9月、妻夫木聡が舞台に立つ。NODA・MAPの新作『エッグ』がそれで、妻夫木にとって3度目の舞台であると同時に、3作目の野田秀樹作品でもある。NODA・MAP「エッグ」チケット情報「気が付いたら、続いちゃいました(笑)」と笑うが、「作品を選ぶ時は、かなり直感に身を任せています。野田さんに声をかけてもらったら反射的に“あ、やりたい”と思うんですよね」という言葉が裏付けるのは、自身と野田との相性の良さだろう。昨年の出演作『南へ』は、不二山という架空の火山を舞台に、噂、報道、真実、嘘といった問題がやがて、日本の歴史全体への視線に繋がるような作品だった。「『南へ』での経験は大きかったですね。僕が演じたのは、見方によって幽霊とも人間とも、記憶喪失者とも二重人格者とも言える青年。お客さんが観ながら解釈の可能性を広げていける話なので、自分の役が何者かを決めつけるのは早々にやめました。と同時に、野田さんからは、役の感情や感覚が腑に落ちていることが求められたんです。演じる側にそれがないと、ただ難解なだけの話で終わってしまう。難しくて苦しみましたけど、苦しむことを自分で大切にできた作品でもありました」。『エッグ』は、スポーツと音楽をモチーフにした話になること、妻夫木聡、深津絵里、仲村トオルが主演であること、音楽を椎名林檎が手がけること以外、詳しいことは明らかにされていない。「どんな作品になるのか、楽しみですよ。さっきの“腑に落ちる”も、野田さんからよく言われる言葉で、わかったような芝居をするな、ということなんですけど、いつもたくさんの刺激をもらっています」。新作でどんな苦しみと喜びが待っているかはわからないが、共演者にも心強い期待を寄せる。「深津さんと一緒にやると、引き出されるものが多いんです。役者としてあれだけいろんな顔を持ってたら、自我を大事にするのかと思いがちですけど、協調性をとても大事にする方で。これは僕の想像ですけど、それは野田さんの舞台に出演されていたことも影響しているんじゃないかな。仲村さんは、子供の頃からずっと拝見しているので、以前から知っているような気がしますが、実は全くの初対面。おそらくがっつり絡むと思うんですが、初めての共演を舞台でできることは、とてもうれしいですね」。取材・文:徳永京子公演は9月5日(水)から10月28日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスにて上演。チケットは7月21日(土)10時より一般発売開始。なお、チケットぴあでは7月10日(火)11時まで先行抽選・プレリザーブを受付中。
2012年07月06日世界最大級の自主映画コンペティション“PFFアワード”をメインプログラムにした映画祭「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」が東京、神戸、京都に続き、6月30日(土)から名古屋の愛知芸術文化センターで、7月6日(金)から福岡の福岡市総合図書館で開催される。その他の写真「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」は、“新しい才能の発見と育成”をテーマに、1977年より続く映画祭。メインプログラムのコンペティション部門には毎年、平均500本以上もの自主映画が寄せられ、これまでに黒沢清、中島哲也、園子温、矢口史靖ら多彩な監督を発掘してきた。名古屋、福岡会場では、昨年行われた“PFFアワード2011”の入選作品17本を上映。グランプリを受賞し、東京国際映画祭、釜山国際映画祭でも上映された北川仁監督の『ダムライフ』を筆頭に、602作品の中から審査員が厳選した作品が上映される。また名古屋会場では、上記のプログラムに加えて、昨年12月に急逝した森田芳光監督の追悼特別企画“20代の森田芳光がみていたもの~疾走する8ミリ自主映画時代~”を開催。寺山修司、野田秀樹ら演劇人をとらえた幻のドキュメンタリー作品『劇的ドキュメント レポート’78~’79』をはじめ、『ライブイン茅ヶ崎』『水蒸気急行』の3作品を上映する。これらの自主映画は上映される機会が極めて少なく、東京で上映された際には立ち見が出るほどの盛況をみせたプログラムだけに、名古屋会場でも映画ファンが多く足を運ぶことが予想される。第33回 PFF ぴあフィルムフェスティバル in 名古屋会期:6月30日(土)~7月4日(水)※月曜休館会場:愛知芸術文化センター12階アートスペースA第33回 PFF ぴあフィルムフェスティバル in 福岡会期:7月6日(金)~7月8日(日)会場:福岡市総合図書館映像ホール・シネラ「第34回PFFぴあフィルムフェスティバル」2012年、東京国立近代美術館フィルムセンターほか全国で順次開催
2012年05月17日水の中にしろ地面の下にしろ、潜ると人間の体の自由は制限される。というのは、常識の世界の話。演劇の世界では、俳優が役に深く潜るほど自由を得るという現象が起きる。ただしそれが起きるためには、並外れた技術と勇気を伴った想像力を持つ俳優、芯がきちんと書かれつつ余白のある役が必要で、両者の邂逅はめったにない。「THEBEE」JapaneseVersionジャパンツアーチケット情報野田秀樹が俳優としてどっぷり役にハマり、役の輪郭線をぐいぐいと押し広げている姿を久々に観た。『THE BEE』のジャパニーズ・バージョンでのことだ。野田が演じるのは、脱獄犯・小古呂(おごろ)に妻子を人質に取られ、自宅に籠城されたサラリーマン・井戸。平凡な一市民だった彼は、自分を類型的な被害者に仕立てようとするマスコミや、乱暴で権威主義の警察に抗い、被害者から加害者へと変容していく。野田はこの作品の作・演出家であり(脚本は共作)、イングリッシュ・バージョンで小古呂の妻を演じており、また『THE BEE』自体が2006年以来上演を重ねてきたから、この作品に対する筋肉が充分に温まっているのは当然だが、それにしても、知的で優しい男が暴力に目覚め、自分を正当化して残虐になっていく一連の演技には息を飲んだ。小柄な野田の体は、井戸の内側に生じた暴力性が化け物のように大きく、しかし静かに膨らんでいく過程を、はっきりと刻む。井戸が人質に取る小古呂の妻を演じる宮沢りえがまた凄い。ストリッパーをしながら子供を育てている“女”と“母”の事情が生々しく入り混じる。集中力がすさまじく、舞台上の音や動きに敏感に反応するから、彼女が動くと、観客は否がおうにも狭いアパートの一室に引きずり込まれ、事件の遭遇者となってしまう。ただのエロスではない、物語を推進し、会場を飲みこむエロスがあふれているのだ。百百山(どどやま)警部を演じる池田成志は、前半に強い存在感を残すことで、終盤、権威もニュース性も失墜した警察の空虚感を際立たせる。その緩急は、シンプルに見えて繊細な“受け”の演技の積み重ねだ。コンドルズのリーダーである近藤良平は初演からの続投で、複数の役をこなすが、白眉はダンサーの本領が発揮される5歳の小古呂の息子役。儀式化する暴力の流れの中で生命力を失っていく儚さが、最小限の動きから伝わって来る。『THE BEE』は暴力を扱っているが、それがスキャンダラスなモチーフにならず、大きなテーマとして観客に伝わるのは、やはりこの4人の力が大きい。この役でなければ、この組み合わせでなければ生まれなかった俳優達の練度、緊張感、伝達力に出合えたことに、少し震えながら感謝した。公演は5月20日(日)まで東京・水天宮ピットにて上演される。その後、5月25日(金)から6月3日(日)まで大阪ビジネスパーク円形ホール、6月7日(木)・10日(日)に福岡・北九州芸術劇場、6月15日(金)から17日(日)まで長野・まつもと市民芸術館と各地を回る。なお、大阪公演はチケット発売中。取材・文:徳永京子(演劇ジャーナリスト)
2012年05月08日大森南朋と蒼井優の破局、小野ゆり子との結婚人気俳優・大森南朋(40)と入籍した女優・小野ゆり子(22)が、大森の元カノ・蒼井優(26)にそっくりなことが世間を騒がせていた。(画像:蒼井優公式ホームページより)しかし、ここにきて、大森に小野を紹介したのが蒼井本人だったという衝撃の事実が明らかになった。結婚のきっかけは元カノの後輩との浮気?先日発売された『女性セブン』の記事によれば、「小野と蒼井は、2011年に野田秀樹の舞台『南へ』で共演してから親しくなり、一昨年の春にあくまでも“可愛い後輩”の一人として、大森に小野を会わせた」という。そして、「それから2か月後の昨年5月。大森の自宅近くの路上で、2人が激しく口喧嘩をしている様子がキャッチされた。実はこの喧嘩の原因こそ小野だった」というのだ。確かに、思い返してみると、大森は小野との結婚をホームページ上で報告した際、二人の“馴初め”などについては一切語っていない。男の浮気癖はなかなか治らないというし、大森と別れてよかったのかもしれないが、その男が二股をかけらていた後輩と結婚するとなっては、蒼井も大きなショック受けたのではないだろうか。編集部 鈴木真美元の記事を読む
2012年03月29日野田秀樹の作・演出の舞台『THE BEE』(English Version)では、妻子を人質に取られたサラリーマン井戸を演じ、その高い演技力で日本の演劇ファンを魅了した英国の女優キャサリン・ハンター。彼女のひとり舞台『カフカの猿』が5月に東京・シアタートラムで上演される。2009年にロンドン・ヤングヴィック劇場での初演以来、世界中で大人気の話題作が東京で初演されるに際し、ハンターが現在の心境を語った。『カフカの猿』チケット情報本作は、フランツ・カフカの『ある学会報告』(1917年執筆・発表)をモチーフに、『THE BEE』の共同脚本家でも知られるコリン・ティーバンが脚色を担当。物語はチンパンジーから人間になった“赤いピーター”が、学会で猿から人間になる旅路について話をするところから始まる。人間に撃たれた猿が、檻に入れられ閉じ込められ恐怖を味わい、檻から出ようとする。猿は檻の外にいる人間を観察し、やがて唾を吐いたり、タバコを吸ったり、酒を飲んだりと人間の真似をはじめた。さらに人間の言葉まで話し出した。すると人々は猿を調教しようと考え、猿は有能なパフォーマーになろうと決心する。ハンターはカフカの小説を10代の時に初めて読んで「すごく面白かった」そうで、「演出家は、女優に猿の役を頼むのは失礼にあたるんじゃないかという気持ちがあったようですが、私は内心とても喜びました。それはチャレンジングな体験なのですから」と楽しそうに話す。ロンドンで上演した時の観客の反応は「外からの視点(移民)でこの劇を解釈した」とロンドンが移民の街であるがゆえの反応だったと分析。新しい国にやってきて言語や習慣を学び、家族や属してきた社会を残して新しい世界に入っていく様が、“ピーター”と同じであると。(移民の国ではない)日本で上演された場合は「進歩、進化の話として受け取られるかもしれないと思う」と語る。「人間になることを学ぶプロセスが語られてはいるが、同時に人間がいかに暴力的であるかを暗示する物語でもあります。人間は権力に固執し、破壊的な存在でもある。“ピーター”は学会の報告会でひとつ興味深い質問をします。『進化に伴う代償は何なのか?』」。ハンターはこの質問はとても重要であると語る。グローバルな社会でコミュニケーションの方法が多様化した現代において、それに伴う代償は何なのかと問う。だからこそ「生きた経験を提供する劇場という場が大切」なのだと話す。テキストはカフカの小説をそのまま使うそうだが、一部ティーバンが足した箇所があるという。“ピーター”がジャーナリストに対して語る言葉だ。「基本的にボクは孤独なんだ。私の匂いをかいでごらん、猿の匂いも、人間の匂いもしない。一体自分は何者なんだ」。ハンターいわく“これは記憶の物語”なのだと。公演は5月2日(水)から6日(日)まで東京・シアタートラムにて開催。チケットは発売中。
2012年03月19日本年1月5日より、NY、ロンドン、香港を巡る『THE BEE』ワールドツアーを行ってきた野田秀樹がついに帰国。2月24日(金)から東京・水天宮ピットにて行われる〈English Version〉〈Japanese Version〉の連続上演を前に、2月22日、都内にて両バージョンのキャスト6名と共に記者発表会を開いた。『THE BEE』公演情報『THE BEE』とは、同時多発テロに衝撃を受けた野田が、筒井康隆の短編小説『毟(むし)りあい』を題材に創作した舞台(共同脚本:コリン・ティーバン)。妻子を誘拐されたサラリーマンが、自らも犯人の妻子を人質にとり、犯人との心理戦を繰り広げるという衝撃作だ。2006年にロンドンで初演され、翌年にはロンドンバージョンと日本バージョンを東京で上演。“報復の連鎖”という本作のテーマと、現実の世界情勢とがリンクし、大きなセンセーションを巻き起こした。この度のワールドツアーを実現させたのは、「9.11事件から10年後のニューヨークで『THE BEE』を上演したい」という野田の強い思い。現地では高い評価を受け、野田は「この芝居が持っている、世界共通で抱えている問題に対し、興味を持ってもらえたことは大きな手ごたえ」とワールドツアーを振り返った。そして凱旋公演となる〈English~〉でサラリーマン・井戸役を演じるのは、英国の実力派女優キャサリン・ハンター。すでに野田作品には欠かせない存在であり、野田との舞台づくりを「私のキャリアにおけるハイライト」とまで言い切る。そして〈Japanese~〉で井戸に監禁される犯人の妻役を演じるのは、宮沢りえ。「野田さんを信じているので、何も不安はありません。この作品から自分の想像を超えるような自分に出会いたい」と、本作にかける熱い思いを語った。ほかに〈English~〉にはグリン・プリチャードとマルチェロ・マーニが、〈Japanese~〉には池田成志とコンドルズの近藤良平が参加。野田は、両バージョンに異なる役柄で出演する。また〈Japanese~〉はNODA・MAP番外公演として、国内ツアーも実施。東京のあと、大阪、北九州、松本、静岡の計5か所を巡る。NODA・MAPとしては初の試みであり、「自分が見失っていることというのは、必ず(地方など)そういったところで発見できるもの。だから今回のような企画をやれることは非常に幸せ」と、野田自身20年ぶりとなるツアーに大きな期待を寄せていた。取材・野上瑠美子ジャパンツアーのチケットは2月25日(土)10:00より一般発売する。なお、チケットぴあでは東京公演と大阪公演の先行抽選の申し込みを2月23日(木)11:00まで受付。
2012年02月22日劇作家で俳優の野田秀樹が、脚本と演出を手がけた舞台『THE BEE』で自身初のワールドツアーを敢行。現地時間の1月5日、ツアー初日となる米・ニューヨーク公演が開幕した。『THE BEE』チケット情報『THE BEE』は筒井康隆の短編小説『毟りあい』を題材とした、際限のない復讐劇を描いたもの。9.11から続く“報復の連鎖”を目の当たりにした野田が、世界に通じるテーマだと確信し舞台化。2006年に英・ロンドンで初演後、翌年には日本でも上演され数々の演劇賞を総なめし話題となった。今回のワールドツアーは、9.11から10年を経たニューヨークで上演したいという野田の希望で実現。野田も出演した初日の舞台は満員御礼となり、カーテンコールでは観客の温かい拍手に包まれた。終演後、野田は「前日のドレスリハーサル(通し稽古)が、思っていたような出来にはならなかったので、突然、自信を無くしてしまったんだよね。それで、昨日の夜は眠れませんでした。初日の芝居は非常に良い出来だったので、いままでやってきたことが間違いなかったと確信できました。あとは、ニューヨークのお客さんが今日の観客たちの評判を聞き、この作品を観にきて、どんな反応をしてくれるのかが楽しみですね」と語った。ニューヨーク公演は1月15日(日)まで。その後、ロンドン、香港と回り、東京・水天宮ピット大スタジオにて2月24日(金)から3月11日(日)まで上演。なお、東京公演のチケットは1月14日(土)より発売。チケットぴあでは1月13日(金)まで先行販売中。また、宮沢りえら日本人キャストによる“ジャパンツアー”も4月から6月にかけて東京、大阪、北九州、松本、静岡で上演する。
2012年01月10日突然の訃報に、映画界を中心に各界から悲しみのコメントが寄せられている森田芳光監督。同監督が、デビュー直前に撮影した幻のドキュメンタリー作品『劇的ドキュメント レポート’78~’79』の本編映像が、YouTube公式チャンネル「ぴあチャンネル」にて公開された。追悼:森田芳光『劇的ドキュメント レポート’78~’79』全編公開この作品は、当時雑誌『ぴあ』誌上で行われていた読者投票企画「ぴあテン」「もあテン」の演劇部門で人気を集めていた気鋭演劇人たちを追いかけたもので、「東京キッドブラザース」の東由多加、「四季」の浅利慶太、「空間演技」の岡部耕大、「天井桟敷」の寺山修司、「状況劇場」の唐十郎、「夢の遊眠社」の野田秀樹・・・等々、錚々たる面々の若き日をフィルムにおさめた貴重な1本。当時の熱気溢れる演劇シーンが、生々しくフィルムに刻まれており、日本の演劇シーンを語る上でも非常に貴重な映像といえる。なお、来年3月24日(土)からは遺作となってしまった『僕達急行 A列車で行こう』の公開も控えているほか、これからも森田監督の作品は繰り返し名画座などで上映されることが予想され、文芸大作からコメディ、エンターテインメントまで幅広いジャンルを手がけてきた森田監督の仕事は、氏の死後も映画ファンに愛され続けていくのではないだろうか。
2011年12月23日2月より六代目中村勘九郎襲名披露興行を行う中村勘太郎が都内で取材会を行い、現在の心境を語った。襲名興行は2月に東京・新橋演舞場にて、3月に東京・浅草の平成中村座で上演後、主要都市を回る。新橋演舞場二月大歌舞伎<中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露>チケット情報「演舞場と中村座で襲名興行ができるのは、なんだか勘九郎らしいですね。父が19歳の時から夢見て建てた中村座で初の襲名ができる。うれしいですね」と勘太郎。父・勘三郎が勘九郎時代に築いてきた功績は数限りない。1994年よりほぼ毎年、若者の街渋谷で『コクーン歌舞伎』を上演。また、現代の作家に新作歌舞伎を創って欲しいという思いから、串田和美、野田秀樹、渡辺えり、宮藤官九郎などに演出や執筆を依頼し新たなファンを掘り起こした。2000年には中村座にゆかりある浅草に仮設劇場を建て、“平成中村座”として公演を行った。その後この一座は日本国内のみならず、世界各地で上演を行っている。そんな勘九郎の名を継ぐ重責については「とりあえず怖い」と話す。「やっぱり戦ってきた名前ですから。(中村座やコクーンでの上演は)歌舞伎を愛してもらいたい、色々な人に知ってもらいたいって。危機感をずっと持っていたんでしょうね。お客様が入ってくれなきゃ話にならないですし。ただ、新しいことをするとよく思わない人もいますよ。いいものをすることによって戦うというか。熱い魂を持って戦ってきた名前ですね」12月の中村座は勘太郎として最後の舞台出演になる。「今月はいい最後を迎える事ができるんじゃないかな。『積恋雪関扉』の関兵衛は今までの役者人生の中で一番苦心した役ですね。演じた者にしかわからない苦しみや疲れがあります。勘太郎という名前で関兵衛をやらせてもらい、偉大なる先輩方が愛した役で、同じ疲れを自分自身で体感でき、歌舞伎ってこういう楽しさもあるんだなと思いました」今年は震災はもちろん、長男の誕生、父の病気、祖父(七代目中村芝翫)の逝去と勘太郎にとっても大きな出来事が続いた。「すごい年になっちゃいましたね。(父の代役を務めた際)命を削ってでもやりますと言ってたら、本当にそれぐらい大変でした(笑)」2月興行では『土蜘』の僧智籌と、『河内山』松江出雲守、『春興鏡獅子』の弥生での出演が決定している。「『土蜘』は、今まで中村屋にあまり縁のなかった役ですが楽しいです。弥生は、祖父(七代目中村芝翫)と1対1でずっと稽古をやってました。父も祖父もすごく大事にしています。おじいちゃま(十七代目中村勘三郎)も。全員の血が入っているから大切にしなければと思いますね。3人とは体型が違うので、当時振り付けられた踊りをどうこの身長で踊るかですね」襲名興行まであと僅か。「今月の“勘太郎”最後をまずは楽しみたいです。襲名はお祭りですからね。お客様にも楽しんで頂いて、一緒に祝って欲しいです」。公演は2月2日(木)から26日(日)まで新橋演舞場で上演。その後、3月平成中村座、9月に大阪・松竹座、10月に名古屋・御園座、12月に京都・南座、2013年2月に博多・博多座で上演される。
2011年12月22日女優の大竹しのぶが〈平成23年秋の褒章〉において紫綬褒章を受章することになり、記者会見で心境を語った。「中村勘三郎さんや柄本明さん、野田秀樹さん、市村正親さんといった親しい方たちが受章なさって、そのパーティに出たりしていたので、『ええっ? 私も?』みたいな感じで、びっくりしました」。自分を“大した女優”だと思うか、との質問には、「大した女優というより、体力のある女優。放出すればするほど、エネルギーが自分の中に蓄積されていく。特に舞台に立っているとそれを実感します」。54歳にして女優としてのキャリアはすでに37年。特に今年は、『大人は、かく戦えり』『スウィーニー・トッド』『身毒丸』、そして現在出演中の『ピアフ』と立て続けに舞台出演に挑んでいる。しかも、そのいずれもが、強い感情と高い集中力を必要とする難役だ。「若い頃、緒形拳さんが『本当にいい仕事ができたと役者が思えるのは、10年に一回。そういう役にめぐりあえたら幸せなんだ』とおっしゃっていて。私は、『ピアフ』にしても『身毒丸』にしても、この間のテレビドラマ(『それでも、生きてゆく』)にしても、めぐりあう役たちが本当に素晴らしい役ばかりで、自分を成長させてくれるので、幸せ者過ぎると思う。演じてきた役に感謝しています」。中でも、シャンソン十数曲の歌唱を交えて実在した歌手の激烈きわまりない人生を演じる『ピアフ』の印象は、鮮烈といっていい。大竹の全身全霊をかけた表現は、エディット・ピアフが歌と向き合う姿勢にそのまま重なる。「セリフの中に、『あたしが歌う時は、あたしを出すんだ。全部まるごと』というのがあるんですけど、私も本当に全部をさらけ出したい。それによってお客さんが解放されて、さらに私も解放される。そういう、高みにまでいったときに劇場で起こるルールが、私のエネルギーになっていると思います。やっぱり、演劇という場は、全部出したいですね。ピアフのように、クスリを使ってまでやりたいとは思いませんけど」。『ピアフ』は、東京・シアタークリエにて11月6日(日)まで上演された後、新潟、富山、金沢、大阪、名古屋を巡演。また来年は、蜷川幸雄の演出によるシェイクスピア劇『シンベリン』の出演が控えている。この作品は2012年4月に彩の国さいたま芸術劇場 大ホールで開幕し、北九州、大阪を経て、5月末からはロンドンへと渡る予定だ。「海外に行くのは、客観的な立場の人に観てもらうチャンス。『マクベス』のNY公演(2002年)もすごい刺激的でした。またひとつ原点に返れそうで、とても楽しみです」。
2011年11月02日イスラエル発のコスメブランド「SABON」スポーツ報知によると、9月22日、野田首相夫人の野田仁実さんがニューヨークの「SABON」で、ボディーローションなどを購入していたらしい。仁実夫人は野田首相の渡米に同行していた。「SABON」は、イスラエル発のコスメブランドで、日本では東京・表参道や六本木ヒルズなどに合計13店舗ある。「SABON」は、死海の塩を使用した商品が特徴で、人気がある。「ボディースクラブは64種類のミネラルを含んでいて、寝る前に使えば香りがよく、血行促進、アンチエージングの効用も期待できます」(表参道店スタッフ)。初外交の合間にちょっとお買い物野田首相夫人の初外交先でのお買い物はお肌がツルツルになる「SABON」だった。夫人が購入したボディーローションは、死海の塩を使ってないが人気のある商品のひとつだ。日本での価格はボディーローションが3500円、ボディースクラブが5000円になる。政界の人の発言などで人気が出る「経済効果」。今回は野田首相夫人のおかげで「SABON」が注目の的になるかもしれない。日本ですでに販売されているので、手に入りやすいのがいい。元の記事を読む
2011年09月25日同じ舞台に立つのは、野田秀樹演出の「パンドラの鐘」以来11年ぶり2度目のこと。タイプもこれまで歩んできた道も異なるが、古田新太と天海祐希が揃って舞台の中央で肩を並べる姿は妙にしっくりし、“必然”という言葉が浮かんでくる。しかも今回は古田さんのホームであり、彼が“番頭”を自認する「劇団☆新感線」の公演。古田さんにとっては「五右衛門ロック」に続いてのハマり役である盗賊・石川五右衛門役で、天海さんは、煌びやかな衣裳をまとい、宝塚時代を彷彿とさせる凛々しさと美しさを兼ね備えた女海賊・旋風のアンヌとして、文字通り舞台を所狭しと暴れ回り、歌い、踊り狂う。昨年、大反響を呼んだ舞台がゲキ×シネ『薔薇とサムライ』としてスクリーンに復活!改めて2人に話を聞いた。10年の時を経ての再共演で改めて感じる“凄み”共演を果たす前から互いに“両想い”だったという2人。古田さんは、天海さんが宝塚にいたころからのファンであり、天海さんは舞台で見た古田さんに「一発でハートを奪われた」という。「(初共演前に)ある映画の違う現場で、古田さんが座っているのが見えて、走って行きましたからね(笑)。『古田さーん!』って」とまさに“ファン”そのものである。その年の数々の演劇賞と話題をさらった「パンドラの鐘」での初共演に、それから10年以上の時を経ての再共演。天海さんは改めて、古田さんの“凄み”についてこう語る。「古田さんは(外から)見ていて、存在が大きいんですよ。でも、一緒にお芝居させていただいて『何だろうこの人は?天才って本当にいるんだ』と感じました。ポンッと立つ位置が絶妙なんですよ。すごく自由でした。自由なのに決め事をしっかり守っていて、ひゃーって思いましたよ。ほとんど宝塚でのお芝居しか知らなかった私にノウハウを教えてくださいましたね。今回、こうやってまたご一緒させていただいて、やっぱり安心できる方なんですね。だからいろんな演出家の方が呼びたがるんだな、というのが分かりました」。映画の現場で「古田さーん」と走り寄ってくる天海さんを「あ、天海祐希がいる。ん?どんどん大きくなっていく(笑)」と見つめていたという古田さん。懐かしそうに笑みを浮かべ、当時をふり返る。「野田さんの芝居で共演したとき、うちの劇団の子が舞台上のゆりちゃん(※天海さん)を初めて見て、おれの控室に来て『あの人なんなんですか?あのオーラは!』って。おれはゆりちゃんのマネージャーみたいに『なっ?』って言ってました(笑)。今回の芝居でも、女海賊たちにゆりちゃんが『大丈夫だ、元気出せ』って言うと、もうメロメロになっちゃうんですよ。『てめぇ知ってんな、自分の威力を…』って思ってました(笑)」。ズバリその“威力”は、古田さん曰く「古い例えで言うとサミー・ソーサみたいな女優さんです(笑)。打ち取れる気がしねぇ」。すかさず天海さんが「いまの若い子たちは分かんないから!」と突っ込む。互いへの尊敬と称賛の思いをなんのてらいもなく口にしつつ、普段の2人のやり取りはどこか夫婦漫才のようだ。この日のインタビューは映画館内のカフェで行われたが、落ち着きのない子供のようにキョロキョロと客席を眺める古田さんに天海さんが「はい、ビールはまだですよ」。舞台上の五右衛門とアンヌの掛け合いそのまま。実際、壇上での2人の会話のシーンに関しても、「作りこむ」といった作業はほとんどなかったという。天海さんとのシーンについて、古田さんが明かす。「やり取りの中でストレスがないんですよ。テンポが良くて楽しい。五右衛門とアンヌもポンポンと掛け合いでやるツーカーな関係なのでちょうどよかった。相談するでもなく、2人で“作った”という感じでもなく。いのうえ(ひでのり/演出)さんの言う通り…まあ言うなれば“テキトーに”作った感じですね(笑)」。やりつくしたはずのキャラクターから見える新たな魅力自身が主人公を演じた作品で、“再演”ではなく新たに“続編”が作られるというのは大変なことであり、当然、役者として幸せなこと。釜茹の刑を生き延び、南の海で大暴れした五右衛門が本作ではイスパニアの海に渡り、海賊たちの用心棒を務めている。五右衛門というキャラクターへの思い、前作との違いを古田さんはユーモアたっぷりにこう説明する。「新感線としては、やり尽くしたキャラクターですよね。ちゃらんぽらんで女に弱くて、腕が立って頭がいいけどドジ。25年間ずっとやり続けてきたことで、僕としては飽き飽きしてるとこもあって『五右衛門ロック』のときは『もうお客さんも飽き飽きしてるだろう』って思ってたら、そんなことはなくてみんな喜んでくれた。そしたらおれも『あぁ、気が付けば10年ぐらい敬遠してこういう役やってなかったなぁ』って(笑)。だから『五右衛門ロック』のときは『またこれかよ』ってかなりイジけてるんです。今回は完全に吹っ切れて楽しんでますよ」。“キャラクター”という意味では、宝塚時代の役柄や、TVドラマなどでの強烈な印象もあって、少なからぬ人が天海さんに対し「男勝りの凛々しく、強い女性」というイメージを抱いている。本作のアンヌも女海賊であり、強い女王。一歩間違えば全てが“天海祐希”となってしまうタイプの似た役柄を、作品ごとに演じ分け、観る者を納得させるところに彼女の凄さがあるといえよう。だが似たタイプの役柄がオファーされることに女優として思い悩むところはないのだろうか?だが、彼女自身はこうした周囲のイメージを楽しんでさえいるようだ。「そこはもちろん良い点と悪い点どちらもあると思いますよ、ひとつのイメージで決めつけられるというのは。でも、望まれているうちはそれをちゃんと全うしようと思いますし、それがあってこういう役(=アンヌ)をいただけるのはすごくありがたいと思ってます。素の自分とのギャップ?それはもちろんどの役でもありますよ、みなさんが持たれるイメージとの差は。でもそこは、騙されてくれてありがとうって思いながらやってます(笑)」。ちなみにそのギャップとは?人々が持つ“美しく凛々しい天海祐希”の意外な素の部分は…。「いやいやいやいや!そんなことは企業秘密ですよ(笑)」宝塚卒業から十数年「いまだからできた役柄」今回は特に、海賊スタイルからドレス、軍服まで、天海さん自身「コスプレ系」と言うほど多彩かつ豪華絢爛な衣裳をまとっている。役柄も含め、宝塚時代からの彼女のファンにとっては、かつての月組の男役トップスターを彷彿とさせる姿と言えるが、宝塚への敬意と、そこで学んだ者としての誇りを込めて、彼女は胸中のこんな思いを口にする。「私の全ての基本になっているのは、宝塚で教わり、学んできたこと。そういう意味で、今回の舞台で特別に宝塚の経験が活きたとは思っていません。ただ、これだけの時間が経っていなかれば、また新感線じゃなかったらやろうと思わなかっただろうな、とも思います。決して私自身、宝塚のことを触れられるのが嫌なのではありませんが、きっちりと区別をつけなくてはいけないと思ってます。自分で区切りをつけて、『もう戻れない』という気持ちで外に出たわけで、それから男役を演じるというのは、宝塚に対して失礼なことだと思っていますから。そこ(=宝塚)は自分が大切にし、頑張ってきたところであって、自分の中の宝塚を傷つけてしまうような気がします。でも、今回のアンヌは女性役であり、新感線ということで、いのうえさんの味付けと中島さんの脚本、劇団のメンバーと一緒に『こういうやり方で、こんなことができるんだ』と思えた。確実に必要な時間だったと思いますが、この年数が自分を柔軟にしてくれたというか、『いまだからできた』という思いは強く感じています」。自分自身に対してではなく、大切にしているものへの“誇り”――これこそが天海祐希を美しくする。そして、やたらと“こだわり”が叫ばれる世の中で、「おれにはやりたい役はない。誰かが思いついたひどい役を嬉々としてやりたい」と言いきるこの“しなやかさ”こそが古田新太を自由人たらしめる。舞台上であいまみえる2人の表情、その輝きを堪能してほしい。(photo:Toru Hiraiwa/text:Naoki Kurozu)■関連作品:薔薇とサムライ 2011年6月25日より新宿バルト9、梅田ブルク7ほか全国にて公開© 2011, VILLAGE INC.■関連記事:古田新太、天海祐希の絶賛に下ネタ&パパラッチネタで応戦!頼りになる“アネゴ女優”ランキングアンジーをおさえての1位は“BOSS”天海祐希!古田新太らキャスト登壇予定『薔薇とサムライ』完成披露試写会に10組20名様ご招待シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第14回)頼りになる“アネゴ”女優は?
2011年06月22日『かもめ食堂』、『めがね』など、観る者の心をどこかホッコリとさせてくれる良作を世に送り出してきたチームの最新作がついに始動!気になるタイトルは『東京オアシス』。東京を舞台に、ひとりの女性が繰り広げる出会いが、“何か”を気づかせる――。主演を務めるのはもちろん小林聡美!加瀬亮、もたいまさこ、市川実日子らおなじみの面々に加え、原田知世に新鋭・黒木華(はる)といった新たな顔ぶれも。主要キャストの小林さん、加瀬さん、原田さん、黒木さんが、5月の撮影を前に心境を語ってくれた。『かもめ食堂』、『めがね』、『プール』、『マザーウォーター』の製作チームによる本作。物語は小林さん演じる女優のトウコが、深夜のコンビニ、映画館、動物園といった何ということもない場所で、小さな偶然の出会いを果たすというシンプルなつくりとなっている。過去の作品は海外や地方が舞台となっており、のどかな風景が特徴として味わいを醸し出していたが、今回はタイトルにもあるように東京が舞台。こうした点も踏まえて、小林さんは「これまでとは毛色というか…雰囲気の違う作品になりそう」と語る。“女優”を演じるということについても「どのぐらいの女優なんでしょうか?」と思案顔だが、すかさず加瀬さんが横から「大女優ですよ」、「(セリフは)腹式呼吸でお願いします」と茶々を入れる。加瀬さんは、トウコが最初に出会う青年・ナガノを演じる。レタスを積んだ軽トラックを運転し、ひょんなきっかけで立ち寄ったコンビニの店先でトウコを車に乗せることになる。『めがね』以来の“常連”である加瀬さんも、本作には少し違った匂いを感じているようで「いままでに参加させていただいたものも(役柄は)突飛と言えば全部、突飛なんですが…。ただ今回、(脚本を)読んだ印象はいままでと違いましたね」と語る。セリフも従来と比べてかなり多いようで「(これまでは)どちらかというと会話とかじゃなくて、(間や表情で)やってきた気がするから、どんな感じなのかな、と」。トウコとナガノのある会話から、ナガノは群馬の出身ということが推測されるが、加瀬さんはそうした点も含め役柄について「このチームの映画って、書かれてないけど裏設定はしっかりしていて、毎回、ものすごくきちんと(役柄の裏設定の)説明を受けるんです。あえてそれをアピールするようなことはしないんですが。今回も(同じように)やることになるんじゃないかと思ってます」と明かしてくれた。初参加の原田さんは、トウコとは旧知の元脚本家・キクチを演じる。キクチはいまは映画館で働いているが、そこでトウコと偶然の再会を果たす。加瀬さんの「セリフが多い」という言葉に「意外と多くて…。間とかではなく、思いをはっきりと口にするんですよね」と頷く。自身の役柄については「人生の中で、何となく心のどこかで『こうなりたい』、『こうしたい』と思ってても実際にはそっちには進んでなくて…でも、どこかで思ってたら道が開けてくることがあると思うんです。私の役も、たまたまトウコさんと会って、背中を押してもらうんですが、人生をふり返ったときに『あのとき、ああいうことがあったから、こちらに来たんだな』という、どこかでスイッチ入れてもらった瞬間というのがあるな、と。分かるなという部分が多いです」と共感を口にする。劇作家・野田秀樹の主宰するNODA・MAPの公演にオーディションから抜擢され、そのまま続けて3作連続で出演を果たし、注目を集める黒木さん。映画初出演となる本作では、若いながらに人生に行き詰まった矢先に、動物園でトウコと出会うヤスコを演じる。物語について「私は大阪の田舎の出身なんですが、見知った人の周りで生きていると、なかなか全く知らない人と会って話をすることがなくなっていきます。いろんな人にお会いすることで、そこからいろんなことが起こったりすることがあるんだなと思いました」と初々しい表情で語る。これまで4作を作ってきたチームに参加することになるが、黒木さんはこれまでの作品の印象について「私の勝手なイメージなんですけど、空気が澄んでいて、澄んだ時間が流れているなと思って観てました」と語る。同じく初参加の原田さんは「『かもめ食堂』を観て、ひとつひとつ細かいところまで丁寧に作られてる作品なんだな、と。役者さんも自然にそこにいるように見えて、独特の空気感が心地よくて新鮮でした。こんな映画が日本で作れてすごいなと思っていたので参加できて嬉しいです」と喜びを口にする。原田さん曰く「『良い現場なんだろうな』と思っていて…いつになく緊張してないです」。では、迎える側は?小林さんは「怖い緊張感があまりないよね。『良い映画を作りたい』という目指すところはあるけど、それだけ。あとはみんなが自分らしくいられる現場だと思います」とニッコリ。加瀬さんも「“迎える”という意識はなくて、むしろ頼ってるというか、新しく参加してくれる人にすがって(笑)。そこでいつも新鮮な変化が起きるので、頼ってますし、楽しみにしてます」と新メンバーへの期待を語る。改めて、“東京”という街の印象をそれぞれに尋ねると「いろんなバックグラウンドの人たちが、一見そうと見えないんだけど、面白く調和して動いている街。エネルギーのある街だなって思います」(小林さん)、「色とりどりの場所だから、その中で自分が落ち着く場所をみつけるのは難しいときもあるんですが、エネルギーとかいろんなものをもらえるところだし、自分の中で上手くバランスを取りながらいる場所ですね」(原田さん)、「人がたくさんいるな、と思います。大阪から12月に出てきたばかりで、想像していた東京は“人が冷たい”とか“森がない”とかそういうイメージでした。でも、何か月かですが、いてみると地元と共通してるところもあって、公園とかもあって、自分が想像していた東京とは少し違うな、と思います」(黒木さん)、「街で言えば“砂漠”なのかな。でも、そこに“人”がいるから、好きでいられるし面白い。常に地方や外国の方も含めて、人が風のように出たり入ったりしてて…風通しのいい街にも見えるし、でも人を抜いたら砂漠なのかもしれないですね」(加瀬さん)とそれぞれに興味深い答えが。そんな思い思いの東京で、どのような出会いとドラマが繰り広げられるのか?先日の震災により、ロケ地などを含め少なからず影響を受けているという本作だが、小林さんは「まだ大変な状況が続くでしょうが、この映画はこのタイミングで作るのにいい映画じゃないかなと思います」と語り、「丁寧に心をこめて、自分の仕事をやっていきたい」と静かに意気込みを口にする。加瀬さんも「元々、シンプルな映画を作るチームですが、今回、震災があって、自分の中でいままで以上に余計だったものが揺り落とされた気がしています。そういう自分のまま、この映画の中に立ちたい」と思いを明かす。原田さんも「簡単に言葉にできないんですが、自分の中で確実に何か変わってきている」と語り「よりシンプルに…たくさん物事があって見えなかったものが、すごくすっきりと見えるようになった気もしてます。なので、そのまま現場に入ってやるのが一番いいかな。あまり頭で考えたり、物事をくっつけたりしないでやれたら」と慎重に言葉を選びながら思いを語ってくれた。「知らない人同士でいようと思えばいられるけど、ちょっと一声かけるだけで、温かいものが広がったりする」とトウコが東京の片隅で果たす小さな出会いをそんな言葉で説明する小林さん。ふとした出会いが人をつなぎ、気づきを生んでいく――。まさにいまの日本が必要とする物語と言えそうだ。このチームに欠かすことができない、フードコーディネーターの飯島奈美の料理など、撮影が始まる前から物語、キャスト以外の要素でも楽しみな点が多い本作。『プール』でメイキングを担当し、『マザーウォーター』で初めてメガホンを握った松本佳奈と、数多くのCMやPVを手掛ける中村佳代という2人の監督の手で紡がれる。『東京オアシス』は5月26日(木)よりクランクイン。撮影は2週間の予定で東京近郊で行われる。公開は10月22日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて。■関連作品:東京オアシス 2011年10月22日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開© 2011オアシス計画
2011年04月22日歌手の西城秀樹が9月22日(水)、東京・港区のシネマート六本木で行われた映画『メッセージそして、愛が残る』(ジル・ブルドス監督)のトークショー付き試写会に出席した。自分の死期を悟った主人公の男が、残された時間を大切に生きようとして疎遠だった家族との絆を取り戻していく姿を描く物語。2003年6月に脳梗塞を発症し乗り越えた経験を持つ西城さんが、愛することや生きることの大切さを伝える本作に共鳴し、来場したもので「この映画、本当に深いです。2回観まして1回目はショックを受けて落ち込んだ。でも2回目には、基本は生きている間をどう生きるかを描いた温かい映画だと思った」としみじみ。もし主人公のように死期が分かったら?との質問には「怖いから嫌だけど、分かったら腹をキメて人生にどう素晴らしいものを残せるか考えます」。自身が大病を経験して変化したことについては、「家族への愛情をもっと出していこう、思い出を作ろうと思うようになった。家族が先で、仕事がある。いまは家族と過ごしている時間がこの上なく楽しい。それがあるから仕事ができる。そう気付いたときから女房には頭が上がりませんね」。取材陣から家族には感激ですか?と突っ込まれると、「秀樹カンゲキ、って言わせたいんでしょうが」と苦笑いしつつ「カンゲキというよりありがとう、です。例えば食事を作ってくれるのも、当たり前とは思わない。他人と暮らしているわけですから」と語った。『メッセージそして、愛が残る』は9月25日(土)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:メッセージそして、愛が残る 2010年9月25日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開© 2008 FIDELITE FILMS - AFTERWARDS PRODUCTION INC - AKKORD FILM PRODUKTION - WILD BUNCH - M6 FILMS■関連記事:香山リカが夫婦愛講座永く愛されるコツは「求め過ぎない」香山リカトークショー付き『メッセージ』カップル限定試写会に15組30名様ご招待ロマン・デュリスが大人の苦悩を演じ上げる!『メッセージ』予告編を独占先行配信
2010年09月22日野田琺瑯の保存容器は形もサイズも種類が多く、お客様から「どれを選べばいいか分からない」というお声をよくいただきます。またユーザー同士でも人によって用途が異なり、会話の中で「こんな使い方もできるんだ!」と知ることもしばしば。そこで、連載「野田琺瑯を使いこなそう」の第2弾のテーマはズバリ、「保存容器の使い分け」。前編では、それぞれの特徴を生かしたおすすめの保存方法を。後編では、保存以外の使い方をまとめてご紹介します。それではまずは前編から。いってみましょう!レクタングル深型・・容量たっぷり、汁ごと保存もOKしっかりと深さがあり、見た目以上に容量があるレクタングル深型。バターが丸ごと入るSサイズから、お米2kgがストックできるLLサイズまで、全4タイプです。<季節の果物を洗ってそのまま保存>いちごやブドウは、食べるたびに少しずつ洗うのがちょっと面倒。そんな時は最初にまとめて洗い、水を切った状態で琺瑯へ。食べたい時にサッと出せ、お弁当用に少量欲しい時にも便利です。<常備菜用にあると重宝>深さがあるので煮物などを汁ごと保存でき、じっくりと味を染み込ませられます。また南蛮漬けのような油を使った料理も、琺瑯ならヌルヌル感が洗ってサッと落ちるので、お手入れラクラク。<野菜などのかさばる食材もスッキリ>冷蔵庫でおさまりの悪い水菜やネギは、ザクっと切り分けて琺瑯に移します。食材の鮮度を保つ琺瑯なら、切った野菜でも長持ちしますよ。これからの季節なら、スイカも実の部分だけ切って琺瑯に保存するといいですね。レクタングル浅型・・使いやすさの決め手は「薄さ」保存容器としては薄めのレクタングル浅型。S、M、Lの3種類ありますが、いちばん大きなLサイズでも薄さ5.8cm。狭い冷蔵庫の棚にも2〜3個重ねて入り、省スペースで保存できます。<下ごしらえから保存まで、これひとつ>保存容器と言いつつも、感覚としてはフタ付きのバット。空いている時間にムニエルやフライを下ごしらえしておいて、揚げる時までフタをして冷蔵庫へ。そんなシチュエーションがしっくりきます。<漬物やマリネをおいしく保存>薄いシルエットは全体を均一に漬けるのに適したカタチ。漬物やマリネを保存すると、ムラなく味が染みわたります。琺瑯なので酸や塩分に強く、ニオイ移りの心配もありません。スクエア・・長期保存食にはこのカタチが◎レクタングル(長方形)よりも口が狭く、食材の酸化がより緩やかに。そのため長期間入れっぱなしになる保存食の保存なら、スクエアがぴったりです。サイズはS、M、Lの3種類。MとLは間口が同じで、深さだけが異なります。<味噌の保存に>味噌はパックのまま保存するより、保存容器に移し替えた方がおいしさが断然続きます。元々、鮮度を保つのが得意な琺瑯容器。塩分にも強く、長期保存する味噌の容器にうってつけなんです。<Lサイズと持ち手付きストッカーの使い分け>「スクエアLサイズ」と「持ち手付きストッカー角形L」は大きさが同じで、違いは持ち手の有無だけ。頻繁に出し入れするなら持ち手付きが便利ですが、冷蔵庫内のスペースを有効活用するなら、スクエアを選ぶとスッキリ整いますよ。ラウンド・・使い勝手に優れ、サイズも豊富レクタングルやスクエアにはない、穏やかなルックスが人気のラウンド。サイズ展開が豊富で、6種類全てフタをしたまま入れ子収納できるという便利な一面も。<器の代わりになり、洗い物もラクチン>器として使う時に、シリーズの中で最も食卓に馴染むのがこのラウンドです。たっぷり作って容器ごとドンと食卓に出し、おばんざい屋さんのような演出をしても素敵。また、角がないので洗いやすく、キレイが長続きするのも嬉しいポイント。<カレーやシチューの温め直しに>作り置きのカレーやシチューをコンロで温め直す際、円形だと、かき混ぜやすいというメリットが。1人前ずつ保存するなら12cmか14cm、家族分まとめて保存するなら19cmか21cmが使いやすいですよ。ラウンドストッカー・・大容量&中フタ付きでニオイ漏れも安心バケツのような寸胴のような、たっぷりサイズのラウンドストッカー。2重フタ構造で気密性が高く、琺瑯のフタは平らなのでスタッキングしたりトレイとしても活躍します。サイズは3種類で、いちばん小さな18cmでも容量が1.5Lあります。<乾物やシリアルの保存に>かさばる乾物やシリアルも、大容量のラウンドストッカーならすっぽりおさまって、湿気もシャットアウト。シリアルやジャムなど朝食セットをまとめて入れ、朝は容器ごと食卓に出してもいいですね。<ニオイの気になる食材の保存に>フタが2重になっているおかげでニオイが漏れにくく、ぬか漬けやキムチといったニオイの強い食材の保存にぴったり。琺瑯なのでしつこいニオイも、洗えば簡単に取れますよ。<米びつとして>キッチンに出しっぱなししても違和感がないことから、米びつの代わりにする人も。真ん中サイズの21cmで、お米5kgがすっぽりおさまります。自分のキッチンライフにフィットする保存容器が、必ず見つかるのが野田琺瑯のいいところ。次回は後編。今回お伝えしきれなかった、保存以外の便利な使い方をご紹介します。どうぞお楽しみに。 ⇒暮らしの道具、野田琺瑯一覧はこちら ■食のはなし 野田琺瑯を使いこなそう 池田奈未好きなものは、まち歩き、カメラ、淹れたてコーヒー。収納の少ない家で3人暮らし。すっきり心地よい暮らしを目指しています。
2001年12月05日