『DIVE!』で様々な映画賞を受賞した気鋭の映画監督かつ、3人の子の父でもあるジェレミー・セイファートがメガホンを取ったドキュメンタリー作品『パパ、遺伝子組み換えってなぁに?』。いま最も関心の集まる“食”をテーマをした本作が4月25日(土)に公開されることが決定した。「どんな食べものを、家族で選択していくのか」――人として、子どもを持つ親として、家族の一員として…生きていくかぎり一生切り離すことのできない、人間と食の問題を描いた本作に登場するのは、映画監督ジェレミー・セイファートとその家族だ。映画監督であり、3人の子どもの父親であるジェレミー。種が大好きな長男の影響もあって「遺伝子組み換え生物=GMO」に興味を持つが、そもそも表示義務すらないアメリカでは、一般の消費者はその実情を知ることが出来ないという現実にぶち当たる。そんな現状に疑問を抱いたジェレミーは、家族と共に遺伝子組み換え食品の謎を解く旅にでる。遺伝子組み換え市場シェア90%を占めるモンサント本社や、ノルウェーにある種を保管する“種子銀行”の巨大な冷凍貯蔵庫、GM食品の長期給餌の実験を行ったフランスのセラリーニ教授など、世界各国への取材を重ねるうちに、徐々に明るみになっていく食産業の実態とは…。近年我々消費者にとっても関心の高いテーマでありながら、とっつきにくい印象も強い「遺伝子組み換え」問題。本作では、家族という身近な切り口から、今までわかりづらかった遺伝子組み換えの世界を分かりやすく描いている。安全性を気にするあまり、何を食べていいのか分からなくなったり、混乱したり、子どものために厳格に取り組みすぎて疲れてしまったり…ジェレミーとその家族が戸惑う姿には「あるある!」と共感してしまうこと間違いなし!本作は、遺伝子組み換え食品の真実を追うドキュメンタリーでありながら「どんな食べものを、家族で選択していくのか」という答えをみつけるまでの、家族の成長物語であり、GMOをめぐるロード・ムービー。「食の問題の理想と現実」という、普遍的であり難しくもあるテーマを追い求めるこの旅の最後に、ジェレミーの家族は何を悟り、何を選択していくのだろうか。本作をきっかけに、家族で “食”について見つめ直してみてはどうだろう。『パパ、遺伝子組み換えってなぁに?』は4月25日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年02月18日日本の“フラ(ダンス)”ブームに火をつけた松雪泰子・主演の映画『フラガール』(’06)。この物語で描かれた、福島県いわき市湯本の大型レジャー施設・常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)で設立されたフラガールチームを始め、一般のフラ教室などの取材を通してフラの魅力を探るドキュメンタリー映画『Aloha mai ka Hula(仮題)』が制作中であることが明らかとなった。スパリゾートハワイアンズ創業50周年の記念すべき年となる、今年。日本のフラ人口は現在100万人とも言われ、なおも増加中。そのフラ人口の大半を占めるのは、30代~60代の女性たち。女性たちにとって、フラは仕事や子育てなどの日常から解放される貴重な時間なのだ。そんな人々を笑顔にさせるフラの魅力を探ってみたいという思いから、この企画はスタートしている。最初に、スパリゾートハワイアンズのフランダンスチームに密着取材したという本作の撮影部隊。総勢38名のダンサーたちの中には、映画『フラガール』を観てフラに憧れてダンサーになった者もいるそうだ。そんな彼女たちが、観客や3.11の大震災からの復興を応援してくれた人々への“感謝”を持って踊る新演目「BIG MAHALO!!(意味:大きな感謝)」のお披露目までの一部始終を追いながら、スパリゾートハワイアンズから引退していった元フラガールたちの人生も追いかけ、プロから引退してもなおフラに関わり続ける彼女たちの想いに迫っていく。これから各地の一般のフラ教室の取材が始まり、編集作業もすでにスタートし、完成は5月予定しているとのこと。映画に広がりを持たせるため、現在、サイバーエージェントがサービスを手がけるクラウドファンディング・プラットフォーム「Makuake」で制作に必要な資金を募るためのプロジェクトを実施中だ。(text:cinemacafe.net)
2015年02月18日ドキュメンタリー映画『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』が第69回毎日映画コンクールでドキュメンタリー映画賞を受賞したことを受け、同作に出演した石川一雄さん(76)が10日、神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホールで行われたオープニングセレモニーに出席した。1963年5月1日に埼玉県狭山市で女子高生が殺害された「狭山事件」で無期懲役とされて服役し、仮釈放後も冤罪を訴え続けている石川一雄さん。同作はその石川さんと妻・早智子さんの「泣き笑い怒り、日々を凛として生き抜く」夫婦の姿を3年にわたって密着したドキュメンタリー作品となっている。観客の拍手を浴びながら早智子さんと共にグリーンカーペットに立った石川さんは「まさか、こういう賞をいただけるとは思いもしませんでした」と受賞に驚き、「これからやがて無罪になると思いますが、この賞を励みに生涯を生きていこうと思います」と喜びを伝えた。表彰式では、金聖雄監督が制作スタッフを代表してトロフィーを受け取った。金監督は、石川さんと会うまで「殺人犯と呼ばれている人はどんな人だろう」「きっと暗くて怖くて不幸の塊のようなそんな人なんじゃないか」と不安を抱いていたが、夫婦そろって対面した時に「現実を真正面から受けとめて凛と生きるその姿」を目の当たりにし「とても心を揺さぶられました」。事件の真相を解明する映画ではなく「2人のラブストーリーとして描こう」と決心したのは、その時だったという。
2015年02月11日今世紀最高のピアニストと賞賛を受けるマルタ・アルゲリッチの素顔に迫った音楽ドキュメンタリー『アルゲリッチ 私こそ、音楽!』が、4月24日(金)よりBD&DVDで発売されることが決定した。約50年にわたって音楽界の女神として君臨する天才にして、3人の娘の母であるマルタ・アルゲリッチの半生を、三女・ステファニーが実の娘ならではのプライベートな視点も交えて描いた一作。“奔放な性格も彼女の芸術の一部”と言われる彼女の個性的な素顔と生き様を、ある家族の肖像としても描かれた人生と音楽のドキュメンタリーとして好評を博した。今回の特典映像には、2010年にワルシャワで行われたショパン・ピアノ・コンチェルトでのコンサート模様(約47分)が収録される予定。また、初回限定盤の特典として、美麗アウターケース仕様に加え、BD&DVDオリジナル・パンフレット(8P)も封入される予定。音楽マニア、そしてアルゲリッチのファンも納得の高水準の内容は、本編同様に見逃せない。また、同作はポニーキャニオンが推奨する2015年度最新名画コレクション「映画美食宣言 シネマ・スペシャリテ」の第3弾対象作品。本キャンペーンがコンセプトに掲げ、太鼓判を押すワンランク上の極上の感動を豊富な特典の数々とともにじっくり堪能してみて。<『アルゲリッチ 私こそ、音楽!』ブルーレイ&DVD/リリース情報>【セル】ブルーレイ&DVD¥5,800(本体)+税【セル】DVD¥5,200(本体)+税発売日:4月24日(金) ※レンタルDVDも同時開始発売元:ショウゲート販売元:ポニーキャニオン(C) Ideale Audience & Intermezzo Films.(text:cinemacafe.net)
2015年02月04日昨年のヴェネチア映画祭で栄誉金獅子賞を受賞したドキュメンタリー映画の巨匠、フレデリック・ワイズマン監督。これまで精神疾患の犯罪者たちの矯正施設からパリの老舗ナイトクラブまで撮影してきた重鎮は、新作『ナショナル・ギャラリー~英国の至宝~』でターナーやレンブラントなどの絵画を所蔵する世界有数の美術館の世界へと足を踏み入れた。その他の画像毎回、通常は扉の閉ざされた場所へカメラを入れるワイズマン監督。聞くと美術館は1度トライしたかった場所だった。「あまりに昔のことでもう忘れてしまったけど(笑)、初めて美術館を訪れたのは中学生のころ。誰かの絵画が好きになったとかではなく、あの空間が好きでよく行くようになった。今も地元のボストン美術館にはよく行くし、海外を訪れた際も近くにいいミュージアムがあれば必ず足を運ぶ。それで実は1度、ある美術館に撮影を申し込んだことがあるんだ。でも、撮影料を要求されてね。私はそういう形で撮影や取材を一切したことがないから断ったんだ。それ以来、話はなく、もう縁がないと思いかけていた」その遠ざかっていたチャンスはふいに訪れる。「何年か前、旅先で偶然ナショナル・ギャラリーの職員に出会ってね。館長やキュレーターを紹介してくれて、彼らに私の過去の作品を見てもらったら、OKが出たんだ。私の作品は、ほとんどがこんな偶然の出会いから始まっている。人生って不思議だよね。撮影も偶然の積み重ねだ。狙って撮れるものなんてない」撮影は約12週間、1日12時間も美術館にはりついた。こうして出来た作品は、ミュージアムのスタッフから一般客、開館時間帯から閉館中、ギャラリー内から舞台裏までをくまなく記録。一連の作品同様にナレーションも音楽も使用せず、多角的な視点で捉えた映像のみでナショナル・ギャラリーに流れる時間、人とアートの関係、そこで働く人々の情熱といった美術館の日常そのものを静かに浮かびあがらせる。「私が常に作品のテーマに置くのは“場所”と“そこに集う人々”。そこから見えてくる何かがある。今回もそのテーマに変わりはない」85歳となった今も新作をコンスタントに発表しているワイズマン監督。今後について100歳を超え現役を続けるマヌエラ・オリヴィエラを例に聞くと「ああいう形で創作を続けられたら理想だ」と語り、力強くこう続けた。「どこまで続けられるかわからないけど、体の続く限り創作を続けていくつもりだよ」『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』1月17日(土)よりBunkamuraル・シネマほかにて公開※取材・文:水上賢治
2015年01月15日「ぴあ」調査による2014年12月5日、6日のぴあ映画初日満足度ランキングは、ロックバンドBUNP OF CHICKENのライブツアーを追ったドキュメンタリー『BUMP OF CHICKEN“WILLPOLIS 2014”劇場版』がトップに輝いた。2位に映画『リトル・ダンサー』のミュージカル版『ビリー・エリオット ミュージカルライブ リトル・ダンサー』が、3位に岸本斉史の人気コミックの劇場版第10弾となる最新作『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』が入った。その他の写真1位の『BUMP OF CHICKEN…』は、バンプが今年4月から7月にかけて行ったライブツアー“WILLPOLIS 2014”を追った記録映画。出口調査では「楽屋での様子など、普段見られない姿がたくさん出てくるのでファンにはたまらない! 影で大変な努力をしている彼らの姿は涙なしでは観られなかった」「メンバーの思いが伝わってくるような映画だった。本当はこういうことを考えていたんだ、とわかる場面もあって、更に彼らを応援したくなった」「音楽を中心とした構成でよかった。過去に行ったライブのドキドキ感や感動が思い出され、ライブに行ったような気持ちを味わえた」「ライブの時にはわからなかった演出が映画になることで緻密にわかった」など、10代から30代までのファンを中心に熱い支持を集めた。2位の『ビリー・エリオット…』は、偏見に負けず夢へとひたむきに進む少年と、家族の姿を描き、世界中で80以上の演劇賞を受賞した感動作。観客からは「バレエも歌声もパワフルで、ストーリーも感動的で楽しかった」「夢を持つ主人公に励まされた。バレエやタップなど、さまざまなダンスが観られたのもよかった」「実際に目の前で観ているような臨場感があって素晴らしい。特にラストは壮大で迫力があり、拍手をしてしまいそうになるくらい感動的だった」「生のミュージカルを観るのと違って、カメラが撮る映像を観るので、普段は気付かないような細かいところに目が行き、新しい見方が出来て新鮮だった」などの感想が寄せられた。(本ランキングは、12月5日(金)、6日(土)に公開された新作映画8本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)
2014年12月08日幅広い世代から熱狂的人気を獲得している日本のロックバンド「BUMP OF CHICKEN」の初のドキュメンタリー映画が2週間限定で公開することが決定。さらに『永遠の0』『寄生獣』の山崎貴監督が手掛けたツアーオープニングアニメーション完全版である短編映画『WILLPOLIS』も同時上映することが分かった。今年4月から7月にかけて行ったライブツアー“WILLPOLIS 2014”を映像化した本作。2014年3月に発売した7枚目のアルバム「RAY」の発表直後に行われたツアーは、全20公演でおよそ25万人を動員。最終日にはバンド初となる東京ドーム単独公演を行い、山崎貴や蜷川実花、チームラボ、AR三兄弟など各ジャンルのトップクリエイターたちが演出チームとしてそれぞれ参加したことでも注目を浴びていた。今回発表されたのは、2015年2月に発売を予定している本ツアーのBlu-ray&DVDのリリースに先駆け、新たに編集された劇場用ドキュメンタリー映画。ツアーを追ったドキュメンタリーと、ツアーオープニングアニメーション映像の2部構成になっている。ドキュメンタリーパートを担当したのは、彼らのMVを数多く手掛けてきた番場秀一。そしてツアーオープニングアニメーション映像を山崎監督が担当する。3DCGアニメーションの短編映画『WILLPOLIS』は、架空の街“WILLPOLIS”を探す一人の少年の壮大な旅を描いた冒険物語。声優には、松坂桃李、杏、水田わさび、山寺宏一、平幹二朗ら豪華俳優陣を起用している。『WILLPOLIS』を手がけた山崎監督は「『BUMP OF CHICKEN』とのコラボレーションはいつも禅問答みたいなんです。たとえばこの短編映画を制作する発端になったミーティングでは、ツアータイトルとして思いついた“WILLPOLIS”とはどういう街なのか、そしてどういう人たちが住んでいるのか、なんてことはあまり具体的には話してくれなかった。でも彼らの心のうちで表現したいことは分かるように話してくれる。それがすごく面白いですね。4 人の思い描いていることを具現化するのが、僕の仕事なんです」とコメント。声優を務める松坂さんは「『BUMP OF CHICKEN』のみなさんの中で3年前から始まった“WILLPOLIS”という概念を表現する作品に自分が出られた喜びを、いま強く感じています。監督から絵コンテをいただいたときから、自分が寝る前に想像するような、ワクワクする物語になるだろうなと感じていて。自分の中で勝手にキャラクターの仮設定を作ったりして、現場に臨みました」と語った。役柄については「主人公の“モーリ”を演じるにあたっては、パフォーマンスキャプチャ用のスーツとヘッドカメラを着けたのですが、初めての経験でとても面白かったです。ですがメンバーみなさんが同じスタジオにいて観ていたので、最初はすごく緊張しました(笑)。完成した短編映画『WILLPOLIS』を観ると、確かに自分が演じたキャラクターなんだけれど、自分とは別の存在としてちゃんと命が宿っているように見えて、すごく不思議でもあり、感動もしました」と仕上がりに満足の様子だ。豪華キャスト&スタッフが手がける本作に「BUMP OF CHICKEN」のメンバーは、「2014年、僕たちはライブツアーをしました。全国各地で最高のお客さんたちに迎えて頂き、最高のツアーになりました。その模様を番場監督がドキュメンタリーにしてくれました。山崎監督がつくったライブのオープニングムービーの完全版も上映します。みなさんに見て欲しいです」とコメントを寄せている。『BUMP OF CHICKEN“WILLPOLIS 2014”劇場版』は12月5日(金)より2週間限定上映。 LIVE DVD&Blu-ray『BUMP OF CHICKEN「WILLPOLIS 2014」』は2015年2月4日(水)より発売。(text:cinemacafe.net)
2014年10月22日ドラマも映画もバラエティも日本びいきの私が、唯一海外モノにハマっているのがドキュメンタリー番組。『ディスカバリーチャンネル』『アニマルプラネット』『ヒストリーチャンネル』『ナショナルジオグラフィック』のどれを見ても、理屈抜きで楽しいのだ。ただ、同時に「日本のドキュメンタリー番組も、これくらい面白かったらいいのに……」とも思ってしまう自分がいる。海外のドキュメンタリー番組が、世界中の人に向けて作られたものである以上、スケールの大きさで劣るのは仕方ないとしても、理由はそれだけではないような気がする。今回は日本の番組制作現場を取材し続けてきた経験をもとに、その違いについて考えてみたい。○ドキュメンタリーでは食っていけないドキュメンタリーである以上、基本的に台本や演出があってはいけない。人間にしろ、動物にしろ、手を加えることなく、ありのままの姿を映したものが前提となる。その映像を編集するときに、作り手による何らかの意図が入るが、取材対象者が主役であることに変わりはない。例えば、『ディスカバリーチャンネル』で9月に放送を開始した『ザ・マンハント』。これは元アメリカ海軍兵士ジョエルが各国のエリート特殊部隊を相手に"ガチの鬼ごっこ"に挑むというもの。わずかな痕跡も見逃さない特殊部隊と、それを分かった上でトラップを仕掛けるジョエルとの緊迫した神経戦にハラハラドキドキさせられてしまった。ところで、「鬼ごっこ」と聞いて、日本のある番組を思い浮かべた人は多いのではないか。そう、『逃走中』である。タレントたちが賞金獲得を目指して逃げ回る同番組は、あくまでバラエティ番組であり、ある程度の演出が想定され『ザ・マンハント』と比べるのはアンフェアだ。しかし、『逃走中』の制作スタッフが、『ザ・マンハント』のようなドキュメンタリーにレベルアップさせられないというのは確かだ。両者の間にある大きな差は、察しの通りスタッフと予算。日本は撮影を手がける技術クルーの絶対数が足りない上に、何より生活がかかっているため、長期にわたる密着が難しい。「他の仕事もある中、どこまで追いかけるのか? どこでよしとするのか?」、決して「労力を惜しんでいる」というのではなく、労力に対する報酬が足りないから、結局できないのだ。例えば、日本でもパパラッチ系カメラマンは、スクープ写真さえ撮れれば引く手あまたであり、それなりの報酬を手にできるが、ドキュメンタリー映像はいいものが撮れても、発表の場も報酬も少ない。この十数年で民放地上波のドキュメンタリー番組が減ったことも向かい風となり、日本のドキュメンタリー番組は負のスパイラルに陥ってしまった。このような状況では、作り手たちが情熱を燃やせないのも仕方がないのである。○「わざわざ見る」土壌がないさらに、『逃走中』との比較から浮かび上がるのは、ドキュメンタリー番組を見る土壌。残念ながら日本には、『ディスカバリーチャンネル』などのような有料チャンネルを契約して「わざわざ見よう」「知的好奇心を満たそう」という人がまだまだ少ない。その点、「多数の加入者から定期的な収入を得て、制作費にあてられる」有料チャンネルは強い。例えば、『ディスカバリーチャンネル』が、『ザ・マンハント』のような骨太な企画に加え、「ネコを集めて群れにする」「トラックで渋滞に突っ込む」などのバカバカしい『怪しい伝説』シリーズを作れるのは、その土壌あってのことだ。日本のバラエティ番組でも、『水曜日のダウンタウン』や『探偵!ナイトスクープ』などで『怪しい伝説』シリーズと似たようなことをやっているが、やはりバラエティ番組という前提があり、深堀するのではなく、意図的に笑いを足しているのが伝わってしまう。見方を変えれば、日本のバラエティ番組は、海外に引けを取っていないとも言えるのだが、「もう1歩踏み込む、もう1枚壁をブチ破る」ことさえできれば、両立させられるのではないだろうか。○民放は報道に準じた番組ばかりでは日本のドキュメンタリー番組には、どのようなものがあるのか? 予算やスタッフの数が段違いのNHKは、長期取材が可能であり、全国支局との連携もできるため、常にたくさんの番組を制作している。その筆頭で25年もの放送歴を誇るのが『NHKスペシャル』。取り扱うテーマは、政治・経済、事件、歴史、生物、スポーツなど幅広い上に、数回にわたる大型シリーズもあり、海外の番組に引けを取っていない。昨年放送された佐村河内氏の特集でミソをつけたが、それだけで評価が揺らぐことはないだろう。一方、民放各局のドキュメンタリー番組は、報道に準じたテーマが目立つ。「事件や社会問題を取り上げ、取材を通して現実を浮かび上がらせようとしている」のだが、実際のところ報道番組のそれと見分けがつかないのだ。ちなみに、報道番組で大切なのは中立性だが、ドキュメンタリー番組は必ずしもそうでなくてもいい。ある人物の視点から徹底的に描いてもいいのだが、事実を紹介するだけにとどまり、本質を追い切れていない番組が多い。また、どうしても日本人の好きな"お涙ちょうだいモノ"ばかりになってしまうのも残念。「視聴者を感動の方向に誘導して、制作側の描いたシナリオ通りに落とし込んでいく」という予定調和的なフォーマットは、ドキュメンタリー番組の定義とは正反対だからだ。その他、「機材の差がありすぎる」「日本はナレーションやテロップが多い」など、日本と海外ではいろいろな違いがあるが、やはり重要なのは、作る側、見る側、それぞれの環境だろう。本来、ドキュメンタリー番組は、さまざまな人間に脚光が当たるものであり、家族そろって楽しめるもの。一人のテレビ好きとして、日本のドキュメンタリー番組が課題を克服し、世界各国からの称賛を受ける日が来てほしいと願う。■木村隆志コラムニスト、テレビ・ドラマ評論家、タレントインタビュアー。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴する重度のウォッチャー。雑誌やウェブにコラムを提供するほか、取材歴1000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書は『トップ・インタビュアーの聴き技84』など。
2014年10月22日ロックバンド・L’Arc~en~Ciel(以下ラルク)のワールドツアーに密着したドキュメンタリー映画のタイトルが『Over The L’Arc-en-Ciel』に決定し、ポスタービジュアルが21日、公開された。2012年3月3日から5月31日まで行われ、総動員数45万人を記録した世界14都市17公演の大規模ワールドツアー。その映像化は、今年3月21日と22日に東京・国立競技場で開催されたライブの終演後にスクリーンで告知されていたが、具体的な公開日やタイトルは明かされていなかった。本作は、バンド結成20周年を迎えたラルクの迫力のライブ映像に加え、これまでほとんど公にされることがなかったバックステージなどの貴重映像を収めている。また、世界中のトップミュージシャンが目指す音楽の殿堂、マディソン・スクエア・ガーデンでの日本人史上初の単独公演の舞台裏も明らかに。メンバー4人が見せる等身大の柔らかな表情、そして虹のかかる美しい土地で見せた涙の理由とは。監督はアメリカ出身の映像ディレクター・Ray Yoshimotoを起用。ラルクの存在を知らなかったという海外育ちの監督をあえて抜てきしたのは、ワールドワイドで展開していくバンドの姿を色眼鏡なしで見つめるため。世界の目から"ラルク現象"をひもといていく。今回公開されたポスターは、「世界が見たラルク、ラルクが見た世界」のコピーを中心に据え、背景にはメンバー4人の姿と各地でのライブ会場の様子を掲載。映画は12月5日から8日間限定で公開される。
2014年10月21日RAMONESのドキュメンタリー映画『END OF THE CENTURY』が11月8日(土)から14日(金)まで東京・渋谷HUMAXシネマでリバイバル上映する。RAMONESは、1974年に結成されたアメリカの4人組パンクバンド。彼らの足跡に迫った同作は、RAMONESに在籍した全てのメンバーの赤裸々なインタビューに加え、ジョン・フルシアンテやSONIC YOUTHのサーストン・ムーアなど、RAMONESに影響を受けたアーティストが出演し、思いを熱く語っている。今回のリバイバル上映はRAMONESのメンバー、CJラモーンの来日公演開催を記念して行なわれる。同公演は、RAMONESのデビューアルバム『ラモーンズの激情』を全曲披露するという事が既にアナウンスされており、ファンの間で大きな注目を集めている。■CJラモーン来日公演11月4日(火)CLUB QUATTRO(東京都)11月5日(水)名古屋クラブクアトロ(愛知県)11月6日(木)梅田クラブクアトロ(大阪府)11月7日(金)広島・4.14 (広島県)開場18:00/開演19:00料金:前売5,800円(税込)【11月7日(金)広島公演のみ】開場18:30/開演19:00料金:前売 4,800円(税込)■映画『END OF THE CENTURY』上映期間:11月8日(土)~11月14日(金)劇場: 渋谷HUMAXシネマ(東京都)上映時間:103分
2014年09月26日昨年9月に公開され、話題を呼んだドキュメンタリー映画「モンサントの不自然な食べもの」に続き、今年6月に再び遺伝子組み換え食品の実態に迫るドキュメンタリー映画が公開される。一瞬ドキリとなる、そのタイトルは「世界が食べられなくなる日」。監督は「未来の食卓」「セヴァンの地球のなおし方」などで知られる、フランス人のジャン=ポール・ジョー。彼は自らが結腸がんを患ったことをきっかけに、カメラを通して、食の重要性を強く訴え続けている監督だ。本作で扱う題材は遺伝子組み換え食品とさらにもう一つ、原子力である。いずれも20世紀に生まれたテクノロジーで、よく似た特徴を持っている。それは「後戻りができないこと、すでに世界中に拡散していること、そして生物の体内に蓄積されやすいこと」だ。驚くべきはこの2つを開発したのは米国を中心とする250の同じ企業グループで、世界の半分もの富を支配するのだという。カメラは、フランスのカーン大学教授による、あるラットの実験を追い続ける。米国モンサント社の遺伝子組み換えトウモロコシ「NK603」と除草剤「ラウンドアップ」を組み合わせて、2年間ラットに与え続けるという実験だ。2年はラットの寿命に相当する。現在、遺伝子組み換え食品の安全基準は「ラットに遺伝子組み換え作物を3ヶ月与え続けても問題がないという実験結果」を元にしている。ラットの3ヶ月は、人間の寿命に置き換えると10年。つまり、人間が一生摂取した場合の安全基準には何の役にも立たないということだ。実験中、ラットは3ヶ月のうちは元気に生きている。ラットに異常が出始めるのは4ヶ月目からだ。そして月日を重ねるごとに、ラットの多くに腫瘍ができ始め、それがこぶのように肥大化していく…。カメラは、日本の福島県へと移る。奇しくも監督が本作を制作中に、東日本大震災が発生。私たちがまざまざと見てきた、福島第一原発事故が起きた。事故後も地元に残り続ける、農家や酪農家たちにインタビューする。「私たちは、安全が“担保”されていない状況で物を作っていいのだろうかと毎日揺れています」。「私たちはもっと不便な生活でも我慢しなくてはなりません。さもなければ、世界の終わりです」。とつとつと語る、彼らの言葉にいたたまれない気持ちに包まれる。あらゆる命の根幹を脅かすかもしれない2つのテクノロジーについて、もう一度じっくりと考える良い機会となるだろう。「世界が食べられなくなる日」2013年6月8日(土)より、渋谷・アップリンクほかにて全国順次公開監督:ジャン=ポール・ジョー製作:ベアトリス・カミュラ・ジョー2012年/フランス/118分/原題:Tous Cobayes?協力:大地を守る会、生活クラブ生協宣伝・配給:アップリンク 取材/杉江あこ
2013年05月17日いつの時代も女性たちのハートを掴んで離さない官能的で魅惑の存在――靴。これまでも『靴に恋して』(’02)など魅力的な靴を題材とした映画は数多く制作されてきたが、このたび“靴と女性の魅惑の関係”に迫った世界初のドキュメンタリー映画『私が靴を愛するワケ』が、5月11日(土)より公開されることが決定した。洋服を買いに出かけたのに、新しい靴を買ってしまった!誰もがそんな経験をしたことがあるはず。マリリン・モンロー、ソフィア・ローレンス、バービー、ベティ・ブープ、「セックス・アンド・ザ・シティ」の主人公たち…いつの時代も女性の足元には常にハイヒールがあり、その時代を彩ってきた。そして、多くの女性たちは美しくなりたい!強くなりたい!新しい自分になりたい!…と思い、気持ちも踵も底上げしてくれるハイヒールを履いてきたのだ。なぜ女性たちは靴の虜になるのか?その魅力とは?本作では「クリスチャン・ルブタン」、「マノロ・ブラニク」、「ピエール・アルディ」、「ロジェ・ヴィヴィエ」といった一度は履いてみたい女性たちの憧れのブランドを手がけるスター・デザイナーたちと、ファーギー(ブラック・アイド・ピーズ)やディタ・フォン・ティース(バーレスク・ダンサー/モデル)を始めとする錚々たるセレブたちが多くの女性を虜にしてきた“靴”の魅力を語り尽くす。その一部を紹介すると、「靴はただ単に歩くためだけのものではない。女性も男性も、靴にフェティシズムを感じるんだ」(クリスチャン・ルブタン)、「靴は私というものを表現するのに欠かせないものよ」(ファーギー)、「靴が自分の人生を変えてくれる――だから私は靴に夢中になるの」(ディタ・フォン・ティース)、「靴はアートよ。芸術品を買うのと同じ。だから何度も眺めて『素晴らしい!』と感動するの」(元「デスティニーズ・チャイルド」ケリー・ローランド)とみなそれぞれに靴に対してただならぬ愛情と思い入れがあるようだ。彼らの貴重なインタビューを交えながら、ポップに、心理学的に、そして社会学的かつ歴史的に、さらには“フェティシズム”をその考察に交えつつ、その魅力の謎を追い、“靴と女性の魅惑の関係”に迫っていく。全世界の女性たちを虜にしてしまう“靴”。そんな靴を愛するすべての女性たちに贈る、珠玉のドキュメンタリーとなっている。本作を観終える頃には、クローゼットにまた新しい一足を増やしたくなっているかもしれない。『私が靴を愛するワケ』は5月11日(土)より新宿武蔵野館にて公開。(C) Copyright Caid Productions / God Save My Shoes, LLC. 2003 – 2013. All Rights reserved.(C) Caid Productions, Inc. All rights reserved./ (C) Mattel, Inc.(text:cinemacafe.net)■関連作品:私が靴を愛するワケ 2013年5月11日より新宿武蔵野館ほか全国にて公開(C) Copyright Caid Productions / God Save My Shoes, LLC. 2003 – 2013. All Rights reserved.
2013年02月15日ザ・ローリング・ストーンズ、50年の軌跡をたどるドキュメンタリー映画『クロスファイアー・ハリケーン』の特別上映会「THE ROLLING STONES 50th ANNIVERSARY DOCUMENTARY FILM “CROSSFIRE HURRICANE” JAPAN PREMIERE」が、11月7日(水)にZepp DiverCity(TOKYO)で開催されることが決まった。映画『クロスファイアー・ハリケーン』は、バンド結成当初から現在に至るまでの歴史を、ミック・ジャガーをはじめとする歴代メンバーへのインタビューや秘蔵映像などで綴ったドキュメンタリー。巨匠マーティン・スコセッシが製作総指揮、『くたばれ!ハリウッド』のブレット・モーゲンが監督を務め、今月10月からイギリスで公開が予定されている。特別上映会では、本編上映のほか10月18日のロンドンのプレミア試写会に出席するメンバー達の映像も公開。チケットの一般発売は10月14日(日)より。なお、チケットは全て50周年記念ロゴ刺繍Version T-shirt付料金。■THE ROLLING STONES 50th ANNIVERSARY DOCUMENTARY FILM “CROSSFIRE HURRICANE” JAPAN PREMIERE11月7日(水)14:00/19:00Zepp DiverCity(TOKYO)全席指定(XLサイズ)-6950円全席指定(Lサイズ)-6950円全席指定(Mサイズ)-6950円全席指定(Sサイズ)-6950円全席指定(XSサイズ)-6950円※3歳以上はチケットが必要。チケットは50周年記念ロゴ刺繍Version T-shirt付。ドリンク代別途必要。
2012年10月12日ケイティ・ペリーの全てが描かれた3Dドキュメンタリー映画「ケイティ・ペリーパート・オブ・ミー3D」が、2012年9月より公開することが決定した。ユニークなファッションスタイルやヘアスタイルで、ファッション業界でも注目を集めるケイティ・ペリーは、2011年2月20日から2012年1月22日に行われたワールド・ツアーのスタートから終了までのステージ上、楽屋裏、プライベートに至るまで、ケイティ・ペリーの全てを記録したドキュメンタリー3D映画「ケイティ・ペリーパート・オブ・ミー3D」が2012年9月より公開される。この映画は全米では既に7月に公開されており、興行成績ランキング初登場8位、音楽映画では歴代4位のヒット作となっている。ケイティ・ペリーは、2010年に発売された全米シングル・チャート5週連続1位の「カリフォルニア・ガールズ」をリードに発売されたセカンド・アルバム『ティーンエイジ・ドリーム』が、全米&全英アルバム・チャートで1位、日本でもオリコン洋楽ランキング1位を記録している。◆映画「ケイティ・ペリーパート・オブ・ミー3D」日本公式サイト(PC/携帯共通)元の記事を読む
2012年08月26日この秋、食の安全を考えるうえで見逃せないドキュメンタリー映画「モンサントの不自然な食べもの」が公開される。冒頭でスクリーンに映し出されるのは、パソコンを立ち上げ、インターネットで「モンサント」と打ち込んで検索する女性。彼女はフランスのドキュメンタリー映像作家、マリー=モニク・ロバンだ。モンサントとはアメリカの多国籍バイオ化学メーカー。かつては枯れ葉剤や牛成長ホルモンなどを開発したことで知られるが、現在の主力商品は除草剤「ラウンドアップ」と遺伝子組み換え作物だ。モンサントは大豆、トウモロコシ、綿、ナタネ、カボチャ、トマトなど、実に20数種あまりの遺伝子組み換え作物を開発してきた。人為的に遺伝子を操作することで、除草剤「ラウンドアップ」に耐性のある性質、殺虫剤を生成する性質などを生み出した。 例えば除草剤「ラウンドアップ」と遺伝子組み換え大豆を一緒に使えば、雑草はすべて枯れて、大豆だけが収穫できるというわけだ。農家にとっては非常に効率的で便利なように思えるが、しかし遺伝子組み換え作物の安全性については賛否両論。健康や環境への安全性は、確実には立証されていないのだ。 さらにモンサントは自社開発した種に対して特許権を取得。モンサントの種を使った農家は、作物を収穫した後に自家採種することは認められていない。もしも自家採種した場合は、特許権侵害として訴えられ、多額の賠償金を命じられることになる。 マリー=モニク・ロバンはインターネット検索で得たモンサントに関するさまざまな公式文書を元に、それらに関係する政府高官や学者、専門家、農家たちへ会いにいく。彼らの証言によって、モンサントの実態が次々と明らかになるのだが、果たしてモンサントの本当の狙いとは…。ちなみに日本でも遺伝子組み換えの種が一部認可されているが、ほとんど試験栽培のみで、商業栽培はされていない。しかし大豆、トウモロコシ、ナタネ、綿実などの遺伝子組み換え作物自体は輸入していて、多くは食用油や液糖の原料、家畜飼料として使われている。通常、食品の原料に遺伝子組み換え作物を使用した場合は表示義務があるが、組み替えられたDNAや、それによって生成したたんぱく質が含まれない場合は表示しなくてもよいと決められている。したがって表示がないために、知らず知らずのうちに植物油や飲料水、肉を通して口にしていることはある。 豆腐や納豆の原料に表示されている「遺伝子組み換えではない」。今のところ、私たちはそうした表示を見ることでしか判断ができない。しかし国産トウモロコシや菜種を使った油を選ぶとか、肉を食べるのを控えるとか、少し知識を身につけるだけで判断材料は増える。果敢な女性ジャーナリストによる本作は、食への意識を高めるきっかけになるはずだ。「モンサントの不自然な食べもの」監督:マリー=モニク・ロバンカナダ国立映画制作庁・アルテフランス共同製作2008年/フランス、カナダ、ドイツ/108分/原題:Le monde selon Monsanto協力:作品社、大地を守る会9月1日より、渋谷・アップリンクにて公開 取材/杉江あこ
2012年08月24日時代を代表するポップ・スター、ケイティ・ペリー。彼女の素顔が浮かび上がるドキュメンタリー3D映画『パート・オブ・ミー 3D』が、9月29日(土)より期間限定で日本公開される事が発表された。また、公開を記念してケイティ登壇予定のプレミア上映の開催も決定した。ケイティ・ペリー『パート・オブ・ミー 3D』チケット情報ケイティ・ペリーは、ポップなうた、キュートなルックスとキャラクター、抜群のファッション・センスで世界的に大ブレイクしたプリンセス・オブ・ポップ。2008年に全米チャート7週連続1位の「キス・ア・ガール」などを収録した『ワン・オブ・ザ・ボーイズ』でデビュー。2010年、全米で最も売れたシングル「カリフォルニア・ガールズ」を収録したセカンド・アルバム『ティーンエイジ・ドリーム』は、全米&全英で1位、日本でも洋楽チャート1位を記録。このアルバムからシングルカットされた5曲がビルボードで1位を獲得し、1枚のアルバムに収録されたNo.1シングル曲の記録で、マイケル・ジャクソンと並び、史上2人目、女性歌手としては初の快挙を達成している。『パート・オブ・ミー 3D』は、2011年2月20日から2012年1月22日に行われたワールド・ツアー「カリフォルニア・ドリーム・ツアー」のスタートから終了までのステージ上、楽屋裏、プライベートに至るまで、まさにケイティの全てを記録したドキュメンタリー。全米では、既に7月5日から公開されている注目作だ。ケイティは、この撮影で何もかも包み隠さず映像化することを重視。圧倒的なライブシーンはもちろんのこと、俳優でコメディアンのラッセル・ブランドとの破局という個人的なトラブルを抱えた中でのショー継続を決断する様子まで、彼女の成功と挫折を赤裸々に描き出している。ケイティは「この作品を通して、自分自身に正直であること、夢にチャレンジすることの大切さを感じて欲しい。人々が感化されて動き出すことを望むわ。充実した人生を生きて、あなたの目標を達成しましょう、それが大きな目標でも、小さな目標であっても」とコメント。彼女の前向きな姿が大きな話題を呼びそうだ。ケイティ・ペリー『パート・オブ・ミー 3D』は、9月29日(土)より全国21劇場で上映。また今回の日本公開を記念して、9月25日(火) 東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて、ケイティ・ペリー登壇(予定)のジャパンプレミア上映が開催される。チケットは、前売り鑑賞券・プレミア上映券ともに、9月8日(土)10時より一般発売。尚、チケットぴあでは、プレミア上映の先行を実施。最速抽選いち早プレリザーブを8月29日(水)11時より、先行抽選プレリザーブを8月30日(木)11時より受付ける。
2012年08月22日1988年に結成され、米ヒップホップ界を代表するグループのひとつとして知られるア・トライブ・コールド・クエストの軌跡を追ったドキュメンタリー『ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ~ア・トライブ・コールド・クエストの旅~』が11月3日(祝・土)より日本公開されることが決定した。ア・トライブ・コールド・クエストは、Qティップ、ファイフ・ドーグ、アリ・シャヒード、ジェロビ・ホワイトの4人からなるヒップホップ・グループ。ジャズやエレクトロの要素を大胆に取り入れたトラックと、MCの繰り出す巧みなラップで徐々にファンを増やし、現在では米ヒップホップ界を代表するグループのひとつとして多くのファンを抱えている。映画は、そんな彼らの過去と現在を、俳優としても活躍するマイケル・ラパポートが追ったドキュメンタリー作品で、メンバーはもちろん、コモン、ビースティ・ボーイズ、ザ・ルーツ、デ・ラ・ソウル、ジャングル・ブラザーズらが出演。劇中には日本公演の模様や、Qティップが東京を散策する場面も登場しており、日本のファンにはたまらない作品になりそうだ。なお、トラックメイカー/プロデューサーのマッドリブが映画音楽を手がけており、こちらも注目だ。また、日本公開に際しては、K DUB SHINEが字幕監修を担当することが決定している。『ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ~ア・トライブ・コールド・クエストの旅~』11月3日(祝・土)ヒューマントラストシネマ渋谷にてレイトロードショー
2012年08月14日名匠ヴィム・ヴェンダースが、2009年にこの世を去った天才舞踊家ピナ・バウシュが遺した軌跡を捉えたアート・ドキュメンタリー『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』のブルーレイ/DVDが24日(金)にリリースされる。公開時は“アート映画”でありながら“3D映画”として注目を集めた作品だ。その他の写真本作は、舞踊界、演劇界に多大な影響を与えたピナ・バウシュの世界を捉えたドキュメンタリー。ブルーレイとDVDは2Dでの収録となるが、ヴェンダース監督がこだわり抜いた撮影によって、これまで客席では観ることのできなかった視点から、稀代の舞踊家ピナ・バウシュの世界を堪能できる。また、ソフト化に際して未公開シーンを特典として収録。劇映画や通常のドキュメンタリーの削除・未公開シーンは、前後の流れを断ち切られた“映像”でしかないが、ダンス・パフォーマンスを捉えた本作の未公開シーンは、上映時間の都合で収められたなかった“作品”として観ることのできるクオリティの高いものが揃っているという。劇場公開時は、ダンス愛好家だけでなく、一般の映画ファンからも好評を集めた本作だけに、ソフト化を機にさらに幅広い観客から支持を集めるのではないだろうか。『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』コレクターズ・エディションブルーレイ 6825円(税込)DVD 5985円(税込)8月24日(金)発売発売元:ギャガ 販売元:ポニーキャニオン
2012年08月13日アイスランド出身の女性アーティスト、ビョークが英国プロデューサーのデイビッド・アッテンボローとタッグを組み、音楽ドキュメンタリー『Attenborough and Bjork:The Nature of Music』(原題)を製作することが決定した。同作は音楽の進化や人間と音楽の関係、今後テクノロジーがいかにその関係に影響を及ぼすのかといったテーマを追究した作品になるとのこと。監督を務めるのはルイーズ・フーパー、製作は『Katy Perry:Part of Me』(原題)や英ポップバンド「ブラー」のPVで定評があるパルス・フィルムズ社が担当。英チャンネル4で放送される。本作の製作総指揮を務めるルーカス・オチョア氏は、本作について「ビョークの革新的な音楽プロジェクト(である2011年の「バイオフィリア」)に端を発した企画」と言い、我々としてはビョークとこのドキュメンタリーを製作することができてとても興奮しています。ビョークはポップ・カルチャーにおいて最もアイコニックな存在で、ほかのどのアーティストもしないような斬新なことを試みる存在なんです」と作品への意気込みを語る。オチョア氏が言う通り、ビョークによるマルチメディア・プロジェクト「バイオフィリア」が強く影響しているという同作では、コトドリやヨシキリなどの鳥のさえずりやシロナガスクジラの鳴き声を織り交ぜて自然界における音楽の存在を表現するものになるようだ。ビョークとプロデューサーのアッテンボロー氏は昨年、3年ぶりの彼女のイギリス公演「マンチェスター・インターナショナル・フェスティバル」が開催された際に、同氏がイントロダクションやナレーションを担当するという形でコラボを実現している。ビョークは子供の頃に見たアッテンボロー氏によるザ・ローリング・ストーンズへのインタビュー映像を見て以来、彼を「私のロックスター」と高く評価しているとか。
2012年08月03日“世界で最初のSF映画”ともいわれるジョルジュ・メリエス監督の傑作『月世界旅行』のカラー復刻版が、彼の生涯を追ったドキュメンタリー『メリエスの素晴らしき映画魔術』と共に8月25日(土)から日本公開されることが決定した。その他の写真『月世界旅行』が発表されたのは今から110年前の1902年のこと。当時は映画の創成期で、風景や街を行き交う人々がスクリーンに登場するだけで多くの観客が驚いていたが、元奇術師で、映画作家のジョルジュ・メリエスは、巨大なセットと自分で発明した撮影トリックを駆使して“人間が月世界に行く”という当時では想像を絶する物語を描き出した。その創意工夫に満ちた作品は、多くの映画人、映画ファンから支持されており、今年3月に公開されたマーティン・スコセッシ監督の『ヒューゴの不思議な発明』ではメリエスの作品と生涯が重要なモチーフになるなど、近年、これまで以上に彼の偉業に注目が集まっている。このほど公開されるのは、本作の幻のカラーフィルムを丁寧に修復し、完全復刻した“カラー修復版”で、その修復過程を収録し、トム・ハンクス、ミシェル・ゴンドリー、ジャンピエール・ジュネらがメリエスへの想いを語るインタビューなども登場するドキュメンタリー『メリエスの素晴らしき映画魔術』と共に公開される。『メリエスの素晴らしき映画魔術』『月世界旅行』8月25日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開
2012年07月04日認知症にかかった実母の姿を記録したドキュメンタリー『毎日がアルツハイマー』が7月14日(土)から公開される。本作は『戦場の女たち』『THE ダイエット!』の関口祐加監督が自らカメラをまわして収めた映像をまとめた“長編動画”だ。予告編本作の主人公は、関口監督の実の母、ひろ子さん。2009年から認知症が進行し、記憶や判断力、理解力が徐々に失われつつあるのと同時に“喜怒哀楽”がハッキリとするようになってきたそうだ。そこで監督は約2年半にわたって母との日々を映像に記録し、時にシリアスで、時にコミカルな面も持つ本作を完成させた。本作はあえて“映画”とは呼ばず、“長編動画”と称している。そもそも本作で使用されている映像は、2010年からYoutubeで公開され、その累計視聴数は20万を突破。100時間以上におよぶ映像素材を93分にまとめたものが『毎日がアルツハイマー』だ。これまでもネット上で作品を発表したり、ネット経由で収集した映像を再編集して映画を製作するケースはあったが、ドキュメンタリー監督が“現在進行形”の記録を長期に渡って公開し、その反響を受けて劇場公開作が誕生するケースはまれだ。また、扱っている題材も、家族のあり方、避けられない老い、それでも訪れる日常の笑いやトラブルなど、幅広い観客に受け入れられる内容だけに、劇場公開を機に大きな注目を集めることになりそうだ。『毎日がアルツハイマー』7月14日(土)より ポレポレ東中野、銀座シネパトス、横浜ニューテアトルにて公開
2012年06月11日人気KPOPグループ、2PMと2AMのデビューから現在までを追ったドキュメンタリー映画『Beyond the ONEDAY ~Story of 2PM & 2AM~』の完成披露プレミア試写会が7日に都内で行われ、2PMのチャンソン、ニックン、ウヨン、ジュノ、ジュンス、2AMのジヌン、スロンと大道省一監督が、約15倍の倍率の中から選ばれた644人のファンの歓声に迎えられ登壇した。その他の写真本作は、韓国で“野獣アイドル”と称され日本でも絶大な人気を誇る2PMと、人気ヴォーカルグループ2AMの姿を追ったドキュメンタリー作品。舞台裏やプライベートが垣間見られる映像、インタビューを通して、同じオーディション番組からデビューした兄弟グループならではの絆や素顔を映し出している。挿入歌『No Goodbyes』の作詞作曲も手がけているジュンスは「練習生の時から一緒に練習をして共に過ごしてきたので、家族のような思い出がたくさんあります」と感慨深げ。印象に残っているエピソードを聞かれたウヨンは「水族館での撮影はメンバーと遊びに行った気分で、本当に楽しかったです」とコメント。ニックンは「屋形船に乗っているシーンが景色も綺麗で、食事も美味しく、とても雰囲気がよかった。次回機会があれば、家族と一緒に行ってみたい」と家族思いな一面をみせた。映画の見どころについて大道監督は「一番こだわったのはメンバーそれぞれの十人十色の顔です。そこにはかっこいい彼らや、可愛らしい彼らの顔はもちろん、日本という慣れない土地で活躍する彼らの苦悩も映し出しています」とアピールした。『Beyond the ONEDAY ~Story of 2PM & 2AM~』6月30日(土) よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
2012年06月08日小栗旬と岡田将生が主演を務める映画『宇宙兄弟』の森義隆監督が映画の公開を前にインタビューに応じた。その他の写真これまで多くのドキュメンタリー作品を手がけてきた森監督。初の長編映画で絶賛を浴びた『ひゃくはち』は実話に基づいた作品だったが、今回は累計発行部数800万部を超える人気漫画が原作。「映画にしかできないことをやろう」という思いで実写化に取り組んだという。例えば原作では登場人物に内面描写で語らせるシーンが多くを占めるが「それを映画でそのままやってもモノローグだらけの漫画のダイジェスト版にしかならない。逆に漫画になくて映画にあるものは何かと言えば、俳優たちの生身の肉体。俳優に動いてもらうことでそこは乗り越えられると思った」と俳優の表現力への信頼を口にする。兄・ムッタ(小栗)と弟・ヒビト(岡田)が直接顔を合わせるシーンが決して多くはないのも本作の特徴。だが、不思議と2人を隔てる物理的な距離以上に心理的な意味での“近さ”に強く惹きつけられる。監督は「ドキュメンタリー時代から人物を描く上で一貫したやり方なんですが…」と前置きし、「岡田にカメラを向けつつも、そこにはいない小栗を撮る。逆も然り。2人の人物を撮るときにその間にあるものを撮るということを大切にした。実際、120ほどのシーンの中で2人のシーンは5シーンくらいしかないんですが、観た後に『そんなに少なかった?』と思ってもらえると思います」と自信をのぞかせた。映画ならではの表現を実現するために、撮影では俳優を追い込んだ。ムッタが子供の頃にヒビトと訪れた原っぱに再び足を運ぶシーンでは、夜中の12時に撮影を開始してテイクを繰り返すうちに「気が付いたら陽が昇っていた」という。一方で「僕自身、頭の中に明確な正解を持ってるわけでもないんです」とも言う。「僕も一緒に迷ってるんですよね(苦笑)。あの原っぱでムッタが『おれは宇宙に行きたい』という内なる思いをセリフで口に出したら台無しになる。彼の中には僕も説明できないいろんな要素が詰まってるはずなんです。『小栗ならもっと行ける。ここで行ければこの先のムッタはもう一段高いところで作っていけるはず』と限界まで粘りましたが、そうやってムッタを一緒に探した過程がその後のシーンでも絶対に活かされていると思います」。もう一人の主演・岡田に関しては「小栗旬を軸としたときに今、その小栗を本気で嫉妬させられるのは岡田将生」とこれまた絶大な信頼を寄せる。その岡田について強く印象に残っているのは初号試写を観終えての彼の反応だったという。「『感動した』と言うから『どこに?』と尋ねたら『ムッちゃんがこんなに僕のことを思っててくれたことに』って言うんです。彼はヒビトを演じただけでなく、彼自身としても映画の中を生きたんでしょうね」。ドキュメンタリーで生の被写体を撮り続けてきた監督にとって、そのひと言は嬉しい言葉だったに違いない。『宇宙兄弟』5月5日(土)より全国ロードショー取材・文・写真:黒豆 直樹
2012年05月02日開催中の第4回沖縄国際映画祭。長編プログラム、特別上映作品、地域発信型プロジェクトなどの既存部門に、今年はドキュメンタリー部門が新たに加わり、登山家・栗城史多の挑戦を追いかけた『地球の頂へ』、3.11を題材にした『ソノサキニ』『Pray for Japan~心を一つに~』『お笑い芸人と東日本大震災~よしもとあおぞら花月~』の4作品が上映された。その他の写真『お笑い芸人と東日本大震災』は、震災後、吉本興業が行っている支援活動“よしもとあおぞら花月”の活動を取材した記録ドキュメンタリー。被災地に笑いを届ける芸人たちと被災者たちの触れあいや活動の意味を問う葛藤を映像におさめている。映画祭6日目の舞台あいさつ付きの無料チケットは即完売で、上映前には山崎邦正、なだぎ武、ワッキー(ペナルティ)、川田(ガレッジセール)が登壇し、それぞれの想いを語った。昨年の同映画祭は、東日本大震災に向けたチャリティーをテーマに開催。その時の想いを「風化させたくない」というよしもと芸人たちは自ら被災地へ赴いた。お笑い芸人にできることについて、なだぎは「僕ら芸人が被災地に行って一体何ができるのかと悩んだんですが、被災地の方たちの大人も子供も楽しんでくれて……その姿を見て、僕らの方が元気をもらいました。卑屈になっているのは僕たちの方だった」と実体験から得た感想を述べ、ワッキーは新ネタを披露するなど場を盛り上げながらも「人は笑っているときが一番幸せだと思うんです。だから、一瞬であっても被災地の方の笑顔を見ることができて、幸せなひとときを感じてもらえたのかなと。お笑いも音楽と同じように、人を幸せにすることができるんだと思った」と真面目にコメントした。沖縄出身で第1回目から参加している川田は「おじいとおばあが悲しい時こそ笑えよ、と言っていたことを思い出しました。こういうときだからこそ、笑いが必要なんだと改めて思った」と、自分たちにできることを伝えた。この日の登壇者のリーダー格である山崎も被災地を訪れ「人間はこういうふうに前向きになっていくのか」という感動をもらったと語り、「81分の記録映像を、考えるのではなく“感じてほしい”」とメッセージを残した。第4回沖縄国際映画祭3月31日(土)まで開催
2012年03月30日「ぴあ」調査による2月3日、4日公開の映画・満足度ランキングは、日本で生きるいきものたちに迫ったドキュメンタリー『日本列島 いきものたちの物語』がトップに輝いた。2位は中村光の同名コミックを林遣都、桐谷美玲主演で実写化した『荒川アンダー ザブリッジ THE MOVIE』が、3位に韓国の俳優ヒョンビン主演で『晩秋』をリメイクした『レイトオータム』が入った。2位以下の写真はこちら1位の『日本列島…』は、“家族の物語”に焦点を当てたネイチャードキュメンタリー。嵐の相葉雅紀や長澤まさみらがナビゲーターとして参加している。出口調査では「人間よりも動物たちのほうが生きていくのは大変だと思った」(13歳)、「観たことのない生態が出てきたり、サルの親子やキツネの兄弟の話が印象的。感情表現豊かなナレーターもよかった」(19歳)、「とても見応えのある映像で、日本の知らなかった部分が観られた」(32歳)、「日本にもこんなに素晴らしいところがあるんだと感動した」(65歳)など、幅広い世代から支持を集めた。2位の『荒川アンダー…』は、大企業の御曹司と荒川の河川敷で暮らす個性的な人たちとの交流を描いた人間ドラマ。アンケート調査では「笑えるところもあるが、生きていく上で大切な身が引き締まるような言葉がある」「TVドラマとリンクしていたり、映画にしかないシーンもあって斬新だった」「内容よりもキャラがユニーク。原作を知らなくても大丈夫」など、10代、20代を中心に好評だった。(本ランキングは、2012年2月3日(金)、4日(土)に公開された新作映画14本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)
2012年02月06日突然の訃報に、映画界を中心に各界から悲しみのコメントが寄せられている森田芳光監督。同監督が、デビュー直前に撮影した幻のドキュメンタリー作品『劇的ドキュメント レポート’78~’79』の本編映像が、YouTube公式チャンネル「ぴあチャンネル」にて公開された。追悼:森田芳光『劇的ドキュメント レポート’78~’79』全編公開この作品は、当時雑誌『ぴあ』誌上で行われていた読者投票企画「ぴあテン」「もあテン」の演劇部門で人気を集めていた気鋭演劇人たちを追いかけたもので、「東京キッドブラザース」の東由多加、「四季」の浅利慶太、「空間演技」の岡部耕大、「天井桟敷」の寺山修司、「状況劇場」の唐十郎、「夢の遊眠社」の野田秀樹・・・等々、錚々たる面々の若き日をフィルムにおさめた貴重な1本。当時の熱気溢れる演劇シーンが、生々しくフィルムに刻まれており、日本の演劇シーンを語る上でも非常に貴重な映像といえる。なお、来年3月24日(土)からは遺作となってしまった『僕達急行 A列車で行こう』の公開も控えているほか、これからも森田監督の作品は繰り返し名画座などで上映されることが予想され、文芸大作からコメディ、エンターテインメントまで幅広いジャンルを手がけてきた森田監督の仕事は、氏の死後も映画ファンに愛され続けていくのではないだろうか。
2011年12月23日北欧で古来より言い伝えられている、伝説の妖精“トロール”の存在を追ったドキュメンタリー映画『トロール・ハンター』が、来年の3月に日本で公開されることが決定した。本作は、ノルウェイを舞台に地元で問題になっていた熊の密猟事件の現場をおさえようとした3人の大学生たちが、偶然にもトロールの撮影に成功した記録映像をつづったもの。トロールの存在を隠ぺいする政府の陰謀が明らかになっていくさまも描かれている。未確認生物でありながらノルウェイでは実在すると信じられているトロール。アニメ“ムーミン”のモデルにもなっているが、特徴は知能レベルが極めて低く、人間を含めなんでも食べてしまう生物で、公開された画像からもその巨大さがうかがえる。2011年度サンダンス映画祭をはじめ、世界中の映画祭で話題を巻き起こした本作。トロールの実態を記録した本作は、来年3月24日(土)より日本で公開される予定だ。『トロール・ハンター』2012年3月24日(土)TOHOシネマズ日劇〈レイトショー〉他全国ロードショー(c)2010 Filmkameratene AS Alle rettigheter forbeholdes.All rights reserved.
2011年11月15日「ぴあ」調査による10月28日、29日公開の映画・満足度ランキングは、立教大学現代心理学部映像身体学科の赤崎正和が監督したドキュメンタリー『ちづる』がトップに輝いた。2位に三谷幸喜監督の新作『ステキな金縛り』が、3位に劇場版“プリキュア”シリーズ第11作目となる『映画 スイートプリキュア♪ とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪』が入った。ぴあ映画生活「映画満足度ランキング」1位の『ちづる』は、赤崎監督が自閉症をもった妹の千鶴と母親を1年間に渡って撮り続けた家族の記録。出口調査では「勇気のいる行動だと思う。一緒に生活している姿を写し、日常の会話やケンカの場面など、カメラを意識せず撮られていて興味深い」「作品を観て初めてわかったことがあった。一歩前に踏み出す勇気をもらった」「自閉症とその家族という私の知らない世界を知ることができた。学生が撮ったとは思えない作品で驚いた」「初めて出会う、知らない家族なのにとても愛おしく感じた。重いテーマのように感じるが、それを微塵も感じさせないユーモアもあり、幸福感に満ちていた」など、作品を観て感じたことを真剣に語る観客の姿が印象的だった。2位の『ステキな金縛り』は、殺人事件を担当することになった弁護士(深津絵里)と落ち武者の幽霊(西田敏行)が繰り広げる騒動を描いた法廷サスペンスコメディ。アンケート調査では「死後の世界をあり得るものとして物語を進めていくスケールの大きさは三谷監督ならでは」「おもしろいのに泣ける。主役を務められる俳優を脇役に持ってくる演出など細部まで楽しめた」「幽霊と出会い成長していく弁護士の姿に感動。おもしろいのに“死”ということにも触れていて充実した作品」など、幅広い世代から高い満足度を獲得した。(本ランキングは、2011年10月28日(金)、29日(土)に公開された新作映画19本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)(C)2011 「ちづる」上映委員会
2011年10月31日古代エジプト文明の“ピラミッド”を題材にした衝撃のドキュメンタリー映画『ピラミッド 5000年の嘘』が来年2月18日(土)に日本公開されることが決定した。その他の写真本作は、世界四大文明のひとつ古代エジプト文明の象徴で、紀元前2700~2500年代に建造されたと伝えられているクフ王の墓、ピラミッドにまつわる“誰も知らなかった真実”を37年間にわたり調査・研究、6年間かけ検証して描いたドキュメンタリー作品。先日公開されたポスタービジュアルに「人間は本当に進化したのか」「この建造物に対するあなたの知識はすべて嘘である」といった言葉が並べられている通り、本作ではこれまで多くの人々が抱いてきたピラミッドに対するイメージや、常識を大きく覆す作品だという。さらに本作は、それらのメッセージが単なる仮説や推測に終わらぬよう、考古学だけでなく建築・物理・地質・数学・気候学・天文学など多方面から検証。各分野の専門家の証言を交えながら、5000年に渡って語り継がれてきたピラミッドに関する嘘を暴き、まったく新たなピラミッド像を浮かび上がらせる作品に仕上がっているという。『ピラミッド 5000年の嘘』2012年2月18日(土)新宿バルト9、丸の内TOEIほか全国ロードショー
2011年10月28日今月6日から開催されてきた<山形国際ドキュメンタリー映画祭2011>が閉幕となり、12日に各賞が発表された。最高賞のロバート&フランシス・フラハティ賞は、イスラエルのルージー・シャツとアディ・バラシュが共同監督で手がけた『密告者とその家族』の手に。審査委員長のアトム・エゴヤン監督は「審査は困難を極めたが最後は全員一致の意見に至った。この作品は、家族、国家、社会の中にあるシビアな境界線を目にみえるものとして表現している。その類まれなる技量に敬意を表したい」と絶賛した。山形国際ドキュメンタリー映画祭2011 受賞結果今回、最高賞に輝いた『密告者とその家族』は、密告者であることが周知となり、パレスチナからは裏切り者と追放され、イスラエルからも保護を受けられず、切り捨てられた男とその家族を追った作品。都合により会場に参加できなかった両監督からはコメントが届き、「今も一家は家族でいることで、この困難を乗り越えようとしている。みなさんが一家を温かく見守ってくれたことがなによりうれしい」と喜びを語った。またアジア映画の新進作家が凌ぎを削ったアジア千波万波の最高賞になる小川紳介賞を受賞したのは中国のグー・タオ監督の『雨果〈ユィグォ〉の休暇』。グー監督は「中国のドキュメンタリー作家にとって山形は最大の目標。敬愛する小川紳介監督の名を冠した賞をいただけてほんとうに光栄です」と感無量の表情をみせた。13日は、これらの受賞作品が一挙上映され、これをもって今回の映画祭の開催は全日程を終了する。今回の本映画祭は例年の多彩なプログラムに加え、東日本大震災復興支援上映プロジェクト「Cinema with Us ともにある」と題され、震災関連の作品を集めた特集が組まれ、大きな関心が寄せられた。その中では、こういった事態を前にしたとき、ドキュメンタリー映画ができることとは何か? ドキュメンタリストが成るべきこととは? といった様々な問いが投げかけられ、議論が交わされるとともに震災について改めて考える場となった。観客にとっても映画関係者にとっても、ひじょうに意義深い映画祭になったことは間違いない。次回は2013年に開催される。取材・文:水上賢治
2011年10月13日