市川染五郎さん監修一心堂本舗株式会社では、「歌舞伎フェイスパック~寿~」を12月12日(金)より新発売。「歌舞伎フェイスパック~寿~」は既に販売中の「歌舞伎フェイスパック」の第二弾。歌舞伎俳優市川染五郎氏の考案で、めでたい隈取りを施したフェイスパックです。歌舞伎フェイスパック~寿~歌舞伎の隈取りは、正月公演などで上演される「寿(ことぶき)曽我(そがの)対面(たいめん)」と「操り三番叟(さんばそう)」から、「むきみ隈」と「戯れ隈(ざれくま)」を使用。もちろん、フェイスパックとしての実力も確かなもので、ヒアルロン酸やコラーゲンなどの3つの美容成分と、ツバキ種子エキス、チャ葉エキス、サトザクラ花エキスの3つの和エキスを配合。パックを使用し、歌舞伎役者になりながら、「くま」取りできるユニークな商品です。お土産や、プレゼントに一心堂本舗は、これまでも「上野動物園協力 動物フェイスパック」「劇団四季キャッツフェイスパック」など、遊び心満点、話題性抜群のフェイスパックを多数展開。今回の「歌舞伎フェイスパック~寿~」も海外向けの日本のお土産・プレゼントなどに適した一品です。(画像はプレスリリースより)【参考】・発売から約1年で累計約35万個を売り上げているフェイスパックシリーズ 『歌舞伎フェイスパック~寿~』発売決定
2014年12月08日2015年2月14日(土)に東京・シダックスカルチャーホールで俳優の入江甚儀と市川知宏によるファンイベント「じんとも」の開催が決定した。入江甚儀と市川知宏は、同時期にデビューを果たし、現在TVドラマや映画などで活躍する若手人気俳優。同イベントは今年の6月に初めて開催され、今回で3回目。初の1日2回公演で行なわれるこの日の公演は、バレンタインデーにちなんで第1部を『Sweet Party』、第2部を『Bitter Party』と銘打ち、『Sweet Party』では「甘い」、『Bitter Party』では「少し大人」のふたりが見られるイベントになる予定だ。同イベントのチケット一般発売は2015年1月10日(土)午前10時より。なお、一般発売に先がけてじんとも特設サイトでは先行を実施。受付は12月6日(土)昼12時から14日(日)午後11時59分まで。■じんとも~Sweet Party~(第一部)2015年2月14日(土)開場11:00 / 開演12:00会場:シダックスカルチャーホール(東京都)出演:入江甚儀 / 市川知宏料金:指定 3500円 ※来場者特典付■じんとも~Bitter Party~(第二部)2015年2月14日(土)開場15:00 / 開演16:00会場:シダックスカルチャーホール(東京都)出演:入江甚儀 / 市川知宏料金:指定 3500円 ※来場者特典付
2014年12月05日松本幸四郎と市川染五郎が10月17日、東京・歌舞伎座の11月公演「吉例顔見世大歌舞伎」の記者会見に登場した。「吉例顔見世大歌舞伎」チケット情報公演は幸四郎の父・初代松本白鸚の三十三回忌追善興行。幸四郎は『熊谷陣屋』熊谷次郎直実、孫の染五郎は『勧進帳』弁慶など、高麗屋縁の演目に出演。染五郎の弁慶は満を持しての初役だ。染五郎の弁慶について、幸四郎は「歌舞伎役者として一人前になるには手に職をつけること、手に芸をつけること。昨今の息子の舞台を見ていると、いい役者っぷり、職人になってきた。大役をやるにはいい時期だと思う」と太鼓判を押しながら「この日が来るのを夢見ていた。息子が夢をかなえてくれた」と感慨深げに話した。一方染五郎は「1歳ぐらいの時に弁慶の飛六方をしている写真があって、その頃からもう憧れを抱いていたんだと思う。夢がかなって、たくさん泣きました。どういう勧進帳をお見せするか。高麗屋の人間なんだと思っていただけるような勧進帳ができたら」と意気込みを話した。公演は11月1日(土)から25日(火)まで。チケット発売中。
2014年10月17日市川由衣が大胆なベッドシーンに挑戦するなど公開前から話題の『海を感じる時』の完成披露試写会が8月25日(月)に開催。市川さんを始め、共演の池松壮亮、原作小説を手がけた中沢けい、安藤尋監督が舞台挨拶に登壇した。1978年、当時18歳の女子高生だった中沢さんが発表し「文学上の事件」と言われた「海を感じる時/水平線上にて」(講談社文芸文庫刊)を30年以上を経て映画化。充たされないままに高校時代の先輩である洋に体を差し出すヒロインの恵美子が、彼に必要とされたいと願い、寄り添いつつも反発し傷ついていくさまを繊細に描き出す。市川さんは、本作について「女優人生を懸けて挑んだ作品」と語り、完成にこぎつけたことに「感無量です」と充実感をにじませる。脚本を読んで「恵美子に惚れ込んだ」という市川さん。「最初に読んだ時はイタイ女だなと思い、女性としてそのイタさに共感しました。(ベッドシーンで)裸になるということで、悩む部分もありましたが、やらなかったら後悔する、ほかの役者がこの役をやっているのを見たくないという気持ちでした。いまやれることはやったと思います」と覚悟を覗かせる。市川さんと池松さんは初共演となった。池松さんは恵美子の気持ちに応えようとしないまま、それでも求めに応じて彼女を抱く洋という男について「みなさんにどう映るのか…?僕はすごく愛してますし、僕なんかよりずっと心がキレイで誠実な男だと思います」と評する。この言葉を受け、市川さんは池松さんについても「誠実です!」とニッコリ。「すごく魅力的でした。脚本を読んだとき、どうして恵美子はそこまで洋に惹かれたのか?と思いましたが、一緒に芝居をしていく中で『こりゃ惚れる!』と思うところがいっぱいありました(笑)。色っぽいし、寂しそうな眼をしてたり。あれは演技なのか…?」と称賛に次ぐ称賛。池松さんは慌てて「全然、寂しくないですよ!」と照れくさそうに笑みを浮かべていた。さらに、ベッドシーンの撮影について市川さんは「(池松さんが)前貼り(※局部を隠すための小道具のシート)をされてて『前貼りセンセイ』と呼ばせていただいてました」と明かし、「今日は着けてないんですか(笑)?」と撮影中もよく交わしていたという冗談交じりの問答を再現。池松さんも「今日は着けてないです(笑)」と返し、会場は笑いに包まれたが、市川さんは「緊張しましたが、そういう会話で和みました」と笑顔で感謝の思いを口にしていた。『海を感じる時』は9月13日(土)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:海を感じる時 2014年9月13日よりテアトル新宿ほか全国にて公開(C) 2014「海を感じる時」製作委員会
2014年08月25日出演俳優がご当地に到着したことを船でお披露目する、歌舞伎独特の伝統行事「船乗り込み」が5月29日に福岡市の中心部を流れる博多川で開催され、「六月博多座大歌舞伎」に出演する坂田藤十郎、市川染五郎、片岡愛之助らが顔を揃えた。『六月博多座大歌舞伎』 チケット情報江戸時代に始まったと言われている「船乗り込み」だが、現在では大阪と福岡だけで実施。福岡では博多座開場の1999年から行われており、今年で15回目。初夏の風物詩としてすっかりお馴染みの光景だ。今年は晴天にめぐまれ、沿道は約3万人という多くの見物客で賑わった。「六月博多座大歌舞伎」に出演の俳優13名と、公募で選ばれた市民約20名らが、キャナルシティ博多横の清流公園から手こぎ船10隻に分乗。色とりどりの幟をはためかせながら小舟がゆるやかに進みだすと、橋の上や沿道から紙吹雪がまかれ、詰めかけた見物客から大きな歓声が沸いた。鐘や太鼓、笛のお囃子が響く中、熱心なファンは船を追いかけ、お目当ての俳優が現れると「山城屋っ!」「高砂屋っ!」など屋号で声援と拍手をおくり、俳優は和やかな笑顔で手を振り応えていた。途中、船上で口上が述べられ、博多リバレインまでの約800メートルの道のりを終えた。下船後、博多座の隣にあるリバレインで行われた式典で、坂田藤十郎は「今日も温かい拍手を頂いて有難い。博多座に来ると歌舞伎役者になってよかったな、と本当に思う。千穐楽まで大入り満員が続きますように」と挨拶。母親が福岡市出身の市川染五郎は「私の身体には博多の血が半分流れています。第2の故郷と思っている特別の場所・博多に、もっともっと歌舞伎が根付くように頑張りたい」、5年ぶりの博多座出演となる片岡愛之助は「昼夜ともに大きな役を演じさせて頂いてます。夜の部では本物の水を使った演目もあります。ぜひ劇場でご覧ください」とそれぞれ意気込みを語り、歌舞伎開催前のイベントを華やかに彩った。「六月博多座大歌舞伎」は6月26日(木)まで博多座で開催。チケットは発売中。
2014年06月04日次代を担う花形が顔を揃える7月の歌舞伎座公演「歌舞伎座新開場柿葺落 七月花形歌舞伎」に向けて、市川染五郎、尾上松緑、片岡愛之助、尾上菊之助の4人が6月14日、東京・銀座のGINZA KABUKIZA 地下2階「木挽町広場」でトークイベントを行った。まず、4人は「歌舞伎座が開場して4・5・6月と、皆様のおかげでとても盛り上がっている中、初めての花形歌舞伎です。大先輩の方々がいらっしゃいますが、僕たちの世代で歌舞伎座を支えていく意気込みで舞台を勤めます」(市川染五郎)、「先輩の方々がこけら落としを頑張って盛り上げていただきました。そこに私たちも乗せていただいて、いい舞台を勤めます。幸い頼もしい仲間たちがいるので、3人の尻馬に乗って、おいしい思いをさせていただけたら」(松緑)、「旧歌舞伎座のさよなら公演は2年近くやっていましたが、私は1度も出ませんでした(笑)。今月初めて出させていただいて感動しています。7月は先輩方が築いていらっしゃったものを受け継いで、頑張っていきたい」(愛之助)、「染五郎さん、松緑さん、愛之助さん、同世代の人たちで幕を開けることができるのをうれしく幸せに思っています。私たちの世代が盛り上げられるよう頑張っていきたい」(菊之助)とそれぞれ挨拶。「七月花形歌舞伎」で上演するのは、昼の部『加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)』、夜の部『東海道四谷怪談』の2演目。それぞれ岩藤、お岩と、女性の幽霊が出てくる怪談物の名作を通し上演する。お岩の夫・伊右衛門役の染五郎は「初めて伊右衛門をやらせていただきます。今回、上演するのは久しぶりになるのですが、「夢の場」をつけています。お岩とはそもそも夫婦であったことがよくわかる場面で、それとの対比の中で悲劇を描きます。新しい歌舞伎座になって初めて、宙乗りが昼夜の公演であります。歌舞伎ならではのスペクタクルな舞台を楽しんでいただけたら」と話す。お岩を演じる菊之助は「190年ぐらい前の作品で、私の祖先にあたる三代目菊五郎がお岩役で初演していて、生涯で9回演じている音羽屋ゆかりの演目です。最近は音羽屋とは少し縁遠くなっていたので、染五郎さんとやらせていただく機会を得て大変うれしく思います。暑い最中ではありますが、お客さまに背筋が凍る思いをしていただけるよう頑張りたい」。岩藤を演じるのは松緑。「宙乗りや早変わりがあります。猿翁の兄さんや猿之助さんではなくて、私がさせていただくというのは青天の霹靂といいますか。慣れないことばかりです。早拵えなどは、染五郎さんや菊之助さんが慣れていらっしゃるので、アドバイスをいただいていい舞台を」と話しながら、「幽霊のおっかないところからきれいになるところが眼目のひとつ。アクセントをきっちりつけて演じたい」と意気込みを語った。愛之助は『加賀見山再岩藤』でお家乗っ取りを企てる望月弾正役。司会者からの質問に「悪役は好きです。ストレスがたまらないので」と答えると、すかさず松緑から「そのままだもんな」とツッコミが入り、会場の笑いを誘っていた。
2013年06月19日東京、大阪、名古屋と各地で好評を博した、二代目市川猿翁 四代目市川猿之助 九代目市川中車 襲名披露興行が6月、いよいよ博多座に登場。襲名ならではの豪華な演目も話題だが、一日でスーパー歌舞伎と古典歌舞伎を上演するのは博多座でも初となる。その公演を前に、歌舞伎の世界に入って1年を迎える市川中車が思いを語った。六月博多座大歌舞伎 チケット情報「映像の世界で27年以上やってきて、厳しい現場を通過してきているという自負はあったけど、それでも歌舞伎には驚くべき難しさがあった」と、厳しい表情で語り始めた市川中車。その難しさを「数式を使って正解を求めなければいけない。物理を解くような感覚」と例えた。歌舞伎から映像の世界へ活動の幅を広げる役者は多いが、その逆はほとんどいない。しかも46歳という年齢であれば尚更だ。「映像と歌舞伎は基本的には違うものだと思う。間だったり、型だったり、といった正解があり、それは日本人にとって、とても気持が良い『間』であることがわかった。その『間』を映像の世界に持ち帰っても、スパーンとハマったりする。きっと日本人が遺伝子レベルでもっている心地良い間なんでしょう。歌舞伎が長く愛されてきたのもわかります。碁盤の目のような整然とした印象で、その様式美を表現するのは非常にハードルが高いものです」(中車)。厳しい稽古の中、父である市川猿翁からもいくつかアドバイスがあったそう。一番、心に残っている言葉は「もっと突っ込め」という言葉。「突っ込むというのは、12割、15割の気持をそこにいれるということ。映像の現場でも80%の演技ではOKが出ない、100%だとOKが出るかもしれないけど、監督やカメラメンが嬉々として喜ぶカットというのは150%の演技を出した時だ、ということを元々僕も思っていた。『芝居を突っ込む』という父の言葉を聞いた時、同じ考えなんだ、と。たった何秒だったけど、僕達父子にとって確かな交流になった瞬間でしたね」(中車)。今回は、注目の襲名披露興行ということもあり、これまで歌舞伎を観たことがない方が劇場に足を運ぶことも多そうだ。「実はまだ歌舞伎を観たことがないという方は芸能界にも意外に多くて、ナイナイの岡村さんもそうだった。でも観て頂いた後、すごくハマってもらえて。客席の反応のひとつとしてすごく自信になりましたね。とは言え、完成された様式美でありながら演じる役者によって違いがあるのが本当の歌舞伎の面白さ。これまで歌舞伎をやってきて、どれだけ自分が完成されてないかということを日々痛感してますが、(歌舞伎の)長い歴史の中のエポックメイキング的な出来事として、この不完全な感じも見届けて頂ければ嬉しいですね」(中車)。公演は6月2日(日)から26日(水)まで、福岡・博多座にて。チケットは発売中。
2013年05月30日市川染五郎、片岡愛之助、中村勘九郎、中村七之助が出演する『明治座五月花形歌舞伎』が5月3日、東京・明治座で開幕した。明治座五月花形歌舞伎のチケット情報次代の歌舞伎界を担う若手花形役者がそれぞれ大役に挑戦するこの公演。初日は好天にも恵まれ、開幕前には出演者による初日の挨拶と、地元の小学生へプレゼントを贈るイベントが行われ、劇場前には大勢のファンが詰めかけた。染五郎は「(新開場した)歌舞伎座に負けじと、熱い熱い舞台を勤めます」と挨拶、七之助も「歌舞伎座より料金が良心的です!」とアピールし、公演への意気込みをみせた。昼の部は勘九郎が平家方の武将・斎藤実盛を演じる『実盛物語(さねもりものがたり)』で幕を開ける。平家に仕えながらも、元は源氏の武将だったことから密かに源氏再興を願う実盛。知勇にすぐれ、颯爽とした武将という役どころを勘九郎が好演。後半、子役との芝居でみせる優しいまなざしが勘九郎の人柄を表しているようだった。続いて、染五郎が美男の若旦那・与三郎を、七之助が妖艶な美女・お富を演じる『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』。ふたりが一瞬にして恋におちる“見染の場”が最初のみどころだが、染五郎、七之助ともに匂い立つような美しさで客席からため息まじりの声も。人気狂言に新たなカップルが誕生した。今回は、上演機会の少ない『赤間別荘』の場を盛り込み、与三郎が斬られる件も上演。全体的に物語がわかりやすくなるよう工夫されていた。夜の部は徳川慶喜が江戸を去る前日の出来事を描いた『将軍江戸を去る』。慶喜(染五郎)が水戸退隠を延期する予定だと聞いた山岡鉄太郎(勘九郎)が、一命をかけ慶喜を説得する場面が見せ場。染五郎は将軍に相応しい気品と大きさをみせつつ、憔悴し苦悩する姿を体現。対する勘九郎は言葉のひとつひとつに熱い思いを込めて力強く語り、緊迫感のあるドラマを作り上げていた。『将軍~』の後は、うってかわって華やかな舞踊『藤娘』。七之助が可憐な藤の精に扮し、恋する女心をしっとり愛らしくみせる。特に冒頭の幕開きは、歌舞伎ならではの目の覚めるような演出で観客を魅了。場面ごとにかわる豪華な衣裳も楽しい。最後は愛之助が水の中の立ち回りで大奮闘をみせる『鯉つかみ』。東京で上演されるのはこれが初めてとあって、鯉との格闘シーンに観客も大興奮。巨大な鯉から鯉の精に扮した愛之助が現れる趣向の宙乗りもあり、見どころ満載の舞台に拍手喝采だった。公演は5月27日(月)まで。チケットぴあでは一等席の当日引換券・一般及び学割チケットを発売中。
2013年05月08日「梨園」とは歌舞伎の世界を表す言葉ですが、普通の人間にその中はどうなっているのかよく分かりません。この「梨園」で輝く歌舞伎役者さんについていろいろご紹介します。■歌舞伎役者の給料ってどこから出るの?歌舞伎役者の皆さんの給料はどこから出ているのでしょうか。例えば、芸能事務所に属して、一般のサラリーマンのように月給制や年俸制のような人を除けば、基本的には「自由業」です。ですから、仕事その都度のギャラを集積したものが収入になります。有名な役者さんであれば、舞台興行の出演代、諸手当、またお弟子さんたちからのお稽古代などが主な収入源。ほかにCM出演代、講演代金など副次収入も多いでしょう。どのくらいの金額になるかは不明ですが、手がかりはあります。2004年度分までは「高額納税者公示制度」というシステムがありました。今から9年前のデータになりますが……。市川海老蔵さん納税額:4,970万円推定の年収額:1億4,100万円松本幸四郎さん納税額:4,101万円推定の年収額:1億1,800万円坂東玉三郎さん納税額:2,848万円推定の年収額:8,400万円以上が「歌舞伎役者」におけるトップ3でした。■そもそも「屋号」って何!?歌舞伎役者には「屋号」がつきものです。舞台の役者に「成田屋っ!」とか「音羽屋っ!」とか声がかかります。あれがその役者の「屋号」です。そもそも「屋号」が付くようになったのは江戸時代までさかのぼります。そもそも歌舞伎役者は身分上は大変に低いものとされていました。芸事でいかに人気があっても社会的な地位はとても低いものだったのです。簡単にいえば「無職」とされていたわけです。江戸時代、無職の者は家を構えてはならないという慣習がありました。そのため歌舞伎役者は人気もあってお金があるのに、家も持てない状況でした。しかし社会的地位が向上するにつれ、役者の中から商売を始めて店を構える人が登場します(なにせ人気役者はお金を持っていたので)。「商売をしていますので家を出しますよ」という一種のカバーストーリーでもありました。そのうち、我も我もと誰もが商店を出すようになります。「スター」と「小商い」が切り離せないのは昔も今も同じです(笑)。やがて役者の間で、お互いの名前を呼ぶのに、役者名ではなくこの商店の名前を使うようになります。「音羽屋さんよぅ」なんて感じですね。これが一般に伝わって歌舞伎役者を呼ぶ際の「役者屋号」になりました。ただし、役者屋号がすべて商店の名前から採られているわけではありません。自分が信仰している寺社の名称から採ったものもありますし、由来が分からなくなってしまっているものなどもあって、さまざまなのです。ちなみに歌舞伎役者を名字や名跡で呼ぶのは失礼に当たります。屋号を使って「成田屋さんはどう思われますか?」などのように使います。■有名な役者屋号役者屋号で有名なものを挙げてみましょう。●成田屋(なりたや)歌舞伎役者の屋号は、そもそもこの「成田屋」から始まったといわれます。先日他界された市川團十郎さん、市川海老蔵さん、いわゆる「市川宗家」が成田屋です。●中村屋(なかむらや)先日、亡くなられた中村勘三郎(五代目中村勘九郎)さんの屋号です。江戸三座と呼ばれた歌舞伎座「中村座」が由来です。●澤瀉屋(おもだかや)俳優の香川照之さんが九代目「市川中車」(ちゅうしゃ)を名乗っていますが、澤瀉屋はこの市川家の屋号です。おもだかは薬草の名前です。初代市川猿之助の生家が薬屋で、おもだかを扱っていたのでそこから採ったとのこと。●高麗屋(こうらいや)松本幸四郎さん、市川染五郎さんはこの「高麗屋」。初代松本幸四郎さんが丁稚奉公をしていた商家から採ったそうです。●萬屋(よろずや)映画の大スターであった中村錦之助さんの小川家が独立して1971年にできた屋号。中村錦之助さんはこれで「萬屋錦之介」になったわけです。中村獅童さんはこの萬屋一門です。ほかにも、『鬼平犯科帳』の鬼平役で有名な中村吉右衛門さんの「播磨屋」(はりまや)、坂東玉三郎さんの「大和屋」などが有名です。ちなみに、歌舞伎の舞台でかかる掛け声は専門の人がやっています。間違っても自分もやってやろうと思わないようにしてください(笑)。■歌舞伎役者になる方法はあるのか?歌舞伎役者の家に生まれないと歌舞伎役者になれないのでしょうか。一応、道は二つあることになっています。●歌舞伎役者の下に弟子入りする●「伝統芸能伝承者養成所」へ入学する「弟子入り」の場合は、歌舞伎役者の下に師事して修業を積み、舞台に上がれるようチャンスをうかがうわけです。「伝統芸能伝承者養成所」は、独立行政法人「日本芸術文化振興会」が運営しています。歌舞伎俳優の研修生募集では「中学校卒業以上23歳までの男子」が対象です。研修生にうまくなれたら3年間さまざまな授業を受けます。研修後は舞台に立てるように指導してもらえるようです。このコースは1970年(昭和45年)に開催され、現在までに研修出身者90人が歌舞伎の舞台で活躍しているそうです。(高橋モータース@dcp)⇒独立行政法人「日本芸術文化振興会」の研修生に関するページ
2013年03月28日8月に舞台のセリから転落して大ケガを負った歌舞伎俳優の市川染五郎が都内で会見を開き、復帰舞台となる『日生劇場 二月大歌舞伎』への意気込みを語った。会見には父・松本幸四郎、共演の中村福助も登場した。『日生劇場 二月大歌舞伎』チケット情報染五郎は「2月に舞台に出させていただくことを許され、感謝しております。自分がもしかしたら(この場に)いなかったかもしれないということを考えますと、生かされた責任と役目を全うして勤めてきたいと思います」と挨拶。幸四郎は「こうして制作発表が出来る日がくるとは、私も一時は思いませんでした」と一時は最悪の事態を覚悟をしたほどの大ケガだったことを思い、染五郎の復帰を心から喜んでいる様子だった。「(口上では)役者としてよりも、父・幸四郎として、ご挨拶とお詫び、お礼、そしていろいろなことを歌舞伎の口上の形式を借りて申し上げたいと思います」と語った。福助は、義兄の中村勘三郎さんが12月5日に亡くなったばかりとあって、その話に質問が及ぶと「勘三郎兄さんは病床の中でも染五郎さんの容体を気にしていました。きっとこの復帰公演も天国から応援してくれると思います」と話し、染五郎も「常に歌舞伎に対して危機感を持っていたんじゃないかと思います。その精神を受け継いで、生きている歌舞伎を作っていきたいと思っています」と勘三郎さんへの想いを語った。公演は2月4日(月)から26日(火)まで東京・日生劇場にて上演。チケットは12月20日(木)より一般発売開始。なお、チケットぴあでは12月16日(日)11:00までインターネット先行抽選・プレリザーブを受付中。
2012年12月14日歌舞伎俳優の市川猿之助と市川中車が12月4日、都内で会見を開き、来年1月の大阪・松竹座「壽初春大歌舞伎」への意気込みを語った。大阪・松竹座「壽初春大歌舞伎」チケット情報今年6月、7月に東京・新橋演舞場で襲名披露興行が行われたが、来年からいよいよ大阪を皮切りに全国を回るツアーがスタートする。大阪・道頓堀で元旦から歌舞伎の幕が開くのは実に50年ぶり。四代目を襲名した猿之助は「襲名と正月のおめでたさを味わっていただきたい」とコメント。俳優・香川照之として活動しながら九代目を襲名した中車は「無事に初舞台を勤めることができましたのも四代目(猿之助)のおかげ。引き続き、精進していくことに変わりはございません」と歌舞伎俳優としての決意を語った。昼の部の『吉野山』、夜の部の『義経千本桜』(「四の切」)で狐忠信を演じる猿之助は「三代目(猿之助)の『四の切』は神業に近いと思っているので、それをやらせていただくことは非常にありがたいです。ただ、考えてみたら襲名で人間の役をひとつもやっていない。鬼か狐か鳥か」と笑わせ、「どこまでこの役を深めていけるか挑戦したいです」と意欲を見せた。中車は昼の部『楼門五三桐』で石川五右衛門役に挑戦する。同演目は7月の新橋演舞場で市川猿翁の真柴久吉、市川海老蔵の五右衛門で上演されたばかり。そのときは、父・猿翁の後ろで黒子として付いていた中車だが「海老蔵さんのハリのある声を後ろで聞いていたわけですが、まさか自分があそこに立つとは。いま、稽古をしながら古典の壁の高さを感じています。本当に未熟ではございますが、なんとか頑張っていま勉強している最中です」と心境を明かした。また猿翁との初共演については「いざそうなってみるとそういうことかという感覚ですね。大本にある役者としての感情は、6・7月の舞台や稽古を通して父と確認しあいました」と話していた。襲名興行だけにチケットの売れ行きを気にする猿之助は、中車が演じる五右衛門のセリフ“絶景かな”にひっかけ、「空席があると“絶景かな”とはなかなか言いにくいのですから、宣伝をよろしくお願いします」とマスコミに依頼する場面も。一方で、多くの観客に歌舞伎を見て欲しいという気持ちから「若者向けの芝居も必要。いろんな公演の形態があってもいい」と話す猿之助。映像の仕事が多かった中車は「(歌舞伎の舞台に立って)初めて舞台が面白いと思いました。猿之助の美しさとこの細いからだで背負っているものの大きさ。そういったものを見ると理屈でなく感動します」と歌舞伎の面白さをアピールしていた。公演は1月1日(火・祝) から1月26日(土)まで。チケットは発売中。
2012年12月07日「劇団☆新感線」の公演をカメラで捉えて映画館で上映するゲキ×シネの最新作で2011年に新キャストで上演され話題を呼んだ『髑髏城の七人』の完成披露試写会が11月26日(月)に都内で開催。主演の小栗旬を始め、森山未來、早乙女太一、小池栄子、勝地涼が舞台挨拶に登壇した。1990年の初演以来、看板俳優の古田新太や歌舞伎役者の市川染五郎を主演に配し上演されてきた同劇団の代表作を、若手キャストを迎えて再構築。かつては織田信長の配下にあった3人の男たちの運命が豊臣秀吉による天下統一を目前に控えた戦国末期の関東で再び交錯する。1年前に上演した芝居を改めて映像で鑑賞し、小栗さんは「普通に面白かったです。小池さんに泣かされそうになりました。すげぇいいんですよ、栄子さん」としみじみと語る。新感線への参加は初めてだったが、かつて主役の捨之介を演じた古田新太から「森山と早乙女と一緒にやるのは大変だろうが頑張れと言ってもらった」と明かした。天魔王を演じた森山さんは「新感線のみなさんはおじさん、おばさんで(笑)、靭帯を切ってたりヘルニアや痛風を持ってるので、そういうのを持ってない僕らが何をできるか?と考えました」と若さをアピール。勝地さんは現場のムードメーカーだったよう。公演中は体力を維持するために様々な精力剤に手を出したそうで「すっぽん、赤マムシ、ユンケル…飲まないとやってられなかった」と語ったが、「真っ先に声が枯れてたよね?」(小池さん)、「太ってた」(森山さん)、「腕がパンパンになってたよね?」(小栗さん)と次々と突っ込まれていた。さらに、古田新太から届いたお祝いの映像メッセージではひとりだけ名前を呼ばれずに「おいっ!」と抗議の声を上げ笑いを誘った。最年少の早乙女さんは、個性あふれる“先輩方”を尻目に静かに佇んでいたが、劇中の森山さん演じる天魔王から真っ赤な毒を口移しで盛られる官能的とも言えるシーンについて、森山さんが「後日、太一とご飯食べに行って『ぶっちゃけ、口移しどうだった?』って聞いたら、『マジで酒臭くて嫌だった』と言われた」と暴露すると、「酒臭いんですよ!」と苦笑い。また公演のラスト2~3週間は、公演後に森山さんの楽屋にみんなで集まりアイシングをして乾杯していたことが明かされたが、ここでも「太一だけは(演出の)いのうえさんが降りてくる前に帰ってた」と再び森山さんがニヤニヤと暴露。小池さんの「(みんなと)いたくないんじゃなくて、(家に)帰りたいんだよね(笑)?」というフォローに「帰りたいんですよ。帰って風呂入ってゆっくりして寝て、また劇場に行くという感じでした」と照れくさそうに笑みを浮かべていた。ゲキ×シネ『髑髏城の七人』は2013年1月5日(土)より新宿バルト9で先行公開。同年1月12日(土)より全国にて公開。■関連作品:髑髏城の七人 2013年1月5日より新宿バルト9にて先行公開、1月12日より全国にて公開© 2012-2013 VILLAGE INC.
2012年11月26日岡田准一が15日に主演を務めた映画『天地明察』の初日舞台あいさつを東京・有楽町の丸の内ピカデリーで行った。共演する宮崎あおい、横山裕、笠原秀幸、原作者の冲方丁、滝田洋二郎監督が同席。岡田は日本独自の暦作りに挑んだ安井算哲を熱演し、「僕にとっては転機となった大切な作品。滝田監督や映画に人生をかけるスタッフのみなさんとご一緒できたことは自分の宝物です」と感無量の面持ちだった。その他の写真本作は、第31回吉川英治文学新人賞、2010年本屋大賞に輝いた同名小説の映画化。江戸時代前期を舞台に、それまで800年にわたり使用されてきた暦の誤りを見抜き、日本独自の暦“大和暦”を作り上げた安井算哲(後の渋川春海)の青春物語を描く。主人公・算哲を支える妻・えんを演じた宮崎は「みんなで心を込めた作品。ずっと愛してもらえる映画になっていると思う」とやはり本作への思いは格別。『おくりびと』で米アカデミー賞外国語映画賞を受賞後、初めてメガホンをとった滝田監督は「映画は今日から僕らの手を離れ、お客様が育ててくださる。たくさんの人に見られて幸せ」とコメントにも力が入った。本作に出演する歌舞伎俳優・市川染五郎(宮栖川友麿役)は、8月27日に東京・国立劇場での転落事故で負傷し、現在は入院中。この日、染五郎から「この作品を観て、日本人全員が上を向いて、夢に向かっていける日本になるよう、病室からではありますが祈っております」とメッセージが届くと、岡田は「大変な中、お心遣いいただきありがとうございます」と感謝の意。「現場では優しく見守っていただきながら、大変お世話になった先輩。一日も早く回復して、また優美な素晴らしい踊りやお芝居を観られることを願っています」とエールを送り、滝田監督も「染五郎さんは歌舞伎界にとっても大切な方。早くけがを治して、また一緒に仕事したい」と語った。『天地明察』公開中
2012年09月18日映画『天地明察』が9月15日(土)に公開を迎え、主演の岡田准一(V6)を始め、宮崎あおい、横山裕(関ジャニ∞)、笠原秀幸、原作者の冲方丁、滝田洋二郎監督が都内劇場で行われた舞台挨拶に登壇した。本屋大賞を受賞した冲方さんの同名小説を映画化した本作。江戸時代にずれが生じ始めた暦の改革に乗り出し、幕府、そして朝廷までをも巻き込みながら生涯をかけて完成させた安井算哲の姿を描く。舞台挨拶に先立って、映画館のある有楽町マリオン1Fの屋外スペース「ルミネパサージュ」には、劇中にも登場する天体を観測するための巨大な装置“大渾天儀”が設置され、登壇陣はお披露目セレモニーに臨んだ。滝田監督は江戸時代のプラネタリウムとも言うべき大渾天儀を前に、「日本人は400年以上前からこれで夜空を眺めてきました。映画ではたくさんの星が出てきますが、江戸時代の星空を再現しました。プラネタリウムに行った気分で楽しんでいただければ」と語った。続いての舞台挨拶では、映画を観終わったばかりの観客の大歓声に迎えられた岡田さんは「去年の夏の暑い撮影を思い出します」としみじみ。「僕にとっては30歳を迎えて一発目の転機となった作品で、刺激を与えていただき、勉強させていただきながら臨んだ作品です」と特別な思いを明かす。岡田さんの妻役を演じた宮崎さんも「心を込めて作った映画で、ずっと愛してもらえる作品になってます」と笑顔で作品を送り出した。笠原さんは真夏の撮影で公家役の衣裳に苦しんだよう。「心が折れそうになったんですが、岡田さんを見たら涼しい顔をしてて勇気をもらいました。それも2日もして見飽きたんですが、そんなときに宮崎さんが現場にいらして、おかげで最後まで乗り切ることができました」とニッコリ。横山さんは出家した役柄ということで、劇中では坊主頭だったが「そのままコンビニに行って『どうかしたんですか?』と言われましたね(笑)」と楽しそうに撮影の日々を思い返していた。この日は、本作に出演しており、舞台中のケガで現在療養中の市川染五郎からの手紙も届いた。ケガのために先日の完成披露舞台挨拶を欠席したことを改めて詫びると共に、本作により「日本人が上を向いて、夢を持って生きていけるようになることを願っています」とのメッセージが読み上げられた。滝田監督は「(染五郎さんは)歌舞伎界はもちろん、映画界にとっても大切な人。また一緒にお仕事したいです」と語り、岡田さんは「お世話になった先輩であり、優しく見守っていただきました」と改めて感謝の思いを口にした。舞台挨拶の最後にもう一度マイクを握った岡田さんは「滝田組で仕事ができて幸せでした。映画が好きで映画に人生をかけているスタッフのみなさんとの仕事ができたことは僕にとって宝物になっています」と熱い思いを吐露。滝田監督は登壇陣に「最後までありがとうございました」と頭を下げると共に客席に向かって「日本映画をよろしくお願いします」と呼びかけ、会場は温かい拍手に包まれた。『天地明察』は丸の内ピカデリーほか全国にて公開中。■関連作品:天地明察 2012年9月15日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2012「天地明察」製作委員会
2012年09月15日映画『夢売るふたり』が9月8日(土)に公開を迎え、都内劇場で初回上映前に行われた舞台挨拶に主演の松たか子に阿部サダヲ、田中麗奈、鈴木砂羽、木村多江、江原由夏、笑福亭鶴瓶、西川美和監督が登壇。また本作が、すでに発表された第37回トロント国際映画祭に続き、第31回バンクーバー国際映画祭、第56回ロンドン映画祭、第48回シカゴ国際映画祭など各国の映画祭に出品されることが明らかになった。『ゆれる』、『ディア・ドクター』の西川監督の最新作で松さんと阿部さんは夫婦役で初共演。火事で全てを失った2人が再起のために結婚詐欺で女性たちから金を巻き上げていく姿を描く。この日は「いまだから言いたいこと」をテーマに、登壇陣がフリップに書いた答えを一斉に発表。ほんの数秒のあるシーンのために松さんはとある特殊技能の免許を取らなくてはならなかったが、監督やスタッフも松さんに付き合って一緒に講習、試験を受けたそう。松さんのフリップには「一緒に受験してくれてありがとう」と感謝の言葉が綴られた。監督が講習をふり返り「授業中に居眠りする松たか子を初めて見ました(笑)」と明かすと、松さんは「私も人間なので…」と苦笑いを浮かべていた。阿部さんも監督に向けて「いろんな表情を引き出してくれてありがとう」と感謝の言葉。「火をつけられたり、何かをかけられたり、ひっぱたかれたり、セックスしたり…。『あんな顔するんだ?おれ』と思いました」と嬉しそうに語る。監督のフリップの下の方には小さく「アベさん本当はスキでした」との告白が。監督は「カメラの横で見ていて本当に阿部さんを好きになりそうになりました。女性スタッフに話したらみんなそう言ってました」と阿部さんの名演に、監督・スタッフまでもが劇中の女たちさながらに心奪われたよう。それを聞いた前作『ディア・ドクター』で主演を務めた鶴瓶さんが「『ディア・ドクター』のときは主演俳優を好きになることはなかったんですか?」と心外そうに突っ込むと、監督は「それは…」と口ごもり客席は笑いに包まれた。ウェイトリフティングに全てを懸ける女性を演じた江原さんは、4か月にわたってトレーニングを積んで撮影に臨んだ。実際に関東大会に出場し2位に輝くなど関係者から本物の選手としてやっていけるというお墨付きをもらったというが、そんな江原さんはフリップに「もうムリ…」とトレーニング中に感じたという本音を綴った。「本当に苦しくて1日に総量で6~7トンを上げて体はボロボロでした」とふり返る。そんな江原さんの答えを予測したかのように監督のフリップの中央には「江原さん、がんばってくれてどうもありがとう」という感謝の言葉が綴られていた。田中さんと鈴木さんはそれぞれ阿部さんとのシーンでの“やり過ぎ”を謝罪。特に田中さんは阿部さんをボコボコに殴るが、鶴瓶さんは「あれはひどかったで…。『私こんなのできるかしら?』って言ってたのに、次の瞬間にやってましたから(笑)」と田中さんのバイオレンスな一面(?)を暴露。阿部さんも「男性も含めて一生のうちであんなにやられたことはないです」と語り、監督も「カットが掛かった瞬間に鶴瓶師匠が『やめたれ!』って言ってましたからね」とうなづく。田中さんは「顔が赤くなって紫になって…顔ってこんな風に腫れるんだ?って思いました(苦笑)」と申し訳なさそうに阿部さんに頭を下げていた。西川監督は明日9日(日)にトロントに向けて旅立つが「日本の結婚観などが外国でどう見られるか楽しみです」(西川監督)、「海外の方がどこに共感し、どこに違和感を持つのか?楽しみです」(松さん)と海外映画ファンの反応への期待に胸を膨らませていた。また舞台挨拶の冒頭に松さんは、先日の舞台出演中に転落して現在治療中の実兄・市川染五郎の事故に触れ、心配をかけたことを詫びると共に「順調に回復しています」と報告。「彼に少し時間をやってください」と語った。『夢売るふたり』は新宿ピカデリーほか全国にて公開中。■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年09月08日歌舞伎俳優の中村福助が、9月1日に開幕した東京・新橋演舞場の『秀山祭九月大歌舞伎』夜の部で、女方の舞踊の中でも屈指の大曲『京鹿子娘道成寺』の白拍子花子を勤めている。昨年9月の秀山祭が最後の舞台となった亡き父、七世中村芝翫を偲んでの上演だ。福助に公演への思いを訊いた。『秀山祭九月大歌舞伎』チケット情報『京鹿子娘道成寺』は、恋に狂った清姫が蛇となって若僧・安珍を鐘ごと焼き殺したという、紀州道成寺に伝わる安珍清姫伝説の後日譚とされている。ただし歌舞伎においては娘の執念よりも、若い娘の恋心を様々な形態で描き出す華やかな舞踊として、多くの人に愛されてきた。2年ぶりに舞う福助は、公演を前に息子・児太郎と共に道成寺を訪れ「歌舞伎役者だけでなく、本当にたくさんの方がなさっている、憧れの踊り」であることを再確認したという。「踊りが得意だった父が2000年に“一世一代”と銘打って踊り納めたのが、この『道成寺』でした。“父を偲ぶ”という気持ちで勤めさせていただけることは、本当に有り難く感謝しております。『道成寺』は父から手ほどきを受けて、福助襲名の際には六世中村歌右衛門のおじに教えていただきました。ふたりに共通しているのは、品格を大事にすること、根底に“娘”というものが流れていることです。その教えを大切にしています」。今回後見を勤めるのは長男の児太郎だ。「受け継いできたものを、次の世代にバトンタッチしていきたい」という思いがある。昼の部では『寺子屋』の千代を演じている。夫・松王丸の義理ある人のために幼い息子の命を差し出す、悲しくも気丈な女性だ。今回は我が子を身替わりにするため寺子屋へ連れていく「寺入り」から始まる。「切ないシーンですね。子どもを置いてきたという辛い気持ちを、楽屋に戻ってからも維持するように心掛けております」。松王丸は市川染五郎が演じる予定だったが、8月末の大けがを受けて休演に。「稽古で吉右衛門のお兄さんがとても詳しく教えていたので、私も楽しみでした。もちろん一番悔しい思いをしているのは染五郎さんですが、その思いを背負った吉右衛門のお兄さんが、精魂込めて松王丸を演じていらっしゃいます」。9月15日(土)は夜の部開幕前にトークショーを行う。「今回はビフォートークなので、ちょっとしたポイントを聞いてから観ると分かりやすかったり、歌舞伎に親しみがわいてくだされば嬉しいです。歌舞伎は敷居が高いという印象が強いので、こういう機会をどんどん設けていきたいですね」。『秀山祭九月大歌舞伎』は9月25日(火)まで、東京・新橋演舞場にて上演。チケットは発売中。中村福助のトークショー観覧にはトークショー付きチケットが必要。なおチケットぴあでは、トークショーとお弁当がセットになった観劇チケットを発売中。取材・文:山上裕子
2012年09月07日6月と7月に東京・新橋演舞場の『六月大歌舞伎』と『七月大歌舞伎』で四代目市川猿之助を襲名する市川亀治郎と、九代目市川中車(ちゅうしゃ)を襲名する俳優の香川照之らが、5月11日、東京・浅草寺で襲名披露興行の成功を祈願してお練りを行った。平日にもかかわらず、浅草寺には大勢のファンが詰めかけ、雷門前に亀治郎、香川と五代目市川團子(だんこ)を襲名する香川の息子政明君、二代目猿翁を襲名する当代市川猿之助が登場すると「おもだか屋!」と猿之助の屋号がそこかしこからかかり、大きな拍手と声援が飛んだ。亀治郎は襲名の実感はまだないそうだが、「わたくしはこの浅草で育てられたと思っております。10年間、浅草公会堂で大役をやらせていただきました。猿之助になっても一門全員でここでお芝居をやらせていただきたい」と浅草の地でのお練りに感慨もひとしおの様子。集まったファンや観光客には「今日写真を撮った方は新橋演舞場に来ていただきたい。twitterでも呟いてください。ぜひ『ヤマトタケル』を観に来てください」とまだチケットが買える6月の夜の部をアピールしていた。歌舞伎の舞台は初めてとなる香川は緊張した様子で、「まさかここでこのようなお練りをさせていただくとは夢にも思いませんでした。感謝しております。少しでも精進し、ご迷惑をおかけしませんように、この大名跡を継がしていただく責任を果たしていきたい」と決意を表していた。政明君は「市川團子を襲名しますけど、どうか宜しくお願いします」と挨拶した。襲名披露興行は6月5日(火)から29日(金)までの『六月大歌舞伎』と7月4日(水)から29日(日)までの『七月大歌舞伎』の2か月、新橋演舞場にて上演される。チケットは6月興行は発売中、7月興行は6月12日(火)より一般発売開始。
2012年05月11日歌舞伎俳優の市川染五郎が東京・新橋演舞場『五月花形歌舞伎』で『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』の源為朝を初役で演じる。祖父・初代松本白鸚、父・松本幸四郎も演じた役に挑む染五郎が現在の心境を語った。市川染五郎関連のチケット情報1969年に初演された本作は、曲亭馬琴原作の伝奇物語をもとに三島由紀夫が書いた創作歌舞伎。三島は小説以外にも『地獄変』や『鰯売恋曳網(いわしうりこいのひきあみ)』などの歌舞伎を創り、一連の作品は“三島歌舞伎”と呼ばれている。初演時は演出も三島が買って出るなど渾身の力を注ぎ、壮大な物語を幻想的でロマン溢れる歌舞伎に仕立て上げた。物語は忠誠を貫く英雄、源為朝の活躍を描いたもの。「上の巻」「中の巻」「下の巻」からなり、伊豆、四国、九州、琉球(現在の沖縄)と様々な地で繰り広げられるスケールの大きな芝居で、上演時間は休憩を入れて5時間近い。染五郎は「祖父が三島さんと創り上げた作品で、細部にわたってこだわりがあります。SF的でどこか古怪な感じもします。三島さんを筆頭に、(創作した)一座の熱を感じますね。そういうものを全て再現できれば」と意欲を語る。脚本も初演時のものを変えずに上演するそうだ。「あえて変えないでと思っているのは、この作品に対する取り組み方のひとつのテーマだと思っています。もしも変えるのであれば、初演時と同じ苦労をすべきじゃないかと。練り上げたものを通らないと変えることは出来ないです」。見どころについては「スペクタクルというよりはパンクですかね。絵に描いたようなヒーローの活躍や、役者がどれだけ輝いているか」を楽しんでと話す。今月は同じ新橋演舞場で『仮名手本忠臣蔵』の大役、大星由良之助役にも挑んでいる。「これが出来なきゃ意味が無い、高麗屋としてもとても大事な役です」。梨園の名家に生まれ、年齢とともに重責を担っていく立場になった今、歌舞伎俳優としての決意が垣間見えた。今後やってみたいことについては意外な答え。「究極は自分が書いたものを人に演じてもらって、自分は客席で観たいです」。来年は40歳を迎える。「ちょうど新しい歌舞伎座が完成する年なので、ハッキリとした目標が定められます。今年一年、来年に照準を合わせて頑張ります」。公演は新橋演舞場にて、5月1日(火)から25日(金)まで夜の部で上演する。チケットは発売中。
2012年04月18日松本幸四郎が主演するミュージカル『ラ・マンチャの男』の製作発表が4月2日、都内にて行われた。この作品は幸四郎が26歳の時から43年にわたって演じ続けている、まさに彼のライフワークと呼べるもの。共演は娘の松たか子、松本紀保ら。『ラ・マンチャの男』チケット情報はこちら『ラ・マンチャの男』はセルバンテスによる有名な小説『ドン・キホーテ』をもとにした作品。この小説は自らが伝説の騎士だという妄想に陥った男の遍歴の旅を描くものだが、ミュージカルではこれに作者・セルバンテスが投獄された史実を絡め多重構造で綴っていく。1965年にブロードウェイで初演された作品で、日本では1969年の初演以降、松本幸四郎(初演当時は市川染五郎)が主演を務めており、1970年には幸四郎はブロードウェイで海外の役者の中で約2か月にわたって主役のドン・キホーテを演じるなど、数々の伝説を残している。さらに今回、8月19日の幸四郎の古希の誕生日には上演回数1200回を達成する。そのことを幸四郎は「ありがたいこと」と話し、「初演の頃は日本では1年に2・3本ミュージカルの上演があるくらいだった。今は毎月、どこかの劇場でミュージカルをやっている」としみじみ。さらに「この作品のテーマは、人間にとって大事なことはあるべき姿のために戦うことだ、というもの。昨今の日本は厳しい状況だが、毎日命がけで努力している方々、あるべき姿のために戦っている皆様に今回の『ラ・マンチャ』を捧げたい。ひとりでも多くの方に安らぎと勇気と希望と夢を届けたい」と熱っぽく語った。またドン・キホーテが姫と慕うアルドンサ役は、次女・松たか子が扮する。この役を演じてちょうど10年目になる松は「毎回課題があり、向き合うことの多い役ですが、今までで一番の緊張感を持って演じたい」とコメント。また久しぶりにアントニア役として戻ってくる長女の松本紀保も「夢を持って生きるということの意味を問いかけてくれる作品」とこのミュージカルの魅力を語った。また、会見後半には、俳優・川原和久との交際が報道された紀保に関する質問も。幸四郎は「紀保は、私が(『ラ・マンチャの男』で)ブロードウェイに行った翌年に生まれたので、ドン・キホーテから名付けたんです。その紀保がいい“相棒”を見つけまして……」と嬉しそうに話す一幕もあった。公演は5月5日(土・祝)から28日(月)まで福岡・博多座、8月3日(金)から25日(土)に東京・帝国劇場にて。チケットは福岡公演が発売中、東京公演が5月26日(土)に一般発売開始。
2012年04月03日新橋演舞場の『三月大歌舞伎』夜の部で上演される『佐倉義民伝』で、松本幸四郎が主人公の木内宗吾を4年ぶりに演じる。3月2日(金)の初日に先立ち、3月1日、公演期間中に劇場ロビーで行われる宗吾霊堂の出開帳(でかいちょう)法要と幸四郎の囲み取材が行われた。『三月大歌舞伎』チケット情報木内宗吾は、暴政に苦しむ庶民のために、自らの命を懸けて四代将軍徳川家綱に直訴し、今なお語り継がれる実在の人物。また、今年は木内宗吾が宗吾霊として祀られてから360年という節目の年にあたる。本作では、幸四郎に加え、息子の市川染五郎が徳川家綱、孫の松本金太郎が宗吾長男彦七を演じる。高麗屋3代の出演も話題だ。会見で幸四郎は「木内宗吾は、村民たちのために命をかけて働いた素晴らしい方。心から皆のために尽くした方ですので、心して演じないと嘘になってしまう」と尊敬の念を込めて語り、「こういう役がやれるような役者になるために、今まで俳優の道を歩んできたような気がします。『英雄のいない世の中は悲惨だけれども、英雄を欲する世の中はもっと悲惨だ』とよく言われます。宗吾様は人々のために自分の命を捨てた。英雄というと偉そうに聞こえるかもしれませんが、きっとチャーミングで素敵な方だったいたのでしょう。人間として心が和む素敵なことだと思います」と語った。また、今年で70歳を迎える幸四郎。息子の染五郎、孫の金太郎と3代で同じ舞台に立つ事について「奇跡に近い」と話し、「これはお金では買えることではないし、やろうと思ってできることでもありません。自分がこれまでやってきたことが良かったかな、と思う瞬間です。我々の仕事はそう甘くはなくて、なかなかうまくはいきません。でも間違い、つまずき、失敗があり、つらくても苦しくても悲しくても、それが人生だと思っています」としみじみと語っていた。公演は同劇場にて3月26日(月)まで開催。チケットは発売中。
2012年03月02日大阪松竹座「二月花形歌舞伎」の製作発表が1月17日都内で行われ、出演者の市川染五郎、片岡愛之助、中村獅童が出席した。「二月花形歌舞伎」の公演情報次代の歌舞伎を担う人気花形役者による、古典の名作から新作歌舞伎まで、多彩な演目を揃える今回の舞台。3人は口々に本公演にかける意気込みを熱く語った。染五郎「今回の公演は四演目ございますが、全てに愛之助さん、獅童さんと共に出演いたします。昼の部はほぼ新作、夜の部は古典の名作、上演が途絶えていた作品と、かなりアグレッシブな作品の気がいたします。アグレッシブなエネルギーに乗っかりまして、それをパワーアップさせて、舞台上で暴れることが出来ればと思っています。『大當り伏見の富くじ』は、十年以上前からこの作品がやりたいと思っておりまして、それがやっと実現することにすごく興奮を覚えております。“歌舞伎でやったことのないことをやる、やったことのあるものはあえてやらない”ということを目標に徹底した喜劇を作りたいと思っています。2月は話題の舞台が多いですけれども、どこよりも目立つ公演を目指したいと思います」愛之助「一つ目の『慶安の狼』では野中小弥太というお役ですけども、獅童さん演じる丸橋忠弥とその時代を生き抜いていく二人の青春群像劇で、熱く演じたいと思います。『富くじ』では、傳七という侠客を、かっこよく演じたいと思います。そして夜の部の『すし屋』の権太は浅草で勤めさせて頂いて二度目でございますが、二度目というのは怖いものでございまして、うちの伯父の仁左衛門に手取り足取り教わりました。初心に返って勤めたいと思います。そして『研辰』は、初役の九市郎でございます。二月は染五郎さんが仰ったように、話題の舞台がたくさん開いておりますので負けないように、また外の寒さにも負けないように熱い舞台を繰り広げたいと思いますので、どうぞ千秋楽までよろしくお願いいたします」獅童「昼の部はまず、新国劇の作品であった丸橋忠弥を勤めさせて頂きます。『富くじ』は黒住平馬という役を勤めますが、どうやら禿げてる人で、カツラをかぶっている人という…途中でかつらがとれたり、とんでもない芝居になりそうです(笑)。大阪ですので、笑いにも厳しいですし、関西の芝居ですので、気をひきしめて劇場の皆様に楽しんでいただける芝居になれば、と思っています。『すし屋』では梶原平三をやらせて頂きますが、これは三度目でございます。『研辰』も皆で色々と相談しながら、野田版とは違った魅力の作品になればなと思います。こういった普段やらない演目ですとか、歴史上に残るといった公演で大役を勤めさせて頂くのは嬉しいことで、ゼロから作り上げていくということは大変な反面、喜びもありますし、わくわくする気持ちもあります。エネルギーと熱意と情熱とで、良い芝居を作りたいと思います」同世代の3人とあって、終始笑顔の絶えない会見。カメラマンの求めに応じ、照れながらもポーズを決め互いにツッコみあう様子に、3人の息の合った姿が垣間見えた。公演は2月2日(木)から26日(日)まで。
2012年01月20日染五郎38歳、松緑36歳、そして海老蔵34歳。歌舞伎の家に生まれ、伝統を受け継いで互いに切磋琢磨してきた3人が、12月の東京・日生劇場で強力タッグを組んだ姿を見せている。「七世松本幸四郎襲名百年」と銘打たれた本公演は、明治・大正・昭和と偉大な足跡を遺した名優の記念興行。そのひ孫に当たる3人の顔合わせの妙はもちろん、若手中心の勢いに溢れた舞台からは、歌舞伎の道を黙々と進む彼らの、曽祖父への決意表明のようなものが改めて伝わってくる。12月7日に幕を開けた場内は、30代ならではの3人がぶつかり合う様子に早くも熱気で包まれていた。『日生劇場十二月歌舞伎公演』チケット情報演目は昼が『碁盤忠信』と『茨木』、夜が『錣引』に『口上』を挟んで『勧進帳』。『碁盤忠信』は七世が明治44年に襲名披露で上演して以来、なんと100年ぶりの復活。こんなところにも伝統と進取の融合を図る染五郎らの想いが込められているようだ。伝説に基づいた本作は、源義経の忠臣・佐藤忠信(染五郎)が舅の小柴入道浄雲(松本錦吾)の裏切りに遭い、手近にあった碁盤を振りかざして応戦する場面が最大の見どころ。桜が咲き乱れる中、大鉄棒を持った横川覚範(海老蔵)が登場し、忠信と荒事の立回りを繰り広げる終盤は、若手らしい勢いに溢れて爽快のひと言。一方の『茨木』は、渡辺綱(海老蔵)に片腕を切られた鬼の茨木童子(松緑)が、綱の伯母・真柴に化けて腕を取り戻しにやってくるという物語。松緑は優しげな老婆のたたずまいから、たちまち鬼の本性を現す一瞬にゾクリとさせる妖気を絡ませて魅せる。夜の部では、各々のニンに合った役どころの『勧進帳』が楽しい。海老蔵の豪快で茶目っ気のある武蔵坊弁慶、松緑の思慮深く端正な富樫左衛門、そして染五郎のどこかこの世を超越したかのような風情の源義経と、三者三様の魅力が味わえる。花道を飛び六方で引っ込む海老蔵の勇壮さは、まさに弁慶役者の面目躍如。思わず客席から歓声が上がるのが、海老蔵という役者を観る楽しさだろう。その他、平家の宝を巡る悪七兵衛景清(染五郎)と三保谷四郎国俊(松緑)の一騎打ちが様式美を伝える『錣引』、黒紋付の染五郎と松緑、海老蔵が並んで述べる『口上』など、どれもここでしか観られないものばかり。昼夜通して荒事の多いラインナップとなったが、本来、荒事は江戸市民の災いを払う神性も担って演じられてきたとか。ならば本公演を観ることで、来年の息災を願うのも一興だろう。12月25日(日)まで日生劇場で上演。チケットは発売中。取材・文佐藤さくら
2011年12月08日歌舞伎をはじめ、日本初のオペラや翻訳劇にも出演した近代の名優、七世松本幸四郎が襲名してから今年でちょうど100年目となる。これを記念して、七世幸四郎の曾孫である市川染五郎、尾上松緑、市川海老蔵の3人が中心となり、七世幸四郎ゆかりの作品を上演する『日生劇場十二月歌舞伎公演』が12月7日(水)、同劇場にて開幕する。『日生劇場十二月歌舞伎公演』チケット情報染五郎は、100年ぶりの復活上演となる『碁盤忠信』で佐藤忠信役を務める。「七代目幸四郎というと、曽祖父ではありますが私にとっては伝説の名優です。『碁盤忠信』は100年前、曽祖父が襲名披露で演じた演目です。僅かに残る台本と向き合い、衣裳や音楽など荒事の新作を作るつもりで取り組みたいと思っています」と語った。また、個人的な思いとして「それぞれが自分の役割をしっかり務め、その結果、『誰がよかったですか』とお客さまに判定していただく、対決という感じで務めてみたいと思っています。私たち3人は一生この世界で同時代を生きていくわけですから歌舞伎の灯を消さないよう、力を合わせて頑張っていきたいです」と話した。茨木童子の伝説を題材にした舞踊劇の大曲『茨木』に挑む松緑は、「(『茨木』は)これを第一歩に生涯かけて務め続けられればと思っています。初役ですのでコクとまではいかないと思いますが、何とか墨絵の重厚感みたいなものが出せればと思っています」と気合の入ったコメントを寄せた。また、夜の部に3人揃って出演する『勧進帳』について「親戚3人で一年の締めくくりとしてやれることが楽しみですね」と話し、共演するふたりについても「染五郎さんとは気心が知れていて、今後ふたりで継承していきたい演目が多くあります。海老蔵さんとも互いの息はよくわかっているつもりです」と語った。海老蔵は近代随一と言われた七世の弁慶役について「今回は曽祖父が生涯におよそ1600回以上務めたとされる『勧進帳』の弁慶を務めさせていただきます。この作品自体、祖先の七代目團十郎が作ったものですので、やはり市川家のひとりとして、気を引き締めて務めていかなければなりません」と心境を語った。また「3人とも将来は歌舞伎界を支えていかねばならない立場。この公演をきっかけに改めて(歌舞伎と)真摯に向き合い、しのぎをけずり、芸道精進していきたいですね」と話していた。公演は東京・日生劇場にて12月25日(日)まで上演。チケットは発売中。なおチケットぴあでは、花道シートと厳選レストランでの食事がセットになった企画チケット及び、平日限定の筋書付チケットを発売中。
2011年11月30日