anan誌上で連載され、舞台、映画などさまざまな形で愛され続けている、辻村深月さん(辻は二点しんにょう)の小説『ハケンアニメ!』。今度はWEBTOON(ウェブトゥーン)で、“彼ら”にまた会えることに!アニメ業界で奮闘する“彼ら”に、新たな形で再会!上から時計回りに、行城、香屋子、瞳、王子。お仕事エンターテインメントの傑作『ハケンアニメ!』がウェブトゥーン化。11月18日(土)より「LINEマンガ」独占先行配信。制作プロデュース:マガジンハウス制作:WONDER TOON LABウェブトゥーンとは韓国発のウェブコミックなのだが、制作を担当した雲井蛍さんはその特徴を次のように説明する。「右から左へ横に読んでいく日本のマンガと違い、主にスマートフォンで読むことを想定しているので、縦スクロールでフルカラーの作品になります。制作に関しても、キャラクターデザイン、シナリオ、線画、着彩などを分業で行う韓国のスタイルを踏襲しています。そのためITベンチャーやゲーム制作会社など、マンガ業界以外からの参入も多く、日本でも盛り上がってきています」ウェブトゥーン版『ハケンアニメ!』の制作チームは6名ほど。作中で描かれるアニメの制作現場ほど大所帯ではないが、本作自体もチームワークで作り上げているのだ。「しかも私は、前職でアニメの宣伝と企画プロデューサーをしていたので、不思議なご縁を感じます。良くも悪くも本音でぶつかり合う、アニメ業界の人々の正直さや良心を、きちんと描いた小説だと思いました」今回配信されるのは、原作の第1章「王子と猛獣使い」。伝説の天才アニメ監督・王子千晴を、プロデューサー・有科香屋子が口説き落とし、一緒に仕事をすることになったものの、シナリオが未完成のまま王子が行方不明に。一方、同クールには気鋭の監督・斎藤瞳と敏腕プロデューサー・行城理がタッグを組む話題作も控えていて……。雲井さんはキャラクターデザインとシナリオ、さらにはネーム監修を担当している。「原作を読んだ人は、連載時や書籍の表紙でイラストを描かれているCLAMPさんの絵柄のイメージが強いと思います。香屋子や瞳は、自然とそれに近くなったのですが、王子や行城など男性のキャラクターデザインは、あえて少し違う雰囲気にしています。例えば王子は、見た目は若くて生意気だけど30代半ばになろうとしているじゃないですか。目や鼻など顔のバランスや服装をリアルに寄せつつ、キャラクターとして萌えるビジュアルを意識しました」シナリオには、登場人物のセリフはもちろん、そのときの表情、コマの情景、画角まで細かく盛り込み、物語の設計図を作成。その過程で雲井さんが気づいたのは、ウェブトゥーンと小説の相性の良さだった。「ウェブトゥーンは私たちが読んできたマンガよりも、主人公のモノローグが多い傾向にあるんです。それは読者とキャラクターの距離を早く縮めるのに効果的だったりするのですが、登場人物の内面を細かく描写する小説は、ウェブトゥーン化にとても向いていると思いました」スクロールで流れるようにコマが展開するため、映像を見ているような感覚を味わえるのも特徴。全体的に原作に忠実な印象だが、絵だからこそ表現できるニュアンスも。「香屋子と王子のやり取りで、“ちょっといい雰囲気”を演出しています。仕事場のディテールなどもリアルな描写にこだわっているので、その辺りもぜひ見てほしいですね」ウェブトゥーン版『ハケンアニメ!』はこちら原作・辻村深月さんからのコメントも到着!「また新しい王子や香屋子に会えて、とても嬉しいです。マンガ版の彼らも表情豊かで可愛く素敵。そして、熱いです!」『ハケンアニメ!』2012年から2年弱にわたって本誌で連載され、昨年の映画化も話題になった、辻村深月さんの長編小説。同クールに放送されるTVアニメで、最も成功した作品に与えられる「ハケン(覇権)」の称号を巡り、奮闘する人々を描く。仕事との向き合い方を教えてくれる、熱い群像劇。マガジンハウス文庫968円お話を伺った方・雲井 蛍さん(クリエイティブディレクター/WEBTOON作家)くもい・けいTVアニメの宣伝・企画プロデューサーを経て、現在はギークピクチュアズでクリエイティブディレクター及びWEBTOON原作者として、オリジナル作品を制作中。※『anan』2023年11月22日号より。写真・土佐麻理子(辻村さん)取材、文・兵藤育子(by anan編集部)
2023年11月18日公開から2か月が経つ今なお、ロングランを記録している『ハケンアニメ!』。映画制作に関わった人の作品愛が止まらなかったり、口コミがムーブメントを起こしたり、物語とシンクロするような展開にも注目が集まっている。小説の密度や高揚感、そしてキャラクターの魅力が、映像で見事に表現されていることに感激した原作ファンも多いだろう。その功労者のひとりが、脚本を手がけた政池洋佑さん。現在は「日本一の客寄せ脚本家」を目指し、ツイッターなどから日々盛り上げている。観たら、激オシの連鎖。「1億総“行城”化」進行中!「僕は6回観ていますけど、観れば観るほど面白いんですよね。6回目が一番泣きましたもん!」政池さんは初めて試写を観て、すでにヒットを確信していたそう。「仲間と切磋琢磨してアニメを作る過程と、王子と瞳が作る2本のアニメが同時に走っていくので、難しい構成であることは承知していました。クライマックスで3つ同時に感動が来たら、とんでもないことが起こると思う一方、そんなことが本当にできるのかなっていう不安も正直あったのですが、試写を観て、今まで誰も到達したことのない、すごい映画になったと思いましたね」公開直後こそ動員が伸び悩んだものの、観た人には確実に届いていた。「そういう人たちがSNSで積極的に発信してくれたんですよね。特に印象的だったのが、映画監督・山崎貴さんの異常なほどの熱量!同業者の作品を褒めるのは、勇気のいることだと思うのですが、絶賛どころか宣伝までしてくれて(笑)。観てくれたみなさんが、宣伝マンになってくれる作品なんですよね」この稀有な現象を政池さんは、物語に登場する敏腕プロデューサーの行城(ゆきしろ)にちなみ、「1億総行城化」と命名。SNS上のさまざまな声を拾って拡散するだけでなく、上映中の映画館の予約状況を座席表の画像とともにアップ。「四捨五入したら、もう満席!」「日曜夜なのに、ありがたや!」など、自称「観客数報告マシーン」と化し、実況している。「僕ももともとは瞳と一緒で、面白いものを作れば視聴者に届くと思っていたんです。だけど今はむしろ行城の『100の方法で届けて1届けばいい』というセリフに無茶苦茶共感していて。何が届くかわからないので、監督や俳優のアプローチとは違う、僕にしかできない宣伝方法を探っているんです。脚本の裏話をしたり、キャッチーな言葉を作るのも得意なので、広がるきっかけができたらいいなと思っています」最後に、まだ観ていない人のために、政池さんの思う本作の魅力を改めて語ってもらった。「『観るユンケル』っていう口コミもありましたけど、観てこんなに元気が出る映画はそうそうないと思います。あと『なぜか泣ける』っていう感想も多いんです。泣ける映画の定番といえる、人の死や今生の別れとかは描かれていないのに、なんでこんなにグッと来るんだろうと僕も思ったんですけど、体育祭や文化祭みたいな映画なんですよね。ひとつのことを作り上げていく人たちを見て感動するだけでなく、自分もそのメンバーのような気持ちになれる。つまんなかったら、俺がお金出すから!って言いたいくらい(笑)。実際、僕の周りの人にはそう言ってるし、配信やDVDを待たず、まずは劇場で絶対に観てほしいです!」渋谷TOEIには、アニメーター試写会に参加した方やイベントに登壇した方々の熱い想いが書き込まれたポスターが。6月23日に行われた吉野耕平監督、根岸役・前野朋哉さん、河村役・矢柴俊博さんのトークイベントには、観客として来ていた白井役・新谷真弓さんや、原作の辻村深月さんも急遽参加。6月30日には、吉野監督とアニメ映画『映画大好きポンポさん』の平尾隆之監督、新谷真弓さんが登壇するイベントが。そして制作進行役の久遠明日美さんも現場に駆け付けた!誰かの熱意が誰かを動かしていく。想いがたぎるツイート。監督、脚本家、役者など参加した人々はもちろん、観賞した人たちも次々にツイートをアップ。パンサー向井さんがラジオで絶賛し、辻村さんが番組ゲストに、ということも!ものづくりに関わる人や、物語に救われた経験がある人たちが、言葉を尽くして熱を伝播していき#残れハケンアニメや#届けハケンアニメなどのハッシュタグも生まれた。その結果、新たに公開を決めた映画館や、上映回数を増やした館もあり、次々に作品の魅力が観客に刺さっていっている。『ハケンアニメ!』新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、天才監督・王子千晴を中村倫也、王子に振り回されるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が演じる。熱いお仕事物語。監督/吉野耕平脚本/政池洋祐現在公開中。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会まさいけ・ようすけ就職後、脱サラして脚本家・構成作家に。2012年、TBS連ドラシナリオ大賞入選。’20年、オリジナル作品『スナイパー時村正義の働き方改革』が日本民間放送連盟賞テレビドラマ番組最優秀賞、文化庁芸術祭テレビ・ドラマ部門優秀賞を受賞。※『anan』2022年7月27日号より。インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2022年07月20日公開から1カ⽉近く経った今、満席続出を受け上映期間の延⻑を決定した劇場や、新たに上映が決まる劇場なども出てくるなど、話題となっている映画『ハケンアニメ!』。6⽉末から毎週催されている本作のティーチイン付き上映会が、7月7日に実施された。第3回⽬となる今回は、吉野耕平監督、原作者の辻村深⽉、劇中アニメ『サウンドバック 奏の⽯』の監督・⾕東に加え、アイドル声優・群野葵を演じた高野⿇⾥佳が登壇。盛り上がりを見せた上映会の様子をレポートする。本作は、直木賞&本屋大賞受賞作家辻村深月の大人気小説を映画化。世界中が注目する日本のアニメ業界を舞台に、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく奮闘する者たちの姿を描いた、“胸熱”お仕事ムービーだ。一世一代の大チャンスを掴んだ新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女のライバルとなる天才ワガママ監督・王子千晴を中村倫也、瞳を振り回す掴みどころのない超クセ者プロデューサー・行城理を柄本佑、王子の才能に人生を懸ける作品命のプロデューサー・有科香屋子に尾野真千子と、実力派俳優陣が集結している。本編上映後、吉野監督、原作者の辻村、劇中アニメ『サウンドバック 奏の⽯』の監督・⾕東、アイドル声優・群野葵を演じた高野⿇⾥佳が登壇すると、観客からは⼤きな拍⼿が沸き起こった。吉岡演じる斎藤瞳が⼿掛ける『サウンドバック 奏の⽯』(通称︓『サバク』)と、中村倫也演じる王⼦千晴による『運命戦線リデルライト』(通称︓『リデル』)が、最も成功したアニメの称号=「ハケンアニメ」を競う本作は、その劇中アニメのクオリティの⾼さが話題となっているが、辻村は本作の映画化にあたり、アニメの制作陣がそれぞれの作品のイメージをより具体的に構築できるよう、2作品全24話のプロットを作成した。それについて辻村は「⼤変かなと思ったが、書き始めたら楽しくて。意外とすぐに書き終えました」と語り、⾕が「最初に辻村先⽣の資料が届いた時にその分量にびっくりしました」と話すと、辻村は「私が書いたものを、吉野監督がさらに膨らませてくれた」と話し、吉野監督は「つい嬉しくなって、テンションが上がって、全然使わないシーンまで書いた」と、楽しみながら、劇中アニメを構築していったことを明かした。これに、⾕監督は「普段、アニメ制作をずっとやっていると苦⾏になってくることもあるんですが(笑)これは楽しんでやっているな、というのがすごく伝わってきてすごくよかったです」と応じ、劇中アニメの制作秘話で会場を楽しませた。また、声優・群野葵として『サバク』の主⼈公トワコを演じた⾼野は、トワコを演じるにあたり「オーデションの段階で、原作を切り抜いたシーンがたくさんあって、そこを読んでいるだけでも、瞳監督の演技プランや、トワコってこういう⼈なんです、という情熱が伝わってきたので、それをただぶつけていこうと思った」と語ると、吉野監督は「オーディションの時から聞き⼊ってしまった。普段から⾊々なキャラクターを演じられているので、台本のちょっとした描写からキャラクターを膨らませていただけるので、プロの現場の⽅なんだなと感じました」と絶賛。さらに⾼野が「トワコの最後のセリフが⼀番難しかった」と明かすと、⾕監督は「僕も正直正解というものがわからないまま収録に⾏っていて、ずっと吉野監督の顔を⾒ていました(笑)」と応じ、吉野は「瞳監督と同じ気持ちで、⾼野さんの表現が正解だと思ったので、お任せします︕という⼼境だった」と⾼野へ絶⼤な信頼を寄せていたことを伝え、辻村が「あのシーンは本当にグッとくる、何度も泣いちゃう」と話すと、観客は、共感の印とばかりに温かな拍⼿で応じた。続いて「“好きをつらぬく”クリエイター応援コンクール」と題し、6⽉末まで募集をしていたオリジナルイラストキャンペーンの各賞を発表。 劇中アニメ『サバク』と『リデル』の各テーマに沿ったオリジナルイラストをtwitterに投稿するこのキャンペーンには、なんと104作もの応募があり、選考は辻村、⾕監督と、『リデル』の⼤塚隆史監督の3名によって事前に⾏われた。壇上では【優秀賞】4作、【サバク賞】1作、【リデル賞】1作が発表され、受賞したイラストがスクリーンに映し出されると会場からは都度⼤きな拍⼿が沸き起こり、登壇者たちはそれぞれの絵についての、選考理由・感想を楽しげに語った。今回のコンクールについて、選考者である辻村は「私が原作で書いた『リデル』と『サバク』の設定を⽣かして、それを⾃分のものにして⾃由に遊んでくださっていて、どのイラストにもすごく惹かれました」とコメント。⾕も「絵を描くのはすごく熱量が必要で⼤変なことだけれども、どの作品からも熱が伝わってきて、元気をもらえた。皆さんの絵で明⽇からのアニメを作る活⼒をもらえました」と応募者たちに感謝の念を述べるとともに、熱い想いに感嘆した様⼦だった。その後、辻村は「ロビーにあるポスターに、この間サインを書いて「原作者冥利」と書かせていただいたんですが、こんな幸せな⼩説家はあまりいないだろうなと思っています。キャスティングが発表になった時に、⾼野さんがマスコミに向けて「葵ちゃんの悔しさとか、そういうところを全部演じたいと思っている」とコメントを書いてくださって、⾃分の書いたキャラクターたちに対して、俳優さんがひとりひとり、その⼈の親友になってくれるような距離感でやってくださっているんだなと思って、そのことにものすご幸せを感じました」と語った。すると⾼野も「私自身が、映像系のお仕事もある中で、声優の仕事がなかなかできなかった時に、⼼ない⾔葉をかけられたりして、悔しさみたいなものがありました。それを葵ちゃんももしかしたら抱えているかもしれないと感じた瞬間に、オーディション台本の段階で涙が込み上げてきて。この悔しさを、葵ちゃんの『サバク』での演技だったり、⼀つの作品を作り上げるプライドを表現することで、皆さんの⼼の中に残したい思っていたので、今⽇、素敵なイラストを⾒たときに、ちゃんと皆さんの⼼に残っているな、皆さんの⼼に⽣きてくれているんだなと思って、本当に嬉しくなりました!」と、⾃⾝の演じた役柄についての熱い想いを語った。最後に、斎藤瞳の好物「エクレア」をそれぞれが持ち、会場のお客様をバックに記念撮影。⼤盛り上がりの中、イベントは幕を閉じた。『ハケンアニメ!』公開中
2022年07月08日現在大ヒット上映中の映画『ハケンアニメ!』のキャスト・監督が撮影の裏側を語るオンライントークイベントが、6月2日(木)に緊急開催されることが決定した。直木賞&本屋大賞受賞作家・辻村深月の大人気小説を映画化した本作は、世界中が注目する日本のアニメ業界を舞台に、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく奮闘する者たちの姿を描いた、“胸熱”お仕事ムービー だ。一世一代の大チャンスを掴んだ新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女のライバルとなる天才ワガママ監督・王子千晴を中村倫也、瞳を振り回す掴みどころのない超クセ者プロデューサー・行城理を柄本佑、王子の才能に人生を懸ける作品命のプロデューサー・有科香屋子に尾野真千子と、実力派俳優陣が集結。監督は『水曜日が消えた』の吉野耕平、さらに劇中アニメの制作には、『攻殻機動隊』シリーズなどで知られるProduction I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクションやトップクリエイター陣が参加し、老舗アニメ制作会社・東映アニメーションが映画のアニメ監修を手がけている。普段は表に出ることのないアニメ制作の裏側や、そこに生まれる熱いドラマを描いた本作。SNSには連日観客からの絶賛コメントが相次ぎ、すでに複数回鑑賞するリピーターも続出している。「上半期で一番の『覇権』映画」「今年の実写邦画のNo.1は揺るがない」「お仕事系映画では人生ベスト級」「評判通りの良作!アニメや映画に助けられた経験のある人には刺さりまくりの2時間」「主要キャストがそれぞれのキャリア史上最上級のハマり役」「劇中アニメのクオリティの高さに鳥肌が立った」「アニメのみならず、今までのエンタテインメント体験が一気に押し寄せて来た」など、熱気冷めやらぬ感想コメントは日ごと勢いを増しており、それらをきっかけに映画を観た新たな観客がさらに絶賛の声を上げることで、映画『ハケンアニメ!』の感動と熱狂がどんどん拡大中。アニメづくりに心血を注ぐ主人公・瞳が劇中で語るセリフ「刺され、誰かの胸に」のように、本作の魅力は多くの観客に“刺さり”始めているようだ。そんな中、各所から絶賛の声が続出中の本作より、急遽<視聴者参加型>の生放送番組の開催が決定。出演者として、メガホンを取った吉野監督、劇中アニメ『サウンドバック 奏の石』の監督を務めた谷東監督、そして声優・群野葵役の高野麻里佳、制作デスク・根岸役の前野朋哉、編集・白井役の新谷真弓を迎え、本作の魅力はもちろんのこと、熱すぎる製作の裏側や想いを存分に語り尽くす。すでに映画を観た人もこれから観る人も必見の、スペシャルなトークにぜひ期待してほしい。【イベント詳細】『ハケンアニメ!』公開記念オンライントークイベント日時: 6月2日(木) 21:00~22:30予定 ※生放送番組となります出演: 吉野耕平監督、谷東監督(劇中アニメ『サウンドバック 奏の石』)、高野麻里佳、前野朋哉、新谷真弓MC: しんのすけ(映画感想 TikToker)実施: 東映映画チャンネル( )、共感シアター公式サイト( )※登壇者、イベント内容は予告なしに変更となる可能性がございます。※上記URLは放送時刻まで非公開となっております。映画『ハケンアニメ!』上映中
2022年05月31日吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子らが集結し、辻村深月の大人気小説を映画化した“胸熱”お仕事ムービー『ハケンアニメ!』。普段は表に出ることのないアニメ制作の裏側や、そこに生まれる熱いドラマを描いた本作に、SNSの絶賛コメント&リピーターが続出、そんな観客の感動コメントと本編胸熱シーンを収めた特別映像が解禁となった。SNSには連日観客からの絶賛コメントが相次ぎ、現在公開2週目ながらすでに複数回鑑賞するリピーターも続出。「上半期で一番の『覇権』映画」「今年の実写邦画のNo.1は揺るがない」「お仕事系映画では人生ベスト級」「評判通りの良作!アニメや映画に助けられた経験のある人には刺さりまくりの2時間」「主要キャストがそれぞれのキャリア史上最上級のハマり役」「劇中アニメのクオリティの高さに鳥肌が立った」「アニメのみならず、今までのエンタテインメント体験が一気に押し寄せて来た」など、今年のベスト映画として上げる声も。熱気冷めやらぬ感想コメントをきっかけに、映画を観た新たな観客がさらに口コミを拡散しているようで、アニメづくりに心血を注ぐ主人公・瞳(吉岡さん)が劇中で語るセリフ「刺され、誰かの胸に」のように、本作の魅力は多くの観客に“刺さり”始めている。解禁となった映像で、「今も泣きそう」「作品への愛がすごく伝わってくる」など、目を潤ませながら率直かつ胸熱な思いを語るのは、映画館で本作を鑑賞したばかりの観客たち。さらに、主人公の新人アニメ監督・瞳が「(私の名前を)憶えてくれてるだけで、どれだけ誇らしい気持ちかわかりますか?」と力強く訴えるシーンや、瞳と“ハケン=(覇権)”を争う天才監督・王子(中村さん)が「ひたすら噛り付くようにやるしかないんだ」と生みの苦しみと闘うシーンを始め、それぞれの監督が手掛ける劇中アニメのワンシーンなど、映画のハイライトとなる場面が切り取られている。仕事やものづくりにかける主人公たちの熱い想いには、誰もが共感を覚えるだろう。『ハケンアニメ!』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月27日現在公開中の『ハケンアニメ!』より観客のコメントと印象的な場面を合わせた特別映像が公開された。本作は、直木賞&本屋大賞受賞作家辻村深月の大人気小説を映画化。世界中が注目する日本のアニメ業界を舞台に、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく奮闘する者たちの姿を描いた、“胸熱”お仕事ムービーだ。一世一代の大チャンスを掴んだ新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女のライバルとなる天才ワガママ監督・王子千晴を中村倫也、瞳を振り回す掴みどころのない超クセ者プロデューサー・行城理を柄本佑、王子の才能に人生を懸ける作品命のプロデューサー・有科香屋子に尾野真千子と、実力派俳優陣が集結している。監督は『水曜日が消えた』の吉野耕平。さらに劇中アニメの制作には『攻殻機動隊』シリーズなどで知られるProduction I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクションやトップクリエイター陣が参加し、老舗アニメ制作会社・東映アニメーションが監修を手がけた。解禁された映像で「今も泣きそう」、「作品への愛がすごく伝わってくる」など、目を潤ませながら率直かつ胸熱な想いを語るのは、映画館で本作を鑑賞したばかりの観客たち。さらに主人公の新人アニメ監督・瞳(吉岡)が「(私の名前を)憶えてくれてるだけで、どれだけ誇らしい気持ちかわかりますか?」と力強く訴えるシーンや、瞳と“ハケン=(覇権)”を争う天才監督・王子(中村)が「ひたすら噛り付くようにやるしかないんだ」と生みの苦しみと闘うシーンをはじめ、それぞれの監督が手掛ける劇中アニメのワンシーンなど、映画のハイライトとなる場面が切り取られている。アニメ業界が舞台ながら、仕事やものづくりにかける主人公たちの熱い想いには、誰もが共感を覚えること必至の本作。これから映画を観る人もすでに観た人も、何度でも熱い感情が呼び起こされる本映像は必見だ。また公式サイトでは、映画の感動投稿キャンペーンと共に、ユーザーの人生を変えた一本を投稿する「ベストアニメ投稿キャンペーン」も実施中。劇中で瞳(吉岡)が王子(中村)の代表作『光りのヨスガ』に出会ってアニメ業界を志したように、自身に影響を与えた作品や心に残る“私のベストアニメ”が、日々大量に投稿されている。こちらもぜひチェックしてほしい。『ハケンアニメ!』公開中『ハケンアニメ!』感想&ベストアニメ投稿キャンペーン:
2022年05月27日直木賞&本屋大賞受賞作家・辻村深月の人気小説を原作に、アニメ制作の現場で働く人々が織りなすドラマを描いた映画『ハケンアニメ!』が先日、公開を迎えた。計441ページ(単行本)におよぶ原作小説を約2時間の映画として脚色したのが、ドラマ「死役所」、「レンタルなんもしない人」、「あのコの夢を見たんです。」など、一風変わった設定やシチュエーションの異色ドラマを数多く手がけてきた脚本家の政池洋佑である。新卒で一般企業に就職するも突如、サラリーマンとしての生活を捨て、脚本家を志したという政池だが、どのようにしてこの世界に入り、年に数本の連ドラを任される人気脚本家となったのか? いまの時代に、脚本家に必要とされる視点や能力とは? たっぷりと話を聞いた。――まず、政池さんが脚本家になられるまでの道のりについて伺ってまいります。大学卒業後、まず企業に就職されて、その後、エンタテインメントの世界に入られたそうですね。学生時代から脚本家になりたいという気持ちはあったんですか?いや、なかったですね。ただ、TVドラマは好きで、ドラマのプロデューサーや監督になりたくて、就職活動でTV局は受けていました。ただ、選考はわりと進むんですけど、最後の最後で落ちるんですよ。たぶん、薄っぺらさが伝わるんでしょうね…(苦笑)。実際、薄っぺらかったと思います。「ドラマが好き」と言いつつも、僕よりももっと好きな人はたくさんいたと思いますし、なんとなくノリだけで面接は進んでたんでしょうね。結局、TV局は全部落ちたんですけど、就活で受かったUSENで新卒で働き始めたんです。そこで毎朝、1時間ひたすらバナーの確認をするといった仕事をしてまして。1時間ずっと「F5」ボタンを押し続けて、特定の広告が何回出たのかをカウントするんですけど「これはつらいぞ…」と(苦笑)。僕、大学の頃にママチャリで日本縦断をしたことがあるんですけど、その頃の親友がTBSで働いていたんです。そのつながりである日、音楽番組の収録を見学させてもらったんですけど、なんて楽しそうな世界なんだろう!って。大学時代は2人ともあんなに楽しそうだったのに、一方はいまもキラキラ楽しそうにしてて、俺は「F5」を延々と押し続けてて…。加えてその頃、大失恋をしたんですね。そのイキオイで会社を辞めて「脚本家になろう」と思ったんです。――会社を辞める時は、この先、生きていく自信はあったんですか?いや、完全なノリですね。当時、付き合ってた彼女にフラれて「絶対にあいつを見返してやる!」って感じでそのままノリで辞めちゃいました(笑)。いや、こう言いつつ、僕はもともと、ものすごい安定志向なんですよ。メチャメチャ貯金するタイプだし。なのにイキオイで辞めちゃったんですね。つくづく、いろんな歯車が狂った結果として、いま、ここにいるんだなと思いますね(笑)。だから『ハケンアニメ!』を書くときも、主人公の瞳に感情移入できる部分は大きかったです。彼女は大学を出て、県庁で働いていたのに、退路を断ってアニメの世界に飛び込んでくるじゃないですか。自分自身を重ねながら脚本を書いていました。――会社を辞められて、その後、有名な放送作家の元に弟子入りしたと伺いました。そうです。当初から脚本家を目指してはいたんですが、構成作家にも興味があって一度、そちらも勉強してみたいなと思って、放送作家さんの弟子として働き始めました。――その後、すんなりと構成作家に?そうですね。構成作家というのはわりと人数が多い業界なんですね。いまも僕は朝の情報番組で仕事をさせてもらっていますが、わりと早い段階からいくつかの番組に入れましたね。――構成作家のお仕事というのは、ドラマや映画の脚本家とは全く違うものですか?違うと思われる部分が多いと思いますけど、僕は構成作家であることが、脚本を書く上ですごく活きているなと感じることが多いです。『ハケンアニメ!』もそうですね。今回の原作小説を読むと、3人の主人公たちが少しだけ時系列がずれているところで奮闘していて、それぞれがすごく良いセリフを口にするんですよね。それを俯瞰で見て「このセリフは絶対に大事にしなきゃ」とか「このシーンは大切だな」というふうに組み替えながら1本の映画として“構成”していくんです。僕はこの“構成力”が、脚本家として自分が得意な部分なのかなと感じていて、おそらく今回、僕を起用してくださった東映の須藤(泰司)プロデューサーもそこを評価してくださったんじゃないかと思います。――構成作家が具体的にどういうお仕事なのか詳しく説明していただけますか?やることはメチャクチャいっぱいあります。それこそ番組の企画書を書いて、その企画を会議で通して…、といったこともしますし。先ほどもお話した映画やドラマ脚本の仕事との類似という部分で言うと、例えば、ある俳優さんのことを、情報番組で紹介するとします。「昨日の映画のイベントに出席しました」とか「過去にこういう作品に出演しています」とか「インタビューの映像があります」とかいくつも“素材”があって、それらを決められた時間の中で、どういうふうに見せたら視聴者の興味を引くことができるか? というのを考えます。「オリンピック」であれば、「競技の映像」、「過去の映像」、「表彰式」や「インタビュー」の映像があって、それらをどういうふうに組み合わせて、どういうふうにVTRを終わらせたら、一番面白いか? カタルシスを感じられるか? といったことを考える仕事ですね。素材は決まっているので、“ゼロ”から“1”を作ることはできないんですけど、素材を並べて魅力的なVTRを作っていくということをやります。――構成作家として仕事をしつつ、どのように脚本家にシフトしていったのでしょうか?まずはシナリオセンターというところに通ってみました。その後、賞に応募したりもしたんですが、なかなかそこからは仕事につながらなかったんですよね。ただ、ある幸運な出会いがありまして…。サラリーマン時代にお世話になっていた先輩がいて、その人から「昼間に西荻窪で飲もう」ってずっと誘われてたんですね。最初のうちは何度か断ってたんですけど、5回目くらいにようやく行ったんです。そこになぜかリンボーダンスを踊る人たちがいて(笑)、そこで先輩に「お前も踊れよ」と言われて僕も「イェーイ!」ってメッチャ踊ったんですけど、なぜか先輩たちはすぐに帰っちゃって、せっかくリンボーダンスを踊ったのに、ひとりで寂しく飲んでたんですよ(苦笑)。――なかなか酷い展開です…。「もう帰ろう」と思ったら、隣に座ってた2人組の女性が「さっき踊ってたよね?」と話しかけてくれて、ひとりがドラマのAPをやっている方で、もうひとりは脚本家の大島里美さん(※「1リットルの涙」、大河ドラマ「花燃ゆ」など)だったんですよ! 僕は「1リットルの涙」が大好きだったので「えぇっ! 大島里美がいるよ! 嘘でしょ?」って感じで(笑)。「こんなチャンスはない!」と思って、そこから親しくさせていただいて、自分が書いたシナリオを送って読んでもらったり、一緒に飲みに行ったりするようになって、ある時、大島さんのピアノの発表会に行ったら、そこでテレ東のプロデューサーの方と知り合って、その出会いがきっかけで、脚本家として連ドラデビューすることになったんです。いま振り返ると、あそこでリンボーダンスを踊ったことがデカかったなって思います。リンボーダンスで人生変わりましたから(笑)。だから、若い脚本家の人と話をするとき、「何かあったら、自分から動けば人生変わるかもしれない」ってことはよく言いますね。――脚本家の金子ありささん(「恋はつづくよどこまでも」、「中学聖日記」など)に師事されていた時期もあったそうですね?そうですね。金子さんは大島さんの先輩で、大島さんから「いま、金子さんが弟子を募集してるけどやらない?」ってお話をいただいて、「やる!」と食い気味に行きまして(笑)、金子さんの下で1年ほど修行させていただきました。金子さんは本当に優しくて面倒見がよくて、とにかく脚本会議などの現場に常に連れて行ってくださって、そこで、僕が考えたプロットも発表する時間を持たせてくれるんです。もちろん僕のプロットなんて1ミリも使われないんですけど(苦笑)。まず会議で、金子さんがプロットをどうやって練り上げていくか? というシナリオ術と会議術を見ることができて、さらに会議の後にカフェで1~2時間ほど、金子さんが僕のプロットの何が悪いのか? どうしたら良くなるかということをマンツーマンで指導してくださるんです。それは本当に貴重でありがたい時間でした。その時のメモは「一生忘れちゃいけないな」と思って大切にとってあるし、いまでもたまに見返してます。「あぁ、金子さん、このことを言ってたんだ!」って当時はわかってなかったことが理解できたりしています。――そもそも「脚本家になろう!」と思ったのはなぜだったんでしょう? 映画やドラマは昔から好きだったんですか?好きでしたね。ただ、学生時代にそういう創作活動は全くやってなかったんです。さっきも言いましたけど、学生時代にやったことと言えば、ママチャリで日本縦断ですから。後は遊び歩いてました。だから我ながら、よくこの仕事をやれてるなぁって思います。僕は「自分に才能がない」と認める才能があって、そのぶん、吸収力はハンパないと思うんです(笑)。他人が作った面白いストーリーから学んで、自分のものにしていくのが得意なんだと思います。いまでもいろんな作品から勉強させてもらって、自分の力にしていますね。――好きなドラマや影響を受けた作品はありますか?ドラマは好きでわりと何でも見てましたけど「やまとなでしこ」とか「マイ ボス マイ ヒーロー」、映画だと『耳をすませば』とかメチャメチャ好きでした。クリエイターで言うと古沢良太さんとかは本当にすごいなぁと思います。ただ、さっきも言いましたけど、僕の武器ってたぶん「普通」であることなんですよね。ドラマがメチャクチャ大好きで、メチャメチャ見ているという人もいるじゃないですか? でも、僕は「普通」に好きで、「普通」に見てるんですよね。だから就活の時、TV局を落ちたんだと思いますけど、それは弱点でもありつつ「普通の感覚を持っている」ことが自分の特徴なのかなと思います。なので「○○さんが大好きで、憧れて、追いかけてます!」みたいなのはないですね。――先ほど、お話に出た「武器」と通じるかと思いますが、これまでいくつもの作品を手がけてきて、ご自身の作風だったり、作品の特徴ってどういう部分だと思いますか?『ハケンアニメ!』はちょっと違いますけど、「ぶっ飛んだ設定」と「ぶっ飛んだキャラクター」ですね。ドラマ「スナイパー時村正義の働き方改革」(※)なんかはまさにそうですね。※「スナイパー時村正義の働き方改革」:2020年3月にCBCテレビで深夜枠で放送された連続ドラマ。情報機関の伝説のスナイパーと同機関の人事部のOLの2人だけで繰り広げられるシチュエーションコメディで、仕事一筋のスナイパーが社会の波を受け、ミッションのさなかに“残業ゼロの定時退社”や“デジタル化”といった働き方改革を強いられていくさまを描く。2020年日本民間放送連盟賞番組部門 テレビドラマ番組最優秀賞、令和2年度(第75回)文化庁芸術祭 優秀賞、JNNネットワーク協議会 特別番組賞などを受賞。ただ、こうして賞をいただいたりもしたんですけど、番組自体は全然見られていないんですよね…(苦笑)。――CBCでの深夜放送ということもあって、「見られなかった」という人も多いのかと思います。Paravi(パラビ)でも配信されてるんですけど、なかなかね…(苦笑)。ネットでバズることもなく、「月刊ドラマ」の5月号にもシナリオを載せてもらったんですけど、これもあんまり売れてないのかなぁ…(苦笑)?ちょっと話が脱線してしまうんですけど、今回、シネマカフェさんにこの「映画お仕事図鑑」でインタビューをしていただこうと思った理由が、この「スナイパー時村正義の働き方改革」がきっかけなんですけど、自分で自信のある面白いものを書いて、それが賞をとったとしても、意外と人々に届かないというのを感じたからなんです。民放連の最優秀賞をいただいた時に「よし、これで売れるぞ」「大ブレイクするな」と思ってたんですけど、この作品をきっかけにしたお仕事のオファーというのがひとつもなかったんです。そこにはもちろん、いろんな要素があると思うんですけど、“僕”という人間のコンテンツ力がメチャメチャ低いというのも原因のひとつだなと思ったんです。まず、僕自身が多少なりとも有名になることも大事なことだなと。この連載で、少し前に『罪の声』の野木亜紀子さん(「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」など)のインタビューが掲載されていましたが「野木亜紀子の新作!」となると、その時点で「絶対見る!」というファンの方が多くいると思いますけど、脚本家でなかなかあのレベル、あのゾーンに達するのって簡単なことではないですよね。もちろん、「面白いものを書く」というのが一番大切なのは言うまでもないですが、それと同時に違うアプローチ、違う戦い方も必要なんじゃないかと考えるようになったんですね。「スナイパー時村正義の働き方改革」のシナリオが「月刊ドラマ」に掲載されたのも、その一環で「今度、Paraviで配信されるので、載せてもらえませんか?」と自分から編集部に売り込んだんです。これまでは「面白いものさえ書いてれば、いつか評価される」と思ってた部分があったんですが、民放連の受賞をきっかけに、それだけじゃダメなんだって勉強させてもらいました。――ここまで話をうかがってきて、『ハケンアニメ!』の脚本を政池さんに任せようと考えた須藤プロデューサーが慧眼だなと思います。僕がお話をいただいたのは5~6年前かな? 当時はまだドラマは1本くらいしか書いてなかったと思います。実は、最終的に実現には至らなかったあるプロジェクトがあったんですけど、その作品のプロットを僕が書かせていただいたんです。それを須藤さんが読んで気に入ってくださって、そのことがきっかけで『ハケンアニメ!』で僕を抜擢してくださったんだと思います。――ここから今回の『ハケンアニメ!』の脚本の執筆に関して、詳しくお話をうかがってまいりますが、政池さんはこれまで、『ハケンアニメ!』以外のドラマ作品でも、漫画や小説の脚本家を手がけてきています。原作を脚本にする際に大事にしていること、心がけていることはありますか?一番大切にしているのは最初に読んだ時に「素晴らしい!」と思ったセリフやシーン、展開で、読みながら「おぉっ!」って心が動いた部分に関しては印を付けていくようにしています。で、脚本にする際に、その部分を確実に入れるということを大事にしています。それって当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、他の脚本家の方が書いた作品を見ていて「え? あの原作のセリフなくす?」「あのシーン、削っちゃったの?」って思うことってわりとあるんですよね。「ちょっと待って! あのセリフのためにここまでの展開があったんじゃないの?」という部分がバッサリなくなってたりしてると「この作品の面白さの“核”を理解してますか?」って思っちゃう。まあ、これは他人の作品だからこそ冷静に見られる部分もあると思いますけど(笑)。これはやはり、構成作家をやっている影響が大きいと思います。「このコンテンツがなぜ世の中で流行っているのか?」「この作品がなぜ多くの人の心を打つのか?」ということを考えていかなくてはいけない仕事なので。この原作の一番面白い部分はどこなのか? を的確に見つけて、それをきちんと脚本に組み込むことが大切だなと思います。――辻村深月さんの書かれた小説「ハケンアニメ!」を最初に読んだ時は、どんなことを感じましたか?とにかくキャラクターが魅力的過ぎるなと。全キャラクターが本当に魅力的で、これを2時間の映画にまとめるのはメチャクチャ難しいぞと思いましたね。あとはセリフのうまさが印象的でしたね。小説家もいろんなタイプの方がいらして、必ずしもセリフで勝負しない方もいると思うんですけど、辻村さんが書くセリフは本当に“刺さる”んですよね。これは一文字も変えちゃいけないな! と思わせるセリフが多いので、それは実際に原作のまま変えずに脚本にしています。中村倫也さんが演じた王子監督が新作発表の場で熱く語るシーンとかはまさにそうですね。――原作は、プロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)、アニメ監督の斎藤瞳(吉岡里帆)、アニメーターの並澤和奈(小野花梨)をそれぞれ主人公にした3章の物語で展開します。この3つの物語をどのように1本の映画にしていったのでしょうか? また、映画では、同時刻に放送される瞳と王子(中村倫也)のアニメ対決が中心に据えられています。こうした構成はどのようにして生まれたのでしょうか?映画として作るとき、バトルとした方が見やすいだろうというのはありました。原作では瞳が手がける「サウンドバック 奏の石」と王子の「運命戦線リデルライト」は違う時間帯に放送されることになってるんですけど、“ハケン(覇権)”を争うということを考えても、同じ時間帯に放送されて対決するとした方が、わかりやすく多くの観客に刺さるだろうと思いました。原作の3章の物語は、つながってはいるけれど、時間軸がちょっとずれてるんですよね。それを同じ時間軸の物語にしつつ、対決させることで物語として見やすく、まとまるなと思いました。そうすることで、映画オリジナルのシーンとして生まれたのが、瞳と王子がアニメイベントで、それぞれの新作について語る対談のシーンです。僕自身、あのシーンが映画オリジナルであることを忘れてて(笑)、撮影現場にお邪魔して「良いシーンだな」とか思って見てたら、ちょうど辻村さんもいらして「こういうつくり方もあるんですね」とおっしゃって「そうか、俺が作ったんだ!」って(笑)。――原作では、瞳がアニメの世界を志すきっかけになった作品が、別の監督の作品だったのが、映画では王子のデビュー作という設定に変更されていますね。「憧れの監督との対決」となることで、瞳と王子のバトルがより運命的なものになっていると感じました。そうですね。そこは映画として2時間で見せる上で、ギュッとコンパクトにするというのもありましたし、そうすることで瞳の思いをより強く感じさせられるんじゃないかと思いました。――原作を読んで「キャラクターが魅力的過ぎる」と感じたとおっしゃっていましたが、この魅力的なキャラクターを映画で描く上でどんなことを意識されたんでしょうか?2時間の映画にする上で、どうしても描き切れないキャラクターというのは出てきてしまうんですが、それでも、そのキャラクターが放つ魅力的なセリフは短くても最大限活きるように――たとえワンシーンだけだったとしてもなんとか残したいなと思って、死守しました。映画では決して長くはないですけど、並澤と市役所の宗森(工藤阿須加)のやりとりはまさにそんなシーンですね。――特に政池さんの心に残っている大事なセリフやシーンを教えてください。一番を選ぶのは本当に難しいですが…やっぱり、王子が瞳との対談で“オタク”について熱く語るところですかね。僕自身、読んでてしびれたし、これを中村倫也さんが演じたら面白くなるなと。このセリフを辻村さんがどれほど大切に思って書いたかということも感じました。行城(柄本佑)が「うちは大手だからこそ、こういう作品を作る」ということを言うところも好きですね。あと、その少し前の瞳の独白で「人生には、何かを失っても、それでも何かを成し遂げたい時がある。やらなければならない時がある」というのがあるんですけど、これは瞳の人生、彼女のストーリーの全てが詰まっているような言葉だなと思いますね。――いま、話に出ました「サウンドバック」のプロデューサーである行城に関して、映画を観てファンになる人が多いと思います。原作では「ポロシャツにジーンズ」と描写されていますが、映画では一貫してスーツを着ていますね。こうした変更など含め、“キャラクターを立てる”ためにどういった工夫をされたんでしょうか?衣装に関しては、衣装合わせで監督や柄本さん、衣装スタッフさんが話し合って決めたんだと思います。行城のキャラクターに関しては、とにかく瞳を振り回す男にしたいなというのはありました。彼なりに「作品を届ける」という思いもあって、そうしているんですけど、それをイヤ~な感じで見せたいなというのがあって、映画オリジナルで瞳を振り回す描写をいくつか入れています。辻村さんが描いたキャラクターをより魅力的に見せるために一度、僕自身で飲み込んで、咀嚼して、自分に憑依させて「この男なら、こういうことをするんじゃないか?」「こうすると、辻村さんが描いたキャラクターの魅力が最大限に際立つな」と考えながら、行動を描いていきました。――先ほど、個人的に思い入れのあるセリフやシーンについて伺いましたが、登場人物で政池さんが最も感情移入したのは誰ですか?やっぱり瞳かな? 僕自身、この作品が初めての映画脚本で、吉野耕平監督は2本目なんですよね。だからこそ、長編アニメデビュー作のために奮闘する瞳の心情をここまで丁寧に描けたんじゃないかっていう内容の感想を試写会で映画を鑑賞したお客さんからいただいて「なるほど!そうかも」って思いました。仕事をしている中で「これは絶対に外しちゃダメだ!」という仕事ってあると思うんです。最近は僕もそれなりにお仕事をいただけるようになりましたけど、最初の頃ってそんなにチャンスをいくつももらえないんですよ。まさに野球でいうところの“代打”みたいな感じで、巡ってきたその1打席で結果を出さないといけないという。僕の場合、文字通り最初にいただいたテレ東のドラマの仕事は、別の方が降板しての代打でしたからね(笑)。代打って難しいんですよ(苦笑)! 誰かが作っていたものを引き継いだり、時間があまりなかったり、条件が決して良くない中で、その1回で結果出さなきゃいけないんですから。だからこそ瞳に感情移入する部分があるのかなと思いますね。――改めて、『ハケンアニメ!』の脚本執筆の中で、一番大変だったこと、苦労されたのはどういう部分ですか?原作でそれぞれ別の章で描かれている3人をきちんと絡めるという部分ですかね。原作では、有科と並澤ってそこまで深く絡む描写ってないんですけど、映画では有科が「リデルライト」の原画を並澤に頼みに行くシーンを描いてますし、あれは良いシーンになったなと思います。それから、瞳と有科がボクシングジムで偶然出会って、銭湯に浸かって…というシーンも映画オリジナルですね。原作はそれぞれの章が独立して素晴らしいので、あまり必要なかったんですけど、映画にする上で、3人の女性がそれぞれ戦いつつ、支え合うという描写は絶対に必要だなと思っていました。かといって、あまりに都合よく、無理やり描いてもよくないので、辻村さんの世界観を大切にしつつ、彼女たちをいかに絡めるか? 瞳と王子の対談のシーンを作ったのもそうだし、冒頭に雑誌の表紙を巡るシーンを入れたのをそのためです。最初に表紙のシーンがあるからこそ、並澤をそこできちんと出して、群像劇として描くことができたんです。そのあたりはすごく考えて、工夫しましたね。完成した映画と原作を比べてみると、時間軸を組み替えたり、オリジナルで加えたりしている部分は結構あるんです。でも、原作を読まれている方が見ても、都合よく変更したような無理やりな印象を受けることはないと思います。――映画は瞳を中心に進みますが、瞳だけでなく有科、並澤、王子、行城らに感情移入し、自身を投影する観客も多そうですね。本当にひとりひとりの人物が“脇役”ではなく、それぞれ“主人公”として丁寧に描かれていると思います。原作者の辻村さんが映画オリジナルのセリフで一番刺さったとおっしゃっていたのが、有科が王子に「私に(TV)局と戦えるだけの武器をください」というセリフなんですけど、出来上がった映像を見て、書いた僕もしびれましたね。“心で戦っている”というのを尾野さんと中村さんのお2人が表現してくださったなと思いました。実は、最初の時点で瞳を主人公にするか? それとも有科を主人公にするか? というのは、結構時間をかけて議論した部分でした。初見では有科のほうが入りやすいところはありました。最終的には須藤プロデューサーが瞳を中心に据えることを決めましたが、そういう議論があるくらい、全ての登場人物が本当に魅力的でした。――ここから再び、政池さんご自身のお仕事観などについて伺って参りますが、今後、やってみたいお仕事や目標などはありますか?昔は「朝ドラを書きたい!」とか目標はあったんですけど、最近はとにかく「誰も書いてないような話を書きたいな」と思っています。こんな話、1億回は見たなって話じゃなく、設定やキャラクターがぶっ飛んだ物語を作りたいです。最近、フジテレビで放送された「ここにタイトルを入力」という深夜バラエティでドラマを書いたんですけど「予算が足りなくて、撮影中にどんどんセットが減っていく」という設定のドラマなんです。徐々に会議室の机や椅子がなくなっていったり、主人公の男がパンツ一丁になってしまったりして、最終的に主人公とヒロインがパネルの写真になってしまって、会話もできなくなるんですけど、なぜかグッとくるという展開になってます。視聴者には事前に設定などは説明されないので、物語が進むにつれて「あれ?どうなってんだ、これ?」ってなると思います。こういう仕事をしている時に、自分はこういうのが好きなんだなって実感しました。誰もやらないようなクレイジーな話を書いてるとワクワクするんです。個人的に「笑って泣ける」話が好きなんですよね。くだらなくて「あははは!」って笑ってるのに、最後に泣けてきちゃって「え? なんで俺、これで泣いちゃってるの?」となるような。そういう話を書きたいです。――物語の着想を得るために大事にしていることやアイディアを考える上での自分なりの方法はありますか?よくあるのは「逆のことをぶつける」ってことですよね。「スナイパー時村正義の働き方改革」はまさにそうですけど、スナイパーという“働き方改革”とか関係なさそうな仕事にあえてそれをぶつけてみるという。アイディア帳という意味では、スマホのメモに10年以上前から「この設定、面白いな」と思ったことをメモするようにしています。――本作も人気小説の映画化ですが、最近の日本の映画やドラマでは、オリジナル脚本による作品よりも、どうしても人気漫画や小説を原作とした作品が多い傾向があります。脚本家としてはこうした傾向をどう感じていますか?原作ものが好まれるのもわかります。制作側からしても、オリジナルで連ドラ全10話を作るって、メチャクチャ大変ですから。とはいえ最近、またオリジナルの作品が少しずつ増えてきている気もします。そこはチャンスだと思うので、面白い企画を考えて、通していくしかないなと思いますね。――いま、脚本家になりたいと思っている人に「こういうことをやっておくといい」というアドバイスがあればお願いします。いまの時代、昔と比べて脚本家になりやすいかなりにくいかで言うと、なりやすいと思います。深夜も含めてTVドラマは増えていますから。とはいえ、狭き門ではあるので、なるための戦略は必要だと思います。いま、僕の下にひとりアシスタントがいるんですが、その子はYouTubeで漫画やシナリオを配信しています。そういうところでストーリーを作ることで脚本家としての“筋肉”をつけることはできるなと思います。昔よりはこうした“ストーリーコンテンツ”をアウトプットする場は増えているので、ドラマを書きたいなら、その手前にあって誰でも自分の作品を発表できるところで、ストーリーを作る筋力や技術を身に着けることは役に立つと思いますね。いまはNETFLIXやAmazonプライムビデオなど、配信事業も増えていて、コンテンツの量が増えているのはもちろん、自分が書いた作品が届く範囲も昔よりも広がっているので、そういう意味で“夢”を持てる業界でもあると思います。もちろん、大変なことはたくさんありますけど。コンテンツが増えるのは、ありがたいことですけど、TikTokとかと戦わなきゃいけなかったりするわけですから、大変ですよ!――政池さんご自身も配信作品や韓国ドラマ、海外のドラマなどもご覧になりますか?見ますね。「参考のために」というのもありますけど、見てるとやっぱり面白いですね。もちろん、韓国ドラマが何でも面白いというわけではないんでしょうけど、人気のある作品は日本の作品と比べてもバーンっと突き抜けてると思いますね。先ほども言いましたけど、僕は自分で見ていて心が「おぉっ!」って動いたら、一度止めて、なぜそう感じたのか? というのを分析し、メモしておくということを10年以上やっているんですけど、韓国ドラマを見てると「おぉっ!」というシーンの連続ですね。「愛の不時着」とか一時停止しまくってなかなか進まなかったです(笑)。あれは本当に勉強になりましたねぇ。――「愛の不時着」はプロの脚本家の方から見てもすごい作品なんですね?抜群に面白かったですね。僕の中で「やまとなでしこ」が長くNo.1ドラマだったんですが、久々に「やまとなでしこ」を脅かす…ヘタしたら陵駕するような作品が出てきたなと。大前提としてやはり、設定が面白いですよね。先ほどの「どうしたら見てもらえるか?」という話とも通じるんですけど、いまの時代、「見てみたら面白かった」じゃなくて、「見る前から面白そう」なコンテンツを作らないといけないんだと思っています。だからこそタイトル、設定が本当に大事なんですよね。意外とドラマを作っている人たちって、自分も含め、そのことを忘れがちな気もしてて。バラエティを作ってる人たちは「タイトル命!」というくらい、そこは大事にするんですけど、ドラマだと、わりとフワッとしたタイトルが多かったりしますよね。タイトル、設定に関しては以前から大事だけど、ここ数年、より大事になっているなと感じています。――お話を伺っていて、改めて「面白い作品を作る」ということが大事なのはもちろんですが、それをどう届けるか? 「面白そう」「見てみようかな」と感じてもらうためにコミュニケーション力やマーケター的な視点も必要なんだなということを感じました。そう思います。行城と同じですね。実際、行城が映画の中で言ってることは「わかる!わかる!」って思います。“クリエイター”というのは本来、そういう部分からもっとも遠い存在だと思うんですけど、もはやそういう時代ではないんですよね。最初の話に戻るんですけど、やっぱり自分は「才能がない」ことを認める才能があるからこそ、一歩引いた視点で物事を見ているんだと思います。今回の映画で言うと王子のようなタイプは、才能と寝食を忘れるほどの情熱で自分の作りたいものを作って、その作品が世間に称賛される天才ですけど、自分はそうじゃないんですよね。だからこそマーケター的な視点も必要だし、実際、この映画を通じて行城に教えてもらったことはすごく多いなと思いますし、瞳と一緒に成長させてもらえたなと感じています。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月26日今月20日から公開をスタートさせた映画『ハケンアニメ!』を高く評価する声がSNSなどで広がっている。本作は公開前に行われた試写会などでも高評価を集めていたが、公開後にはSNSを中心に「素晴らしかった。今年ベスト」「アニメだけの二次元ではなく、全ての”モノづくり人”を描いてると言っても過言ではない見事さ」などの声がアップされている。本作は、アニメーションの制作現場が舞台。初監督作『サウンドバック 奏の石』を手がけることになった斎藤瞳(吉岡里帆)、8年ぶりの新作『運命戦線リデルライト』を手がける天才監督・王子千晴(中村倫也)ら様々な人物が登場し、アニメーションづくりにかける想い、制作の裏側、新作アニメの反響が広がっていくさまが描かれる。登場人物たちの想いは観た人に伝わっているようで、ネット上には「アニメでなくても、小説や映画、物語に心を動かされた経験のある人間には共感せずにはいられない」「エンドロールに連ねる名が煌々と輝いて見え、やる気がたぎるアツい作品」「こんなに人に勧めたい映画って久しぶりかも」などの感想が。また、吉岡演じる斎藤瞳、中村倫也演じる王子千晴の“ハケン(覇権)”を争う両監督へのコメントも多く「不器用でもがいてばかりで決して表情豊かではない斎藤監督の表情の作り方が素晴らしかった」」「王子監督が感情を露わにするとこはずっと泣いてた」などの感想がアップされている。自身が演じた瞳を“芯の強さはあるが周囲に熱量が伝わりにくいキャラクター”と分析する吉岡は「『サバク』を作っているトウケイ動画チームの色々な部署と打ち合わせをしていて、自分の頭の中で“こういう作品を撮りたい”というのがあるけれど、どうしても相手に伝わらないというシーンを連続で撮ったのですが、そのシーンは“はあ、不器用な人だな”と感じていました」と振り返り「映画という世界もそうですが、本当に多くの人の力がないと絶対に一本にならないものなので。アニメもまさにそうで、そこを達成した斎藤瞳と一緒に乾杯したい」とコメント。王子監督を演じた中村は「瞳との対比というところで言うと、新人と、何かを経た人、それはありますよね。そういうのも微妙に出せたらいいなと思いました。王子に余裕がある方が、敵対心ではなく闘争心という、ピュアなエネルギーが生まれるかなと思い、そういう王子でいなきゃいけないなと思いました」と語る。歴史に名を刻む名作アニメも、観客の口コミや熱が広がることで注目を集めてきた。映画『ハケンアニメ!』も今後、クチコミや感想をきっかけにさらにファンや観客を増やすことになるのか気になるところだ。『ハケンアニメ!』公開中(C)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月26日直木賞&本屋大賞受賞作家・辻村深月の小説を映画化した『ハケンアニメ!』が現在公開中。この度、吉岡里帆、中村倫也らキャスト陣の笑顔が溢れるメイキング写真がシネマカフェに到着した。アニメーション業界を舞台に、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく、奮闘する者たちの姿を描いた本作。そんな劇中で火花を散らす2本のアニメーションが、「サウンドバック 奏の石」(通称:サバク)と「運命戦線リデルライト」(通称:リデル)。同クール・同時間帯で視聴率を争うことに。吉岡里帆演じる新人・斎藤瞳が監督する「サバク」そのうちの1本「サバク」は、県庁に勤めていた元公務員だが、天才監督・王子千晴が手掛けるアニメと出会い、感銘を受け、一念発起してこの業界の門を叩いた主人公・瞳(吉岡さん)が監督を務める作品。彼女を起用したのは、敏腕プロデューサー・行城理(柄本佑)。アニメづくりに没頭したい瞳と、作品を売るためには手段を選ばず、瞳をあらゆる宣伝の場に引っ張り出す行城は、衝突しながらも、次第に心を通わせ、目標に突き進んでいく。異なる立場で同じ作品に携わっている2人。行城が瞳を挑発するような強気なセリフを投げかけると、瞳はムキになって反論することも。吉岡さんは「あんまり感情の起伏が激しいタイプじゃないんですけど、それ以上の、自分が出会ったことのない人と会うとああなるんだなというか。行城さんならではのパワーだと思いました」と行城の存在が瞳の感情的な一面を引き出すキーになっているのだと分析。一方、演じた吉岡さんと柄本さんの関係は良好だったようで、「(柄本)佑さんが出られている作品のイメージもあって、すごくクールで、ミステリアスな方なのかなと思っていたんですけど、実際お会いしたらすごく三枚目な方で、たくさん面白いお話をしてくださいました」と吉岡さんが柄本さんの魅力を明かし、「撮影している時に、自由にやっていいよという空気をすごく作ってくださっていたように感じて、とてもありがたかったです。面白い方なので、それが行城さんが持つ面白さともリンクして、すごく楽しかったです!」とふり返った。柄本さんもまた「非常に可愛いらしくて、現場でもすごく気を遣える方で、だけど演技では、芯の強さがある方だなと思いました。斉藤瞳役を演じる上で、地から割とぴったりなのかなと。あと、非常に心地よい声の方だという印象がありますね」と語っている。中村倫也演じる天才監督・王子千晴の作品「リデル」かつて監督デビュー作で世を席巻し大成功を収めたが、その後はヒットなし、実は崖っぷち状態の王子監督が手掛ける「リデル」。王子を口説き落とし、8年ぶりの新作を復帰の舞台として企画したのが有科香屋子(尾野真千子)。自由奔放な王子に日々振り回されながらも、唯一心を許せる存在となっていく。過去にも共演経験のある中村さんと尾野さん。尾野さんは「すごく落ち着いていて、お芝居も素敵で、やわらかさの中に強さがある。今回、近くで中村倫也という人を見ていて、『この人って本当に不思議な人だな、一つの中にたくさんのことが詰まっている人だ』という風に思って、以前よりすごく興味が湧きました。やっとそういう楽しみな人に合えたから、またご一緒したいです!」とコメント。中村さんは「とても気さくでフレンドリーな方なので、やっぱり安心感がありました。逆に王子と有科さんでいる時の方が違和感がありましたね」と話し、「物語の後半で、ちょっとした有科さんの女性の顔が垣間見れてよかったですね。すごいきゅんきゅんしました。(王子は)めちゃくちゃなこと言ってますけどね。ツンデレっぽい感じが漏れ出てくるといいますか・・・あのシーンは、小学生感を意識しました」と明かしている。本作鑑賞の際には、ぜひ、中村さんが思わず心を奪われた香屋子とのシーンに注目してほしい。『ハケンアニメ!』は全国にて公開中。(cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月25日映画『ハケンアニメ!』で初めて実写映画に出演、自身と同じ声優の群野葵を演じた高野麻里佳さん。この作品であらためて感じた、声優という仕事への愛を、情熱たっぷりに語ってくれました。高野麻里佳as群野 葵――映画『ハケンアニメ!』に出演することになったきっかけは?高野:初めは声優役のオーディションがあるんだけど、というお話をいただいたのがきっかけです。声優と違って、自分の顔が役として出ることにハードルを感じなかったわけではないんですけど、それ以上に、葵ちゃんを演じてみたいという気持ちから、オーディションを受けさせていただきました。声優のオーディションは台本を持ってアフレコブースに入って、審査する皆さんはミキサーブースにいてという形なのですが、映画のオーディションは長机があって、そこにたくさんの人が並んでいて、その前に一人ポツンと座って面接するんです。ちょうど映画の中で斎藤(瞳)監督が面接を受けるシーンみたいな雰囲気でしたね(笑)。でも、緊迫感の裏側にいいものを作りたいという情熱が垣間見える瞬間がたくさんあって、私も最初こそ緊張しましたけど、笑顔も出るオーディションでした。監督さんから「僕は声優さんをよく知らないから、どうしたら声優さんを表現できるだろうか」と逆に質問されて、モチベーションも高まりました。“この人たちと一緒に映画を作りたい!”という気持ちが強くなったんです。――監督からはどんな質問をされたんですか?高野:撮影前に、「声優さんってどんな服を着るんですか?」と聞かれたことがありましたね。声優さんってオシャレな人も多いんですけど、職業柄、音が鳴るものはNGなんです。なので、アクセサリーはもちろん、靴にも気を使っています。あとは鞄ですね。A4サイズの台本が入る大きさがマストなので、小さいバッグは持たないんですよ。普段、私はこんな服を着ていて、それにはどういう意味があるのかとか、詳細にお話しさせていただきました。そういうことも考慮して衣装を決めていただいたので、本当にリアルですよ。――逆に、高野さんが映画を撮影しながら初めて知ったアニメ制作の現場のリアルはありましたか?高野:監督さんがいろんなものを監修して一つの作品が出来上がっていく、というのは頭ではわかっていたつもりですが、斎藤監督のようにあんなに走り回って、たくさんのクリエイターとのやり取りを経てアニメが生まれるというのを目の当たりにすると、頭が下がります。私たちがいただく台本の裏側には、こうした皆さんの働きがあるということをあらためて考えさせられました。今まで以上にしっかり台本を読まなきゃ、と気が引き締まりますよね。――斎藤監督とはアフレコでぶつかるシーンもありました。プロの声優として、下手な演技をしなければいけないのは逆に難しかったのではないでしょうか?高野:斎藤監督が「もっと高低差をつけて」とか、「もっと抑揚をつけて」とディレクションしてくれていたので、その真逆のことをするイメージで演じました。下手な演技をしようというよりは、監督の指示とは逆のことをすればいいんだなって。葵ちゃんは、演技が下手だったり、声優としてのセンスがないわけじゃないと思うんですよ。作品を大切にしたい気持ちが空回っちゃってるというか。彼女なりに頑張ってるけど、斎藤監督が思い描く声ではなかった、というだけなんですよね。――群野葵という役を演じていて、共感したところはありますか?高野:たくさんあります!例えば、葵ちゃんって“アイドル的な人気声優”というレッテルが貼られてるんですけど、本人的には悔しい言われ方なんだろうなって思うんですよね。きっと彼女にはやりたいことがあって、でもそれがうまく伝わっていないというか…。私も長く声優というお仕事をする中で、表に出していただく機会も多いんですけど、周りから見た自分と本当の自分にズレが生じることがあるんですよね。それを残念に思う気持ちもあるんですけど、でも逆にその気持ちを持っているから葵ちゃんを演じられるんだなと思いました。だから私は、声優としてのプライドや悔しさを思いっきり表現して、葵ちゃんとして生きることが彼女を喜ばせることになるかなと思って演じました。――高野さんが考える声優という仕事の魅力は何ですか?高野:声優って誰かの夢を作る仕事だと思うんですね。だから私はその志を持って、みんなの心を震わせ続けることを大切にしています。この業界って“好き”から入るものだと思うんですけど、好きの形は様々ですよね。アニメが好きとか、演技が好きとか、誰かを喜ばせることが好きとか、いろんな好きがあっていいと思うんです。葵ちゃんみたいに、好きがなかなか噛み合わなくて演技を否定されることもあるかもしれないけれど、自分の好きはこれなんだって肯定してあげることも大事なんですよね。時には心ない言葉を受けることもあるけれど、私は私が好きだと思えることを一生懸命にやる。それがいつかきっと誰かの心に響くと、私は信じています。こうの・まりか2月22日生まれ、東京都出身。2014年より声優として活動。出演作にアニメ『それが声優!』小花鈴役、『ウマ娘プリティーダービー』サイレンススズカ役、『後宮の烏』九九役など。昨年、ソロアーティストとしてデビュー。映画『ハケンアニメ!』新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、天才監督・王子千晴を中村倫也、王子に振り回されるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が演じる。この2組、覇権を取るのはどっち!?監督/吉野耕平脚本/政池洋佑出演/吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか5月20日より全国公開。※『anan』2022年5月25日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・原田幸枝ヘア&メイク・宮本博子取材、文・伊 季姫(by anan編集部)
2022年05月22日最高のアニメを意味する“覇権アニメ”を作るべく2人の監督が奮闘する、映画『ハケンアニメ!』。その作中アニメは、参加声優陣も超豪華!?『ハケンアニメ!』作中アニメ…スタジオえっじの『運命戦線リデルライト』スタジオえっじが挑む魔法少女アニメ『運命戦線リデルライト』。登場人物の声を担当する高橋李依さん、堀江由衣さん、花澤香菜さんにお話をうかがいました。STORY行方不明の妹を捜す魔法少女の充莉は、自らの魂の力で乗るバイクを変形させ、ライバルたちとレースで競い合う。第1話に6歳で登場する充莉は、年に1度のバイクレースでのバトルを通し、仲間やライバルと共に、1話1歳ずつ年を重ねていく「成長するヒロイン」。CHARACTER充莉:心優しく明るい主人公。3歳年下の妹が行方不明となり、妹を救うためバイクレースに参加。清良:充莉のいる世界と鏡写しとなる世界の住人。充莉と運命を分け合う対になる相手。デル:充莉をバイクレースに誘った不思議な動物。ガラスや鏡の中、水の中などに現れる。詩織:中学校で充莉たちに出会う。オタク気質なところがあり、眼鏡がトレードマーク。七菜香:充莉の親友であり、良き相棒となる。クールでニヒルな性格の持ち主で、自転車屋の娘。圭:充莉たちが中学校で出会う。幼い頃から芸能活動をしている、大人びた美少女。悠樹:ボーイッシュで明るい天然キャラ。野球選手が夢で、男子のリトルリーグに参加している。高橋李依as充莉映画に登場する人みんな本当にアニメが大好きなんだな、ということが伝わってくる作品でした。ぶつかる理由も、いいものを作りたいから、アニメが好きだから、作品を届けたいから戦っているところが素敵でしたね。なかでも原画さん(小野花梨)は、どこかでお会いしたことがあるんじゃないかというくらい既視感のある雰囲気で(笑)。人の良さと職人気質がとても魅力的でした。雑誌の撮影で、アニメの決め台詞を言わされる斎藤(瞳)監督の“何をやらされてるんだろう”感も面白かった(笑)。観ているこちら側にも心の機微が伝わってくる繊細な空気の描き方が素晴らしかったです。斎藤監督がアフレコで何度もNGを言い渡すシーンがありましたが、個人的にここまで諦めないでいてくれるのはありがたいなとも感じてしまうんですよね。本当はOKではないんだろうな、という声音で「OKです」と諦められてしまうより、たとえ声のトーンが厳しくても、何度もやり直しさせてくれるのはやさしいな、作品のためだなと思えて。私、以前「リテイクをもらうのは悪いことじゃないんだよ」と、新人時代に言われたことがあるんです。リテイクは一度聞いてもらった上でより良い演技を引き出すものだから、怖がってちゃダメだよって。とはいえ、声優の現場って、基本テストと本番の2回しかないので、その収録が終わった後にリテイクの真意に気がついたり、別の可能性を思いつくことも。常に引き出しを増やしたり、瞬発力を磨いておきたいですね。私のきっかけはアニメが好きで声優を目指しました。今回共演もさせていただいている小林ゆうさんのように、男性も女性も演じられるなんて素敵な仕事だ!と衝撃を受けまして。それに声の演技だけでなく歌ったり、しゃべったり、声を使った様々な表現活動ができるのも魅力で。群野葵ちゃん役で映画に出演している高野麻里佳ちゃんとはイヤホンズとして一緒に音楽活動もしています。いわゆるアイドル活動と括られがちですが、“声優ができる音楽ってなんだろうね”ということに主眼を置いたユニットで、声を使って表現する実験的な活動も楽しいです。私はアニメを見るのも、作る過程も、作ってる人も大好きですが、みんなで作った作品をいろんな方と共有できる瞬間が特に嬉しく感じます。人と“楽しい”を共有したい。その想いがこの仕事に生きてるのかなって思います。たかはし・りえ2月27日生まれ、埼玉県出身。2013年より声優として活動を始め、TVアニメ『魔法つかいプリキュア!』朝日奈みらい/キュアミラクル役、『Re:ゼロから始める異世界生活』エミリア役など出演作多数。衣装協力・AuntMarie’s/アンティローザ TEL:03・6431・9431ete TEL:0120・10・6616堀江由衣asデルこの映画をひとことで言うなら、“戦い”ですね。監督には監督の戦いがあり、制作や宣伝、アニメーター、そして我々声優など、それぞれの戦いが描かれつつ作品同士の戦いもあって…。いろんな立場の人たちの想いが詰まっています。声優という仕事の大変さは理解しているつもりですが、アニメ制作現場は近いようで知らないことが多いので、勉強になりました。映画の登場人物を見て「こういう方、いる!」と思ったり(笑)。現場では余裕に見える監督でもプレッシャーを感じることがあるんだなということをあらためて感じましたし、いろんな気づきを与えてくれました。仕事をしている方ならきっと共感できる作品だと思います。作中、まりんかちゃん(高野麻里佳さん)演じる葵ちゃんが斎藤監督に何度もダメ出しされるシーンは胸が痛みました(笑)。私にも、何回やってもOKが出ないことがありましたし、つらいだろうなと思ってすごく共感しました。でも、最後の最後に監督が彼女にかけた台詞は胸アツでしたね!仕事って、できるのが当たり前、褒められることはあまりないじゃないですか。だけど、作品が終わって監督や音響監督さんに良かったよって褒めてもらえると、それだけで頑張れちゃうんですよね。私自身、そういう言葉一つひとつを大切にしていますし、それが声優というお仕事を続ける原動力にもなっているので、あのシーンは特に印象に残っています。私が声優を志したきっかけも斎藤監督とちょっと似ていて、子供の頃に見たアニメのヒロインに憧れたからです。「この人になりたい!」と思って、そのキャラクターになりきって友達と遊んでいました。お芝居が好き、というよりも物語の中に入りたいという気持ちのほうが強かったので、声優として演技の勉強を始めたばかりの頃は戸惑いました。でもやっぱり私は物語の中に入ってその世界に没頭するのが好きなので、声優として子供の頃に憧れたヒロインをやらせていただいたり、自分がなりたかったものになれたことは幸せだなと感じています。映画の中で私は『運命戦線リデルライト』のデルという不思議な生物を演じています。作中アニメとはいえアフレコ自体は普段と同じ作業なんですけど、ちょっと不思議な感じがして楽しかったです(笑)。アニメだけでなく、実写のシーンでも私の声が流れるところがあるので、ぜひ見つけてみてください。ほりえ・ゆい9月20日生まれ、東京都出身。アニメ〈物語〉シリーズの羽川翼役をはじめ、『魔法つかいプリキュア!』十六夜リコ/キュアマジカル役など幅広く活躍。11th album『文学少女の歌集II‐月とカエルと文学少女‐』が発売中。花澤香菜as清良アニメを見てワクワクする気持ちってあるじゃないですか。他のコンテンツでは味わえない「何だこれ!」を作っているのは、この仕事を愛して、一生懸命頑張ってくださっている人たちなんだというのがよくわかる作品です。映画を観たら、よりアニメを楽しめるようになるんじゃないかと思いますね。作中アニメのアフレコは難しかったです。カリスマ的な王子(千晴)監督に選ばれた声優だという説得力がないといけないと思うと責任重大でした。短いシーンの中で、充莉ちゃんとの関係性を出さなきゃいけないというのもあって、ト書きから読み取れるもので自分なりに清良を作り上げて、演じました。葵ちゃんが収録のときに泣き出しちゃうシーンがあったじゃないですか。私も一度だけ同じ経験があるんです。当時は高校生で、言ったこともないような辛辣なことを可愛い声で言うというのがどうしてもできなくて。感情がこみ上げてきて、泣いちゃったんですよね。でも、これはプロとして絶対にやってはいけないことだと思って、それ以降は泣いたことはないんですけど。今でもたまに新人の子が泣いているのを見たりするので、辻村(深月)さんの取材力と描写力は本当にすごいなと感じました。実は当時、高校卒業したら芸能活動をやめようと思ってたんですよ。それで、お世話になったスタッフの方にご挨拶に行ったら、「声がいいからやめないで!」と言われて。それまでにも声優のお仕事をしたことはあったけど、自分の声がいいとか、声のお仕事でやっていけるとか考えたこともなくて。でもその言葉を聞いて、これからは声優一本で挑戦しようと思って、その方がいる事務所に直談判したんです。もしかしたら「本当に来た」って思われたかもしれないけど(笑)、その方が私のマネージャーをやってくださってました。17歳のときに『ゼーガペイン』という作品でヒロインをやったんですけど、当時はインターネットで棒読みってめちゃくちゃ叩かれました。自分でも自覚はあったので、どうしたらうまくなれるか、自分なりに必死に考えましたね。今その作品を振り返ると、等身大の17歳の女の子らしさを感じるんですけどね。ただ、下手くそを自覚して、変わりたいと思ったときからいろんなことをやり始めて、ちょっとずつ自分のできることが増えていって…。「考えることをやめない」ことが私には一番大事だったのではないかと思います。はなざわ・かな1989年2月25日生まれ、東京都出身。2003年、『LAST EXILE』のホリー・マドセイン役で声優デビュー。以降、アニメ〈物語〉シリーズの千石撫子役、『はたらく細胞』赤血球役、『鬼滅の刃』甘露寺蜜璃など、多数出演。映画『ハケンアニメ!』新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、天才監督・王子千晴を中村倫也、王子に振り回されるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が演じる。この2組、覇権を取るのはどっち!?監督/吉野耕平脚本/政池洋佑出演/吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか5月20日より全国公開。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会※『anan』2022年5月25日号より。写真・小笠原真紀(高橋さん)スタイリスト・網野正和(高橋さん)ヘア&メイク・Yuu.(高橋さん)取材、文・伊 季姫(by anan編集部)
2022年05月22日最高のアニメを意味する“覇権アニメ”を作るべく2人の監督が奮闘する、映画『ハケンアニメ!』。その世界を忠実に再現するため、映画化にあたって作中アニメのために集められたとは思えないほど豪華なスタッフ&声優陣が集結!『ハケンアニメ!』作中アニメ…トウケイ動画の『サウンドバック 奏の石』トウケイ動画お得意の、ロボットアニメ『サウンドバック 奏の石(かなでのいし)』。登場人物の声を担当する梶 裕貴さん、潘めぐみさん、速水 奨さんにお話をうかがいました。STORYある日、巨大ロボットに襲われたのどかな田舎町。トワコ、タカヤ、リュウイチたちは神社に納められていた「奏(かなで)」と呼ばれる石が現実の音を吸い込むことによってロボット化することを知る。そのロボット・サウンドバックに乗り、少年少女たちは地球を守る。CHARACTERリュウイチ:小学5年生。サウンドバックのパイロット。3年生のときに都会から引っ越してきた。トワコ:奏の石を祀る神社の三姉妹の長女。小学5年生。サウンドバックのモニターを操作できる。タカヤ:小学5年生。サウンドバックのパイロット。スポーツ全般を得意とする熱血漢。マユ:トワコの小学1年生の妹。奏神社の三姉妹の末っ子で、幼いけれどしっかり者。奏の石:奏神社に鎮座する、音を吸い込みロボットを生み出す石。変形し、サウンドバックとなる。梶 裕貴asリュウイチ仕事をテーマにした作品、とりわけアニメ制作や声優といったジャンルをエンターテインメントとして映画にするには、相当なリサーチがないと難しいと思います。ところが、この作品は少なくとも、僕が知るアフレコ現場の表現に関して言えば、ものすごくリアルでした。僕が口出しできるものでは決してないのですが、アニメ制作の現場についても、職人の皆様が作られる空気感というのが、見事に形になっていたのかなと感じました。あらためて、これだけ多くの作品関係者の皆様の努力や時間、愛情や熱意があって、初めてアニメーションは生まれているんだなということを感じさせられました。自分が声優として参加させていただけている、その重みを一層感じましたね。プロデューサーの行城さんがアニメーターの並澤さんに名前の表記を断られて、「名前をください」と言うシーンも痺れました。「この人が関わっているから見たい」と言っていただけるのはありがたい半面、自分の芝居が求められているのか、それとも名前(付加価値)が欲しいのか、葛藤することが僕もありました。でも…どんな理由であれ、見て知っていただけるチャンスは大事ですし、本当にいい芝居さえすれば、必ず良かったと言ってもらえるものだと感じているので、行城さんのこの言葉は今の自分だからこそ理解できたものなのかなとも感じました。僕が声優を志したきっかけは、“声優という仕事は、頑張った分だけ全部自分の力になる職業”だと聞いたから。それまでは、憧れる対象が多すぎて、夢がコロコロと変わってしまう子供で(笑)。新しい夢を持つたびに、それまでの努力が無駄になってしまったように感じていたんです。でもその言葉を知ったとき、“声優はいろいろなことに好奇心が抑えられない自分にぴったりの職業だ”と思えたんですよね。新人の頃は失敗したくないあまりに、“教科書通りの合格点を取ること”に必死でした。でもそれが、とある主演作での、主人公が慟哭するシーンのお芝居をしたときから変化して。泣くとも叫ぶとも形容しがたいその表現を、とても評価してくださったんです。時には、きれいに言葉を発するより、歪んでいたりブレていたりするほうが、見ている人に伝わることもあるんだと。それが、人間なんだと。そのときに“たとえ失敗しても、100点以上を狙う面白さがアフレコにはあるんだな”と知りました。その演技を引き出してくれた音響監督の三間雅文さんは、僕にとって“恩師”です。かじ・ゆうき1985年9月3日生まれ、東京都出身。2004年より声優として活動。現在までアニメ『進撃の巨人』エレン・イェーガー役をはじめ、『僕のヒーローアカデミア』轟焦凍役、『からかい上手の高木さん』西片役など、出演作多数。潘めぐみasタカヤ斎藤瞳監督の「刺され、誰かの胸に」という台詞には本当に心を刺されました。私たち声優がその作品に関わる時間は収録の数時間のみですが、監督をはじめ制作スタッフの皆さんがどれだけの時間と想いを懸けてモノづくりに向き合っているのかをあらためて思い知りました。イベントで紹介していただくとき、「役の潘めぐみです」と自己紹介するんですけど、こうして制作過程を見ると、作品に携わる皆さんと一緒にこの役を演じているんだな、と感じましたね。登場人物の中で一番共感したのは斎藤監督です。一度は就職したけれど、夢を諦めきれずに転職して、ついにはアニメ監督になるのは本当にすごいこと。やりたいことのために勇気を振り絞った選択をするところとか、自分の作品に関して誰に何を言われても譲らない、いい意味での頑固さにも共感しました。私も頑固だったり負けず嫌いなところがあるので、彼女にはすごく感情移入してしまいましたね(笑)。斎藤監督がアニメ監督の道を選んだのと同じように、私も、声優は誰かの力になれる、心に届けることができる素敵な仕事だなと思っています。たった30分の放送時間でも、その30分が見た人の一生に残るかもしれないんですよね。悩んでる人の背中を押したり、人生の岐路に立ったときに思い出してもらえたり。誰かの人生にほんの少しでも関われるということがすごく尊くて、愛おしいんです。私が声優を志したのは、小学生のときに親友の家でたまたま読んだ『HUNTER×HUNTER』がきっかけでした。『週刊少年ジャンプ』に第1話が掲載された号で、表紙は主人公のゴンがグーパンチしてました。それまで少年漫画には触れてこなかったものの、読み始めたらすっかりハマってしまい、アニメが始まったらそちらにも夢中になって…。だからまさか自分がゴンを演じることになるだなんて思ってもいませんでした。人生何がどう動くかなんて、本当にわからないものですよね。その作品には何度も救われてきて、夢まで叶えてもらえるなんて、本当に感謝しています。私は、夢を叶えた先にも夢があると思うんです。例えば斎藤監督は、頑張って公務員になったけど、転職した先でアニメ監督としての才能が花開いて、さらに別の道を進んでいくじゃないですか。そんなふうに夢って変わっていくものだし、今いるこの場所だけが終着点ではないんだなって、この仕事をしてると感じますね。はん・めぐみ1989年6月3日生まれ、東京都出身。2011年にアニメ『HUNTER×HUNTER』のゴン=フリークス役で本格的に声優デビュー。『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』セイラ・マス役、『ULTRAMAN』北斗星司役など出演作多数。速水 奨as奏の石今回は石の役を演じるというより、銀幕デビューを飾るということに少しウキウキしていました。僕はかれこれ42年、声優をやっているんですが、近しい業界であってもまだまだ知らないことがあるんですよね。昔は新人声優がセル画の彩色のアルバイトをしたり、作品が終わるとセル画をいただくこともありました。なのでアニメーターの仕事については知っていましたが、監督やプロデューサーが実際にどのような仕事をしているのかまでは知らなかったので、本当にいろんな方が作品に関わっているんだなというのをあらためて感じました。作中、この業界はみんなやさしい人ばかりという台詞が出てくるんですが、僕らの業界もそう。我のぶつかり合いだと成立しない世界なので、今、自分は何を求められているのかを感じながら、おたがい気を配って、補い合っているところはアニメ業界と似てるなと思いました。僕が声優になったきっかけは、賞金目当てだったんですよ(笑)。ちょうど劇団を辞めた頃で、たまたま目に入った声優コンテストでグランプリをいただいて、声優として仕事を始めました。最初に一番戸惑ったのは“間”ですね。絵に描かれた動きに合わせてしゃべらなくてはいけない上に、演技もしなきゃいけない。何重にも制約があって、これは難しいなと思いました。1987年のOVA『デビルマン』でようやく、台詞はただきれいな音を成立させるのではなく、肉体を削って出していくものなんだということに気づきました。映像に自分の演技をマッチさせるためには、思っている以上のパワーと覚悟が必要なんですよ。そして、自分の声だけが良くても意味がない。作品の中で生きるというのは、みんなと一緒にセッションすること。一つのシーンをみんなと台詞をかけ合わせることで作り上げていく、それが声優という仕事において何より大切なんです。僕は普段、泣くことはほとんどありませんが、『火垂るの墓』を観ると絶対に泣いてしまうんです。そういう喜怒哀楽は絶対にあったほうがいいし、短い時間で感情を表現しなくちゃいけない声優ならなおさらそう。だから、声優という仕事には無駄なことって何一つないんですよ。漫画やゲームにハマったり、僕の場合は読書でしたが、そういうインプットが役に立つときがきっと来ます。いろんな経験をしたり、何でもやってみる、それが声優にとって大事なことだと思います。はやみ・しょう8月2日生まれ、兵庫県出身。1980年に声優として活動を始め、現在までTVアニメ『勇者エクスカイザー』エクスカイザー役、『南国少年パプワくん』マジック総帥役など多数。『ヒプノシスマイク』ではラップにも挑戦した。映画『ハケンアニメ!』新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、天才監督・王子千晴を中村倫也、王子に振り回されるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が演じる。この2組、覇権を取るのはどっち!?監督/吉野耕平脚本/政池洋佑出演/吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか5月20日より全国公開。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会※『anan』2022年5月25日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・SUGI(FINEST/梶さん)ヘア&メイク・中山芽美(エミュー/梶さん)齊藤栄梨(潘さん)coomie(ビーサイド/速水さん)取材、文・伊 季姫(by anan編集部)
2022年05月22日アニメ制作の舞台裏を描いた映画『ハケンアニメ!』の公開記念舞台挨拶が5月21日、東京・丸の内TOEIで行われ、主演の吉岡里帆をはじめ、共演する中村倫也、柄本佑、尾野真千子、高野麻里佳、吉野耕平監督が登壇した。最も成功したアニメ作品の称号・覇権(ハケン)をめぐって、地方公務員からアニメ業界に飛び込んだ新人映画監督の斎藤瞳(吉岡)と、瞳の憧れである業界のスター監督・王子千晴(中村)が熾烈なバトルを繰り広げる。劇中アニメの制作には『攻殻機動隊』シリーズなどで知られるProduction I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクションやトップクリエイター陣が参加し、老舗アニメ制作会社・東映アニメーションが監修を手がけている。吉野耕平監督プロデューサー陣が企画から7年の歳月をかけ、完成させた力作。挨拶に立った吉岡は「これだけ長い年月がかかった作品も、そうそうないと思います。劇中のアニメもそうですが、とんでもない数の人たちの結晶で、公開できたことが奇跡」と万感の思い。自身と演じた役柄を重ねながら「映画の中で瞳も言っていますが、いつか思い出してもらえる作品になればいいなと思う。私自身もそういう思いで仕事をしている」と熱き思いを明かし、「皆さんの感想が作品にパワーを与えてくれる」とファンに情報発信を呼びかけていた。吉岡里帆尾野真千子中村も「必ず元気がもらえる映画。とにかく観ろと言える」と強い手応え。瞳をサポートするプロデューサーを演じた柄本は「台本を読んだ段階でもウェルメイドなエンターテインメント作品だと感じたが、映画が出来上がり、奥行きがしっかり生まれた。想像以上に誰もが共感できる」と作品の魅力を熱弁した。中村倫也柄本佑また、人気声優の高野は、本作で声優を演じ、実写映画初出演。「私自身が声優なので、身が引き締まる作品。特にアフレコシーンは、満足していただけるよう気合いを入れた。オーディションでは、吉野監督に声優の特殊な環境をいろいろお話した」と振り返っていた。高野麻里佳舞台挨拶には主題歌「エクレール」を手掛けるジェニーハイから、小藪千豊、川谷絵音、新垣隆、中嶋イッキュウの4人が駆けつけた。川谷が「映画を観た人がもう一度感動できるような歌詞にしたかった。何回も書き直して、僕の中でも思い入れが強い」と楽曲への思いを明かすと、吉岡は「登場人物の思い全部をすくい取ってくれる最高の主題歌。メロディも楽しい」と絶賛していた。ジェニーハイ取材・文・写真=内田涼<作品情報>『ハケンアニメ!』全国公開中
2022年05月21日ジェニーハイが、本日5月20日より公開の映画『ハケンアニメ!』の主題歌「エクレール」のMusic Videoを公開した。ジェニーハイは、ドラム・小籔千豊、ベース・くっきー!(野性爆弾)、ギター&プロデュース・川谷絵音、キーボード・新垣隆、ボーカル・中嶋イッキュウ(tricot)からなる5人組バンド。「エクレール」は同映画のために川谷が書き下ろした楽曲で、吉岡里帆演じる主人公・斎藤瞳の好物としてたびたび劇中にエクレアが登場することから、エクレアの語源で稲妻を意味する「エクレール」がタイトルとなっている。公開されたMVは、刑務所を舞台に囚人に扮した小籔、くっきー!、川谷、新垣と、看守に扮した中嶋、同曲にゲストボーカルとして参加した声優・高野麻里佳によるエクレアをめぐるストーリーが描かれる。名作映画のオマージュも取り入れたユニークな物語がポップなトーンで描かれた、ジェニーハイらしい映像に仕上がっている。ジェニーハイ「エクレール」MV<リリース情報>ジェニーハイ「エクレール」Now On Saleジェニーハイ「エクレール」ジャケット配信リンク:<映画情報>『ハケンアニメ!』公開中出演:吉岡里帆 / 中村倫也 / 工藤阿須加 / 小野花梨 / 高野麻里佳 / 六角精児 / 柄本佑 / 尾野真千子映画公式サイト:関連リンクジェニーハイ オフィシャルサイトジェニーハイ Twitterジェニーハイ instagramジェニーハイ TikTok:
2022年05月20日直木賞、本屋大賞作家・辻村深月の人気小説を映画化した『ハケンアニメ!』が5月20日(金)から公開になる。本作は、アニメーションの世界の“ハケン=覇権”をとるべく作り手たちが奮闘する姿を描いた作品だが、単なる“お仕事もの・業界もの”ではなく、そこで苦闘する人たちの想いが周囲の人々や視聴者に伝わっていく様も描いている。監督を務めた吉野耕平はCMやミュージックビデオの世界でも活躍し、『水曜日が消えた』で長編デビューを果たした人物で、舞台になったアニメーションの世界を徹底的にリサーチし、愛情をもって描きつつも「アニメーションに興味がない人にも観てもらいたいです」と語る。日々、次々と放送されるアニメーション。しかし、そこで人気を得る作品はほんのひとり握りしかない。この世界の“ハケン=覇権” をとるアニメーションはどの作品なのか? 原作小説はアニメーション制作の現場で活動する人々の姿を多角的に描いており、吉野監督は映画化が決まる前から「自分で映画化してみたい」と思っていたようだ。「頭の中で映像化しながら小説を読むことが多いんですけど、この小説も読みながら“どうすれば映画化できるかな?”と思いながら読んでいました。読んでいるとアニメーションの制作現場に自分も足を踏み入れている感じがあって、ビジュアル喚起力がすごくありました。それに同じ年齢ぐらいの、他の仕事をしていてもおかしくない人たちが仕事としてアニメーションに真剣に向き合っている。その姿がすごくリアルに感じましたし、描写も展開も“地に足のついている”感じが魅力だと思ったんです」やがて願いが叶い、吉野監督は本作の映画化に参加。原作の様々な要素を丁寧に絞り込んで、脚本家の政池洋佑と脚本をつくりあげていった。「僕が参加した段階の脚本からすでに瞳監督と王子監督の対決が脚本の中心にはなっていたんですけど、その段階ではまだ瞳監督の気持ちがしっかりと描ききれていないと思ったんです。だから王子監督と瞳監督の成長をしっかりと描くことで、他のキャラクターがたくさん出てきても最後までブレずに映画にできるだろうと思いました」公務員から大手アニメーション会社に転職した斎藤瞳(吉岡里帆)は、新作アニメーション『サウンドバック 奏の石』でついに監督デビューを果たすことになったが、監督としての経験もスキルも少ない瞳のやる気と熱い想いは空回り。作品を売るためには手段を選ばないプロデューサー行城理(柄本佑)とは衝突ばかりで、チームの足並みは乱れていく。一方、瞳がアニメーションの世界を志すきっかけになった天才アニメーション監督の王子千晴(中村倫也)もプロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)のバックアップを受けて8年ぶりの新作『運命戦線リデルライト』の制作にあたっていた。瞳の手がける『サウンドバック』と王子が手がける『リデルライト』は同じ曜日の同じ時間に放送。どちらの作品が視聴者の支持を得るのか? それぞれの作品が問題を抱えながら制作を進め、ついに初回放送がスタートする。本作ではアニメーションの制作過程が丁寧に描かれ、そこで活動する人々の日常や悩み、迷いが描き出されるが、監督は観客が自分の目でアニメ制作の世界を覗き込んでいるような語り口を選んだ。「脚本の段階で頭にあったのは『千と千尋の神隠し』です。あの映画は不思議な湯屋の世界を、観客は千尋の目線で一緒に旅していく。結果的にその全貌はわからないけど、最後のゴールまではたどり着くことができる。だからこの映画でも観客が突然 “アニメづくりの世界”に放り込まれて、瞳監督と一緒に旅していくイメージがありました。だから撮影の段階でも、瞳監督の見ているものを描こうとしましたし、彼女が話す場面では、そこにいる全員が彼女を見ている場面を入れるようにして、観客に瞳監督の視点を味わってほしい、ということを意識していました。それと前から『マネーボール』が好きだったんですよ。あの映画もブラッド・ピット演じる主人公が周囲に理解されない中で、根気よく野球チームを改革していき、そこに熾烈なトップ争いの話が入ってくる。チームリーダーの目から見ると野球はこう見える、ってことを感じられる。視点や切り取り方の面白さがあるんです」本作は物語を語る視点=瞳監督を明確にして、瞳監督と王子監督の対決と成長を映画の背骨にすることで映画としての強度を上げ、ブレのない状態で両監督を取り囲む人たちの魅力、映画ならではの日常描写の面白さ、文字や吹き出しが画面内を動きまくるモーショングラフィックを盛り込んでいった。「劇中の人物については役者さんの力が大きいですよね。それに僕自身もいろんな映像の現場で仕事をしてきていますので、それぞれの現場で様々な立場のプロフェッショナルたちを見てきたんですよ。彼らはその分野で自分の人生を切り拓いてきた人たちなわけで、そこはリアルに伝えたい。だから主人公とその人の距離感、主人公の感じる“その人との関係”をカメラアングルを工夫して描いていきました」監督が実感する“作り手が最後にできること”とは?吉野耕平監督さらに本作ではProductionI.Gをはじめとする日本のトップスタジオが劇中アニメを手がけ、老舗アニメ制作会社・東映アニメーションが業界監修を担当しているが、劇中アニメを実写に“挟み込む”だけでなく、その作品が物語の中で存在し、作り手や視聴者に伝わったり、影響を与えていく様子をしっかりと描いている。「劇中のアニメを登場させる時は“広がり”を見せなければならないので、意図的に完成した映像だけではなくて、絵コンテの段階で見せておいたり、テレビ越しに見せたりすることで、“物語の世界の中の作品”という表現をしています。撮影している段階では、どんなアニメーションがあがってくるのかわからなかった部分もあり、あれこれ準備を進めていたんですけど、その心配が結果としてうまく機能したところもあったと思います。映画の中では、そのキャラクターが美男や美女かどうかは、周囲の人のリアクションだったり、振り向いたりする様子によってわかるわけですよね? だからどんなに美形の役者さんでも“可愛くない”役ができる。『ハケンアニメ!』でも劇中アニメが登場する時には、視聴者のSNSでの反応も含め、さまざまな方法でそれを観ている人、周囲にいる人の反応とセットにして「どう受け取られているアニメなのか」を描くようにしています」おそらく本作を観た観客は劇中に登場するアニメーションを観たくなるはずだが、それは“作品を観て反応する人”が前後にしっかりと描かれているからだ。「僕は車にはまったく興味がないんですけど『フォードvsフェラーリ』を観ると、前半に車をつくっている人のドラマが丁寧に描かれていて、クライマックスは車が走ってる描写と、それを見守っている人たち、そこまでに積み上げていった感情が描かれていて、車に興味のない僕でも楽しめたんです。僕はアニメが好きなんですけど、アニメに興味のない観客もいるわけで、この映画をつくる上では、アニメそのものだけでなく、それを観ている人の感情も大事に描いてます。だから、アニメーションに興味がない人にも観てもらいたいですね」アニメーションが生み出される過程で監督もスタッフも声優もみな、それぞれに悩み、考え、完成した作品を観た視聴者は盛り上がったり、友達と感想を言い合ったり、固唾を吞んでテレビ画面に向き合ったりする。作品には誰かの想いが込められている。作品は観る人に手渡され、伝わり、広がっていく。「この映画を観た辻村さんは『私はこの作品で“フィクションに救われる人間”のことを描きたかったんだなぁ』と仰っていたように思います。瞳監督は最初、隣の部屋に住んでる男の子に自分がアニメ監督であることを伝えてないし、そのことを隠したいと思っているんですけど、話が進んでいく中で『絶対に面白いから観て』と言うようになる。彼女は最初は“過去の自分”に届けたい、自分の中で完璧なものをつくりたいと思っていたけど、物語が進む中で、自分のつくったものを現実に“届けたい相手”を見つけるんです。そういうことって映画だけじゃなくて、音楽や小説でも同じだと思うんですよね。それに実際に作品をつくっている側の実感で言うと、自分たち作り手が最後にできることは“いま、誰かが観てるといいな”と思うことぐらいなんですよ(笑)。自分がつくったものが誰かに届くことを願うしかないんです」アニメーション界の“ハケン”を目指す人たちの想いと、そこで生まれた作品は広がり、多くの人たちに伝わっていく。何かを変えていく。そのダイナミックなドラマが本作の最大の魅力だ。公開後、本作の作り手たちの想いは観客に伝わり、各地に広がっていくことになるだろう。『ハケンアニメ!』5月20日(金)全国ロードショー(C)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月20日アニメーション業界を舞台に、最も成功したアニメの称号=ハケン(覇権)を手にすべく奮闘する者たちの姿を描くお仕事ムービー『ハケンアニメ!』が今週5月20日(金)に公開。アニメ関係者からも絶賛と共感の声が寄せられている。辻村深月の小説を映画化した本作は、アニメ製作の裏側や、そこに生まれるアツいドラマが描かれる。物語は、吉岡里帆演じる公務員からこの業界に飛び込んだ新人アニメ監督・斎藤瞳を中心に展開。アニメ作りに懸ける想いは誰にも負けないが、20代の女性として実力を証明しようとする気負いや持ち前の負けん気が空回りし、若さや経験不足から周囲と衝突することも。孤軍奮闘と言えば聞こえはいいが、チームの足並みは乱れ始め、現場は不穏なムードに。吉岡さんは「瞳は本当に不器用なので…。アニメ業界も映画業界も、多くの人の力がないと成立しない世界ですし、そこでいい協調関係を築いていくことは一緒に作品を作っていく上で大切なことだと思います」と語っており、監督として成長途中の瞳だからこそ、思わず応援したくなる主人公となっている。劇中では、瞳とライバル・王子千晴(中村倫也)がそれぞれ手掛けるアニメが登場。この制作には一流のクリエイターが集結しており、瞳が監督する「サウンドバック 奏の石」(通称:「サバク」)は、谷東監督、キャラクターデザイン・窪之内英策、メカデザイン・柳瀬敬之、声優として梶裕貴、潘めぐみ、速水奨。王子監督の「運命戦線リデルライト」(通称:「リデル」)には、大塚隆史監督、キャラクターデザイン・岸田隆宏、声優として高橋李依、堀江由衣、花澤香菜が参加。また劇中では、アフレコシーンに本人役で出演している声優も。「サウンドバック 奏の石」本作最大のネックにしてこだわりポイントになったのが、この劇中アニメの制作だったという。数年単位でスケジュールがおさえられるアニメ制作の現場では、人気のスタッフやスタジオほど早く予定が埋まっていくため、制作会社探しは難航。しかし、プロデューサー陣の粘り強い交渉と東映アニメーションの協力を得て、そんな最高のスタッフ・声優たちの参加が実現。映画のストーリーとも密接にリンクする、実写映画の中のアニメパートとは一線を画す仕上がりとなっている。「運命戦線リデルライト」そんな並々ならぬこだわりを持って作られた本作。関係者試写では、実際にアニメ業界で仕事をする人々から「業界のリアルを上手にまとめられているし、エンタメ要素もしっかり入っていてあっという間の2時間」「ゼロからイチを作りあげていく凄さや、そのプレッシャーが描かれていた」「伝えたいことがストレートに描かれていて、どの客層にも現実の生活や仕事への向き合い方を示す模範的な映画」などと絶賛。若い女性新人の初監督作品に参加したことがあるという30代の総作画監督(女性)は、若くして監督に抜擢されるも、周囲に軽んじられたり熱意が空回ってしまう彼女の姿に共感したそうで、実際の現場で年配の男性演出担当に怒鳴られ、言い返せない姿を目撃したことがあり、感情移入しつつも成長していく瞳を頼もしく見ていた様子。また、40代のアニメ制作会社員(女性)は、瞳のアニメ作りのモチベーションである「誰かの心に刺さる作品を届けたい」に対し、「とても“わかる”言葉でした」と言い、40代のプロデューサー(男性)は、「リデル」チーフプロデューサーの香屋子のシーンを挙げ、ハードスケジュールの中で作画スタジオに修正をお願いする場面で、王子監督が納得のいく作品を生み出すために必死で頭を下げる姿に胸を打たれたそう。ほかにも、最終回を巡って制作現場で議論が行われるシーンで、作画監督が「俺たちは監督の頭の中を形にするためにいる」と語る姿に共感した(20代制作進行・男性)という声も寄せられており、作り手側としてスケジュール&人手も無い中で最高の作品を作るために、時には大変な道筋を選ぶ姿に同業者として熱いものを感じとっていた。アニメーション業界が舞台ながらも、試写会では“好き”を貫こうと奮闘する瞳たちの姿に共感し、思わず熱い涙を浮かべる人が続出し、胸熱度99.9%、満足度97.3%、オススメ度100%(*3/25実施:スニークプレビュー試写会調べ)をたたき出しており、どんな業種の働く大人たちにも刺さること必至だ。『ハケンアニメ!』は5月20日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月18日吉岡里帆と中村倫也がアニメーション監督を演じるお仕事ムービー『ハケンアニメ!』より、人気創作集団CLAMPとのコラボビジュアルが公開された。アニメシリーズも人気の「カードキャプターさくら」シリーズや、「魔法騎士レイアース」「ちょびっツ」などで知られ、現在公開中の「XXXHOLiC」実写化映画『ホリック xxxHOLiC』も話題のCLAMP。原作小説「ハケンアニメ!」に続き、映画化公開に先駆けて発売中のスピンオフ作品集「レジェンドアニメ!」でも表紙イラストを手掛けているCLAMP。今回のビジュアルでは、小説発表時に描き下ろした、主要登場人物や劇中アニメに登場するキャラクターたちの挿絵と、実写キャスト陣をコラージュさせた。また、数量限定の入場者プレゼント情報も明らかに。公開1週目の5月20日(金)からは、先日発表された漫画家・窪之内英策描き下ろしの斎藤瞳(吉岡里帆)イラストポストカード。公開2週目の5月27日(金)からは、CLAMPコラボビジュアルのポストカードを配布する。いずれも、各週先着20万枚限定となっており、なくなり次第配布終了のレアアイテムだ。『ハケンアニメ!』は5月20日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月16日辻村深月さんによる原作小説『ハケンアニメ!』が、ついに実写映画化。ここでは、大手スタジオ・トウケイ動画、シリーズアニメの監督に抜擢された新人・斎藤瞳を演じる吉岡里帆さんと、デビュー作『光のヨスガ』が驚異的なヒットとなった伝説のアニメ監督・王子千晴を演じる中村倫也さんの対談をお届け!――昨年の劇団新感線の舞台『狐晴明九尾狩』でも共演していたおふたりですが、じつはこの映画の撮影が初対面だったとか。中村倫也:初めて会ったとき、ものすごい壁を感じましたよ。まあ、初対面なのにイエーイってノリでいっちゃったせいもあるけど。吉岡里帆:びっくりして、めちゃくちゃ警戒しちゃいました(笑)。中村:あそこで、デリカシーがないやつだと思われたみたいで…。吉岡:デリカシーがないとは思ってないですけどね。中村:でも、女性の危機察知能力でアラート鳴ってたでしょ?吉岡:完全にアラートは鳴ってました。まさかこんなに面白い方だとは思ってなかったので。単純に…セクシーすぎて怖いみたいなことってあるじゃないですか。中村:何言ってんだ?絶対に今、思ってないこと言ったでしょ。――中村さんは吉岡さんにどういう印象を持たれたんですか?中村:真面目で一生懸命頑張る子。吉岡:その通りです(笑)。中村:あと“どんぎつね”。吉岡:それも間違いじゃないです。――映画と舞台を経て、お互いの印象は変わりました?吉岡:変わりました。面白い方だなって。どこまでがふざけていて、どこまでが真面目なのか、境界線がわからないんですけど。あと単純に、舞台のときの座長っぷりが本当に素晴らしかったんです。冗談めかしているけれど、じつは一番真面目な方なんじゃないかと。中村:(おどけて)そうなんだよね。根が真面目なんだよね~。吉岡:(笑)。でも本当にとても気配りされるというか、カンパニー全体が楽しくやれるように皆さんに接していらして、そういう現場の向き合い方がとてもいいなあと。中村:俺の場合、里帆ちゃんに当初抱いたイメージはその通りだけど、ちょっと天然な面もあるんだなってのが見えてきたというか。真面目すぎるから全部を抱え込もうとするんだけど、それが追いつかなくなったときの里帆ちゃんの開き直りが結構好き(笑)。吉岡:いろいろ見せたくないところも、目撃されちゃっていますから…。中村:それを俺は横から見て、ニコニコしてました。――たとえばどんな場面でですか。吉岡:たぶん、新感線の稽古場でのことですよね。いのうえ(ひでのり)さんの演出があまりに緻密で、繰り返し同じ場面を稽古するので、どっかでパーンって頭がスパークしちゃったんです。中村:そのときの里帆ちゃんて、すごいわかりやすく、プレーヤーでいうところのチャプター飛ばしボタンを押してる状態になるんですよ。今、心の中で連打してるなって思いながら見てた(笑)。吉岡:めちゃめちゃ恥ずかしくて嫌なんですけど、それ(笑)。中村:でも、そういう無意識の状態が面白いんだよね。舞台でご一緒したときは、何かその魅力をうまいこと板の上に出せたらいいなって考えてましたね。――今お話を聞いていても、おふたりとも役柄と似ているな、と。吉岡:瞳って、感情を溜め込んで溜め込んで、周りの人たちからの刺激があって初めて爆発させるみたいなキャラクターかなと思うんですけど、そこは似ているかもしれません。ひとりでやっているときは冷静で理想が高くて…。でも、モノづくりってそんな簡単なものじゃなく、王子とか行城(理)にいろいろ言われて瞳が感情を出す場面とか、めちゃめちゃ自然にお芝居できました。中村さんと初対面のときに警戒心を感じたのは、何か一種の…劇中で瞳が王子に抱く強い憧れの気持ちからくる畏怖みたいなものだったのかなと。そういう存在と対峙したときに、瞳の本質的なものがバーンって出てきた。それは中村さんとだったから出てきたんだと思います。――まさにおふたりが直接対峙するシーンがそんな感じでした。吉岡:そうなんです!中村:あのシーン、めちゃくちゃいいシーンになってたよね。吉岡:王子がわざと瞳を挑発するような態度をとるんですけど、その表情とかを見ていたらクッソーみたいな気持ちになりましたもん。中村さんと一緒だと、そういうのしょっちゅうです。中村:それは普段ってこと?吉岡:普段もです!なんか私がムキーッてなるような言い方してくることありません?中村:(大爆笑)吉岡:私が悔しがるポイントがわかりすぎてて…。――戦略ですか?中村:いやいや自分ではわかんないです。芝居は全部わざとですが。吉岡:あれは天然だと思います。天然じゃなかったら…ちょっともう、勘弁してください(笑)。中村:でも王子と瞳のシーン、里帆ちゃん、泣いてましたよね。吉岡:泣く気は全然なかったんですけど、幼い頃からシビアな現実を突きつけられて育ってきた瞳は、大人になって王子の作品に出合って、救われたっていう想いがあるんですよね。そういうバックボーンを背負った瞳として、あれを作った人が目の前にいるって考えたら、震えが止まらなくなって…。中村:フフフ…(笑)。吉岡:中村さんって、人柄もだし、不思議な魅力というか引力があるんですよね。その中村さんが王子を演じたからこそ、瞳が我慢して抑えてきたものの蓋が開いたのかな、みたいな感覚がありました。中村:あのシーンをやってるときは、自分はそこまで具体的にわかってなくて。予感はあったんだけど、出来上がったものを見て、このシーン、想像を超えてきたなと思った。王子も瞳も、自分の内側からのプレッシャーと外からかけられる圧力と、いろんな負荷を感じながらあの場にいるんだよね。そんな中で瞳が、抱えていたものを吐き出してアウトオブコントロールになってく様を前にして、それまでカリスマ然としていた王子のいろんなものがほぐれて、彼自身もアウトオブコントロールになっていく。互いが互いに影響されて起こった反応だから、予想できないシーンになっていて、なんかお芝居を超えて、そこにちゃんと生きてる人間がいるなって思えて、すごくいいシーンだなと。吉岡:ですね。中村:ただ王子も瞳も、もう少し社会性は身につけた方がいい。吉岡:私も、もうちょっとうまく立ち回ろうよ、って思ってました(笑)。中村:でも、監督の吉野さんもわりとそういう人だし、世の監督っていう人はああなのかもしれない。吉岡:吉野さん、不器用ですもんね。瞳は、かなり吉野さんエッセンスが強めなので、もうこれは吉野さんそのものだ、って思っていました(笑)。中村:そうそうそう。吉野さんが思うクリエイター像って、たぶんああいう感じなんだろうね。映画『ハケンアニメ!』新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、天才監督・王子千晴を中村倫也、王子に振り回されるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が演じる。この2組、覇権を取るのはどっち!?監督/吉野耕平脚本/政池洋佑出演/吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか5月20日より全国公開。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会よしおか・りほ1993年1月15日生まれ、京都府出身。現在、出演する蜷川実花監督の映画『ホリックxxxHOLiC』が公開中。7月にはパルコ劇場にて、初の単独主演を務める舞台『スルメが丘は花の匂い』も控えている。ドレス¥59,400パンツ¥61,600(共にMM6 Maison Margiela/マルジェラ ジャパン クライアントサービス TEL:0800・000・0261)なかむら・ともや1986年12月24日生まれ、東京都出身。2014年の舞台『ヒストリーボーイズ』で読売演劇大賞優秀男優賞受賞。10月には、主演ミュージカル『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』が控えている。シャツ¥66,000(ラキネス/アルファ PR TEL:03・5413・3546)中に着たシャツ¥34,100(アンデコレイテッド/アンデコレイテッド TEL:03・3794・4037)パンツ¥28,600(デザインワークス/デザインワークス 銀座 TEL:03・3573・6210)シューズ¥39,600(フット・ザ・コーチャー/ギャラリー・オブ・オーセンティック TEL:03・5808・7515)ソックスはスタイリスト私物※『anan』2022年5月18日号より。写真・MELON(TRON)スタイリスト・Maki Maruko(吉岡さん)小林 新(UM/中村さん)ヘア&メイク・北原 果(KiKi. inc/吉岡さん)Emiy(中村さん)文・望月リサ(by anan編集部)
2022年05月15日アニメーション業界を舞台にしたお仕事映画『ハケンアニメ!』より、漫画家・窪之内英策が吉岡里帆演じる主人公・瞳を描き下ろしたコラボビジュアルが公開された。吉岡さんが演じる瞳は、一世一代の大チャンスを掴んだ新人アニメ監督。イラストは、瞳が真剣な表情で制作に打ち込んでいる姿が描かれ、トレードマークともいえる眼鏡やポニーテール、タブレットに絵コンテを描く際に使う愛用のペンなど、“アニメ監督・斎藤瞳”らしさが細部まで表現されている。このイラストを手掛けたのは、「ツルモク独身寮」「ワタナベ」「ショコラ」や、日清カップヌードルのCM「HUNGRY DAYS」のキャラクターデザインで知られる窪之内さん。本作では、瞳が手掛ける劇中アニメ「サウンドバック 奏の石」のキャラクター原案を務めている。今回のビジュアルについて「大変嬉しく思っております」と喜んだ吉岡さんは、「タッチが柔らかく温かみがあり、斎藤瞳の内なる闘志も感じられるイラストで、初めて見た時は嬉しくて飛び跳ねたくなるような気持ちになりました!色味や細やかな毛の流れ、上着のクタッと感など、好きなポイントが本当にたくさんあります。まさかこんなご褒美が待っているとは!」とコメント。窪之内さんは「以前から吉岡里帆さんの横顔は美しいなと感じていたので、描く機会をいただけて嬉しかったです」と言い、「普段の煌びやかな吉岡さんとは違う、劇中で演じる『斎藤瞳』の静かな剥き出しの情熱をその横顔にしたためました」と思いを語っている。なお、本ビジュアルは『ハケンアニメ!』一部上映劇場にも掲出中だ。『ハケンアニメ!』は5月20日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月13日5月20日(金)より公開となる『ハケンアニメ!』より、新人アニメ監督・斎藤瞳を演じた吉岡里帆と、劇中アニメのキャラクター原案も手掛ける人気漫画家・窪之内英策が描き下ろしたイラストの瞳との2ショット写真が公開された。本作は、直木賞&本屋大賞受賞作家辻村深月の大人気小説を映画化。世界中が注目する日本のアニメ業界を舞台に、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく奮闘する者たちの姿を描いた、“胸熱”お仕事ムービーだ。一世一代の大チャンスを掴んだ新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女のライバルとなる天才ワガママ監督・王子千晴を中村倫也、瞳を振り回す掴みどころのない超クセ者プロデューサー・行城理を柄本佑、王子の才能に人生を懸ける作品命のプロデューサー・有科香屋子に尾野真千子と、実力派俳優陣が集結している。監督は、『水曜日が消えた』の吉野耕平。さらに劇中アニメの制作には、『攻殻機動隊』シリーズなどで知られるProduction I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクションやトップクリエイター陣が参加し、老舗アニメ制作会社・東映アニメーションが監修を手がけている。このたび、漫画「ツルモク独身寮」「ワタナベ」「ショコラ」や、日清カップヌードルのテレビCM「HUNGRY DAYS」のキャラクターデザインで知られる人気漫画家・窪之内とのコラボイラストが公開。窪之内は本作で瞳が手がける劇中アニメ『サウンドバック 奏の石』のキャラクター原案を務めている。公開されたのは、、瞳(吉岡)が真剣な表情でアニメ制作に打ち込んでいる姿。瞳のトレードマークともいえる眼鏡やポニーテール、タブレットに絵コンテを描く時に使う愛用のペンなど、「アニメ監督・斎藤瞳」らしさが細部まで、窪之内ならではの手描きのぬくもり溢れる繊細なタッチで表現されている。ビジュアルを手掛けた窪之内は、「普段の煌びやかな吉岡さんとは違う、劇中で演じる『斎藤瞳』の静かな剥き出しの情熱をその横顔にしたためました。」と熱い想いをコメントした。吉岡は今回の描き下ろしイラストビジュアルについて、「タッチが柔らかく温かみがあり、斎藤瞳の内なる闘志も感じられるイラストで、初めて見た時は嬉しくて飛び跳ねたくなるような気持ちになりました!」と喜びを語った。<コメント全文>吉岡里帆(斎藤瞳 役)本編に登場するアニメ“サウンドバック”のキャラクター原案も担当されている窪之内先生に、こうして自分が演じたキャラクターを描いていただけた事、大変嬉しく思っております。タッチが柔らかく温かみがあり、斎藤瞳の内なる闘志も感じられるイラストで、初めて見た時は嬉しくて飛び跳ねたくなるような気持ちになりました!色味や細やかな毛の流れ、上着のクタッと感など、好きなポイントが本当にたくさんあります。まさかこんなご褒美が待っているとは!窪之内先生、ありがとうございます。窪之内英策以前から吉岡里帆さんの横顔は美しいなと感じていたので、描く機会をいただけて嬉しかったです。とはいえ、ラフから何度もやり直してようやく導き出した絵。普段の煌びやかな吉岡さんとは違う、劇中で演じる『斎藤瞳』の静かな剥き出しの情熱をその横顔にしたためました。『ハケンアニメ!』5月20日(金)より公開
2022年05月13日直木賞作家・辻村深月の人気小説を原作に、アニメ制作に携わる人々のドラマを描き出す映画『ハケンアニメ!』の試写会が5月8日(日)に都内で開催。エッセイストの犬山紙子が上映後のトークイベントに登壇した。映画ライターのSYOをMCに迎えて行なわれたこちらのトークイベント。犬山さんは、辻村さんによる原作小説も愛読していたということで「辻村先生にしか描けない、解像度の高い、フィクションを愛する者の叫びをどう描くんだろう? というのが最初、この映画で気になる点でした」と原作を愛するがゆえの映画鑑賞前の気持ちを明かしたが、実際に完成した映画を観て「最っ高でした!」と手放しで絶賛する。特に中村倫也が演じる“天才監督”王子がアニメイベントで自身も含めたアニメを愛する“オタク”への思いをまくし立てるシーンに触れ「あのシーンこそ、辻村先生の叫びなんじゃないかと。私も二次元を愛する人間として、金言のように受け取りました。中村さんの愛のこもった、魂のこもった演技で、セリフじゃなく『あ、本当に愛してる人が語ってる言葉だ!』と伝わってきました。私も『幽 遊 白書』の飛影だったり、『テニプリ(『テニスの王子様』)』の跡部様が心のよりどころの学生時代を送ったので、その私を不幸だったなんて言わせないと代弁してくれました」と感謝の思いを口にする。犬山さんが学生だった頃は“オタク”という言葉には現在よりもネガティブなイメージが色濃くあり、二次元やフィクションを愛するということに対し「生産性のない趣味」「現実がイヤだから、そういうものにハマるんでしょ?」などと偏見に満ちた心ない言葉を掛けられることも多かったという。「『二次元のキャラクターが好きなんて、実際に恋愛したら治るよ』と病気のように言われることもありましたが、そういう気持ちを作る側の立場からすくってくれる言葉でした」と熱く語る。映画の中では傍から見ればキラキラと輝いて見えるクリエイターたちの裏での苦労、“生みの苦しみ”もしっかりと描かれており、犬山さんも心打たれた様子。「『ゼロから(作品を)生み出すプレッシャーと言ったら…かじりついて書くしかないんだよ』というセリフも、辻村さんが小説を書くにあたって思っていることなんだろうなと。私も最近、気づいたんですが、原稿を書いていて行き詰ると、指毛をむしっているんです(苦笑)。裏側って見せられるようなもんじゃないんですよね。そこがしっかりと描かれていましたね」とうなずく。これまで数多くの漫画やアニメに救われてきたという犬山さん。「私の場合、好きな作品ができると、心にそれ専用の“部屋”ができるんです。小6で飛影に恋して『幽 遊 白書』の部屋ができたんですが、新しく別の作品を好きになっても、その部屋がなくなるわけではなく、永久に部屋が増え続けて、それらの部屋が集合体として私の中で聖域のような場所として作用するんです。『幽 遊 白書』が好きで、次に『テニプリ』が好きになって、『ハイキュー!!』、『ワールドトリガー』が好きになって、最近ではソシャゲなんですけど『魔法使いの約束』という作品がシナリオがすごくよくて…!どの部屋も私のよりどころとして存在していて、王子監督が話したように、もちろん現実逃避の側面もあるかもしれませんが、今を生きるために『あ、いまちょっとしんどい』とか『いま、あの作品の力を借りなきゃ』という時に、ドアをノックして、そこで少し休んで力をもらって、また出てくるみたいな“無敵の味方”のような存在なんです」と明かす。「好きを、つらぬけ。」というのは本作のキャッチコピーだが、まさに自身の中の「好き」を貫き続けた結果として“いま”があるとも。エッセイスト、漫画家として活躍するが「いま、ここでこうやってお話をさせてもらえていること自体、『好き』を貫いた先にあったことだと思います」と語り、子どもの頃から好きだったという「ちびまる子ちゃん」やその作者であるさくらももこのエッセイを読んだり、アニメ『耳をすませば』を見て、主人公・雫に対し「これは私のことでは?」と自らを重ねながら「学生時代から何かを描きたいという思いはずっと持っていた」とふり返る。「最初は編集者として雑誌を作ってたんですが、母の介護に回らなくちゃいけなくなって、でも家で介護しながらでも、何かを書くことができるんじゃないか?と夢は捨てなかったので、やはり『好き』という原動力に助けられてきたという思いはありますね」と語った。監督、アニメーター、プロデューサー、聖地巡礼を盛り上げようとする公務員など、アニメに携わる“仕事人”たちの姿を余すところなく描く本作。「監督だけでなく、スタッフみんなでアニメを作り上げてるんだということが伝わってくる。それって本当に尊い。全員が主役として、誇りをもって仕事をやっている“お仕事映画”であり、どの人にフォーカスを当ててもカッコいい!」と映画がひとりひとりの登場人物を丁寧に描いている点にも称賛を送る。そんな、数多くの魅力的な登場人物たちの中で、犬山さんが特に「グッと来たし、共感ポイントも多かった」というのが、尾野真千子が演じた、王子監督を支えるプロデューサーの香屋子。特に香屋子と吉岡里帆が演じる瞳がジムで顔を合わせ、一緒に銭湯に浸かるシーンに言及。「ライバルなんだけど、2人ともそこで力を得て、現場に戻っていくあの感じ――女性の描き方にシスターフッドをしっかりと感じました。(香屋子の)アニメ好きで一本、真っ直ぐな感じも好きです」と語る。映画を観終えたばかりの観客に向けての「もう一度、本作を見る際の注目ポイント」を尋ねると、犬山さんは「王子監督が瞳に対してもちゃんとリスペクトを持っているということ。ライバルとはいえ、面白いものを作る人へのリスペクトが互いにあって、それは香屋子と瞳もそうで、その描き方が美しいです」と語る。さらに、先述のアニメイベントのシーンに再び言及し「辻村先生が魂を込めて書かれたセリフを王子や瞳がドッと吐露するところに役者さんの魂も乗っています。原作の良さと映画の良さが見事に掛け算されている、後世に残る名シーンになっている。フィクション好きとして、私のように二次元のキャラクターを愛し、フィクションに救われた人間にとって、その気持ちをすくってくれるようなシーン。そのうち、DVD化されたら、しんどい時に見たいです。『ハケンアニメ!』の“部屋”ができました」と熱い思いを語ってくれた。『ハケンアニメ!』は5月20日(金)より公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月08日吉岡里帆や中村倫也が監督役を演じる、アニメーション業界を描く映画『ハケンアニメ!』が5月20日(金)より公開。企画の立ち上げから7年もの年月をかけて完成したという本作を手掛けた監督・吉野耕平とはどんな人物なのか?本作を手掛けることになった経緯や本作に込めた熱い思いが明らかになった。大ヒット作『君の名は。』ではCGクリエイターとして参加し、中村さんが主演した『水曜日が消えた』で長編監督デビューを果たした吉野監督。元々、大のアニメ好きだそうで「僕の世代のクリエイターでアニメから影響を受けていない人はいないんじゃないか」と話す。学生時代には、宮崎駿監督の絵コンテ集を読んでコンテを描いてみたり、アニメにインスパイアされた映像表現を実写でどう撮ろうかと試行錯誤してきたという。今回、現在「Netflix」にて配信中の吉野監督の中編『エンドローラーズ』を鑑賞した本作のプロデューサー陣が、吉野監督ならではの人間を描く力とCGを駆使した映像表現との組み合わせに親和性を感じ、本作の監督として白羽の矢を立てたそうで、オファーを受けた吉野監督は、「もともと原作の小説は読んでいて、自分でも企画書を準備していた作品だったんです」と奇しくも同タイミングでこの映画化を構想していたという。「突然オファーをいただいたのでびっくりしましたし、嬉しかった反面、心のどこかで疑ってもいました。そんなに上手くいかへんやろう、と(笑)」と運命的な巡りあわせだったようだ。そんな吉野監督は、「見てる人に魔法をかける作品を作りたい」という熱い思いで奔走する主人公・瞳(吉岡さん)に、実体験で芽生えた自身の思いを反映させた。『水曜日が消えた』では、「監督といっても別に偉いわけではなく、思うようにいかないことが山ほどあったりイライラしたりという感覚を生々しく覚えている」と明かし、「それは一生に一度、デビュー作でしか味わえないものなので、どうせなら傷が新しいうちに伝えたかった。新人と呼ばれる立場に近ければ近いほど、こんなはずじゃなかった、自分はもっとできるはずなのにと苦しめられる苛立ちは、どの業界でも当てはまると思うんです」と過去の自分や当時の感情が瞳というキャラクターに投影され、リアリティをもたらしている。吉岡さんは、吉野監督の第一印象を「撮影現場に入る前はすごく口数が少なくて、あんまりこうしてくださいというのも言われたりしなかったので、結構ポーンと任されちゃうのかなという、一種の緊張感みたいなのがあった」とふり返りつつ、「(吉野監督は)現場に入ると、音の高低とか気持ちの強さ、弱さとか、こうあって欲しいというキャラクター像がすごく明確にある人。監督の中にしっかりあるから、そこに近づこうと自然と思いました」と、こだわりの強さやビジョンの明確さに感銘を受けたと語る。一方、前作で現場を共にした中村さんは、早々に監督と色々なイメージを共有することができたそう。中村さんは、吉野監督の“発想力”が凄いと言い、さらに「(吉野監督は)あまり見たことない絵を作りますし、物とかの動きとか、光とか、すごく引き込まれるものを撮るのが上手い」とその手腕を絶賛している。『ハケンアニメ!』は5月20日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月07日辻村深月の小説を映画化した、アニメーション業界が舞台のお仕事ムービー『ハケンアニメ!』。この度、本作の新予告<アニメは世界を変える編>が、6月30日(木)までの期間限定で公開された。本作は、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく、奮闘する者たちの姿を描く物語。同職業の人々のみならず、日々を懸命に生きる誰しもが共感できるストーリーとなっている。今回公開された映像は、アニメーション作りに愛と情熱を注ぐ仕事人たちの思いを体現。その素晴らしさを物語るように、「一休さん」「おジャ魔女どれみ」「ふたりはプリキュア」など、名作が次々と映し出される。そして「誰かの胸に刺さってくれればいい」という一心で作り続ける瞳(吉岡里帆)、「納得できないものを世に出したらおしまいなんだよ」と産みの苦しみと戦う天才監督・王子(中村倫也)、「一つの後悔もない作品を届けたいんです」と頭を下げるチーフプロデューサー・香屋子(尾野真千子)、「リアル以外の場所も豊かにするのが、私たちの役目ですから」と筆を動かすアニメーターの和奈(小野花梨)など、それぞれに信念とプライドを持ってアニメーション作りに挑み続けるプロフェッショナルたちの姿にグッとくる映像となっている。『ハケンアニメ!』は5月20日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月02日直木賞&本屋大賞受賞作家辻村深月の大人気小説を映画化した『ハケンアニメ!』の新予告が公開された。世界中が注目する日本のアニメ業界を舞台に、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく奮闘する者たちの姿を描いた、“胸熱”お仕事ムービー 『ハケンアニメ!』。一世一代の大チャンスを掴んだ新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女のライバルとなる天才ワガママ監督・王子千晴を中村倫也、瞳を振り回す掴みどころのない超クセ者プロデューサー・行城理を柄本佑、王子の才能に人生を懸ける作品命のプロデューサー・有科香屋子に尾野真千子と、実力派俳優陣が集結している。監督は、『水曜日が消えた』の吉野耕平。さらに劇中アニメの制作には、『攻殻機動隊』シリーズなどで知られるProduction I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクションやトップクリエイター陣が参加し、老舗アニメ制作会社・東映アニメーションが監修を手がけている。一足先に行われた試写会では、“好き”を貫こうと奮闘する瞳たちの姿に共感し、思わず熱い涙を浮かべる人が続出。胸熱度99.9%、満足度97.3%、オススメ度100%(3月25日実施:スニークプレビュー試写会調べ)という驚異の数値をたたき出し、SNS上でも「新たな傑作お仕事ムービーの誕生」「アニメにかける情熱や鬼気迫る死闘に圧倒された」「ものづくりの本気が詰まっていて見応え満載」「今年ベスト候補!」と興奮の声が続々と上がっている。いよいよ今月の劇場公開に向け、本作が描くアニメ作りに愛と情熱を注ぐ “仕事人”たちの想いを体現した新予告〈アニメは世界を変える編〉が到着した。かつて王子監督の作品に魅了され、「アニメは魔法を超える力を与えることができる」ことを知り、「誰かの力になるアニメを作るため」にアニメ監督の道を歩んできた瞳。観る人の心に生き続け、世代を超えて、今へと繋がっていく。アニメの素晴らしさ物語るように映し出されるのは、『白蛇伝』(1958 / 監督・脚本:藪下泰司)、『わんぱく王子の大蛇退治』(1963 / 監督:芹川有吾 / 脚本:池田一朗、飯島敬)、『長靴をはいた猫』(1969 / 監督:矢吹公郎 / 脚本:井上ひさし、山元護久)、『太陽の王子ホルスの大冒険』(1968 / 監督:高畑勲 / 脚本:深沢一夫)、『一休さん(第一話)』(1975 / 監督:今沢哲男、矢吹公郎 / 脚本:辻真先)、『おジャ魔女どれみ(第一話)』(1999 / 監督:佐藤順一 / 脚本:栗山緑)、『ふたりはプリキュア(第一話)』(2004 / 監督:伊藤尚往 / 脚本:川崎良)と新旧の名作アニメの数々。東映動画から東映アニメーションと、脈々と受け継がれる実在の名作とのコラボレーションにより、アニメがもたらす奇跡を体現した、まさに本作ならではのスペシャル映像に仕上がっている。本映像には、アニメ監督やプロデューサー、制作現場のクリエイターや声優など、豪華キャスト演じる、アニメ作りを支えるさまざまな職種の人々が登場。「誰かの胸に刺さってくれればいい」という一心でアニメを作り続ける新人監督・瞳、「納得できないものを世に出したらおしまいなんだよ」と産みの苦しみと戦う天才監督・王子、「一つの後悔もない作品を届けたいんです」と頭を下げるチーフプロデューサー・香屋子、「リアル以外の場所も豊かにするのが、私たちの役目ですから」と筆を動かすアニメーターの和奈(小野花梨)、「私たちは負けない、絶対に!」と自らの感情をセリフに込めるアイドル的人気声優・葵(高野麻里佳)。本物さながらの臨場感溢れる制作現場を舞台に、立場も経験も違えど、それぞれに信念とプライドを持ってアニメ作りに挑み続けるプロフェッショナルたち。彼らの心情とリンクしながら次第に完成へと近づいていく、ハイクオリティな2本の劇中アニメ『サウンドバック 奏の石』と『運命戦線リデルライト』も必見だ。「届けよう」とする人々の熱い想いによって作り出されるアニメの絶大な力、何より自分自身の“好き”なものに対して、妥協せず真っ直ぐに向き合う彼らの姿には、日々を懸命に生きる誰しもが共感すること間違いなし。「ハケン(覇権)」の称号をかけたバトルの裏に待ち受ける、胸熱すぎるドラマに期待が高まる。《あなたの心に残るベストアニメ投稿キャンペーン》「アニメは世界を変える。」そんなメッセージを含んだ本作ならではの投稿キャンペーンとして、4月28日から「あなたの心に残るベストアニメ投稿キャンペーン」の募集が開始。開始するや否や、数々の名作アニメの名前が投稿され、現在投稿数はなんと1,254件(※5月1日時点)。アニメによって多くの人がその人生に影響を受けたことがわかる。また、本作の感想投稿キャンペーンでは4月14日の完成披露上映会以降、既に試写会にて本作を鑑賞した感想も次々と集まり続け、現在集まった感想は1,081件(※5月1日時点)。アニメ業界や映像業界、メディアに働く人のみならず、日々を懸命に生きる誰しもが、共感できることが裏付けされている。感想&ベストアニメ投稿キャンペーン: 『ハケンアニメ!』5月20日(金)より公開
2022年05月02日アニメーション業界を舞台に、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく奮闘するクリエイターたちの姿を描いたお仕事ムービー『ハケンアニメ!』の完成披露試写会が4月14日(木)、都内で行われた。完成披露試写会には主演の吉岡里帆をはじめ、共演する中村倫也、尾野真千子、吉野耕平監督、原作者の辻村深月が出席。地方公務員からアニメ業界に飛び込んだ新人映画監督の斎藤瞳(吉岡さん)と、瞳の憧れである業界のスター監督・王子千晴(中村さん)が“ハケン”をめぐって、火花を散らす本作の魅力をアピールした。開口一番「シンプルに自信作です!好きなものがあれば、どんな状況でも頑張れるという思いが詰まった作品。挫折や悩みの先にある希望が伝わり、皆さんの心にどうか刺さりますように」と自信を示した吉岡さん。理想を目指し、まい進するヒロイン像に「私も心が折れそうな瞬間や、思い悩むこともあるんですが、この作品が『もっと自分のことを信じていいんだよ』と、まるで解決方法のように背中を押してくれる。これからの人生の“お守り”」だと本作への共感と熱意を語っていた。中村さんは主演作『水曜日が消えた』に続く吉野監督とのタッグが実現。「あの作品が終わりかけのタイミングで、『次の作品、中村さんにピッタリの役があるので、オファーしてもいいですか?』って。で、いただいた王子がカッコいい役で、うれしかった」と喜びを回想。実は原作者の辻村氏も「クセのある天才監督という設定。内心ではいろいろ思っている役どころで、(配役の)希望を聞かれたとき、『中村倫也さんだとうれしいです』と伝えていた」のだとか。自身の第一希望が実現し、辻村氏は「部屋でひとり『やった!』と喜んだ」と明かしていた。その辻村氏は「開始2分で、吉岡さんであることを忘れて、私が描いた瞳が成長している姿が映っていた。こんな幸せなことあっていいのかなと…」と吉岡さんの演技も絶賛。「自分が書いた物語なのに、先の展開がどうなるんだろうとワクワクしたし、ここは大事にしてほしいという部分をひとつも削らず描いてくださった。完成まで長い道のりだったが、最高の形に仕上げていただいた」と感謝していた。『ハケンアニメ!』は5月20日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年04月14日アニメ制作の舞台裏を描いた映画『ハケンアニメ!』の完成披露試写会が4月14日、都内で行われ、主演の吉岡里帆をはじめ、共演する中村倫也、尾野真千子、吉野耕平監督、原作者の辻村深月が作品をアピールした。最も成功したアニメ作品の称号・覇権(ハケン)をめぐって、地方公務員からアニメ業界に飛び込んだ新人映画監督の斎藤瞳(吉岡)と、瞳の憧れである業界のスター監督・王子千晴(中村)が熾烈なバトルを繰り広げる。劇中アニメの制作には『攻殻機動隊』シリーズなどで知られるProduction I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクションやトップクリエイター陣が参加し、老舗アニメ制作会社・東映アニメーションが監修を手がけている。挨拶に立った吉岡は「シンプルに自信作です。ご覧になる皆さんにも、必ず刺さると思う」と本作に対して絶大な自信。「好きなものがあれば、どんな状況でも頑張れる。そんな愛にあふれた思いを閉じ込めた作品」だといい、「私自身も心が折れそうな瞬間や、悩むこともあるが、この作品が『もっと自分のことを信じていい』と背中を押してくれる。これからの人生の“お守り”になる」と思い入れの深さを示していた。共演した中村と尾野については「ストイックそうで怒ったら怖そうだと思い、めっちゃ緊張した」と明かし、「でもご一緒すると、かなりギャップがありまして(笑)。お二人とも尊敬する先輩ですけど、めっちゃ三枚目で結構驚がくした」と笑顔で振り返っていた。中村は主演作『水曜日が消えた』に続く吉野監督とのタッグで、「あの作品の終わりかけに、『次の作品、中村さんにピッタリな役をオファーしていいですか』って言われて。いただいた王子役がカッコ良くて、うれしかった」と回想。自身が演じた役どころを「仕事に対するスタンスが、スポーツマンシップというか、まっすぐ筋が通っている」と自己分析していた。原作者の辻村氏は「素晴らしい映画。企画の立ち上げから長い道のりだったが、最高の形に仕上げていただき、(原作者として)こんな幸せなことがあっていいのかなと思うほど」と感激しきり。「大事にしてほしい部分を、一つも削らず描いてくださった」と感謝を表していた。取材・文・写真=内田涼『ハケンアニメ!』5月20日(金)全国公開
2022年04月14日アニメーション業界を舞台に、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく奮闘する者たちの姿を描いたお仕事ムービー『ハケンアニメ!』。豪華キャストが集結する本作だが、SNSでは特に中村倫也が演じる監督・王子千晴に期待の声が寄せられている。物語のキーパーソンとなる王子は、吉岡里帆扮する主人公・瞳の最大のライバル。覇権を争う相手だ。いまの瞳と同じ28歳の頃に手掛けた『光のヨスガ』で脚光を浴びたスター監督である王子は、瞳をこの業界へ導くきっかけを作った張本人。久々の新作『運命戦線リデルライト』(通称:リデル)を引っさげ、瞳のデビュー作『サウンドバック 奏の石』(通称:サバク)と同クール、同時間帯を争う。普段は飄々としていて、周囲に軽口を叩いたり、ライバルであるはずの瞳にも気さくに話しかけたりと余裕綽々の王子。しかし、アニメへの強すぎる想いから「納得のいかないものを世に出したらおしまい」という気概とプレッシャーを抱え、人知れず“天才”ならではの葛藤を抱える繊細な一面も併せ持っており、観客は、人間味溢れる内面とのギャップに、思わず惹かれてしまうこと間違いなし。そんな再び表舞台に出ることになった王子だが、その足がかりを作ったのが、プロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)。次第に彼女の姿に心動かされ、王子は信頼を寄せていく。制作を通じて、王子の心情が変わっていく様子も見逃せない。繊細さも兼ね備えた天才アニメ監督という役柄で、新たな魅力を発揮している中村さん。「王子はわがままな子供のようでありながら、実は繊細なところもあり、周りのこともよく見ている。それらをひっくるめて監督という立ち位置にいるので、わざと傍若無人に振舞っている部分もあるのかなと。クリエイターとしては、相手が誰であろうと、面白いものを作る・考える人に対してはリスペクトがある人なんだなと思いました」と語る通り、あえて演じている表の顔と、作品作りのときに見せる別の顔、真剣な眼差しに注目だ。また、1人7役に挑戦した『水曜日が消えた』に続き、中村さんと再タッグを組んだ本作の監督・吉野耕平は、「頼れるバッターのような存在」だったと中村さんについて明かしている。『ハケンアニメ!』は5月20日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年03月21日吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子らが出演する映画『ハケンアニメ!』より、本予告映像が到着。主題歌は「ジェニーハイ」が担当することが分かった。到着した映像では、新人監督・瞳(吉岡さん)が「観てくれた人に魔法をかけられるような作品を作りたい」と真剣に語るシーンからスタート。そして、瞳を振り回すプロデューサー・行城(柄本さん)、スランプ中の天才監督・王子(中村さん)、王子の才能に人生をかける敏腕プロデューサー・香屋子(尾野さん)が、それぞれのアニメーション制作への思いをぶつける中、瞳が王子に覇権宣言。さらに、瞳がスタッフたちとぶつかり合いながらも一心不乱に作り上げていく姿、王子と香屋子の作品作りに対する真摯な思いが、劇中アニメーション映像とシンクロしながら、テンポよく描かれていく。そして、映像でも流れる本作の主題歌が、「ジェニーハイ」による書き下ろし新曲「エクレール」に決定。「ジェニーハイ」は、ドラム:小籔千豊、ベース:くっきー!(野性爆弾)、キーボード:新垣隆、ボーカル:中嶋イッキュウ(tricot)、ギター&プロデュース:川谷絵音(ゲスの極み乙女。/indigola End)から成るバンド。ジェニーハイ「エクレール」は、アニメーション業界の個性豊かでエネルギッシュなイメージが伝わる唯一無二の楽曲に仕上がっており、瞳の好物として劇中に登場するエクレアをモチーフにしたタイトルだ。また、人気アイドル声優・群野葵役で出演する高野麻里佳が、今回ゲスト・ヴォーカルとして参加しているほか、劇中アニメーションの声優を務めた梶裕貴、潘めぐみ、高橋李依、花澤香菜といった豪華声優陣も掛け声で参加している。楽曲を聴いた吉岡さんは「思わず"可愛い"と声が出ました」と印象を明かし、「エクレアは本編でも登場し、心情を伝える大切なアイテムです。映画に出てくるエクレアを思い出しながら聴くとまた違った良さを感じられるかと思います」とコメント。作詞・作曲/編曲を手掛けた川谷さんは「これまでにないポップなジェニーハイが誕生しました」と自信を見せ、参加した高野さんは「クリエイターなら誰もがグッときてしまう、歌詞にも注目してほしいです!」とアピールしている。また、瞳や王子をはじめ、アニメーター、脚本家、編集、声優、宣伝マンなど、アニメーション業界を盛り上げる登場人物たちも写し出された本ポスターも完成した。『ハケンアニメ!』は5月20日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年03月08日『ハケンアニメ!』のスピンオフ集『レジェンドアニメ!』について、作者の辻村深月さんにお話を聞きました。『ハケンアニメ』から『レジェンドアニメ』へ、出会った人たちが一緒に大きくしてくれた。「『ハケンアニメ!』を書き終えてから、スピンオフをいつかまた書きたいと言い続けていました。小説のご依頼が来るたびに、その機会を探っていたのですが、そうやって書いてきたものが形になって、しかも映画の公開のタイミングで送り出すことができて、とても嬉しいです」アニメ業界で働く人々の奮闘を描きanan連載時から反響を呼んだ辻村深月さんの『ハケンアニメ!』。連載スタートから10年の時を経て、実写映画版が公開されるのに先立ち、スピンオフ集『レジェンドアニメ!』がリリース。天才監督と称される王子千晴、デキるプロデューサーの有科香屋子、新人監督・斎藤瞳などハケン(覇権)を取るためにしのぎを削った面々の、ときに意外で、ときに納得しかない過去や未来のエピソードを楽しめる。「最初に書いた『九年前のクリスマス』と『夜の底の太陽』は、『ハケンアニメ!』を一緒に送り出してくれたananチームの人たちが、『こういう話が読みたい!』と言ってくれたのがきっかけになっています。私にはない発想でしたが、書いてみると『ハケンアニメ!』の裏で起こっていたとしか思えないような話になっていて。いろんな立場の人が集団でクリエイトするところに惹かれ、アニメ作りを小説の題材に選んだのですが、多くの人が関わるからこそ余白の部分がこんなにもあったことを『レジェンドアニメ!』を書きながら実感しました」王子の新人時代を描いた「音と声の冒険」は、彼の恩人であるベテラン音響監督・五條とのやり取りとともに、音響監督というアニメを見る側からは一見イメージしにくい仕事についても掘り下げている。余白から、スピンオフとしてはもちろん、独立した短編としても楽しめるほど豊かな物語を生み出すことができるのは、辻村さんのアニメに対する思いの“深化”もあるからだろう。「『ハケンアニメ!』は、ただただアニメが大好きで書いたのですが、その後、『映画ドラえもん』の脚本をやらせてもらうなど、制作に関わる機会がいくつかありました。そういった現場に行くと、私が小説で書いたことを本当にやってる!と嬉しくなって(笑)。登場人物たちの気持ちに沿って言わせていたセリフのなかにも、あとから知る感情などがいっぱいあって、なかでも音の現場により惹かれたんです。特に音全般を見る音響監督は、直接声を吹き入れたり、作曲をするわけじゃなくても、その仕事にかなり個性が出るし、経験を積まないとできない仕事なのだろうなと思いました。それを五條で描くのであれば、若いときの社会性ゼロな王子も描いてみたいと思ったのですが、私も30代から40代になったことで下の世代を見る目が変わったと思うんですよね。だから前作で五條と王子の関係をもっと書いていたら、こうはなっていなかったかもしれないし、私自身の仕事観が変わったからこそ、今回書けた人たちもたくさんいると感じています」一方、連載終了直後から辻村さんが温めてきたテーマのひとつが、今回書き下ろした「ハケンじゃないアニメ」。その期一番とされる「覇権アニメ」を争うフィールドにはいないものの、誰もが必ず通ってきたような長寿アニメを作る現場の話だ。「これも『ドラえもん』のスタッフのみなさんと会って、次に向けてバトンを渡していく姿を見られたことで、出てきた発想でした。『名探偵コナン』の元企画プロデューサーの諏訪(道彦)さんに取材を受けていただいたことも大きかったですね。『コナン』はこれまで何回も覇権を取っている作品ですし、アニメを長く続けていくことは継承なのだと感じることができました。この10年でアニメを取り巻く状況も変わってきているので、当初は瞳も王子も出てこない次世代の話を書くべきなのかなと思っていました。だけどその傍らで続いてきたものを書くことにこそ、意義を感じたんです」「ハケンじゃないアニメ」に登場するのは、『お江戸のニイ太』という30周年を迎える国民的アニメ。プロデューサーの和山は、『ニイ太』のように安定を求められる制作現場でモチベーションを保つ難しさを感じていた。そんななかOPアニメを担当することになったのが、旬の監督と目される斎藤瞳。しかし和山の過度な期待とは裏腹に、瞳は『ニイ太』をほとんど知らないことが判明。「『ハケンアニメ!』はアニメ愛の話だと、私自身も言ってきたのですが、だからといって愛を言い訳にするのもカッコ悪い。愛情とか自分の思い出などには寄りかからない仕事のしかたを、瞳を通して描いてみたかったんです。愛を押し出して仕事をするやり方ではないけれど、作品やファンに対して敬意を持っている瞳が、長く続いているアニメの現場にゲストとして加わることで、見えてくるものもあると思うのです」辻村さん自身は、愛と敬意の両方を持って仕事をする人であることを窺えるエピソードがもうひとつある。『ハケンアニメ!』は2019年に舞台化されているのだが、舞台オリジナルのキャラクターが『レジェンドアニメ!』に登場しているのだ。「私が描ききれなかったアニメーターの感情の機微などまで、原作という設計図通りに表現してくださっていたので、そのときすでに構想していた短編『次の現場へ』に彼らにも“出演”してもらいたくなって。同じように、今度は映画を通して書きたくなるものが、きっとまた出てくるんでしょうね」『ハケンアニメ!』から『レジェンドアニメ!』へ。チームで進めるアニメ制作に対し、小説の執筆は孤独な作業といえるが、辻村さんが抱いている本作の印象はちょっと違う。「自分が書いた話ではあるんですけど、取材させてもらった人が共に大きくしてくれた話なんですよね。しかも映画になることで、旅の仲間がさらに増えていく感じがあって、その人たちからもらった影響が、また原作に返ってくる。10年前、心細い気持ちで最初の取材をさせてもらったクリエイターの方たちが、今回、劇中アニメの制作に関わってくれているのも感無量です。とても幸運な小説だと思っています」辻村深月『レジェンドアニメ!』いつかの仲間がライバルになり、その逆もしかりのアニメ制作現場。おなじみのキャラクターの別の一面を楽しみつつ、再び熱い思いが湧き上がる。書き下ろしを含む6作品を収録。3月3日発売。マガジンハウス1760円辻村深月『ハケンアニメ!』アニメ業界の舞台裏を描いたお仕事小説。『レジェンドアニメ!』を読んでから再読すると、また発見が!マガジンハウス968円5月20日公開!映画『ハケンアニメ!』も待ちきれません!アニメの力を信じ、チャンスを掴んだ新人監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、崖っぷちに立たされた天才監督・王子千晴を中村倫也、王子の才能に人生を懸けるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が熱演。彼らが作る劇中アニメ『運命戦線リデルライト』と『サウンドバック 奏の石』のプロットを辻村さんが手がけ、制作にはProduction I.Gをはじめ、日本を代表するトップクリエイターが参加。声優陣も豪華!監督/吉野耕平脚本/政池洋佑出演/吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか5月20日より全国公開。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会つじむら・みづき小説家。2004年、「冷たい校舎の時は止まる」でデビュー。’12年『鍵のない夢を見る』で直木賞受賞。’18年『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞。近著に初の本格ホラーミステリー長編『闇祓』。※『anan』2022年3月9日号より。写真・土佐麻理子(辻村さん)中島慶子(本)インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2022年03月07日直木賞作家・辻村深月による人気小説を主演・吉岡里帆をはじめ、中村倫也、柄本佑、尾野真千子といった実力派俳優陣で映画化する『ハケンアニメ!』公開初日が5月20日(金)に決定。併せて、劇中アニメに出演する超豪華声優陣が解禁され、実写パートにも出演していることが分かった。本作の大きな見どころの1つが、劇中でハケン(覇権)を争うハイクオリティなアニメーション。吉岡さん演じる瞳が監督する『サウンドバック奏の石』(以下『サバク』)と、中村さん演じる王子が監督する『運命戦線リデルライト』(以下『リデル』)の2作品だ。すでに、「群野葵」というアイドル的人気声優という役柄で、声優・高野麻里佳が実写映画初出演を発表しているが、そのほか劇中アニメの声優陣にも錚々たるトップ声優が集結。さらに一部の出演者は、実写パートでも“声優役”として出演するなど、アニメ制作現場のリアリティを、一切の妥協なく描いている。『サウンドバック奏の石』『サバク』にて、トワコたちと共にロボット「サウンドバック」に乗って戦う、どこか影のある少年リュウイチに、「進撃の巨人」のエレン・イェーガー役の梶裕貴。同じく彼らの仲間で、熱血漢の少年タカヤ役には、「HUNTER×HUNTER」ゴン=フリークス役などで知られる潘めぐみ。ヒロイン・トワコの妹にしてしっかり者の少女マユに、「スター☆トゥインクルプリキュア」フワ役などの木野日菜。音を吸収してロボットに変形する謎の「奏の石」役に、「ヒプノシスマイク」の神宮寺寂雷役などの速水奨が決定。実力派声優たちによって命を吹き込まれた、王道ジュブナイルロボットアニメに期待が高まる。『サウンドバック奏の石』対する『リデル』では、行方不明の妹を探す主人公の魔法少女・充莉に、「Re:ゼロから始める異世界生活」エミリア役などで知られる高橋李依。1話1歳ずつ年を重ねる「成長するヒロイン」を演じている。ライバルの謎めいた魔法少女・清良には、「PSYCHO-PASSサイコパス」常守朱役などの花澤香菜。『運命戦線リデルライト』充莉に「運命を変える力」を与えるマスコットキャラクターのデルに、「魔法つかいプリキュア!」キュアマジカル役などの堀江由衣。文学好きな魔法少女・詩織に、「銀魂」猿飛あやめ役などの小林ゆう。充莉の親友にして魔法少女仲間の七菜香に、「ドロヘドロ」ニカイドウ役などの近藤玲奈。芸能活動を行う魔法少女・圭に、「東京24区」きなこ役などの兎丸七海。スポーツ万能で天然な魔法少女の悠樹に、「アイカツスターズ!」香澄夜空役などの大橋彩香。“天才監督”王子千晴(中村さん)待望の新作、という設定の斬新な魔法少女アニメを演じる豪華声優陣はさらなる話題を呼びそうだ。『運命戦線リデルライト』また、本作『ハケンアニメ!』のナレーションを担当するのは、「鋼の錬金術師」のエドワード・エルリック役などで知られる朴ろ美。細部にまでこだわり抜かれた声のキャスティングは“必聴”となっている。さらに実写パートには梶さん、潘さん、木野さん、速水さん、高橋さん、小林さん、近藤さん、兎丸さん、大橋さんが声優役として出演する。劇中アニメの声優キャスティングについて、本作で監督を務める吉野耕平は、「決定した声優陣のお名前を伺った時は『まさかこんなことになってしまうとは』と、幸運すぎて怖くなりました」とコメント。人気実力ともに一流の声優陣が集結した『サバク』と『リデル』が、映画の中でどのように映し出されるのか。ますます期待が高まる。劇中アニメ『サウンドバック 奏の石』出演者コメント◆梶裕貴(リュウイチ役)ひとつのアニメーションが完成するまでにどれだけの時間がかかっているか、どれほどのプロフェッショナルが死力を尽くしているか、それが伝わってくる作品です。声優もその一部。辻村深月先生の繊細でありつつエモーショナルな世界観がどのように映像化されるのか、僕自身とても楽しみにしています。参加させていただき、光栄です。◆潘めぐみ(タカヤ役)普段の仕事がカット割りされて撮影されていくので、シーンやカットごとで、自分の動作をつながりとして記憶しておく感覚は新鮮でした。作品一つ、その一秒、一瞬ができるまでに込められた人の想いや時間の中にあるドラマを考えると、そうした方々と共にこの役を演じさせて頂いているんだなと、改めて有難みを感じました。◆木野日菜(マユ役)声優役としての出演に最初はびっくりしましたが、普段お仕事をしている時のように自然体で出演させて頂きました。とても貴重な機会を頂きまして光栄に思います。私も知らなかったような裏側や、監督の葛藤。様々な人が関わり合って、作品を想い合ってひとつの作品が出来上がるんだと改めて強く感じました。是非ご覧下さい!◆速水奨(奏の石役)初めて実写映画に出演させて頂きましたが、いやあ、短いシーンも丁寧に様々なアングルで撮影するんですね。アフレコ現場だと、テスト、本番の二回で録り切りますから、その違いに驚きました。でも、手作り感と、演技の情熱を垣間見ることが出来、本当に幸せでした。劇中アニメ『運命戦線リデルライト』出演者コメント◆高橋李依(充莉役)「運命戦線リデルライト」主人公の充莉役、そして、アフレコスタジオでの撮影にも参加させていただきました! 「リデルライト」は、運命を変えるバイクレースに参加する物語。不思議な世界観を、時に可愛く、時に熱く描いています。劇中劇でありながら、このアニメを追っていきたい!と思っちゃう、覇権アニメのオーラを感じました!大好きなアニメ業界にスポットライトを当てていただけることが、嬉しくて光栄だなぁと思いました。そして、声優という職業の描き方もすごく最先端だったなぁと。今作を見終わった皆様は、どの職種にどんな想いを抱くのか、楽しみです。◆花澤香菜(清良役)原作の大ファンなので、こういう形で作品に関わることができて嬉しいです。アニメ制作の舞台裏で、それぞれの立場の人達が悩みを抱えながらも熱を注いでいき、作品ができあがっていく様子は、アニメのお仕事が好きな私にとってとても刺激になります。お仕事ものとしても楽しめる作品なので、ぜひたくさんの方に観ていただきたいです!◆堀江由衣(デル役)劇中のアニメのキャラクターの声を担当させていただきました。そのアニメは断片的にしか出てこないのですが、とても面白そうで全部見たくなるような作品でした(笑)近しい業界のお話でしたのでとても感情移入して見てしまい、最後はものすごくジーンとしてしまいました。お仕事だけでなく、何かを頑張っている人に共感して頂ける作品なのではないかなと思います。たくさんの方に見て頂けたら嬉しいです。◆小林ゆう(詩織役)大好きな辻村深月先生の作品に、声優として携わらせて頂く事ができて心から感謝しております。恐縮ながら以前『ハケンアニメ!』文庫本の帯を書かせて頂きました。この素晴らしい小説が映画化され、さらに出演までさせて頂けた事を大変光栄に思います。アニメ業界を描いた今作の公開がファンの1人としてとても楽しみです!◆近藤玲奈(七菜香役)劇中に登場するアニメの細かい資料がたくさんあり、実際に放送されるのではないかと錯覚するくらい、本格的な作りに感動しました。日本の誇りであるアニメーションをテーマとした映画に、声優として出演させていただけてとても嬉しかったです。アニメ業界の命を懸けた本気のアニメ作りの現場をぜひご覧ください!◆兎丸七海(圭役)声優として映像作品に出演させていただくのは初めてだったので、お話を頂いた時はすごく嬉しかったです。普段のアフレコ現場とは収録方法が違っており、それがまた面白く、声優役として演じるのも初めての経験だったのでとても楽しかったです!声優やアニメ制作関係者の舞台裏を観られる作品として絶対に楽しめると思いますので、是非劇場でお楽しみください!◆大橋彩香(悠樹役)悠樹役と、実写で声優役としても出演させて頂いて…いつもと全然違う雰囲気でのアフレコシーンはとっても緊張しました!!アニメを制作する上でスタッフの皆様にはたくさんお世話になっていますが、裏側は中々見られないので勉強になりました…!劇中アニメも設定等とても丁寧に作られているので、楽しみにしていて下さい映画『ハケンアニメ!』ナレーションコメント◆朴ろ美本作を通じて「貴方にとって『尊いもの』とは、何ですか?」と、「モノづくり」に携わる人間として、改めて問われた気がしています。この作品が孕む濃厚な熱量に触れ、そっと日常とクロスフェードさせながら世界に没入してご覧ください。『ハケンアニメ!』は5月20日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月、全国にて公開予定©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年02月24日