by gabofrいきなり変な話から始めますが、みなさんは「トペス(TOPES、TOPE)」って聞いたことありますか?これは、メキシコをはじめとする中南米の国々の道路にある、「人工の隆起物」のことを指すのだそうです。なぜ道路にそんなおかしな隆起物があるのかというと、ラテン系の方々って車を運転するときにあまり制限速度を守らないらしいんですね。そこで、道路にわざわざ隆起物を作って、標識などで「この先にトペスあり」みたいな警告をする。それを見たら、速度をゆるめないと、トペスのせいで車体がものすごい衝撃を受けてしまいます。だから、ラテン系の方々もトペスの標識が目に入ったら、仕方なく車の速度を落とすのだとか。このトペスという隆起物、中南米の国々の道路には、本当にたくさんあるんだそうですよ。UFO村、カピージャ・デル・モンテさて、ラテンアメリカを代表する小説といえば、コロンビアの作家、ガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』がありますよね。祖父と父と息子と3代にわたって同じような名前の登場人物が出てきたり、超現実的なことが次々に起こるので、少々読みにくい小説としても知られています。かくいう私も、実は大学生の頃から幾度となく挫折を繰り返してきていたのですが、新しい名前が登場するたびに家系図を見て本に線を引く、という地道な作業を行なったら、このたびなんとか通読することに成功しました。いやー面白かった!近年稀に見る達成感です。この『百年の孤独』でいちばん有名なシーンといえば、小町娘のレメディオスが、庭先でシーツに包まれながら空へと舞い上がり、そして消えてしまうところでしょうか。しかし、東洋の国に住む我々からするととても幻想的に思えるこのシーンも、ラテンアメリカの世界では普通にあること、つまり「現実」である──我々の考えている「幻想」と「現実」は、別世界へ行くとしばしばその枠組みを失ってしまう。そんなことを、イギリスの批評家は「マジック・リアリズム」と呼んだりもしました。いまいちピンと来ないという方がいるかもしれないので、もう少し補足しましょう。あのですね、アルゼンチンの中部に、「カピージャ・デル・モンテ」っていう村があるらしいのです。「カピージャ・デル・モンテ」、通称UFO村。村の東にそびえるウリトルコという山の頂上付近にしばしば謎の発光物体が現れることで知られ、村の人のほとんどがUFOの目撃者であるといいます。私たちがまわりに「UFOを見た!」なんていおうものなら年不相応の不思議ちゃんと見なされ避けられるのが関の山ですが、この村では、タクシーの運転手さんも、レストランのおばちゃんも、子供たちも、みーんな普通にUFOを見ているらしいのです。このUFO村の話を聞いたとき、私は「これぞラテンアメリカ、マジック・リアリズム!」と心が躍りました。みなさんも、UFO見たくないですか?リナ・ボ・バルディの魔術的建築真面目な話をすると、文学や芸術、それから旅行のすごいところは、自分が当たり前の「現実」だと思っているものでも、地球の裏側らへんまでいくと実は全然そんなことなかった、と気付かせてくれるところにあります。世間は狭いですが、地球はやっぱり広いのです。もう1つ、ワタリウム美術館で3月27日まで開催されている、『リナ・ボ・バルディ展』。リナはブラジルの女性建築家ですが、彼女の設計した「サンパウロ美術館」は、無機質な高層ビルが立ち並ぶなか、突如現れる巨大な赤の建築が目を引きます。こんな夢に出てくるみたいな建物が、本当に存在するんだろうか?私は、これもやはりラテンアメリカが生んだセンスであり、マジック・リアリズム的だ、と展示を見て思ったのです。ちなみに、冒頭で紹介したトペス。標識があると思って速度をゆるめたら結局なかったり、標識がないので特にスピードを落とさずに運転していたらドスンと来た、なんていう話も聞いたことがあります。なんだか傍迷惑な話にも思えますが、トペスのあるべきところにトペスがなかったり、ないはずのところにあったり、シーツに包まれて昇天したり、UFOを目撃したり、夢みたいな現実の建築があったり──たぶん私たちは、もっと自由に、もっと広い世界で思考してもいいのです。もしあなたが、ストレスで肩がガチガチに凝っちゃったりしたときは、意識をラテンアメリカのあたりまで、ぽーんと飛ばしてみるといいかもしれませんよ。Text/ チェコ好き
2016年03月18日新宿の喧騒を忘れる空間(c)『らんぷる』繁華街は美味しいレストランや素敵な洋服店などが軒を連ねるとても楽しい場所ですが、あまりの人の多さに疲れてしまうこともしばしばです。特に休日は賑わうため、ひと休み出来るカフェや喫茶店は満席であることが多く、休むためにも列を作って待たなければならないことも多いのではないでしょうか。特に新宿は混雑が激しく、自分のペースで歩くのも困難なほどです。しかし、そんな時にふらりと訪れても入店可能で、珈琲やレモンスカッシュを飲みながらほっと一息つける純喫茶があります。新宿駅東口から三丁目方向に向かう飲食店が並ぶ商店街の中に浮かぶ黄色い看板が目印の「らんぶる」です。(c)『らんぷる』外からは一階部分しか見えないため、初めて訪れた方はこぢんまりとした喫茶店だというイメージを持つのではないでしょうか?しかし、扉を開けて左側にある階段を降りていくと、そこにはまるで舞踏会場のように広く天井の高い空間が現れます。赤いベロアの絨毯と座り心地の良さそうな赤いソファ、さらに下のフロアへと続く大きな階段に目を奪われます。地下階にはあわせて200席ほどあるため、よほどでない限り入れないことはなく、待ち合わせにも安心して利用することが出来ます。(c)『らんぷる』名曲喫茶として愛されてきたこちらでは現在でこそCDを使用しているようですが、かつては膨大な枚数のレコードが日々流れていたそう 。周りの喧騒が嘘のように落ち着いた空間でぼんやりと座っていると疲れもどこかへ飛んでいくような気がします。余談ですが、店を任されている三代目の店長は学生時代の友人です。当時はもちろんそのような話をしたこともなかったのですが、数年前に開催された飲み会で見覚えのある顔を見つけ、交換した名刺にはなんと「新宿らんぶる店長」と記載されていたのです。すでに純喫茶に夢中だった私は飛び上るほど驚いたのでした。長い間疎遠だったにも関わらず、最近では時々一緒に珈琲を飲んだり、撮影場所として協力をしてもらうなど頻繁に連絡を取るようになり、純喫茶が再び繋いでくれた不思議なご縁に感謝するのでした。Text/難波里奈(c)純喫茶へ、1000軒難波里奈 (著)難波さんの新刊『純喫茶へ、1000軒』に興味がある方はこちらから!
2016年03月18日旅先でのモーニングの楽しみ(c)『珈琲美学アベ』旅先で目的の駅に着いた時、皆さんはまず何をしますか?私はいつも駅周辺の純喫茶を探します。気分を切り替え、珈琲を飲みながら一日の予定を組み立てるためです。日帰り旅行が可能で好きな街の一つとして思い浮かべるのは、長野県松本市。美しい自然があり、美味しい洋食屋、松本民芸用品を基調とした雑貨屋などが軒を連ねるコンパクトな街は、散策に最適です。かつて何度も訪れた馴染みのある場所に、純喫茶に関する打合せのため出掛けてきました。今回は、何気ない話から繋がった純喫茶でのこの先も続いていくご縁について話します。(c)『珈琲美学アベ』今回の旅の目的の一つは松本市で行うイベント会場として利用させてほしいというお願いのために訪れた『珈琲美学アベ』でした。交渉の途中、さらに東京で行うイベントでも珈琲を淹れる実演をして頂けないかと提案しました。すると急な依頼にも関わらず、マスターは「面白そうだから」と二つ返事で快諾して下さったのです。その優しさと決断力のおかげで先日開催された東京でのイベントは大盛況に終わることが出来ました。(c)『珈琲美学アベ』そんな素敵なマスターがいらっしゃる珈琲美学アベは松本駅から歩いて数分。看板や入口のマットに描かれている髭を生やした男性のイラストが目印です。彼の名前は「セニョールアベ」。店名の通り、こちらは二代目マスターである安部さんとご子息の三代目で営まれています。純喫茶が年々減少していく原因の1つとして「後継者不在」が挙げられるため、すでに頼もしい後任者がいることには純喫茶愛好家として感動しました。店内には、現在ではあまり見かけなくなった電話ボックスがあり(携帯電話で通話したい時に使用されるそう)、骨董品と思われる古めかしい黒電話が現役で使用されているなど、至るところにマスターの美学を感じることが出来ます。(c)『珈琲美学アベ』メニューには選べるモーニングセットやモカクリームオーレなど美味しそうな文字が並びますが、必ず珈琲もご一緒に。長い年月をかけて習得したマスターの技による「完全抽出」珈琲が自慢の一品です。実際にネルドリップで珈琲を淹れる作業を拝見しましたが、抽出後の珈琲粉の表面はまるでとろけたチョコレートのようになめらかでした。熱い珈琲を一口飲めば、レシート裏にある「悪魔のように黒く、天使のように優しく、恋のように甘い、珈琲のひととき…」という文言にも納得。長い間愛されている純喫茶には何度も会いたくなるマスターの存在が欠かせないものだとしみじみと思うのでした。Text/難波里奈(c)純喫茶へ、1000軒難波里奈 (著)難波さんの新刊『純喫茶へ、1000軒』に興味がある方はこちらから!
2016年03月14日お付き合いするうえで相手の趣味や習い事は結構重要ですよね。一緒に楽しむことが出来たり、そうでなくとも相手を理解することは円満な交際にとって大切なことです。婚活サイトにも「趣味」の欄があることからもそれが分かります。ですが、そんな大切な趣味が男性からのアプローチを遠ざけてしまう場合があることを知っていますか?今回は、男性に話すと交際・結婚が遠のく趣味や習い事についてインタビューしてきました!■1.「ワイン」「ゴルフ」などのバブル臭がするもの「なんかお金がかかりそう。一般の人とか女性が好む趣味じゃないイメージがあるからかな・・・ちょっと近寄りがたい趣味かもしれません。年上のおじさまに仕込まれたのかな?とか考えちゃう(笑)!」(28歳/サービス)ワインやゴルフなどお金がかかる趣味や、高級レストランの食べ歩きなどはあまり良い印象を与えないようです。後ろに他の男性の影を感じてしまうという声もちらほら・・・。そうじゃなくてもそんな風に思われてしまうこともあるので、話す相手を考えるのが無難かもしれませんね。■2.ネイル「正直男はあんまりネイルが好きじゃないから、ネイルに力を入れられても反応にも困る。上品でシンプルなのものならともかく、ゴテゴテした派手なものは邪魔だと思う。料理も出来なさそうなイメージ。」(学生/22歳)もともと男性から人気の低いネイルですが、習い事となると相当なネイル好きと思われて引かれてしまうこともしばしば。一方、「ネイリストを目指している!」というのはただのネイル好きとは違い、「夢に向かって努力している子」など前向きな印象を与えますよ。■3.「お茶」「お花」「着物」などお金がかかるもの「『趣味は生け花です』という女の子に日本女性らしい印象を受けてお付き合いしたことがあります。でも、あんなにお金がかかるなんて知らなかった。結婚を考えたら、あんなにお金がかかる趣味は無理かなって思って別れました。」(30歳/営業)「ちょっとお花のお稽古が・・・」なんて言える女性には同性でもあこがれちゃいますよね!でも実際はすごくお金のかかる趣味であるということを知らない方も多いようです。上品さを感じさせる一方で、将来を考えるとちょっと無理かも・・・と思ってしまう男性も。あまり親しくない時に、これらの趣味を伝えるのは控えたほうがいいかも。■4.武道など強い印象を与えるもの「『趣味は空手です!』って合コンで言ってた女の子がいました。別にいいと思うんだけど合コンで言う趣味じゃないっていうか。なんだかんだ男って、弱い子を守りたいと思うから、あまり強そうだと彼女候補から外れるよね。」(21歳/学生)最近は武道や格闘技を習う女性も増えているようですが、基本的に男は女よりも強くありたいと考える人が多いので、強い女性は敬遠されがち。喧嘩の時に負けてしまいそうで怖いという男性も。同じ趣味の男性を探すか、仲良くなってから打ち明けるのがいいかも。■おわりにいかがでしたか?お金がかかる趣味や女性らしさを感じさせないものは、今後を考える男性にとってはあまりいい印象を与えないようです。一方、英会話や資格取得は前向きで、悪い印象を持つ人は少ないようです。正直に趣味を打ち明けて引くような男性はイヤ!という方も多いかと思いますが、好印象を与える趣味を1つくらい持っていてもいいかもしれません。出会いのチャンスを広げることが出来るかもしれませんよ!(恋愛エステティシャン桜子/ライター)(ハウコレ編集部)
2016年03月09日新しく趣味を始めたい人におススメなのが、家で簡単に“集中”できる趣味。塗ったり、切ったり、刺したり……気づけば夢中になって、ストレス解消にもなるかも?専門家の意見とともに、思わず無心になれちゃう、おススメの趣味をご紹介します。無心になって集中すれば、頭と心がスッキリする。「特に自律神経を整えるには、手を使うということがポイントです。例えば塗り絵など、キレイに一つ一つ塗り続けることで、平常心を取り戻せます。日常で私たちは、仕事に支配されています。つまり、常に人に支配されているということ。だからこそ、誰にも邪魔されない自分のためだけの時間を持つことで、頭の中がリセットされ、自律神経の乱れが整ってくるのです」(医学博士・小林弘幸さん)日本人ならではの仏教的観点からも、無心になる意義が読み解ける、と精神科医の名越康文さん。「人間が物を支配する、と考えるヨーロッパと違って、日本は、物と人間が一体であると考える、物心一元論がベース。だから、物と心を合わせて一体となるということが自然とでき、尊い体験になるのです。例えば塗り絵でも刺繍でも、丁寧に作業し、対象となるものに命を吹き込み、大切なものと一体になる感覚を得られる。ただ無心になるわけではなく、大切なものと一体になる、という感覚が我々には必要なのだと思います」以下は、家で集中するのにぴったりな趣味3つです!■自分好みの色を重ねて、花園が美しくよみがえる「塗り絵」色を塗ることで自分だけの美しい花園が出来上がる。ジョハンナ・パスフォード著『ひみつの花園花いっぱいのぬりえブック』¥1,300(グラフィック社)■繊細な図案を切り取って楽しむ「切り絵」カッター1つで切れる図案集。garden著『切り絵作家gardenの草花と動物の切り絵図案集』¥1,200(朝日新聞出版)■日本の伝統刺繍「こぎん」で、ちくちく集中「こぎん刺し」青森県津軽地方に続く手仕事・こぎん刺し。幾何学模様が美しいコースターが5枚作れる、こぎん刺しキット。糸、針、布、説明書がセットに。こぎん13コースター(紺)¥1,600(オリムパス製絲TEL:052・931・6679)◇こばやし・ひろゆき医学博士。順天堂大学医学部教授。著書に『悩み抜く力』(毎日新聞出版)、『朝だけ腸活ダイエット』(ワニブックス)など。◇なこし・やすふみ精神科医。コメンテーター、映画評論など、様々な媒体で活躍中。近著に『「男はつらいよ」の幸福論』(日経BP社)。※『anan』2016年3月9日号より。内田紘倫(商品)取材、文・板倉ミキコ瀬尾麻美
2016年03月04日旅先でのモーニングの楽しみ(c)「KAKO花車店」皆さんは早起きは得意でしょうか?仕事など何か用事がある場合はやむを得ないですが、私はできるだけ休みの日はゆっくり寝ていたいというのが本音です。しかし、旅先では純喫茶で頂く個性豊かなモーニングが楽しみで、いつもより早く目を覚ますこともしばしば。焦げ目の美しい厚切りのトースト、みずみずしいサラダ、半熟のゆで卵や丁寧に焼かれたベーコン、体にしみわたる熱々の珈琲。想像するだけで翌朝が楽しみに。店によって提供されるメニューは様々なので食べ比べるのも楽しいものです。そしてモーニングといえば、珈琲一杯で驚くほどのサービスが豊富な名古屋を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?そんな中から今回は運ばれてきた時に思わず感嘆の声が出てしまう美しいトーストモーニングを食べられる純喫茶を紹介します(c)「KAKO花車店」名古屋駅から徒歩数分、かつて花車町と呼ばれた地域でとても人気の店「KAKO花車店」。こ ちらは名古屋で初めて自家焙煎コーヒーを始めたお店だそうです。熱々のうちに頂くと強い苦味を感じますが、冷めるとやわらかい味になり最後まで美味しく頂ける珈琲はさすが。ぐるりと見渡すと、アーチ型の天井、重ねてきた年月を感じさせる艶のあるテーブル、窓のステンドグラス等、こぢんまりとした店内の中にたくさんのこだわりを見つけることが出来ます。(c)「KAKO花車店」目移りしてしまう豊富なメニューの中から是非ご注文頂きたいのは「シャンティー ルージュ スペシャル」。四分割されたトーストにバターが塗られ、その上には餡、生クリーム、コンフィチュールがのせられています。コンフィチュールは季節の果物を使用しているので都度変わるそう。丁寧に手作りされていて購入することも可能で餡がのっているところに名古屋の喫茶文化を感じることが出来て嬉しくなります。一切れ毎に違う味を楽しめるところが魅力的。営業時間内なら注文可能ですが、モーニングの時間帯の価格がとてもお得です。名古屋にお住まいの方、これから旅で行く予定のある方、美しいモーニングを食べて気持ちを整えてからお出掛けするのはいかがでしょうか?Text/難波里奈(c)純喫茶へ、1000軒難波里奈 (著)難波さんの新刊『純喫茶へ、1000軒』に興味がある方はこちらから!
2016年03月04日フツーの王道恋愛マンガに見せかけて、男子がド変態!?(c)『メフィストフェレスは誰?』(吉原由起/小学館 フラワーコミックスα)既刊2巻キャッキャ楽しければいいというのが娯楽。漫画はまあ娯楽ですよね。でも、なにか知的な情報があったりとか、うなるようなトリックがあったりとか、心理描写が繊細だったりとか、「単なる娯楽じゃない」と思えるものが評価を得るのだと思います。『メフィストフェレスは誰?』は、婚約者に裏切られた女の子と、牧師さんの物語です。特にキリスト教に詳しくなれるわけでもなく、深い心理描写があるわけでもなく、言ってみればフツーの恋愛マンガです。「もしかして牧師さんは人を呪い殺せる力があるとかのファンタジーなのかしら?」と一瞬考えてみましたが、そんなこともなく、超能力も悪魔も魔神も出てきませんでした。そうだったそうだった、作者の吉原由起さんが描くお話は、たいていフツーの、身近な世界が舞台の、小難しい話はいっさいナシの、恋愛マンガなんだった。でも私、彼女の作品が大、大、大好きなんです。吉原さんは元美大生とのことで、絵はすっきりしていて上手で、男子はイケメンです。でもどの作品も、そのイケメンが“ド変態”なんです。クールで冷静なんだけど、シレッとした顔で主人公を困らせます。イケメン牧師の言動は、腹立つんだか、かっこいいんだか! 『メフィストフェレスは誰?』では、主人公の奈々子が浮気した婚約者に激情して、割れたワインのビンを投げつけようとするシーンがあります。そこにものすごくタイミングよく駆けつけた牧師さんが止めに入り、ケガをしてしまいます。ちょっといい人なのか牧師さん?と思っていると、その後、ことあるごとに「あいたた誰かさんに割れたワインのビンでぶっ叩かれた傷があいたたたた」とかシレッと言って、奈々子を思い通りに操るのです。奈々子が牧師さんに告白するシーンも見どころです。その返事は「知っています」なんです。知っていますって?で、あんたの気持ちは?腹立つんだか、かっこいいんだか!その後で、奈々子に「自分の彼女のフリをしてくれ」と頼むときも、「いいですよね、あなたは僕のことが好きなんでしょう?」ですよ。腹立つんだか、かっこいいんだか!良識的で善良で、ときに強気な主人公を、変態イケメン牧師が振り回す。ホント、ただそれだけのお話なんですけど、めちゃくちゃ面白いんです。もう大人になって長いと、少女漫画に出てくるような都合のいいイケメンなんていないってわかってますよね。なので、ひたすら女に都合のいいキャラにはあまり共感できなくなっていきます。でも、吉原由紀さんの描くイケメンは、よくあるドSでもなく、クールでもオレ様でもない。他に類を見ない個性派です。絵も笑いも、すごくセンスがある感じ。ところでこの牧師さん、少女漫画によくあるトラウマ持ちなんですが、これ実は誤解なんじゃないかなーとか予想してますが、みなさんいかがでしょう?Text/和久井香菜子
2016年03月04日純喫茶が多くある場所の一つとして駅構内があります。待ち合わせにも最適で雨の日も濡れず、慌ただしい時に少しの時間を過ごしたいとしても乗車時刻の予定を立てやすいところが利点です。昔から好きで頻繁に通っている中の一つに新橋駅前ビルがあります。新橋駅前ビルは昭和41年に建てられ、東京での「駅ビル」第一号と言われ、当時はエレベーターガールや受付嬢のいる最先端の場所であったそうです。今回は歴史を同じくして開店し、今年の10月で50周年を迎える純喫茶を紹介します。昭和の感じがむしろ新鮮に映るパーラーキムラヤ新橋駅を利用する人たち、こちらを目指してやってくる人たちをやさしく出迎えてくれるのは「パーラーキムラヤ」。パーラー、という文字が冠にあるとときめいてしまうのは、純喫茶を好む人たちの共通点ではないでしょうか。入口のガラスケースには昭和を感じる食品サンプルがずらりと並び、今日は何を食べようかと迷う楽しい時間です。パーラーキムラヤえんじ色と白色の椅子は今見てもモダンなデザインで、窓際の席にかけられたレースのカーテンはどこか儚げ。店内中央の仕切りの上には船の模型と魚たちが泳ぐ水槽が。あえて携帯は鞄の中にしまい、時間の流れにぼんやりと身をゆだねてみるのも良いものです。パーラーキムラヤサラリーマンのオアシスであるこちらでは、スーツ姿の男性たちが昔懐かしい飾り付けのプリンアラモードなど甘いものを食べている微笑ましい姿をたまに見かけます。パーラーキムラヤ平日の営業はAM7時半から夜は22時までと会社員は利用しやすくメニューも豊富ですが、マスターの一押しはミートソーススパゲティ。たまねぎを炒めるところから完成までは3日間。創業時から空にならないよう少しずつ継ぎ足され丁寧に作られたソースは、やわらかな味が守られています。「昭和の時代から普通にしてきたことを今も変わらず行っているだけ。しかし、若い人たちには新鮮に映るようで嬉しい。」とはお母様と一緒に店を守る二代目マスターのお言葉。朝はモーニングセット、昼はミートソーススパゲティとプリンアラモードを、夜はチキンピラフとクリームソーダなど、純喫茶メニューのフルコースで一日に何度も訪れてはいかがですか?Text/難波里奈(c)純喫茶へ、1000軒難波里奈 (著)難波さんの新刊『純喫茶へ、1000軒』に興味がある方はこちらから!
2016年02月29日ブロガー・イケダハヤト氏との出会いをきっかけに高知へ移住したフリーライターの小野好美さん。最終回では、ゆるいつながりが魅力の「沢田マンライフ」を経て、イケダ氏も提唱している「2段階移住」(いったん地方都市に住んでから、山や海などの自然に恵まれた移住先を探す方が失敗が少ないという説)を実行に移します。数々の決断の先に小野さんが見つけたものとは−−?東京よりも高知の方が気の合う人とつながれて寂しくない高知にえいやと移り住んだものの、「県外から来たばかり」、「高知には身内もいない」、「独り者」、「仕事はフリーランス」という悪条件てんこ盛りでなかなか家が借りられなかった私ですが、沢田マンションだけは違いました。“沢田マンション”に住みたいがために他県からやってくる人もいるため、大家さんにとって、他県出身者や独り者は慣れたもの。もう一つの懸念事項「フリーランス(=収入が不安定)」に関しても、「それなら家で仕事ができてえいね(いいね)」と大家のお母さんはニッコリ。思わずお母さんに抱きつきそうになる衝動を抑え、私は30号室の賃貸契約を結びました。「沢マン」には、大家さん一家や住人同士のほどよくゆるいつながりがあり、たくさん食材をいただいた時には分け合ったり、時には誰かの部屋で自然と一緒にごはんを食べたり…。一人暮らしだと近隣とのつながりがほとんどない都会と、親戚のようにつながりの濃い田舎生活のちょうど中間という感じが、「ベタベタしたくないけど、完全に放っとかれるのはイヤ」という非常に面倒くさいメンタリティを持つ私にもすごーくちょうどいい空気感でした。都会から地方への単身移住について聞かれる質問ナンバーワンが「寂しくない?」というものですが、私の感触では、人口が多い東京よりもなぜか「沢マン」をはじめとした高知生活の方が、気の合う人とどんどんつながれて、寂しいと思う暇がなかったくらい。これは高知の人たちが皆ラテン気質で、フレンドリーだからでしょうか。もしくは人口が過密でない分、風通しがよくて、気の合う人にすぐアクセスできるから? それとも私の性格が高知にドハマリしているの? 曖昧な結論になりますが、自分をオープンにさえしておけば、ご縁ある場所では縁は広がり深まっていくもの。高知の人や自然に感化された私は、自ずと東京にいた時よりもオープンマインドだったのかも知れません。生活コストの低い“地方”「おひとりさま」ならどうにかなるまたよく聞かれる質問ナンバー2の「仕事はどうするの?」問題についても、(「あなたはフリーランスだからいけたんでしょ」という声もちらほら)乱暴な言い方になりますが、おひとりさまなら、どうにかなります。周りの移住者を見ると、「半農半X(エックス)」の人が多いかな、という印象。やりたかった農業を小さな規模でしながら、何かアルバイトをしたり、法人化しているような大きな農家を手伝ったり。「地方には仕事がない」という根強い呪縛がありますが、それは会社勤めをしたい人の話。飲食店、農業、農産物の加工・販売など、何らかの仕事はあるので、生活コストの低い地方ではそこまでがんばらなくとも、充分に生活していくことができます。もちろん自分でお店をやりたいとか、制作活動をしたいとか、そういう目的意識を持って移住してきて、実現している人も多々。イケハヤさんのブログでもよく論じられていますが、特に高知は元々企業が少なく、自営業が多い場所。商売を始めることのハードルが低いので、借金をせずに小さな規模でお試し的に商売を始めて、徐々に軌道に乗せていっている人が多いように思います。私が高知に来て感動し続けていることの一つが「自分で作って(やって)いいんだ!」ということ。都会では既に飽和しているインフラが地方では手薄。生まれた時から既存のシステムを充てがわれるのが当たり前だった東京生活に対し、地方ではイベントやお店や仕組みを、自分たちで作り出す余白があります。この能動的な姿勢に慣れてしまうと、システムに合わせる受動的な生き方では幸せを感じられない身体に…。リスクもあるのである意味キケンですが、圧倒的におもしろいのは確か。音楽、アート、お店、イベント、服、野菜や米、加工食品、そして家。あらゆるものを自分たちの手で作ってしまう人びとに囲まれていると、どうしてこれを買わないといけないと思い込んでいたんだろう? と思うこともしばしば。その分、もしも何かを買うなら、今まで以上に厳選するようになったのも収穫と言えましょう。さて、快適で順調に見えた私の沢マンライフですが、やはり拭うことができなかったのが「自然が足りない」という思い。そして、男と別れて仕事もフリーになって、仕事もプライペートもおひとりさま、四面楚歌状態で移住した私でしたが、移住から丸1年を前にしてその状態に変化が。恥ずかしながら帰ってまいりました…ラブのある暮らしに。えぇ、そうなんです。ありがとうございます。体の声を聞いて導き出した答えはおなかに…? 高知の海辺の町出身の彼が、その頃、仕事の関係で移り住んだのが四万十町は十和(とおわ)という地区でした。十和は高知県北西部に位置する山間の地域で、「道の駅」の成功モデルとして注目されている場所。移住者が多く、地域の人も移住者に対しとても柔軟です。どこを見ても山というこの地に何度か足を運ぶうち、私も彼と一緒にここに住むという話が持ち上がったのです。便利過ぎる沢田マンションから、「いちばん近いコンビニは隣の愛媛県」という山間の地に引っ越すには、またも激しい、葛藤がありました(激しすぎて体調を壊し、寝込む始末…!)。ですが、ここでも私の人生の根幹をなす「いくら考えても本当のところは分からない。やってみてダメだったらそこで考えよう」精神で思考を放棄。最終的にはまたしてもえいや、と勢いのみで引越しを敢行。沢田マンションのお母さんなどは、東京から来た私が田舎に引っ越すということで本当に心配してくれて、「何かあったらいつでも戻っておいで」と言ってくれました。入居のときはガマンした衝動を今回ばかりは抑えきれず、お母さんとがっしりハグを交わして私は四万十町にやってきました。そして現在。窓の外は一面の緑。聞こえてくるのは鳥の声。そしてそして、私のおなかには…猫が乗っていますね。3匹。すみません。重いので降りていただいてよろしいですか。かように彼と猫3匹との楽しい共同生活@四万十がスタートしました。ついに5年来、体の奥底で鳴りつづけていた「自然が足りない」という声に、「四万十移住」というアンサーを返したのです!四万十で“プラダの財布”は必要か?現在、東京で借りたら家賃6ケタの1戸建てを、4ケタ(!)で借りており、食材もよくいただくのでお金を使う機会はさらに激減。お金のために、と仕事をムリに抱え込む必要がなくなるので、余裕を持って仕事ができています。東京、そして高知市と比べて生活はさらにシンプルになりました。遊び方は料理とお酒を持ち寄って、誰かの家でパーティーするとか、気になる映画があったら上映会を自分たちで企画するとか、皆で餅つきや味噌作りをしてみるとか、そういう毎日で、意外と忙しいのです(笑)。パーティーの場にミュージシャンがいれば歌い、ダンサーがいれば踊り(四万十にはなぜかアーティストが多い)、料理も「玄人はだし」の人が多いので(田舎では美味しいお店ができるのを待っていても仕方がないので、自分たちで作るという姿勢のなせる技!)、気づけば四国の山奥にいるとは思えないクオリティの高い料理に囲まれていたり。ジビエもここでは当たり前。また、ときどきは街に行き、カフェやTSUTAYAでここぞとばかりに文化の香りを吸い込みます(笑)。暖かくなったらキャンプやカヌーに釣り、とアウトドア遊びが日常になることでしょう。「おひとりさま」のフットワークが軽さは武器になる そんな風にお金を使う機会が減って思うのは…なんというか、無人島に行く時にお気に入りのブランドのワンピースを着ていく人ってあまりいないですよね。もっと破れてもいいようなジーンズとか、履いて行きませんか?何が言いたいかというと、いかに私たちは人の目のための消費をしているかということ。私もフリーになった時に、自分に気合を入れようとプラダの財布など買ってみたのです。あくまで自分のためだと思っていましたが、でも、もしも自分以外誰もプラダを知らない国にいたら、その財布を買ったかどうか自信がありません。やっぱり周りからの「いいね」を欲しい気持ちがなかったと言ったらウソになる。他人からの称賛や羨望が欲しいという自分の気持ちも見つめたうえで、ファッションという遊びに昇華できていたら健全です。でも、自分を省みるとまったく自覚的じゃなくて、いつの間にか「これぐらいは持っていないと」という無意識の思い込みに振り回されていたな、と思うのです。借りていた部屋も、買っていた服や小物も。地方のいいところは、東京とくらべて圧倒的に「人の目」が少ないところ。人目を気にせず「自分の心身が心地よいかどうか」という一点のみにおいてすべてを選択できることが、どれほど幸福なことか−−。おひとりさま、東京から高知市を経て、四万十へ。また何か新しくておもしろそうな流れが来たら、乗るとは思いますが、とても心満たされる居場所を見つけました。もしもあなたが東京的な生活に疲れているなら。地方移住という手もありますよ。「おひとりさま」でも、いけました。おひとりさまであることは、フットワークが軽いという武器になります。私は前の恋人と別れてから「新しいパートナーができたら移住しよう」と思っていました。でも友だちに「彼氏が東京での仕事を手放せなかったら、移住できなくなるのでは?」と言われて至極納得。それに、先に一人で移住を果たして、のびのび暮らしていた方がパートナーもできやすいのかもしれません。極端な例かもしれませんが、高知に単身移住して1年を待たずに恋人ができて結婚、もうすぐママという友だちも。周囲のムードに流されず、「自分の心身が心地よいかどうか」をニュートラルに感じられる健やかさが、皆さまにも私にも、いつも共にありますように。読んでくださってありがとうございました! 今度は「田舎で消耗してるの?」にならないためのtipsとか、いろいろ書き足りませんが、すでに文字量を相当オーバーしているのでひとまずここで。またどこかで!Text/ 小野好美
2016年02月24日dee_dee_creamer大きな二重の目になりたかった。こんな剛毛ではなく、しなやかで柔らかい髪質に生まれたかった。もっと鼻が高ければよかったーー女性なら、一度は抱えたことがあるであろう容姿へのコンプレックス。しかし、美の基準は絶対的なものではなく、国や時代によって変わるものであるということは、みなさん頭ではわかっているかと思います。社会における美の基準がどのようにして決まるのかというと、時の権力者の容姿が基準になっていることが多いと聞きます。大きくて二重の目、柔らかい髪質、高い鼻、これらは端的にいえば白人の顔立ちですね。今後何十年、何百年の間でまた変化があるかと思いますが、近代〜現代社会というのは、白人社会が権力を持った時代です。だから、我々の美の基準というのも、白人の顔立ちが基本になっているんですね。と、話は変わりますが、現在〜2016年3月6日まで、六本木の森美術館にて『村上隆の五百羅漢図展』が開催されています。会場内での撮影が全OK&SNSでのシェアも可能という、なんとも現代的な展示なので、これまでにない刺激的な体験ができる人も多いはず。現代アートに興味のある方がいたら、ぜひとも足を運んでほしい展示です。村上隆ってどんな人?村上隆といえば、オタクカルチャーを日本の現代アートのなかに戦略的に取り込み、海外で高い評価を得てきた美術家です。2007年にNYのメガギャラリーであるガゴシアン・ギャラリーで最初の個展を行ない、2008年にはオークションに出品した作品が1500万ドル(約16億円)という最高値を記録、美術家としての名声の頂点を極めました。ルイ・ヴィトンとコラボレーションしたバッグや、女の子が自分の胸から出ている母乳で縄跳びをしている巨大フィギア『HIROPON』などの作品を思い浮かべる人が多いかもしれませんね。彼の作品を表す言葉として「スーパーフラット」というものがありますが、これは簡単にいうと「キャラクター」を作品の中心に据える、ということです。村上隆と聞いて真っ先に連想するニコニコしたお花とか、大きな耳を持った「DOB君」なんかが、それに当たります。我々日本人の多くは、幼い頃から漫画に親しみ、キャラクターの笑っている/怒っている/泣いているなどの表情を表す記号、また漫画表現独特の文法を習得しています。通常、美術館は芸術家や批評家、その他独自のコードを学んだ者しか楽しむことができない空間であることが多いですが、村上隆はこのなかに「キャラクター」という概念を導入し、ハイコンテクスト/ローコンテクストの関係を混乱させたわけです。キーワードは『奇想の系譜』。「異端」と「正統」の関係を考えるさて、話はもどって今回の展示『五百羅漢図』です。横幅100メートルにもなる極彩色の絵画がいくつも並ぶ光景は、溢れ出るエネルギーのあまり頭がクラクラするほどです。ところでこの『五百羅漢図』、制作の発端となったのは「奇想」を論じた『奇想の系譜』の著者である美術史家・辻惟雄氏と村上隆が『芸術新潮』上で行なっていた連載企画なんだそう。昨今、伊藤若冲展や鳥獣戯画展、春画展など、日本画ブームが起こりあちこちで興味深い展覧会が開催されていますが、人気のある日本画の展覧会に共通しているのが、この「奇想」という言葉です。日本美術史のなかで長く「異端」として扱われていた絵師たちの、エキセントリックであったりグロテスクであったりする斬新な表現が特徴的です。しかしちょっと覚えておきたいのは、これらが「異端」とされていた理由です。日本美術史の草創である明治初期、正統とみなされたのは狩野派などの「官画」で、浮世絵などの「民画」はその表現の斬新さや美術的完成度の高さをよそに、権威がないため勝手に「異端」、傍流とされてしまっていたんですね。長く美術史のなかで無視されてきたものが、現代になってその価値を再発見された、というわけです。女性の美しさの基準や、既婚であること未婚であること、恋人の有無、仕事や育児、自分が世間で「正統」とされる生き方をまっとうできていないことに、悩む女性は多いかもしれません。私もその1人です。だけど、村上隆の『五百羅漢図』や日本の「奇想」の画家たちは、いわゆる「正統」が、常に時の権力者によって恣意的に選択されたものに過ぎないということを思い出させてくれます。時代が変われば、「正統」は変わります。まわりとちがう人生を送っていたり、まわりとちがう価値観を持っていたって、年配の人に注意されたって、何の問題もありません。『五百羅漢図』に渦巻く力強い生命力は、そんな勇気をおひとりさまの女性にあたえてくれるはず。というわけで、首都圏にお住まいの女性は、ぜひ森美術館に行きましょう。「奇想」ならではの美しさや面白さが、きっとあなたの刺激になるはずです。Text/ チェコ好き
2016年02月24日20代後半、年収250万ちょっと、恋人なしのおひとりさま女性・沼越さんが、“運命の物件”を求めてモデルルームを巡り歩く日々を描いた漫画『プリンセスメゾン』。『モチイエ女子web』との連動企画として『やわらかスピリッツ』に連載され、女性読者を中心にあたたかい共感とささやかな勇気を与えている本作の作者・池辺葵さんに、女性の人生と住みかの関係について前後編でお話を伺いました。沼ちゃんは偏見や思い込みを打ち破る私にとってのスーパーヒーロー『プリンセスメゾン(1)』(池辺葵/小学館 ビッグコミックス)――そもそも、理想のマンション購入を目指すおひとりさま女性を漫画の題材にしようと思ったきっかけや経緯を教えてください。池辺葵さん(以下、池辺)もともと『モチイエ女子web』さんから、単身女性が家を買うことをテーマに漫画を連載したいという話があって、担当のKさんが私に企画を持ち込んでくれたんです。担当編集Kさん(以下、担当K)池辺さんはこれまで『繕い裁つ人』や『サウダーデ』などの作品で、衣食住の“衣”と“食”は描いてこられたので、「次は“住”はどうですか?」と。池辺私自身は、これまで家を買おうなんて考えたことがなかったんですけど、『サウダーデ』を描いたときに、家がないということや、帰るところがないということを、もう少し深く描きたいなと思って。『プリンセスメゾン』では、“ふるさと”や“居場所”をテーマにしていると自分では思っています。――沼越さんは、居酒屋に勤務しながら古いアパートの1階に住み、こだわりを持って地道な貯金とモデルルーム巡りを繰り返しています。恋愛や結婚とは関係なく、自分のためだけに家を買いたい、と主体的に行動する女性を描いているのが新鮮でした。池辺沼ちゃん(沼越さん)は、私にとって憧れのスーパーヒーローなんですよ。はたから見たら「沼ちゃんってかわいそうじゃない?」と思われてしまうような恵まれない状況でも、凛としていて、すごくいきいきと美しく生きている。独身で家を買う女性に対する、世間の偏見や思い込みをとっぱらってくれる存在なんです。――2巻には「まずは自分の人生をちゃんと自分で面倒みて、誰かと生きるのはそのあとです」というセリフがあって、とてもかっこよかったです。池辺沼ちゃんは、それはそれで極端だとは思いますけどね。もちろん、人は恋愛を通して成長したり、自己を確立したりすることもできるけど、そうじゃない人も魅力的に描きたいなと思っていて。共感を頼りにしか描けないからいろんな人の孤独に寄り添いたい『プリンセスメゾン(2)』(池辺葵/小学館 ビッグコミックス)――作品では沼ちゃん以外にも、さまざまな家で、さまざまな生き方をしている女性が描かれていますが、職業や地位やキャリアにかかわらず、人知れずみんなどこかに孤独を抱えている気がしました。池辺恥ずかしいことですけど、私はゼロから物語を作るのが苦手で。共感だけを頼りに描いているというか、自分が日々感じている感情をもとに膨らませないと、話に入り込めないんです。――でも、読んでいて決して寂しい気持ちにはならず、むしろ励まされて温かい気持ちになります。2巻に出てくる、旅をするOLの豊田さんが印象的でした。池辺実は、温泉で倒れたのは実話なんです(笑)。北海道へ一人旅に出かけたとき、札幌から帯広まで電車で3〜4時間かけて移動するのが大変で、疲れてたんでしょうね。温泉に入ったら気を失って浮いてたみたいで……。私、このまま死んでたかもしれないと思ったらなんかおかしくなっちゃって、これ絶対漫画に描こうと思いました。――最後、オフィスの屋上でタバコをふかしながら「さて、どこで生きようか」と見栄を切るのもいいですよね。池辺意地っ張りというか、虚勢を張っている女の人を描くのが好きなのかな。見栄を張るのって別に悪いことじゃないと思っていて。全然かっこよくないけどかっこつけてる、それが本当にかっこよく見えたらいいなと思って描いてます。担当K池辺さんの描く女の人は、ダウナーだけど読んでいて心地いいんです。テンションの高い超元気な人が出てきたら、「ああ、こっちも頑張らなきゃ……」みたいに思わされてつらいじゃないですか(笑)。池辺でも、ちょっと偏っているかなと思うときもあります。家を買う単身女性を応援するwebサイトなのに、持ち家やマンションの魅力をあんまり描けていないんじゃないかと心配で。『モチイエ女子web』さんがよく我慢してくれてるなって(笑)。――マンション購入をことさらよいものとしてゴリ押ししたりせず、ひとつの価値観を押しつけるようなところがないのがこの漫画のよさだと思いますよ。池辺ただ、買うか買わないかはともかく、「こんな暮らしが私にもあったら」と素敵に思えるように描いてほしい、とは担当さんからお願いされています。それに、登場人物たちがどんな境遇であっても、最終的には自分のことを肯定して前向きに生きているように見えたらいいな、と思って描いてますね。描きたい景色が先に浮かんでから物語が下りてくるのを待ちます――池辺さんは、描きたいシーンから話を考えたり、先にセリフが浮かんだり、というのが作品によって違うそうですが、本作ではどうですか?池辺『プリンセスメゾン』はシーンが先に浮かびます。たとえば、すごくきれいな景色を見たときに、「これを眺める女の人が描きたいな」と思ったり、あるいは「こういうところがふるさとだったらいいな」「でも、自分にはあそこに帰りたいと思えるような場所がないな」と思ったり。そういうところから発想していきますね。――描きたいと思った景色や感情は、普段から意識して覚えておくようにしているんですか?池辺以前はそういうのをスマホにメモしてたんですけど、あるできごとに感情を揺さぶられたら、そのとき感じたことはそのとき描かないとものにならないということがわかって。今は、ぎりぎりまで発想や衝動が下りてくるのを待つ感じです。待っていれば絶対に下りてくると言い聞かせて、自分を信じるようにしています。――毎回、見開きの絵がとてもきれいで素晴らしくて、息を呑みます。この景色を見開きで見せたいな、と考えて話を作ることは?池辺話の流れの中でこれが見開きにきたらいいな、と自然発生的に生まれるものなので、見開きで描きたいシーンから話を作ったことはないです。見開きの絵ってすごくインパクトがあるし、読む人に訴えかけるパワーがあるぶん、その力に頼ってしまっている気がして、最近は控えるようにしてるんです。――そうなんですか?毎回、どんな流れでどんな光景が見開きでバンとあらわれるのか、楽しみにしていました。池辺それまでデジタルデータで描いていたのを、2巻の途中からアナログ原稿に戻したんですよ。デジタルをうまく使いこなせなくて。そしたら、見開きはを描くのがすごくしんどくて、頭に浮かんでいるイメージをちゃんと表現できる画力が、自分にはまだないと思い知らされました。だから、見開きはもっと考えて使わないとなって。担当Kでも、アナログに戻してから書き込みが細かくなって、原稿がすごくよくなってると思います。コマの外に絵や書き文字をはみ出させたり、小さな遊びを入れてくださることも増えてきていて。タッチも変わっていると思うので、そこも味わいながら読んでほしいですね。後編「家探しとは自分の人生を見つめ直す作業である」につづく(プロフィール)池辺葵2009年、『落陽』でデビュー。洋裁店で働く女性が主人公の『繕い裁つ人』(講談社)は、2015年1月に中谷美紀主演で実写映画化もされた。他の作品に、喫茶店を舞台とした群像劇『サウダーデ』(講談社)、老婆の夢と現実を描いた『どぶがわ』(秋田書店)などがある。現在、『やわらかスピリッツ』(小学館)×『モチイエ女子web』にて、『プリンセスメゾン』を連載中。2月12日に最新刊第2巻が発売された。
2016年02月23日「津山30人殺し」の犯人が陥った“負のサイクル”『天人唐草山岸凉子スペシャルセレクション5』(山岸凉子/潮出版社)先日、号泣会見で話題となった野々村元議員の裁判が行われ、これまた話題になりました。「お待ちください」「覚えていません」を繰り返し、ワイドショーを喜ばせていましたね。ああだこうだと取りざたされていますが、これ、ひと言で言えば「自分への甘さ」で済む話だと思います。カラ出張を膨大な回数繰り返したのも、「バレたときにどうなるか」が想像できなかったからでしょう。また、これまでの人生、なにか自分に不都合なことが起きたとき、「知らない」「わからない」と逃げることでなんとかなってきてしまったのだろうと想像します。人は大人になる過程で、自分の甘さから逃げてはいけないことを学ばなければなりません。その機会は誰にでも、何度も与えられるはずです。『負の暗示』は、『八つ墓村』のモチーフにもなった事件「津山30人殺し」を描いた作品です。主人公の睦雄がどのようにして、一晩で30人もの村人を殺すに至ったかを検証していきます。祖母に甘やかされて育ったものの、家が貧しく進学できなかったこと。結核を患い、徴兵免除になったこと。それ故、関係を持った女たちからの、手のひらを返したような冷遇。人生が上手く行かないことに、どんどんと彼の不満は募っていきます。確かに、身体が弱かったこと、家が貧しかったことなど、恵まれた環境ではなかったのかもしれません。けれど、だからといって人を殺していい理由にはならないはずです。先送りした逃避は倍になって戻ってくる人間誰でも、自分には甘いものです。自分のした行動には、いくらでも言い訳ができます。だからこそ「自分が未熟であること」を認めることが、大人になる最初の儀式です。自分を客観視するのは辛い作業です。でも、それを乗り越えないことには、人生をよりよく切り開いていくことはできないのです。そして、他人を蔑むことや恨むことは、尊重するよりも簡単です。私たちはいつでも、何度でも、自分の行動を客観視し、自ら戒めていく必要があるのです。その辛い作業から目を背けているうちに、どんどんと大きな問題になっていきます。そうして逃げられないところまで追い詰められてしまう人を見る度に、この作品のことばを思い出します。「先送りした逃避はいづれ目の前に戻ってくるさらに倍になって」「そのまま解決せずまた先送りするとさらにさらに倍になって戻ってくる」「そのひとつひとつが小さな逃避であろうとも負は大きな口を開けていつでも我々を待っている」号泣会見の前に、裁判になる前に、解決できるチャンスはたくさんあったのではないかと想像します。小さな逃避の繰り返しが、とうとう逃げられないところまで野々村元議員を追い込んでしまったのではないでしょうか。『負の暗示』は、私が今までに読んだ少女マンガの中で、もっとも恐ろしく、そしてことあるごとに戒めとして思い出される作品です。※『負の暗示』は、『天人唐草山岸凉子スペシャルセレクション5』に収録Text/和久井香菜子
2016年02月22日“おひとりさま”“ぼっち”という言葉がすっかり定着し、いろいろなひとり向けサービスが誕生している昨今。未婚で恋人ナシ、仲良しの友人が結婚してあまり遊べなくなった…そんな人にとってはうれしい状況と言えるでしょう。でも、実際のところ、どこまでひとりでできるもの?20~40代の女性に“おひとりさま”行動の限界を聞いてみました!◆むしろひとりがいい“初級ぼっち”≪映画・展覧会≫・「作品と私との対峙なので、むしろひとりがいい」(30代)・「自分のペースで観たいから、ひとりで行くことが多い。去年の春画展もひとりで行きました」(30代)≪買い物≫・「趣味の違いがあるのでひとりがベスト。でも、誰かと一緒でも別にいいかなという感じ」(30代)・「ひとりで買い物するのは全然抵抗ないけど、ティファニーに入ったときは指輪を選ぶカップルばかりで寂しくなった」(30代)≪外食≫・「回転寿司、ラーメン、ファストフードはOK。20代の頃はひとりで夕食は無理だったけど、今は平気」(40代)確かにどれも、ひとりで行っても問題ないし、むしろ「ひとりのほうがベター」なイメージ。ただ、カップル率が高そうなお店は、幸せオーラにやられるかもしれないので、心の準備をして行ったほうがいいかも!?◆専用サービスで気軽に!“中級ぼっち”≪旅行≫・「女性ひとり客歓迎の宿を選んで行きます」(30代)・「ひとり旅が好きでよく行きます。ただ、GWや夏休みなどのイベントシーズンはちょっとキツい。周りが家族づれ、カップルでわいわいしてる中、ひとりでポツーンは悲しくなることも…」(30代)≪カラオケ≫・「ヒトカラよくします。他人に合わせなくていいし、慣れれば人目も気になりません」(20代)・「“おひとりさま歓迎”のカラオケ店をときどき見かけるけど、まだハードルは高い」(30代)≪ブライダルフェア≫・「ひとりだとセールスの人に捕まらず、自分のペースで見られるので意外といいですよ。“ひとり歓迎”と謳ってるフェアもあるし」(30代)≪焼肉≫・「普通の焼肉屋はハードルが高いけど、立ち食い焼肉には月2~3回行きます。ひとり客が多いので周りの目も気にならないし、隣りの人と話が弾んで2軒目に!なんてこともあります」(30代)以前ならあり得ないと思っていたことでも、サービスを提供する側が“おひとりさま”に対応し始めているこれらは、トライしやすそう。既に経験済みという人もいるのでは?◆「○×」判定の分かれ目!“上級ぼっち”≪遊園地・テーマパーク≫・「ディズニーランドは年間パスポートを持っててひとりでも行きます。買い物がメインだけど、シアター系のアトラクションやパレードはひとりでも浮かないですよ」(20代)・「楽しむための施設の“園”系は、ひとりではムリ…」(30代)≪BBQ・アウトドア≫・「たまに近所の河川敷でひとり燻製BBQします。犬の散歩をしてる人に見られるけど、気にしない!」(30代)・「山登りはよく行きます。ひとりで歩いてる同年代の女性、結構いますよ」(30代)≪花火大会≫・「家の近所で有名な花火大会があるのに、一緒に行く人がいなかったとき。音だけ聞こえてくるので気になって、缶ビールとお菓子を持って道端で鑑賞しました。みんな花火を見てるし、ひとりでも大丈夫でした」(30代)・「ひとりで行ったら、周りはカップルだらけで後悔。ずっとスマホをいじって、待ち合わせのフリをしていました」(40代)≪ソロウェディング≫・「興味あり。結婚はもう考えてないけど、単純にウェディングドレスを着てみたい」(40代)ここからはグッと難易度が上がった印象。周りの目を気にしない強い心を必要としそうですね。“ソロウェディング”という言葉が登場したときは驚きましたが、シンプルにファッションや撮影を楽しむサービスと考えればアリかも?◆これぞ究極、“超級ぼっち”のラブホテル!「え、ひとりでラブホ…?」と驚くかもしれませんね。巷には、少数ながら“女ひとりラブホ”を満喫している人がいるとのこと。確かに、ビジネスホテルよりはるかに設備が充実しているので、いろいろ楽しめそう。ジャグジーでリラックスして、ビールを飲みながら映画(なんならAVも!)を大画面で鑑賞し、ほろ酔いで気持ち良くなってきたらカラオケをしたりして…!あるいは、窓がなく外の喧騒を忘れられるので、仕事に集中できるという声も。プライベート~ビジネス利用まで、実に幅広く使えるんですね。人目が気になるのは出入りの一瞬だけ、エンターテイメントが詰まったひとりラブホ、興味が湧いてきませんか?身近になったとはいえ、ちょっとそれは…と尻込みしちゃうことも多い“おひとりさま”行動。思い立ったら即できる、自分のペースで動けるなどメリットは多いけれど、極めすぎると遊びのお誘いが来なくなってしまうというデメリットもあるようです。周りの人を遠ざけない範囲で楽しみたいものですね。そして、できることなら、同じ趣味を持つ異性との出会いにつながったらいいのですが…。そういう意味では、「旅行」「アウトドア」「ひとり飲み」など、内にこもらず、外に出て行く感じの行動はいいのかも。みなさんはどこまでOKでしょうか?(文=橘いつき)幸運暦が教える「新しい挑戦に最適な日」【無料占い】
2016年02月20日カウンター席初心者にオススメの喫茶店平均律「ここにはエリサさんに会いに来ているの。」カウンター席に座っていた常連らしき女性が笑顔で話して下さいました。美味しい珈琲や食事、流れる音楽などが目当てで純喫茶を訪れるのはもちろん、店主とのお話しが楽しみで来店される方も多いのではないでしょうか。カウンター席に座ることは難易度が高いイメージがあるかもしれませんが、「緊張してしまう、でも座ってみたい。」という方のために学芸大学の『平均律』という店をお薦めしたいと思います。「珈琲と紅茶とバロック音楽」と看板に書かれた入口が目印のこのお店は、階段を上がると、珈琲豆のような色の家具で統一された店内が扉越しに見えます。そして振り向くと階段上部にはなぜか馬の鞍が飾られており、テーブル席ではステンドグラスが色を添えます。平均律現在お店をお休みすることが多いマスターに変わって店を守るのは、いつも笑顔を絶やさず、アンニュイな空気を纏うエリサさん。「本名じゃないのだけどね。」というやり取りもどこかミステリアスです。以前表参道の人気店だったこの店は平成2年に一度惜しまれつつも閉店し、平成13年に学芸大学で再開店しました。絶品の菓子メニューは、菓子やパン教室の講師を務めたこともある腕前の持ち主であるエリサさんの手作りによるもの。「凝り性なのよ。」というエリサさんはフランス料理もお得意のようです。カウンター席に座って頂きたい理由は、もちろんエリサさんとの会話を楽しんでほしいという願いもありますが、それとは別にフレンチトーストを注文した時のバターが溶ける幸せな香りを一番近くで堪能出来るからです。こちらではウインナーコーヒーもお薦めです。コーヒーに生クリームが添えられた一般的なものではなく、透明なグラスにグラニュー糖、珈琲、生クリームが順に注がれ、美しい3層を眺めることが出来るのです。ニャポリタン/『新宿三丁目・カフェ・アルル』持ち帰りの出来るバナナケーキやホットビスケットは次の日の朝食にいかがでしょうか。店内には興味深い本や雑誌も多数置かれているのでじっくりと読みふけるのもおすすめです。Text/難波里奈(c)純喫茶へ、1000軒難波里奈 (著)難波さんの新刊『純喫茶へ、1000軒』に興味がある方はこちらから!
2016年02月19日純喫茶を訪れる目的は人によってそれぞれだと思います。珈琲を飲む人、食事をする人、読書をする人、誰かとおしゃべりする人、手紙を書く人、マスターに会いに行く人…。今回は、「可愛い猫と戯れる」ことができる純喫茶を紹介します。愛される3匹の正社員と名物の【ニャポリタン】正社員猫の「五右衛門」/『新宿三丁目・カフェ・アルル』駅前の賑やかな繁華街を抜けて新宿三丁目方面へ歩いていくと、段々と静かになっていき花園神社やゴールデン街などまた違った楽しみ方の出来る新宿が見えてきます。飲食店が連なる三番街の中ほどに現れるのは『カフェ・アルル』。入口では、動物の形をした置物たちが出迎えてくれて賑やかです。扉を開けると、丁度良い明るさの照明とゆっくり腰を落ち着けられそうな椅子、天井や壁で笑みを浮かべるたくさんのピエロたち…。1人で来た人が退屈せずに過ごせるよう雑誌や漫画もびっしりと並べられています。そして、こちらを訪れる人たちを虜にしていたのは、19年間店を守り住み込みの正社員として愛されていた猫の「五右衛門」。残念ながら昨年6月に亡くなってしまい、当時マスターや店員の皆さんを筆頭に五右衛門を知る全ての人たちが悲しみに打ちひしがれました。正社員猫の「次郎長」/『新宿三丁目・カフェ・アルル』訃報を聞いた時、私もしばし放心してしまったことを覚えています。「もう新たに猫を飼うつもりはなかった。」とマスターはおっしゃいましたが、それからしばらくしてまた二匹の正社員猫がこちらにやってきました。正社員猫の「石松」/『新宿三丁目・カフェ・アルル』血の繋がりがないにも関わらずどこか五右衛門の面影を感じさせる「次郎長」とまだ生後1年足らずの「石松」。今ではすっかり店に馴染み、皆に愛されています。ニャポリタン/『新宿三丁目・カフェ・アルル』そんなアルルの名物は「ニャポリタン」。メニュー表にはきちんと「ナポリタン」と記載されているのですが、お茶目なマスターが「ニャポリタンです」と運んできて下さるので、思わずくすりと笑ってしまいます。濃厚な「ぶどうしぼり」もお薦めで、何かを注文するとバナナとジャイアントコーンがつくサービスも。愛らしい猫を近くに感じながらのんびりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?Text/難波里奈(c)純喫茶へ、1000軒難波里奈 (著)難波さんの新刊『純喫茶へ、1000軒』に興味がある方はこちらから!
2016年02月12日当サイトの大好評連載を書籍化した 『女ひとりの夜つまみ』が2月10日に発売されたツレヅレハナコさん。その刊行を記念して、呑兵衛女子を描いた人気漫画 『ワカコ酒』の作者・新久千映さんとの対談が実現!都内のバーで「女ひとり呑み」の同志が大いに語り合いました。前回の「家飲み編」に引き続き、後編となる今回は「外飲み編」となります。「前編・家飲み編」はこちらからチェーン店すぎず個人店すぎず…ひとり飲みにちょうどいいお店(c)ツレヅレハナコさん×新久千映――家飲み派のハナコさんに対して、『ワカコ酒』や『新久千映の一人さまよい酒』などで外飲みをきわめている新久さんですが、ひとり飲みにちょうどいいお店選びの基準やこだわりってありますか?新久千映さん(以下、新久)その日の気分によって、今日はしゃべりたいな、誰かと触れ合いたいなというときは、小さな個人店ですね。隣どうしの席が近くて、常連さんと自然と話が弾むような楽しいお店を選びます。逆に、静かにしっとり飲みたいときは、ちょっと大きめであんまり構ってくれなさそうなお店にします。ただ私の場合、1〜2杯飲むと、2軒目以降はたいてい誰かとしゃべりたくなって小さい店に行っちゃいますね(笑)。ツレヅレハナコさん(以下、ハナコ)私も、会社から駅までの帰り道にある焼き鳥屋さんにたまに通うんですけど、近所に2店舗くらいしかない、いい感じにチェーン店すぎず個人店すぎず……みたいな、ひとり飲みにちょうどいいお店なんです。私はふだん、おいしいお店を人に紹介するのが大好きなんですけど、そのお店は別に誰かを呼びたいわけじゃなくて(笑)。すごくおいしいわけでも、まずいわけでもないけど、ほどよくて落ち着くんですよね。引っ越したり会社が変わったりしたらたぶんもう行かないだろうなー、くらいのいい距離感っていうのがあるんですよ(笑)。新久わかります、わかります!特においしいわけじゃないけど、ひとりで飲みたいお店ってありますよね。ひとり飲みのきっかけは酔った勢いで!味が想像できちゃうお店には行きたくないハナコ『新久千映の一人さまよい酒』にも描かれてましたけど、気になるお店を見つけたとき、中の店員さんに気付かれないように、さりげなく外からチェックしたりする気持ち、よくわかります!ずっと気になっていたけど、入りづらくて勇気が出ないお店に、別の店で一杯引っかけてから行くことはありますね。ガソリンを入れて勢いをつけて、「よし、今日はあそこ行ってみるか!」みたいな。新久あるある!私がひとり飲みを始めたのは24〜25歳のときだったんですけど、そもそものきっかけは、飲み会の帰りに飲み足りなくて、酔った勢いで一人でふらりと立ち寄ったのが最初でしたから。読者の方からも、「ひとり飲みしたいんですけど、どうすればいいですか?」とよく聞かれるんですが、「最初は一杯引っかけた勢いで行くのがいいですよ」って言ってます。――よさそうなお店って、どこを見て判断しますか?ハナコどうでしょう。ここはダメだ、というサインならありますけどね。メニュー名が長すぎる店とか(笑)。「トマトとザーサイのなんとか和えなんとか風味」みたいのを筆ペンで書いてあるんですけど、フォントみたいにみんな似てるんですよね。私は“居酒屋文字”と呼んでるんですけど。新久そういう居酒屋、多いですよね。メニューの値段が朱文字で囲ってあって、だいたいバーニャカウダがあって、卵が赤い(笑)。ハナコあと、「心を込めて仕込み中」っていう看板がありますよね(笑)。そういうところは、判で捺したみたいにメニューの内容も値段設定も似てるし、食べなくても味の想像がつきやすいのが残念かな〜。新久判で捺したように似てるのに、「個性出してるでしょ」って感じがするのがちょっと……ですよね。ハナコもちろん、みんなで行くぶんには全然いいお店なんですけど、せっかくひとり飲みをするなら、内容が予測できないメニューが私は好きなんです。あるお店で、メニューに「アンチョビバター」としか書いてなくて、頼んだら皿にトーストとアンチョビとバターが並んでいて、自分で塗って食べるやつで。「こうきたかー!」みたいな驚きがあるのが好きですね。お酒の飲めないシリアでやっとありついたぬるいビール(c)新久千映さん――ツレハナさんは海外旅行がお好きで、その経験や思い出の味もレシピに生かされていますよね。ハナコ中東がすごい好きなんですけど、基本的にお酒が飲めないじゃないですか。トルコだけは国でワインを作っていたり、ラクという蒸留酒があったりと、お酒の文化があるんですけど、シリアとかイランではさすがに飲めない。あんなにお酒が進むおいしい料理があるのに、みなさんが飲まずにいられるというのが毎回衝撃で(笑)。羊を炭火で焼いたらそりゃ赤ワイン飲むでしょう、ひよこ豆をフムスにしたらそりゃ飲むでしょう?みたいな。ムスリムであれば当然のこととはいえ、信仰の力は本当にすごいなあとつくづく思います。新久現地でよく飲まずに我慢できましたね!ハナコシリアにいたとき、どうしても我慢ができなくてお酒が飲みたいと宿の人に言ったら、バスでこの店に行けと言われて、雑貨屋みたいなところに連れて行かれて。おそるおそる「ビール飲みたいんですけど」と言ったら、奥から黒いビニール袋を持ってきて、中に新聞紙にくるまれたぬるい缶ビールが入っていて、「決して道で飲んではいけないよ」って渡されました(笑)。そのままタクシーですぐ宿に帰ってグーッと飲みほしましたね。新久一歩間違えたらどこに連れて行かれるかわからないですよ……命がけのビールですね(笑)。広島ならではの酒飲み文化憧れの包丁ホルモンを求めて(c)ツレヅレハナコさん――新久さんは広島在住でらっしゃいますが、広島ならではのつまみには何がありますか?新久「がんす」という、かまぼこみたいな薄い練り物をフライ状にしたものがあります。ちょっとピリ辛なので、酒にも合うし、ご飯にも合うし、パンに挟んでカツサンドみたいにしてもいいんですよ。ハナコへえ、おいしそう!新久東京と一番違うのは魚介事情でしょうか。関東と瀬戸内海では、スーパーで売ってるものも全然違います。広島では、「小いわし」という煮干しにするような小さないわしが2キロ500円とかで売っていて、刺身や天ぷらにして食べるんです。あと、お好み焼きの前座として、鉄板料理をおつまみにする店が多いですね。ハナコ広島のお好み焼き屋さんで有名な「八昌」の支店が、東京の経堂にもあるんですよね。知り合いが、「素そば」という具の何も入っていない焼きそばを食べていて、「何それおいしそう!」と思って教えてもらいました。新久あとはやっぱりホルモン文化ですかね〜。ハナコ広島といえば、「包丁ホルモン」にずっと憧れていました!新久さすが、よくご存知ですね!牛の小腸などを天ぷらにしてポン酢と唐辛子で食べる「ホルモン天」は広島でも割と一般的で、その辺の安い居酒屋さんにもあるんですけど、その中でも「包丁ホルモン」は福島町や都町あたりのごく一部でしか食べられなくて。ハナコ各個人にまな板と包丁が1セットずつ配られて、揚げたてのホルモンが丸のまま出されて、自分で好きな大きさに切って食べるんですよね。仕事で広島出張が入ったときに、何はともあれ包丁ホルモンを食べに行くことだけは予定に組み込みましたよ(笑)。新久ただでさえ脂っぽいホルモンをさらに揚げるっていう、どうかしてる食べ物なんですけど、不思議といくらでも食べられちゃうんです。ハナコさんが頼りにする最強の二日酔い薬“ミラ様”(c)『新久千映のまんぷく広島』(新久千映/KADOKAWA)――飲み過ぎての失敗談とかってありますか?ハナコ電車はふつうに乗り過ごしますね。以前、吉祥寺に住んでいたときに、中央線を寝過ごして「まずい!」と目を覚ましたら高尾駅で。斜め前に座っていたサラリーマンが起こしてくれたので、「この辺に、朝までやってる居酒屋ないですかね?」と聞いたら、「目の前に“笑笑”がありますよ」と言われて、その人と朝まで飲みましたね。新久え、一緒に飲んでくれたんですか?ハナコ「どうも、はじめまして!」と飲みはじめて、「そろそろ始発が出ますね、じゃ!」って別れて(笑)。――二日酔いなんかもされるんじゃないですか?新久ウコンやヘパリーゼ、ハイチオールCなどをローテーションで飲んで対策してますね。つい昨日も出版社の新年会だったんですけど、事前にヘパリーゼを飲んだら、12時間くらい飲んでたのに平気でした(笑)。ハナコ私は「ミラグレーン」という肝機能の改善に効く薬を頼りにしてます。私の飲み友達の間では「ミラ様」と呼ばれていて、今日はやばいだろうという日は「ミラ様いっとく?」っていう言葉が交わされますね(笑)。新久知らなかった……!(ネットで調べて)これ、効能に「アルコール中毒」って書いてありますよ(笑)。ハナコ一応、ふつうに薬局やネットでも売ってるまともな薬ですから(笑)。でも、私の飲み友達は「俺、ミラ様飲むと酔わないんだよね……。その強さが怖いから、もうミラ様飲むのやめるわ」って言ってました。別に酔わないためにミラ様飲むわけじゃないし……と仲間内で議論になりましたけど(笑)。新久議論になるのがおもしろいですね(笑)。ハナコさんとは大の猫好きという共通点もあるし、ぜひこれからも東京にきたときは一緒に飲みましょう!ハナコこちらこそ!広島に行ったときは案内してくださいね。(c)『女ひとりの夜つまみ』(ツレヅレハナコ/幻冬舎)(プロフィール)ツレヅレハナコ2004年より食をテーマにしたホームページ「ツレヅレハナコ」を始め、以降 ブログ、 Twitter、 Instagramなどで個人的な食情報を提供し続けている。初の著書 『女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)が2月10日に発売されたほか、『月刊!スピリッツ』4月号(小学館)より、原案・協力を務める山崎童々の漫画『みつめさんは今日も完食』が連載開始される。(c)『新久千映の一人さまよい酒』(プロフィール)広島県広島市出身。2006年に『コミックバンチ』増刊号(新潮社)でデビュー。『月刊コミックゼノン』『WEBコミックぜにょん』(徳間書店)に連載中の『ワカコ酒』はTVドラマ化やTVアニメ化もされ、現在TVドラマのシーズン2がBSジャパンなどで放送中。地元広島のご当地グルメを描いた 『新久千映のまんぷく広島』も好評発売中。また、『コミックエッセイ劇場』(KADOKAWA)にて『新久千映の一人さまよい酒』を連載している。Twitter: @chiezoooouちえぞう王国―新久千映HP
2016年02月12日フカフカ、モフモフ。冬は猫さまたちのさわり心地も愛らしさも倍増する最高の季節です。昨年初夏に発表し大反響を巻き起こした猫さま大賞の中から厳選したモフ賞の猫さまを発表します!特別審査委員の女優・水川あさみさん、モデル・真間玲奈さん、「SUNDAY ISSUE」ディレクター・太田メグさんからのコメントも合わせてご紹介いたします。今回も、猫さまたちにときめき、笑い、癒されてください!(【】内は猫の名前です)【はっさく】まるでハムスターのような……。ほっぺがはみ出しすぎ!!「このマズル(口まわり部分)感…たまらない!」(水川あさみさん)。【ちょんこ】あったかくなるとすぐにコロンと仰向けに。「おなか撫でさせてあげるよ~」。【あずき】「おなか撫でて~」。ここにもモフボディをくねらせておねだりする猫さまが!「見事なカーブ!両足の脱力感と毛割れ具合もいいですね~。そして、こんなポーズでもカメラ目線を忘れない。プロ意識を感じます」(太田メグさん)。【きなこ】安定感たっぷりの立ち姿がお見事!何か(きっとおやつですね)を追い求める目線に、ここぞという時の猫の集中力が宿っています。【オスカー、ポーラベア、ミー、チコ】箱の中で眠る4匹のモフモフたちはご兄弟?◇みずかわ・あさみ女優。アメリカンショートヘアのニコと暮らし、猫モチーフのさまざまなグッズも収集。現在、連続ドラマ『わたしを離さないで』(TBS系列)に出演中。◇まま・れいなモデル。ananをはじめ、さまざまなファッション誌、ファッションショーなどで活躍。里親募集で引き取ったツナ、とうふ、もずくの3匹の猫と同居。◇おおた・めぐ「SUNDAY ISSUE」ディレクター、「Cat’s ISSUE」主宰。『アフタヌーンティー・リビング』とのコラボブランド『Cat’s Nap Time』の商品も全国で発売中。※『anan』2016年2月17日号より。文・野尻和代
2016年02月12日当サイトの大好評連載を書籍化した 『女ひとりの夜つまみ』が2月10日に発売されたツレヅレハナコさん。その刊行を記念して、呑兵衛女子を描いた人気漫画『ワカコ酒』の作者・新久千映さんとの対談が実現!都内のバーで「女ひとり呑み」の同志が大いに語り合いました。「前編・家飲み編」「後編・外飲み編」の全2回に分けてお届けします。“ひとり呑み”はアピールじゃない!純粋にお酒を愛する吞兵衛女子2人の主張ツレヅレハナコさん×新久千映さん新久千映さん(以下、新久)はじめまして! お会いできて光栄です。ツレヅレハナコさん(以下、ハナコ)こちらこそ。『ワカコ酒』を読んだとき、「やっと女性のリアルな酒飲み漫画が出てきてくれた!」と感動しました。私はそこまで外で一人飲みはしないんですが、女性が一人で飲んでるというだけで、けっこう勝手なイメージを持たれるじゃないですか。新久「そういう自分が好きなんでしょ」みたいなね。違うよ、酒が好きだから飲んでるんだよって思いますよね(笑)。ハナコ『ワカコ酒』は、純粋にお酒が大好きだから飲みに行く、という姿勢が伝わってくるのが素敵です。新久ハナコさんの『女ひとりの夜つまみ』も、出てくるレシピはどれもおしゃれで、いろんな国の食材や調味料を使っているのに、全然しゃらくささがなくて親しみやすいですよね。「フムス食べてる私って素敵でしょ」という意識じゃなくて、「とにかく酒に合うしおいしいから!」っていうスタンスがひしひしと伝わってくる。同じ匂いを感じています(笑)。章立ては酒飲みの欲望を切り口に酔ってても作れちゃうレシピが満載――今回のハナコさんの本は、「10分で飲みたい!」「肉を食わせろ!」など章立てがユニークですね。担当編集さんにお伺いしたら、章タイトルはすべて「○○したい」という欲望が切り口になっているそうで。ハナコ私は料理家ではないので、一人の吞兵衛が、自分のいいと思うつまみを紹介します、というスタンスでやりたかったんです。そう考えたときに、この本を買ってくれる人は、せっかく家飲みするなら自分の好きにしたいと思ってる人じゃないかなと思って、その欲望を切り分けたらこうなりました。新久「最近、野菜が足りてない」とか、「魚だって食べたい!」とか、わかりやすいですね。“だって”ということは、肉の方がお好きなのかな、ということも伝わってきます(笑)。ハナコ家で魚を焼いたりするのってちょっと面倒くさいじゃないですか。でも、簡単に作れるもんなら食べたい、という気持ちを表現しました(笑)。新久私も家飲みはしますけど、つまみはけっこうグダグダ。そんな私でもぜんぶ作ってみたいし、酔ってても作れそうなのがいいですね。一番作ってみたいのは「生鮭のレンジ清蒸魚」かな。ハナコ本来はせいろで蒸すものなので、中国の方が見たら怒るかもしれないですけど(笑)。新久あと、「ポルトガルいわし」も、簡単だけどすごくおいしそうです!ハナコポルトガルでは、年に一回「いわしまつり」というのがあるんですよ。その日はポルトガル中の道という道から煙が上がっていて、いわしを焼いてるんです。そこにオリーブオイルをかけて、パクチーやゆでた芋と一緒に食べながら、みんなで「ヴィーニョ・ヴェルデ」という微発砲ワインをガンガン飲むという夢のような祭りで、その食べ方を参考にしてます。「桃とモッツァレラのサラダ」はセンスのかたまりのようなレシピ(c)『女ひとりの夜つまみ』(ツレヅレハナコ/幻冬舎新久ハナコさんがふだんは果物をあまり進んで食べない、と書かれていたのに共感しました。果物って、皮をむいたり種を取るのが面倒だし、あたりはずれもあるので、あんまり自分から買わないんですよね。ハナコよかった〜、私が少数派なのかと思ってました(笑)。ずっと果物への興味がなかったんですけど、つまみにしたらうまいと気付いたんですよ。新久私は、みかんもりんごも一回落としたような味のものが好きですね。ハナコ一回落とした……?新久なんと言ったらいいのかな、収穫したばかりの酸っぱいのじゃなくて、一回地面に落ちたみたいな、熟して味がゆるんだ感じのが好きなんです。わかりますかね(笑)?とにかく、果物に対してそんな感性の私でも、この本に載ってる果物のおつまみは、食べてみたいと思えました。――ネットで話題になった「桃とモッツァレラのサラダ」のオリジナルレシピも収録しているんですよね。ハナコ桃モッツァレラは、ネットにいろんな亜流のレシピが出回りましたけど、内田真美先生のオリジナルのレシピでちゃんと作ってほしいんですよ。ふだん、自分のレシピは、『SOLO』の連載も分量を載せていないくらいで、好きなように作ってくれたらいいと思っているんですが、桃モッツァレラだけは別です。新久「本当に必要なメンバーだけが、お互いのことを引き立て合い~」という説明が、素晴らしすぎて朗読しようかと思いました(笑)。ハナコモッツァレラチーズは手でちぎらなきゃダメだし、桃は乱切りじゃないといけないし、レモンはあくまで香り付けのために皮を使うのがポイント。レモン果汁だと桃の甘みと同調してしまうから、酸味は白ワインビネガーで加えないと意味がないんです。一挙一動に意味のある、本当に研ぎすまされた、センスのかたまりのようなレシピなんですよ。おいしいから飲むわけじゃない!?ホッピーはどんな料理も邪魔をしない『ワカコ酒』(新久千映/徳間書店 ゼノンコミックス)既刊6巻新久でも、私がこの本で一番さすがだなと思ったのは、巻末に「どのお酒にどのレシピが合うか」というお酒別の索引があることですね。ハナコまあ、ぶっちゃけ何でも合うとは思うんですけど。新久最終的には好みになってくると思うんですけど、これは思いつかなかった!嬉しい発想です。ハナコさんは、お酒は何でも飲まれるんですか?ハナコええ、オールマイティですね。特に、ホッピーのケースとキンミヤ焼酎の一升瓶は、15年くらい前から酒屋さんに頼んで、定期的に自宅に届けてもらってるくらい。ホッピーって、うまいのかまずいのかわからないのがいいんですよ(笑)。新久それはわかります!『ワカコ酒』でも、つい最近初めてホッピーを描いたんですけど、お酒を飲むとたいてい「うまい」的なことを言うワカコが、ホッピーのときは「……」って(笑)。ホッピー好きの担当編集さんも、「ホッピーはおいしいから飲んでるわけじゃない」と言って納得してました。ハナコどんな料理にも合う……というよりも、邪魔をしないんですよね。自分で量も濃さも自由に調節できるのも、家飲みにちょうどいいんです。新久さんも、家飲みはよくされますか?新久私はビールの味に全然こだわりがないので、金麦の24本入りのケースを毎月楽天で注文して、あとはワイン、焼酎、日本酒、紹興酒、ウイスキー、何でも置いてあります。仕事が詰まっているときは、金麦だけとか制限してますけど、余裕のある日は際限なく飲んじゃいますね。その日は、たいていワケわかんないツイートをいっぱいしてます(笑)。スライスチーズでもじゅうぶん!?“つまみ用スタメン食材”の王道は?新久千映さん――新久さんの家飲みつまみの“スタメン食材”はありますか?新久オリーブの瓶詰めとか、コンビーフの缶詰は常備しています。そのままで食べても、炒めてもおいしいですよね。アンチョビの瓶詰めを、アンチョビキャベツにしたりもします。「さけるチーズ」とかでもOKです。ハナコ私も「さけるチーズ」大好きです!最近はいろんな味があるけど、やっぱりプレーンが一番。一時期「さけるチーズ」が好きすぎて、特設サイトにあった“チーズをひたすらさいていくゲーム”にはまって(笑)。飲みながらずっとさいてました。新久何の生産性もないゲームをずっとやってしまう気持ち、わかります(笑)。私は、「チーズonクラコット」というクラッカーも好きですね。6Pチーズや切れてるチーズをのせて食べるのに常備してます。ハナコやっぱりチーズはいいですよね。高い安い関係なく、ちょっとでもつまみ感があるし。もう私、スライスチーズでも飲めちゃいますから(笑)。新久『ワカコ酒』にも、6Pチーズに黒こしょうつけて海苔で巻くだけっていうつまみが出てきますよ。ハナコ海苔とチーズさえあれば延々と飲めますよね。あと、本には載せてないですが、パスコのマフィン!あれは、ちょっとお腹が空いてて炭水化物が食べたいときにすごくいいんですよ。半分に割った状態で、向きを揃えて冷凍しておくんです。カリカリにトーストしてピザ状にカットしたら、レバーペーストやアンチョビ、柴漬けなんかをのせて、一人カナッペにして食べるといいつまみになります。アボカドとマスタードをはさんだりしてもいいですね〜。新久炭水化物でいうと、私は冷凍うどんも常備してます。これは、どちらかというとシメですけど。ハナコ本には「シメタン(=シメの炭水化物)」の章にレシピもいくつか載せましたが、実際一番よく食べてるのは「サッポロ一番塩ラーメン」なんです(笑)。写真も撮ってみたんですけど、見た目があまり良くなくて掲載はしませんでした。あれは、グズグズに煮たくらいが最高なので。新久落とした果物みたいな(笑)。私も、インスタントラーメンはちょっとのびた麺が好きです。ハナコ料理としてはダメなんだけど自分は好き、みたいなものが出せるのが家飲みの醍醐味なんですよね〜「後編・外飲み編」につづく(プロフィール)ツレヅレハナコ2004年より食をテーマにしたホームページ「ツレヅレハナコ」を始め、以降 ブログ、 Twitter、 Instagramなどで個人的な食情報を提供し続けている。初の著書 『女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)が2月10日に発売されたほか、『月刊!スピリッツ』4月号(小学館)より、原案・協力を務める山崎童々の漫画『みつめさんは今日も完食』が連載開始される。『新久千映の一人さまよい酒』新久千映広島県広島市出身。2006年に『コミックバンチ』増刊号(新潮社)でデビュー。(c)『ワカコ酒』(新久千映/徳間書店 ゼノンコミックス)既刊6巻『月刊コミックゼノン』『WEBコミックぜにょん』(徳間書店)に連載中の『ワカコ酒』はTVドラマ化やTVアニメ化もされ、現在TVドラマのシーズン2がBSジャパンなどで放送中。地元広島のご当地グルメを描いた 『新久千映のまんぷく広島』も好評発売中。また、『コミックエッセイ劇場』(KADOKAWA)にて『新久千映の一人さまよい酒』を連載している。Twitter: @chiezoooouちえぞう王国―新久千映HP
2016年02月10日ひとりHを“ひとり宇宙”と名付け、その素晴らしさを女性たちに伝える劒持奈央さん。そもそも、なぜ、そのネーミングに?「マスターベーションは、快感を追求することであると同時に、自分の体と心を融合させる行為だと考えています。というのも、私は10代のころ性的被害にあって、生きることが辛いと思いながら過ごしていたんです。でも、ある日、体のなか、つまり膣に熱いエネルギーを感じてマスターベーションをしてみました。すると、不思議なことに快感とともに強いパワーが体中に走るのを感じて、生きるエネルギーがわいてきました。すると鬱っぽくなっていた気持ちがなくなり、体が足先まで温まってきたんです。それからというもの、自分の体にどんどん興味がわき、自身を愛せるようになりました。そうして自分との対話を繰り返すうち、マスターベーションをすることは、人が介入しない自分ひとりの感性を高め、自分という宇宙を知ることなんだと気づき、ひとり宇宙と呼び始めたんです」“ひとり宇宙”をすること、つまり自分への理解を深めることには、ポジティブな効果がたくさん。「まず、子宮という世界を持っている自分を誇らしく思い、女性という存在を肯定できるようになります。また、私の場合、性への罪悪感も消えました。女性って性的なことを否定しがちですが、それは間違い。気持ちいいと感じることは肉体を持って生まれた以上、大きな喜びであってしかるべきなんです。そうして自己肯定感が得られると自分に自信がついて、女性として輝き始める。すると、さらにその副産物としてパートナーとのセックスが良くなったり、異性からモテるようになることも」ひとりHでは、できれば膣に指を入れてほしいと劒持さん。「膣内に指を入れることは、自分の体の内部を直に触るということ。すると、いろいろなことがわかります。たとえば、膣内が固くて指がなかなか入らない人は、性に対しても人に対しても心を閉ざしているかも…とか、膣内が冷たいと感じたら体が冷えているとか、寂しい思いをしている可能性があるとか。そうして体の状態をきちんと知って把握することで、自分への理解が深まり、どんな快感を得たいのかという真の欲求に気づきやすくなります。体の欲求に素直になると、おのずから心が世の中に求めているものもはっきりします。人生の目的が見えて健康に。ほら、毎日がキラキラと輝きだす気がしませんか?」◇けんもつ・なおオフィスラナンキュラス代表。“幸せなセックスの伝道師”として講演やセミナーを開催し、多くの女性たちから熱い支持を得ている。著書に『幸せなセックスの見つけ方~自分をまるごと好きになる「ひとり宇宙」レッスン~』(河出書房新社)が。※『anan』2016年2月10日号より。文・重信 綾イラスト・黒猫まな子
2016年02月08日数年前に丁寧なメールを頂きました。送って下さったのはユミさんという女性で、そこには、「祖父母が現役で『珈琲家ロビン』という純喫茶を名古屋市中村区寿町で60年近く営んでいます。ロビンは曾祖父が初め、祖父は二代目。今でも朝4時開店、16時の閉店で(現在は15時までに変更。)頑張っています。私もそんなロビンが大好きです。名古屋にお越しの際には、ぜひ珈琲家ロビンにいらして下さいね。」と綴られていました。珈琲ロビン純喫茶を営む方の平均年齢は年々高くなってきていて、店に伺えば興味深い話をたくさん聞くことは出来るものの、メールやSNSに長けている方はあまり多くなく、遠方の方とはやり取りがしにくいことが実情です。なので、純喫茶が身近にある方からこのようなメールを頂けたことは大変嬉しく、ご家族の店をとても大切に思われている気持ちに感動していつか必ずお邪魔したいと思っていたのですが年月が経ってしまい先日ようやく訪問することが出来ました。珈琲ロビン到着したのは15時頃。灯りは点いていたものの、営業時間は過ぎてしまった様子。申し訳なく思いながら扉を開けると、優しそうなマダムがにっこりと迎え入れて下さいました。せめてご挨拶だけでも、とメールを頂き東京からやって来たことを告げると、とても喜んで下さりすぐさまユミさんのお母様を呼んで下さいました。事情を伝えると、お店の歴史や現状について色々とお話して下さり、マスターだったお父様(ユミさんのおじいさま)が数年前に急逝されてしまったことも。珈琲ロビン現在は、ユミさんのおばあさまとお母様がお店を守り、すっかり親戚のように繋がりの深くなった昔ながらの常連さんたちや、ユミさんたちご家族の集まる大切な場所であり続けているそうです。さらに、ユミさんのお子さんが「将来はお店を継ぎたい」と話しているようで、彼女の描いた味のある「ロビン」の絵が飾られている壁を眺めながら、思わずその絆の強さに涙が出てしまう程でした。珈琲ロビン丁寧に淹れて下さった珈琲ももちろん美味でしたが、こちらの一押しメニューはタマゴサンドとのこと。私はまた次回のお楽しみとなってしまいましたが、お近くの方は是非あたたかい雰囲気に包まれながら、お薦めのタマゴサンドと美味しい珈琲で素敵なひとときを。Text/難波里奈(c)純喫茶へ、1000軒難波里奈 (著)難波さんの新刊『純喫茶へ、1000軒』に興味がある方はこちらから!
2016年02月05日海外一人旅に出かけたことはありますか? 一人旅をする女性は年々増加しており、旅行会社も「おひとりさま」用のパッケージツアーをだしている時代です。ここでは、快適な一人旅を過ごせるコツをご説明します。■一人旅の醍醐味(だいごみ)パッケージを使わずに、行きたい場所の航空券とホテルだけ抑えて、個人で旅行を組み立てる方法を好んでいるという人も多いようです。■一人旅のメリット一人旅の最大のメリット、それは自分一人で気楽な時間を過ごすことができること。友だち同士の旅行も楽しいけれど、わがままをいえないこともあるはず。一人旅だったら自分の時間を自分の好きなように使えます。疲れたら友だちに合わせることなく休憩できるし、朝だって好きな時間まで寝ていられます。一日中、ビーチで本を読んで過ごすこともできるし、食べたいものを思いっきり食べたり、したいことを自由にできる。これが一人旅の究極のメリットです。■一人旅のデメリット一人旅を踏みだせない人は、一人だとつまらないという人が一番多いそう。確かに一人旅では寂しいと感じることも少なくありません。たとえばレストランでは、大勢で食事をした方が楽しいし、高級レストランに一人で入るには勇気が要ります。また、海外ではホテルの値段が一室で計算されているため、宿泊が割高になることもあります。■一人で寂しい時は?レストランなどは一人でも入れる場所を探しましょう。最近はブログで簡単に現地情報が収集できます。または実際に店の前を通って、一人でも入れそうかどうか見極めてみるのもよいでしょう。あとは度胸と根性。基本的にレストランは、一人客でも問題なく受け入れてくれます。どうしても一人で食事をしたくない人は、地元のスーパーやマーケットに行っておそうざいを購入し、滞在先で食べるのもありです。ちょっとしたホームパーティー気分で、おしゃれなお酒とおそうざいを購入してはいかがでしょうか。また、ふらっと立ち寄ったカフェやバーは、地元の人と話ができるチャンス。英語がしゃべれなくても現地の言葉が分からなくても、話したいという意欲をみせればきっと、あなたに合わせた話をしてくれます。■旅の予約、計画方法・場所の決定行きたいところに行くのが一番いいですが、オススメは「なにかひとつ目的をつくる」こと。たとえば、「世界遺産を制覇する」や「郷土料理のクッキングクラスにチャレンジ」「5つ星ホテルのラウンジでバー」でも構いません。何か特別な目的がひとつあると達成感が得られます。せっかくの一人旅なので、友達や彼氏との旅では得られないような「極めた」目的があると、よりいっそう楽しくなります。・旅の計画目的をひとつ決めたら、スケジュールを立てましょう。できれば前もって、この日はここに行く! と決めておくといいかもしれません。観光地へいく方は、団体客がいない穴場の時間(早朝もしくは夕方から夜)を狙って訪れるとよいでしょう。・情報収集情報収集は、ネットが手軽でおススメ。特にブログは地元通の方が多いので、食べ物やカフェ系は参考にするといいでしょう。・航空券の予約時間のある方は、航空券の購入は複数のサイトを比較しながら検討するのが賢い方法。同じ航空会社のチケットでもサイトによって金額が異なります。また、期間限定の格安プロモーションチケットなどが販売されていたりするので、「これ!」と思った場合は迷わず予約しちゃいましょう。・宿の予約一人旅だと、ホテルが高くつくのが欠点。でも、ユースホステルは使いたくない…。そんな方に試してもらいたいのはホームステイ。現地のお宅に訪問し、まるで暮らすように滞在できるのがホームステイの魅力。ホームステイ先の家族の方と交流ができるのもうれしいポイント。現地ならではのさまざまな情報を入手できるかもしれません。ホームステイはAirbnbまたはホームステイウェブを使うとよいでしょう。ナイトライフを楽しみたい方や、中心地に住みたい方には、ホテルがおススメ。ホームステイでは郊外に構えていることが多いので、ロケーションを重視する方はホテルがよいでしょう。宿泊先は一日の内で一番長い時間を過ごす場所になります。サイトの口コミ評価等を使用して、現地の治安やホテルの防犯体制、清潔度なんかも十分にチェックしてください。一人旅はたくさんの出会いや、いろんな気付きが発見できます。ぜひ安全で楽しい一人旅を満喫してくださいね!
2016年02月05日みなさんは、夜きちんと寝られていますか?許されるなら、毎日11時間は寝ていたいロングスリーパーのチェコ好きです。睡眠時間を削ることは、健康面から考えても精神面から考えても効率面から考えてもまったくいいことがないので、できる限り控えたいものですよね。ですが、今回したいのはオールナイト、徹夜の話。オールで遊ぶとなると、イベントやら飲み会やら、それなりの人数でわいわい騒ぐというイメージがつきまといますよね。でも、都内だったらおひとりさまがひとりでまったりオールできる、素敵な場所もあるのです。映画館のオールナイト上映を狙え©h0usep1ant私がたまに訪れるのが、池袋にある映画館・新文芸坐。ここはほぼ毎週土曜日にオールナイト上映をやっていて、夜22時くらいから朝5時くらいまで、映画を延々と楽しむことができます。深夜に立て続けに3〜4本と映画を観ることになるので、途中うっかり寝てしまって記憶がないなんてこともザラにありますが、それもまたお楽しみ。おそらく世の中の大半の人は、映画=エンターテインメント、だと思っていますよね。そして、それは決して間違いではありません。そのため、映画の上映中に眠ってしまったら、なんだか損した気分になってしまうと思います。だけど、映画学の世界では、映画は夢(夜に眠りながら見る夢)のアナロジーであるともいわれています。真っ暗な場所でスクリーンに映し出される幻は、ちょうど夜に目を瞑って眠っているとき、頭のなかに浮かぶ幻の映像と似ているからです。だから、映画の分析にはしばしばフロイトの理論が使われたりもします。まあ、めんどくさい細かい話は置いておいて、要は「途中で眠ってしまっても大丈夫!」ってことです。実際、眠くなる映画として有名なロシアの巨匠アンドレイ・タルコフスキーの作品は、オールナイト上映で観ると私は99%起きていられません。それでも、上映が終わり明るくなる場内と、夜から朝へかけて明るくなる空が頭のなかで重なって、映画館を出たあとは自宅で眠るよりぐっすり寝られたような気分になるから不思議です。そして、映画の映像と自分が上映中に見た夢とがMIXされて、この世にたった1つの「存在しないはずの気持ち悪い映画」ができているという……。また、映画館のオールナイト上映を狙ってくる人間の大半はいわゆる「映画マニア」。学生時代に年間何百という単位で映画を観ていた私にとっては非常に懐かしい人種なのですが、もしかするとみなさんの目には少々異様に映るかも……?だけど、もちろん危害を加えられたりすることはないので、異文化に触れると思って安心してその場の空気を堪能して欲しいです。女性の一人客もとても多いので、ぜひホームページを参照しながら、お気に入りの特集上映を見つけてみてください。オールナイト上映をやっている映画館が近くにない!という方はですが、もちろん近くにオールナイト上映なんてやっている映画館がないという方もいるでしょう。ちなみに、今回なぜ私が「おひとりさまがひとりでオールする場所」について書いてみたのかというと、実は映画館でのオールナイト上映を勧めること自体は二の次だったりします。別に話は「映画のオールナイト上映」でなくてもよくて、1人で、ちょっと変わった場所で、非日常を体験できるものだったらなんでもいいと思います。1人で飲めるお店を見つけるとか。これ、私はお酒が苦手なのでやってみたいと思うもののなかなか挑戦できないんですけどね。一方、映画のオールナイトは上映をやってくれる映画館さえ見つかれば、あとはチケットを買って1人で潜入するだけなので楽勝です。自宅以外の場所で1人の夜の時間を過ごすことは、いくつになってもちょっとドキドキするし冒険心を掻き立てられるものです。そしてその時間で、普段ならスルーしていたようなことに気付いたり、何十年前のことをふと思い出したりすることが、私にはあります。睡眠不足は良くないのであんまりしょっちゅうやるものでもないと思いますが、おひとりさまは「たまに1人で行く変な場所」を持っていると楽しい、かもしれません。リラクゼーションとかラグジュアリーとかじゃなくて、「変な場所」です。カタカナ言葉の意味あんまりわかってなくてすみません。もしあなたが「たまに1人で行く変な場所」を持っていたら、それ、おひとりさまのコミュニティでこっそり共有しましょう。みんなの集合的無意識が結合して、何かわくわくするようなオカルトな出来事が起こるかもしれません。……と、いうのは冗談です。Text/ チェコ好き
2016年02月03日これまで営業職・事務職、クリエイティブ職・専門職と、それぞれの職種ごとの趣味を聞いてきた。最後に聞いたのは技術職。他の職種と比べて、どのような趣味を持っているのだろうか。今回はマイナビニュース会員男女300名のうち、技術職の人を対象に自分の好きな趣味について聞いた。Q.あなたの趣味を教えて下さい、その趣味が好きな理由を教えて下さい■見たり読んだり・「読書:いろいろな世界を知る事が出来るから」(39歳男性/情報・IT/技術職)・「音楽鑑賞: V系が大好きだから」(31歳男性/運輸・倉庫/技術職)・「映画鑑賞: 話題の映画を見るのが好きだから」(50歳以上男性/建設・土木/技術職)・「アニメを見る: 独特に世界観に浸れる」(41歳男性/運輸・倉庫/技術職)■つくる・「鉄道模型:ジオラマを作ったり、作ったジオラマの中を電車で走らせるのが好きだから」(32歳男性/ソフトウェア/技術職)・「プラモデル: やりがいがある」(29歳男性/電機/技術職)・「DIY:新しいことに挑戦するので、クリエイティビティが刺激され、反応もあって面白いから」(50歳以上男性/電機/技術職)・「日曜大工:役に立つ」(23歳男性/自動車関連/技術職)・「お菓子作り: 食べるのが好き」(39歳女性/運輸・倉庫/技術職)■ゲーム・「ゲーム: 現実を忘れられるから」(28歳女性/ソフトウェア/技術職)・「テレビゲーム:ゲームの中でしかできない冒険を楽しんだりできるから」(28歳男性/情報・IT/技術職)・「ゲーム:没頭できるから」(37歳男性/団体・公益法人・官公庁/技術職)■集める・「ポイントサイトのポイント集め: 楽しい」(33歳男性/機械・精密機器/技術職)・「収集・コレクション:集めるのがたのしい」(45歳男性/建設・土木/技術職)■レジャー・「魚釣り:子持ちししゃもなどのうまい魚が釣れる」(30歳男性/運輸・倉庫/技術職)・「登山: 山頂にたどり着く達成感がたまらないから」(31歳男性/情報・IT/技術職)・・「食べ歩き: 美味しい物を食べると幸せな気分になれるから」(33歳男性/電機/技術職)・「サイクリング: 風を切るのが好きだから」(30歳男性/自動車関連/技術職)・「ドライブ: 開放的だから」(50歳以上男性/建設・土木/技術職)■その他・「投資:金がたまる」(31歳男性/運輸・倉庫/技術職)・「農業:自然と戯れる」(25歳女性/情報・IT /技術職)・「ジャグリング: 達成感があるから」(28歳男性/自動車関連/技術職)・「筋トレ: 理想の体型にしたいから」(48歳男性/建設・土木/技術職)■総評技術職の趣味では、「読書」と答えた人が最も多かった。営業職・事務職、クリエイティブ職・専門職、すべてに共通して人気のようだ。このほか、映画やアニメなど様々な世界観に触れて気分を変えていた。何かを「つくる」人も多かった。鉄道模型、プラモデル、DIYなど、いかにも"技術職"らしい特徴が表れる結果となった。また、「ゲーム」を楽しむ人も多く、主に「現実を忘れられる」という意見が寄せられた。インドア派が目立つ一方、魚釣り、登山、食べ歩き……などレジャーを楽しむ人もいた。その他、投資、農業、筋トレなどの個性溢れる意見もみられた。全体を通して、技術職は何かにじっくり没頭することが趣味な人が多い傾向にあるようだ。※画像はイメージであり、本文とは関係ありません調査時期: 2015年11月17日~19日調査対象: マイナビニュース会員300名調査方法: インターネットログイン式アンケート
2016年01月31日「純喫茶」のメニューといえば、あなたは何を思い浮かべますか? 珈琲はもちろん、クリームソーダにチョコレートパフェ、タマゴサンドなど。そして、やはりミートソーススパゲティにナポリタンが定番ではないでしょうか?子供から大人までわくわくするような文字が並び、訪れる度にどれを食べようかと悩む時も少なくないと思います。そして、同じメニューでも店によって味や飾り付けが違うのも楽しみの一つ。今回は、毎日でも食べたくなるような美味しいミートソースと面白い名前のデザートがある純喫茶を紹介します。マスターの特製ミートソーススパゲティにデザートはパイアラモードルーブルJR総武線東中野駅からほど近いパン屋に喫茶室を併設した「ルーブル」では一般的なパン屋と同じように食パンに惣菜パン、ケーキなどが棚やガラスケースに並べられています。少し変わっている点としては、手作りのパンのみならず、袋に入った既製品のパンも一緒に販売されているところ。そして、レジの横を抜けると奥には喫茶室があり、飲み物・食べ物ともに豊富なメニューに驚きます。ルーブルこちらでは、冒頭で挙げたメニューのほとんどを食べることが出来るのです。中でもお薦めしたいのが、マスター特製のミートソーススパゲティ。一口食べた瞬間に「美味しい!」と声が出てしまうほど、濃厚で甘みがやさしく、今まで連れていった友人たちからも絶賛の声を聞いています。マスターに美味しさの秘密を尋ねたところ、「デミグラスソースを少し入れることだね」という答えが。しかし、家で作っても絶対同じ味にならない理由は、スパイスとしてマスターの今までの経験と愛情が一緒に煮込まれているからかもしれません。ルーブルデザートも食べたくなったなら、「セレナーデ」や「スノーワールド」、「パイアラモード」はいかがでしょうか?パイアラモードは思わず懐かしさを感じてしまうレトロで可愛い盛り付け。どんなものか想像がつかない「セレナーデ」と「スノーワールド」については、是非お店にお出掛けの上お確かめ下さい。Text/難波里奈(c)純喫茶へ、1000軒難波里奈 (著)難波さんの新刊『純喫茶へ、1000軒』に興味がある方はこちらから!
2016年01月29日なくしたものを捜しにやってくる者たちの宿『うせもの宿』(穂積/小学館 フラワーコミックスアルファ)全3巻最近、死についてよく考えます。親しかった友人が突然亡くなったのが大きな理由かもしれません。人って死ぬんだ! と思いました。そして、当然のように自分には「老後」があると思っているけれど、実は人っていつ死ぬかわからないんだな、とも。看護師をしている知り合いは、「いつ死んでもいいように悔いのない人生を歩みたい」と言っていました。「老後の楽しみ」とか「×年後にやろう」なんて思っていても、そんな日は来ないかもしれないのです。今、やりたいことをやらないと、今、大切な人を大事にしないと、死んでなお引きずるようなことになるかもしれない……。『うせもの宿』は、捜し物をしている人がやってくる宿です。いろんな人が入れ替わり立ち替わり、宿にやってきます。そして、捜し物を見つけて出て行きます。なくしてしまったものは、すべてその人にとって大事なものです。どうでもいいものなら、なくしたことにすら気がつかないでしょう。「うせもの」にはその人の人生が詰まっているんです。お客が来るたびに、そこにドラマが生まれます。私たちは未練や後悔を残さずに生きられるか(c)Валентина Павлова宿に来る客は、マツウラという男性に導かれてやってきます。彼が何者なのか語られることはなく、謎のひとつです。宿の女将は、10代の少女です。宿の従業員は全員、うせものが見つからずそのまま居着いている人ですが、女将には過去の記憶がありません。彼女が何者なのか、何を探しているのかも、もうひとつの謎です。最終巻では、宿に来る前の女将の半生が語られます。彼女がなぜ「うせもの宿」にいるのか、なぜ記憶をなくしてしまったのかが、わかるんです。「うせもの宿」に来る客たちは全員、亡くなってしまった人たち。焦り、嫉妬、執着、憧憬、矜持、欲望、恋……そういったものがあると、うせもの宿に来ることになるそうです。全体に漂うムードは重く切ない物語ですが、ある意味幸せな設定です。亡くなってしまったら、言えなかった思いを伝えることはできません。誤解があっても解くことはできません。やりたかったことがあっても、もうできません。人が「死後の世界がある」と信じているのは(あるかもしれないけど)、亡くなってしまった人への後悔や思慕があるからでしょう。まったくこの世に未練なく亡くなることは難しいかもしれないけど、やるだけやって後悔を残さずに生きなきゃいけないな、と思います。現実に「うせもの宿」があるという保障はないのだし。Text/和久井香菜子
2016年01月28日恋人のことは大好きだけれど、あの趣味はちょっといただけないんだよなぁ……。恋人に「その趣味はやめてほしい」と思ったことがあるか、またその趣味は何だったかを、マイナビニュース会員の383名(女性200名、男性183名)に聞いた。Q.恋人の趣味に対して「正直やめてほしい」と思ったことはありますか?女性:はい 17.0%/いいえ 83.0%男性:はい 9.8%/いいえ 90.2%Q.それはどんな趣味ですか? 「正直やめてほしい」のはどうしてですか?○女性編・「ギャンブル系。お金の無駄遣いだから」(28歳/機械・精密機器/技術職)・「車いじり。自分には全く興味がないから」(32歳/金融・証券/営業職)・「アニメのフィギュア収集など。高額なので」(24歳/その他/事務系専門職)・「試食めぐり」(45歳/マスコミ・広告/クリエイティブ職)・「ギャンブル系の趣味。結婚相手には向かないと思うので」(24歳/食品・飲料/専門職)・「エアガン。カッコいいつもりのようだがイケてなかった」(32歳/医療・福祉/専門職)・「四六時中、歯を磨いていること」(33歳/金融・証券/専門職)・「私はお酒を飲まないが、飲みたがる」(28歳/小売店/販売職・サービス系)・「SMなどの変な下ネタ系」(38歳/人材派遣・人材紹介/販売職・サービス系)・「アイドルの追っかけ」(31歳/アパレル・繊維/事務系専門職)・「ゲーセン通い」(34歳/生保・損保/秘書・アシスタント職)・「携帯ゲーム。家にいるときのほとんどをゲームに費やしているから」(31歳/金融・証券/専門職)・「草野球。毎週末試合で私も連れていかれるから。野球は興味ないし、そのチームの人とも関わりたくないから」(29歳/金融・証券/営業職)・「ゲーム。課金しすぎ」(31歳/その他/その他)・「飲酒。飲み過ぎだし体も心配だから」(33歳/小売店/秘書・アシスタント職)・「うどん打ち」(32歳/その他/その他)○男性編・「カフェめぐり。混んでて並ぶのも面倒臭いし、お金もかかるから」(33歳/電機/技術職)・「ボーイズラブ。自分にも勧めてくるので」(26歳/農林・水産/技術職)・「アイドル。どんどんグッズを買ってお金の消費が激しかったから」(28歳/情報・IT/技術職)・「ジャニーズの追っかけ」(29歳/建設・土木/事務系専門職)・「ゴスロリ。なんか怖かったので」(32歳/商社・卸/営業職)・「鉄道部品集め。最近は寝台車の座席を買うとか張り切って長野まで連れていかれました」(27歳/運輸・倉庫/技術職)・「クラブに行くこと(笑)」(37歳/印刷・紙パルプ/クリエイティブ職)・「服とかをたくさん買う性質があること」(28歳/金融・証券/専門職)・「コスプレ。なんだか恥ずかしいから」(37歳/金属・鉄鋼・化学/技術職)・「ゲームのグッズにお金をたくさん使うのは、正直やめてほしいです。自分自身も『ときメモ』で経験していますが、冷めたときのショックが大きくなります」(39歳/印刷・紙パルプ/技術職)■総評恋人の趣味に対して「正直やめてほしい」と思ったことはありますか?という質問に「はい」と回答した女性は「17.0%」、それに対し男性は「9.8%」。男性のほうがかなり少ないという結果となった。男性が恋人の趣味に対して寛容なのか、単にどうでもいいのかは不明。女性のほうが恋人に対して厳しいという見方もできそうだ。やめてほしい趣味について、女性が男性にやめてほしいのは「アニメ」や「ギャンブル」「車」「ゲーム」などが多い。また、趣味自体は違っていても、やめてほしい理由としては「お金の無駄だから」というのが目立っていた。変わったところでは、「うどん打ち」「草野球」「アイドルの追っかけ」「歯磨き」なども挙げられている。男性が女性にやめてほしい趣味は、ジャニーズなどの「アイドルのおっかけ」が最も多かった。お金がかかるという理由などもありつつ、やはり、自分以外の男性に熱心な姿を見るのは複雑な気持ちなのかもしれない。ほかには、「コスプレ」「鉄道部品収集」「フィギュア集め」などの意見も。趣味は千差万別で、生きてきた背景や価値観が大きく関わってくる。なかにはその趣味が生きがいという人もいるだろうから、長くお付き合いしたいなら、ある程度は大目に見てあげられる方がお互いにとって幸せなのかもしれない。※画像は本文と関係ありません調査時期:2015年10月22日~2015年10月31日調査対象:マイナビニュース会員調査数:女性200名、男性183名調査方法:インターネットログイン式アンケート
2016年01月27日誰かのために花を買うことがとても好きです。あの人は何色が似合うだろう、どんな香りを好むだろう…。そんなことを考えながら選び、渡した人の暮らしが色づく瞬間を想像しては嬉しい気持ちになります。自分のために買うことも、花が飾られている空間も良いもので、特に訪れた純喫茶のテーブルに花があるとそれだけで穏やかな気持ちに。新鮮な花の絶えない店内ネルケン高円寺で60年以上の歴史をもつ老舗名曲喫茶「ネルケン」の店名は、ドイツ語で「たくさんのカーネーション」を意味し、まるで花のように美しいマダムが静かに営む店です。私はこちらへ行こうと思いついた時、必ず駅前でマダムが喜んで下さりそうな花を何本か買ってから向かうのです。緑色のファサード、入口を囲うように茂る手入れされた植物、少し重たい扉。店内に流れるクラシック、赤いベロアの椅子、光を遮る分厚いカーテン。扉を一枚隔てただけでこんなにも現実とは違った世界が味わえるなんて、と何度訪れても感動してしまう空間。ネルケン他の人と視線が合わないように、と配慮された座席は段差などにより高さを揃えず、仕切りによって目隠しがされるので落ち着いて1人だけの時間を過ごすことが出来ます。厳密には私語厳禁ではないのですが、こちらでは誰かと一緒でもそれぞれの時間を楽しむことをお薦めします。本を読んだり、音楽に耳を傾けたり、ただぼんやりとしたり…。ネルケンそして完璧な空間を作り出すのに欠かせないのはマダムの存在。もし、「憧れる女性は?」と聞かれたなら、真っ先にこちらのマダムが思い浮かぶほど憧れています。見惚れる程の容姿はもちろん、上品な物腰、センスの良い服装、美しい言葉遣い、真似したい所作。せめてこの空間にいる間だけでもマダムのようにいたい、と少しおすましして過ごしてみるのもこちらへ行く醍醐味かもしれません。一度訪れたなら必ずや好きになってしまうマダムには今までの歴史の長さと同じく、たくさんのファンがいるようで、定期的に何も言わず入口前に花を置いていく方もいて常に店内は新鮮な花であふれているという話も素敵です。Text/難波里奈(c)純喫茶へ、1000軒難波里奈 (著)難波さんの新刊『純喫茶へ、1000軒』に興味がある方はこちらから!
2016年01月22日SOLO読者のみなさんこんにちは。今回は少々自己啓発っぽいタイトルにしてみたのですが、みなさんは、「ひとり」で生きていることの最大のデメリットってなんだと思いますか?私が思うに、それは自分の世界がどんどん固定され、狭くなっていってしまうことです。それを、「自分のこだわりをどんどん強めていける」と良いほうに解釈することもできますが、ライフスタイルや価値観が凝り固まっていくことって新しいものを受け入れられなくなるということなので、やはり歓迎してはいけない部分もあると思うんですよね。一方、結婚や出産によってライフスタイルを変える機会があった人たちは、自分のこだわりをどんどん捨てて、新しいものを受け入れていかざるを得なかったでしょう。私やあなたがもし今妊娠したら、母子ともに健康に過ごせるようにさまざまな情報を探したり人から聞いたりするでしょうし、ベビーグッズにも詳しくなっていくはず。巷にはお腹におもりのついた「妊婦さんの世界を疑似体験できるジャケット」なるものもありますが、妊娠したり出産したりすると、誇張なしでちょっと世界が変わるんだろうなと私は独身ながら思うのです。自分のこだわりを強めていくのも楽しいですが、予期せぬものがもたらす未知の世界、新しい情報ってなかなか侮れません。「旅行」と聞いてあなたが思い浮かべる場所はどこ?©paul bicaでは、もうちょっと具体的に考えていきましょうか。みなさん、旅行は好きですか?出不精だからキライ、という方もいるかもしれませんがここは少々譲って好き派の立場に立っていただいて、次回旅行に行くとしたら、あなたはどこに出かけたいですか?私の場合、「旅行」といわれると、今年実際に行く計画を立てている中東のイスラム諸国を思い浮かべます。しかし、もちろん「韓国」という方もいるでしょうし、「屋久島」という方もいるでしょうし、「別府温泉」という方もいるでしょう。それぞれの場所に優劣はないのですが、問題は「次回の旅先」と、「前回の旅先」の傾向です。リゾート好きの方は毎回世界各地のリゾートに、自然が好きな方は毎回日本全国の自然が深い場所に。お酒や土地の食材を楽しみたい方は、それに適った場所を選ぶでしょう。好みの問題なので別にそれが悪いわけではありませんが、毎回の旅先の傾向が固まってきてしまうのって、長い目で見るとどうなんだろうな?と私は考え込んでしまったのです。自分自身を振り返ってみると、私は国内の観光地にほとんど興味がわかず、海外の美術や文学の世界が楽しめそうなところか、複雑な歴史を抱えたディープな土地を選んでしまいがちです。自分的には毎回新しいものを吸収しているつもりだったんですけど、それは同時に、私に日本の自然の素晴らしさや地酒や土地の食材を楽しむ感性が備わっていないことを意味しています。おひとりさまは、意識して自分の傾向を変えていったほうがいいかももちろん旅行はあくまでたとえで、読む本、付き合う人、飲食店、身の回りのすべてのものにこの話は適用することができます。おひとりさまは、変えるキッカケがないから変わらない。変わらないのは悪いことではありませんが、なんだかんだで柔軟性があったほうが、世の中生きていきやすいと私は思うんですよね。『東京タラレバ娘』最新の4巻では、「世の中の女は2種類に分けられる妥協できる女と妥協できない女」というズバリなモノローグがありましたが、妥協というか、要は柔軟性ってことだと思うんです。凝り固まらずに新しいものを柔軟に受け入れていく余地があったほうが、何かとやりやすいのではないでしょうか。恋愛であればよりいろいろな人と仲を深めていけるしチャンスが広がるし、共同生活を営むにもそのほうがやりやすいでしょう。仕事に行き詰まったときも打開策が見つかりやすいと思いますし、大人になるにつれ作りにくくなっていく新しい友人もできやすいはず。未知のもの・世界への好奇心、それを受け入れる余地は、いくつになっても持っていたいものです。キッカケがないなら、自分で作るしかないのです。私はまだまだ刺激物が欲しいお年頃なので当分海外旅行を続けるでしょうが、30代半ばくらいになったらそれを1回ぱたっとやめて、国内の自然が深い場所や海が綺麗な場所を重点的に旅しようかなあと考えています。「自分の傾向」を意識して把握し、それをガラッと変えていく。口でいうのは簡単ですが、これは頭も使うし勇気もいります。でも、おひとりさまが縮こまらずに、柔軟性を保ちながら世界を広げていく方法って、これしかないような気もします。あなたは妥協できる女でしょうか、できない女でしょうか?もしくは、柔軟性はありますか?私は最近ガチガチなので、これを書きながらちょっと反省させられました……。Text/ チェコ好き
2016年01月19日もし、あなたがおひとりさま飲みをするとしたら、どこを選びますか? BAR、居酒屋、カフェ、自分の部屋? 飲む場所はさまざまありますが、ここはぜひ、立ち飲み居酒屋でおひとりさま飲みをすることをオススメします。「ええっ! 立ち飲み居酒屋なんて!」と、女性なら苦手意識があるもの。でも、思い切って入ってみると、実はとても居心地のよいところなのです。■入りやすいお店のチョイスグルメサイトで簡単に店が検索できるこの時代、店探しは検索を駆使するのがもっとも早いです。携帯からでも簡単に検索できますが、グルメサイトに載せていない隠れた名店はたくさんあります。初めて立ち飲み居酒屋に挑戦するなら、そんなグルメサイトに載っていない、カウンターだけのこぢんまりした店はどうですか? そんな店は開店間際の、客が少ない時間帯が狙い目。店もまだ混んでいなければマスターが話し相手になってくれます。■お酒について立ち飲み居酒屋では、カクテルなどの手がこんでいる飲み物はあまり置いていません。ビールや日本酒、チーハイなど、すぐに提供できる飲み物が主流です。ここでのおすすめは日本酒。熱かんにすると冷で飲むよりも飲みやすいと感じるでしょう。■隣のお客さんとの距離カウンターだけの店だと、入るとすぐに先にきていた客のすぐ隣を案内されるかもしれません。みず知らずの人といきなり隣同士になるのは、抵抗があるかもしれませんが、そこが立ち飲み居酒屋のいいところ。気が合わなければすぐに帰れる、というメリットがあります。しかし、お酒が進んでくると初対面同士でも自然と話が合ってくることも多いはず。初めての客に対しては、店員も考えて、常連の話が合いそうな人の隣へ案内するそうです。■意外と多い女子おひとりさま以前、カウンターだけの立ち飲み屋さんへいったときは、7名の客のうち3名が女子のおひとりさまでした。1人は夜働いているバーのオーナーで、あとの2人は主婦の方。バーのオーナーは、私と年齢も近く、話も弾みました。ひとりで店に行くと、同じようにひとりできている女性と友だちになるケースがあります。仕事関係でもなく、昔からの友人でもなく、いきなり友だちになれるのは、とてもうれしいもの。何の利害関係もないので話も自由です。■歓迎される女子おひとりさま店の方に「正直な話、おひとりさま女子が来店したら気を使う?」と質問したことがあります。回答は「全然気を使うとかはなく、むしろ歓迎している」とのこと。女性がいると雰囲気が明るくなり、お店の印象もよくなります。ただし、カウンターのみの店に大勢で来店する女性たちはお断りするそう。やはりせっかくのカウンターですから、できるだけ少人数で楽しんで欲しいとの思いだそうです。あなたも気がねせず、立ち飲み居酒屋でのおひとりさま飲みを楽しんでみませんか?
2016年01月10日パートナー選びのポイントとして“趣味”を重視する人は多いのでは?カルチュア・コンビニエンス・クラブの調査によると、配偶者と出会ったきっかけが「趣味/習い事」だった人は、夫婦関係の満足度が最も高かったそうです。確かに共通の趣味があると会話が弾むし、行動をともにする機会も増えますもんね。≪趣味が合わなくても大丈夫?≫そうとくれば、趣味の合う人を見つけなきゃ!となるもの。でもちょっと待って!趣味嗜好が合わなかったとしても、それだけで恋愛対象から外してしまうのは早計かもしれません。今までまったく興味の向かなかったモノ・コトに、気づけばどっぷり…そんな例は珍しくないとか。そこで、「パートナーの影響で好きになったもの」について、20~40代の男女の体験談をお届けします。≪趣味、ファッション、持ち物…生活編≫◆長期休暇のお出かけ先・「女子高育ち、就職先も女性ばかりで出会いがなく、お見合いで結婚。全然興味がなかったのですが、旦那がバイク好きだったのでそれに影響されて免許を取得。今じゃ休日はツーリング三昧です」(30代・女性)・「リゾート好きになりました。以前は東南アジアや中東にばかり行ってましたが、家族ができてからはグアム、ハワイなどの良さがわかるようになりました」(30代・男性)バイクも旅行もそれなりにお金がかかるから、興味を持つきっかけそのものが大事な気がします。家族構成が変われば目的も変わってくるので、ライフステージの変化も関係してきそうですね。◆アートな趣味へのこだわり・「映画館での映画鑑賞。テレビやDVDで観ればいいと思ってたけど、映画館に一緒に行くうちに、映像や音の迫力など同じ作品でもテレビとの違いに気づかされました」(40代・男性)・「芸術好きの妻の影響で美術館によく行くようになりました」(30代・男性)・「お互いに読書&映画好きですが、興味のあるジャンルが違ったので、交際を機にお互いの世界(の違い)を分かち合えるように。彼女の影響で知り得た作品もたくさんあって、自分としてはすごく感謝しています」(40代・男性)映画・本・美術などは比較的身近で手を伸ばしやすいものですが、初めは何がいいのかわからないですよね。詳しい人にガイドしてもらえれば入り口のハードルが下がりそう。◆ペットへの愛情・「猫には何の興味もなかったけど、嫁が飼いたいと言って猫を家族に迎えました。今じゃその魅力にどっぷり、自分がメインで世話をしてます」(30代・男性)・「子どもの頃、友達の飼い犬に噛まれて以来苦手でしたが、結婚した主人が動物好きで、家で犬を飼うようになってからはそのかわいさに目覚めました」(40代・女性)恋人・旦那以外の人生のパートナーといえばペット。飼った経験がないとなかなか良さがわからないものですが、その魅力に気づくことができれば大事な家族が増えるということ。ペットへの愛情を共有できれば、彼との絆も深まりそう。≪食わず嫌いだったかも!?食の好み編≫・「牡蠣が嫌いで食べられなかったけど、旦那が大好物で。冬になると殻付の牡蠣を買いに行くので、気づいたら好きになってました」(30代・女性)・「苦くて飲めなかったコーヒー。主人がよく飲むので香りに惹かれ、がんばって飲むうちに、今じゃ1日1杯飲まないと落ち着かなくなりました。お砂糖とミルクは必須ですけど…」(40代・女性)・「玉子かけご飯なんて、あんなぐちゃぐちゃなもの食べられない!と思ってたのに、彼の手順で混ぜると不思議とおいしい。今では黄金色に見えます」(30代・女性)苦手な食べ物って、大人になってから克服するのは難しいというイメージがありますが、そうとも限らないのですね。敬遠せず、まずは相手が食べているのを一口もらうところから始めてみると良さそう。・「彼女と一緒に料理しているうちに意外とうまく作れるようになり、ハマりました。その彼女とは結局別れてしまいましたが、今じゃ会社に弁当を持参しています」(20代・男性)料理は始めると意外にハマるんですよね!食費も節約できるし。別れてしまっても、いい影響は残るので大丈夫、きっと…。と、ここまでご紹介してきましたが、一方で、相手に強要するのはNGだという声も。真正面からすすめるのではなく、友人と楽しそうに話すところを見せたりして、相手が自然と興味を持つように仕向けるのがいいと話してくれた人もいました。最初から共通の趣味があれば、親しくなる良いきっかけになりますが、趣味が合わないからといってせっかくの良縁を手放してしまうのはもったいない。2倍の楽しみが待ち受けていると、ポジティブに考えてみてはいかがでしょうか?(文=橘いつき)名前だけでわかるふたりの恋愛相性【無料占い】
2015年12月03日