●WWDCはどんなイベントなのかAppleは2015年6月8日からの日程で、恒例となっている世界開発者会議(WWDC)をサンフランシスコで開催するとアナウンスした。今回は、このイベントで何に注目すべきかについて述べてみたい。○WWDCとは?WWDC15の参加費は1人1599ドル。もともと高額なチケットな上、昨今の円安もあって、日本円にして約20万円のチケットとなっているが、最新の情報を得ることができ、Appleの技術者のワークショップやハンズオンを受けられるため、アプリ開発者にとっては問題解決の近道であり、新たなアイディアをいち早く作り上げる場として重要視されている。WWDCは開発者向けのイベントだが、初日に行われる基調講演では最新のソフトウェアや技術的な解説に加えて、最新のハードウェアやサービスが披露される場としても活用される。そのため、開発者のみならず、一般のユーザーも、基調講演に注目している。2015年はソフトウェアとして、OS X Yosemite、iOS 8が、これらがデバイス間、あるいはクラウドを介して「連係」する機能、また新しいアプリ開発環境であるSwiftが披露された。WWDC15も、基本的には、OS Xの新バージョン、iOSの新バージョン、そしてSwiftのバージョンアップ、iCloudもしくはiTunesサービスの機能追加や刷新が軸になるとみている。WWDC15でも、将来リリースされるデバイスを見据えたOSの新機能の披露に期待することができるのではないだろうか。ただし、WWDCで披露されたソフトウェアをすぐに利用できるようになるわけではない。iOS 8は新型iPhoneがリリースされる9月中旬のタイミングからアップデート可能になった。またOS X Yosemiteの新しい写真管理アプリ「写真」(Photos)は、4月9日に公開されたOS X Yosemiteの最新バージョンとなる10.10.3でやっと利用できるようになっている。ちなみに、Mac向けのOSが「OS X」と名乗り始めてから、愛称には、ネコ科の動物に代わって、カリフォルニアの地名がつけられている。はじめはサーフィンの名所であるMavericks、現行のバージョンは美しく鋭い自然が豊かなYosemiteだ。いずれも写真がOS Xの標準の壁紙として利用されている。次の絵になる場所はどこになるだろうか。Appleは既に、いくつかの国立公園、名所の地名を登録している。Sonoma、Sequoia、Mojave、Venturaがそれに当たる。その他だとNapa、Alcatraz、Golden Gate、Hollywood、Cupertino、Tahoeといった地名も考えられる。SonomaやNapaが選ばれた場合、懐かしのWindowsの壁紙のような丘陵に広がる緑のワイン畑の風景が描かれることになるのだろうか。●「Kit」でiOSとその他デバイスをつなぐ開発環境が整う○「Kit」に注目前述の通り、WWDC15では、Mac向け、iPhone/iPad向けのOSと開発環境が軸となって、そのソフトウェア・プラットホーム的進化の方向性と具現化が見られるはずだ。そしてAppleのソフトウェア的進化の新たな側面として注目すべきは「Kit」類だ。Appleのソフトウェア開発環境には、多数の「Kit」と呼ばれるフレームワークが用意されている。iOSアプリ開発の中で利用するものも多数あるが、昨今は特定の目的のためのアプリ開発に活用したり、外部のデバイスとの連係を取るために用意されるものも増えてきた。例えばApple Watch向けには、WatchKitが用意されており、これを使ってiPhoneアプリにApple Watch向けのアプリやApple Watch向けの機能を内包することができる仕組みだ。その他にも、スマートホーム関連の連係を行うHomeKit、健康やエクササイズに関する情報を安全に蓄積するためのHealthKit、医療研究のためのアプリを開発することができるResearchKitなどによって、iPhoneやiPadと外部機器を連係させたり、Appleのデバイスをより高いセキュリティの情報を扱うために活用することが可能になる。WWDC15では、新しいKitが追加されるかもしれない。すでにAppleが取り組んでいる分野に対して開発者向けの環境を用意し、自律的に活用の幅を拡げていくことも考えられる。Appleは自動車の車載機でiPhoneを利用するためのCarPlayを有しているが、「CarKit」のようなものをより多くの開発者向けに用意し、ハンズフリーを前提としたインターフェイスに縛って、iPhoneアプリに車載機向けの機能を追加できるようにするかもしれない。同じように、Apple TV向けの開発環境「TVKit」のようなものが用意されれば、Apple TV向けのアプリも追加できるようになる。App Storeを新たに用意する必要はなく、Apple Watchのように、iPhoneやiPadのアプリにこれらのデバイス用の機能を含む、という方法を採れば良いのだ。●アプリによって変わる未来の生活○アプリによって生活が変わるアプリとこれらを開発するデベロッパーは、iPhoneやiPadの価値を高める大きな要素としてすでに評価されている。開発者たちにとって、iPhone・iPadの周辺にあるデバイスや環境でも自社のアプリが利用できるのは、ユーザー拡大とマネタイズの機会を拡げるメリットがある。Appleにとっては、身の回りのデバイスがiPhoneやiPadとの連携を強め、開発者の創造性が生かせる環境を作ることで、ユーザーのAppleデバイスへの依存性を高めることにつながり、Appleは「機種変更の際によりiPhoneを選んでもらいやすくなる」という効果がある。iPhoneで成功したモデルをより強固にし、新たな価値を作り出す、デバイス、OS、アプリとその開発者という三位一体のプラットホームへと、足場を固めることになるだろう。もう少しユーザーの目線で考えると、依存性を気にしなければ、身の回りのものに新たな機能が増えていく、そんな環境が広がっていくことになる。アプリによって生活が変わる、ということをより強く実感する未来が待っている。○個人的に期待すること最後に、個人的に、WWDC15で期待しているのは、iTunesの音楽アプリケーション、インターネットラジオサービスの刷新、Apple TVの進化だ。Appleは常々、音楽を大切にしていると表明しているが、ここ最近大きな動きは映像ストリーミングに移っている。音楽好きな筆者としては、新たな音楽との出会いを演出し、より生活の中で自然に楽しめる新しいアプリやサービスの登場に期待している。あるいは、iPhotoが「Photos」になったように、iTunesが「Music」や「DJ」に変わるような、大きな変化があっても面白い。そのときにどんな姿になっているのか、また別の機会に考えてみよう。松村太郎(まつむらたろう)1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2015年04月16日●新しいMacBookを試す!4月10日からApple StoreなどでApple Watchの展示・試着・予約がスタートしています。予約はオンラインで受け付けていますが、今オーダーしても納期の表示は「6月」。米国では1日で100万台の予約を受け付けたとの情報も流れてきており、スマートフォンの1ブランドが数年間で売ってきた台数を1日のしかも予約で軽く上回る、といった事態が起きているようです。そんな時計の狂乱の裏で発売されたのが、こちらも話題になっていたはずのMacBook。MacBook Airよりも、最も厚い部分が薄く、920gという軽さを実現し、3色が用意された新型Macを入手できたので、少しずつ感想を述べていきたいと思います。3月からのテーマとして、メインマシンにできるか? という課題があります。それについても考えていくことにしましょう。果たして、既に成熟の域に達していたMacBook Pro 13インチに勝つことができるのでしょうか。お題【MacBookを試す】解決策→(5)15インチから約1.1kg減量の破壊力●MacBookの本体以外のものを持ち歩く必要ナシ!○軽い、静か、長持ち筆者の手元には、スペースグレーのMacBookが届きました。第一印象はとにかく軽くて静かということ。さほどサイズが小さい、と感じないのは、フルサイズのキーボードと、縁がより小さくなり、解像度も高いRetinaディスプレイの存在感からでしょうか。Intel Core Mを採用し、ファンレスボディを実現したことで、既に取り払われていたDVDドライブ、ハードディスクを含め、大きめの回転する部品がなくなったのは、一つの象徴的な出来事です。結果、より薄いボディを実現しています。同時に、消費電力が多いRetinaディスプレイをまかなうために、大量のバッテリーをボディーラインに合わせて搭載する、という涙ぐましい工夫で、9時間という持続時間を実現しています。ただ、より性能が高く、少し大きなRetinaディスプレイを備えるMacBook Pro 13インチも、バッテリ持続時間を9時間まで延ばしており、13インチMacBook Airはさらに長い12時間を実現しています。まあ、ここまで長いと、「十分電池が持つ」の一言で済ませたくなってくるほどですね。だって電池が持つと言うことは、出先でも仕事が続けられる、ということなわけで、9時間というスタミナは、やはり自分の集中力や目の疲れの方が先に来る数字だと思うわけです。やはりMacBookシリーズは、充電器を持たずに外出し、バッテリーがなくなったら「もう仕事をしない!」と決めた方が良いのではないか、と。○馴染みのあるデザイン、マイナス1kgの破壊力黒いMacBookを使っていた筆者にとって、「MacBookという名前」と、「黒いボディ」(正確にはスペースグレー)が用意されるだけで、懐かしさもあってかなり惹かれるものがあります。キーボードやディスプレイなどについては次回以降触れますが、ボディデザインは、スリムになったものの、MacBook Airを踏襲するもの、と捉えることができます。つまり、手前のパームレスト部分に最薄部があり、ヒンジ部分が最も厚みを持つ、側面から見ると三角形をしているデザインというわけです。左側面のUSB-Cについてはスルーしつつ、右側側面のヘッドフォンジャックを見ると、穴の直径に合わせて高さが設定されているようにも見えます。もうヘッドフォンもBluetoothオーディオで良いじゃないか、という割り切りを見せれば、USB-Cのコネクタの高さまで、本体最厚部を切り詰める余裕もありそうな気もしてきます。次のMacBookなのか、その上位に位置するMacBook Airなのか、いずれにしてもヘッドフォンジャックの排除と薄型化は、もう少し進んでいきそうな気がしています。薄さももちろんですが、MacBookの軽さは、やはりMac史上に残る軽さ、と言えます。これまで使って来た2012年モデルのMacBook Pro 15インチRetinaディスプレイモデルよりも、MacBook Pro 13インチのほうが約400g軽かったのですが、MacBookはMacBook Pro 15インチRetinaディスプレイモデルよりも1kg以上軽い計算。MacBookを入れたリュックは、さらに軽さを実感できます。カバンの中で延長ケーブルがくだを巻いているMacBook ProのACアダプタとは異なる、iPad用のようなACアダプタも軽いわけです。しかも、持ち始めて2日目からは、ACアダプタすら持たなくなってしまいました。「電池がなくなったらその日はもう仕事をしない!」。大切なキーワードなので2度目の登場ですが、断続的に使っていると、あまり電池、なくならないですね……。話を戻すと、そもそもオプション品がないため、MacBookを1枚カバンに入れれば、Macを出先で使う上で他に持つものはありません。本体の軽さに加えて、拡張可能性が完全に取り除かれたことで、その他の持ち物もなくなった、というわけです。●MacBook Airの2011年モデルと同等の性能と言われているが……○パフォーマンスの考え方についてMacBookのパフォーマンスについては、既に様々なベンチマークでも語られているとおり、最新機種ながらさほど期待しない方が良いでしょう。2011年に発売されたCore i5モデルのMacBook Airと同等、あるいはiPad Air 2と同等、と言われています。裏を返せば、これらのマシンを現役で使っている人にとっては、パフォーマンス面で問題が出ることが少ない、と考える事もできるのです。筆者のように、テキストエディタ、iWork、iLifeで写真やビデオの編集を少々、という使い方では、パフォーマンス上の問題を感じたことはありません。アプリを全画面で1つずつ使えば、画面サイズの小ささも余り気になりません。キーボードについては、次回以降触れたいと思います。松村太郎(まつむらたろう)ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を執筆している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2015年04月14日●新しいMacBook Pro 13インチモデルを試す!「Macを4月に新調する」というテーマでお届けしているここ最近の本連載。今回からは、いよいよ機種選定のための実機テスト、と行きましょう。まずは、既に発売されているMacBook Pro 13インチ Retinaディスプレイモデルを編集部から借り、1週間のテストを行うことにしました。現在の筆者の環境を改めておさらいすると、2012年モデルの512GBのストレージを搭載したMacBook Pro 15インチRetinaディスプレイモデル。コイツを担いで3年間過ごしてきました。2.05kgは同サイズのマシンとしては軽くなった方ですが、肩掛けのカバンで背負って2時間ほど歩いていたら、首が急に痛くなってしまい、慌てて地元サンフランシスコ製のバックパックを買いました。新しい13インチモデルは、画面が小さくなり、およそ500g軽くなっています。加えて、Broadwell世代のCore i5プロセッサを搭載した128GBフラッシュストレージを搭載するモデルが、手元のマシンです。ちなみに、128GBのモデルをラインアップした点がやや引っかかりました。ProモデルでiPhoneの最大容量と同じって、ちょっと少なくないですか? そこで思ったのは、おそらくMacBook Airはなくなる、ということ。つまり、Retina化されないMacBook Airは、今のモデルあたりが最後かもしれませんね。もちろん、ユーザーや市場動向で変更されることもあるでしょうが、新しいMacBookを除くスタンダードなMacBookシリーズは、近い将来、この13インチMacBook Proの128GBモデルが最も安いモデルになるんだろうな、とぼんやり考えていました。さて、本題に戻ります。お題【MacBook Pro 13インチモデルを試す】解決策→(4)15インチからのサイズダウンも、何のその、メリットが多かった●ディスプレイが小さくなっても……○初めて、ディスプレイをサイズダウンする、という経験自分の短いMacBook歴をふりかえってみると、もしかしたら今回検討しているMacBookとMacBook Pro、いずれの場合でも、「初めてディスプレイのサイズを小さくする」経験になるかもしれません。12インチのiBook(G3)から使い始めた筆者は、カチッと固いボディとサイズ感、カッコいいキーボードが好きだったPowerBook G4 12インチ、その後デスクトップ中心の暮らしを経て、MacBook(黒)、MacBook Airと13インチを乗り継ぎ、MacBook Pro 15インチ、そしてRetina化されたMacBook Pro15インチという変遷を辿ります。12インチから始まって、13インチ、15インチと、だんだん画面サイズが大きくなっていく経験をしてきました。MacBook Pro 15インチ以降はデスクトップとの併用をしなくなり、メインマシンとして15インチのディスプレイを選んだという経緯もあります。今後もデスクトップを選ばないかもしれません。その前提でディスプレイのサイズダウンという経験がどうなるか。今回の13インチMacBook Proでサイズダウンがどうなのか、体験したかったのです。○小さいディスプレイで大丈夫だった結論から言うと、15インチから13インチのサイズダウンについて、大きなストレスを感じることはありませんでした。一応条件として、東京への出張中で、普段の仕事場のデスクではない、という違いはあります。それでも、高精細なRetinaディスプレイと、解像度の変更によって必要な時に必要な広さを利用できる利便性もあり、ディスプレイが小さくなったことへの不満は感じませんでした。また、ミーティングなどでは、視界を遮る板の面積も減るため、サイズが小さなノートブックのメリットも感じることができました。その点では、12インチのMacBook、11インチのMacBook Airは、より人と話しながら使いやすいマシン、ということになるでしょう。しばらくの使用を通じて、最近の筆者のアプリを使う際のスタイルが、不便さを減少させているのではないか、と考えるようになりました。○全画面アプリのスタイルそれは、アプリを全画面表示で使う機会が増えた、ということです。Macのアプリはこれまでも全画面表示が可能でしたが、現在のOS X Yosemiteでも、ウィンドウなどのインターフェイス表示を隠し、画面一杯にアプリの作業領域を広げるiOSアプリのような使い勝手を実現しています。もちろん広い作業領域にウインドウをいっぱい開いて、という使い方も時には便利ですが、例えば原稿を書いたり、アイディアのメモを作ったり、ニュースを読んだり、ひたすらメールを書いたりする時、他のウィンドウ(=邪念)を取り払う意味で、全画面表示を愛用しています。こうしている今も、「iA Writer Pro」というテキストエディタアプリを使って原稿を書いていますが、全画面表示をしていて、目の前には真っ白な画面と、フォント変更すらできない、自分が入力した文字列だけがひたすら表示されていくだけです。こうした使い方を前提にすると、さほど「画面が大きい方が素晴らしい」という価値観がなくなってしまいます。それ以上に、特に筆者の場合、Retinaディスプレイで文字がキレイに表示される気持ち良さの方が優先。その点で、12インチという新しいRetinaディスプレイの選択肢がMacBookによって増えることは歓迎すべきかもしれません。●「軽さ」が導く、意外な事実○カタログでは1時間だが……物事には「頃合い」というものがあります。あるいは「過ぎたるは及ばざるがごとし」とも言います。MacBook Pro 13インチのバッテリーと付き合うと、こうしたフレーズが浮かんできてしまいます。確かに、これまでの技術発展の歴史においては、モバイルデバイスにおけるバッテリーに限っては、あればあるだけ素晴らしい、という価値観もありました。しかし昨今のスマホでは、厚さと重量を決めるのはバッテリーの容量次第。それは新しいMacBookシリーズでも同じことです。同時に、画面が大きなデバイスは、本体自体の容積が大きくなるだけにディスプレイの消費以上にたくさんのバッテリーを搭載できます。15インチよりも13インチの方がバッテリーの持続時間が短いのは搭載できる容積の問題ですが、昨今のプロセッサの省電力性の向上から、バッテリーの容量が増えなくても、持続時間は長くなっています。MacBook Pro 13インチも、1時間の向上となり、カタログ値で9時間となりました。普通カタログ値はそれより短くなるというイメージが強いのですが、MacBook Proの場合、若干長くなる印象が強いです。これが10時間は持ってしまうとなると、充電なしで仕事ができなくなるのは筆者の方が先、という事態がMacBook Proでも発生してしまいそうです。○500gの違いは大きい……画面サイズの減少がさほどの問題にならない、ということが使っていてわかってきたMacBook Pro 13インチモデル。画面のサイズダウンができるなら、筆者にとってもう1つの、大きなメリットがありました。それは500g軽くなることです。荷物を極力減らすよう努めていますが、それは15インチのMacBook Proを持ち歩くためでもありました。そうした中で、ノートパソコンの重さが約3/4になるなら、インパクトも十分。新調したバックパックでも、その差を大きく感じることができるほどの違いでした。この重さの違いは戻れないですね。Retinaディスプレイといい、軽さといい、感覚的に「こりゃ戻れない」と思うと、もうだめです。ちなみに、MacBookは、13インチのMacBook Proからさらに600gほど軽くなることになっています。15インチからは1kg以上。この差にもまた注目しておきたいと思います。松村太郎(まつむらたろう)ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を執筆している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2015年04月07日●MacBook Pro 13インチという選択もアリかも?「Macを4月に新調する」というテーマでお届けしているここ最近の本連載。前回はUSB-Cポートについて触れました。Appleの「別に有線のケーブルなんて、充電しか使わないよね!」というメッセージを深読みしつつ、でも確かに「『過去の』『レガシーな』『筐体にたくさんの穴を開ける』『旧来の』ポート類が必要なユーザーはターゲットじゃないんですよね、うちは」という意味ととらえることもできます。別にケーブルやコネクタや、ボディーに空いている穴に萌えるタチではないのですが。最近、周りで2015年にMacの買い換えを検討している人たちと話をすると、割とMacBookから脱落して、という表現が適当かは分かりませんが、MacBook Pro 13インチをオーダーする人も増え始めました。ポートの問題もさることながら、もう一つ、仕事で使う上での比較が原因にありました。お題【MacBookでの外部ディスプレイを検討する】解決策→(3)外部ディスプレイで4Kを満喫したいのなら、MacBook Proの方がおすすめ●MacBookが「4Kをサポートしている」という本当の意味○MacBookは4Kをサポートしていますこれは筆者の予想ですが、2015年、Appleは4K押しをしてくるはずです。2014年に登場した27インチiMac Retina 5Kディスプレイモデルに続いて、21.5インチiMacのRetina化に期待しています。その際、1920×1080ピクセルという現行の解像度をRetina化すると、3840×2160ピクセル、すなわち4KもしくはウルトラHDの解像度に一致します。また、MacBook Proに続いて、2015年モデルのMacBook Airも4K出力に対応しました。しかしMacBookは、USB 3.1のケーブルの問題から、本体は4K出力に対応しているにも関わらず、映像出力はフルHD(1080p)までとなっています。現在はフルHDまでの対応となっているApple TVについても、次のバージョンでは4Kをサポートしなければ、さすがに買い換える動機を作り出せないでしょう。となるとAirPlayも4K対応する必要がありますね。コンテンツの対応についても、何らかの動きがあるはずです。もしも、MacBookが2015年のAppleの4Kトレンドをフルサポートする存在だとすれば、ワイヤレスで4Kの映像を出力できる仕組みを、Appleは用意してくれるんじゃないか、という期待を持っています。じゃないと、ポート削った甲斐がないじゃないか、と思うわけで。○しかし、本当に快適なのか不安もしもMacBookをデスクで利用する際には、外部ディスプレイを検討しています。以前にも触れた通り、おそらく15インチのようにノートパソコンスタンドに載せて、そのままディスプレイを使って外部キーボードで利用する、というスタイルを再現できない、と考えているからです。15インチと12インチの違い、ですね。これまで、iPhone、iPad、MacすべてのディスプレイがRetinaだった筆者からすると、できれば外部ディスプレイもRetinaレベルの高精細を求めたい。すなわち、4KのディスプレイをフルHDのスケールで利用すれば、同じことになるわけです。本体にはRetinaディスプレイ、そして外部4Kディスプレイの表示に対応するMacBook。この4Kサポートには期待していただけに、非常に嬉しい仕様でした。ところが、前述の通りケーブルの問題があることと、Retinaと4Kの同時表示が本当に快適なのか、という問題もあります。というか、ケーブルの問題で性能をもてあますとは、ますますワイヤレスによる映像出力や外部ディスプレイ機能の4K化を準備しているようにも思えてきます。しかしその場合、おそらくMacBookでなくても同じようにサポートすることになると思いますし、2015年モデルのMacBook Airがサポートする可能性もあると思います。○ProにはProなりの理由がある4K/60Hz表示は、より滑らかなリフレッシュレートを実現します。例えばウインドウの切り替えやMission Controlなどで、画面のもたつきを感じたくなければ、余裕を持ったモデルを選ぶべき、というわけです。2015年モデル以前のMacBook Airは、本体のディスプHDMI経由での4K出力に対応していました。ただ、レートは30Hzどまりとなっています。Intelの資料によると、第5世代Coreプロセッサに搭載されるIntel HD Graphics 6000は、DisplayPort 1.2で4Kの60Hz表示に対応しています。ということで2015年モデルのMacBook Airは4Kの外部出力が可能となっています。MacBook Proでも、新型の13インチモデルから、DisplayPort 1.2経由での4K/60Hz表示をサポートするようになりました。もしも、4Kディスプレイを既に持っていたり、これからデスクでの作業用に導入したい、という人にとっては、2015年モデルのMacBook AirかMacBook Proを選択すべきということになるでしょう。ただし、MacBook Airについては、非Retinaモデルとなっています。●軽さをとるか、グラフィックス性能をとるか○メインマシンとしての検討のために今回はディスプレイの軸でMacBookについて検討してみました。出先でも、仕事場の外部ディスプレイでも、Retina表示にこだわりたい、という場合は、MacBookのグラフィックスではやや不安があり、できればMacBook Proを導入した方が良い、というのが実際のところかもしれません。4Kディスプレイは、例えばDellの24インチ4Kモニタ「P2415Q」は、日本のAmazonでも5万円を切る価格になってきており、MacBook Proと4Kディスプレイ、という組み合わせはリーズナブルな組み合わせ、と見ることもできます。しかしMacBookに分があるとすれば、Retinaディスプレイを実現した上で920gという軽さの魅力です。13インチのMacBook Proは1.58kgで、その差およそ660g。「メインマシン」という検討で考える際、660gの差と拡張性を考えても、MacBook Proが対抗馬となり、このモデルを一度検証しておく必要がありそうです。というわけで、次回は、MacBook発売の前に、MacBook Pro 13インチモデルについて、実機を試して見ることにしましょう。お楽しみに。松村太郎(まつむらたろう)ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を執筆している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2015年03月31日●Appleの日本での研究開発拠点日本では、東京・六本木ヒルズにオフィスを構えるApple。同社が横浜に、大規模な研究開発拠点を設立するというニュースが流れてきた。日本に研究開発拠点を構えるという話は、安倍晋三首相が2014年12月に行ったさいたま市内の街頭演説で初めて触れた。首相は「アベノミクスの成果」であるとして政治色を強くこの情報を出したが、その後の情報は明らかにされてこなかった。その後、Appleから3月25日に正式な発表が行われ、横浜市港北区に「テクニカル・デベロップメント・センター」の開設と、2016年度中に完成させることが明らかになった。○綱島のパナソニック跡地を取得Appleがテクニカル・デベロップメント・センターを開設する場所は、もともと、パナソニック綱島事業所があった場所だ。1960年に同社が進出し、携帯電話端末・基地局などの通信関連の工場として稼働し、その後、グループの事業所として存続してきたが、2011年に閉鎖されている。横浜市は、この跡地に「Tsunashima サスティナブル・スマートタウン」と名付けての再開発を行う予定で、東横線「綱島駅」と、東横線が日吉駅で分かれて相鉄線に乗り入れる新設路線の「新綱島駅」が最寄りとなる。この再開発地区でAppleが利用するのは、総面積の約3分の1となる1万2500平方メートル。公開されているイメージ画像では、ガラス張りで波を打つ巨大な4階建ての建物が描かれている。敷地内に1200本以上の樹木を植え、エネルギー利用を40%抑えるグリーンさもアピールするとのことだ。ちなみに、安倍首相が発言した際には横浜市でも中心部により近い「みなとみらい地区」に進出するとの発言があったが、今回の進出先は異なる。当面、再開発地ができあがるまでは、みなとみらいで活動するとも伝わってきており、テクニカル・デベロップメント・センターができあがるまで、みなとみらいに仮のセンターを開設するのか、みなとみらいと綱島は別々に稼動を続けるのかは、まだよくわからない。●世界で研究開発拠点の設置の動き○日本の役割とは?Appleは現在、世界中に研究開発拠点を設置する活動を進めている。横浜以外にも、イスラエル、イギリス・ケンブリッジ、上海でも研究開発拠点の開設に触れている。その中でも、横浜は大規模なものになることが予測される。Appleのようなグローバル企業は、世界各国で売上をあげている。全体としては米国本社に計上されるが、国をまたいで資金をやりとりせず、その国の中で資金を活用することは税金対策にもなり、またオペレーションコストの削減にもつながる。例えば今回の研究開発拠点への活用も、その一例と言える。同時に、各国の優秀な技術者の現地活用もまた、新製品開発にとって有用になる。それでは、日本にはどんな期待が寄せられているのだろうか。イスラエル、イギリス、上海、横浜。これらの国や都市を見ると、それぞれの拠点に課せられた役割が何となく浮かび上がってくる。例えば、イスラエルはソフトウェアやアルゴリズムなど、イギリスはデザインや都市や社会科学、医学、上海は生産拠点とも近いことから、生産工学、といったところだろうか。こうした中で、日本の拠点の役割はどのように位置づけられているのだろうか。Appleのテクニカル・デベロップメント・センター設立にあたり、リクルートの転職情報「リクナビNEXT」には以下の職種が掲載された。IC 評価エンジニアMixed-Signal IC テストエンジニアIC検証エンジニアMixed-Signal IC プロダクトエンジニアアナログ IC デザイナーシニアCADエンジニア(フロントエンド)現在募集されているのはいずれも、ICチップにまつわるものだ。もちろん、Appleの拠点で扱われる技術開発の一部に過ぎず、またICのデザインはどちらかというと、「やりたいことを回路の設計に落とし込む」部分ともいえる。ちなみに、Mixed-Signal IC(混合IC)というのは、アナログ信号・デジタル信号の両方を扱うICチップのことだ。例えばアンテナやセンサーなどから電気的な入力をデータに変換したり、それを処理する役割を持たせることもできる。現在のスマートフォンやウェアラブルデバイスでは、端末自体がどんな入出力を持つかによって、「ハードウェアの進化」を左右する。その一方で、端末そのものを現在のサイズ、あるいはより薄いサイズに収める必要性もある。日本の産業や世界のAppleの拠点との関係、募集要項などを含めて推測すると、Appleの研究開発における横浜の拠点の役割は、5Gなどの次世代通信、4K、8Kを見据えた映像処理と伝送、カメラ・イメージセンサー技術、ディスプレイ技術、複合センサー技術、あたりになるのではないだろうか。また、日本の強みを考えると、メモリの集積技術、バッテリー、交通情報網整備や自動運転技術、金属や炭素繊維といった素材、これらの加工技術などにも期待することができる。●Apple製品に日本が関わる?○日本での研究開発日本では1999年からインターネット接続が可能な携帯電話が普及してきた。2000年代には、世界各国のモバイル技術に関わる企業が東京に研究開発拠点を置いてきた。iPhone登場時までは特異なほどにモバイルが進化し普及した国として位置づけられていたからだ。もちろん技術的な背景も大きい。良質な通信インフラやビジネスモデル、パソコンから利用するインターネットよりも急速な発展など、モバイルが伸びる土壌も整っていた。加えて、持つ人々が素早く生活に取り入れたことも、重要な要素だ。高速無線通信技術を搭載した端末を多くの人が持つことによって、どんな変化が起きるか。生活はどのように変わるか。ビジネスの変化については保守的な面もあり、あまり参考にならなかったかもしれないが、それ以外の分野の研究者たちは、目を輝かせて日本を観察していた。筆者もこうした研究に大学・大学院時代に関わることがあった。統計的に見たり、経年変化を見たりすることも重要だが、それ以上に面白かったのが、特異な現象を見つけて仮説を立て、より深く理解をするというものだった。例えば秒単位でケータイメールやワン切りを交わす高校生の日常や、おサイフケータイと財布の使い分け、ケータイカメラの研究など、次世代のサービスや未来、日本以外の国で起きうる事象を予測する上で、こうした研究は重視されていたのだ。AppleはiPodにしてもiPhoneにしても、日本からの学びを多く生かしているように感じている。10年後のApple製品の礎を、現在の日本の我々の生活から見つけることができるかもしれない。松村太郎(まつむらたろう)1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2015年03月30日東京都・南青山の岡本太郎記念館では、岡本太郎の「生命体」展を開催している。開催期間は6月14日まで(火曜休館、祝日の場合は開館)。開館時間は10:00~18:00(入館は17:30まで)。入場料は一般620円、小学生310円。同展は、一般公開されていない「生命の樹」の模型をはじめ、岡本太郎が手掛けた作品の中でも特に生命のエネルギーにあふれる油彩など約30点を展示し、太郎が表現しつづけた"いのちの強さと尊さ"に迫っている。岡本太郎は、生涯にわたって"いのち"を描きつづけてきたが、その代表的な作品が、太陽の塔の胎内に内臓されている「生命の樹」。太陽の塔を構想したとき、太郎はその胎内に"生命体"を内蔵しようと考え、アメーバから人間にいたるすべての生き物が一体となって組織する一つの"樹"を創り出した。それは動脈となり、リンパの流れとなって太陽の塔に生命を吹きこんでいる。さらに会期半ばより、第17回岡本太郎現代芸術賞で太郎賞を受賞したアートユニット「キュンチョメ」と、敏子賞を受賞した「サエボーグ」による新作の特別展示も行われる。4月1日~20日に開催するキュンチョメの「もう一度太陽の下でうまれたい」展では、太郎作品の中でも太陽をモチーフにしたものをとりあげ、新たな解釈とともに状況に抗おうとする意欲的な展示となる。なお、今年度の受賞作品を紹介している「第18回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」展も、4月12日まで川崎市岡本太郎美術館にて開催されている。
2015年03月20日●3月9日のSpring forwardイベントを前に……現在筆者が使っているMacBook Proは2012年に購入した15インチRetinaディスプレイモデルだ。Core i7 2.6GHzを備え、メモリは8GB。512GBのストレージの残りは30GBを切るようなレベルで推移している。まだまだ現役マシンとして使い続けることは可能だ。筆者が購入した中で、初めてハードディスクではなくフラッシュドライブを搭載したMacで、物理的に支障が出るパーツがほとんどない点も、長く安心して使い続けられる理由であろう。OS X Yosemiteをインストールしても、これまで通り快適に利用できている。ただ、仕事道具でもあり、「壊れるギリギリまで使う」のはリスキーだ。また飛行機で頻繁に移動する生活に変わったため、15インチモデルではなく、もう少し「軽快なメインマシン」を検討したいところだ。ちょうど、3月9日のSpring forwardイベントも開催されることだし、どういうマシンだと条件に見合うか、自分の基準を整理しておくと良いだろう。お題【MacBook Proからの買い換えマシンを考える】解決策→ディスプレイとグラフィックス性能を軸に、検討する●買い替える条件にあったマシンがない!(2015年3月8日時点)○十分に速い、昨今のMacBook Airシリーズ2014年4月にリリースされたMacBook Air 11インチの最も安いモデルを1週間使ってテストしたことがあった。Haswell Refresh世代のCore i5 1.4GHzプロセッサとメモリ4GBを搭載したモデルは、2年前の15インチMacBook Proよりもあらゆる面で快適だった。同じプロセッサを備えた最も安いiMac 21.5インチモデルも、同じ結果だった。この結果には少しショックだったことを、記憶している。もちろんこれがテクノロジーの進歩だ、とわかっている。ただ、2012年当時、3倍弱の価格のMacBook Proよりも、米国の売価で1000ドルを切る最新マシンの方が速かったからだ。それでもきびきびと動く最新マシンを前に、「これでいいじゃないか!」と叫びたくなるような、そんな経験だったのだ。○Retinaディスプレイ問題例えiMovieの編集の時に、新しく安いモデルの方がスムーズであっても、筆者にとってはまだ2012年モデルのMacBook Pro 15インチRetinaディスプレイモデルの方がアドバンテージがあった。快適な廉価モデルのMacBook Airだったが、やはりディスプレイがものを言う、と思ったのだ。ここ数年で、筆者の「良いコンピュータ」の価値観が変化したことにも気づいたのだ。iPhone、iPadがRetinaディスプレイを搭載していたから、MacでもRetinaディスプレイで使いたくなった。そこで、2012年にMacとして初めてRetinaディスプレイを搭載したMacBook Proを使うことに決めたのであった。慣れというのは怖いもので、一度RetinaディスプレイでMacを使ってしまうと、そうでないモデルを使う際に生じる文字のぼやけた輪郭がどうしても気になってしまって。Retinaディスプレイは写真やビデオをも美しく表示することはもちろん、文字の表示も別次元のモノへと高めてくれるのだ。○グラフィックス性能の充実は、これからか?個人的には、15インチMacBook Proはメインマシンとして充分なサイズと性能を発揮してくれて、しかもRetinaディスプレイでの表示を楽しむことができた。一方で、「軽快なメインマシン」という条件には当たらない。15インチのMacBook Proの場合、デスクではスタンドに載せ、外部キーボードとBluetoothのマジックトラックパッドを使っている。すると、背筋が伸びてまっすぐな姿勢で快適に仕事ができる。ところが、これより小さなマシンでは、デスクスタンドに載せると画面が小さすぎるため、おそらく外付けディスプレイが必要になる。例えば24インチ前後のディスプレイを使えると良いが、もしこちらもRetinaと同等の表示にこだわるとすれば、4Kディスプレイ、ということになる。ここでまた別の問題が生じる。2014年2月末時点で、外部4Kディスプレイに対応するMacBookシリーズは、2013年以降のRetinaモデルのMacBook Proしかない。しかも、もし60Hzで表示したい場合、結局2013年以降の15インチのMacBook Pro Retinaディスプレイモデルしか選択肢がないのだ。また、重たい15インチモデルを選ばなければならないのでは元も子もない。ということで、昨年からしばらく、あまり積極的に買い換えを検討しない、「ステイ」している状態になってしまっている。●ディスプレイ周りの性能向上がカギ○Retina + 4KのAirに期待冒頭にもあるように、現状そこまでマシン性能に不満があるわけではないので、すぐに買い換える必要がないが、筆者にとってのMacのノート型モデルに対する条件は、どちらかというとディスプレイ周りの環境に絞られてきたことがわかった。PC業界全体のトレンドとして、そこまで高い要求ではないとも思うが、2015年に登場するMacBook Airについては、ぜひ、「Retinaディスプレイのサポート」と「外部4Kディスプレイのサポート」の2点をお願いしたいところだ。iMac 5K Retinaディスプレイモデルのように、単体の5KディスプレイよりもiMacの方が安い、という逆転現象が起きているように、Appleの価格設定によっては、4KディスプレイプラスαでiMacになってしまう、ということもあり得るだろう。その場合、Retinaディスプレイ搭載のMacBook AirとiMacの2台体制になる。もし筆者と同じようなニーズを持っているユーザーがいた場合、あるいはAppleがこうしたユーザーをたくさん作り出すことができた場合、Macの販売台数はかなり伸びることも考えられる。昨今、iCloudなどのクラウドサービス、iTunes Matchによるクラウド音楽ライブラリ、Mac App Store空のアプリのインストール、DropboxやEvernote、そしてOS X Yosemiteから搭載されたマシン間での連係機能があれば、さほど不便もなくなってきたのかもしれない。松村太郎(まつむらたろう)ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を執筆している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2015年03月09日Appleの腕時計型デバイス「Apple Watch」が4月に出荷される――。そんなニュースが日本時間28日に入ってきた。2015年度第1四半期(2014年10月-12月)決算のカンファレンスコールで、同社CEOのTim Cook氏がコメントしたという。注目されるApple Watchだが、購入意向は、発表当初の2014年9月から、「情報不足」により、若干の下落が伝えられてきた。しかし、iPhone 6、iPhone 6 Plus購入者に対してCredit Swissが行った調査では、購入意向について「はい」と答えたのは29%、「おそらく」と答えた人を含めると56%に上った。iPhone 6、iPhone 6 Plusの販売台数は、2014年末までで6000万台前後とみられ、この56%という数字の通りであれば、Apple Watchは初年度で少なくとも、3000万台の販売が見込める。Appleにとって、戦略上も重要となるデバイスとなることに間違いない。このAppleにとっても重要なデバイスとなるApple Watchだが、今回はApple Watchの初期の可能性について述べてみたい。まずは"セキュリティ"という側面から触れていく。○セキュリティ対策に気を配る理由米国で生活していると、Apple Payの快適さが日々身に染みて感じられる。財布からカードを取り出し、スワイプするといったルーティンから解放され、iPhoneをかざすだけで済ませることができる。Apple Watchにも、Apple Payに利用できるNFCが内蔵されており、Apple Watchを使えば、iPhoneすら取り出さず、手首だけで決済が済ませられる。またPassbookに入っている米Starbucksのプリペイドカードや航空券なども、手首だけで通過できるという。Apple Watchは、iPhoneと連係することを前提にしているため、iPhoneの体験をそのまま手首に移転させることができることが非常に多い。裏を返せば、Apple Watchの機能を有効にする際のパスコードは重要な要素となる。そのパスコードだが、Apple Watchの発表当日、9月9日に見た際に受けた説明では、Apple Watchを腕から外して再びつけるごとにパスコードの入力を求めることができるという。本体をアクティベートしなければApple Watchは機能せず、Apple Payも利用できない。一方、iPhoneからは、ペアリングしているApple Watchのロックを解除できるようだ。Apple Watchがセキュリティ対策に気を使っている理由として考えられるのは、iPhoneの今後の使われ方が、オンラインだけでなく、個人の生活に関わるプライベートやセキュリティに関わる機能を扱うようになるから、と考えられる。Apple Watchは内蔵NFCでApple Payに対応している。これを皮切りに、SiriとHomeKitを活用した家のドアの解錠や、将来CarPlayを活用した自動車との連携も視野に入る。財布、家や車の鍵、そして何より自分の運動や心拍といった体の状態など、よりセンシティブで気を配るべき情報を扱ううえで、Apple Watchのセキュリティ機能は非常に重要なのだ。○あなたを補佐をするiPhoneのアシスタント繰り返しになるが、Apple WatchはiPhoneと連携するウェアラブルデバイスだ。Androidでも、Macでも、iPadでもない、iPhoneと組み合わせて利用する。そして、Apple Watchによって、iPhoneを握りしめる時間が大幅に減る可能性があるのだ。先ほど、Apple Payの話でApple Watchをかざせば決済が完了することを述べたが、iPhoneに通知されるメッセージ等の確認のあり方も変わる。iPhoneの通知機能は優秀で、iOS 8になって、通知ごとに返信などのアクションが可能になるなど便利になった(これはロック画面からも行える)。アプリも新着情報が届いた際に、たとえば最近では起動していないゲームが「市長、税金を回収して下さい」と通知してくる(Sim City Build Itより)。便利な反面、こうした通知のたびに、机の上のiPhoneの場所を確認して、iPhoneの画面に注目する。しかし、これがApple Watchの登場で変わる。Apple Watchはその優秀な通知機能を手首に持ってくることができるのだ。よりパーソナル、プライベート、あるいはセンシティブで身の回りの情報を、iPhoneよりも先に、即座に確認できるようになる。つまり、Apple Watchは単なる腕時計以上の存在感を帯びることになる。これはiPhoneユーザーにとって大きな魅力だ。あなたのアシスタントをしているiPhoneに増える、新たな秘書。これがApple Watchの初期の可能性であると考えられるだろう。松村太郎(まつむらたろう)1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2015年01月28日松田翔太さんが桃太郎、桐谷健太さんが浦島太郎、濱田岳さんが金太郎を演じる新CMが話題になっていますね。昔話の人気キャラ3人が実は友達だった――というストーリー、これからどんなふうに展開していくのかとワクワクしている人も多いのでは?筆者が見ていて特に気になったのは、桃ちゃん(桃太郎)が彼女持ち、しかも相手は「かぐや姫」だったというところ。「俺は桃から。彼女、竹から。それつながり」って…。どちらかというと、瓜から生まれた「瓜子姫」のほうが近いんじゃ?とか余計なことを考えてしまいました。さておき、あの3人って実際にお付き合いしたらどんな感じなんでしょう?cocoloni PROLOでは以前、「桃太郎はブラック彼氏!?」なんて記事も公開しましたが…。誰と付き合ったら一番幸せになれるか、というのを独断と偏見で分析してみようと思います。≪恋人を一番幸せにしてくれる太郎は?≫◆桃太郎:恋人の提案を却下する男鬼ヶ島の鬼が人々を苦しめていると聞き、退治に向かった桃太郎。まさに正義の味方!という感じですが、実際に鬼の暴れっぷりを見たわけではなく、村人の話を鵜呑みにして戦いに行ったのはやや軽率だったかも。相手がどの程度強いのかもわからないのに、犬・猿・キジだけを連れて出かけた無鉄砲さも、若さゆえという印象です。勝ちたいなら、まずは敵を知ることが大事。状況も知らぬまま乗り込んで行き、一方的にたたきのめした男といったら、英雄どころかちょっとひどい奴にも感じられます。こういう男性は自分が一番偉いと思っていて、周りの意見に耳を貸さない可能性大。女性とデートをする際も、自分が行きたい所にばかり連れて行き、相手が退屈していても気づいてくれないかもしれません。もしくは恋人が、「あそこに行きたい」「あれ面白いよ」と自分の知らないことについて話しても「くだらない」と却下したり。ちなみにCMでは、桃太郎は犬・猿・キジとは「団子コミュニケーション」を取っていて、団子がない日は相手にされていない様子。とりあえず、「何があってもこの人のために尽くしたい」と思わせるほどの人物ではないみたいです。◆浦島太郎:いい人すぎてだまされる男子どもたちにいじめられていた亀を助け、そのお礼として竜宮城に連れて行かれた浦島太郎。弱い者いじめが許せない心優しい青年であることは間違いありません。ただ、もしかしたら子どもと亀がグルの詐欺師だったかも、という可能性を考えることもなく、軽い気持ちで行ってしまったのは怖いもの知らずというか何というか…。良くも悪くもだまされやすい人なんじゃないでしょうか。しかも乙姫さまが「決して開けないで」と言った玉手箱を開けてしまった、約束を守れない男でもあります。こういう男性は、作り話にコロッとだまされるタイプ。恋人がいても、美女が猫をかぶって泣きついてきたら、「かわいそう」という理由で受け入れ、簡単に浮気してしまいそうです。「あの子を助けたいから」とデートの約束をドタキャンしたり、恋人からお金を借り、なかなか返してくれなかったり…優しさは大きな魅力ですが、人がよすぎるのも考えものですよね。CMでは、竜宮城に連れて行ってくれるはずの亀が驚くほど小さかったことから、桃太郎に「だから浦ちゃんモテないんだよ。彼女とかいないから乙姫にだまされるんだ」と言われていた浦島太郎。だまされやすいという解釈は間違っていないようです。◆金太郎:タフで包容力のある男毎日、山の動物たちと相撲を取り、大きなクマと戦っても負け知らずの金太郎。ある日、谷間に橋がなくて向こう岸に渡れないと困っている動物たちのため、巨大な木を倒して橋をかけてあげたそう。金太郎の歌にも「気は優しくて力持ち」という歌詞がありますが、文字通り、包容力があって頼りになる人なんですね。ちょっと若すぎる(むしろ子ども?)のと、ほとんど動物としかコミュニケーションを取っていなそうなのが気になりますが、年下&女慣れしていない男性が好きな人には合っているんじゃないかと。橋がないなら作ればいい、という柔軟な発想も素敵です。こういう問題解決力のある人って、女性としては一緒にいて安心できますよね。サバイバルスキルも高いだろうから、もしものときにも助けてくれそうだし。なので、何を考えているかサッパリわからない男性より、ピュアで単純明快な男のほうが好み!という女性には自信を持ってオススメします。あまりにもわかりやすい男は退屈でイヤという人はやめておいたほうがいいと思いますが。CMでは、桃太郎や浦島太郎と比べて「俺ってイケてない」といじけていた金太郎。でも、最終的に一番いい女を捕まえるのは、かっこいい桃太郎や、ひたすら優しい浦島太郎ではなく、地味だけど実はすごい彼のような気がします。ということで、桃太郎・浦島太郎・金太郎の中で、最も恋人を幸せにしてくれそうなのは、CMではいじられキャラの金ちゃんこと金太郎でした。…なんて妄想を繰り広げつつCMを見たら、また別の楽しみ方ができるかも!?(文=編集J)※画像はau「 あたらしい英雄、はじまるっ」よりあの人がこれまでにしてきた恋愛のすべて【無料占い】
2015年01月23日江戸一は1月31日まで、食べ放題レストラン「すたみな太郎」「すたみな太郎NEXT」「すたみな太郎NEO」にてお笑いコンビ「日本エレキテル連合」とのコラボレーションキャンペーンを実施している。「すたみな太郎」は、焼き肉・寿司・デザートを中心としたメニューを提供するバイキングレストランで、2014年7月現在で国内に129店舗を展開している。このほど行われたキャンペーンの記者発表会では、同社代表取締役社長兼CEOの小澤和貴氏が登壇し、「お客さまのニーズに対応するため、常にすたみな太郎は革新的でなければならない、変化し続けなければならないと思っています。そこで今回は、エンターテインメント界の革新的存在であるエレキテル連合のお力を借りました」とコラボレーションについて語った。今回のキャンペーンでは、日本エレキテル連合とのコラボレーションメニューを販売するほか、音声ポスターの設置やコラボレーショングッズのプレゼントなどを行う。コラボレーションメニューは「朱美ちゃんの白湯豚しゃぶしゃぶ」「細貝さんの昭和あったかおでん」の2種類で、どちらも食べ放題となる。「朱美ちゃんの白湯豚しゃぶしゃぶ」は、同コンビが演じるキャラクター「朱美ちゃん」の白い顔をイメージした白湯ダシを使った豚しゃぶしゃぶで、鶏ガラを使用した濃厚な旨みが特長。「細貝さんの昭和あったかおでん」は、同コンビが演じる「細貝さん」の"昭和っぽい風貌"をイメージしたおでんとなる。「白湯豚しゃぶしゃぶ」は「すたみな太郎」「すたみな太郎NEXT」、「昭和あったかおでん」は「すたみな太郎」のディナーのみでの提供で、いずれも「すたみな太郎NEO」では提供しない。発表会には「朱美ちゃん」と「細貝さん」に扮(ふん)した日本エレキテル連合の2人も登場し、「細貝さん」を演じる中野聡子さんは自身とコラボレーションした同社について「攻めた会社だと思いましたよ。私たちを広告に持ってきてくださるこの英断! 」とコメント。コラボメニューのおでんについては「オヤジ1人でもよし、家族でもよし。古き良き日本を思い出す素晴らしい一品でございます」と語った。「朱美ちゃん」を演じる橋本小雪さんはコラボメニューの豚しゃぶしゃぶについて「朱美とろけちゃう! 」と一言。独特の世界観を披露していた。他にも同店では、店舗のQRコードから日本エレキテル連合出演の限定ムービーにアクセスできるほか、店内のパスワードを入力することで公式WEBページからカレンダーなどのコラボグッズもダウンロードできる。また、バスタオルやちゃぶ台セットなどのグッズが抽選で当たるプレゼントキャンペーンも展開する。店頭にはボタンを押すと同コンビの音声が流れるポスターを設置し、小学生以下の子どもがいるグループには「朱美ちゃん」をモチーフにした福笑いもプレゼントする(なくなり次第終了)。また、1月12日までは「すたみな太郎」「すたみな太郎NEXT」にてディナー限定の食べ放題メニュー「熟成黒毛牛中落ちカルビ」も提供。40日間熟成させた豪州産の牛肉で、なくなり次第終了となる。
2015年01月08日●VoLTEとWi-Fi Calling2015年の注目のスマホ関連ニュースは過去を探ることで見えてくる。では、どんなトピックに注目したらいいのか。本連載では、マイナビニュースで執筆するライターに、期待が持てる2014年のスマートフォン関連ニュースについて取り上げもらう。初回は松村太郎氏のレポートをお届けする。***スマートフォンは、技術面、そして活用面で進化を続けている。デバイスとして我々が手にしている以外にも、通信技術やサービス、アプリ、アイディアなど様々な新しい取り組みが行われている。2015年のスマートフォンに関連するニュースで注目すべきテーマを5つ、紹介したい。○通信技術:VoLTEとWi-Fi Calling日本のモバイル通信は元々のレベルが高いため、料金やデータ通信の容量に目がいきがちだが、そうではない多くの国は、レガシーな仕組みから新しい仕組みへと移行することを試みる。その例がVoLTEとWi-Fi Callingだ。VoLTEはLTEを活用して高音質の通話を実現する仕組みで、日本のキャリアもサービスをスタートさせつつある。例えばiPhone 6、iPhone 6 Plusも、遅ればせながらVoLTEに対応した。VerizonやT-MobileなどのVoLTE対応キャリアで使っている場合、LTEの設定を「データのみ」から「通話とデータ」に切り替えられる。またWi-Fi CallingはT-Mobileなどがサポートする、自宅などのWi-Fiを経由してケータイにかかってくる通話を行う仕組みだ。さほどカバーエリアが充実していなかったり、いわゆるプラチナバンドを持っていないキャリアは室内の通話品質に苦しんでいる。そこで、Wi-Fiが拾えて自分の電話番号と紐付くSIMが刺さっていれば通話ができる仕組みを実現したのがWi-Fi Callingだ。特に後者はアプリで通話をするIP電話のような活用ができるが、一般の電話番号とスマートフォン本体の通話機能が使える点がアドバンテージだ。●Apple Watchの技術とIoT○S1、Force Touch、Taptic Engine次のテーマは、S1、Force Touch、Taptic Engineの3つだ。すなわち、Apple Watchの中で注目している技術である。S1は数世代前のスマートフォンの構成要素を1つのパッケージの中に収めて、時計の中に封入したようなものだ。Appleは"System in Package(SiP)"と呼んでおり、Bluetooth・Wi-Fiの無線チップまで確認されている。このチップの発展は、現在の「スマートフォンが中心」のモバイル産業を塗り替える可能性を秘めている。またForce Touchは、マルチタッチディスプレイに「押し込む」という新しい要素を加えるインターフェイスだ。タッチパネルに十分慣れてきたタイミングで新しい動作を加えることになるが、時計という非常に限られた操作領域では、有効に作用するだろう。もう1つ新しいインターフェイスとして注目しているのがTaptic Engineだ。実際に体験した筆者は、エレガントで音なく、コツンと手首に振動を与えてくれる新鮮な感覚を味わうことができた。そう考えると、途端にスマートフォンのバイブレーターが下品に聞こえてくる。ForceTouchとともに、触感に踏み込む可能性の1つと言えるだろう。○Internet of ThingsIoTとも呼ばれるモノのインターネット。身の回りのモノがインターネットにつながるようになり、これらをスマートフォンを持った人が活用する、そんな世界が訪れようとしている。スマートホーム、自動車などの大きなものは、ネットにつながることとデータ集積による学習によって、自律的に人の役に立つようになるだろう。ディスプレイやボタンすらないようなデバイスがネットにつながるようになる。あくまで人が主導権を握るためにも、スマートフォンとの連携という手段を確保しておきたいところだ。●モバイルイノベーションとFacebook後○個人を力づけるモバイルイノベーションと壁2014年は特にUberやSquare、AirBnBといった、モバイルアプリによる個人やスモールビジネスをサポートするサービスが目立った。日本への進出もあったが、商慣習や法令、あるいはこれらのサービスが解決すべき問題が、サービスが育った米国と異なる点などから、日本で上手くいかないケースも見られる。こうした文化の壁に加えて、国ごとに法令の壁も大きくなってくるだろう。例えばUberのように個人がタクシーになるサービスは、日本ではいわゆる白タク行為となってしまう。またSquareの場合でも、個人事業主でなければ個人の登録ができないことになっている。モバイルイノベーションを最大限に生かすためには、こうした障害を何らかの形で取り除いていくことが望ましい。○Facebook後のモバイルソーシャルFacebookの減速が若者世代に限らず起きている。そんなニュースが伝えられた2014年末だったが、デスクトップ発祥や文字主体のサービスから画像や動画中心のサービスに移行しつつある。スマホ化は、人間関係がよりインスタントにこなせるサービスへと人気が移り、またたくさんの文字を読まなくても成立するサービスがより多く見られるようになる、そんな傾向になってきた。実際、FacebookがリリースしているFacebook Messengerはベストアプリに選ばれており、同社が傘下に収める画像共有アプリのInstagramは文字主体のTwitterより活発なコミュニティになっている。2015年以降は、よりビデオに対しての注目が進むと思われるが、コンテンツ消費も投稿やコミュニケーションも、現在の数秒の動画よりもさらに手軽なモノに移行するのではないだろうか。ただし、ビデオの長さが短くなるわけではない、と考えている。
2015年01月02日コンピュータをもっと自由に触れられれば、もっと興味が湧いてくる。コンピュータの使い方を覚えることが目的ではなく、もっと便利に、もっと創造性を持ってコンピュータを操れるようになる。「コンピュータサイエンスをすべての子どもたちに」というコンセプトで、12月11日に世界中のアップルストアで実施された「Hour of Code」イベントでは、子ども向けに1時間の無料プログラミングワークショップが開催された。日本のアップルストアでも予約制のワークショップにはたくさんの子どもたちが訪れた。この「Hour of Code」は、プログラミング教育の普及を目指すCode.orgが主導しており、ウェブサイトで実行できる様々な教材や、学校教育に導入することができるようにするキットなどを配布している。今回アップルストアで実施されたワークショップでも、Code.orgのウェブサイトにあるプログラミング導入の教材を、iPadを使って学ぶスタイルで行われた。取材したアップルストア銀座では、夕方、学校帰りの時間帯に参加した6人の小学生・中学生が親子で訪れ、プログラミングに触れる体験を楽しんだ。○プログラミングってなんだろう?ワークショップは、アップルストアで普段パーソナルトレーニングで利用するテーブルを囲んでの少人数制で行われた。ストアが用意したiPad miniを各自が使い、アップルストアのスタッフが講師としてプログラミングの問題に取り組んでいくスタイルだ。まずコード、プログラミングとはなにか、という簡単な説明から始まる。最も簡単に言えば「iPadやiPhoneといった機械を、自分の思い通りにするための言葉」だ。なかでも、「料理」に例えるとより分かりやすいかもしれない。料理は材料を覚えてレシピを見ながら習得していく。すると、例えばレストランなどでおいしい料理が出されたときに、どんな材料を、どのように調理したか、ということが分かるようになる。もちろんただ「おいしい」ということも重要だが、なぜおいしいのかというところまで分かり、あるいはその調理方法を自分の料理に取り入れることも出来るようになる。何が起きているかイメージが湧くようになると、何がすごいのかが分かり、また自分でも試せるようになる。こうしたサイクルが生まれることでコンピュータサイエンス、プログラミングそのものに興味を持つ子どもが増えることは、急速に発展しているとは言えまだまだ新しい分野であるテクノロジー業界の将来に重要なことだ。ゆえに、Code.orgはプログラミングに触れる子どもたちを増やそうとしており、またAppleもこの活動をサポートしているのだ。○人気ゲームのキャラクターを動かしてみようCode.orgが用意したウェブ教材は、皆さんもPC、Mac、スマートフォン、タブレットからアクセスすることができる(studio.code.ac.jp)。アップルストアで使われたのは、「Hour of Code」用のコンテンツだ。このコンテンツでは、アングリーバードなどの人気ゲームのキャラクターを、自分が作ったブロック型のプログラミングを駆使して動かそうというテーマで、非常に簡単に作業を進められる。普段こうした「ゲーム内のキャラクターを動かす」には、十字キーやタッチパネル、あるいは傾きセンサーを使うものが多い。しかしiPadの画面の上でレッド(アングリーバードの鳥のキャラクター)をなぞっても、動いてくれない。自分でプログラムを作らなければならないのだ。プログラミングと行っても、はじめはとても簡単。例えば、1問目は、「前方に移動する」というブロックを2つ並べて2マス進むようにすればクリアとなる。その後ステージが進むにつれて、「右に回る」「左に回る」といったブロックを駆使して、動作の順序を組み合わせてゴールするなど、複雑性が増していく。そして、繰り返し(for)や、条件設定(while)といった、プログラミングの行数をより短くシンプルにするための仕組みを活用し、「前方に移動する」を「5回繰り返す」といったプログラムを作れるようになるところで、1時間のワークショップは終了した。○正解は一つではない世界各問題には、学ぶべきコードの書き方に関する「狙い」が用意されている。プログラミングには、より短い行数で仕上げた方が良いという価値観があるからだ。しかし、鳥のキャラクターが、5マス先の緑のキャラクターにたどり着ければ、どんな書き方をしても正解なのだ。前述の「前方に移動する」というブロックを5つ並べてももちろんよい。あるいは「前方に移動する」を「5回繰り返す」という繰り返しを使う方法もある。さらに、「前方に移動する」を「緑の豚にぶつかるまで繰り返す」という条件を設定することも可能だ。答えは1つではなく、様々なやり方が存在する。つまり答えにたどり着く自由な発想が許されている世界だ、ということも、ワークショップの中で子どもたちに伝えられた。画面内のブロックで組み立てるコードで、鳥が指示通り動いてくれること、その動き方を自分で自由に決められる。プログラミングの楽しさを体験した子どもたちは「面白かった」「考え方が変わった」「不思議な体験をした」という感想を、目を輝かせながら述べていた。○プログラミングの普及に向けて今回活用したCode.orgのHour of Codeはプログラミングの初期導入の教材だった。そのため、マウスやタッチパネルの画面でブロックを組み立てればできあがる仕組みであった。良い機能だなと思ったのは、ブロックを組み立てたプログラムが正解すると、自分で組み立てたブロックが実際のJavaScriptではどのような表現になるのか、というコードを表示する機能が付いていた点だ。例えば「繰り返し」はforで表現され、「条件」はwhileで表現される。またこれらを使うと格段にプログラムの行数が減ることも分かるのだ。こうして、実現ごとの関連性を意識させながら、より複雑なプログラムへと少しずつ進歩していくことができるようになる。今回のワークショップを見ていても、プログラミングが初めてだ、という子どもたちであっても、途中からはアップルストアのスタッフの説明を待たずにすいすいステージをクリアしながら進んでいく様子が見受けられた。もちろん1時間で何かが大きく変わる訳ではない。しかし今回来た子どもたちが、家に帰って、あるいは翌日、引き続きCode.orgの教材にアクセスして続きにひとりで取り組むことも十分にできる。さらに興味が増せば、民間でプログラミングを教える教室やイベントも増えており、ここへの参加も可能だ。子どもたちは加速度的に、プログラミングのスキルを向上させていくだろう。プログラミングを学校に導入する際のハードルは、むしろ指導する教師の側にあるのではないか、と考える事ができる。Code.orgが教員向けに、プログラミングの授業を導入するための教材を提供しているのもそのためだ。今後、学校教育の中で、プログラミングをどのような位置づけにするか、いかに人材育成をするのか、行政も含めた課題の迅速な解決を考えていかなければならない。松村太郎(まつむらたろう)1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP)、「スマートフォン新時代」(NTT出版)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2014年12月15日劇作家・演出家の松村武や俳優の八嶋智人、山崎樹範らが所属する人気劇団カムカムミニキーナ。近年は日本古来の神話や伝承に材を取り、現代社会にも通じる命題を壮大なスケールで描いて話題を呼んでいる。待望の劇団公演の最新作『G海峡』では、さらに遡って縄文時代が登場。日本演劇史でも極めてまれな素材に挑む松村と、松村演出作品に何度も出演し、今回満を持して客演する武田航平に話を聞いた。【『G海峡』チケット情報はこちら】とある商店街で強盗放火事件を起こした青年は、偶然にも同じ日、津軽海峡で青函連絡船の転覆により溺死した男に罪をかぶせて逃げのびる。だが男の婚約者は愛する人が罪を犯したことが信じられず、恐山のイタコを通じて真実を知ろうと試みる。ところが何者かが降りてきてイタコの口から語られたのは、1万年前の“縄もつ英雄”の物語で…。紀元前145世紀頃から紀元前10世紀頃まで続いたと言われる縄文時代と、21世紀に入った現代の日本。両者をつなぐ着想について松村に聞くと、「縄文時代の生き方って、実は今も日本人に受け継がれているんです。そこを知れば知るほど面白いんです」との言葉が返ってきた。「縄文時代は狩猟が主だったので野蛮なイメージがありますけど、実は出土した土器に武器のようなものはほぼ見られないんです。つまり1万年の間、戦いらしきものはなかったわけで、これってすごいことですよね。獲物が取れなかったらサッと移動していって戦わない。その感じがなんとなく『戦いなんてしねぇよ、馬鹿!』っていう寅さんみたいなイキのよさにも感じられるんです」と松村は話す。一方の武田も「たまたま日本の芸術を特集した雑誌を読んでいて、僕も縄文時代の土器から始まったアートの系譜が印象的で覚えていたんです。弥生時代の土器は実用性がメインなんですけど、縄文は違って、その芸術性を“再発見”したのが岡本太郎さんとか。松村さんと話していると、こうやって点と点がつながっていくことが多いのですごく楽しいです」と、松村に全幅の信頼を寄せている様子。「物語で皆を引っ張っていく、きっぷがよくて温かいキャラクターっていうのは、航平の客演が決まってから出来た役。そこは下町育ちである航平の素を期待して」と松村が笑えば、武田も「舞台でのスキルはまだまだこれからと感じていますが、ひとりの人間として、いち俳優として、松村さんに一緒にやりたいと思ってもらえるのが本当に嬉しい。松村さんの世界観を表現できる劇団員の皆さんに囲まれて、僕も自然にその中に入れるように一生懸命やりたいです」と目を輝かせた。物語は1万年ほど前にアジアから渡ってネイティブアメリカンの祖先となった人々や、現代のアメリカと日本を行き来する情報網、また名作映画『飢餓海峡』へのオマージュなどを取り込みながら展開。カムカムミニキーナでしか見られないその世界を、今回も楽しみに待ちたい。舞台『G海峡』は11月7日(金) から11月16日(日)東京・座・高円寺1、11月29日(土) ・30日(日)に大阪・ABCホールで上演。チケットは発売中。取材・文佐藤さくら
2014年10月10日日本の教育機関でも、盛んにタブレットが導入されるようになった。テクノロジーを活用した教育は必須だが、これまでのように特別な教室でのみ利用していたパソコンではなく、教室の設備を変えずに生徒に1人1台端末を利用してもらえるようになるタブレットには期待が高まっている。そこで、今回、オーストラリア西部の都市ロッキンガム市にある生徒数1,100人の中学・高校一貫校、Kolbe Catholic College(以下、コルベ)を訪問し、同校のiPadがある教育について取材を行った。コルベで教育のイノベーションを統括する日本人の教師、萩原伸郎氏が出迎えてくれた。萩原氏に、コルベでのiPadやテクノロジー活用とその考え方について、実際の授業を見学しながら説明してもらったが、驚きの連続であった。前後半に分けて、コルベについて、紹介していきたい。○コルベとロッキンガム市まず、取材したコルベと、同校があるロッキンガム市について触れておく。ロッキンガム市は、西オーストラリアの中心都市であるパースから車で南へ1時間ほどのところに位置する。ゴルフ場などにはカンガルーが生息し、またインド洋に面した海岸からすぐのところにある島々にはペリカンやペンギンといった動物が生息している自然にあふれた場所だ。また日本へも多く輸出されている小麦の積み出し港があったり、周辺にはワイナリーがあるなど、産業も成長しているが、非常にゆったりとした雰囲気は、休暇先としても非常に有望と言える。ロッキンガム市は毎年5%程度の人口増加があり、テクノロジーを生かした新規事業などの誘致に積極的だ。また、通常オーストラリアでは州政府が教育行政に取り組むことが一般的だが、ロッキンガム市は市として教育に取り組んでおり、市内の文教地区には大学や中・高などの学校が集められ、特色ある教育を行っている。コルベは、そんな学校の1つとして、緑の美しい広々としたキャンパスを構えている。教育に力を入れることで、その地域の特色を高めて行く市の戦略の中で、テクノロジーを活用して組み立てられるコルベの先進的な教育には、熱い視線が集まっているのだ。●Apple製品を1人1台ずつ持たせた「テクノロジーが前提の教育」○テクノロジーを教育に取り入れ、目指す姿とは?コルベは、iPad以前から、MacBook、MacBook AirなどのApple製品を1人1台ずつ持たせて、授業や課外活動全般、そして家庭での学習に利用するカリキュラムを組んできた。しかしテクノロジー教育に力を入れることが目的ではなく、「テクノロジーが前提の教育」というスタンダードの元で教育が組み立てられている。コルベで校長を務めるRobyn Miller氏は、テクノロジーがある教育について、次のように話す。「テクノロジーは、21世紀の学び方、すなわち『Connected』を内包する教育を作り出す。生徒にとって親しみがあるデバイスを選び、在学中・そして大学へいったりする際に、生徒たちがアドバンテージを手にするよう、デバイスを選んだ結果だった。教育の形をよりフレキシブルにし、コラボレーションを促進させ、また生徒が学校に学びに行きたいと思う場所になった」(Miller氏)フレキシブルとは、教師も生徒も、既存の学校での授業のスタイルにとらわれずに学習が進められるようにすること。そしてコラボレーションは議論を促進させ、一方通行の授業ではない場を作り出すことだ。また、生徒ひとり一人が学びへのエンゲージメントを高め、積極的に自分の学びを「獲りに行く」姿勢を持つことを目指しているのだ。○iPadを選ぶ理由Connectedの学びの環境は、教師や生徒がインターネットや、お互い同士がつながり続けているだけでなく、生徒が学びに常につながり続け、止まることがない事を意味する。では、なぜiPadだったのか。萩原氏は次のような点を挙げた。「デバイスとソフトウエアを1社が提供している点。これにより、習得やサポートといった、テクノロジーを使えるようにするまでの時間やコストが一気に下がっている。またアプリの充実ももちろんだが、なにより、教師が自分でコンテンツを作り、生徒に簡単に配信するための仕組みとして、iTunes UやiBooks Authorといった環境やツールが揃っている点も、活用が進むほど重要となった」(萩原氏)教育の世界でのキーワードとして、「反転授業」(ビデオ等で予習を行い、授業中に課題などに取り組む方式)があるが、萩原氏は反転授業のようなカリキュラムになった教科はそれを目指したのではなく、結果的にそうなった、と指摘する。つまり、iPadによって、教師がそれぞれ独自の教え方や資料を作り、これを生徒に簡単に配信しながらすすめられる「教え方の自由度」が高まった。同時に、教師たちの負担を減らすことも、非常に大きなテーマだったという。コルベでは、教室全体ではなく、生徒ひとりひとりへのきめ細かな教育を実現することを目指している。簡単に言えば、できる生徒をより伸ばし、できない生徒をできるようにする、という指導を同じ教室の中で行おうというアイディアだ。負担を減らしながら個別主義で指導を行うためにも、テクノロジーの助けは不可欠だ。そのため、生徒個人のデータを管理するクラウド環境を用意し、教師が手元のiPadで生徒の出欠や、他の教科を含む提出物、評価などをすぐに閲覧しながら、その生徒の特性について深く知ることができるようになっていた。この情報は保護者や生徒自身もいつでもアクセスしてみることができるようになっており、家庭でも年に数回の通知表でのフィードバックよりも、現在の状況を細かく知って、家庭での教育に役立てる事ができるようになっていた。●目の前にいる生徒たちにフィットする授業を行うことを考えた結果○教科書と教室から、授業を解放する萩原氏の教師としてのキャリアは、日本の小学校で始まった。現在のコルベへ移ってもなお続けている授業の方法として、既存の教科書を使わない、というものがある。市販の教材では、目の前にいる生徒たちに完全にフィットする授業を行うことは難しい、と考えているからだ。その考え方と、コルベでのテクノロジーを活用した教育は非常に相性が良かった。前述の通り、生徒に対する学びの自由度やコラボレーション促進といった効果、教師の負担軽減と生徒を個別に指導できる環境作りは大きいが、更に象徴的だったのは、教科書と教室から授業を解放する、というコンセプトだった。教科書は、その教科での習得を目指す事柄を学ぶための書籍だ。そして教科書に付随するワークシートやテストも利用可能な教材だ。また、クラス全体で同じ事柄を学ぼうとすると、教壇に教師が立ち、生徒が同じ方向を向いて授業を聞くスタイルが最も効率が良い。しかしこうした中でテクノロジーを導入したり、Connectedのコンセプトの学びへ変えていくことは非常に困難であることは、日本の様々な事例を見ても理解できる。萩原氏は、こうした教室の中の風景を一変させる事に成功している。独自の教材をiPadでいつでも学べる環境を作り、教室内では議論や成果物の製作などが行われていた。教室は図書館のオープンスペースや、グループごとにテーブルに分かれて座れるスタイルなど、全員が同じ方向を向いて学習する風景をほとんど見かけなかったほどだ。教師はiPadを片手に教室内のグループを周りながら、独自の教材を表示させたり、生徒ひとりひとりの情報にアクセスしたり、その振る舞いもiPadを前提としたものに変わっていた。コルベでのiPadを活用した学校の姿。既存の黒板やノートといったツールのリプレイスの範囲を超え、学び方、教え方にまでその変化がもたらされている様子は非常に印象的だった。次回、もう少しiPadが導入された際の教師側、生徒側の経緯について、詳しく紹介していきたい。松村太郎(まつむらたろう)ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を追求している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2014年05月20日コロワイド東日本は「手作り居酒屋甘太郎」の35周年を記念し、名前に太郎が付く人にお得なサービス「太郎割」を11月1日より開始する。同サービスは「甘太郎は、太郎に甘い。」がコンセプト。名前が「甘太郎」の人には、グループ全額無料(割引上限10万円)。名前に「太郎」が付く人、または含まれる人には、グループのドリンクまたは料理が半額(割引上限5,000円)、グループの宴会コース料金が10%OFF(割引上限2万円)等のサービスが受けられる。実施する店舗は、関東・関西・北海道の「手作り居酒屋 甘太郎」のほか、「遊食三昧 NIJYU-MARU」、「北の味紀行と地酒 北海道」、「うまいものいっぱい いろはにほへと」、「うまいもん酒場 えこひいき」、「贔屓屋」、「地酒とそば・京風おでん 三間堂」、「うまいもの市場 TAPA」、「Foodiun Bar 一瑳」、「魚活鮮とあぶり焼 海へ」全店舗。利用には、名前が確認できる免許証等の身分証明書が必要。団体名や社名、通称、あだ名などは不可となる。実施期間は11月1日~12月31日まで。店舗によっては利用できないサービスも一部ある。また、他券の併用や食べ放題・ランチ・タイムサービス宴会・12月の金、土曜日は利用不可。詳細は「太郎割」公式サイトで案内している。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月30日アイドルがピアスはだめなのか?人気アイドルグループSKE48の松村香織が「1コメダ」として、自身のGoogle+にアップロードし、人気を得ている日々の公開動画で、アイドルが耳にピアスについて、自身の見解を語ったことが、大きな波紋を呼んでいる。騒動の発端は、8日に公開された動画で、SKE48の握手会で接するファンから、ピアスの穴があいていることを批判されるケースがあることに言及。自分は言われたことはないとしつつも、ファッションであるピアスをなぜマイナスイメージとするのか、ピアスの穴だけで何を判断するのかと問いかけた。加えて「ピアスの穴があいてたら“推し”やめるとか、バカじゃないそんなの?」ともコメントした。行為よりも問題は発言?松村は、以前両耳にピアス穴をあけていたが、左はすでにふさがっているため、現在は右耳のみ穴をあけているという。その耳をカメラを通して見せつつ、皆さんの意見が聞きたいとさらに問いかけている。たしかにピアスはひとつのファッションであり、それを否定する権限はない。おしゃれを楽しみたい、綺麗でいたいと願う気持ちももっともだろう。コメントには、やはり「いまどきピアスぐらいで騒ぐ?」「とくに気にならない」「ダメという権限なんかない」といった声も寄せられている。一方で、「親からもらった大事な体に傷をつけること自体好きではない」とする意見や「耳たぶはいいけれど、鼻にあけるのはアウト」といった声、清純派アイドルとしては「黒髪、ピアス穴なし、できればすっぴんが理想」という意見なども寄せられた。当然、このように様々な反応がありうるのではあるが、きちんと意見をもってピアス穴をあけることは全く問題ないだろう。むしろ騒動の問題は見解の述べ方にあるのではとも思われる。先のように、ファンに対し「バカじゃない」と述べた点や、他の個所であるが、「ビッチ」という表現を用いるなどの点もみられた。なににしろ、こうした言葉を使うのはよくないと指摘するコメントも多い。あまりにも騒動とその反響が大きくなりすぎ、現在は本人も戸惑っている様子でもある。そんな彼女を心配し、元気になってほしい、気にしないでほしいと応援するコメントも次々に寄せられてきている。元の記事を読む
2012年10月11日みなさんは襖貼太郎さんという人物をご存じでしょうか?読み方は「ふすま・はりたろう」さん。その名の通り、現在ふすま屋を営んでおられる貼太郎さんは、実は地元・奈良県では非常に有名な人物なのです。表具師にして詩人である貼太郎さんの人柄と、その活動をご紹介します。観光バスから見える、ユニークCM!襖貼太郎さんは、奈良県の薬師寺近くでガラス・ふすまの取扱店、マルタカ商店を営んでおられます。なぜ、有名になったかと言えば、その斬新なユニークCMがきっかけです。貼太郎さんが営むふすま屋の店舗には、至るところに手書きの看板が掲げられています。その内容をちょっと見てみましょう。「日本一男前なふすま屋の店」「立てばふすま屋すわれば大酒飲みあるく姿は石原裕次郎」「ここのふすま屋、木村拓哉みたいやで追っかけギャルの車で大渋滞。お嬢様お願い道をあけてや運転中の皆様スミマセン男前は気を使うデ」「全国の女性の皆様御注意願いまーす。ここのふすま屋男前すぎて!!びっくり失神する女性が急増中」といった具合なのです。店舗は薬師寺へ向かう県道沿いにあるため、観光バスやタクシーで通りかかった観光客は、それはびっくりされるでしょう。襖貼太郎さんの正体とは?本人も言っておられるように、貼太郎さんは裕次郎でもキムタクでもありません。本物の襖貼太郎さんは……普通のおじさんです。ただ、実際にお話をしてみると、普通よりも元気なおじさんという印象でした。ユニークCMは、看板制作費を節約するために作ったんだそうです。襖貼太郎というお名前は、昔からの趣味である詩や小説を書く時のペンネーム。「少し前から、信号待ちの観光バスとかタクシーに向かって、プラカードの大型紙芝居もはじめたんや。修学旅行生とかバスガイドさんが、一生懸命見て笑ってくれるで。バスガイドさんがこの店のこと知ってるから、ちゃんと中高生に紹介してくれるねん。若い人たちの明るい顔が嬉しい」いい笑顔で語ってくださる貼太郎さん。彼の著書、『60歳青春ど真ん中』も口コミで全国へ広まり、多くの反響が寄せられています。若い人たちに伝えたいメッセージ「昔と違って今は、就職難の時代。大変だとは思いますが、絶えず、あきらめず、努力すれば、いつか道は開けると思います。頑張ってください」ご自身も失業を経験され、就職に悩んだ時期があるという襖貼太郎さん。若者へのメッセージをお聞きすると、このように答えてくださいました。最後に今後の目標をお聞きすると、「これからも、ユーモアCMを商売上の武器にして、ユーモアで商売繁盛を目指します!」と力強いお言葉。とてもエネルギッシュで、ユーモアあふれる男前でした。ユーモアCMの看板は、薬師寺から奈良へ向かう途中にあります。奈良観光名所の一つとして、ぜひ立ち寄ってみてください。(OFFICE-SANGA 森川ほしの)
2012年05月05日オネエタレントとして活躍するクリス松村とKABA.ちゃんが2月23日(木)、都内で行われた映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』のトークイベントに出席した。天才舞踊家として舞踊界に革命を起こしたピナ・バウシュの生前の4つの舞台や彼女の教え子たちの街角でのパフォーマンスを『ベルリン・天使の詩』のヴィム・ヴェンダース監督が3Dでカメラに収めた本作。KABA.ちゃんは「不思議な映画でした。本当に自分が舞台に立っているかのように感じました」と興奮気味に感想を語った。一方のクリスさんも「鳥肌が立ちました。正直、ダンスは関係ない。どうやったら自分らしく生きていけるかというメッセージが込められている」と語りかけた。見どころとしてクリスさんが「鍛え上げられた裸の男性が近づいてくるシーン(笑)」を挙げると会場は笑いに包まれた。クリスさんはエアロビクスのインストラクター、KABA.ちゃんは振付家として、共にジャンルは違えどダンスに情熱を燃やしてきたが、「ダンスとはどんな存在?」という質問にKABA.ちゃんは「答えを持ってません…。かっこよくも言えないし自分の中では不思議な存在」と神妙な顔。それを受けクリスさんは「私はお迎えが近いから常に踊ってないといけない。『ダンスとは何か?』と考える必要がない」と言葉では全て説明できない思いを明かした。日本でも、1960年代から70年代にかけて華麗なダンスと歌で人々を熱狂させた「フォーリーブス」の北公次が昨日亡くなったことが報じられた。コメントを求められたクリスさんは「本当に残念。(亡くなる)寸前までみなさんで活動されてたので…。結束も素晴らしく、あの歌声はいつまでも忘れません」と寂しそうに語った。『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』は2月25日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9ほか全国にて順次公開。■関連作品:Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち 2012年2月25日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9ほか全国にて順次公開© 2010 NEUE ROAD MOVIES GMBH, EUROWIDE FILM PRODUCTION■関連記事:巨匠ヴェンダース×天才舞踊家の奇跡のタッグ『ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』試写会に5組10名様ご招待【TIFFレポート】ヴィム・ヴェンダース監督、福島を訪問する予定を明かすヴェンダースが亡きダンサーに捧げる、世界初3Dアート映画『PINA 3D』日本公開決定!
2012年02月23日加藤清史郎が主演を務める映画『忍たま乱太郎』の新キャストが発表され、中村獅童と檀れいが主人公・乱太郎の父と母を演じることが決定した。その他の写真『忍たま乱太郎』は、忍術学園に通う少年・乱太郎(加藤)が、教師・山田伝蔵(寺島進)らの指導を受けながら仲間たちと修行を積み、エリート忍者を目指す姿を描く。ヒラ忍者で“半農半忍”の生活をおくっている父を演じた中村と、息子を時に温かく、時に厳しく見守る母を演じた檀。中村は「スタッフには僕と清史郎くんが似ているとよく言われていましたが、清史郎くんは経験豊かな役者さんのようにしっかりしており、僕よりも大人の様なところもあり驚きました」とコメント。檀は「子供たちが喜んでくれるよう楽しい作品を作りたいと思いお受けしました。 昨年の夏の暑い撮影の中、元気一杯乱太郎を演じていた清史郎くんは、礼儀正しい“こども店長”でした(笑)」と述べ、「くの一らしい(刃物を扱う)シーンもあり、アクションを一発で決めるのは難しかったです」と撮影を振り返っている。すでに配布されている作品の資料には、「先祖代々、ヒラ忍者の家系に生まれたけれど、エリート忍者を目指して忍たまたちの学校<忍術学園>に入学したのです!すべては父上・母上を喜ばせるため」という乱太郎のセリフが記載されており、乱太郎の父母が物語上、重要なポジションをしめていることが伺える。実写映画『忍たま乱太郎』は7月23日(土)から全国公開され、3月12日(土)からはアニメ映画『忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』も公開される。『忍たま乱太郎』7月23日(土) 宿バルト9ほか全国ロードショー!
2011年02月17日NHK教育のアニメ版も人気の『忍たま乱太郎』が、加藤清史郎を主演に迎えて実写映画化され、来夏に公開されることがわかった。忍者ポーズ!かわいいです。『忍たま乱太郎』は、エリート忍者を目指す少年・乱太郎が、忍術学園を舞台に修行と冒険を繰り広げる人気シリーズ。朝日小学生新聞での連載中の原作マンガ『落第忍者乱太郎』は開始から26年目を迎え、1993年から放映を開始したアニメ版は現在も子どもたちから熱い支持を集めている。映画では、乱太郎がきり丸、しんべヱら仲間たちと共にエリート忍者を目指して修行に励む原作1~2巻目に、45巻の物語を加えたもの。『ヤッターマン』で人気アニメを見事に実写化する一方で、『十三人の刺客』など数々の話題作を送り出している鬼才・三池崇史が監督を務める。本作のプロデューサーは加藤が出演したNHK大河ドラマ『天地人』を見て、すぐさま本作の製作を決意。加藤のほかにも溝口琢矢、三浦貴大らが出演。乱太郎たちを引っ張る忍術学校の教師・山田伝蔵役は寺島進が演じ“女装に自信のある役”との設定から、劇中で女装シーンが予定されている。本作は、7月にクランクインし現在、京都東映太秦撮影所、京都市内などで撮影中。今月末にクランクアップし、来夏に全国公開される。『忍たま乱太郎』2011年夏、全国ロードショー(C)2011実写版「忍たま乱太郎」製作委員会
2010年08月24日