OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第8回アクマの辞典ヤ行【ヤ】▶「やけぼっくい」木の燃えカス、お前らのモトサヤ恋愛はそんなに美しいものではないと教えてくれる今回のテーマはヤ行から「やけぼっくい」だ。今まで「松ぼっくり」のようなものをイメージしていたが正しくは「木杭」と書き、文字通り木の杭や切り株などを指す。だからと言って、延々と木の燃えカスについて話せ、という意味ではないはずだ。むしろそれで1000文字書ける奴の方が怖い。おそらく「やけぼっくいに火がついた」の方について書け、ということだろう。逆にこの慣用句以外でやけぼっくいという言葉を聞いたことがない。「やけぼっくいに火がついた」とは「過去に関係があった者同士は、一度縁が切れても元の関係に戻りやすい」というたとえだ、特に男女に使われることが多く、簡単に言えば、よりを戻す、モトサヤだ。だが、元に戻りやすい、と言うが「男の恋愛はフォルダ別保存で女は上書き保存」と言われるように、男は昔の女をいつまでも覚えているが、女は次の男ができたら前の男のことはさっさと忘れる、とも言われている。つまり、女は一度好きでなくなった男を、もう一度好きになることはあんまりない、ということだ。しかし、現にモトサヤカップルは存在する、では一体どういう時に「やけぼっくいに火がつく」のか。一番美しいのは「別れて初めてお互いの大切さに気づいた」だろうが、それはTim Tamぐらいソースイートだ、確かに口ではそう言うかもしれないが、実際はもっと打算があるはずである。まず、別れた相手がアップグレードしていた場合だ。わかりやすく言うと「別れたヒモバンドマンがミュージックステーションに出てた」時である。同じデータをもう一回保存する気にはなれなくても、新しいデータになっているなら話は別ということだ。しかしこの段階で「あなたの大切さに気づいた」などと言っても、相手も馬鹿ではない、型落ち機に再インストールされてくれることは希で、すでに別のハイスペック機のものになっている場合がほとんどだ。次は「上書きしたデータの方がクソだった」バージョンアップが全て「改善」とは限らない、「改悪」の場合もままある。あとでじっくり鑑賞しようと「ファボ」しておいた破廉恥画像が、何故かフォロー先のタイムラインに表示されてしまう機能等、ツイッターがよくやるやつである。そんな時、誰しも思うだろう「前の方が良かった」と。つまり「別れて大切さに気づいた」のではなく「新しい男がクソすぎて前の男のマシさがわかった」パターンである。最後に「衰え」だ。年を取ってから、新しいゲームより、昔のゲームのリバイバルの方に魅力を感じることが多くなった。懐かしさもあるが、そういうゲームの一番の利点は「もう大体知っている」ことだ。つまり、もう新しい相手と一から関係を築いていく元気も時間的猶予もなく、それよりは性感帯の位置まで把握している相手ともう1回付き合うほうが手っ取り早いし楽、という時だ。以上のことから、例えに「木の燃えカス」が使われているのはこれ以上なく正しい、昔の人は偉大である。【ヤ】▶「やけぼっくい」木の燃えカス、お前らのモトサヤ恋愛はそんなに美しいものではないと教えてくれる【ヰ】▶「ヰキペヂア」何かと思ったらウィキペディアのこと、私のコラムはこれの知識のみで書かれている【ユ】▶「ゆるふわ」頭、もしくは股につけられる形容詞【ヱ】▶「ヱヴァ」かつて彼らと同年代が今35歳【ヨ】▶「欲求不満」金で解決するのが一番安全プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。著書『ブスのたしなみ』(太田出版)も発売中。
2018年03月06日人気コミック『聖☆おにいさん』の実写化が、2018年10月18日(木)より、動画配信サービス「ピッコマTV」にて公開される。また、10月12日(金)より立川シネマシティ・イオンシネマ他にて2週間限定で上映される。監督は福田雄一、製作総指揮は俳優・山田孝之が務める。ブッダとイエス・キリストの生活を描くギャグ漫画を実写に『聖☆おにいさん』は、『荒川アンダー ザ ブリッジ』の原作者としても知られる中村光によるギャグ漫画。ブッダとイエス・キリストを主人公に、世紀末を無事越えた二人が東京・立川でアパートをルームシェアリングしながら下界のバカンスを満喫する物語だ。講談社「モーニング・ツー」で2006年より連載され、コミックの累計発行部数は1,600万部を誇る。イエスは松山ケンイチ、ブッダは染谷将太今回の実写化作品では、イエス役に『ユリゴコロ』や『関ヶ原』での演技が記憶に新しい松山ケンイチを起用。そしてブッダ役には、『空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎』『ポンチョに夜明けの風はらませて』などにも出演した染谷将太が抜擢された。また、高熱でうなされるブッダを問診する医者役は、『斉木楠雄のΨ難』や実写版映画『銀魂』シリーズなど福田作品の常連である佐藤二朗が、主人公2人が暮らすアパートの大家役は山野海が担当する。山田孝之×福田雄一がタッグを組んで製作陣に監督は、『銀魂』『銀魂2』『斉木楠雄のΨ難』も手掛ける福田雄一が務め、製作総指揮には、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』『闇金ウシジマくん』などで活躍し、『50回目のファーストキス』にも出演する、俳優の山田孝之を迎える。山田孝之は、2018年公開の『デイアンドナイト』もプロデュースするなど、近年は製作陣としても活躍する。実写化に向け、製作総指揮の山田孝之は主演の松山ケンイチ、染谷将太に対し「既に悟りを感じさせるお二方の存在感は正にブッダとイエス。」とコメント。また、「演出は福田雄一監督ですのでタダでは済まないことは容易に想像できます。アーメン。」とも語っている。一方、監督・脚本の福田雄一は、「今まで何度も何度も出演をお願いして叶わなかった松山くんと染谷くんで、連載当初から念願だったこの原作を実写化出来ることが、ただただ幸せです!こんな幸せな作品を任せてくれた山田孝之プロデューサーに感謝します!全力でユルく臨みます!」と意気込みを見せた。記念すべき第一話が、You Tubeで無料先行配信動画配信サービス「ピッコマTV」での独占配信は、10月18日(木)12時よりスタート。記念すべき第1話「ブッダの休日」は、原作第1巻収録のその1の内容を描いたストーリーで、下界でバカンスを楽しむイエス役の松山ケンイチと、ブッダ役の染谷将太のほほえましいやり取りを楽しむことができる。なお動画配信に先行して、第1話に限り、You Tubeにて映像を無料公開。第2話以降の視聴からは、「ピッコマTV」アプリ内の「待てば0円」にて、10月18日(木)12時より視聴が可能となっている。六本木ヒルズで、オリジナルグッズの先行販売も動画配信同日時より、複製原画展「ブッダとイエスの仏賛展」が、東京・六本木ヒルズにて開催。イエスとブッダが下界で着用しているTシャツをモチーフにした「下界用デイリーTシャツ」や、2人をモチーフにしたキーホルダーなど、ドラマオリジナルグッズ7種が先行で販売される。詳細『聖☆おにいさん』実写化公開時期:2018年10月18日(木)12:00~「ピッコマTV」にて公開※10月12日(金)より立川シネマシティ・イオンシネマ他にて期間限定ロードショー(2週間限定)製作総指揮:山田孝之監督・脚本:福田雄一出演:松山ケンイチ、染谷将太、山野海、佐藤二朗原作:中村光(講談社「モーニング・ツー」連載)製作:パンチとロン毛 製作委員会■複製原画展「ブッダとイエスの仏賛展」開催日時:2018年10月18日(木)12:00~会場:カーテンコール住所:東京都港区六本木6丁目10-2六本木ヒルズけやき坂コンプレックス内アイテム例:・下界用デイリーTシャツ 7種セット 9,800円(税込)・豪華な食卓Tシャツ(半袖) 4,000円(税込)・徳が高くなるアクリルキーホルダー 全2種 各1,000円(税込)※一般のグッズの予約受付は、10月19日(金)10:00~全国のローソン・ミニストップ店頭LoppiとHMV&BOOKS onlineで実施予定
2018年02月23日松山ケンイチ(32)と染谷将太(25)が人気漫画を実写化したドラマ「聖☆おにいさん」に出演すると、各メディアで報じられた。 原作は累計発行部数1,600万部を誇る「モーニング・ツー」(講談社刊)に連載中のギャグ漫画。主人公は、ブッダとイエス・キリスト。世紀末を無事越えた2人が、都内でアパートをルームシェアしながら下界のバカンスを満喫するという内容だ。 松山がイエス役、染谷がブッダ役。さらには製作総指揮を俳優の山田孝之(34)がつとめ、監督を「銀魂」「勇者ヨシヒコ」シリーズで知られる福田雄一氏(49)がつとめるという。 「ドラマ化するものの、テレビではなく今年新たに立ち上がる動画配信サービスで配信予定だそうです。新規参入するということは、かなりの資金力を持ち話題になりそうなコンテンツもすでに仕込んでいることでしょう。原作ファンも満足いくような作品になりそうだと注目されています」(芸能記者) 松山といえば、12年のNHK大河ドラマ「平清盛」に主演。大河主演で俳優としての格がアップし、その後の出演作がことごとく注目されていた。そんななか16年には、カルト的な人気を誇ったギャグ漫画「珍遊記 -太郎とゆかいな仲間たち-」の実写化に挑戦し話題を呼んだ。 「松山さんが原作の大ファンということもあり、主人公・山田太郎のリアリティをとことん追求しました。原作ではおなじみの全裸や尻出しにも、果敢に挑戦。ところがあまり周囲の評価は高くなく、松山さんはへこんでいました。そのため今回、『珍遊記』の“リベンジ”だと意気込んでいるようです」(映画業界関係者) キャストのみならずスタッフも話題になる面々が集結しており、完成作品が注目される。
2018年02月20日俳優の松山ケンイチと染谷将太が、ドラマ『聖☆おにいさん』に主演することが20日、わかった。松山がイエス、染谷がブッダを演じる。同作は中村光による人気ギャグ漫画を実写化。世紀末を無事越えたブッダとイエス・キリストが、東京・立川でアパートをルームシェアリングしながら下界のバカンスを満喫している様を描く。2013年には森山未來、星野源を声優に迎え、アニメーション映画が劇場公開された。大人気漫画のドラマ化というだけでも話題だが、今回は俳優の山田孝之が製作総指揮を務め、福田雄一が監督を務めることでも注目を受ける。2018年、新たに立ち上がる動画配信サービスにて配信を予定している。イエス役の松山は「福田さんがキリスト役の事は熟知してるので色々聞いて頑張りたいなと思っています」と一言。ブッダ役の染谷は「いつか実写でみたいなと思っていた聖☆おにいさんにまさか参加するとは思ってもみませんでした。しかも、ブッタ役で」と驚きを表す。「松山さん演じるジーザスとどんな掛け合いになるのか、想像するだけでニヤケてしまうのは俺だけでしょうか? まだ撮影もしていないのに、皆様に届ける日が楽しみでなりません」と期待を語った。製作総指揮の山田は「想像しただけでも失禁しそうです。 (少し出てますが)」と"うれション"。「既に悟りを感じさせるお二方の存在感は正にブッダとイエス。日頃の激務に追われる天界での生活から離れ、下界での生活をごゆるりとお過ごし頂きたく思いますが演出は福田雄一監督ですのでタダでは済まないことは容易に想像できます。アーメン」と祈った。監督・脚本を務める福田は「今まで何度も何度も出演をお願いして叶わなかった松山くんと染谷くんで、連載当初から念願だったこの原作を実写化出来ることが、ただただ幸せです!」と気合十分。原作の中村は「松山さんのアガペー溢れるお顔と、染谷さんのアルカイックスマイルが見られるのを、今から楽しみにしています」と期待を寄せた。
2018年02月20日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!第7回アクマの辞典マ行【マ】▶「魔性」(ましょう)容姿に優れない女が「個性」と同じぐらい欲しがるもの今回のテーマはマ行から「魔性の女」だ。人間的に良くない意味なのはわかる、しかし女として生まれたからには一度は言われてみたい、男だったら「エクスカリバー」に匹敵する「一度は授けられてみたい称号」であることは否定できない。では魔性の女と呼ばれるにはどういう要素が必要なのか。まず、容姿である。妖艶な美女にこしたことはないかもしれないが「特別容姿が優れているわけではないが、不思議な魅力に抗うことが出来ない」みたいな、群馬県人がデフォルトで持っている力を持っている女、というのも中二心的に魅かれる。つまり魔性の女たるもの、男にはモテなくてはいけない。まずこの時点でハードルが高い気がするが、尺が足りないので、3分クッキング方式で「もうモテている」ことにして話を進めるだが、ただモテて男が切れないだけではダメだ、魔性の女という称号がもらえると思ったら勲章に「ヤリマン」と彫られている恐れがある。つまり魔性の魔性たる所以「関わった男、及びその周りが破滅」しなければいけない。しかしここでポイントなのは魔性の女はその破滅に巻き込まれてはいけない、相手や周りだけ破滅させて、自分は無傷でそれを眺めて笑う、これこそが魔性の女だ、キマッた、カッコイイ。よって、不倫相手の家庭を崩壊させたが、自分もバッチリ慰謝料を請求された、では魔性の女としてダサすぎる。自分が倒した木の下敷きになる木こりと大差ない。よって、不倫はやめた方がよい。マジレスすると魔性の女と言えど、民法は敵に回さない方がいい、今まで「調停が不思議な力で覆った」という判例は聞いたことがない。自分の魔性を過信しすぎないのもデキる魔性の女だ。既婚者でなくても「人のものに手を出す」というのは破滅に巻き込まれる可能性が高くなる。そういうことをするのが魔性の女ではないか、と思われるかもしれないが、今は21世紀だし平成も終わる「リスク対策ができる」のが、現代の魔性の女だ。つまり、人のものでない男を相手にするのが良い。以上のことをまとめると「普通につきあった男が全員おかしくなる女」になる。いらない。魔性の女の称号いらない。純粋に、男を破滅させるのが好きで、意図的にそれをやっているなら良いが「自分では制御できない」という、中二垂涎の力で「魔性」な女はどうすれば良いのか。それも「破滅」などと言ったらまだカッコイイが、その内訳が「つきあった男が全員ラバープレイに目覚める」かもしれない自分もそういう趣味なら良いが「自分には全くその気がないのに、相手はそうなる」可能性も大いにある。「不思議な力」というのはそういうものだ。「魔性」持ってないから、良いものに見えるだけな気がしてきた。【マ】▶「魔性」(ましょう)容姿に優れない女が「個性」と同じぐらい欲しがるもの【ミ】▶「ミステリアス」(みすてりあす)褒め言葉と思い込みがちだが、他人はそのミステリ部分に対して興味がない【ム】▶「ムダ毛」(むだげ)日本では生えてる女に人権がない【メ】▶「メンヘラ」でも大体彼氏がいる【モ】▶「喪女」(もじょ/もおんな)「モテる」と自称しても叩かれるが「モテない」自称も叩かれる。日本では「女の自称」が法律で禁じられているプロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスのたしなみ』(太田出版)を2017年12月7日に発売。
2018年02月06日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第6回アクマの辞典ハ行【ヒ】▶「一目惚れ」(ヒトメボレ)した場所が重要、ハローワークなどだったら要再考。今回のテーマはハ行から「一目惚れ」だ。これが、乙女ゲーなら、一列に並んだ5、6人のイケメンキャラを一瞥して「お前に決めた(この間0.2秒)」となるのは良くあること、というか、いつものことだ。しかし、現実世界で一目惚れ、というのはなかなかないだろう、むしろ世の中には、一目惚れする奴としない奴がいて、する奴は何度でもするし、しない奴は絶対しないものだろうと思う。一目惚れなど絶対ありえない、と思っている人間からすると、一目惚れする人間というのは「なんで見た目だけで決められるんだよ」「もっと慎重になれよ」「虫かよ」と、非常に浅慮で短絡的な人間に見えるかもしれない。しかし、外見という一要素で決めてしまっているという点では「初デートでサイゼリアに連れて行かれたから、この男はない」と、即切りしてしまうのと、そんなに変わらないのではないか。むしろ、結婚するとしたら顔は一生見るのだから結構重要だ、その点サイゼリアには住むわけではないだろう。よって「新居探しでサイゼリアに連れて行かれた」というならその男はない、と言って良いかも知れないが、ただ1回のデートがサイゼだったからといってなしと判断するのは、顔で判断するより浅慮ではないか。そして「サイゼリアの男はない」以前に「そもそもサイゼリアがない県」に謝罪を要求する。しかし、ここで言う浅慮とは「世間や婚活コンサルの人が、初デートがサイゼリアの男はないと言っているから、ない」と判断してしまうことだ。相手が自分をどうでもいいと思っているからサイゼリアなのか、長く付き合いたいから最初からカジュアルな場所にしたのか、相手の態度を見て自分で判断し、その結果「ない」と思ったら「初デートでサイゼリアだったからなし」というのも短慮ではない。「デート経験がなく、イタリアンと言ったらサイゼリアしか思いつかなかった」という理由も一見マイナス要素だが「女慣れしてない」というのをマイナスに見るかプラスに見るかも自分次第である。「丸亀製麺」「さくら水産」「サイゼリア」で迷って、サイゼリアにしたというなら「センスは悪くない」「のびしろがある」と考えることができるし、逆に「さくらだったら即決だった」という場合もあるだろう。つまり完璧な人間など存在しないのだから、一つの要素で決めずに多方面から見てトータルで決めた方が良いのではないだろうか。…と、もっともらしい終わり方をしたいところだが、見た目一点買い、出会って4秒で合体したカップルは4秒で別れて、結婚相談所に高い金を払って丸4年精査を重ねて結婚したカップルは末永く暮らすかというと、そうでもなかったりするのである。結局、重要なのはきっかけや条件ではなく、続くように努力すること、あとは運、なのかもしれない。【ハ】▶「パンケーキ」今一番。写真だけ撮られて捨てられてると思われている食べ物、実は完食されている。【ヒ】▶「一目惚れ」(ヒトメボレ)した場所が重要、ハローワークなどだったら要再考。【フ】▶「不倫」(フリン)日本ではミサイル発射より先に取りあげるべき大事件。【フ】▶「変顔」(ヘンガオ)男に気どらない自分をアピールするテクと思われがちだが、実は同性に嫌われないようにするテク。【フ】▶「ぽっちゃり」男と女で、定義に30キロぐらい誤差があるプロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスのたしなみ』(太田出版)を2017年12月7日に発売。
2018年01月06日昨年アンアンマンガ大賞を受賞した、かわかみじゅんこさん『中学聖日記』の第3巻は、もうチェック済みだろうか。「まだ好き」はいつまで続く?女教師と生徒の恋のゆくえ。中学3年生のイケメン男子・黒岩くんが、25歳の新米教師・聖(ひじり)ちゃんに恋心を抱くラブストーリーは、第2巻の途中から高校生編に突入。ちょっぴり大人になった黒岩くんに、萌えた人も多いハズ。「個人的には、黒岩くんの少年ぽさが減ってしまって残念なのですが、自分の興味ないことには無神経、みたいな残酷さは消えないように気をつけています」思春期の男子が年上のおねえさんに恋をする物語は、マンガに限らず“禁断の恋”の王道といえるが、それでもあえてこのテーマで描いてみたかったことを尋ねると……。「思春期特有のアンバランスながら妙に芯の通っている感じと、年上とはいえ未熟な女性キャラという、ふたつの色気と迷走感ですかね。すみません、今考えました」高校生になった黒岩くんは、少々落ち着いたように見えるものの、何を考えているのかよくわからないたたずまいと、いつ何をしてもおかしくないような危うさは健在。「逆に今っぽさはあまり意識しないようにしています。私は今、海外に住んでいて、日本の今どきの子たちの話している言葉とかそぶりが自然と聞こえてきたり、目に入ってきたりするような状況がなく、わからないことはやっぱりわからないので。それでも普遍的な部分は必ずあるような気がするので、黒岩くんを描くときはそこを大事にしています」最新刊の見どころは、同窓会で再会した黒岩くんと、るなちの関係。中学時代は聖ちゃんに夢中で、るなちのひたむきな思いなどほぼ眼中になかった黒岩くんだが、その辺りの変化にも時の流れを感じさせる。そしてやっぱり一番気になるのは、黒岩くんと聖ちゃんの行く末。「大真面目に恋愛モノに挑戦しているつもりです。私としては黒岩くんが暴走しているときと、聖ちゃんの体を描いているときが楽しいのですが(笑)、キャラクターそれぞれの恋愛感情に振り落とされないように頑張ります。誰が最初に泣くか、予想しながら読んでいただけたら!」それってかなり気になるコメントだが、最新刊も胸キュンが止まらないことだけは保証します!かわかみじゅんこ『中学聖日記』3ある事件から2年後を描いた最新刊。先生に恋をした黒岩くん、生徒に恋をされた聖ちゃん、黒岩くんを思い続けるるなち、どの立場も切ないラブストーリー。祥伝社680円(C)かわかみじゅんこ/祥伝社フィールコミックスマンガ家。’95年デビュー。『パリパリ伝説』『銀河ガールパンダボーイ』『少女ケニヤ』『あかずのふみきり』など著書多数。本作で第7回ananマンガ大賞を受賞。パリ在住。※『anan』2017年12月13日号より。写真・水野昭子(本)インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2017年12月09日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第5回アクマの辞典ナ行今回は「ナ行」から「寝取り」である。みんな、寝取ったり、寝取られたり、または自分が「単身赴任中に貞淑な妻が知らないおっさんの肉便器にされてました」の肉便器側になったことがあるか。寝取られ経験については気づいてない可能性もあるが、少なくとも私は、寝取りと肉便器はやったことがない。エロゲーの世界では「晴れのち曇り」ぐらいよく起こることだが「寝取り」というのは現実でやるには意外と高度なことなのである。まず「寝取る」とはどういう意味なのか。【寝取る】他人の配偶者や恋人と情を通じて、自分になびかせること。文字通り寝ただけではなく、その行為により気持ちまで奪わなければならない。よって、寝るビフォア時点では相手にとってはただの浮気かもしれない、だがアフターには「俺、こいつのこと彼女より好きかも」と思わせないといけないのだ。つまり、かなりセックスにかかっている。貞淑な妻を肉便器に変える知らないおっさん力が求められるのである。寝さえすれば、こちらに情がうつるはずなどと思うのはおイッヌ殿の発想であり、それではいつまでもセカンド、サード、ホームに戻って1点入ってしまうぐらいの、予備扱いだ。そもそもセックスしているという条件は、正妻も同じだし、むしろ向こうのほうがメチャクチャセックスしている、条件が同じそれどころか数の利が相手にあるなら、質で勝負するしかあるまい。黒ヒョウがいても気づかぬような暗室で行われる旦那との週一正常位しか知らなかった貞淑な人妻に、パロスペシャル※みたいな体位をかまして「もうあなたなしじゃ生きていけない」と言わせなければならぬのだ。つまり寝取りが出来るというのは、かなりのモブおじさん力、万人にわかるように言えば、セクシャリティな能力、魅力が高いということである。こんな誰でも持っているわけではない力があるというのに、わざわざ「セックスで心が左右しちゃう男」と付き合うなんてもったいないことである。仮に自分が「寝取り」に成功して、その男と付き合いだしたとしても、もうその時点で相手は、浮気をするタイプであることがわかっているし、さらにセックス如何で心まで動くタイプだと大判明しているのだ。自分が取ったということは、もっとスゴ技の女に取られる可能性があるし、逆に拙い女に魅力を感じてそちらにいくこともある、とにかくセックスで取った男はセックスで取られることがあるし、その男はセックス如きで取れる男なのだ。もったいない。どうせ男と付き合うのなら、知らないおっさん側ではなく、貞淑な妻にパロスペシャル※をかけられる旦那、の地位を目指したほうが良いだろう。※パロスペシャルとは、プロレス技のひとつ。【ナ】▶「ナース服」(なーすふく)仕事内容人間関係のハードさがトップクラスな戦場で生きぬき、また収入的に男いらず、離婚暦があるものが多い戦闘集団が着ているユニフォーム【ニ】▶「苦手な女」(にがてなおんな)周囲に言質を取られる危険性を考慮した上で表現された「嫌いな女」のこと、「悪い人じゃないけど苦手」等さらに逃げ道を作った言い方もある。【ヌ】▶「沼」(ぬま)所在地が二次元か三次元かで幸、不幸が真逆【ネ】▶「寝取り」(ねとり)武勇伝と勘違いしている者もいるが、逮捕歴と同じぐらい言わないほうがよい【ノ】▶「惚気」(のろけ)別れたとき周囲に爆笑されるための前フリプロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年12月07日山本耀司とアディダス(adidas)による画期的なコラボレーション「ワイスリー(Y-3)」より、2018年春夏コレクションの第1章として2足の新作スニーカーが登場。非常にスリークなデザインの新作スニーカー「スベロウ(Suberou)」は、ネオプレンとレザーという異素材使いの履きやすいスリッポンシューズ。夏にぴったりの大胆なスタイルで、クッション性に富んだ快適な履き心地と、タンにあしらったワイスリーのグラフィックが特徴。「バショウ(Bashyo)」は、厚いラバーソールなどの意表を突く大胆な要素と、今シーズンのシグネチャーである鮮やかなコントラストのロゴグラフィックを採用。ストレッチキャンバス地のアッパーに、ラバー製のトウキャップとアウトソールを組み合わせ、ワイスリーのロゴをあしらったバッジをヒールにプラスし、ミッドカットスタイルを一新している。3つの章からなるワイスリーの2018年春夏コレクション。第1章のキャンペーンビジュアルは、アレッシオ・ボルゾーニ(Alessio Bolzoni)が撮影、マウリシオ・ナルディ(Mauricio Nardi)がスタイリングを手がけ、スポーツウエアとファッションが交差するニューヨークのストリートで撮影された。リアルでインダストリアルな都市を背景に、モダンな力強さと優雅さを表現するモデルたちを捉えた、詩情とパンク・スピリットが出会うものに仕上がった。新作スニーカー「スベロウ」と「バショウ」は、12月15日より国内のワイスリー取り扱い店舗にて販売。
2017年12月05日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第4回アクマの辞典タ行【タ】▶「玉の輿」乗った女は全人類から転落を祈られる今回のテーマはた行から「玉の輿」だ。今は「ハイスペ婚」と呼ばれるのだろうか、今も昔も変わらぬ女の夢である。…などと言うと物言いがつく世の中になった。もちろん「相手が低学歴低収入だろうと愛があれば幸せになれる」などという、スイーツ二郎レンニュウマシマシみたいな思想が今更はびこりだしたわけではない。男に依存した人生は危険であり、ハイスペ男に気に入られる自分磨きよりも、自分一人でも生きていけるスキルを身につける方が肝要である、という考え方である。確かにハイスペ婚をしたはいいが、浮気、モラハラ、果てはDVを受け、かといって自分に生活力がないから離れることもできない、というハイスペ婚不幸話は事欠かない。むしろあまりにもそういう話ばかりで、ハイスペ婚は百発百中不幸になるようにすら思えてくる、犬と結婚した方がまだ幸せになれるのではないか。しかし、本当にハイスペ婚は不幸なのか。そんなことはないだろう、必ず幸せになっている奴はいる。つまり、ハイスペ婚は不幸になる。ではなく「俺たちがハイスペ婚女を不幸にしたい」のだ。俺たち、とは「ハイスペ婚♪」と聞いた瞬間、口内にタンが充填されてしまうタイプのことである。そのメンバーは主にハイスペじゃない男、ハイスペ婚を狙っているのに上手くいかない女そして、「ハイスペ婚♪」と口にしただけで蜂の巣にされる系女子である。そんなイカれたメンバーたちが「よし今日は、ハイスペ婚した専業主婦の習い事とエステ、ペット、外食記録のみ書かれているブログを読破するぞ」などとはまず思わないのである。何が見たいかというと、ハイスペ婚、と調子をこいていた女が旦那の浮気やモラハラで苦しむ姿だ。幸せな女の記事はシャットアウトして不幸な女の記事ばかり見ているのだから、そりゃ「ハイスペ婚は不幸」という結論になってしまう、というか、そういう結論にしたいのだ。もちろん私も、自動タン充填マシンなので、そういう記事を見てプギャーっと喜んでいたのだが、結局自分が望む「ハイスペ婚の末路」を選んで見ていただけだと気づき、このテーマで書くなら、嫌だけど一度、ハイスペ婚でサクセスした女も見ておくかと思い、「ハイスペ婚 幸せ」でググって見た。トップに出てきたのは「ハイスペ婚したけど幸せじゃない」という記事だった。オーケー、俺の調べ方が悪かった。よって「ハイスペ婚 幸せになった」でググりなおしたところ今度は「ハイスペック男性と結婚した女性の苦労話4選」が出てきた。どうした、グーグル先生、反抗期か?その後「ハイスペ婚 成功」などで調べてみたが出てくるのは「ハイスペ婚失敗談」である。どうやらグーグル先生もハイスペ婚女が大嫌いのご様子である。おそらく実際はハイスペ婚で不幸になった女より、幸せになった女の方が多いのではないかと思う。しかし世間からは妬み嫉まれ、グーグルにまで嫌われる存在であることは確かなので、したとしても自分から「ハイスペ婚しました」とは口が裂けても言わない方がいい。【タ】▶「玉の輿」乗った女は全人類から転落を祈られる【チ】▶「血祭り」女に起こる月に1度の祭祭中に不用意な発言をした男も血祭りになることで有名【ツ】▶「釣った魚」俺の金で知らない間にエサを買って食っている【テ】▶「天然」自分でそう名乗る女は養殖【ト】▶「友達」「わかる」だけ言ってくれる人間プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年11月06日今注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回登場してくれたのは、女優の白石 聖さんです。コンプレックスの塊だけど、演じると忘れられるんです。CMやドラマでの活躍が目覚ましい白石さん。今夏には「午後の紅茶」のCMで、友人に恋のライバル宣言をする女の子を演じて注目を集めた。「TVに映る自分にまだ慣れなくて。私、コンプレックスの塊なんです。演じる時は『今は別人!』って自分に言い聞かせる(笑)。でも、最近は気持ちに余裕が出てきて、仕事をしている時が幸せって思います」。今してみたいことは、髪を派手な色にすること。「そういう役をやってみたいんです。真面目な役を演じることが多いので、ぶっ飛んだ役に興味アリ!」友達のSNSアイコン用似顔絵を描きました♪友人の子供の頃の写真をイラストにしました。絵を描くの、好きなんです。暇な時はもっぱらスマホでゲーム。「うたの☆プリンスさまっ♪」というリズムゲームにハマっています。小学生の頃から飼っている愛猫モウちゃん。育児放棄されているのを発見し、家族になりました。実物は更にカワイイ。しらいし・せい1998年生まれ。高校2年生の時に原宿でスカウトされ、芸能界入り。今月スタートのドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)や来年公開の映画『栞』に出演。※『anan』2017年10月18日号より。写真・土佐麻理子文・間宮寧子(by anan編集部)
2017年10月14日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!第3回アクマの辞典サ行【セ】▶「セッ◯ス」ないと人類が滅亡するが、あると戦争が起こり死人が出る今回はサ行だが、そんなものは「セッ◯ス」一択に決まっている。むしろ「さしすせそ」と言えば「さてセ〇クス、してセッ〇ス、すわセック〇、セ〇〇ス、そして〇ックス」だ。先日、セッ◯スの雄「an・an」の方に会ったが、何故「セッ◯ス特集」が長年支持されているかというと「みんなセッ◯スの話がしたいし、聞きたいのだ」という。つまりセッ◯スというのは「武勇」なのだ、武功を立てたなら誰かに語りたいものだ、聞く方も「俺も昔はワルで」という話なら開始一秒で腹痛を理由に席を立つが、セッ◯スの話とあらば「いざ鎌倉」である。もちろん興味ない人も嫌いな人もいるだろうし、そういう人が「セッ◯スが嫌いな奴はいない」という暴論が元のセクハラ被害にあっているのは由々しきことだが、ただ多数決で言うと興味がある人間のほうが多いし、人類史始まって以来、セッ◯スの支持率が過半数を割ったことはない、だから今まで人類は滅亡しなかったのだ。しかし、人類の半数以上が「セッ◯スが好き」、と言っても全員が同じ視点で好きなわけではない。例えば、全世界で2兆部売れている漫画があるとしよう。その漫画を好きな人間が多いことは疑いようがない。しかしどう好きかは人によって全然違う。ストーリーが好きという人もいればキャラが好きという人もいるだろう。キャラが好きという人の中にもBL視点で好きな人も入れば、キャラと自分の恋愛を夢想する夢視点な人もいる、またBL視点だとしても「○○×△△」というカップリングが好きで逆に「△△×○○」は許せない、という人もいる。つまり「セッ◯スが好き」と言っても、自分の嗜好に合わぬ逆カプの如きセッ◯スは、苦痛でしかないのだ。むしろセッ◯スほど細分化されているジャンルはないのではないだろうか。また、漫画の気に入らないカップリングなら徹底的に避けることができるが、セッ◯スはそうはいかない。一応、配偶者やパートナー以外としてはいけないことになっているのに、その相手と「セッ◯スに関してどうにも解釈違い」であることに悩んでいる人間、特に女は多いそうだ。その悩みの深刻さは、解釈違いもそうだが、それを「ごめん、私それ地雷なの」と相手に告げられない点にある。言うと相手が気分を害す恐れがあるからだ。よって「我慢」という形で、逆カプ同人誌を読むかのようなセッ◯スをしているのだ。よって「an・an」のセッ◯ス特集は、全てが痛快セッ◯ス武勇伝ではない。そこには上手くいっていないセッ◯スの悩みも多数掲載されている。ただし、ほとんどの答えが「そのことをパートナーにちゃんと話しましょう」というものになってしまうし、事実そうなのだが、言えぬという気持ちもわかる。自分が腐女子や夢女であることを人に告げるときは少なからず勇気がいる。己の嗜好を晒すというのは、どんなことでも恥ずかしいものなのだ。ジャンルと言うのは規模が大きければ大きいほど揉め事が起こりやすくなる。最大手「セッ◯ス」であれば、毎日どこかで戦争が起きているのだ。【サ】▶「再会」3年間何も良いことがなかったクラスの同窓会になぜ良いことがあると信じて行ってしまうのか【シ】▶塩対応婚活の場で年齢か年収を言った途端されはじめるもの【ス】▶すっぴんなぜかわざわざSNSに載せられるもの、フォトショは化粧に入らない【セ】▶セクシー他人から見ればセクハラ【ソ】▶相思相愛利害が一致している状態例「体目当てと金目当て」プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年10月06日カリスマ脚本家・野島伸司によるHuluオリジナル連続ドラマ「雨が降ると君は優しい」で、佐々木希がセックス依存症の女性を演じる。ピュアなイメージのある彼女にとって、大きな、大きなチャレンジだ。なぜ衝撃的な題材に飛び込む勇気が持てたのか聞いてみると、「野島さんの脚本が素晴らしかった」と佐々木さん。一方の野島さんも、ヒロインを佐々木さんに託せたことに“運命”すら感じていた。本作は、心から愛し合いながらも、“妻のセックス依存症”という究極の試練を与えられた新婚夫婦・信夫(玉山鉄二)と彩(佐々木さん)の苦悩を描く悲劇的な純愛ドラマ。「高校教師」などタブーを打ち破るような作品から、人間の苦しみやそのなかでも愛することの美しさを描いてきた野島さん。彼が「本当に描きたかったもの」と熱を込めるのが本作だ。企画が本格的に始動するまで3年もの歳月を要したというが、野島さんは「コンプライアンス的に、地上波では難しいテーマなので。時間がかかってしまった」と打ち明ける。「『お蔵入りか?』と思ったことが3回くらいありました。アルコールもそうだし、“依存”というテーマがもうNGなんです。実際に苦しんでいる人たちがいるのに、地上波だとそういうものはやらないでと言われてしまう」。「僕はNG作家になってきている」と苦笑いを見せる野島さん。地上波では難しいものも、可能にするのが動画配信サービスだ。本作もHuluとタッグを組むことにより、追い風に乗った。「Huluでなければ描けなかった。そういう時代なので、いつまでも地上波でと言っていても仕方がない。世界的にはペイチャンネルなどの方がブレイクするものが作られてきています。僕としては良いソフトが残ればいいと思っているので、どこの媒体であれ、ソフトを残せる場所があってよかったなと思っています」と描きたいものをぶつけられる場所を得た喜びを語る。その熱意を聞いた佐々木さんは「この作品と役に出会えて本当にうれしい」と微笑む。役を受け取ったときには「戸惑いはありました」と言うが、「彩という女性が愛おしくてたまらなかった。守ってあげたい、なんとかしてあげたいと思った」と愛情を感じたそう。「依存症を抱えた役ですので、大きなチャレンジになるとは思いました。でもそれと同時に、やりがいも感じて。とにかくこの夫婦がどうなっていくのか見届けたかった」。野島さんの脚本に魅了され、一歩を踏み出した。佐々木さんのイメージを覆す役となるが、野島さんは「ぴったりだと思った」とにっこり。「当初から、彩のキャスティングが一番難しいとは思っていて。自分のやっていることに罪悪感を感じ過ぎても暗くなってしまうし、だからといって開き直っても感じが悪い(笑)。チャーミングさも持ち合わせなければいけないし、その絶妙なバランスがものすごく難しい」というように、彩という女性は病気と愛する人の間で悩み、もがく難役だ。しかし運命的な出会いが、佐々木さんと彩を結びつけた。「佐々木さんとは、とある会で初めて会って。立ち姿を見たときに、この感じだ!と思ったんです。ようやくHuluがこの企画をやってくれるということで、ちょうどキャスティングの段階に進んでいるときだったんです」と野島さんは、佐々木さんを一目見てビビビときたのだとか。佐々木さんは「そんなに挙動不審でしたか?」と笑いながら、「あまりにすごい方々ばかりが集まっていて。ドキドキしていたんです。そんななか、『希ちゃん、野島さんだよ』と紹介していただき、あの野島さんですか!?と驚いてしまって。緊張もしているし、なんだかふわふわとしてしまって。私、変な感じだったと思います」と瞳を輝かせながらふり返る。理想的ヒロインと相思相愛、奇跡的な巡り合いを果たした。撮影がスタートし、その抜擢は確信へと変わる。野島さんは「撮影が始まったら、その破壊力はすごいですよ。イメージがジャストフィットだと思った以上に、クリエイティブに役に寄り添っている。ものすごく頭のいい子だと思いました」と太鼓判。「うれしい!」と笑顔を弾けさせる佐々木さんは、「やっぱりとても難しい役。信夫といるときとクリニックにいるときはまったく別の顔を見せる。感情も不安定で、激しい。病気についてもいろいろ調べました」と作品にのめり込んでいる。セックス依存症という題材を通して、一体どんな愛が浮かび上がるのか?野島さんは「一途な愛」だと話す。佐々木さんも「玉山さんとも『もし自分の相手がそうだったら、それを背負えるのか?』という話をしていて。最後まで愛し抜く力や精神が、私にはあるのか?できるのか?と考えてしまいました」と愛について熟考するきかっけともなったそう。野島さんは「ラブストーリーというのは、『ふたりをハッピーにしない枷を作る』というのが、物語を作る上での基本。その枷として、考えうる最高難度のものを作った」と着想のきっかけを吐露し、「現実でも、自分をすごく好きになってくれた彼女が、別れたらすぐに次を見つけてしまったりする(笑)。あれはなんだったんだろうと思うことがあるけれど、本作のヒロインはそうではなくて。信夫に捨てられたら、ほかの男を見つけるという回路はない。別れてしまえば苦しまないで済むのに、別れられない。二人にとって、依存ってなんだろう?ということを描きたいと思っていました」と“描きたかった愛”について語る。野島さんの話を聞くにつれ、「野島さん作品は、のぞいてはいけない世界をのぞいているようなドキドキ感がある」と女優魂に火がついている様子の佐々木さん。女優・佐々木希が野島伸司のもと、新たな扉を開く――。「覚悟を持って、最後まで頑張ります!」と意気込むその笑顔は驚くほど輝き、彼女自身がその扉の向こうを楽しみにしているよう。描かれる愛の行く末とともに、佐々木さんの新境地に胸が高鳴る。(text:Orie Narita/photo:Nahoko Suzuki)
2017年09月14日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラム「アクマの辞典」このコラムは、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!■第2回アクマの辞典カ行【コ】▶「告白」言ってすっきり、相手どんより。今回のテーマはカ行から「告白」である。これは、年代によって受け取り方や意味が全く異なる言葉だ。中高生だったら「愛の告白」以外に思い浮かばないかもしれないが、私にしたら「今年になってソシャゲにつぎ込んだ金額」である。若いころは甘酸っぱい言葉だったかもしれない、それが加齢と共に酸っぱさオンリーになっていき、特に結婚した後は「良い意味での告白」はほぼ皆無になる。10代の頃は、打ち上げ花火を下から見るか横から見るかで悩めたかもしれないが結婚後は「借金告白、直接言うか、LINEで言うか」みたいな告白しかなくなるのである。また「愛の告白」にしてもティーン、とサーティンでは全く趣が違う。ティーンの告白というのは、とにかく交際がゴールだろう、中には好きと伝えられただけで満足という場合もあるかもしれない。しかし大人になると、このような言いっぱなしジャーマンでは終われない、ビジネスで言うと「好きだ」という「報告・連絡」で終了しているのだ。いい年をして「ホーレンホーレンホーレンホーレン ホーレンホーレン(合いの手)」とソーラン節調で言い逃げしていくのは社会人のすることではない。むしろ重要なのは「相談」部分だ。交際をしたいという明確な意思表示が必要だし、相手も三十を過ぎていたら、その交際が結婚を視野にいれたものか提示すべきだろう、さもなければ相手に無駄な時間を過ごさせる恐れがある。また結婚前提なら結婚した場合のビジョンも示さなければいけない。このように「告白」は年を取るにつれ「カミングアウト」から「プレゼン」になっていくのである。よって「何のとりえもない私だけど」みたいな告白は愚の骨頂だ、何のとりえもない商品を顧客に勧める奴があるか、という話だ、逆にとりえがなくても、プレゼン段階ではあるように言うべきだ、何だったらパワーポイントで資料を作ってもいい。ただ年収のように明確な数字が出ているものを偽るのは、4バイトしかない商品を4テラですと言って売るようなものなので、詐欺罪に問われないためにも、そこに自信がない場合は内面とか、ぼんやりした部分をアピールしたほうが良いだろう。メリットだけを言い、デメリットは聞かれない限り答えないのもビジネスである。また告白する際にはリスクヘッジも必要だ。ティーンなら、フラれても、失恋ソングを聴きながら、砂糖入りホットミルクをカブトムシみたいに舐めて3日ぐらい部屋に閉じこもれるかもしれないが。大人には仕事他、日常業務がある、失敗後のダメージ計算は不可欠だ。ダメージを減らすために「告白」という明確な手段はとらず「流れ」での交際を目指す大人は非常に多い。また同じ会社の人間相手に失敗した場合はその後の業務に支障が出る可能性がある。よって「職場内の人間は避ける」など。逆にリスクから相手を選ぶという方式をとっている人間もいるのだ。このように、社会人になったあたりから、告白からロマンはどんどん消えていく。しかしガッカリしなくても良い、最初に言ったとおり、結婚後は「隠し子発覚」など、告白は「プレゼン」から本来の「カミングアウト」の意味に戻り、ドキドキも復活する。ただ何度も言うが「悪い意味」でである。【カ】▶「顔」「内面で勝負」と言っても、まず内面を見てもらえるかがここにかかっている【キ】▶「キュン」浮気をしたのはパートナーにこれが足りなかったせいで自分のせいではない【ク】▶「クズ(男)」顔も年収もいいくせに自分を好きになってくれない男【ケ】▶「結婚」崩壊した神話。ハルマゲドンのはじまり。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年09月04日裏社会を描いた人気シリーズの最新作、青木玄徳を主演に描く『闇金ドッグス7』から、この度予告編とポスタービジュアルが到着。あわせて、青木さんと逢沢りなのキスシーンを始め、本作の場面写真が公開された。山田裕貴と青木さんのコンビで裏社会を描いてきた人気シリーズ『闇金ドッグス』の最新作となる本作は、現在公開中の山田さん主演『闇金ドッグス6』と連続公開となる。『闇金ドッグス7』では、パート3・5に続き、青木さんが主演を務め、逢沢さん、加藤歩(ザブングル)、藤田記子、前山剛久、ムートン伊藤、佐藤貢三、山田さんが脇を固める。公開された予告編では、半ケツ姿でお腹を鳴らし横たわる司が映し出されスタート。逢沢さん演じるNo.1ホステスのエマや、加藤さん演じる悪質顧客、そして安藤忠臣役の山田さんら登場人物が登場している。さらに同時に、「愛は罪か?銭は罪か?」というコピーが書かれたポスタービジュアルも到着。司とエマの2ショットと共に、その下には登場人物たちが写し出されている。『闇金ドッグス7』は9月2日(土)よりシネマート新宿ほかにて公開。(cinemacafe.net)
2017年08月30日アンソロジー(ANTHOLOGIE)デザイナーの小川圭司がセレクトしたアイテムを取り揃えるセレクトショップ「ART(アート)」が、2017年8月26日(土)に渋谷にオープンする。ファッションアイテムを中心に、強いこだわりを持って表現された作品を小川圭司が厳選し、「作る人、着る人の感性を表現する場」として発信。渋谷2丁目にファッションの新たな空気感を生み出すセレクトショップとして営業する。biscuithead、UNSLACKSなど、独自の世界観を表現するブランドをセレクトして取り扱う。小川圭司がコム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)での経験を経て設立したブランドであるアンソロジーも販売。アンソロジーは取扱店舗を絞り、「ART」が都内唯一の展開店舗となる。店舗にはアーティストの木村浩一郎によるアート作品を内装に取り入れ、ショップ空間そのものが表現を発信する場になるように演出されている。オープンに際して、特別商品や一点ものの販売を行う。また、シーズンに捉われず、不定期で新しいブランドやアート作品を展開していく。【詳細】セレクトショップ「ART」オープン日:2017年8月26日(土)住所:渋谷区渋谷2-8-2 2F営業時間:12:00-20:00
2017年08月28日OL兼漫画家として活躍するカレー沢薫さんの連載コラムがリニューアルして登場!日常にあふれる様々なワードをカレー沢さん独自の視点で解釈していきます。女の本性をあぶりだす新しい言葉の定義をとくとご覧あれ!第1回アクマの辞典このコラムは「アクマの辞典」と題し、ア行からワ行まで、女や恋愛に関する様々なワードを取り上げる、というコーナーだ。今回はさっそく「ん」だと言ったらやる気のねえ、しりとりみたいで面白いが当然「ア行」からだ。お題の方は担当がピックアップしてくれた、まずアがこちらだ愛、愛情、朝、明日、アスパラ、頭、新しい、アップル、熱い、暑い、厚化粧、アクアリウム、悪意、悪妻、悪魔、悪女、後味、天の邪鬼、アラサー、アラフォー、アルコール、慌てる、泡アだけでこれだ、これがオまで続いている、多すぎて逆に全く選べない、むしろ1個しか選ばれないのに、よくこれだけ出してきたと思う、当然来月はカ行に移行し選ばれなかったア行の数十個は藻屑と化す。しかしすでに、トップに避けては通れない、ワードが出て来てしまっているではないか、アスパラではない「愛」だ。【ア】▶「愛」即効性がなく 効果は個人差あり 保険外みんな、誰かを愛しているか、もしくは愛されているか?答えはどうでもいい、何故なら愛は完全に自己申告制だからだ。彼とはラブホどころか、最近は自分の軽自動車の後部座席でしか会わないし、そのたびに財布から2、3枚抜かれるが愛されている、もしくは、俺は働かないし、あいつの為に指一本動かすつもりはないが、愛している、と言われたら、そうかとしか言いようがない、目に見えぬもの故そういう相手を論破するのは難しいし、時間がもったいない。でも、ないよりはあった方がいいだろう「愛」しかし、中高生ならまだしも、大人になると愛だけで相手を選べなくなるのは確かだ。相手の年収や職業を気にするのは、さも悪のように言われるが、良い年して全く気にしていない女は正直、詐欺師の懐に自ら飛び込んで行くカモみたいなものだ。その状況って怖くないだろうか。愛があれば金なんてというか逆だ、自分に金があれば、相手の年収なんて気にしなくていい、そして持っている金が多ければ多いほど、相手が金のかかる趣味を持っていようが、ギャンブル狂だろうが関係なくなる、つまり金があれば愛だけで結婚することができるのである。しかし、愛があれば金なんて、が全くなりたたないわけではない、金はあるが、愛のない相手に一生モラハラを受けて暮らすなら、金はなくても愛がある相手と結婚した方が幸せかもしれない。しかし、金がないのはないのでやはりツライことだ、よって、それが愛でカバーできることなのかちゃんと考えておくべきだろう。しかし、ここで想像する貧乏像を「食うものがない、電気を止められる」等、漠然としたテンプレ貧乏にするのは危険だ。漠然とした貧乏像であるがゆえに、愛という漠然としたもので乗り切れるような気がしてしまうからだ。よって、水や食い物等、万人が必要とするものではなく、自分にとっての必需品が買えない、または節約しなければいけない状態を考えた方が良いだろう。私なら、ロキソニンと便秘薬だ。わかる人にはわかるだろうが、わからない奴には全然わからない物だ。確かに命に別状はない、だがこれがないと、苦痛で不愉快な時間を月に数度確実に耐えなければいけないのである。そして苦痛かつ不愉快な状態で、隣には、その原因の一端を担うパートナーがいる、持続できるだろうか、愛を。しかも自分にとっての必需品なので相手にわかってもらえない可能性も高い「ウンコぐらい根性で出せ」と根性論を持ち出されたら、そこでライフイズオーバーだ。この人と一緒なら、電気水道止められても平気、みたいな極論で考えると逆に想像力が働かなくなってしまうのだ。「この人と一緒ならコンタクトの保存液買えなくても平気」とか、もっと身近なもので考えてみた方が良いだろう。【イ】▶「いい男」顔や年収だけではなく、家事能力も求められる『女がなにもしなくて‘いい男’』のこと【ウ】▶「占い」今の不調を自分以外の何かのせいにしてもらいにいくところ。
2017年08月12日聖路加国際病院(以下・聖路加)の名誉院長・日野原重明さんが、7月18日に105歳で逝去した。聖路加国際病院の内科医となったのは1941年。以来半世紀以上に渡り、聖路加の顔として活躍してきた。じつは、そんな日野原さんには最後まで知らされなかった“ある事実”が。医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんが語る。 「全国でも屈指のブランド病院ですが、現在、深刻な経営難と、ブラック企業ぶりが問題となっています。表面化したのは、昨年5月に同院に労基署による監査が入ったことです。月平均95時間を超える超過勤務と、残業代などの不払いが問題となりました。病院幹部と労働組合の話し合いも長引き、ボーナスが遅配される事態になったんです」 聖路加国際病院のA医師が、院内の様子を教えてくれた。 「超過勤務は深刻で部署の報告会では『労務状況が改善されなければ現院長(福井次矢氏)の逮捕もありうる』と聞かされたほど。オーバーワークは常態化していて、医師によっては100時間、200時間にも。ところが聖路加はそれほど給料が高くはない。それでも働きたいのは履歴書に“聖路加”と書けるのがキャリアになること、トップレベルの医療技術を勉強できること、そして日野原先生のようなカリスマによる求心力があったことです」 上さんは「聖路加のOBの話では過労で倒れた医師が労災申請をしようとしたとき、院内で『日野原氏の名誉を傷つけるのか』と声があがったと聞きます。黙っていても研修医は集まるので奢りがあったのかも」と指摘。別の病院に勤務する産婦人科医C医師は語る。 「10年に自然の営みで起きる出産を応援するため、日野原先生肝いりで設立したというのが聖路加の助産院。『通常の助産院に比べると1.5倍くらいと高額』という理由で利用者が非常に少なかったそうです。今では助産院では分娩が不可能になったと聞きました。せっかく助産院に入院しても、わざわざ通りを挟んだ本院に移動して出産。状態がよければ産後4時間ほどで助産院に戻らされるそうです」 高級志向、富裕層向けのサービスが、ことごとく裏目に出ているという声は多い。 「大手町には、富裕層向けの健康サポートを提供するクリニックがあります。ところが、入会金180万円、年会費60万円(それぞれ税別)とあまりに高額です。そのため、会員は目標数の4分の1~3分の1程度しか集まらなかったみたいです」(前出・A医師) 実際、聖路加の経営は厳しい。今回、聖路加は労基署に指摘された数十億円とも言われる不払いの時間外手当を支払った。同院の財務報告を見た税理士が分析する。 「15年度の資料を一見すると、健全な経営に見えます。ところが収入の部門には、解散した研究所の資産譲受などの“特別収入”が多い。これはその年度限りのもの。それらを差し引くと、おそらく年間の赤字額は8億円にも上ると思われます」(前出・税理士) 前出の上さんはこう語る。 「聖路加は6月から、34の診療科で行っていた土曜外来を14に大幅縮小しました。まずは採算が取れない外来から手をつけたのではないでしょうか。今後、救急や小児科など不採算を生みやすい部門にもメスが入れられることは十分に考えられます」 聖路加国際大学広報室は土曜外来の診療科が大幅縮小されたこと、助産院で出産できなくなったことは認めたが、その理由や指摘された経営危機などについては「内部の事情となりますので、お答えしかねます」と回答。別の現役医師が語る。 「現場には聖路加ブランドをはき違えて“一見さんお断り”の銀座の老舗料亭のように、患者さんを選ぼうとする医師がいるのは事実です。今回の“危機”が、それを見直すチャンスになってほしい。富裕層ばかりに目を向けず、本来の“弱者”に寄り添う日野原先生が守ってきた聖路加らしさを取り戻してほしいです」
2017年07月28日OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第6回「猫を飼う責任の重さ、男と付き合うカジュアルさ」突然だが今回が最終回である。短い間だったが「猫と男」というテーマで書いてみてわかったことは、まず猫をテーマにするなら引き合いにするのは、宇宙、とかでないとつり合いが取れない、男はバランスが悪すぎたような気がする。つまり、猫は宇宙であり、むしろ猫の中に宇宙があるという話をしたかったのだが、そういう話だったらおそらく6回すら続かなかっただろう、もちろん私は100回ぐらい続けられる自信があるが、周りや病院、警察関係者に許される気がしない。そして、これだけおキャット様のことを賛美しておいて恐縮だが、私は猫を飼っていない。何故かというと、まず家の中に宇宙を飼うのは無理だ、多分宇宙の方が私の家よりでかい。つまりおキャット様という存在がでかすぎて逆に飼えないのだ、おキャット様を飼うことによって得られる5京円の精神的経済効果より、おキャット様を飼うという責任の重さ、そしておキャット様に何かあったら、私の生活と自我が崩壊することが確実なので逆に飼えないのだ。猫カフェなどに行っても、おキャット様に粗相がないようにするにはどうしたらいいか考えるといつも「指一本触れない」「即刻退場する」という結論になってしまい、全く触れないぐらいなのだ。好きすぎて関わりたくないのだ。それに比べたら、男はまず家に入るサイズだし、何かあったらその時考えようと思えるし、無駄に寿命が長いため、死別もリアルに想像できない、死別までいかなくても、別れる可能性はいくらでもあるのに、なぜかつきあう時はその可能性を考えない場合が多い。このように男はおキャット様や宇宙より小さいため、あんまり先のことを考えないどころか、通常よりも知能指数が下がるので、ハッピーな気分でつきあえるという利点はあるような気がする。よって私は、おキャット様を飼わないという選択をしているのだが、重要なのは、猫を飼う飼わない、男と付き合う付き合わない、結婚するしない、ではなく自分でそれを考え、選べるという状態にあることかもしれない、1人でいるのもまた悪いことではない。私も今は猫は飼わないという結論だが、いつか飼うという選択をするかもしれない。その時とは、宇宙を受け入れる覚悟が出来た、とかではなく、おキャット様よりすでに自分が早く死ぬ段階で、さらに自分の死後おキャット様の面倒を見る人間が確保できた時であろう。前者は割と簡単だ、今からでも出来る、しかし後者はなかなか難易度が高い。このようにおキャット様に対しては自分の死後のことまで考えなければいけない、だが相手が男だったら、あとは勝手にやってくれと思える。カジュアル、という点ではやはりおキャット様より男の方が上かもしれない。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年05月29日OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第4回「男にかかるお金 猫にかかるお金」今回のテーマは「男にかかるお金猫にかかるお金」だ。つまりコスパ比較の話である。とにかく効率性を求める世の中においては避けて通れぬ話だ。まず、おキャット様を我が豚小屋にお迎えし、生涯を共にするにはいくらかかるのだろう。「おキャット様と暮らす」という僥倖を享受するには、まず心臓ぐらい捧げないと釣り合いが取れない気がするが、飼い主という名の下僕が心臓ヌキだと、おキャット様の生活に支障を来たす恐れがあるので、そこは金で解決していこう。いつも通りネット情報鵜呑みでいくと、おキャット様本体の値段は抜きにして、まず健康診断、ワクチン、設備投資など初期費用が3~5万程度、さらに食費、消耗品、また定期的な医療費などで、年間16万ぐらいはかかるという。もちろんそれは最低限の話であり、「この玩具を奉納すれば御キャット様の興を買えるのでは」「この衣服は我が御キャット様に着ていただくため存在するとしか思えぬ」という商品を目にするたびに軽率に買ってしまうだろうから、少なくとも年間20万はおキャット様費という名の玉串料が必要になる。おキャット様を飼う事による利益は年間2京円と言われているので、元は0.1秒ぐらいで取れる。むしろ黒字を出しすぎなので、下僕はSNSに主の写真を頻繁にアップする等、社会への還元が求められる。もちろん「愛猫とツーショット」と言いながら自分の方がでかく写っている写真をアップすると、どんな敏腕弁護士がついても無期懲役ぐらいにはなるので注意した方が良い。おキャット様に異物を混入してはいけないのだ。逆に言うと、年間20万を確実におキャット様のために出せる、という人間以外は飼ってはいけない。「なんとかなるだろう」という希望的観測で飼うのは一番のおキャット様に対する不敬罪である。男が、おキャット様より唯一優れている点は、上記のような絶対的自信や展望がなくてもつきあっていいという点だろう。全然好きじゃなくても、つきあっている内に好きになるかも、でつきあっていいし、相手が無職だろうが、メンバー募集中のバンドマンだろうが「だって好きなんだもん」でつきあっていい。おキャット様を飼うのに比べれは、全然深刻ではない。そのことにより自身が深刻な事態になっても、おキャット様に被害がない時点でどうでもいい。ではコスパ面はどうであろうか「ヒモを飼う」などというのは議論にすら値しないので、普通の定職についている男と同居した場合を考えると、生活費をどれだけ折半するかによるが、コスパ向上をはかれる可能性はある。しかしおキャット様が圧倒的癒しを与えてくれるのに対し、男とのつきあいは、ケンカしたり別れたりと、精神的損害を与えられるリスクがかなり高い。やはりおキャット様を飼うほうがコスパがいいと言いたいが、おキャット様も体調を崩されたりする時がある。そうなるとこちらも心配で涙と血尿が止まらなくなるだろうから、精神的な面でもおキャット様を飼うには覚悟が必要である中には高収入な男を捕まえ、大きな黒字を出しているという女もいるかもしれないが、ハイスペックな男を捕まえるには自分もハイスペックな女でないといけないだろうし、捕まえ続けるためには、それを維持していかなければならない。そのコストは金銭面だけではなくかなりの負担ではないだろうか。その点おキャット様は、最初、可愛かった下僕が、どれだけ腕毛スネ毛の生えたババアになろうとも、食事や寝床さえ与えてくれれば、文句を言わないのだ。むしろ最初からババアでも気にしないのである。さすが、おキャット様。年を取るのは当たり前なのにすぐ「劣化」だのと、あげつらう男とは懐の深さ、度量が違う。避妊手術を受けていても、心のキンタマがでかすぎる。何にしても、他人に頼って生きるというのはリスクが高いことだ。「ハイスペックな男に飼ってもらえる女」より「自分の金でおキャット様を飼う女」を目指すのが何よりのリスク回避だろう。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年03月26日「稲沢朋子トークショー&ヘアショー」開催概要「髪STORY vol.4」及び「STORY」5月号の発売を記念して、2017年4月2日(日)14:30から、阪急西宮ガーデンズ4階ガーデンズホールにおいて、「稲沢朋子トークショー&ヘアショー」が開催される。同イベントには、3月27日に発売される「髪STORY vol.4」または、関西エリアにおいて3月31日に発売される「STORY」5月号を、ブックファースト 阪急西宮ガーデンズ店で購入した、先着100名が招待される。トークショーでは、STORY専属モデルとして活躍する稲沢朋子が、自身のヘアスタイルや、ファッション、美容などについて、熱く語る。さらに、神戸のヘアサロン「shiomi H」代表 潮海達矢によるヘアショーや、ヘアカット&スタイリング体験などのイベントも用意されている。MCは、STORYの読者モデルでもある、人気TVレポーター坂田陽子が務める。稲沢朋子のプロフィール1974年2月27日生まれの稲沢朋子は、現在43歳。血液型はA型。所属事務所はアミューズ。読者モデルとして活躍した後、2016年5月号から人気ファッション誌「STORY」のレギュラーモデルを務めている。趣味は、ドライブ、格闘技観戦、ゴルフ、マラソンなど。特技はマリンスポーツというアクティブ派だ。storyweb.jpで掲載中のブログ「どんなときもBIG SMILE!」も人気を集めている。(画像は稲沢朋子オフィシャルブログより)【参考】※storyweb.jp※稲沢朋子オフィシャルブログ※アミューズオフィシャルサイト稲沢朋子プロフィール
2017年03月12日OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第3回「男を捨てよ猫を飼おう」今回のテーマは「男を捨てよ猫を飼おう」だ。完全に「書を捨てよ町へ出よう」のパクりであり、それが言いたかっただけで以降のことを全然考えていないのだが。世間では「猫を飼う」と「男と付き合う」という行為は食い合わせが悪く「猫を飼うと婚期を逃す」とさえ言われているようだ。己の行き遅れをおキャット様のせいにする根性からして結婚できるわけがない、と言いたいところだが、これはもちろん飼っている女がそう言っているわけではない。「何としてでも女の行き遅れは悪いものであり、結婚しない女は、餓死、凍死、孤独死、爆散するものであり、その理由は猫なんか飼っているからだ勢」が言っていることだ。では何故「猫を飼うと婚期を逃す」のか、挙げられている理由を述べよう。・「早く帰って猫の世話をせねば」と誘いを断って帰ってしまう・猫と別れるなら死んだ方がマシ、猫と別れるのが条件の結婚なら男と別れる。・正直、心の充足は全て猫が与えてくれるので男などいらない。徹頭徹尾「どこが悪いのかわからない」話だ。何が「要注意!猫を飼うと婚期を逃す!?」だ、お前が要注意だ(夜道、猫飼い女に後頭部をバールのようなもので殴られると言う意味で)という話である。さて、冒頭の「捨てる」と言う行為だが、悲しいことに世の中には猫などペットを捨てる人間がいる、そういう人間は来世、ヘルニアの人の軟骨に生まれ変わるとして、なんにしても「猫(ペット)を捨てる」という行為は許されるものではない、もしSNSで「ペット捨てちゃいました」などと投稿したらフォロワー数がマイナス8兆ぐらいになる。では「男を捨てる」という行為はどうか、これは場合によっては称賛される。「ヒモ男を捨ててやった」全く無関係な人間でさえ胸が梳く言葉だ。戦国の世で言えば「大将首をとった」ぐらいの手柄である。そもそもおキャット様というのも「衣食住の全てを飼い主に依存している」と言う点のみで言えばヒモ野郎と同じだ。しかし、ヒモを捨てれば褒められるが、おキャット様を捨てて褒められることはまずない、人間的に軽蔑されるだけだ。だったら褒められる方を捨てよう、という話である。部屋が片付く、さらに褒められる、一石二鳥というやつだ。現代の女性に必要なのは「結婚しないと不幸」などという呪いよりも、こういった「合理的な考え」である。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年02月26日OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第2回「猫を飼っている男性芸能人」さて今回の「猫>>>>>>>(越えられない壁)男」のテーマは「猫を飼っている男性芸能人」である。これは、猫を飼っている男性芸能人をネット情報で見つけ出し、瞬時にファンになろうという企画だ。話は変わるが、皆さんは好きな芸能人は?と聞かれて即答できるだろうか。私はできない。好きな二次元キャラは、と問われたら10人ぐらい言えるし、今の一押しは刀剣乱舞のへし切長谷部だ。誰にも聞かれてないが、言いたいから答えた。そもそも、そこまで人に興味を持たれることがないので、そんな質問されることすらないのだが、備えあれば憂いなしであるし、猫を飼っている芸能人を応援することには大きな意味がある。おキャット様の飼い主が食いっぱぐれるということは、おキャット様もそうなるということなのである、それは由々しき事態だ。おキャット様を飼っている芸能人には恒久的な人気を誇ってもらわなければならない。よって猫を飼ってる芸能人のファンになるというのは、間接的におキャット様を養っているということなのだ。皆、差はあれ、好きな芸能人の熱愛や結婚にはメロスのように敏感だろう。自分がつぎ込んだ金が、得体の知れない女の顔面に注射されるヒアルロン酸になっていたかと思うと、心中穏やかではいられない。しかし、自分の投資がおキャット様が寛ぐ床暖房の板一枚になっていると聞いたら「より励もう」と思えるだろう。さっそく「猫 男性芸能人」でググってみたのだが、猫を飼っている芸能人より「猫顔男性芸能人」という唾棄すべき情報が先に目についた。何度でも言うが、おキャット様は唯一無二の存在であり、他はそれ以下だし、それ以上は存在しない。人間如きの属性に猫を使用するなど恐れ多い。「あたし猫っぽいってよく言われるんです」という自己アピールは、猫好き男子には逆にマイナスだ。気を取り直して「猫好き男性芸能人」で調べて見たが、これが意外なほど出ない。しかしよく考えてみたら、芸能人という不規則かつ、家を何日もあけることがありそうな職業で一人暮らしだった場合、ペットを飼うと言うのはなかなかハードルが高い気もする。むしろ、1人暮らしと言われている男性芸能人がペットを飼い始めたら要注意かもしれない。熱愛のサインというものは意外なところから出ているものである。色々検索してみて一番情報が出てきたのは「爆笑問題の田中裕二」だった。確かに愛猫との写真も多数見つかったのでこれはガチだろう。しかし彼の場合、今更私が応援しなくてもいいぐらいのポジションだ、逆にこっちが応援してもらいたい。あとタモリが猫を飼っているという情報もあったが、さらに応援がいらない、すでにアガリに近い存在だ。できればもっと若手、まだこちらが買い支えねばと思える人材がいい。そこで見つけたのが「栗原類」だ。かなりいい、佇まいや雰囲気も他人事とは思えない。しかも「猫アレルギーなのに猫を飼っている」というのもポイントが高い、その心意気や良しだ。しかし猫アレルギーの症状がどの程度かは知らないが、結構つらいのではないだろうか、鼻が詰まっているというだけで、人は実力の半分も出せなくなる。しかし逆に言えば「だからどうした」とも言える。おキャット様を養えるのであれば、目鼻どころか、耳から謎の液体を出すことすら厭わない、それが猫好きだ。猫アレルギーは人間の都合であり、おキャット様には関係ない、ならば猫アレルギーでも猫を飼うべきと言える。といわけで2017年、好きな芸能人はと言われたら「栗原類」と即答することにした。しかしこういう、おキャット様のために常人ではやらないことをやっている人間がいるため「猫好きは変わっている」というイメージがつくのかもしれない。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2017年01月29日木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、『画と機 山本耀司・朝倉優佳』。東京・新宿の支店、ギャラリー5(新宿区西新宿3-20-2東京オペラシティタワー3階)によるご紹介です。■『画と機 山本耀司・朝倉優佳』本書は日本のファッションデザイン界を牽引する山本耀司の魅力と本質に迫る、東京オペラシティアートギャラリーで開催中の展覧会の公式図録である。若手画家の朝倉優佳の作品を交えて、二次元から三次元へ自在に表現が巡らされる展覧会会場は、ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)を知るファッション好きはもちろん、アート好きも引き込まれる刺激的な展示空間となっている。一方、図録は山本・朝倉の絵画作品を中心に構成されているため、ページを走る山本の筆使いに新鮮な驚きを覚える人もいるだろう。こちらでは空間演出から離れて一枚一枚の作品にじっくり向かい合うことができる。作品の他には、両名のインタビュー、展覧会タイトルの「画と機」(「画」は絵画を、「機」は「はずみ」や「機会」「機織(服)」を意味する)の名付け親である編集工学者の松岡正剛、そして『GQ JAPAN』編集長の鈴木正文による解説も収録されている。ページごとに、さまざまな異なる種類・判型の紙が使用されており、製本形式も従来の展覧会図録にはないファイル綴じ。一見、黒くすっきりとしたシンプルなファイルだが、その中には、山本耀司の40年という円熟したキャリアを経てもなお尽きることのない創作へのエネルギーが閉じ込められている。なお、展覧会「画と機 山本耀司・朝倉優佳」は3月12日まで東京オペラシティアートギャラリーで開催されている。【書籍情報】『画と機 山本耀司・朝倉優佳』出版社:東京オペラシティアートギャラリー言語:日本語・英語ファイル綴じ仕様/72ページ/320×250mm発刊:2016年12月価格:2,593円【展覧会情報】「画と機 山本耀司・朝倉優佳」会場:東京オペラシティ アートギャラリー 3Fギャラリー1、2住所:東京都新宿区西新宿3-20-2会期:12月10日~17年3月12日時間:11:00~19:00(金・土曜日は20:00まで、入場は閉場の30分前まで)料金:一般1,200円、高大生800円、中学生以下無料休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、2月12日
2017年01月26日OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?■第1回「猫を飼っている男の特徴」このコラムのテーマは「猫と男」だ。おそらくこのコラムを読んでいる3人中5億人が「男いらなくね?」と思っただろう。そもそも唯一神である猫(以下おキャット様)と人間如きを同列に語ろうというのが間違っているので正式なタイトルは「猫>>>>>>>>>>>越えられない壁>>男」であり、略して「猫と男」だ。「と」はどこから来た、という話は置いておいて、ならおキャット様の話だけすればいいと思われるかもしれないが、まずはこのサイトの全貌を見て欲しい。「男、女、結婚、恋愛」以外の話は許さないという雰囲気だ。それでもおキャット様の話をするために、男という蛇足を付けざるを得なかったのだ、どうか許して欲しい(今のはおキャット様への謝罪であり貴様らに謝ったわけではない)。まず第一回目のテーマは「猫を飼っている男の特徴」だ。別に、考え得る限りでもっともつまらないテーマを選んだわけではない、やる気はあるのだ。まず猫を飼っている男の特徴だが、例外なく言えるのは「いい奴」である。これは「猫ちゃん好きに悪い人はいないょ」という虫歯になりそうな思想ではない、おキャット様を飼う、という重責を担う男が悪かったら困るからだ、だから例外なくいい奴でなくてはならない、これは義務だ。しかし、ここで言ういい奴、というのは人間的にという意味ではないし間違っても「女にとっていい男」という意味ではない。女を風呂に沈めた金で、おキャット様にカナガンのキャットフードを献上しているとしたらそれは「いい男」である。よって猫を飼っている男は例外なくイイ奴なので、女性は安心してつきあい、どんどん貢いで、おキャット様が三食シーバプレミオを食えるようにしていただきたい。猫を飼っている男がいい奴だということはわかったが、ではその性格はどういったものだろう。さっそく「猫好き男特徴」とインターネットに聞いてみた。もちろん「○○だから●●」と断言できることなどほぼないため、薄らぼんやりとした情報しか得られなかったが、一番多かったのは「猫好き男は性格も猫系」というものだった。勘違いされては困るが、おキャット様の性格というのはおキャット様にしか許されない、人間がまねをしたら万死に値する。そもそも猫系の性格とはなんだというと「自由でマイペース」ということである。確かにそういう性格の人間は男女問わずにいるが、少なくともペットを飼う以上ペットに対してだけはキッチリした性格でないと困る、日頃からおキャット様に対し細やかなケアを行い万が一体調を崩されていたら速やかに病院へ連れて行かなければならない。逆に言えば、それ以外に対してはマイペースで構わない、手作り弁当を持ってきた女を前にドミノピザに電話をかけるぐらい自由でいい、許す。つまり、猫飼い男と付き合うときは、自分よりおキャット様を優先されても「それが当然」と思えなければいけないのである。プロフィールカレー沢薫OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。
2016年12月22日東京オペラシティ アートギャラリーで「画と機 山本耀司・朝倉優佳」が12月10日からスタート。来年3月12日まで開催されている。開幕前日の9日には内覧会が行われ、山本耀司も来場。本展覧会への想いをこう語った。「異常気象、イギリスのEU離脱、アメリカの新しい大統領など、世界がヤバい状況の中でファッションだけをやっていては駄目だ。世界をつなぐにはアートしかない、と思った。世界が、特に日本がヤバい状態を何とか出来るのは指先の力でありセンス、技術、そしてソフトパワーつまりアートしかない。40年以上服を作って、疲れているはずの男が頑張っていることを若い人に見てほしいし、お前たちも立てよと言いたかった」本展では、山本がキャンバスや紙に描いた絵画、ガラスに描いた作品、屏風(びょうぶ)形式の作品、彫刻など未発表の作品と共に、彫刻作品と女子美術大学大学院博士課程在学中の画家で、数シーズン前からヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)のウィメンズとメンズのパリコレクションでコラボレーションを行っている朝倉が単独で制作した作品、2人が共同制作した作品、2人のコラボレーションによる服などが展示されている。会場入り口の幅16メートル縦6メートルの窓ガラスと会場奥の窓ガラスも山本と朝倉が内覧会直前に一気に描き上げたという。配置や構成まですべて山本と朝倉が2人で決め、会場に流れる音楽にも山本の声を加え、非常灯のマークも山本自身を連想させるものにするなど細部にまでこだわった今回。それまでも準備はしていたものの、10月の春夏コレクション終了後、自宅やアトリエなど、様々な場所に置き、朝から制作したという絵画や彫刻、ガラスや屏風に描いた作品など山本の20数点の作品と朝倉が制作した作品の中から選んだ70数点の絵画、そして共同制作した作品が入り交じるような構成で展示している。軍服姿の絵は戦争で亡くなった父を描いたもので、会期中に会場内の様々な場所に移動する予定だという。また、パリコレクションの直前にショー会場で、朝倉がシャツの上にペイントしたものや2016年春夏の赤いドレスなど、パリコレクションで発表したコラボレーション作品は、山本を思わせるボディや流木に着せている。服を中心とした回顧展ではないという意外性も今回の展覧会の狙いを強調しているよう。デッサンや山本本人写真の上に絵を乗せた作品、それらの作品を使ったヨウジヤマモト プリュス ノアール(YOHJI YAMAMOTO +NOIR)の服なども展示している。朝倉とのコラボレーションについて「最初にメンズを手伝ったもらったときからデッサンがすごかった。骸骨が風呂に入っているのを描いた服はすごく売れたし、専門の訓練を受けたメッセージ力の凄さは僕にはない。ただ、これだけは出会い。一緒にやりたいという若い人はたくさんいるが、面接で選んでいるわけではないので」と説明した上で「大変でした。ファッションはチームでする仕事だからデザイナーは好きなことを言えば良い。でも、アートは筆を洗うことまで自分でやらなければいけないし、描きながら、たかがファッションで成功した人間が絵?ふざけんなと言われると思っていたから真剣勝負だった。世界はヤバいという想いを伝えるためにも、これからも絵だけではなく様々なアートや演劇、映像にも関わりたいし、生きている限り変わっていきたい。来年はシークレットライブもやりたい」と明かした山本。これからの活動やコレクション、コラボレーションなども注目を集めそうだ。【展覧会情報】「画と機 山本耀司・朝倉優佳」会場:東京オペラシティ アートギャラリー住所:東京都新宿区西新宿3-20-2会期:12月10日~17年3月12日時間:11:00~19:00(金・土曜日は20:00まで、入場は閉場の30分前まで)料金:一般1,200円、高大生800円、中学生以下無料
2016年12月11日テレンス・マリック監督の最新作『聖杯たちの騎士』が12月23日(金・祝)から公開される前に、主演のクリスチャン・ベイルのインタビューが届いた。様々なジャンルの作品に出演し、観客、評論家から高い評価を集めているベイルは、マリック監督と長年に渡って連絡を取り続けていたようだ。その他の画像ベイルは子どもの頃から俳優として活躍し、近年は徹底的に役に向き合う実力派俳優として『ダークナイト』『アメリカン・ハッスル』などに出演。『ザ・ファイター』ではアカデミー助演男優賞に輝くなど、人気・実力ともに世界のトップクラスにある俳優だ。そんな彼は、マリック監督の『ニュー・ワールド』に出演して以降も、監督と連絡を取り合っていたという。「いつも素晴らしい会話をしているけど、何度か新作の話が持ち上がった。この作品に関して彼は、僕に役の説明をしたいと言ってきたんだ。そしてそれだけだとも言った。“何が起きるか試して見よう”的なアプローチだとね」。通常、ベイルほどのスター俳優になると、完成した脚本か、しっかりと書かれたシノプシスを読んで出演を決めることが多い。しかし、ベイルは「すべての監督とこのような撮影方法が出来るわけではないけど、テリーとだったら間違いないと思った」という。監督が、ベイルに与えたのは“リック”という役だ。ベイルは監督から受け取った断片的なエピソードや情報を基に、想像を膨らませ、監督に伝えては、リックという男が形作られた。「多くのことが実際の映画では出てこない情報だけど、僕はそれらの情報に頼るしかなかった」。リックは脚本家で、大成功を収めているが、妻や実家の両親、兄弟とはトラブルを抱えていて、心の中に大きな“空白”を抱えている。「周りから見れば彼は成功者だけれど、彼は自分自身のことをそうは思っていない。だからこそ彼は旅路に出る。行き先がどこかもわからないけれど、いつか忘れてしまった何かを再び取り戻そうとしているんだ」映画は、リックが様々な女性と出会い、交流を重ねながら自身の進むべき道を見つけようと彷徨う姿が描かれる。ケイト・ブランシェット、ナタリー・ポートマンら演技派女優たちとの演技もまた、“段取り”を繰り返すものではなかった。「この撮影でのスタンスが“準備が整う前に始めよう”だったので、自分がまだ何をするかもわかっていないうちからカメラが回り始めた。人生みたいだよね。次に何が起きるかなんてわからないのだから」。観客もまた、ベイルと同じように次に何が起こるかわからない気持ちを抱えて、リックの“心の旅”を見守ることになるだろう。「とにかく撮影中、素敵な“わからない”という要素がたくさんあった。他の監督では楽しむことはできないだろうけど、テリーとだからこそ、楽しむことができたんだ」『聖杯たちの騎士』12月23日(金・祝)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国ロードショー
2016年11月30日松山ケンイチが驚異の体重増量と役作りで、病いと闘いながらわずか29年の生涯を駆け抜けた伝説の棋士を熱演する『聖の青春』。その松山さん演じる村山聖と「東の羽生、西の村山」と並び称され、現在もなお棋界の頂点で活躍する羽生善治を演じるのは、精神面・肉体面の両方からアプローチし、激似ぶりが話題となっている東出昌大。それぞれ渾身の役作りが話題になっているこの2人。お互いが最大のライバルでありながら、村山さんにとっての羽生さんは「ヒロイン」ともいえる存在であったという。将棋界の最高峰「名人」を目指し、人生をかけ、短い命を燃やした村山聖九段。彼の最大のライバルにして、憧れの存在でもあったのが、100年に1人と称される天才棋士、羽生善治だ。村山さんにとって、同世代ながらトップ棋士として活躍する羽生さんは凄まじいライバル心を燃やす相手である一方、「羽生さんと同じ空気を吸いたい」と、当時拠点を置いていた大阪から上京するほどの憧れの存在だった。対する羽生さんにとっても、村山さんは強烈な存在だったよう。先日行われた映画公開記念イベントでは、羽生さん本人が、かつて負けた一戦を回顧しながら「彼の手の動きが印象的で、いまでも覚えている」と語っており、短い期間ながらも、濃い時間を過ごした2人の確かな関係性をうかがい知ることができる。本作においても、松山さん演じる村山聖と、東出さん演じる羽生善治の関係性は物語の核となる重要な部分。これまで、『ひゃくはち』で万年補欠の野球部員、『宇宙兄弟』で宇宙飛行士を目指す兄弟という“名ライバル”を描いてきた森義隆監督は、撮影にあたり、2人の距離感を大事にするため、松山さん、東出さんに演技以外での会話を禁止するなど、徹底した関係作りを行ったという。そして、棋譜すべてを覚え、約3時間にもおよぶ長回しを行った伝説の対局シーンを、「2人が勇気を持って『やる』と言ってくれた」と嬉々として語りながら、「想像のはるか上をいくものが出来上がった」と自信のほどを語っている。松山さん、東出さんの2人もまた、撮影中、互いの演技に触発されていた様子だ。先日行われた村山さんの地元・広島での舞台挨拶で、「羽生役が東出くんで本当によかった」と話した松山さん。「羽生さんというオーラを身に纏ってくれたから、村山さんが羽生さんに抱いていた尊敬の念を自然と持つことが出来た」と語り、自ら「本作のヒロイン」と言ってはばからない東出さん演じる“羽生善治”への気持ちが、“村山聖”という役と見事にシンクロしたことを明かしている。一方、東出さんも、「松山さんの演技に負けないよう、真剣で切り合うつもりで挑んだ」と、松山さんの演技に大いに刺激を受けた様子。盤上で棋力を存分に引き出しあっていた村山さんと羽生さん同様、互いの力を限界まで引き出しあった松山さん、東出さんの両名の熱演は必見だ。また、本作では対局を離れた2人の会話シーンも見どころとなる。“激戦”の後、2人っきりの食堂で、将棋に対する想いや、対局における“潜る”という感覚、そして対局の先にあるまだ見ぬ世界への憧れを語り合う2人の姿にもグッとくるものがあるはず。最大のライバルであり、“将棋”という道を究める同志でもあった村山さんと羽生さん。松山さんと東出さんが渾身の役作りで演じた、この2人のアツい関係にぜひ注目していて。『聖の青春』は11月19日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:聖の青春 2016年11月19日より全国にて公開(C) 2016「聖の青春」製作委員会
2016年11月18日●村山聖が憧れた羽生善治と向き合う感覚29歳の若さでなくなった天才棋士・村山聖。少年時代から、難病と戦いながら将棋にすべてを賭けてきた彼の人生を描いたノンフィクション小説『聖の青春』が、発表から16年を経て映画化されることとなった。2008年に映画化の企画が生まれてからさらに、公開まで8年の月日をかけ、監督の中でも熟成された作品に挑むのは、松山ケンイチと東出昌大だ。"怪童"村山聖を松山、将棋界でも100年に1度の天才と呼ばれ現在も活躍する棋士・羽生善治を東出が演じた。先に行われた東京国際映画祭では、東出から「ヒロイン・羽生善治役」とジョークも飛んだが、ライバルであった2人の対局シーンには映画というフィクションを超えた迫力、そして将棋盤をはさんで育まれた絆が宿っていた。○戦っているのが見えた――おふたりは初共演とのことですが、お互いの印象はいかがでしたか?松山:東出くんが出ている作品も観ていましたし、(早乙女)太一くんと共演した時に東出くんの話を聞いたりしていたので、「どんな人なのかな」と楽しみにしていました。かといって、色々とプライベートな話をするような状況でもなかったような気がします。現場に入ったらもう東出くんじゃなかったですね。自分の中ですごく戦っているのが見えました。最初は本当に対局シーンだったんだよね、大阪で。東出:はい、そうでしたね。松山:一発で、「羽生さんだな」と思いました。村山さんが、尊敬や憧れを感じていただろう"羽生さん"が目の前に現れたんですよね。東出さんがすごくリサーチをかけて役を作ってきたのも見えましたし、何より羽生さんと将棋に対する愛情をすごく感じて、それがひとつのオーラになっていました。だから、羽生さんを演じる東出くんを素直に尊敬できたし、憧れることができて、「これからすごく面白いことになるな」と思いえました。自分自身も、もっともっと村山さんに向き合って演じていけば、それこそ作中で対峙した時のように、深い海に2人で潜っていけるな、という実感がありました。東出:僕は、クランクインする前から、プロデューサーさんや監督さんから「松山さんがすごく過酷な増量をしている」とか、「将棋連盟に通っている」とか、色々とお話を聞いていたんです。クランクインして2週間ほど経ってから現場に入ったんですが、それまでに「村山聖の組として現場を作っておくから、お前はそこにライバルとして入ってこい」と監督から言われていて。実際に現場に入ったらもう、ライバルとしての村山聖がいました。松山さんの気迫あふれる村山聖を前にして、やっぱり僕も嬉しかったです。元々松山さんの作品も見ていますし、尊敬する先輩としての印象は大きかったんですけど、現場に入ってからは村山さんとして向き合う感覚でした。鬼気迫るものがありましたね。●向かい合うシーンは、ある種の殺し合い○「この人大丈夫か」という感覚――対局シーンにしても、食堂でお酒を飲むシーンにしても、お二人が向かい合ってるシーンが多くて印象的だったのですが、どういう気持ちで対峙していたのでしょうか。松山:ずっと、東出くんが前にいるというよりも、羽生さんが前にいるという感じだったんですよね。東出くんがそこまで役を昇華させて自分のものにしているから、すんなり入ることができて、こちらとしてはありがたかったです。そこに支えられている部分もありました。東出:僕は松山さんから、鬼気迫るものを感じていました。先日、行われた羽生さんと(原作の)大崎善生さんのトークショーで、羽生さんは生前の村山さんに対して「この人大丈夫か」と思っていたと話されていたんです。それは村山さんの病のこともあるし、将棋の指し手に鬼気迫るものがあったからだそうで。まさしく、僕が松山さんに抱いていた気持ちそのまんまだなと思いました。羽生さんが病のことを気にされていたように、僕も増量による松山さんの体の負担のことも考えましたし。松山さんが村山聖として、対局中に肩をいからせて入ってくる姿は、威圧感がありながら繊細さもはらんでいて、ある種の”殺し合い”という感じはありました。――作中の対決だけでなく、演技の上でも対決、みたいな感覚は少しあったんでしょうか?東出:「現場であまり松山さんと話さないように」というお話は、監督からありました。もちろん、みんなで軽く待ち時間に「この掛け軸、いいね」みたいな話などはしたんですが。僕等に限らず、みなさんが役を引っ張って、ずっとギアを上げている状態だったと思います。全員で同じ方向を向いていたのがこの現場のすごさですし、俳優部だけでなく、全体的にずっと緊張感のある現場だったと思います。松山:スタッフの方々の、環境づくりみたいなところは凄まじかったですよね。東出:本当に。松山:やっぱりみんな、将棋が好きなんじゃないかなと思いました。中にはもちろん、将棋を知らない人もいたと思うんですけど、愛がありましたよね。○森監督にききたいこと――棋士の役作りということで、将棋連盟にも通われていたという話ですが、どのような雰囲気を意識されましたか?松山:撮影に入る前の準備段階で、実際に対局室にお邪魔した時に、普段自分が吸っている空気とは明らかに次元の違う空気感があったんです。それをどう演技で表現していくかはすごく大事なことだと思っていましたし、ある意味一番時間かかかっている部分かもしれません。やっぱり、棋士役の人たちはみんな、プロ棋士としての佇まいを身につけるのに苦労したんじゃないでしょうか。きっと裏では各々が一つのコマを持って、ずっと将棋をさしていたんだと思うんです。――ぜひ今回メガホンをとった森監督に言いたいこと、聞きたいことがあれば教えていただきたいです。松山:監督は8年間企画を進めようとしていて、僕は途中の段階から入ってきているんです。「ぜひ村山さんを演じたい」とアプローチをして、選んでいただきました。すごく嬉しかったし、選んでいただいたからこそ、限界以上のものを出さなきゃいけない、という覚悟もありました。だから、単純に、なぜ僕を選んでくれたのか聞いてみたいですね。東出:監督は村山聖のことが大好きですし、映画が大好きだと思うんですけど、この映画を撮っていて「楽しかったですか?」と聞きたいですね(笑)。撮影している時に、気迫がすごくて。この映画にかける思いを聞いてこなかったように思うんですよね。楽しかったとしたら、どのシーンを撮っていたときが楽しかったのか教えていただきたいです。※監督からの回答は次のページに掲載●俳優2人からの質問に、監督の回答は?2008年に 『ひゃくはち』で映画監督デビューし、2012年には『宇宙兄弟』が大ヒット。テレビ、映画、舞台と幅広く活躍しながら、この『聖の青春』を映画化するために8年もの間動き続けてきた森義隆監督は、俳優2人から預かってきた質問に快く答えてくれた。○監督の回答・松山ケンイチさんからの質問:なぜこの映画で僕を選んでくれたんですか?森:8年前から君の名前は挙がっていました(笑)。その上、こっちが「撮れるぞ」というタイミングで自ら手を挙げてくれたことに、運命を感じたんです。企画から8年もかかっていると、もう「この作品が動く時って運命しかないな」と思うんですよね。やっぱり実在した人物の物語を撮る時に、作り物じゃないものにしていこうと思うと、ある大きな流れの中でしか撮れないんじゃないかと思い始めて。30歳の松山くんが、29歳で死んだ男の話に手を挙げてくれたことにも、必然を感じました。・東出昌大さんからの質問:この映画を撮っていて楽しかったですか?森:めちゃめちゃ楽しかったし、鬼気迫ってないですよ!(笑) 僕が20年やっている中で、一番楽しかったし、一番笑顔が多かった現場です。もちろん集中はしていましたが、撮影できるまでに8年もかかってるし、気負わないことは逆にテーマにしていました。しびれたのは最終対局ですね。2人の対局シーンを3時間長回しなんて、試したこともなかったし、俳優を信じるしかなかった。クライマックスシーンだから失敗できなかったし、僕の経験値でも2人の経験値でも、やれるかやれないかわからなかったけど、2人とも「やりたい」と言ってくれたので、一緒に飛び込めました。想像を超えた感覚があって、楽しかったです。■聖の青春(11月19日公開)"西の怪童"と呼ばれる新世代のプロ棋士・村山聖(松山ケンイチ)。現在七段の聖は幼少時より「ネフローゼ」という腎臓の難病を患いながら、将棋界最高峰のタイトル「名人」を目指して快進撃を続けてきた。そんな聖の前に立ちはだかったのは、将棋界に旋風を巻き起こしていた同世代の天才棋士・羽生善治(東出昌大)。どうしても羽生の側で将棋を指したいと思った聖は上京を。そんな折、聖の身体に癌が見つかった。「このまま将棋を指し続けると死ぬ」と医者は忠告。しかし聖は聞き入れず、将棋を指し続けると決意。もう少しで名人への夢に手が届くところまで来ながら、彼の命の期限は刻一刻と迫っていた…。
2016年11月18日若干29歳にして亡くなった伝説の棋士・村山聖の生涯を描く『聖の青春』。この度、主演の松山ケンイチと森義隆監督が、村山さんのゆかりの地である広島・大阪を訪問。それぞれの地で試写会が行われ、2人が登壇した。100年に1人と言われる天才・羽生善治と「東の羽生、西の村山」と並び称された棋士・村山聖。本作は、病と闘いながら将棋に全人生を懸け、全力で駆け抜けた“怪童”の一生を、師弟愛、家族愛、ライバルたちとの友情を通して描く、奇跡の実話を元にした感動のエンターテイメント。主人公・村山聖役には松山さん、聖の最大のライバル・羽生善治に東出昌大を始め、聖の弟弟子・江川貢役に 染谷将太、聖を支えた師匠・森信雄役にリリー・フランキー、母・村山トミコ役に竹下景子ら豪華キャスト陣が脇を固めている。今回、最初に訪れたのは村山さんの実家がある広島。森監督は村山さんの実家を訪問し、村山さんの両親に映画の完成を報告。映画化を志した8年前から、毎年訪れていたという森監督は、お墓参りもして村山さんに映画の完成報告も行った。8年の月日をかけようやく良い報告できたということで、森監督も安堵の様子だった。そして、広島バルト11で行われた舞台挨拶では、松山さんと森監督が登壇。まず、原作との出会いをふり返った2人。監督は「原作との出会いが8年前で、29歳という村山さんが亡くなった年齢だったんです。村山さんの生き様に、自分自身の人生を問いかけられているようでした。彼の人生をなぞるのではなく、彼の魂の形をお客さんに届けられたらなと思っておりました」と語り、同じく松山さんも29歳のときに原作を読んだそうで、「家の本棚を整理していると偶然見つけたんです。同い年というところに惹かれ手に取りました。ここまで命を燃やすということを体言している人はいないなと心を打たれ、役者として命を燃やしてこの役に臨みたいと思ったんです」とコメント。そんな役者魂に火をつけられた松山さんは、リサーチしていく中で森監督が映画化に動いているという話を聞き、自らアプローチをしたそう。「私が松山さんを選んだのではなく、作品が松山さんの名乗り出を待っていた」と森監督が語り、松山さんは「29歳のときに原作を読んでいなければ、ここまで強い気持ちは持てなかったと思います。そういうめぐり合わせに深い縁を感じます」と運命的な役との出会いであったと明かしていた。翌日訪れたのは、村山さんが将棋人生の大半を過ごした大阪。なんばパークスシネマで行われた舞台挨拶に2人が登場すると、会場からは割れんばかりの拍手が起こった。まず、話題となっている松山さんの役作りについて話が進むと、ポスター画像に写っている自身を指しながら「サモ・ハン・キンポーではないです」とジョークをとばす松山さん。体重増加という外面的なアプローチに関し、撮影中に履いていた大きいサイズの下着をいまでも使用していることを明かし、「(あまりの大きさに)ズボンを履くときに下着もずり上げて履くのですが、食い込んでしまうんです」と会場を笑わせる場面も。最後には、観客に向けて「限られた命を燃やした村山さん。その姿にどの年代の方も何かを感じるはずです」(森監督)、「この村山聖役は、自分にとってとても貴重な経験になりました。命を燃やすということは決してよいことばかりではないですが、その美しさを見てほしい」(松山さん)とメッセージを送った。『聖の青春』は11月19日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年11月09日