いつもの場所に枕がないと、泣きわめいていた4歳の私出典 : 私は昔から、質感やにおいにこだわる子どもでした。4歳くらいのころは、タオルケットとパジャマと枕が、私の3大お気に入りでした。くるまったり抱えたりしていると、自分のにおいがしてとても安心できた記憶があります。特に気に入っていた枕は、よだれや汗でベトベトになっていましたが、いつもの場所にないと私が泣いていやがったため母親も洗濯ができませんでした。そのためあまりに汚くなってしまい、数年くらい使ったころに親戚のおばさんまで出動して、枕と引きはがされてしまい、捨てられてしまいました。なぜそこまで、枕にこだわっていたのでしょうか。大好きな肌触りで、ぽかぽかあたたかくて、自分のにおいのする寝具にくるまれていると、ものすごい幸福感と安心感に包まれました。あの感覚を言葉にするのは難しいですが、例えるなら南国リゾートホテルのプールで優雅な時間を過ごしている以上に、幸福で満たされた気持ち。そこまでの幸福感を得ることができるものなので、引きはがされるのがとても嫌だったのだと思います。南国リゾートホテルでゆっくりしていたら、突然の仕事が入り急遽帰国しなければいけないような状況…というイメージといえば伝わりやすいかもしれません。ストレスがかかったり不安なときは、好きなもので五感を満たしていたくなります。程度は軽くなりましたが、これは大人になった今でもやっています。例えば好きな曲を聴いたり、好きな肌触りのものを触っていたり、好きな香りをかいだり…。子どものころは、幼稚園や公園など、家の外で遊ぶのは不安でいっぱいだったと記憶しています。幼稚園に通っていたころを思い返すと、■周りの子どもたちといても楽しくない■いろんな子がいろんなことを大きい声で言っているのでうるさい■みんながやっているからという理由で、やりたくないことをやらされるぱっと思い出しただけでも嫌だなぁと思っていたことがこれだけ思い浮かびます。子どものころの私にとって、家の外は不安でいっぱいでした。だから、好きなもので満たされたかったのだと思います。好きなものは、外の世界でたくさんの不安を感じて疲れてしまった自分に、安心を届けてくれる存在だったのです。きっとどの子も多かれ少なかれ、持っていることで安心できるものがあるのではないでしょうか。外への不安感が強い、特性のある子なら、なおさらです。もしどうしても取り上げる必要がある場合は、他の方法で安心させてあげたり、交渉してみるのがよいと思います。洋服のタグや羊毛のようにチクチクする服が苦手出典 : 子どものころの私は洋服のタグがチクチクするのが、とても苦手でした。兄も弟もとても嫌がっていたので、我が家にある服はどれもタグがきれいに切り取られていたようです。素材では羊毛のセーターなど毛足が長い素材の服もチクチクするので苦手でした。下着を着ていても肌に刺さってくるからです。今も羊毛の服は着れません。単純に痛いんですよね…。あとはゴムがきつく、締めつけてられる服や下着も苦手でした。特に靴下は大の苦手で、外に出るときは仕方なくはいていましたが、家に着いたらすぐに脱いでいました。服に締めつけられると、締めつけられている箇所がずっと気になってしまい落ち着かないのです。私の場合肌が弱かったので、ゴムのあたる部分が、かゆくなってしまうこともよくありました。一日中ずっと体のどこかがほんの少しだけかゆいというような状態です。こんな状態じゃ、落ち着かないし、集中できませんよね…。よく着ていた服は、ぶかぶかして肌にまとわりつかない服です。例えばカーゴパンツやトレーナー、パーカーなどはよく着ていました。着ていても、それほどストレスを感じなかったことが、気に入っていた理由です。最近はユニクロのシルキードライの下着が、とてもいいなぁと思っています。私が子どものころはなかったので、当時の自分が気に入るかどうかは分かりませんが、もし感覚過敏で下着選びに困っているなら、ぜひ試してほしいです。全般的にごわごわしていないやさしい肌触りの生地なところが気に入っています。触覚が過敏なお子さんには、ぜひゆったりしていたり、肌触りのよい服を用意してあげてほしいなと思います。晴れの日は目を開けられないほど、日光が苦手出典 : 私は子どものころから日光がとても苦手でした。晴れている日はギリギリまで目を細めて外に出ていました。まぶしい蛍光灯などでも同じように目を開けていられません。強い光を受けると、目がヒリヒリするような刺激を感じます。ライターなどの火でジリジリと目をあぶられるような刺激です。そのため外出するときには、サングラスが手放せません。子どものころはお小遣いで100均のサングラスを買い、車で移動するときなどは必ずつけていました。外を歩くときにつけていると他の子たちからからかわれてしまうので、仕方なく外していました。お子さんが、外に出た時にものすごく目を細めているようであれば、サングラスをつけてあげると喜ばれるかもしれません。もし喜んでもらえるようであれば、色が薄い普通の眼鏡のようなサングラスを買ってあげるとよいと思います。色が薄ければ普通の眼鏡と同じように着用することができるので、どこにでもつけていけるし、他の子どもにからかわれることもないのでおすすめです。にぎやかな場所では、全部の音が同じ音量で聞こえてくる出典 : 私は昔から人混みやにぎやかな場所が苦手です。例えば年末年始の東京駅や、人がたくさんいるカフェや居酒屋あたりを想像してください。他の人がどう聞こえるのかは分かりませんが、私は昔からその中にいると全部の音がそのままの音量で聞こえます。感覚としては、youtubeなどで動画を、5~8つ同時に再生しているようなイメージです。その状態で一つだけ聴きたい曲を追加で再生してみてください。全然聞こえないわけじゃないけれど、ところどころ他の音が邪魔をして、聞き取りづらいと感じると思います。がやがやしているところで私が相手と話をしているときは、そういう状況で聴きたい曲を聴く状態とよく似ています。子どものころは、その音をどう処理していいのか分からず、すぐに具合が悪くなっていました。どこかに出かけても、人混みの中にいると具合が悪くなってしまうので、目的地についたとたん「もう帰りたい!」と駄々をこねていました。いまでもにぎやかなところは苦手です。出かけても、3時間もすると疲れて眠くなってしまいます。大人になって、さまざまな対処方法を身につけてもこうなのですから、子どものころの自分はもっとつらかったはずです。駅やショッピングモール、スーパーなどに行くとすぐ疲れてしまうお子さんもいらっしゃると思います。おそらくその子にとってにぎやかな場所は、youtubeで同時に複数の音楽を流しているような環境なのだと思います。最初は本当にわくわくしているのに、いざ到着すると人の声やBGM、お店のアナウンスなどが同時に聞こえてきて、どう処理していいのか分からず具合が悪くなってしまうのです。だから、叱らないであげてください。本人には悪気はないのです。大人の私でも家に着いたらすぐ寝てしまうくらい疲れてしまうのです。もし家族で出かけたいなら、自然の中とか、静かな場所がいいかもしれません。まとめ出典 : 子どものころの自分が感じていたこと、困っていたことを、言葉にして表現してみました。もちろん、私個人が感じたことなので、万人にはあてはまらないと思います。それでも、■わが子が何か困っている様子なのだけれども何に困っているのか分からない。■わが子があまり自分のことを話してくれなくてよく分からない。でもどう感じているのか知りたい。そう思っていらっしゃる親御さんや周囲の方の参考にしてもらえたらと思います。そして、困っているのにどう伝えたらいいか分からない子どもたちが、少しでも暮らしやすくなるといいなと願っています。
2018年02月13日「聴覚過敏」のもうひとつのカタチ出典 : 発達障害のある子どもの特性の一つに、感覚の過敏性があります。その中でも、触覚や聴覚に過敏性がある子がいるということは、かなり知られるようになってきました。我が家の7歳児(自閉症スペクトラム障害・ADHDの診断済)も聴覚に過敏性があり、予告なく出される大きな音や人の怒鳴り声などでパニックになってしまいます。この点については、学校側も随分配慮してくださっています。今は、運動会のピストルの音を小さくしたり、大きな声で怒鳴らず耳元で穏やかに話をするなどの工夫をして頂いています。けれども息子と小学校の話をしているうちに私は知ったのです。聴覚過敏のもたらす困難の、もう一つのカタチ。聴覚過敏を和らげるアイテムであるイヤーマフなどが役にたたない、もう一つの困難があることを。そしてその困難は息子にとって、予期せぬ大音量よりも辛いものだったのです。聴覚過敏とコミュニケーション出典 : 学校の休み時間。給食の時間。登下校の時間。子どもたちの楽しいお喋りの声があちこちから聞こえてきます。女の子たちは秘密のひそひそ話。男の子たちはアニメやゲームの話。そしてそれは、息子にとって苦難の時間の訪れです。教室のみんなが一斉にお喋りに興じ始めると、息子はありとあらゆる会話に首を突っ込みます。時には女の子たちの秘密のひそひそ話にも遠慮なく乗り込んで行ってしまうのです。「え!?君は〇〇ちゃんが嫌いなの!!?なんで!?」息子はこんなデリカシーのないことを、大声で言ってしまいます。当然、言われた女の子たちは激怒です。「あなたに話しかけてない!!」「こっちで話してたのに、入ってこないで!!」別のグループの男の子たちも息子に怒鳴りつけます。「おまえに話しかけてない!!」「向こう行け!!!」息子はそのたびに落ち込んで、家に帰ると堰を切ったように泣きます。それでも翌日からは同じことを繰り返してしまうようです。聞こえる会話全てに首を突っ込み、クラスメイトに怒鳴られて帰ってくるのです。私はこの息子の行動は、ADHDの「衝動性」が関係しているのだと思っていたので、どうしたら衝動性を少しでも抑えることができるのか、必死に考えていました。けれども、息子の話をよくよく聞いているうちに、これは衝動性の他にも別の要因が引き起こしていることだということが分かったのです。「聴覚過敏」の引き起こしていたもの出典 : 「また友達にうるさい!って言われた…」と言いながら帰ってくる息子に、私は「自分に話しかけてくる会話以外には入っちゃいけないよ」と言いました。すると、息子からは意外な一言が飛び出しました。「お友達の会話が、全部僕に話しかけてくるように聞こえる…」「声の大きさも全部、同じに聞こえるよ」そして息子はこう続けます。「みんなは、自分にだけ話しかけてくる声がどうして聞き分けられるの?」私は「なるほど…」と頷きました。息子は衝動的に人の話に首を突っ込んでいたわけではなく、自分にだけ語りかけてくる声、とりわけその音量を判別する力が弱かったのです。人には「カクテルパーティ効果」と呼ばれるような必要な情報だけを無意識に選択する能力が備わっていると言います。けれども、聴覚過敏がある子どもは、その過敏性がゆえに、音からの情報を取捨選択する力が弱いのかもしれないと思い至ったのです。息子がみんなの会話に首を突っ込んでしまうのは、まさにこの聴覚過敏が引き起こしていたものかもしれません。自分の当たり前は、この子には当たり前ではない出典 : 私は息子の「聴覚過敏」がクラスの人間関係にまで影響を及ぼしているとは知らず、当初はとてもショックでした。クラスの休み時間にまでイヤーマフを持ち込むわけにはいきません。何よりも、息子はクラスメイトたちと休み時間に話をするのが大好きです。けれども、周囲の話し声が一様に自分に話しかけているように聞こえてしまうため、どの声に応答したらよいのか分からず、オロオロしているようでした。そこで私は息子に、一つの指標を教えました。「息子くん、療育で、人の目を見ると褒めてもらえたよね?なんでだと思う?人の目を見ると、自分に話しかけているかどうかが分かることが多いんだよ。息子くんに話しかける人は、息子くんの目を見ていることが多いから、まずは相手が自分の目を見ているかどうか確認してみると良いかもしれないよ。」息子はこのアドバイスに納得し、最近は人の会話に入るときにワンクッション置くことができるようになったようです。とはいえ、全ての会話が同じ音量で聞こえてくる状態は今も続いており、帰宅するとぐったりとしている様子が見てとれます。ですので、クールダウンの時間を持たせることを心がけています。発達障害の子どもは、私たちが思っている以上に騒がしく、自分向けられた声を拾ってゆくだけでも疲れるような世界に生きているのかもしれません。
2017年12月12日視覚過敏とは出典 : 視覚過敏とは、視覚情報の処理に関するはたらきに偏りがあるために、光の刺激を過剰に受け取ってしまう状態のことを指します。視覚過敏のある人は、そうでない人にとっては気にならないような光に対して一見過剰に見える反応をしてしまったり、本を読むときに文字がゆがんで見え、読みにくさを感じたりします。また、人の顔がモザイク画のように見えたり、暗いところが苦手だったりすることもあります。知的機能に遅れがないのに、視覚過敏によって勉強することができず学習が遅れてしまったり、デパートを歩くだけでさまざまな視覚情報が目に入り疲れてしまったりと日常生活によくない影響を与えてしまうことも珍しくありません。そもそも視覚過敏というのは、感覚過敏の一つだと考えられています。感覚過敏は、自閉症スペクトラムやADHDをはじめとする、発達障害のある人が訴えることの多い症状です。感覚過敏は、感覚に偏りがあり、特定の刺激を過剰に受けとってしまうものです。視覚過敏の他にも、聴覚・嗅覚・触覚・味覚が過敏なこともあります。他にも、感覚が敏感ではなく、むしろ鈍感なケースも見られます。「感覚に偏りがある」といっても、すべての人が似たような偏りがあるわけではなく、一人ひとり感じ方が異なることが特徴です。視覚過敏は、視力のよさや目の異常が原因ではなく、中枢神経の異常であったり、なんらかの発達に支障があるために起こると考えられています。このように視覚過敏をはじめとする、感覚の偏りは本人の努力や慣れでどうにか克服できるものではありません。本人にとって好ましくない刺激をできるだけ遮断することや、周囲の環境を調整していくことが大切です。しかし、周囲の人が感覚過敏の人に見えている世界を理解することは難しいとされています。そのため最近ではVR技術などを用いて感覚過敏の人に見えている世界を体験できるような技術が発展してきています。以下の動画は、視覚過敏・聴覚過敏のある子どもから見るデパートを再現したものです。VRではない、パソコンやスマートフォンの画面でも体験できるものになっています。※ただし、感覚過敏のある子どもと言っても、一人ひとりの感じ方や症状は異なるため、あくまでイメージ動画としてご参考にしてください。動画のなかで、何度も蛍光灯がピカピカ光ったように見えたり、足音が気になったり、お母さんの言葉が聞き取りにくかったりしています。他にも、ピーっという音やお金を落としたときの音など、不快に感じる音も聞こえています。感じ方は症状は一人ひとり異なりますが、感覚過敏の子どもは、動画のように周囲の刺激に過剰に反応するためにパニックを起こしてしまうこともあります。視覚過敏の人にとっての日常生活出典 : 視覚過敏があると、蛍光灯がまるでディスコボールのように感じられたり、太陽の光や夜間の車のライトがまぶしすぎたりします。またそれだけではなく、視覚過敏のある子どもは、目から入ってくる情報の処理能力や一度見たものを覚えておく能力が高いとも言われています。このような能力は、美術の時間に非常にレベルの高い写生ができたり、多くの人には区別することができないような微妙な色の変化にも気づいたりと、プラスの面も少なくはありません。その一方で、視覚過敏があると、目からの情報を大量に処理してしまうことがあります。普段、ほとんどの人は目から入る情報を無意識のうちに必要な情報と不必要な情報に分けて考えています。そうしないと、頭が一度に処理できる情報量を越えてしまい、頭がパンクしてしまうからです。視覚過敏のある人は、環境によっては、まさに頭がパンクしている状態で日常生活を過ごすことになってしまいます。視覚過敏をはじめとする感覚過敏が一般的に知られるようになったのはごく最近です。そのきっかけになったのが、感覚過敏の人が自分自身が生活している世界をことばで表現し、発信するようになったことです。自らが生きている世界を自伝した第一人者であるドナ・ウィリアムズさんのメモに以下のような内容が残っていました。これは、彼女がスーパーマーケットで買い物をしているときの体験を書いたものです。雑誌売場を通ると、私の目には次々と雑誌の見出しが飛び込んできます。私の頭の中には私が理解できないほどのものすごいスピードで様々な文字が洪水のように入ってきてしまうのです。雑誌売場を離れても見出しの文字はまだ頭の中に残っています。そのため、緑色や葉っぱ状のものを見ても、それが野菜だということが理解できず、それを自分が買いたいのかどうかさえもわからなくなってしまいます。また他にも、視覚情報に敏感なため、多くの人が気づかないささいな変化に気がついたり、大きな変化があるとパニックになってしまったりすることがあります。そのため本来は楽しい場所であっても、今まで行ったことのない建物や部屋に入ることを嫌がったりすることがあります。学校生活や日常生活に慣れてくると、だんだん新たな場面に出くわすことが少なくなり、症状が軽くなったように感じられますが、運動会やクリスマスパーティーなどの特別な行事のときに再びパニックになることがあります。視覚過敏のある子どもは、一度見たものを記憶する能力が高いために、突然なにかを思い出すことがあります。いわゆるフラッシュバックと呼ばれているものです。フラッシュバックが起きると勉強をしていたはずなのにいきなり立ち上がっておもちゃを取りに行ったり、悲しいことを思い出して泣いてしまったりすることも珍しくありません。記憶する能力が高いことはすばらしいことですが、記憶にとらわれすぎて、目の前のことに集中できないと困ってしまうので、周囲がやるべきことを整理するなどの工夫が必要になります。参考書籍:熊谷高幸/著者『自閉症と感覚過敏ー特有な世界はなぜ生まれ、同支援すべきか?』(新曜社・2017)子どもが文字を読むのが難しい…視覚過敏が原因かも?出典 : 先の章では、主に生活面で困ることを紹介してきました。視覚過敏の人は生活面だけでなく、学習面でも困ることがあります。視覚過敏が原因となって、黒板の文字や教科書の文字が正しく読むことができなかったり、読むのに時間がかかり過ぎたりするからです。知的障害がないにもかかわらず、文字が読めない症状を総称してディスレクシアと呼ばれています。文字が読めないという症状は視覚過敏以外が原因となることもありますが、ここではディスレクシアを引き起こす可能性のある視覚過敏の症状を紹介します。視覚的な要因でディスレクシアが生じる場合、文章を読んでいるときに、どこを読んでいるのかが分からなくなってしまいます。視力が悪いわけではないのに、このようなことが起こるのは、文字の見え方そのものが異なるからです。一般的に、視覚過敏の子どもはゆがんだ見え方によって次のような困難を抱えています。・読む速度が遅い・効率のいい読み方ができない・文章を読んでいると、疲れて眠くなってしまう・長時間、読み続けることができない・読むことで、頭痛や吐き気が生じるでは、ゆがんだ見え方とはいったいどのような見え方なのでしょうか?視覚過敏のある人は具体的に次のような見え方で文字を読んでいると考えられています。◇洗浄現象文章を読むときに、白い部分が明るく見えすぎて黒い文字の部分を見えなくしてしまいます。たとえば、通常は区別することのできる、アルファベットの"b"と"d"が同じように見えることが起こります。◇光背現象洗浄現象と同じように、文字の周りの白い部分が原因で、読むことを難しくします。光背現象で困っていたアメリカの学校の教師は、すべての文字の周りの白い部分が燃えるような輝きをもって見えていたと話しています。◇リバー現象文章を読んでいるときに、仮に文字がダンスをしているかのように動いていたら読みにくいと思いませんか。リバー現象とは、まさにその状態です。それぞれの単語が波打つかのように動いていて、止まったかのように見えた瞬間にまた動き始めてしまいます。◇オーバーラップ現象オーバーラップ現象は言葉の通り、それぞれの文字や文が互いに重なり見えてしまう現象です。一つの文に着目し、それを読もうとすると単語と単語が重なって動いたり、文同士が交差したりして読むことが難しくなります。◇回転現象文字が上から下に動いたり、逆に下から上に動いたりと、それぞれの文字がばらばらの動きをしているように見えると言われています。場合によっては、すべての文字がまわっているように見えることもあります。◇シェイキー現象文字がゆがんで見える現象です。例えば、文字がらせん状にゆがんだり、3Dのように、浮かんで見えたりします。◇ぼやけ現象水に浸したように文字がにじんで見えたり、目が悪い状態のように文字が二重になったり、ぼやけて見えたりします。◇シーソー現象一つの文がシーソーのように上下に動いて見えます。そのため、行間隔が狭い文章を読むときには、上下の文が重なりあうように見えることもあります。◇トンネル現象文字に目をやるときに一度にわずか数文字しか判別できないような症状です。そのため、単語の途中で改行されている文章を読むことや、学校の教師が黒板の右端に達したら、左にもどって授業を進めていくような場面に遭遇すると困ってしまいます。人によっては本を読むことが、1文字しか書かれていないフラッシュカードをひたすら連続的に読んでいく作業に感じてしまうそうです。英語の動画ですが、30秒を経過したあたりから、ゆがんだ見え方が体験できるので参考にしてください。このような文字の見え方をしていると考えると、例えば学校の授業中に音読をすることになりうまく読めなかったとしても、怠けていたり、やる気がなかったりするせいだとは思わないでしょう。視覚過敏のせいで文字をうまく読むことができない人は、本人が一生懸命読もうとしているにもかかわらず、読むことができないのです。参考書籍:Helen Irlen/著者『アーレンシンドロームー「色を通して読む」光の感受性障害の理解と対応』(金子書房・2013)子どもが視覚過敏かなと思ったら出典 : 子どもの行動で気になる点があるときには、まずは行動をよく観察してみましょう。どのような状況で子どもが行動しているのか観察することで、子どもがどんな刺激に対して敏感なのかや、嫌悪感を抱いているのかを知る手がかりになります。子どもが不可思議な行動をとる背景には、なんらかの理由が隠れていると考えられます。視覚過敏の子どもにとっては、光がチカチカするのも文字が動いて見えるのも生まれながらの症状であるため、それが異常だと気づきにくいです。そのため、周囲の大人が子どもの感覚の特徴を知ることが重要になります。他にも、視覚過敏と似た症状であっても、視覚過敏ではない目の病気が背景に潜んでいることがあります。例えば、光に対して敏感になり、普段では気にならないような光を目があけられないほどまぶしく感じることがあります。このような症状は、緑内障や白内障などの目の病気あるいは、コンタクトの長期間利用やパソコンの見過ぎなどによって生じている場合があります。これらを素人が判断することは難しいため、専門家に相談するようにしましょう。視覚過敏に関する相談先としては、眼科や保健センター、子育て支援センター、児童発達支援事業所などが挙げられます。視覚過敏への対処法出典 : 視覚過敏の症状を根本治療する方法は、現状見つかっていません。しかし、工夫をすることで、子どもにとって生活しやすくなったり、文字を読むことが困難だった子どもがすらすら読めるようになるケースがあります。視覚過敏の子どもが生活していくうえで、子どもが安らぐことのできる空間を作ってあげるとよいでしょう。視覚を刺激するような光がなく、落ち着ける環境で、子どもが音楽を聞くことや、好きなことをできるような空間です。サングラスをかけることで、太陽の光などが気にならなくなることもあります。また、感覚過敏で苦しんでいる人の自伝の中で、片目ずつ別々のものを見ることで目に入ってくる情報を限定したり、逆にさらに強い刺激を自分に与えることでパニックになることを防いだりする方法が紹介されています。このような工夫は人それぞれなので、子どもに合った方法を探していくことが大切です。文字の読みにくさを解消する方法としては、色つきメガネを利用する方法と、文字の大きさなどを調整するなど手軽にできる方法があります。文字が大きくわかりやすい字体(フォント)にしたり、読みたい範囲以外を隠したり、長い文をスラッシュで区切ったりすることで文章を読みやすくできます。蛍光ペンで重要だと思われるところにだけ色を付けることで、読む情報量を調整できます。これにより、文章を読むことへの抵抗を減らせます。また、白黒のコントラストが原因で文章が読みにくい場合、紙の色を白から変えるだけで読みにくさが軽減されることもあります。参考書籍:山口真美/著者『発達障害の素顔ー脳の発達と視覚形成からのアプローチ』(講談社・2016)視覚過敏で文字が読めない人の中には、アーレン法と呼ばれる色つきメガネをかけることで、文字が読めるようになることがあります。56秒から2分05秒を見てみると、色つきメガネの有無で音読する速さに差があることが分かると思います。アーレン法では、一人ひとりにあう色つきメガネの色が異なるため、スクリーニング検査等をしたうえで、どの色がベストなのか調整していきます。アーレンシンドロームを知っていますか?|筑波大学附属学校教育局まとめ出典 : ここまで視覚過敏の人から見た世界や、視覚過敏の対処法を紹介してきました。視覚過敏の子どもを育てていると、音読がうまくできなかったり、楽しませようと思って連れて行った場所でパニックを起こしたりするかもしれません。しかし視覚過敏でいちばん大変な思いをしているのは、間違いなく視覚過敏のある子ども自身です。視覚過敏のある子どもが快適に生活していくためには、周囲が正しい理解をして、子どもが生活しやすい環境を整理したり、適切な配慮をしたりすることが大切になってきます。また、視覚過敏のある子どもは、これからずっと視覚過敏と付き合っていくことになります。日々生活していく中で、両親と子ども自身が協力しながら、その子なりの視覚過敏への対処法を見つけていけるといいのかもしれませんね。
2017年05月19日「聴覚過敏」で辛い思いをしてきた長男出典 : 聴覚過敏のある長男は、小さい頃から色々な「音」に敏感でした。掃除機の音をひどく怖がったり、ハンドドライヤーの音が怖くて外出先のお手洗いに行けなかったり、赤ちゃんの泣き声が苦痛で赤ちゃんそのものが怖くなってしまったり…。今でも生活するのがとても大変そうです。また、大きい音だけに限らずザワザワした空間も苦手です。ザワザワで不安が強くなると更に過敏が強くなって、音の洪水に飲み込まれそうになり耳を塞いで逃げ出してしまうことがしょっちゅうでした。そんな長男のお守りアイテム「イヤーマフ」Upload By OKASURFER長男は「音」から逃れるためにしょっちゅう両手で耳を塞いでいました。それでは両手が使えずに危険だと思った私はなんとか耳を手で塞がずに済む手段がないかと手に入れたのが「イヤーマフ」です。イヤーマフとは大きな音を遮断したりノイズキャンセリングするアイテムで、見た目は「ヘッドフォンのコード無し」みたいなものです。身近な通販サイトなどでも販売しており、ヘリコプターの操縦士やスナイパーになるつもりでもない限り、1000円程度で買えるお手頃なものも多いです。我が家が購入したのも「使わなかったら勿体ないから」という理由で一番安い1000円弱のもの。それでもこのイヤーマフは、今や長男の大切なお守りになっています。集団生活に雑音はつきものだから出典 : 保育園など集団生活を行うときには教室にイヤーマフを置かせていただいていました。はじめて見るイヤーマフに「これ何?」「音楽が聞こえるの?」「僕にも貸して」とイヤーマフに興味を示すクラスのお友だち。そんなとき先生は「Aくんは大きな音が苦手だから、これで耳をふさぐんだよ。大切なものだから勝手に使わないようにね。」「じゃあAくんがびっくりしないために、みんなはどんな大きさの声で話すといいのかな?」などと、長男の聴覚過敏についてわかりやすくお友だちに伝えてくださっていました。そして何ヶ月も経たないうちに、長男が辛そうな時には、クラスのお友だちが長男のもとへ率先してイヤーマフを持ってきてくれる姿も見られ、子どもたちの素直で純粋な優しさにとても感動したものです。しかし一歩街中に出ると向けられる冷たい視線...出典 : とはいえ、日々の生活の中でいつでもどこでも「これは音が苦手だから付けているんです」と説明できるわけではなく。パッと見た目は大人用のヘッドフォンと変わらないため、装着するとどことなく漂う「NO MUSIC, NO LIFE」感。出かけ先や電車の中でイヤーマフをしていると「なぜ子どものくせにヘッドフォンをしているんだ?」「変なイキがった格好をさせて」「なんか変な子なのか?」「変な親なのか?」と、上から下まで2往復ほど舐めるように見られることが多いのです。ときには半笑いで、ときには汚い物を見るような目で。卑下するような目線を感じる時は、この視線を子どもが受け取ってはいないだろうかととっても辛い気持ちになります。ナチュラルにイヤーマフを着こなすために!母が取った苦肉の策周りからの視線なんて気にしなければいいのかもしれませんが、あいにくガラスのメンタルしか持ち合わせていない私。嫌〜な視線に耐えかねて、なんとかこのイヤーマフを街中でナチュラルに装着できないものかと考えました。そしてイヤーマフの「ヘッドフォン感」を逆手に取った作戦がこちらUpload By OKASURFER「NO MUSIC, NO LIFE」そして「Apple」のシールを貼ることで渾身の「リア充イヤーマフ」を作り上げ、長男に提案しました。これならば、相変わらず変な子、そして変な親とは思われるかもしれないけれど、「そういうファッションですけど何か」というバリアを張ることができるはず!……が、息子は2秒でステッカーを剥がしました(爆)そうでした。トンカツにソースがかかっていると拒否し、ごはんと納豆は別に食べたいタイプの長男。大切なイヤーマフをプレーンなままで使いたいのは当然のことでした。知ってほしい「イヤーマフ」のこと出典 : 「イヤーマフを街に溶け込ませるリア充作戦」に失敗した私はもう一つのことを考えました。【街中の人にイヤーマフのことを知ってもらう作戦】です。と言っても何か大きなプロジェクトを行えるような超能力は、私のような一介の主婦には無いので、私が今できる唯一の周知方法「発達ナビのコラムに書く」という作戦に出たわけです。ここまで読んでくださったのも何かの縁、もし今後街中で紐無しヘッドフォンを付けている人を見かけたら「おっ、あれか!」と温かい目で見守っていただければ…そんな気持ちでこの記事を書いています。足が不自由な方の車椅子、目が不自由な方の白状のように、「耳が聞こえすぎて困っている人のイヤーマフ」をもっと知ってほしい。そして、イヤーマフのことを知らない周りの方にもそっと伝えてほしい。そんな風に思います。「知らない」「得体が知れない」からこそ嫌な物を見る視線を向けてしまうのだと思います。逆に言えば、知っている人が増えればもっともっと温かい視線が街にあふれるのではないでしょうか。さて、街中で「リア充式ではないプレーンなイヤーマフ」を付けている子どもがいたら、それはうちの子かもしれません。見かけたらぜひ「おっ、あれか!」と、このコラムのことを(ついでに私のつまらない苦労話も)思い出してニヤっとしていただけると嬉しいです。
2017年05月16日長男が受けた2度目の発達検査。そのとき受けた問診で…出典 : 約2年半前、長男が2度目の発達検査を児童精神科で受けたときのことです。知能検査と心理士さんによる問診が終わり、ホッと一息ついたところに、心理士さんから「気になることがあるので検査を追加したい」と言われ、たくさんの質問でいっぱいの問診票を渡されました。問診票には乳幼児・幼児期・学童期の年齢のグループごとに、それぞれ質問が並んでいました。質問の内容は、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚など五感全てに関するもので、同じようなものが繰り返して出てきたため、さっきはなんて答えたっけなんて、少し混乱しながらチェックしていきました。初めて知った「感覚過敏」のこと。長男はどれほどつらかったのだろう出典 : 約4週間後、検査結果を聞きに行くと、長男の検査結果は、軽度の自閉症スペクトラムと強い「感覚過敏」があると言われました。このとき、初めて「感覚過敏」という言葉と症状を知りました。この日、主治医からは「これだけ感覚過敏が強いと、感覚過敏だけで不登校になってもおかしくない状態」「学校生活は、しんどくて大変だったはずだ」だと言われびっくりしました。主治医は、長男の聴覚過敏の状態を「長男が私語などでざわざわとした状態の教室で過ごしている状態=感覚過敏のない人が工事現場の中にいる状態」と私にもわかりやすいように具体的な説明をしてくれました。当時、長男からは、クラスの教室の状態はかなりうるさく、「後ろの席では先生の声がきちんと聞こえない」と聞いていましたし、立ち歩いたりちょっかいをかけてくる子もいるほど落ち着きのない時間もあったようです。そんな教室の状態に感覚過敏が加わっていたとは、どれほど辛い毎日だったのかと胸が苦しくなりました。長男に落ち着きがなく気が散りやすいのは、ADHDというより視覚過敏(目に入るもの全てが刺激になり集中しにくい)の影響が強いとも言われました。長男を苦しめた、感覚過敏の激しい症状とは出典 : 長男は、二次障害を起こして2年前の冬頃に体調の悪化が激しくなり、不登校になりました。体調が戻り始めるまで、いろんな感覚過敏の激しい症状が出ていました。感覚過敏の症状は、本人の体調やメンタルの状態によっても変わってくるようでした。たとえば一番体調の悪かった時期は、「服が肌に当たると痛い」と言って、真冬でも半袖でいました。本当は何も着たくないほど辛かったようです。食事は、味がなく「砂を噛んでいるみたいだ」と言いながらも頑張って食べていました。他にも、ちょっとした匂いが不快で気分が悪くなるようで、真冬に自室の窓を全開にしたりする日も結構ありました。雑音が辛くて、好きな音楽を大音量でかけることでかき消したりもしていました。他人にはなかなか理解してもらえない感覚過敏のつらさ。存在を知ることで変わることもある長男の感覚過敏を知り、それがきっかけで次男の感覚過敏にも気づきました。それから感覚過敏についても情報を集める中で、Twitterでの交流で知ったのが「ひといちばい敏感な子」という本です。Twitterでの交流やこの本を読むことで、息子たちだけでなく自分自身も感覚過敏を持っていることに気づき、とてもびっくりしました。Upload By でめきんちゃん『ひといちばい敏感な子』エレイン・N・アーロン (著), 明橋大二 (翻訳)、2015年、1万年堂出版息子たちの感覚過敏を知り、視点を変えて関わる中で感覚過敏への理解や対応の難しさを感じています。まず、「感覚過敏」そのものが世間にまだあまり知られていません。そして、知っていてもあくまで個人の「感覚」なので他者にはそのつらさが伝わりにくく、理解も得にくいのです。こうした状況だと、感覚過敏から起きる症状や言動が、神経質やワガママと誤解されやすいのだと思います。そのため、違和感や苦痛を感じながらの集団生活で我慢の限界を超えてしまい、二次障害を起こしたり不登校などになる子もいるのです。感覚過敏は、自分の感覚なので他者との比較をすることなく過ごしていることが多く、知らなければ本人や家族も気づきにくいことが多いことも、追い詰められてしまう一因になっていると思っています。実は次男も、味覚過敏で給食が食べられないことからイジメに発展し、不登校になりかけました。でも次男の場合は、先生の適切な対応で危機を乗り越えることができました。それは先生が、感覚過敏を知っていたからこその対応でした。周囲の理解と少しの配慮で、感覚過敏があってもしんどい思いをせずに過ごす事もできるのです。だから、まず「たくさんの方に感覚過敏というものの存在を知ってもらいたい!」と強く願っています。給食が苦手じゃダメですか?その偏食、もしかして感覚過敏かもしれません|Conobie
2017年03月05日聴覚過敏のある娘は、赤ちゃんの泣き声が大キライ。もうすぐお姉ちゃんになるのに…大丈夫?Upload By SAKURA広汎性発達障害がある5歳の娘は、聴覚がとても敏感です。私たちが普段聞いている何でもない音やちょっとした音も、娘にはうるさく聞こえます。中でも娘は、赤ちゃんが泣く声がとても苦手です。以前から、隣の家から聞こえてくる赤ちゃんの泣き声に過剰な反応を示していました。Upload By SAKURAしかし娘にはもうすぐ弟ができる予定。これから生まれてくる赤ちゃんの泣き声に耐えられるのか…正直、心配でした。おなかの中に赤ちゃんがいることを伝えると、娘は大喜び!そこで私は…Upload By SAKURA私のおなかの中にいる赤ちゃんのことを娘に伝えると、娘はとても喜んでいました。でも隣近所の泣き声ですら耐えられない様子の娘が、四六時中泣く赤ちゃんと常に一緒にいられるのだろうか…。そこで私は妊娠中に、「赤ちゃんがなぜ泣くのか」「赤ちゃんが泣くのは仕方ない」ということを娘に少しずつ説明していくことにしたのです。Upload By SAKURAいよいよスタート!赤ちゃんとの共同生活Upload By SAKURAその後無事、息子(きーさん)が産まれ、娘との共同生活がスタート。事前に説明していたかいあって、娘は少しの泣き声なら我慢してくれました。そして息子が泣きそうになると、泣き声でうるさくなる前に私に知らせたり、泣き出してしまったら、泣き止ませるために私を呼びに来たり…。娘なりに自分で考えて、回避方法を見つけていたようです。Upload By SAKURAUpload By SAKURAそれでも、息子が泣きやまないときだってある。そんなときは私も娘の苦痛にならないよう、なるべく息子を泣かせないようにしていました。しかし、どうしても手が離せない時もあります。おっぱいもあげた、オムツも替えた、それでも泣いているそんなときは、娘に「ちょっと泣かせておいて」とお願いをします。すると娘は…Upload By SAKURAと、私の言葉に、驚いた顔をします。でもクッションに顔を突っ込んで、「あぁぁぁぁ~…」と声を出しながら、なんとか必死に耐えてくれます。Upload By SAKURA娘にも、泣き声に少しずつ慣れていってほしい!Upload By SAKURA頑張って我慢してくれる娘ですが、数分も持たず…。限界を訴えてきます。2人の子どもを見るとなると、すべてを完璧にはこなせません。娘にとって泣き声は苦痛ですが、息子を泣かせないことは不可能…。少しずつ慣れてもらいたいですが、娘が息子を嫌いにならないように、メンタルケアしながら進めていきたいなと思います。Upload By SAKURA
2017年02月22日石鹸が痛い!?息子が「触覚過敏」だとは、まだ知らなかった頃…出典 : 発達障害がある人の中には、「聴覚過敏(音に敏感)」や「触覚過敏(肌の感覚が敏感)」がある人もいる、ということはよく知られています。私が息子の触覚の過敏さを疑い始めたのは、毎日の入浴がきっかけでした。息子の場合、シャワーを嫌がることはありませんでしたが、少しでも石鹸が身体に残っていると「お母さん、痛い!!!流して!!痛い!!!」と顔をしかめるのです。最初は石鹸が身体に残っていることが単純に気になっているだけなのかと思いきや、背中やお尻など、本人から見えない場所に石鹸が残っていても、息子はすぐに察知するのです。そして、半ばパニックになりながら、「痛い!!!痛いよぉお!!はやく、はやく流してぇぇ!!」とジタバタ暴れるのでした。触覚過敏のある子は、赤ちゃんの頃に抱っこされるのを嫌がったり、触られるのを嫌がったりすると言われていますが、息子が赤ちゃんの頃は触れられるのを嫌がるようなことはなかったのに…。当時はまだ発達障害の診断が出ていませんでしたが、私の中で「この子の感覚は何かが違う…」と思った最初の出来事でした。冬場、いつも薄着だった息子。どうしてジャンパーを着てくれないの!?出典 : その他にも、触覚過敏なエピソードはあります。息子はナイロン製のジャンパーやダウンジャケットを着ることができませんでした。ズボンもジーンズ素材は履けません。でも、親戚や友達から頂いたりしたジャンパーなどは、くださった方にも申し訳なく、なんとか息子に着せようと私は頑張っていました。そのたびに息子は絶叫…!その嫌がり方は常軌を逸していましたが、当時の私は「着て!!いいから着なさい!!」と涙目の息子を押さえつけ、服を着せようとしていました。息子は真冬でも雪が降っていても、薄手のフリース素材や綿のコートしか着ようとしませんでした。当時通っていた保育園から、「砂や葉っぱが落としづらいので、なるべくナイロン製のジャンパーで来てください」「1人だけ寒そうなので、もうちょっと暖かい上着を…」と繰り返し言われていましたが、息子はナイロン製のジャンパーを決して受け付けませんでした。あるママ友との会話で、突然解けた謎出典 : そんな生活にほとほと疲れていたある日、発達障害のお子さんを持つママ友とお茶する機会がありました。そのママ友がぼそりと話したことが、私の疑問に全て答えてくれる内容だったのです。ママ友「シャワー浴びるとき、毎日絶叫するんだもん。とにかくすごい泣き方で。お隣さんが心配して電話かけてきたぐらい。発達障害って分かって理解できたよ。触覚過敏で、シャワーが痛かったんだよね」シャワーが痛い!?これを聞いたとき、身体に残った石鹸を「痛い!!痛い!!」と泣き叫ぶ息子の姿に繋がったのでした。これまで嫌がっていたものは、ほとんど触覚過敏が原因だった!出典 : このママ友との会話がきっかけで、息子は発達障害の診断に結びつきました。診断がおりたとき、これまで私は何も知らずに息子にひどいことばかりしてきたことに気付いたのでした。・ナイロンのジャンパーやジーンズを嫌がること・風が吹くたびに「痛い、苦しい」としゃがみこんでしまうこと・前ボタンのある洋服を全力で拒否して逃げ回ること・歯磨きのたびに「痛い痛い」と泣くこと・ぬかるみに足が触ると大泣きしてしまうこと…全て、息子が冗談か我儘で大騒ぎしているのかと思っていました。そのたびに私は「痛いのなんて気のせい!」「やりなさい!」と厳しく叱っていたのです。でもそれは、気のせいなどではなかったのです。息子は、本当に痛かったのです。治るものではないけれど、付き合い方は工夫できる出典 : これまでいろいろ調べ、主治医や療育先にも相談してきましたが、触覚過敏はそう簡単になくなるものではないようです。息子は成長していろいろなことに取り組むことができるようになりましたが、様々な過敏性はまだ残っています。ただ、大きくなってくると「これは痛いから、こっちにして欲しい」などの要求をしっかり口に出してくれるようになりました。これができるようになると、訳も分からず痛みでパニックになるようなことも少なくなります。今では、本人も私も触覚過敏とうまく付き合いながら生活することができるようになりました。大切なのは触覚過敏をなくすことではなく、いかに苦痛を和らげながら生活ができるかを、子どもと一緒に考えていくことなのかもしれません。発達障害の子どもが感じている「痛み」は、気のせいでも我儘でもなく本当の「痛み」なのだと知ることが、まずは大きな第一歩なのだと私は思います。
2017年02月02日「疲れた…」楽しいはずの場所やイベントも、息子にとっては頭の痛くなる場所になっていた出典 : 音に敏感に反応する、と聞くとどんなイメージを抱きますか?特定の音にすぐ反応してしまう、いつもイヤーマフをしている、などでしょうか?息子にも音に対する過敏さがあるのですが、どうやらちょっと違うようなのです…。発達障害児の息子とお出かけをすると、1時間も経たないうちに「疲れた」「もう帰る」と真っ青な顔をして座り込んでしまうことがよくあります。そのたびに、「ええ!?まだ1時間も経ってないんだけど!!」と、家族の怒りが爆発することもしばしば。息子のこの疲れやすさには、聴覚過敏が大きく関係しているということに、途中で気付きました。疲れてくると、いつも耳を塞いで路上に座り込みます。ぐったりと脱力してしまった息子の顔を見ると真っ青で、しきりに頭痛を訴えるのです。後で落ち着いてから話を聞いてみると、「太鼓の音で頭が割れそうだった」「人の歌声のせいで頭痛がした」「機械の音が嫌だった」など、音のせいで頭が痛くなっているということがわかってきました。かと思えば、ケロッとしたりゲラゲラ笑ったり…他にも大きな音やうるさい場所はたくさんあるのになぜ?出典 : 息子は耳が敏感で、それがお出かけ先で彼を疲れさせてしまうということがわかったため、私はいつも耳栓やイヤマフなどのグッズを欠かさず携帯しています。少しでも大きな音が周りにしていたら、息子に「耳栓する?」と聞いています。また、その場にいることを決して強要しないようにもしています。特に、お祭りや花火などは危険です。ただでさえ人が沢山いて、視覚・触覚の刺激が息子にとって辛いことに加え、太鼓やお囃子、花火の爆発音などは9割アウトです。お祭りはまず楽しめない前提で、なるべく行かないか、すぐに帰れる体制を整えてから出かけています。ところがこんなに聴覚過敏に悩まされている息子ですが、とんでもない大音量でもケロッとしていたり、むしろゲラゲラ笑っていたりすることもよくあるのです。例えば、目の前を駆け抜ける救急車や消防車のつんざくようなサイレン音。工事現場の重機の音。映画館の大音量の音楽を聞いても疲れる様子は見られません。また、公文の教室で周りの子どもがワイワイ騒いでいる環境でも、あまり気にせず集中して勉強ができます。周囲の音を気にしてオロオロしているのは私だけ。息子は大人でさえもうるさく感じる音を、全く意にも介していないことがよくあるのです。一体これはなぜなのでしょう。えっ!?そうだったの?息子が嫌がるのは特定の音じゃなかった出典 : どうも息子の聴覚過敏は音量そのものが問題ではないような気がする…、そう思った私は、ある日息子に聞いてみたのです。「息子くんはどんな音を聞くと頭がガンガンするのかな。教えておいてもらえると助かるな」すると、息子はこう言ったのです。「どの音がダメ、とかじゃなくて、不安な気持ちになったときに、周りの音で頭が痛くなる」これ、実は私にとってすごい発見でした。息子は特定の音が嫌だったわけでもなく、音量が大きいことが辛かったわけでもなかったのです。聴覚過敏は、「不安な気持ちでいっぱいいっぱいになっている」ときに生じるパニックの一形態だったのですね。ですから、息子の聴覚過敏への対応は、「嫌いな音・大きな音を取り除くこと」ではなく、「不安になる状況を取り除くこと」が大切なのだとわかったのでした。排除すべきは「音」じゃなく「不安」だった!出典 : 聴覚過敏は不安が高まったときに出てくる症状なので、まずどこかに出かける際は不安要因を特定することが大切です。例えば、息子が9割方座り込んでしまうお祭り。これは、人の多さや屋台で並ぶことなどのストレスが積み重なっているのが原因で、聴覚過敏が発動します。コンサートや発表会などは、「じっとしなければならない」というストレスが限界にまで達し、ステージ上の音に耐えられなくなります。また、次の見通しが立たないような状況でも、聴覚過敏が発動しやすくなります。病院などに連れていくと、受付の放送の音すら嫌がることがよくあります。これは、病院という場所で何をされるかわからないため、極度の不安状態に陥っているためだと思われます。聴覚過敏に対応するためには、まず不安要因を特定すること。不安な気持ちが和らげば、少々の音も耐えられることが多いです。それでも不安やストレスでいっぱいになってしまうことはあるでしょうから、外出時は必ず耳栓やイヤマフは忘れないように携帯しましょう。
2016年11月10日感覚の過敏さ(感覚過敏)、鈍感さ(感覚鈍麻)とは?出典 : 「感覚過敏(過剰反応性)」とは、光や音などをはじめとする特定の刺激を過剰に受け取ってしまう状態のことを指します。逆に、刺激に対する反応が低くなることを「感覚の鈍感さ(鈍麻・低反応性)」といいます。どちらも感覚のはたらきに偏りがあることが原因です。感覚過敏があると、多くの刺激を受け取りすぎることによってストレスが増したり、多くの人にとって平気な刺激を過剰に怖がることがあります。また、感覚の鈍感さがあると、遊びの呼びかけの声を聞き逃してしまい、仲間に入れないなど、集団の中でうまく過ごせないことがあります。身体の痛みに気がつかず、病院で手当てを受けるのが遅れてしまうこともあります。このように感覚の感じ方に過度な偏りがあると、日常生活に支障をきたす場合があります。感覚プロファイル,日本文化科学社感覚は、個人の主観的なものであり、個々によって刺激の受け取り方はそれぞれです。そのために、感覚の偏りがある人の困難さは、他の人からは理解されにくいものです。以下に、感覚の偏りのある子どもの情報のとらえ方を表した映像があります。ご覧ください。映像では、子どもが、環境の中にあふれる情報や刺激を細かく大量に拾ってしまう様子が表現されています。多くの人が何も感じない場面でも、感覚に偏りがあると、その場所にいるだけで耐えがたい苦痛を感じることがあるのです。感覚の偏りは4つのパターンに分けられる出典 : 感覚の偏りに関する問題は、その傾向によってパターンに分けて整理することができます。以下に感覚刺激への反応傾向のプロファイリングで使用される4つの分類をご紹介します。なかなか理解のされにくい感覚の偏りについて、客観的な把握をすることで役立てることができるでしょう。■感覚過敏刺激に対して過剰に反応することで、環境の変化やちょっとした刺激も極度に気になるという状態を指します。■感覚回避刺激に対する過剰な反応があるため、刺激のある環境を回避する行動をとることです。■低登録刺激に対する反応が弱く、感覚が鈍い傾向があるとされます。低反応・感覚鈍麻(どんま)のことです。■感覚探求刺激に対して反応が弱いがゆえに、強い刺激を求める行動をすることです。青年・成人感覚プロファイル|日本文化科学社それぞれの感覚ごとの症状刺激の感じ方は個々によりさまざまで、症状も多岐にわたります。感覚の偏りが引き起こす具体的な症状とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、五感と呼ばれる視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚と、体の動きをつかさどる固有感覚、体のバランスをつかさどる平衡感覚について、それぞれに分けてお伝えします。出典 : ■情報の刺激がいっぺんに目に飛び込んできてしまう人は多くの刺激がある環境でも、注意を向けたい刺激を無意識的に選ぶことができます。しかし、視覚過敏がある場合には、全ての刺激情報を均等な濃さで受け取ってしまいます。ビビッドでカラフルな色のものや、たくさんのもののある場所は苦手です。■白いものや光をまぶしく感じる視覚過敏でない人にとっては気にならないような光や白いものが、視覚過敏のある人にとっては目に突き刺さるほどまぶしいことがあります。蛍光灯の光や、テレビやパソコンの液晶画面、白い紙を苦手とします。授業中に席を離れてしまうといった問題とされる子どもの行動の背景には、感覚の偏りがある可能性があります。出典 : ■音がやけに大きく聞こえる、響く賑やかな場所にいると疲れやすいなどが聴覚過敏の症状です。聴覚過敏の症状が強い場合、耳をふさぎたくなるほど耳の奥が痛くなったり、頭痛が起きたりするような身体的な痛みを伴うことがあります。人によって気になる音は異なりますが、例として、女性の甲高い声や、休み時間のチャイム、合奏の音、掃除機などの機械音などが挙げられます。■周囲の全ての音が等しく同じように聞こえてくる選択的に音を拾い集めるのが困難になってしまいます。音の刺激に対して適切に注意を向ける処理ができないために起こります。一生懸命聞こうとしていても、たくさんの音が聞こえてしまうので本人は混乱しています。■音が聞き取りにくい逆に聴覚への反応性が低い場合には、音を聞き取ることができないために、結果的に、授業中に上の空になったり、呼びかけても応じなかったり、またテレビの音を大きくしたりといった様子が見られることがあります。埼玉県立総合教育センター特別支援教育担当 『自閉症の特性と支援 Q&A集』p6出典 : ■においに過剰に反応する少しのにおいを過敏に受け取ってしまうことが嗅覚過敏です。少しのにおいでも過剰に受け取ってしまうあまり、ストレスが増加します。においに耐えられなくなって、吐いてしまうこともあり、ひどい場合には身体的、精神的ともに支障をきたすことがあります。■においがわからない逆に、嗅覚の鈍感さがみられる場合には、適切ににおいを感じることができません。においがわからないと、同時に味も分かりにくくなるので、嗅覚と同時に味覚の感覚にも支障をきたすことがあります。出典 : ■偏食がはげしい味覚に感覚の偏りがみられる場合、多くの人にとって美味しいと感じられる味がそうではないように感じたり、変わった味を好むようなことがみられることがあります。例えば、特定の味に対して、非常に強い不快感を感じたり、味が混じることを嫌がり、分けて食べたがったり、食べ物、飲み物の苦みや酸味を過剰に感じたりします。結果的に食べ物の好き嫌いの差が顕著で偏食の傾向が見られるようになったり、刺激的な味を好むゆえに調味料や香辛料で過剰に味付けすることがあります。出典 : ■触るのを嫌がる触覚が過敏な場合には、皮膚に触れる刺激を過剰に感じて不快感が生じます。触ることができないものとしては、のりやねんど、スライムなどのぬるぬる、べたべたするものや、たわし、毛糸、洋服のタグが代表として挙げられます。触覚に対する過敏さからくる反応として、以下のような例が挙げられます。・他人から離れて座る、近づこうとする人を押しのける・特定の服ばかり着たがる・爪切り、耳かきを嫌がる・自分からは人懐っこいかかわりをするのに、触れられることを嫌がる・触ることのできないものがある(よって、遊び・活動の幅が制限される)■痛みや熱さに気づきにくい触覚の鈍さがみられる場合には注意が必要です。というのも、触覚が鈍いときには、痛覚(痛みを感じる感覚)、温覚(温度を感じる感覚)も同時に鈍いことがあるからです。温度、身体的な痛みを感じることができないと、身体の異変に気がつかず、その結果適切な対処をできないこともあります。例えば、転んで怪我をしたときにも、本来ならば病院に行って手当をしなければならないはずなのに、その痛みや怪我をしていることに気が付かず、即座に適切な治療を受けることができない場合もあります。■刺激を求めて自傷行為をしてしまう自分が感じることのできる刺激を求めるあまり、血が出るまで腕を掻いたり噛んだり、頭をぶつけるなどの自傷行為を行うことがあるので注意が必要です。■筋肉に対する刺激を過剰に求める固有感覚とは、筋肉の張り具合や関節の曲げ伸ばしを感じとる感覚です。自分の体の位置や動きを把握する役割があります。固有感覚につまづきがあると、筋肉に対する刺激を過剰に求める「感覚探求」が生じます。その結果として、見られる子どもの行動特性には以下のようなものがあります。・強く足踏みをする・体の一部を動かし続ける(常同行動)・他人に思いっきりぶつかる、激しく関わる■動きの刺激を過剰に好んだり、過剰に怖がったりする平衡感覚とは体のバランスをとるときに働く感覚で、主に姿勢のコントロールや体のバランスを保つことに関わっています。平衡感覚に偏りがある場合には、体の揺れや傾きを自身で調節することが難しく、その結果、刺激を求める探求行動があります。例えば、刺激を求めて頭を振りながら走ったり、ぐるぐる回ったり、席を立ったりすることや、まわる遊具やブランコなどが大好きで離れようとしなかったりします。逆に、平衡感覚が敏感な場合には、動きの刺激に対して恐怖心や不安を持ちます。例えば、ブランコや高い場所に行くことを嫌がったり、頭を傾けたり体が傾いたりするのを嫌がったりします。ります。感覚の偏りの原因は? 発達障害と関係があるの?出典 : 感覚に偏りがみられる原因はあいまいではっきりとはわかっていませんが、中枢神経系(辺縁系や視床下部など)における感覚情報処理の問題によるのではないかと考えられています。感覚の過度な偏りと発達障害には密接な関係があります。その中でも、自閉症スペクトラム障害(ASD)では、幼いころから感覚の偏りが見られることが多いといわれています。発達障害のある子どもは、刺激に対して適切な感情を生じさせる機能に特性があると考えられています。そのため本来は有害でない刺激に対して過度な恐怖、不安の感情をもつことがあります。また、適切に外部の刺激を取捨選択し、注意を向けたり調整することが難しいために、発達障害のない子どもに比べて、過剰に反応をしてしまうのです。その結果、新しい活動を避けるようになってしまったり、多動傾向になったり、パニックになったり、周囲に対する不安感が強くなったりします。そして、子どもの場合には、そのような不安を適切な方法で表現できないために、癇癪(かんしゃく)や自傷行為などの問題行動につながりやすい傾向にあります。また、逆に感覚の鈍感さがあるときの行動の一つとして見られるのが、手をふらふらする、首をふるなど、「常同行動(自己刺激行動)」と呼ばれる行為です。これは、感覚刺激を求めたり、不安を紛らわせたりするための、自己調整の行動ではないかと考えられています。常同行動だけを見てしまうと、その行動は不思議に見えてしまいますが、その理由には感覚の偏りがあるといわれています。このような刺激に対して、適切にコントロールすることができれば、本人の不安やストレスは軽減され、そのような行動が減るようになります。子どもの行動が気になるときには?出典 : 子どもの行動が気になったときには、まず子どもの行動をよく観察してみましょう。観察するときは、特定の気になる行動が起こったときに、「どのような状況だったのか(時間、場所、その場にいた人、出来事)」と、「その行動に対してどうしたのか、その結果どうなったのか」という前後の状況を記入しておきます。そうすることで子どもの困りごとやその行動がどこからきているのか把握するための手立てとなります。また、行動をするときにはその背後に何らかの理由があります。子どもが気になる行動をとったときには、その行動がどのような刺激や、どのような理由によって引き起こされているのかを知ることが必要です。つまり、子どもがどのような種類、強さの刺激に対して過敏なのか、嫌悪感を感じているのか、受け取りにくいのかを周囲の大人が知っておくことが大事です。子どもの感覚の偏りを知ることによって、日々の子育てに役立てることができたり、幼稚園や保育園、学校の先生に具体的なサポートをお願いすることができます。また、子どもの感覚の特性を把握するために、保護者が簡単に利用できる感覚のチェックリストもあります。このようなチェックリストを参照することで、気を付けておくべき子どもの行動特徴を知ることができます。判断がつかず心配な場合には、病院の小児科や、地域の子育て支援センターを訪れ、専門家に相談してみましょう。日本版感覚インベントリー改訂版(JSI-R)感覚過敏、感覚鈍麻のある子どもへの4つの対応方法出典 : 上で述べたように、お子さんの様子を注意深く見て、困りごとを発見することで、子どもの困りごとに対する適切な対処方法を考えることができます。感覚に過剰な偏りのある子どもの困りごとを軽減させるためには環境を整える方法と、個人にアプローチする方法があります。感覚の偏りは、刺激に対して過剰に反応する、または感覚に対する反応が鈍いというあくまで「状態」であり、病気とは異なります。医師の間でもその定義はあいまいで、処方箋や治療方法は確立されていないのが現状です。ここでは、感覚に偏りのある子どもの苦痛や困りごとを軽減するための方法についてお伝えします。■感覚に過敏である場合子どもの感覚過敏を理解する上で重要なことは、「無理に刺激に慣れさせることは逆効果である」ということです。感覚過敏自体は、訓練や練習で急激に改善することは難しい場合もありますが、時間の経過や子どもの発達とともにある程度緩和されていくことがあります。刺激に嫌な経験が結びつくと、さらに刺激に対して嫌悪感を強めるようになります。無理に刺激を受けることを強要せず、軽減する方法を考えます。運動会やお祭りといった行事など、いつもと異なる環境で強い刺激が想定される場合・一部のみの参加にする・ピストルの音を子どもが受け入れることができる音(ホイッスルなど)にしてもらうなど刺激を軽減してもらうことも検討します。■感覚が鈍い(低反応である)場合触覚が鈍い子どもは、自分の感じることのできる刺激を過剰に求める「感覚探求」と呼ばれる行動をとる場合があります。例えば、なんでも触って回る、絶えず洋服を触っている、など落ち着きがなかったり、周りの人にべたべたして距離が近いなどの行動が例として挙げられます。このような落ち着きのない行動がみられる背後には、本人の脳に必要な感覚が十分満たされていないことがあるのではないかと考えられています。本人の感覚への欲求を満たせるような遊びや課題を提供してあげるのがよいでしょう。例えば、タオルや人形など、別の触っても構わないものを渡すことで、それらの感覚要求はは満たされることもあります。その結果、子どもは落ち着きのない行動をとる必要がなくなり、安心してじっとしていることが可能となります。自分で刺激を回避する方法を学ぶことも、感覚過敏による苦しみを軽減するひとつの手段です。子どもと大人の間で、このような出来事が起こったときにはこうする、というルールを決めておくとよいでしょう。感覚が過敏である場合について考えます。例えば、教室が賑やか過ぎて落ち着かないときに、黙って教室を飛び出るのではなく、イヤーマフを自分でしたりして、適切な対処方法をとることができます。また、視覚が過敏な場合には、サングラスをかけたりすることにより回避することができます。「音がうるさいときには、イヤーマフをする」「外に行くときにはサングラスをする」というように子どもに決まりごととして認知することにより、自ら刺激を回避できるようにします。感覚過敏のある子どもは、思ってもみなかったタイミングで音や光が突然に入ってくる場合に、不安やパニックなどの不快な情動が特に起こります。ゆえに、子どもを不安にさせないためにはこれから入ってくる刺激に対して、その量や質、そのタイミングを予測できるようにすることが大切です。また、なぜその刺激が生じるのか、刺激に直面した場合、どのように対応したらいいのかを理解することで、刺激に対する不安を軽減することができます。例えば触覚に偏りがある子どもの場合だと、突然に体に触れられると、驚いてパニックになってしまうことがあります。子どもの体に触れたり、水をかけたりする前に、あらかじめ声をかけてあげるようにしましょう。特に「触覚」「平衡感覚」「固有感覚」の発達については、運動や遊びによって日常生活に必要な感覚を整えることができます。これは、「感覚統合療法」と呼ばれ、療育の場面で使われています。感覚統合とは、人の持つ複数の感覚を組み合わせて、整理したりまとめることです。人は、環境からの刺激を受けると、無意識のうちに複数の感覚を連携させながら、反応を起こします。例えば、床に置いてある水の入ったバケツに足をぶつけてしまったときの例を考えてみましょう。バケツに足をぶつけた瞬間、①足にぶつかった感覚を「触覚」で確認し、②身体の現在位置を「固有感覚」で把握し身体に力を入れます。③その情報を受けた「平衡感覚(前庭感覚)」が、こけないように姿勢を保ちます。④ぶつけた音を「聴覚」で聞き、⑤足元にあるバケツを「視覚」で見て、このように、人は複数の感覚を「統合」し、日常生活を送っています。この感覚の統合がうまくいかないと環境から感じた刺激に対して体がうまく反応できません。この感覚統合のプロセスが適切に生じるように促していくくのが「感覚統合療法」です。感覚統合療法を受けるには、自治体の療育センターや、リハビリ、小児の医療機関を訪れ、感覚統合療法に専門性のある作業療法士(OT)に治療を行ってもらうことができます。また、専門のスタッフに治療を行ってもらうほかには、家庭や学校で遊びを通して感覚統合を行うこともできます。家でできる感覚統合の遊びが以下の書籍で紹介されていますので、参考にしてみるとよいでしょう。太田篤志/著『イラスト版発達障害児の楽しくできる感覚統合―感覚とからだの発達をうながす生活の工夫とあそび』2012年/合同出版/刊太田篤志/著『「発達障がい」が気になる子がよろこぶ!楽しい遊び』2016年/PHP研究所/刊森嶋勉・太田篤志/著・監修『ちょっとしたスペースで発達障がい児の脳と感覚を育てる かんたん運動』2011年/合同出版/刊川上康則/著『発達の気になる子の学校・家庭で楽しくできる感覚統合あそび』2015年/ナツメ社/刊おわりに出典 : 感覚に偏りがある場合には、子どもの生活空間に存在する不快な刺激をコントロールする同時に、感覚の偏りによる困難さを理解し、子どもが生きやすい環境をつくることが大切です。子どもが安心して過ごすことのできるように、周囲の大人が子どものことをよく見て、感覚の偏りがあることを本人が知ることで、適切に対処できるようになるといいですね。
2016年10月06日こんにちは。メンタルケア関係を中心に執筆しているメンタルケア心理士の桜井涼です。今回は、『過敏性腸症候群』 についてお話ししたいと思います。大人がよく起こすことは知られていますが、実は子どもも引き起こしてしまう病気です。 よく「お腹が痛い」と言うことはありませんか?医師に診てもらっても異常が見つからなかったり、整腸剤などの薬を処方されても改善しなかったりする場合は、この病気が疑われます。●過敏性腸症候群とは?過敏性腸症候群は、ストレスが原因でお腹に集中して症状を起こす心身症の一種です。子どもの場合は、「お腹が痛い」というひと言から始まることが多いです。症状は、・腹痛か下腹部の違和感・下痢と便秘(交互に繰り返す場合もある)・ガスが異様に溜まるが主となります。医師の診断を受け、他の病変などがなく、1週間以上続くような場合にこの病気を疑います。排便後に症状が軽減されることが多く、少し横になって休むことで回復することがあります。期間としては1週間くらい続く こともあり、良くなってもまた同じような症状を繰り返すことも少なくありません。●“お腹が痛い”の原因この病気の原因は、生活環境でのストレスです。愛情不足を感じたり、虐待、両親の不仲などが子どもの心を刺激し、ストレスとなった場合に発症してしまうことがあるようです。また、園や学校の集団生活による不調和や、いじめ、先生からの言葉などでもこの症状を起こします。朝(登園校前)や午前中 に起こることが多いです。夕方からお母さんが仕事という家庭では、その前の時間帯に起こすという事例もあります。●親ができる対処法と予防法子どもは大人と違って、些細なことでもストレスを引き起こします。子ども自身が自覚していない場合でも、無意識のうちに体に症状が出てしまうことも少なくありません。予防策として、普段から排便の状態に気をつけておきましょう。毎日出ているのか、便の状態はどうなのかを知っておくと異常に気がつきやすくなるからです。ストレスを感じると、何かしらの形で表現されることがあります。・爪噛みや指しゃぶり・表情が暗い、笑わない・抱っこをせがむ・食欲が落ちる・鉛筆を噛む・自分の腕を噛んだり、兄弟にあたったりなどこういった状態は、“普段しないのに急に見られるようになった” というのがポイントです。何らかのストレスにさらされていると考えていいでしょう。「お腹が痛い」という言葉が続くことで気づく場合も多いです。その場合は、症状を聞いて受診するか、排便後に痛みが緩和されてきたなら横になってゆっくり休ませるのもいいでしょう。過敏性腸症候群は、排便をすると症状が軽減される ことがポイントです。これを目安にしてみてください。一緒にいてあげたり、気にかけてあげたりして、お子さんのストレスとなっている原因を探りましょう。改善させるためには、休養とストレス原因の排除、そして親の愛情が必要となります。●終わりに子どもの「お腹が痛い」は、意外と多く見られるものです。このときにしっかり子どもと関わってあげることが重要なポイントになります。「我慢しなさい」と言うことや、放っておくこと、過剰に反応して病院をはしごするようなことは症状を悪化させるだけですので、子どもとの関わりを十分にしてほしいと思います。そうすれば、自然と心が癒やされ症状が改善されます。【参考文献】・『ストレスから子どもを守る本』富田富士也・著●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)
2016年09月07日理化学研究所(理研)は5月22日、皮膚感覚を知覚する脳の神経回路メカニズムを解明したと発表した。同成果は理研脳科学総合研究センター行動神経生理学研究チームの村山正宜 チームリーダーらの国際共同研究グループによるもので、米国の科学雑誌「Neuron」に掲載される。皮膚感覚の情報は脊髄や視床を経由し大脳新皮質の第一体性感覚野(S1)に到達することが知られている。S1に到達した情報はより高次な脳領域に伝えられ、これを「ボトムアップ入力」と呼ぶ。また、反対に高次領域から低次領域への入力を「トップダウン入力」と呼ぶ。従来の仮説では、皮膚感覚を知覚するためには皮膚からの外因性ボトムアップ入力が、注意や予測といった脳内活動による内因性トップダウン入力と融合することが必要だと考えられていた。この場合「何かに注意しなければ何も感じない」とうことになるが、人間は特に何も注意していなくても皮膚感覚の知覚は可能であり、この仮説では実体験を説明できていない。このように、皮膚感覚の知覚を形成するための基本神経回路とそのメカニズムについては詳しくわかっていなかった。同研究グループは、マウスの肢を刺激した時に脳内で起こる神経活動を細胞レベルから回路レベルまで包括的に測定した。また、マウスが皮膚感覚を識別する課題を行っている最中の行動を解析した。その結果、内因性トップダウン入力と外因性ボトムアップ入力が同じタイミングで連合する神経活動は観測されなかった。一方、皮膚感覚の情報が外因性ボトムアップ入力としてS1から高次脳領域に送られた後、再度S1へ「外因性のトップダウン入力」として自動的にフィードバックされる反響回路を発見した。また、外因性トップダウン入力は、従来提唱されてきた内因性トップダウン入力と外因性ボトムアップ入力の連合入力と同等の機能を担っていることがわかった。この外因性トップダウン入力を抑制したところ、マウスは皮膚感覚を正常に知覚できなくなったという。今回の研究成果は、脳が2つの神経回路を状況によって使い分けている可能性を示唆するもので、今後、外因性トップダウン入力のメカニズムを解明することで、老齢による五感の知覚能力の低下予防・改善につながることが期待される。
2015年05月22日歯科医学会が調査若い女性の8人に1人が知覚過敏あなたはアイスクリームや冷たい飲み物を、一気に口に入れることができるだろうか?もしできないとしたら、それは歯の象牙質過敏症、一般に知覚過敏と呼ばれる症状だ。アメリカでは8人に1人が知覚過敏を自覚しているという。アメリカ歯科医師協会がアメリカ北西部を中心に行った調査によると、患者のうち12%が知覚過敏であり、ほとんどは若い女性であった。そしてそのうち4人に1人は歯茎の後退が認められ、ホワイトニングをした経験を持つということがわかった。放置されがちな慢性的で弱い痛み、正しい治療で苦痛軽減歯は人体で最も強い物質であるエナメル質でカバーされている。そして歯茎の下にはセメント質の歯根があり、それは象牙質で保護されている。この象牙質が機能を失うと細い神経が飲食物に刺激され、知覚過敏が起きるのだ。知覚過敏は致命的な痛みではなく、低レベルで断続的な痛みだ。そのため歯科医に申し出ることもなく、特別な治療をせずに慢性化してしまっている患者が多いという。ロサンゼルスの Care Harbor Clinic の Don Manelli 氏 は、慢性的な痛みは、生活そのものをいつも不愉快で不安定なものにしてしまう。歯医者を訪れればその痛みは解消し、人生の苦痛の1つが無くなることになる。と語る。自覚がある場合は歯科医を避けず、正しい治療で生活の苦痛を1つ取り除いてみよう。元の記事を読む
2013年03月06日