長年、兄弟ユニットとして活躍してきたキリンジから離れた弟の堀込泰行さんが、ついに待望のソロ・デビュー。ファーストアルバムは、全曲洋楽のカバーという、サプライズ感のあるスタートになりました。タイトルは、『“Choice”by 堀込泰行』。「昨年の暮れ、キーボードの伊藤隆博さんと2人だけのツアーをしたのですが、そのとき洋楽のヒット曲のカバーを演奏するステージが面白いかな、と思い、このアルバムに入れた曲も全部やったんです」堀込さんも「初めての経験だった」という小編成のライブツアー「IN A SIMPLE WAY」。楽器はオルガンなどの鍵盤とギターのみ。ビートはリズムボックスを鳴らした。そして今作は、ライブで使用したアンプやギターなど、機材も同じものを使って、スタジオでレコーディングした曲もあるそう。「たまたま好きで聴いていた南米のCDが、エレクトーンとリズムボックスと歌だけという成り立ちで、そのチープな感じが面白かったんですよ。これはいいなぁ、と思い、その雰囲気を僕のツアーにも取り入れてパフォーマンスを行い、このCDができ上がりました。ただ、ライブと同じ手法で録った曲もありますが、CDで聴くことを考えて、アレンジなど手を加えたものもあります」最低限のシンプルなトラックに、堀込さんの甘く深みのあるボーカルが乗り、往年のヒット曲の数々が、面白いようにイメージチェンジ。べースと歌だけのThe Doorsの『Light My Fire』や、明るいリゾートソングがしっとりと響いてくるバリー・マニロウの『Copacabana』。原曲が有名なヒット曲ばかりなので、一曲一曲の“変身”ぶりも聴きもの。「僕の中ではすごくメジャーでスタンダードな曲ばかり。有名だからこそイジり甲斐があるというのかな、クスッと笑ってもらえることを狙って、様々な遊び心を入れながら、有名な曲を、どこまでオリジナルから離せられるか、という部分に重きを置いてアレンジしました。それと、10曲の曲順には、かなりこだわっています。最後の曲を聴き終わったとき、また最初から聴きたくなるようにヒネリました。BGMとして何度もリピートして、例えば家事をしながらとか楽しく聴いてほしいな」◇ほりごめ・やすゆき'97年に兄・堀込高樹と共にキリンジとしてデビュー。'13年に脱退し、ソロに転身。CM音楽や他のアーティストへの楽曲提供も行う。◇『“Choice”by 堀込泰行』¥2,500 ライブハウス『ビルボード』レーベルの洋楽カバーシリーズ最新作。どの世代も楽しめるエバーグリーンなヒット曲を、堀込流のアレンジで聴かせる。(Billboard Records)※『anan』2016年5月4日‐11日合併号より。写真・小笠原真紀文・北條尚子
2016年04月29日まずは前回の記事だが、とある読者から次のようなメールを頂戴した。「某社製PCを使っているが、メーカーから直接『ドライバーを提供しないのでWindows 10にするな』と言われている。これを『変化を厭う人々』と書くのは好ましくない」とのこと。確かに、Windows 10に移行しようにも周囲の環境が整わず、それが叶わずにいるユーザーも少なくはないはず。こうした方への配慮が欠けていたことを、この場を借りてお詫びしたい。さて、バルセロナで開催されたMWC 2016では、多くのWindows 10 Mobile対応デバイスが発表された。本誌でもいくつかの記事が掲載されているが、Windows and Devices Group EVPのTerry Myerson氏も公式ブログで、既存のトリニティの「NuAns NEO」やVAIOの「VAIO Phone Biz」などに加え、日本ヒューレット・パッカードの「HP Elite x3」、パナソニック TOUGHPADの新モデル「FZ-F1」「FZ-N1」を紹介している。なかでも注目すべきは「HP Elite x3」だ。2015年末時点では、Lumia 950 XLが最高のWindows 10 Mobileデバイスと思われていた。だがHP Elite x3のCPUはSnapdragon 820、メモリーは4GB、ストレージは64GBといずれもLumia 950 XLに優る。Windows Helloの虹彩認証と指紋認証に対応し、バッテリー容量も4150mAhと必要にして十分だ。国内では、KDDIがHP Elite x3を法人向けに販売すると発表。関係者によればHP自身がWeb直販する可能性もあるというので、我々コンシューマーも購入できそうだ。このように、Windows 10 Mobileデバイスは少しずつ熱を帯びてきた。次はOSだ。先日寄稿した記事でも触れたように、Windows 10 Mobile Insider Previewの開発も進んでおり、次の「Redstone (開発コード名)」に期待が持てる。残すはアプリケーションだが、この点については2月24日にMicrosoftが買収した「Xamarin (ザマリン)」が大きく寄与するだろう。Xamarinとは、C#や.NET Frameworkを用いてiOS/Android/Mac/Windows(UWP)など各プラットフォームをクロスしたアプリケーション開発を可能にするツールである。これまで、iOS用アプリケーションをUWPアプリ化する「Windows Bridge for iOS」は順調ながらも、Android用アプリケーションを移植する「Windows Bridge for Android」は進捗状況が見えていなかった。それが今回のXamarin買収によって改善されるとみてよいだろう。日本マイクロソフト 代表執行役会長の樋口泰行氏は、よく冗談めかしながら「弊社は後追いが得意だ」というような発言をする。率直に言うと、筆者もDOS時代から同様の印象を持っていたが、その「後追い」がAndroidやiOSに迫りつつある。Microsoftの新たなモバイル戦略、本当の快進撃はRedstoneリリース以降に始まるだろう。阿久津良和(Cactus)
2016年02月29日日本マイクロソフトと三越伊勢丹は2月17日、伊勢丹新宿店メンズ館とMicrosoftの2in1デバイス「Surface」のコラボレーション企画「ISETAN MEN’S × Microsoft Surface ~未来を纏え~」をスタートした。期間は3月1日まで。同プロモーションでは、伊勢丹新宿店メンズ館(ISETAN MEN’S)が今春に提唱する「未来のデパートメントストア」を、最新のテクノロジーを用いて表現。メンズ館の1階から8階までの全フロアで、Surfaceシリーズ約80台を活用して展開する。メンズ館1階プロモーションスペースでは、ホログラムを活用したギアアイテムのバーチャルショールームが登場。ギアアイテムとは、デザイン性と機能性を融合し、モダンでミニマムに仕立てられたファッションアイテムのこと。設置されたSurface Bookでホログラムの読み込みや投影を行うほか、週末には、来店者のコーディネートを撮影し、ホログラム化する体験サービスも実施する。また、Surface BookとSurface Pro 4のタッチ&トライコーナーも設置した。正面入口のショーウインドウでは、15台のSurface Pro 4を使用したデジタルマネキンを展示するほか、バッグブランド「ペッレ・モルビダ」では、Surface Pro 4とWebベースのカスタムアプリを使ったアイテムのカスタムオーダーも受け付ける。同プロモーションの開催に合わせて、プレス向け発表イベントが行われ、日本マイクロソフト 代表執行役会長の樋口泰行氏、三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長執行役員の大西洋氏が挨拶を行なった。三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長執行役員の大西洋氏は、「百貨店単独の成長が難しい中、ファッションとICTを掛け合わせることで、新しい価値を創造・提供したいと考えている。最近、海外のファッションイベントでは、被服にデジタルを取り入れる動きが盛んだ。今後さらにデジタルを活用した取り組みを行っていきたい」と述べた。日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏は、「ISETAN MEN’Sのメインターゲットは高感度で上質なライフスタイルを好む30~40歳代の男性層。Surfaceの訴求ターゲットと一致する。ぜひ、柔軟性とパワーを備えたデキるSurfaceをもっと知ってほしい」とコメント。なお、今回のイベントでは、Surfaceシリーズの販売は行わない。この点について樋口氏は、「ライフスタイルとデジタルの融合という流れが進めば、(今回販売しなくても)自然とSurfaceの需要に繋がると考えている。このようなコラボレーションは今後も続けていきたい」と語った。
2016年02月18日伊勢丹新宿店メンズ館は2月17日から3月1日まで、日本マイクロソフト株式会社の「2in1デバイスSurface」とコラボし、“ISETAN MEN’S×Surface~未来を纏え~”をテーマにしたプロモーションを実施する。同プロモーションでは、伊勢丹メンズがこの春に提唱する“未来のデパートメントストア”を、最先端のテクノロジーを活用し表現。館内ではSurface Book(以下、Book)やSurface Pro4(以下、Pro4)など約80台のデバイスが展示され、全フロアのプロモーションスペースでSurfaceを使ったディスプレイ、サービスを展開。正面入口では16台のPro4を使ったマネキンを展示し、BookとPro4のタッチ&トライ体験も行う。1階プロモーションスペースでは、ホログラムを活用したギアリストアイテムのバーチャルショールームを展開。 設置されたBookでホログラムデータの読み込みや投影を行う他、来店客が自身のコーディネートを撮影してホログラム化する体験も週末限定で実施。アクロニウム(ACRONYM)、アディダス オリジナルス バイ ホワイトマウンテニアリング(adidas Originals by White Mountaineering)、アークテリクス ヴェイランス(ARC’TERYX VEILANCE)、ブラック(BLK)、クリストファーレイバーン(Christopher Raeburn)、ダイン(DYNE)、ISAORA)、レックスドレイ(LEXDRAY)、MHW マウンテン ハードウェア スペシャリー フォー N.ハリウッド(MHW MOUNTAIN HARDWEAR SPECIALLY FOR N.HOOLYWOOD)、オーエーエムシー(OAMC)、オーバーテック(OVERTECH)の計11ブランドのギアアイテムを展開する。ギアスタイルとは、クリエイターの先鋭的な感性とテクノロジーがもたらす装備服としての機能性、この2つの要素を融合し、モダンでミニマルに仕立てられたファッションスタイル。ドイツのブランド、アクロニウムのフーデッドブルゾンは、モバイルを収納できる両袖口のジッパーポケットが、ジッパーを開かずとも内側から手で取り出せる仕組みになっており、ジッパーとドットボタンを重ねた前立ては、しっかりと上まで閉じれば左右に引っ張って簡単に開けるなど、驚きの機能を備えている。コンパクトに畳み内側のショルダーストラップで肩掛けすることも可能だ。商品は2階のプロモーションスペースで取り扱っており、レックスドレイの撥水加工を施したバックパック、アディダス オリジナルス バイ ホワイトマウンテニアリングのスニーカーといった、注目度の高いグッズも展開される。この他、地下1階で展開するバッグと財布のブランド、ペッレ・モルビダ(PELLE MORBIDA)では、Pro4とWebベースのカスタムアプリを使った、カスタムオーダーを受け付ける。17日にはオープン前にプレスプレビューが開かれ、日本マイクロソフト株式会社代表執行役会長・樋口泰行氏と、三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長・大西洋氏が顔をそろえた。
2016年02月17日日本マイクロソフトは2016年2月17日から3月1日まで、伊勢丹新宿本店メンズ館と「ISETAN MEN S×Surface~未来を纏え~」というテーマでコラボレーションし、「Surface Book」や「Surface Pro 4」に代表される約80台のデバイス展示や、最先端のテクノロジーを活用するイベントを開催する。伊勢丹新宿本店メンズ館は「未来のデパートメントストア」の表現手法として、ホログラムを活用したバーチャルショールームを1階で展開。設置したSurfaceでホログラムデータの読み込みや投影を行うほか、週末限定でユーザー自身のコーディネイトを撮影し、ホログラム化する体験もできる。……我々の暮らしはICTでどのように変わっていくのだろうか。そんな考えが頭の片隅をよぎるのが、今回のコラボレーションイベントだ。既に2-in-1 PCは1つのスタンダードスタイルと言え、そのスタイルを前面に押し出したMicrosoftのSurfaceシリーズと、若者向け百貨店の伊勢丹メンズ館は、近未来的なディスプレイとサービスを展開する。報道関係者向けの説明会では、伊勢丹新宿本店メンズ館1階のバーチャルショールームが披露された。Surface Pro 4を使ってモデルを撮影し、ホログラムを利用したディスプレイに映し出す。先述のように週末限定だが、訪れたユーザーが自分のコーディネイトを撮影してホログラム化する体験も提供する。そのほか、全フロアのプロモーションスペースにおいて、Surfaceシリーズを使ったディスプレイやサービスを展開。例えば、バッグと財布のブランド「ペッレ・モルビダ」は、 Surface Pro 4を使ったカスタムオーダーを受け付ける。デジタルデバイスとファッションは、関連性が乏しいように感じるかもしれない。この点について、三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長執行役員の大西洋氏は、「既にウェアラブルがファッションの一部になっている。ファッションに興味を持つ方が来店されたとき、新しい価値を感じてほしい」と述べた。日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏も、「アナログ的なファッションビジネスと、デジタル的なライフスタイルの境目がなくなりつつある」と現状を分析する。今回のイベント期間中、伊勢丹新宿本店メンズ館でSurfaceシリーズが販売される訳ではない。樋口氏は「ライフスタイルとデジタルがシームレスにつながる感覚をアピールしないと、感度の高い方に響きにくい。(Surfaceシリーズが)生活の一部であること示したい」と語り、需要は後からついてくると自信を見せた。大西氏も「お客様とのコミュニケーションツールとしてアピールしたい。モノではなく情報を得るためにご来店いただくことが最優先だが、将来的には(PCの販売なども)視野に入れている」と述べている。さらに樋口氏は「(Microsoftが)タブレットの世界において、少し出遅れたのは認めざるを得ない。だが、現在はSurfaceシリーズによってキャッチアップを図っている最中だ。(当初から訴えていた2-in-1 PCのアドバンテージが)世の中に浸透してきたこのタイミングだからこそ、Surfaceシリーズの特徴であるクール&機能的という部分をコラボレーションでアピールしたい」と、伊勢丹とコラボレーションする狙いを語った。他方で興味深いのが、伊勢丹側のスタンスである。筆者が述べるまでもなく、今の日本を取り巻く経済状況は決して楽観視できるものではない。大西氏も「ファッションという切り口は、これまでのように(市場が)成長する状況ではない」と危機感を示している。だからこそ、今回ようなコラボレーションイベントを開催するのだろう。「進歩の早いICTと掛け合わせた価値創造を、お客様に提供するのが未来型の百貨店」(大西氏)。蛇足だが樋口氏は、日本マイクロソフト入社前にダイエーの代表取締役社長を務めている。約10年ぶりの小売業を目にして「リアル店舗と(日本マイクロソフトが)どのような価値提供すればいいのか難しい部分はある。だが、お客様の感性に直接訴えられる表現力は大きい。ICTとファッションビジネスをつなげることで良い方向に進む」と自身の見方を示した。近いうちにデバイスを"纏う"時代が訪れるのかもしれない。阿久津良和(Cactus)
2016年02月17日日本マイクロソフトは2月9日、東京エレクトロンデバイスなど9社と協力して「IoTビジネス共創ラボ」を発足したことを発表した。Microsoft AzureをベースとしたIoTソリューションの開発促進や、共同検証結果を発表するセミナー開催など、各企業がマッチングする場を提供する。登壇した日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏は、「Azure IoT Suite」による迅速な共同検証の支援で、スモールスタートから本格導入までスムーズに行えるとアピールした。日本のICT産業を語る上で「IoT(Internet of Things)」は、今もっとも注力しなければならない分野である。米国のように官民一体となってIoT事業を推進しなければならないのは、誰の目にも明らかだ。このことを改めて強く感じさせたのが、日本マイクロソフトが2016年2月9日に開催した「IoT分野の新たな取り組みに関する共同記者発表会」である。東京エレクトロンデバイス IoTカンパニー(幹事社)、日本マイクロソフト(事務局)、アクセンチュア、アバナード、テクノスデータサイエンス・マーケティング、電通国際情報サービス、ナレッジコミュニケーション、日本ユニシス、ブレインパッド、ユニアデックスの計10社が協力して「IoTビジネス共創ラボ」を発足したことを発表した。登壇した東京エレクトロンデバイス IoTカンパニー カンパニープレジデントの八幡浩司氏は、「IoTのエキスパートによるエコシステム構築や、プロジェクトの共同検証によるノウハウ共有、先進事例の共有によるIoT導入の促進といった目的を持って、各企業がエコシステム的に協力しあう。自由な議論から生まれる発想を活かしたい」と発足理由を語る。そもそも東京エレクトロン デバイスは、産業用エレクトロニクス製品の設計や開発、半導体電子デバイスおよび情報通信機器の販売や保守を行う企業として、さまざまなデバイスを世に送り出してきた。日本マイクロソフトとは23年前から組み込み分野で付き合いがあるというから、Windows Embedded CompactがまだWindows CEと呼ばれていた時代までさかのぼる。そこで東京エレクトロンデバイスと日本マイクロソフトが中心となって、ビジネスソリューション開発やサイエンス分野など幅広い専門分野に声をかける形で、IoTビジネス共創ラボの発足に至った。IoT分野における未来予測はIDCやGartnerの調査結果が顕著だが、八幡氏は2020年までにIoT接続数は250億(Gartner)、市場売り上げ規模は1.7兆ドル(IDC)を引用し、「数字だけではピンと来ないが、我々が関わるすべてのものがインターネットにつながる世界を想像してほしい。より良い行動指針を提示する未来が訪れる」とIoTで変わる未来を語った。また、McKinsey&Companyの調査結果である"IoTがもたらす価値の70パーセントはB2Bシナリオから"についても、「正しい予測だ。我々も同様に始める」という。さらに日本国内のIoT市場についても言及し、「(IDC Japanの調査結果によれば)現在のICT市場は25兆円だが、そのうちIoT市場は9兆円。今後はIoTが市場全体を牽引し、年12パーセントの成長率がある」と説明した。特にサーバーやストレージ、分析ソフトウェアなどが成長分野となり、IDC Japanの調査結果では4年後の2019年には16兆円まで拡大する。この7兆円の部分を参画する企業たちで盛り上げようというのが、IoTビジネス共創ラボの存在理由だ。IoT導入で問題視されるのがセキュリティや投資対効果、そして人材不足である。この点についてはMicrosoft Azureで解決することが可能であると八幡氏はいう。記者からの他社製パブリッククラウドの導入について検討しなかったのか、という質問に対して、「(東京エレクトロン デバイスの調査によれば)あらゆるモジュールを持っているのはMicrosoft Azureだけだった。顧客がオンプレミスサーバーでデーターを管理している場合も、データーだけをPower BIに投げるなど柔軟なシナリオに対応できる」と、日本マイクロソフトを協業パートナーに選択した理由を説明した。さらに日本国内にデーターセンターを保有している点も大きいという。IoTビジネス共創ラボではプロジェクトを検証するため、5つのワーキングループを設けることを明らかにした。各分野に特化した「製造ワーキンググループ(リーダー: 東京エレクトロンデバイス)」「物流・社会インフラワーキンググループ(リーダー: ブレインパッド)」「ヘルスケアワーキンググループ(リーダー: ユニアデックス)」の3つに加え、ビジネスインパクトがあるIoTシナリオを検討する「ビジネスワーキンググループ(リーダー: アクセンチュア)」と、多様なデーターを分析、活用する「分析ワーキンググループ(リーダー: ブレインパッド)」が脇を固める。八幡氏は「ホワイトボードに書き殴りながら議論を進めたい」と語った。日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏は、「IoTはクラウドとデバイスを結びつけることで高い付加価値を生み出せる。弊社は後出しジャンケンが得意な会社だが、より良いもの目指した結果、機能的には(他社製パブリッククラウドよりも)先に進んでいる」と述べている。IoT市場においてはMMI(マンマシンインタフェース: 人と機械の間で情報伝達を行うデバイスやソフトウェア)が重要だが、Microsoftは同分野の研究を長年続けてきた。この点についても「M2M(Machine to Machine)からIoT、最終的には人とつながることに価値を見いだしたい」という。樋口氏はIoTデバイスの多様化を、自社のSurface HubやHoloLensといったデバイスと機械学習などのIT技術を例に挙げ、「別々に存在したものがクラウドやIoTでつながり、それが人につながっていく」と説明した。近年の日本マイクロソフトは国内にデーターセンター設置してから、Microsoft Azureを用いたビジネスを開く展開している。シェア拡大の理由について樋口氏に尋ねると「最近はオンプレミスサーバーを自社で購入する企業はかなり減ってきている。その環境変化に合致したのだろう。『Azure Stack(IaaSやPaaSの機能をオンプレミスで利用可能にするパッケージ)』や他社製パブリッククラウド、企業内クラウドなどにシームレスに対応し、その裏でもインテリジェンスな機能が多数存在するため選んでもらっている」と、Microsoft Azureの強みを語った。IoTビジネス共創ラボにおける日本マイクロソフトの役割は事務局ということだが、容易なクラウドとIoT導入を実現すると同時に遠隔監視や予兆保全、資産管理などのシナリオをパッケージ化する「Azure IoT Suite」や、IoTデバイスとソリューションバックエンド間でセキュアな双方向通信を認定する「Azure Certified for IoTプログラム」を提供。後者は2015年9月から米国本社で始めたプログラムだが、認証済みデバイスなどをリスト化することで、ユーザーのIoT導入支援につなげる意図がある。既に8社のゲートウェイパートナーが申請を開始し、内1社認証を取得済みだという。その他にも、「Azure IoT Hub(何百万台ものIoTデバイスとクラウド双方向通信やセキュリティ保護を確立するサービス)」を2月3日から最終版として提供を始めている。さらにIoT市場の需要喚起として、製造や流通といった各種業界の意思決定者5,000人を対象にしたイベントやセミナーを開催。既に3月10日には1回目の勉強会を予定している。さらにパートナーマッチングや先進事例のモデル化などを行いながら、1年以内に100案件の送出を目指すという。加えてIoT技術者不足を改善するため、無償トレーニングも提供する。年90回以上のトレーニング開催を予定し、合計1万人の技術者育成を目指す。最後に活動目標として八幡氏が「1年以内に(顧客企業を)100社に拡大する」と語った。その理由として「日本は製造業の土壌がある。長年付き合いのある企業は3,000社、常に取引のある企業は2,500社以上。各社からIoT市場への参画をほのめかす声を頂いている」からだという。今回の取り組みがIoT市場へどのようにコミットし、成果を生み出すのか現時点では分からない。だが、IoTへの取り組みは世界レベルで切磋琢磨する時代となった。IoTビジネス共創ラボには次世代のICT市場を盛り上げる役割を期待したい。阿久津良和(Cactus)
2016年02月09日2月2日、日本マイクロソフトとブイキューブは、ビジュアルコミュニケーションにおけるクラウド連携で協業することを発表した。ブイキューブは自社の「V-CUBE」シリーズとOffice 365の連携ソリューションを開発し、2016年2月から提供を開始する。日本マイクロソフト代表執行役会長の樋口泰行氏は「1社で閉じる時代ではない。あらゆる企業との連携を進める」と今後の展望を語った。テレビ会議やWeb会議といった映像と音声を組み合わせ、距離を超えた意思疎通を行うビジュアルコミュニケーションは、加速するIT市場において以前から注目を集めていた。近年はさまざまな企業とパートナーシップを組んで、日本的エコシステムを進めてきた日本マイクロソフトだが、今度は1998年からビジュアルコミュニケーションサービス分野で活躍するブイキューブとの協業を発表した。そもそもブイキューブは「V-CUBE」シリーズを通して、ミーティングやオンラインセミナーなど企業内の幅広い利用シーンに対応するサービスを多数提供しているが、今回はクラウド認証基盤の連係として、「V-CUBE One」とOffice 365、Azure Active Directoryを連携させ、SSO(シングルサインオン)と両社のクラウドサービスのシームレス化を実現する。その理由としてブイキューブ 代表取締役社長 CEOの間下直晃氏は、「我々の顧客でもOffice 365はデファクトスタンダード的存在となり、多くの企業が採用している。だが、(自社サービスと)認証基盤が異なるため不便を強いてきた。今回の協業により顧客は(Office 365と自社のクラウドサービス)両者へシームレスにアクセスできる」と説明している。さらにV-CUBEとOffice 365の連携第1弾として、会議などに用いる「V-CUBEミーティング」と配信サービスである「V-CUBEセミナー」においてOutlookカレンダーを連携することを発表した。具体的には「V-CUBEミーティングOutlookアドイン」を提供し、OutlookからWeb会議のスケジュール登録などを可能にする。現時点では以上2つのサービス連携を発表したが、将来的なサービス提供として、顧客のMicrosoft Azureプライベートネットワーク接続を想定し、数カ月内に提供する予定。さらに年内にはMicrosoft SharePointやPower BIとの連携を目指すことを明らかにした。具体的な内容は明かさなかったが、ビジュアルコミュニケーション上で得られるビックデータを活用し、顧客の利便性向上を実現すると言う。加えて「Microsoft TranslatorやCortana Analyticsなどとの(Azure上で動作する各サービスとの)連携を予定している(間下氏)」と今後と展望を述べた。ソリューション提供については、販売パートナーを経由することになるが、ブイキューブの料金体系が日本マイクロソフトと異なるため、パートナー向けにOffice 365の料金プランに合わせる新プランを用意した。既にソフトバンクコマース&サービスがディストリビューターとして決まっている。ブイキューブは両サービス利用者数見込みとして初年度内に10万ID、今後3年間で100万IDを目指す。だが、日本マイクロソフトにはSkype for Businessなどビジュアルコミュニケーションソリューションを既に展開している。必然的に競合することになるが、この点について、「部分的な競合よりもユーザーの利便性も優先した(樋口氏)」「ビジュアルコミュニケーション分野は日本でも数パーセントといった市場規模。ワークスタイル変革の実現と市場規模拡大を目指すため、競合部分には気にしない。顧客の選択肢が広がればよい(間下氏)」と回答した。ブイキューブはIBMのSoftLayerやAmazonのAWS(Amazon Web Service)など多くのSaaSを利用しているが、今回の協業により、V-CUBEのシステムインフラをAWSからMicrosoft Azureへ移行する。移行コストに関して間下氏は、「昨年春頃から取り組み、約1年で完了した。工数もさほどかからず、比較的容易に移行できた」と語った。振り返ると日本マイクロソフトが多くの企業と協業する背景には、AWSからMicrosoft Azureへ移行する企業が少なくない。この点について日本マイクロソフト 執行役 デベロッパー エバンジェリズム統括本部長の伊藤かつら氏は、「製品的にはAWSが5年先を進んでいたが、この2年で部分的ながらもMicrosoft Azureが先進的と言えるまでになった」と自社サービスに自信を見せた。さらに「機能差や製品よりも企業同士の付き合い、クラウドプラットフォーム提供者としての信用度など、ビジネスディスカッションが重要になる」と手厚いサポート体制をアピールしている。米国本社であるMicrosoftのCEOとしてSatya Nadella氏が就任して以降、日本マイクロソフトは多くの企業と協業する姿勢を選択してきた。「Microsoftだけでソリューションを閉じるのではなく、ユーザーの利便性を選択する」と語る樋口氏は本協業について「ビジュアルコミュニケーション分野やワークスタイル変革で頼もしいパートナーを得られた」と語る。阿久津良和(Cactus)
2016年02月02日1月19日、日本マイクロソフト、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(以下、YRP UNL)は、「ICTを活用した観光、スポーツイベントにおける外国人観光客の受入環境整備事業」に関して、実証事業を行う共同記者会見を開いた。日本有数の観光地である札幌市を訪れる観光者に対して、ICTを活用したモバイルアプリケーションを提供し、さらなる受け入れ環境の充実を図る。○札幌市のオープンデータ利用で観光客のUXを改善他国からの来訪者が増え続ける日本だが、日本語を話せない外国観光客に楽しんでもらう施策は観光庁も力を入れており、民間企業もさまざまな角度から努力している。今回の日本マイクロソフト、YRP UNL、そして札幌市の事業もその1つだ。まずは背景から紹介しよう。日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏は、「オープンデータの有効利用が急務であり、ICTをフル活用した"おもてなし"が重要だ」と話す。今回の取り組みを行った理由としては、「IoTやロボティクスといった技術が合理的なコストで活用可能になった背景が大きい。さらにユーザーが常にスマートフォンを身につけるように、ライフスタイルにIoTが浸透しつつある背景もある」と述べる。今回の事業は総務省が発注元となり、日本マイクロソフトがYRP UNLと札幌市の全面的な協力を得て受注した形だ。予算額は約4,000万円とのこと。総務省 北海道総合通信局長 安井哲也氏は、「(同省は)以前からオープンデータ化や利活用などを推進してきた。社会全体のICT化プランとして、街全体でオープンデータ化を進め、さまざまな分野のデータを組み合わせ、新しいソリューションを目指す」と述べる。今回の事業もその1つだ。「2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、(今回の事業が)各自治体の参考になるような結果につなげたい。さらに今後はオープンデータのメリット可視化も目指す」(安井氏)。日本マイクロソフトはYRP UNLと協力しながら、オープンデータの収集・活用を行う。今回の取り組みでは、環境情報や公共交通事情から得るビッグデータを収集・加工し、オープンデータプラットフォームを構築。それをアプリケーションで活用していく。札幌市長の秋元克広氏は今回の事業について、「行政と民間企業が協力することで、札幌の魅力を多くの外国観光客に伝えられる有効な事業と考えている。『第67回さっぽろ雪祭り』や『FISジャンプワールドカップ2016札幌大会』など、大きなイベントも目白押しのため、オープンデータを活用したアプリケーションで札幌を楽しんで欲しい」と語った。○オープンデータの提供でリピーターが増える?今回の事業を具体的に解説したのは、東京大学大学院情報学環教授兼、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長の坂村健氏。まず、下図に示した観光オープンデータから情報を収集し、アプリケーション開発者にデータを提供する。開発者は公開済みの札幌オープンデータAPIに沿って、地物情報、イベント情報、買い物情報報、さらにはバスや鉄道の状況など30秒ごとに更新する位置情報を取得できる。アプリケーション利用者(観光客)は、これらの情報を自身のスマートフォンで取得して、スムーズな観光を楽しめるわけだ。ユーザーの位置情報を取得するのは、YRP UNLが開発したucodeビーコンが担う。Bluetooth Low Energyに対応し、対応アプリケーションをインストールしたスマートフォンを持ってビーコンから10m以内に近づくと、アプリケーション(スマートフォン)に位置情報が送信され、状況に応じた情報を表示。Bluetoothはあくまで位置情報の送受信に留まり、コンテンツの表示にはWi-Fiや携帯電話回線が必要となる。記者会見の時点では、YRP UNLが開発してきた「ココシル」アプリを使用し、札幌各地の情報を日・英・中(2種類)・韓・タイの6カ国語で閲覧可能。なお、言語設定はスマートフォン側の言語設定に依存する。ココシルは既にiOS向けとAndroid向けに提供されているが、ユニバーサルWindowsアプリ版について訪ねたところ、「今回は実証実験の要素が強いため、(アプリケーション提供は)今後の課題」(樋口氏)とした。ちなみに、坂村氏と日本マイクロソフトの関係は、Windows CEとTRONの関係までさかのぼる。近年ではMicrosoft Azureのucode標準サポートが大きな話題だ。今回の実証実験において、各コンテンツの配信はMicrosoft Azureを経由し、多言語化もMicrosoft Translatorで行われる。話は前後するが、ベースとなるビーコンは札幌駅の地下街に11カ所、大通公園にも11カ所設置される。そのほか、前述の雪祭りやスポーツイベント会場にも設置予定だ。ビーコンは野外向けと屋内向けの2種類を用意し、内部はTRONが動作するチップ用スペースと乾電池の格納スペースという構造。ココシルの周知については、札幌市の観光案内所や宿泊施設、観光バスなどでチラシを配布する。坂村氏はココシルの活用例として、「観光バスの待ち合わせ機能が便利」とアピールした。各地で迷惑駐車の原因になりつつある観光バスだが、搭乗者(のスマートフォン)へ集合時間をアナウンスし、で待ち合わせ場所への移動をうながすことも可能だという。このような事業は、日本では札幌市が初。「リアルタイム性が面白い」と語る坂村氏は、他の都道府県でも試したいと語る。YRP UNLは、過去にもオープンデータを活用した実証実験を多数行ってきたが、今回の取り組みは「オープンデータと観光情報連係の決定版」と自信を見せた。坂村氏は「あくまでも事業の主役は開発者だが、データやAPIだけを提供したとしても、具体的な形を見せる必要がある。このたため、一緒にアプリケーションを提供した」と述べる。また、2016年3月までの事業から得たデータをもとに、札幌オープンデータ協議会などと話し合う。秋元市長も「継続から生まれるオープンデータの充実に期待したい」と、次年度以降の継続に期待を寄せる。教育や観光など、我々の生活に深く密着するようになったICTは、オープンデータと連係することで新たな価値が生まれる。今回の事業で得た体験がリピーターの増加につながり、魅力的な観光地という評価など、新しい日本が見えてくるのか楽しみだ。阿久津良和(Cactus)
2016年01月22日●Windows 10に染まったこの1年いよいよ2015年も本日で終了。今年はWindows 10の華々しい登場など話題に事欠かなかったMicrosoftだが、WaaS(Windows as a Service)化したWindowsは2016年に大型アップデート(通称RedStone)を控えている。その方向性は今後のWindows Insider Programでも徐々に明かされていくだろう。本稿では、時系列ではなく際だった話題の順に2015年の日本マイクロソフトを振り返ることにした。大掃除の合間などに気軽に読んでいただきたい。○「Windows 10」一色だった2015年やはりトップはWindows 10のリリースだ。2015年1月からWindows Insider Programがはじまり、筆者もその変化をマイナビニュースに寄稿してきたが、まさにこの1年はWindows 10一色だったという印象を持つ方も少なくないだろう。提供形態の変更から深夜販売といったイベントはなかったものの、無償アップグレードを開始した7月29日はユーザーを招いたファンイベントを都内で開催し、正式版の登場を祝っている。11月12日(米国時間)には多くのフィードバックをもとに改良を進めたNovember Update(TH2もしくはバージョン1151)を初のメジャーアップデート版としてリリース。12月16日(同)には、Windows 10 Insider Preview ビルド11082をWindows Insider Program参加者に提供を開始した。2016年には次期メジャーアップデート版「Redstone」が控えている。○「Office 2016」ではなく「Office 365」をプッシュ2015年は「Office 2016」も登場した。もっとも個人向け「Office 365」ユーザーには9月23日の時点で提供を開始していたため、過去のバージョンアップに比べるとインパクトは乏しい。米MicrosoftのApps and Services Marketing担当CVPのJohn Case氏は、Microsoftの開発モデルが変わり、パッケージ版に注力していないことを明かした。Office 2016はパッケージボックスを廃してアクティベーションカードやダウンロード版を提供している。ただ、Case氏は「日本がユニークな市場であることは理解している」とも語っており、プレインストールPC版のOffice 2016やOffice 365を提供し続けている。同氏は将来的にユーザーから需要があれば「Office 20XX」としてリリースする可能性があると述べていたが、2016年以降もOffice 365のようなスタイルが中心となるだろう。○「Windows Server 2003」がサポート終了Windows 10やOffice 2016の影で表舞台から姿を消す製品も存在する。それが2015年7月15日にサポートを終了した「Windows Server 2003」だ。また、2016年4月12日には「SQL Server 2005」のサポートも終了する。Microsoftは、各製品にメインストリームサポートとして5年、延長サポートとして5年の期間を設けてきた(Windows XPやWindows Server 2003など例外はある)。合わせて10年のサポートは十分な期間と考えるべきだが、WaaS(Windows as a Service)化したWindows 10も例外ではない。2020年10月13日でメインストリームサポートが終了し、2025年10月14日で延長サポートが終了する。ただし、Windows 10は"常に最新のOS"となるため、このライフサイクルは、デバイスをサポートする期間を明言した形だ。なお、Windows 7のメインストリームサポートも2015年1月に終了した。●新社長・平野氏が就任○40代の新社長・平野氏が就任人事面では社長交代が今年最大のトピックだった。3月2日、日本マイクロソフトは急遽記者会見を行い、樋口泰行氏から平野拓也氏に代表取締役社長のバトンを渡すことを発表した。樋口氏は古川享氏以来の会長職に就くにあたり、「今後はトップ営業や財界、政府といった方面で努力する」と語り、平野氏も「樋口が掲げてきた『日本に根付いて信頼される会社』という方向性を受け継ぐ」と語った。興味深いのは日米トップの年齢である。2014年2月に米MicrosoftのCEOに就任したSatya Nadella氏は当時46歳。平野氏も記者会見時は44歳だ。米国本社のトップと日本のトップの年齢構成が似通うのは偶然だろうか。○ワークスタイル変革2015年は米Microsoftの戦略変更が日本マイクロソフトにも大きく影響を与えた。その一つが「ワークスタイル変革」だ。スマートフォンの普及によって行動や時間の制限がなくなりつつある中で、自由に働く形態を指すキーワードである。日本マイクロソフトは2013年から社内で実践をはじめ、2015年には651法人と組んで「テレワーク週間」を開催。ITが持つ「時間と距離を超越する力」を実社会と連動させようとする試みはだ。テレワークスタイルに興味を持つ企業のトップが日本マイクロソフトを訪れて、具体的な実施スタイルの説明を受けているという。○サイバーセキュリティ対策セキュリティ分野への関与も印象的な1年だった。日本マイクロソフトは、2月18日に「マイクロソフト サイバークライムセンター 日本サテライト」を設立すると発表した。米MicrosoftのCyberCrime Centerが作成するCyber Threat Intelligence Programから、国内に対するサイバー攻撃の傾向などを分析して、情報発信を行う施設だが、具体的な行動は多様な理由から明かしていない。さらに5月12日には米MicrosoftのWorldWide Public Sector Chief Security OfficerのJennifer Byrne氏が来日し、サーバーセキュリティ対しての関わり方を語っている。11月5日にも、米MicrosoftからDirector of Cybersecurity Policy and Strategy in the Global Security Strategyand DiplomacyのAngela Mckay氏が来日し、日本政府へのセキュリティ対策に付いて説明した。ワールドワイドレベルでセキュリティに取り組む姿勢を示した。○新SurfaceシリーズやWindows 10 Mobileデバイス最後はハードウェア方面に注目したい。6月19日には「Surface 3」を発売し、11月12日には「Surface Pro 4」を発売した。一方、「Surface Book」の日本発売は2016年以降と時期は未定である。11月には、Windows 10 Mobile搭載デバイスの販売が始まったが、米Microsoft OEM Device担当CVPのNick Parker氏は「(日本マイクロソフトは)パートナーとまい進する」と語り、Lumiaシリーズの日本市場投入がしばらく先になることを暗に示した。このように2015年の日本マイクロソフトは、多方面でさまざまな展開を行ってきた。2016年も、我々をワクワクさせるような話題提供や新技術を期待したい。阿久津良和(Cactus)
2015年12月31日2016年4月より放送開始予定のTVアニメ『文豪ストレイドッグス』より、梶井基次郎(cv. 羽多野渉)、樋口一葉(cv. 瀬戸麻沙美)、泉鏡花(cv. 諸星すみれ)のキャラクターアニメ立ち絵ビジュアルが公開された。○TVアニメ『文豪ストレイドッグス』登場キャラクター紹介■梶井基次郎 (cv. 羽多野渉) 能力名:檸檬爆弾(レモネード)ポート・マフィアの構成員。丸善ビル爆破事件で指名手配されている爆弾魔。「死」を「究極の科学」と豪語する狂科学者である。■樋口一葉 (cv. 瀬戸麻沙美)利発で、パンツスタイルの美しい女性。ポート・マフィアの首領直轄の遊撃隊に属し、武闘組織「黒蜥蜴」を動かす権限を持つ。上司である芥川を「先輩」と呼び、慕っている。■泉鏡花 (cv. 諸星すみれ) 能力名:夜叉白雪おとなしい和装の少女。だが、その正体はポート・マフィアの構成員。殺戮の異能を持ち、組織に拾われて暗殺者として育てられた。なお、12月25日には中原中也のビジュアルが公開予定となっている。○「Anime Japan 2016」内にて『文豪ストレイドッグス』のスペシャルステージが決定2016年3月26日(土)、27日(日)に東京ビッグサイトにて開催される「Anime Japan 2016」のイベント会場内にて、『文豪ストレイドッグス』のステージイベントが決定。開催日は27日(日)で、中島敦役の上村祐翔や太宰治役の宮野真守らが出演予定となっている。ステージ観覧などの詳細は、「AnimeJapan2016」公式サイトをチェックしてほしい。○『文豪ストレイドッグス』×「FITS」のコラボフレグランスが12月22日より世界最速先行受注開始『文豪ストレイドッグス』×「FITS」の完全限定生産コラボフレグランスが12月22日(火)よりAmazonにて世界最速受注を開始しているので、こちらも注目しておきたい。■コラボフレグランス第1弾「中島敦」フレッシュなグリーンアップルとペア、キウイがみずみずしく、ミドルの花々が広がる華やかで柔らかいフルーティー調の香り。それと同時に中島敦のようなしっかりとした骨格も併せ持ち、お人好しで優しくも、意志を感じる一面を表現した香り。■コラボフレグランス第1弾「太宰治」アップルやレモンがはじけ、トップノートからは明るい印象を受けるが、次第に落ち着きある甘さが広がり、ラストの印象を残したままいつの間にか消えている。太宰治のようなつかみどころのないミステリアスな一面を表現した香り。(C)2016 朝霧カフカ・春河35/KADOKAWA/文豪ストレイドッグス製作委員会
2015年12月22日女優の樋口可南子(56)が、ベルギーで開催された「第40回ブリュッセル国際映画祭」で、"最優秀女優賞(Prix de la meilleure ACTRICE)"を受賞した。ブリュッセル国際映画祭は1976年に創設された。これまではインディペンデント映画を中心に上映する映画祭として知られたが、40回目となる2015年からはチームやテーマを一新。規模が拡大され、17日のオープニングには、先のパリ同時多発テロの影響を受けて厳戒態勢となっていた中、劇場・Grand Eldoradoに600人以上もの観客が集まった。同映画祭には、樋口が佐藤浩市と夫婦役で共演した映画『愛を積むひと』(公開中)がコンペティション部門に出品された。メガホンを取った朝原雄三監督の作品で同部門に出品されたのは本作が初。さらに、今年唯一のコンペティション部門に選ばれた日本映画ともなった。最優秀女優賞を受けた理由としては、樋口演じる良子の全てを許して包み込む演技が素晴らしかったこと、テーマが人間関係の構成を使って表現されていたこと、監督の演出の繊細さ、希望があるメッセージ性など。なお会期中はテロの余波から、渡航の最高警戒レベル4に引き上げられていたが、上映および授賞式には、日本からプロデューサーの1人が出席した。21日に予定されていたクロージングセレモニーは中止。関係者のみの夕食会の場で、各賞の発表と授与式が行われた。樋口は、「思いがけない受賞に、ただただ驚いています」「この心優しい映画が海外へ渡ってくれたことが本当にうれしい」としながらも、当日を「受賞の喜びと同時に警戒厳しい国からプロデューサーが無事に帰国してくれることを祈った一日でした」とも回顧。「ベルギーからプロデューサーがトロフィーを抱えた写真が届いて初めて知りました」とも明かしつつ、ねぎらいの気持ちも強いようで「今は、スタッフと一緒にお祝いしたい気持ちでいっぱい」と話す。一方の朝原監督は「難しい役をためらいやおじけを振り払って演じてくれた勇気が、結果として演技を超えた存在感をもって登場人物として映画に実を結びました」とし、樋口に対して「これからも時々で構いません、その芯の通った凛とした姿をスクリーンに現してください」と大きな期待を寄せた。また、樋口同様に海を越えて評価されたことにも感動。「ややこしい政治情勢のただ中にあるブリュッセルで寛容をテーマにしたこの映画が上映されたことに深い感慨を覚えます」と語った。『愛を積むひと』は、長年連れ添ってきた夫婦が連れ合いを亡くした時、どのように立ち直り、一歩前に進んでいくのか、お互いを思いやる夫婦の絆を描く。(C)2015「愛を積むひと」製作委員会
2015年11月26日●Surface Pro 3からSurface Pro 4、どこが、何が変わった?日本マイクロソフトは10月22日、Windows 10搭載PCの最新モデル「Surface Pro 4」「Surface Book」に関する発表会を開催した。スペックや価格は別記事『日本MS、「Surface Pro 4」を11月12日より国内販売 - 税別124,800円から』で報じているように、参考価格以外は米Microsoftが10月6日(現地時間)に発表した内容に準じている。本稿では発表会で語られた内容を中心にご紹介する。○2015年11月12日から発売する「Surface Pro 4」最初に登壇した日本マイクロソフト代表執行役社長の平野拓也氏は、先日の「Windows 10 Partner Device Media Briefing」を振り返りつつ、「15社のパートナー(協業するOEMベンダー)と共に連係して、自社デバイスおよびパートナーデバイスの相乗効果でWindowsエコシステムを盛り上げて行きたい」と協業姿勢をアピールした。平野氏はSurfaceおよびSurface Proシリーズ(以下、"Pro"を含めてSurfaceシリーズ)の勢いが日本のPC市場に与えた影響として、1つめに「2-in-1デバイス市場の成長」を掲げる。Surface Proが日本市場に投入されたのは約2年半前だが、その間にPCやタブレット市場が鈍化する反面、2-in-1デバイスに代表されるSurface Proシリーズへの期待が高まっていると説明した。Windows 10のリリースにも、2-in-1 PCデバイス市場の加速化にも期待しているという。2つめは「販売パートナーの拡大」。コンシューマー向け販売パートナーが大手量販店を含めて10社、法人向け販売も認定リテーラーが当初の6社から現在は9社と、約2,000社の販売パートナーがSurfaceシリーズを取り扱っている。そして3つめの「ユーザー層の広がり」は、コンシューマー・法人に限らずSurfaceシリーズが持つ可能性が広がりつつある状況を指す。平野氏は、Surfaceシリーズに付属するペンの活用シナリオが好評だと述べ、文書編集や画像編集など多彩な場面でSurfaceシリーズが使われていることを実感するとした。さらに、教育機関でのSurfaceシリーズの採用も顕著だという。教育の現場では鉛筆やペンを使う機会が非常に多いため、Surfaceシリーズのペンやキーボードの組み合わせが受け入れられているそうだ。平野氏は導入事例として、沖縄県の県立中学校を紹介。全生徒にSurface 3、教員にはSurface Pro 3を導入済みという。また、愛知県大府市の全市立小中学校は、2,200台以上のSurface Pro 3を導入してグループ学習に活用しているとアピールした。続いて登壇したのは、Surfaceシリーズの発表ではお馴染みとなったMicrosoft Surface and Windows Hardware担当ジェネラルマネージャーのBrian Hall(ブライアン・ホール)氏。Surface 3発表以来の来日となった同氏は「Surface Pro 3は多くのユーザーから多彩な評価を得た。全世界におけるSurface Pro 3ユーザーの98%は、周りの人々にSurface Pro 3を薦めてくれている」と、Surface Pro 3の成功をアピールした。Hall氏はSurface Pro 3から「Surface Pro 4」への進化ポイントとして、ディスプレイ周りのベゼルを調整し、Surface Pro 3とほぼ同等の12.3インチながらも、約500万ピクセル/267PPI(Surface Pro 3は約300万ピクセル/216PPI)を実現したことに言及(解像度は2,736×1,824ドット)。また「PixelSense」という新たなブランド名を持つディスプレイは、厚さ0.4ミリのGorilla Glass 4や1.1ミリのバックライトといった3層構造に加え、独自のペン&タッチ用チップセット「G5」という組み合わせを持つ。その結果として、Hall氏は「Surface Pro 4で写真を見ると実世界のようだ」「応答性も高まり、紙の上で書いているみたいな感覚を得られる」と、新たなUXの可能性を強調した。Surfaceペンに関してHall氏は「初代Surface Proにペンを付けたとき、『誰も使わないよ』と言われていた。我々はタブレットの利便性を向上させ、現在ではSurface Pro 3ユーザーの50%がSurfaceペンを使っている」と、先見の明があったことを枕詞に、Surface Pro 4に付属するSurfaceペンの説明を始めた。こちらも多くの情報が発表済みだが、Hall氏が語ったポイントを紹介しよう。まずはペントップの消しゴム機能。Surface Pro 3用ペンはボタンを押しながら書くことで消しゴム機能が動作したが、ユーザーフィードバックを得て現在の形に変更したという。次は、SurfaceペンがSurface Pro 4本体側面にマグネットでくっつくようになった点だ。Surfaceシリーズに限らず、ペン対応のタブレットデバイスをお使いの方なら、鞄の中でペンだけ行方不明になった経験をお持ちかもしれない。Hall氏も「Surface Pro 3ユーザーからのフィードバックを受けて改良した」と述べているように、これで本当にSurface Proシリーズを"紙とペン"と同じ感覚で使えるはずだ。なお、ペンを握るとCortanaが起動し、そのままSurface Pro 4に話しかければスムーズにCortanaを利用できるという。ほかにも別売りのSurfaceペン先キット(細いペン先や太いペン先がある)や、Surface Pro 4タイプカバー、Surfaceドックといったアクセサリを紹介した。米国の発表会と同様に、日本でもMacBook Airと比較し、Surface Pro 4の優位性を強調。Hall氏は「Surface Pro 4は、Surface Pro 3と比較して30%高速化。MacBook Airと比較しても50%速い」と語っていた。ただ、MacBook Airは第4世代Intel Core(Haswell)、Surface Pro 4は第6世代Intel Core(Skylake)を搭載しており、間違いではないが、比較広告に慣れていない筆者としては強弁に感じた。●「Surface Book」は、おあずけ?○"究極のラップトップ"を目指した「Surface Book」は2016年初頭に登場続いて話題は13.5型2-in-1 PC「Surface Book」へ。Hall氏は多くの注目を集めた「Surface Book」の開発理由として、「ユーザーフィードバックの中には、純粋にラップトップ(ノートPC)が好きだという声や、Surface Pro 4よりもパワフルなデバイスを切望する声が少なくなかった」と説明し、Microsoft初のノートPCを"究極のラップトップ"と評していた。"究極"の理由として、Surface Pro 4と同じPixelSenseディスプレイの利点を挙げている。Surface Bookの画面は13.5インチと大きく、解像度も600万ピクセル(3,000×2,000ピクセル/267PPI)と、パワフルなデスクトップPCに迫る構成だ。また、Microsoftは25年間キーボードを作り続けているが、そこで得た知識を投入したキーボードはディスプレイ側と着脱する。こちらもMacBook Proと比較していたが、Hall氏は第6世代Intel Coreや内蔵GPU、キーボード側に内蔵したNVIDIA GeForceを理由に「2倍のパフォーマンスを持つSurface Bookを誇りに思う」と"究極"を重ねて強調した。しかし、Surface Bookは米国でも大人気のため、今回の日本市場投入は見送られた。平野氏は「Microsoft Storeによる予約開始から5日間でほぼ予約台数に達し、リテーラーによる予約もその後同じ結果に至った」と理由を説明している。今回披露したSurface Bookも、Hall氏のスタッフが米国から運んで来たという。平野氏は「早く出したい気持ちはあるが、(本社と連係した)生産体制などを確立してから日本市場に投入したい」と、2016年初頭に日本市場に投入することを明らかにした。2015年の年末商戦はSurface Pro 4のみとなるが、日本マイクロソフトは関連プロモーションとして、さまざまな展開を予定している。多様なユーザーに対するアピールとして、日本最大級の壁画アートフェスティバルである「POW! WOW! JAPAN」との取り組みを発表。サプライズ的に登壇した日本マイクロソフト代表執行役会長の樋口泰行氏が「Surfaceには深い思い入れがあるため、思わず参加した(笑)」と、いつもの軽妙なトークで内容を紹介した。平野氏は、OSやソフトウェアの会社だったMicrosoft/日本マイクロソフトが、Surfaceシリーズをリリースする立場として、「パートナーのデバイスと競合するために作ったものではない。他社が注目していない分野を切り開くデバイスを目指している。新たなカテゴリをSurfaceシリーズで作り、Windowsエコシステムを発展させたい」と述べる。一見すると矛盾するSurface Bookの市場投入も、鈍化したノートPC市場を活性化するためだという。Surface Bookに関しては改めてご報告する機会を待ち、まずはSurface Pro 4という第4世代に達したデバイスの今後に注目したい。阿久津良和(Cactus)
2015年10月22日日本マイクロソフトは品川本社オフィスにて、社員の家族を呼び、父親や母親の働く姿を見せる「品川オフィスファミリーデー」を開催。2011年から数えて5回目となり、1,382人(369家族)が訪れた。このような取り組みは既に珍しくなっているが、日本マイクロソフトがここ数年力を入れている「テレワークスタイル」を体現した姿も実際に垣間見られた。○お祭りのような参加型プログラムが盛りだくさん2015年8月17日開催の品川オフィスファミリーデーは、1階のイベントスペースで来場受付を行い、20階~22階、24階~29階で社員が働いている姿を目にしながら、19階のカフェテリア「One Microsoft Cafe」で食事したり、各フロアでイベントに参加したりする。最初に訪れたOne Microsoft Cafeでは、Microsoft Azureなどを駆使して栽培された富士通の「キレイヤサイ」試食会、性別や国籍などの垣根をなくすダイバーシティを推進する虹色フィンガープリントペインティング、一部で話題の「How Old Do I Look」を実際に試せるブースを設けていた。ランチスペースには、日本マイクロソフトの代表取締役社長である平野拓也氏も訪れ、社員の家族と楽しそうに会話していた。そのときの話を平野氏に聞くと、「(社員の)奥様などは緊張していたらしく挨拶程度だった。でも実際に顔を合わせて話をできるのは大きい」と述べていた。その平野氏が働く社長室は、実にシンプルなたたずまいである。社長就任から一カ月半しかたってないが、社長室に持って来たのは段ボール半分だけ。卓上に並んでいたのも、ノートPC、Surface Pro 3、電話機、大きめの液晶ディスプレイといった程度。プリンターの設置を断るほど、ペーパーレスを実践しているそうだ。続いて同じフロアにある新設の会長室も取材したが、平野氏の社長室と同じ様にシンプル。違いを挙げるなら、以前から使っている冷蔵庫とプリンターがある程度。ただ、代表執行役会長の樋口泰行氏はアイディアを壁に書き留める習慣があるため、一部の壁面を白紙で隠していた。Microsoftの動向という意味で非常に興味深いが、最後まで目にすることはできなかった(これはしかたない)。もともと「品川オフィスファミリーデー」は、樋口氏が社長の時代から、コーポレートオペレーションズ(旧社長室など各部署が統合)が中心となって始めたものだが、その様子は年々変わっているようだ。日本マイクロソフトは、数年前から社員の席などを決めないフリースタイルを導入しており、Skype for Buisinessで簡単なコミュニケーションや打ち合わせを済ませるといったように、社内での働き方が大きく変化したという。さらに「日本マイクロソフト社内で行っていたフリースタイルを社外に広げたのが、我々が推進するテレワークの形」とも。技術革新で働き方が変わり、それを誇りと思える文化が社内に芽生えてきた。そんな自分の姿を家族に見てもらえるは嬉しいという。話を戻して、品川オフィスファミリーデーの会場で人気を博していたのが、「マイクロソフトのIDカードを作ろう」だ。社員が使っているIDカードに、子どもの写真を印刷するというサービス。取材関係者が訪れたときは、何十人も列を作って撮影や印刷を待っていた。「楽しもう! Officeライフ」は、Microsoft Officeのテンプレートを使ってさまざまなグッズを実際に作れる体験プログラムを開催。数年前から日本マイクロソフトはOfficeテンプレートに力を入れているが、正直なところこれほど多様なグッズを作れるのかと、恥ずかしながら驚かされた。「天体観測ワークショップ」を題した体験プログラムは、Surface Pro 3と宇宙の美しい画像を閲覧できるプラネタリウムソフト「WorldWide Telescope」で構成している。「お絵かき水族館」は、チームラボと日本マイクロソフトが共同で開催した体験プログラム。お子さんが塗り絵した魚の画を立体スキャナーで読み取り、バーチャル水族館に映し出すというものだ。これらのアプリケーションはWindows 10上で動作している。実際に参加したお子さんに感想を聞いたところ「ワクワクした」と嬉しそうに語っていた。この他にも記者向けとして、社内に設置してあったSurface HUBを披露。ちょうどMicrosoftは2015年7月に予想以上の注文件数が集まった結果、出荷時期を2016年1月以降に延期すると発表したばかりだが、筆者も本体を目にするのはこれが初めてだった。普段はすれ違う人もまばらな社内の廊下だが、この日ばかりは家族連れがところ狭しとあふれんばかりの盛況ぶり。まるでお祭りのようだった。平野氏は自身のお子さんから仕事内容を問われ、口頭で説明すると「メールを打って人と話すのが仕事なの?」といわたと苦笑していた。職場でどのように働いているかを家族に見てもらう品川オフィスファミリーデー、日本マイクロソフトは来年以降も続ける予定とのことだ。阿久津良和(Cactus)
2015年08月18日日本マイクロソフトは8月10日に記者発表会を行い、8月24日~28日に同社が実施する「テレワーク週間 2015」の取り組み内容について説明した。2012年からテレワーク推進を行ってきた日本マイクロソフト。2013年までは自社単独で実施し、2014年は32の法人と共同で取り組んできた。3回目の実施となる今年は、テレワークを実践する法人だけでなく、応援・協力する法人など対象を広げて呼びかけた結果、8月10日時点で賛同する法人は651社になるという。さらに、今年同社では新たな挑戦として、地方創生への協力も取り組むことが発表された。日本マイクロソフトの代表執行役 会長の樋口泰行氏は、2014年の同社の活動結果から、テレワークを阻害する要因を次のように語った。「まず、『オンライン会議の仕組みがない』といったICT環境による要因と、勤怠管理やセキュリティなど社外で仕事ができない制度による要因、そして一番大きな問題は『そもそもテレワークの発想がない』といった、マインドによる要因が浮かび上がった。『部下は目の前で仕事をさせなければいけない』といった、古い考え方を変えてく必要がある」(樋口氏)このような教訓から、「テレワーク週間 2015」では、「テレワークを実践する」以外にも、「テレワークを学ぶ/議論する」「テレワークを応援する/協力する」という観点での取り組みも予定されている。賛同法人の内訳は、大手企業が約8%、公共機関が約8%、残りの約8割が中小企業による構成だという。賛同法人の取り組み内容として、ソニーでは、これまで育児や介護の支援に限定していた在宅勤務制度を、全社的に拡充・展開することを見据えた実証実験として実施することを表明している。カラオケルーム歌広場とジャンカラでは、テレワークスペースとして、カラオケルームをテレワーカー向けスペシャル価格で提供するという。日本マイクロソフトの取り組み内容としては、賛同法人向けにセミナーを実施したり、中学生へのテレワークセミナーの開催を予定するなど、テレワークを学べる機会を用意するという。また、テレワーク週間中、品川にある同社の本社オフィス1階をテレワークスペースとして賛同法人に開放したり、中堅中小企業に対しては、「Office 365 テレワーク体験無償セットアップ」を提供する予定としている。さらに自社の実践内容としては、全社一斉のテレワーク実施、派遣スタッフの在宅勤務トライアルのほか、普段テレワークを実施しないカスタマーサポート部門のテレワーク実践が挙げられている。同社のテレワーク推進 担当役員の織田浩義氏は、「今回のテレワーク週間では、自宅以外の場所で働くことへの可能性を模索したい。そこで、あえてテレワークの実践が難しいと言われるカスタマーサポート部門を、北海道に移して挑戦する」と語った。同社は、地方創生の取り組みとして、北海道別海町で滞在型テレワークの実証実験を行うことを発表した。今回の実証実験では、日本マイクロソフトの社員自身が、別海町で滞在型テレワークを実施するという。3つの期間にわかれての実施となり、第1期はテレワーク週間の開催にあわせた、8月24日~28日で実施する予定となっている。実施場所については、旧光進小中学校跡地を利用するという。「これまでテレワークというと在宅勤務を中心に考えられてきたが、今回は自宅以外で一定期間働くことにチャレンジする」(織田氏)また、同社では「ファミリー滞在型テレワーク」での実証実験を考えており、これは、家族と一緒に別海町へ行き、同社の社員は平日は仕事をし、週末・休日に家族と共に過ごす働き方の検証だとしている。同社ではこの交通費を一部負担するとしており、社内では多数申し込みがある状況だという。最後に、同社のエグゼクティブアドバイザーである小柳津篤氏は、これまでの同社の取り組みについて、次のように振り返った。「これまでのテレワークの考えられ方は、育児中の女性が在宅勤務を行うなど、『一部の社員』の『ある局面』を対象に、今の仕事を別の場所で行うことを考えられてきた。しかし、当社のテレワークの考え方は、『全員』が『毎日』必要な時に、必要な人と、必要な対話/情報を交わすことだと捉えている。これは、コンピューターとクラウドサービスの配布だけで実現できるものではない。就業規則からICTの使い方など、あらゆることをこの考え方に即して変えていく必要がある。この業務スタイルの変化を行うのに、当社では8~10年程かかって、やっと成果が見えるようになってきた」(小柳津氏)同社は、この「テレワーク週間 2015」を先駆けとして、今年の11月に実施される総務省などが参画するテレワーク推進フォーラムによる「テレワーク月間」において、今回の活動結果をフィードバックし、日本のテレワーク推進への貢献を目指すと決意を表明した。
2015年08月11日●日本からの参加者が過去最高となったWPC 2015米Microsoftは、2015年7月13日~16日までの4日間、米フロリダ州オーランドで、パートナー向けイベント「Worldwide Partner Conference(WPC) 2015」を開催。会期最終日には、日本からの参加者を対象にしたJapan Regional Keynoteが行われた。約150社のパートナー企業から、409人が参加。日本からの参加者数は過去最高となった。日本マイクロソフトによると、そのうち約40社60人が初めて参加したパートナー。さらにそのうち、7割がISVパートナーあるいはマネージドサービスプロバイダだったという。講演では、日本マイクロソフトの樋口泰行会長、平野拓也社長が登壇。2015年7月1日付けでそれぞれが新たな役職となってから、パートナーの前にそろって登場するのは、初めての機会となった。日本マイクロソフトの平野拓也社長は、「外資系企業では社長交代の際に、数カ月間に渡って社長のポストが空席になったり、暫定的に本社から人が来たりといったことが起こりやすい。新たな体制になることを3月に発表してから、数カ月間に渡って引き継ぎを行い、私が中心となって予算編成、体制変更を行ってきた。その間、社長業としての責任の重さを感じた。一方で、樋口の表情が、毎日明るくなっていくのを見て、悔しい思いをしていた」と冗談を交えながら、スムーズな形でトップ交代を行ったことを強調。「お客様、パートナーを訪問して感じたのは、変革を目指しているマイクロソフトが、これからどう変わるのか。それに対する期待値である。米本社では、サティア・ナデラへとトップが変わり、それに合わせて変革が進んでいる。日本マイクロソフトの変革、パートナーの変革を進めるのが私の役割。私が先頭になり、日本マイクロソフトの社員全員が、チャレンジャーとしてのマインドセットをもって、変革を進めていきたい」と述べた。WPC 2015の基調講演において、米MicrosoftのCEOであるサティア・ナデラ氏は、「プロダクティビティとビジネスプロセスの改革」、「インテリジェントなクラウドプラットフォームの構築」、「革新的なパーソナルコンピューティング体験の創造」という3つの切り口から、マイクロソフトの「アンビション(野心)」を表明してみせた。平野社長はこれらを踏襲しつつも、日本マイクロソフトの方向性として、「革新的で、親しみやすく、安心でき、喜んで使っていただけるクラウドとデバイスを提供する」ことを掲げた。そのなかで、「これまでのPCと核とした考え方から、人を核とした考え方へ」、「販売重視から、利用価値重視へ」、「変革を進めるパートナーとの協力関係へ」、「Windowsに留まらない新しいエコシステムへ」、「過去にとらわれず、変革と挑戦を進める社内文化へ」という5つの変革に取り組むことを示し、これらを2016年度の重点ポイントに掲げてみせた。●「人」を軸としたWindows 10、日本市場でWindows Phoneが加速か○「人」を軸としたWindows 10、日本市場でWindows Phoneが加速かとくに、「革新的なパーソナルコンピューティング体験の創造」では、「Windows 10+デバイス」という観点から説明を行った。「Windows 10は、マイクロソフトの変革を象徴する製品になる」と位置づけたあと、「Windows 10は、PCを軸として考えた製品ではなく、人を軸として考えたソリューション。ユニバーサルプラットフォームの実現により、ひとつのアプリで、IoTからスマホ、タブレット、PC、さらには大画面のデバイスまで、様々なサイズのディスプレイに対応し、バリューを提供できる。ユニバーサルアプリの開発がしっかりと進むように、情報提供の場を用意していきたい。また、今年秋から年末にかけて、Windows 10を搭載した新たな多数のデバイスが登場する。私としても、大変楽しみにしており、販売店店頭にも足を運びたい」と語った。さらに、「7月29日から、Windows 7および8.1のユーザーは、無償でWindows 10にアップグレードできる。まだ試していない人は、ぜひ使ってほしい」と、パートナー各社に呼びかけた。Windows Phoneについても言及。「多くの方から関心を寄せていただいている分野である。日本でスマホは出さないのかと聞かれ、回答に苦しんでいたが、マウスコンピューターやフリーテルが、国内市場にWindows Phoneを投入し、それ以外にも様々なデバイスメーカーから相談や提案がある。ワクワクするトピックもあり、それを順次発表していけると考えている」と、国内市場に向けて、Windows Phoneを投入する動きが、少しずつ進展していることを示した。日本語化が期待されているデジタルパーソナルアシスタント「Cortana」については、「まだ日本語を話さないのかと聞かれ、実際に日本語版を試してみたが、かなりいい感じになってきた。最初はちょっとへんな発音だったが、子供が成長するように、だんだん賢いことを話すようになってきた。機械学習(マシンラーニング)によって、どんどん進化を遂げている。そのうち、関西弁を話せば面白いかなとも思っている」などと述べ、日本語版の実用化に向けた準備が着実に進んでいることを示した。加えて、「Skypeトランスレーターの日本語対応についても、本社と緊密に連携して準備を進めている。時期は言えないが、私も期待している技術のひとつ。ぜひ、みなさんも期待してほしい」と語った。Microsoft BandやHoloLensについても、「日本の顧客に届けられるようにしたい。Windows 10が持つ魅力と組み合わせながら、日本の市場をパートナーと一緒に盛り上げたい」とした。国内で発売する意思を明らかにしているSurface Hubについては、「調布の研究開発拠点を、品川本社に統合するのに合わせて、社内のレイアウトを変更。Surface Hubを30台設置して、自らも検証することにする」と語り、7月2日の社長就任会見時には25台と話していたので、導入台数を増加させることになったようだ。そのほか、「プロダクティビティとビジネスプロセスの改革」では、office 365の販売拡大に加えて、Dynamics CRMの販売強化を進める方針を示したほか、8月下旬に実施するテレワーク週間の取り組みについても言及。「昨年からパートナーにも声をかけて、30社にテレワーク週間に参加してもらったが、今年はより多くの企業に声をかけたいと思い、300社の参加を目標にした。一昨日の時点で400社が参加することになった。この勢いだと、最終的には500社規模になる可能性がある。テレワークは、政府との連携によって、地方創生にもつなげていく考えであり、北海道の別海町に、滞在型のテレワーク拠点を開設するといった取り組みも行う」と説明した。「インテリジェントなクラウドプラットフォームの構築」では、「コネクテッドワールドのデファクトスタンダードを目指す」とし、WPC 2015で発表したCortana Analytics Suiteなど、Azureの機能を活用した製品群の品ぞろえについて説明。「Azureにどんな機能があるのかがわかりにくいという課題がある。日本市場向けに、10種類のシナリオをパッケージ化して訴求したい」と語った。また、「クラウドを軸としたパートナーシップを強化し、クラウドの企業として、もっともパートナーを大切にする会社といわれることを目指す。2014年度にはクラウドパートナーは1,500社であったが、2015年度には2,500社にまで増大。さらにこれを3,500社に拡大する。CSP(クラウドソリューションプロバイダ)プログラムの拡張などを通じて、パートナーを通じたクラウドビジネスを、日本でもしっかりやっていきたい。ここでは、ISVパートナーとの連携を進める考えであり、7月1日付けでISVビジネス推進本部を20人体制で新設し、情報提供、ソリューションの共同開発などにより、パートナーへの対応をしっかりとやっていく考えだ」とした。平野社長は、「日本マイクロソフトは、国内パブリッククラウド市場において、2014年度は5番手、2015年度は3番手だった。2016年度は、予算をしっかりとやれば、トップになれる」と、トップシェア奪取にも意欲をみせた。一方で、「マイクロソフトは、創業してから、40年を経過する。これまでに大きな成功を収めてきたが、Windowsプラットフォームを守ることに経営方針が向かった時期があった。製品戦略や価格戦略などもそれに向かっていた。だが、サティア体制では、過去の成功体験にこだわらず、チャレンジャーとして取り組むことを打ち出した。競合と言われるところとも組み、オープンソースも取り込んだ。革新的で、親しみやすく、喜んで使ってもらうというところに軸足を置きたい。Windowsも、様々な価値訴求を重視したい」と述べた。●樋口会長のこれまでと、これからの役割日本マイクロソフトの樋口会長は、会長職の役割について説明。「直近まで会長職はなかったが、かつて古川亨氏が9年間にわたって、技術の伝道師として会長を務めたことがあった。私の場合、役員の意見を総合して決めたのは、平野新体制を全面的に支えるということ。そして、お客様との会社対会社の関係強化、新たな戦略的パートナーシップの構築、ナショナルアジェンダへの貢献、人材育成の強化の4つに取り組んでいく」と述べた。樋口会長は、社長としての7年3カ月間、そして日本マイクロソフトでの8年4カ月間の経験をもとに、次のように語る。「社長一人で、社内と社外を担当するのは大変である。日本の場合は、顧客とのリレーション、会社と会社の連携が重要。日本マイクロソフトとしては、米国本社との緊密なやりとりも重要な仕事である。こうした平野の手がまわらないところをやっていきたい。戦略的なパートナーシップの構築や、品質問題への対応、方針転換による影響への対応といったものを担当することになる。最もできていなかったのがナショナルアジェンダへの対応。日本という国への貢献を考えない外資系企業は二流、三流の企業だと考えている。日本に対して、どんな貢献ができるのかといったことに取り組みたい。日本マイクロソフトの顧客である企業の競争力を高め、日本の競争力を強化し、欧米に遅れを取らないようにしたい。日本は少子高齢化が進展しており、労働力確保の課題もある。それに対応するために、テレワークやダイバーシティが重要になる。テレワークのリーディングカンパニーとして、それに値する貢献をしたい。また、地方創生においても、ICTは核になるものであり、地方においても働ける環境づくりにも取り組む。そして、東京オリンピックに向けても、マイクロソフトの顔を出していきたい」(樋口氏)。さらに、Japan Regional Keynoteでは、米Microsoftのバヘ・トロシアンコーポレートバイスプレジデントも登壇。「アップルの特徴は製品にあるが、マイクロソフトの特徴はエコシステムにある。Windows 10は、新たな製品のリリースではく、新たな時代の幕開けにつながるもの。パートナーにとっても、大きなビジネスチャンスが生まれる」としたほか、「いよいよWindows Server 2003のサポート終了を迎えたが、クラウドへの移行を促進するチャンスはこれから訪れる。マイクロソフトは、イノベーションのために、年間100~120億ドルの投資をしており、ビジネス拡大のチャンスを提供している。パートナーにとっては、これから大きな商機が訪れることになるだろう」などとした。
2015年07月17日●通信関連の相談まで可能今日、6月19日はマイクロソフトのタブレットPCである「Surface 3」の発売日だ。このSurface 3はLTE機能を標準搭載したモデルで、世界に先駆けての日本国内での発売となる。このSurface 3の発売と時を同じくして、有楽町のビックカメラのWindowsスペースが刷新され、そのお披露目発表会が行われた。Surface 3の発売日だからと言って、Surface 3のスペースだけが刷新されたわけではないのだ。有楽町ビックカメラの5階、Windowsスペースはメーカーにかかわらず、同じスクウェアでシンプルなデザインの展示スペースとなっている。また、パソコン本体だけでなく、アクセサリ類も本体の近くに展示されているので、探しやすくなっている。また、Surface 3のようなLTEに対応したモデルでは、その通信関連の契約や相談なども、同スペースで行うことができる。ちなみにSurfaceのスペースには今回、発売になるSurface 3だけでなく12インチディスプレイのSurface 3 Proもおかれていた。この5階はWindowsパソコンの展示スペースとしては国内最大級ということで、マイクロソフト以外に、NEC、富士通、東芝などの国産パソコンも展示されているのだが、一部スペースを除けば、Windowsロゴも統一され、統一された同じデザインに仕上がっていた。ソリッドでクリーンな印象であり、客も立ち寄りやすそうなスペースだ。ちなみに、ビックカメラ有楽町店ではしばしばSurfaceのイベントが行われるのだが、その理由はなぜだろうか? と個人的に疑問に思っていたので、ビックカメラの広報担当者に聞いてみたところ、この場所が有楽町ということもあり、仕事向けのパソコンを買う人がかなり立ち寄るのだという。仕事帰りに来店するだけではない。ランチなどの際に立ち寄るのか、昼時の来店人数もかなり多いのだという。仕事向けということもあり、売れ筋も機能性が高い高機能パソコンとなる。このマイクロソフトのSurfaceシリーズもそういう意味で、客層とマッチしている可能性が高いのだという。●Surface 3をアピール○タブレットの軽さ、LTE通信の気軽さこの日は、このスペースのお披露目日ということで、スピーチも行われた。マイクロソフトの樋口泰行社長は「ビックカメラ有楽町のこの場所は日本で一番のショーケース。Surface 3が本日発売なのだが、完成度が非常に高く、Windows 10も視野に入れてアピールしていきたい。このSurfaceはタブレットではあるが、PCとしてのワークスタイルも持つ。タブレットの軽さでPCの機能を持っており、パソコンとタブレット、2つの仕事を1台でこなせる。しかもLTEを搭載しており、完成度も高い。予約もびっくりするほどで期待している。今日、発売日なので広告にもより力を入れていく」とのこと。さらにSurface 3のLTE通信部分を担当するY!Mobileのエリック・ガン氏(ソフトバンクモバイル専務)は、「Surface 3に提供しているLTEは通信料金がリーズナブルにやらせてもらっている。Surface 3はハードがよく、LTE対応でさらに魅力的になっている。今年の夏から全力投球していきたい。」とのこと。さらにビックカメラの有楽町店店長の佐藤壮史氏は、「このWindowsスペースは国内最大級に広い。ロゴを統一したことで統一感を演出している。また、本体だけでなくアクセサリも帰るなど、利便性も配慮している。Surface 3は非常に軽いので、女性に好評になるのではないかと思っている。親切に対応させていただきますのでよろしく」とのこと。さらにビックカメラソフトボール女子高崎のメンバーも4人駆けつけ、ピッチャーの上野由岐子さんは「Surface 3は軽くてバッテリ長持ちなのがいい。LTE通信も搭載しているので、遠征の多い私たちに便利そうだ」とのこと。質疑応答では、「今までの展示スペースとどう違う? Windows 10発売が近いが、これに向けてどう考えている?」というような質問が出た。これについてビックカメラは、Windowsパソコンの展開はメーカーによって異なっているが、それぞれの良さが体感できるような展示ができるように心がけているという。顧客との距離感を縮め、気軽に立ち寄ることができ、知りたい情報を知ることができるスペースを目指し、Windows 10のリリース後は、実際に顧客にWindows 10を使ってもらい、その良さが伝わるようにしたいとしている。Surface 3について、実際、手にとって確認したり、質問したい方は、一度、ビックカメラ有楽町店に立ち寄ってみてはいかがだろうか?
2015年06月19日2015年6月19日、日本マイクロソフトは、10.8型Windows 8.1タブレット「Surface 3」を発売した。日本マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏は「売って売って売りまくる」とSurface 3のスタートダッシュに対する意気込みを語っている。○タブレットとPCの長所を併せ持つSurface 3「出しちゃいました」Surface 3は米国で2015年3月31日(現地時間)に発表し、同年5月5日に販売を開始したタブレット、もしくは2-in-1 PCである。追いかけるように日本国内でも、同年5月12日に発表、6月19日に発売することを明らかにしたのは記憶に新しい。そして発売日の当日、ビックカメラ有楽町店、ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaにおいて、発売記念セレモニーを開催した。会場となったビックカメラ有楽町店では、ビックカメラ 代表取締役社長の宮嶋宏幸氏が「発表後に多くの予約を頂いて、本日の発売日を楽しみにしていた。有楽町店では、Windowsの世界をお客様に知ってもらうため、本日からフロアを刷新した」と挨拶し、Surface 3と同店舗に設置した"日本最大級のWindowsエリア"をアピールした。宮嶋氏は夏商戦に向けた起爆剤として、Surface 3に期待を寄せているという。日本マイクロソフトの樋口氏は、Windowsエリアを指して「東京で一番のショーケースといっても過言ではない」と評価しつつ、Surface 3や2015年7月29日にリリースするWindows 10の情報発信基地として「(Surface 3を)売って売って売りまくりたい」と挨拶した。また、「タブレットと同じ軽さと薄さ、PCの機能を兼ね備えたものが出ればいいな」というニーズが多かったことを述べながら、「出しちゃいました」と軽快にSurface 3の長所をアピールしていた。ビックカメラ有楽町店 店長の佐藤壮史氏も「WindowsエリアはSurfaceを中心に全15社、150アイテム(オーダーメードPCを含めると380アイテム)の展示販売で構成している。訪れたお客様に対して詳しい説明を行いつつ、催事スペースを活用して各メーカーのイベントを始めとする情報発信を行っていく予定」と、同エリアを紹介。さらにSurface 3が若者に焦点を当てたデバイスであることから、「女性ユーザーのニーズが高まるのでは」と期待を語った。興味深いのが、Windows 10発売後の展開である。日本マイクロソフト 執行役 コンシューマー&パートナーグループ ゼネラルマネージャーの高橋美波氏は、「他の店舗でも同様の"Windowsエリア"を展開したいと考えている。9月~10月ごろから、各PCメーカーからWindows 10搭載デバイスが登場する予定」と述べていた。このことから察するに、Windows 10は6月中にもRTM(製造工程版)に達し、7月中には各PCメーカーへのOEM版提供を開始する予定になりそうだ。○ヨドバシAkibaでは…場所は変わって秋葉原。ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaでも発売セレモニーを開催した。ここでも登壇した樋口氏は、「張り切って(Surface 3ロゴの)Tシャツに着替えたが若干肌寒い」と。降りしきる雨の中でSurface 3をアピール。発言の多くはビックカメラ有楽町での内容と重複するため割愛するが、「Surface 3の背面にはMicrosoftのマークをプリントしている。既に見飽きた感はあるものの、我々はこのマークとともにマーケティングを展開していく」と述べていた。続いてスピーチしたのは、ソフトバンクモバイルのエリック・ガン氏。ソフトバンクモバイルと日本マイクロソフトはパートナーシップを結んでおり、Y!mobileのLTE回線およびSIMカードは、Surface 3との動作確認が行われている(Surface 3はSIMフリー端末なので、対応バンドが会えば他社製のSIMも使用可能。ただし動作検証は行われておらず、自己責任となる)。ガン氏は当日の天候を指して「雨は幸運を示す」と風水の意味を引用しつつ、Surface 3や自社のLTEサポートをアピール。ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba店長の御代川忍氏は「注文の数に驚かされている。Surface 3に触れて軽さや通信速度を実感して欲しい」と述べた。実際に店内へ入ると、正面入り口付近にSurfaceのロゴや映像CMを流した展示が目に入る。店舗に訪れた一般のお客も、興味深そうにSurface 3を触っていた。既報のとおり樋口氏は、2015年7月1日付けで日本マイクロソフト 代表執行役 会長に就任するため、コンシューマー向けイベントは本日が最後の登壇となる。2008年4月1日付けだった日本マイクロソフト 代表執行役社長への就任から数えて7年と3カ月を振り返り、「クラウドを前提にした製品開発が一般的になり、PCを取り巻く環境が大きく変化したのが印象深い」と述べていた。会長就任後は「社内の人材育成・活用といった非ビジネス系はもちろん、重要なプロジェクトやパートナーとの提携や関係性を補完したい。(2015年7月1日から代表取締役社長に就任する)平野(拓也氏)のスタートアップをサポートする」という。あと半月足らずで日本マイクロソフトは社長交代を迎え、その約1カ月後にはWindows 10がリリースされる。Surface 3の発売と相まって日本マイクロソフトは、今後も多くの注目を集めるだろう。阿久津良和(Cactus)
2015年06月19日5月31日(日)、佐藤浩市と樋口可南子が夫婦役として初めて共演を果たした『愛を積むひと』のロケ地である北海道・美瑛町に、佐藤さん、樋口さん、朝原雄三監督が再訪。記念セレモニーおよび舞台挨拶つき町民限定試写会が行われた。第二の人生を大自然に包まれた美しい土地で過ごそうと、北海道に移り住むことにした夫婦、篤史と良子は、かつて外国人が暮らしていた家で暮らし始める。良子は篤史に家を囲む石塀作りを頼んだが、以前から患っていた心臓の病を悪化させて、この世を去ってしまう。悲しみにくれる篤史のもとに、ある日良子より手紙が届いた。驚く篤史。そして、次々と見つかる手紙に導かれるように、篤史は周囲の人々の人生に関わっていく。そして長年疎遠となっていた娘、聡子と再会し…。「日本で最も美しい村」と称される北海道・美瑛町を舞台に撮影が行われた本作。記念セレモニーでは、佐藤さん、樋口さん、朝原監督が劇中で二人が暮らす家に再訪。イベントでは、劇中で良子(樋口さん)の思いを聞き入れて篤史(佐藤さん)が積み上げた石塀に、この日のために用意された“ハート型に作られた石”がはめ込まれ、夫婦の絆の象徴としての“愛の石塀”が完成された。その後、佐藤さん、樋口さん、朝原監督の3人は、美瑛町町民センターで実施された美瑛町民のための特別試写会の舞台挨拶に登場。映画を観終わった直後には、美瑛町民430名で超満席となった場内からは割れんばかりの大きな拍手が沸き起こった。劇中の白髪とはうってかわって黒髪で登場した佐藤さんは「劇中とはちょっと見た目が変わりましたが…」と笑いを交えて挨拶。続いて樋口さんが、「この映画のために家を一軒建てていただき、本当に贅沢な撮影ができたことを感謝しています」と町民へ改めて感謝の気持ちを伝えた。一方の朝原監督はその十勝岳をロケハンで登頂し、本当にキツかった思い出を披露。「撮影で佐藤さんにも本当に登らせようとしたけれど、『俺は嫌だ』とはっきり断られた(笑)」とのエピソードで会場に笑いを誘っていた。美瑛町を代表して、浜田哲町長が3人へ「丘のまち美瑛を舞台に素晴らしい作品を作ってくださって心からお礼を申し上げます」と感謝の言葉が述べられ、ついで町民から美瑛の特産品である「アスパラガス」が贈呈。樋口さんは大のアスパラ好きのようで、「昨日も一昨日もいただきました!」と喜んでいた。『愛を積むひと』は6月20日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:愛を積むひと 2015年6月20日より全国にて公開(C) 映画「愛を積むひと」製作委員会
2015年06月01日●Microsoft/日本マイクロソフトが目指す「3つの野心」「de:code」は、Microsoftが以前から開催してきた「TechED」と「build」を融合させた、日本マイクロソフト独自のイベントだ。開発者を対象としているが、MicrosoftのBuild 2015と同じく、次期製品に関する多くの情報を披露するため、注目イベントの1つに数えられる。また、Microsoft/日本マイクロソフトが持つ数多くの新技術を一挙に披露するため、読者諸氏にとって興味深い話題に事欠かないだろう。まずは2015年5月26日に行われた、140分にわたる基調講演(キーノート)の内容をご報告する。○Microsoft/日本マイクロソフトが目指す「3つの野心」とは最初に登壇したのは、日本マイクロソフト執行役 デベロッパー エバンジェリズム統括本部長の伊藤かつら氏。Microsoft/日本マイクロソフトの最新技術を内外にアピールする、エバンジェリストの大黒柱を勤める。伊藤氏は、Microsoftが今年創立40周年を迎えたその日、創業者の1人であるPaul Allen氏のツイートコメントと、同社最初の製品となる8080プロセッサ用BASICのソースコードをスライドに映し出し、わずか8週間で完成したといわれていると紹介した。次に40周年を迎える前日に、もう1人の創業者であるBill Gates氏が全社員に向けて送信したメールをスライドで紹介。そこには「ポール・アレンと私は『すべての机上と家庭内にコンピューターがある世界』をゴールと定めたが、当時は想像を超えた不可能なアイディアだといわれていた。コンピューターの進化と未来を想像することは素晴らしく、我々はMicrosoftが果たしている役割を誇りにしてよい」と書かれている。伊藤氏はGates氏の「大事なのは過去ではなく、我々が次に何をやるかだ」を用いて、自社の変革と"マイクロソフトの次"を感じてほしいと、導入スピーチをまとめた。次に登壇したのが、来期(2015年7月)から代表執行役 社長に就任する、日本マイクロソフトの現・代表執行役 副社長 平野拓也氏。昨年のde:codeは現・代表取締執行役 社長の樋口泰行氏によるユニークなスピーチが好評だったが、平野氏は文字どおり"マイクロソフトの次"を象徴する存在だ。平野氏が自身で述べたように、今回のde:codeは社長就任発表後初のメジャーイベントとなるため、次期新社長を開発者にアピールする狙いもあったのだろう。平野氏は「マイクロソフトはWindowsの世界に皆さんをお招きした後に、その周りに壁を建てて囲い込んでいたのかもしれない」と過去を振り返りつつ、「我々はPCや人を中心とした考え方に変化している」と、Microsoft CEOのSatya Nadellaのビジョンを紹介した。さらに過去のビジョンを捨てて、新たなメッセージを発信している点を強調。例えば、9インチ未満のWindowsタブレットに対するOSライセンスの無償提供、iOS/Android向けOfficeの提供、そしてLinuxへの歩み寄りは、Microsoft/日本マイクロソフトの変革を示した好例だ。平野氏によれば「Microsoft Azureの20%はオープンソース(Linux)が動いている」という。その上で競合企業ともパートナーシップを組みつつ、モビリティ&クラウド世界においてチャレンジャーからリーダーを目指すという、強い姿勢も打ち出した。平野氏は続けて「(我々は)3つの野心を持っている」と述べ、Microsoft/日本マイクロソフトの目指す将来を次のように定義した。1つめはPCやスマートフォン、タブレットに限らず、車などを含めた広義のスマートデバイスで、変わらぬシームレスな経験が重要になるという。その上で同社は、SurfaceやSurface HUB、HoloLensといったデバイスを世に送り出し、Windows 10というプラットフォームを重要視していると説明した。2つめはプロダクティビティー(生産性)とプロセス(手順)の再定義だ。一般的に、これらのキーワードはビジネスで用いることが多いものの、ビジネスとコンシューマーの垣根は既になくなり、場所やデバイスにとらわれないデュアルシナリオが必要になるという。3つめはインテリジェント(知性的な)クラウド。これまでのように、データセンターにすべてを集約させるのではなく、ハイパースケールもしくはトップグレードなセキュリティなど対応力を高め、モビリティ環境を包括的にサポートする考え方だという。平野氏は話をそのままMicrosoft Azureにつなげ、MicrosoftのMicrosoft Azure team in the Cloud & Enterprise group担当CVPのJason Zander氏に交代したが、本稿では割愛し、その次に登壇したDeveloper Experience & Evangelism group担当シニアディレクター Giorgio Sardo氏のスピーチを紹介しよう。●「ユニバーサルWindowsプラットフォーム」の姿○UWPが実現するOne Windowsの具体的な内容をアピールSardo氏の発言内容は、基本的に今年のBuild 2015やMicrosoft Igniteで披露した情報を改めてトレースしたものとなるので、キーポイントを大掴みに紹介する。Windows 10が生み出すチャンスとして、Sardo氏は4つの注目ポイントがあるした。1つめは巨大なターゲット市場。平野氏の説明と重複するが、Microsoftはさまざまなデバイスに対して1つの経験を提供すると述べ、この2~3年内に10億台のデバイスがターゲットになると語った。2つめはスマートエンゲージメント。日本語に置き換えると洗練した参加スタイルというべきだろうか。Sardo氏はロック画面におすすめのアプリケーションを提供する「App Spotlight」や、アクションセンターやトースト通知からメッセージアクションに対して直接返信できる"対話型の通知"、そしてパーソナルアシスタントして働くCortanaを紹介。音声検索時に該当する情報がローカルに存在しない場合は、Webへ情報を探しに行くという。3つめとして、デスクトップモードとタブレットモードをシームレスに切り替えるContinuum(コンティニューム)や、スマートフォンをPCとして利用するContinuum for Phonesも紹介。残念ながら実機を用いたデモンストレーションは行われなかったが、スマートフォンを簡易PCとしてWordやExcelを利用できるシナリオは実に興味深い。以前寄稿した記事でも述べたように、デバイス側の対応や国内の正式リリースが必要だが、日本マイクロソフトの社員にWindowsスマートフォンのLumia 830を配布したことを踏まえると、Continuum for Phonesを体験するのも遠くない話になりそうだ。4つめは「One WindowsのためのOne Store」。Sardo氏は「1つの方法でアプリケーションを開発し、配信できる」と、シームレスなシナリオを強調した。さらに統合した開発プラットフォームとして、Windows 10に搭載したアプリプラットフォーム「UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)」を紹介。ここでスピーカーは日本マイクロソフトのテクニカルエバンジェリスト高橋忍氏に切り替わった。UWPアプリは、同じアプリケーションが異なるデバイスで正しく動作するものだが、高橋氏は「楽天トラベル」のUWPアプリ版をデモンストレーションとして披露。ディスプレイが小さなデバイスでは、そのサイズに応じた内容へフレキシブルに変化する仕組みを持ち、デスクトップやタブレット、スマートフォンといった異なるデバイスで同一の情報を提供することが可能だという。スピーカーがSardo氏に戻り、UWPの概要について説明された。UWPのデバイスが最適な情報を提示するUIを、「レスポンシブルデザイン」と呼ぶ。コントロールするツールを使えば、開発者は難しいレイアウトを意識せず、Microsoftがデバイスに応じた最適なUIを提供するため、UWPアプリに移行できるという。さらにUWPは、Windowsカーネルと各開発言語(ランタイム)の間に存在するため、開発はワンパッケージで進められる点も強調。大半はAPIとして提供し、2,500以上もの機能を利用できると語った。具体的なコード利用のデモンストレーションも行われたが、そこは割愛してエンドユーザーが気になるMicrosoft Edge(Internet Explorerに代わる新しいWebブラウザー)について紹介する。Microsoft Edgeが4,200以上もの相互運用性を改善し、Webスタンダードに準拠しながらも、ベンチマークなどの結果が好調といった点は、ご存じの方も多いだろう。注目すべきは「Hosted Web Apps」と呼ばれるWebサイトのアプリ化だ。HTMLやJavaScriptといったWebコンテンツをUWPアプリ化し、ストアに登録するというものだが、その一例としてWebブラウザー上で動作するフライトシミュレーターをアプリ化するデモンストレーションを披露。下図に示したように、画面右上にはXbox Liveのトースト通知が現れ、アプリケーション化していることが確認できる。さらに、アプリケーション側から利用時間の警告を発したい場合も、数行のコードで実現する様子も目の前で行われた。この様に、Sardo氏は具体的なデモンストレーションを交えてUWPの可能性や開発の容易性をアピールしていた。●スクウェア・エニックスの超美的なリアルタイムCGも披露○スクウェア・エニックスの超美的なリアルタイムCGも披露Sardo氏のスピーチはIoT関係など多岐にわたったが、最後にゲストとして登場したスクウェア・エニックス 第2ビジネス・ディビジョン ディビジョン・エグゼクティブの田畑端氏らによる発表に注目しよう。ここでの発表は2つ。1つめは「FINAL FANTASY AGITO」のWindows 10版リリース。具体的なリリース時期は不明だが、年内のローンチを予定しているという。もう1つがBuild 2015でも披露した「WITCH CHAPTER 0 [cry]」。会場では4K解像度の動画をフルHDで出力した映像が流された。筆者もBuild 2015のセッションやYouTubeで視聴したが、目の前のスライドで動画を視聴したのはこれが初めて。その迫力や映像の細やかさは筆舌しがたいクオリティの高さだ。田畑端氏らには話を伺ったので詳細は別記事として紹介したい。蛇足だが、Sardo氏が登壇する前には、日本マイクロソフトのテクニカルエバンジェリスト 高橋忍氏と安納順一氏が会場に現れ、Microsoft Power BIプレビューとマイクで収集した声の大きさをデシベルに変換して、一定値を越えたらSardo氏を招くという休憩を兼ねたミニイベントも披露。ちょうど基調講演時間が半分を過ぎたあたりで行ったため、来場者にリラックスしてもらいたいという開催陣の心遣いもあったのだろう。この他にもBuild 2015のキーノートで紹介した手書きの譜面をデジタライズして、演奏する「StaffPad」や、Microsoft AzureのDockerのデモンストレーションなど、数多くの情報が140分の間に詰め込まれていた。ここですべてを紹介するのは難しいため、興味があって状況が許すなら(de:code 2015の参加費は税込73,440円と高価だった)、ぜひ来年はご自身の目でご覧になってほしい。今回の基調講演を振り返ると、情報提供の多さはもちろんだが、日本マイクロソフトが開発者に歩み寄る姿勢が強く感じられたのが印象的だ。次期社長である平野氏が語っていたように、ITの変革とともMicrosoft/日本マイクロソフトは変革を受け入れ、社全体が変わりつつあるようにも思える。阿久津良和(Cactus)
2015年05月27日●日本で数を出すためには……直近のニュース記事をピックアップして、「家電的な意味で」もうちょい深掘りしながら楽しい情報や役に立つ情報を付け加えていこう……という趣向で進めている当連載。今回の題材とするニュースはこれだ。日本MSのWindowsタブレット「Surface 3」、個人向けはLTEモデルのみ提供(5月19日掲載)Surface 3は、マイクロソフトが3月31日にアメリカで発表済みであり、製品の販売も、日本では発表前の5月5日からスタートしていた。だが、海外で販売されたのはWi-Fi版だけであり、LTE内蔵モデルは「近日発売」とされていた。今回、日本国内では、日本マイクロソフトがソフトバンクと戦略的なパートナーシップに基づき、世界で最初にLTE版を発売することになった。海外ではLTE版の販売予定はまだ公開されておらず、当面「日本独自」となる。一方で、日本ではWi-Fi版は企業向け市場のみに提供され、個人が買うのは難しい状況が続きそうだ。○「通信バンドルのほうが日本では数が出る」ちょっとわかりにくいところがあるので、ここで整理しておこう。今回、日本で個人向けにSurface 3を販売するのは、主にソフトバンク傘下のワイモバイルになる。家電量販店でも、PC売り場よりワイモバイルのカウンターで売られる場合が多くなり、当然、同社の通信プランとセットでの販売形態が準備される。だが、一般的な携帯電話などとは異なり、契約しないとSurface 3を買えない、というわけではない。「SIMを契約せず、本体だけを一括で買う」こともできるし、家電量販店やマイクロソフトのウェブ通販からは、本体だけを普通に購入できる。Wi-Fi版は当面日本市場に投入しないで、LTE版だけを扱い、LTE版+SIMカードのセットをワイモバイルが中心となって販売する、という形である。日本マイクロソフトの樋口泰行社長によれば、LTE版を中心に販売することになったのは、次のような作戦があったからであるようだ。「タブレットにおいて、日本では通信をバンドルしたものの売り上げが多い。だとすれば、フォーカスしないと台数を広げていくのは難しいので、決断した。マイクロソフトはチャレンジャー。あまねくチャネルを広げて売るよりも、同じ気持ちでブレイクに向かってやってくれるパートナーがいれば、そこにフォーカスをあてる方がいい戦略、と思っている。商品計画を立てたのち、ワイモバイルに話をした結果、パートナーシップを組むことになった」すなわち、「タブレット」という観点で見ると、通信事業者が音頭をとる形で販売したほうが数が伸びるであろう……、という分析からとられた戦略であることがわかる。Surface 3は安い製品ではない。キーボードとペンまで含めてフルセットで買うと10万円を超える場合もある。少しでも安く……と思う消費者心理としては、Wi-Fi版が欲しいとも感じる。一方で、マイクロソフトとしては、1ドル=120円という円安の状況で、相対的に高く見えるSurface 3について、モバイルのパートナーを見つけ、セット販売での割引きや割賦販売を併用することでハードルを下げようとしたのでは、とも予想できる。ワイモバイルのエリック・ガン社長も「命を賭けて売っていく」と強い意気込みを見せている。それはもちろん、彼らにとって顧客獲得の大チャンスとなるからだ。とはいえそこで、SIMロックをかけてしまうとさすがに顧客が狭くなるし、良い印象も与えない。LTE版にはSIMロックはなく、他社のSIMカードも使える。ただし、LTEの通信に利用する帯域としては、ワイモバイルが使っている2.1GHz(Band1) / 1.7GHz(Band3) / 900MHz(Band8)だけが公式サポートされる。機器としては、技術基準適合証明 (通称・技適)はこのバンドでだけ申請されており、他のバンドは「海外での利用時向け」とされている。だから、他社のSIMを挿して通信をすることもできるだろうが、日本国内では電波法違反となる可能性がある。実質的に国内では「ワイモバイル向け」のLTEとしており、なんとも歯切れが悪い。●Surface 3で狙うは「iPadとの直接対決」この辺を考えると、マイクロソフトがSurface 3を「戦略的なタブレット商品」と考えていることも明らかになってくる。PCユーザーから考えるとSurfaceはWindowsが動く「PC」だ。タブレットモードで動く魅力的なアプリケーションが少ない点も「SurfaceはPCである」という印象を後押しする。だが、ことWindows 10の時代になると、話は大きく変わってくる。「iOSのアプリも取り込めるので、他社の環境をテコにできる状況が整った。後追いの我々もチャンスが出てきた」と樋口社長も期待する。Windows 10で導入される「Universal Windows Platflorm (UWP)」では、Android用のアプリやiOS用のアプリを、ほとんど工数をかけることなく移行させられる。これまでiPad用アプリでビジネスをしていた人々をWindowsタブレットへ振り向かせて、アプリ不足を解消できる、と期待しているわけだ。マイクロソフトでSurface事業を統括するブライアン・ホール氏は、筆者に対し、Surface 3の位置付けを次のように説明した。「Surface 3 Proとは、ちょっと違います。3 Proは、タブレットの代わりにもなるラップトップとして設計したものです。しかし、Surface 3は『The Best of a Tablet』として設計しました。タブレットとして最高であり、ラップトップとしても快適である。そして重要なのが価格。薄さと重量、性能を含めたバランスも、そういう観点で決断しています」世の中では「タブレット退潮の兆し」と言われるが、筆者の見立てはちょっと違う。iPad以外のタブレットが伸びず、iPadが「買い替えユーザー中心」の市場になってきたが故に縮小しているのだ。コンテンツビュワーとしてのタブレットの優位は揺るいでいないし、同時に、「タッチして使うコンピュータ」には、道具としての価値がある。マイクロソフトはペンの操作とPCとしての使い勝手を持ち込むことで、タブレットの可能性を拡張しようとしている。そのあたりは10年以上前からずっと試みていたが、Windows 8以降さらに積極展開が始まり、同社の独自ハードウエアであるSurfaceでは明確に「ペン+タッチ+キーボード」の路線を指向している。これまでは、重量・薄さの点でiPadと直接競合する製品とは言えなかったが、Surface 3は明確に「iPadとの競合」を意識している。アメリカの場合、公式サイトで「直接比較」を掲載しているくらいだ。またSurface 3は「Instant Go」に対応していることも、マイクロソフトがLTE版を推したい理由だろう。Instant Goは、スリープ中でも一定時間毎に通信を行い、情報を最新に保てるようにする機能。通常、PCはスリープ解除後にあらためて通信を接続し、最新の情報をとってくるという挙動になるが、スマートフォンではいつでもメールや電話が着信し、スケジュールなども最新の状態が保たれている。それと同じことをPCで実現する仕組みといっていい。LTE版ならば、移動中であっても問題なく情報がやりとりできるので理想的だ。こうした部分は、iPadやAndroidタブレットではできていることであり、Windowsタブレットの多くでも可能だが、ノートPCやデスクトップPCでは使えないものも多い。LTE内蔵も、そうした観点で見ると別の風景が見えてくる。すなわち「強いタブレットであるiPadと正面から戦える製品だから、より売りやすい環境を整えたい」と考えた、ということなのだろう。また、ホール氏は冗談めかして次のようにも話す。「日本のLTEネットワークはとにかく速くて快適ですからね。アメリカではこうはいかない。本当にうらやましいです。快適さにおいて、Wi-Fi環境とLTEが逆転してしまっているんですから」だからWi-Fi版が不要、とは思わない。しかし確かに、日本のLTE環境は、LTEモデルを中心に勧めたくなるだけの快適さを備えており、それが世界に対して誇れる事実であることは明らかだ。
2015年05月21日●エコシステムの構築を進めるマイクロソフト日本マイクロソフトは19日、10.8インチWindowsタブレット「Surface 3」LTEモデルの発表会を開催した。個人向けモデルの取扱いはY!mobileなどが行う。発表会で同社は「Surface 3」について「世界で最も美しいタブレット」などとアピールしていた。○今のマイクロソフトが目指すこと発表会の口火を切ったのは、日本マイクロソフトの代表執行役社長である樋口泰行氏だ。今回の発表会のテーマである「Surface 3」を片手に登場し、同日の午前中に開催されていたソフトバンクの発表会に自分が登壇したことに触れ、「戦略的提携をした」と切り出した。そして、話題は現在のマイクロソフトに移った。樋口氏は、「AppleやGoogleは独自の生態系を持っており、ユーザーの選択ポイントが製品からエコシステムに変わってきている」と指摘。また、「これまでのマイクロソフトは、OfficeやWindows、Surfaceなど製品がバラバラに存在していた」と振り返った。そこで、今後はエコシステムを構築し進化させていくと宣言した。こうしたビジョンを同社では、「Empower every person and every organization on the planet to achieve more」と呼ぶという。直訳すれば「より多くを成し遂げるためにすべての人と組織に力を貸す」というような意味だろうか。樋口氏は「グローバルに、個人ユーザーの方も、企業の方も、より充実した楽しい生活、ビジネスにおいてはより生産性が高い、ビジネスライフを実現する」と説明した。コンシューマーだけにフォーカスするわけでもなく、企業ユーザーだけにフォーカスするのでもなく、両方にフォーカスし、仕事を頑張りながら、個人生活も充実させていくことをサポートしていくという。●Surfaceらしさが詰まった「3」○世界で最も美しいタブレット続いて、「Surface 3」の機能説明のため、米MicrosoftのSurface担当ジェネラルマネージャーであるブライアン・ホール氏に話はスイッチした。ブライアン氏は「Surface 3」を片手に登場するや「我々はエキサイティングな新製品Surface 3をリリースする」と英語で挨拶すると、重量、ディスプレイ、ディスプレイ解像度、スピーカー、カメラ、LTE回線に対応すること、などについて説明。また、「Surface 3はファンタスティックで、多くの人がそのSurface 3の基本性能が気に入るだろう」とアピールした。さらに「エントリーモデルのストレージは64GBだが、外部ストレージが使えるので、あまり不自由なく使えるだろう。価格的な魅力もある。Surfaceの基本的なポイントである、キックスタンドも搭載し3段階に調節できる」(同氏)と魅力を解説した。同氏は、Surfaceおなじみのタイプカバーについても触れ「Surface 3向けには美しい5色のキーボードを用意する。キータッチもパッド操作感もよくなっているし、安定性も増している」として、例のZ字に折り曲げて安定性を増す機構を実際に見せてくれた。そして、「Surface 3」の機能を強化してくれるデバイスとして、デジタルペンも紹介。デジタルペンがあれば、紙にメモするようにSurfaceでメモができるとして、手書きのメモを実演した。今回のSurface 3向けには白、赤、黒、青の4色のペンが用意されるという。最後に、マイクロソフトロゴが銀色の4つのステンレススチールのパネルでキックスタンドにあることを見せると、「Surface 3」は細部にもこだわっていると話し、“世界で最も美しいタブレット”だとして、話を終えた。●一般向けモデルにはWi-Fiモデル無し○一般向けは4G LTEのみそして、再び樋口氏が登場し、販売されるモデルについて解説を始めた。「Surface 3」には一般向けモデルと法人向けモデルがあり、一般向けは4G LTE対応で税別(以下同)81,800円から、法人向けはWi-Fiで68,800円から、4G LTEで78,800円から。一般向けは4G LTEモデルのみになる。タイプカバーは5色で15,680円になっている。発売日は6月19日。ここでソフトバンクモバイルの専務取締役であるエリック・ガン氏が登場し、同社の、Surface 3に対する取り組みが紹介された。エリック氏は、「うちの役割としては、戦略的なパートナーシップとして、4GLTEモデルを日本でまず発売してから、世界に売っていきたい。販売チャネルは2つあり、法人向けはソフトバンク、個人向けはY!mobileとなる。法人向け商品はマイクロソフトのOfficeと我々の高速LTEネットワーク、サポート、保守、レンタルの組み合わせに、個人向け商品は、エディオン、ケーズデンキ、コジマ、ジョーシン、ソフマップ、ビックカメラ、ヤマダ電気、ヨドバシカメラなどの家電量販店、そして、ワイモバイルショップ、オンラインストアで販売する」と紹介した。○LTE対応はどう受け入れられるか?タブレットのような持ち運べるデバイスがモバイル通信に対応するのは、もちろん便利なことではあるが、個人向けモデルをすべて4G LTE対応モデルにしてしまうというのは、大きな決断だと言える。この新しいSurfaceが日本で受け入れられるかは、今後のモバイルデバイスの生きる道にとっても大きな意味を持つのかも知れない。
2015年05月20日米国では3月31日(現地時間)に発表し、5月5日にリリースしたことから、国内への投入タイミングが待ち望まれていたMicrosoftのWindowsタブレット「Surface 3」。日本マイクロソフトは2015年5月19日、記者会見を開いて翌20日から予約を受け付け、6月19日から販売開始することを明らかにした。現行のメインストリームである「Surface Pro 3」とは異なり、解像度1,920×1,280ピクセル(フルHD)の10.8型ディスプレイや、Intel Atom x7プロセッサを搭載している。○LTE契約せずにWi-Fiモデルとして代用可能かSurface 3の詳しいスペックや価格は既報のとおり。デバイスの厚さは8.7mm、重量も約622g(4G LTEモデルは約641g)と、米国モデルと大差ない。そこで本稿では、記者会見の内容やデバイスの注目ポイントなどを取り上げよう。最初に登壇した日本マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏は、「ユーザーは『どのPCを選ぶ』から『どのエコシステムを選ぶ』に変化しつつある。我々はソフトウェアに特化しつつも、WindowsやOfficeとバラバラだった。今後はiOSやAndroidといった他社エコシステムも梃子(てこ)に、自社のエコシステムを進化させていく」と語った。さらに米国本社CEOであるSatya Nadella氏の発言「Empower every person and every organization on the planet to achieve more」を引き合いに、すべてのコンシューマーユーザーや企業ユーザーの利便性を向上させるために、力づける姿勢で革新を続けることを再アピール。このビジネスにおいても、個人にも通用するタブレットとしてSurface 3を位置付けているそうだ。今回は「New Surface Press Conference」という名称で、Surfaceシリーズ最新版を披露する発表会である。ここで同社の姿勢を改めてアピールするスピーチ内容に筆者は首をかしげていたが、その答えはSurface 3のモデル構成にあった。今回は一般向けモデルを2機種、法人向けモデルを4機種というラインナップ。加えて個人モデルは米国と異なり、LTEモデルに限定。Wi-Fiモデルは用意していない(後の質疑応答でもWi-Fiモデルに関する予定は未定とした)。その理由として樋口氏は、「戦略的パートナーシップを最大限に活用し、ブレイクさせるため」と語っていた。今回、日本マイクロソフトは、ソフトバンクモバイルと戦略的パートナーシップを結んだ。LTEモデルは、従来の家電量販店に加えて、ソフトバンクモバイル(Y!mobileショップやワイモバイルオンラインストア)も販売店に加わるという。読者諸氏が気になるのは料金プランではないだろうか。ソフトバンクモバイル専務取締役のエリック・ガン氏は、「スマートフォンと同じ料金プランを適用する」と説明。2年契約の場合は、3年までは3,696円/月(4年め以降は4,196円)が、Surface 3の本体料金に加わる形だ。また、スマホプランLと組み合わせて、月7GBまでの通信容量をスマートフォンとシェアできることも明らかにした。既にソフトバンクモバイルと契約しているユーザーには大きなメリットとなる。Surface 3自体はSIMロックをかけておらず、他社製SIMカードを挿すこともできそうだ。しかし、日本マイクロソフトは「ソフトバンクモバイルのSIMカードのみ検証した」と、明確な回答は行わなかった。もっとも、Surface 3は4G LTEバンドとして1/3/8、3Gバンドは1/8をサポートしているため、検証する価値はあるだろう。さらにガン氏は、一括購入であればソフトバンクモバイルと契約せずに端末のみ購入することも可能だと説明した。○Surface 3はビジネスアプリ中心のユーザー向けかそれでは、Surface 3自体のスペックにも少し目を向けてみよう。Surface 3の搭載CPUはIntel Atom x7という説明だが、型番までは明らかにしていない。ただ、2Mバイトキャッシュに1.6GHz(ターボ時は2.4GHz)という公式情報や、会場のタッチ&トライコーナーで確認したところ、開発コード名「Cherry Trail」を持つAtom x7-Z8700を搭載していることを確認した。ストレージはSamsung MDGAGC。こちらは安価なタブレットのストレージとしてよく使われるeMMC(embedded MMC:フラッシュメモリーの一種)である。実際に長期間使用してみないと断言できないが、昨今のSSD搭載PCなどに慣れているユーザーには、遅く感じるかも知れない。軽く試用した範囲では、アプリケーションの起動で手間取るような印象は受けなかった。搭載OSもWindows 8.1 Updateに置き換わっている(法人モデルはWindows 8.1 Pro)。前モデルとなるSurface 2はWindows RTだったが、プレゼンした米Microsoftのブライアン・ホール氏は、「今後ARMプロセッサやWindows RTを(Surfaceに)使う予定はない」と発言し、改めてWindows RTが終息したことを認めた。筆者は3月の米国発表時から、安価な原稿執筆マシンとしてSurface 3に注目していたが、前述のように個人向けモデルはLTEのみ。この1点で意気消沈したものの、冷静に考えれば大手量販店で直接購入し、LTE契約をせずスマートフォンのテザリング機能でインターネットに接続すれば、通常のWi-Fiオンリータブレットと同じ使い方ができるはずだ。だが、Surface 3の価格構成はお世辞に安価とは言い難い。「メモリー2GB・ストレージ64GB」モデルの参考価格は81,800円、「メモリ4GB・ストレージ128GB」モデルの参考価格は91,800円。ここにSurface 3 Type Coverの15,680円、Surfaceペンの5,980円が加わると、10万円を越える。さらに消費税8%も痛い。Surface ProやSurface Pro 2が予想以上にヒットしたのは、当時の為替レートが大きい。Surface Proの国内発売は2013年6月7日だが、当時のドル円レートは約98円。Surface Pro 2は同年10月25日発売だが、レートは約97円と100円を切っている。そして現在は1ドル約120円だ(2015年5月19日時点)。このレート差はワールドワイド企業であるMicrosoft/日本マイクロソフトに大きく影響し、Surface Pro 3も2015年6月1日から事実上値上げする。Surface 3はこのレート設定を反映させたため、やや高額な値付けがなされたのだろう。囲み取材で樋口氏も「各社(為替レートという)同じ条件のため、その土壌で勝負したい」と語っていた。現時点では、Microsoftが行っているようなSurface RTなどの下取りキャンペーンも予定していないため、いかんせんSurface 3は高額なデバイスとなってしまう。割高感のあるSurface 3だが、デバイスサイズや622g(4G LTEモデルは約641g)の軽量ボディ、Intel Atomが実現する長時間のバッテリ駆動(最大約10時間の動画再生)など利点は多い。Surface Proシリーズと比べるとスペック面の魅力は足りないものの、ブライアン・ホール氏の言葉を借りれば、Surface 3は「過去の経験をすべて投入した最高のデバイスを目指した」モデルだ。ハイスペックを要するアプリケーションを使わず、WebやOfficeスイートが問題なく動作するといった用途を踏まえれば、十分魅力的なデバイスに映るはずだ。ちなみに一般向けモデルのWindows 8.1は64bit版をプリインストールしているが、今夏に迫ったWindows 10を考えると、4GBモデルがベストチョイスとなる。この辺りは懐具合と相談しなければならないが、Surface 3の購入を思案中の方は参考にしてほしい。阿久津良和(Cactus)
2015年05月19日日本マイクロソフトは19日、10.8型Windows 8.1タブレット「Surface 3」を発表した。米国では3月31日に発表済みで、5月5日に出荷を開始。5月7日までに世界の26市場で発売とされていたものの、その中に日本は含まれていなかった。日本での販売については、日本マイクロソフトからのアナウンス待ちという状態が続いていたが、19日には「New Surface Press Conference」が開催され、正式に日本への投入が発表された。カンファレンスでは、2015年7月に日本マイクロソフトの会長就任が決まっている現社長の樋口泰行氏が登場し、軽快なスピーチを披露。Surface 3の詳細やカンファレンスの模様については、追ってお届けする。
2015年05月19日2016年夏に公開が予定されている特撮怪獣映画『ゴジラ』の脚本・総監督を庵野秀明氏、監督・特技監督を樋口真嗣氏が務めることが明らかになった。『ゴジラ FINAL WARS』(2004年)以来、約12年ぶりの日本版ゴジラとなる本作。2人の起用について、東宝は「ハリウッド版以降、世界中から熱い期待のまなざしを向けられている。日本版ゴジラを製作するにあたり、怪獣映画、ゴジラ映画に対する造詣の深さ、深い愛情。展覧会『館長 庵野秀明 特撮博物館』や『巨神兵東京に現わる』でのタッグ感。そして何より、常に新しいことをやり続けているおふたりであること。12年ぶりのジャパンゴジラにこれほどふさわしい人はいない」とコメントしている。アニメーション作品『エヴァンゲリオン』シリーズの生みの親にして、日本のみならず世界中でその名をとどろかせている庵野氏。そして、高校卒業後に『ゴジラ』(1984年公開、橋本幸治監督)のスタッフとして映画界入りし、監督を務めた2015年8月、9月公開の実写版『進撃の巨人』2部作の公開も控えている樋口氏。両氏は30年来の盟友であり、2012年には庵野氏が企画・脚本を担当し、樋口氏が監督を務めた『巨神兵東京に現わる』が高い評価を獲得。日本のエンターテインメント界をリードするふたりが全く新しいゴジラに挑戦する。一度は辞退したものの、樋口監督の熱意に心が動かされ総監督を引き受けたという庵野氏は「過去の継続等だけでなく空想科学映像再生の祈り、特撮博物館に込めた願い、思想を具現化してこそ先達の制作者や過去作品への恩返しであり、その意思と責任の完結である、という想いに至り、引き受ける事にしました」とオファーの経緯を説明。「今しかできない、今だからできる、新たな、一度きりの挑戦」と『ゴジラ』を位置づけ、製作に臨むという。一方の樋口氏は「その復活に胸躍らせて映画制作の現場に忍び込んで三十年がたち、その現場で目の当たりにした理想と現実の差を自由なアマチュア映画の世界の第一線を走っていたヒーローにブチまけてからも三十年。ついに時がきました」と、庵野氏と思い入れの深い作品『ゴジラ』を共作するにいたる感慨を吐露。「この偉大なる神を生んだこの国に生まれたこと、特撮という仕事に巡り合え、続けてこれたこと、そしてこの機会が巡ってきた運命に感謝しつつ、来年、最高で最悪の悪夢を皆さまにお届けします」と呼びかけている。最新作『ゴジラ』の舞台は日本。今回のゴジラの"足型"も公開され、体長は、これまでで最大とされるハリウッド版『GODZILLA』(2014年公開、ギャレス・エドワーズ監督)の108メートルをはるかに上回る過去最大になると想定されている。撮影は2015年秋よりスタートする予定。(c)TOHO CO.,LTD.
2015年04月01日日本マイクロソフトは3月2日、2015年7月1日付けで、社長交代を発表したことに伴い、記者会見を行った。会見には、米マイクロソフト プレジデントのジャンフィリップ・クルトワ氏、代表執行役 社長の樋口泰行氏、代表執行役 副社長の平野拓也氏の3者が出席した。2015年7月1日付けで、現在、代表執行役社長の樋口泰行氏が代表執行役 会長に就任し、代表執行役 副社長の平野拓也氏が代表執行役 社長に就任する。平野氏は7月の社長就任を踏まえ、3月2日付けで、執行役 専務 マーケティング&オペレーションズ担当から代表執行役 副社長に就任した。クルトワ氏は、今回の社長交代について「以前から準備していたこと」と説明した。2月に開催された同社のグローバルのリーダーが参集する会議に、平野氏も同行し、その時に社長就任が告げられたという。クルトワ氏は、平野氏を社長に選定した理由について、マイクロソフトに在籍している10年間で日本およびグローバルの双方でビジネスを経験している姿を見て、信頼できる人物と判断したと語った。樋口氏は、「外資企業では、突然、社長がいなくなったり、不在の期間が続いたりするが、それを反面教師として、綿密にプランを立ててきた」と、同社が社長交代に向けて、時間と手間を割いてきたことをアピールした。自身が会長に就任することについては、「社長として、内部の仕事と外部の仕事を両立するのは難しかった。今後は、会長として、外向けの仕事に注力していきたい」と語った。具体的には、これまで同社があまりできていなかったという財界や政府とのコネクションつくりに、取り組んでいくという。また、平野氏が拾いきれなかったビジネスも拾っていくとした。また、社長交代が行われる4カ月前に発表が行われたことについては、「そろそろ、予算策定や組織づくりが始まる時期を迎えるが、これらを統率するのは新社長となる。7月からジャンプスタートできるよう、それまでの期間を助走期間として、準備していきたい」と説明した。平野氏は、クラウドサービス「Microsoft Azure」とDynamic CRMOnlineの国内展開、クラウド向けデータセンターの国内設置、タブレット「Surface」の営業拡販など、数々の功績を重ねてきた樋口氏の後を引き継ぐのは重責としながらも、樋口氏が推進してきた「日本に根付く会社」を継承していきたいと語った。昨年、米マイクロソフトのCEOに就任したサティア・ナデラ氏が新たな事業方針として「「モバイル ファースト、クラウド ファースト」を表明したが、その結果が見えてきたとして、平野氏もクラウドに注力し、顧客に対しわくわくするような提案をしていきたいと述べた。また、同社の社員に対しては、「やりがいがあり、チャレンジ精神に富んだ企業」とすべく、努力していきたいとした。樋口氏も述べたように、外資系企業の社長交代は突然行われるケースが多く、外から見ていると、社長交代後にさまざまな調整が行われているように感じる。今回、十分な準備期間をもって社長交代に臨む日本マイクロソフトが、今後、どのような戦略の下、ビジネスを展開していくのか期待したいところだ。
2015年03月03日日本マイクロソフトが現在の代表執行役 社長、"樋口体制"となったのは、2008年4月。前代表執行役 社長であるDarren Huston氏から引き継ぎ、そのまま8年目を迎えると誰もが想像していただろう。だが、本日2015年3月2日、社長の交代が発表された。現代表執行役 社長の樋口泰行氏は、2015年7月1日付けで代表執行役 会長に就任する。その後を引き継ぐのは、本日から代表執行役 副社長に就任し、7月1日付けで代表執行役 社長となる平野拓也氏だ。本稿では日本マイクロソフトが行った記者会見のレポートをお送りする。○本社に続いて企業変革を加速させる日本マイクロソフト日本マイクロソフト代表執行役社長である樋口泰行氏のキャリアは、松下電器産業(現・パナソニック)から始まった。その後の経歴を見ても、アップルコンピュータやコンパックコンピュータ(現・日本ヒューレット・パッカード)と、名だたる企業名が並ぶ。日本マイクロソフトへは代表執行役兼COOとして2007年3月に入社し、翌年の2008年4月からは同社の"顔"を担ってきた。その樋口氏が今年7月1日から会長職に就任し、その後を平野拓也氏が担う。樋口氏は「2015年3月末で(社長に就任して)8年目を迎えるが、Microsoft本社が企業変革を急ピッチで進めているなか、我々もリーダーをリフレッシュし、変革を加速させるよいタイミングだ」と、今回の社長交代について感想を述べた。また、「古川享氏(1986年から1991年まで社長職。その後2005年に退職)以来の会長職を新設した」と7月1日以降の会長職就任までの流れを説明し、「外資系企業では突然責任者を解任するケースも少なくない。それを反面教師にしながら、数年前から引き継ぎを考えていた。顧客やパートナーに迷惑をかけないシームレスな(社長職の)移行が我が社の使命である」と、コミカルな樋口節を交えながら、今回の社長交代にあたる意気込みを表した。まずは平野氏のプロフィールを確認したい。マイクロソフトのWebサイトから確認できるように、平野氏は2005年8月入社、翌年の2006年から5年間はエンタープライズ向け事業を率いてきた。2011年からドイツのMicrosoft Central Eastern Europeのジェネラルマネージャーとして、ヨーロッパからモンゴルまで25カ国のビジネスを担当し、昨年(2014年)から日本マイクロソフトに復帰。執行役専務マーケティング&オペレーションズを担当していた。筆者が寄稿したOffice系の発表会レポートでも何度か姿を見せていたため、見覚えのある読者も少なくないだろう。平野氏は「樋口が社長に就任してから社外内に多くの企業変革があり、その後を引き継ぐ重責を感じている」と述べつつも、「よく名前と外見が合わないという質問を受けるが、私は日本人の父親とアメリカ人の母親を持つ、北海道生まれの『道産子』。あくまでもベースは日本人であると言い切っている」と、自己のアイデンティティと日本市場にコミットする日本マイクロソフトの"顔"になる所感を述べた。あくまでも本日時点で平野氏は代表執行役 副社長のため、「詳細は7月1日の就任時に改めて述べたい」と前置きしつつも、樋口氏が常日頃から語っていた「日本に根付いて信頼される会社」を引き継ぎ、「顧客が使いたくなる製品と愛される会社、そして(IT業界に対して)先手を打てる会社を目指す」 という。樋口氏は自身が後継に選んだ平野氏を「能力や経験、熱意とあらゆる面で新リーダーとしてもっともふさわしい人材」と評していた。Microsoftには、米国とカナダを除いた世界240カ国以上の海外拠点(100カ所)におけるビジネスを統括するMicrosoft Internationalという部署があり、今回の記者会見にあたっては、MS Internationalのプレジデントを努めるJean-Philippe Courtois氏も登壇。Courtois氏は「樋口は(日本マイクロソフトを)先進国6カ国の成長率で過去3年間トップを飾る企業に育てた」と評価しつつ、平野氏を「日本のビジネスの部門において全てを経験し、グローバルな経験も得てきたからこそ、今後も(日本マイクロソフトは)高い実績と成功を続けられると信じている」と期待の弁を述べた。疑問が残るのは、このタイミングで社長職という大きな人事異動を行う点だ。各発表会で提示する日本マイクロソフトの利益は上向き傾向にあるため、現行の樋口体制でも問題はない様に見える。だが、樋口氏が「数年前から(引き継ぎを)考えていた」と述べているように、社長交代案は樋口氏とCourtois氏の間で以前から暖めていたようだ。次期社長という話題が平野氏に明かされたのは、約3週間前にMicrosoftが開催した全世界リーダー会議の場。本来、執行役専務である平野氏は出席しない会議だったが、樋口氏は「後学のため」という理由で同行させたという。その後、今回登壇した3人が食事をしながら、社長交代をCourtois氏の口から平野氏に告げたとのことだ。平野氏は「普段は参加しない場面に出席し、ビジネスのことで頭がいっぱいで不意を突かれた」とその時の焦りを正直に述べつつも、「一瞬、理解できなかったが、その直後に(社長就任を)深呼吸しながら快諾した」という。個人的な意見を述べれば、平野氏のアドバンテージはその年齢にある。1970年生まれと壮年に数えられるが、その体格のよさは同世代の筆者から見ても若々しく、経歴を鑑みても十分だ。7月1日までの4カ月間。シームレスな移行を実現するため、日本マイクロソフトの意思決定や今後の戦略的な計画に平野氏が加わり、新たな組織作りや来期の予算策定を行う。さらに会長職に就任する樋口氏は「1人で社内と社外の仕事をするのは大変だった。平野をサポートすべく、トップ営業、財界や政府との交流、日本の顧客が求める品質向上、オリンピックを始めとする社会貢献。これらを担いつつ平野をサポートしていく」と会長職に向けた意気込みを述べた。筆者個人としては樋口節が聞けなくなるのは残念だが、企業変革を実践しているMicrosoftに次いで自社も変わろうとしている日本マイクロソフト、そして7月1日以降の平野氏に注目したい。阿久津良和(Cactus)
2015年03月02日日本マイクロソフトは2日、経営体制に関する新人事を発表した。現在、代表執行役社長を務める樋口泰行氏が、7月1日付で代表執行役会長に就任。社長には、2日付で代表執行役副社長となった平野拓也氏が就任する予定となる。平野拓也氏は、2005年8月の入社時からエンタープライズ分野を中心に担当してきた人物。2014年7月に執行役専務としてマーケティング&オペレーションズ担当となっていたが、2015年3月2日付で副社長に就任した。
2015年03月02日日本マイクロソフトは3月2日、同社 代表執行役 社長の樋口 泰行氏が代表執行役 会長に就任し、代表執行役 副社長の平野 拓也氏が7月1日付で昇格すると発表した。樋口 泰行氏は、2003年より日本HPの代表取締役社長を務めたのち、2007年にマイクロソフト 日本法人代表執行役 最高執行責任者に就任。2011年に分散していた日本法人のオフィスを集約し、日本に根付いた企業を目指す姿勢を表すため、社名を「日本マイクロソフト」に改称した。また、樋口氏の指揮のもと、国別の優秀なマイクロソフト子会社を表彰する「TOP SUB AWARD」で日本法人が3年連続で最優秀国に選ばれるなどの実績を残している。平野氏は、北海道出身の44歳。米ブリガムヤング大学を卒業後、Kanematsu USAに入社。その後、複数の企業を経て2005年にマイクロソフト 日本法人のビジネス&マーケティング部門 シニアディレクターに就任した。その後は、主にエンタープライズビジネスを担当するなど、2014年に本社CEOに就任したサトヤ・ナデラ氏同様に法人ビジネスに精通している。樋口氏は、代表権を持つ執行役のまま会長となり、代表執行役 社長の平野氏と二人三脚で経営・実行計画の立案などを遂行するといい、新体制は、日本マイクロソフトの新会計年度が始まる7月1日付でスタートする。なお、平野氏は現在、執行役 専務でマーケティング&オペレーションズ担当となっているが、3月2日付で代表執行役 副社長に昇格した。
2015年03月02日日本マイクロソフトは12月4日、Windows Server 2003のサポートが2015年7月15日(日本時間)で終了することに伴うサーバ移行促進のため、12月5日より、「待ったなし、Windows Server 2003移行キャンペーン」として、各種活動を全国で展開すると発表した。このキャンペーンでは、「待ったなし、Windows Server 2003移行セミナー」、「待ったなし乗り換えキャンペーン」、「サーバ乗り換え購入支援サービス」をパートナーとともに展開する。「待ったなし、Windows Server 2003移行セミナー」では、日本商工会議所、地域の商工会議所、経済産業省およびITコーディネータ協会と協力し、全国20カ所で、サポート終了後に懸念されるセキュリティ上の脅威などについて解説し、移行の必要性と移行方法について説明するセミナーを開催する。「待ったなし乗り換えキャンペーン」では、中堅中小企業を対象に、12月8日から2015年3月31日までの期間でボリュームライセンス価格を10%割引する。これにより、Windows Server 2012 R2およびクライアントアクセス ライセンス(CAL)が割引対象となる。「サーバ乗り換え購入支援サービス」では、マイクロソフトファイナンシングを通して、今年度中(2015年3月末まで)の予算化が難しい場合でも、サポート終了までに最新のサーバ製品が調達できるように、2015年6月末までに、ボリュームライセンスで購入するWindows Serverライセンスにはゼロ金利でのリース調達を提供。また、サーバマシンやPCなどハードウエアとの一括調達についても、優遇金利でのリースの相談に応じる。IDC Japanの調査によれば、国内で稼働するサーバ数238万台のうち、2014年末時点において8.8%を占める約21万台でWindows Server 2003が稼働していると推定されるという。マイクロソフトでは、2015年7月15日までに、これらの台数を5万台まで削減したい考えだ。今回のキャンペーンは、この目標を達成するための施策だ。日本マイクロソフト 執行役常務 ゼネラルビジネス担当 高橋明宏氏は、「Windows Server 2003の稼働台数は2013年末の36万台から2014年末には21万台に減るが、このままのぺースでは、5万台の達成は難しい」と、キャンペーンを実施する背景を説明する。高橋氏によれば、サーバの入れ替えの遅れが目立つのは、主に中堅中小企業で、その要因としては、予算の確保、経営層の理解が得られない、工数や人員不足などがあげられるという。日本マイクロソフト 代表執行役 社長 樋口泰行氏は、「Windows XPのサポート終了では、GDPを押し上げるくらいの貢献をした。Windwso Server 2003のサポート終了でもIT市場の活性化に貢献していきたい。また、2020年のオリンピックに向け、サイバーセキュリティのニーズも高まってくるので、新しい技術への移行を進めていきたい。Windows Server 2003は、来年の7月15日でサポートを終了するので、残りは223日(12月4日現在)になる。稼働台数は2014年末では推定21万台となり、この1年で約15万台が移行された。目標としては稼働台数を0にしたいが、現実的に考えて5万台とする。今後、移行を加速していかなけれならない。とくに、中小中堅企業が遅れており、要因として、予算がない、経営層の理解が得られない、社内の人材不足などがあり、これらの課題を解決していかなければならない。また、地域ごとにも差があり、これらを考慮して取り組んでいかなければならない」と述べた。高橋氏は、中堅・中小企業の課題解決について、「サーバ入れ替え時課題の上位10個のうち、人手不足、アプリ動作検証工数不足、情報・時間不足、情報の集めにくさなど、7つはパートナーさんに相談いただくことで解決できる。移行先に関しては、クラウドを検討される企業が多いが、クラウドまでの移行を考慮すると、リードタイムが長期化するほか、2015年の3月・6月はパートナーのリソースが枯渇する可能性もある。そのため、まずは、2015年3月まではハードウェアとライセンスの入れ替え、その後、2015年6月までにバックアップやレプリカなどクラウドを組み合わせたシステムを導入するという2段階でのサーバ移行が必要だ。今後はこういった提案に切り替えていこうと思っている」の述べ、続けて、「お客様には、まず既存サーバ環境の棚卸、移行先の選択、予算とスケジュールの確認の3つに取り組んでいただきたい」と語った。
2014年12月05日佐藤浩市と樋口可南子が夫婦役を演じ、北海道に住む夫婦の愛や家族の絆を描く映画『愛を積むひと』が10月末にクランクアップを迎え、メイキング写真と佐藤、樋口のコメントが到着した。その他の情報本作は、2004年に『石を積むひと』のタイトルで出版されロングセラーとなったエドワード・ムーニー・Jrの小説を基にしたヒューマン・ドラマ。東京下町の工場をたたみ、北海道に移住してきた不器用な夫と、彼を支える妻の愛と絆を大自然の四季の移ろいとともに描く。『釣りバカ日誌』シリーズ、『武士の献立』の朝原雄三監督がメガホンを執り、佐藤、樋口のほか、北川景子、野村周平、杉咲花、吉田羊、柄本明らが出演する。北海道・美瑛町の丘に本建築のオープンセットを建て、約1年にわたって撮影を敢行したという本作。北海道では、十勝岳での登山撮影や、雑木林での茸狩りのシーン、旭川空港での別れのシーンなどの撮影が行われたといい、夫婦が移住する前の回想シーンの撮影を東京都内で行い、10月末に佐藤、樋口らキャストはクランクアップを迎えた。今後は北海道で冬の風景を撮影し、来年1月末に映画を完成させ、初夏の公開を目指す。佐藤は「足掛け4か月の撮影は、夏編と秋編との間が2か月ぐらい空いていました。美瑛の大地に本建築で家を作って、そのオープンセットでほとんどのロケをしたので、美瑛の風光明媚な風景、人々の優しさ、空気感は確実にフィルムに焼き付いていると思います」と話し、「可南子さんとの共演は、昔の日本映画を知っている者同士ということで、安心してキャッチボールができました」と振り返った。また、「朝原組は『釣りバカ日誌』で三國(連太郎)と一緒にやってきたスタッフが多いので、みんな僕の後ろに三國を見るだろうし、逆に言うと僕は朝原さん含めて、スタッフの後ろにまた三國を見る。そんな、普段なかなか無い相関性がありました」と語った。樋口は「美しい大自然の中で、静かに戦ったという感じ。命の時間が長くないと知った妻は、残された時間をどう夫と過ごすのだろう? 自分のため、夫のため、娘のため、何をしたいのだろう? ロケの間、ずーっと考えていたような気がします」と明かし、「実は、石塀を夫に作って欲しいという希望を出すところが、とりわけ難しかった。この突飛な希望って大丈夫なのかなぁと思っていたのですが、浩市さんの石を積む姿を見ていたら、なんだか妙に納得してしまいました。私の答えは、言いません。映画を観て下さる方からもいろんな答えが出そうで、今から楽しみです。演じ終えて、苦労はたくさんあったのに、純な気持ちを失わないこの夫婦は、つくづくいいなぁと思いました」とコメントを寄せた。『愛を積むひと』2015年初夏 全国ロードショー
2014年11月18日