第3回:寂しさで賑わいを見せる「結婚期間を終えて『おひとりさま』になってから1年が経った」という読者投稿をいただいた。私は結婚をしたことはないが、今年の夏頃まで1年半ほど「おひとりさま」の時期があった。その最初のクリスマス。仕事を終えた私は、帰りに駅前のコンビニに寄った。そこにあった小さめのクリスマスケーキを見て、素直に美味しそうだと思った。昨今のコンビニスイーツはどれも目を引くものが多く、侮れない。尚かつ、クリスマス。つい気分が上がり、ケーキ買おう! ついでにチキンも! と、後先考えずにクリスマスの定番品を買って帰宅。しかし、わくわくしたのも束の間。私はそれらを食しながら気付いてしまった。あ、分かった! これ寂しい! やってしまった! あーすごいすごい! 寂しい!こうハッキリ寂しいと分かると、可笑しく思えてくるもので、「寂しい」という感情が部屋の装飾になったような、滑稽な気持ちになった。そこから学んだことは、寂しい時は寂しいとハッキリ認めてしまうことだ。その1年はいろんなことをやらかしたが、無かったことにするべきではない。というよりも、自分の中ではどうやったって無かったことにはならない。周囲に声を荒げて言う必要もないが、認めるということを忘れてはいけない。素直にケーキを買っちゃう自分のことも、寂しいと認めた上で労ってあげるのが大事で(ここが大事。寂しくない、平気だ、と自分に嘘をついたんじゃ不健康極まりない)、そんな自分に最適なご褒美をあげられるのもまた、自分だ。もうすぐクリスマス。なんでもない普通の日として過ごすのも良いが、自分にご褒美をあげる日として過ごすのも良いのではないか。この連載では、爪作家である私が、読者のみなさんが「どんなおひとりさまか?」をヒントに爪をつくります。あなたのエピソードを添えて、送ってください。Design&Text/つめをぬるひと
2016年12月12日皆さんが純喫茶で過ごす時間は、だいたいどのくらいでしょうか?長居するように思われる私ですが、実は平均して30分程です。店内にいる時は、たいてい何もせずひたすらぼんやりして過ごすことが多いので、一杯の珈琲をゆっくりと飲み干した頃合いで、自然に立ち上がり店内を後にすることが常です。しかし、それは「ある場合」を除いてのこと。というのは、好みの漫画が本棚に多数並んでいた時は、つい時間を忘れて過ごしてしまうこともしばしば。例えば、ここのところ頻繁に足を運んでいる、練馬駅にある「アンデス」などがそうです。地下鉄大江戸線から、地上にあがってすぐ目の前。30秒もかからずに行けるので、雨の日や風の日にも心強い存在です。一面が広い窓に囲まれている、二階にある店内には、日中は光が差し込み、夜も信号の灯りに照らされた通行人たちを眺めることができる、開放的な空間です。窓と反対側の壁をぐるりと囲む棚には、漫画や雑誌、小説など様々なジャンルの本が天井に届くほど高く積まれています。まるでここは大人の図書館のようで、好きな漫画を片っ端から読んでも通い続けたくなる楽しみがあるのです。私が好んで読むのは、純喫茶の定番である「ゴルゴ13」や「黄昏流星群」「人間交差点」など。豊富なメニューの中には、東京ではなかなかお目にかかれない“鉄板ナポリタン”もあるので、空腹時に訪れたいところです。ただし、混雑する昼時は鉄板が足りなくなるため、普通のお皿で提供されるのでご注意を。他にも気になるメニュー名として「日焼けパフェ」に「シェフマリオ」などが。通常のチョコレートパフェは白いバニラのアイスクリームが乗っていますが、日焼けパフェにはいったいどんなアイスクリームが…?何が出てくるのかは、注文してからのお楽しみに。「アンデス」という店名から分かるように山登りがお好きだというマスター。「ここでガツンと儲けて、いつかはアンデスへ旅をしたいってずっと思っていてね。でもきっとずっとここで働くのだろうなあ」と冗談を交えながら、優しい顔で笑います。実はこちらの鉄板ナポリタンを有名にしたのは、漫画家のあだち充先生。今でもたまにいらっしゃるそうで、店内にはお店宛に描かれた絵も飾られています。絵の横には『コーヒーとナポリタンは注文すれば出て来たが、作品のアイデアは「アンデス」のメニューに無かった…』と思わずくすりと笑ってしまう一言。訪れた時には探してみることをお薦めします。Text/難波里奈
2016年12月09日育児に仕事にと忙しい毎日を送るママたちですが、1人で楽しむ趣味はあるのでしょうか。調査をしたところ、隙間時間を上手に使って趣味を楽しんでいるのがわかりました。中には、ママらしからぬ趣味を楽しんでいる人も。やはりたまには息抜きが必要ですよね。Q.1人で楽しむ趣味、ある?1.ある 62.1%2.ない 28.9%3.わからない・どちらとも言えない 8.9%60%以上の人がなんらかの趣味があることがわかりました。子どもが小さいうちは趣味どころじゃないという人もいるようです。さらに働いていると自分の時間はどんどん削られていくことに。■出産後ハンドメイドに目覚める人が急増中保育園や幼稚園などに通うようになると、子どもの巾着袋や手さげバッグを作る機会があります。それを機に手作りにハマる人が急増中。作ったものは実際に使えるので一石二鳥になります。さらに没頭できることでストレス発散や達成感を味わえます。プチ稼ぎにつながることも。「ハンドメイドです。今は息子の冬の帽子を作っています。先日は娘のピアノ発表会の衣装を作りました。買うと高いので、作ると安上がりだし、何より楽しいです」(北海道 40代女性)「編み物してます。子育てもパートの仕事も家事も忙しいのですが、悩み事や考え事をせずに没頭できる趣味があってよかったと思っています」(埼玉県 40代女性)「ミシンが趣味になりました!子供の服を作り始めて、中古のロックミシンも購入。布代もかかるけど、出来上がったときの達成感がすごくいい!」(埼玉県 30代女性)「トールペイントとエコクラフト。子供たちを寝かせてから夜中にしていました。今は教室を開いています」(神奈川県 40代女性)■ちょっとした不摂生が楽しい!ママといえば、子どものために早起きして朝昼晩のご飯を準備したりと規則正しい生活をしていることが多いです。だからこそ、不摂生だったりちょっとジャンクだったりするものに癒されることも。「ひとり酒」(宮崎県 40代女性)「深夜のカラオケフリータイム。数百円でドリンク飲み放題、持ち込み自由なので定額でストレス発散」(千葉県 40代女性)「ネットカフェで過ごす。家にいると皿洗いや片付けをはじめてしまうからダメ。狭いブースは思いのほかくつろげます。食べ物も冷凍食品を温めただけだとしても、他人が用意してくれる食事のありがたみは大きいです」(神奈川県 30代女性)■自分の時間がなさすぎて大爆発趣味をする時間とまではいかなくても、自分の時間すらないとやはりイライラが大爆発してしまいます。爆発する前に、夫や祖父母に協力してもらってひとり時間の確保をしましょう。「つい先日、このことで夫婦ゲンカをしました。子ども3人、パートもしていて私には自分の時間なんて皆無です。先日息子の1人が骨折、通院やら習い事の送迎が増えて私のスケジュールはそれこそ分刻みに。それでも生活スタイルを変えない旦那についに大噴火してやりました」(千葉県 40代女性)Q.1人で楽しむ趣味、ある?アンケート回答数:5218件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2016年12月02日働くおひとりさまにとっての毎日はめまぐるしくて、ゆっくり季節を感じる時間さえ取れないですよね。「休日のたった1時間でいいからほっとしたい…」元外資系バリキャリから一転、丁寧な生活を目指して料理研究家になった太田みおさんが、四季の彩りを簡単に楽しむ「レシピ=歳時記」をお届けします。(c)太田みお余ったハーブを束ねる。コツは、長いものを奥に、短いものを手前に。今回は、ローズマリー、タイム、そして家にあったドライフラワーを少しアクセントに加えました。束ねたら、麻ひもやリボンできつめに縛り、根元の茎の長さをはさみで切りそろえればできあがり。
2016年11月30日第2回:「飽き」からの脱却先日、髪を切ったときのはなし。ここ数年はボブで過ごしているので、また昔みたいに伸ばしてみようと思っていた。「肩あたりで我慢できなくなるんですけどね」と美容師に軽口をたたいたその数分後、「すみません、やっぱりそこ切っちゃっていいです」と言ってしまったのだ。結局ボブ。我慢する気がない。やっぱりこれが好き。某サランラップのCMさながらに店を後にした。その日、私は無性にパスタが食べたくて、どこでもいいから食べられるお店を探していたのに、気づいたらうどん屋に入っていた。うどんが好きで、年がら年中食べているにも関わらずに、だ。さらに食後は大満足しちゃって、もうパスタのことなどどうでもよくなっていた。この”うどんマインド“から脱却するために、私は衝動的にぶどうを買った。「美味しい。なんでもっと早く食べなかったんだろう」普段、家であまりフルーツを食べない私にとって、朝から一粒一粒ぶどうを食べるこの幸福感は、些細なようで大きい発見だった。しかし、後日スーパーに行ったら、旬は終わって値上がりしており、脳内の旬も終了した。「飽き」は安心感の裏返しでもあるので、脱却するにはそれなりの意志が必要だ。気持ちがあるうちにやっておかないと機会を逃すし、自分にとって何が一番しっくりくるかを再認識することもできる。ひとえに「一つのものが好き」と言っても、変化を望まずあーだこーだと文句を垂れている人より、好きなものの範疇外を知っている人のほうが、言動に説得力がある。飽きから脱却するための意志や芯の強さを感じるからだろうか。この連載では、爪作家である私が、読者のみなさんが「どんなおひとりさまか?」をヒントに爪をつくります。あなたのエピソードを添えて、送ってください。Design&Text/つめをぬるひと
2016年11月28日ひとり焼肉が楽しめるお店『ニクアザブ』のおひとりさま人気の秘訣は、お肉一切れからでも注文できるシステムや、店員さんたちとのトークと焼肉を楽しめるカウンターにあり。半分の量を半額で頼むこともでき、平日は5時まで営業していて0時以降の入店も可能なので、女性ひとりでも仕事帰りにふらりと立ち寄れるのが◎です。その居心地の良さから、最近では女性の常連客も多いのだとか。一切冷凍なし、新鮮なA4ランク以上の黒毛和牛もちろん、お肉にも並々ならぬこだわりがあります。なんとA4ランク以上の黒毛和牛がメイン! 日本中のブランド肉が集まる芝浦市場から毎日仕入れる新鮮なホルモンも必食です。一切冷凍していないさばかれたばかりのお肉が届くので、さっとあぶるだけでOKなお肉もあり、ジューシーでフレッシュな肉汁の滴りをたっぷり堪能できます。さらに、スタッフが開発したタレも要チェック! 10種類以上に及ぶタレは素材や味付けにこだわり抜いた一級品です。これだけ味にバリエーションがあれば、どんなお肉を食べても飽きません。味の変化を楽しみながら、最高の焼肉時間を過ごしましょう!取材・文/萩原かおり店舗情報店名:ニクアザブ 六本木店TEL・予約:03-5411-2929住所:東京都港区六本木4−10−7 2Fアクセス:都営大江戸線・東京メトロ日比谷線「六本木」駅出口6から50m営業時間:平日 18:00~翌5:00(L.O.翌4:30)日祝 18:00〜翌3:00(L.O.翌2:30)定休日:年中無休
2016年11月26日「いつも純喫茶では何を注文しますか?」「必ず食べるメニューを教えて下さい」という質問をたまにいただきます。だいたいの場合、店の看板メニューともいえる珈琲は注文しますが、食べ物のメニューに関してはその日の気分によってまちまちです。ケチャップたっぷりの熱々ナポリタンやマスターこだわりのスパイシーなカレー、ふんわり卵で巻かれたオムライス、冷たいアイスクリームと美しい色合いのソーダ水を交互に楽しむクリームソーダ、レトロな飾り付けにうっとりときめくプリンアラモードなどなど。純喫茶へ行く度にどちらを食べようか迷ってしまうので、胃袋がいくつあっても足りない…と思ってしまうほど。そんな豊富な純喫茶メニューに迷ってしまった時、よく注文していたのは「ホットケーキ」です。誰もが幼い頃に一度は食べたことのあるような、懐かしく親しみのある味。そして、運ばれてきた時の見た目になんともいえない幸せな気持ちになるところも、私が心惹かれるだけでなく、多くの人から人気がある秘密ではないでしょうか。綺麗なまんまるも、少しいびつな形も愛おしい…。今回は、誰かと一緒に分け合って食べたくなる、ホットケーキのある店を紹介します。錦糸町の南口から歩くこと数分。夜になるとネオンが輝き出す街並みの一角にあり、長い間近隣の人たちを癒してきたであろう純喫茶「ニット」です。今ではすっかり名物になった、驚くほど分厚くて美しいホットケーキを求めて、遠方からもたくさんの人がやって来るそうです。注文してから運ばれてくるまで約20分。もし誰かと一緒ならば、銀色のトレイで提供される太麺を使用した、ナポリタンも一緒にいかがでしょうか。他に、少し変わったメニューとして、かに雑炊やおにぎりセットなどもあります。表面カリッと中はふわふわ、美しいホットケーキ白いシャツと黒いパンツの制服に身を包み、素敵な声でもてなして下さる感じの良いボーイさん。彼が運んでくれるホットケーキは本当に美しくて、何度見ても思わず感嘆の声をあげてしまうほど。セルクル(形)に入れられてじっくり焼かれたホットケーキは、表面はカリッとしていて、その厚さにも関わらず中はふんわり。最初はバターだけで味わい、その後にシロップ(こちらでは透明のもの)を好きなだけ染み込ませて。焼き立てのホットケーキみたいに艶やかで、素敵な洋服をお召しのママさんは、品があっていつもにこやか。閉店間際にはレジにいらっしゃることも多いので、ホットケーキやナポリタンの美味しさの秘密について、伺ってみるのはいかがでしょうか?Text/難波里奈
2016年11月25日手に届きそうで届かない…眩しすぎる少年(c)Unsplash少女マンガは、めちゃくちゃおおざっぱに分類すると、「胸キュン恋愛系」と「そうじゃない系」に分かれます(ホントにおおざっぱだった!)。そうじゃない系には、ドロドロ、ノンフィクション、ミステリ、問題提起などがありますね。胸キュン恋愛系は、もう最初っから“くっつく”ことがわかってる男女がヤキモキしながら、女子が2ページに1回キュンキュンしたり、単行本1冊ほとんど泣いてたりする、そんな感じ。10ページ使って、ぽつりぽつりとポエムを詠んだりすることも。人気タレントを起用して映画になるのもこのタイプが多いです。少女漫画が好きな人でも、この「胸キュン恋愛系」と「そうじゃない系」とに分かれるように思います。しかも、胸キュン系が好きだった純粋な女子も、そのうち「あ、こりゃファンタジーなんだな」とか気付いたりして、そうじゃない系好きに移行したりします。ところがこの『溺れるナイフ』は「胸キュン恋愛系」でもありながら「そうじゃない系」の要素もたくさんあるんです。人間のどろっとした暗く汚い部分もありながら、でもドロドロ系というほど徹底してもいなくて、全体としてはポップです。適度に笑いもあって、暗くもキュンキュンにもなりすぎない。退廃的で、少女マンガにしては暴力シーンが多い。読んでいると、心がザクザクと切り刻まれるような思いがします。そしてラスト。たった一言のセリフで幕を閉じるのですが、それだけでいろんな想像をかき立てられます。たった一言で、人間の20年、30年が表現できるなんて。『溺れるナイフ』というタイトルもいいですよね。ナイフとは、夏芽のことなのか、コウちゃんのことなのか。確かに、ナイフは水につけたら溺れそうです。鋭利なナイフも、水の中なら怖くないかもしれない。コウちゃんに溺れて無力化してしまう夏芽のことなのか、世間という海に溺れているコウちゃんのことなのか。もしこのタイトルが「田舎で出会ったコウちゃんを好きになった」とか「大好きなコウちゃんはなかなか振り向かない」といったタイトルだったら、もっと中身はわかりやすかったはずです。タイトルからして「うぅむ」とうならせられます。『溺れるナイフ』はすごい作品なんです。ほんとうに。Text/和久井香菜子
2016年11月22日働くおひとりさまにとっての毎日はめまぐるしくて、ゆっくり季節を感じる時間さえ取れないですよね。「休日のたった1時間でいいからほっとしたい…」元外資系バリキャリから一転、丁寧な生活を目指して料理研究家になった太田みおさんが、四季の彩りを簡単に楽しむ「レシピ=歳時記」をお届けします。(c)太田みお↑今回使った調味料。国産の材料を使った天然醸造の醤油や、圧搾しぼりのごま油、自然の塩など、選べるならばこだわりたいところです。
2016年11月16日なんとなく爪を塗ったら「つめさん」になった転機と転機の間。誰かと出会い別れてから、また、出会うまでの間。その間に生じる一人の時間は「自分のためだけの時間」とは限らない。私は前職をやめた次の日に、それまで全く興味のなかった「爪に色を塗る」ということをはじめた。その後、今の会社で働きながら、あくまで趣味としてつけ爪を作るようになり、とりあえず分かりやすいから、というだけで「つめをぬるひと」という名前をつけた。その後、一人になるタイミングがあって、より一層自分の活動と向き合うことになった。ただただ、やりたいことに奔走した数年間。人に爪を塗る企画を開催したり、Dommune(ライブストリーミングサイト)の番組内容を爪に描く“Dommune爪”をはじめたり。その奔走がなければ、今現在の活動や、周囲にいる人には会えなかった。「初回だから自己紹介にしたほうがいいだろうか」と、さっそく駄文を書いてしまっているこのコラムだって、その奔走がなければなかったお話。転機と転機の間に生じる一人の時間は、自分のためだけのように見えて、実は意外なところで次の転機に作用し、誰かと共有する時間になることがある。少なくとも、なんとなくはじめた爪塗りで、「つめさん」と呼ばれるようになった人は実在する。この連載では、爪作家である私が、読者のみなさんが「どんなおひとりさまか?」をヒントに爪をつくります。あなたのエピソードを添えて、送ってください。Design&Text/つめをぬるひと
2016年11月14日好きなものがなくなってしまうことは、とても寂しいことです。もちろん純喫茶もその例外ではなく、「閉店」を知る瞬間は幾度となくやりきれない気持ちに。閉店の理由はいくつかあり、例えば、店主の高齢化、建物の老朽化、後継者の不在、お客さんの減少など…。どんなにその純喫茶を好きでいても、店主が下した「閉店」という決心はなかなか変えられるものではありません。それならば、せめて営業している時に少しでも多く足を運び、「珈琲、美味しかったです」「ここのサンドイッチが食べたくて一日を頑張れました」「今日もお元気そうで何よりです」など、マスターやママと言葉を交わしたい。そして、お店を続けて下さっていることへの感謝とその店が好きだという気持ちを素直に伝えられたならと思いました。そんな思いを込めて、今回はぜひ皆さんに訪れて頂きたい純喫茶を紹介します。日本を代表する金融商品取引所として、日本経済の成長に貢献してきた東京証券取引所。近くには、かつてスーツ姿のサラリーマンたちがひとときの憩いを求めてひっきりなしにやってくる純喫茶がありました。場所は兜町。東証の向かいで今も営業を続けている「may」という店です。時代の流れとともに技術が発達し、作業がコンピュータ化された結果、今ではmayの扉を開ける人もめっきり少なくなってしまったそうです。かつては、決して広くない店内に4人の女性アルバイトが忙しく働き、毎日やってくる常連客の顔と好きな席を把握しては、切り盛りしていたのだとか。前の賑わいはなくなりましたが、昭和の時代に、働くサラリーマンたちを見守り続けてきた老舗は今も訪れる人たちをほっとさせる空間です。歴史を感じるあたたかみのある店内と、カウンターの奥にいらっしゃる白い髭をたくわえた穏やかなマスターとやさしいママが出迎えてくれます。店の扉を開けて、すぐ注目してほしいのは、入口近くの左側の棚にある給水器。年月を重ね、鈍く光る銀色の大きな容器はどこか懐かしく、思わず見とれてしまいます。カウンター後ろの棚には、長い間大事にされてきた食器たちが美しく並べられています。こちらでぜひ注文して頂きたいのは「チャンポン」というメニュー。その昔、まだカフェオレというものが一般的でなかった頃からこの界隈で親しまれていた、珈琲を牛乳で割ったものです。細長いカップも珍しく、ぽってりとした手触りが癖になります。窓の向こう側に流れていたという川に思いを馳せながら、マスターとの会話を楽しみ、ゆっくりと過ごしてみるのはいかがでしょうか。営業は11/30(水)まで。訪れた方へ素敵な時間をお約束します。Text/難波里奈
2016年11月11日皆さんは何かを集めることがお好きでしょうか?私は年を経るごとに物を集めることは少なくなりましたが、かれこれ10年ほど、訪れた純喫茶の思い出を『純喫茶コレクション』というブログにマイペースに綴っています。ブログを開設する際に「訪問した喫茶店の記録を自分のために、後から見返して色々なことを思い出せるように、まとめていこう。タイトルは、『喫茶店コレクション』でも良いけれど、特別な思いを込めて『純喫茶コレクション』にしよう」と考えたのでした。ブログ名にある『純喫茶』は、一般的に言われる「アルコールを出さず珈琲を出すことを生業としている喫茶店」という解釈に加えて、私の考えるゆるやかな定義の「昭和の時代から今に至るまで、長い間たくさんの人たちに愛されている喫茶店」という意味を含め、「私は『純』粋に『喫茶』店が大好きである」という強い気持ちを込めて名付けました。このブログでは、純喫茶の内装、そこで食べたもの、マスターとの会話など訪問した時の記録を主に残していますが、実は形として残るものも集めていて、今もとても大切にしています。それは「マッチ」です。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2016年10月28日あっという間に2016年も残り数か月となりましたが、皆さまは年初に目標を立てていましたか?私は自分に対して「1日1純喫茶」を課しました。こちらは文字通り、「必ず1日に1軒以上どちらかの純喫茶に寄る」ことを指します。現在までは無事に遂行しており、この記事がアップされる頃には恐らく、340軒程訪問済みとなっているはずです。毎日飽きもせず、様々な純喫茶を巡って過ごしているのですが、平日は会社員ゆえの制限時間があるため、基本的には業務後の夜にしか出掛けられません。本当は遠くの街へ赴き、気分転換をしたいと思っても、翌日のことを考えるとせいぜい片道1時間以内の移動が現実的です。幸い職場のある駅はどの方面にもアクセスが良いため、毎朝満員電車に揺られながら頭の中で路線図を広げて、帰り道に寄る純喫茶を考えることがささやかな楽しみです。今回は平日に行ける場所の中で、最も現実逃避の気分が味わえる浅草の純喫茶のことを。浅草は独特の雰囲気があるためか、地下から地上に出ると、空気が紅く染まったような錯覚を覚えます。平日でも観光客たちで賑わう雷門を通り過ぎて、歩くこと数分。「純喫茶マウンテン」という店が見えてきます。店名に「純喫茶」と付けられているのが今では貴重で嬉しくなります。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2016年10月14日合コンなどでは必ずといっていいほど、趣味の話題があがります。趣味によってはあならの魅力をもっと見せられますし、気になる彼と共通の趣味があれば一緒に出かける口実になるため、大事なポイントでもあるのです。では、男性が好む女性の趣味とはどんなものなのでしょうか。■1.定番中の定番!「料理」モテる女性の趣味として定番中の定番なのが「料理」です。料理が趣味と聞いて嫌な顔をする男性はほぼいないといえます。家庭的なイメージが沸いて好印象ですし、「手料理を食べてみたいなあ~」と大いに期待してしまうでしょう。また、料理をする女性は単純にかわいらしく見えるので、さらにポイントアップになります。ただし料理が趣味といっても上手くなければあまり効果はありません。料理が下手だとせっかくの好印象を下げることになってしまうためです。■2.ライブにも誘いやすい「音楽」音楽が趣味の場合、音楽好きの男性から見ればそれだけでポイントが高いものです。もし音楽のジャンルや好きなアーティストが一緒ならそれだけでかなり親近感を持たれますし、ライブなどのイベントに誘ってもらえる確率も高くなります。あなたに気がある男性からすれば、デートの誘い文句にできるため好都合でしょう。ただし、ひとくちに音楽といっても、そのジャンルはさまざま。まったく違うジャンルのファン同士だとあまり盛り上がらないので、当たりはずれは大きいといえます。■3.知性を感じさせる「読書」読書が趣味の女性は、知性があって大人びた女性だと思われてモテやすいです。静かに読書をしている女性の姿には気品を感じるものですし、そこに女性らしさを感じる男性も多いもの。ですから、本を読むしぐさ自体も人気なのです。また、おだやかでおとなしい印象もあってか、男性は本を読む女性を見ると守ってあげたいと思うこともあるのだとか。読書が趣味の男性となら、本の話題で盛り上がることもできますから、仲よくなるきっかけづくりも簡単です。まずは、よく読まれている人気作を押さえておくといいでしょう。■4.活発さにキュン!「旅行」女性の趣味の中で男性から特にモテるのが旅行です。これから付き合うことになったとき、旅行が趣味ならふたりで出かける機会も多くなりますから、自分たちの時間をより濃密に過ごすことができますよね。男性も、そんなふたりの姿をつい想像してしまうんだとか。また、そのアクティブさから活発で明るい女性という印象づけもできますし、旅行先でさまざまな経験を積んでいることから、視野が広くおおらかな人というイメージにもなります。彼に“ふたりの旅行イメージ”を想像させられると良いですね。■モテる女性の趣味もいろいろこのように、男性が好きな女性の趣味には一貫した特徴はなく、いろいろなジャンルに分かれています。中でもポイントは、「女性らしさ、女性の性格の良さを感じるもの」や「一緒に出かける口実になるもの」であるといえるでしょう。(なな/ライター)(ハウコレ編集部)
2016年10月04日「一番美味しい〇〇がある純喫茶を教えてください」このような活動をしていると、多く聞かれる質問の1つです。「この方にとって美味しいものとはどのようなものだろう?」と考え、あらゆる純喫茶のメニューを次々に思い浮かべていくのは楽しいと同時にとても悩ましいことです。味覚というのは千差万別で、私がいくら美味しいと思っていても一緒に食べたり飲んだりしている人が同じように感激しているかどうかは、本当のところ分からないのですから。しかし、分からないのであればせめて自分が自信を持って美味しいと思える店を薦めてみて、残念ながらそちらが好みでなかったなら、また違う店を薦めてみれば良いのだ、と思うようになりました。例えば、東京の美味しい珈琲について尋ねられた時には、まっさきにこの店をお知らせすることにしています。名前は「神田伯剌西爾」。といっても所在地は神保町です。書泉グランデというとても好きな書店の横道にあり、橙色のひさしを掲げ、階段を降りた地下にある店です。店内は2つの空間に分かれ、入口から見て右側は禁煙席、左側は喫煙席となっています。右側の個室のような空間は、曜日や時間帯によって貸切ができるのも嬉しいところ。左側の広めの空間には囲炉裏もあり、どこか和の懐かしい雰囲気を感じながら、淹れたての美味しい珈琲をいただけます。「珈琲は好きだけれど、そんなに詳しいわけではない…」そんな方は多いと思いますが 私もそうで、初めて入る純喫茶ではだいたい「ブレンドコーヒー」を注文します。こちらのメニュー表は、豆の名前の横に苦味と酸味の目安が分かりやすく記されているため、好みの味を選びやすいのですが、酸味があまり得意ではなく苦味と甘みのある味をお好みでしたら、是非一度「ペルーチャンチャマイヨ」というまるで呪文のように片仮名が並んだ珈琲を飲んでいただきたいです。こちらを薦めるとほとんどの方が「美味しい」と気に入ってくれる、私も大好きな珈琲です。珈琲だけでは口さみしい時のために、美味しいケーキも充実しています。私が良く注文するのは、「サンマルク」か「コニャックショコラ」。どちらも程良い甘さで珈琲が進んでしまうので、思わずお代わりをしたくなります。ついついあたたかい珈琲ばかり注文してしまうのですが、こちらのアイスコーヒーには通常のガムシロップの他に、コーヒー専用の茶色いシロップの2種類のシロップが提供されます。他ではあまりない珍しいものですので、冷たいものを飲みたい気分の時には、ぜひアイスコーヒーもいかがでしょうか?Text/難波里奈
2016年09月30日以前、イベントでご一緒したホットケーキ研究家のトミヤマユキコさん(著作に『パンケーキ・ノート』等)が興味深い話をして下さいました。それは「ホットケーキの美味しい店は、火加減の上手な店だから、タマゴサンドなどの卵を使用した料理も美味しいところが多い」という話。聞いた瞬間に「なるほど!」と思わず膝を打ったものでした。確かに言われてみると、今まで訪れたホットケーキを名物とする店では、タマゴサンドも同じように人気メニューであるとマスターたちから聞いたことがあったのを思い出したのです。例えば、休日になると開店前から行列が出来る人気店、東京・平井の「ワンモア」。「カク1!」「マル2!」(※「カク」はフレンチトースト、「マル」はホットケーキを指します)など威勢の良い注文の声がひっきりなしに飛び交い、その暗号のような言葉の間に「タマゴサンド1!」という注文も多く挟まれていたのです。また、メニューにホットケーキはありませんが、ジャンボで美味しいプリンが有名な虎の門「ヘッケルン」もマスターの気まぐれによって食べることが出来る幻のメニュー、ふわふわ熱々のオムレツサンドも夢のように美味しいのです。今回ご紹介する大阪・東梅田にある「サンシャイン」も例外ではありませんでした。駅構内を出ることなくたどり着ける純喫茶は、雨の日や暑い夏に重宝します。東梅田駅の改札からすぐ、しかし初めての方には少し分かりにくい場所にあるにも関わらず、常に満席が続く人気店です。ご家族で営業されていて、扉を開けた瞬間に「いらっしゃーい」とにこやかに迎えて下さるアットホームな雰囲気にほっとします。空いている席に腰掛け、名物のホットケーキを食べようと決めながらも何となくメニューを眺めていたところ、視界に入り気になってしまったオムそばに注文を変更しました。この時、冒頭のトミヤマさんの言葉がぱっと浮かんだのでした。「これも美味しいに違いない」。期待しながら待つこと数分。ボリュームのある焼きそばをくるりと包んでいる卵焼きは、向こう側がうっすらと見える程の絶妙な薄さ。当たり前のように運ばれてきた皿の中に見えたのは1日にたくさんの卵を焼き続けているからこそ出来る職人の技。その卵の薄さは焼きそばの香ばしさを邪魔せず、黙々と口に運んでしまう美味しさのバランスを作り出しているのです。そして、最初は断念したはずのホットケーキですが、せっかくの旅先で食べずに帰るのはもったいないと自分に言い訳をして、結局ふわふわの分厚いホットケーキも注文し、大満足で店を出るのでした。Text/難波里奈
2016年09月16日合コンや飲み会で、趣味の話題になることがあると思います。「趣味はなんですか?」と男子に聞かれて、旅行とか、サッカー観戦とか・・・・・・と答える女子・・・・・・よく見かける光景ではないでしょうか。でも、「趣味はなんですか?」と聞かれて、「趣味はありません」と答えると、もっとモテるかもしれません。今回はそのへんのことについて一緒に考えてみたいと思います。■趣味の質問の「悪趣味性」たとえば「趣味はサーフィンです」と答えた場合、その女子に対する理解が深まることは十分に考えられます。質問した男子が、サーフィンが好きであれば、当然、意気投合して、場は盛り上がるでしょう。でも質問した男子が、クラシック音楽の鑑賞が趣味だった場合、その男子はサーフィン好きの女子になにを質問していいかわからず、会話はそこで中断してしまいます。***あるいは、もう少し一般的な趣味として、旅行を見ていきましょうか。女子が「旅行が趣味です」と言えば、質問した男子は、自分が行ったことがある場所を言ったり、「やっぱりハワイが好き?」とか、そういったことを聞いてくると思います。当然、そこで会話が盛り上がることもありますが、サーフィンの例とおなじように、旅行が趣味ではない男子だった場合、会話が途切れます。あるいは質問した男子の隣にいる男子が、無類の旅行好きだった場合、その話題をかっさらって女子と盛り上がり、質問した男子はおいてきぼりを食ってつまらない思いをしちゃうかもしれません。■趣味を聞くなんて、センスのない質問かも!そもそも、趣味の話って、他に話題がないときによく出てくるものです。他に話題がないから、趣味に話題を振るといっても過言ではないかもしれません。もちろん相手がどういう人なのか、何が好きなのかということを知りたいから、趣味の質問をするわけですが、他に質問すべきことが見つからないときに、趣味の話題になることがよくあるというのも、また事実です。要するに、当たりさわりなく、薄く広く会話を引き伸ばしていこうと思えば、趣味の話が「オトナとして妥当」だということです。だから「趣味はありません」と答えた方がいいわけです。つまり、「趣味の話ではなく、他の話をしましょう」という意思表示として、「趣味はありません」と答えればいいわけです。趣味の話ではなく、「普段なにやっているの?」という会話とか、「どんな仕事をしているの?」とか、「そのワンピース、どこで買ったの?」とか・・・・・・気の利く男子は、たとえばこういう質問をします。普段フラメンコの練習をしている女子であっても、それを趣味でやっているわけではない場合、「趣味はなんですか?」と聞かれたら、非常に答えづらいですよね。だから趣味ではなく、「普段なにをやっているのか」という、女子が答えやすい聞き方をするわけです。趣味以上に人々が真剣にやっていること・・・・・・たとえば仕事・・・・・・お洋服のこと・・・・・・人は、自分が真剣にやっていることを聞かれたら、嬉しくなってたくさん喋りたいと思いますよね。だから会話がうまい男子は、「趣味はなんですか?」という漠然とした問いかけはあまりしません。合コンや飲み会で「趣味はなんですか?」という、少々カッタルイ質問を男子にされた女子は、「趣味はありません」と言って、もっと気の利く質問をしてくれる男子のそばにすり寄っていけばいいのです。気の利く男子のそばにいると(気の利く男子をそばに置いておくと)、言うまでもなくモテるようになります。気の利く男子は、女心を少しばかり知っていますから、あなたが欲しいものを提供してくれるのです。(ひとみしょう/ライター)(ハウコレ編集部)
2016年09月14日~家族でもひとりの別の人間と思うことが愛情〜 悩み相談の中で一番多いのが、家族間のトラブルです。親・子・血縁など情念に取りつかれ、「人は人」「家族と言えども一人の人間同士」とは簡単に割り切れないようです。とはいえ、「親はこうすべき」「子は親に対してこうあるべき」などと考えるよりも、「お互いが良い人間同士で居よう」と考える方が、相手に敬意と愛情がしっかり持てるもの。親子という文字にとらわれず、冷静に俯瞰して見て、常にほど良い距離感で接する方が、お互いを思いやる的確な行動がとれ、良好な関係が長続きします。「家族と言えども違う人間同士」とは、他人行儀で冷たい関係になるのではなく、相手を大切に思うがゆえに、冷静にほど良い距離感でお互いを立て合い大切にする関係であり続けるということです。べったりとした情念ではなく理性でスパッと割切ることができれば、知性も働きます、 そうなれば怖いものなしです。親しき仲にも礼儀あり、家族を大事に思うならば、情念を外し、理知で向かい合うことからです。
2016年09月07日「純喫茶は店内の様子が分からないから少し入りにくい」「マスターが怖い人だったらどうしよう」「実は珈琲が苦手…」と純喫茶に興味をもっていらっしゃる方でも、通い慣れるまでにはそのような葛藤があることが少なくないようです。そのような初心をすっかり忘れてしまった今日この頃ですが、「1人では入りにくい」という方に対しては、出来ることなら同行してそのひとときをご一緒したいところが本音です。しかし、なかなかそうもいかないため、少しでも不安を取り除いて扉を開けるきっかけを作れたらと思います(何軒か通っていくうちに次第に慣れ、様子が分からないことさえも楽しめるようになる時期がくると思います)。こちらの連載をご覧下さっている方の大半を占めていると思われる女性に向けて、1つアドバイスしたいと思います。それは「店主が女性の店を選ぶこと」です。絶対というわけではないですが、今までの経験を基に考えると、女性店主が営む空間は純喫茶ならではの「素っ気なさ(慣れてきたらこれは本当に良いものです)」が少し薄れ、初めての人でも訪れやすいような雰囲気を醸し出しているところが多いような気がします。例えば、神保町駅近くの交差点からすぐの地下にある「トロワバグ」。店内の様子は地上からは分からないのですが、扉を開けた時に漂う清潔感のある雰囲気にほっとすることと思います。赤いベロアの椅子が並ぶきちんと掃除された店内には活き活きした花が飾られ、珈琲の注文が入る度に良い香りが漂うのです。何を食べても美味しいですが、人気メニューのグラタントーストは現在の店主である三輪さんのお母様が大切にしていたメニュー。今は亡き初代ママさんの思い出の味を求めてやってくる人たち、また初めてやってくる人たちに美味しいトーストを提供すべく、三輪さんは日々手間と時間のかかる仕込みをこなしています。そして、やわらかい雰囲気をまといながらもカウンターの奥で珈琲を淹れる様子は凛としていて見惚れるほど格好良いのです。まったり美味しいかぼちゃムースもおなかの余裕があれば是非食べて頂きたい一品です。「変わらないものを大切にしながらも、今に寄り添っていきたい」と以前話して下さった三輪さん。現在では、ご自身もお好きなワインも楽しめる空間となるそうです。Text/難波里奈
2016年09月02日知りたくなかったのに知ってしまった!? 驚愕したお義母さまのヒ・ミ・ツとはお義母さまとの何気ない会話や行動から、夫もお義父さまも知らないような「お義母さまの秘密」を知ってしまった!!なんてことはありませんか。今回は、それって妻として、母として、女として、人としてどうなの??という「お義母さまの秘密」をリサーチ! みなさんから寄せられた驚きのエピソードを大公開します。イラスト:春吉86%気まずすぎ… 驚愕の瞬間!!夏になり短めのズボンを履いていた時、お義母さまのスネ毛がとんでもなくボーボーで衝撃を受けた! しかも、お義父さまのひげ剃りで剃っていて、それは私しか知らない…!(ムム)トイレの前を通ったら、全裸で扉を開けて用を足していた…! 思わず言葉を失った(きゃむ)簡易的な鍵がついた扉一つでつながった二世帯住宅で一緒に暮らしていた時のこと。姑が私たちがいない時に、こっそり侵入していた。何の意味があってこちらの世帯にこっそり侵入するのか意味不明で気持ち悪かった。それがきっかけでその二世代住宅を出た(わんこ)誰にも言えない… 心の奥にしまっておきますいつもオシャレで若々しい義母。ヘアスタイルがコロコロ変わり、すごいなぁと思っていたが、なんとカツラだった! 義母と家族旅行に行った時、寝るまで義母の部屋で楽しくおしゃべりしたのち解散。自分の部屋に戻ってから携帯を忘れたことに気が付き、再び義母の部屋を訪ねると、そこにはカツラをとったばかりのお姿が! 気まずい雰囲気になり「携帯忘れちゃって…」と言ってそそくさと逃げるように退散した(ねねでぶ。)食べ物を大切にするお義母さま。キャベツのバリバリに固くて虫食いだらけの外葉を、「ジュースにしたら分からないから」と家族に飲ませていた! 野菜の虫食いが大嫌いな夫だが、まさか日常的に口にさせられていたなんて、気の毒で本人には絶対に言えない(ウーフママ)びびびっくり〜!! 衝撃の真実…義父のことが大好きだと周囲に公言していた義母。ある日義母宅を訪れ、テーブルの上にあった電子辞書を何気なく開いたら、「離婚届」の検索結果が表示されていた…。おしどり夫婦だと思っていたが、外からは分からないものだなぁと感じた(オレンジ)うちの義母は、実は夫の産みの母親ではなかった…。血は繋がっていないけど、とってもやさしくしてくれたと夫から聞いた(るかっぴ)ずっと仕事一筋だった義母は預金額がすごいらしく、ウンゼン万などとうに超えているとか。古い家は耐震に不安があると自身が寝るためのマンションを買い、娘の結婚祝いにもマンション部屋を買い与え、息子が不動産投資をしたいと言ったら我が口座を担保に差し出す…。誕生日にはみんな(子ども、嫁、孫みんな)に諭吉を1枚ずつ配るが、これといった趣味もないので貯まる一方らしい!(Saya24)お義母さまだって女ですもの!?お義母さまと車の中でぶっちゃけトークをしている時に教えてくれた話。昔、大変モテたそうで4人と同時交際していたらしい。女だな〜と思った(匿名)義母がよく会っている○○さんと抱き合っているところを見てしまった!(とど)ぶっちゃけちゃった! お義母さまの告白自力で頑張ってダイエットに成功した!と言っていた義母だが、実はエステに通っていたことが判明(笑)! だいぶ経ってからカミングアウトされた(akieeeen)外貨の運用を家族に内緒でしていた。円高になった時にソワソワしていたのでどうしたのか聞くと、外貨の運用をしていると告白した。とても慎重派でそういうものとは無縁だと思っていたので驚いた(ぽっちゃりん)義父の悪口を言いまくっている。まぁ楽しく聞いているが(りょうちゅ)
2016年08月24日「店の名前から勝手な想像をしてしまって入ったことがなかったから、こんな素敵な店だとは思わなかった。これからは1人でもたくさん通いたいな。」一緒に夕飯を食べるために連れていった友人が、ふとこんなことを言いました。訪れたのは、亀戸駅の目の前にある「珈琲道場 侍」。ホームから看板は見えるものの、店は階段を上がった二階にあるため中の様子がすぐには見えない。それが理由なのか、「気になってはいたもののまだ入ったことがない。」という話を今までに何度も聞きました。店名のインパクトだけでなく、メニューも一筋縄ではいかない興味深いものばかりであるこちら。一杯ずつ丁寧に淹れられるあたたかい珈琲や8時間かけて抽出される特選水出しブレンド(夏場は注文に対して生産が追い付かなくなるため、泊まり込んで様子を見ているそう!)、ストレートコーヒーやアレンジコーヒーの種類も豊富で、ブルーベリーやバラの香りのついたフレーバーコーヒーなど珍しいものも揃っています。更に、食事メニューのネーミングも他では見かけないセンスです。例えば、こちらの店のカレーやハンバーグはどちらもご飯の上にルーがかけられ、熱々に焼かれたドリア方式なのですが、それぞれ「殿様カレー」と「将軍ハンバーグ」と名付けられています。メニューを見ているだけでいくらでも時間が過ぎてしまいそうなくらい楽しいのですが、更なるサービスとして特筆すべき点から3つ紹介します。1つめは、入口の扉を開けるとすぐに目が合ってしまう大きな甲冑。まるで中に誰かが入っているような存在感です。2つめは、カウンターのテーブルにそってずらりと並んだロッキングチェア。ゆらゆら揺れながらリラックスした時間を過ごすことが出来ます。こちらは公園のブランコに乗りながら煙草を吸っていた社長の思いつきにより取り入れられたそう。3つめは、なんといっても働く店員さんたちのユーモアあふれる接客。男前な店員さんたちの中でも特にお薦めしたいのは、出会えたら思わず嬉しい気分になる社長。「ほらほら、ちゃんと書いた?『ここは男前喫茶です』って。僕は口下手だからね、自信があるのは顔だけだよ、あっ、今日は化粧ノリが悪いから写真はやめてね。」など愉快なやり取りをしながらも店全体に気を配る丁寧な接客と迅速な作業が素晴らしいのです。まるで「大人の遊園地」のようにわくわくした気持ちを味わえる侍でいつもとは違った時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。Text/難波里奈
2016年08月19日「タマゴサンド」というと皆さんはどのようなものを思い浮かべるでしょうか?店ごとに個性が光り、同じものはないところが面白い純喫茶メニューですが、「タマゴサンド」にも地域ごとの特徴があるようで、一般的に、東ではゆで卵をつぶしてマヨネーズや塩こしょうと和えたサラダタイプが、西ではふわふわに焼き上げられたオムレツタイプが多いとされています。私は東京で生まれ育ったのですが、純喫茶に夢中になりそのようなことを意識するまで自分の中では「タマゴサンド=タマゴサラダが挟まっているもの」という認識でした。実際、幼い頃に母が作ってくれたタマゴサンドはゆで卵が半熟だったり固ゆでだったりの違いはありましたが。一度もオムレツタイプだった記憶はないのでした。どちらのタイプも美味しく、優劣をつけることは不可能なのですが、私の場合ふと食べたくなってしまう時、思い浮かべるのは焼き立てで熱々のオムレツが挟まれたものでした。先日のこと。私は夢の中にいて、どこかの純喫茶にそれはそれは美味しいタマゴサンドがあると聞き、遠方まで食べに来ているところでした。その純喫茶はかつて訪れたことがあるような、まだ見たことがないような空間。というのは窓から差し込む光が眩しすぎたため店内の輪郭がぼやけてしまっているのでした。注文を済ませ、運ばれてくるのをそわそわして待っている。今日はこのタマゴサンドのために朝食も食べずに急いで朝一番の電車でここへやってきた。あと数分後、どれだけの幸せに包まれるのだろう!……ところが、夢らしい夢だったおかげでここで目覚めてしまったのです。夢の中とはいえ、評判のタマゴサンドを食べ損なってしまった悲しみ。仕事が終わったら必ずや夢で想像していた味を上回るサンドイッチを食べよう、この日はその強い思いだけで夜を迎えました。そして、真っ先に思いついた学芸大学の雑伽屋を目指し、ベーコンとオムレツに加えてチーズもトッピングし(通常メニューでは2種類の具を選べますが、+100円でさらに具を増やせるとのことです)、贅沢な美味しさにすっかり満足したのでした。濃厚なクリームがたっぷりなアイスウィンナーコーヒーも一緒に。Text/難波里奈
2016年08月05日大人の魅力と若々しさを兼ね備えた大人女子。そして、大人女子だけでする旅行のことを大人女子旅といいますが、他の旅とどこが違うのでしょうか?今回はそんな大人女子旅の魅力についてのお話です。癒やしを求める大人女子ほとんどの大人女子達は仕事をしています。周囲にも気を配ることができる彼女達は、体力的にも精神的にも疲れることが多く、とにかく毎日クタクタ。連休を使って旅に出たくなるのも納得です。大人女子旅でよく選ばれるのが海外ですが、大人女子が海外旅行に求めるのはこんなこと。・旅行の目的1位のんびりすること2位現実逃避・ストレス解消3位思い出づくり・旅行で得たいもの1位癒やし2位パワーチャージ3位リセットやっぱり、旅行の目的はリフレッシュのようです。自立していて金銭面に余裕がある大人女子が多いので、せっかくの旅行だから♪と、素敵な景色の見えるホテルで美味しい食事を楽しんだり、スパを受けたり…と、リッチなプランを立てることもあります。1人でも楽しめる大人女子リフレッシュするための旅行なのに人に気を使うなんてイヤ!と、1人で旅行する大人女子も少なくありません。1人で行く大人女子旅のメリットとはなんでしょう?・自分のタイミングで行ける誰かと休みを合わせるとなると、スケジュールなかなか決まらなくて、本当に行きたかった時期とズレてしまうことも。1人なら好きなときに好きなだけ休みを取って行けますし、思い立った翌日に行くこともできますよね。・人の意見に左右されない1人なら行きたいところに行けます。本当は行きたいけどみんなは興味なさそうだからやめておこう、といったことがありませんし、その逆もしかりで、相手に合わせて興味のないところに付き合う必要もありません。また、天気や気分によって急にスケジュール変更しても、誰にも迷惑がかからないので、気軽に予定を変えられるところも良いですね。・新たな出会いがある誰かと一緒にいると、新たな出会いがあっても長く話をすることは難しく、仲良くなることはなかなかできませんが、1人旅ならできます。おわりに贅沢な旅だけを大人女子旅と呼ぶわけではありません。せっかくの連休を、家でひとり暇だ暇だとぼやきながら過ごすくらいなら、のんびり羽を伸ばせる場所へ行ってみてはいかがでしょう?各旅行会社からも、大人女子旅にオススメのプランはたくさん出ています。見ているだけでもワクワクしますよ♪
2016年06月22日みなさん、趣味コンって聞いたことありますか?共通の話題で盛り上がることができる趣味コンですが、最近ではゴルフコンやワインコン、写真コンなど様々な趣味コンが開催されているようです。さて、その趣味コンにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょう。そもそも趣味コンとは趣味コンとは、その名前の通り、同じ趣味を持った人たちが集まる出会いの場です。通常の合コンは本気度が低いし、街コンは本気度は高いけど、気の合う人が見つからないと思っている方には、趣味コンはおすすめです。もともと趣味でくくりを設けているので、会話も弾みやすく、気も合いやすいですよ。趣味コンのメリット上記でも述べたように、同じ趣味の人が集まるので、普段会話が苦手で何を話したら良いか考えてしまう方でも、会話のきっかけがあるので話しやすいです。また、出会うことが100%の目的でなく、趣味の話がしたいという方も、趣味コンで話しているうちに意気投合し、交際に発展する可能性もあります。そしてかなりたくさんの企業で様々な趣味が用意されているので、少しコアな趣味の方でもぴったりなものが見つかると思います。忘れてはいけないデメリット同じ趣味といっても、その程度や好き度は違ってきます。本当にそれが趣味で参加したのに、出会う人があまり詳しくないとがっかりしてしまいます。また、出会うことを目的にして、そこまで趣味じゃないのに参加してしまい、誰にも相手にされないなんてこともあるかもしれません。本当に自分が趣味であるものに参加し、同じレベル感の方を探しましょう。
2016年05月20日(c)Traveloscopyお買い物と女性。女性といえばお買い物が大好きな生き物であるとされ、世の中には女性作家による「お買い物エッセイ」という一大ジャンル(?)まで存在しています。山内マリコさんの『買い物とわたし〜お伊勢丹より愛をこめて〜』も、そんなお買い物エッセイのなかのひとつ。ただ私は正直、この手のお買い物エッセイに共通して見られるある語り口が、今までいまいちしっくり来なかったのです。たとえば、『買い物とわたし』で取り上げられた記念すべき最初の一品は「プラダのお財布」なのですが、こういう素敵なものを買った後の女の人は(彼女が仕事ができる人であればあるほど)こういうのです。「またこういう素敵なものを買えるように、お仕事がんばろう!」。だけど、「こういう素敵なものを買うためには、また汗水流して働かないといけないのね……それならもう素敵なものはいらないから、家で寝てたい」と思ってしまうアラサー女性だって、いるはず。というか、ここにいます! 山内マリコさんのお買い物エッセイは、従来通りのお買い物エッセイが好きな女性にもおすすめだけど、そんな家で寝てたい系のお買い物で大きな喜びを得にくい女性にもおすすめなのです。プラダのお財布を買った山内マリコさんさて、それまで使っていたイルビゾンテの二つ折り財布に別れを告げ、伊勢丹新宿店で約9万円するプラダのお財布を買った山内さん。高揚した気分で店を出たあと心中でつぶやいたのは、「仕事がんばろう……」という一言だったようです。「仕事がんばろう!」と「仕事がんばろう……」の間には、越えられそうで越えられない高い壁が存在していると思うのは、私だけでしょうか。後者には、そこはかとない「トホホ感」があり、私などでもちょっと共感できます。プラダのお財布の後に『買い物とわたし』に登場するのは、たとえば〈「冷え知らず」さんの生姜トマトチキンカレー〉。山内さんはこのレトルトカレーが大変好きだったそうなのですが、なんと販売が終了してしまい、自宅にただ一つ残った賞味期限切れのトマトチキンカレーを前に「開封しようか、それともいっそオブジェとして飾っておこうか」と悩むのです。そう、私が読みたいお買い物エッセイはこれだった。ブランド物、長く使えるこだわりの品、オーガニックの洗剤、そういうのももちろん素敵なのだけど、人がものを買うのはいつも伊勢丹なわけではないじゃないですか。いつも行っているコンビニで売っていたレトルトカレーが好きだとか、「富山のお土産シリーズ」のます寿司のピアスだとか、そういうものについて書いているお買い物エッセイが私は読みたかったわけです。あと、「私が選び抜いたこだわりの品」ばかりを書いているわけではないところも読みやすいですね。たとえば、セレクトショップで1万円もする白くておしゃれな傘を購入した山内さん。しかし、その日のうちに汚れがすごく目立つということに気付き「白は失敗だった」と悟ります。気分が高揚していると、「白は汚れる」というだれでも知っているような事実が意外な盲点になってしまうこと、ありますよね……。「仕事がんばろう!」の瞬間お買い物で素敵な品を買うことによって「仕事がんばろう!」という気にはなかなかならない私ですが、よくよく思い返してみれば、「ああ、この瞬間のためにまたがんばって働かなければ……」と思うときが、そういえばあることはありました。それは、旅行に出かけるときの飛行機が離陸する瞬間。旅行真っ只中の、観光地巡りをしているときは特に何も思わないのですが、飛行機が滑走路を走って機体がふわっと浮くあの瞬間、そうあの瞬間だけは、確かに「働かなければ……」と思います。航空券のチケットが高いからかもしれませんが、あの「ふわっ」がもたらしてくれる開放感は、筆舌に尽くしがたいものがあります。私は何のために働いて、何が欲しくてお金を使うんだろう? ある人にとってそれはブランド物のお財布や鞄なのかもしれないし、ある人にとってそれはコンビニのお菓子やレトルトカレーなのかもしれません。お酒を飲む瞬間、ギャンブルで儲ける瞬間、飛行機が離陸する瞬間、美味しいものを食べる瞬間。『買い物とわたし』は、自分の欲しい物と、お金の使い方と、働き方を考え直す上で、なかなか示唆をあたえてくるエッセイだったように思います。今日、あなたは何にお金を使いましたか?Text/ チェコ好き
2016年04月28日迫害から逃れ、故郷に帰った火星人を待っていたのは……(c)Flóra「人は」なのか「日本人は」なのかわかりませんが、「滅びゆくもの」への強烈な思慕ってありますよね。破滅へ向かっていくことが読者にはわかっているけれど、それに立ち向かって命をかける者たち……新選組とか特攻隊とか。『スター・レッド』はまさにそれ。宙に浮いた階段————しかも途中で崩れているような————を下っていくような、ヒリヒリした緊張感があります。火星の未来を知ってしまったセイと謎の異星人エルグが、行動を共にしながら火星、ひいては宇宙の仕組みに迫り、自分たちの運命に逆らっていくのです。萩尾望都作品は全体的にアンニュイなムードなのも心奪われる理由ですね。70年代は、「超能力者を迫害する」という話がめちゃくちゃ多いです。というか、「超能力者は迫害するもの」と決まっていたかのような勢い。異端に対する畏怖の念からなのか、なにか排他的な意識を感じますね。性差別も大きかった時代ですから、男性を社会の中心と考えると、異端である女性の考えや主張は排除されるという鬱憤を、マンガで晴らしているとも考えられます。たいてい主人公は迫害される側なんで、少女マンガではひたすら「差別はいけないよ」「差別をされたら悲しいよ」と訴えてきたんですね。さすがだなあ。そして、70年代の少女マンガは、悲劇が多いんです。ラストがまた苦しくて切なくて、悲しい。エルグやセイ、そして火星人たちはこのあとどうなるの〜!? と、読むたびに本に向かって叫んでしまいます。で、ほんとどうなるんでしょうか、萩尾先生!Text/和久井香菜子
2016年04月27日(c)vl8189みなさんは、「ゾンダーコマンド」って言葉を聞いたことはありますか? この言葉は、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で、ユダヤ人である同胞をガス室に送る任務に就いていた、特殊部隊の人たちのことを指すのだそうです。ゾンダーコマンドはほかの囚人たちとは引き離された状態で数ヶ月働いたあと、最終的にはナチスによって、抹殺される運命にあります。アナタまた今回は、いやに重い話を……とお思いになるかもしれませんが、この「ゾンダーコマンド」を主人公にした映画がありまして、タイトルは『サウルの息子』。2015年に、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した作品です。全国で公開している映画なので、もしこれを読んで気になった方がいたら、お近くの映画館を探してみてください。強制収容所の「リアル」に迫る?さてこの作品、少々特殊な構成で作られています。物語のあらすじとしては、ゾンダーコマンドである主人公・サウルがガス室で出会った彼の息子らしき少年の遺体を、ユダヤ教の教義にのっとった正式な方法で弔おうと奮闘する、というものです。なのでてっきり、サウルを中心に描くユダヤ人の悲劇……みたいな話なのかと思いきや、そういうわけでもありません。この映画のいちばんの特徴は、なんといってもカメラワーク。カメラは基本的にサウルの背中を映し出し、見えるのは彼の頭や肩、そしてその前方にあるぼやけた強制収容所内の映像です。ガス室から出てきた裸の遺体が、ただモノのように積み上げられていく光景はなんともおぞましいですが、はっきりと映るわけではないので、映像的にはそれほどショッキングでもありません。強制収容所の凄惨な光景を、申し訳程度にあるストーリーと一緒に延々と映し出していくというのがこの作品なのですが、監督のネメシュ・ラースローは、これが長編デビュー作だそうです。おそらくラースローの狙いは、「ユダヤ人が遭遇した強制収容所の悲劇」というわかりやすい物語を観客に提示することではありません。強制収容所内の映像をただ流すことで、「ここに映っているものはいったいなんなのか?」「サウルという男はいったいどんな人間だったのか?」と、そういったことを観客自身の頭で考えさせたかったのではないかと、私は思ったんですよね。もっともっと、多様な視点を獲得しようまあ、というわけでテーマは重いのに物語性が弱く、盛り上がる場面もなく平坦でという、なかなか楽しみづらい作品ではあります。だけど、この映画から私たちが得ることができる教訓も、もちろんあります。それは、一方的に提示されるわかりやすい物語を信じなくても良い、ということです。戦争映画というと、どうしても重苦しい悲劇を連想してしまいますが、実際はどうだったのか。たとえば、これとは別に『厳重に監視された列車』という、ナチス占領下のチェコを描いた戦争映画があるんですけど、この作品の主人公である青年の最大の悩みは、自分が童貞であること! です。おまけに映画に出てくる駅員は、勤務中におしりにスタンプを押したりしながら呑気に遊んでいたりするので、ちょっと「悲劇」ってかんじの映画じゃありません。そして、今回紹介した映画に登場するサウルは、強制収容所を扱った戦争映画の主人公としては、おそらくちょっと異例の存在です。彼は英雄ではないし、それほど賢くも、特別心優しくもない。これを観ることによって、従来の、いわゆる戦争の映画とは、少々異なる体験ができるはずです。それらしき言葉で語られる真実らしきもの、というのは世の中に無数にあります。仕事はこういう姿勢で臨むべきとか、女性はこうしたほうが幸せになれる、とか。とはいえ、みなさんだって、それを頭ごなしに信じて悩んでいるわけではないでしょう。親の世代と我々はちがうし、そんなものなくても幸せになれるということもわかっている。だけど、わかってはいるけれど時々心が揺らぎそうになる。そんなときに自分を助けてくれるのは、多様性に富んだ視点です。仕事に悩んだから仕事の本を、恋愛に悩んだから恋愛の映画を、というのも悪くはないですが、たまにはこんな一風変わった強制収容所の映画を観てみる、というのもなかなか良い刺激になるはずです。そして、アウシュヴィッツの物語に、またあなたの人生の物語に、既存の価値観に捉われない新しい解釈を、加えてみてください。Text/ チェコ好き
2016年04月22日純喫茶のマスターというとどのような方を思い浮かべるでしょうか?蝶ネクタイを締めた白いシャツと黒いパンツスタイルで正装した物静かな方、トレードマークになっているエプロン姿が見慣れた元気な方、清潔でパリッとしたシャツに身を包んだ穏やかな方…。今回は立ち寄れば思わず元気になってしまうような明るくてユーモアあふれるマスターのいる純喫茶を紹介します。足を運んでくれる人たちには応えたい難波里奈『純喫茶へ、1000軒』難波さんの新刊『純喫茶へ、1000軒』に興味がある方はこちらから!
2016年04月15日あなたのすぐそばにあるかもしれないドラッグの罠(c)by bradleygeeドラッグへの第一歩は、本当に簡単なことから始まるのだと思います。私が今、そういうものと縁のない生活をしているのは、単に身近に触れる機会がなかったからです。強い意志があってその世界に入らなかったわけではありません。芸能人でなくても、飲みに行けば誘いの場所はあったのだし、若い頃はそれこそ他人に責任を負っているわけでもない。目の前に甘い誘惑があったら「試してみよう」と思ったかもしれません。ほんの軽い気持ちでたばこを吸い始めたように。そうして加奈子はドラッグを入手し、なんでもないことで人志とはうまくいかなくなり、そして売人をするまでになってしまうのです。「まとまったお金があれば人志とふたりで南の島に行ける。そしたらもう一度前みたいにうまくやれるって……。私、バカだよね……」誰だって幸せになりたい。できれば誰かと。恋人同士のふわふわとした甘い時間は、非現実的で夢をみるようでしょう。でも生きていくのに、どんなに甘い関係の二人でも、現実から目を背けてはいられないのです。生活していくお金、未来を考える力、愛情とエゴのバランス。加奈子と人志には、これらの現実に目を向ける力がなかった。だから壊れてしまったのだし、加奈子は安易なほうへ流れてしまった。ドラッグを目の前に出されて「やってみる?」と言われたとき、きっぱりと断れるほど意志の強い人はどれだけいるでしょう。安易で声の大きなものは、簡単に心の小さな傷口に入り込んでくるのだと思います。人間はそんなに強いものじゃない。だけどそれを拒まなければ、一生戻ってこられない。人はどれだけ試されているのかと思います。でも、これほど相手に溺れて、前後不覚になるような恋、してみたいですね。Text/和久井香菜子
2016年04月11日