人気デュオ・ゆずの北川悠仁が描くマスコットキャラクター・ゆずマンが漫画化され、WEBマンガ『まいんち ゆずマン』として連載スタートすることが決定した。ゆずマンは、北川悠仁がゆずのメジャーデビュー前から描いていたオリジナルキャラクターで、これまでCDジャケット写真やグッズ、ライブ演出などで使用され、ファンの間で長年親しまれてきた。2018年には、配信シングル「公園通り」ジャケット写真や、テレビ朝日系アニメ『クレヨンしんちゃん』での特別出演、LINEスタンプ販売など、さまざまな形で登場。愛嬌のあるイラストが特徴だが、これまで“マンガ”形式では発表されていなかった。『まいんち ゆずマン』は、集英社が運営するWEBサイト「よみタイ」「少年ジャンプ+」にて、本日29日より連載がスタート。隔週で2話ずつ配信予定で、ゆずマンをはじめ、ゆずマンの家族(ゆず一家)、ゆずマンの幼稚園の友だちが繰り広げる、ほのぼの4コマ漫画となっている。北川は「小さな頃から漫画が大好きで、中学生のときの夢は『漫画家』でした。ゆずがデビューする前、部屋でおもしろがって描いていたキャラクター『ゆずマン』。あれから21年、このたびWEBマンガという形で連載できることになりました。ゆずマンが動き出し、 物語が巻き起こる姿を見て、僕自身が描きながらワクワクしています。日々の小さな楽しみとして、皆さんに楽しんでもらえたらうれしいです」とコメントしている。
2018年10月29日テレビ東京で放送中の「このマンガがすごい!」第2話が10月12日深夜オンエア。今回は俳優の東出昌大をゲストに迎え、剣道コミックの「龍-RON-」を“実写化”。東出さんの道着姿を見た視聴者からは「素晴らしくかっこいい」「道着姿ぱねぇ」など興奮の声が続々届いている。本作は女優の蒼井優がナビゲータとなり、毎回ゲストに迎える人気俳優の好きなマンガへの愛情とそのマンガのキャラクターを演じるための役作りへのアプローチをお届けするドキュメンタリードラマ。今回のゲストの東出さんはモデルとして活動した後、映画『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビュー。数々の新人賞を受賞するとその後は朝ドラ「ごちそうさん」や『アオハライド』『寄生獣』『クローズEXPLODE』などで注目を集め『聖の青春』では日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。主演映画『寝ても覚めても』が第71回カンヌ映画祭コンペティション部門に正式出品されるなど実力派として知られる。そんな東出さんが今回“実写化”に挑むのは第41回小学館漫画賞青年一般部門を受賞した剣道コミックの「龍-RON-」。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。番組は蒼井さんと東出さんのトークからスタート。剣道経験者の東出さんだが「実は剣道が嫌い。今もやってるがそれは(教えている)子どもたちが可愛かったり、運動不足の解消のため」と語り、マンガの実写化について問われると「ファンが原作を好きな理由はどこにあるんだろう?そのエッセンスを抽出したいと思って演じてる」とマンガ実写化作品を演じるうえで気をつけている点を挙げた。その後は「役作り」のため北辰一刀流の本部へ。そこでの模擬刀を使った稽古のシーンなどが続き、学生時代からの東出さんの剣道仲間を呼んでマンガのシーンを再現する稽古の場面では、映像にマンガのコマがオーバーラップする。今回の出演で改めて「剣道への尊敬の念を感じた。(マンガの実写化も)原作に尊敬の念がないといけないと痛感した」と感想を語った東出さん。その様子を見ていた視聴者からは「今回の東出くんも役者の体幹を堪能できて面白い」「作り上げていく過程で東出氏が旧友(剣道仲間)と自然な会話をするところが良い」などの反応が。特に道着姿で激しい稽古を繰り返す東出さんの姿に「掛け声が凄くて、今度アクションやるときとかそのままやってほしい」「声の吹き上がりがとても良い 12気筒エンジンのスタートした時みたい」「こんだけ動いて打込んだ後に冗談言って笑い合ってる!恐るべし」といった声が多数寄せられている。(笠緒)
2018年10月13日『アレンとドラン』は、文化系女子にとっては、痛いけど非常によくわかるお話だ。単館系のマイナー映画が大好物で、外見も中身もわかりやすいサブカル女子の林田(リンダ)。田舎から東京の大学に進学して、趣味の合う少数派との交流をSNSで満喫するものの、大学ではいまいち浮いてしまっている。作者の麻生みことさんに本作について聞きました。サブカル女子とリア充イケメンの恋愛は果たして成立するのか!?「若気の至りで、みなさん本当はいろんな失敗をしているはずなのに、なかったふりをして生きていたりするじゃないですか。友だちや私自身の恥ずかしい失敗を、リンダには詰め込んでみました」自意識過剰なくせに自己評価が低い、いわゆるメンドーなタイプ。ゆえに無駄に空気を読みすぎてなかなか友だちができなかったり、文化系おじさんのえじきになりそうになるのだが、そんなリンダに何かと手を差し伸べるのが、江戸川(エドガー)というリア充イケメンだ。「リンダにとってエドガーは最も遠い存在で、絶対に友だちにはなれないと思っていたタイプ。だけどそんなのはきっかけ次第で、たまたま親切にしてもらえただけで好きになっちゃうもんなんですよね」一方で、大学のゼミの無頼派な平良先生も映画オタクであることが判明し、周りが疑うほど懐くリンダ。ぼっち上等と見せかけて、意外と楽しくやっちゃってる!?と思うものの、好きなものばかりにかまけていたせいで、恋愛のしかたがよくわからない。自分の気持ちに気づいてからの思考回路や行動がいちいち笑えるのだが、ふと気づけばリンダもエドガーも平良先生も、そもそも他人に興味がなさそうな人ばかり…。「そんなつもりはなかったんですけどね(笑)。恋愛体質ではない彼らが歩み寄るのは難しそうですが、どんなアクシデントを入れていこうか考え中です。リンダが痛い目に遭ってもそれはそれで経験なので、心と体にひどい傷を負わない限り、いっぱい走って転んで立ち直れって、親心みたいな気持ちで描いています」みなさんがなかったことにしていた黒歴史が蘇る可能性も…。リンダと一緒に七転八倒できますよ!『アレンとドラン』サブカル女子がアパートの隣に住むリア充バーテンダーと出会い、少しずつ人生が開けていく風変わりなラブコメ。タイトルにピンときた人もそうでない人も!講談社429円あそう・みことマンガ家。1991年デビュー。代表作『そこをなんとか』が完結したばかり。『good!アフタヌーン』で「小路花唄」を、『Kiss』で「アレンとドラン」を連載中。※『anan』2018年10月10日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(byanan編集部)
2018年10月07日テレビ東京の「ドラマ25」枠の新番組「このマンガがすごい!」が10月5日深夜から放送スタート。第1回は俳優の森山未來が人気コミック「うしおととら」の“実写化”に挑んだのだが、視聴者の想像を超えた“実写化”にネットには「斬新すぎる」という声が殺到している。本作は女優の蒼井優がナビゲータを務め、毎回ゲストとして迎える人気俳優たちの好きなマンガへの愛情とそのマンガのキャラクターを演じるための役作りへのアプローチをお届けするドキュメンタリードラマ。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。番組は蒼井さんが番組のコンセプトを説明する映像からスタート、そのままアンジュルムが歌うOPテーマ「タデ食う虫もLike it!」へ。“マンガ”と絡めたOP映像の演出に「OPの演出鬼かっこよかった」「アンジュルムと蒼井優が間接的に共演とか激アツ」などの声が上がる。本編は蒼井さんと森山さんが蕎麦屋で、マンガの実写化について語り合うところから始まり、続いてはヒロインオーディションのパートへ。10代から50代まで幅広く集められた参加者の前に変身後の主人公の姿に扮した森山さんと蒼井さんが現れ、オーディションが繰り広げられるのだが、「走る」「ポージング」「セリフ」と3つの課題を参加者がこなしていく様子が映し出される。普段なかなか見ることのないリアルなオーディションの様子と、そこにマンガのキャラクターに扮した森山さんが混じっている様のシュールさに「実験映画風になってきたぞオイ」「こんなんなんだ…すごいなこの番組…」など、様々な反応がネット上に溢れかえることに。そして最後は「実写パート」がオンエア。参加者が皆素晴らしくヒロインを絞るのが難しいと語っていた森山さんが選んだ実写化の手法はなんと、“原作のマンガの中の主人公の部分だけを森山さんが実写で置き換える”というもの。想像を超えた“実写化”に、これには「凄い映像を見せられている」「役者さんが漫画に入り込んで演じるのは斬新過ぎる」「コマ割りの中に実写がwwww」「想像の斜め上をいく面白さ」などのツイートが殺到。放送後には「テレ東らしさを期待してたので完全合格点!!」「テレ東しか出来ない企画!」など、本作を放送したテレビ東京を讃える声が多数寄せられていた。(笠緒)
2018年10月06日愛猫との生活を描いたマンガブログ『うちの猫がまた変なことしてる。』が大人気の、卵山玉子さんによる、犬や猫の終活について描いたマンガ 『ネコちゃんのイヌネコ終活塾』 。ネコちゃんがペットの終活について、さまざまな専門家(犬と猫!)から学ぶ、かわいくて勉強になる一冊です。 その中から、今回はペットが亡くなってしまったときのため、知っておいた方がいいことをご紹介します。■ペットとのお別れの方法ペットとのお別れ。想像しただけでも辛く、あまり考えたくないことではありますが、お別れはいつか来るもの。現実感の薄い元気なうちに考えるほうが、気が楽なのだとか。葬儀はペット葬儀者に依頼したり、自宅に庭がある場合は、庭に埋葬するなどの自宅葬、自治体に依頼するなどの方法があります。自宅まで火葬車に来てもらって火葬に立ち会えるなど、葬儀会社もサービスも増え、選択肢も広がっているのだそう。注意するべき点は、悪質な葬儀会社もいるということ。やはり、冷静な判断ができるうちに、信頼できるペット葬儀業者を調べておく方が良さそうですね。ペットの供養は特に決まりがないので、飼い主が納得のいくやり方で大丈夫。遺骨についてはゆっくり、手元供養しながら考えればいいようです。■もしペットを飼えなくなったらペットの病気や死について考えると同時に、考えなくてはいけないのが、自分が飼えなくなったときのこと。可能性はゼロではないと考えると、普段から対策をしておきたいものです。本書の付録になっている、終活ノートにペットの生活習慣や個性を書いておいたり、万が一のときに託す人や場所を探し、備えることも大切です。ただ、ペットを飼うにはお金も必要。ペットの世話をしてくれる人が見つかったら、遺産贈与したり、信託銀行にお金を預けてペットのために使ってもらうことを考えても。もし見つからなかった場合は、長期滞在できるペットホテルや老犬老猫ホームなど、信頼できる場所を探すのも一案です。ただ、そういう場所は増えている反面、なかには環境のよくないホームもあるようなので、第2の家を探すつもりで、2軒以上は見比べるのがおすすめなのだとか。■ペットが亡くなったそのあとに最後は想像もつかない、ペットとのお別れした後のこと。悲しみは無理に抑え込まず、言葉にしたり、思い出に浸ったり、十分に表すことが立ち直りのきっかけにもなるよう。「こうしていれば、もっと長生きしたのでは」と自分を責めてしまいがちですが、一緒に過ごした時間は、飼い主もペットも幸せだったと考えてみては? 幸せだったのだから、いなくなったら悲しいのも当たり前です。もし寂しくて毎日ふさぎこむようなら、もう一度ペットを迎えることを考えてみても。思い切り泣いて、ゆっくり受け入れていけばいいと考えると、少し心が軽くなる気がします。このようにかわいいマンガで、やさしく丁寧にペットの終活について教えてくれる一冊。あとがきにも書かれていますが、終わりを意識すると「いま一緒にいるペットにしてあげたいこと」を自然と考える機会にもなります。ペットと暮らすために知っておきたいことがまとまっているので、もっと詳しく知りたい人はぜひご一読を。持っておけば、いざ判断するときに参考になるはずです。 マンガでわかる! ネコちゃんのイヌネコ終活塾 卵山玉子 著/WAVE出版 1,200円(税別)ペットの病院、お金、介護、葬儀、ペットロス…。ネコ好きマンガ家の卵山玉子さんが専門家にきいてわかりやすくマンガでまとめた一冊。まだ若くても知っておきたい情報が満載。「今」がもっと愛おしくなる、愛犬・愛猫の老い支度本です。<卵山 玉子(たまごやま・たまこ) プロフィール>ネコ好きのマンガ家。アメブロ公式トップブロガー。愛猫との生活を描いた猫マンガ『うちの猫がまた変なことしてる。』(KADOKAWA)で人気を博す。主な著書に『ネコちゃんのスパルタおそうじ塾』(WAVE出版)、『シュウさま-保護猫カフェからやってきた3本足のモフ天使』(WAVE出版)、『イラストでわかる! ネコ学大図鑑』(宝島社)等。・ ブログ「うちの猫がまた変なことしてる」
2018年09月22日若いというのは、必ずしもいいことばかりなんかじゃない。自分がその“季節”を生きている最中は、わかりきっていたはずのことなのに…。紀伊カンナさんのマンガ『魔法が使えなくても』は連作形式の群像劇なのだが、そこに出てくる若者はかつての、あるいは今の私たちの姿だったりもする。たとえば「辞めたい」が口癖で、なおかつ失踪癖のあるアニメーターの岸くん。仕事はクールにこなすものの、心ここにあらずといった感じの千代ちゃん。バンドマンとして夢を叶えつつあるように見える、たまき。地下アイドルに魅せられるキキちゃん。社会に漕ぎ出した彼らは、オールの使い方もわからず、夢と現実の折り合いを思案している。「仕事も恋も元気にバリバリやる!的なものも楽しいけど、自分が描くならもっと違うアプローチをしてみよう、そのほうが今を生きてる人に沿っているような気がしたんです。ハツラツと過ごす人の一方で、こんなはずじゃあ…と日々をしょんぼり過ごしてしまうような、そんな人たちに向けて描こうとしているところはあります」別物だと思っていた物語が思いがけずつながったり、登場人物がニアミスしたりするのが連作短編の面白さといえるが、そういう意味で本作はさりげない部分から、「こうきたか!」と唸ってしまうものまで、しかけがたっぷり。ときに物語の見え方がガラリと変わったりもするのだが、これもまさに周到に練られた短編を読む醍醐味といえるだろう。「私はマンガで特に何かを伝えたいとは思っていなくて、基本的に読む人が何かを感じて考えてもらえたらのスタンスでやっています。ただ、筆が遅くて作品ごとの間が空いてしまうタイプなので、そのぶん一冊を繰り返しじっくり読んでもらえるような構成や画面を目指せればと思っています」やりたいこととできること、そしてやるべきことの間でもがき、かけがえのない日々を生きる若者たち。カッコ悪さも眩しく見えてしまうのは、やっぱり若さのなせるワザかも。『魔法が使えなくても』ガツガツせず自然体で生きようとする若者を、仕事や夢を軸に切り取った6つの連作短編。今にも音楽が鳴りだしそうな、ポップで躍動感のある絵柄も注目。祥伝社1000円©紀伊カンナ/祥伝社フィールコミックスきい・かんなマンガ家。沖縄の離島を舞台にした、心が洗われるようなBL『海辺のエトランゼ』でデビュー。続編『春風のエトランゼ』(既刊3巻)も人気。本作は初の一般誌での作品。※『anan』2018年9月19日号より。写真・大嶋千尋(本)インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2018年09月18日身悶えするほど面白い、キャラクター愛炸裂コミック『おじさんはカワイイものがお好き。』。その著者が、ツトムさんだ。小路課長こと小路三貴(おじみつたか)は、会社では、頼りになると評判のデキる上司。子どものころからカワイイものに目がないのに、素直に公言できない40歳のイケメンバツイチである。大好きな犬のキャラクター<パグ太郎>を心置きなく愛でたい!でも誰にも知られたくない!かくして、秘密死守のため、小路課長のドタバタな日常が展開する。「“おじさん”と呼ばれる年齢だけれどスーツが似合って気配り上手。小路課長には、周りにいそうでいない、理想を詰め込みました」萌えポイントは、シュッとしている大人の渋さと、パグ太郎を愛でる時の可愛らしさとのギャップ。「なので、スーツの着こなしや、自然なたたずまいはステキに描きたいですね。個人的には、袖をまくった時に見える手首や、スラックスのすそから見える靴下足首とかも好きなので、そういうディテールには特に神経を使います。また、私のような絵柄で、白目やトホホ顔などの変顔を描く作家さんは少ないように思うので、あえて多く入れています」小路課長がそれほどまでに入れ込む、パグ太郎の可愛らしさをどう表現するかも重要だ。「ボストンテリアとパグを飼っています。マスコットを描くならどちらかをモデルに!と決めていたので、さほど迷わずああいうフォルムができあがりました。考えてみると、昔から、バーバパパやムーミンが好き。彼らのしもぶくれ感といいますか、もったりした感じ……、たまりません(笑)。なのでパグ太郎の土台はそのあたりが影響してるのかな、と」小路課長の目下の悩みは、ひとり暮らしの部屋が見つかるまで同居することになった大学生の甥っ子・真純くんや、会社で一方的に小路課長をライバル視し、くってかかってくる同僚・鳴戸課長の存在。彼らによって、しばしばカワイイもの好きがバレそうになる窮地に陥るが、それを切り抜ける機転の利いたアイデアとコメディとのバランスに思わず噴き出し、つい小路課長のピンチを期待してしまう。1巻の終わりには、小路課長と同じビルで働いているという河合ケンタが意味深に登場。彼は小路課長とどんなふうに関わっていくのか、ますますこの先が楽しみだ。「自分が犬グッズをつい買ってしまうようになるなんて、ペットを飼うまでは思っていませんでした。なので、そういう熱愛対象に出合っていない方も、これからそういうものに出合ったらきっと……と思って描いています。疲れている時も、読んだらくすくす笑って息抜きができる、そんな作品にしていきたいですね」『おじさんはカワイイものがお好き。』コラボカフェに出かけたり、ガチャを引いたり。推しキャラのいる小路課長は毎日が充実。カバーをめくると、おまけの4コマまんがとあとがきが。フレックスコミックス600円©ツトム/COMICポラリス©フレックスコミックスツトム大阪府出身のマンガ家。2008年にデビューし、現在はwebコミック「COMICポラリス」で「おじさんはカワイイものがお好き。」を連載中。9月15日に待望の2巻が発売予定。※『anan』2018年8月29日号より。写真・大嶋千尋インタビュー、文・三浦天紗子
2018年08月23日セックス特集の中で、最もくだらないと言われている、“セックス・ニュース”のお時間ですよ!マンガ、ゲーム、おしゃれなど、エロくて笑えて、使える情報がザクザクです。これを読んで、目指せベター・セックス・ライフ♪女子たちは、真面目に性と対峙する…。今気になるマンガセックスを描くティーンズラブ・コミックスが花盛りの昨今だからこそ、その行為の手前、“性”そのものに葛藤する女子を描く作品に惹かれます。文芸部のおとなしめ女子たちが、文学と性、そして初恋に揉まれる様子を描いた『荒ぶる季節の乙女どもよ。』、そして女子高生がオナニーを語る衝撃作の『私だってするんです』。10 代の気持ちに戻って読んでみて!“セックス”とは果たして何か。文芸部女子高生たちの青春群像劇。エロにとりつかれるのはウブな女子とて同じこと。一人の部員が「死ぬまでにやりたいこと、それはセックス」と口にしたのを発端に、彼女たちは急に“性”を意識。小説の中はもちろん、男子との些細なやりとりにも敏感に。彼女たちが真摯かつ大胆に性と向き合う様子は、笑える上、なぜか胸に響きます。『荒ぶる季節の乙女どもよ。』1~4巻¥429~/講談社原作:岡田麿里、作画:絵本奈央©岡田麿里・絵本奈央/講談社『走れメロス』をこう思ってしまった経験、誰にでも絶対あるはず!文学の官能表現を読み、感想を語り合う、そんな文芸部…。主人公に課せられたミッションは、“女の子のオナニー調査”?!教室で、イケメンの江田(エデン)くんを“オカズ”に自慰をしていた姿を、江田本人に見られた主人公・林檎。付き合う代わりに彼から出された条件は「女子の“オカズ”調査」。林檎は同級生女子たちへのオナニー調査をスタートさせるのだが…。奮闘する林檎の姿に爆笑、そして性欲の千差万別感は衝撃的。『私だってするんです』1巻¥580/新潮社小谷真倫©小谷真倫/新潮社なぜか異様に女性のオナニーに興味を持つイケメン、江田。親友に切り出した林檎。この後ドン引きされる…。マンネリな夜をなんとかしたい!ゲーム感覚でセックスに改革を。毎度変わらない前戯の流れに、体位の変更からのフィニッシュ。セックスってもっとめくるめくものだったはずなのに…。そんなお二人は、こんなアイテムで新たな刺激を得てみては。針金を回すだけ。磁石のパワーで体位を決定!!6種類の体位が描かれた台の部分と、針金の先のボールに磁石が入っていて、ボールを揺らすとどこかの体位の上でピタッと止まる、ルーレットゲーム。難儀な体位はないので、気軽にお試しを。体位ダウジング¥783(トアミ amazonで購入可能)12種の体位が描かれたダイスで、夜の流れを占って。12面体のサイコロが2個セットになったこの商品。それぞれに12種類の体位がプリントされているので、次にどんな体位にするかをダイスに委ねてみるのも一興。知らない体位にも出合えるかも…。Hなサイコロ 2個セット¥1,000(小犬商会 amazonで購入可能)かわいい刺繍をよく見ると、そこにはセクシーな絵柄が…。楽しそうに戯れているな…と思ったら営み?!ここ日本では“秘め事”的な扱いのセックスを、大胆に洋服の柄として刺繍してしまったのが、仏のアーティスト集団、<カルネボレンテ>。‘19秋冬のテーマは、パリでのナイトライフ、大人の選び場。セクシー度満点です。足を高く持ち上げて、なぜか左手にはナイフ?!セクシーな女性のドッキリポーズを刺繍した財布。胸の先、唇、ナイフの柄の赤が効いてます。¥14,000(K3TEL:03・5784・1806)金髪の女性が、花を持った相手と絡み合う…と思ったら、これ、モンスター! !タブー感ある官能のシーンです。T シャツ¥10,500(K3)おっぱいを大胆に晒した女性は、ロープのようなものでからめ捕られている…?エロさとポップさのまさに融合。キャップ¥8,200(K3)※『anan』2018年8月15・22日号より。(by anan編集部)
2018年08月22日ナビゲーターに女優の蒼井優を迎え、ゲスト俳優たちの好きなマンガへの愛情と、マンガのキャラクターを演じるための役作りへのアプローチをお届けするドキュメンタリードラマ「このマンガがすごい!」が、10月よりテレビ東京にて放送される。番組のナビゲーターを務めるのは、映画『彼女がその名を知らない鳥たち』で第41回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝いた蒼井優。日本を代表する俳優の1人である蒼井さんとゲスト俳優たちの知られざる演技論にも注目が集まる。蒼井さんは「普段役者同士でどういう風に役作りをするかとか、してきたかという話をすることがないので、皆さんがマンガ実写化にあたっての役作りをされているところを見学させてもらったのは貴重な経験でした」と語り、「私は今回10人の、イレギュラーで11人の役者さんにお会いして(笑)、かっこよくて愛おしいなと皆さんに対して思いました」と非常に感銘を受けた様子。続けて「皆さんの知らない部分や、めったに見られないような役作りの過程とかを見て頂けるので、見てくださった方が、ゲストの方をより好きになっていただけたら嬉しいなと思います」とコメントしている。なお、本番組はマンガ業界の指標として注目される人気マンガランキング本、宝島社の「このマンガがすごい!」とタッグを組み、マンガの魅力と俳優のリアルな役作りに迫っていく。監督は松江哲明。ドラマ25「このマンガがすごい!」は10月より毎週金曜24:52~テレビ東京にて放送。(text:cinemacafe.net)
2018年08月22日マンガの目利きも、BL好きも、巷のマンガファンも、口々に絶賛。それが、鶴谷香央理さんの『メタモルフォーゼの縁側』だ。老婦人と女子高生が織りなす、何かに夢中になれる幸せな時間。「BLで何か描きたいと提案したら、担当さんが、じゃあ主人公は老婦人と高校生とか年齢差のあるふたりでどうですか、というアイデアを出してくれました」かくて決まった主人公が、75歳の寡婦・市野井雪と、17歳の隠れ腐女子の高校生・佐山うらら。ふたりがBLコミックを介して育む、年の差を超えた友情は……。アウトラインを説明すればこうなるが、もっとも心を射抜かれるのは、好きなものを素直に好きと言い合える幸福感や高揚感が、清々しく温かく繊細に描かれているところ。「ひとりぼっちの者同士が出会い、変わっていくさまをテーマにしようと思ったんです。雪さんにもうららちゃんにも一応、家族や友人知人はいるわけですが、心情的には『何となく自分はひとりぼっちだ』と思っている。そういう人って案外多い気がするんですね。だからこそ、好きなものを存分に語り合うちょっとした会話の中で、本当に心が通ったような気持ちになれたらすごく満たされますよね。そんな空気感をマンガで描けたらいいなと思ったんです」ご自身も、うららのように、好きなものに、内向きだったころが。「高校時代、BLにしても、私は好きなんだけれど、自分の趣味をどういうふうにさらけ出していいかわからなくて、素直に表現することにはためらいがありました。友達もちゃんといたんですが、同時に、同世代とうまくつき合うのって難しいなと感じてもいました」そんなモヤモヤ感描写がリアル。ちなみに、雪がうららをお茶に誘うところから、ふたりの交流は深まっていくのだが、「あれは私のひとつの憧れのようなものかもしれません。雪さんまではいかずとも、もう少し大人になったら、好きという思いにいろいろ素直になれるのかもしれないなと(笑)」うららのイマドキな家庭環境や、「うらっち」「つむっち」と呼び合う幼なじみ・紡や、彼の彼女との関係も、気になるところ。「BLもそうですが、恋愛も考えだすと何が何やらな感じで(笑)。模索しながら描いています」『メタモルフォーゼの縁側』タイトルは「けもの」(シンガーソングライター青羊(あめ)のソロプロジェクト)の楽曲「めたもるセブン」から着想。変化を自然に受け止める心を表現。KADOKAWA780円つるたに・かおり1982年生まれ。マンガ家。本書が初めてのコミックス。web「LIKE THIS」にて「don’t like this」を連載。なお、今秋にはコミックス第2巻を発行の予定。※『anan』2018年8月15・22日号より。写真・大嶋千尋(本)インタビュー、文・三浦天紗子©鶴谷香央理/KADOKAWA(by anan編集部)
2018年08月14日数あるマンガ実写映画の中でも、これほどまでに愛され、そして評価された映画があっただろうか…いやない、と言いたくなるほど大好評だった、1作目の『銀魂』。脚本を書き、そしてメガホンを握ったのは、福田雄一氏。『銀魂』の原作者である空知英秋氏が、福田監督の作ったB級特撮ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズを観て、「この人だったら『銀魂』、できるかも」と、福田さんにバトンを渡したことから、映画化が始まったのだとか。だがしかし。時代劇でありSFであり、加えてギャグも満載。マンガとしてとても完成度が高い『銀魂』。しかも映画製作が決まったであろう時期には、すでにコミックスが60巻近く出ているという超長編。果たしてこれ、映像化できるの…?お話のどこを描くの…?と誰もが不安に思ったはず。しかし、さすが福田監督。映画が始まった途端、心に浮かんでいたモヤモヤは一気に消失!原作の世界観をそのままに、役者たちが楽しそうに躍動する姿が本当に魅力的。「くっだらな~い」と笑わせられたかと思ったら、最後はホロッとまでさせてくれる、極上の2時間強。原作ファンからも大絶賛を浴び、結果なんと、興行収入38.4億円超え!!その完成度の高さに、実写映画の一つの完成形を見た…そんな思いを抱いた人も多かったのでは。物語の舞台は、宇宙人・天人によって鎖国を解かれた江戸末期。かつて攘夷志士として天人と戦った坂田銀時は、刀を木刀に持ち替え、志村新八と神楽の3人で、呑気に便利屋を営む日々。そんな彼の元に、かつての同志が消息不明になり、高杉晋助が倒幕を企んでいるという知らせが。万事屋の新八と神楽は事件の調査に乗り出すが、二人の身に危機が!!かつての剣豪、銀時は刀を持って駆けつけるのだが…。2作目が、特に続編というわけではないけれど、1作目を観ておくことで、『銀魂』の世界観や、人間関係を把握できること間違いなし。2作目がグッと面白くなること請け合いです。満を持しての2作目は、2つのエピソードのハイブリッド。今回は、ファンの間でも人気が高い、真選組が活躍する〈真選組動乱篇〉と、隠れ人気キャラの将軍が登場する〈将軍接待篇〉の2つのエピソードをフィーチャー。笑いもカッコよさも、前作同様…いや、それ以上にパワーアップ。待ち望んでいたファン全員が、去年以上に泣き笑うこと間違いなし。ちなみに戦隊&制服好き女子をキュンキュンさせた真選組の制服は、デザインを一新。また銀時のヘアは、1作目のときは小栗さんは地毛で演じたそうだが、今回は“ナチュラル”“風に吹かれた感じ”“ちょっと爆発気味”という3種類のかつらをオーダメイド。小栗さんも、「これでいつでも『銀魂』の撮影ができますよ」と大喜び。衣装やヘアメイクも、パワーアップした。仕事がなく、金欠の銀ちゃん率いる万事屋が、バイト中に天下の将軍に遭遇。だがその御身には危険な陰謀が迫っており…。また同じ頃、真選組では内紛が勃発。それをきっかけに、江戸の町は上を下への大騒ぎに。ギャグはもちろん、クライマックスに向かっての迫力あるアクションシーンも圧巻。新キャラとして、真選組の伊東鴨太郎に三浦春馬さん、また鬼兵隊の河上万斉に窪田正孝さんという実力派人気俳優が参戦。また、前作に出演した佐藤二朗さんが再び別の役で登場するのも見どころ。よりスペクタクルになった『銀魂2』、必見です。『銀魂2 掟は破るためにこそある』 ’17年、邦画実写映画No.1の人気を誇った作品の第2弾。もちろん監督は1作目に引き続き福田雄一氏。原作マンガの、“真選組動乱篇”と“将軍接待篇”をミックスしたストーリー。8月17日より全国ロードショー。※『anan』2018年7月18日号より。©空知英秋/集英社©2017 映画「銀魂」製作委員会(by anan編集部)
2018年07月14日『違国日記』を描くにあたって、マンガ家・ヤマシタトモコさんがイメージしたのは、ポール・フェイグ監督による女たちの『ゴーストバスターズ』。「どこが?って言われそうだけど、ただただハッピーでポジティブになれるこの映画が大好きなんです」女同士の面倒くささと心地よさ。わかってくれる人がいる幸せ。物語としてのとっつきやすさを大事にしつつ、その先に残るものを描いてみたかったというヤマシタトモコさん。少女小説家の高代槙生(こうだいまきお)が、まったく反りが合わなかった姉の遺児である中学生の田汲朝(たくみあさ)を勢いで引き取ることに。人見知りが激しくて不器用な槙生は、朝にとって大人の枠から外れている不思議な女性であり、オープンマインドで素直な朝を槙生は子犬のようだと思う。「大人って子どもに対して、実は大人ぶっているだけだったりしますよね。一方で自分は変わっていないつもりでも年とともに忘れてしまい、ふとしたきっかけで生々しく思い出すことも。両方の視点からそういったことを描いていきたいんです」大人になったらわがままを言ったり、バカ笑いをしたり、些細なことでケンカをしないかというと、当然そんなことはない。子どもじみた自分を見せる相手を選ぶことができるのが、大人のずるさなのだろうか。槙生と朝、さらにそれぞれの友人との関係性は、第三者との理想的な距離感について考えさせられる。「たとえば女の人に、自分の服とか行いなんかを褒めてもらったときのほうが、男の人に同じことを褒められるよりも嬉しかったりするじゃないですか。恋愛的な意味ではなく、この人に好かれたいと素直に思える女性がいることや、女性同士で気持ちを交換できることって、かけがえがないと思うのです」いまだ反抗期が終わっていないような大人と、反抗するチャンスがなかったものわかりのいい子ども。“違国”の人だからこそ感じるカルチャーギャップや憧れから、さまざまな感情がかき立てられる作品だ。人と暮らすことが不向きな少女小説家と、両親を事故で失った素直な姪っ子。ギクシャクしているけれども思いやりが垣間見える日常を著者独特の感性で描く。祥伝社680円©ヤマシタトモコ/祥伝社フィールコミックスマンガ家。2005年デビュー。『HER 』『ドントクライ、ガール』で「このマンガがすごい!2011」オンナ編1位、2位を独占して話題に。近作に『WHITENOTE PAD』(全2巻)など。※『anan』2018年6月27日号より。写真・大嶋千尋インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2018年06月23日愛猫との生活を描いたマンガブログ『うちの猫がまた変なことしてる。』が大人気の、猫好きのマンガ家・卵山玉子さん。新作は、専門家の取材を元に、犬や猫の終活について描いたマンガ 『ネコちゃんのイヌネコ終活塾』 です。 人間の言葉を話せる“ネコちゃん”が柴犬の“イヌイくん”と一緒に、ペットのシニアライフや病気と病院、保険、介護、そして亡くなってしまったあとまで、それぞれの知識を持つ専門猫たちに教えてもらうというこの本。かわいいイラストに癒されつつ、とても勉強になり、ペットを飼う人なら知っておきたいことがまとまっています。この本の中から今回ご紹介するのは、犬猫のシニアライフについて。老化に伴う病気や介護の問題は、考えておいたほうがいいと思いつつ、まだ先のことと、先延ばしにしていませんか? ■ペットのシニアライフについて、知っておくべきこと人間の数倍の速さで年をとるペット。寿命は昔よりは長くなったとはいえ、平均15歳。11歳でシニア期に突入します。長生きすることは、すなわち老後の生活が長くなるということ。犬や猫は、遊ぶ時間より寝る時間が増え、甘えが強くなったり、と生活が変わっていきます。年齢に合わせてフードを変えたり、場合によっては療養食に変えなくてはいけないことも。また段差にスロープをつけるなど、ペットが居心地がよくなるよう、そして怪我をしないよう、住環境の対策も必要になっていきます。老化は避けられないこと。できないことが増えたと落ち込んだり、ネガティブに考えず、若い頃とはひと味違うかわいさを楽しむのが、シニア期のペットと暮らす上で大切だそう。本書に出てくる、シニア期の犬と猫を飼う女性・マミコさんの「年寄りには年寄りにの可愛さがある!」という言葉に、勇気付けられます。■病院の選び方と健康管理ワクチン接種や定期検診などで、動物病院に通っているという人でも、いざ病気になるとその病院でいいのか、不安になるもの。まずおすすめなのが、自宅から通いやすい場所にあること。移動に時間がかかると、ペットにも負担がかかります。また病気の治療については、今の治療が最善か、別のドクターにセカンドオピニオンを求めると、不安や迷いが少なくなります。そして、犬種、猫種によってかかりやすい病気を先に知っておくこと、安静時の数値を控えたり、毎日のうんちやおしっこをチェックして、異変に気がつくことが大切です。ペットが弱ってしまったとき、「ペットの心を癒せるのは飼い主だけ」と、胸に刻んでおきたいですね。■保険の選び方動物の医療費は自己負担。高額になることも多いといいます。「医療費が払えず、治療を断念」という事態にならないよう、元気なうちに医療費を確保しておくと安心。そのために、ペット保険に加入をするのもひとつです。基本的に1年ごとの掛け捨てが多いペット保険。本書で支払いの流れもわかりやすく紹介しています。毎月の保険料は年齢ごとに変わるため、無理なく払い続けられるか、補償の割合がどうか、免責はどうなっているか確認して検討し、自分のライフスタイルに合った保険を探すことがポイントです。1回でも病気にかかると加入が難しくなったり、補償に条件がつく場合があるので、「いずれは」と考えている人は、健康なうちに探し始めるのがおすすめです。■いつかやってくる闘病と介護あまり考えたくない、ペットの闘病や介護ですが、多くのペットがいずれ必要となることなので、心の準備をしておきましょう。今まで通りの生活がしづらくなってきたら、介護が必要。自力でやれることがあれば、時間がかかってもできる限りやらせてあげること。思うように動けなくなったペット自身も戸惑っているので、そんなときこそ愛情を伝えてあげるのが飼い主の役目です。ペットとのお別れはいつ訪れるかわからないもの。「これが最後だったら?」と意識しながら接すると、自然と態度や言葉が柔らかくなり、いざというときに後悔も少なくなるかもしれません。次回は、ペットが亡くなってしまったあとのことについて、知っておきたいことをご紹介します。 マンガでわかる! ネコちゃんのイヌネコ終活塾 卵山玉子 著/WAVE出版 1,200円(税別)ペットの病院、お金、介護、葬儀、ペットロス…。ネコ好きマンガ家の卵山玉子さんが専門家にきいてわかりやすくマンガでまとめた一冊。まだ若くても知っておきたい情報が満載。「今」がもっと愛おしくなる、愛犬・愛猫の老い支度本です。<卵山 玉子(たまごやま・たまこ) プロフィール>ネコ好きのマンガ家。アメブロ公式トップブロガー。愛猫との生活を描いた猫マンガ『うちの猫がまた変なことしてる。』(KADOKAWA)で人気を博す。主な著書に『ネコちゃんのスパルタおそうじ塾』(WAVE出版)、『シュウさま-保護猫カフェからやってきた3本足のモフ天使』(WAVE出版)、『イラストでわかる! ネコ学大図鑑』(宝島社)等。・ ブログ「うちの猫がまた変なことしてる」
2018年06月15日今日マチ子さんの『センネン画報+10years』は、絵とコマだけで物語性を感じさせる、不思議な雰囲気を持つマンガ。2004年からブログでほぼ毎日発表された1ページ漫画「センネン画報」。今日マチ子さん初の単行本がまとめられた日から10年。オールカラー増補改訂版となる『センネン画報+ 10years』が完成した。「自画自賛のようになってしまうのですが、これがこの作品の本来の姿だ!と思えるほど素晴らしい仕上がりです。1冊目の単行本はモノクロページも多かったのでカラーで出したいという思いをずっと持っていて、10年目にしてようやく叶いました。収録作品にはかなり古いものも交じっているので、表現にも技術にも稚拙なところはやっぱりある。でもそこに後期の作品が合わさり、連続するページに別々の作品が並べられて一冊にまとめられることで、新しいストーリー性が生まれました」ページをめくったり戻ったり、ひとつの絵をじっと眺めたり。読み手に委ねられた時間のなかで、作品と作品の行間が立ち上がるような不思議な作用も感じられる。その後、多くのストーリー漫画を手がけるようになる今日さんが、『センネン画報』で描きたかったものとは?「これを描き始めた頃は、漫画の描き方も知らないまま、憧れだけで描いていました。でもあるところまで進んだら、漫画って何だろう?漫画らしさって本当に必要なのかな?と疑問を持つようになり、じゃあセリフもナレーションも取り払ってみよう、登場人物のキャラクター性をなくしてみよう、と表現の冒険に気持ちが移っていきました。言葉にしたくてもできないものを絵とコマで表現したい。日常に存在しているけれどあえて描写されることのない、記憶にも残らないような微妙な瞬間をスケッチしたかったんです」描かれる情景や感覚は、どんなふうに記憶されているのだろうか。「記憶ではなく観察して考えることの繰り返しですね。メモに残すとつまらなくなってしまうので、メモする時間があったら漫画として描いてしまおうという感じです」「センネン画報」は、ひたすら描きたいものを描いていたデビュー前の時期に生まれた。「漫画を描いてる時間は1日で実質1時間くらい。それなのに、1枚描いただけでもどっと疲れてしまうくらい、絵に対して集中していました。もっと速く描けとか、面白くしろとか言われることもなく、何をやってもいいという気持ちの自由さに満ちていて、そういう意味では贅沢に描くことができた、とても幸せな作品だと思います。セリフのない1ページ漫画なので、本が苦手な人や、長い文章や漫画を読み通すのが苦手な人は、パッと開いたページを眺めてみてください。本好きな人は、バラバラに見える並びの中から、自分だけの物語を紡いでいってほしい。鞄に忍ばせて、いろいろなところに連れて歩いてもらえたら幸せです」冬の朝の一瞬を切り取った美しい1枚絵。「これが描けた時は、自分も新しいスタートラインに立てたような、清々しい気持ちになりました」と今日マチ子さんに言わせた、作家渾身の一枚。扉に映った影は一体誰のもの?指も視線も絡まないまま繋がっていく二人。5コマが連続してリズムを作る。淡くもカラフルな画面と、白く抜けるような青春の爽やかさ。その向こう側に、「七夕」の日に語られる、切ない恋の逸話が思い起こされる。『センネン画報+10years』淡く繊細な色で彩られた世界は、言葉はなくとも音と思いにあふれている。『センネン画報』を底本に、新たな収録作を多く加え、編み直されたオールカラー改訂版。通常版1、2巻も発売中。太田出版1600円きょう・まちこマンガ家。2004年にブログ「センネン画報」をスタート。短編、長編、エッセイマンガまで、これまで30作以上を出版。’15年に日本漫画家協会賞大賞を受賞。※『anan』2018年6月13日号より。インタビュー、文・鳥澤 光©Machiko Kyo
2018年06月11日(イラスト:ちたまロケッツ) 『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し番組”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『ラジオ』ということで、『ラジオの時間』編集人の村上謙三久さんが最推し番組を紹介! 【最推し番組】『中島みゆきオールナイトニッポン月イチ』/ニッポン放送で月1回日曜27〜29時に放送中(全国9局ネット) 『中島みゆきのオールナイトニッポン』は’79〜’87年に放送されていました。読者の皆さんにもリスナーだった方がいらっしゃると思います。そんな番組が復活していることはご存知ですか?月1回、しかも日曜日深夜3時に。 普段は機材メンテナンスを行うため、放送が休止されるこの時間。深夜ラジオ好きらも寝ているタイミングで、2時間の生放送をされているんです。夜と朝の、さらに言うと、週末と平日の分岐点。楽曲からも夜のイメージが合う中島さんにはピッタリの時間かもしれません。 ただ、その独特な語り口は、彼女が紡いできた歌と真逆の雰囲気。昔からのファンにとって懐かしいものですが、初めて触れる方は驚かれることでしょう。底抜けに明るいのです。ハイテンションだけれど、騒がしくはなく、絶妙な抑揚があり……。言葉で説明するのは難しいのですが、それがとても心地よいんですね。 中身は昔ながらの深夜ラジオ。曲を合間に流しながら、リスナーからの投稿を紹介していくスタイルです。月替わりの「今月のお題」のほか、たくさんのコーナーが用意されていますが、中島さんたっての希望で、投稿はハガキ優先。「手書きの感情に任せて突っ走る文字は味があるからいい」からだそうです。 日曜深夜という特殊な時間帯ということもあって、長年のファンから、中島さんに初めて触れる中高生の深夜ラジオ好きまで、いろいろなリスナーがいるのも面白い点です。 昨年夏に「水着」をテーマに投稿を募集したことがあったのですが、中3女子からの「今年、ビキニデビューします!凄く恥ずかしいです」という初々しい声が届いたかと思いきや、続いて紹介されたのは50代女性からのもの。お腹のぜい肉を嘆く内容で、「私が痩せるのが先か、ぜい肉による繊維疲労で水着が破れるのが先か、スリリングな気持ちで毎日泳いでいます」なんてコミカルなお話でした。男性から届いた「ブリーフの上から海パンをはき、それからブリーフを脱ぐ裏技」まで紹介。年齢も住む場所も境遇もまったく違うリスナーたちを、中島さんの笑い声が包み込んでいるような雰囲気なんです。 番組から伝わってくるのは、中島さんのラジオへの思い。番組の最後には、紹介できなかったハガキのラジオネームを可能な限り発表しています。そもそも深夜3時から生放送をやっていることからもその気持ちはわかりますよね。 あるインタビューで中島さんは「私にとって、ラジオは窓のようなもの」とおっしゃっていました。音楽の仕事にこもってしまいがちな中、外の景色と新鮮な空気を与えてくれる場所だと。それはリスナーにとっても言えることかもしれません。もうすぐ夜が明けて、月曜日の朝がやってくる。憂鬱な気分の時、中島さんの笑い声が新鮮な気持ちを呼び起こしてくれるんですよね。 次回の放送は6月10日深夜、鬱陶しい梅雨空も、この番組と一緒なら明るく迎えられるはずですよ。
2018年06月04日(C)オカヤイヅミ/KADOKAWA 『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し番組”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『マンガ』ということで、幼いころからマンガ好きな、歌人・小説家の加藤千恵さんが最推しマンガを紹介! 【最推しマンガ】『ものするひと』オカヤイヅミ著・KADOKAWA 仕事以外の場で知り合った方に、職業が小説家であることを伝えると、たいていの場合、少し驚かれる。確かにこの仕事をしているから多くの小説家の知り合いがいるものの、普段の生活において、あまり出会ったことのない職業である。 『ものするひと』は、そんな「小説家」が主人公のマンガだ。杉浦紺、三十歳、男性。純文学の賞をとってデビューした彼は、警備のアルバイトをしながら、小説を考えたり書いたりする日々を過ごしている。 第一話は、彼を含む数名で「たほいや」をするシーンがメインだ。「たほいや」というのは、実際にある遊びで、言葉を使ったものだ。詳しいルールは作中で描かれているのだが、遊びながらふと彼が洩らす心情に、胸をぐっとつかまれる。 どんな職業であってもそうだけれど、小説家になった理由や、小説を書く(仕事をする)上で目指すものや、大切にしているものというのは、人それぞれだ。それが押しつけがましくなく、自然とわかるような形で描かれている。 続く第二話ではさらに、女子大学生のヨサノとの出会いをきっかけに、主人公の気持ちがモノローグで語られる。好きなことを仕事にして生活していくことの自由さ、そして怖さ。 とはいえ、テーマや内容は決して難しいものではなく、むしろするすると読んでしまう。読んでいくうちに、ヨサノであったり、杉浦たちが通うバーの店主であるハナヨさんであったり、主人公以外の人物にも、自然と興味が湧いてくるようになっている。彼らが興味のあるものや好きなもの、送っている生活。 ちなみにタイトルに含まれる「ものする」というのは、『広辞苑』によると、「ある動作をする。ある物事を行う」という意味であるらしい。つまり、あらゆる人は「ものするひと」なのだ。それを知ると、タイトルもより味わい深い。 巻末には、作者のオカヤイヅミさんと、芥川賞作家である滝口悠生さんの対談も収録されているのだが、それも含めて、日常との地続き感が素晴らしい作品だ。特殊な要素もひっくるめながら、きちんと「仕事」や「生活」が切り取られていて、いくらでも読みたくなる。実際、続刊が待ち遠しい。
2018年05月28日『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し番組”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『海外ドラマ』ということで、『BAILA』『日経エンタテインメント!』ほか各種媒体に映画・海外ドラマのレビューやコラムを連載中の今祥枝さんが最推しドラマを紹介! 【最推し海外ドラマ】『ブラックライトニング』 ハリウッドでは、アメコミを原作としたヒーローものの映像化作品が百花繚乱!公開中の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は、おなじみのヒーローが大集結する一大イベントムービーとなっています。 でも、アメコミってキャラクターが多すぎて難しそうとか、何作品もチェックしないと物語がわからないからと、腰が引けてしまう人も多いかも。そこで入門編としておすすめなのが、お気楽かつ単体で楽しむことができるドラマ『ブラックライトニング』です。 ブラックライトニングは、アメコミ界のヒーローの中では、若干マイナーなキャラクターで、正体は高校の校長として地域の人望も厚いジェファーソン・ピアース。彼が育った地区は犯罪や殺人が多く、父親を殺された過去があり、9年前にヒーローを引退したという設定です。 このジェファーソンがいい味を出していて、中年の悲哀をまといつつ、包容力のあるキャラクターは好感度満点!学校では生徒の目線に立って、時に厳しく、しかし愛情を持って接する姿には、どこか懐かしの金八先生のようなノリも感じられたり。 一方、家庭では2人の娘、アニッサとジェニファーの良き父であろうと努力し、愛する元妻リンとは復縁を熱望中。そんな中、かつてブラックライトニングが鎮静化させたはずのギャング集団100(ハンドレッド)が再び活発化。街の治安は悪化の一途をたどる現状に、住人たちからブラックライトニング待望論が盛り上がります。ジェファーソンはニーズに応える形で、渋々ながらも覆面ヒーローとして復活を遂げることに。 ブラックライトニングは、電気を操り、電撃を食らわせて相手を倒すスーパーヒーローです。中年になったジェファーソンは、もう年だから「肉体的にも精神的にも辛い」と弱音を吐きまくり。さらに、倒しても倒しても悪には限りがなく、以前のようなハードなヒーローライフに戻ったら、元妻との復縁が遠のくことも懸案事項。ですが、長女・アニッサの「学校の生徒だけが、私たち家族だけが安全なら、それでいいの?パパは同胞を見捨てるの?」という、強い正義感に心を動かされ本気になります。 後に、アニッサはサンダーとして覆面ヒーローの仲間入りを果たすのですが、父娘でビリビリと悪者相手に電撃を放つ絵面のかっこよさ!誰が見ても正体を見破られそうなコスチュームで、派手に見えを切りながら、生身の人間らしいアクションを繰り広げるくだりは、うおおおおっと手に力が入ること間違いなし。 ありえないほどドラマの質が向上し、複雑でハイエンドな作風が好まれる昨今。家族と力を合わせて、あくまでも街単位の平和を守ろうとするピアース一家の物語は、シンプル・イズ・ベスト。「正義ってかっこいい!」と、素直に興奮し、心からエールを送りたくなる快作です。
2018年05月21日(イラスト:ちたまロケッツ) 『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『お笑い』ということで、『オモロー山下』として活動した元芸人で、現在はインタビュアー・ライターとして活動するインタビューマン山下さんが最推し芸人を紹介! 【最推し芸人】3時のヒロイン(福田麻貴・ツッコミ担当/かなで・ボケ担当/ゆめっち・ボケ担当) 最近では珍しい、女性トリオが話題を呼んでいます。お芝居ベースのコントが特徴の、「3時のヒロイン」です。彼女たちは、昨年行われた『女芸人No.1決定戦THE W』(日本テレビ系)で、結成1年弱にして準決勝に進出を果たした実力派芸人。 メンバーは、ツッコミの福田さんにボケのかなでさんとゆめっちさん。3人中2人がぽっちゃりしているところは森三中(デビュー当時は黒沢は痩せていた)を彷彿とさせるのですが、芸風は対照的です。 森三中はお尻を出すことも辞さない昔ながらの芸人気質ですが、彼女たちは歌やダンスを得意とするエンタテインメント性に長けた芸風。 代表的なネタは、福田さんが失恋し落ち込んでいるところから始まります。かなでさんが彼女を慰めていると、突然ゆめっちさんが福田さんの失恋相手と「私キスしたわ」と言い出し、もめ始めます。 その間、しっとりとしたラブソングがずっと流れているのですが、曲中で突然「アッハ〜ン」というセクシーなコーラスが入ってきます。その「アッハ〜ン」になぜか連動して、かなでさんとゆめっちさんがセクシーな動きをし始め、ツッコミの福田さんが戸惑うというネタです。 3人の芝居のレベルも高いのですが、「アッハ〜ン」の動きや表情も仕上がりまくっています。とても結成1年ちょっとのトリオができるクオリティではありません。 彼女らが次世代女芸人トリオとして、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)で黒沢率いる森三中と面白ダンス対決をする日も遠くないかもしれません。
2018年05月14日(イラスト:ちたまロケッツ) 『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し番組”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『ラジオ』ということで、『ラジオの時間』編集人の村上謙三久さんが最推し番組を紹介! 【最推し番組】『村上信五くんと経済クン』/文化放送で毎週土曜日9時00分〜10時00分に放送中 ジャニーズとラジオの関係性を掘り下げるだけでコラムが何本も書けてしまいますが、村上信五さんを語る上でも、ラジオは欠くことができません。関ジャニ∞を結成する前の’02年から文化放送の番組にレギュラー出演。翌年からこの春までの16年間、木曜夜の生放送でパーソナリティを担当していました。村上さんがテレビで見せるトーク術は、ラジオでの経験が土台になっているんです。 そんな村上さんが新たに始めた番組が『村上信五くんと経済クン』。これまでとガラッと変わり、土曜日朝に放送される経済番組です。 「経済」がテーマと言っても、気取った内容ではありません。初回の冒頭に村上さんがニュースを紹介したのですが、「大企業製造業の景況感が8四半期ぶりに悪化」という文章を読むことすらままならず、「チンプンのカンプンですよね」とこぼしていました。まさにリスナーの気持ちを代弁した発言です。「高校には1カ月しか通わなかった」という村上さんと共に、経済を学んでいくのが番組の趣旨なんです。 経済のスペシャリストが毎週ゲストに出演。初回は元財務官僚の山口真由さん、第2回は経済評論家の門倉貴史さんでした。合間にはゲストさんとのフリートークもあり、人となりもわかった上で、経済論が聴けるので、難しい話もスッと頭に入ってきます。 村上さんはわからないことがあったら素直に「わからない」というスタンスで、正直な反応をするんです。例えば、山口さんの口から「アベノミクス」という言葉が出た時。村上さんはうっすらと緊張感を漂わせつつ、その中身について質問していきます。有名な“3本の矢”の話を聞き、「ようやく効果が目に見えて出てきているんですね」と納得。山口さんから「ご理解の通りです」と褒められると、「ちょっとできた。ちょっとわかった」と嬉しそうに話してました。どうです?こんな風に初歩の初歩から掘り下げているんですよ。 他にも、山口さんに日本経済新聞を読んだほうがいいと勧められたら、「日経……取るか。先生言うから間違いないか」と決意したり、門倉さんとは経済学的な見方をした合コントークで盛り上がったり……。単純なトーク番組としても楽しめる内容です。 村上さんが興味津々で番組に取り組んでいるから、リスナーも取っつきやすいんですよね。「仮想通貨」「マイナス金利」「フェルミ推定」……。まさに“チンプンでカンプン”な用語の知識が身に付き、家計に直結する日本経済の今を知ることができます。何となく経済がわかったふりをして過ごしてきた私のような人間が、新年度から聴くのに持って来いの番組なんですよ。 そして強調したいのが、この4月からジャニーズ事務所所属タレントが出演する番組もradikoのタイムフリー、エリアフリーで聴けることになったこと。番組は4月7日に始まったばかり。村上さんと一緒にゼロから学ぶなら、今がチャンスですよ。
2018年05月07日小玉ユキさんのマンガ『ちいさこの庭』は、その名の通り、“ちいさな人”たちと人間の物語を描いた、ファンタジックな作品。親指姫や一寸法師、コロボックルなど小人が登場する物語は、子どものためのものと思っていたけれども、そういう人はいつの間にか“ちいさこ”の存在が見えなくなってしまったのだろう。『坂道のアポロン』の実写映画が先月公開された小玉ユキさんの最新刊は、森に棲むといわれる“ちいさこ”と人間たちのオムニバス。「人間に近い生態だけど、ちょっとだけ異世界に住んでいる生き物というモチーフが好きで、以前にも人魚や地底人、白鳥の化身を描いてきました。ちいさこはその延長という感じなのですが、体の大きさが違うだけで絵的にも面白いので、マンガにする価値がありそうだと思っていました」全5話のなかでちいさこと出会う人たちは、絵本好きな少女、恋愛小説家と編集者、引きこもりの男子中学生など。ちいさこは子どもだから見えるというわけではなく、一度恋をするとそれきり見えなくなってしまうらしい。「恋を絡めたのは、少女マンガだからです。ちいさこが見えなくなる瞬間を描きたいと思ったのが先にあって、見える人と見えない人のやりとりは副産物みたいなものでしたが、実際に描いてみるとそっちのほうが面白かったですね」たしかにそこは、少女マンガ。恋愛小説家なのに見えたり、夫婦の片方だけが見えたりなど、シチュエーションは何かとワケあり。小玉さんが描きたかったというちいさこが見えなくなる瞬間、つまり恋に落ちる瞬間は、誰かを好きになる喜びと、ちいさこと別れる寂しさがないまぜになって、ロマンティックだけど胸が締め付けられるような切なさを覚えてしまう。「特に感動させたいとは思っていないんですが、それぞれのキャラクターに“救い”または“発見”をあげたいな、ということは考えています。短編は限られたなかに状況説明やカタルシス、余韻を詰め込むのが難しいですが、それができたときの気持ちよさは格別です」1話ごとに心が温まりつつ、一冊通して読み終えるとより大きな感動が待っている。オムニバスの醍醐味を味わえる作品だ。『ちいさこの庭』生きる時代も性別も立場も異なる人たちが、ちいさこと出会って不思議な体験をする、5編のファンタジックオムニバス。初めて挑戦したという時代物が新鮮!小学館429円こだま・ゆきマンガ家。代表作は『坂道のアポロン』『月影ベイベ』など。『月刊flowers』5月号より、波佐見焼の窯元を舞台にした大人の恋の物語「青の花器の森」がスタート。※『anan』2018年4月25日号より。写真・大嶋千尋インタビュー、文・兵藤育子©小玉ユキ/小学館
2018年04月24日(C)原作:曽根タマラ/作画:モイライ・KADOKAWA 『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し番組”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『マンガ』ということで、幼いころからマンガ好きな、歌人・小説家の加藤千恵さんが最推しマンガを紹介! 【最推しマンガ】『メキシコでアミーゴ!』原作:曽根タマラ/作画:モイライ・KADOKAWA メキシコという国名を言われて、すぐに連想するものはなんだろうか。タコス。サボテン。テキーラ。 名物のあとで浮かぶのは、少々物騒なイメージではないだろうか。日本で報道されるメキシコに関するニュースには、マフィアや麻薬といった単語が頻出するように感じられる。実際、検索サイトでメキシコについて調べようとすると、予測変換で、メキシコのあとに、治安という言葉が登場した。治安が悪そうというのが、率直な感想だろう。 本書はエッセイマンガであり、冒頭と巻末を除けば、四コママンガで構成されている。主人公はメキシコで暮らすタマラという女性。とはいえ彼女は日本人だ(おそらく名前はペンネーム)。大学でスペイン語を勉強していた彼女は、メキシコに留学することとなり、それをきっかけに、現在はメキシコで仕事をして生活している。 描かれるのは、メキシコでの日常の風景や、メキシコの人々の姿だ。 そこにはマフィアも麻薬も登場しない。日本文化に興味を持っているダニーや、ダニーの弟で日本のアニメを好むオタクのアレイといった人々だったり、安い値段で乗れる地下鉄だったり、一面にコーラが並ぶスーパーマーケットといった、親しみやすそうな存在のものが多く出てくる。 四コマということもあり、とにかく読みやすい。ふふっと小さく笑いをこぼすうち、自分のイメージしていたメキシコの姿が、どんどん変形していくのを感じる。 この本の中で特に素晴らしいと感じたのは、巻末のエピソードマンガだ。主人公は遺跡観光の帰り道の車の中で、リュックを盗まれ、中のカードを利用されるなどの被害に遭い、厄介な思いをする。 おそらく、このエピソードを入れないという選択肢もあったはずだ。それまでに紹介してきた、楽しく明るいメキシコの姿だけでも、充分におもしろく、作品として完成している。 それでも作者はあえて収録した。自分の知っているメキシコの姿を、正直に伝えようという意思のもとに。さりげない行動のようでいて、とても勇気ある姿勢だ。だからこそ、他の部分で描かれる、魅力的なメキシコの姿が、よりいっそう真実味を帯びて、温度を持つ。 どんなものも一部分だけを見て判断することはできないと知っているはずなのに、つい自分のかたよった知識だけで、全体を決めつけてしまいがちだ。そうした普段の行動を反省し、同時に、広い視野を持たなければいけないと気づかされた。 日本からだと飛行機で半日以上かかることもあり、なかなか簡単には行けない場所だけれど、この本を読むことによって、メキシコとの距離は以前よりも近いものに感じられる。いつか自分の目で、実際に確かめてみたい。
2018年04月23日(C)2017 Sony Pictures Television Inc. and Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved. 『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し番組”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『海外ドラマ』ということで、『BAILA』『日経エンタテインメント!』ほか各種媒体に映画・海外ドラマのレビューやコラムを連載中の今祥枝さんが最推しドラマを紹介! 【最推し海外ドラマ】『グッド・ドクター名医の条件』 ’17年度のアメリカの新番組で、高い人気を誇っている一本が『グッド・ドクター名医の条件』。同名韓国ドラマのハリウッド版で、主人公はサヴァン症候群で驚異的な記憶力と洞察力を持つ青年医師、ショーン・マーフィー。高機能自閉症であるため、コミュニケーション能力に問題があるという設定です。 そんなショーンが偏見や差別と向き合いながら、医師として、人として成長する物語。正直、ちょっとあざとそうだなとも思ったのですが、これが大当たり。数かぎりなく医療ドラマを見てきた、アラフィフの筆者の心をもわしづかみにする、どストレートだけれど嫌みのない作りに、毎回気づけばポロポロと涙を流しているのでした。 他者とのコミュニケーションがうまく取れないショーンは、言ってみれば、空気が読めない(読まない)人。そんな彼が、素直に口にする疑問や質問には、思いがけず、はっと気づかされることばかり。 例えば、スター外科医のメレンデス。新入りのショーンを頑なに認めず、同僚たちの面前で「手術は無理だ。俺のチームではやらせない」と言い放ちます。メレンデスは悪人というわけではありません。日々、命と向き合う医療の現場では、患者やスタッフらとの意思の疎通も含めて、ただ一つのミスも許されない。そうした厳しい世界で生きるメレンデスの考え方に、理解を示す人も少なくないでしょう。 しかし、ショーンはメレンデスをまっすぐ見つめて、こう問いかけます。 「あなたは僕が出会った誰よりも優秀だけど、傲慢だ。その方がいい医師になれますか?心は痛くない?それ価値のあることですか?」 誰もが偏見や差別はよくない、どんな人にも平等にチャンスは与えられるべきだと言いながら、現実としてショーンのような人間が平等に機会を得ることが、どれほど困難であるか。そのことは、メレンデスを始めとする基本的には善良な登場人物たちの、本音と建前やダブルスタンダードにこそ見ることができます。 もちろん、世の中はきれいごとだけではやっていけない。それでもショーンの率直な言葉には、純粋に人として、こうありたい、こうあるべきだと思わせる力があります。 トランプ政権のもと、アメリカはかつてないほどの政治不信と不安が蔓延しています。アメリカの視聴者の間には、ホッとするような心温まる人間ドラマを好む傾向も。そんな中で人気を得ている本作は、忘れていた何かを思い出させてくれるような安心感と、すがすがしい後味が魅力です。
2018年04月16日(イラスト:ちたまロケッツ) 『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『お笑い』ということで、『オモロー山下』として活動した元芸人で、現在はインタビュアー・ライターとして活動するインタビューマン山下さんが最推し芸人を紹介! 【最推し芸人】天竺鼠(瀬下豊・ツッコミ担当/川原克己・ボケ担当) なすのかぶりものをして叫ぶシュールなコントなど、尖ったネタで「次売れる」と言われ続けているコンビがいます。独特なボケの川原くんと、元ヤンキーのツッコミ・瀬下くんからなる、天竺鼠です。 キングオブコントで3度決勝進出を果たした実力もあり、多くの先輩芸人からも高評価を得ていますが、現在まで彼らの実力に見合った活躍はできていません。本人曰く、10年前からネクストブレーク芸人と言われているそう(笑)。 僕の持論ですが、売れっ子芸人になる条件は、ネタの面白さとトーク能力の高さだと考えています。 天竺鼠のネタは、実績にもあるように素晴らしいもの。 漫才において、つかみ(最初のボケ)は早ければ早いほどよいとされています。彼らのつかみはとにかく早い。たとえば舞台に出てきてセンターマイクを持ち上げ、自分たちの前に漫才をやったコンビのほうに向かって「(マイクを)忘れていきましたよ!」というボケ。普通ボケには前フリが必要ですが、このボケは自分たちの前の漫才をフリに使うという最速のつかみなんです。 トークに関しても、川原くんはどんな場面でもボケまくります。奇才と呼ばれ、トリッキーなボケを繰り出す野性爆弾のくっきーですらもツッコミに回ってしまうほど。 なぜ売れる条件をクリアしている彼らが、ネクストブレーク枠に甘んじているのか?疑問に思っているとき、東野幸治さんのコラムを読み、「これか!」と納得しました。 ある芸人さんが明石家さんまさんに「テレビに出るには何が必要ですか?」と聞くと、さんまさんは即答で「必要なのはかわいげ」と答えたそう。 川原くんのボケは面白いのですが、かわいげはあまり感じません。彼は基本シュールなボケを続けるため、見ている側はかわいげより「この人は大丈夫な人か?」と不安を感じてしまうのです。対して、くっきーはあのキャラでも時折ツッコむので、そこがかわいくうつります。 しかし、僕は一度川原くんのかわいげを目撃しました。 以前、彼がピース又吉とトーク番組で共演した際、2人とも声が小さいというボケをやっていたときのこと。最初はウケていたのですが、そのノリがあまりにも長く、お客さんが引き気味に。そこで川原くんが「又吉さん!テンション上げていきましょう!」とツッコんで笑いにしていたのです。彼はお客さんが引いている空気を察知して、本当はボケ続けたいところを先輩の又吉に気を使ってボケるのをやめたのです。そこに僕はかわいげを感じました。 こうしたかわいげのある場面を増やしていけば、天竺鼠は売れ切るかもしれません。 しかし、彼らは「売れたい気持ちはあるが自分たちがやっているスタイルを変えてまで売れようとは思わない」と言います。芸に対してとてつもない清さを感じます。 久しぶりに職人気質な芸人を見たような気がしてうれしくなりました。今後の天竺鼠の活躍から目が離せません!
2018年04月09日(イラスト:ちたまロケッツ) 『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し番組”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『ラジオ』ということで、『ラジオの時間』編集人の村上謙三久さんが最推し番組を紹介! 【最推し番組】『テレフォン人生相談』/ニッポン放送で毎週月〜金曜日11時00分〜11時20分に放送中(全国23局ネット) これまで「面白い」「癒される」なんて番組を取り上げてきましたが、今回はガラッと変わって、心がざわつく番組を紹介します。『テレフォン人生相談』は1965年から続く長寿番組。 人生相談はラジオととても相性がいいんですよね。1人に長い時間をかけることができるし、顔を出さなくていいから、相談をするほうもされるほうもより本音を語りやすい。そして不思議なことに、相談者の声色や語り口からその人間性が強く伝わってくるんです。本当に驚くほどに。雑誌の人生相談だとこうはいかないと思います。だから、未だにいろんな番組で人生相談が行われています。 『テレフォン人生相談』の相談者は中高年が中心。パーソナリティが話を聞き出し、精神科医や弁護士、作家といった方々が客観的に返答するスタイルです。パーソナリティは日替わりで、柴田理恵さんも担当。テレビでは底抜けに明るい方ですが、この番組ではそれを封印して、じっくりと相談者の言葉に耳を傾けています。そうなるぐらい緊張感のある番組なんですね。 ほとんどの相談は「人間関係」に直結します。離婚、不倫、嫁姑や親子の確執、借金、そんな話のオンパレード。なかなかヘビーな番組で、隣家の電話を“盗み聞き”しているようなドキドキを感じます。 ある回では人生に行き詰っているという50代の男性が登場しました。友人に全面協力してもらって整体院を開業したけれど、スタッフに内部をかき回され、経営が悪化。自分もうつ病を患い、奥さんとも折り合いが悪くなり、さらに高齢の母に怒りをぶつけて大げんかしてしまい、関係が切れてしまったというのです。 八方ふさがりの相談者に対し、回答者である男性エッセイストのマドモアゼル・愛さんはこんな風に言い放ちます。「こう言ったら悪いけど、みんなあなたが原因なのね」。自分が悪いと認めるところから始めるしかないと説き、「(あなたは)そんなに自分で考える能力がある人ではない」、「今さらになって、まだ何をカッコつけてるの?」と愛のある厳しい言葉を投げかけました。 この方は一からやり直すと決意されていましたが、毎回うまくいくわけではありません。過去には怒って電話を途中で切ってしまった相談者もいます。反対に温かい言葉に触れて号泣した方もいました。 自己弁護のウソを重ねるワガママな相談者に対し、回答者の先生方が「あなたが悪い」と指摘する瞬間は痛快でもあるんですが、同時に「自分にもこういうところがある」と言われたような気持ちになるんです。相談者を自分に置き換えてみると、心がヒリヒリして、ざわつきます。でも、音声を聴きながらそんな風に考え込むことができるのも、ラジオの魅力かもしれません。
2018年04月02日(C)小山愛子/小学館 『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し番組”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『マンガ』ということで、幼いころからマンガ好きな、歌人・小説家の加藤千恵さんが最推しマンガを紹介! 【最推しマンガ】『舞妓さんちのまかないさん』小山愛子著・小学館 舞妓さんという職業を知らない方はいらっしゃらないと思う。実際に京都に足を運んだ際に(住まれている場合はなおさら)、見かけたということもあるだろう。 しかしこのマンガの主人公は、そんな有名な舞妓さんではない。舞妓さんたちが住んでいる、屋形と呼ばれる場所でまかないを担当する、16歳のキヨだ。タイトルの「舞妓さんちのまかないさん」とは、キヨ自身を称したもの。 中学を卒業したばかりのキヨは、同じく舞妓さんを夢とする、親友のすーちゃんと一緒に、青森から京都までやってくる。彼女たちは住み込みで舞妓さんになるための修業を始めるのだが、筋があって優秀なすーちゃんに対し、キヨはまるで向いていない。 舞妓さんになるのはあきらめて青森に帰ったほうがいいと言われ、従うつもりでいたときに、まかないを担当していたおばちゃんが倒れてしまう。市販のお弁当にもみんなが飽きはじめた頃、キヨは台所に余っていたもので親子丼を作りあげる。あたたかな親子丼は、みんなをホッとさせ、それを機に、キヨはまかないを担当するように。 以上が、キヨが「舞妓さんちのまかないさん」となるまでの流れだけれど、一話ずつが短いため、数話を読むうちに、徐々にわかっていくようになっている。そのあたりの描き方もとても上手で、以前の話で登場していた小道具が別の話で再び登場するなど、ささやかな伏線が回収されていくのも読んでいて楽しい。 舞妓さんというと、遠い世界の存在に感じてしまうのだが、このマンガで描かれている彼女たちの姿は、とても親しみやすく、まるで知り合いにいてもおかしくないようなものだ。自分のプリンが他の誰かに食べられてしまったことを本気で怒り、食べたい料理をキヨにこっそりリクエストする。イラストのタッチがとても可愛らしいこともあり、彼女たちが、年下の親戚や友だちであるかのような柔らかな感覚が読者であるこちらに生まれてくる。 まかないさんというだけあって、キヨの作る料理(どれも簡単なレシピ付き!)はとてもおいしそうなのだが、自然に挟みこまれる、舞妓さんの日常に、より興味が湧く。作ってはいけない料理があったり、コンビニに入ることができなかったり。知らなかった事実が、京都をさらに魅力的な場所にさせる。京都、行きたいなあ。そんな気持ちになりながら、今日もこのマンガをついめくってしまう。
2018年03月26日(C)2015 Frank&Bob Films II, LLC All rights reserved 『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し番組”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『海外ドラマ』ということで、『BAILA』『日経エンタテインメント!』ほか各種媒体に映画・海外ドラマのレビューやコラムを連載中の今祥枝さんが最推しドラマを紹介!【最推し海外ドラマ】『UnREAL』『バチェラー・ジャパン』という恋愛リアリティー番組を、ご存じだろうか?容姿にも経済的にも優れた1人の独身男性をめぐり、一般公募の25名の女性たちがバトルを繰り広げる。野心満々の女性たちによる、恋愛の駆け引きが見ものだけれど、アメリカのオリジナル版『The Bachelor』のエグさ、過剰さにはかないません。あからさまにセクシュアルな装いで、ぐいぐいと自分を売り込む女性たちの姿に、苦笑いしつつも興味津々。誰が勝者になるか見届けてしまう。アメリカでは知らない人はいないというこの人気番組を模した、架空のリアリティー番組「エバーラスティング」の舞台裏を、赤裸々に描いたドラマが『UnREAL』です。主人公は、仕事はデキるが、公私ともに(特に恋愛)疲れ果て、心が壊れかけているアシスタント・プロデューサーのレイチェル。上司の敏腕女性プロデューサー、クインとともに番組が毎回盛り上がるよう、あの手この手で出演者たちの「非常識な言動」を引き出していく。その手段は、ありえないほど卑怯で、いくらなんでも嘘だろうと思うことの連続。でも、制作にはオリジナル版に携わっていた女性がメインスタッフとして参加しているんですね。だから、本作で描かれる仰天のエピソードの数々は、あながち絵空事でもないのです。職場で男が絡むと、さらに状況はややこしくなる。レイチェルの元彼も、クインの不倫相手も、同僚です。一方で、番組の出演者たちもシングルマザーに薬物依存、遊び人からセクシュアリティーを隠した女性まで、各々が問題を抱えている。好感度大の御曹司アダムにもまた、しょうもない裏の顔が。出演者とスタッフによる複雑な人間模様と平行して、劇中劇の形を取る「エバーラスティング」の勝者のゆくえも、最後まで予想を裏切り続ける。まったく心臓に悪いドラマです。実際に、リアリティー番組を見ていて、仕込みが一切ないと信じている人はいないはず。台本はなくとも、作り手に誘導されなければ、そう上手いこと番組は盛り上がりません。レイチェルは、本心では視聴率が高いだけで中身のないリアリティー番組ではなく、もっと別の、有意義な番組作りに携わりたいと願っている。そのためには、ここで結果を出して認められなければならない。日々全力を尽くしながらも、ばかばかしい番組に骨身を削る我が身を嘲り、やけっぱちになるレイチェルの姿に、働く女性としての苦労を重ねる人もいるでしょう。誰よりもタフに働くレイチェルとクインは、「金、ペニス、権力」を合言葉に、この世界での成功を誓い合います。なんてダイレクト!こんなふうに本音全開、欲望のままに生きることができたら、今より幸せになれるのか?なんて、道徳的な問いかけは後回しにして、まずはドロドロかつ何でもありの愛憎ドラマに、どっぷりと浸ってみれば、日頃の憂さも、どこかへ吹き飛んでしまうはず。
2018年03月19日野村宗弘さんのマンガ『かけおちはスクーターに乗って』、年下男性と美人妻とのワケアリな恋愛を描いた作品。鉄工所で働く人々の日常を、叙情豊かに描いた『とろける鉄工所』など、職業系マンガの描き手として高い評価を得る野村宗弘さん。その一方で、配偶者に浮気されているお隣さん同士の男女が、互いに惹かれ合っていく『うきわ』など、大人のままならない純愛マンガにも、きらめく才を見せる。そんな野村さんの『かけおちはスクーターに乗って』は、後者に属するおすすめマンガだ。「『うきわ』は理性で激情を抑えた結末でした。今度は反対に、恋愛で理性が働かなくなるとどうなるかをテーマにしたいと思ったんです」『かけおち~』の舞台は、海のキレイな田舎町。交番勤務の警察官ケンジは、都会からやって来た10歳年上の人妻エリナと出会う。どこか頼りなさげなエリナにケンジは惹かれていくが、ほどなく「夫から逃げてきた」という危うい事情がわかってくる。しかも、夫の栄吉が、エリナのアパート周辺をうろつき始め、不穏さは否応なく増していく。「トラウマを抱えているらしいエリナさんに同情はするけれど、単純に栄吉が悪者というのも違うような…。恋愛において、自分を尊重することは大切でも、自分しか尊重しなかったら関係はおかしくなる。もちろん、恋に落ちてクレイジーになるのを否定しているわけではないんです。ただ、相手にずっと愛してもらえることを期待しすぎると追いつめてしまう。時間が経てば恋は少し冷めるものだし、それでも思いやりを忘れなければ、ずっと仲良くいられていいんじゃないかと思っております」警察官の職分を忘れ、エリナひとりを守ろうとするケンジ。ついには、禁断の誘いまで口にする。だが、栄吉との関係がこじれているエリナの心情は複雑だ。最初の結婚に失敗していることや、ケンジとの年齢差などが気になって、素直にケンジを頼りにできない。「ケンジがもっと頼りがいのあるタイプだったら、話は簡単かもしれないけれど、僕、イケメンが描けないんですよね。見た目はともかく、イケメンの心がわからない。どんな心理で壁ドンなんてできるんだ、と考えてしまうけぇ(笑)」ちなみに、これほど悩みながら描いたマンガは初めて、と野村さん。「特に、エンディングについては最後の最後まで迷ったんです。賛否両論あるかもしれないけれど、 自分ではこれしか落としどころがないと思って描きました」どんな決着を見るのかを、ぜひ見届けてほしい。『かけおちはスクーターに乗って』23歳の警察官ケンジは、品川ナンバーのスクーターでやってきた美女を見かけ…タイトルには「救う人(ター)」→「スクーター」の意味を重ねた。2巻完結。小学館552円(C)野村宗弘/小学館のむら・むねひろ1975年生まれ、広島県出身。マンガ家。2007年、講談社「第5回イブニング新人賞」で奨励賞を受賞し、本格デビュー。『鉄工所にも花が咲く』も好評発売中。※『anan』2018年3月14日号より。インタビュー、文・三浦天紗子
2018年03月13日(イラスト:ちたまロケッツ) 『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『お笑い』ということで、『オモロー山下』として活動した元芸人で、現在はインタビュアー・ライターとして活動するインタビューマン山下さんが最推し芸人を紹介! 【最推し芸人】ひょっこりはん このネタははやる、ヒットするーーそう思わせる条件というものがあります。 今、もっともその条件を満たしているのがひょっこりはんです。彼のネタは、隠れている場所から「ひょっこりはん!」という掛け声とともに、顔を不意に出すさまで笑いをとるというシンプルなもの。 しかし、バランスボールの陰から絶妙な表情で顔を出したり、ボードの左右どちらから顔を出すかクイズを出し、上から出すというスカシのテクニックを使ったりと、ありとあらゆるバリエーションが用意された、まぎれもないプロのネタです。 その一方で、佐々木希さん、SKE48松井珠理奈さん、斎藤工さんなどの芸能人が、ひょっこりはんのネタをSNSやテレビでマネしています。さらには、赤ちゃんや子犬が、物陰からひょっこり出てきたところを撮影し、後から“ひょっこりはん”という言葉をあてた動画もSNSで話題に。 「マネしたくなる」は売れるうえで大きな条件です。しかも、彼のネタは同じくマネされてブレークしたサンシャイン池崎さんなどに比べ、とにかくマネするハードルが低い。完成度が低くても、決して寒くはならず、最低でも“ほっこりはん”な状態は確保できます。 2つ目の条件として、女子中高生にはやることが挙げられますTWICEのTTポーズも、女子中高生がマネしてブームになりました。 ひょっこりはんも女子中高生に大人気。ティーン向け雑誌『Myojo』『Popteen』から取材が来たそう。撮影時、ひょっこりはんがネタをやると、同席した女子高生モデルが「じわる〜!」と言っていたのだとか。できることなら、じわじわではなく、すぐに笑ってあげてほしいのですが……(笑)。 さらに、ほかの芸人とコラボしやすいことも、テレビに呼ばれる=売れる条件の1つです。たとえばアキラ100%の股下からひょっこりはんが顔を出して、股間を隠すなど、無限の転がし方があります。アキラ100%やとにかく明るい安村のような隠す芸と、ひょっこりはんの出す芸のコラボは、磁石のS極とN極のように相性抜群です。 芸人として売れるには、ネタ以外での能力も重要です。実は彼は、あの風貌にして早稲田大学卒という高学歴。さらに高校時代にソフトテニスで全国大会に出場するほどの運動能力もあり、クイズ番組やスポーツ番組にも呼ばれること必至でしょう。 また、「いないいないばーをやっても笑わなかった赤ちゃんがひょっこりはんをやったら笑った」とお子さんを持つお母さんから感謝されたり、取材を担当した60代のベテランカメラマンが「彼は伸びそうだね」と語っていたりと、独特な風貌は不思議と万人受けします。 赤ちゃんから年配の方まで幅広く愛される、ひょっこりはん。今年はひょっこりはんの笑いが「じわる〜!」こと間違いないでしょう。
2018年03月12日(イラスト:ちたまロケッツ) 『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し番組”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『ラジオ』ということで、『ラジオの時間』編集人の村上謙三久さんが最推し番組を紹介! 【最推し番組】『シンクロのシティ』/TOKYO FMで毎週月曜〜木曜日15時00分〜放送中 「東京の声とシンクロする」。そんなテーマを掲げる番組が、TOKYO FMの『シンクロのシティ』です。 “シンクロ”には「同期する」という意味があります。では、ラジオでどうやって東京の声と同期するのか。そこで登場するのはVoice収集隊と呼ばれるスタッフたちが東京各地で取材した街の声です。昔からラジオには中継コーナーがあり、一般の方々の声が電波に乗ってきましたが、この番組はそれが中心。ありそうでなかった切り口なんです。 平日の月〜木に放送されていますが、集める声のテーマは毎回違います。例えば2月第2週のテーマは……「祝日を100倍楽しむ術」「くつ下みせてもらえますか?」「買って住みたい街『戸塚』ってどんなところ?」「新婚旅行物語」。本当に毎回対象や視点が違うんです。 テレビとは違って音声だけの街頭取材ですから、皆さんそこまで緊張せずに心境を語っているのが特徴的。ただ、テーマによっては取材も大変で、「お財布みせてくれませんか?」の時は年配の方にムッとされ、「女性ってなんでドラッグストアが好きなんですか?」の時はお店前でお客さんを張っていたために万引きGメンと勘違いされたとか。 “東京”という言葉は無機質なイメージがありますが、番組から浮かび上がってくるのは、温かみのある人々の思いや日常です。東京以外の方もメールで参加しており、様々な意見が集まります。パーソナリティの堀内貴之さんはどんな声も否定することなく、ポジティブに捉えてくれるのがまたいいんですね。 印象的だったのが「不忍池の思い出」の回。20代のカップルが付き合い始めた頃にスワンボートに乗った“ラブラブな思い出”を語っていました。面白いのが、続いて登場した50代の男性にとっては、そのスワンボートが「学生時代に彼女を誘ったが断わられて、その後にフラれた」という“悲恋の象徴”だったんです。そんないろんな思い出の詰まった場所でも、別の50代の女性にとっては“変わらない日常”。その方はずっと不忍池近くに住んでいて、全てがいつまでも変わらない池なんだと話していました。同じ場所に立っていても、感じることは人それぞれ。ピントがまったく違うところに合っていて、それでもシンクロしているんですよね。 これってラジオにも言えると思うんです。同じ番組を聴いていても、年齢や性別やその時の感情はまったく違う。それでも同じラジオを楽しんでいる。しかも音声だけだから“想像する”余地が増えるし、話す人の思いがダイレクトに伝わってきて、人々の声がより身近に感じられる。だから、『シンクロのシティ』はとてもラジオらしい番組なんだと思います。
2018年03月05日(C)コナリミサト/秋田書店 『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し番組”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『マンガ』ということで、幼いころからマンガ好きな、歌人・小説家の加藤千恵さんが最推しマンガを紹介! 【最推しマンガ】『凪のお暇』コナリミサト著・秋田書店 最新巻となる3巻が刊行されたばかりの『凪のお暇』は、現在、かなりの注目を集めているマンガである。「人にぜひ薦めたいと思う作品」を基準に選出される「マンガ大賞2018」にもノミネートされているほどだ。 物語の主人公は、大島凪。28歳の会社員である彼女は、日々のささやかな節約を楽しみに、とにかく「空気を読む」ことを心がけている。 周囲に迷惑をかけないように、嫌われないようにしながら、人の分まで仕事をし、こっそり社内恋愛をしている恋人の慎二にも優しく接する。 しかしある日、彼女の張り詰めていた糸は切れる。コップにたまった水が溢れるみたいに限界を超えた彼女は、薄れゆく意識の中でこう悟る。 「空気は/読むもの/じゃなくて/吸って吐くものだ」 思いきり同意して、凪の背中を優しくさすりたくなるような、この真理。いつのまにか空気を読む、読もうとすることに慣れていた自分自身に突き刺さる。 凪は仕事を辞め、慎二と別れ、引っ越しをする。都心2LDKから、郊外の6畳1間。データだけで見たのなら、完全なる脱落だが、彼女の表情は、以前よりもずっと明るくてすがすがしい。必死に毎朝ストレートにしていた髪も、天然の強いくせ毛のままとなり、それもまた似合う。 しかし、さまざまなしがらみから解放されて幸せになりました、で終わるわけではない。毎日は続いていくのだ。わざわざ住所を調べて会いに来た慎二や、自称イベントオーガナイザーの隣人ゴンちゃんとの色恋を巡る人間関係。逆隣に住むクールな小学生のうららちゃんとの不思議な友情。減っていく預金残高。 毎日のように凪の悩みは生まれて、感情は渦巻く。 最新巻ではさらに、遠く離れて暮らす母との関係もそこに加わる上に、ラストでは慎二とゴンちゃんの直接対決などもあり、ますます目が離せない展開となっている。 一時かもしれないけれど、自由が与えられたとき、どんなふうに過ごしていくのが正解なのか。凪の姿を見つめながら、自分だったら、とつい考えてしまう。 とはいえ、終始暗いトーンなのかというと、まったくそんなことはなく、一篇ずつは短いページ数となっていることもあり、サクサクと読み進んでいける。 また、節約家の凪ならではという感じで、時には具体的な節約レシピも紹介されていたりする。2巻の土鍋プリンや、3巻のイワシのフリッターなど、簡単かつ、明日にでも作って試したくなるものばかりだ。レシピ以外にも、風呂敷の変わった包み方やレジ袋を使ったエクササイズなども紹介されていて、高い実用性も兼ね備えたマンガとなっている。 空気を読むことに疲れてしまっている人に、ぜひ読んでみてもらいたい。
2018年02月26日