんからアプローチを受け、それを契機に日本でのビジネス展開がスタートしました。以来、東陽テクニカさんとのパートナーシップは続いており、我々の製品を日本語で使えるようにするなど、さまざまな支援を受けています。そうした支援は、2015年3月5日にリリースされた日本語でリリース予定の新製品「Perforce Helix」にも生かされています。日本市場では二桁成長を続けており顧客も200社以上となりましたが、そうした成功も東陽テクニカさんとの素晴らしいパートナーシップのおかげだと感謝しています。──ソフトウェア構成管理の必要性についてお聞かせください。クリス氏ソフトウェアというのは、時間をかけて繰り返しの反復作業を行いながら構築するものですが、その作業はとてもデリケートです。なぜならば、人間が話し言葉を間違えるのと同じように、マシンの言語にも間違いが含まれてしまうからです。そうした間違いを確実に、そして効率的に正すためには、ソフトウェア構成管理ツールで統一的に管理しながら修正していく必用があります。特に最近のソフトウェア開発では多くの人間が携わるようになり、多数のコードやブランチが並行して存在します。また、ソフトウェアのバージョンも多岐にわたりますので、ソフトウェア構成管理ツールの必要性はますます高くなっていると言えるでしょう。○IoTで大きく変わったソフトウェア開発──現在のソフトウェア開発には、どのような課題があるのですか。クリス氏いま、ソフトウェア開発の世界では大きな変化が起きています。これまでのソフトウェア開発は、構築してデリバリーを行えば終了していましたが、現在はそうではなくなりつつあります。なぜかというと、ますます多様なオブジェクトのなかにソフトウェアが組み込まれるようになってきているからです。いわゆるIoTが良い例でしょう。IoTのような世界では、物理的なオブジェクトの差別化を、物体のかたちや重量、塗装などではなく、ソフトウェアで行うといったケースがしばしばあるのです。そうなってくると大きな課題となるのが、従来のソフトウェア構成管理ツールはソフトウェアだけを対象にしているため、物理的なオブジェクトへの反映についてほとんど考慮されていないという事実です。またこれと合わせて、CADや動画のような大容量のファイルへの対応が難しいというのも問題です。たとえば、トヨタのプリウスのソースコードは1千万行以上とも言われており、そこには何千もの設計ファイルやデザインファイルなどが紐付いていますが、今やこれらすべてを統一的に管理し続けられるようにしなければならないのです。ここで管理されているファイルは、単に物理的な製品をつくったり、電子回路の設計に必用なものなだけではありません。生産された製品にその後、問題が生じた場合には、その製品を作ったときに使われていたソフトウェアやデザイン、回路の設計図などのバージョンを知る必要があるのです。この問題はとても重要で、たとえば医療機器や航空機なんかを想像していただければわかりやすいのではないでしょうか。そしてさらに大きな問題は、知的財産の保護についてです。自社の多くの設計者やデザイナーらが努力を重ねた結果である知的財産をいかに他社に盗まれないようにするか──これは、もはや世界的な課題となっているのです。○製品開発のためのコラボレーションから知的財産保護まで可能な新プラットフォーム──そうした課題を解決するには、どうすればいいのでしょうか。クリス氏ここまで挙げたような課題のすべてを解決すべく我々が開発し、最近リリースしたのが、「Perforce Helix(以下、Helix)」という製品になります。Helixは、複雑な製品開発のための強力で新しいコラボレーションプラットフォームです。当社が開発し世界で広く知られているバージョン管理エンジンの上にHelixは成り立っており、得たい情報の最新版がどこにあるのかを、プロジェクトに関わるすべての人に提供します。扱うことのできるファイルの種類も、ソースコードやCADファイル、マルチメディア、成果物テンプレートなど、非常に多岐にわたります。これにより、製品開発においてHelixが唯一の正確な情報源となって、デザインファイルやテストファイル、ソースコードといった資産のすべてを管理できるのです。またHelixには、ソフトウェア開発者を支援する各種のツールも用意しています。例えばGitエコシステムや、Dropboxのようなストレージツールなどです。そして特筆すべきは、知的財産保護のための独自の解析ツールを備えている点です。人々がどのように資産にアクセスしているかをモニタリングし、本来やってはいけない行動をしていないかどうか監視することができるのです。このツールには自動学習機能があり、通常業務での資産へのアクセスを日々学習して、異常な行動を検知することが可能です。──最後に、日本の企業へのメッセージをいただけますか。マイケル氏Helixは、あらゆるプロダクトに関連するすべての人々を結びつける役割を担います。そして貴重な資産を保護し、DevOpsにおける継続的デリバリーを可能にします。日本の市場は今後ますます成長していくと我々は考えており、投資を積極的に進めています。東陽テクニカさんとのパートナーシップもさらに強固なものとしながら、より多くの製品の日本語対応を行うなど、日本のものづくりに貢献していきたいですね。
2015年05月15日三越伊勢丹HDは今冬パリの日本文化会館1階(101bis,quai Branly-75015 Paris)にクールジャパン事業の一環として、小型店舗を出店する。店舗面積は87平米で、同社が2015年から新たな企業メッセージとして発信している「this is Japan」を基軸とした「ジャパンプレミアム」のコンテンツのマーケティング、及び今後の検討材料としている欧米の成熟市場に向けた小型店舗出店への情報収集のためのアンテナショップという位置付けで、年内にオープンする予定。2013年に設立された「クールジャパン機構の第一出資社として参画している同社は、2013年2月に若手女性社員チームにより企画されたニューヨークでのポップアップストア「NIPPONISTA」を期間限定でオープン。今冬にはマレーシアのLOT10店のリモデルに際し、同社が展開する「JAPAN SENSES」を軸に全館で日本の優れたモノ・サービスを提案するなど、「クールジャパンによる海外における新たな価値創造」を中期計画の海外事業戦略のひとつとして事業拡大を図って行く方針。なお、国内のインバウンド対応に関しては、今秋に三越銀座店8階のワンフロア3300平米でラグジュアリーブランド、化粧品、ジャパンプレミアムを中心とした市中免税店をオープン。これは、同店のインバウンドの売り上げが全体の15%に達したためで、「百貨店の大分類のなかで15%を超えたということは、そのお客さまに向けた対応が店として必要と判断したため。全社的なインバウンドの売り上げ目標は現段階では未設定」と大西洋・三越伊勢丹HD代表取締役社長執行役員。市中免税店のオープンに合わせ三越銀座店では、グローバルストアに向けた全館再編を行い、長期的に前期(2015年3月期)の売上高744億円から1000億円を目指す店舗として、ジャパンプレミアムの全館展開、販売サービスのグローバル対応、外国人顧客の固定化に向けて再編を図る。
2015年05月13日ガートナー ジャパンは5月11日、日本企業のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)への取り組みに関する調査結果を発表した。調査は、2015年3月にガートナーが国内企業を対象に実施。ユーザー企業、ベンダー企業双方を含むITリーダー(ITインフラに導入する製品/サービスの選定や企画に関して決済/関与する人)515人の回答が得られた。今回、IoTの普及によって「自社の製品やサービスそのものが変わるか」を質問形式で調査。「3年以内に自社の製品やサービスが変わる」との回答は52.3%と半数を超え「変わらない、分からない」を5ポイント上回った。続いて、「IoTを企業がどのように取り組んでいるか」を質問した結果、「その予定はない、分からない、準備中」との回答が91.5%と大半を占めた。一方で「IoTの専門部署ができた」は8.5%に留まった。多くの国内企業は、IoTを実践する体制づくりがまだ進んでいないことが浮き彫りとなった同社は、2014年にグローバルで同様の調査を実施しており、グローバルでは約2割の企業がIoT専門の部署を設置済みだということが判明している。ガートナー ジャパンのリサーチ部門リサーチ ディレクターである池田 武史氏は、「企業はIoTに関する体制づくりを加速させるべき」とコメントし、国内企業のIoT対策への遅れを指摘している。池田氏は、IoTが製品やサービスに直接影響を及ぼすだけでなでんく、売り上げにも大きく影響すると分析している。「IoTの実践に出遅れた企業は、将来的に効率化だけではなく、自社の商品競争力を低下させ、ひいては売り上げの減少を招く可能性がある」と、企業にとってIoTの重要性を示した。なお、ガートナーは5月26~28日の3日間、虎ノ門ヒルズ (東京都港区) において「ガートナー ITインフラストラクチャ & データセンター サミット 2015』を開催する。サミットでは、ガートナーの国内外のアナリストが講演を行い、ITインフラの企画、設計、構築、運用に携わるリーダーがデジタル・ビジネスの時代に向け、なすべきことを提唱する。セッションのテーマには、モバイル、クラウド、ビッグ・データ、データセンター、モノのインターネット (IoT) など。サミットの詳細については、下記のWebサイトで情報を掲載している。
2015年05月12日●今後はインターネットに注力"大企業"に成り下がりたくはない――。ソフトバンクの孫正義代表は、2015年3月期決算説明会で、こんな刺激的な言葉を使い今後の経営ビジョンを語った。○今後は「インターネット」事業に注力孫氏は冒頭、「現在、ソフトバンクは第2のステージに向かう大事な転換期を迎えている」と説明。これまでは、国内および米国における「通信」インフラを整えることに注力してきた同社だが、今後はグローバル規模で展開する「インターネット」事業に注力していく方針だという。具体的には「グローバルで展開するインターネット企業の筆頭株主となり、事業をマネージすることで、戦略的なグループを結成していく」(同氏)。この中心を担う企業として期待を寄せるのが、昨年、米ニューヨーク証券取引所へ上場したことでも大きな話題となった、中国のネット通販最大手「アリババグループ」である。ソフトバンクが約3割を出資するアリババの、2015年3月期 純利益は6,767億円に達する見込み。これは、ウォルマート(世界)の取扱金額に匹敵する規模だ。孫氏は、アリババについて「Eコマース市場で、いまや世界最大の企業となった。しかも、まだ様々な角度で成長できる要素が残されている。いまは燃え盛る炎に薪を足している状況。今後の10年間を、非常に楽しみにしている」と賛辞を惜しまない。日本国内のEコマース市場に目を転じれば、Yahoo! JAPANが順調に成長している。一方、スマートフォン向けのゲーム市場では、ソフトバンクグループ傘下のガンホー・オンライン・エンターテイメントおよびスーパーセルの提供するゲームタイトルが、グローバルランキングで常に上位を維持。このほかソフトバンクが出資する、インド最大のEコマースを運営するsnapdeal.comも、取扱高が前期比301%増と好調に推移。タクシーアプリを提供するOlaも、インドのマーケットシェア80%を獲得するなど堅調に伸びている。決算発表会の場では、インドネシアのtokopedia、アジアのGRABTAXIなども紹介された。●企業が衰退するポイントは3つ○大企業に成り下がりたくない次に、孫氏は「30年 ライフサイクル問題」という言葉を紹介。「どんなに成功した大企業も、30年でピークが来る。業界トップブランドのIT企業も、実質的な成長は30年で止まる」と説明した。これは「テクノロジーが古くなる、創業者が歳をとる、ビジネスモデルが古くなる」といった要因で生じるとのことだ。孫氏は「ソフトバンクは、こうした“大企業”に成り下がりたくはない。それは最大の屈辱、最大の失敗を意味する。我々は、今後とも"最大のベンチャー企業"であり続けたい。これからも輝き、伸び続けていきたい」と言葉に力を込める。そうした「30年 ライフサイクル問題」を解決するべく、ソフトバンクでは“革新的な起業家集団”であり続けることを目指すという。孫氏は「ソフトバンクでは、グローバルの様々な企業の筆頭株主になることで、世界の起業家とともに、パートナーとして一緒に経営を拡大し、ビジネスモデルを革新し、お互いにシナジーを出し合っていく」と説明。こうした経営方針は、世界でも珍しいモデルになるだろう、と語った。しかし、経営者が歳をとることだけは避けられない。そこで孫氏は、米Googleの経営陣の一人として活躍してきたニケシュ・アローラ氏を、自身の後継者に指名している。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年05月12日デジタルリバージャパンが主催する「Digital River グローバルEコマースサミット 2015 東京」では、同社が提案するEコマース(EC)のグローバル化戦略が明らかになった。同サミットに登壇した米Digital River Global Strategies Senior DirectorのHoward West氏(ハワード氏)によると、「どの市場を狙い、どの範囲までグローバル化するか」という点を明確化することが重要だという。○拡大するグローバルEC市場(越境EC市場)同社によると、2014年1月にA.T. Kearneyが発表した調査結果において、2013年度のグローバルなEC市場(EC経由で購入された商品の総額)は約1兆2520億ドル(約150兆円)で、2017年には約2兆3570億ドル(約280兆円)、平均成長率88%を達成する見込みだ。特にアジア地域は、中国や新興国を中心に取引が増加し、平均成長率174%を実現するのではと推測されている。商品のジャンルを国別で見ていくと、多くの国において、電化製品(世界平均77%)やファッション用品(76%)、書籍(73%)などの購入率が高く、食品や生活用品の購入ではEC利用率は高くない。なお余談だが、同データによると、日本ではECを利用した電化製品の購入が比較的少ない印象を受ける。これに対しハワード氏は、「実店舗が充実しており、ECサイトで購入する必要性をあまり感じていないのでは」と分析する。加えて、日本と中国においては、他国に比べ、食品の購入率が高い(68% / 90%)ことも特徴だろう。○どの市場に進出し、どの範囲でグローバル化するかこのような背景のほか、日本国内では、少子高齢化による国内消費市場の縮小が懸念されているため、ECを展開する企業の多くは、グローバルへの対応を視野に入れているようだ。では、ECのグローバル化とは、どのような段階を経て実現するものなのだろう。ハワード氏によると、「CRAWL (GOOD)」から「WALK (BETTER)」「RUN (BEST)」へという具合に3つの段階を経た拡大方法が好ましいという。「CRAWL(赤ちゃんのはいはい)の段階では、ECサイトの多言語化や製品価格のローカリゼーション、国際的なクレジットカード会社との提携による決済方法のグローバル対応などを行う一方、商品の提供に関しては購入者に直輸入してもらうという形式が考えられます」(ハワード氏)これに加え、各地域に応じたUXの提供や関税・租税の処理も実現する「WALK」、在庫や物流も各国にて設け、マーケティング戦略も国別で行う「RUN」と、グローバル対応を行う機能を拡大していく。「最終的には、それぞれの国において求められている機能を対応させていくことになるでしょう。しかし、ここで最も重要なことは "どの市場に進出し、どの範囲でグローバル化するか" という判断です」(ハワード氏)文頭で説明したように、国によって、EC市場規模や購入されやすい製品に違いがあるほか、扱われている言語や通貨、決済方法、法準拠、物流、カスタマサービス、税金処理、マーケティング手法にもそれぞれの特徴がある。「これらの情報を収集・分析することで、費用対効果やユーザーの特徴を明らかにし、どの機能に投資を行いどれくらいの収益を見込めるのかという戦略と見通しを立てることが、グローバル化に向けた第1歩だろう」と同氏は語った。
2015年05月11日富士ゼロックスは5月7日、主要取引先約900社・事業所と結んだ電子商取引用の電子データ交換(EDI)を機能強化すると同時に、自社開発した調達BCP(事業継続計画)システムと接続することで、調達関連情報をグローバルで一元管理する仕組みを稼働したと発表した。この仕組みにより、取引先とやり取りする情報をタイムリーに可視化し、また、それらの情報を社内のさまざまなデータベースと繋げて分析することで、災害などの際の迅速な経営判断を支援するとしている。EDIの機能強化では、対象とする文書を従来の設計変更依頼や部品発注などの5種類の文書から、EメールやFAXでやり取りしていた、生産準備・量産調達・管理改善の全プロセスにわたる43種類の文書に順次拡大する。また、調達部門と取引先との間で交わす各種問い合わせとその回答などの、進捗を管理する機能を追加する。さらに、こうした担当者間のやり取りを、両社の管理者や関連業務担当者が適切なアクセス権管理のもとで閲覧できる機能も追加し、調達業務を組織的に管理可能にする。これにより、同社の調達部門に加えて取引先においても、調達業務の管理強化・効率化を図ることができるとしている。調達BCPシステムは、東日本大震災やタイの水害などの経験から、生産計画・構成管理・部品属性・生産基幹システムなどの各種データベースを連携し、BCPの立案・遂行を支援するシステムとして構築、2012年から稼働しているという。このシステムの活用により、2011年から2014年にかけてリスク案件に関わる対応時間を大幅に短縮。問題発生から1週間以内で解決に至った案件の割合を1.5倍に高め、生産などへの影響度の高いリスク案件の割合を3分の1に抑えたとのことだ。今回、EDIと調達BCPシステムとの接続により、中国やベトナムなどそれぞれの生産拠点で行っている調達業務に関する全ての情報をタイムリーに一元管理可能になり、また前述の各種データベース情報と連携することで、調達業務の効率化とBCP対応力を高めるとしている。例えば大きな災害などの発生時に、取引先との間で交わす部品供給への影響に関する問い合わせや回答を新システムを通して行うことにより、これまでの手作業による集計作業無しで生産への影響の全体像をタイムリーに把握できるという。また、取引先から入手した部品の供給に関する情報を、部品在庫情報や生産計画などの他のデータベースの情報と連携させ、代替部品の発注や生産計画の変更などに役立て、生産ライン停止などの影響を最小限に留めるとのことだ。同社は暗号化技術を使ったEDIを、2001年に導入し活用してきたという。また2008年に調達本部を設置するなど一連の調達改革に取り組み、国内外の生産会社を横断する調達体制の再編とガバナンスの強化、取引先関係の再構築、CSR調達、取引先1社ごとに全取引を統括する主幹バイヤー制度の導入などの体制強化を実施してきたとのこと。これらの改革の仕上げとしてEDIと調達BCPシステムを連携させることで、調達業務のさらなる効率化と原価改善や、緊急事態への対応力強化を図っていくという。
2015年05月07日6月より、企業のあるべき行動を記した「コーポレートガバナンス・コード」が導入されることとなり、市場でも注目が集まっています。日本の企業や株価にどのような影響を与えるか、今回はコーポレートガバナンス・コードと資本効率について調べてみました。○コーポレートガバナンス・コードコーポレートガバナンス(企業統治)とは、透明性が高く、迅速な意思決定を行なうための仕組みを意味します。企業が株主から経営を託された者として、また、顧客や従業員などの関係者に対する責任を果たすことをめざし、取るべき行動原則を記した「コーポレートガバナンス・コード」は、そうした仕組みを強化するために、6月1日より導入されることとなりました。同コードでは、OECD(経済協力開発機構)のコーポレートガバナンス原則や、英国のコーポレートガバナンス・コードなどをベースに、東京証券取引所(東証)と金融庁が原案を策定しました。そこには、株主が議決権などの権利を適切に行使できるような環境整備や、経営の透明性を高めるために経営戦略や財務情報などの適切な情報開示を行なうことに加え、企業価値の向上をめざし株主総会以外でも経営陣と株主が対話を行なう体制を整える、といった原則が定められています。東証は、こうした内容を適用した上場規則を同じく6月1日より施行することで、日本の上場企業に同コードの実施を求める予定です。また、実施しない場合はその理由を説明することが求められ、さらに、その説明をしない企業には、東証による社名の公表や、改善報告書の提出などの措置がとられます。同コードは政府の成長戦略の一環として位置付けられており、グローバル競争に打ち勝つための「攻め」の経営判断を後押しする仕組みとして、日本企業の持続的な成長、そして「稼ぐ力」の向上を促すことをねらいとしています。同じく持続的な企業成長を促すという主旨で「スチュワードシップ・コード」が昨年に導入されました。これは、機関投資家が顧客から預かった資金を適切に管理・運用する責任を果たすための「株主」側の行動原則です。「企業」側の行動原則であるコーポレートガバナンス・コードとともに、「企業価値を向上させるための車の両輪」として、日本企業の「稼ぐ力」の向上に寄与することが期待されます。ステップアップ同コードでは、独立した社外取締役を2名以上選任するべきとしています。外部の立場にある社外取締役が株主の視点に立って経営を監視することで、日本企業の収益力や国際競争力の向上につながることが期待されています。○資本効率コーポレートガバナンス・コードで焦点となっているのが、資本効率です。資本効率とは、企業が株式発行などにより調達した資本をどれだけ効率的に活用して利益を上げているかを示すものです。資本効率の指標として代表的なものが、株主が投資したお金(自己資本)を使ってどれだけ効率的に利益を上げているかを示すROE(自己資本利益率)です。近年の日本では、長らく続いた景気低迷を受け、財務の安定を優先して手元資金を積み上げたり、設備投資を控えたことなどから、収益率が低下し、ROEが欧米企業などと比較して低い傾向にありました。同コードでは、外部の声を経営に反映し易くさせることで手元資金の活用が進むと期待されているほか、政府も「グローバル水準のROEの達成」をコーポレートガバナンスの強化の目安の一つとしています。こうした取り組みを受け、ROEを経営目標に設定したり、増配や自社株買いといった株主還元によって資本効率を高める動きがみられるなど、日本企業にも既に変化が現れ始めています。足元では、こうした日本企業の変革の兆しがROEを重視する海外投資家を中心に市場で好感され、日本株式の上昇に寄与しました。6月よりコーポレートガバナンス・コードが適用されることで、日本企業の資本効率改善へ向けた「変革」が更に拡がることが期待されています。ステップアップ最近では、日本の機関投資家の議決権行使の判断基準にROEが用いられるようになり、ROEが一定以下の場合、トップ人事に反対するなど、「物言う株主」としての動きが拡がりつつあります。ROE向上へ向けた動きは企業だけでなく、株主側にも拡がっているようです。(2015年5月7日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、投資信託・投資・経済の専門用語をテーマで学べる「語句よみ」からの転載です。→「語句よみ」※1 当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。※2 投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
2015年05月07日○IoT連携プラットフォームとして「DataSpider Servista 4.0」リリースアプレッソは4月15日、アルカディア市ヶ谷にて「アプレッソ パートナーミーティング」を開催した。“つなぐ”ソリューションで企業の業務効率改善や開発生産性向上を支援する同社が、パートナー各社に向けてどのような事業戦略を発表したのか見ていこう。まずは2015年度事業戦略について、アプレッソ 代表取締役社長の小野和俊氏が登壇。その冒頭で2014年ハイライトとして、DataSpider Servista 新規ライセンスが前年対比128.3%、PIMSYNC新規ライセンスが前年対比309.8%という実績を紹介した。また、セゾン情報システムズが提供するファイル転送・データ連携ソリューション「HULFT」でファイル転送に伴う処理の自動化を実現する「HULFT Script」もリリース。「世界シェア4位、国内シェア1位を誇るHULFTのユーザーに対して「DataSpider Servista(DSS)」をOEM提供することで、DSSスキル保有エンジニアの爆発的な増加が期待されます」と語った。2015年度の方針については、4年ぶりのメジャーバージョンアップとなる「DataSpider Servista 4.0」、そして「DataSpider BPM 2.3」、さらには新製品「Thunderbus」のリリースを発表。安定した品質を誇る「HULFT品質」の導入、3年連続お客様総合満足度No.1の実現、出荷本数No.1の実現も目指すという。○夏頃にかけて新製品も続々登場続いては営業部長の能勢裕氏が、2014年度営業活動の報告および2015年度営業施策について紹介した。能勢氏はまず、オプションアダプターの出荷ランキング、アダプターカテゴリ別比率推移、マーケティング活動実績、新規パートナー紹介、グローバルビジネス状況など、2014年度の営業活動について解説。2015年度の営業施策に関しては、「クラウド」「カバレージ」「ビッグデータ」という3つのキーワードを挙げた上で、新規製品の紹介を行った。5月27日にリリース予定の「DataSpider BPM 2.3」では、従来と比べてGUI/モニタリング/httpを使ったシステム連携に関する強化を実施。さらなる利便性の向上を図っている。DataSpiderのオプションとして4月1日から販売を開始した新製品「Thunderbus」は、オンプレミスとクラウド間のデータ連携ツールだ。たとえば、秘匿性の高さなどからクラウドには移行できないシステムのデータでも、VPNやインフラ設定なしで、セキュアかつシームレスにクラウドと連携することができる。これにより、秘匿性の高さなどからオンプレミス環境に置いていたデータも、安全かつシームレスにクラウドとの連携が可能になる。また、6月1日からは「DataSpider Servista」の販売形態にも変更があり、従来の「移行パック」が「月額ライセンス&サポート」へと生まれ変わる。最小利用月数が1カ月~、最大利用月数が無制限となるほか、適用環境は1サーバ/1CPUまで、Advanced/Basicへのアップグレード適用なしといった点で従来と異なっている。Thunderbusについても、同時に月額ライセンス&サポートを提供開始予定だ。さらに、帳票処理を完全自動化できる「SVFアダプタ」が4月20日に登場。そのほか、夏頃には「DataSpider アダプタ for 奉行 V ERP8」が、5月1日からは「Dynamics AXアダプタ(仮称)」が販売開始となる予定だ。最後に能勢氏は、2015年度のマーケティング施策およびグローバルビジネス展開について解説。「今年度はグローバル販売200%アップを目標に展開を促進します」と語った。○名実ともにシェアNo.1を目指して続いて登壇した開発本部長の吉田哲也氏は、製品の最新情報とロードマップについて紹介した。まず吉田氏は「クラウドコネクティビティとクラウドポータビリティ」「シチズンデベロッパーの台頭」「データ連携ツールのニーズ拡大」という3つのデータ連携トレンドについて解説。そこで「DataSpider Servista」では、強化項目として“さまざまなクラウドで”“誰でも”“ビッグデータも”扱えることを掲げ、“つながるをもっと身近に”する製品作りを目指したという。「Thunderbus」の登場にも、こうした背景が反映されているわけだ。2015年度の取り組みとしては、「IoT連携プラットフォームへ」「EAI製品最高品質へ」「3年連続お客様満足度No.1へ」という3つの目標を掲げた。名実ともにシェアNo.1を目指すため、品質については「HULFT品質」にならった「DataSpider品質」を策定。高重要度の課題を3バージョンでゼロにするべく、課題対応専門チームも設立した。さらに、ユーザーに対しては緊急問い合わせの原因・調査経緯を分析しFAQとして公開、サポートサイト検索機能の強化を実施。パートナー企業に対しては、サポート対応フローやナレッジの共有を強化していく。アプレッソサポートに関しても、当日回答完了率を40%から60%へ、翌日回答完了率を60%から75%へ向上するという。そのほか、「DataSpider Servista 4.x」における今後の機能追加予定も紹介した。アダプタについては、Box/Googleカレンダー/用友/金蝶/MS Dynamics系/Sedue Predictor/MS Asureなどを追加。機能面では、ユーザー定義ロジックのグローバル化、プログラム読み込みロジック/アダプタ、Webからの呼び出し強化、文字セットコンバータ、メモ機能改善、テスティングフレームワークなどの実装を予定しているという。
2015年05月07日ESETの法人向けエンドポイントセキュリティ対策製品「ESET Endpoint Protection」が新バージョンとなり、今秋にも販売を開始する。独自開発のヒューリスティック技術に加え、多層防御の仕組みを取り入れ、さらに管理機能を刷新するなどの強化を図ったという。今回、発表にともない来日した同社CEOのリチャード・マルコ氏に話を聞いた。○国内市場で3位を狙うESETは、もともとスロバキアで生まれたセキュリティ企業で、設立は1987年と古い。中欧や東欧で強く、グローバルでも世界に拠点を構えている。その中でも日本は「重要な市場」とマルコ氏。各国の事情に合わせるため、販売戦略としてはパートナーシップを重視しており、日本ではキヤノンITソリューションズと2003年以来のパートナーだ。特に2005年の価格.comのサイト改ざん事件の際に、唯一マルウェアを検知した(当時の名称はNOD32)として知名度が上昇し、過去5年間では2ケタ成長というほど順調だという。成長率は市場を伸びを上回っており、このままの成長を継続させることで、現在の国内4位のポジションから3位への上昇を狙う。そのひとつが今回の法人向け新製品だ。すでにグローバルでは個人向け製品と法人向け製品の売上比率は半々で、わずかに法人向けが上回っている状況だという。法人市場では、「長期に市場にプレゼンスがある方がビジネスユーザーが多い」と分析しており、個人向け製品で地道に知名度を上げ、そこから法人市場を拡大させるという戦略を描く。今回の新製品の投入で国内の法人市場を「エネルギッシュに攻めていきたい」とマルコ氏は意気込む。アジア太平洋地域では売上の半分以上を日本が占めるが、これに加えてオーストラリアにオフィスを開設して拡大を狙うとともに、欧州ではドイツやイギリス、そして北米では今年か来年には東海岸にもオフィスを開設してさらなる成長を目指していく方針だ。○性能と安定性に自信ESETのマルウェア対策は、価格.comサイトでも威力を発揮した振るまい検出のヒューリスティック技術だが、それに加えて「一度インストールしたあとは安心して、安定して使える安定性が強み」とマルコ氏はアピールする。また、ヒューリスティック技術を磨くだけでなく、「複数の層で、複数のポイントでプロテクションをかけなければならない」とマルコ氏は話し、さまざまな観点からセキュリティ対策を提供していくという。その中で、「微妙な振るまいの違いを見いだす」(同)ことを目指した技術が「Exploit Blcoker」だ。これは、特定のソフトウェアが「やっていい動作、やってはいけない動作」を監視してマルウェアの動作を検出するというもの。例えば、Microsoft Wordであれば、ドキュメントファイルを開くという動作に対して、「コード実行」や「ファイルダウンロード」といった動作を検出し、動作をブロックするという。対応ソフトウェアは、Office製品やPDFリーダーなど複数のソフトウェアに限られるが、マルコ氏は「あらゆるソフトウェアに拡張は可能」と話す。これは、ユーザーが期待する正常な振るまいと危険な動作が推測できていないと正確な対応ができないため、特に攻撃に狙われているソフトウェアに限定して監視を行うためだという。ほかに、新しい問題としてはスマートフォンがある。スマホ向けの攻撃をマルコ氏は「Windowsほどではないが増えてきている」としつつ、「マルウェアがこれから活動するスペースとしてさらに拡大する」と指摘し、注意を促す。これと平行してIoT(モノのインターネット)でもセキュリティ対策の必要性が話題になり始めている。マルコ氏は「IoTはマーケティング用語」としつつ、直接IoT機器にセキュリティ機能を搭載しづらいことから、「ゲートウェイで保護するのか、ソリューションが限られている」とコメント。デバイスメーカーとも協力して、セキュリティ機能を構築していく意向だ。また、同社のChief Research OfficerもIoTのメーカーなどのグループに参加し、セキュリティの標準化に向けた取り組みを始めている。こうした業界全体での取り組みでは、サイバー攻撃に対する複数のセキュリティベンダーや各国政府と協調した取り組みも実施しているという。マルコ氏は、ESETの製品はヒューリスティック技術や新しいExploit Blockerといった技術力に加え、安定性の高さを繰り返しアピール。また、法人向けでは多言語対応も強くアピールしており、使い勝手の良さも優位点にあげる。「競合他社の強みは何か、その強みから何かインスピレーションを得て、我々に欠けているものを研究して、それよりよいものを提供する」とマルコ氏。「ユーザーがより安全な世界を楽しんでもらおうというビジョン」を達成するために、今後も継続的にセキュリティ機能を強化していく考えを示している。
2015年05月04日LINEは4月30日、2015年1~3月期(Q1)の業績を公開した。2015年1-3月期のLINE全体の売上額は281億円で、前四半期比9%増、前年同期比70%増だった。また、基幹事業であるLINE事業単体の2015年1-3月期の売上額は前四半期比9%増、前年同期比76%増の254億円だった。LINEの月間アクティブユーザー数(MAU: Monthly Active User)は約2億500万人、LINEがトップシェアを占める4カ国である日本、タイ、台湾、インドネシアMAUは約1億2300万人となった(2015年3月実績)。直近では、インドネシアにおけるユーザー拡大が急速に進んでいるほか、グローバルにおいて新規ユーザーと月間アクティブユーザー数は増加している。スタンプ事業においては、公式スタンプが世界各国において好調で、特に1月より提供を開始したサウンド付きスタンプは当初の予想を上回るペースで売上を伸ばしている。また、来月には販売開始1年を迎える、ユーザーがスタンプを制作・販売する「LINE Creators Market」で、販売スタンプ数が世界累計10万件を突破し、多くのクリエイターが参加するとともに、スタンプの売上も堅調に伸びている。今後は、タイ、台湾での展開を強化し、グローバルにおいて、個人のクリエイターが収益を得ることのできるプラットフォームへと成長させていく方針だという。広告事業においては、公式アカウント・スポンサードスタンプ・インセンティブサービス「LINE フリーコイン」を導入する企業が増加しており、世界各国で成長を続ける。また、企業のブランド・キャラクターをモチーフとした着せかえをLINEユーザーに配信することができる企業向け広告メニュー「LINE スポンサード着せかえ」や、台湾でも提供を開始した企業向け動画視聴連動型スタンプ配信メニュー「LINE マストビュースタンプ」など、新たな広告サービスの提供も行っており、今後もグローバルにおいて様々な広告サービスの展開を進める予定だ。今後の戦略として、さらに多くの国でトップシェアを目指すとともに、既にトップシェアを獲得している4ヶ国では、LINEのアプリ上で、より生活に密着したコンテンツ・サービスを提供する「LIFEプラットフォーム」化を推進する。
2015年05月01日日本郵政グループ、Apple、IBMは4月30日、高齢者向けのサービス開発で業務提携すると発表した。iPadとiOSプラットフォーム、IBMのITサービス、日本郵政のネットワークや地域密着性を活かし、日本国内で3300万人に上る高齢者と家族や社会のつながりを深めるサービスの実現を目指す。新サービスはAppleとIBMが昨年7月に発表したグローバルパートナーシップを基に構築される。高齢者や子どもでも画面に触れて直観的に操作でき、アクセシビリティ機能も充実したiPadを端末に、IBMグローバル・ビジネス・サービスが高齢者向けの専用アプリを開発する。高齢者向けのアプリやガイダンスにはIBM東京基礎研究所が中心となって開発したアクセシビリティ技術および自然言語解析技術が応用され、薬を飲む時間の通知、運動・ダイエットのおすすめ、コミュニティ活動や高齢者支援サービスへのアクセスなど高齢者の生活を幅広くサポートする。データ統合やセキュリティ、アナリティクス、数百万台規模のデバイス管理といったインフラはIBM MobileFirstのクラウドサービスが担い、システム統合サービスを提供するIBMが日本郵政グループ職員への研修も行う。そして2万4000局の郵便局と40万人のグループ職員を持つ日本郵政のネットワークが、地域差のない全国規模のサービス展開を可能にする。新サービスは、iPadと高齢者向け専用アプリのパイロットプログラムを経て提供開始になる。日本郵政は日本郵便の「みまもりサービス」にiPadを活用する実証実験を2015年度下半期に開始する計画で、サービスを段階的に増やしながら、2020年までに400万から500万人へのサービス提供を目指す。現在、日本の高齢者は人口のおよそ25%を占めており、今後40年の間に、その割合が40%以上になると予測されている。高齢者の割合は世界規模でも2013年の11.7%から2050年までに21%に増加する見通しだ。Apple CEOのTim Cook氏は「多くの国が高齢者をサポートする課題に直面しており、この取り組みは世界に大きな影響を与える可能性がある」とコメントしている。
2015年05月01日ランスタッドホールディング・エヌ・ヴィーは、勤務先として魅力的な企業をグローバル規模で調査・表彰する、ランスタッドアワードの2015年度の調査結果を明らかにした。ランスタッドアワードは、「勤務先としていま最も人材をひきつける魅力のある企業」を、第三者機関であるICMAに委託する調査によって選定し、表彰を行うというもの。18歳~65歳までの男女に対し、調査対象企業ついて「社名を知っているかどうか」、「その企業で働きたいかどうか」を問い、評価の高い企業を発表する。1999年にベルギーで開始して以来、「エンプロイヤーブランド・企業魅力度」を測る世界最大級のアワードとして高い評価を得ている。ランスタッドアワード2015・グローバル表彰イベントは、4月23日(ベルギー・ブリュッセル時間)に行われた。世界で最も働きたい企業1位となったのは、米国のマイクロソフト。2位はソニー(日本)、3位はサムスン(韓国)となった。1位のマイクロソフトは、世界の回答者の67.8%が「働きたい」と回答し、性別・年齢別・学歴別の全てにおいて「最も働きたい企業」として支持された。これは、1999年にランスタッドアワードの調査を開始して以来、初めてのこととなるという。2位のソニーは、回答者の約62%が「働きたい」と回答した。世界5カ国では1位に選ばれ、ヨーロッパ地域では「最も働きたい企業」という結果になっている。特に男性や44歳以下の若年層、大卒の回答者から高い支持を受けた。
2015年04月30日パロアルトネットワークスは、大阪市北区の梅田スカイビルにおいて「Palo Alto Networks Day 2015(大阪)」を5月20日に開催する。参加費は無料、定員は250名。応募者多数の場合は抽選となる。3月に米国ラスベガスで3,000人を集めて開催された「Igniteユーザカンファレンス2015」のダイジェスト版として日本で開かれるもので、トラフィック内のアプリケーション識別・制御を可能とする次世代ファイアウォールを逸早く展開するなど、グローバルにエンタープライズ領域で実績のある同社の日本における新サービスや新製品の発表が注目される。イベントでは、日本での発売が決まったアドバンストエンドポイントプロテクション「Traps」を記念した講演が、パロアルトネットワークスインク ダイレクター アドバンストエンドポイント Sebastian Goodwin氏によって行われる。Trapsは、その名が示すようにトラップを仕掛けて、攻撃を動作前に阻止するという新しい形のエンドポイントプロテクションとして注目される。また、3月31日(米国時間)に発表されたサイバー脅威インテリジェンスサービス「AutoFocus」について、パロアルトネットワークス 合同会社 技術本部長 乙部幸一朗氏から紹介される。AutoFocusは、日常的に高度な標的対象となる5,000以上のグローバル企業、サービスプロバイダー、政府機関からの何十億ものファイル分析結果をもとにして、高度にカスタマイズされた標的型のマルウェアを区別し、優先度の通知や攻撃者の技術や戦術などの情報を提供するサービスで、企業にとって致命的になりかねない標的型攻撃防止のための大きな分析ツールとなる。そのほか、ファイナンス、医療業界、製造業界、サービスプロバイダーなど業界ごとの処方箋と題したプログラムや、4月に日本で発見されたDragonOKによる日本の製造・ハイテク業をターゲットにした標的型攻撃やiOS、Androidを狙った攻撃の特徴など最新のエンタープライズセキュリティに関する対策など興味深いセッションが並んでいる。主催:パロアルトネットワークス合同会社協賛:アリスタネットワークスジャパン合同会社、アルバネットワークス株式会社(50音順)日時:2015年5月20日(水) 13:00~18:00(12:30受付開始)場所:梅田スカイビルステラホールタワーウエスト3階定員:250名(応募者多数の場合は抽選)対象:エンドユーザー様、パートナー様受講料:無料申し込み:Webサイト
2015年04月30日制度変更などに関する報道で注目を集めている確定拠出年金。だが、確定拠出年金を導入している会社の社員で、良く分からないまま運用している人も多いのではないだろうか。そこで今回は、そういう方々に参考していただく意味も込めて、実際に確定拠出年金向け運用商品を提供している運用会社であるフィデリティの社員の方々が、どのような形で運用しているのか、さらにその運用成績はどうなのか、20代、30代、40代のそれぞれ各お一人に直撃した内容を紹介したい。最終回となる今回は、40代のCさんにお話を伺った。――まず、年齢、入社年、確定拠出年金の加入歴を教えていただけますか?41歳、2001年5月入社、2003年6月に加入しました。――確定拠出年金に加入する前の確定拠出年金に対するイメージを聞かせてください。時代の流れに鑑みれば避けがたい"自己責任"に基づく年金制度ですが、肝心の投資教育が行き渡らない間に、制度がスタートした印象があります。従前は企業が自らリスクを取って年金運用していたところを、DC導入企業においては運用方針・投資判断が従業員に委ねられます。制度発足に先んじて、従業員向けの投資教育を徹底的に実施すべきだったと思います。金融・投資リテラシーの面で日本の先を行く米国では、ITバブルの真っ只中で現役を引退した富裕層組と、ITバブル崩壊後の絶好の投資タイミングを逸した組が好対照をなしていまして、あらためて投資教育の重要性を痛感しました。一方、米国などでは学校でも投資教育が盛んになされているようですが、それに比べると日本の遅れは否めません。こうした状況を考えると、個々の自助努力による学習が非常に重要だと言わざるを得ません。さらに、昨今は世界的にマーケットのボラティリティが高いように思えます。60歳に達する時点での運用状況の良し悪しが、退職後の生活資金の多寡を決めかねないことを思えば、DCもある程度は運に左右されるとのイメージは拭えません。――日本の年金制度の将来への考え方はいかがでしょう。デフレ・増税・財政破綻リスクは増大していますので、自助努力が必要でしょう。――老後にどれだけの資産が必要と考えていますか?資産運用では、プラスのキャッシュフローを持つことが極めて大事と考えます。長生きリスクを思えば、現金で総額いくらもっていれば安心、ということはありません。生活費程度のキャッシュフローを終身で生み出してくれる、プラスのキャッシュフローのポートフォリオづくりが必要ではないでしょうか。具体的には、リスク分散も年頭におきながら、長期債、REIT、ディフェンシブな高配当株式、収益賃貸マンションや終身年金(公的・私的を問わず)等々でポートフォリオを構築し、生活費程度の定期収入が見込める資産設計を立てるべきだと思います。――確定拠出年金で、老後はどう変わると思っていますでしょうか?現状の掛け金レベル(月間で上限5万5千円)であれば、退職金の一部程度との認識です。運用成績によって受取金額が大きく変わってくるので、DCだけに依存するつもりはありません。一方、DCは60歳まで引き出すことができませんので、その間は"投資シュミレーションゲーム"、つまり長期投資のための良き勉強の場と考えます。――ご自身のポートフォリオについて教えてください。グローバル・マクロの3~6カ月のトレンドをフォローします。パッシブ運用をベースに、マクロ経済の状況に適ったポートフォリオを構築し、3~6カ月単位で見直します。――投資先、投資商品選びの基準はいかがでしょう。低コストの投資信託、シンプルなポートフォリオ、基本はパッシブ運用です。ただし、パッシブでは運用し難い資産クラス、たとえばハイ・イールド債券などについては、アクティブな運用商品を選択します。――確定拠出年金加入以来の運用成績を教えてください。プラス7.33%です。――どのくらいの頻度で資産の入れ替えを行っていますか?グローバル・マクロ経済の状況に鑑み、3~6カ月ごとに行っています。各国の金融政策・財政政策、各国のファンダメンタルズをベースに、自分なりのマーケットの方向性を考えます。投資対象のIndex(TOPIXや日経平均、NYダウなど)の過去1年以上のチャートを見て、移動平均線とのかい離とマーケット転換のサインを見ながら、自身が考えるマーケットの方向性を修正し、リバランスのタイミングを検討しています。――どのくらいの頻度でDCの資産状況をチェックしているのでしょうか?週に1回程度です。――お忙しい中、ありがとうございました。
2015年04月29日●LINE社長 出澤剛氏が登壇LINEは29日、開発者向けのイベント「LINE DEVELOPER DAY_2015 Tokyo」を都内で開催し、登壇した同社代表取締役社長 CEOの出澤剛氏は、230を超える国と地域で1日170億回のやりとりがLINEを介して行われていると紹介した。○LINEは最も大きく成長したスマホサービスLINE DEVELOPER DAY_2015 Tokyoは、LINEの運営に携わる同社エンジニアチームの様々な経験を紹介するイベント。「LINEのiOS対応について」「LINEのApple Watchアプリ開発について」などの講演を行う。イベントの冒頭、出澤氏は「LINEは、スマートフォンのサービスの中で最も速く、最も大きく成長したサービスのひとつ。技術的にも、難しくてチャレンジングな課題に挑み続けている」と胸を張った。当初、ごく単純なメッセンジャーアプリとしてスタートしたLINE。出澤氏は「タイミングがよかったことも幸いし、アプリ公開から3カ月で100万ダウンロードを達成できた。2011年11月には無料通話、スタンプの提供を開始したことで成長が一気に加速した」と説明する。現在、グローバルでは1億8千万人のアクティブユーザーを抱えるまでに成長。230を超える国と地域で、1日に170億回ものやりとりがLINEを介して行われているという。●LINEが重要視するポイントは2つ○トップシェアとプラットフォーム化出澤氏がサービスの運営方針として重要視しているのが、“トップシェア獲得”と“プラットフォーム化”の2点。同氏は「この業界では、2番手のサービスは過疎化してしまう。したがってトップシェアをとることが最重要となる。日本、台湾、タイではトップシェアを獲得できた。弊社ではトップシェアを獲得するためにローカライズを多面的に、徹底的にやっている」と説明する。また出澤氏は、「LINEではスマートフォンの時代に合った新しいコンテンツ消費のあり方を追求し、世の中のトランザクション(商取引、売買など)をより便利にしていく」と説明。このため現在、ライフ領域やエンタメ領域においてサービスのプラットフォーム化を進めている。例えば、ライフ領域では「LINE Pay」「LINE TAXI」などを通じて、決済やコマースといった利用者の生活に身近なサービスで新たな価値観を提供する。エンタメ領域ではゲーム、マンガ、音楽といったコンテンツの提供に取り組んでいる。出澤氏は、最後に「LINEは成功したサービスだと言われるが、グローバルでは競合するビッグプレイヤーがひしめく状況。これから、まだ大きな山に登らないといけない。ただスマートフォンの大きな変化期に、世界のフィールドで戦えるチケットを手に入れた、ということは非常に幸運なことだと考えている。これから新しい挑戦、発見の連続になるだろう。その先頭に立って道を切り開き、企業の想いを形にするのは、我々が誇るエンジニアたちにほかならない」と言葉に力を込めた。(記事提供: AndroWire編集部)
2015年04月28日NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は4月27日、世界196カ国/地域で提供するVPNサービス「Arcstar Universal One」において、新たに4つの機能を2015年5月より順次提供開始すると発表した。新たに提供するのは、マルチクラウド、アセットライト、ネットワークコントロール、マルチクライアントの4つ。マルチクラウドは、NTT Comが提供する企業向けクラウドサービス「Bizホスティング Enterprise Cloud」に加え、「Microsoft Azure」や「Amazon Web Services」といった事業者クラウドを利用できるクラウド接続オプション(仮称)を閉域網、かつグローバルに提供する。事業者クラウドとArcstar Universal Oneのインタフェースは最大10Gbpsで接続する。アセットライトは、資産を保有せずに利用できる「Arcstar Universal One アドバンストオプション」の「アプリケーション高速化」メニューに、新たにクラウド向け通信の高速化機能、およびモバイル環境からの高速化機能を追加し、グローバルに提供する。なお、同社によれば、この機能は世界初の提供になるという。ネットワークコントロールは、通信帯域をリアルタイムに変更可能なオプション機能を国内L3スタンダード型プレミアムプラン/ギャランティプラン、およびイーサネット専用線の双方で提供する。繁忙期に通常時よりも大きなネットワーク帯域を利用したい場合などは、ビジネスポータルサイトから簡単・オンデマンドで利用可能な帯域を設定可能になるという。そしてマルチクライアントは、日本国内で提供中の仮想ネットワークサービス「Arcstar Universal One Virtual」を2015年5月からグローバルに提供開始する。様々なデバイス(PC/スマートフォン/タブレット)から、様々なネットワーク(「Arcstar Universal One」/インターネット/他社ネットワーク)を経由して高セキュリティな環境でクラウド接続が可能になる。同社によると、このサービスも世界初の提供になるという。
2015年04月28日○国内120拠点、世界146カ国の販売・サービス網を担うインフラを整備POS製品や計量器のメーカーとして国内屈指の実績を有する寺岡精工。創業80周年を迎えた同社は、近年では製品と一体化したクラウドサービスを提供するなど、POSレジ、ラベル製品を主軸に革新的な取り組みを続けている。その好例と言えるのが、2005年頃から同社が掲げている「チェックアウトレボリューション」だ。レジでの待ち行列改革を目指したこの戦略の下、同社は数々の革新的な試みを展開中だ。例えば、「スキャニング」と「会計」を分離するというまったく新しい発想のPOSを開発。商品のスキャニングやプリセット登録、割引処理をレジチェッカーが行い、会計をセルフ化することで、レジの生産性を約160%も向上することに成功している。ほかにも、バーコードラベルをフリーフォーマットにして、好みの長さで利用できるようにするなど、高い技術力と豊富な業界での経験・ノウハウを生かすことで、他の追随を許さない地位を獲得しているのである。ビジネスに欠かせない製品を提供している同社だけに、サービスネットワークも全国に展開している。営業所や出張所、サービスステーションやグループ企業も合わせて120カ所以上の拠点で国内全域をカバー。また海外展開も積極的に行っており、世界146カ国に販売・サービス網を展開することで、世界中に高品質な製品・サービスを提供している。ビジネスや拠点の拡大に伴い、IBM Notes/Domino 9への移行やグローバルコミュニケーション基盤の整備も予定していた寺岡精工では、数年前より基盤インフラの見直しを行っていた。その際、インフラがボトルネックになることを避け、グループ企業の従業員約3300名が快適に利用できるシステムとするべく、これまでは一部のシステムにのみ採用していた負荷分散機能をネットワークの機能として盛り込むこととなったのである。寺岡精工 ビジネスサービス部 インフォメーションサービス課の係長、夏堀貴仁氏は、「既存システムのパフォーマンス向上を目指しながら、将来的なシステム増強にも耐えられる基盤整備を進めることを検討しました」と、振り返る。○将来の要件変更にも容易に対応できる製品を検討当時、寺岡精工では安価なロードバランサやLinux上で稼働する自前のロードバランサが複数稼働していた。しかしながら、パッチのアップデートやバージョンアップ時に必ずサービス停止が必要となったり、アプリケーション担当者が個別に導入していて統合的に状況を把握しづらかったりなど、運用上の限界に直面していた。「稼働するサーバが200台になるなか、ビジネススピードに合わせたサービス提供を続けるには、すべてのロードバランサを統合して最適化する必要があると感じました」(夏堀氏)こうして、2013年末より各社のロードバランサの比較検討を開始。移行した後も、環境整備に向けて新たに社内で対応しなければならないケースも数多く出てくることが想定されるため、社内のエンジニアでも操作に習熟できる使い勝手の良い製品であることなどに着目した結果、A10ネットワークスの「Thunder ADC」の導入が決定した。夏堀氏は言う。「基盤整備の過程でどのような要件が生じるかわからない状況なので、どの機能を使うことになるか導入段階ではわかりません。しかし、使い始めてから使いたい機能が出てくるたびにコストがかかるのでは、使いたい機能も使えなくなってしまいますので、アプライアンスに備わるすべての機能を利用可能なオールインワンのライセンス体系は魅力的でした」2014年初めに構成が決まり、3月には導入にこぎつけた。可能な限りシンプルな構成にするため、これまで使っていた複数のロードバランサを「Thunder 1030S ADC」に集約。IBM Notes/Domino 9や3000人を超えるユーザー認証の中核を担うActive Directory フェデレーション サービス(ADFS)、一部メールサービスに利用しているSMTPサーバ、外部からの安全なアクセスを可能にするSSL-VPN装置など、さまざまなサービスの負荷分散を実現した。「既存のロードバランサの組み換えなども、すべて自分たちで行うことができました。切り替え時のサービスタイムラグは5分ほどに抑えられ、業務に支障を来さなかったのが何よりも大きかったです」と、夏堀氏は笑顔を見せる。○アプリケーションのレスポンスタイムが10分の1に向上Thunder ADCの導入後、すぐに実感できた効果がアプリケーションのレスポンス向上だ。とりわけ、同社ではJavaScript を用いたサービスが多いことから、アクセス時にロードするオーバーヘッドが大きくなりがちだった。それが、Thunder ADCのHTTP/HTTPS圧縮技術を利用したところ、HTMLやJavaScriptのレスポンスタイムが10分の1程度にまで改善したのだ。「国内だと1秒ぐらいのレスポンスの違いはあまり感じられませんが、レスポンスタイムの影響が大きな海外拠点で調査を行ったところ、十分な効果を発揮していることを確認できました」(夏堀氏)この3月には、Thunder ADCによるSSL処理のオフロードも実施。Webサーバを社内インフラに格納し、外部からのアクセスはHTTPSで暗号化するという仕組みをロードバランサの機能だけで実現したのである。「ロードバランサ内でSSL証明書を取得できるので、あらためてサーバに証明書を設ける必要もなく、わずか10分ほどで設定が完了しました」と夏堀氏。現在、寺岡精工では、DDoS攻撃などが行われた場合も外部に公開していない回線に切り替えてサービスを維持するGSLB(Global Server LoadBalancing:広域負荷分散)のThunder ADCへの実装を検討中だ。また、グローバル環境におけるコミュニケーション基盤として利用開始したMicrosoft Office 365についても、通常の3~5倍程度のセッション数が発生しているため、Thunder ADCを通すことで負荷分散する仕組みの導入を考えているという。「A10ネットワークスのThunder ADCは、従来のロードバランサという言葉から思い浮かべるイメージをはるかに越えて、いろいろなことができることがわかったので、効果を見込める機能は積極的に利用していきたいですね」と、夏堀氏は今後の抱負を語った。
2015年04月23日ユニクロはこのほど、バングラデシュの伝統衣装をモチーフにしたウィメンズ・コレクションの販売を開始した。同コレクションは、バングラデシュの女性用伝統衣装「サロワカミューズ」を現代的なスタイルにアレンジしたもの。「シンプル・エスニック」をテーマに、ニューヨークの商品開発チームがデザインを手がけた。展開するのは、サロワカミューズの伝統的なスタイルを取り入れた「ワンピース」(3型 / 各2,990円)、「イージーパンツ」(1,500円)、「スカーフ」(1,000円)の3アイテムに、「チュニック」(4型 / 2,990円)を加えた4アイテム全9型。スカーフは1サイズ、それ以外の商品はS・M・Lの3サイズを用意。同社のチーフ・クリエイティブ・オフィサーでグローバルデザイン担当のリアン・ニールズ氏は、「このコレクションでは、サロワカミューズの特徴である繊細な刺しゅうや織り柄、鮮やかな色使いを生かしつつ、ユニクロならではのシンプルで美しいシルエットと着心地の良さを追求しました」とコメント。また、高品質な綿ドビー、ガーゼなどの天然素材を採用することで自然な風合いと軽く肌触りの良い着心地を実現させたという。さらに薄く透け感のある素材のため、単品での着こなしのほか、重ね着など幅広いコーディネイトが楽しめるとしている。取り扱い店舗は、日本を含む世界14カ国と地域のグローバル旗艦店など23店舗と一部オンラインストア。4月20日より日本・中国・香港・インドネシア・韓国・台湾では販売中。4月27日よりオーストラリア・フランス・ドイツ・アメリカ、5月下旬よりマレーシア・フィリピン・シンガポール・タイにて発売する。なお、同コレクションによる収益の一部は、働く人の未来をひらくプロジェクト「Factory Worker Empowerment Project」として、バングラデシュの縫製産業で働く女性の教育支援に使用するという。※価格は税別
2015年04月22日ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)は、5月11日から19日まで伊勢丹新宿店で開催される「グローバルグリーンキャンペーン」に参加。新作のEFIアフリカバッグコレクションを発売する。会場は伊勢丹新宿店本館3階センターパークのザ・ステージ#3。EFI(エシカル・ファッション・イニシアティブ)は“Not Charity, Just Work”をスローガンに掲げ、アフリカやハイチ、パレスチナといった貧困地域に暮らす人々の手仕事と、世界のファッションブランドやリテーラーを結びつけるサポートを行う団体。ブランドでは過去10シーズンに渡り、西アフリカでハンドメイドしたバッグをEFIとのコラボレーションで展開してきた。今回はプロジェクトの10周年を記念し、先行販売の2型を含む、15SSシーズンの新作となるEFIアフリカバッグコレクションから全21型をそろえる。ラインアップは「スクイグル・レオパード・トート」(4万2,000円)や「スクイグル・ショッパー」(4万円)など。EFIとのコラボについて、ヴィヴィアン・ウエストウッドは「このプロジェクトが他の慈善事業と異なるのは、世界で最も貧しい人々が収入を得る事で、地域全体の利益につながるという点です。金銭的な利益だけではなく、仕事が彼らに新しく、かつ生涯にわたり有効な技術を与え、彼ら自身で他の仕事やプロジェクトに発展させる能力を身に付けることが出来るのです」と語っている。なお、グローバルグリーンキャンペーンでは毎年伊勢丹で、エコや地域支援、社会貢献に繋がる様々なものを紹介している。13年には「マルニ(MARNI)」とコラボして、ケニアで作られたアイテムの展示や販売を行っている。
2015年04月21日NTTデータスマートソーシングとコンカーは4月17日に、出張・経費精算に特化したBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)分野で業務提携することを発表した。コンカーが提供する「Concur Travel & Expense」は、出張旅費・交際費・近接交通費などの出張・経費管理ができるクラウドサービス。「Concur Travel & Expense」の持つ経費申請事前チェック機能により、規定外の経費申請を未然に防ぐ事が可能となり、企業のガバナンス・コンプライアンスの向上が図れるだけでなく、経費精算などの事務処理に必要となる人的稼働を約60%削減することが可能だという。これらのメリットから、全世界で30,000社、日本国内においてもユニクロや三菱重工など大手企業を中心に400社以上で採用されているという。コンカー 代表取締役社長の三村真宗氏は、「日本企業では、従業員の経費規定の理解不足から規定に反する内容を入力したり、またその内容をチェックする管理職も経費規定の理解不足やほかの業務の忙しさから十分なチェックを行わずに経理部門へ申請しているケースが多く見受けられる。その結果、経営層は経費の正当性が把握できない状況となってしまう。『Concur Travel & Expense』は経費規定チェックなどを自動的に行うことができるため、従業員も管理職も申請前にミスを減らすことができる。今までサービス導入いただいている企業では、経費精算の担当を行っていた人員の約60%の削減を実現している」と説明した。NTTデータスマートソーシングは、国内外複数のBPO拠点において2009年からNTTデータグループの間接部門および一般企業向けに各種BPOビジネスを展開してきたという。今回の提携により、企業の出張・経費精算に関する全ての業務を、フルアウトソーシング可能なサービスとして提供できるようになった。NTTデータ 執行役員 ビジネスソリューション事業本部長 笹田和宏氏は、「NTTデータグループは現在日本国内を除いた全世界で、約43,000人の従業員を抱えている。BPOサービスにおいては、このグローバル力を活かして、『オンサイト』『ニアショア』『オフショア』と対象事業の要件によって拠点を選択し、柔軟な対応が可能だ」と語った。NTTデータスマートソーシング 代表取締役 和田泰之氏は、「今回の提携によって、企業の出張・経費管理に関する人件費をゼロにするサービスを目指したい。また、われわれはビッグデータ分析なども行っており、『Concur Travel & Expense』の導入からコンサルティング、業務BPO、サポートサービスまでトータルでサービス提供ができる」と語った。今後は、「Concur Travel & Expense」の導入と、各種BPOサービスをセットにして、NTTデータスマートソーシングが提供を行っていく。提供料金については、要件によって個別見積となる。サービス開始は2015年9月の予定。「Concur Travel & Expense」は多言語化に強みを持っており、今後日本国内でグローバル展開しているような大手企業を中心に提案していく構えだ。
2015年04月17日この時期は、産育休から職場復帰するママが多い季節。新生活が始まり、「頑張るぞ! 」と意気込んでいても、自分自身の努力ではどうにもならないことでつまずくケースもあります。ここでは前回に引き続き、復帰直後のママが悩みがちなポイント3つについて解説します。○仕事へのモチベーション仕事関連の悩みとしてもう1つあげられるのが「モチベーションが上がらない」というものです。時短勤務者を受け入れたことがない、あるいは、時短勤務者には負荷をかけないなどの方針を持っている職場にありがちです。具体的には「時短勤務者は、作業的な業務が多く、育休前は主力となって仕事をしていたにもかかわらず、成長の機会を減らされている」などといった声が寄せられています。これについては1.自分が変わる2.周囲を変えるといった2つの方法があります。2は職場環境にもよりますが、1ができることで2にもつながると考えることもできます。自分自身がどのように職場で振る舞うかによって、チャンスを手にすることができるのです。具体的には、指示待ちをやめて、自分から主導権を取りに行くこと。期限よりも2割早く仕上げることで余裕を持った業務遂行をする。あるいは業務フローを見直して提案するなど、さまざまなアプローチがあります。「任せてください」と言葉で伝えたとしても、任せられるような体制ができていなければ、上司は不安になります。主体性を持って仕事に取り組み、任せてもらえる環境づくりを地道に行うことで、周囲からの見る目が変わります。くじけずに希望を持って、努力を重ねてみましょう。○子どもとのコミュニケーション2013年に行われた、働くママの悩みに関するWEB調査では、「子どもと過ごす時間が足りない」と答えたママが84%。高い割合を占めました。育休中は毎日一緒に過ごせた子どもたちも、復職後は日中ずっと離れ離れ。平日は、怒涛の忙しさの朝と、保育園のお迎えに行って寝かしつけまでの数時間が子どもと一緒に過ごせる貴重な時間となります。仕事をしている以上、一緒に過ごせる時間が少ないのは当たり前です。ここは「所与の条件」と割り切り、一緒に過ごす時間を濃密なものにしましょう。「子どもたちが寂しい思いをしているんじゃないか」という罪悪感を持っていたら、やはり子どもたちも実際に「自分は寂しい、ママが働いているからだ! 」と思ってしまいます。そうではなくて、「保育園って楽しいね」「おじいちゃん・おばあちゃんと一緒に過ごせて楽しいね」など、ママと一緒ではない時間も子どもたちが幸せに過ごせることを願って言葉がけするだけでも違います。そして、一緒にいるときは抱っこしたり、頭をなでたり、スキンシップも大切にしましょう。親の想いは時間が短くても、しっかり伝わっていますよ。○家事などの負担最後に肉体的にも負担として重くのしかかってくるのが、家事です。毎日の食事作りと洗濯、子どものケアは逃れることができないもの。これに関しては、いかにして自分が手をかけずに乗り切るのか、がポイントです。我が家の場合は、夫が洗濯を干す担当で(どんなに夜中遅く帰って来ても……)、たたむのは子どもたち、食事については週に2回は実家のお世話になるなど、負担軽減のための方法を考え、実行してきました。諸外国などと比較すると、日本では「すべて完璧に、"自分で"」しようとするママが多いように見受けます。最も頼りになるパートナーとの分担は、なるべく育休復帰前から明確にしておくとスムーズです。「自分がすべてやらなければ」との義務感にかられて行った結果、体調を崩し、中には入院してしまったママもいます。出産後、体調を崩しやすくなったという声もよく耳にします。自分自身の健康がなければ、仕事も、子育ても何もできません。負担軽減のために、家事の一部だけでも有料の家事代行を使ってみるのもいいでしょう。精神的にも肉体的にも、ずいぶんと楽になります。使わないと決めつけず、一度お試ししてみてはいかがでしょうか。育休から復帰した直後は、おそらく一番大変なときではないかと思います。これから、子どもの成長に従い、お手伝いしてくれるようになったり、言葉もたくさんしゃべれるようになったり、楽しみが増えていきます。大変な毎日のなかで見つめるわが子の成長を楽しみながら、両立生活を充実したものにしてくださいね。※画像は本文と関係ありません。○著者プロフィール株式会社グローバルステージ代表取締役 大洲早生李慶應義塾大学商学部商学科卒業後、株式会社日立製作所に入社。2003年より宣伝部愛知万博プロジェクトにて日立パビリオンの総合プロデュースおよび広報を手掛ける。4年半の単身赴任生活を送った後、2008年に双子を妊娠。両立不可能となり退職。その体験から働くママ支援プロジェクト「キラきゃりママ」を立ち上げる。直後に第三子を出産。「母と子のリアルを、みんなで支える」をビジョンに、働くママの支援活動を開始する。2011年4月に法人化、株式会社グローバルステージ代表取締役に就任し、ママと子どもを基軸としたマーケティング / PRコンサルティングを国内外で展開。2013年9月に一般社団法人日本ワーキングママ協会を立ち上げ、母たちが戦略的にキャリアを築き、能力を発揮できる社会の実現を目指す。6歳の男女双子、4歳男児の母。株式会社グローバルステージ東京ワーキングママ大学
2015年04月16日リクルートホールディングスは4月15日、「Recruit Institute of Technology」を人工知能(AI)の研究所として再編し、AI分野の世界的権威を新たにアドバイザーとして迎え、リクルートグループ各社と連携したグローバル規模のAI研究を開始したと発表した。同社は「2020年に総合人材サービス領域でグローバルNo.1、2030年に人材領域・販売促進支援領域でグローバルNo.1」という中長期な戦略ビジョンの実現に向け、破壊的技術(Disruptive Technology)としてのAI研究に着目し、2015年4月1日より、AI分野の研究所として新生RITをスタートさせたという。今回、同研究所のアドバイザーとして就任したのは、Tom M. Mitchell氏(米カーネギーメロン大学教授)、Oren Etzioni氏(Allen Institute for Artificial Intelligence CEO/元・米ワシントン大学教授)、David M. Blei氏(米コロンビア大学教授)の3名。米カーネギーメロン大学のMitchell教授は、黎明期から機械学習の基礎・応用に幅広く取り組んできた代表的な研究者で、機械学習の代表的な教科書『Machine Learning』の著者でもある。あわせて、同社は米マサチューセッツ工科大学メディアラボのコンソーシアム研究所のメンバーになっており、Alex ’Sandy’ Pentland教授のもとに客員研究員を派遣してビッグデータ分析の新しい取り組みの研究を開始している。同社はすでに米国やイスラエルのAI関連企業と協業を開始しており、これらの結果も順次報告していく予定だ。
2015年04月16日©Gardens by the Bay企業も国家も、そして私たち個人も、もちろん全員とは言わないが、現代の「グローバル化」というトレンドにこれから対応していくことを求められている。 (さらに…)他の追随を許さないシンガポールの策©Gardens by the Bayみなさんは、日本が何位だと予想するだろうか。最新の2013年は、「588回」で国別で「4位」。前年の2012年は「731回」で「2位」だったが、143回減らし順位を下げた。シンガポールに続いて、2位は先述の「アメリカ」、3位は「韓国」、5位は「ベルギー」だった。都市別でも見てみよう。2位に558回の差を付け圧倒的首位だったシンガポールに続いて、2位は「ブリュッセル(ベルギー)」、3位は「ウィーン(オーストリア)」、4位は「ソウル(韓国)」。日本勢の最高位は東京で「5位」。前年から3回増やし、順位を一つ上げた。シンガポールの政府観光局によると、同都市は「国際会議・コンベンション協会(International Congress and Convention Assosiation)」、通称 ICCAが発表した、2013年版の「世界コンベンション都市番付」でも、アジアで12年連続の首位となった。主な国別の「MICE」イベントの数(出典:日本政府観光局(JNTO)国際統計)この都市は、アジアビジネスのハブとしての地位を、東京や香港など、他のアジアの先進都市に譲る気はないようだ。同政府観光局は、このMICEの事業に関する新たなロードマップを策定し、発表している。それによると、日本人観光客にも人気のホテル「マリーナ・ベイ・サンズ」が立地するマリーナベイ地区からリゾート地区セントーサ島など、主要なエリア一帯を「Wi-Fi」でカバーする。また、世界への文化の発信やMICEのための人材育成を強化する計画もある。背景には、外貨を獲得したい意図がある。同政府観光局によると、2013年のシンガポール来訪者1560万人のうち、MICE旅行者は350万人。同都市の全観光収入235億シンガポールドル(Sドル)のうち、MICE旅行者は55億Sドル。支出は通常の観光客の1.7~1.9倍だ。さらにアジアでは、隣国で、都市別ランキング18位に首都クアラルンプールがランクインしているマレーシアや、中国や韓国など、各国や都市がMICE事業への投資を拡大している。その追随を許したくない考えだ。マリーナベイ地区の夜景(写真:筆者が撮影)2020年東京オリンピックに向けた日本の動きいまの地位も盤石とは言い切れない日本も、MICE事業の強化に乗り出している。観光庁は「2030年にはアジアNo.1の国際会議開催国として不動の地位を築く」という政府目標のもと、「グローバルMICE強化都市」の募集を開始した。2013年6月に選定した、東京、横浜、京都、神戸、福岡、大阪、名古屋の7都市に、新たに4都市程度を加える。選ばれた都市には、国が都市の調査分析やアドバイザー派遣、プロモーション支援などを実施する。また、MICE事業行う大手2団体が合併し、新たに「日本コンベンション協会」を設立。専門委員会などを通じて、MICE産業の発展と活性化、国際競争力の強化を推進していくことがそのねらい。同協会では、2020年に開催される「東京オリンピック・パラリンピック」を世界最大のMICEと位置づけている。世界中の日本に対する関心が高まる大きな節目で、国際会議主催都市としての存在感を高めていけるだろうか。(text : 岡 徳之 )参考:日本政府観光局(JNTO)国際統計
2015年04月14日○IoT分野で"オンリーワン"のサービスIoT(Internet of Things)やモバイル向けのバックエンドサービス(MBaaS)を中心に、アプリ開発やデバイス開発を支援するサービスを展開するKii。IoT分野でもはやくから取り組みを進め、世界各国のアプリ開発者、デバイスメーカーから高い支持を得てきた。Kiiは東京を本社とし、シリコンバレー、上海、台湾、香港、スペインにオフィスを構え、そのサービスは、世界中のパートナー企業を通して、全世界で数千万人以上のエンドユーザーに利用されている。IoTへの関心が世界的に高まるなか、Kiiのサービスに対するニーズはますます拡大している状況だという。KiiのChief Product Officer(最高製品責任者)としてシリコンバレーから同社のグローバル戦略を指揮するPhani Pandrangi氏は、同社の強みをこう話す。「IoT向けの機能やサービスをプラットフォームとして整備し、多数のパートナーとエコシステムを構築しています。そして、それをグローバルに提供しています。こうしたIoTソリューションに必要なサービスをワンストップで提供することができるベンダーは、世界を見渡してもわれわれしかいないと思います」国内でも取り組みがさかんになってきたIoTだが、ソリューション提供にあたってどんなことが課題になっているのか。シリコンバレーの最新事情に詳しいPandrangi氏に話を聞いた。○IoTソリューション開発の課題とはPandrangi氏は、Webカメラを例にIoTソリューション開発における課題を次のように説明する。「Webカメラを使ってスマートホーム等の何か新しいIoTソリューションを提供する場合、大きく、3つの要素が必要になります。まずは、モノ(Thing)としてのWebカメラ。IoTデバイスという言い方ができます。次に、スマートフォンなどにインストールして利用するアプリ(App)。ここではカメラアプリです。そして、サービス(Service)。モノとアプリをバックエンドで結びつけます。たとえば、Webカメラから得られる映像を保存して加工したり、アプリにプッシュ通知を行ったりします。ソリューションの開発にあたっては、これら、デバイス、アプリ、サービスの3つが連携して動作することが欠かせません」IoTソリューションは、この3つの要素をどう扱うかによって、大きく3つのパターンに分けられるという。1つは、1社が単独で、デバイス、アプリ、サービスをすべて開発するパターンだ。たとえば、デバイスメーカーがアプリを開発してサービス提供をしたり、アプリ開発者がデバイスを製造したりする。だが、3つの要素を単独でカバーすることは現実的にはかなり難しく、製品リリースまで時間がかかったり、開発やサポートのリソースが不足したりといったことが起こりがちだという。2つめは、1社単独で開発するのではなく、デバイスの仕様やAPIを「オープンプラットフォーム」にするパターンだ。アプリやサービスを開発してくれる第三者に開放する。デバイスメーカーは本来のデバイス開発にリソースを集中することができ、失敗した場合のリスクを減らすこともできる。また、さまざまなパートナーと連携することでソリューションを発展させていくことができる。第三者に開放するものとしては、API、SDK、取得データなどがあるという。3つめは、1社単独かオープンプラットフォームかに関わらず、デバイス間の相互連携を図るパターンだ。デバイス同士をBluetoothやNFCなどの近接通信で連携させたり、クラウドのネットワークを介して連携させたりする取り組みがこれにあたる。必ずしもアプリやサービスの開発をともなうわけではない。「こうした3パターンではそれぞれ課題が異なります。Kiiでは、それらすべてに対応できるようにプラットフォームを整備しました」(Pandrangi氏)○IoTソリューションのカギを握る「プラットフォーム」KiiのIoTプラットフォームは、こうした課題に対し、データ送信やイベント処理、通知などを行う「エージェント」、ユーザー管理やデバイス管理、プッシュ通知、サーバ拡張などの「コアバックエンド」、A/Bテストやダッシュボード、KPI、分析などの「アナリティクス」、「ポータル」、各種「API」でこたえていくという。Webカメラの例で言えば、Webカメラとクラウドをつなぐエージェントの提供から、Webカメラサービスを利用するユーザーの管理やユーザーへのプッシュ通知、アプリ上でのサービスのA/Bテストの実施、テスト結果の分析、外部サービスとの連携に至るまでを提供できるということだ。「さまざまなOS、ハードウェア、ファームウェア、チップをサポートし、どのような規模にもスケールできます。オープン性と相互運用性を持ち、パブリックなクラウドだけでなく、顧客の要望に応じてオンプレミス環境やプライベートクラウドでも利用できるように設計しています」(Pandrangi氏)もっとも、プラットフォームだけでは、IoTソリューションの課題を完全には解決できない。製品をどう市場へ展開し、利益を確保していくかといったビジネス面での課題が残るからだ。それにこたえるのが、IoTエコシステムの存在だという。○ビジネス課題の解決に欠かせない「エコシステム」「開発、製造、販売、サポート、改善など、ソリューションを市場で展開し、利益を上げ続けるためには、さまざまな分野でパートナーと協業することが欠かせません。そのためのエコシステムを構成していることが、Kiiのもう1つの強みです」(Pandrangi氏)パートナーとしては、ソリューションを設計・開発するためのプラットフォームパートナー、試作品(プロトタイプ)や大量生産するための製造パートナー、ターゲット顧客に販売や流通を担うディストリビューションパートナー、サービスを維持するのに欠かせない通信事業者やISPとのコネクティビティパートナー、ソリューションを改善していくための開発パートナーなどがある。たとえば、製品の試作品を迅速に作り、その後、大量生産したいといったニーズに対しては、中国や台湾の生産拠点を利用するといったパートナーシップを結ぶことをサポートしている。同じように、どの販売チャネルを使いどういった課金モデルでどの国に展開するかといった課題については、各国のディストリビューションパートナーやコネクティビティパートナーと協業することをサポートしている。実際、Kiiのプラットフォームを使ってソリューションを開発し、エコシステムを活用して、市場展開しているという事例は多いという。たとえば、台湾のデバイスメーカーが米国市場で製品を展開するケースや、米国メーカーが中国市場に製品を展開するケースなどがある。日本企業についても、ベンチャー企業のみならず大手製造業においても、米国や中国などのマーケットで製品を展開することはさまざまな障壁があるが、Kiiのプラットフォームとエコシステムを活用することで、そうした障壁を乗り越えることができると話す。ここでも「プラットフォーム、エコシステム、グローバルという3つに対応できる強み」が生かされるということだ。日本の製造業が復権し、世界展開していくには欠かせないモデルといえよう。○ワクワクする取り組みを支援していくIoTに対する関心は、米国や日本に限らず、グローバル規模で高まっている状況だ。Pandrangi氏は、IoTのトレンドについて次のように話す。「経済発展の度合いでどのようなセグメントに適用するかは異なります。先進国では、スポーツやスマート家電、スマートホームなど個人の生活に近いところでIoTを活用しようとする動きが活発です。途上国では、スマートシティやスマートビルディング、スマート農業のような社会的な側面が強いように感じます」Kiiが今後取り組もうとしているのは、特定の分野にフォーカスしたソリューションだという。これまでに整備してきたプラットフォームやエコシステムは、水平的に支える土台のようなものだ。これからは、その土台のうえで特定の課題を解決する垂直的なソリューションを提供していくことを検討している。たとえば、オフィスビル内の照度を自動調整して節電につなげるといったスマートライティング(照明)という分野があるが、それに必要なサービスをワンストップで提供するソリューションなどだという。「IoTに対する認知度はどの国でも高く、今後、さまざまな課題を解決するソリューションが生み出されていくことになるでしょう。詳しくはまだ明かせないのですが、実際、われわれのプラットフォームとエコシステムを使って、ワクワクするような取り組みを進めている企業がたくさんあります。そうした方を引き続き支援していきたいと思います」(Pandrangi氏)
2015年04月13日アプレッソの新製品「Thunderbus」は、VPN構築など大がかりな作業をすることなく、手軽にオンプレミス環境にあるデータをクラウドサービス上から利用できるようにするツールだ。開発の経緯や製品の特徴について解説した第1回に続き、今回は想定する利用シーンや将来像などについて話を聞いた。○Thunderbusで実現する情報活用3つのケースThunderbusはサーバライセンス(Thunderbus Serverを稼働させるサーバのCPU単位)およびエージェントライセンス(Thunderbus Agentの台数)、そしてユーザーライセンスの組み合わせで販売される。最小構成として、サーバ1CPU、5エージェント、5ユーザーという構成で100万円、または月額58,000円となっている。利用シーンとしては、以下のようなケースが挙げられる。[Case 1]クラウドサービス+Excel1つめは、社内のクライアントPC上などにあるファイルをSaaSから活用するパターンだ。「現場で日々発生する数字を、それぞれの社員がPCのローカルに保存したExcelで管理しているケースは少なくありません。一方で、サイボウズの『kintone』などでアプリを作り、データを皆で共有するようにしている企業も最近は増えています。現状ではそれらを連携することが容易ではありませんが、これらをThunderbusでつなげば、現場では今まで通りExcelに手入力するだけで、あとはThunderbusとDataSpider Servistaによりkintoneへデータをわたすことができます」と亀井氏は説明する。[Case 2]BI(ビジネスインテリジェンス)+拠点データ2つめは、多数の拠点や店舗を展開する企業の場合だ。拠点から本社へのデータ送信や、その逆となる本社から拠点へのデータ送信、あるいは売り上げなどの同期を行う必要があるデータは多岐にわたる。そのため、拠点や店鋪で管理しているデータとクラウド上にある本社のBI システムを連携することで、最新のデータをもとにした経営分析が行えるようになる。同社 営業部の脇野寛洋氏によると、すでにα版の段階から、こうした多拠点展開をする企業がThunderbusを導入して、活用している例もあるという。「この企業様は急速に拠点を拡大中で、拠点ごとの業績を管理するためにBIシステムの導入を進めていました。各拠点にあるシステムから業績データをファイルとして出力するところまでは構築されていたのですが、そのファイルを本部に転送する仕組み、分析に必要なデータをファイルから抽出・加工する仕組みを検討する必要がありました。ここで登場するのがThunderbusとDataSpider Servistaの組み合わせによるデータ連携です。Thunderbusを利用することにより、DataSpider Servistaから拠点にあるファイルを直接操作することができるため、ファイル転送処理をDataSpider Servista上でデータ加工処理と一緒に考えることができるようになり非常に効率的です。さらにThunderbusの拠点への導入が簡単であるということも好評をいただいており、アプリケーションエンジニアだけで拠点間の連携の仕組みを構築できることも魅力です」(脇野氏)[Case 3]グローバルデータ連携3つめは、グローバル展開している企業での利用も想定されている点だ。世界各地の拠点サーバからThunderbusでデータを収集して本社のシステムから参照したり、逆に各拠点のサーバへデータを配布するといった使い方だ。「グローバル展開する際には、ネットワークインフラが貧弱な地域や、ITエンジニアがいないような場合もあります。そういった地域でも、Thunderbusを使えばVPNなどを導入する必要なく、連結会計や経費精算、在庫の突合などといったシステム間のデータ連携を容易に実現できます」(脇野氏)○SaaS事業者が、個々のユーザーのデータを収集することも可能にもちろん、この3パターンの想定以外にも様々な使い方が考えられる。「例えばSaaS事業者が、Thunderbusを利用してユーザーのオンプレミス環境にあるデータを活用できるようにする、といった使い方も可能です。ユーザーの環境にあるファイルにアクセスしたいとき、ユーザーにアップロードしていただいたりオンプレミス環境とVPNで繋いだりすることなく、簡単にファイルにアクセスすることができます。また、ローカルで溜まっていくアプリのログやバックアップデータをクラウドに逃がす処理を自動化するといった使い方も想定できます」(土岐氏)「その他、流通小売業のEDIでも、便利に使えると思います。Thunderbusでつなげば、サーバ側からプッシュ配信することも、逆にサーバ側で収集することも簡単にできます」(脇野氏)Thunderbusが提供する機能は、これまで敷居が高かった「オンプレミスにあるデータをクラウドから参照できるようにつなぐ」ことを容易に実現するという非常にシンプルなものだ。シンプルであるだけに、工夫次第で用途は広がるわけだ。○データベースやWebサーバへの対応など、機能を拡充予定2014年9月のα版、12月のβ版を経て、今回1.0をリリースしたThunderbus。先行ユーザーの要望を聞ききながら調整を進めてきたわけだが、すでに今後の開発方針も定まっている。「バージョン1.0では、WebDAVサーバとしてファイルへのアクセスを可能にしています。今後のバージョンでは、データベースやイントラネットなどのWebサーバの接続にも対応していく予定です。私たちは常にユーザーの声を聞きながら、機能を拡充していこうと考えています」(土岐氏)データベースやWebサーバへの対応は、今夏にも実現させる方針だという。また、先行ユーザーからは他の接続形態を要望する声もあり、正式版ユーザーからの反応も踏まえつつ対応を検討していく意向だ。「将来的には、SaaSとしての提供なども考えています。また、企業ユースとしてはもちろんですが、前述のようにSaaS事業者様へのOEM提供も行っていますので、自社サービスの利便性向上のためにも利用していただきたいです」(亀井氏)本格的なクラウド時代を迎え、Thunderbusが利用されるシーンは今後ますます増えるはずだ。次回は、実際にThunderbusを導入、利用している企業の事例を紹介する予定なので、こちらも楽しみにしていただきたい。
2015年04月13日株式会社「LIXIL(リクシル)」グループはプロテニスプレイヤー・錦織圭と3年のグローバル・パートナーシップ契約を結んだことを発表。4月10日(金)に都内で会見が行われ、錦織選手は拠点の米国フロリダのIMGアカデミーから中継を通じて出席した。錦織選手は昨年の全米オープンで、アジア出身選手で初となる決勝進出(準優勝)を果たすという快挙を成し遂げ、現在世界ランキングは4位。「日清食品」に所属し、すでに「ユニクロ」「ウィルソン」、「タグ・ホイヤー」など数社とスポンサー契約を結んでいるが今回、同じくグローバルな舞台でNo.1を目指すという「LIXIL」と3年のグローバル・パートナーシップ契約を締結。4月20日に開幕する「バルセロナ・オープン」よりユニフォームの左肩に「LIXIL」のロゴを付けて戦うことになる。生中継でスクリーンに登場した錦織選手は「おはようございます。フロリダは夜9時過ぎです(笑)」と挨拶。今回の契約について「光栄です。世界No.1を目指されているLIXILさんにスポンサーになっていただき、世界の頂点を目指している私としても身が引き締まる思いです。共に世界の頂点を獲得できればと強く思っています」と力強く語った。開幕が迫る「バルセロナ・オープン」は昨年、錦織選手が優勝しており「相性のいい大会で、LIXILさんとここからスタートできるので、勢いがつくと思います」と気合い十分の表情。「LIXIL」といえば、住まいに関する製品が知られるが、錦織選手も気になる製品として「お風呂」と「トイレ」を挙げる。「日本人ですので風呂に入るとリラックスできます」と語るが、以前のブログでは、お風呂でゲームをするも、そのまま眠ってゲーム機を湯船に落としてしまったことを告白している。「全米オープン前で練習で疲れててウトウトして落としてしまいました(苦笑)。それくらい、リラックスできる、僕にとってお風呂は一番リラックスできる時間です」と明かす。また、日本の清潔で快適、高機能なトイレに関しては、錦織選手曰く「海外でもウワサで、日本の便器を取り寄せるプレイヤーもいる」とのこと。会見に出席した「LIXIL」グループ取締役 代表執行役社長兼CEOの藤森義明氏は「仰っていただければ、世界中のどこにでも(同社のトイレを)据え付けに行きます!」とトイレも含めた完全サポートを約束!この日は、契約締結の記念に錦織選手に「黄金のトイレ」のミニチュアを贈呈したが「世界に1台ですので、錦織選手が世界一になったら、本物を届けに行きます」と語り、錦織選手も「すごい!初めて見ました。縁起が良さそうですね」と笑顔を見せていた。日本は寒さが完全には終わらないとはいえ、桜に花粉症とすっかり春だが、錦織選手はフロリダを拠点に活動しており、この時期は試合に臨むため「人生で花見をしたことがないんです」と少し残念そう。花見ができるお風呂があったら?という問いかけに「最高ですね。お風呂で花が見られたら言うことないですね」とうなずいていた。これからシーズンもさらに佳境へ。バルセロナ・オープンに、マドリッド・オープン、そして5月から6月にかけて4大大会の全仏オープンとクレーコートの大会が続く。さらには全英、そして全米と続き、初の4大大会制覇に期待がかかる。錦織選手は「去年のUSオープンは自分が一番飛躍できた大会で、ジョコビッチをはじめ強い選手に勝ち、決勝まで行けて自信もつきました。あれをきっかけに今年もいいテニスができてます。厳しい戦いであることは変わりませんが、今年も行けるところまで行けたらと思っています」とさらなる飛躍に向けた意気込みを口にした。(text:cinemacafe.net)
2015年04月10日○グローバルBPO企業が抱えていたエンドポイント・セキュリティの課題とは?1986年に創業し、海外のグローバルネットワークと国内のグループ会社ネットワークの双方を構築・拡大することにより、BPO事業を成長させ続けてきたプレステージ・インターナショナル。同社は昨年、グローバルでハイレベルなセキュリティを一律に実現することを目指し、エンドポイントのセキュリティ・ソフトウェアとして、ウェブルートの「SecureAnywhere Business エンドポイントプロテクション」を導入。今年前半には、3000台規模での適用をすべて終える予定となっている。同社は以前、クライアント向けのセキュリティソフトウェアとして他社製品を利用していた。しかし、端末ごとの挙動が一律ではなく安定感に欠けており、それが管理者にとって安心感の欠如をもたらしていた。また、管理コンソールが使いづらいうえ、構築時にサーバやネットワークを自前で用意しなければならないなど、管理者にとって運用負荷が大きかったという。そして、日々生じる問題を解決しようとベンダーのサポートオフィスに問い合わせてみても、担当者に日本語は通じるが、細かいニュアンスは伝わらずになかなか解決には至らないために、時間ばかりがかかってしまうケースが多かった。プレステージ・インターナショナル 情報管理部の部長を務める佐々木亘氏はこう振り返る。「企業にとって重要なセキュリティを守る人間として、セキュリティ・ソフトウェアがそのような状況では、迅速に二次的なアクションに移ることができません。これでは、リスクが増大してしまうので、リプレースを考えたのです」同社は国内外に拠点を展開しており、国や地域によって通信品質にも差がある。また、デバイスを利用するシチュエーションも多岐にわたっている。そうした同社ならではの環境をカバーできるような、新たなエンドポイント・セキュリティ製品が求められたのである。○製品選定とエンドポイントセキュリティの一元管理体制を短期間で確立プレステージ・インターナショナルでは、各セキュリティベンダーに門戸を開いてコンペティションを実施。そこに参加していた一社がウェブルートだった。「正直なところ、ウェブルートは日本での知名度がそれほど高くなかったため、最初はターゲットから外していました。しかし、いろいろと調べていくに従い、ウェブルートの製品が当社のニーズをことごとく満たしていることがわかりました。他社の製品だと、われわれの条件のいくつかはクリアしていても、何らかのネットワーク構築が必要だったり、日本でのサポートが不十分だったりと、必ずどこかが欠けてしまうという状況でした」と佐々木氏は語る。リプレースの検討を開始してからウェブルート製品の導入を選択するまでの期間は、わずか3~4カ月しかかからなかった。その後は、ウェブルートの営業スタッフとエンジニアが訪れて、どのような形で導入するかなどのアドバイスを受ける。拠点や端末の数がいずれも多いことから、管理者が直接拠点に足を運んで管理することは非効率であると判断。「SecureAnywhere Business エンドポイントプロテクション」によるリモートでの一元管理による管理体制を確立することとなった。リプレースは、部署ごとに一部導入してみて、問題がなければ入れ替えるといった形で進められていった。エンドポイントに関しては、最終的にすべてが「SecureAnywhere Business エンドポイントプロテクション」に入れ替わることになる。「マルチリンガル対応なことも、ウェブルート製品を選んだポイントでした。最初に米国の拠点に導入したのですが、海外のほうがウェブルートの知名度が高く、現地のエンジニアからは、『ウェブルートなら使ったことがあるよ。これなら大丈夫だ』と言われました」(佐々木氏)○グローバルでのセキュリティレベルの底上げに向けて今回のエンドポイント・セキュリティ・ソフトウェアのリプレースは、すでにさまざまな効果を見せているようだ。まず、管理コンソールがクラウドで提供されるので、サーバを用意したり、コンソール自体が動いているのか確認したりといった作業が不要となり、コストと手間の両面で負担が減少したという。また、管理コンソールから各デバイスの状態を詳細に把握できるため、アラートが上がった時もリモートで対処することが可能になった。さらに、対処後にフルスキャンを実施しても、わずか1分ほどで終了するので、ユーザーにとってもスキャン時の待ち時間が大幅に減少することなった。佐々木氏は言う。「今までは問題が起こった時は、端末で駆除を行っても、それが完了しているかどうかを現地まで確認しに行かねばなりませんでした。加えて、現地で実行するフルスキャンにも膨大な時間を要したため、時間と手間の双方において相当な負担となっていました」海外の拠点においては、IT担当者がいない場合は管理を外注していたが、そこもリモートから一元管理を行えるようになり、セキュリティレベルの一律化を図ることができたのである。同社は、協力会社に配布するAndroidタブレットにもウェブルートのモバイル向けセキュリティ製品「SecureAnywhere Business モバイル」を1000以上のライセンスで導入、 運用している。最後に佐々木氏は、セキュリティ対策における今後の展開について次のように語った。「文化的な背景などもあって、国によってセキュリティに対する意識に温度差が生じてしまいがちです。しかしながら、日本企業の仕事を主に引き受けている当社の場合、世界中の拠点のセキュリティを"日本レベル"に引き上げねばなりません。グローバル全体でセキュリティレベルを底上げするという大きなテーマを実現するためにも、『SecureAnywhere Business エンドポイントプロテクション』で効果を実感した"クラウド"が、今後の運用でもキーワードとなることでしょう」
2015年04月10日NTTコミュニケーションズは4月7日、事業説明会を開催し、代表取締役社長の有馬彰氏が、同社の企業向けサービスのビジョン「Global Cloud Vision 2015」について説明を行った。同社は2011年に「Global Cloud Vision」を発表し、同ビジョンに基づき、サービスの拡大を図ってきた。具体的には、グローバルでシームレスなマネジメントサービスを実現すべく、「マネージド・セキュリティ」「マネージドICT」「クラウド型アプリケーション」「データセンター/クラウド」「データネットワーク/VoIP」といった分野でM&Aを行ってきた。また、データセンター、クラウドサービス、VPNサービスの拡大も図ってきた。有馬氏は、2015年はサービスの強化に向けて、「ネットワークと一体で"キャリアクラウド"の強化」「仮想化/Software Defined化の加速」「API機能の拡充」に取り組んでいると語った。「クラウドサービスの提供にあたっては、ネットワーク事業者としての強みを生かしていきたい。また、顧客から、社内システムとクラウドサービスを連携させたいというニーズがあり、それを実現するため、API機能を拡充していく」(有馬氏)グローバルVPNサービス「Arcstar Universal One」では、オプションサービスとして、「アドバンストアドバンストオプション〔仮想アプライアンスタイプ〕」「グローバルモバイル(仮称)」「Arcstar Universal One Virtual」「他社クラウド接続オプション(仮称)」が追加されている。「アドバンストアドバンストオプション〔仮想アプライアンスタイプ〕」はNFVを実用化したもので、顧客の拠点にネットワーク機器を設置することなく、ファイアウォールなどのネットワーク機能をクラウドサービスとして提供するもの。国内では2015年2月より提供が始まっている。「グローバルモバイル」とは、新興国における通信の安定化や拠点展開の迅速感度、多国籍企業のニーズに対応するモバイルアクセスを海外47カ国で提供するもの。「Arcstar Universal One Virtual」は、クラウドからデバイスまで、オンデマンドかつセキュアに接続できる仮想ネットワーク環境を提供するSDNサービス。「他社クラウド接続オプション(仮称)」は、NTT Comクラウドに加え、他社のクラウドサービスに接続するもの。現在は、セールスフォース・ドットコムの「Force.com」「Salesforce CRM」「Salesforce Chatter」に対応しているが、8月には、Microsoft AzureとAmazon Web Services(AWS)に対応する予定。有馬氏は、他社クラウドサービスへの接続を強化する理由について、「在クラウドサービスとして、AWSとAzureを利用する企業ユーザーが多く、ハイブリッド・クラウド環境を提供していくのが現実解と言える」と述べた。また、データセンター/クラウド関連のサービスとしては、「Nexcenter」「Bizホスティング Enterprise Cloud」「Bizホスティング Cloud」を展開している。同社は今年3月、ドイツ最大のデータセンター事業者であるe-shelterの株式取得を発表しており、欧州におけるデータセンターが拡充される見込みだ。e-shelterは欧州でサーバルーム面積の合計が約7万2500平方メートルに及ぶデータセンターを保有している。さらに、自社建設とM&Aを活用し、欧米とAPACを中心に拡充していく。さらに、次世代クラウド基盤として、専有型(Hosted Private Cloud/ベアメタル)と共有型(Public Cloud)を組み合わせて提供する予定だ。カスタマーポータルを通じて、既存のクラウドサービスや他社のクラウドサービスを含めて、一元管理を可能にする。今年12月までに提供したいという。有馬氏は、同社の課題として、データセンターの占有面積が海外でトップ3には入っているにもかかわらず、海外での知名度が高くないことを挙げていた。同社のビジネスを伸ばしていくうえで、海外での売上をアップさせることは必須だろう。有馬氏は、同社の知名度を上げるうえでの有効策については、「市場に占める量が増えれば、自ずと知名度は上がるだろう。また、第三者である調査機関による評価も知名度につながる」と語っていた。
2015年04月08日