大分といえば湯布院や別府といった湯どころで有名。でも実はそれだけじゃない。同県は全国でも有数のかんきつ類の産地なのだ。今回は、カボスや柚子(ユズ)といったかんきつ類をふんだんにつかった絶品スイーツをご紹介しよう!湯布院の温泉街にひっそりと佇(たたず)む、山荘無量塔(むらた)。古民家を再生し、和モダンを基調とした全室離れの宿として、全国から注目を集めている。周辺には関連する美術館やカフェなどが集まり、その独特な世界観を楽しめるエリアだが、そのなかのひとつ、チョコレートショップtheomurata(テオムラタ)が販売しているのが、この「柚子トリュフ」。「湯布院には『柚子煉り』という郷土菓子があるんですが、それを使って大分らしいお土産ができないか、と思って作り始めたんですよ」とtheomurataのスタッフ、星隈武将さん。ほろ苦いショコラに包まれた柚子煉りは、まるで柚子のコンフィチュールのよう。ふんわりと柚子の香りが広がり、スッと口の中で溶ける。甘さ控えめな大人の味わいだ。併設のカフェでも出されているとのことなので、湯布院を訪れた方、ぜひムード満点のカフェでも味わってほしい。大分で大人気の水族館「うみたまご」などの、テーマパークで販売するお土産も手がける「イマジン」が、満を持して開発したオリジナル商品が「みかんの花咲くころ」。大分産の米粉を使用したスポンジ生地の中には、同じく大分産温州みかんを使ったジャムがたっぷり。酸味の利いたジャムとほろ苦いオレンジピールが甘いスポンジと相まって、絶妙なバランスだ。商品開発部の友領太さんによると、「冷蔵庫で冷やしていただくのもいいですし、トースターで軽く温めて食べるのもおいしいです。異なるふたつの食感を楽しんでください」とのこと。アドバイス通り、早速試してみると……冷やした方は、なめらかさともっちりとした食感が強まり、米粉ならではの特徴が引き出された感じ。温めた方はバターの香りが引きたって、スポンジのふわふわ感がぐっと増している。ひとつで2度楽しめる「みかんの花咲くころ」に、筆者もすっかりハマってしまった。2010年4月の発売以来、じわじわとファンを増やし続けているのが「豊後橘本舗」の「香慕寿(かぼす)凛」。そのルーツは昭和52年(1977)にまでさかのぼる。皇太子殿下、現在の天皇陛下が大分を訪れた際に、割烹料理の一品として献上されたというカボスの甘露煮。その後も割烹で出されてきたその甘露煮を、お店以外でも楽しんでもらえるように、と開発されたのが「香慕寿 凛」だ。「これはカボスが皮も含めて丸ごと入っているので、皆さん驚かれますね」とは総務企画課の合澤敦志さん。しかもこのカボス、蜜と一緒に炊いて火を通してあるにも関わらず、まるで生のように鮮やかな緑色だ。それを実現させている技術については、残念ながら「企業秘密」とのこと。合澤さんいわく、「冷凍庫で凍らせて半解凍状態で食べると、食感が変わってまたおいしいですよ」。これからの季節はこたつで暖まりながら、この「香慕寿 凛」を味わいたい。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月10日サッカーの怖さと残酷さを、改めて知らしめる90分間だったと言えよう。11月23日・国立競技場で行われたJ1昇格プレーオフ決勝・大分トリニータ×ジェフユナイテッド千葉の話である。86分、その時が訪れるまで、千葉がJ1昇格に近付いていた。最終ラインからパスをつなぐ遅攻と、大分のパスをカットしてからの速攻でチャンスを作った。13分、DF・渡邊圭二のクロスに合わせたFW・米倉恒貴のヘディングシュートを皮切りに、36分のMF・谷澤達也のフリーキックや、81分のFW・藤田祥史のゴール右隅をとらえたシュートなど、得点機はことごとくGK・丹野研太の好セーブに阻まれた。1点が近くて遠い千葉だったが、焦りはない。0-0の引き分けならば、レギュレーションで5位・千葉がJ1昇格を果たすことになる。だが、引き分けもちらついてくる86分、元チームメートに地獄へ突き落とされてしまう。MF・宮沢正史のフィードをDF・安川有が頭でつなぎ、FW・森島康仁がダイレクトに前方へパス。タイミングのいい動き出しを見せた途中出場のFW・林丈統がGKと一対一になる中、冷静なループシュートを叩き込んだのだ。決勝ゴールは捨て身の超攻撃型から生まれた。残り10分、田坂和昭監督はセンターバックの真ん中ひとりを残し、両脇のセンターバックに高い位置でキープするように指示。前線に5人並べる5トップで失点のリスクを冒しながら、1点を奪う秘策に打って出た。試合後、指揮官は選手たちの成長を称えた。「2年前に大分に来た時、選手たちは試合から逃げていた。ロスタイムで失点した痛い敗戦はいくらでもあった。今年は諦めなくていい、チャンスは必ずあるということを毎日話した。選手はやっと一人前のサッカー選手らしくなった。今年終盤には粘り強く戦い、選手が自分の力をチームに還元しようという姿勢もあり、非常にたくましくなったという思いでいっぱい」。宮沢主将も「焦りはなかった。カウンターでいけると思っていたし、無失点であればいつかチャンスが来ると思った」と振り返った。一方、夢破れた木山隆之監督は「1点を奪われたことについて、選手たちを責めるわけにはいかない。1点を取れなかったことの方が非常に残念」と口にした。佐藤勇人主将は「失点の時間帯が悪すぎた。あの時間帯の失点はジェフがJ1へいけないひとつの要因」と悔しさを滲ませた。J1昇格のラスト1枚のキップを手にしたのは試合を支配した千葉ではなく、我慢に我慢を重ねワンチャンスを物にした大分だった。そのJ1リーグ戦は12月1日(土)・最終節を迎える。サンフレッチェ広島の初優勝は決まったが、残留争いは最後まで予断を許さない。14位・セレッソ大阪・勝ち点41、15位・ヴィッセル神戸・勝ち点39、16位・ガンバ大阪・勝ち点38、17位・アルビレックス新潟・勝ち点37の4チームのうち2チームが、J2への降格を余儀なくされる。J1昇格プレーオフの翌週、J1残留のサバイバルレースがクライマックスを迎える。チケット発売中。
2012年11月27日ここまで一方的なスコアとなるとは思わなかった。11月18日に行われたJ1昇格プレーオフ準決勝の話である。決勝・国立競技場へのキップを手にした大分トリニータと、ジェフ千葉のサポーターも、さすがにアウェイに乗り込んでの4-0は予想しなかっただろう。相手はJ2リーグ戦で上位に位置している。引き分けならばリーグ戦順位が上のチームが勝ち残る特別ルールのため、90分間で勝ち切らなければならない。千葉は横浜FCに、大分は京都サンガにリーグ戦で連勝しているが、決して簡単な相手ではない。大一番の重圧も半端ではないだろう。そんな逆風の中での4-0だ。まさかの完勝劇だが、不思議な勝利ではない。大分、千葉には勝利の理由があった。2012 J1昇格プレーオフ 決勝 大分トリニータ対ジェフユナイテッド千葉 開催情報大分の勝因は秘策にあった。田坂和昭監督はプレーオフ用の一手として、フリーキックのキッカーに普段ターゲットになる長身FW・森島康仁を指名。「非常にガチガチで、自分たちらしいサッカーが全くできなかった」と田坂監督が振り返った通り、試合開始早々京都にペースを掴まれるが、17分に森島康仁のフリーキックがゴール右上隅に吸い込まれ先制!これで大分イレブンのカタさがほぐれた。エースの一撃で大分は堅守速攻のスタイルを取り戻した。芸術的な弾道を描いたフリーキックでノッた森島はその後も凄みを見せ、PKを含む4ゴールと大爆発。3位・京都を奈落へと突き落とした。千葉の勝因はチームの意思統一にあった。こちらも立ち上がりは横浜FCに攻め込まれるが、チームは落ち着いていた。MF・兵働昭弘の相手DFの裏をついたパスにFW・藤田祥史が反応、得点に結びつかなかったが、「裏のスペースを狙える」と共通認識が生まれた。33分、MF・佐藤勇人のロングパスにFW・藤田が飛び出し、相手をかわして先制弾を決めた。風下の前半は相手DFとGKの間にボールを供給し、後半になると遠目からのシュートともに、前掛りになった相手にカウンターを決めた。結局、横浜FCに主導権を渡さず、藤田の2得点、MF・米倉恒貴とMF・佐藤健太郎のゴールで4位・横浜FCの夢を砕いた。プレーオフの2試合はいずれも下位チームが勝ち、リーグ戦の結果も反映されていた。J2リーグ戦の5位は千葉、6位は大分。両軍の直接対決は1勝1敗だ。千葉・木山隆之監督は「自分たちは引き分け云々ではなく、連勝で終わらせるスタンスでやる。有利不利はないんじゃないかと思う。最後は死力を尽くす試合になると思う」とジンクスを否定した。対する田坂監督は「(千葉は)攻撃陣のクオリティが非常に高く、バランスの取れたチームなので、簡単な相手ではない。千葉に対してしっかりと対策を練って、いい準備をしたい」と次なる秘策を予告した。千葉の1トップも大分の2トップも裏への意識は高い。藤田、森島の両エースもノッている。両軍ともプレーオフ2試合目の落ち着きもあるだろう。となると、不用意な失点は考えにくい。ならば、1点が重いヒリヒリした緊迫感漲る90分間が演じられるはずだ。2012J1昇格プレーオフ決勝は11月23日(金・祝)・国立競技場にて開催。チケット発売中。
2012年11月20日1チームが笑い、3チームが泣く。11月11日、J2最終節を経て、史上初のJ1昇格プレーオフの対戦カードが決まった。3位・京都サンガF.C.が6位・大分トリニータをホームに迎え、4位・横浜FCが5位・ジェフユナイテッド千葉と対峙する。1位・ヴァンフォーレ甲府、2位・湘南ベルマーレに続く、1枚だけのJ1昇格のキップを4チームが競うのだ。「J1昇格プレーオフ」開催情報プレーオフは上位チームが有利だ。90分を終えて引き分けの場合、延長戦は行わず、順位が上のチームが勝者となる。だが、今季のリーグ戦の成績を見ると、千葉と大分、2カードとも順位が下のチームが2連勝している。引いて守って引き分け狙いなぞ、そうそうできる芸当ではない。主導権を相手に渡し、防戦一方となるリスクも孕んでいる。そもそも、4チームの力の差はわずかである。3位・京都から6位・大分までそれぞれ、勝ち点1差ずつしか離れていない。チーム状況も似ている。過去5試合の戦績は、横浜FCのみ4勝1敗、その他の3チームは3勝1分1敗だ。指揮官たちは非常に難しく、非常に重要な戦いが待っていることを理解している。「残念ながら昇格の1回目のチャンスは逃してしまった。あと2試合あるので、しっかりいい準備して、勝てるようにがんばりたい」(京都・大木武監督)、「ゴールを奪うための特効薬はない。今シーズンやってきたこと、相手を崩すための攻撃だったり、崩し方だったり、オプションだったりをより精度を上げていくしかない」(大分・田坂和昭監督)、「ジェフは素晴らしいチームだし、力もある。ただ、自分たちは自分たちのやり方で戦うしかないので、自分たちらしく戦いたい」(横浜FC・山口素弘監督)、「泣いても笑っても残りふたつ。勝てばJ1に行けるわけだから、ベストを尽くてJ1に戻りたい」(千葉・木山隆之監督)。MF・中村充孝を中心に長短のパスを織り交ぜ、試合を支配する京都と、堅守速攻からポストプレイの森島康仁、裏のスペースへ走る三平和司と攻撃の型を持つ大分。先発を担う大久保哲哉&カイオをはじめ、田原豊、永井雄一郎、三浦知良とJ2随一のFW陣を誇る横浜FCと、FW・藤田祥史、MF・佐藤勇人、DF・山口智と各ポジションにタレントを揃える千葉。勝負の鍵を握るのは、いかに自分たちのペースに持ち込むか、相手ペースの時にどれだけ我慢できるか、そして決めるべきシーンでいかに決め切るか、にある。J2プレーオフはJ1昇格を決める2試合ではない。格上のチームやビッグクラブばかりが集うJ1リーグ戦を戦い抜く1チームを決める戦いである。プレーオフという絶対に負けられない戦いで、自分のたちのサッカーを見失うチームではJ1リーグ戦を戦い抜くことはできない。4チームの監督、選手たちは、悲願の先をしっかり見据えている。2012J1昇格プレーオフ準決勝は11月18日(日)・京都×大分・西京極陸上競技場兼球技場、11月18日(日)・横浜FC×千葉・ニッパツ三ツ沢球技場、決勝は11月23日(金・祝)、国立競技場にて開催。チケット発売中。
2012年11月14日大分といえば由布院や別府といった有名観光地を思い浮かべる皆さん。観光地を少し離れると、大分県は海の幸、山の幸をふんだんに使った絶品「丼モノ」を味わえる場所であることはご存じだろうか?今回は、値段・クオリティー・ボリュームすべてに二重マルの、大分県自慢の絶品丼をご紹介!大分空港からすぐの国東市安岐町にある「梅園の里」。ここは三浦梅園に関する資料館として有名だが、実はそれだけではない。この施設の食事処「梅の庵」で味わえる「くにさき海鮮丼」は、知る人ぞ知る絶品の丼なのである。取材に応じてくださったのは支配人の田中さん。田中さんによると、使われている素材は国東の海で獲れたばかりの海鮮で、それを料理長がたっぷり盛りつけてくれる。どんな一品なのか確かめるべくオーダーしてみて驚いた。タコ、エビ、いくら、サーモン、ぶりなどが、今にも丼からこぼれおちそうなほどぜいたくに盛りつけられているのだ。ご飯は酢飯ではなく、炊き立ての白米。そこに、別付けのタレをお好みでかけていただく。見た目のゴージャスさにも、素材の鮮度のよさにも驚かされること間違いなしのこの丼は、なんと1,500円という手ごろな価格。前日までの予約が必要とのことだが、大分空港を利用する機会には、ぜひ足を伸ばしてみてほしい。上質なワインを心ゆくまで味わえるのが、「安心院ワイナリーレストラン朝霧の庄」。こちらのレストランでは、しゃれた内装からは想像もつかないようなワイルドな肉食丼を堪能することができる。どんな丼かというと、150グラムの和牛ステーキがそのまま搭載された「ステーキ丼」(1,575円)である。こちらは開店当初から超人気メニューで、1日限定20食。ワイン好きなら、赤ワインと一緒にオーダーするのがおすすめだ。和牛とワインの相性は抜群だが、丼とワインという妙なる組み合わせは初体験という人も多いはず。初めての出合いがこんなゴージャスな丼で実現すれば、きっと生涯記憶に残る味になるのではないだろうか。●information 安心院ワイナリーレストラン 朝霧の庄宇佐市安心院町下毛 県最南端にある「蒲江(かまえ)」は自然の宝庫。この街の人気丼は、「道の駅かまえ」にある。ランチタイムにはこの丼を目当てに長い行列ができるほど。その人気メニューが「海鮮丼」(1,150円)だ。きびなごをはじめとした4種類の魚、いか、うに、いくらがご飯の上に所狭しと並べられた丼は、まず見た目が美しい。女性の固定ファンも多く、毎週遠方から通ってくる常連も多いとか。今回は、毛色の違う3つの丼を紹介したが、どれも一級品の素材を楽しむことのできるものばかり。これから大分を訪れる際には、スケジュールに「絶品丼巡り」を組みこんでみてはいかがだろう?新鮮で濃厚な素材をリーゾナブルに楽しめば、旅の満足度もぐっとアップするはずだから。●information 道の駅かまえ海鳴り亭 大分県佐伯市蒲江大字蒲江浦5104-1【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月06日日本一の源泉数と湧出量を誇る大分県別府市では、市街地のあちこちに温泉が噴出している。そのため、温泉施設の数は郵便ポストの数より多いとか。そんな湯の街では「えっ、こんな所に?」という意外な場所に名湯がある。というわけで、この街だからこそ出合えるユニーク温泉をレポートしよう。別府八湯のひとつ「観海寺温泉」の入り口にあり、食事をした人は温泉に入れるという「焼肉慶松苑」。温泉サービスは昭和54年(1979)のオープン時から。元旅館だったという造りを生かし、温泉好きのご主人が手入れしてお客さんに開放している。焼肉店の横にある風呂は、野趣あふれる岩風呂。いざつかってみると、おお天国。少し青みがかった湯はやさしくて気持ちよく、身体はポカポカ。温泉成分で配管が詰まらないよう、コンディション維持にいつも汗を流すご主人の愛情も温かい。●information 焼肉慶松苑 別府市南立石2062-1 続いて紹介するのは、観海寺温泉の背後、立石山の中腹にある「いちのいで会館」。本業は仕出屋さんだが、店内で食事をすることもでき、食事した人は入浴もできるのだ。温泉は食事したお客さんへのサービスという位置づけで、店を訪ねるとまずは風呂へどうぞと案内される。風呂場は食事処から歩いてほんの数分のところ。木立に囲まれた「金剛の湯」と、プールのように広い「景観の湯」の二つの湯が男女日替わりで利用できる。素晴らしいのは景観の湯で、最初は神秘的なブルーの湯にびっくり。続いて湯船から眺める景色のすばらしさにも驚かされる。肌に気持ちのいいお湯を堪能しながら、のびのび開放的な気分にもたっぷりひたれる。しかも、温泉を満喫した後は、大分の郷土料理、だんご汁定食が待っていた。●information いちのいで会館 別府市上原町14-2 開創1044年という歴史ある寺にある温泉で、源泉は地獄巡りのひとつにもなっている「龍巻地獄」から引き湯している「長泉寺薬師湯」。地元の人に利用してもらおうと前住職が浴槽を設計し、家族総出で手作りしたというありがたい温泉だ。訪ねてみると、湯屋の中には、大人3人がつかればいっぱいという感じの浴槽があるシンプルな造り。入浴料の表示はないが、おさい銭を置いていくのがマナーのようだ。つかってみると湯は肌にやさしく、二の腕あたりをなでてみるとすべすべに。飲んでみると酸味と鉄分が感じられ、胃腸によさそう。「地獄」で出合った湯は極楽であった。●information 長泉寺薬師湯 別府市野田4-2 さらに別府には、競輪場にも温泉がある。その名も「競輪温泉」。しかもレース開催期間中は無料で入浴できる。浴槽はいかにも共同湯というイメージの長方形で、透明な湯が湯船からあふれ流れている。つかってみると、かなり湯は熱めで、身も心も引き締まる思い。これなら、レースでエキサイトしたお客の心身も一気に引き締まるに違いない。ちなみにこの温泉は、入浴だけの利用も可能だ。さてお次は「別府ラクテンチ」をご紹介。こちらは、別府市街を見下ろす立石山中腹にある遊園地で、開園は昭和4年(1929)。気軽につかれる足湯のほか、大浴場や露天風呂が整備され、来園者はなんと無料で利用できる。つかってみると、さすがの見晴らし。晴れた日は四国まで望めるというロケーションは最高。心ものびのび遊ばせることができた。最後に紹介するのは、自宅の一部が喫茶店とギャラリーに改装されている、アットホームな雰囲気の「茶房たかさきの湯」。手作りの自宅用温泉を喫茶店利用者に開放している。ご主人は別府八湯に入りつくした温泉名人で、別府八湯名人会初代会長だ。源泉は高温だが、天候や気温を見ながら湯だめ時間を調整し、源泉100%の素晴らしい湯加減をキープしているという。つかってみると、なるほどちょうどいい温度。ご主人の温泉への愛情とこだわりが実感できる隠れた名湯。●information 茶房たかさきの湯別府市朝見1-2-11 別府にはこの他にも様々な変わり種温泉が存在している。この地を訪れるならぜひ、ガイドブックにはなかなか載らない、「自分だけが知っている温泉」を見つけてみてほしい。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月19日映画『綱引いちゃった!』が映画の完成を祝し、映画のロケ地となった大分市での凱旋プレミアイベントを30日に開催。主演の井上真央、共演の松坂慶子、玉山鉄二、渡辺直美ら総勢10名のキャストが参加した。イベントの様子本作は、大分市役所に勤める主人公(井上)が、市のPRのために“女子綱引きチーム”を結成し、その過程で生まれる絆を描く。『舞妓Haaaan!!!』『なくもんか』の水田伸生氏が監督を務めている。イベント当日は、1100年以上の歴史を誇る古社・春日神社で大ヒット祈願をしたのち、実際に映画のロケにも使用された大分市のメインアーケード・ガレリア竹町商店街で凱旋パレードとトークショーを開催。台風17号による悪天候にも関わらず、会場には約1000人の観客が集まった。井上が元気に「ただいまー!」とあいさつすると、観客からは「おかえりー!」との大声援が巻き起こるという、和やかな雰囲気のなか行われたトークショー。さらに井上は「大分の“好きっちゃ”ところはご飯がおいしいところ! お酒もとり天も大好きないい町でした!! この映画はコメディということで、(他のキャストの)皆さんが楽しそうに演じていたので、笑わないように気をつけて演じていました(笑)」と、大分弁を交えて感謝の気持ちを語っていた。主人公の母親役を務めた松坂は、「撮影前に脚本を読んだときは、綱引きのシーンは誰かが代わりにやってくれるものだと思っていたので、私が全部やることになるとは思ってもいなかったんですけど、綱引きの練習の後の温泉がとっても好きでした。もちろん、綱引きのシーンは全部私がやりましたよ!」とコメントし、玉山も「この商店街のラーメン屋さんに週3回は通っていました」と明かすと、観客からは喜びの声があがった。また、イベントでは大分市長によるキャストへの大分市観光特使就任式や、キャストが製作した“『綱引いちゃった!』ラッピングカー”を観客と一緒に綱引きをするという場面も。さらには、地元の小学生約400名を小学校体育館に招き、イベント終了後に開催した試写会と舞台あいさつでは、井上が「ごはんが美味しいところと、昨年の撮影の時にお世話になった市役所の方や、大分の皆さんがとても協力的で、大好きになりました」と、“大分愛”を存分に語り本作をPRしていた。『綱引いちゃった!』11月23日(金)全国ロードショー
2012年10月01日温泉湧出量が日本一で、別府や由布院など有名温泉地が多い大分県。そんな温泉王国で、高速道路や鉄道が通らない山あいにありながら、多くのファンをもつのが炭酸泉で知られる長湯温泉だ。その泡状の温泉水から別名「ラムネの湯」ともいわれている。今回、名前のごとく、お湯はラムネの味がするのか調査してみた。炭酸泉とは炭酸ガスを多く含む温泉のこと。お風呂に投入するとシュワシュワ泡立つ入浴剤があるが、簡単にいえばあのようなものが天然で湧いているわけだ。また、温泉法で大きく種類が分けられており、温泉1リットルあたり1,000ppm以上の炭酸ガスが溶け込んだものを炭酸泉、1,000ppm以下は炭酸水素泉とされている。長湯温泉には300~1400ppmの炭酸泉と炭酸水素泉が混在し、源泉は30度から50度程度までと温度帯は幅広い。マグネシウムやカルシウム、鉄分などの成分を含んだにごり湯が多く、浸かれば心臓病、飲めば胃腸に効くといわれている。この温泉地が広く知られるようになったのは昭和初期のこと。『鞍馬天狗』や『天皇の世紀』で知られる文豪・大佛(おさらぎ)次郎が、湯の中に小さな泡が立つのを見て「ラムネの湯」と名付けたのがきっかけだという。そのラムネの湯を日帰りで体感できるのが、長湯温泉のシンボル的存在である「ラムネ温泉館」だ。館内にあるラムネの湯の炭酸濃度は1380ppm。まるでサイダーをコップに注いだ時のように、肌にびっしりと泡が付着する。また、隣には42度の「にごり湯」もあるが、泡はそれほど目立たない。ふたつの違いを施設の人に尋ねてみると、「ラムネの湯は温度が32度と低温なんです」という答えが返ってきた。炭酸泉を瓶入りサイダーに置き換えて見ると、低温である理由が分かる。サイダーを高い所から勢いよくコップに注ぐと激しく泡が吹き出て、後に残るのは気の抜けた液体だ。また、気温が高い場所に放置しても炭酸は蒸発してしまう。つまり、高濃度の炭酸ガスを含む温泉でも、浴槽に達するまで時間がかかる、もしくは温度が高いと蒸発してしまう。ラムネ温泉は自家源泉で浴槽まで近いうえ低温なので、目に見えるほどの大粒の炭酸ガスが残っているというわけだ。ちなみに、ラムネ温泉館の湯は、炭酸が抜けやすいとされる40~50度の高温でも高濃度の炭酸を含んでいるのが特長。たとえ泡が見えなくても、炭酸ガスの効能は期待できる。前述のにごり湯も炭酸濃度は、911ppmと意外なほど多かった。効能はさておき、とにかく湯が心地いい。硫黄の匂いがほんのり漂い、全身に湯がじわっと染みいる感じ。炭酸ガスが血行を促進するせいか、湯上がり後も体はポカポカだ。温泉施設や旅館ごとに源泉が違うので、泡の感じや湯色の違いも楽しめる。長湯温泉が「日本一」といわれる理由は、個性の豊かさにもあるのだろう。さて、ラムネ温泉の謎が解けたところで、いよいよ温泉水を飲んでみた。ん、確かに舌の上がシュワシュワするけれど、鉄っぽくて少し塩味もする。これはラムネじゃないなぁ。では、砂糖を入れたらサイダーみたいな味になるのか?長湯温泉観光案内所の坂田まちえさんに聞いてみると、「お水と炭酸泉は成分が違い、炭酸泉は炭酸ガスの他に塩分や鉄分などいろいろな成分が含まれているので、サイダーみたいな味にはなりませんよ」とのこと。なるほど。さらに、胃腸病や便秘に効能があるといっても「お腹がゆるくなることがあるので、コップ1杯程度をゆっくり飲んでくださいね」とアドバイスまでいただいた。ラムネの味はしなくても、これはやはり、おみやげに持って帰りたい。うれしいことに長湯温泉では各温泉施設やヨーロッパを思わせるレンガ造りのしゃれた公営飲泉場で温泉水をくむことができ、持ち帰りは自由。ペットボトルに密封して冷蔵庫に保管すれば5日間は持つそうだ。ただし、飲む際はくれぐれも砂糖は入れないように。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月27日大分県の九重(ここのえ)といえば、さわやかな高原地帯に温泉が集まる観光地。そこに2006年10月、九重“夢”大吊橋が誕生し、大分でも有数の観光名所となっている。人口1万人余りの町にオープンから5年半で700万人が訪れたこの橋、いったいどんな魅力があるのだろうか。現地に行ってみた。九重”夢”大吊橋は全長390メートル。東京タワーが333メートルであるため、タワーが横たわってもまだ余ってしまう。さらに川面からの高さは173メートルもあり、空中庭園で有名な40階建梅田スカイビルがすっぽり入る計算になる。この規模は歩行者専用橋としては日本一。周囲には阿蘇くじゅう国立公園の山々が連なるため、絶景が期待できそうだ。通行料500円を払って早速渡ってみる。橋幅は3人並んでギリギリ渡れるぐらいで、意外と狭い。両サイドの柵は大人の胸ぐらいの高さ。金網とパイプでできており、風通しの良さにちょっと不安になってしまった。おまけに床面の中央部が格子状になっている。3人横並びで渡ると、真ん中の人が地面透け透け鋼板メッシュの上を歩くことになる。そのスリルといったら……。金網を通り抜け足元から涼しい風が吹き上げてくる中、恐る恐る進む。すると視界に飛び込んでくるのは広々とした空、緑が美しい山々。そして、83メートルの落差を誇る「震動の滝」の雄滝、雌滝、子滝。空中散歩ともいえる360度の大パノラマに、改めて自然は美しいと感じ入ってしまった。自分の足元さえ見なければ、である。橋のちょうど真ん中付近。下を望むと、九酔渓(きゅうすいきょう)の渓谷の木々がまるで精巧なジオラマのように見える。そんな中、「揺らすな、走るな」との看板がやたらあるのに、前を歩いている子どもがご丁寧にジャンプ。強風とも相まって、予想以上に揺れ、足がすくんで腰から力が抜けてしまう。ふと前を見ると、夫らしき男性の服のすそを持ち、固く目をつぶりそろそろと歩く年配の女性がいた。もはや何をしに来たのか分からない。嫌々、景色を見るよりも、共に歩む姿勢が大切だ。愛情を確かめ合っているに違いない。ようやく渡り終え対岸へ。橋のふもとの茶屋は盛況である。そこでこちらも一服。しかし、よく考えてみると帰りも橋を渡るしかない。でも、お茶を飲んだだけではもう一度渡る気になれない。これはアイスクリームを食べるしかないじゃないか。この店が賑わっているのは、きっと私のような人が多いからに違いない。ところで、道中の年配女性が気になったので、休憩がてら橋の担当者に聞いてみた。―橋の中心で動けなくなった人はどうするのですか。動けなくなった人は車いすで迎えに行きます。月に1人か2人ぐらい、いらっしゃいます。係の者が迎えに行き、歩いて帰ってくる方もいらっしゃいますね。―足元の格子、怖くないですか。ブラインドのようになっていて、斜めから見ると渓谷は見えませんが、真上からのぞくと見えるようになっています。安全に上下左右360度の景色を存分に楽しんでいただける仕掛けです。実はこの橋、「景色のきれいな場所に架けたら人が来るはずだ」と、九重町が命運をかけて架けたもの。総工費に約20億円を投じたが、完成から数年で回収したというからすごい!夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の表情で多くの人を魅了しており、中には800回以上訪れているつわものまでいるという。さて、揺れて怖いつり橋を一緒に渡ったふたりは恋に落ちる、との説がある。高さ、長さともに日本一の九重“夢”大吊橋は、「つり橋効果」も日本で最強。ぜひ、意中の人と一緒にチャレンジしてほしい。ただし、恋には落ちても、川には落ちないようご用心。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月11日鶏のからあげ。これほど子どもから大人まで好まれている料理はないだろう。その原料である鶏肉消費量が全国平均を大きく上回っている県がある。大分県だ。当然、からあげを出す店も多いはず。調査すると、からあげで町おこしをしている団体があるという。そこを訪ねるとおススメの店も教えてくれるのではないか。早速、大分県に飛んだ。訪ねたのはからあげの「聖地」中津市。あの福澤諭吉を生んだ城下町である。そんな歴史のある街がなにゆえ、からあげの聖地なのか?肉の生産・販売の「豊国畜産ぶんごや」取締役専務で、「聖地 中津からあげの会」という名前の町おこしグループの会長である西郡信喜さんに話を聞いてみた。――なぜ、中津でからあげが盛んになったのでしょうか?「太平洋戦争後、食糧難を解消すべく国の政策で養鶏場が中津市にたくさん作られたのです。そういう背景があったのと、旧満州からの引揚者が現地での食べ方を伝えたともいわれ、いつしか定着したようですね」――消費量はどのくらいあるのですか?「消費量については、残念ながら把握できておりません。しかし、大分県全体での一世帯当たりの鶏肉の年間消費量は19.3キロ。全国平均が13キロと言われています。もちろん全てからあげで食べるわけではないでしょうが、消費量は多いですね。ちなみに中津ではからあげ専門店が30店舗以上あります」――同じ大分県の大分市ではとり天が有名ですが、からあげとどう違うの?「とり天は、文字通り天ぷら。小麦粉の衣を付けて揚げ、タレというかダシで食べます。からあげは肉自体にしっかり下味を付け、片栗粉をまぶして揚げます」――なるほど。では、中津のからあげは味に特徴があるのですか?「一番の特徴は作り置きをしていないところでしょうか。注文を受けてから揚げる。だから、店頭で少々待ってもらう必要がありますね。それと下味の付け方が店ごとに違う。下味のためのつけダレのレシピが違うんですね。当然、油の温度や揚げる時間もこだわりがあって店ごとに違います」――うーん、これはとにかく食べてみたい。失礼ですが、おいしいお店を推薦していただけますか?「創業28年目の『八木総菜店』と『からあげ味丸』という2店はいかがでしょうか」まず、「八木総菜店」を訪ねてみた。お店は昭和を感じさせる外観。総菜店というだけあって店頭には多彩な惣菜が並ぶ。店主の八木ツタエさんに話をうかがうと、タレには唐辛子やコショウなど5種類の調味料を使用しているそう。試行錯誤した上に今の味に行き着いたという。創業時からのお客も多く、親子2代で通う人もいるそうだ。アツアツをいただいてみた。おお、これはごはんのおかずに合いそうなしっかりした味付け。肉はジューシーで、鶏のうまみが口の中に広がる。続いて、「からあげ味丸」にはしごをする。こちらは3年前の開業。手づくり看板が目印だ。店主の加々見弘さんは中華料理の現役コック。キャリア30年というベテランで、その腕を生かして仕込みを担当。勤務先の料理店に行っている間、奥さんのゆかりさんが店を守り、調理と販売を行う。仕込みでは肉のスジを切るなど手間ひまをかけ、ニンニクやショウガを利かせた特製の醤油ベースのタレにしっかり漬け込む。口に入れると歯触りはサクッとしているが、肉はやわらかく、スパイスがほどよく利いていて2~3個はペロッといけそうだ。時間をかけて下味を付けているので冷めてもおいしいという。ところで、町おこしの会長の西郡さんによると、中津のからあげは手づかみで食べるのが一番だという。確かにはしなどで上品に食べるより、手で豪快に食べた方がおいしさは倍増する。さあ、あなたもそのおいしさを確かめに出掛けてみないか?●八木総菜店(からあげ八木)骨付き100g210円モモ100g250円とり天100g250円住所:大分県中津市上宮永65-1交通:JR日豊本線中津駅から徒歩5分営業時間:10:00~20:30定休日:毎月9日、19日、29日駐車場:なし●からあげ味丸骨なし100g170円骨付き100g150円手羽中ハーフ100g120円住所:中津市中原611-5交通:JR日豊本線東中津駅より車で10分営業時間:11:00~19:30定休日:不定休駐車場:5台【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月08日11月のJALは機内食から、成田空港ラウンジでの握り寿司の実演会や羽田空港ラウンジでの大分県食品の試飲・試食まで、「大分づくし」。機内食(イメージ)特に注目なのは、ファーストクラスの機内食。大分・由布院の名門旅館「由布院 玉の湯」の山本照幸総料理長プロデュースの料理が登場!安心安全で、選び抜かれた食材を使った山里料理が楽しめる。由布院玉の湯総料理長は、「山里の秋をテーマに、由布院らしいものをご用意しました。とくに、特製クレソンスープは“身体を休め、心も体も元気になって、また普段の暮らしに戻って いただきたい”という保養温泉地・由布院ならではの思いを込めています。また、大分名産の幻のきのことも呼ばれる珍しい笹なばを佃煮にしていますので、そ の味わい深さと独特な食感をお楽しみください。派手さはあまりないですが、皆さまの心に残るように、丁寧な料理を心がけました」と語っている。仕事で飛行機を使う人も、この大分フェアでひと時の旅行気分を味わえるはずだ。お問い合わせ: JAL WEBサイト ※「日本の素晴らしさ」を発信していく地域活性化プロジェクト「JAPAN PROJECT」を今年5月から展開しているJAL。「JAPAN PROJECT」とは、観光客誘致や地域物産のPRを目的とした自治体・企業と連携し、JALグループの機内誌や機内ビデオ、機内食、空港ラウンジ、WEBサイト等のツールを通じて各地域の魅力を紹介し交流を促進するものだ。第7弾となる11月は、大分県の魅力を大々的に発信していく。
2011年11月02日