安蘭けい主演のミュージカル『サンセット大通り』が6月16日、東京・赤坂ACTシアターで日本初演の幕を開けた。本作は『オペラ座の怪人』や『キャッツ』で有名な作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーが、1950年の同名映画をミュージカル化したもので、1995年のトニー賞で作品賞、作詞・作曲賞、主演女優賞など7部門を受賞した大作だ。ミュージカル『サンセット大通り』チケット情報無声映画時代の大女優ノーマ(安蘭けい)は、トーキーの到来とともに忘れ去られ、執事のマックス(鈴木綜馬)と、古びた豪邸で暮らしている。そんなある日、売れない脚本家ジョー(田代万里生)が敷地内に偶然迷い込むと、ノーマ自らが銀幕への復帰を期して書いた『サロメ』のシナリオの推敲を依頼される。やがて、抜き差しならない関係に陥るノーマとジョー。一方でジョーは、映画会社で働く若い女性ベティ(彩吹真央)に惹かれ始める。ノーマ、ジョー、ベティ、マックスそれぞれの思いと思惑が錯綜し、物語は思いもよらぬ方向へと転がっていく。この作品では、ふたつの世界が描かれている。ひとつは時が止まったような夢の世界。もうひとつは、めまぐるしい現実の世界。前者にいるのがノーマだ。安蘭は貫禄の演技の中に、弱さや悲哀、時にはコミカルさも滲ませ、役柄に新たな命を吹き込んだ。彼女に付き従うマックスを演じる鈴木の、情愛に満ちた歌声も忘れ難い。一方、後者の世界を担うのが、彩吹扮するベティら若者たち。貧しくとも希望に胸膨らませて生きる彼らの姿は、瑞々しい音楽や軽快なダンスで表現される。衣裳や照明も、前者を陰影に富む重厚な色合いで、後者を明るくビビッドな色彩で描き分け、対比を浮き彫りにした。舞台中央に盆で回転する階段を設えた装置は一見シンプルながら、角度や光によって表情を鮮やかに変化させ、夢と現実の世界をつないだ。そして、ふたつの世界を行き来するのが、ジョーだ。田代が、成功を求めてさまよう男の焦燥感と欲望を歌うナンバー『Sunset Boulevard』は、激烈な勢いで劇中を駆け巡った。ノーマが映画の撮影所で、若い俳優たちに取り囲まれ賞賛される場面では、乖離していた世界が束の間結びつく。ここでのナンバー『As If We Never Said Goodbye』は煌めくような美しさだ。しかしなんと言っても圧巻は、大女優の生き様が凝縮するラストだろう。安蘭の声には凄みが宿り、鬼気迫る表情は神々しくすらあった。ロイド=ウェバーの雄弁で色彩豊かな楽曲と実力派俳優たちの演技が描き出す、栄華と凋落、欲望と破滅のドラマ。カーテンコールは幾度も続き、久しく待ち望まれていた日本初演が華やかに祝われた。演出は鈴木裕美。公演は同所にて7月1日(日)まで上演。その後7月6日(金)から8日(日)まで大阪・イオン化粧品シアターBRAVA!にて開催する。チケットはいずれも発売中。取材・文:高橋彩子
2012年06月18日「スパリゾートハワイアンズ」を運営する常磐興産は、5月13日の母の日に、「ハワイアンズから感謝をこめて母の日の贈り物~Mahalo~」と題し、「ミニ胡蝶蘭」のプレゼントを行う。「Mahalo(マハロ)」は、ハワイ語で「ありがとう」の意。「スパリゾートハワイアンズ」で例年実施している洋らん展で親交のある黒臼洋蘭園(埼玉県さいたま市)より、復興支援に役立ててほしいと、1,000個の「ミニ胡蝶蘭」が無償提供された。そこで同社では、5月13日の母の日に、お母さん、おばあちゃんへの母の日の贈り物として、来場した子どもと女性を対象に、ミニ胡蝶蘭を先着1,000名に無料でプレゼントすることを決定した。当日は、朝8時半より「スパリゾートハワイアンズ」入場口にて、スパリゾートハワイアンズダンシングチーム(2名)から「ミニ胡蝶蘭」がプレゼントされる。■「ハワイアンズから感謝をこめて母の日の贈り物~Mahalo~」概要 <日時>5月13日(日)8時30分~ <場所>「スパリゾートハワイアンズ」入場口 <人数>子ども、女性を対象に、先着1,000名 ※内容、時間は予告なく変更する場合あり。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月12日未曾有の大震災から1年。現在も続く復興状況の中、“鎮魂と復興協力への新たな思い”を舞台から届ける朗読プロジェクト、朗読『宮沢賢治が伝えること』が発表された。『銀河鉄道の夜』や『風の又三郎』で知られる、詩人で童話作家の宮沢賢治の言葉を、朗読劇として上演する。プロジェクトに賛同したのは総勢38名の“舞台人”。舞台で活躍している俳優、演出家、劇作家らが1公演に3名ずつ、ステージごとに様々な組み合わせで出演する。出演者は蒼井優、麻実れい、伊藤蘭、内山理名、大竹しのぶ、貫地谷しほり、木村佳乃、黒木メイサ、小池栄子、小泉今日子、小林聡美、白石加代子、鈴木杏、鈴木京香、戸田恵子、広末涼子、宮沢りえ、本谷有希子、井上芳雄、浦井健治、江口洋介、風間杜夫、篠井英介、笑福亭鶴瓶、鈴木浩介、高橋克実、段田安則、堤真一、中川晃教、長塚圭史、野村萬斎、平幹二朗、星野源、松尾スズキ、松坂桃李、三谷幸喜、八嶋智人、山本耕史(男女別・50音順)。演出は栗山民也が務める。日本の演劇界を代表する錚々たるメンバーが顔を揃え、宮沢賢治の言葉の力をエネルギーに、舞台から被災地へ思いを届ける。公演は東京・世田谷パブリックシアターにて5月9日(水)から6月3日(日)まで開催。チケットは4月7日(土)より一般発売開始。キャストの組み合わせ・出演日詳細は、シス・カンパニーのホームページ(で追って発表される。なお、公演の収益の一部を東日本の被災地へ義援金として寄付する。
2012年03月13日上下巻合わせて累計340万部を超える妹尾河童のミリオンセラー小説「少年H」が巨匠・降旗康男の手で実写映画化することが決定。さらには本作で水谷豊、伊藤蘭夫妻が“夫婦初共演”を果たすことがこのほど明らかとなった。阪神・淡路大震災の1周期となる1997年1月17日に、神戸復興の思いを込めて出版され、そのユーモラスな文体と魅力的なエピソードで瞬く間にベストセラーとなった「少年H」。異国情緒あふれる神戸を舞台に、戦争という激流の渦に巻き込まれながらも、勇気、信念、愛情を持って生き抜いた名もなき家族の姿が描かれている。物語の主人公「少年H」こと肇少年の父親と母親を演じるのは、芸能界きっての“おしどり夫婦”としても知られる水谷豊と伊藤蘭。意外にも2人は本作が夫婦初共演作となる。発売から15年経ったいまも多くの人に読み継がれている名作の映画化について、水谷さんは「戦前戦後という激動の時代を、主人公ともなる名もなき『家族』が必死に健気に乗り越えていく姿に、時代を越えて心を動かされます」とコメント。さらに、「夫婦共演が実現したのも『少年H』の力にほかなりません。尊敬する降旗監督の下で『少年H』の世界を生きようと思います」と撮影に向けての意気込みを語る。一方、伊藤さんも「これまで想像もできなかった夫婦共演ですが、30年という月日を経て、また共に一つの目標に向かえるということは大きな喜びです」と、長年連れ添ったパートナーとの初共演に感慨深げといった様子。本作のメガホンを取るのは、『鉄道員』『ホタル』など数々の感動作を手がけてきた巨匠、降旗康男監督。今年公開となる高倉健主演作『あなたへ』の次作として取り組む。脚本を担当するのは、『ALWAYS三丁目の夕日』シリーズ前作を手がける古沢良太。降旗監督は「この時代だからこそ、家族で観てほしい映画を目指してまいります」とコメントを寄せている。撮影は5月にスタートし、神戸、千葉、静岡など全国各地での大規模ロケを敢行予定。さらに、空襲で一面焼け野原と化した神戸を再現するためにロケ地は韓国・ハプチョンにまで及ぶという。日本映画界の枠を超えたアジア最大級の撮影体制で製作されるだけに、作品の完成が待ち遠しい。『少年H』は2013年夏、全国東宝系にて公開。■関連作品:少年H 2013年夏、全国東宝系にて公開
2012年03月08日元宝塚歌劇団のトップスターが集まり、宝塚の歌を中心に歌うチャリティコンサートが注目を集めている。鳳蘭、愛華みれ、水夏希、大和悠河、大鳥れい、白羽ゆりの6人が出演する『東日本大震災復興支援メモリアルコンサート~宝塚の歌にのせて~』がそれだ。まずは2月22日((水)、23日(木)に東京・日本青年館でコンサートを行い、その収益をもって同27日(月)に福島・いわきアリオス大ホールで公演(愛華、水、大鳥、白羽が出演)。こちらはゲストに福島県立磐城高等学校合唱部を迎え、被災者を中心に無料で招待した約1700人を前に行われる。宝塚を退団後、現在は女優として活躍する6名が叙情豊かな宝塚の曲を歌い綴る本作。都内でリハーサル中の水と白羽に聞いた。『メモリアルコンサート~宝塚の歌にのせて~』開催情報「このお話をいただいた時、ぜひ!とすぐに参加を決めました」というのは、3公演すべてに出演する水。在団時には1995年の阪神淡路大震災も経験している。「当時は入団2年目で、自分のことで精一杯。それからずっと“なにか出来ることはなかったんだろうか”と自問を繰り返していたので、このコンサートは自身にとっても意味があることなんです」と語る。同じく3公演に出演の白羽は、福島県福島市出身。「両親や親戚も被災したので、将来の光がなかなか見えないという被災者の気持ちは痛いほど感じています」と話す。2人とも震災後は何度も被災地に向かい、ボランティアに従事した。現地の様子を肌で知るからこそ、「宝塚の曲には心の底からの純粋さや前向きさがある。聴いていただくことで、少しでも明るい気持ちになってもらえたら」(水)、「東京のお客様の気持ちを福島にしっかり伝えたい」(白羽)との言葉にも熱がこもる。「震災後は正直、舞台なんてやっていていいんだろうかと悩むこともありました。でも被災地で“忘れられることが一番怖い”という声を聞いて、元気のある人が自分なりのやり方で、継続して支援していくことが大切なんだと気づいたんです」と水。白羽も「考えすぎて何をしたらいいのか分からないというのは、誰にでもあると思うんですね。でも、動かなければ何も始まらないということを、今回のことで実感しました」と話す。「舞台の魅力って、二度とない時間を演者とお客様が一緒に過ごすこと。それが生きているという実感にもつながるんじゃないでしょうか」(水)、「歌の力で、元気になる最初の一歩をお手伝いできれば」(白羽)と、舞台人ならではの想いも聞かれた。エンターテイメントだけが持つ力で広がる支援の輪。その歌声はきっと、聴く者の心に強く響くはずだ。なお、チケットは発売中。取材・文佐藤さくら
2012年02月02日