東京大学(東大)は、ナノワイヤ量子ドットレーザの室温(300K)での動作に成功したと発表した。同成果は、同大ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構の荒川泰彦 教授、舘林潤 特任助教らによるもの。詳細は「Nature Photonics」に掲載された。ナノワイヤレーザは、従来の半導体レーザと同様の動作原理ながら、1万~10万分の1の体積でレーザ発振が可能なほか、出力先の方向・形状を制御しやすいため、次世代半導体技術として期待される光電子融合集積回路へオンチップで実装することが可能だ。これまで、さまざまな材料系でのレーザ発振が報告されてきたが、それらのほとんどがバルク材料の光利得を用いてきたが、今回、研究グループでは、量子ドットを活性層に持つナノワイヤレーザ(ナノ量子ドットレーザ)を作製し、共振器構造の最適化を行うことで室温でのレーザ発振を実現したとする。実際にデバイスの評価を実施した結果、光励起による室温発振を確認。性能の指標となる特性温度は133Kと、従来のナノワイヤレーザに比べても高く、これについて研究グループでは、量子ドット導入によるキャリアの効率的な閉じ込めが起きていることが示唆されると説明する。なお研究グループでは今後、ナノレーザ光源の高性能化や多機能化が見込めることから、成長・プロセス・評価技術のさらなる開発による低しきい値動作化や長波長化、実用化に向けた電流駆動によるレーザ発振動作を目指すとしいている。
2015年06月30日慶應義塾大学(慶応大)は、CMOS互換プロセスを用いて世界最高クラスの性能を実現したナノ光共振器を作製することに成功したと発表した。同成果は、同大大学院理工学研究科の大岡勇太氏(修士課程1年)と同理工学部電子工学科の田邉孝純 准教授らによるもの。詳細は、英国Nature Publishing Groupが出版する「Scientific Reports」に掲載された。電子機器や半導体デバイスの金属配線には抵抗が存在し、電流が流れることで熱が発生するという問題があった。この解決に向けた技術としてシリコンデバイスの金属配線を光配線に置き換えるシリコンフォトニクスの研究が各所で進められてきた。この実現には、光をナノ空間に閉じ込めることができるフォトニック結晶技術が有力とされてきたが、従来、フォトニック結晶を作製するためにはスループットの遅い電子線で描画する必要があるため、時間とコストが必要となっていた。そこで、同研究では、CMOS素子を作製する際に用いるフォトリソグラフィ技術を用いたフォトニック結晶の作製が試みられた。従来、フォトリソグラフィでは、電子線描画に比べ精度が低いため、光をナノ空間に閉じ込めるための構造設計を誤差に強いものにする必要があった。そこで今回は、幅変化型という構造を用いることで、その課題を解決したフォトニック結晶共振器を作製することに成功。さらにSiO2膜でフォトニック結晶の上下を保護することで、素子寿命の向上の実現したという。実際に光学特性を測定したところ、光の閉じ込め性能を示すQ値は2.2×105を指し示していることを確認したとする。この値は世界最高クラスのものとのことで、研究グループでは、今回のフォトニック結晶共振器はLSI試作用のシャトルサービスを用いて作製していることから、誰でも手軽に実現することが示され、全光信号処理回路の実現に大きく近づいたとコメント。今後は、ほかのシリコンフォトニクス素子や電子デバイスと集積した光回路の設計・評価を行っていくことを検討しているとしている。
2015年06月22日東北大学は、原子のクラスターにX線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA」から供給される強力なX線を照射すると、ナノメートルクラスの大きさのプラズマ(ナノプラズマ)を生成することを見出したと発表した。同成果は、東北大学多元物質科学研究所の上田潔 教授、福澤宏宣 助教のグループ、京都大学大学院理学研究科の八尾誠 教授、永谷清信 助教のグループ、広島大学大学院理学研究科の和田真一 助教、理化学研究所 放射光科学総合研究センターXFEL研究開発部門ビームライン研究開発グループの矢橋牧名グループディレクター、高輝度光科学研究センターXFEL利用研究推進室先端光源利用研究グループ実験技術開発チームの登野健介チームリーダーらによるもの。詳細は、英国の科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された。強力なX線と物質との相互作用はこれまで研究されていなかった。そこで今回、研究グループは、そうした強力なX線と物質との相互作用の解明に向け、原子の集合体である原子クラスターを試料として、XFEL照射によりどのような応答を示すかを調べたという。これまで、X線を原子クラスターに照射すると、クラスターを構成する原子の深い内殻軌道から電子が放出され、原子はエネルギーが高く不安定な原子イオンになるが、比較的浅い軌道の電子を放出することで安定化し、多価原子イオンになることが知られていた。また、SACLAのような強力なX線パルスを照射した場合、単一クラスター内の複数の原子においてこのような過程が起こり、たくさんの電子が放出され、この過程が進行していくと、時間的に遅れて原子から飛び出した電子のうち、エネルギーが低い電子は正の電荷に引き寄せられてクラスターからは飛び出せなくなっていくことから、微小空間内に正の電荷と負の電荷が混在するナノプラズマが生成することが予想されていた。研究では、アルゴン原子クラスターに強力X線を照射し放出される電子の運動エネルギー分布を測定。その結果、2000~5000eVの高速電子はクラスターから飛び出せなくなることなないが、200eVから低エネルギー側の領域が平らになることが確認され、電子が減速し、ナノプラズマが生成されることが示唆されたとする。また、理論計算からX線照射によって放出される電子の中でも比較的低エネルギーの電子とクラスター内の原子との衝突により放出される2次電子がナノプラズマ生成に主に寄与していることも判明したという。なお、今回の研究結果について研究グループでは、SACLAの強力なX線パルスを用いた物質の構造解析を行う上で、ナノプラズマが生成される反応素過程を正確に知り、考慮したうえで解析を行うことが必要不可欠であることを示すものであるとするほか、強力X線と物質との相互作用に関する問題を1つひとつ解決していくことで、SACLAを用いて、これまで見えなかった超微細・超高速な現象を見ることも可能になることが期待されるとコメントしている。
2015年06月18日パプリカは6月12日、ナノサイズカーボン粒子をスクワランオイルに分散させた接点導通改善剤「Sound Clear Nano」を発売した。希望小売価格は4,980円(税別)。ヘッドホンジャックやプラグは、使用しているうちに表面に細かな凹凸ができる。その凹凸のために、理想的な「面接触」ではなく、1点で接触する「点接触」になり、振動などの影響を受けやすくなる。Sound Clear Nanoは、ナノサイズカーボン粒子で端子表面の凹凸を埋めることで、面接触を実現する製品だ。ボトルのキャップにあるブラシで、端子の金属部分に塗り、軽くふき取るだけで効果を発揮する。理想的な面接触にすることで、音圧や移送が安定し、またインピーダンスも低下するという。容量は2mL。
2015年06月12日東京工業大学(東工大)や東京大学(東大)、放射線医学総合研究所(放医研)などで構成される研究グループは6月10日、日帰りがん治療の実現に向けたナノマシン技術を開発したと発表した。同成果は、東大大学院工学系研究科/医学系研究科・教授の片岡一則氏(ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)・センター長兼任)、東工大 資源化学研究所・教授、ナノ医療イノベーションセンター・主幹研究員の西山伸宏氏、ナノ医療イノベーションセンター主任研究員のMI PENG氏、放医研 分子イメージング研究センター・チームリーダーの青木伊知男氏らによるもの。詳細は米国化学会発行のナノテクノロジー専門誌「ACS Nano」に掲載された。今回開発された技術は、骨の成分であるリン酸カルシウムの内部に、造影剤として用いられるガドリニウム(Gd)-DTPAをナノ化し、取り込み、ドラッグデリバリシステム(DDS)としてがん組織に送り込むというもの。Gdは中性子線が当たると核反応によりガンマ線やオージェ電子を放出、これでがん細胞などを破壊することでがんの治療を実現する。具体的には、がん細胞に確実に届けるために、リン酸カルシウムの表面にポリエチレングリコールやアスパラギン酸を組み合わせた直径55nmのナノ結晶集合体(ナノマシン)を構築。この大きさは、正常な血管の場合、血管周辺の組織につながる孔では狭く通らないが、がん細胞が周辺にある血管の場合、100nmまでその孔が拡大するため通り、がん細胞の近辺に到達するサイズだという。また、リン酸カルシウムは正常の細胞ではほぼ中性のpH7.4程度では比較的安定しているが、pHが酸性になると溶ける性質があり、がん細胞は部位によって異なるがpHが6.5~5程度であり、さらに細胞内に取り込まれた場合は酸性度が向上するため、内部のGd-DTPAががん細胞およびその周辺組織にダイレクトに届けられることとなる。Gd-DTPAはこれまでの研究から、がん組織に選択的に集積されることが確認されており、実際に研究グループの研究でもMRIを用いて、固形がんを選択的に造影できていることが確認されているほか、ナノマシン化により、Gd-DTPA錯体のMRI造影剤としての性能を表すT1緩和能をGd-DTPA錯体と比べて、5~6倍に増大させる効果を有することも確認したという。研究では、大腸がん細胞を皮下に移植したマウスを複数例作成し、ナノマシンを投与した結果、ナノマシンが血中に長期滞留し、がん組織に選択的に集積することを確認。これらの結果を受けて研究グループでは、この技術を応用していくことで、MRIによるがんのイメージングの容易化、熱中性子線の照射によるがん組織のみのピンポイント治療の実現の可能性が示されたとしており、将来的な切らない手術の実現と、入院不要の日帰り治療も可能になると期待されるとコメントしている。なお研究グループでは、今後は関係機関などとの調整、ならびに中性子線を発生させるための加速器の設置、病院で実施する場合の設備の検討などを行う必要があるとするが、数年以内にそういった次の段階に進みたいとしている。
2015年06月10日コニカミノルタは4月27日、蛍光ナノ粒子による病理標本作製サービスの提供を7月より開始すると発表した。医療分野などで細胞イメージングや生体イメージングの研究開発に利用される蛍光検出技術の一分野として、有機蛍光色素があるが、これまでの手法には褪色する、輝度が低い、感度や定量性が低いといった課題がある。これに対しコニカミノルタは、銀塩写真用粒子の開発で培った技術を応用したナノサイズの蛍光ナノ粒子を開発。褪色の課題を解決するとともに高輝度化も達成し、抗体を結合して病理染色に応用することで、がん組織の特定タンパク質の検出感度と定量性の向上に成功した。同サービスはこの蛍光ナノ粒子技術を利用したもので、臨床試験で広く利用されている検体(ホルマリン固定パラフィン包埋組織)を用いてHER2、Ki-67、c-MET、PD-L1を対象マーカーとした蛍光ナノ粒子染色標本を作製し、顕微鏡画像、画像解析を提供する。なお、同サービスは4月30日~5月2日に名古屋で開かれる第104回日本病理学会総会における企業展示ブースにて紹介される。
2015年04月27日早稲田大学(早大)は、金属ナノ粒子の電界トラップを用いることで、配線上に一度クラック(亀裂)が生じた場合でも、自己修復する金属配線を実現したと発表した。同成果は、同大 理工学術院 基幹理工学部機械科学・航空学科の岩瀬英治准教授、同大大学院 基幹理工学研究科修士1年の古志知也氏らによるもの。詳細は、1月18日~22日にポルトガルのエストリルで開催された国際学会「MEMS2015(The 28th IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)」にて発表された。今回、研究グループでは、金属配線に自己修復機能を付与することによって、高い導電率と高い伸縮耐性を兼ね備えた配線を実現しようと試みた。これは、伸縮配線を実現するために、従来の研究では"材料"や"形状"に着目したアプローチが試みられてきたのに対し、"機能"に着目した新たなアプローチであるという。まず、厚さ100nmの金配線、および金属ナノ粒子を分散した液体として半径20nmの金ナノ粒子分散水溶液を用いて、自己修復機能を確認するために、ガラス基板上に幅が一定のクラック(亀裂)をもつ金配線を作製した。金属配線は、金属ナノ粒子を含む液体で覆われている。そして、そのクラック部のある金属配線に電圧を印加した。すると、クラック部にのみ電界が生じ、金属ナノ粒子⼦がクラック部に引き寄せられる力(誘電泳動力)が働いた。通常の状態で、金属ナノ粒子はファンデルワールス力や静電反発力を受け液中に分散しているが、電圧の印加により誘電泳動力が大きくなると、クラック部に集められる電界トラップ現象が生じる。そのため、クラック部のみに金属ナノ粒子が集まり、集まった金属ナノ粒子によりクラック部が架橋され、金属配線が修復されるという。一度クラックが修復してしまうと、金属配線がつながり電界が生じなくなるため、それ以上過度な修復は行われない。また、金属ナノ粒子はファンデルワールス力や静電反発力を受け液中に分散しているため、クラック部以外の金属配線部に金属ナノ粒子が吸着することもないとしている。研究グループでは、さらに大きなクラック幅の修復の実現や、さらに高い自己修復機能を目指して改良を行っている。また、現状の構成では液体の封止が必要となるが、液体の封止が構造上、製造上問題になることも考えられるため、金属ナノ粒子をゲル中に分散させた構成での自己修復機能の研究を試みている。
2015年02月19日ライオンが1月21日に発売した新商品「Magica(マジカ)」。“ナノ洗浄”と呼ばれる新たな独自技術により、ベタつく油汚れを水のようにサラサラと洗い落とすことができるという台所用洗剤の新シリーズだ。この商品の効果を、従来の商品と比較し、ナノ洗浄のメカニズムの理解と、食器洗いの楽しさを子どもたちに実感してもらう"出張授業"が15日、商品の発売に先駆け東京都内の小学校で行われた。○1番嫌いな家事は?「驚きの“ナノ洗い”実験教室」と題して行われた出張授業には、東京都北区立西ケ原小学校の6年生33人が参加。先生役には、家庭科の教員免許も持ち、“主夫芸人”として活動するタレントの中村シュフさんが務めた。まず、中村先生は「家事にはどのようなものがあるか」「普段、どんなお手伝いをしているか」と子供たちに質問。すると、皿洗いをはじめ、布団干しや洗濯などが挙がった。次に「毎日する家事の中で嫌いな家事」の調査結果を取り上げ、その1位が「食器洗い」であることを紹介し、理由として「1日に何度もしなければならないから」と解説。「食器洗いがどれくらい大変なのか?」を伝えるため、例としてお皿1枚を1センチとし、1家族が1回の食事に使用するお皿の枚数を10枚と仮定すると、1日3食で30センチ、6年間で東京スカイツリーの高さ(657メートル)に匹敵し、35年間分で富士山の高さと同じ3776メートルにもなることを紹介すると、子どもたちから驚きの声があがった。○ナノ洗浄の効果に生徒から驚きの声が次に子どもたちが学んだのは“ナノ洗浄”。事前知識として、インフルエンザウイルスより小さい、1メートルの十億分の一という大きさの単位と世界を解説。従来の台所用洗剤が分解できる油汚れの大きさが気球サイズとした場合、ナノ洗浄はビー玉程度の大きさまで分解できるというその力を、子どもたちは理論的に学んだ。そして、いよいよ実験スタート。マジカと従来の洗剤(※1)の水溶液に、赤色に着色した油汚れの付着したプラスチック製プレートを挿入し、洗浄力の比較をデモンストレーション。従来の洗剤は挿入後、プレートを上下に振り落としても油が残ったままだったのに対して、マジカの場合はプレートを挿入しただけで油汚れが水溶液に溶け出し、振ると水溶液があっという間にピンク色に染まった。その歴然とした違いを目のあたりにした子どもたちからは、思わず“マジか!”、“溶けた!”、“スゲー!”など声が。ナノ洗浄の効果に驚いたようだ。その後、子どもたちも各グループに分かれて同じ実験を実際に自分たちの手で体験し、初めて見る「ナノの世界」を楽しんだ。実験終了後、ランチルームへ移動して中村先生とともに給食。そして、急きょ、中村先生の発案で、給食の食器を自ら“ナノ洗い”してみることに。給食を食べ終わった人から、流し台で給食で使用したカレー皿をマジカを使って各自で洗う体験をした。子どもたちは、力を入れずにサラっと汚れの落ちる様子に口々に「マジかー!」とおもしろがりながら連呼。担任の先生や授業参観した保護者も(汚れが)サラサラ溶けているみたい!」と驚いた様子だった。(※1)ライオン社製の従来の台所用洗剤○実験後の感想最後に今回の実験教室を受けた児童たちが記入したアンケートには次のような感想が寄せられた。・従来の洗剤はすべて落ちるまでに1分くらいかかったけど、マジカは20秒くらいで全部汚れが落ちたので『マジか!』と思いました。・皿を何年も放置して洗うのをやめたら富士山の高さ以上にもなるなんてびっくりしました。何年経ってもそんな高さにはならないだろうと思っていました。・1メートルから1センチ、1ミリとこれでもすごく小さいのに、さらにナノという小ささで、ナノなんて聞いたことがなかったのですごいなぁと思いました。・油汚れがなくなる早さに驚きました。マジカを実際に使ってみて、力を入れずに油が取れたのでびっくりしました。・学校でもマジカを使ってほしい!!これを機に家でもお手伝いをしようと思います!ナノ洗いを通して、ナノという世界を発見した驚きやさらなる好奇心、さらにその効果への実感と驚き、皿洗いの楽しさを知ったことによるお手伝いへのモチベーションなどが多数寄せられ、実験教室を楽しんだ様子が伺い知れた。
2015年01月23日東北大学は12月17日、パナソニック モノづくり本部と共同で、ナノ結晶合金のNANOMETを用いたモータを試作し、その省エネルギー性の実証に成功したと発表した。同成果は、同大の「東北発 素材技術先導プロジェクト」の超低損失磁心材料技術領域によるもの。NANOMETをモータに適用した場合、その高飽和磁束密度、および低鉄損といった特徴から、家電製品の消費電力の削減が期待されていた。今回、直径約70mm、高さ約50mmのサイズで、ステータ(固定子)にNANOMETを使用してモータを試作した。そして、モノづくり面の工夫によりモータ構造を大きく変えることなく、従来の電磁鋼板(ケイ素鋼板)を使用したモータに比べ大幅に電力損失が削減できることを確認したという。さらに、この結果を踏まえ、東北大学では、NANOMETを実際の家電製品に適用した場合、3%以上の効率改善が見込まれ、世界最高水準の高効率モータが実現可能であると試算したとしている。東北大学は、今回のパナソニックとのNANOMETを用いた家電用モータの共同研究を継続して省エネルギー家電製品の実用化を目指し、モータやトランスなどの省エネルギー化を推進して、昨今のエネルギー問題解消に寄与してきたいとコメントしている。
2014年12月18日大阪大学(阪大)は12月10日、極小なナノドット結晶の結晶方位をそろえて連結した材料を形成する技術を開発したと発表した。同成果は、同大大学院 基礎工学研究科の中村芳明准教授らによるもの。同大大学院 基礎工学研究科の吉川純助教(現物質・材料研究機構 主任研究員)、酒井朗教授、東京大学の塩見淳一郎准教授、アルバック理工の池内賢朗博士と共同で行われた。詳細は、「Nano Energy」のオンライン版に掲載された。廃熱エネルギーを電気エネルギーとして再利用するための熱電変換材料には、従来、レアメタルだったり、毒性を持ったりすることの多い、重い元素を含んだ材料が使われており、より安価で環境に低負荷な材料が求められていた。今回、中村准教授は、ナノドット結晶の結晶方位をそろえて連結することで、高い電気伝導率で低い熱伝導率という熱電変換の高性能化に必要な特性を、レアメタルを使わずに実現した。このようなナノドット構造は、従来法では作製が不可能だったが、独自に開発したナノドット形成技術を応用することで、電気伝導率の悪化を適切に抑え、熱伝導率をバルクシリコンの約1/200まで低減することが可能となった。さらに、同技術では、シリコンの熱伝導率の世界最小値を得ることに成功したという。今回の結果は、地球上にありふれた、環境調和性の高いユビキタス元素であるシリコンを用いた高性能な熱電変換材料を生み出す可能性を示している。優れた電子素子材料であるシリコンが、高い熱電変換機能を持つことができれば、電子素子材料と熱電変換材料を融合した素子が作製でき、パソコンやサーバから排出される廃熱を電気エネルギーとして再利用することができる。これは、将来迎えるといわれるセンサネットワーク社会において、さまざまな場所に配置されるセンサなどに組み込まれる電子素子へのエネルギー供給問題を解決する糸口になることが考えられるとコメントしている。
2014年12月11日EV Group(EVG)は12月2日、ナノインプリントリソグラフィ(NIL) Photonicsコンピテンスセンターを設立したと発表した。同センターは、同社のNILソリューションを活用できるように設計されており、ユーザーがフォトニクスの分野において、新しい機能の製品とアプリケーションを実現できるようにサポートしていくという。NILで形成されたフォトニック構造には、光の取り出し効率を改善できるLEDや、光の取り込み効率を改善できる太陽電池、またはレーザダイオードなどが含まれ、フォトニック構造によりデバイス特性を調整して、性能の向上を図ることができるという。なお、NIL Photonicsコンピテンスセンターでは、オーストリアのEVG本社だけでなく、北米および日本の子会社の最先端クリーンルームにて、専属プロセスチームによるグローバルサポート、パイロットラインの生産設備とサービスが利用できるとしている。
2014年12月03日ライオンは2015年1月21日、「ナノ洗浄」の台所用洗剤「CHARMY Magica(チャーミー マジカ)」を発売する。同商品の特徴は「ナノ洗浄」メカニズムで、油汚れをサラサラ落とせるという点。商品開発にあたっては、同社の衣料用洗剤「NANOX(ナノックス)」の技術も応用したという。○「食器洗い」は嫌いな家事ナンバーワン同社が実施した「食器洗いに関するアンケート調査」(10月/対象人数5,000名)によると、毎日行う家事で「最も嫌いなもの」は「食器洗い」(15.4%)がトップ。理由としては「1日に何度もしなければならない」「全体に手間がかかる」「汚れが落ちるまで、何度も洗わなければならない」などが上げられた。特に「油汚れ」に関しては、「油汚れを洗うとスポンジがヌルついたりベタベタになる」(87.0%)、「油汚れがあるときの食器洗いは時間がかかる」(86.4%)、「すすぎのときに油汚れのヌルつき・ベタつきが落ち切らず、また洗剤で洗い直すことになる」(86.2%)と感じている人が多いという。○「洗うメカニズム」を根本から見直し現在メーカー各社は、「泡」を全面に押し出した台所用洗剤を発売している。ところが、同社のアンケートでは、「洗っているときは泡立っていたのに、すすぐと汚れが落ちていないことがある」(58.7%)、「泡立っているのに汚れが思うように落ちない」(56.1%)など「泡」に対する不満を持っている人が多いということも明らかになった。そこでライオンは油汚れの研究に基づき、「泡」に変わる「ナノ洗浄」をMagicaに導入。洗浄成分が油汚れに素早く吸着し、従来よりも更に細かいナノレベルで分解することができるという。また、汚れを細かく分離させることで、汚れ落ちのスピードもアップ。皿洗いの時間を2割短縮できるとしている。代表取締役社長 濱 逸夫氏は「これまでの洗剤は、泡でこすり広げなから必死に汚れを落とすというものでした。けれども『Magica』は水のように油を溶かし、サラサラと落とすことができます。飽和状態にあった台所用洗剤市場で、数十年ぶりに『洗うメカニズム』に注目した同製品は、大きなインパクトを与えるのではないでしょうか」と、Magicaに対して大きな自信を見せた。ラインナップは「スプラッシュオレンジの香り」「ハーバルグリーンの香り」「フレッシュピンクベリーの香り」の3種類。サイズは230ミリリットル、600ミリリットル(詰め替え用)、1,000ミリリットル(詰め替え用大型サイズ)の3タイプ。発売日は2015年1月21日、全国のスーパーなどで販売予定。
2014年11月26日東北大学は10月19日、ガスアトマイズ法を用いて、磁化されやすい軟磁性の特性をもつコバルト鉄系アモルファス合金(金属ガラス)から、直径がナノメートルスケールのナノワイヤを安価に生産し、これを用いてプロトタイプの磁気センサ素子を作製することに成功したと発表した。同成果は、同大 原子分子材料科学高等研究機構の中山幸仁准教授らによるもの。同大 金属材料研究所の横山嘉彦准教授、東北学院大学の薮上信教授らと共同で行われた。詳細は、米国物理協会誌「Applied Physics Letters」に掲載された。コバルト鉄系アモルファス合金は、優れた軟磁性特性を持つことが報告されている。これまでのコバルト鉄系アモルファス合金のワイヤ作製法では、直径は20~30μm程度が限界だったが、今回の研究では、独自のガスアトマイズ法を用いることにより、直径が100nm~3μm程度の長尺なワイヤの作製に成功した。さらに、作製したワイヤを、集束イオンビーム法を用いて電極上へ固定し、プロトタイプの磁気センサ素子を作製した。このデバイスを用いて、外部磁場を変化させながら、ワイヤのインピーダンスを計測したところ、外部磁場に応じてインピーダンスが変化することが分かった。さらに、インピーダンスのピーク位置も周波数に応じて変化することが観測された。このピーク位置の周波数依存性は強磁性共鳴と呼ばれている。また、インピーダンス変化はGHz領域においても計測されており、従来の周波数特性と比較すると、1000倍以上の応答速度が得られることを示しているという。今後は、さらに高い磁気検出能が得られるような合金の探索や、その探索された合金のナノワイヤ化を進めるとともに、磁気マッピングが得られるよう素子の高密度化を試みるという。また、生体磁気計測を視野に入れた研究を進める。これが実現すれば安価な心磁、脳磁計測機器の発展が期待できるとコメントしている。
2014年11月21日健康ラボはこのほど、ナノ型乳酸菌とオリゴ糖、ビタミンDを配合した「BG(バイオジェニックス)乳酸菌」(30包入り/税込3,240円)を同社のオンラインショップにて発売した。今回の開発にあたり、同社では"免疫力"に注目。免疫は一般的に「病気から身を守る生体防御の仕組み」と定義されるが、その仕組みの一端を担う白血球(免疫細胞)の60%が小腸の内壁に集結しているという(腸管免疫)。そして、乳酸菌の大量摂取により腸管免疫を活性化させることで、生体防御にとどまらず、アンチエイジングや抗ストレスなど全身の健康につながると考えられているとのこと。ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌は、"生きて腸に届く"ことで知られるが、菌の成分(死骸の殻=細胞膜)が腸に届きさえすれば良いということが最新の研究でわかったという。100兆個・500種類ほど存在する腸内細菌の中から、生きた菌・死んだ菌に限らず、1日1兆個レベルの乳酸菌を摂取することで、腸内の免疫が刺激され、腸内環境の改善や体全体の健康に結びつくそう。「BG(バイオジェニックス)」という概念は、日本の乳酸菌研究の第一人者である光岡知足氏が提唱し、「腸内の免疫を刺激するなどして体全体に作用することで、生活習慣病や老化を防止する成分」を意味する。同商品は、「ナノ型乳酸菌 nEC」と「ナノ型植物性乳酸菌 YM2-2」を1包に2,500億個配合。これらはナノ型処理しているため、小腸での吸収率が通常の殺菌乳酸菌より4倍高く、通常の殺菌乳酸菌の1兆個相当(ヨーグルト10kg相当)の効果があるという。さらに、大腸のビフィズス菌増殖に効果的な「オリゴ糖」を加え、それぞれの特性を最大限に引き出しながら腸内環境を整える。また、これらが腸管免疫を刺激することで、アレルギー反応の抑制にも期待ができるとのこと。このほかに配合されるビタミンDは、免疫力を高め、老化による血管障害、生活習慣病や関節の痛みを起こす病気などの予防にも役立つという。
2014年11月20日改良に約2年間!美容の成分を“ナノ化”した5種類スキンケア商品!株式会社ティグレは『エヌ・イン ナチュラル スキンケア シリーズ』の全5アイテムを11月11日から発売した。販売は専用サイトになり、エヌ・イン ナチュラル スキンケア シリーズは、およそ2年の時間を費やし改良されたという。またシリーズの商品は敏感な肌の人も安心して使用できるようにナチュラル植物成分が数多く調合されており、ヒアルロン酸やコラーゲンのナチュラル美容成分を“ナノ化”することにより肌の奥まで浸透させる。さらに一般的なコスメアイテムに用いられているといわれる防腐剤ではなく、防腐効果にすぐれた美容の成分を用いてアイテムを保護している。シリーズの5アイテムの特徴は?エヌ・イン ナチュラル スキンケア シリーズには、オレンジのオイルが皮脂の汚れやメイクを分解し、きれいに洗い上げるメイク落としの専用ソープ【エヌ・イン クレンジングソープ】や、植物のエキスが年齢を感じさせない、うるおいによる透明感のある美しい肌を実現する【エヌ・イン モイストローション】がある。さらに汚れはきれいに落とし、白金やヒアルロン酸などが肌あれを防ぐ【エヌ・イン ウォッシングソープ】や、毛穴のケアおよびエイジングケアをサポートしてくれる【エヌ・イン モイストクリーム】。また3種類のナノ成分やビタミンP、各植物のエキスがブレンドされた【エヌ・イン モイストエッセンス】の5種類アイテムが用意されている。その上、スキンケアには香料ではなく、野バラのエキスによる香り付けがされている。気になる人は早速チェック!(画像はプレスリリースより)【参考】・株式会社ティグレ プレスリリース (アットプレス ニュース)・株式会社ティグレ 専用サイト
2014年11月14日産業技術総合研究所(産総研)は11月11日、貴金属と酸化物が接合したナノ粒子の生成技術を開発したと発表した。同成果は、同所 ナノシステム研究部門 フィジカルナノプロセスグループの古賀健司主任研究員、先進製造プロセス研究部門 加工基礎研究グループの平澤誠一主任研究員らによるもの。詳細は、英国物理学出版局(IOP Publishing)の学術誌「Materials Research Express」のオンライン版に掲載された。貴金属と卑金属で構成される合金のナノ粒子を酸化させると、卑金属成分のみが酸化されることによって、貴金属と酸化物の分離が起こる。この際、一方向に酸化物の成長を促すことによって、酸化物ナノ粒子の一部に貴金属が接合した粒子が生成されることを、貴金属と酸化ニッケル(NiO)をモデルとして今回実証した。同技術によって、ナノスケールの貴金属と酸化物の接合が、複雑な化学プロセスを使用することなく可能になるという。今後、研究グループでは、より多くの種類の酸化物と貴金属が接合したナノ粒子の生成を行い、酸化現象のより深い理解を目指す。また、半導体酸化物と貴金属が接合したナノ粒子については、ガスセンサや触媒特性などの評価も行う予定であるとコメントしている。
2014年11月12日岐阜大学は10月21日、クレージング法を用いたナノ多孔ファイバを開発したと発表した。同大 工学部の武野明義准教授のほか、岐阜県産業技術センター、神谷マテリアル岐阜、ミワマサニット、旭織物、東洋繊維、八木熊などで構成される岐阜大学クレーズナノ多孔ファイバー実用化研究会によるもので、試作品が11月5日から開催予定のメッセナゴヤ2014に出展される予定だという。クレージングとは、プラスチックが破壊される直前にナノ多孔構造を形成する現象のことをいう。この現象が起こると白化するため、通常は抑制するよう材料設計するが、今回、このクレージングを有効に利用する技術を開発した。クレージングにより生じた領域をクレーズと呼ぶ。クレージング法によるナノ多孔ファイバの特徴は、繊維のナノ孔が、製造後であっても自由に変更できることにある。これにより、揮発性があったり、熱に弱く添加困難な酵素、ビタミンなどの素材を、物理的に孔に閉じ込められる。さらに、孔の径を変えると、薬剤を放出して外部の水を浸入させないこともできる。また、長期利用や洗濯も可能である。同技術を繊維製品に応用することで、従来の技術では閉じ込めることが困難だったビタミンCやタンニンを繊維の中に閉じ込め、肌にやさしいシャツや、抗菌・防臭繊維を使った靴下などを作ることが可能になる。そして、その堅ろう性からより長時間効果を持続させることができるとコメントしている。
2014年10月23日EV Group(EVG)は10月22日、大面積のソフトナノインプリントリソグラフィ(NIL)プロセス「SmartNIL」を発表した。太陽光発電、LED、レーザダイオード、光学センサなどのフォトニックデバイスや、バイオ工学用途では、ナノスケール構造を従来の電子線などで描画すると、処理性能が低いため、コスト効率の高い生産に対応して規模を拡大するのは容易ではなかった。また、光リソグラフィ用のステッパ装置などを使えば、処理性能は十分なものの、コストが高過ぎるという問題がある。このため、フォトニックデバイスおよびバイオ工学特定用途では、単一工程で3次元構造(異なる高さを備えた形状)を形成する加工能力が求められていた。この課題に対し、同技術は、150mm以下の基板サイズ向け「EV720」システム、および200mm基板対応の「EVG7200 」システムと組み合わせることにより、フォトニックデバイスとバイオデバイスの量産で要求されるコスト効率性の高いプラットフォームにおいて、高解像度、高アライメント精度、高スループットの3つの要件を最適な形で実現できるとしている。具体的には、最大200mmの基板全面への一括インプリントが可能で、量産用途向けの全面基板「UV-NIL」ソリューションでは、200mm基板で時間当たり40枚以上のスループットを実現できるという。また、ソフトスタンプ複製を装置内に統合させることにより、クリーンルーム内で省スペースを実現している他、高速スタンプ複製機能では10分以下で複製が完了する。さらに、反りウェハの影響を受けにくく、高段差構造に対するパターニングが可能である。そして、最適化された離型特性によりスタンプ寿命を延長するのに加え、セルフクリーニング機能によりパーティクル汚染を減少させ、プロセス全般の歩留まりを改善する。この他、室温プロセスにより、温度のミスマッチと長い構造体の歪みを回避し、アライメント精度を向上させるとしている。
2014年10月23日物質・材料研究機構(NIMS)は10月16日、バルクでは合金にならず、また各々単独では水素吸蔵金属でもない銀-ロジウム(Ag-Rh)合金ナノ粒子が、なぜパラジウム(Pd)のように水素吸蔵特性を示すかを調べるため、その電子構造を観測したと発表した。同成果は、NIMS 中核機能部門 高輝度放射光ステーションの坂田修身ステーション長、京都大学大学院 理学研究科の北川宏教授、九州大学 稲盛フロンティア研究センターの古山通久教授らによるもの。詳細は、「Applied Physiscs Letters」に掲載される予定。元素の周期表中でPdの両隣りにあるRhとAgは、それぞれ水素を吸蔵する能力を持っていない。バルクでは合金になり得ないAg-Rhは、十数nmの大きさにして初めて合金化することができ、AgとRhが1:1のAg0.5Rh0.5合金ナノ粒子はPdと同様に水素を吸蔵する。しかし、なぜ、このような特性をAg0.5Rh0.5合金ナノ粒子がもつかは不明だった。今回、Ag-Rh合金ナノ粒子の価電子帯の電子構造を高輝度放射光の高分解能光電子分光測定、および、理論計算により調べた。直径十数nm粒子の内部の電子構造を実験室のエネルギーの低い(軟)X線を使った光電子分光測定で調べるのは難しいため、大型放射光施設(Spring-8)にあるNIMSビームラインでエネルギーの高い(硬)X線を用いた。また、電子系のエネルギーの計算スペクトルから、実験結果を精密に解釈した。その結果、Ag-Rh合金ナノ粒子は、AgとRhが微視的に分離した混合物ではなく原子レベルで混成しており、その電子構造はPdの電子構造と極めて類似していることがわかった。Ag-Rh合金ナノ粒子に水素が吸蔵されるのは、この電子構造の類似性と関係していると考えられるという。今回の成果から、Ag-Rh合金ナノ粒子は、その電子構造の観点からPdと同様に水素吸蔵のみならず有用な触媒となる可能性も示唆される。今後、その性質と物性などに関して共同研究を進めていく一方、同合金ナノ粒子の他、様々な新機能性物質が産業に展開できるよう、電子構造や原子配列に関するデータを提供し、データを活用した設計型物質・材料研究(マテリアルズ・インフォマティクス)の基盤を形成していくとコメントしている。
2014年10月20日慶応義塾大学(慶応大)は10月8日、規則的に並んだシリコン原子が、中心の金属原子を丸くカゴ状に取り囲む、新たなナノ物質である金属内包シリコンナノクラスタを気相合成し、固体表面上で薄膜化する技術を開発したと発表した。同成果は、同大 理工学部の中嶋敦教授らによるもの。詳細は、英国王立化学会の学術誌「Nanoscale」に近日中に掲載される。ナノクラスタは、数個~1000個程度の原子・分子が集合した数nmほどの大きさの超微粒子である。その物理・化学的性質を原子数や組成、荷電状態によって制御できることが特徴で、触媒、電子デバイス、磁気デバイスなどへの応用が期待されている。特にエレクトロニクス分野では、シリコンなど半導体材料のナノクラスタを積み木のように組み上げて、新たな機能を持つ超微細構造を生み出す技術が注目されている。その中で、ナノクラスタを固体表面で固定し薄膜化する技術は、その基盤となる技術の1つと言える。しかし、気相合成ナノクラスタの構造や荷電状態は、固体表面上で変化しやすく、本来の構造や性質・機能を保持しつつ固体材料化することは極めて困難だった。今回、研究グループでは、16個のシリコン原子が、中心にある1個のタンタル原子を丸くカゴ状に包み込む金属内包シリコンクラスタ(Ta@Si16ナノクラスタ)を気相合成した。さらに、炭素フラーレン(C60)で表面修飾した基板上にTa@Si16ナノクラスタを蒸着し、C60とTa@Si16ナノクラスタの共有結合により複合体化することで、Ta@Si16ナノクラスタを固体表面に固定し薄膜化することに成功した。このとき、ナノクラスタの構造と荷電状態が薄膜化前と変わらずに保持されていることも、実験と理論の両面から実証したとしている。
2014年10月09日セレクトショップ「ナノ・ユニバース(nano・universe)」は創業以来初のテレビコマーシャルを制作し、10月4日から全国放映を開始する。今回制作されたCMはメンズバージョン、ウィメンズバージョンの2本。東京カジュアルをベースに、イギリス、フランス、イタリアなどのヨーロピアントラディショナルを織り交ぜた、大人の洗練された装いを提案している。メンズバージョンは歴史ある美しい街並のロンドンが舞台となっており、英国のロックバンド、オアシス(Oasis)の名曲「ワンダーウォール」を、ウィメンズバージョンは反射する光が美しい水の都ヴェネチアを舞台とし、イタリアを代表するディーバ、フィリッパ・ジョルダーノ(Filippa Giordano)の「ハバネラ」を、それぞれCMソングに起用した。監督を務めたのは、嵐やMr.Childrenらのミュージックビデオ、「リーバイス」やアクエリアスの広告を手掛けた柿本ケンサク。CMは、ナノ・ユニバース公式サイト、YouTubeからも閲覧可能。ナノ・ユニバース ショップ デジタルサイネージ、全国各地の街頭ビジョンでも放映される。また、CMのオンエア期間中ある10月25日から28日の4日間、オアシス史上初の展覧会「CHASING THE SUN : OASIS 1993-1997 #あなたにとってのオアシスとは」が、ラフォーレミュージアム原宿で開催される。同展は、オアシスが世界的人気を確立していく上で最重要期間となった1993年から97年までを振り返るプロジェクト「チェイシング・ザ・サン」の一環として、4月にロンドンでスタートしたものだ。
2014年10月03日東北大学は5月27日、カーボンナノチューブにフラーレンが取り込まれた分子ピーポッドの固体状態の詳細な構造を解明したと発表した。同成果は、同大・JST ERATO磯部縮退π集積プロジェクトの磯部寛之教授らによるもの。詳細は、「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)」のオンライン版に掲載される。筒状の分子内に球状の分子が、あたかも"さやえんどう"のような形で入った炭素性物質ピーポッドは、1998年に初めて発見されて以来、その独特の分子形状や特異な物性に興味をもたれて研究されてきたが、原子の配列まで含めた精密な分子構造はいまだ解明されていなかった。研究グループでは、ごく最近、単純な構造をもつ分子ピーポッドを開発し、分子運動が活発な溶液状態で、中に取り込まれたフラーレンが、抜け出ることができないほど強固に捕捉されていること、またチューブ内部で回転していることを見出していた。さらに、今回の研究では、通常の分子ならば動きを止めてしまう固体状態であっても、分子ピーポッドの内部にあるフラーレンが"くるくる"と回転していること、分子構造を精密に解明できる高輝度X線回折による分析から、カーボンナノチューブ分子の筒の内部には極めて"つるつる(平滑)"な曲面が存在することを明らかにした。また、内部が"つるつる"であることが、内部のフラーレンが"くるくる”と回転するための重要な構造要素であることが分かった。今回の発見が、固体中でも滑らかに回転するナノサイズの機械(分子機械)の自在設計を可能とするために重要な基盤となる知見であるとコメントしている。
2014年05月28日ほうれい線に効くWのハリ力!株式会社ナノエッグが手がける機能性スキンケアブランド「マリアンナ」の口もと年齢美容液「豊麗(ほうれい)」が、4月21日より「新豊麗」にリニューアルした。「豊麗」は2010年12月~2014年4月に40万本のセールスを記録したシリーズNo.1ヒット商品。「新豊麗」にはナノエッグ社が開発した新成分「高浸透型コエンザイムQ10」を配合、肌に入っていきづらいと言われるコエンザイムQ10の浸透をうながす。従来より使用されているα-リポ酸を補う成分「α-リポエッグ」との相乗効果で、Wのハリ効果を実感できる。(画像はプレスリリースより)中身だけでなく容器も使いやすく変更「新豊麗」ではパッケージもリニューアルされた。透明二重構造で残量が一目で分かるようになり、容量も従来品より14%増量した16gに。1日2回、適量を口もとや顔の気になる部分にやさしくなじませる。ワンプッシュ0.24gで約66回分(約33日分)、価格は6,170円(税込み)。専用サイトや聖マリアンナ医科大学の売店でも購入可能だ。今後も「バイオジェニック化粧品」の発売が期待される株式会社ナノエッグは2006年に設立された聖マリアンヌ医科大学発のベンチャー企業。同大学難病治療研究センターと共同研究により、医薬品や化粧品の開発を行っている。ナノエッグ社の皮膚科学研究チームは、人体に元から存在している生体由来成分を皮膚内に浸透させて肌本来の再生力を高め、安全で効果の高い製品を開発。「バイオジェニック化粧品」と名付け、今回第一号として「新豊麗」を発表した。
2014年04月24日*画像はニュースリリースより有効成分を高濃度で配合した「マリアンナメッド」ナノエッグは、医療機関向けの新製品「マリアンナメッドUVプロテクター」を、美容皮膚科・クリニック等医療機関等で、2月1日から販売開始する。「マリアンナメッド」は、聖マリアンナ医科大学の皮膚科学研究から生まれた革新的サイエンススキンケアブランド「MARIANNA」シリーズの医療機関向けブランド。有効成分を高濃度で配合し、一般向け化粧品より高い効果が期待でき、医師の処方のもと購入できる。高い紫外線防御効果だけでなく美肌機能が充実「マリアンナメッドUVプロテクター」は、SPF50+・PA++++のサンスクリーンクリーム。ナノエッグ社が開発した、肌になじみやすく皮膚の状態を持続的にケアするジェル状濃密保湿成分「モイスチャーキューブ」を配合。高い紫外線防御効果だけでなく美肌機能が充実している。また、ソフトフォーカス効果のある美肌パウダーを配合、肌の凸凹を補修し 小じわ、毛穴を目立たなくする。使用感も重視し、べたつきや乾燥、きしみのないみずみずしい感触を目指して開発。“一度使うと手放せない心地よさ”を実現しているという。【参考リンク】▼ナノエッグニュースリリース(PRTIMES)
2014年02月04日産業技術総合研究所(産総研)は12月24日、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の製造技術であるeDIPS法を名城ナノカーボンに技術移転し、両者の共同研究によりSWCNTの工業生産プラントを開発して量産性を実証したと発表した。同成果は、同所 ナノチューブ応用研究センター 流動気相成長CNTチームの斎藤毅研究チーム長らによるもの。同製品は、国産としては初めて化学気相成長(CVD)法で合成されたSWCNTで、2014年に上市される予定。SWCNTは、鋼の20倍の強度、銅の10倍の熱伝導性、アルミニウムの半分の密度、シリコンの10倍のキャリア移動度など、その優れた特性から広い分野への応用が期待されており、ナノテクノロジーの最も有望なマテリアルの1つとして多くの研究が世界的に行われてきた。しかし、これまでSWCNTは量産が困難であり、また現在市販されているSWCNTには構造欠陥が多く純度が低い、あるいは品質にバラツキがあるなど、研究開発用の試料製品としても様々な問題があり、SWCNTの実用化を阻害する要因となっていた。産総研では、高品質なCNT合成技術の研究を行い、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ナノカーボン応用製品創製プロジェクト」の成果として、2006年にCVD法の1つであるeDIPS法を開発し、小規模の装置でも精製が不要となるほどの高純度SWCNTを合成できることを実証した。これまで、このeDIPS法について、研究成果の社会還元を目指して複数の企業への技術移転を行ってきたが、市販には至らず、課題となっていた。一方、名城ナノカーボンでは主に従来のアーク放電法によるSWCNTを製造販売してきた。しかし、アーク放電法は量産性が低く、またアモルファスカーボンやグラファイト性の不純物カーボンが多いことなどが問題だった。これまでSWCNTの純度を向上させるための精製技術や分離技術の開発を進めてきたものの、量産性が高く合成時に高純度高品質なSWCNTを製造できる技術開発の必要性を感じていた。そこで今回、産総研のeDIPS法と名城ナノカーボンの持つSWCNT製造に関する各種技術を組み合わせ、eDIPS法の量産技術実証と工業生産プラントの開発を共同で行うことになった。新たに、eDIPS法による実験室規模の製造装置や各種ノウハウなどの技術情報を基にして、名城ナノカーボンの尾張瀬戸工場内に工業生産プラントを設置し、同プラントの種々の反応条件を最適化した。その結果、SWCNTの製造スピードを100倍向上させた。また、産総研の実験室規模の装置によって合成したものと同程度の高純度SWCNTが高効率で生産できることも確認した。これは、eDIPS法に名城ナノカーボン独自の工程を加えることによって実現したものであるという。具体的には、ラマン分光法による品質評価の基準であるG/D比が、市販品が10~20程度なのに対し、今回のSWCNTでは100以上だった。これは不純物カーボンや欠陥が少なく、結晶性が高いことを示している。また、透過型電子顕微鏡による観察からも不純物が少ないことが確認できた。さらに、乾燥空気中で加熱し、500~600℃で燃焼させた。燃え残った不純物の触媒などの残渣は1%未満であり、純度99%以上を実現した。この他、ラマン分光法によりRBMを測定したところ、その振動数から直径2nm程度(RBM:110~120nm)のSWCNTであることが確認できた。今後も、両者は引き続き共同研究を進め、量産化技術のさらなる向上と効率化を目指しつつ、用途開発や周辺技術開発を希望する企業や研究機関に高純度なSWCNTを供給することにより、CNTを利用した製品開発に寄与していく。また、生産規模拡大や各種の応用製品開発において連携を希望する企業を募り、名城ナノカーボンのSWCNT分散技術や塗布技術、半導体型・金属型SWCNTの分離技術とも組み合わせて、CNTの工業化へ向けた企業連携・協業体制を積極的に構築していく予定とコメントしている。
2013年12月25日髪の毛を乾かすだけで「ナノイー」が浸透し、ヘアケアができると女性に人気の『ヘアードライヤ ナノケア』(パナソニック)シリーズ。6月に発売になったばかりの『ヘアードライヤーナノケア(EH-NA95)』を使い、人気ヘアサロンのスタイリストが無料でヘアアレンジをしてくれる『Change!ナノケアサロン』が、15日と16日の2日間限定で表参道ヒルズにオープンしたということで、さっそく体験しに行ってきました。【画像】『ナノケア』を使ったプロのヘアスタイリングを体験!体験してくれたのは、ファッション誌『with』(講談社)の読者コミュニティ「with girls 委員会」のメンバーで、読モの渡邉マリコさんと高橋志信さんの2人。17サロンの人気スタイリストが時間ごとにわかれ、それぞれのサロンで培ったヘアアレンジの技術を披露してくれるとあって、11時のオープンを前にすでに45分待ちという大人気です。まずはキレイなロングヘアが印象的な渡邉さんがヘアアレンジを体験。こじんまりとしたブースの中でスタイリストとおしゃべりを楽しみながら、新『ナノケア』でスタイリングをすること数分…。“潤ツヤ”ヘアに変身し、「すごいサラサラになりました!見た目からして違うし、触り心地もぜんぜん違う」と大感激。見るからに輝きを増したヘアにうっとりです。一方の高橋さんはサロン内に設置された専門家による頭皮診断コーナーに。普段あまり見ることのない自分の頭皮の拡大映像を見るとあって、「ちょっと見るのがコワイ。キレイな頭皮だといいけど…」と緊張しながら、診断を待ちます。結果は「乾燥肌なので油分が外に出てしまう。血行が悪いのでマッサージをするように」とのこと。「ちょっとショックです」と肩を落としつつも、「『パナソニック 頭皮エステ』のマッサージ器がいいらしいですよ。リフトアップもできるのでぜひ欲しい」と、美容通ならではの情報を教えてくれました。同イベントは16日までの開催となっており、『ナノケア』新商品や頭皮エステなどを体験できるタッチアンドトライコーナーも展開。キャンペーンに参加すると、パナソニックの最新美容家電がその場で当たる抽選会も実施されています。オシャレ女子にとって“潤ツヤ”ヘアは必須。ぜひ新『ナノケア』を体験してみて!【イベント詳細】『Change!ナノケアサロン』開催日時:6月15日(土)~16日(日)/11:00~19:00(※雨天開催)開催場所:表参道ヒルズ本館メインエントランス実施内容:・表参道17サロンの人気スタイリストによるヘアアレンジ体験・『ヘアドライヤー ナノケア』のタッチアンドトライ・専門家のカウンセリングによる頭皮診断コーナー・美容家電製品が当たる抽選会
2013年06月15日パナソニックエコシステムズは、東京農工大学農学部獣医内科学教室・岩崎利郎教授と共同で、水に高電圧を加えることで生成されるナノサイズの帯電微粒子水を用いた空気浄化技術を開発。それにより犬の肌や被毛を健康な状態に保つ効果があることを実証した。水に高電圧を加えることで生成されるナノサイズの帯電微粒子水は、パナソニックの空調機器や美容機器などに採用されている「ナノイー」でおなじみの技術。ペット臭に対して脱臭効果があることがすでに実証されている。アトピー性皮膚炎と診断された犬を飼育している家屋内で、帯電微粒子水を用いた空気浄化装置を4週間連用試験したところ、評価装置を使用した4週目では使用前に比べ、評価した全ての犬5頭において臨床スコアが低下したことが、獣医師により確認された。また、帯電微粒子水発生装置を、室内飼育されている健常犬に対して約1mの距離から1時間運転する実験では、大腿(だいたい)部および鼠蹊部(そけいぶ)の経皮水分蒸散量(TEWL)が低下し、光沢度もあきらかに上昇した。これらの実験結果について、東京農工大学の岩崎教授は「帯電微粒子水が犬の肌および被毛に付着し、表面をコーティングすることにより、角層および被毛から水分が蒸発するのを防ぐので、TEWLが低下した可能性が考えられます。その結果、犬の肌および被毛のバリア機能に影響を及ぼす可能性が示唆され、犬の肌・被毛を健康な状態に保つことが期待できます」とコメントしている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月21日乾燥や加齢によるうるおい不足が気になる人にファンケルは、ナノレベルのヒアルロン酸を新配合した、うるおい不足を感じている女性に向けたサプリメント「ナノ化 ヒアルロン酸」を、2011年12月19日より通信販売、直営店舗および一般流通で新発売する。価格は約30日分(30粒)が、1,780円。約90日分(徳用3袋セット)が4,770円。ヒアルロン酸など3成分が「みずみずしいうるおい」に導く「ナノ化 ヒアルロン酸」は、吸収性に優れた極小サイズのナノレベルのヒアルロン酸を高含有した錠剤型のサプリメント。ほかに、うるおい成分N-アセチルグルコサミンとバリア機能が期待できるセラミドを配合。3つの成分が多角的に働きかけ、「みずみずしいうるおいにアプローチする」という。元の記事を読む
2011年12月17日仕事やくつろぎの時間をビューティタイムにパナソニックは、美容家電を取り扱う「パナソニック ビューティ」より、いつでも手軽にエステできる「デイモイスチャー ナノケア EH-SN10」を、9月より発売した。「肌の乾燥が気になるかたに最適」「デイモイスチャー ナノケア EH-SN10」は、スイッチを入れてそばに置くだけで、水に包まれた弱酸性の微粒子イオン「ナノイー」が発生し、肌や髪をしっとりとコーティングしてうるおいを保ち、キメの整った肌や、ツヤのある髪へと導いてくれるという美容機器。高さ14.6×幅9.4×奥行9.2cmとコンパクトで、パソコンにつないで使える、USB電源対応。現在、「パナソニック ビューティ美容部」では、「Facebook限定企画」として、当製品のモニター10名を募集している。締め切りは9月21日、詳細はコチラ。元の記事を読む
2011年09月08日パナソニックより、うるおいのある肌ケアが本格的に自宅でできるスチーマー「ナノケア EH-SA92」を9月1日に発売。本製品は、冷マイクロミストの大きさを従来の約半分にして、やわらかい肌あたりを実現した。温スチームは従来通り、「ナノイー」を含む「プラチナスチーム」により、肌の角質層までしっかり水分を浸透させ、ハリを与える。 さらに「ナノイー」が皮脂膜を親水化、肌の水分を保持。美容専門家から学んで生まれた従来の温冷美容プログラム(自動コース)に、クレンジングや手軽なケアにも使用できる温スチーム6分コースを新たに追加、忙しい女性のライフスタイルにも対応した。詳細情報はパナソニックビューティーホームページにて。 お問い合わせ先:お客様ご相談センターフリーダイヤル 0120-878-365(受付:9:00~20:00)プレスリリース提供元: 日経プレスリリース
2011年08月07日