プリンストンは11日、自動車のハンドルに取付けられるSiriリモコン「PIP-SRC」を発表した。発売日は18日。価格はオープンで、実売予想価格は税別3,680円。同製品は、直径40mmまでのハンドルに装着して使用できるSiriリモコン。マイクのボタンを押すことでiPhone本体に触れずSiriを呼び出せる。iPhoneとのペアリングはBluetoothによって行い、アプリによる設定などは必要ない。サイズ/重量は、W192×H20×D32mm/約22g。
2016年03月11日ルネサス エレクトロニクスは3月8日、自動車のエンジンやトランスミッションなどのパワートレイン制御向けに、従来以上の自動車の燃費向上を可能とする32ビットマイコン「RH850/E1M-S2」を開発したと発表した。同製品は、新開発のCPUコア「G3MHコア」を搭載。同コアはTj=150℃下で動作周波数320MHzを実現した前世代コア「G3Mコア」をベースに、メモリや周辺機能へのアクセスレイテンシを改良したことで、エンジン制御システムの点火時期・燃料噴射制御といった実行時間を、従来品比で約30%向上(エンジン制御処理シミュレータでの実行時間比)。また、CAN FDへの対応のほか、センサ情報の通信規格SENTに対応したRSENTを6チャネル搭載することで、約50個のデジタルセンサとの通信が可能。単一な信号線で複数センサとの信号の伝達も可能であるため、ハーネスの重量提言も可能としている。さらに、車載セキュリティの標準規格であるSHE/EVITA-Lightに準拠したハードウェアセキュリティモジュールICU-Sを搭載し、データの暗号処理や乱数発生のための機能を搭載している。加えて、従来製品からの容易なアップグレードの実現に向け、ソフトウェアの命令セットの上位互換性を確保しているほか、従来製品「RH850/E1M-S」とピン配置を完全互換とすることで、基板レイアウトをそのままに流用することも可能となっている。このほか、ユーザーの開発支援として、従来製品「RH850/E1x」同様に、GUI上で設定した周辺機能をCソースドライバとして自動生成するコード生成ツールも提供されるほか、パートナ企業と連携してモデルベース設計開発の支援も行っていくという。なお、同製品はすでにサンプル出荷を開始しており、価格は1万2000円(税別)としている。量産は2017年9月からを予定しており、2018年4月に月産10万個を計画しているという。
2016年03月08日光岡自動車は20日、ミディアムクラスセダン「リューギ」に、ステーションワゴンタイプの「リューギ ワゴン」を新たに設定し、22日に発売すると発表した。リューギは、コンパクトセダン「ビュート」と、フルサイズセダン「ガリュー」の中間に位置するミディアムクラスセダンとして2014年6月に誕生。ハイブリッド車もラインアップされ、「クラシカルでハイブリッド」という他にないジャンルで独自の路線を歩んできた。今回発表されるリューギ ワゴンも、ステーションワゴンならではのユーティリティをプラスしたほか、1,500ccのガソリンエンジン搭載車のほかにハイブリッド車も用意されており、「クラシカル・ワゴン・ハイブリッド」というキーワードでより高い付加価値を実現した。デザイン面では、フロントフェンダーから伸びるエッジの効いたキャラクターラインでワゴンならではの伸びやかさを表現し、セダンとは異なるスポーティな雰囲気に仕上げている。また多彩なライフスタイルを想定し、セダンよりも多い7色のボディカラー設定やオプション品の充実を図り、アクティブなユーザーも楽しむことができる仕様とした。同社のアイデンティティーと言える、縦型ラジエターグリルに丸型ヘッドランプを配置し、メッキ加工を施した前後のバンパー部に厚みを持たせる事で、ミディアムクラスでありながら堂々たる存在感を主張。また、ラジエターグリル上面に貼付するエンブレムの素材に伝統工芸の「七宝焼き」を採用し、ディテールにも拘っている。リューギ ワゴンには2WD車と4WD車があり、1,500ccのガソリンエンジンもしくはハイブリッドを搭載。ミッションは5MTとCVT(ハイブリッドは電気式無段変速機)を用意している。価格は、ガソリン車が249万9,120円~316万1,160円、ハイブリッド車が339万8,760円。
2016年01月20日テクノスデータサイエンス・マーケティング(TDSM)とネクスは1月20日、自動車テレマティクス分野で業務提携したと発表した。TDSMはIoTを活用したデータ分析の実績を有し、独自のアルゴリズム解析技術を搭載したAI製品「scorobo」などの製品を提供しているほか、日本マイクロソフトやセールスフォースなどのクラウドベンダーとプラットフォーム基盤においても協業体制を構築している。一方のネクスは、M2Mデバイス開発・情報通信技術に強みを持ち、国内市場向けに20項目以上におよぶデータ取得、900種以上の車両対応数を持つOBDIIデータ通信端末を製品化しており、車両データ取得技術と通信技術を提供している。両社は今回の業務提携によって、テレマティクスデータ解析ソリューションを提供し、リアルタイムで大量の車両データ取得からデータ分析までをワンストップで提供することが可能になる。また、Microsoft Azureを用いてテレマティクスプラットフォームを提供することで、ネクスがこれまで進めてきた解析ソリューションの事業効率化およびコストの軽減につなげ、顧客企業における早期立ち上げを実現する。今後、1年以内に5法人、3年位内に30法人の導入を目標とし、自動運転においても運行データの収集や地域ごとの車両の流れや傾向などの予測にもテレマティクス・ビッグデータを活用できる可能性があることから、両社は継続してノウハウを蓄積し、ビジネスを展開していくとしている。
2016年01月20日2016年1月13日から15日まで、東京ビッグサイトにて開催されている自動車技術の展示会「オートモーティブ ワールド2016」にて、Infineon Technologiesの日本法人であるインフィニオン テクノロジーズ ジャパンは、TPM(Trusted Platform Module)の車載適用に向けた紹介などを行っている。TPMは、Trusted Computing Group(TCG)が策定するハードウェア耐タンパ性を有するセキュリティチップであり、同社は最新仕様となるTPM2.0に準拠した製品「OPTIGA」を他社に先駆けて提供するなど、セキュリティに対しての優位性を有している。今回、同社が自動車向けとして同ソリューションの紹介を行っているのは、2015年にTCGが「TCG TPM 2.0 Automotive Thin Profile」および「TCG TPM 2.0 Automotive Rich Profile」として自動車向け仕様を策定したことを受けてのものとなる。自動運転のみならず、クラウドと自動車の連携や、車車間通信、車道通信など、クルマと車外との通信の頻度は今後、爆発的に増加していくことが見込まれている。一方で、そうしたネットワークを経由したハッキングの危険性も指摘されるなど、ネットワークの安全性の確保が課題となってくる。TPM 2.0 Automotiveでは、そうした課題に対し、ECUを守ることを目的としており、エンジンルーム内での機器同士の通信などでも活用が可能であり、まさに自動車におけるあらゆる通信を守ることを可能とするソリューションだと同社では説明している。なお、現在、同社ではAEC-Q100の認証取得に向けた手続きを進めているとしており、今後、AEC-Q100認証を取得したTPM 2.0 Automotive対応製品の順次提供される予定だという。
2016年01月14日Mentor Graphicsの日本法人であるメンター・グラフィックス・ジャパンは12月4日、都内で同社の自動車関連ソリューションの紹介を行うプライベートカンファレンス「IESF 2015 Japan」を開催。併せて自動車や航空宇宙システムのシステム設計の効率を向上させる新製品「Capital Systemsシリーズ」を発表した。自動運転に代表されるように自動車のエレクトロニクス化は年々進んでおり、それにあわせて複雑度も高まっている。一方で、高機能化を理由に価格を引き上げることは困難であるため、システムの低価格化も重要になっている。同社はこれまで、そうしたニーズへの対応を目指し、電装システム/ワイヤハーネスを設計するためのツール群「Capital」を自動車の設計領域に向けて提供してきたが、「Capital Systems」は、その上流工程で、各ECUや配線、バスなどの要件を検討するアーキテクチャ設計(Define領域)に用いることを想定して開発されたツールで、「Capital Systems Caputure」と「Capital Systems Architect」の2つのツールが提供される。Capital Systems Caputureは、ECU内部のそれぞれの要素や機能をファンクショナルブロックとして分け、それらを結びつけることで、モデルベースでのネットワークの接続を可能とするもの。一方のCapital Systems Architectは、各種の機能をクルマの全体にマッピングしていき、整合性をとりながら、開発に渡すことを可能とするもので、物理的な各機能の配置をフロアプランとして行った後、簡易的な配置配線まで行うことができるため、どこがどういった配線長となっているかを理解できるほか、どこに分岐を用意する必要があるか、といった確認などを行うことができる。また、仮配置を行った段階での部品点数や配線長などの予測を確認することができるほか、ECUレベルでのCPUパフォーマンスなども見える化された状態でのシミュレーションも実行できるため、配線箇所の変更などを行った際のパケットの流れに伴うパフォーマンスの変化なども比較することが可能となる。さらに、こうしたデータを元に入力スペックデータとして、プリント基板の設計ツールなどにその情報を渡すことも可能だという。なお、Mentor GraphicsのIntegrated Electrical Systems Division(IESD)、General ManagerであるMartin O’Brian氏は、「例えば自動車に照明システムに1つ新たな機能を実装しようと思うと、2000のファンクショナルブロックが必要になる。今後、エレクトロニクス化がさらに進めば、その数は膨大なものとなり、旧来手法では設計の複雑性に対応できなくなる。そうした意味で、Capital Systemsを用いることで、アウトプットとして、それぞれの機能開発を担当するチームに、こうしたスペックでこのように作ってもらいたい、といった提示が可能になる」としており、ファンクションからフィジカル、ロジカルまですべてがつながるこれらのツールを活用することで、カスタマの開発効率向上につなげたいとした。
2015年12月09日光岡自動車は30日、新型霊柩車「ミツオカリムジンタイプV」と「リューギセンターストレッチリムジン」を発表し、12月8日に発売すると発表。また、12月8日~10日の3日間に東京ビッグサイトで開催される「エンディング産業展2015(ENDEX)」での、両車の発表展示会開催も発表した。ミツオカリムジンタイプVは、オリジナルデザインの厳格な面持ちと高級車としての品格を備えた霊柩車のフラッグシップモデルで、「尊厳ある終焉を格別な畏敬の念でお見送りする」というコンセプトで開発。リューギセンターストレッチリムジンは、端正なデザインと女性でも運転可能な車輌寸法が特長で、環境に配慮したハイブリッド車の設定や、霊柩車としては手頃な価格帯で変わりゆく葬儀様式とニーズにマッチしたモデルとなっている。生産方法は、1台1台職人の手作業により行われ、車輌延長工程では職人自らが部品図を描いて溶接を行い、国内では最大級となる8基の塗装下地ブースと3基の塗装ブースであらゆる板金塗装に対応する。これまで乗用車メーカーとして公に霊柩車を生産・販売をしているメーカーはないとのことだが、同社はアフターサービスで肝心な補給部品の安定供給や、店舗での販売・修理受付まで一貫したメーカーならではの体制を提供する。また海外への輸出も試験的に開始し、市場性を分析しながら拡販してゆく予定。価格は、ミツオカリムジンタイプVの400mmオーバーハングストレッチ仕様(乗車定員2名)が750万6,000円~828万3,600円、1,200mmセンターストレッチ及び400mmオーバーハングストレッチ仕様(乗車定員5名)が955万8,000円~1,033万5,600円、リューギセンターストレッチリムジン(乗車定員2~3名)が570万2,400円~635万400円(いずれも税込)。
2015年11月30日マツダは27日、新型「ロードスター」および同車の開発グループが、「日本自動車殿堂」による「2015~2016日本自動車殿堂カーオブザイヤー」を受賞したと発表した。授賞式は同日、マツダ東京本社にて行われた。マツダ車による同賞受賞は、2003~2004の「RX-8」に続いて3回目となる。新型ロードスターは、「SKYACTIV技術」とデザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」を採用した新世代商品の第6弾となるモデル。人がクルマを楽しむ感覚の深化に徹底的に取組み、「人馬一体」の楽しさを追求した、後輪駆動(FR)の2シーターライトウェイトオープンスポーツカーとなっている。今回の受賞理由としては、「洗練されたオープンスポーツカーデザイン」「軽量高剛性ボディによる卓越した走行性能と低燃費」「進化した『SKYACTIV(スカイアクティブ)技術』」が挙げられている。
2015年11月27日ファッションデザイナーのラルフ・ローレン氏は世界でも有数の自動車のコレクターとして知られており、2011年には彼のコレクションの中から選り抜きの名車を「The Art of Automobile 」展としてパリのルーブル宮殿にて展示したことも。その愛する自動車のディテールを、腕時計のデザインで表現した新作ウォッチ コレクションを発表した。「ラルフローレン オートモーティブ コレクション」はローレン氏が所有するコレクションの1つである1938年型ブガッティ タイプ 57SCアトランティック クーペにインスピレーションを得ている。デザインにはブガッティのステアリングホイールやダッシュボードを彷彿させる楢材やインドシタンを使用するなど、イメージだけでなくドライバーが感じる質感も取り込んでいる。10月21日にラルフ ローレン 表参道にて行われたレセプションでは女優の高島礼子さんとモータージャーナリストの九島辰也さんによるトークショーが行われた。会場となったラルフ ローレン 表参道の店舗前には、ブガッティが展示されており、久島さんは会場入り前に写真を撮影したと告白。会場内にはラルフ・ローレン氏が所有する車の8分の1サイズのミニチュアコレクションを展示されており、高島さんは「男性が車とか時計とか語りだすと目の色が変わりますよね」とレーサーのライセンスも所有する車好きでありながらも、女性とは違う男性ならではの特徴を笑顔で指摘。「ラルフローレン オートモーティブ コレクション」がステアリングなどのデザインを時計に落とし込んでいることについて久島氏は「本当にびっくり。他の時計メーカーで1950年代、60年代の車のメーターを意識してレタリングを作りましたというものなど見せていただくことはあるのですが、これを見たらみんなぶっとぶと思う。実際に車を持っているからウルトラ級の発想ができるのでしょうか」と興奮した様子で語った。九島氏の「車好きと時計好きはリンクしているところがある」という言葉に対し、高島さんはこれには強く同意。「私もそう思います!車と時計は収入よりもいいものを持とうと子供の頃からずっと思っていました。『いいものを持って、これに見合ういい人間になるんだ』」と自分自身の成長の目標として車と時計を大切にしてきたと熱い思いを語っていた。こちらのモデルはラルフ ローレン 表参道で販売中。
2015年10月27日日産自動車、三菱自動車工業、並びに両社の合弁会社であるNMKVは、このたび、現行軽自動車の次期型モデルについても、これまでと同様に三社共同でプロジェクトを進めていくことに合意したと発表した。近く、三社間でMOU(覚書)を締結する予定。今後更に競争力ある商品を開発していくため、三社は、最適なリソース配分・役割分担を構築していくとのこと。具体的には、設計開発、実験など実際の開発業務については、今後、日産自動車もより深くかかわることとなる。また、NMKVの機能を強化し、従来担当してきた商品企画やプロジェクト開発などのマネジメント機能に加え、開発と生産の連携をより円滑、強化するための部署を新たに設ける。生産については、引き続き、三菱自動車の水島製作所で行う予定となっている。日産自動車、三菱自動車両社の軽自動車に関する協業事業は、2011年6月に企画開発を行う合弁会社としてNMKVを設立し、2013年6月には「デイズ」「eKワゴン」、2014年2月には 「デイズルークス」「eKスペース」を市場に送り出してきた。両ブランドを合わせた販売台数は9月末までに累計50万台を達成するなど、非常に順調な道のりを歩んでいる。そして今回の基本合意を経て、協業事業は新たなステップに入るとしている。この協業プロジェクトでは、軽自動車EVの企画開発にも取り組んでおり、軽EVを含め、次期型軽自動車の車両概要、発売時期など詳細については然るべきタイミングで公表する予定。
2015年10月16日日立製作所と日立オートモーティブシステムズは9月28日、電気自動車やハイブリッド電気自動車をはじめとした環境対応自動車向けにSiCパワー半導体(SiC-MOSFET)を複数並列実装した両面冷却型パワーモジュールを用いたインバータを開発したと発表した。同インバータは、各SiCデバイスへの制御信号線の長さを均一化することで、配線の抵抗特性をそろえることに成功。これにより電力容量の拡大を実現したとするほか、両面冷却型パワーモジュールの缶状の金属製冷却フィンの中に実装する構造のインバータとすることで、冷却フィンが内蔵した配線が作りだす磁場を打ち消し、配線に蓄えられた磁場エネルギーの低減を実現したという。これらの結果、従来製品(Si IGBT)比で電力損失を60%削減し、同体積での電力容量を約2倍に拡大することに成功したという。なお、同社は今後も環境対応自動車向けインバータの高効率化と高出力化に向けた技術開発を進めていくとしている。
2015年09月28日日産自動車は2日、電気自動車「e-NV200」を47都道府県の自治体に3年間無償貸与する「電気自動車(e-NV200)活用事例創発事業」を開始すると発表した。同事業では、「静粛性や給電機能を活かした各種作業車両としての活用」「災害時の蓄電池としての活用」「中山間地域でのガソリンスタンド減少対策」といった、より良い街づくりや行政課題の解決等の一助となる活用方法を考案した自治体に対して、e-NV200を3年間無償貸与し、同車を実際に活用してもらう。これにより同社は、e-NV200の特長を活かした活用事例を積み上げ、全国に水平展開することにより、電気自動車の更なる普及を目指していく。e-NV200は、多目的商用バン「NV200バネット」をベースに、e-パワートレインを組み合わせることで、NV200の室内の広さや多用途性と、EVならではの滑らかな加速と静粛性を兼ね備えたモデル。最大1,500Wの電力を供給するパワープラグによって屋外での電源供給も可能となり、走る蓄電池として、さまざまなシーンに役立てることが可能となっている。
2015年09月02日カスペルスキーは8月24日、テスラモーターズの電気自動車「モデルS」の乗っ取りに関する記事を同社のブログ「Kaspersky Daily」で解説した。モバイルセキュリティ企業Lookoutの共同創立者で最高技術責任者(CTO)のケビン・マハフィ(Kevin Mahaffey)氏と、同氏のパートナーでCloudFlareの主席セキュリティリサーチャー、マーク・ロジャース(Marc Rogers)氏が、モデルSのシステムに6件の脆弱性を発見。テスラと共に数週間かけて修正プログラムを作成し、パッチを公開した。この6件の脆弱性は、車内にPCを持ちこんで車載Ethernetネットワークに直接つなぎ、PCからソフトウェアコマンドを送ることで、攻撃者がエンジンをかけられるようになっていた。システムにトロイの木馬を感染させることも可能で、その場合は、運転中であっても遠隔操作でエンジンを止められる。さらにリサーチャーたちは、エンターテインメントシステムを完全に掌握、窓の開閉、ドアの施錠と開錠、サスペンションの上げ下げ、自動車の電源オフにも成功した。しかし、テスラ車に搭載されているシステムでは、走行中に電源が切れるとハンドブレーキが作動、時速8km未満の場合は車はよろよろと走行しながら徐々に停止する。また、それより速度が出ている場合は予防策が発動する。高速走行中でのテストでは、ドライバーはステアリングとブレーキを制御しながらギアをニュートラルに切り替え、路肩に寄せて止めることができ、エアバッグも機能した。似たような状況にあるクライスラーのケースでは、1400万台の車両をリコールして緊急セキュリティパッチを適用せざるを得なかったが、テスラモーターズは無線経由のパッチ配信で切り抜けることができた。マハフィ氏は、「パッチを効率よく提供できるプロセスがあれば、多くの問題を解決できる。最近の自動車はPC並みかPCよりも頻繁にパッチを適用する必要があるが、毎週、毎月、ディーラーに車を持っていくのは困難だ。インターネットに接続されている車両には、OTA(無線ネットワーク経由)の仕組みが必要」とコメントしている。
2015年08月25日光岡自動車は、富山県の伝統工芸品「井波彫刻」とコラボレーションし、インテリアに井波彫刻を施したコンセプトカー「ビュート トヤマ(Viewt TOYAMA)」を、8月22日・23日に開催される『第41回井波彫刻まつり』で発表・展示する。ビュート トヤマは、地元富山の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい、という思いから、富山の伝統工芸品である井波彫刻や越中和紙と共演したコンセプトカー。コンパクトセダン「ビュート」のインテリアに、富山県の伝統工芸品をあしらった究極の"Made in TOYAMA"となっている。オプション装着された「クラシックインパネ」のウッドタイプパネル部分には、富山湾越しに見る3,000m級の立山連峰の雄大な景色で有名な雨晴海岸の絶景などを、井波彫刻の「欄間」の技法で制作した木製パネルを装着。同じく富山の伝統工芸品である「越中和紙」を使用した木製の一輪の花やパーセルボードが華を添え、富山県の魅力を全国に向けて発信する。同社は今後、富山のみならず北陸、ひいては日本の魅力を世界中に発信し、皆が元気になれるような「地域の産業が持つ魅力を再発見出来るコラボレーションカー」を企画していきたいとのこと。ビュート トヤマが発表・展示される『第41回井波彫刻まつり』は、富山県南砺市の井波彫刻総合会館にて、8月22日・23日に開催。車両展示に関しては、8月30日まで行われる。ビュート トヤマの発売については検討中。
2015年08月21日日産自動車は19日、島根県松江市が管理する松江城天守の国宝指定を記念して、電気自動車(EV)「e-NV200」を松江市に寄贈したと発表した。松江市役所にて同日行われた寄贈式では、同社副社長の片桐隆夫氏と島根日産自動車及び日産サティオ島根社長の櫻井誠己氏より、松江市の松浦正敬市長に記念キーが手渡された。今回寄贈するe-NV200は、走行時のCO2排出量がゼロという特性が、水と緑の豊かな自然と歴史的な文化遺産や伝統に恵まれた国際文化観光都市である松江市に適したモデル。松江市には、今後同車を松江城天守国宝指定のPRイベントや同市の環境保全活動イベントなど、環境にやさしい街づくりの取り組みに役立ててもらう。なお、松江市は次世代自動車充電インフラ整備促進事業として、EVの導入を促進するため、急速充電器の設置も進めている。e-NV200は、多目的商用バン「NV200バネット」をベースに、e-パワートレインを組み合わせることで、「NV200」の室内の広さや多用途性と、EVならではの滑らかな加速と静粛性を兼ね備えたモデル。また、最大1,500Wの電力を供給するパワープラグによって屋外での電源供給が可能となり、走る蓄電池として、さまざまなビジネスシーンに役立てることができる。5人乗り/7人乗りのワゴンタイプの設定により、乗用ユースとしても使用可能となっている。
2015年08月19日トヨタ自動車と日野自動車は、7月24日から30日にかけて、東京都において燃料電池バス(FCバス)の実証実験を実施すると発表した。今回、燃料電池自動車(FCV)「MIRAI」向けに開発したシステム「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」を搭載したFCバスで、非常時を想定した外部電源供給システムの公開給電実証と、路線バスなど公共交通としての実用性を確認する走行実証を、東京都の協力を得て実施する。使用車両は両社が共同で開発したFCバスで、日野のハイブリッドノンステップ路線バスをベースに、FCV「MIRAI」向けに開発したTFCSを搭載したもの。出力を高めるためにFCスタックおよびモーターなどを2個搭載するほか、高圧水素タンクを8本搭載し、バス用に最適な設計を実施している。外部電源供給システムの公開給電実証は東京都環境科学研究所で行われ、FCバスの走行は東京都都心部および臨海地域で行われる予定。
2015年07月22日CarPlayやAndroid Autoなど、ここのところ名だたるITベンダーの自動車業界進出が激しいが、最近ではさらにAppleやGoogleなどの名前を冠した自動運転車プロジェクトの米国内での目撃情報が相次ぐなど、動きが活発化している様子がうかがえる。一方で、自動車メーカーらはこの動きを非常に警戒しており、特に事業のコアである「運転制御」の技術情報や、自動車から得られる各種データをこれらITベンダーに渡さないよう、データ利用に制限をかける意向だという。同件はReutersが内部関係者の話として伝えている。現在のところ、自動車メーカーとAppleやGoogleらITベンダーとの関係は「カーエンターテインメント(もしくはインフォテインメント)」の世界に留まっているが、一部自動車メーカーによれば、ステアリングやブレーキ、スロットルといった自動車制御に関わる情報について、これら技術パートナーには渡さないと説明しているという。現在、自動車の制御システムは新しい世代の技術へと移り変わりつつあり、特に自動運転など各種制御系システムに食い込むべく、ベンダー各社が参入を図っている段階だ。一方で、省燃費や安全に関わる運転制御の技術や、今後「Connected Car」として日々の自動車利用から得られる膨大な情報は自動車メーカーにとってのコアであり、データ解析などを合わせ将来的に膨大な収益源となる可能性を秘めている。ゆえに、この虎の子を渡したくないと考えるのは当然の動きだろう。以前からこうした話は何度かあり、電機メーカーらが新技術を携えて自動車メーカーへの売り込みを行ったものの、自動車メーカーは制御系システムへのアクセスを制限する形で対応していたという。これら参入を画策していたメーカーは一部品メーカーの域を出ることはなく、旨みも少ないという理由で自動車メーカーへの接近を諦めるケースが後に報告されている。AppleとGoogleも同様のスタンスで対応される可能性が高いとみられ、ITベンダー側としても関連メーカー含めて膨大な雇用を抱える自動車業界相手に、正面から圧力をかけて対応することは難しいとみられ、もうしばらくはアクセス可能な情報を巡って異なる業界同士のつばぜり合いが続きそうだ。
2015年07月11日トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業の自動車メーカー3社はこのほど、インフラ事業者に対する運営費の支援内容に加え、インフラ事業者と共同でサービスの向上等に向けた水素充填環境づくりに取り組むことを決定したと発表した。これは2015年2月12日に発表した、燃料電池自動車用の水素ステーションの整備促進に向けた支援策を共同で推進するとの考え方を踏まえたもの。具体的には、自動車メーカー3社は、政府による水素ステーションの運営支援と協調し、水素供給ビジネスへの参入を決めたインフラ事業者に対して水素ステーションの運営に係る経費の一部を支援するとともに、本支援の周知を図り水素供給ビジネスへの新たな事業者の参入を促していく。運営費の支援は、水素供給・利用技術研究組合(「HySUT」)に設置する「燃料電池自動車新規需要創出活動助成事業」への資金拠出を通じて行う。さらに、自動車メーカー3社は、水素ステーションに関する利用者のニーズやステーション稼働履歴等の情報を活用したサービスの向上に向けた取り組みの推進、水素ステーションの営業日数や営業時間の延長、稼働情報の充実・提供、及び多くの利用者がアクセスしやすい効率的なステーション整備等による利便性の向上、広く一般も対象とした燃料電池自動車や水素に対する理解促進および認知度の向上に取り組むとしている。水素を燃料とする燃料電池自動車の普及のためには、魅力ある商品の提供はもとより、燃料供給の拠点となる水素ステーションの整備が必要であるが、燃料電池自動車の導入初期においては普及台数が少なく、ステーションの稼働率も高くないため、インフラ事業者による水素ステーションの設置・運営は容易ではない。政府は、2014年6月に策定した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を踏まえ、水素ステーションの整備に向けては、設置に対する補助金の交付や様々な規制の見直しなどに取り組み、さらに、2015年2月には、燃料電池自動車の新たな需要創出活動を推進するために、水素ステーションの運営に係る経費の一部支援による施策の強化を図ることを決めた。一方、燃料電池自動車に関しては、トヨタ自動車が2014年12月に販売を開始し、本田技研工業は2015年度中の販売開始を、日産自動車も早ければ2017年の販売開始を予定している。したがって、自動車メーカー3社は、政府やインフラ事業者とともに水素ステーションの整備促進を図ることが不可欠であるとして、燃料電池自動車の市場導入が本格化し、水素ステーションの整備が軌道に乗るまでの中期的な視点(2020年頃までを予定)で運営費の支援および水素充填環境づくりに取り組み、着実に水素ステーションの整備を後押ししていくとしている。
2015年07月02日光岡自動車は1日、ミディアムクラスセダン「リューギ」のマイナーチェンジを行い、3日に発売すると発表した。リューギは、縦型ラジエターグリルや大型のメッキバンパー、箱型のキャビン、踏ん張りの効いたフェンダーアーチなど、ベーシックな自動車らしい姿が特徴のミディアムクラスセダン。クラシカルで端正な面持ちでありながら、生産の全工程を職人が手作業で行うという希少性を備え、最新の性能で安心して気軽に楽しめるクルマとなっている。今回のマイナーチェンジでは、新たに設定された安全装備の充実が図られた。前方障害物を検知してドライバーへ警告する「衝突回避支援」、走行速度約50km/h以上で車線逸脱の可能性が発生した場合に警告する「車線逸脱アラーム」、対向車のヘッドライトや先行車のテールランプを認識してハイビームとロービームの切り替えを自動で行う「オートマチックハイビーム」、信号待ちなどで先行車が発進しても停止し続けた場合にドライバーに知らせる「先行車発進告知機能」、シフト操作時における急発進・急加速を抑制する「ドライブスタートコントロール」、急ブレーキをかけるとハザードランプが自動的に点滅する「緊急ブレーキシグナル」が、標準装備もしくはオプションとして設定(グレードにより異なる)されている。リューギの価格は、226万2,600円~319万6,800円(いずれも税込)。
2015年07月01日日立オートモーティブシステムズは、中国における自動車機器システム事業の拡大を目的に、重慶市に新たな製造会社を設立すると発表した。すでに中国に対しては日立の自動車機器システムの製造を行う連結子会社が沿岸地域を中心に13社が事業を展開しているが、今後、内陸地域へ拠点を拡大する自動車メーカーへの対応がグローバル戦略上、重要となると判断し、今回の新会社設立に至ったとする。新会社は「日立汽車系統(重慶)有限公司(予定)」で、敷地面積は約17万m2、2018年からの量産開始を計画しており、需要が高まるシャーシ系製品やエンジンマネジメントシステムなどの事業拡大を目指すとしている。
2015年06月22日大垣共立銀行はこのたび、OKB大垣共立銀行のホームページから岐阜県自動車税をクレジットカードなどにより納付できるサービスを開始した。同サービスは自動車税の期限内納付率の向上を目的とする行政支援の一環として2013年から毎年実施しているという。ヤフー運営の「Yahoo!公金支払い」を利用したサービスで、OKB大垣共立銀行と取引のない人でも自宅で24時間いつでも岐阜県自動車税を納付できるという。また、共立カードおよびOKBデビット(JCB)で納付した人の中から抽選で100名にギフトカードをプレゼントする「岐阜県自動車税インターネット納付キャンペーン」も併せて開始した。OKB大垣共立銀行はこれからも、顧客の目線に合わせた利便性の高い商品・サービスを届けていくとしている。
2015年05月13日古川電気工業グループのKANZACCは4月17日、耐摩耗性能を改善した「銀系特殊めっき」の開発・量産化に成功し、自動車市場へ投入すると発表した。自動車用コネクタ端子では酸化防止のために銅合金に銀や錫めっきなどの表面処理が施されるが、挿抜・摺動回数の増加に伴って、耐摩耗性の向上が課題となっていた。今回開発された「銀系特殊めっき」では、耐摩耗性が向上したことで厚さを50%低減することが可能となり、原料コストの削減を実現することができる。また、ウィスカによる短絡が防止可能で、コネクタの信頼性向上にも貢献する。KANZACCは、今回の「銀系特殊めっき」のほか、電子部品分野で培った技術力を元に、「変色しない銀めっき」や「部分リフロー錫めっき」などの特徴的なめっき製品群を新たに自動車市場向けへ投入することで、2018年度の自動車向け売上高5億円以上を目指すとしている。
2015年04月20日アドビ・システムズ(アドビ)は4月6日、日産自動車(日産)が、グローバルで展開する複数のブランドで一貫したブランドイメージを保つことができるルノー・日産アライアンス共通のデジタルマーケティングプラットフォームを構築するため、「Adobe Marketing Cloud」を採用したことを発表した。日産は、世界20の国や地域に生産拠点をもち、世界各国の拠点を通じ「NISSAN」「INFINITI」「DATSUN」といった3つの自動車ブランドを展開。顧客の購買プロセスに重点を置き、一貫したブランド戦略に基づいて迅速な市場展開を行いつつ、顧客を理解するためのデータ分析や、ブランドイメージを保つためのアセット管理のコスト効率を高めたいという課題があったという。今回の導入により、グローバル資源の活用や重複投資の合理化、プロセスの標準化を図り、年間あたりのマーケティング投資を半分に抑制することを目指すほか、一人ひとりの顧客に最適な体験を提供し、マーケティング費用対効果の向上と収益性向上を実現したい考えだ。
2015年04月06日アドビ システムズは、日産自動車が展開する複数のブランドで一貫したブランドイメージをグローバルで提供するため、同社がデジタルマーケティングソリューション「Adobe Marketing Cloud」を採用したことを発表した。日産自動車は、世界20の国や地域を生産拠点として「NISSAN」、「INFINITI」、「DATSUN」という3つの自動車ブランドを展開しているが、これまでは各拠点の裁量によってデジタルマーケティングが行われており、一貫したブランドイメージの構築が課題となっていたという。そこで今回、各拠点の強みを発揮できるルノー・日産アライアンス共通のデジタルマーケティングプラットフォームとして、デジタルマーケティングソリューション「Adobe Marketing Cloud」と、コーポレートパブリッシングソリューション「Adobe Digital Publishing Suite」を導入した。さまざまなデジタルタッチポイントから顧客の購買行動をサポートし、シームレスなカスタマージャーニーの提供に最適なソリューションであることが決め手になったとのことだ。なお、今回の「Adobe Marketing Cloud」導入について、日産自動車デジタルストラテジー部 デル・ジャクソン氏は、「現代の消費者にとって、デジタルチャネルは自然な選択肢であり、日産自動車では顧客とエンゲージする方法を変革する必要があると考えています。この変革を実現するため、当社の重要なテクノロジーパートナーとしてアドビを選択しました。アドビの『Adobe Marketing Cloud』による統合された顧客エンゲージメントのプラットフォームが目指す方向性は、日産が掲げる顧客エンゲージメントの方向性にフィットしています。このプラットフォームを活用して、南アフリカやインドなど重要な成長市場で、3組織をまたがる4つのブランド向けに新しいプラットフォームをローンチすることができました。『Adobe Marketing Cloud』により、世界中のモバイルを含むあらゆるチャネルにおいて、当社のブランドと顧客体験がさらに向上することを確信しています」と述べている。
2015年04月06日三菱自動車は3日、米国・ニューヨークで1日から開催されている『2015年ニューヨーク国際自動車ショー』(一般公開は3日~12日)で、2016年モデルの「アウトランダー」(北米仕様車)を世界初披露したと発表した。アウトランダーの2016年モデルは、フロントデザインなどの大幅な変更により、上質でありながらSUVらしいダイナミックで力強いデザインとした。吸遮音材・制振材・ダイナミックダンパーの追加など30カ所以上の改良を施すことで、エンジン音・ロードノイズ・風切音の大幅な低減も行われている。トランスミッションには、新世代CVTを搭載。エンジン制御とCVT制御の協調制御を最適化することで、エンジン回転上昇に対してリニアな加速を実現し、全域における加速性能も向上。ステップアップシフトを採用することで、アクセルを大きく踏み込んだ場合の気持ちよい加速フィーリングも実現している。シャシーでは、サスペンション取付部の剛性を向上させ、ステアリングホイールやサスペンションからの入力を正確にボディに伝えることで、操舵感・操舵に対する応答性と正確性を向上。また、リヤのショックアブソーバーのシリンダーを大径化することにより、走行安定性と乗り心地の向上などが図られている。
2015年04月03日●実は多くの車載機器に採用されているARMコアARMは3月26日、Cypressと共同で記者説明会を開催し、同社の自動車向け製品に関する取り組みを説明した。最初に書いておけば、今回の説明会では基本的には新しい製品とかテクノロジーが説明された訳ではなく、既にARMが提供しているものが再説明されたに過ぎないのだが、それでもわざわざ説明会を開いたというのは、こと国内ではARMのアーキテクチャはSmartphone/Tabletなど向けで、自動車関係では一部のInfortaiment機器向けに利用されている程度、という認識が多く、これを正したいという意図があったのでは無いかと思われる(Photo01)。○ARMの自動車向けストラテジーさて、まずはARMのパートから。ARMがアドレスできる自動車向けマーケットはどんどん大きくなっている(Photo02)という認識がまずあり、運転システムの電子化・ADAS・運転情報とInfortaimentという3つの分野が急速に伸びると予測し、このマーケットを真剣に獲得したいと目論んでいる。既に同社のコアは様々なメーカーが製品に採用、自動車向けに導入が始まっており(Photo03)、決して同社が自動車業界に無縁と言うわけでは無い。ただこれらの市場はARM以外のコアも多く採用されているため、ここでARMの採用比率をより高めてゆきたい、という訳だ。では具体的にどんな用途向けに今後展開が考えられるのか、というのがこちら(Photo04~06)。特に運転席周りの場合、高級車向けにはHUD(Head Up Display)すらも次第に一般的な装備になりつつあり、逆に言えばHUDこそ持たないものの、従来高級車にのみ搭載されていたマルチファンクションタイプのコンソールはミッドレンジを超えて大衆車にまで広がりつつある。Cortex-R5はまさしくこうした用途向けのMCUとして開発された製品である(Photo07)。どのあたりがコンソール用途向けかというと・ EEMBC AutoBenchで、1.0 Automark/MHzの高性能(ちなみにPowerPC系だとこれを超えるのはe200v7コア搭載の製品のみで、殆どの製品は1.0 Automark/MHz未満である)・ Green Hillsから自動車向けに最適化したコンパイラが提供される・ ISO26262/IEC 61508の認証取得に必要なリソースが提供されるというあたりである。実は後半2つは製品そのものというよりも開発環境に関係してくる部分なので、ここをもう少し説明する。自動車業界では最近MBD(Model Base Design)を利用した開発が序々に広まりつつある(Photo08)。といっても、現状ツールとしてはMathWorksのMATLAB/Simulinkが唯一のもので、あとはSynopsisの提供するVirtual Prototypeを初めとするツール類で試作を高速化する環境はあるが、ここで問題になるのはどちらを使うにしても、ターゲットデバイスはMATLAB/SimulinkなりVirtual Prototypeがあらかじめサポートしているものに限られる事だ。そんなわけで主要なプラットフォームベンダーは自社の製品がこれらのツールでサポートして貰える様に努力しているわけだが、ARMの場合主要なコアはもう既にサポートされているから、ここで悩む必要がなくなるのは大きなメリットである。また、例えば途中で利用するSoCのベンダーを変える、あるいは新規に追加するといった話があっても、複数のメーカーが既にARM v8-Rベースの製品を投入しているから、同じCortex-Rベースの製品を選べば開発やメンテナンスの手間がだいぶ省けることになる(Photo09)。勿論これは諸刃の剣であって、逆に半導体ベンダーからすると長期的にはCortex-Rを搭載しただけでは差別化にならなくなるわけで、別の差別化要因を探さないと別のメーカーにシェアを簡単に奪われてしまう事にもなるのだが。●Functional Safetyへの取り組み○具体的にはどのような機能安全対策が取られているのか?続いて話は機能安全の話に。Functional Safetyとして知られるこの機能は、単に自動車だけでなく安全性が必要とされる多くの場所で必要な要件とされている。この分野は、必要とされるリソース(設計・検証や要求されるドキュメントなど)が桁違いに大きくなるので、敢えてこの分野はやらないと公言しているメーカーもあるほどだが、ARMはここに積極的にアドレスする事を宣言している(Photo10)。では自動車における機能安全とはなにか?という一例がこれ(Photo11)。パワーステアリング周りの操作に関しては、故障しないのが勿論一番ではあるが、工業製品ではそれはありえない訳で、では故障したらどう対処できるかをちゃんと考えておく必要がある。一番まずいのはECUが故障したりトルクセンサーが異常を出したりしたときに、パワーステアリング用モーターが固着してしまうことで、したがってこういう事態にならないような設計が必要になるわけだが、そもそも大前提として故障頻度をどの程度に抑えるかという話がある。故障しても事故にならない設計をするのと同様に、コンポーネント内部に関しても「回路の一部が異常をきたしても、直ぐに全体が故障しない」様な設計が求められる。こうした機能安全は、業界に応じて異なる標準化がなされているが(Photo12)、骨子となる部分は基本的には同じで、あとはマージンの取り方とかドキュメントの手法などに相違点がある(一部検証方法などの違いもあるが)程度。流石にARMとしてもこの全部に対応するのは無理であり、まずはAutomotive/Medical/Industrialといったあたりをターゲットにする形だ。具体的にはどんな形で?というのがこちら(Photo13,14)。外部からの放射線などの影響に対してはECCとかMultiple Latchなどの対策が有用だし、Systemaic faultsへの対策はDCLS(Dual-Core Lock Step)などが効果的である。これらを当初からCortex-Rシリーズでは設計に盛り込んでいる、という話である。ただ、単にこれらを設計に盛り込むならず、開発時点でのマネジメントのレベルからこれに配慮してドキュメント(Photo15)を用意すると共に、こうした機構の検証メカニズムを用意、さらにはパッケージとして提供することでメーカーのみならず開発の負荷を減らせる、というのが同社の説明であった。●SpansionのCortex-R5ベースの自動車向けMCU「Traveoシリーズ」○Cypressの自動車向けラインナップさて、ここからはCypressというかSpansionの赤坂伸彦氏(Photo16)により、同社のCortex-R5ベースの自動車向けMCUであるTraveoシリーズの説明があった。まずはマーケット概観(Photo17)であるが、自動車向け半導体の売り上げの伸びは9.5%と、半導体全体の売り上げの伸びである6.5%を上回る勢いであり、これをキャッチアップしてゆくのは当然重要と考えられるとしている。このマーケットに向けて、富士通も昔から製品を提供しており、もう40年近いの歴史がある(Photo 18)。ここで利用されてきたアーキテクチャは同社独自のもの(最近だとFRシリーズ)や、場合によってはARM 9/11といったコアも利用されてきたのだが、同社は(Spansionの買収前に)Cortex-R5の採用を決定、Spansionの買収後にこれをTraveoシリーズとして発表している(Photo19)。なぜCortex-R5を採用したのか、という事に対するSpansionとしての回答はこちら(Photo20)である。もしここで独自コアのまま突っ走っていると、開発環境や自動車向け品質のコンパイラの提供、あるいはFunctional Safetyにまつわるパッケージの準備を全部自前で行う必要があり、そのあたりを勘案するとARMのエコシステムに乗ったほうが楽、というのは特にこれからシェアを伸ばしてゆきたいというメーカーにとっては当然であろう。同社の場合、Traveoをコンソールパネルやボディ制御、EV/HVのモータ制御向けに考えており(Photo21)、例えばモータ制御ならこんなことが出来るという一例が示された(Photo22)。ボディ制御は、本格的なシャーシ制御とかActive Suspensionなどではなく、比較的穏当な範囲の制御に留まっている(Photo 23)。HAVC(Photo24)も同じで、少しづつ機能が増えている事に対応して、MCUの側も少しつづ進化している(Photo25)形だ。そして本題と言うわけでもないが、同社が3月26日に発表した新製品が次のクラスタシステム向けのソリューションである(Photo26)。この分野も最近はアナログメーターが使われているケースはだいぶ減り、LCDに置き換えられつつある。また2D表示以外に3D表示が使われるケースも増えてきている。同社は富士通の時代からこの分野向けのソリューションを長く提供してきており(Photo27)、2D/3Dどちらも実績がある。特に3Dエンジンについては、VRAMを介さずに直接表示を行う機能を持っているのが特徴的である(Photo28)。このクラスタ向けは既に多くの製品がラインナップされているが(Photo 29)、3月26日には内蔵Flashとフレームバッファを1MBに削減した S6J32BAとS6J32DAを新たにラインナップに追加、大衆車向けの廉価なクラスタシステム向けとして提供されることになる。ちょっと話は戻るが、今のところARMは自動車向けのGPUを提供する予定はない(これはYork氏にも確認したが、あくまでSmartphoneやTabletなどのMobile向け、との事)。なので、どんなGPUを使うのか、というのは一つの差別化要因になりえる。実際赤坂氏も「Cortex-R5を使うだけで差別化になるとは考えていないので、どれだけ(OEM/Tier 1が)使いやすい製品を提供するか、という形で頑張ってゆく」とされており、その意味ではCortex-R5の使い方の一つの見本と考えてもよいかもしれない。冒頭に述べた通り、今回の説明会の内容はこれだけであり、何か目新しい話があったというわけでは無い。にも関わらずこうした説明会を開催することで、ARMは自動車業界にも強い、という事を印象付けたいというのが狙いであり、今後も似たような機会が定期的に開かれるかもしれない。ある程度そうした認識が浸透するまでは粘り強く繰り返す、というのはARM本国の意向でもあろうが、ARM(株)の内海社長の得意とする手法でもあるからだ。
2015年04月01日BMWは4月1日、電気自動車「BMW i3」を総合オンラインストア「Amazon」で同日より販売開始すると発表した。納車までの流れとしては、カートに「BMW i3」を入れると1-2営業日後にBMWiカスタマー・インタラクションセンターから充電方法などについて確認する連絡がくる。その後、さらに1-2営業日後に審査・契約書類が送られてくるので、それを記入しBMWに返送すると、5-7営業日後にBMWから納車日の連絡がくるという仕組みとなっている。BMW i3はBMWのサブ・ブランド「BMWi」の第1弾モデルとして2014年4月に日本での販売を開始した。BMW正規ディーラーが保有する185店舗のうち46店舗をBMWi販売店とし、専門トレーニングを受講した専任のセールス・スタッフを配置したほか、販売店が近くに無い地域のためにモバイル・セールス・アドバイザーを導入するなど、新しい販売モデルを採用してきた。BMWは、Amazonで「BMW i3」の販売を開始することで同ブランドのマルチ・チャンネル販売モデルをさらに推し進めるとしている。BMW i3は最大出力125kW/170ps、最大トルク250Nmを発生する電気モーターおよび総電力量22kWhのリチウムイオン電池を搭載し、一回の充電で229kmまでの走行が可能だ。価格は499万円から。
2015年04月01日ZMPは、2015年1月にハーツユナイテッドグループ(HUG)との合弁会社として「自動車業界向けのデバッグおよびデータ収集等実験代行に関する事業」を行う株式会社ZEGを設立し、本格的な稼動を開始したと発表した。現在、自動車業界で実施されている高度運転支援技術および自動運転技術の検証においては、コンピュータを用いたドライビングシミュレータが多く利用されているが、多種多様なユーザーを想定した自動車走行パターンをすべて網羅したシミュレーションには限界があるため、実走行テストが重要視されている。一方で、実走行テストには走行テストの実施場所が限定されるなど、社内リソースのタイムリーな確保が困難という課題がある。さらに外部機関への実験依頼の場合は十分なセキュリティの担保が困難なほか、報告データの入手までに6カ月以上の期間を要するケースもあるなど、必要なデータをタイムリーに入手することも大きな課題となっている。ZEGの始動によりZMPが築き上げてきたセンシングやデータ収集・解析技術および、HUGが積み重ねてきたソフトウェアデバッグのノウハウを基に、十分なセキュリティ体制のもと全国において実施可能なタイムリーな走行テストおよびデータ解析による検証報告サービスによる複数の課題解決とともに、走行テストに付随するソフトウェアの単体検証や映像処理などの周辺業務など、実証実験に必要な要素を一気通貫で提供することが可能となる。近年、自動車は、搭載される先進運転支援技術(ADAS)の高度化により車載ソフトウェアが高度化、複雑化しており、車載ソフトウェア検証のための網羅的・大規模な実走行テストの必要が高まっているとのことで、ZMPでは、ZEGを通じて、これらのニーズ応えていきたいとしている。
2015年03月23日フィリップス エレクトロニクス ジャパンは、安全性とスタイルを追求しトップクラスの明るさを追求した自動車用バルブ「エクストリーム アルティノン LED(LED Xtreme Ultinon)」シリーズを拡充したと発表した。合計24の新製品を4月上旬より全国の自動車用品店および通信販売を通じて順次販売する。エクストリーム アルティノン LEDシリーズは、ワンランク上のスタイリッシュなカーライフを求めるドライバーのためのアップグレード用製品で、安全性に配慮した配光設計と明るさが特長となっている。同シリーズのフラッグシップとなるフォグバルブ「フォグユニバーサル 8/11/16 6700K」は、従来製品と比べて約45%明るく道路を照射する。さらに効率的な放熱を可能にする「AirFlux冷却テクノロジー」を採用し、長寿命化を図った。また、「AirFlux冷却テクノロジー」は煙突状の形状で空気の抜け道を作り、ヒートシンク内外の寒暖差を利用して、ヒートシンク内に空気の流れを発生させることで、高い空冷効果を保つ。また、もうひとつのフラッグシップであるポジション用バルブ「T10 360°アルティメイト130lm 6700K」は、従来製品比約2倍の明るさを実現し、被視認性をより高め、愛車をスタイリッシュに演出する。なお、今回のラインアップ拡充により同シリーズは、一般的な自動車のシグナリング用途の約90%をカバーするという。
2015年03月19日Infineon Technologiesと独Hellaは、自動車後部の死角検知(Blind Spot Detection)を正確に行うレーダーセンサ向け無線周波数モジュールを開発したと発表した。同モジュールは、従来、別々であった複数の部品を単一のトランシーバ(トランスミッタとレシーバの機能を兼備)に集積することで、省面積化とコスト削減を実現したほか、低消費電力と高いパフォーマンスの両立も実現したとのことで、高級車部門以外の自動車も対象とした、運転者支援システムの連続生産が可能になるという。また、高い精度を実現しているため、レーダーのスキャン情報を更新し続けることで、動きの方向や速度に関わらず、悪天候時にも動く物体を検知することが可能になるとしている。
2015年03月05日