米の人気ヒーロー“スーパーマン”を新生させる来夏公開の映画『マン・オブ・スティール』の最新予告編が公開された。『マン・オブ・スティール』は、人気ヒーローのスーパーマンを、これまでになかった視点と最新の映像技術を駆使して新生させるもの。『ダークナイト』三部作で“バットマン”を新生させたクリストファー・ノーランが製作を手がけ、アラン・ムーアの傑作コミック『ウォッチメン』を実写化したザック・スナイダーが監督を務める。スナイダー監督が「スーパーマンという究極のヒーローには尊敬しなければいけない大きな柱があるんだ。単純にかっこいいからって新しく作り直したり、設定を変えればいいってものじゃない。僕とクリス(クリストファー・ノーラン)はスーパーマンという本質の中にストーリーとヒーローならではの人間性を求めたんだ」と語る本作。このほど公開された予告編もこれまでのスーパーマン同様、地球人には決して持ち得ない力をもったクラーク・ケントが自身の幼少期を回想する場面から始まる。彼の育ての父は幼いクラークに、自身の“力”を使わないように伝える。常人離れした力が発揮されれば、彼は“普通の地球人”として生きていけなくなるからだ。しかし、予告編の後半で青年となったクラークは決断する。黒いスーツに身を包んだ彼は一瞬で地面にヒビを入れるほどの力を発揮し、音速で空を飛ぶが、父の予言の通り、人間たちは彼を“正義の味方”とはみなさずに、手錠をかけ、銃を向ける。クラークは言う。「父さんはこう信じてた。世界はまだ、本当の僕を受け入れられないと」。予告編映像はシリアスなドラマと並行して、崩れ落ちる高層ビルや、炎に包まれるクラーク、謎の飛行物体のアクションなどハードな映像が次々と映し出される。ヒーローが強大な力を発揮するも人間がそれを拒否した後の世界を描いた『ウォッチメン』のスナイダー監督と、強大な力が必ずしも“善”に作用しない世界に全身全霊で立ち向かうヒーローを描いた『ダークナイト』のノーランは、本作でどんなヒーローと人間を描き出すのか? 詳細なストーリーはいまだにヴェールに包まれている。『マン・オブ・スティール』2013年夏、全国公開
2012年12月20日米の人気ヒーロー“スーパーマン”を新生させる来夏公開の映画『マン・オブ・スティール』の予告編映像と劇場用ポスターがこのほど公開された。『マン・オブ・スティール』予告編『マン・オブ・スティール』は、人気ヒーローのスーパーマンを、これまでになかった視点と最新の映像技術を駆使して新生させるもの。『ダークナイト』三部作で“バットマン”を新生させたクリストファー・ノーランが製作を手がけ、アラン・ムーアの傑作コミック『ウォッチメン』を実写化したザック・スナイダーが監督を務める。このほど公開されたのは、主人公クラーク・ケント=スーパーマン(ヘンリー・カヴィル)の父親役を務めるケビン・コスナーとラッセル・クロウがそれぞれナレーションを務める2パターンの予告編。本作の主人公は、クリプトン星で誕生するも、ある事情で生みの親とはなればなれになり、漂着した地球でケント夫妻に育てられるという設定だが、『マン・オブ・スティール』では、生みの親ジョー・エルをクロウが、育ての親ジョナサン・ケントをコスナーが演じている。これまでの“スーパーマン”のイメージを一新させる作品だけに、予告編も派手なアクションシーンや、ジョン・ウィリアムズ作曲のスーパーマンのテーマは一切登場せず、クラーク・ケントはおなじみの新聞記者ですらない。そこにいるのは孤独で、荒れる海で漁師として働き、さらに放浪の旅にでる物静かな男=ケントだ。予告編のラストには、深い青色のプロテクタースーツに身を包んだスーパーマンが飛翔する場面が登場するが、映画ファンが愛してきた“完全無欠のヒーロー”というメージからはほど遠い。原作コミックの生誕から74年。ノーラン、スナイダーをはじめとするクリエイターたちは、全世界で愛されてきた人気キャラクターの魅力を根本から問い直し、現代の観客に新たなクラーク・ケント像を提示するようだ。『マン・オブ・スティール』2013年夏、全国超拡大公開
2012年08月27日『リアル・スティール』のショーン・レヴィ監督が、「セサミストリート」の映画化作品をプロデュースすることになった。米20世紀フォックス社が長寿TV番組「セサミストリート」の映画化権を獲得したのを受けて、レヴィ監督はマイケル・アグィラー、マーク・ゴードン、ガイモン・キャサディらと共に、同プロジェクトにプロデューサーとして参加することが決まった。長年同番組を手がけているジョーイ・マザリーノが脚本を担当する。1969年に始まって以来、合計138回のエミー賞を受賞している同番組は、1985年の『セサミストリート ザ・ムービー:おうちに帰ろう、ビッグバード!』と、1999年の『エルモと毛布の大冒険』とで過去2回、映画化されたことがある。レヴィ監督は、『ミッドナイト・イン・パリ』のオーウェン・ウィルソンとヴィンス・ヴォーンが再共演を果たす新作コメディ作品『The Internship』(原題)のクランクインを7月に控えている。同作は、オーウェンとヴィンス演じる突然リストラされた中年会社員2人が、再起を賭けて大手IT企業でのインターンを始めるというストーリーになるようだ。■関連作品:リアル・スティール 2011年12月9日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© DreamWorks II Distribution Co. LLC
2012年06月22日スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務め、『ナイトミュージアム』のショーン・レヴィ監督と組んだアクション・ドラマ『リアル・スティール』。こちらの主演をつとめるヒュー・ジャックマン(『X-メン』シリーズ)のインタビューをお届けする。(c)KaoriSuzuki●ショーン・レヴィ監督について「驚異的」だね。彼とは真の友人同士になれたけれど、この世界でそういうことはめったにないんだ。僕が本心から友達だと思える人の数は、おそらく片手で数えられる程度さ。彼はまるで神のようにどこにでも遍在するね。何が起こっているのかをプロデューサー的な視線からすべて把握しきっているよ。たとえば僕が俳優としての疑問や問題を抱いて彼のもとに行くと、彼はすでにその問題を把握している。僕は「どうしてそんなことまで考える時間があるんだろう?」と不思議でしょうがなかったね。全員について考え、全員からベストなものを引き出しているんだ。とても寛大で、しかもハードに仕事をこなす。彼はこの作品を別の次元に高めて、ハートに満ちた映画に仕上げている。彼についての賞賛ならいくらでも出てくるよ。実際のはなし、彼と組んだこの仕事が終わって寂しいんだ。ああいう人材は希少だからね。あそこまで有能に仕事をこなし、しかもあそこまで良いヤツっていうのは、なかなかいるもんじゃないよ。●ボクシング経験があるということですが、あのシュガー・レイ・レナードを相手にリングに立ってみていかがでしたか?面白かった。僕らが一緒になった初日には、メイキングの撮影クルーが来ていたんだ。元世界チャンピオンの彼が僕とスパーリングをして軽くボディをうつ・・・すごく痛かったよ! カメラがあったから、色々とサービスしてくれたんだね。彼は偉大な男さ、かなりの時間を一緒に過ごしたけれど、心から好感が持てた。●彼と多くの時間を共にした体験から何を学ぶことができましたか?セコンドについて彼が教えてくれたことには驚かされたよ。この映画で僕が演じるのはセコンドなんだ。ボクサーではなくね。ロボットたちを所有してコントロールして、勝ち進ませるのが仕事なんだから、つまりはセコンドさ。シュガー・レイ・レナードは夢中で僕に教えてくれた。ボクシングにおけるセコンドの重要性を僕がまったく理解できていないと言われたよ。相手はロボットかもしれないけれど、とにかくセコンドは彼らにとって堅固な支えであること、力の源であることが大切なんだ。シュガー・レイは試合の2~3週間前になると必ずアンジェロ・ダンディを雇っていた。なぜならアンジェロは試合中、シュガー・レイにどう語りかけるべきかをしっかりと心得ていたからなんだ。それを知らないセコンドは最悪だとシュガー・レイは言っていた。つまり僕はセコンドとして、ボクサーを鼓舞する瞬間、黙って見守る瞬間、言うべきことを語りかける瞬間を心得ている必要があったんだ。それはトレーニングで培われる精神的な準備ということだね。ボクサーとセコンドの絆はどんなことがあっても崩れてはいけない。そういうことについて僕はあまり考えていなかったんだ。だからとても助かった。彼はまた、ボクシングをすることで払わなければならない犠牲についてもオープンに教えてくれたよ。単なる肉体的な犠牲だけでなく私的な犠牲についてね。優れた世界チャンピオンになるという目標は簡単に達成できるものではない。その目標に向かう道のりの中で犠牲にしなければならないことはたくさんあるんだね。試合から6週間も離れると自分ひとりになりたくなるらしいんだ。あらゆるもの、あらゆる人たちを追いやってね。それをやられた方はもちろん傷つくことになる。●俳優として、このキャラクター、チャーリー・ケントンの人間性のどういった側面に惹かれましたか?自分にとってこの世は不公平にできていると考えるようになった人物を演じることに深い興味を持ったんだ。様々な部分で自分自身に失望して、自分のことを徹底的に卑下している。自分なんか何をやっても負け犬だと感じている彼が、今、もっとも嫌悪している世界で生計を立てている。屈辱を味わい失望した世界でね。ある時点から彼は自分を取り巻く世界に対して無反応になっていたんだ。彼の心の葛藤は演じ甲斐のあるパワフルなものだと思う。あらゆる意味で行き詰まりを感じている今の状況から抜け出ようとあえいでいるんだ。でも実は、自分を取り戻せるチャンスを得たということが一番パワフルなんだ。チャンスを得て彼は怯えるのさ。なぜなら、今では失うことの辛さを知っているからね。もしも失敗したら、その後どうやって生きていけばいいんだと考えてしまうんだ。(c)KaoriSuzuki●負け犬であるチャーリーに第2のチャンスが訪れるわけですが、第2のチャンスということをどのようにとらえて演じましたか?僕はチャーリーとは違った形だけれど、彼以上に負けるということを知っているよ。他人のためだけでなく自分自身のためにも成功したいという想いが強いからね。そういう部分を関連付けて演じたんだ。第2のチャンスの方が最初のチャンスよりもずっと恐ろしく感じるということを心から理解しているからね。失うものが大きい可能性があっても、僕は自分を鼓舞して「やる」と言うようにしている。それは恐怖心に負けたくないからなんだ・・・恐怖心に負けることの方が恐怖心そのものよりもずっと後味が悪いことを知っているから、僕はチャレンジする。だけど失敗したときに何を失うことになるのかも理解しているよ。チャーリーにとって、それは息子とロボットだった。よくよく見れば、みんな一度は見捨てられた者たちばかりさ。このストーリーの最も素晴らしいところは、チャーリーが自分自身を取り戻そうと挑戦することに心から恐れを感じるという部分だと思うんだ。映画の出だしでチャーリーは人生なんて最悪なものだ、うまくなんかいくものかと自分自身をあきらめている。世間を恨んでいるんだ。周囲のあらゆる人々に怒りを覚えている。周囲に当たって、自身を責めないようにしていたのさ。でも、自分を変えられるのは自分だけだということ、それが出来なければ人生はもっと苦しいものになるということに気づいてゆく。僕自身の人生がチャーリーほど失敗の連続だったとは言えないけど、失敗することへの恐怖心は身を持って知っているよ。●人生では安全な道を選ぶべきだと思いますか?いや、仕事では安全な道を選ばないように心掛けている。ちょうど僕はワンマンショーをやったところだけれど、それもかなり恐いものだった。舞台で1人歌って踊る僕だけのショーだからね。でも良い気持ちだったよ。確かにあのときより今の方がずっとホッとして気持ちいいけれどね。これまでで一番恐かったのはオーストラリア対ニュージーランドのラグビーの試合前に、生まれて初めて10万人の観衆の前で歌ったことかな。たったの1曲、国家を歌うだけで、もしも観衆からブーイングを受けて仕事がなくなってしまったらどうしようなんて考えて、前夜にパニックになってしまった。あれ以上の恐怖感は味わったことがないな。アカデミー賞でさえ、あれと比べたらそれほど恐くはなかった。経験をつめばつむだけ、恐怖心も減っていくものだと信じているんだ。いざやってみると自分で想像していたほど大変なことでもないということに気づくからね。そういう意味では、アカデミー賞の司会よりも、高校時代の試験の方がずっと恐ろしかったような気がするな。あの当時はその試験ですべてが決まってしまう、失敗したらおしまいだ、もうチャンスなんてないだろうと思い込んでいたからね。やはり経験があればあるだけ恐怖心はなくなるんだよ。(c)KaoriSuzuki●ご自身の人生において、勝つことと尊敬されること、どちらをより大切にしていますか?かなりの負けず嫌いだから、勝つにこしたことない。でも僕にとって一番大切なのは「試しにやってみること」なんだ。「試しにやってみる」とか「とりあえず、やってみよう」というのはオーストラリアではよく使う言い回しだよ。オーストラリアの人たちは、「本当の後悔はやらなかったことに対する後悔だけ、たとえ失敗しても、やってみたことに対して最終的に後悔なんかしないものだ」という信念を持っているんだ。だから、とにかくやってみる。自分にしても他人にしても、試しにやってみようという精神を僕は尊敬しているんだ。よかれ悪しかれ、うまくいくかどうか分からなくても、とにかくトライしてみる。そうやって突き詰めて考えれば、尊敬されることの方が、うまくいくかどうか、勝つか負けるかということよりも、大切だということになるね。作品情報『リアル・スティール』監督:ショーン・レヴィ出演:ヒュー・ジャックマン、ダコタ・ゴヨ、エヴァンジェリン・リリー、アンソニー・マッキー、ケヴィン・デュランド、カール・ユーン、オルガ・フォンダ大ヒット公開中!配給:ウォルト ディズニー スタジオ(C)DreamWorks II Distribution Co. LLC All Rights Reserved.
2011年12月29日ロボット格闘技の世界で奇跡を起こそうとする親子の奮闘を描く、感動ドラマ『リアル・スティール』。この映画で息子マックス・ケントン役を熱演する、ダコタ・ゴヨ(『マイティ・ソー』)のインタビューをお届けする。(c)KaoriSuzuki●ヒュー・ジャックマンと共演した感想は?ヒューは最高だよ。本当に面白いね。彼と共演できるチャンスをもらえたなんて信じられなかった。本当に良い人だよ。それに映画ではとても強いんだ。身体を鍛え上げていたね。僕がボディに思い切りパンチしてもビクともしなかった。痛くもないし、感じてもいないんだ。まるでレンガの壁みたいだったな。●ダンスシーンは楽しみましたか?ダンスの経験は?今まで踊ったことなんてなかった。覚えるのに時間がかかったけど、それだけの価値はあったよ。自分にたいして頬笑みながらダンスを学んだ。教えてくれたのは振付師のアン・フレッチャー。色んな動きを教わったんだ。うまく踊れたかどうかは分からないけど、とにかく楽しかった。だから今でも踊っているんだ。●撮影であなたの後ろで踊っていたのは、別の人物ですか?あれは本物のロボットのアトムだよ。4体も本当のロボットが作られていたんだ。●ビデオゲームは好きですか?PS-3を持っている。「UFC Undisputed」とか、UFCシリーズをよくやるんだ。アクション人形ではあまり遊ばないな。今はやっぱりビデオゲームの方がずっと多いね。(c)KaoriSuzuki●スポーツは好きですか?うん、サッカーとホッケーをかなりやっているよ。僕の国カナダでは、ホッケーが一番盛んだね。●スポーツのひとつとしてボクシングをやってみたことは?ボクシングはやらないな。うちの地下はジムになっていて、お父さんと僕がトレーニングに使っているけど、ボクシングにはあまり興味がないんだ。●自分のロボットを欲しい?『リアル・スティール』に出ているのを1つ欲しいな。それなら絶対にアトムがいい。●ロボットのATOMは生きていると感じましたか?彼とのシーンはたくさんあったからね。高脚に乗った人たちとATOMだけということが多かったけど、ATOMの目を見ながら、その後ろに何があるんだろう、本物の人間がいるんじゃないだろうかって思ったりしたよ。だから、やっぱり彼は生きていると思う。そう感じたんだ。●この映画が公開されれば、あなたの生活が大きく変わるかもしれません。街にいても女の子たちからの視線を感じることになるでしょう。そのことについてどう思いますか?たしかに変わるだろうね。まるっきり違うものに。この役をやらなかったら絶対に経験できないだろうことだから、それもきっと良い経験になるはずだよ。作品情報『リアル・スティール』監督:ショーン・レヴィ出演:ヒュー・ジャックマン、ダコタ・ゴヨ、エヴァンジェリン・リリー、アンソニー・マッキー、ケヴィン・デュランド、カール・ユーン、オルガ・フォンダ大ヒット公開中!配給:ウォルト ディズニー スタジオ(C)DreamWorks II Distribution Co. LLC All Rights Reserved.
2011年12月27日スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を、ヒュー・ジャックマンが主演を務める感動作『リアル・スティール』が9日(金)から日本公開される前に、ショーン・レヴィ監督が来日し、インタビューに応じた。その他の写真本作の舞台は、高性能なロボットが人間の代わりに格闘技をしている近未来。元ボクサーで人生を見失っていた主人公のチャーリーは、突然あらわれた息子と、彼が発見した旧式ロボットATOMと共にロボット格闘技に参戦する中で、自らの人生と息子との絆を取り戻していく。人間ではなく機械が拳闘をする世界…と聞くとSFアクションを連想するが、本作は人生を見失っていた親子が主人公の感動作だ。「本当に脚本にはこだわった」というレヴィ監督は、ロボット格闘戦、親子のドラマなど様々な要素が入った本作の中で、“本当の勝利”とは何かを考えたという。「勝利にもいろいろあります。この映画で描かれる勝利は、“試合に勝つ”ことではなくて、“人と人が絆を深める”ことです。もちろん格闘戦はエキサイティングに描きました。でも僕は“親子の絆”を一番大事にしたかった。多くの大予算の大作は単なるスペクタクル“だけ”ですよね。だから僕はそこに“ハート”を込めたかったんです」。だからこそ、本作ではCGよりも俳優の演技が重視された。「ヒュー(・ジャックマン)と(息子役の)ダコタ・ゴヨは演技力もあるし、何よりもまるでそこにいるような“リアル感”が出せる俳優です。キャスティングではふたりの化学反応を見ることに時間を費やしました。何百人もの子役に会って、最後に残ったのは4人。そこで、彼らとヒューで読み合わせしたのですが、ダコタと演技を始めた瞬間に『彼だ!』とわかりましたね」。そして本作のもうひとりの主役が、旧式ロボットのATOMだ。彼はとてもシンプルなデザインで表情も変わらない。しかし、映画が進んでいくにつれて彼は苦しんでいたり、微笑んでいるように見える。「製作総指揮のスピルバーグやロバート・ゼメキスにATOMのデザインを見せた時、彼らに『表情はないの?』と言われたけど、僕は『観客がATOMの顔に感情を投影してくれるはずだ』と思っていたんです。ATOMが苦しんだり、笑ったりするとき、それは観客の心が彼の顔に投影されているんだと思います。だから、とても大規模な撮影中でも常に“人の感情”を重視しました」。本作に登場するATOMは劇中でどんな表情を見せるのか? ぜひ“あなたの感情”を通して確認してほしい。『リアル・スティール』12月9日(金) 全国ロードショー
2011年12月08日スティーブン・スピルバーグ×ロバート・ゼメキスというハリウッド屈指のヒットメーカーが、長年の夢を実現させた感動超大作『リアル・スティール』がいよいよ12月9日(金)より公開となる。シネマカフェでは、これに先駆けて読者限定の試写会を開催。親子愛のドラマに爽快なロボット格闘技、そして恋愛と色々な要素が詰まった本作だが、果たして読者の心に最も突き刺さったのは?様々な角度から検証してみた。高性能のロボット格闘技の時代の到来によって闘う場を失った元ボクサーのチャーリーが、生き別れになっていた11歳の息子・マックスと旧式ロボットのATOMとの出会いをきっかけに、再起を賭けた闘いに挑む姿を描いた親子の絆の物語。今回集まったのは、20代・30代の女性を中心に親子やカップル、女性ペアの方たち、およそ70名の読者。映画の感想を聞いたところ、興味深いことに多くの読者が口を揃えて「ロボットの戦いの映画だと思ってたけど、違った」と、予想を覆されたことを明かした。「単なるロボット・ボクシングなのかと思っていたら大間違いでした。チャーリーとマックスの親子の成長、絆の深まり方が素晴らしかった」(30代・会社員)、「ロボットの話ということで、男性向きの作品だと思ってましたが、とてもハートフルな感じで好感が持てて楽しめました」(30代・会社員)といった声が多く寄せられた。本作の主人公・チャーリーを演じるのは、『X-MEN』シリーズで一躍その名を広めた“イイ男”ヒュー・ジャックマン。仕事も夢も失った、借金まみれの“ダメ親父”が息子・マックスと11年ぶりに再会してどう変貌を遂げるのか、というのが女性の心をとらえて離さない。「チャーリーに男性としての魅力を感じた?」という問いには、7割以上が「はい」と回答。最初は自分勝手で無責任に見えた彼が、「父親の目つきに変わっていく」、「だんだんと昔の自分を取り戻し、父親としての愛情に目覚めていく」姿に胸きゅんしたという女性が約半数を占めた。それと同時に、そんなチャーリーの「自分の思う道を進むところ」、「子供以上に純粋でまっすぐなところ」、「不器用だけど夢をあきらめない」という“少年らしい”一面に母性本能を突き動かされる女性も少なくないようだ。そんなチャーリーを精神的・実務的に支えるのが、ボクシングジムを経営するベイリー。「チャーリーのような男性が素敵」と言う女性は多かったが、果たして彼女の立場になったとしたら、チャーリーのような夢を追いかける男性を支える自信は…?こちらの問いには、先述の質問からポイントが下がって「はい」と答える人は6割にとどまった。やはりと言うべきか、憧れと現実はそう容易く重なるものではないようだ…。また、「ロボット」「格闘技」という言葉を敬遠する方も少なくないだろうが、今回集まった女性読者からは「スカッとする!」という声が多く寄せられた。スピルバーグが率先してデザインにも加わったというロボットたちによる圧倒的な迫力とスタイリッシュさを兼ね備えた格闘アクション、そしてボクサー・チャーリーの汗が伝わってくる闘いに「思わずこぶしを握ってしまう」と、大スクリーンでしか味わえない興奮のコメントが続々。そんな中、ほとんどの読者たちが他の人におすすめしたいポイントとして挙げたのが、ロボット格闘技を通して育まれる父・チャーリーと息子・マックスの「親子の絆」。それも「男同士の友達のような心温まる関係」、「子供を通してオトナが成長する話」と、普通の親子ドラマとは一味違う、闘う男同士ならではの2人の関係が新鮮な感動をもたらした様子。次いで多くの女性から挙がったのが「マックスを演じるダコタ・ゴヨが可愛い!」とのご意見。先日の来日時にも、その可愛いルックスとスマートな語り口で集まった報道陣やファンの心をとらえていたダコタくんだが、本作では父親役のヒュー・ジャックマンと対等に肩を並べて白熱の演技!スピルバーグが見出した、ハリウッド映画界の申し子と言われる所以はぜひ、スクリーンで確かめてみて。『リアル・スティール』は12月9日(金)より全国にて公開。『リアル・スティール』独占試写会レポート■関連作品:リアル・スティール 2011年12月9日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© DreamWorks II Distribution Co. LLC■関連記事:宮迫博之&ゴリ、久々の競演で“息子自慢”バトル勃発?俳優、父親として…生き方すべてが格好いい男、ヒュー・ジャックマンの「真の強さ」芦田愛菜、キュートな笑顔で『リアル・スティール』続編の出演ゲット!?天海祐希「まるで母親の気持ち」スピルバーグも認める天才子役と再会シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第21回)あなたの理想のコンビ俳優は?
2011年12月06日ヒュー・ジャックマン主演の映画『リアル・スティール』に出演する子役のダコタ・ゴヨが11月30日(水)、揃って来日中のショーン・レヴィ監督と共に記者会見に出席。スペシャルゲストとして芦田愛菜も来場し、“日米実力派子役”の揃い踏みとなった。才能あふれるボクサーだったがロボット格闘技の時代に生きる場を失ってしまった主人公が、赤ん坊のころに別れて以来初めて再会した息子、スクラップ同然に捨てられていた旧式ロボットと共に人生を取り戻していく姿を描く。東京ディズニーランドに遊びに行くなど、初めての日本を満喫している様子のダコタ。最初に出演が決まったときの様子について「最後のオーディションでヒュー・ジャックマンと顔合わせをして3日後くらいだったんだけど、信じられない気持ちだったよ。夕食中だったけど、びっくりして床に転げまわったよ(笑)。だってスピルバーグ(製作総指揮)の映画に出られるんだから!」とふり返った。レヴィ監督は「オーディションで何人かが候補に残ってたんだけど、スピルバーグと話したら『どの子も素晴らしい才能を持ってるけど、演技力だけではない特別な何かを持っている子がいるはずだ』と言われたんだ。その後でダコタに会ったとき、スピルバーグの言っていたことが真実だったと分かったよ」とその才能を絶賛した。父親役を演じたヒューについてダコタは「本当にナイスガイで優しい。みんなが言っている通りだったよ。僕にとっては憧れの人でウルヴァリン(ヒュー演じる『X-MEN』シリーズに登場するキャラクター)も大好きなんだ」とニッコリ。あのかっこいいヒューが劇中ではダメな父親を演じているが、レヴィ監督は「スクリーンに映る彼は本当に魅力的だけど、今回はダメな父親役。でも、観ている人が応援したくなるような男なんだ。途中でダコタに意地悪をするようなシーンがあるけど、ヒューは『ちょっと意地悪すぎないか?』って心配してた。『大丈夫、キミをひどい奴だなんて思う観客はいないよ!こうするからその後のシーンが引き立つんだ』って説き伏せたんだ(笑)」と明かした。ヒュー以外に憧れの俳優としてジョニー・デップ、レオナルド・ディカプリオの名を挙げたダコタ。「将来はマーヴェル作品や西部劇にも出たい!」と夢を語った。最後の報道陣用の写真撮影では、人気絶頂の愛菜ちゃんが花束を携えて登場。英語で「初めまして、芦田愛菜です」とキュートに挨拶し、さらに「私も一緒に戦っているような気持ちになりました」と感想を語った。これには監督は大喜びで「続編があったらぜひ愛菜ちゃんに出てほしい」と早速ラブコール。愛菜ちゃんは満面の笑みを浮かべ、実際に撮影に使われたロボットの前でダコタ、レヴィ監督と並んでファイティングポーズを取った。『リアル・スティール』は12月9日(金)より全国にて公開。■関連作品:リアル・スティール 2011年12月9日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© DreamWorks II Distribution Co. LLC■関連記事:俳優、父親として…生き方すべてが格好いい男、ヒュー・ジャックマンの「真の強さ」天海祐希「まるで母親の気持ち」スピルバーグも認める天才子役と再会シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第21回)あなたの理想のコンビ俳優は?堀内葉子がおすすめ『リアル・スティール』の楽しみ方「カレと一緒に観たい映画!」天海祐希インタビュー女性が憧れる女性の「理想の女性」とは?
2011年11月30日いよいよ11月よりスタートするエリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッドの来日ツアーに追加公演の開催が決定した。「エリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッド」公演情報クリーム解散後の1968年から約半年の間だけ活動した伝説のバンド、ブラインド・フェイスで共に肩を並べたクラプトンとウィンウッド。その後、2007年のクロスロード・ギター・フェスティバルで久々の共演を果たした両者は、翌2008年のマディソン・スクエア・ガーデン、そして今年5月のロイヤル・アルバート・ホールでのコンサートを経て、ついに日本での初共演を披露する。これまでに発表されている来日ツアーは、全国8都市・全12公演(チケットはいずれも発売中)。そして今回決定した追加公演は、12月10日(土)の日本武道館で開催。東京での土曜開催だけに人気殺到が予想される。エリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッド来日ツアー追加公演のチケットは、11月12日(土)10:00より一般発売。また一般発売に先駆けて、チケットぴあではプレイガイド最速先行を11月1日(火)11:00より受付開始。■エリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッド JAPAN TOUR 201111月17日(木) 北海道立総合体育センター 北海きたえーる(北海道)11月19日(土) 横浜アリーナ(神奈川県)11月21日(月)・22日(火) 大阪城ホール(大阪府)11月24日(木) マリンメッセ福岡(福岡県)11月26日(土) 広島グリーンアリーナ(広島県)11月28日(月) いしかわ総合スポーツセンター(石川県)11月30日(水) 日本ガイシホール(愛知県)12月2日(金)・3日(土)・6日(火)・7日(水) 日本武道館(東京都)《追加公演》12月10日(土) 日本武道館(東京都)
2011年11月01日『X-MEN』シリーズなどで男女共に高い支持を集めるヒュー・ジャックマンが、元ボクサーの父親を演じ、新たな魅力を放つ感動のアクション映画『リアル・スティール』の日本版ポスターと予告編がこのほど到着!かつて「08年最もセクシーな男」にも選出されたイケメン俳優であるヒューの、これまで見せたことのない“父親像”とは――?ハリウッドを代表するヒットメイカーのスティーヴン・スピルバーグとロバート・ゼメキスのタッグで贈る感動大作。高性能の格闘技ロボットたちの出現により、夢を果たす場所を失った元ボクサーのチャーリー(ヒュー・ジャックマン)と、生き別れになっていた11歳の息子・マックスが再会を果たし、再起を賭けた戦いに挑む姿が描かれていく。日本の公開に先立って10月7日(現地時間)に全米で劇場公開された本作は、オープニング3日間で興収2,730万ドル(Box Office Mojo調べ)の成績を収め、堂々の第1位スタート。公開規模は異なるが、同日公開であるジョージ・クルーニー監督最新作『The Ides of March』(原題)を大きく引き離しての大ヒットとなった。今回届いた予告編では、アクションを得意とするヒュー・ジャックマンの力みなぎるファイティングシーンはもちろん、スクリーンでは見せたことのない父親の演技もお目見え。再起のチャンスに必死にしがみつく男らしさは胸キュンポイント!さらに、ドラマを盛り上げる迫力のロボット・アクションも見逃せない。『リアル・スティール』は12月9日(金)より全国にて公開。※こちらの映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:リアル・スティール 2011年12月9日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© DreamWorks II Distribution Co. LLC■関連記事:天海祐希、セクシーな黒ドレスでH・ジャックマン最新主演作のプレミアに登場スピルバーグ×H・ジャックマン『リアル・スティール』試写会に5組10名様ご招待
2011年10月12日アメリカ西海岸、サンフランシスコに掛かる全長2,790メートル、高さ230メートルのゴールデンゲート・ブリッジ。そこはサンフランシスコの観光名所であるとともに、世界有数の自殺の名所でもある。何故この美しい橋に自殺者が呼び寄せられるのか?世界中で論争を巻き起こした衝撃のドキュメンタリー『ブリッジ』が6月16日(土)に初日を迎え、それを記念して今年4月に出家し僧侶となったばかりの保阪尚希と、NPO法人自殺対策支援センター、ライフリンク代表の清水康之によるトークショーが行われた。6歳の時に両親を交通事故で失ったと公表していたが、実は自殺であった事実や、いじめを受けた少年時代など自身の衝撃的な過去を明かし、多くの注目を浴びている保阪さん。それでも前進してここまで来られたことに感謝して、悩める人々の相談相手になるために僧侶になることを決意。今年4月に得度を行い、出家した。「これから自殺をしようという人に対して活動しようという思いは全くありません。僕の両親は共に自殺しましたが、それと出家したことは全く結びついてなくて。僕は在家なので、精神論として出家するという形をとらせていただきました」。そして「やっぱり自殺というのは、読んで字の如く“自らを殺す”ということ。ですから殺人ですね。これは仏教では大罪ですので、とても認められません。自殺した人に対して何かしてあげようというのはないですね」と、保阪さんは自殺についての持論を語った。その保阪さんの言葉に対して「私自身は日本の多くの自殺は、追い詰められた自然の死だと思っています。実はご本人たちはずっと生きていたいと思っていながら生きる道を閉ざされて、それで亡くなっていく方が多いんです。これは私がNHK時代に、親を自殺で亡くした子供たちを取材して、遺書を読んだり、家族から話を聞いていくうちに、実は日本の自殺の多くは追い詰められた結果だということが分かったんです」と、別の見地から自殺について説明した清水さん。その、当時行った取材がきっかけとなり、自殺対策に本格的に取り組む決意をしたという。「日本では自殺について、なかなか対策がとられてこなかった。自殺対策というのは遠いもののようにイメージされがちなんですが、自殺が追い詰められたものならば、(自殺対策は)生きる支援、命の支援なんです。いままでそういうものが欠けていたという部分があったので、(NHKで)番組を作るだけじゃなくて、もしかして自分が現場に入れば、生きる支援、命の支援が出来るんじゃないかと思って仕事を辞めて立ち上げたんです」と、ライフリンクを設立した経緯を語った。『ブリッジ』では、監督を務めたエリック・スティール自身、自殺者の友人や家族にインタビューを行い、“何故彼らがそのような行為に至ったのか?”という謎に肉迫していく。保阪さんは『ブリッジ』の舞台・アメリカと日本での自殺を比べ、「今の日本のシステムでは、自らを殺しても保険金が出るんです。だからこそ、お金の問題で追いつめられた時に、自らを殺して遺族や会社のためにお金を残すという手段をとってしまう。取らざるを得ない状況になっている。日本の場合、いわゆる中小企業の多くの経営者たちがお金との引き換えに自殺している事実は大きな社会問題です」と、日本での自殺の特質に言及。さらに、「でもそのお金と引き換えの自殺はさておき、死ぬことや生きることの意味があまり分かっていない子供が自殺を選んでいくということに何かできないのかな、とすごく感じています。僕の子供時代には、小学2、3年生や10歳に満たない子供たちが、意味も知らずに遺書を書いて自殺をしていくという状況は無かったんですよ」と、今深刻な問題となっている子供の自殺について思いを語った。それに対して清水さんも日本の自殺問題の現実に「一日に亡くなる人が90人という時代。この社会で僕らと同じ空気を吸ってる人が、一日に90人亡くなってるわけですよ!しかもその人たちの多くが追い詰められて亡くなっている。本当はもっと生きていたいのに生きる道を閉ざされ、それに対して社会が何もやらないのは一体何なんだ!と感じます。国に自殺対策の法律を作らせたというのを足場にして、国に必要なことをやらせていこう、そしてそのために我々が主体的に動いていかなければならない、と僕は思っています」と力強く語った。保阪さんが「自殺して残された者のことを考えてあげなきゃいけない」と語る『ブリッジ』は、恵比寿ガーデンシネマにて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ブリッジ 2007年6月16日より恵比寿ガーデンシネマにて公開(C) 2005 EASY THERE TIGER All rights reserved
2007年06月22日自殺の名所として世界でも有名なゴールデンゲート・ブリッジ。アメリカ、サンフランシスコの象徴でもあるこの橋では1937年の開通以来、実に1,300人以上もの人が命を落としている。こうした問題についてニューヨーカー誌に掲載された「ジャンパーズ(飛び降りる人)」という記事を読んだ『救命士』や『アンジェラの灰』などを手がけたプロデューサー、エリック・スティールが「この問題を黙殺することは何の解決にもならない」と製作したのがドキュメンタリー作品『ブリッジ』である。映画プロデューサーであったエリック・スティールが、本作の製作を決めた理由は「ジャンパーズ」の記事だけではなかった。「弟を癌で亡くして、その直後に妹も亡くなったんです。それがきっかけで、一時期大きな絶望に襲われました。そのときに一瞬、自殺を考えたりもしたんです。今は、その(自殺という)考えが頭の中に残らなくて良かったと思っています。でも同時に、それが常に頭のどこかにあり、死にたい、自殺したいという方がいることも知っています。自殺したいと思う人々というのは自分からそう遠くない、彼らのいる世界は私自身の世界と異質なものではないという感覚が自分の中にあったんです。非常に扱いにくく難しい問題ですよね。こうしたものを題材にすることを不可能だと思うか、反対にエキサイティングなチャレンジとしてとらえるか…。多分、僕にとっては、大いに受けて立つ価値のあるチャレンジだったからじゃないでしょうか。自殺に関して、今まで人が見たことがない側面を描く良いきっかけ、機会になるんじゃないか、そういう思いに駆られて全てが始まったんです」。2004年から2005年にかけての1年間。橋から飛び降りようとする人、それを止める人、思い直した人、そして、実際に飛び降りてしまった人などの様子を定点撮影でカメラに収めた。「でも、僕たちが橋の映像を撮っている、実際に飛び降り自殺を図る方の映像を持っているということを知られてはいけなかった。サンフランシスコのある機関が自殺者の統計をとっていて、野球のスコアじゃないけれど、999人目まできて、次が1,000人目となったときに、たくさんの人が1,000人目になりたいと大挙して自殺しようとしたということがあったらしくて。そうはなりたくなかった。だからどんな機関にもご家族にも、撮影していることは言いませんでした。僕にとって最も心配だったのは、例えば精神的に不安定な方、あるいは世間の注目を浴びたいとか、そういう精神状態でいる方が僕らのことを聞きつけて自殺を図る、それによって自分を不滅なものにする、といったようなことには絶対になってほしくなかった。これは今回の企画の中で一番倫理的に懸念していたことなんです。おかげでご家族との関係の中で自分がとても難しい立場に置かれることにはなりましたけどね」。そう。この作品には橋の映像とともに、亡くなった人の遺族や友人たちのインタビューが織り交ぜられているのだ。最終的にインタビューにかけた時間は実に120時間に及んだそうだが、大切な家族や友人を失った人たちへインタビューすることに問題はなかったのだろうか?「(橋のある)マリン郡の検死官の方に何人か遺族の方を紹介していただいたんです。僕に話すことで浄化作用が働いたような経験だったとおっしゃってくださった方もいました。話してくれると言ってくださった方には全員お会いしました。一切関わりたくないという方もいらっしゃったし、最初は絶対イヤだと言っていたけれど、最後になって話してくださった方とか、最初は了解してくださったけれど、なんとなく躊躇してしまわれる方とか…本当にそれぞれの家族、それぞれの反応でした」。しかし最終的に、本作に関わった遺族や友人はみな本作を観たそうだ。中には何度も繰り返し観た人もいるという。「この映画に参加することによって、同じように大切な人を失ってしまった家族の痛みや嘆きを少しでも和らげることができるかもしれない。そして、それが自殺を思いとどまらせるきっかけになるかもしれない。そういう気持ちを、映画を観た後に持っていただくことができたんです」。「“誰かが柵に足をかけたらすぐに管理局に電話をする”というルールを決めて撮影をしていました。それで撮影中、6人の命を救うことができたんです」という監督。“自殺”というテーマにどこまでも真摯な態度で挑んだ監督の渾身作は全米同様、日本にとっても大きな衝撃となるに違いない。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ブリッジ 2007年6月16日より恵比寿ガーデンシネマにて公開(C) 2005 EASY THERE TIGER All rights reserved
2007年06月05日