背中ニキビの原因はさまざまです。その原因を把握し、原因に向けた対策法が求められます。ここでは、どのような原因で背中ニキビが発症するのか見てみましょう。背中はニキビケアが遅れがちな場所背中ニキビができたとしても、背中は見づらいため気づくことは難しい場所です。顔や胸などにできるニキビと変わりませんが、背中はどの部位よりも皮脂の分泌量が多く、常に衣服などで覆って蒸れやすく、寝るときに背中と寝具が密着するので、ニキビができやすい環境にあります。ニキビの原因菌であるアクネ菌は、皮脂をエサにして増殖しますが、酸素に弱い菌です。背中は、酸素が行き届きにくい場所でもあり、アクネ菌にとっては活動しやすい環境でもあります。アクネ菌の増殖によって、ニキビが悪化して炎症や化膿などを引き起こします。この場合は、皮膚科での治療が求められますが、ニキビの跡が残る可能性はあります。ニキビができたとしても、悪化する前に適切なケアを行っていけば、皮膚科に受診することなく改善に期待が見込めるでしょう。しかし、背中は鏡などを使わないかぎり、確認は困難です。そのため、ケアが遅れてしまいます。背中ニキビができる原因考えられる原因について解説していきます。毛穴づまりの原因となる角化異常ターンオーバー(肌の生まれ変わり)が乱れるだけでなく、肌のバリア機能の低下によって角質層が厚くなり、毛穴が塞がってしまった結果、その毛穴の内部に皮脂がつまり、ニキビの原因となります。角化異常の原因は主に、間違ったスキンケアや紫外線や生活習慣の乱れなどがあげられます。詳しくは『ニキビの原因(1)角化異常(角化不全)』 (をご覧ください。栄養バランスの偏りもニキビの原因に具体的には、脂質や糖質の過剰摂取、タンパク質とビタミンが不足している、コーヒーやアルコールなどの過剰摂取などがあげられます。詳しくは『ニキビの原因(2)食べ物・食生活』 (をご覧ください。ニキビを発生させるホルモンバランスの乱れ男性ホルモンの過剰分泌によって皮脂の分泌量が増加するだけでなく、角質の柔軟性の低下と、角栓を発生させて毛穴をつまらせるという作用が働きます。角栓によってつまった毛穴から皮脂が外に分泌できなくなってニキビを発生させるだけでなく、マラセチア菌がそのニキビに侵入して、症状を悪化させて炎症を起こします。男性ホルモンは、微量ですが女性の体にも存在します。女性が生理の時期になると、ニキビといったさまざまな症状が現れてくるのは、男性ホルモンのためだと考えられます。詳しくは『ニキビの原因(3)ホルモンバランス』 (をご覧ください。ストレスや睡眠不足はニキビの原因にストレスをため込んでいるとか、睡眠不足、さらに喫煙と飲酒も生活習慣の乱れのひとつとなります。外側のケアだけでなく、内側のケアも重要です。ニキビが改善されても、内側のケアを怠れば再発の可能性が高くなります。生活習慣を見直し、乱れているところがあれば直していくという心がけも大切です。詳しくは『ニキビの原因(7)生活習慣・その他』 (をご覧ください。背中に移った雑菌が原因に背中の洗い残しや、肌に触れる衣服や寝具などが清潔でない場合もニキビの原因となります。肌に触れるものに雑菌があった場合、その雑菌が背中に移って炎症を引き起こす可能性があります。背中ニキビのケア方法外側と内側のケアをしっかり行えば、背中ニキビを改善するだけでなく、予防につながることに期待が持てるでしょう。内側からのケア:生活改善具体的には生活習慣の見直しです。生活習慣に乱れがあった場合、その乱れを改善していくことが重要です。まずはたばことお酒をやらないようにして、睡眠時間を長くとって、睡眠不足を解消していきます。栄養バランスのとれた食事を基本的に心がけ、野菜や果物をしっかりととっていきます。ストレスをため込まない日常生活も大切です。ストレスはリラクゼーションや入浴などで発散していきましょう。外側からのケア:スキンケアなど風通しのよい衣服と肌着を選び、背中を蒸れさせないことを心がけます。お風呂に入る前に、清潔ある衣服と肌着を選ぶところから始めます。お風呂に入って背中を洗うとき、洗い残しがないようにすることが求められますが、ゴシゴシと強く洗わないように注意します。入浴後、ローションやクリームなどで保湿します。寝る前にその寝具も清潔を維持することが重要です。ビタミンC誘導体の美容液を使ってニキビを予防するという方法があります。ビタミンC誘導体は美容成分のひとつですが、ニキビを予防する効果もあるとされているものです。ビタミンCと変わりありませんが、肌の浸透能力を人工的に高めたのが、このビタミンC誘導体です。詳しくは『ニキビケアにおすすめ!ビタミンC誘導体とは?』 (をご覧ください。監修:大久保真
2017年04月29日<ドクターズインタビュー>東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身先生は、長年にわたり疲労の研究を進め、東京・新橋のクリニックで疲労と睡眠に特化した診療を行っています。梶本修身先生に疲労のメカニズムと睡眠との関係についてお話をうかがいました。【梶本修身(かじもと おさみ)先生】大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授東京疲労・睡眠クリニック院長大阪大学大学院医学研究科卒業。医学博士・医師産官学連携「疲労定量化および抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者著書『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書)、『仕事がはかどる! 超高速脳のつくり方』(宝島社)など脳を疲れさせる寝汗といびき疲労回復に大切なことは、夜中に脳の自律神経が活動するような状況を避けることです。そのためには、ノンレム睡眠の深さを表す4つのステージでいえば3または4に相当するような深い睡眠を周期的に取る必要があります。まず悪い例として挙げられるのは、熱帯夜にエアコンをかけずに汗をびっしょりかくような寝方です。寝汗をかいているということは、体温調節のためにそれだけ自律神経が頑張っているという何よりの証拠です。いびきは睡眠中に運動をしているようなものそして、そのほかにもうひとつ、私たちが疲労の原因として、もっとも注目しているのは「いびき」です。睡眠中のいびきや無呼吸によって血液中の酸素飽和度が80%ほどに低下する方は多く、酸素が足りなくなると脳へ酸素を供給するために血圧を上げ、心拍を速くする必要があります。息を止めると心臓がドキドキしてきますが、それと同じことが深夜に起こっているのです。そうすると、眠りながら運動をしているような状況になり、自律神経は非常に疲れてしまいます。いびきをかいて眠っている人を見て、よく寝ているなというのは大間違いです。無呼吸はもちろんですが、いびきをかいているだけでも実は非常に自律神経を疲れさせているのです。女性はいびきに注意が必要女性の方の場合、男性に比べるといびきの音はそれほど大きくないことが多いのですが、むしろ自律神経へのダメージは深刻であるケースが少なくありません。女性は男性に比べて肺活量が少ないので、結果としていびきの音が小さい傾向がありますが、肺活量が小さいということは酸素を吸い込める量も少なくなります。また、女性の場合は貧血と低血圧を合併している人が多くみられます。貧血や低血圧があると脳に送られる酸素量はもともと少ない状態にあります。その結果、ちょっとしたことで酸素量が不足するので、脳に十分酸素を送るためには自律神経により負担がかかることになります。女性のいびきはホルモンの減少と関係また、女性の場合には更年期にさしかかる35歳から45歳の年代で、それまでほとんどいびきをかいてなかった方にいびきがみられるようになることがわかっています。これは女性ホルモンの減少と関係しているといわれています。一方、男性の場合にはいびきが気になりはじめるのはもう少し遅く、45歳から55歳の年代に多いという傾向があります。男性は豪快ないびきが多いため気づきやすいのですが、女性の場合はいびきの音が小さいことが多く、寝息といびきの区別がつかないような方が35歳から45歳の年代でだんだん増えてきます。ですから、女性の場合は少し寝息が大きいかもしれないという段階から注意していただいたほうがよいでしょう。いびきには簡易型PSG検査を睡眠や疲労を扱っているクリニックでは、簡易型PSG(睡眠ポリソムノグラフィー)という検査を行なっています。いびきが気になる方はまずこの検査を受けていただくことをおすすめします。簡易型PSG検査では病院に泊まって検査をする必要はありません。検査機器を宅配便でご自宅にお送りし、測定後に送り返していただくという形で検査が可能です。この検査を行うことによって睡眠時の無呼吸や低呼吸状態はもちろん、酸素飽和度や睡眠の時間や深さ、つまり睡眠の質がわかります。その検査結果は、ご本人が朝起きたときに疲れがとれている(あるいは疲れがとれていない)という感覚と非常によく相関しています。あなたのお疲れ度がすぐにわかる検査私たちのクリニックで実施している自律神経機能疲労度検査は、自律神経がどれだけ疲れているということがわかる検査です。自律神経機能検査で疲労度をみる方法は大きく2つあります。ひとつは交感神経と副交感神経のどちらがどれだけ優位になっているかという比をみるもので、もうひとつは交感神経と副交感神経を足した合計のトータルパワー値をみています。検査結果は縦軸と横軸で表されます。横軸はLF/HF(LF:交感神経系成分、HF:副交感神経系成分)と呼ばれるもので、交感神経と副交感神経の比を表しています。右に行くほど交感神経が優位なのでストレスが高いということになります。一方、縦軸はトータルパワー値を表していますので、上に行くほどほどトータルパワー値が高いということになります。縦軸のトータルパワー値は、年齢とともに顕著に低下します。また、年齢の平均値に比して下がっていると慢性的に疲労が強いということを意味します。一方、横軸のLF/HFの比は何か緊張するようなことが起こると高くなるので、日によって変わります。一般には、ストレスが高いと右にシフトし、交感神経が相対的に有になりますが、典型的な慢性疲労症候群の方のような場合には交感神経すら上がってこないことがあります。つまり、緊張した状況が作れないほど疲れているということがわかるのです。疲労の原因は、昼間の疲れか?夜間の睡眠か?私たちのクリニックには慢性的な疲労や、寝ても疲れがなかなかとれないという悩みを抱えた方が来られています。中には全国の大学病院からの紹介で来られる慢性疲労症候群の患者さんもいらっしゃいますが、こうした患者さんはすでに診断がついてから長い時間が経っていることが多く、治療も容易ではありません。しかし、そうではない方の場合にはまず疲れの原因を探り、それが昼間に起こっている原因なのか、それとも夜に起こっている原因なのかに分けて治療方針を決定します。夜に起こっている原因の可能性があるときには検査をして、実際にいびきがあればいびきを治していきます。それによって疲労が改善する方はかなり多くいらっしゃいます。いびきや睡眠時無呼吸に有効性が証明されているCPAPとは?いびきや睡眠時無呼吸の治療にはCPAP(持続的自動気道陽圧ユニット)という医療機器を使います。CPAPはきちんと装着すれば100%有効であることが証明されています。睡眠効率や中途覚醒など、睡眠の質を評価するパラメーターでみると100%の方に効果が出ていますし、疲労に関しても、疲れがとれた・軽くなったと感じている方が85%となっています。ただし、CPAPを装着すると圧迫感や違和感があるため、使うのをやめてしまう方も3〜4割おられます。そのため、私のクリニックではまずは1週間使っていただき、使用感に問題がないときに継続使用を勧めています。CPAPの保険適用基準は見直すべきCPAPを保険診療で使っていただくためには、PSG(睡眠ポリソムノグラフィー)という検査の結果が一定の条件を満たしている必要があります。現在の基準では1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数を示すAHI(Apnea Hypopnea Index)が簡易型PSG検査で40以上、終夜ポリソムノグラフィー検査で20以上となっています。しかし、実際にはAHIが5〜20の方であっても昼間の眠気による事故が通常より多いということはデータ上でも明らかであり、軽度だからといって治療をせずに放っておいてもよいということにはなりません。特に職業ドライバーの方が事故を起こすリスクを放置することは、社会的にも問題があると考えます。そして、いびき自体もやはりきちんと改善してさしあげたいということがあります。たしかにいびきだけの患者さんをすべて保険適用としてしまうと、対象となる方はかなりの人数になってしまうので健康保険財政上、厳しいところがあります。現在、私たちのクリニックでは、CPAPがいかに有効かということを多くの方に試していただくために、自費診療でも使っていただけるようにCPAPをご提供しています。軽度の患者さんにも有効な疲労回復CPAPの開発私自身、今よりも太っていた頃にいびきがあって調べてみたことがあるのですが、検査の結果無呼吸がそれほど多くなかったため、やはりCPAPの保険適用基準には該当しませんでした。しかしその当時、同じだけ寝ても以前に比べて疲れがとれなくなってきたという自覚があったのです。そこで自分でもCPAPを試してみたところ、それまでの目覚めと全く違ってスッキリとした朝を迎え、昼間の眠気も全く感じなくなったことは驚きでした。その後、自分でCPAPを購入していろいろ使い方を試してみましたが、それまで8時間は寝なければ疲れが取れなかったのが、今は5時間ぐらいの睡眠時間でも一日中仕事が出来るようになりました。こうした経験から、CPAPは睡眠の質を高め、結果的に疲れをとるという意味で優れているということを確信し、何人かの方に試していただいたところ、やはり非常によい結果が得られました。ただし、その当時のCPAPは無呼吸を検知して空気を送る圧を調整するような仕組みであったため、いびきを検知できるようなシステムに改良を加える必要があると考えました。そこで医療機器メーカーと相談して、現在はいびきによって送り出す空気の圧を調整する特殊なプログラムを組み込んでもらっています。疲れをとる自然な目覚め方とは?睡眠で重視すべきなのは時間ではなくて「質」です。そして、その「眠りの質」というのはまさに、自律神経をいかに休めるかということにポイントがあります。自律神経を疲れさせないという意味では、朝の目覚まし時計もできればやめておいたほうがよいでしょう。大きな音は人間に対しても動物に対しても恐怖心を呼び起こすものであり、強いストレスとなります。実際に目覚まし時計の音で起きたときの自律神経の働きを調べてみると、副交感神経から交感神経に一気に上がっていきます。その結果、心拍や血圧も15〜20%ぐらい上昇します。これでは朝一番でいきなり自律神経を疲れさせているということになってしまいます。理想的な起き方は、朝、少しずつ明るくなってきて自然に目が覚めるというものです。実は、私の自宅では照明とカーテンに少し仕掛けをしてあります。起床時間になると、最初の5分間は暗いところから桜色のライトがだんだん明るくなっていき、少しずつまぶたの上で光をゆっくり感じるようにしています。そして次にカーテンを自動で少しずつ開けていくという仕掛けになっています。この起き方をしていると自然に目覚めたような感じがするので、起こされたという感じがしません。まるで休日の朝のような目覚め方で毎朝起きることができます。そうすると、不思議なことに同じ時間でも熟睡感がかなり違ってきます。あくまでもよく眠った気がするだけなのですが、不快感なく起きるということは自律神経を疲れさせないためにも非常に大切であると考えます。そうした知見から、現在、このシステムはエコナビスタ株式会社から「快眠健康ナビ」というシステム名で商品化されています。自律神経が休まるには、「ゆらぎ」が必要眠るときの明るさについても、よく3ルクスの明るさがよいといわれています。真っ暗でもなく明るすぎるのでもなく、月明かり程度の明るさがちょうどよいというところから来ているのかもしれません。そういったこともすべて含めて、自律神経が一番休まる空間が望ましいのです。完全に締め切られた空間、まったくの無風で環境の変化がないところは動物にとって居心地がよくありません。たとえば家の中で飼っている犬は、どれだけ居心地がよくても2時間ぐらいで寝る場所を変えます。それは、家の中という「ゆらぎ」がない環境ではそよ風で匂いが運ばれることもなく、敵の侵入に気づくことができないからです。同じように、人間も環境が統一されて一定の状態にいることはリスクになります。ゆらぎがない空間というのはあまりに人工的すぎるため「何が起こっているのかわからない」と不安になり、ゆらぎがあるほうがむしろ安心できます。ですから、寝室もリビングもゆらぎを取り入れたほうが心地よく過ごせます。理想をいえばエアコンをつけて窓を開けるぐらいの感覚のほうがよいのですが、そういった自然なゆらぎの心地よさは、たとえば森の中であればお金をかけなくても手に入りますから、その意味では森林浴などはとてもよいと思います。リラックスのためには「五感が一致すること」が大切五感を一致させるということはとても重要です。たとえばスパやエステなど、リラクゼーションを提供する場所では、入った瞬間にたいてい少し暗くなっていて涼しいというつくりになっています。暗いところをあえて涼しくしているからこそ心地よく感じるのですが、それは私たちが経験上、日陰に入ると涼しい、つまり暗くなると涼しくなるということを知っているからです。逆に日陰に入って蒸し暑さを感じたら、それは近くに誰かがいるということを意味しています。このように、五感が一致していることは自然な状態であるという認識につながり、それがくい違っていると気持ちが悪いと感じます。たとえば海の香りは海の近くで感じるからこそ心地よいのであって、山で嗅ぐとあまりいい香りだとは思えないでしょう。コーラだと思って飲んだものが実はコーヒーだったら、普段好きで飲んでいるものでも一瞬吐き出したくなったりします。それと同じように、五感は常に一致していないと気持ちが悪いと感じてしまうのです。こうした感覚の一致というのは、過去の自分の体験や、もっと遡ればDNAに刻み込まれた記憶に由来するものです。それがずれているということは、何か普通ではないことが起こっていてその状況を本能的に怖がっているのだと考えられます。不自然な状態は、動物はとってはもちろん、人間に対してもリスクを与える可能性があります。ですから、不自然な状態が生じていると感じ取ったときには、自律神経が交感神経優位になって興奮する方向に働き、休まることができません。自律神経が休まるためにはむしろ副交感神経が優位になるような状況が理想的なのです。夕焼け色の照明は眠りにつくのを早める皆さんが仕事を終えて家に帰る頃、夕方の6〜7時になると空が夕焼けで赤い色に染まっていき、そして夜になります。多くの家庭ではリビングなどの照明に電球色が好まれますが、夕方の空があの色だということを遺伝子のレベルで知っているからこそ、家で過ごすときには無意識のうちにリラックスできる色を選んでいるのです。私たちも家に帰ったときに夕焼け色の照明を使うことを推奨していますし、実際に眠るときにも、あの夕焼け色からだんだん暗くなっていくようにすると寝つきが良くなります。眠る前にそうした夕焼け色の照明を2時間ぐらい浴びていると、入眠潜時(にゅうみんせんじ)といって、ベッドに入ってから眠るまでの時間が早くなるということも論文として発表しています。自然界に起こっていることを再現すると私たちは心地よいと感じます。電気のない時代には人も動物と一緒に自然のサイクルに従って生活をしていました。その記憶は遺伝子の中に深く刻まれているため、それに反することをしていると不安を自覚し、自律神経が交感神経優位に高ぶってしまうこともあるのです。自律神経をいたわるモニタリングが大切睡眠だけでなく、昼間の生活においても自律神経をいたわることは大切です。特に日本では、毎日の習慣だからといって疲れているときにも運動を欠かさないという方は多いのではないでしょうか。しかし、本来は疲れを自分でモニタリングして行動することがとても重要です。たとえば朝、ベッドから出た第一歩で疲れているな、足が重いなと思ったら、それは前日の疲れがまだ残っているという証拠です。日中の負荷が強ければ翌日に疲れが残りやすく、また睡眠の質が悪くても疲れが残りやすくなります。そのどちらかが(あるいは両方が)起こっているわけですから、その日は運動を控えるというようなことを考えてもいいはずです。また、本来は朝起きてから4時間後が一番覚醒している時間だといわれています。朝7時に起きる方なら11時、朝6時起床なら10時がもっとも覚醒した状態にあるというわけです。ですから、その時間に眠さを感じているようであれば、睡眠が足りていないか、あるいは前の日の疲れが過剰であったということになります。もし睡眠がちゃんととれているとしたら、前の日の運動や作業の負荷が普段より強かったのかもしれません。「なんとなく」の衝動を大切に患者さんへのアドバイスとして私がいつもお伝えしているのは「衝動を大切にする」ということです。「なんとなくしんどい」「なんとなく今日は歩きたくないからタクシーにしよう」「今日はなんとなく会社に行きたくないな」などと思うことは誰にでもあるのではないでしょうか。この「なんとなく」という、どこからともなく浮かんでくる衝動は、実は全身から上がってくるデータ集計であり、統計解析の結果なのです。私たち人間が実際に意識できることはごく一部であり、ほとんどのことは無意識のところで行われています。たとえば、「今日、カレーが食べたいな」と思っても、それがどこから浮かんできたのかわからないということはよくあります。人間のひらめきや行動の多くはそうしたものですが、実はこの「衝動」を無視し続けることは健康を害する恐れがあります。「今日はなんとなく運動したくないな」というときには、はっきりとした自覚がなくても疲れていたりするので、そんなときにはトレーニングジムに行かないほうがよいのです。これは怠け者の方がいいと言っているわけではありません。自分の感性に正直であるべきであり、その感性を隠してしまうことが一番危険だということです。意欲や達成感、楽しいことがあると隠れてしまうので、自分でモニタリングした感性はもっと大事にするべきですし、根拠がわからなくても、衝動として上がってくるものには実は意味があるのです。自分の体の状態を意識的にモニタリングすることはなかなかできません。たとえば熱っぽいかなということぐらいは感じ取れても、血圧すら自分ではわかりませんし、同じように疲労も自分ではよくわからないことがあります。「今日はなんだかやる気が出ない」というときには、体が何らかの警告を発しているのだから無視してはいけないという意識を持つべきでしょう。
2017年03月13日<ドクターズインタビュー>東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身先生は、長年にわたり疲労の研究を進め、東京・新橋のクリニックで疲労と睡眠に特化した診療を行っています。梶本修身先生に疲労のメカニズムと睡眠との関係についてお話をうかがいました。【梶本修身(かじもと おさみ)先生】大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授、東京疲労・睡眠クリニック院長大阪大学大学院医学研究科卒業。医学博士・医師産官学連携「疲労定量化および抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者著書『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書)、『仕事がはかどる! 超高速脳のつくり方』(宝島社)など疲れをとるには、睡眠が最適の手段私たちは疲労の専門家として、睡眠を専門としている先生方とは違う方向から睡眠の研究をしています。私はもともと大阪大学の精神神経科で睡眠を専門としていましたが、その後、疲労に関することをテーマに研究を行う中で、睡眠はあくまでも疲れをとるための「手段」であると考えるようになりました。したがって「よい睡眠とは何か」といえば、前の日の疲れがとれるということが私たちにとってのよい睡眠の定義となります。一般的に「今日はよく眠れた」という言い方をしますが、その場合の「よく眠れた」というのは、朝起きたときに前の日の疲れがとれているということであり、それがすなわち、多くの人々にとっても一番よい睡眠であるといえます。ですから、たとえば睡眠の質を調べるPSG(睡眠ポリソムノグラフィー)検査でまったく問題がなかったとしても、朝になって疲れが残っていたとしたらそれはよい睡眠とはいえません。私たちは疲労回復物質や疲労を起こしにくくする物質の研究をしていますが、もしも疲れをまったく起こさないようにできれば、あえて睡眠をとる必要はありません。しかしそうした夢のような物質が見つかるまでは、疲れをとるために睡眠は不可欠であり、できるだけ効率のよい睡眠をとることが最も適切であるということになります。私はちょうど今、寝てもなかなか疲れがとれない方のための本を書いています。これは、いわゆる不眠に関する本ではありません。実は、寝ても疲れがとれないと感じている方は非常に多くいます。もちろん、よく眠れないという方や不眠症の方のための情報も大切なのですが、今回は、「寝ても寝ても疲れがとれない方はいったい何を改善したらいいのか?」ということを中心にお話ししていきたいと考えています。慢性的な疲労の2つの要因慢性疲労を起こす理由は2つあります。ひとつは睡眠では回復できないほど日中の疲労の負荷が強すぎること。もうひとつは睡眠の質が悪く前日の疲労を十分に回復できないことです。つまり、慢性的な疲労を蓄積させないためには、昼間の疲労を軽減するか、夜に疲労の回復を促すか、この2つしか克服法はありません。一度起こってしまった疲労を昼間のうちに回復させることはできません。日常生活で疲れにくくするための方法はさまざまなものがありますが、それらは疲労を回復させているのではなく、それ以上悪化することを防いでいるだけです。つまり、疲労を回復させる手段は睡眠しかないのです。すべての疲れは脳が感じている「自律神経の疲労」だった私たちの研究の結果、運動疲労(肉体疲労)だけでなく、精神作業疲労と呼ばれるデスクワークの疲労や眼精疲労も含めて、昼間に起こっている疲れは自律神経の疲労であるということが明らかになってきました。たとえば運動をしたときには心拍や呼吸が早くなりますが、それを調節しているのは脳の中にある自律神経の中枢であり、汗を出して体温を調節しているのもまた自律神経です。ゴルフであれマラソンであれ、真夏の炎天下と11月では同じ時間・同じ距離であってもその疲れ方は大きく異なります。行動量には差がないのに、温度や湿度などの気候の差、すなわち体温コントロールを行う自律神経が疲れてしまうのです。自律神経は、発汗、心拍、呼吸、血圧などを秒単位で調整して、身体を常に安定した状態にする働きを司っています。真夏の場合にはその負荷が非常に強くなることから、自律神経が疲れると考えられています。もしも運動疲労の原因が筋肉そのもののダメージであるならば、真夏でも11月でも疲れは変わらないはずです。運動疲労というと体の疲れのように思われがちですが、実は体ではなく脳の中にある自律神経の中枢が疲れているのです。自律神経の疲れは活性酸素による細胞のサビ自律神経の疲れは活性酸素(かっせいさんそ)によるものです。私たちが何らかの作業をして自律神経の細胞が一生懸命働くときには酸素を消費します。すると、その過程で活性酸素が発生して神経細胞自体を錆びさせてしまいます。そしてその神経細胞が錆びると、全体を構成する自律神経の中枢自体の機能が落ちてしまいます。これが自律神経の疲れのメカニズムです。この自律神経の機能低下が起きると、その情報はちょうど眉間の裏側に位置する眼窩前頭野(がんかぜんとうや)という脳の部位にサイトカインという物質を通じて伝えられます。これがいわゆる「疲労感」として認識されます。そのときにあえて「体が疲れた」と感じさせることによって、これ以上作業をさせないようにして体を酷使することを防いでいるのです。ですから、本当は自律神経が疲れているにもかかわらず、私たちは「自律神経が疲れた」とは感じず、「体が疲れた」というように誤解させられているのです。そうしなければ作業をやめることなく、もっと頑張ろうとしてしまうからです。つまり、疲れは防御反応から来るアラート(警報)なのです。疲労と老化のメカニズムは同じもの疲れと老化は基本的には同じものです。細胞が活性酸素で一時的に錆びた状態が疲労。そのサビが固まってしまって取れなくなった状態が老化です。つまり、疲労と老化の違いは、サビが一過性かそうでないか、可逆的か不可逆的かということになります。これは脳の中の神経細胞で考えるとわかりにくいかもしれませんが、肌の変化を考えていただくとわかりやすいでしょう。たとえば海水浴などで日焼けをしても、それは一時的なものですぐに元に戻ります。日焼けした肌は疲れている状態ですが、それは数日経てば元の状態に回復します。言ってみればこれが肌の疲労ということになります。沖縄に住んでいる人や、さらにいえば東南アジアの赤道に近いところに住んでいる人たちは一年中強い日差しにさらされて生活しています。このように毎日肌を紫外線などによって疲れさせていると、結果的に肌のダメージが可逆的なものから不可逆的なものになり、単に色が黒くなるだけでなくシミやしわとして定着します。これが肌の老化です。つまり、可逆的な範囲にとどまっているのが「疲労」であり、それが不可逆的な段階に至ると「老化」となります。ですから、その意味では老化を防ぐアンチエイジングのもっともよい方法は疲れないようにすることであるといえます。疲れも老化もまったく同じ酸化ストレスが原因であり、その酸化ストレスがこびりついて取れなくなった状態が「老化」となっていくのです。「活性酸素がたまる」というのはウソ?よく「活性酸素がたまる」と言いますが、活性酸素の寿命は長くても数十秒です。その一瞬で細胞を錆びさせてしまうのです。周りのものを酸化して錆びると活性酸素自体は還元してなくなってしまうので、長い間とどまっていることはありませんし、それ自体を測ることもできません。酸化ストレスマーカーといって、尿の中に出てくる8-イソプラスタンや8-OHdGなどの物質を酸化ストレスの指標にすることがありますが、それらは酸化ストレスの結果代謝されたものが尿中に含まれる値をみています。ですから、ストレスマーカーはあくまでも活性酸素が悪さをした結果出てきた錆(サビ)を測っているようなものであり、活性酸素自体を測っているわけではありません。活性酸素に抗酸化物質は有効か?疲れの原因が活性酸素による酸化ストレスであるならば、抗酸化物質によってこれに対抗するということが考えられます。活性酸素が発生しては消えていくので常に抗酸化物質がそこに存在しなければならないということです。ビタミンCは強力な抗酸化物質のひとつですが、摂取してから体の中に滞在している時間は1〜2時間といわれています。いったん活性酸素をきれいになくすことができたとしても、ビタミンCが代謝されて体の中からなくなってしまえば、そのあとは効力がありません。抗酸化作用を持続させるためには、たとえば点滴のような形で体に入れるような工夫が必要となります。ブルーベリーに含まれるアントシアニンやリンゴに含まれるアップルフェノンなどのポリフェノール、そしてカテキンなども非常に優れた抗酸化物質ですが、やはり同様に2時間以内にほとんど消えてしまうといわれています。たとえばアントシアニンなどは代謝が早く、体内に取り入れてから30分ほどでピークになるといわれています。ですから、もしもサプリメントとして摂るのであれば、少量ずつこまめに摂るほうがよいかもしれません。抗疲労物質イミダペプチドのメリット私たちが推奨しているイミダペプチドという抗疲労物質がなぜいいかというと、先にお話しした脳の自律神経の中枢にそのイミダペプチドを合成する酵素、すなわちイミダペプチドを作る工場があるからです。つまり、材料さえ供給すれば自律神経の中枢で作ってはそこで効果を発揮するということをおよそ8時間にわたって継続することができます。実際の抗酸化力そのものは、先ほど挙げた抗酸化物質の中ではイミダペプチドは決して強力とはいえません。しかし、それが自律神経の中枢で作用するということが非常に重要なポイントです。イミダペプチドを作っている工場は骨格筋と自律神経中枢にあります。脳と血管の間には血液脳関門というものがあり、血管から脳への物質の移動を制限して分子量の大きい物質を通さないようにしています。イミダペプチドは体内に摂取した後アミノ酸に分解されるので、最小単位のアミノ酸の状態で関門を通過し、脳へ到達することができます。しかし他の抗酸化物質の場合は、比較的通過しやすいポリフェノール以外は関門に引っかかってしまって脳には届きません。疲れの原因は自律神経の中枢ですから、脳に届かなければ肝心の自律神経にはまったく作用しないということになります。眼精疲労も自律神経の疲労眼精疲労については90年代頃からさかんに研究されてきました。その結果、目や視神経の疲労だと思われていた眼精疲労も実は自律神経の疲労であるということがわかってきました。動物の脳は、活発に活動をしているときには交感神経優位の状態にあり、リラックスしているときには逆に副交感神経優位となります。自律神経はこのように交感神経と副交感神経がうまく拮抗してバランスをとっています。ですから、私たち人間も仕事をしているときには交感神経優位の状態を保っています。動物が、獲物を追いかけるときや逆に敵に襲われる危険があるときなどは、交感神経が優位となります。このようにリスクが高い状況では、遠くを見る必要があるため、目に交感神経の刺激が伝わると、眼球内の水晶体を薄くして屈曲率を下げ、遠くがよく見えるように調整されます。このことは私たち人間も含めて全動物に共通する仕組みです。一方、お母さんのおっぱいを飲んでいる赤ちゃんや、その赤ちゃんを抱いているお母さんが見ている対象はおおむね70cm以内のごく近い距離にあります。このように脳がリラックスしている場合には、副交感神経が高まります。目に副交感神経の刺激が伝わると水晶体のレンズが分厚くなって近くがよく見えるようになります。つまり、基本的にすべての動物は、仕事モードのときには交感神経優位でレンズを薄くして遠くを見るようにし、安心できるときはレンズを厚くして近くを見ているのです。50万年の人類の歴史の中でこの数十年だけは、仕事や勉強などで集中して近くを見る時間が多くなりました。その場合、脳は交感神経優位となっているにもかかわらず、目には副交感神経の刺激を出さなければ近くを見ることができません。この矛盾が眼精疲労を引き起こしているのです。眼精疲労は筋肉が痙攣しているときのような状態眼精疲労を起こしている方を調べてみると、実際、目のレンズの厚さを調節する毛様体筋が痙攣(けいれん)を起こしているときのような状態になっていることがわかりました。こむら返りで足がつったときなど、筋肉が痙攣しているときには、関節を曲げるように働く筋肉と伸ばす側の筋肉が同時に収縮しているということがみられますが、眼精疲労でもそれと同じようなことが起きていたのです。眼精疲労を起こしている方のほとんどは、パソコンのディスプレイなど近くを見て仕事をしています。逆にいえば、遠くを見て仕事をしていると眼精疲労を起こしにくいと考えられます。3D(三次元映像)などの技術を用いることによって、近い距離にあるディスプレイを見ていながら、たとえば3m先などもっと遠くに目の焦点距離を合わせることがごく自然に実現できれば、眼精疲労を軽減できるようになるかもしれません。慢性疲労は自律神経失調症と同じ症状が出る眼精疲労が進行すると自律神経失調症と同じ症状が出てくることはよく知られていますが、眼精疲労に限らず運動疲労も徹夜による疲労も、慢性化した疲労はすべて結果的には自律神経失調症と同じ状態になる可能性があります。頭が痛い・重い体がだるい耳が遠く感じる目がしょぼしょぼする・目が乾くろれつが回りにくくなるふらつく汗が止まらなくなるこれらはすべて自律神経失調症の症状に共通していますし、徹夜明けなどにも同じような症状がみられます。つまり、自律神経失調症と慢性疲労とはほぼ同じ状態が表れるということです。こうした疲労は自律神経の疲労によるものがほとんどですから、その自律神経の疲労を睡眠によっていかにとるかということが非常に重要なのです。
2017年03月12日ミトコンドリア脳筋症(MELAS)とは?出典 : ミトコンドリアの異常が原因で病気となってしまうことが知られていて、ミトコンドリア病と名づけられ国の指定難病にもなっています。ミトコンドリア病にはおもに以下の3つの病型に分類されます。●ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS)●慢性進行性外眼筋麻痺症候群(CPEO)●ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)ミトコンドリア脳筋症はそのうちの一つ「ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS)」の病型のことをいいます。ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS)は、脳卒中のような症状を起こすことが特徴的です。また、脳卒中のような症状が起きる場合には、けいれんや意識障害も起こることがほとんどです。繰り返し起こる嘔吐や頭痛などもミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS)の代表的な症状ですが、そのほかにも全身にわたってさまざまな症状が出ることがわかっています。どんな人にミトコンドリア脳筋症の症状が現れるの?出典 : ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS)の発症年齢は低く、15歳未満で発症する割合は、全体の70%を占めるといわれています。発症年齢を5歳ずつ区切って詳しくみてみると、0~1歳での発症は1%、1~5歳では10%、5~10歳で37%、10~15歳では21%、15歳以上の発症は31%であることが分かっています。参考書籍:埜中征哉、後藤雄一/編集『ミトコンドリア病』(医学書院、1997年)海外では10万人に9~16人の割合で発症するとの報告もあるようですが、症状が多様であることや症状の軽い人は診断されていない可能性があることなどから、詳しい発症率はまだわかっていません。参考リンク:ミトコンドリア病(指定難病21)|公益財団法人難病医学研究財団/難病情報センターミトコンドリア脳筋症の原因は、ミトコンドリアの異常ですミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS)はミトコンドリアの異常で起こる病気とご説明しましたが、そもそもミトコンドリアとはどんなものなのでしょうか。Upload By 発達障害のキホンミトコンドリアは、細胞のなかにある小器官の一つです。生きている細胞すべてにミトコンドリアが存在していて、細胞が利用するためのエネルギーを作る機能をはじめとして、カルシウムの貯蔵や感染の防御など多様な働きを担っています。脳や筋肉をはじめ、エネルギーをたくさん必要とする細胞のなかには、たくさんのミトコンドリアが入っています。たとえば人の肝臓では、1つの細胞に1,000以上のミトコンドリアがあることが分かっています。また、ミトコンドリアは独自のDNAを持っていて分裂して増殖することでも知られています。1個のミトコンドリアの中にDNAは5~10個ほど入っているそうです。先ほどの、肝臓細胞を例にとって計算してみると、細胞1つのなかには5,000個以上のミトコンドリアDNAがあることになり、細胞一つひとつに膨大な量のミトコンドリアDNAが存在していることが分かります。参考書籍:D・サダヴァ他/著、石崎泰樹、丸山敬/監訳・翻訳『アメリカ版大学生物学の教科書』(株式会社講談社、2010年)参考リンク:ミトコンドリア病(指定難病21)|公益財団法人難病医学研究財団/難病情報センター参考リンク:ミトコンドリア病ハンドブック|国立精神・神経医療研究センター病院 遺伝カウンセリング室ミトコンドリアにあるミトコンドリアDNAが何らかの原因で異常なDNAに変化してしまうと、ミトコンドリアが巨大化するといった異常がみられるようになります。ミトコンドリアDNAには、異常が起きた時の修復機能や、防御的なシステムがないために、DNAが異常なものに変わってしてしまうと、異常のまま分裂を繰り返すのです。細胞内に異常ミトコンドリアが増殖してしまうことで機能が低下し、さまざまな症状を引き起こします。しかし、細胞内にはミトコンドリアが大量にあるので、たとえ1つのミトコンドリアDNAが異常になったからといって、他の多数のDNAが正常であれば細胞に与える影響はほとんどありません。異常なミトコンドリアが一定数を超えると、細胞に影響が出て症状が現れるのではないかと考えられています。参考書籍:米田悦啓、岡村康司、金井好克、西田幸二/編集『プログレッシブ生命科学』(株式会社南山堂、2014年)参考書籍:エーベルハルト・パッサルゲ/著、新川詔夫、吉浦孝一郎/監訳『カラー図解基礎から疾患まで分かる遺伝学』(株式会社メディカル・サイエンス・インターナショナル、2009年)参考書籍:埜中征哉、後藤雄一/編集『ミトコンドリア病』(医学書院、1997年)参考リンク:DiMauro S and Hirano M (Nov 2013). MELAS. In: GeneReviews at GeneTests: Medical Genetics Information Resource (database online). Copyright, University of Washington, Seattle, 1997-2015. Available at Accessed Januarly 27, 2017.ミトコンドリアDNAには、タンパク質をつくる設計図がA・T・C・Gの4種類の記号で書かれています。ミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)患者の80%以上で、この設計図の3243番目に変異があることが発見されています。この他にも、3271番目などでも異常が認められていることが分かっています。参考書籍:埜中征哉、後藤雄一/編集『ミトコンドリア病』(医学書院、1997年)ミトコンドリア脳筋症は遺伝するの?出典 : ミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)は、母性遺伝といって母から遺伝することが分かっています。ミトコンドリアDNAは、受精時に卵子からのミトコンドリアDNAが遺伝され、精子からのミトコンドリアDNAが消去されることが分かっているからです。ミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)の男性患者から、子どもに病気が伝わることはありません。母親がミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)であるからといって、子どもも発症するとは限りません。また、子どもがミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)を発症したからといって、母親も発症しているとも限りません。なぜなら、細胞内にはミトコンドリアが大量にあるために、異常なミトコンドリアDNAが一定数を超えないと発症しないからです。どのように異常DNAが増えていくかは人それぞれで異なります。また、突然変異でミトコンドリアDNAが異常になってしまうこともないわけではありません。家系にミトコンドリア病の方がいらっしゃるなど、心配な方は遺伝カウンセリングを行っている病院や施設などで相談することもできます。まずは、診てもらっている医師に遺伝カウンセリングについて相談してみてください。遺伝カウンセリングは守秘義務は保持され、遺伝に関する知識を得たり不安ごとを解消したりできます。参考:日本遺伝カウンセリング学会症状を発症するか、また発症するのであれば症状の程度について、細胞内のミトコンドリアDNAの異常がどれだけあるかで変わってきます。出生前診断で異常が検出されたからといって、将来発症するとは限らないことなどから、ミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)の場合は出生前診断は難しいと考えられています。参考リンク:DiMauro S and Hirano M (Nov 2013). MELAS. In: GeneReviews at GeneTests: Medical Genetics Information Resource (database online). Copyright, University of Washington, Seattle, 1997-2015. Available at Accessed Januarly 27, 2017.参考リンク:ミトコンドリア病ハンドブック|国立精神・神経医療研究センター病院 遺伝カウンセリング室ミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)の症状出典 : すべての細胞にミトコンドリアは存在しているので、ミトコンドリアの異常部分によって症状は全身の様々な場所で起きます。しかし、すべての人で起きる症状には、脳卒中のような症状があります。けいれん(87%)や意識障害(82%)をともなう場合も多くあります。そのほか、頭痛・嘔吐発作(79%)や、脳卒中のような症状を繰り返すことで起きる進行性知能障害(62%)、低身長(60%)、筋力低下(61%)が代表的な症状です。他にも、感音性難聴(44%)や心筋症(22%)、糖尿病(13%)なども発症することが分かっています。※カッコ内は、ミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)の症例100例のうち、発症した症状の割合を表しています。参考書籍:埜中征哉、後藤雄一/編集『ミトコンドリア病』(医学書院、1997年)85ページ全身の筋肉がこわばる、てんかん、繰り返す頭痛発作と嘔吐発作、食欲不振、運動ができなくなったり、筋肉の脱力感などが初期症状として認められることが多いようです。また、低身長もおもな初期症状の一つです。参考リンク:DiMauro S and Hirano M (Nov 2013). MELAS. In: GeneReviews at GeneTests: Medical Genetics Information Resource (database online). Copyright, University of Washington, Seattle, 1997-2015. Available at Accessed Januarly 27, 2017.ミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)の診断出典 : どのような症状が起きているのか、症状別にあった診断方法をつかって詳しく診断します。たとえば、てんかんや脳卒中のような症状が出ていれば、CTやMRIなどの脳の画像診断を行います。そのほか、ミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)を発症していると、髄液中の乳酸値がとても高いことで知られているので、髄液検査も行われています。また、ミトコンドリアに異常がないかも検査して判断します。ミトコンドリアの検査には、以下の3つがあります○病理学的検査:おもに筋肉組織から細胞をとりだし、薬剤に浸して細胞内のミトコンドリアの形や大きさに異常がないかを調べます。異常なミトコンドリアは、赤く染められる薬剤に強く反応し、繊維がぼろぼろとした状態になっていることが多いといわれています。○生化学的検査:取り出された細胞内のミトコンドリアが、きちんとエネルギーを生産できているかなど、しっかりと働いているかを調べます。〇分子遺伝学検査:ミトコンドリアDNAに異常がないかを分析します。ミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)の治療方法出典 : 残念ながら、異常なミトコンドリアそのものを治す治療方法は見つかっていないため、現れた症状を改善させる対症療法が行われています。例えば、・てんかんであれば、抗てんかん薬で予防する・心筋症には、ペースメーカーをつけて予防する・感音性難聴には、人工内耳をつける・糖尿病には、血糖降下薬やインスリンによる治療を行う指定難病であることからも、設備が整った診療科の多い総合病院などで専門医に診てもらうとよいでしょう。診療科は、どの部分で発症しているかで変わってきます。脳卒中のような症状が現れることがほとんどなので、その場合には脳神経外科や神経内科を受診します。そのほか、おもに現れる症状にあった受診科は以下の通りです。・低身長・・・内分泌代謝内科、小児科・心筋症・・・循環器内科・糖尿病・・・糖尿病内科、内分泌代謝内科・感音性難聴・・・耳鼻咽喉科・筋力低下・・・整形外科などミトコンドリアはエネルギー生産に大きくかかわっています。そこで、エネルギーの源となる食事で、ミトコンドリアに負担をかけないようにすることが大切です。暴飲暴食をする、食事を抜くなども負担がかかりますので、規則正しい生活や食生活をすることが大切です。現在、ミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)の脳卒中のような症状を防いだり、重症化を防ぐための治療薬の研究が進められています。たんぱく質のもととなるアミノ酸の、タウリンやアルギニンを服用して、その効果を検証しているようです。実際にどのような試験が行われているかは、以下のサイトで確認ができます。参考リンク: ミトコンドリア病の治験(日本)|一般社団法人こいのぼり参考リンク:ミトコンドリア病ハンドブック|国立精神・神経医療研究センター病院 遺伝カウンセリング室ミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)への支援出典 : ミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)をはじめとするミトコンドリア病は、2009年に国が指定する特定疾患治療研究事業の対象となったので、医療費の助成を受けることができます。助成を受けるためには、医療受給者証が必要です。医療受給者証を発行してもらうためには、診断書と必要書類を合わせて、都道府県の窓口に医療費助成の申請をします。なお、「臨床調査個人票」と呼ばれる診断書が必要になるので、まずは医師に相談してください。どのような診断書であるかは、このページで検索できます。参考リンク:平成27年1月1日施行の指定難病(更新)|厚生労働省参考リンク:難病情報センターのご案内|公益財団法人 難病医学研究財団 難病情報センター参考リンク:ミトコンドリア病ハンドブック|国立精神・神経医療研究センター病院 遺伝カウンセリング室このほか、いくつか受けられる支援制度をご紹介します。症状などに応じてぜひ活用してください。小児慢性特定疾病の医療費助成について|小児慢性特定疾病情報センター高額の医療費を支払った場合には、払い戻しを受けることができます。参考リンク:医療費が高額になりそうなとき|全国健康保険協会現れた症状によって、障害がある場合には身体障害者手帳の取得も可能です。症状によっては、障害のある人を対象に、障害の程度に応じて一定金額の年金が支払われる障害年金の受給も可能ですので参考になさってください。まとめ出典 : ミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)は、脳卒中のような症状が現れる非常にまれな疾患です。残念ながら、ミトコンドリア異常を治す根本治療はないため、対症療法を行います。発症した症状を進行させないためにも、脳卒中のような症状が現れた場合は、すぐに専門医に診てもらうことをおすすめします。また、家系にミトコンドリア脳筋症・尿酸アシドーシス・脳卒中用発作症候群(MELAS)の患者の方がいらっしゃる場合など、心配な方はお近くの遺伝カウンセリングを受けられる施設で相談してみてください。
2017年02月22日みなさんは「アクティブレスト」をご存知でしょうか?今、海外やアスリートの間でよく行われている疲労回復法です。アクティブレストを実践してみると身体の調子がどんどん変わっていくのが実感できると思います。毎日の仕事や生活で疲れが溜まっている方は必見です。“アクティブレスト”って?アクティブレストは体を動かす疲労回復方法です。「疲労回復=体を休ませる」と思われがちですが、実は身体を動かすことが疲労回復に繋がるのです。お風呂に入ったり、マッサージをしたりすると、血行がよくなり疲れが取れてすっきりしますよね?適度に体を動かすことは血液循環を良くし、老廃物の排出や筋肉の回復を促します。アクティブレストといってもハードな運動ではなく、無理せず続けやすい運動でOKです。デスクワークの方にもオススメデスクワークで同じ姿勢を長く続けていたり、接客業などで長時間立ちっぱなしの状態が続いたりすると、体の疲労感やむくみ、肩こりや腰痛、冷え性、筋緊張性の頭痛などさまざまな症状が出ませんか?それは、血液循環が悪くなっているからです。そんな疲れた時にこそ、アクティブレストを行うことで、横になって休んでいる時よりも速く疲労回復できると言われています。アクティブレストってなにをすればいいの?きついと感じない程度の、頑張らなくてもできる軽い運動です。特に一定のリズムで体を動かす運動がオススメです。例えば、・ウォーキング(散歩)・ランニング・水中ウォーキング・サイクリング・ヨガなどです。有酸素運動の場合は、会話ができるくらいの速度で行います。さらにストレッチを取り入れることで、より筋肉が伸びて、コリの原因となるうっ血を解消することができます。過度なアクティブレストを行ってしまうと、余計に身体が疲れてしまうので、調整しながら頑張りすぎないのがポイントです。ストレス発散効果もアクティブレストは、身体だけではなく精神的な疲れも解消できるので、ストレス発散にも効果的です。アクティブレストを行うと、脳への酸素供給によってリフレッシュしたり、脳内にドーパミンやセロトニンなどの、精神を安定させる物質が分泌されるので、イライラやストレスを抑えることができます。ストレスを発散することは睡眠の質を高めることにも繋がりるので、夜もぐっすり眠れて、目覚めもよくなりますよ。日常生活に取り入れやすい♪アクティブレストは日常生活にも気軽に取り入れることができます。忙しくて時間が取れない方は、お風呂に浸かってマッサージをするだけでも血行が促進されます。これまで運動をしていなかった方は、休日に軽い運動を習慣にするだけでも、毎日の疲れが抜けやすくなりますますよ。冬場はより筋肉が硬くなりやすいので。是非積極的に行うようにしましょう。筋肉に栄養を行き渡らせやすくなり、筋肉痛の早期緩和、筋肉のケアにつながります。いかがでしたか?もちろん休息も必要ですが、休日にごろごろしている状態よりも少し身体を動かすことで消費カロリーも増えてダイエットにも繋がります♪アクティブレストでその日の疲れはしっかり回復させましょう♪※筆者の個人的見解です。効果・効能を保証するものではありません。
2017年02月05日赤ちゃんの夜泣きがはじまると夜中に何度も起こされてしまうため、ママたちは、つねに睡眠不足。疲れがたまって体調を崩してしまう人もいるようです。「一晩でいいから、朝までゆっくり眠りたい」「赤ちゃんが夜寝てくれない」赤ちゃんの泣き声がこわくなったり、夜が来るのが憂うつになってしまったりするママも少なくないと思います。泣きやまない赤ちゃんを抱いて、夜中に「夜泣きから解放されるのは、いつなんだろう…」と途方にくれることもありますよね。そこで、そんな疲労困憊気味のママ(とパパ)へ、赤ちゃんの夜泣き対策を紹介します。■夜泣きの時期は、いつからいつまで?赤ちゃんが夜寝てくれないことは、ママにとって悩ましい問題です。子育てをつらいと感じる理由のひとつでもあるでしょう。雑誌などでも度々取りあげられ、関連書籍も多数出版されていることからも「夜泣き」や「赤ちゃんの睡眠」が関心の高いテーマだということがわかります。夜泣きが始まる時期は、早い子だと生後4ヶ月ごろからはじまります。7~9ヵ月ごろにピークを迎え、1歳半ごろまでに治まるのがほとんど。しかし、中には2歳をすぎても夜泣きが続く子もいるようです。一方、まったく夜泣きをしない子もいます。赤ちゃんにも個人差があるので、ほかの赤ちゃんと比べて落ちこむ必要はありません。■「夜泣き」の原因はさまざま赤ちゃんが夜泣きをすると、「おっぱいが飲みたいのかな?」「オムツが汚れているのかな?」「寝室が暑(寒)すぎるのかな?」といろいろ考え心配する人も多いことでしょう。もちろん、オムツや空腹などが原因のこともありますが、月齢や状況によっても異なるため、夜泣きの原因に関しては一概には言えません。■月齢別夜泣きの原因夜泣きは子どもの成長過程と深く結びついているため、月齢ごとに詳しく見ていきましょう。<新生児期>生まれたばかりの赤ちゃんは、体内時計が未発達なため、朝になると起きて活動し、夜になると眠るという体内リズムができていません。そのため睡眠のリズムがうまく取れず、頻繁に寝たり起きたりを繰り返してしまい、結果、夜泣きをする原因につながると言われています。さらに生まれたばかりの赤ちゃんは、母親の胎内から出て間もないことから、外の世界に慣れておらず、ちょっとした刺激にも敏感で、気温や物音などに反応して昼夜関係なく泣いてしまう傾向にあります。<生後5〜6ヶ月>一般的に子どもの夜泣きが始まると言われているのが生後5ヶ月頃です。生後3ヶ月を過ぎると睡眠サイクルが発達し、体内時計も整うため、まとまって寝てくれるようになるのですが、生後5ヶ月頃になると睡眠が乱れやすくなり、夜泣きにつながってしまうことがあるようです。さらに、生後5ヶ月頃は赤ちゃんの脳は急激に発達し、起きているときに脳が受けた刺激を睡眠中に処理し始めます。しかし、その刺激が大きすぎると、夜泣きをすることがあると言われています。<1歳過ぎ>睡眠リズムや脳の発達が原因と言われていますが、1歳過ぎからの夜泣きはそれまでの夜泣きとは原因が異なると言われています。怖い夢を見たり、夜中に突然起きて泣き叫ぶ「夜驚症」と呼ばれる睡眠障害が始まったりするのもこの時期。そのため、1歳過ぎは激しい夜泣きに悩むケースがママ・パパの間で比較的増えるようです。 <2歳過ぎ>2歳すぎになると、睡眠周期が75分と長くなり、大人の90分〜120分にぐっと近づき、朝までぐっすり眠ってくれる子も増えてきます。しかし、なかには2歳を過ぎてもまだ夜泣きがおさまらない子どももいます、生活習慣が乱れたり、日々のちょっとしたことがストレスになったりしていることが夜泣きの引き金になるケースが多いようです。■赤ちゃんの睡眠パターンまずは、赤ちゃんの睡眠の特徴を知っておくといいでしょう。大人も子どもも、眠っているときには浅い眠り「レム睡眠」と深い眠り「ノンレム睡眠」が交互に繰り返されます。大人はだいたい90分〜120分周期のところ、新生児は40分〜50分と短いうえに、睡眠時間の約半分がレム睡眠なのだそう。そのため、深い眠りへの切りかえがうまくいかないことも。■胎児のころの睡眠リズムが夜泣きの原因?!また、夜泣きには、胎児のころの睡眠リズムも関係しているのだとか。『夜泣き・イヤイヤ・人見知りにも理由があった! 最新科学でハッピー子育て』(NHK出版)によると、胎児のころの睡眠リズムが夜泣きの原因となっていることがわかったそうです。胎内にいる赤ちゃんは、浅い眠りと深い眠りを繰り返しており、昼よりも夜に目を覚ますことが多いのだとか。理由として、次のように述べられています。目覚めているときの胎児は、寝ているときより活動量が多いため、ママの血液から多くの酸素を奪います。そこで、母体に負担をかけないよう、ママが寝ている夜間によく目を覚ます睡眠リズムになっているのです。出典:『夜泣き・イヤイヤ・人見知りにも理由があった! 最新科学でハッピー子育て』(NHK出版)“お母さんの体を守るため”の赤ちゃんの睡眠リズムが、生まれてからもしばらく続いているのですね。胎内のリズムから卒業して本来の生活リズムを覚えるために、夜泣きをするようです。■夜泣き対策「すぐ起こす」「すぐ授乳」は控えた方がよい?「これをやったら夜泣きがなくなる」という解決方法は、残念ながらありません。しかし、生活環境やパパとママの対応によって、改善できる点はあります。赤ちゃんが泣きはじめたらすぐに抱き起こしたり、授乳したりしないほうがいいという意見も。赤ちゃんが泣くと、すぐに泣きやませようとあれこれ試みたくはなるものの、まずはしばらく様子を見ましょう。本来、眠っているときには脳からの信号は遮断されています。しかし、赤ちゃんの脳は未熟なため、眠っているときにも体内に信号が送られてしまうことがあるのだとか。眠っている赤ちゃんが突然目を開けたり、声を出したりすると、起きたと思って抱きあげてしまうことも。しかし、赤ちゃんはまだ眠っていて「寝言泣き」をしている可能性もあるそうです。寝ぼけて泣いているのか、お腹が空いているのか、オムツが濡れているのかなど、注意深く見守りましょう。睡眠不足のママにとっては、赤ちゃんの泣き声そのものがストレスになっているかもしれません。たとえ1、2分であっても、とても長く感じることもあるでしょう。つらいかもしれませんが、ぐっと我慢です。夜泣きがおさまらないからといって、完全に目を覚まさせて遊ばせる、ドライブに連れて行くなどの方法をとる人もいます。しかし、眠る習慣の妨げになってしまうため、やめた方がいいでしょう。もちろん、本当に授乳や抱っこなどの対応が必要なときもあります。赤ちゃんの状態を見て、判断しましょう。■海外の夜泣き対策パリで子育てをするアメリカ人ジャーナリストが書いた『フランスの子どもは夜泣きをしない パリ発「子育て」の秘密』(集英社)でも、夜泣きをする赤ちゃんを「観察する」ことの大切さについて触れられています。赤ちゃんには睡眠のサイクルがあり、その谷間に目を覚ますからだ。睡眠のサイクルは二時間。このサイクルをつなげる学習をしているうちは、泣くのがふつうだ。泣くたびに、親がお腹が空いたか苦しいのかと勝手に判断して、急いであやしてしまうと、赤ちゃんの、睡眠サイクルを自力でつなげる学習がさまたげられる。出典:『フランスの子どもは夜泣きをしない パリ発「子育て」の秘密』(集英社)上記は著者が取材した小児科医の発言です。睡眠サイクルをつなげる学習は、生後2〜3ヶ月ごろからスタートするといいのだとか。また、赤ちゃんの睡眠サイクルが終わるころに、あやすなどして親が眠りに戻すのを手伝ってあげることが大切だとも述べています。夜泣き対策を実践するには、パパの協力も不可欠です。ママが疲れやストレスをためこまないためにも、夫婦間でしっかり情報共有をしましょう。■朝は7時に起きる生活に切りかえる「朝になったら起きて、夜になったら眠る」という生活リズムを整えるべく、生後2ヶ月ごろになったら環境づくりを開始しましょう。理想は、朝7時に起きて夜8時には眠る生活です。朝は7時になったらカーテンを開けて、部屋に日の光を入れます。赤ちゃんが動き出したら「おはよう」と声をかけて、完全に目覚めてから抱きあげるといいそうです。その後は、声かけをしながらオムツ替えや顔をふくなど、朝の習慣づくりをしましょう。昼寝の時間も調整が必要です。お昼から午後3時ごろまでは、おうちでゆっくり過ごして昼寝ができるようなリズムを作ってあげるといいそうです。昼寝が遅くなり、夕方に眠ってしまったときには、30分くらい経ったら起こすようにしましょう。夜8時になったら、赤ちゃんが起きていても部屋の明かりを消して暗くします。就寝の30分前ごろから、赤ちゃんとのふれあいタイムを設けましょう。テレビやスマホは控えて、抱っこして声をかけたり、絵本を読んだりして、静かに過ごしてください。「パパの帰りが遅いから、8時に寝ると赤ちゃんと過ごす時間がなくなってしまう…」という家庭の場合は、赤ちゃんとのふれあいタイムは朝に変更するといいでしょう。■寝かしつけが負担なら、方法を見直す抱っこで赤ちゃんをユラユラ揺らす、おんぶをするなど。いまの寝かしつけを負担に感じている人は、方法を見直してみましょう。赤ちゃんが現在の方法に慣れてしまうと、夜起きたときにも同じ寝かしつけでないと眠ってくれなくなってしまうそう。ママが疲れてしまって別の方法で寝かそうとすると、夜泣きに発展するケースも。生活のリズムが整ったら、方法を変えるといいでしょう。まずは、頭をなでる、おなかをトントンするなど、ママが取りいれたい方法をひとつ決めましょう。赤ちゃんに新しい寝かしつけの方法を伝えるには、まずは昼寝から試してみるといいでしょう。新しい方法に慣れるまでは、赤ちゃんはなかなか寝付けず泣いてしまうこともあります。15分くらいやってダメそうならあきらめて、次のタイミングに挑戦しましょう。開始から1週間は、前の方法に戻らないようにします。■新生児の夜泣きは信号の不具合によるもの!?新生児期は、まだ昼夜の区別がつかずに寝たり起きたりを繰り返しています。夜泣きの原因は、脳が未熟な状態だということ。新生児の脳は、大人の3分の1ほどの量しかないため、脳の信号の不具合も起こってしまうようです。ママのお世話の仕方に原因があるわけではありません。また、新生児には、一点を見つめると視線が固まってしまう「強制注視」という行動性があるのだそうです。小さな豆電球の明かりでも目が離せなくなることもあるため、夜間は照明を消しておきましょう。オムツ替えや授乳に備えて、手元の明かりがあると便利ですね。■月齢別夜泣きの対処法それぞれの成長ステージによって、夜泣きの原因も違ってきます。それぞれの月齢に合わせた夜泣きの対処法をご紹介します。<新生児期>赤ちゃんがびっくりして目を覚まさないよう、刺激を与えないようにしましょう。さらに快適に眠れるよう音や室内の温度など、環境を整えるよう心がけてください。<生後5〜6ヶ月>昼と夜のメリハリをつけ、生活のリズムを整えてください。暑かったり、寒かったりしないか、室内の温度にも気を配りましょう。<1歳過ぎ>「夜驚症」などの睡眠障害により、本人もわけがわからず泣いたり暴れたりする場合は、明かりをつけて、まずは目を覚まさせましょう。落ち着いたら、抱っこしたり、お水を飲ませたりして、一度しっかり目を覚まさせてから、再度寝かしつけるとスムーズに眠ってくれます。<2歳過ぎ>精神的な要因が影響していることが多いため、会話や抱っこなどのスキンシップで、子どもの気持ちを安心させてあげましょう。■効果的な夜泣き改善策毎日夜泣きに悩まされて辛い…というママ・パパには、まずは簡単にできる夜泣きの対処法をご紹介します。▼毎日の睡眠儀式を作る赤ちゃんがスムーズに眠れるように「入眠儀式」を決めましょう。例えば、寝る1時間前にお風呂に入れたり、ベッドに寝かせたら絵本を読むといったように、毎日同じ方法で寝かしつけをすることでルーティン化し、赤ちゃんも寝る時間を体で覚えていきます。さらに、就寝前には抱っこしたり、親子のふれあいを楽しんだり、スキンシップをたくさんすることで赤ちゃんを安心させてあげましょう。▼気持ちよく眠れる環境作りまだ言葉が話せない赤ちゃんは、不快感を泣いて訴えることしかできません。そのため、赤ちゃんが安心して眠れる環境を作ってあげることが大切です。寝具とパジャマは肌触りのよいものを選び、こまめに洗濯して清潔に保ちましょう。さらに部屋の明かりも入眠にはとても重要です。布団に入る少し前の時間から徐々に部屋の明かりのトーンを落とし、おやすみモードに変えていきましょう。明るい部屋から突然暗い部屋に連れていくと、怖がって眠れないことがあるため、照明をうまく活用すると効果的です。▼昼間の活動量を増やす日中は、外でたくさん体を動かして遊ぶと、たくさん体力を消耗し、疲れて眠りやすくなります。また昼間にお昼寝をさせすぎると、夜眠りづらくなるため、お昼寝の時間を調整するようにしましょう。赤ちゃんの眠りには個性があるため、ここにある夜泣き対策をしても、うまくいかないこともあるかもしれません。まずは、現在の生活スタイルや赤ちゃんへの接し方を見直してみるといいでしょう。夫婦で協力して、赤ちゃんに合う方法を探ってみてくださいね。<参考文献>・『夜泣き・イヤイヤ・人見知りにも理由があった! 最新科学でハッピー子育て』(NHK出版)・『フランスの子どもは夜泣きをしない パリ発「子育て」の秘密』(集英社)・『イラストでわかる! 赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』(かんき出版)・『Baby-mo』2016年秋冬号(主婦の友社)・『婦人之友』2006年2月号(婦人之友社)
2016年12月18日質問:若い頃と同じような偏った食生活や喫煙を続けている主人、家系的にも脳梗塞が心配です。スポーツマンの主人は今まで特に健康に問題なく過ごしていましたが、中年に差し掛かった今も、若い頃と変わりない偏った食生活をしており気がかりです。量は減りましたが仕事中は喫煙しているようですし、週末は草野球で汗を流していますが、インスタント食品が大好きで野菜をとるのが苦手です。本人の自覚があまりないことが問題かと思いますが、最近、主人の家系で脳梗塞で亡くなった方がおり、家族として気になっています。埼玉県:コロスケの妻さん(37)回答:生活習慣と「脳梗塞」の関係についてお答えします。――「脳梗塞」の原因ご主人の生活習慣と脳梗塞に関してのご質問ですね。確かに、いかにスポーツマンでも、若い頃と同じような偏った食生活や喫煙は心配になるでしょう。ご相談者さまが懸念しておられるように、脳梗塞と生活習慣の間には大きな関連性があります。脳梗塞の原因として重要なものに、動脈硬化の存在があります。動脈硬化の状態では、血管の内側にコレステロールなどがたまって、血管の壁が厚く固くなってしまい、その厚く固くなった部分がコブのように血管内に膨らんで、内腔を狭くするので血流が悪くなっています。このコブが壊れるとその部分に修復のため、血小板が集まり血栓を作ります。この血栓が剥がれて血流に乗って身体の各部に運ばれ、脳の血管に詰まると脳梗塞、心臓の血管に詰まると心筋梗塞を起こします。これが、動脈硬化によって脳梗塞、心筋梗塞が起こるメカニズムになります。ご主人が好まれるインスタント食品には、一般的に悪玉コレステロールを増やすタイプの脂質や塩分が多く、とり過ぎると動脈硬化や高血圧を招きやすく心配です。また、野菜嫌いということで、野菜や果物に多く含まれ、高血圧を予防してくれるカリウムの摂取量も少なくなりがちです。そして、喫煙は血液を固まりやすくさせ、血管内に血の塊(血栓)を作りやすくして、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを大幅に上げてしまいます。量が減ったとはいえ、喫煙を継続されているということも非常に気がかりな点です。<「脳梗塞」の予防のために>一方、積極的に運動をされているということは、肥満を防ぎ体重を維持するという意味でも、ストレスを解消するという意味でも、非常によいことだと思います。今後はぜひ、健康維持と脳梗塞の予防のために、スポーツを継続すること、禁煙をすること、および野菜や果物を少しでも食生活に取り入れ、大好きなインスタント食品に関しては、例えば回数を減らす、ラーメンなどであれば汁は残して脂質や塩分の摂取の減少を図るといったように、健康に留意して生活していくことが大切かと思います。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:疲労感が抜けません。両親が高血圧、心臓弁膜症を患っているので不安になっています。ここ2~3カ月のことですが、疲労感が抜けません。身体が重たく、自宅の階段を上るだけで息が上がり、動悸がすることもあります。そのせいで外出もおっくうになり、家族にも迷惑をかけており、そんな自分が嫌になってきました。病院に行くほどではないと思うのですが、思い切って受診した方がいいのでしょうか?両親が高血圧、心臓弁膜症を患っているので、余計に不安になっています。神奈川県:もけーれさん(43)回答:疲労感や息切れの症状についてお答えします。――「高血圧症」と「心臓弁膜症」の遺伝性について疲労感が抜けない、階段を上る時の息切れ、心配な症状ですね。健康診断は毎年受けていらっしゃいますか?今の血圧はいかがでしょうか?高血圧症を指摘されたことはありませんか?自宅でもよいので現在の血圧を確認してください。また、高血圧の一つの症状ですが、足にむくみはありませんか?すねの部分の一番骨ばっているところを親指で押してみます。指のあとが残れば、むくんでいることになります。一般に、高血圧症は遺伝的な要因が強いといわれています。目安として、両親のいずれかが高血圧症の場合は3人に1人、両親とも高血圧症の場合は2人に1人が高血圧症になるというほどです。一方で、両親とも高血圧症でない場合は10~20人に1人の割合といわれています。このように、高血圧症は遺伝的要因が強いことがわかりますが、もちろんそれだけで発症するわけではなく、遺伝的要因に生活習慣が加わって発症すると考えられています。要因となる生活習慣には、食生活の乱れなどを原因とする肥満、塩分の過剰摂取、カリウムなどの摂取不足、喫煙、アルコールの過剰摂取、運動不足などがあります。日本人の食生活は塩分が過剰になりがちなため、特に注意が必要で、肥満、喫煙に至っては高血圧のみならず心臓にも悪影響を及ぼします。ちなみに心臓弁膜症に遺伝素因はありません。以前はリウマチ熱の後遺症、細菌感染などが主な原因でしたが、抗生物質の発達で罹患率が減少しています。心臓弁膜症の発症は後天的なことが多く、原因は不明とされています。<早めに内科もしくは循環器内科を受診しましょう>最後に、ご相談の症状は心不全の症状によく似ています。現在の心機能を調べることはもちろん、高血圧症、高脂血症や糖尿病の合併がないかの検査も必要です。また、症状から、貧血の有無の確認、腎疾患や甲状腺疾患と見分けることも必要になってくるでしょう。病院に行くほどでもない、という楽観的な状態ではありません。早めに内科、もしくは循環器内科を受診し、検査を受けられてください。どうぞお大事に。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:家族に脳梗塞で倒れた人がいる場合は、脳梗塞になる確率も高くなりますか?先日祖父が、脳梗塞で倒れました。あまりに突然のことでショックは大きかったです。思い返すと、曽祖父も脳梗塞で何度か倒れており、いつか自分も脳梗塞になって倒れてしまうのではないかと心配になりました。まだ20代ですし、あまり深く考えてはいなかったのですが、家族に脳梗塞で倒れた人がいる場合は、脳梗塞になる確率も高くなってしまうのでしょうか?福島県:mika5353さん(26)回答:「脳梗塞」についてお答えします。――「脳梗塞」とは脳梗塞の遺伝性についてですが、簡単にいうと「脳梗塞そのものは遺伝しないが、脳梗塞になりやすい体質は遺伝する可能性がある」ということになります。脳梗塞は何らかの理由による、脳に酸素や栄養を供給する動脈の閉塞や狭窄(きょうさく)のため、脳が虚血状態となり、脳組織が壊死してしまうことをいいます。脳梗塞の種類はいくつかありますが、代表的なものは下記の3つです。動脈硬化および血管内壁のアテロームの沈着によって動脈の内腔が狭まり、十分な血流を保てなくなる「アテローム血栓性脳梗塞」※リスクファクター:動脈硬化を招きやすい高血圧や糖尿病、高脂血症心臓から血栓が血流にのって飛んでくる「心原性脳梗塞」※リスクファクター:心房細動など心臓に基礎疾患がある場合脳の細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」※リスクファクター:高血圧<生活習慣に気をつかいましょう>高血圧や糖尿病、高脂血症などはある程度遺伝の要素もありますし、例えば食習慣や運動習慣といった個々の家庭の生活習慣も、親から子、子から孫へと引き継がれることが多いので、どうしても家系内に多い病気、という捉え方になってしまいがちです。しかし脳梗塞は遺伝性の病気ではないので、脳梗塞の多い家系の方でも、生活習慣に気をつかうことで、多くの場合、発病を防ぐことは可能です。「いつか自分も脳梗塞になるのではないか」と思い悩む必要はありません。身近なところでは、過度の飲酒やたばこをやめ、適正体重を保ち、運動習慣をつけるといったところから心がけるとよいでしょう。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:数年前、祖母が脳梗塞で倒れました。家系的にコレステロールも高め、血管年齢も高いのではないかと心配です。数年前、祖母が脳梗塞で倒れました。一命を取り留めましたが、歩行に不自由が残りました。また、つい最近では、母の友人も若くして脳梗塞になったそうです。私はまだ30代になるところですが、こうした話を聞くにつけ、不安になります。特に、家系的にコレステロールも高めですし、血管年齢も高いのではないかと心配しています。これから先、具体的にはどのようなことに気をつけたらよいでしょうか?神奈川県:moekamさん(29)回答:「脳血管疾患」の予防法についてお答えします。――「脳血管疾患」の危険因子への対策将来、脳血管疾患にかかるのではないか不安、とのことですね。脳血管疾患になる危険因子と、それにどう取り組むかを見てみましょう。■高血圧1日10g未満を目安に、減塩を心がけましょう。ただし、すでに高血圧と診断されている人は、6g未満に抑えましょう。減塩しょう油を使ったり、酢や柑橘類で味付けしたりなどの工夫をしてみてください。香辛料やハーブなどを利用するのもよいでしょう。また、塩分を外に出す働きのあるカリウムをとりましょう。カリウムは、野菜やきのこ類、果物などにたくさん含まれています。■不整脈不整脈の中でも、「心房細動」が脳血管疾患を起こす一番の原因になります。心房細動が起きると、心臓が不規則なリズムで収縮するため、きちんと血液を送り出せません。また、血液が淀んでしまい、血栓ができ、これが頭へと飛ぶと、脳梗塞の原因になります。もし、健康診断などで「病院で精密検査を受けてください」と指示が出るようでしたら、この心房細動が隠れている可能性があります。しっかり、病院を受診しましょう。■糖尿病そもそもの話として、糖尿病にならないことが大切になってきます。食べ過ぎず、そして、適度に運動を行うようにしましょう。毎日まとまった時間をつくって運動することは難しいかもしれませんが、降りる駅を1つ手前にしてみる、エレベーターではなくて階段を使う、など少しのことでいいので、工夫してみましょう。 ■脂質異常症脂質、特にLDLコレステロール(俗にいう悪玉コレステロール)は動脈硬化を促進し、脳血管疾患になる危険を押し上げます。ですから、食事に気をつける必要があります。バターなどの乳製品、レバー、マヨネーズなど動物性食品には、コレステロールが多く含まれています。これらの食品をとり過ぎないように注意してください。肉は、赤身や皮なしの鶏肉などをとるようにし、脂身は避けるようにしましょう。魚は、青魚を食べましょう。そして、コレステロールの吸収を抑える食物繊維を多く含む野菜、海草類、きのこ類などを積極的にとりましょう。■喫煙喫煙は、脳血管疾患の危険因子になるだけでなく、身体のあらゆる部位のがんの原因にもなりますし、心筋梗塞の原因にもなり、百害あって一理なしです。やめられるのであれば、すぐにやめるのが一番です。しかし、ニコチン依存症で、精神的にも肉体的にもたばこから離れられないという人もいるでしょう。禁煙外来を開設している病院も多いですので、そちらで相談してみましょう。■肥満BMIを「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で計算し、「25以上」を肥満とします。適度な有酸素運動(ウォーキングや水泳など)を行い、食べ過ぎないようにしましょう。■過度の飲酒お酒は適度に飲むようにしましょう。1日のお酒の適量は、日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本(500ml)、ワインなら2杯(240ml)までとされています。お酒を飲むときには、おつまみを食べる人が多いですが、おつまみには塩分がたっぷり含まれていますので、食べ過ぎに注意しましょう。■家族歴あり家族のなかで脳血管疾患になった方がいる場合には、脳血管疾患になる可能性が高くなります。こちらについては予防ができませんが、より危険性が高いことを認識し、上記の生活習慣に気をつけて生活するようにしましょう。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:4人の祖父母のうち3人が脳血管疾患に。遺伝的に脳卒中などになりやすいのでしょうか?4人の祖父母のうち3人が脳血管疾患になっています。くも膜下出血が50代で一人、脳卒中が50代で一人と70代で一人です。私も身内に脳血管疾患の患者がいない人より脳卒中などになりやすいと考えておいた方がいいのでしょうか?また、脳ドックを定期的に受けるとしたら、どんな検査項目のものを、どれくらいのペースで受けておけばいいでしょうか?東京都:デルタさん(42)回答:脳血管疾患の遺伝性についてお答えします。――「くも膜下出血」の原因脳血管疾患の遺伝性に関するご質問ですね。くも膜下出血と、それ以外の脳卒中にかかられた近親者の方がいらっしゃるということですが、まず、くも膜下出血に関してお話ししましょう。くも膜下出血の原因は、脳の血管にできたコブ、つまり脳動脈瘤の破裂が約8割、動静脈奇形と呼ばれる血管の異常など、その他の原因が2割を占めるといわれています。 このうち、脳動脈瘤によるものは遺伝的な体質、つまり一般よりも高い頻度で一つの家系に発生する病気です。人口全体のなかでのくも膜下出血の発生率は0.015~0.02%程度と低いのですが、2親等以内(両親、子、孫、祖父母、兄弟姉妹がこれにあたります)にくも膜下出血の方が一人いると、2~8%前後の発生率になると考えられています。血管が二股に分かれる部分で、3層になっている血管の内膜のうち、真ん中の層に当たる中膜が生まれつき欠損している方がおり、ここに血圧がかかることにより、その部分だけふくらみが生じます。この動脈瘤にさらに小さなコブ(娘瘤といいます)ができると破裂を起こしやすくなるといわれています。ただ、動脈瘤そのものはあったとしても全体の1%以下しか、実際には破裂しないともいわれています。一般に、動脈瘤の直径が3mm以上のもの、娘瘤があって形がでこぼこしているものは破裂の危険が高いとされています。脳動脈瘤は脳ドックなどの検査項目にもあるMRA(MRIの技術を用いて簡単に血管撮影を行うもので、造影剤は使いません)で疑いがないかどうか見ることが可能です。疑わしい場合には3D‐CTA(三次元脳血管造影)などより詳しい検査を行って、脳動脈瘤の有無や形態などを確認していくことになります。<「くも膜下出血」以外の脳卒中について>一方、くも膜下出血以外の脳卒中に関しては、くも膜下出血ほどのはっきりした遺伝性はありません。しかし、脳卒中のリスクを上げてしまう高血圧、糖尿病、脂質代謝異常症などは、生活習慣病であると同時に遺伝の関与も指摘されている疾患です。特に家系的に脳卒中になる方が多い場合は、これらの病気にかからないように食生活や運動習慣などに十分留意することが大切です。最後に、脳ドックに関してですが、脳ドックは脳内の血管の異常や腫瘍の有無、脳萎縮や梗塞を調べる目的で行われています。くも膜下出血の原因となる動脈瘤の発見にはとても役立ちますから、一度は受けておくとよいでしょう。もし、脳動脈瘤がなければ、一般的に5年に一回程度の検査でよいものと思われます。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:脳血管疾患を発症後、自宅での介護が不安です。脳血管疾患を発症してしまった場合、リハビリ専門の病院などに数カ月間入院してリハビリをすると聞きました。リハビリ専門の病院を退院した後に自宅での介護生活になると思いますが、トイレやお風呂に手すりをつけても家族だけでの介護はやはり限界かなと感じています。通所や訪問リハビリなどをうまく使って生活をした方がいいのでしょうか?新潟県:リンゴジャムさん(38)回答:脳血管疾患発症後のリハビリについてお答えします。――介護サービスについて脳血管疾患にかかった場合、急性期の治療が終わった後が大事になってきます。脳血管疾患にかかった後のリハビリは、継続することが重要です。通所、訪問リハビリを行っているところも多いので、そういったサービスを利用しましょう。また、要介護、要支援などの認定を受ければ、介護サービスを利用することも可能です(※)。仕事をしつつ身体の不自由な家族の介護となると、精神的、肉体的にも負担が大きいので、こういったサービスも適宜利用しましょう。要介護、要支援の認定を受けるには、市町村の窓口に行き、申請します。申請後、自治体の職員が自宅を訪問し、聞き取り調査などを行い、かかりつけの医師にも意見書を提出してもらうなどの段階を経て、要介護度、要支援度が決定されます。時間はかかりますが、サービスを受けるにあたって経済的支援を得られますので、利用するとよいと思います。自宅をバリアフリー仕様にした場合にも、助成金が出る場合もあり、大変助かります。※サービスを利用できる方は、65歳以上の方および40歳から64歳までの介護保険に加入している方で、初老期の認知症、脳血管疾患など老化が原因とされる病気(16種類の病気)により介護が必要になった方となります。<リハビリの重要性>ところで、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血などの脳血管疾患を発症し、後遺症が残ってしまった場合、できるだけ早い時期からリハビリを開始するのが原則です。入院している病院でも、「もう今から始めるの?」と思うぐらい、早くからリハビリを始めるので驚く方もいるでしょう。というのも、後遺症が残ってしまった場合、6カ月を過ぎると途端にリハビリの効果が見られなくなり、発症してから6カ月の間にどこまで機能を回復できるのかが勝負になってくるのです。せっかく回復期に取り戻した感覚や機能も、その後特にリハビリをすることなく放置してしまうと、再び状態が低下していきます。身体はしっかり使わないと、機能が退化してしまうのです。それを防ぐためにも、急性期を過ぎてからも、かかりつけの医師を定期的に受診し、在宅リハビリを適切に続けていくことが大変重要になってきます。「以前は問題なかったのに、どうしてできないんだ」と途中でくじけそうになるときもあるでしょう。しかし、「休まずリハビリを続ければ、必然的に今よりよくなっていく」という前向きな気持ちを忘れずに、リハビリを地道に続けていきましょう。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:最近女性の方が脳動脈にコブができやすいと知りました。生活習慣でなる病気なのでしょうか?産後、睡眠不足や運動不足が否めません。もともと不摂生だったこともあり、血管や骨の老化が心配でした。遺伝的なものもあると聞いたことがありますが、最近女性の方が脳動脈にコブができやすいと知りました。子どもが生まれたばかりでまだ何年も手がかかるため、今後の自分の健康状態が不安です。家族に脳動脈瘤があると聞いたことはないのですが、生活習慣でなる病気なのでしょうか?今から気をつけられることがあれば伺いたいです。東京都:たまきさん(32)回答:「脳動脈瘤」についてお答えします。―――「脳動脈瘤」とは「脳動脈瘤」自体はかなりの頻度で見られるもので、健康な人の3~6%に見られるというデータがあります。脳動脈瘤が怖いのは、破裂した場合です。破裂する頻度は年間2%(100人の脳動脈瘤患者さんのうち、年に2人)と考えられていますが、大きな脳動脈瘤、複数の瘤を有する方、すでにくも膜下出血を起こしている方、喫煙者、女性などが破裂しやすいといわれています。<これからの生活で気を付けること>脳動脈瘤ができる原因ですが、他の病気と同様、「遺伝的な要因と環境要因」があります。家族や家系内に脳動脈瘤の患者さんがいる場合、脳動脈瘤の発症リスクは高くなります。また、環境要因としては、喫煙と高血圧、大量飲酒があります。なかには遺伝的要因もなく、喫煙もせず、高血圧がない方にも脳動脈瘤ができる場合もあります。これからの生活で気を付けることは、他の生活習慣病と同様、喫煙や過度の飲酒は控える、血圧は高くならないようにすることです。ご相談者さまのように、脳動脈瘤があるかどうかも分からない現時点では、特に心配することはないと思われますよ。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:脳の血管狭窄、どのような場合に入院となるのでしょうか?脳梗塞でもいろんなパターンがあると思いますが、先日ふらついてまっすぐ歩けず右腕がしびれている状態になったことがあり、怖く感じましたがしばらく様子を見ることにしました。そのようなことが数日続いたため、MRI検査をした結果、脳の血管狭窄が見つかり内服薬での治療となりました。同じような病気でも入院している方もいるようですが、どのような場合に入院となるのでしょうか?大阪府:やまちゃんさん(35)回答:「頭蓋内血管狭窄(ずがいないけっかんきょうさく)(脳の血管狭窄)」についてお答えします。――内服薬による治療脳の血管狭窄が見つかり、しかも、同じ病態を持っている他の方は入院なのに、自分は薬だけの治療なのか、ということがご心配なのですね。頭蓋内血管狭窄(脳の血管狭窄)の治療について説明します。前提として、薬のみの治療でよい、ということは、よいサインだと考えましょう。薬の内服による内科的治療を行うのは、全く症状がなく、脳ドックなどで偶然この病気が見つかった場合です。また、ご相談者さまのように、症状が出た場合でも、再発予防には、まずは薬の内服による内科的治療が推奨されています。高血圧や脂質異常症の治療をまず行い、抗血小板剤(血液を固まりにくくする薬)を服用することで、再発予防に効果があるといわれています。<外科的な治療とカテーテル治療>薬の内服による治療を行っていても、脳梗塞の再発を繰り返す場合には、外科的治療、あるいは脳血管内治療が選択肢に入ります。外科的治療法としては、頭皮などの頭蓋外からの血管を脳内の血管とくっつけるバイパス手術を行うこともありますが、その手術に適応できる血管は限られており、すべての方が対象となる治療ではありません。一方、最近では、外科的手術にくらべて侵襲性(しんしゅうせい)の低い、カテーテルを用いた脳血管内治療による脳血管拡張術も行われるようになってきました。しかし、このカテーテルを用いた治療では、重大な後遺症を来すような脳梗塞や脳出血などの合併症を生ずる危険性もあり、未だに摸索が続いている治療になります。最近では、頭蓋内血管狭窄症のケースに対して、「薬の内服による治療+カテーテルを用いた治療」は、薬の内服の治療のみのケースに比べて、その後12カ月間の同一部位の脳卒中や一過性脳虚血発作のリスクが高まり、また、30日間に限ってみると、あらゆる脳卒中や一過性脳虚血発作のリスクが高まる、という報告があります。カテーテルを用いた治療の意義が問われている報告でしょう。入院が必要ということは、外科的手術やカテーテル治療を選択された患者になる可能性が高いでしょう。薬の治療で済むのであればよかった、とご納得いただけましたでしょうか。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:疲労骨折の分かりやすい判断基準はありますでしょうか?子どもが格闘技を習っていますがケガが心配です。時折、足や腕の痛みを訴えることがありますが、骨折というほどのことは無さそうです。ただ、疲労骨折は分かりづらいと聞いたことがあるのですが、分かりやすい判断基準はありますでしょうか?病院に連れて行く基準がいまひとつ分かりません。これから練習もハードになっていく年頃ですので、気をつけることなどあれば教えてください。山形県:LLママさん(39)回答:「疲労骨折」についてお答えします。――「疲労骨折」とは最初に、「疲労骨折」について簡単にご説明したいと思います。疲労骨折とは、外から大きな力が一時的に加わったことで起こる一般的な骨折とは異なり、骨折を起こさない程度の力が身体の同じ部分に繰り返し加わったことによって起きる骨折です。熱心にスポーツをされている方が、身体の同じ部分を繰り返し使うことによりその部分が「疲労」してしまい、ついには骨折に至るということです。年齢的に最も発生しやすいのは15~16歳くらいとされており、身体も徐々に大人に近づいて、クラブ活動などでも負荷の多い、レベルの高いトレーニングを長時間行うことが多くなることが原因の一つと考えられています。<「疲労骨折」の症状の特徴>気になる疲労骨折の症状の特徴としては、“運動を始めると痛くなる”ことが挙げられます。お子さんが「格闘技の練習を始めるとその部分が痛み、終わるとスッと痛みが引いていく」といった症状を示し、何週間も続くようであれば、疲労骨折の疑いがあります。この時点で、整形外科やスポーツ整形などの病院で診察を受けることで、もし疲労骨折だと分かれば、症状がこれ以上悪くなるのを食い止めることができます。本人はスポーツに夢中で意識をしないこともありますから、周囲の方が「疲労骨折かもしれない」という知識を持って、見守ることが大切です。疲労骨折を起こしやすい部位、イコール、そのスポーツで負荷がかかりやすい部位ということになりますので、競技種目によって異なります。格闘技でも、例えば蹴りを伴うような競技であれば、右足指の疲労骨折などが見られることがあるようです。ご参考になれば幸いです。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:一般的に何歳ぐらいから脳血管疾患の危険性が増すのでしょうか?30代半ばの主婦です。父方、母方両方の祖母が、脳卒中が原因で、認知症になったり、亡くなったりしました。私自身はお酒もたばこもたしなみませんが、一般的に何歳ぐらいから脳血管疾患の危険性が増すのでしょうか?また、早期発見できた場合とできなかった場合、どれだけの医療費の負担差が予想されるでしょうか?滋賀県:atuさん(35)回答:年齢と「脳血管疾患」の関係についてお答えします。――「脳血管疾患」の危険因子一般的には、脳梗塞などの脳血管疾患は、中高年や高齢者に発症することが多いです。一方、脳血管疾患の一つであるくも膜下出血は、40代、50代の働き盛りにも起きますので、特定の年代に限ったものではありません。では、脳血管疾患の危険因子を見てみましょう。■高血圧最も危険な原因は「高血圧」です。軽度の高血圧者(上の血圧が140~159mmHgほど)が脳卒中で死亡する危険度は、至適血圧者(してきけつあつ:理想的な血圧の値のこと)(110~119mmHg)と比べ、約3倍になります。重度の高血圧者(上の血圧が180mmHg以上)の場合、リスクは7倍以上に高まります。その他の要因は下記が挙げられます。 ■不整脈 「心房細動」という不整脈は、心臓が原因で起こる脳梗塞の最大の原因になります。きちんと脈を刻めない心臓は、流れが滞り、血液の塊ができてしまいます。その塊が脳へと飛び、脳梗塞になるのです。主な原因は高血圧、心筋症、心臓に酸素を送る冠動脈の動脈硬化です。しかし、過度な喫煙、飲酒、過労なども発作を誘発する場合があります。■脂質異常症動脈硬化を引き起こすLDLが高いと危険です。■高血糖状態糖尿病により高血糖状態が継続し、脂質が高い状態も加わると、動脈硬化を促します。脳の毛細血管まで硬化すると、脳梗塞のリスクが高まります。■喫煙たばこを吸わない人に比べて2.0~2.5倍も危険性が高いといわれています。喫煙をすると、血圧が上昇し脳の虚血が進行します。一酸化炭素やニコチン、タールなどが身体に入り、全身の血管が収縮するためです。 ■過度な飲酒お酒は、ほどよく飲む分には身体のリラックスや食欲の増進、血の巡りをよくするといった、プラスの効果があります。ですが、過度な飲酒は、肥満・動脈硬化・高血圧・糖尿病を引き起こし、また脳卒中のリスクを高めます。上記以外にも、家族に脳血管疾患になった人がいる場合は、脳卒中になる危険性が高くなります。遺伝の問題のため予防は難しいですが、発症のリスクが高いことを知っておいてください。<早期発見できた場合とできなかった場合の治療費>また、早期発見できた場合とできなかった場合の治療費の差、ということですが、脳血管疾患の一つである脳梗塞の場合を見てみましょう。この場合は早期の対応が重要になります。発病から3時間以内であれば、t-PAという薬を使用し、原因となった血栓を溶かすことが可能だからです。この条件に当てはまった50代の男性の場合、入院10日、治療費負担額30万円ほどで済んだのですが、t-PAを使用した治療を行うことができなかった70代の男性は、脳の血管が狭くなった部分を広げるためにステントという器具を入れる手術を行い、25日入院しました。結果、80万円ほど負担することになったのです。早期発見で、しかも血栓溶解療法が適応できた場合には、そうでない場合と比べ、治療費に大きな差が見られます。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:不整脈は脳血管疾患の原因になると聞いたことがありますが、気をつけることはありますか不整脈と言われたことはありませんが、健康診断の血圧、脈拍の項で再検査や要観察となることがあります。不整脈は脳血管疾患の原因になると聞いたことがありますが、気をつけることはありますか?また、3カ月前に歩行中に車に接触し、転倒してアスファルトに後頭部を強打する事故に合いました。しばらくめまいが続きましたが今は回復しています。事故の後で脳出血の原因となることはありますか?埼玉県:みのりさん(44)回答:「不整脈」と「脳血管疾患」の関連性についてお答えします。―――「不整脈」と「脳血管疾患」の関係まず、一つ目は、不整脈と脳血管疾患の関連性に関するご質問ですね。不整脈は脳梗塞の原因として非常に重要なものと考えられていますが、すべての不整脈が脳梗塞を起こすわけではありません。健康な人にも不整脈は起こることがありますが、危険な不整脈が起こると脳梗塞を起こしたり、倒れたりすることがあります。脳梗塞と特に関連が深いと考えられている不整脈は「心房細動」と呼ばれる不整脈です。この心房細動について、少しご説明しましょう。心臓は身体の各部に血液を送り出すポンプの働きをする臓器で、左右二つずつの心室と心房とからなります。心臓の筋肉が拡張と収縮を繰り返している時、微弱な電流が発生します。心電図検査はこの電流の活動を読み取ることで、心臓の各部の働きを調べる検査になります。正常な心臓であれば、心房の収縮→心室の収縮→心室の収縮の終了、と規則的に波が出現しますが、心房細動の状態になると心房の筋肉が不規則に収縮し、小刻みに震えたような状態になります。このため、心房の中の血液の流れが滞り、主に左心房の壁の一部に血の塊(血栓)ができてこれが血流に乗って脳などに運ばれ、脳梗塞を起こすことが知られています。このメカニズムにより、心房細動のある人は、ない人に比べて脳梗塞の発症率は5倍も高いといわれています。心房細動は女性より男性に多い傾向があり、加齢とともに増えてくる傾向があります。また、高血圧や糖尿病、強いストレスなどがあると心房細動が発症しやすく、遺伝性もあることが知られています。食生活や運動習慣、適切なストレスの解消といった予防を心がけることが、脳梗塞を避けるための第一歩といえるでしょう。もちろん、もし心房細動を発症してしまったら、薬物療法はじめ適切な治療を続けることは非常に重要です。<脳の出血について>また、二つ目の、頭を強く打った数カ月後に脳に出血が起こる可能性に関するご質問ですが、頭部を強く打った後しばらくしてから、脳と脳を覆っている硬膜との間に徐々に血腫ができ、さまざまな症状が出る「慢性硬膜下血腫」という病気が知られています。高齢者に多い傾向がありますが、若い方に発生することもあり、頭痛や歩行障害、片麻痺や物忘れなどで気づかれることがあります。頭を打ったあとにある程度時間が経過していても、「おかしいな」と思われたらぜひ脳神経外科を受診してください。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日ラッパーのカニエ・ウェストが、「セイント・パブロ・ツアー」の残りの日程をキャンセルした後、入院しているようだ。ロサンゼルス市内の病院にて、疲労と睡眠不足に対する治療を受けているという。ある関係者はピープル誌に「カニエは現在、疲労困ぱいしていて、睡眠不足に悩まされています」「医師の助言の下、自分の意思で入院しています」と話す。ロサンゼルス市警の広報担当は、21日に通報を受けたが、結局は「救急医療」の案件としてみなされたと認めている。「午後1時20分、ロサンゼルス消防局が特定されていない医療扶助の要請を受けました」「医学的に安定した成人男性1人が検査のために病院に搬送されました」妻のキム・カーダシアン・ウェストはパリでの強盗事件以来公の場への初登場をキャンセルし、カニエの傍にいるためにロサンゼルスに舞い戻ったとみられている。カニエと2人の子供をもうけているキムは、ニューヨークで母クリス・ジェンナー、姉妹のクロエとコートニー・カーダシアンと共に2016年エンジェル・ボールに登場する予定だった。同イベントのレッドカーペットにて、クリスは義理の息子カニエのツアー中止について質問され、「カニエは疲れきっていると思うの。ただ本当に疲れているのよ。ハードなツアーなのよ」と『エンターテイメント・トゥナイト』に語った。そんなカニエは入院する前日、ツアーの一環で今月と来月に予定されていた北米での全公演の中止を決定し、その前の20日の公演では開幕数時間前に中止を決め、19日の公演にいたっては、ジェイ・Zへの批判を展開した後に公演を中断していた。(C)BANG Media International
2016年11月23日オレンジページはこのほど、エクササイズ本『元気な脳と体をつくる! ボール1つでジャグササイズ』(1,200円・税別)を刊行した。ジャグササイズとは、ものを自由自在に操るパフォーマンス「ジャグリング」に、エクササイズ(運動)を組み合わせた運動。ジャグリングの第一人者であるダンディGOさんが考案した。ボール1つで行えるため、子どもから高齢者まで、スポーツが苦手な人でも楽しく続けることができるという。ジャグササイズは、ボールを繰りながら体を動かすという2つの動作を同時に行うことで、脳が活性化する。記憶力・集中力・判断力のUPなどが期待できるという。また、全身を使うので、ダイエットや猫背・肩こり・むくみの改善が期待できるほか、代謝がアップする効果もあるとのこと。認知症治療のスペシャリストである高瀬義昌医師は、「ジャグササイズをすることで、メタボリックシンドロームや認知症の予防ができます」とコメントしている。同書は、ジャグササイズの考案者であるダンディGOさんが監修。「脚を一緒に動かして脳トレ」「肩こり解消」「二人で一緒に脳トレ」といったジャグササイズを紹介している。詳しい動きやポイントを動画でわかりやすく解説したDVD付きなので、気軽に始められるとのこと。なお同書には、ジャグササイズに使用するボールはついていない。ボールは、テニスボールや軟式野球のボールくらいの大きさの握りやすいもので、落として足に当たっても痛くないものがよいという。ビニールコーティングの専用ボールもネットで購入可能。また、くつ下と米などでも簡単に作ることができるとのこと。
2016年11月02日婚活を経験したことのある人はわかると思いますが、婚活はとても過酷です。頑張って続けていると、いつしか婚活疲労に陥る人も多いのです。それを今は『婚活疲労症候群』と呼び、しばしばマスコミでも取り上げられています。ではもし、自分が『婚活疲労症候群』に陥ったらどうしたらいいのでしょうか?そのための対処法をご紹介します。「絶対結婚しないといけない」と考えない」婚活を頑張っていると「絶対に結婚にたどりつかないといけない」と思い込みがちです。「結婚」が目標なので、それを達成しないと自分が敗北者になるような気持ちになってしまうのです。確かに結婚はしないよりしたほうが良いことも多いでしょう。でも、しないと不幸せというわけではありません。まずは「結婚しないといけない」というこだわりを捨てましょう。婚活の結果にこだわらない一生懸命に婚活しているのに、毎回うまくいかないと誰でも落ち込みます。そして、その結果に一喜一憂していることによって、だんだんうつ状態になってしまう人もでてきます。それが、『婚活疲労症候群』の怖さです。いちいちお見合いの結果にこだわらず、とにかく「会う」ことに徹していくんだという凛とした態度でのぞみましょう。婚活を楽しみ、疲れたら婚活を休むあまり真剣に婚活に向き合うと疲れます。なので、婚活をある意味「レジャー」と考えて婚活相手に会うときは自分が行きたいところにつきあってもらったりして、楽しむ工夫をしましょう。そして、それでも気持ち的に疲れてきたらお休みしましょう。お休みすることで、またしばらくすると「頑張ろう」という気持ちになります。休む勇気もときには必要なのです。『婚活疲労症候群』という言葉を初めて聞いた人もいるかもしれませんが、婚活はそのくらい大変なものです。でも、「婚活を頑張った先にしあわせが待っていた」という人も山のようにいます。あまり必死に婚活に向き合うのではなく、「しあわせになるための過程を楽しむ」・・・というくらいのスタンスでのぞんでいきましょう。
2016年10月07日「どれだけ眠っても疲れがとれない」「集中力が続かない」……。そんなことを感じる人は脳が疲労している証拠。『世界のエリートがやっている 最高の休息法』(久賀谷亮著、ダイヤモンド社)によると、睡眠をとったり、ゆったりと過ごすなどしたりしても脳の疲れは回復することはないといいます。脳は体重の2%ほどの大きさでありながら、身体が消費するエネルギーの20%をも消費しています。しかも、脳の消費エネルギーの60~80%はデフォルト・モード・ネットワークという、脳が意識的な活動をしてきないときにも動き続ける脳回路に使われているのです。そのため、ただ何もせずぼんやりしていても脳はどんどん疲れていくそう。そんな脳を休息させることができるのが「マインドフルネス」。これは、瞑想などを通じた脳の休息法の総称。Googleをはじめ、有名企業でも多く採用されているこの方法の効果は科学的な裏付けが進みつつあります。今回は本書の中から、その一部をご紹介します。■1:脳が疲れたら「現在」を意識する注意散漫になったり、無気力になったりするのは脳が疲れているサイン。このような状態のときは「こうすればよかった」や「こうなったらどうしよう」などと知らず知らずのうちに意識が過去や未来にばかり向かっています。このように意識が「いまここ」にない状態が続くと、心はどんどん疲弊していくのです。そんなときは、「マインドフルネス呼吸法」が有効。椅子に座って背筋を軽く伸ばし、お腹はゆったりとリラックスします。次に自分の身体の感覚に意識を向けていきます。足の裏が床に触れている感覚や、手が太ももに触れている感覚を感じてみます。そして、次は呼吸に意識を向けます。深呼吸ではなく自然な呼吸で、空気が鼻を通る感覚や胸が膨らむ感覚、吸う息と吐く息で温度が違うことなど細かく注意を向けていきます。その間に、他の考えが浮かんでしまうこともありますが、それに気づいたらまた静かに呼吸に注意を戻せばOKです。なぜこんなに呼吸を意識するかというと、「いまここ」に注意を向けるため。それにより脳を休息させることができるのです。脳は習慣を好むため、これを1日5分でも毎日、同じ場所、同じ時間に行うことが大切です。■2:マルチタスクが多いときは自分の動きに注意を向ける何かをしながら、別のことをするようなマルチタスクの状態が続くと注意力や集中力が低下することがあります。莫大な仕事量を効率よくこなせる人ほど、実は集中力を1箇所に固定することができなくなっています。そういう人には「歩行瞑想」がおすすめ。歩いているときに自分の手や足の動き、地面と接触する感覚などに注意を向けていくのです。そして自分の動き一つ一つに「右」「左」や「上げる」「下げる」などラベルを貼るように意識するとさらに効果的です。このように自分の動きに注意を向けて「いまここ」を意識する方法は、Googleの社員研修プログラムでも取り入れられているそうです。歩行だけでなく、歯を磨くときや服を着るときなどにも応用することができます。毎日決めたタイミングで行いましょう。■3:自分の心は「プラットホーム」だとイメージする頭の中が様々な雑念でいっぱいの状態を「モンキーマインド」といいます。脳は莫大なエネルギーを消費するため、モンキーマインドの状態だと疲れやすくなります。反対に、この状態を脱することができれば、集中力や判断力、創造性などを高めることができるのです。そのためには、考えに対して「傍観者」であることが大切。自分の心は電車が行き交うプラットホームであり、様々な考えは電車のように一時的に駅に停車してもまたすぐに去っていくもの。そのようにイメージして「考えている自分」と「考えていること」を同一視しないようにしましょう。そうすることで心の中にスペースを持つことができるでしょう。■4:怒りが湧いてきたら4つのステップで処理する怒りは、脳が自分を守るために発動させる「緊急モード」のようなもの。アドレナリンが分泌されて脳の思考活動が抑制されるため、前後の見境がなくなることもあります。怒りや衝動を抑えられないときは、以下の4つのステップが有効。英語の頭文字をとって「RAIN」といわれています。(1)認識する[Recognize]自分の中に怒りが起きていることを認識しましょう。その際、「怒り」と「怒っている」自分は同一視しないことが大切。(2)受け入れる[Accept]怒りが起きていることをそのまま受け入れます。(3)検証する[Investigate]自分の身体にどのような変化が起きているか検証します。心拍はどうなっているか、どこが緊張しているかなど観察してみましょう。(4)距離をとる[Non-Identification]自分の感情を個人的なものとして捉えず、「他人事」のように考えてみます。この4つのステップは怒りだけでなく、甘いものを食べたいというような衝動にも有効。禁煙にも効果があるといわれています。*本書はストーリー仕立てで構成されているので、実際にレクチャーを受けているような気分になれるはず。マインドフルネスを継続すると、一時的な疲労解消ではなく、疲れづらい脳が手に入るといいます。少しの時間でも毎日の習慣に取り入れてみてください。(文/平野鞠) 【参考】※久賀谷亮(2016)『世界のエリートがやっている 最高の休息法』ダイヤモンド社
2016年09月08日めまいがしたり、朝から疲労を感じる。もしかすると低血圧が影響しているかも知れません。体に優しい方法で低血圧に負けない習慣を見てみましょう。1.早い動きや急な動きを避けるしゃがんだり、座った姿勢からすばやく立ち上がったりしない。2.水をたくさん飲む水や果汁100%のジュースなどを多めに飲みましょう。自然のナトリウムを摂ることができます。3.塩分を少し多めにとる特に夏は発汗をします。おやつを食べるなら、チーズや塩味のアイスクリームなどを食べてみましょう。動脈の働きを良くします。4.カンゾウを摂るカンゾウエキス配合の食品やお茶がオススメです。 市販のカンゾウパウダーも売っていますよ!5.野菜、果物を食べる朝食で野菜や果物を食べるようにしましょう。ミネラルが豊富で天然の塩分を補給できます。6.むくみを取る足のむくみをとるようにマッサージをすると、静脈の働きを良くしてめまいを防げます。7.同じ位置に立ちっぱなしでいない同じ姿勢で立ちっぱなしでいるよりも歩いたりして体を動かす方がいいです。8.涼しい場所にいようクーラーが効きすぎて寒いのもいけませんが、涼しい場所や扇風機は血圧が下がるのを防ぎます。9.日中気温の高い時間帯は外出しないナチュラル素材で風通しの良いものを着て汗をかきすぎない工夫をしましょう。外出する時は帽子をかぶりましょう。生活習慣で少しでも低血圧を改善して、元気に1日を過ごしましょう!
2016年08月24日夏バテや冷えからくる疲労やだるさには、やっぱり「肉」! なかでも、栄養価も高く、疲労回復に役立つビタミンB1や鉄分を含んだ牛肉は、適度に取り入れていきたいもの。ピリ辛風味で具沢山のスープなら、暑さで食欲がないときでも食べやすく、メインのおかずの代わりにもなってくれます。辛いのがお好きな方は、お好みでコチュジャンや唐辛子の量をプラスして。おいしく、しっかり食べて、夏の後半戦も乗り切っていきましょう!■牛肉のピリ辛スープ調理時間20分 202Kcalレシピ制作:E・レシピ<材料 4人分>牛もも肉(薄切り) 150g水煮ゼンマイ 150g水煮タケノコ 1/4~1/2本(約60~80g)ニラ 1束ネギ(刻み) 大さじ6<調味料> 酒 大さじ4 しょうゆ 大さじ1 コチュジャン 大さじ1.5 赤唐辛子(刻み) 1~2本分水 800ml塩 少々ゴマ油 大さじ2白ゴマ 小さじ1 <下準備>・牛もも肉は細切りにする。・水煮ゼンマイは水洗いして食べやすい長さに切る。・水煮タケノコの根元は細切りに、先は薄切りにする。・ニラは水洗いして根元を少し切り落とし、長さ3~4cmに切る。<作り方>1、鍋にゴマ油を中火で熱して水煮ゼンマイを炒め、牛もも肉、水煮タケノコを加え炒め、<調味料>を加え全体に炒め合わせる。2、水を加え強火にして、煮立ってきたらアクを取り、ニラを加えて塩で味を調え、器に注ぎ分ける。刻みネギをのせ、炒り白ゴマを指先でつぶしながら振る。冷凍ごはんを加えた雑炊や、春雨やフォーなどを入れたエスニックなアレンジも楽しめます。
2016年08月15日日々、ポジティブな考え方で生きていければ幸せだけれど、人生にネガティブな出来事はつきもの。そんなときにポジティブ脳にスイッチする方法を、脳科学者の茂木健一郎さんに聞きました。■スイッチ1「最近、何が好き?」を口癖に。人に“聞く”行為は自分へのプレゼントストレスが溜まると誰かに愚痴を言いたくなるけれど、そこで、あえて聞き役に回ってみよう。「ネガティブな考えに支配されていると、視野はどんどん狭くなってしまいます。反対に、人の話を聞く時、私たちの心は開き、脳にも余裕が生まれます。相手の好きなこと、楽しいことを聞いているだけでも発想の転換になるし、今まで気づかなかったポジティブな視点をもらえることもあるでしょう。つまり“聞く”という行為は、視野を広げるチャンスを自分にプレゼントするようなものなのです」■スイッチ2何かが欠けててもいいんです。人と“幸せ条件”を比べない!ポジティブ脳の妨げになるのが、幸せには正解があると思ってしまうこと。「幸せは一人一人違うのに、自分に欠けているものがあり、それが満たされないと幸せになれない、と考える人は、いつまでも幸せを実感できません。結婚、子供など、欠けていると思えるものは、人と“幸せ条件”を比較しているだけ。幸せはもっと多面的で、正解なんてありません。あなたにとっての幸せは何か。世間一般の基準や物差しでは測れない、オンリーワンの幸せを見つけられれば、ポジティブ脳が開花します」■スイッチ3“脳内コスプレ”を楽しんで、いろんなキャラになってみる!ストレス知らずの茂木さんが実践しているのが“脳内コスプレ”。「自分のありのままでいることがラクで幸せな生き方なのですが、社会ではそうも言っていられない。相手や環境によって、違う自分を演じなければいけないこともあります。そこで役立つのが“脳内コスプレ”。その場その場で自分を切り替え、役者のように違うキャラを演じている、と考えること。無理して適応せず、自分自身はちゃんとキープした上で、『キャラを演じているんだ』と客観視する視点が生まれればラクになります」■スイッチ4ストレスでモヤモヤしたら、“90度の方向”へキュー出しを!誰しも、現状を受け入れられなかったり、感情をコントロールできない時はある。「感情を押さえ込もうとすると逆襲されます。脳を切り替えるならとにかく動くこと。何かをしていれば硬くなった脳はほぐれて、自然とバランスがとれていきます。そのためには現状と90度違うことをしてみる。例えばPCでの仕事に行き詰まった時、楽しいサイトを見てやり過ごすのは180度の転換。これでは負の行為の延長線上で、脳は切り替わりません。席を立つなど、全く別の行動をとってみるのが大事です」■スイッチ5相手の反応を見ながら、“心のお化粧”をしていこう!ありのままの自分を受け入れて、自分の長所を強みとして発揮できるのが、幸せな生き方。「でも、自分の長所は案外本人が一番気づいていないもの。そこは盲点なので、他人という鏡が必要なんです。人と関わって褒められたこと、相手が楽しそうにしていたことなど、反応を見ながら自分の魅力を察していく力を養っていきましょう。人間の色覚が、哺乳類の中でも特に発達しているのは、相手の顔色を窺うためだという説も。他人が発する良い反応を意識できれば“心のお化粧”ができますよ」◇茂木健一郎脳科学者。脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論などにも取り組む。近著に『もっと結果を出せる人になる!「ポジティブ脳」のつかい方』(学研プラス)。※『anan』2016年7月20日号より。写真・土佐麻理子文・板倉ミキコ
2016年07月15日幸せな人は、総じてポジティブである。人は生きる上で、嫌なことやつらいこと、悩むこともたくさんあるけれど、ポジティブ脳があれば乗り越えていける。脳科学者の茂木先生に、ポジティブ脳の育て方、切り替え方を学びましょう!「くよくよしないでポジティブに考えてみよう」と自分を鼓舞したり、「やる気を出せば次は頑張れるはず」と自己暗示をかけるのは、実はニセモノのポジティブだと脳科学者の茂木健一郎さん。「いわゆる“前向きな考え方”はただの我慢。脳のエネルギーを消費するだけで、行動するためのエネルギーを消耗させてしまいます。確かに、悩みや不安に直面すれば『ポジティブにならねば』と自分を奮い立たせようとするかもしれませんが、それでは一時的にモヤモヤを回避しただけ。ネガティブな感情を引き起こしている根本的な原因に向き合っていないので、ストレスは解消されません」私たちがニセモノのポジティブに陥る背景には、ネガティブな感情を悪いものと捉え、徹底的に排除しようとする思考グセがある。「無力感や自己嫌悪とか、ネガティブな感情にとらわれている自分は弱い、ダメだと烙印を押して、まるで石鹸で手を洗うかのように、心の汚れを洗い落とそうとしてしまう。こうしたネガティブ無菌志向は問題です。体と同様に、脳や心にも、善玉菌だけでなく悪玉菌のような存在が必要。ポジティブ一辺倒でなく、ネガティブな思考があることで、脳と心の免疫力がアップするものなんです」そもそも、創造的なコミュニケーションを目指し、アメリカを中心に発展してきたポジティブ心理学では、ポジティブとネガティブの心理は、切り離して考えられないものだとするのが大前提。「ネガティブな感情をきちんと受け入れた人ほど、ポジティブな感情と一体となって、ものすごいパワーを生み出している実例がたくさんあります。欠点と長所は表裏一体なので、欠点も客観視してちゃんと見つめ、受け入れられるようになれば、ネガティブな脳からポジティブ脳へとスイッチを切り替えられるはずです」ポジティブ脳に切り替えるため、重要なスイッチとなるのが、脳科学でいわれる「メタ認知」。「簡単に言えば、自分の現状を俯瞰できる、客観的に見つめる力です。感情に振り回されないで『なぜ嫌な感情に取り憑かれているのか』を客観的に分析し、自分の心の状況と原因を言葉で表せるようになると、発想の転換が生まれます。ネガティブな状況に陥っている人は、引き込み現象が起きて視野が狭まるものですが、『メタ認知』ができれば気づきがあり、脳が切り替わってくれるんです」例えば、彼氏ができたと友達に告げられて嫉妬の気持ちが芽生えたら、その感情を客観視してみる。「なぜ僻むのか。私も彼が欲しいから?だったら友達に紹介してもらえばいいかも」と、自分を俯瞰してみることで、ネガティブな感情の向こう側にあったポジティブな発想や行動につなげられる。「ポジティブ脳でいるためには、行動あるのみです。行動するのにやる気はいりません。動かず停滞していては、脳のエネルギーを無駄に消耗してしまうだけ。『自信がない』『時間がない』などと言い訳をする前に、どうして自信がないのか、時間をどう生み出すか、考える作業を続けながら、自分ができることをとにかくやってみること。目の前のことをやり続けていれば、知らないうちに脳はポジティブに変わっていきます」茂木さんに提案してもらった、具体的な脳の切り替えスイッチの入れ方を、早速実践してみよう。◇茂木健一郎脳科学者。脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論などにも取り組む。近著に『もっと結果を出せる人になる!「ポジティブ脳」のつかい方』(学研プラス)。※『anan』2016年7月20日号より。写真・土佐麻理子文・板倉ミキコ
2016年07月14日“脳の疲労改善”のためのヘッドスパ水もオイルも使用しない、独自の技術で新感覚のスパリラクゼーションを提供する、「ドライヘッドスパ専門店 縁-eni-」が、福岡市中央区の赤坂駅前明治通り沿いにオープンした。「ドライヘッドスパ」とは、一般的な“マッサージ”や“リラクゼーション”とは違い、脳の疲れをほぐし深い眠りへと導くことを目的とした、一般社団法人ドライヘッドスパ協会独自の認定技術だ。日本初の「ドライヘッドスパサロン」がオープンされて以降、徐々に注目を集め、テレビや雑誌の取材が殺到し、一気に人気のリラクゼーションとなった。ヘッドマイスター認定から、独立へ吉原 志保氏は、そのサロンで腕を磨き、一般社団法人ドライヘッドスパ協会からもヘッドマイスターとして認定された後、デスクワークなどで疲労の溜まったビジネスマンなどをターゲットに、オフィス街に近い、赤坂駅前明治通り沿いに自身が代表を勤める「ヘッドスパ専門店 縁-eni-」をオープンした。同サロンでは、ビジネスマンの、毎日頑張る“脳”に休息を与える空間を目指し、ヘッドスパの他にも様々な独自のサービスを提供している。「ドライヘッドスパ専門店 -eni-」は、福岡市営地下鉄空港線「赤坂」駅 4番出口から徒歩1分、トートレビル2Fにある。(画像はプレスリリースより)【参考】※福岡初出店! “脳”の疲労改善を目的とした 水もオイルも使用しないヘッドスパ専門店がオープン!
2016年06月25日音楽教育が、子供の情緒や感受性、社会性や知能の発達にとても良い影響を及ぼすことは、すでに広く知られている事実です。また、子供たちが音楽を集中して聞くことで、言語を聞き取る能力もアップし、語彙力や語学力がつきやすくなるとも言われており、昨今ますます幼児のための音楽教室の人気があがっているようです。「音楽教室に通わせたいけれど、経済的な事情や、時間的な問題で難しい」というご家庭は、ぜひ家庭で音楽教育をしてみてはいかがでしょうか。今回は、家庭でもできる音楽教育についてご紹介したいと思います。つけっぱなしのテレビを消して、良い音楽を聞かせよう音楽教育というと楽譜を読んだり、楽器を弾いたりすることを想像しますが、 幼児期の子供にはまだまだ難しいもの。さらに楽器を演奏するにも、手が小さすぎますよね。ですから、乳幼児期はよい音楽をたくさん聞かせて、「耳つくり」をしてあげることが最も重要な音楽教育なのです。普段、リビングで子供と過ごすときなど、テレビをつけっぱなしにしているママも多いかもしれませんが、これからはテレビの代わりに良い音楽を流してみませんか。では、どんな音楽が子供にとって「良い音楽」なのでしょうか。クラシック音楽やジャズ・ポピュラー・日本の伝統音楽・童謡など、音楽といってもさまざまなジャンルがあります。もちろん、どのジャンルにもすばらしい音楽は存在していますが、子供におすすめなのが、それぞれの国の歴史とともに、長く生き続けてきたような音楽です。いくら流行しているとしても、機械的な音楽では、子供の想像力や情緒を育てることは難しいのです。手始めに、ママやパパが小さいころから聞いていた日本の昔ながらの童謡や、モーツアルトのクラシックなどの歴史ある音楽を選んで、部屋でゆっくりするときや、食事中のBGMとして流してみませんか?日常生活や遊びの中に音楽に取り入れる音楽教室ではなく、家庭で音楽教育をするメリットは、遊びや生活の一部として自然に音楽に親しめる点ではないでしょうか。子供が遊んでいるときに音楽を流してあげていると、無意識に子供の心に音楽が刻まれていきます。他にも食事中、寝かしつけの際、朝起きるときなど、その状況に相応しい音楽を選んで、自然な形で生活に取り入れていきましょう。また、子供が元気のないとき、イライラしているときは、まずは静かな音楽を流し、気持ちを落ち着けてから、活発な音楽を流すようにすると、子供たちの気持ちが明るくなったり いらだちをやわらげたりする効果があるとも言われています。このように、子供の気分を変えたり、気を紛らわせたりする手段として音楽を使ってみても良いでしょう。家族で一緒に音楽を楽しもう!子供の情緒や知能の発達に役に立つからと、一方的に子供に音楽環境を与えるだけでは、家庭での音楽教育は物足りないものになってしまいます。大切なのは、ママやパパの心にも、音楽を楽しむ余裕を持ってもらうことなのです。親子一緒に、童謡を歌ったり、音楽を聞きながらリズムを取ったりして、「音楽は楽しいものだ!」と子供が思えるようにしてあげましょう。ママやパパがピアノなどの楽器が弾けるのであれば、童謡やクラシックを演奏して子供に聴かせてあげることができますが、楽器が苦手だったとしてもハーモニカや鈴など、かんたんに演奏できる楽器を用いて、家族で歌いながら合奏するのもおすすめです。また「とんとんとんとんひげじいさん」や「いとまきまき」など、子供たちが大好きな手遊び歌を一緒に歌ったり、音楽に合わせて飛んだり跳ねたりすることも、立派な音楽教育です。このように、家族で音楽に親しみ、楽しんでいるという環境こそが、子供の音楽的感受性を育ててくれるのです。いかがでしたか?音楽が子供の心や脳に良い影響を及ぼすからといって、一方的に楽器を与えたり、子供が嫌がる音楽を聞かせようとしたりするなど、やみくもに「音楽」を押しつけることはやめましょう。子供たちが音楽に親しみを感じ、楽しめるようになってこそ、音楽が子供に良い影響を与えてくれるのです。まずは、親子で音楽を楽しみながら、子供が音楽に興味が持てるような環境づくりから始めてみましょう!
2016年06月08日恋は人生の喜びである半面、道を違えると、逃れがたい苦しみも生む。いま、そんな恋に悩むあなたへ。脳科学のプロが「わかっちゃいるけどやめられない」を、卒業する術、教えます。脳科学的に分析すると、終わらせるべき恋には“2種類のツラさ”が混ざっているそう。脳科学者・中野信子さんはこう分析します。【ツラい恋に陥るメカニズム】恋をすると分泌されるドーパミンの誘惑のせい。「まず一つは、彼への思いを断つと、それまで恋愛で得られていた刺激がなくなってしまうというツラさです。もう一つは、恋愛でときめいている状態自体のツラさ。恋に落ちると、脳内にはドーパミンが分泌されますが、それはとても気持ちがいい半面、食欲がなくなり、胸が詰まる感じもして、肉体的にはしんどい。そしてその恋が困難であるほどドーパミンの分泌は促され、苦しくはあるけれど、気持ちよくて諦めづらくもなるのです」とはいえ、誰もがそんな恋に陥るかというとそうではないという。「ドーパミンの感受性が低い人は、たくさんのドーパミンが分泌されないと満足できないため、いつもときめきを感じたがります。結果、恋に依存しがち。ドーパミンの感度は生まれつきのものなので変えることはできないのですが、脳の前頭前野を鍛えることでコントロールできるようになりますよ」【ツラい恋の強制終了法】前頭前野を鍛えて恋に盲目な自分とサヨナラそうした恋を終わらせるには、自分を客観視する領域である前頭前野を鍛えることが大切です。鍛え方としては、毎日10分でいいのでその日の自分を振り返ること。『彼のことを考えちゃったな』などモニタリングして。そのうちに自分の状態を把握するのが上手になり、恋に依存しがちな自分を抑えるための、理性が強くなるはず。あとは、恋愛以外の刺激でドーパミンの分泌を促すのも有効です」【TO DO】・エクストリーム系スポーツで新たな刺激と良質なリスクを両立。・仕事にバリバリ打ち込んで、周りから認められるようになる。・山登りのように、達成感のあるレジャーでドーパミンを分泌!◇なかの・のぶこ脳科学者。横浜市立大学客員准教授、東日本国際大学教授。『ワイド!スクランブル』(テレ朝系)コメンテーターなどテレビでも活躍。著書は『脳はどこまでコントロールできるか?』(KKベストセラーズ)など。※『anan』2016年5月25日号より。イラスト・佐瀬麻友子文・保手濱奈美
2016年05月22日徹夜をしたときの頭のボーッとした感じは、明らかに脳が働いていないなと実感できるものですよね。実際に、脳と睡眠には深い関係があるので、今回はそれにまつわる研究を紹介します。最近、仕事でミスが多いなと思う人は、もしかしたら睡眠が足りていないのかもしれません。睡眠が脳に与える影響睡眠と脳には切っても切れない密接な関係があります。私たちは、仕事や勉強中の活動を始め、人の表情、駅のアナウンス、味や匂い、騒音など、五感をフル活用して、さまざまな情報感じ取っています。それらがずっと蓄積されていくと、とんでもない情報量になるので脳はパンクしてしまいます。そうならないために人間は、睡眠中に「脳にたまった情報の整理や掃除」を行うのです。脳にはそのための循環系があり、睡眠中に脳脊髄液によって老廃物を排出していると考えられています。朝起きたらスッキリしているのは気のせいではなく、実際に脳もスッキリしているからなのかもしれません。この脳内の整理や掃除は快適な生活を送るためには必要なことです。脳に余計な情報がパンパンに詰まったままだと脳がフル稼働できません。睡眠と脳の関係を調べる研究あれこれ睡眠と脳に関する研究というものがあります。どのようなものがあるのか見てみましょう。眠気を誘発するのはカルシウムイオン今年3月に東京大学の研究チームが発表した研究結果によると、脳内のカルシウムイオンが眠気を誘発していることを突き止めたそうです。これまで眠気の正体は明確にわかっておらず、睡眠物質なるものが存在すると考えられてきました。それを特定するために東京大学の研究チームはマウスを使った実験などを行った結果、脳へのカルシウムイオンの流入が睡眠に関係あるとわかったそうですこの研究結果が睡眠と関係があるとされるアルツハイマーなどの神経変性疾患の治療に役立つ可能性があると言われています。睡眠時間によって脳の効率が変わる睡眠時間と脳の働きの関係を調べた研究では、1日6時間の睡眠を続けた人は飲酒したときと同等のパフォーマンスしか発揮できないということがわかったそうです。被験者をグループ分けし、4時間・6時間・8時間と睡眠時間を違えて、2週間調査を続けたところ、8時間では問題なく脳が働くことが判明したと言われています。ちなみに4時間睡眠では、飲酒時と同等の6時間よりも脳の働きが悪く、検査を受けられないレベルの人もいたそうです。脳は本当に働き者睡眠には深い睡眠のノンレム睡眠と浅い睡眠のレム睡眠があります。これも脳と関係があり、レム睡眠時の脳の酸素消費量は起きているときよりも高い数値になると言われています。なぜかと言えば、冒頭でも紹介した、脳にたまった情報の整理や掃除をレム睡眠のときに行っているからです。私たちが寝ている間も、脳は日中より多くの酸素を使って一生懸命、整理整頓をしてくれるというわけです。瞬間睡眠を知ってる?ところでみなさんは瞬間睡眠という言葉をご存知ですか? 脳をクールダウンさせ、若返らせることができると言われているすごい睡眠法なんです。実はこの瞬間睡眠、みなさんも知らないうちに実践しているかもしれないのです。ランチ後、強烈な眠気が襲ってきた仕事中などに、一瞬だけ眠ってしまうことがありますよね。「いけない、いけない」と慌てて起きて仕事をすると、一瞬寝た前よりも頭がスッキリしていることがあると思います。それは気のせいではなく、一瞬でも脳は整理や掃除をしてくれているからです。もちろん、もう少し長く(数分~30分未満)睡眠をとれたら、もっとパフォーマンスが向上することは言うまでもありません。でも、仕事中はどうしても長く仮眠がとれないものですよね。そんなときは一瞬でも意図的にウトウトする瞬間睡眠を活用してみてはいかがでしょうか。photo by acworks
2016年04月20日『聞くだけで脳が目覚めるCDブック』(山岡尚樹著、あさ出版)の著者は、「超脳トレ」全脳活性プロデューサー。そう聞いただけで活動内容をイメージすることは難しいかもしれませんが、つまりは脳をより活性化させるためのオーソリティ。具体的にいえば、人の脳に秘められた潜在能力を、音、イメージ、気の力を通じた実践ワークによって引き出しているのだそうです。つまり本書においては、これまで10万人以上に実践してきたという脳トレのノウハウを凝縮しているということ。CDも付属しているので、聴くだけで無理なく効果が望めるのだといいます。■脳は3%しか使われていない!ところで著者は脳のことを、あえて「道具」だと位置づけています。いってみれば、それはスマートフォンのようなもの。いろいろなアプリが入っていて、さまざまな使い方ができるという意味です。だとすれば、一般的に「頭がいい」「デキる」「効率がいい」といわれるような人は、総じて「道具としての脳の使い方がうまい」ということになるでしょう。ところが多くの人は現実的に、「電話をかける」「メールをする」といった程度の使い方しかできていないのだといいます。せっかくの多機能を、まったく使いこなせていないというわけです。しかも一説によると、ほとんどの人が脳をわずか3%しか使えていないというのですから驚き。だとすれば必要なのは、残り97%の「脳力」をどう引き出すかということになるはずです。■右脳・左脳・間脳・脳幹の役割そこで、まずは脳の役割をおさらいしてみましょう。ご存知のとおり、脳には大きく分けると「右脳」「左脳」「間脳」「脳幹」という部位があり、それぞれ次のような役割があります。[右脳]ひらめきやイメージ力、調和などをつかさどる脳。「芸術家肌の人は右脳優位」といわれるのは、このような理由があるからです。[左脳]計算や分析が得意な脳。言語、計算、論理、理屈といった理性的で論理的なところをつかさどるわけです。[間脳]脳内ホルモンの分泌を調整し、感情の操作をつかさどる役割。[脳幹]呼吸、体温調整といった、生きるための調整を担当。本書のトレーニングにおいては、まず「右脳」を活性化させ、多くの人のなかに眠っている未使用の脳力を引き出すのだそうです。■新しい「脳力」を目ざめさせる日常生活においてほとんどの人は、左脳が優位に働いているもの。著者によれば7~8割以上の日本人が左脳優位だというデータもあるそうですから、日本人は左脳民族であるともいえるのかもしれません。左脳優位である以上は、計算、論理、理屈など、現実的に判断・実行する力をしっかり持っているということになります。では、そんな実行力ある左脳に加え、右脳を活性化するとどうなるのでしょうか?答えは次のとおり。・与えられたことだけではなく、斬新な発想、ひらめき、イマジネーションを現実的に判断・実行できる。・ひとつのことだけでなく、同時に複数のことを実行できる(効率がよくなる)。・直感力や判断力が上がり、課題・問題に対して「検討→解決」の時間が短くなる(問題解決が格段に速くなる)・ものごとを俯瞰的に見ることができ、マネジメント脳力が上がる。つまり、一般的な「デキる人」「頭がいい人」のイメージと重なっていくということです。現代人は、もともと左脳が鍛えられているもの。だからこそ、右脳や間脳、脳幹などで眠っている“新しい脳力”を目ざめさせることにより、また異なった脳力を生かすことができるということです。■聴くだけで脳が活性化する理由よくある計算ドリルなどの脳トレは、左脳中心の訓練しかできないことが難点。一方、右脳を刺激できるのが、本書に採用されている「音」のトレーニング。なぜなら脳は「音」「イメージ」「気」という3種類のアプローチで活性化できるからだそうです。「イメージ」することは、人によってうまい・下手の差があるでしょう。「気」にしても、感じられる人と、そうでない人がいるはずです。しかし「音」は、誰にとっても、耳に届く内容は同じ。また、そもそも脳に伝わるエネルギーの約90%は、耳から入ってくるといわれているのだそうです。こうしたことから、「音」は脳を活性化させるための、もっともベーシックで優れた刺激だといえるのです。*しかも、脳は何歳からでも鍛えることができるのだとか。「脳を鍛える」という発想自体があまりなじみのあるものではありませんが、音を聴いているだけで鍛えられるならば、ぜひ試してみたいところではあります。CDに収録されている音源は、クラシック、オペラ、落語までバラエティ豊か。著者のノウハウが凝縮されているだけでなく、リラックスして聴くこともできるというわけです。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※山岡尚樹(2016)『聞くだけで脳が目覚めるCDブック』あさ出版
2016年04月11日