愛知県豊川市の三河国分尼寺史跡公園で、市民が手作りした千個もの万灯をともして「天平ロマンの夕べ」と題したイベントが開催される。日時は9月22日(土)。2部に分かれており、1部は15:00~17:00、2部は17:30~20:00。小雨決行だが、大雨、強風の場合は23日(日)に延期。第1部は「天平ロマン体験」。奈良時代の役人のように墨と筆を使って作る「木簡墨書き」、天平時代当時の貴族や役人の衣装を着て記念撮影ができる「天平衣装の試着」、イベントで飾られる万灯の製作体験ができる「万灯作り」が行われる。第2部は、17:35からの羅山境おどり保存会および八南小学校児童による「羅山境おどり演舞」に始まり、17:50から「和太鼓演奏」。18:10に点灯式が行われ、18:20から豊川オープンカレッジ受講生によるハーモニカ演奏が披露される。18:40から八幡宮氏子中学生による浦安の舞が行われる。演目は「扇の舞」、「鈴の舞」。八幡宮に伝わる伝統的な舞を見ることが出来る。19:00からは蒲郡リーディングキャラバンによる平家物語朗読、演奏は筑前琵琶演奏家、林旭紅氏による。演目は「祇園精舎」、「忠度都落ち」、「忠度最期」、「敦盛最期」、「新院崩御」。朗読と琵琶の演奏がおごそかなフィナーレを飾る。国分寺と国分尼寺は奈良時代に聖武天皇が国家の平和と繁栄を祈るために建立を命じた寺院だ。各国に国分寺と国分尼寺が一つずつ置かれ、当時はその国ごとで最大の建造物だったと言われている。しかし、律令制度の崩壊に伴い国分寺、国分尼寺は廃れていった。三河国分尼寺は大正期に発掘調査され、礎石、布目瓦がなどの出土品が発見されたことから、大正11年に国の史跡指定を受けた。その後、昭和42年に愛知県教育委員会による発掘調査が行われ、主要伽藍の位置が判明。平成11年~17年度にかけて保存整備事業が行われ、中門や回廊の一部を実物大で復元して現在に至っている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月10日ノーブルスタイリングはこのほど、スイスのウォッチブランド「ロマン・ジェローム(Romain Jerome)」の新作「タイタニックDNAスティームパンク(TITANIC-DNA Steampunk)」の日本国内での販売を開始した。深海から引き上げられたタイタニック号の部品などを加工して一部に使用したという限定品だ。タイタニック号の部品が使用されているのはベゼルとダイヤル。ベゼルはタイタニック号の鉄部品と同船を建造したベルファストの造船所の鉄を原料としており、サビ加工が施されている。時計業界初となる独自の工法により、サビがこれ以上進行することはないという。ダイアル上には石炭の燃え殻の粉塵を特殊な技術でセットし、深い色合いを表現した。ムーブメントと一体化したダイアルには、蒸気機関を思わせる4つのピストンがあしらわれており、時分針は錨、スモールセコンドはスクリューをそれぞれモチーフとするなど、豪華客船のイメージを随所に反映している。ケース径は50mm、ストラップはブラックラバー。2,012個の限定生産で、価格は157万5,000円。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月26日今年で創立100周年を迎える映画会社の日活が、1971年に製作を開始し社会に旋風を巻き起こした“日活ロマンポルノ”の特集上映を5月に行うことを決定し、上映する全32作品を発表した。1988年までの17年間、成人映画約1100本を公開して映画界に衝撃を与え、多くのプロデューサー、監督、脚本家、俳優を生み出した日活ロマンポルノ。世界各地で回顧上映が行われるなど、現在でも国内外で高い評価を受けている。本特集で上映されるのは、評論家の蓮實重彦氏、山田宏一氏、山根貞男氏が選りすぐった『四畳半襖』シリーズや『天使のはらわた 赤い教室』『ラブホテル』などの全32作品。神代辰巳、田中登、小沼勝、相米慎二らが監督した名作ばかりで、その一部はニュープリントでの上映となる。山根氏は、「今回の特集上映でたった30本を選ぶという作業は非常に困難を極めた。今回の選択作業が、魅惑の日活ロマンポルノへの誘いになり、さらなる上映への第一歩になれば幸い」とコメントを寄せている。また、今回の特集では、“参加型特集上映”として、特集上映にラインナップされなかった作品の中から観たい作品を観客にリクエストしてもらい、投票1位になった作品を別枠で上映するという初の試みも行うという。『生きつづけるロマンポルノ』5月12日(土)ユーロスペースほか全国順次公開
2012年03月16日ヴァネッサ・パラディといえば、永遠の“フレンチ・ロリータ”。でも、ジョニデ・ファンにとっては、長年にわたり愛しい彼を独り占めする羨ましすぎる女性といったところでしょうか。『白い婚礼』(’88)で衝撃的な映画デビューを果たしたヴァネッサも、この12月で39歳。二児の母にはとても見えない愛らしさを、新作『ハートブレイカー』でも見せています。ちょっと前、SFパニック映画『エイリアンVSヴァネッサ・パラディ』(’04)という意外な作品にも出演しておりインパクトが大きかったのですが、今回はエレガントな姿をたっぷり拝めるロマンティック・コメディです。劇中のヴァネッサは、10日後にモナコで青年実業家との結婚を控えたジュリエット。ただ、彼女の父親がやや変わり者で、優しくハンサム、しかも裕福という文句なしの婚約者に対し「娘にどんなプラスがあるのか」と不満を抱き、別れさせ屋・アレックスを雇うのです。アレックスを演じるのが、ロマン・デュリス。美形ではないけれど、コミカル&チャーミングな彼は、いまやフランス映画界の大スター。つまり、フランスを代表する2人の役者が、モナコを舞台に華やかな恋愛合戦を繰り広げるというのですから、華やかでないはずがありません。注目はもちろん、優雅な生活を送るジュリエットのファッション。モンテカルロ・ベイホテル&リゾートに滞在している彼女は、シンプルながらとてもシック。リゾート地だからといって、リゾートウェアに着替えるのではなく、手持ちのファッションをリゾート・モードで着こなしているところが素敵。シフォンのキャミソールやブラウスなど、フランス人らしい色気を感じさせる、ゆるいフィット感の(胸が見えちゃいそうな!)トップスに、風をはらんで美しくなびくスカートなど、アイテムは定番ながら、よく見るとディテールに凝っているものばかり。質感を見ただけで、それがかなりの高価なものだということがわかります。唯一、一味違ったファッションを見せるのは、ジュリエットが変装するシーン。スカーフ×トレンチコート×サングラスという、定番の女優ファッションを披露するのですが、ここでも、ジュリエットのファッションテイストは貫かれています。トレンチコートのカラーは黒。なるほど、カーキよりも断然シック。ファッションの持つ迫力も倍増しています。そんなシックなジュリエットが愛用するのは、真っ赤なケリー。カジュアル感のより強いバーキンではなく、ケリーを選んでいるあたりに、やはりエレガンス志向が感じられるのです。映画的な解釈をするなら、モナコの王妃にして、女優としてもこの地にゆかりのあるグレース・ケリーにオマージュを捧げたということなのでしょう。母国では、ヴァネッサとロマンのコンビは、南仏を舞台にした『泥棒成金』(’55)主演のケリー&ケーリー・グラントのようだとも言われているそうですが、もしかすると、そもそも本作はそこを目指していたのかもしれませんね。ヴァネッサのファッションに話を戻すと、トレードマークである“幸運の前歯”と、真っ赤な口紅がとってもお似合いなのも見逃せないポイント。もちろん、イメージモデルを務めているシャネルの口紅「ルージュココ」を使っているのでしょうが、このルージュの赤と、ケリーの赤もぴったり。なるほど、鮮やかな赤いバッグと同色のルージュを合わせると、かなりカジュアルなウェアでも、フレンチ・シックなテイストになるということですか。というように、ハリウッドとは一味違う上級テクも楽しめます。テクニックではないものの、ハリウッドと明らかに扱いが違っていて面白かったのが、胸。極めてナチュラルなかわいらしい胸をお持ちのヴァネッサですが、劇中、堂々とイエローのカシュクール風ドレスを着用しています。動いた調子にちょっと中身が見えそうな…と、ドキドキ。ハリウッドならこの手のドレスはかなりバストの大きい女優にしか着せないでしょう。でも、そこはフランス。もちろんノーブラ、もちろんノー・ヌーブラ、もちろんノー・バストアップブラで、堂々と着こなしています。その姿が、「ああ、胸がなくてもこういうドレスを着ていいんだ!」とどれだけ多くの人を励ましてくれることか。でも、ポロリ覚悟で臨める度胸がなければ、着る資格はなさそうですが。ファッションにまつわる様々な学びが詰まったスタイリッシュな映画ですが、物語の鍵となるのが、いまやスタイリッシュとは正反対の意味を持つ「ワクワク・ウェイク・ミーアップ」(By Wham!)と、『ダーティ・ダンシング』(’87)。でも、この微妙なネタの扱いが大胆かつ極めてキュートなので、180度ひっくり返って、ちょっとイカしているように感じられてくるから不思議。そして、おしゃれに笑えます。全編通してスタイリッシュなこの作品、ファッションをはじめ、掘り起こし甲斐のあるネタ満載なので、自分だけのおしゃれのツボを見つけてみてください。(text:June Makiguchi)■関連作品:ハートブレイカー 2011年10月29日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開© 2010 YUME-QUAD FILMS / SCRIPT ASSOCIES / UNIVERSAL PICTURES / INTERNATIONAL / CHAOCORP■関連記事:フランス2大スター競演のヒット作『ハートブレイカー』試写会に10組20名様ご招待
2011年10月28日『ゴーストライター』が日本で好評上映中のロマン・ポランスキー監督が27日、スイスのチューリッヒ映画祭に出席、2年前に受け取るはずだった生涯功労賞を受賞した。ポランスキーは2009年9月、授賞式出席のためにスイスに入国した際、1977年にアメリカで起こした少女淫行事件の容疑で拘束され、昨年7月まで自宅軟禁生活を送っていた。温かい拍手に包まれて登壇したポランスキーは「もらえないより、遅れる方がいい」とコメントして会場を湧かせた後、「とても感動しています」と語った。映画祭では彼自身が半生を語るドキュメンタリー映画『Roman Polanski: A Film Memoir』(原題)が上映され、母国ポーランドにナチスが侵攻した第二次世界大戦中の過酷な体験について語ると同時に、ポランスキーは77年の被害者の少女にも言及した。ローラン・ブーズロー監督による同作はポランスキーが一昨年の収監生活の後、スイスの別荘で自宅軟禁生活を送っていたときに撮られたもの。77年、当時13歳だった被害者についてポランスキーは「彼女は二重の被害者です。私とプレスの被害者です」と語り、初めての公の謝罪の言葉として受け止められている。(text:Yuki Tominaga)© ロイター/AFLO■関連作品:ゴーストライター 2011年8月27日、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開© 2010 SUMMIT ENTERTAINMENT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.■関連記事:ベルリン国際映画祭で銀熊賞受賞『ゴーストライター』試写会に10組20名様ご招待
2011年09月29日11月公開の松田翔太主演映画『ハードロマンチッカー』のポスター画像がこのほど解禁され、キズ・アザを負った金髪姿の松田の姿が公開された。その他の写真『ハードロマンチッカー』は、山口県下関市を舞台に、高校中退のフリーター・グー(松田)が、後輩の起こした事件を機に暴力の連鎖のなかに巻き込まれていく姿を描いた作品。『偶然にも最悪な少年』のグ スーヨン監督が自作小説を基に監督し、松田のほかに永山絢斗、柄本時生、金子ノブアキ、石垣佑磨らが出演する。このほど公開されたポスターは、金髪オールバックで顔中にキズを負った松田が、口元のキズを確かめながら鋭い視線を己に投げかけている瞬間を捉えたもの。その周囲には血によってつけられた手形のような模様がデザインされており、荒々しい暴力描写が登場する本作の“痛み”を表現した内容になっている。松田は、これまでも『ワルボロ』や『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』などの作品で、閉塞感の中で自らの進むべき道を求めて疾走する若者を演じ、高い評価を受けており、無軌道に生きる若者たちを描いた本作での演技も注目を集めそうだ。『ハードロマンチッカー』11月26日(土) 全国ロードショー(C)2011「ハードロマンチッカー」製作委員会
2011年08月25日松田翔太主演の『ハードロマンチッカー』の“傷だらけ”のポスター画像が解禁。金髪で血まみれの松田さんの衝撃的な姿が明らかになった。グ・スーヨン監督が自ら書き上げた青春小説を映画化。暴力とセックスとクスリがあふれる下関のディープタウンを舞台に、ケンカに明け暮れる若者たちの無軌道な青春を鮮やかに描き出す。松田さんが演じるのは、ディープタウン育ちで高校中退のフリーター・グー。誰ともつるまずにこの街で生きてきたが、後輩が起こした事件をきっかけに暴力の連鎖に巻き込まれていくことに…。昨年公開された主演作『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』でも息が詰まるような現実から抜け出そうともがく若者を好演した松田さん。今年は本作のほかに『スマグラーおまえの未来を運べ』にも出演し、さらに来年公開の『アフロ田中』では巨大なアフロのかつらを装着して話題を呼んだが、本作では渋みのきいた金髪をオールバックにして、強がりと暴力を寄る辺に青春を駆け抜ける主人公を熱演している。今回、解禁となったポスターでは、その自慢のオールバックが乱れ、顔は傷だらけ、片目は腫れてほとんどふさがった状態で鏡を見つめる痛々しい姿が…。まさにこの映画の本質をそのまま伝えるようなポスターに仕上がっており、これが映画館に貼り出されれば大きな話題を呼びそうだ。共演陣には永山絢斗、柄本時生、遠藤要、渡部豪太、川野直輝、金子ノブアキ、落合モトキ、遠藤雄弥、石垣佑磨など才能ある若手俳優から、淡路恵子、白竜、真木蔵人、渡辺大、芦名星、真木よう子、中村獅童、渡部篤郎といった実力派の大人たちまで豪華かつ渋い面々が顔を揃えている。暴力の連鎖の中で傷だらけの松田さんが行き着く先は――?『ハードロマンチッカー』は11月26日(土)より全国にて公開。■関連作品:ハードロマンチッカー 2011年11月26日より全国にて公開© 2011「ハードロマンチッカー」製作委員会
2011年08月25日誰にでもいつか必ず訪れる“死”。人は自らの最期を予期したとき、何を思い、何を遺そうとするのか――?フランスで120万部を突破した大ベストセラーを映画化した『メッセージそして、愛が残る』はそんな問いにひとつの答えを提示する。自らの死期を悟り、喪われた愛を取り戻そうとする主人公・ネイサンを演じたロマン・デュリス、その妻・クレアに扮したエヴァンジェリン・リリーが、それぞれにこの作品が持つ意味、そして共演の感想を語ってくれた。幼い息子を突然の病で失い、心を閉ざしてしまうネイサン。俳優として、この役を演じることの魅力をロマンはこう語る。「心を閉ざした状態で登場したネイサンが、ドクター・ケイ(ジョン・マルコヴィッチ)が現れたことで命の期限を意識するようになり、人生にとって何が大切なのかを見いだし、徐々に愛に対して心を開いていく――。僕が気に入っているのはまさにそこだよ。ネイサンは、自分の身に降りかかった悲劇を受け入れてはおらず、愛する娘と妻からも遠ざかり仕事に逃避している。こんな風に心を閉ざしている人物を演じるにはいくつもの方法がある。それはとても魅力的なことだよ。僕はネイサンという男を“内部に宝物をしまいこんだ要塞のような男”として捉えたんだ」。ではズバリ、そんな男へのアプローチはいかに?ロマン自身との共通点は?「そうだな、愛に重きを置くという部分を除いて、彼は僕自身とは遠くかけ離れていると思う。彼は心を閉ざした人物であるにもかかわらず、家族との生活がうまくいかないことで苦しんでいるんだ。僕は、彼が好ましく見える部分を最小限にまで減らし、不可解な人物に見せるように務めた。僕は観客に、彼がこうなってしまった理由を見つけたいと思わせたかったんだ。ネイサンは、真面目で奥の深い男だ。僕は長い間、役を演じるとき、自分の役が退屈になってしまうことが怖かった。受け身の役柄が怖かったんだ。でも、いまはそれほど怖くなくなった。それはなぜかと言うと内面の力を探求するようなったから。役柄の内面に魅力を感じるようになったんだ」。そしてロマンは、妻役のエヴァンジェリンとの共演の素晴らしさをこう語る。「最初に彼女と過ごしたときから、彼女に対して信じられないくらい深い感情を抱いた。彼女は美しく、同時に優しくてとても人間的だ。彼女には、“妻”的、そして“母親”的な側面があり、それが彼女の演技に信憑性を与えている。ネイサンにとって、彼女は生きる理由であり、目的であるがエヴァンジェリンはその要素を併せ持っている。彼女に出会えてよかったよ」。「子供を失うという計り知れない痛みと喪失を想像しなくてはならなかったが、父親を演じられたことは嬉しかった」とロマン。さらに自身にとっての本作の位置づけについてこんな言葉も。「ロケーション、感情、登場人物間の絆といった全ての要素の調和がとれている作品であり、フランス以外の場所が舞台であるという理由から、僕のキャリアの上でも重要な作品だよ。英語で演技をして気がついたのは、演じているときの心持ちが適切であれば、英語も正しく発音できるということ。役柄を究めれば、その役が必要とする能力も身につけることができるというわけだ。僕にとっては、それが自分から抜け出し、役の中に入り込んでいく方法なんだ」。クレア役のエヴァンジェリンは、本作に脚本段階で“ひとめ惚れ”したという。本作への出演が決まった経緯についてこう説明する。「脚本を読んだとき、この物語と映画のメッセージに惚れ込んでしまったの。この物語に感動し、打ちのめされたわ。強烈に心奪われてしまったの。スケジュールの関係で、この役を逃してしまうのではないかと思ってハラハラしたわ。できるだけ落ち着いていようと思ったけれど、そのことを考えずにはいられなかった――。ようやくジル・ブルドス監督に会ったとき、私はまるで新人みたいにあがってしまったわ。彼と私はお互いに、相手がどう反応するかを同じくらい心配していた。そして、すぐに波長が同じだと気がついたの」。一体何がそこまで彼女の心を揺さぶり、動かしたのか?「このようなストーリーは、フランス人の感性があるから書けるのだと思う。近頃は、ハートも魂もない脚本にしばしば出くわすわ。それらは冷たくて機械的で、触発されるものがほとんどない…。アメリカ映画の場合は特にね。そんなとき、このストーリーと出会ったの。スリラーとして人の心をつかみ、素晴らしい会話と、誰もが共感できる人間関係と、多くの魅力を備えたこの物語にね!この映画は、人々に希望を与える形で“死”というものを扱っている。そして、より強く愛することを描きながら別離というものを描いている。この映画をどうしたいかについてジルが言ったことの全てが、私の心を捉えたの。そして、撮影監督のリー・ピンビンの存在もね。彼は照明の達人だわ」。では改めて、エヴァンジェリンにも“夫”ロマンとの共演の感想を聞いてみよう。「監督と俳優の関係が万国共通であると分かったのと同じく、演技的な経験もまた普遍的なものだと知って驚いたわ。ロマンと私はすぐに意気投合したの。演技の上で、私たちはお互いにできる限りたくさんのインスピレーションと自由を与え合った。ロマンはチャーミングで寛大。すぐに仲良しになり、それが仕事にも完璧につながったわ。本当に私たちはウマが合っていて、役を演じる段階で全てがしっくりくる演技ができたというわけ」。ロマンが“父親役”を演じることの意義を語ったのと同様に、エヴァンジェリンは、“母”を演じた意味をこんな言葉で表現してくれた。「役柄について掘り下げるときは、自分についても発見するものよ。今回、母親役を演じるにあたって、子供のいない私は、母親になったらどんなだろう?ということをいろいろと考えたわ。この映画を通じて、自分の人生や、人生の優先順位について考えさせられたの。それと同じ効果を、この物語は観る人に及ぼすと思う。自分が出演しているかどうかにかかわらずね!私は、この地球上に生きている人間は、誰もが存在する理由を持っていると信じる人間のひとりなの。そして、周囲の人を愛すれば愛するほど、より多く愛されるチャンスが得られると信じてもいるわ」。ロマンとエヴァンジェリン。生まれも育ちも異なる2人の俳優が父として母として、夫として妻として、そしてひとりの人間として奏でる“愛”を堪能してほしい。■関連作品:メッセージそして、愛が残る 2010年9月25日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開© 2008 FIDELITE FILMS - AFTERWARDS PRODUCTION INC - AKKORD FILM PRODUKTION - WILD BUNCH - M6 FILMS■関連記事:秀樹家族に「カンゲキというよりありがとう」香山リカが夫婦愛講座永く愛されるコツは「求め過ぎない」香山リカトークショー付き『メッセージ』カップル限定試写会に15組30名様ご招待ロマン・デュリスが大人の苦悩を演じ上げる!『メッセージ』予告編を独占先行配信
2010年09月24日歌手の西城秀樹が9月22日(水)、東京・港区のシネマート六本木で行われた映画『メッセージそして、愛が残る』(ジル・ブルドス監督)のトークショー付き試写会に出席した。自分の死期を悟った主人公の男が、残された時間を大切に生きようとして疎遠だった家族との絆を取り戻していく姿を描く物語。2003年6月に脳梗塞を発症し乗り越えた経験を持つ西城さんが、愛することや生きることの大切さを伝える本作に共鳴し、来場したもので「この映画、本当に深いです。2回観まして1回目はショックを受けて落ち込んだ。でも2回目には、基本は生きている間をどう生きるかを描いた温かい映画だと思った」としみじみ。もし主人公のように死期が分かったら?との質問には「怖いから嫌だけど、分かったら腹をキメて人生にどう素晴らしいものを残せるか考えます」。自身が大病を経験して変化したことについては、「家族への愛情をもっと出していこう、思い出を作ろうと思うようになった。家族が先で、仕事がある。いまは家族と過ごしている時間がこの上なく楽しい。それがあるから仕事ができる。そう気付いたときから女房には頭が上がりませんね」。取材陣から家族には感激ですか?と突っ込まれると、「秀樹カンゲキ、って言わせたいんでしょうが」と苦笑いしつつ「カンゲキというよりありがとう、です。例えば食事を作ってくれるのも、当たり前とは思わない。他人と暮らしているわけですから」と語った。『メッセージそして、愛が残る』は9月25日(土)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:メッセージそして、愛が残る 2010年9月25日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開© 2008 FIDELITE FILMS - AFTERWARDS PRODUCTION INC - AKKORD FILM PRODUKTION - WILD BUNCH - M6 FILMS■関連記事:香山リカが夫婦愛講座永く愛されるコツは「求め過ぎない」香山リカトークショー付き『メッセージ』カップル限定試写会に15組30名様ご招待ロマン・デュリスが大人の苦悩を演じ上げる!『メッセージ』予告編を独占先行配信
2010年09月22日精神科医の香山リカが9月13日(月)、東京・渋谷区のレストラン「COPON NORP」で行われた映画『メッセージそして、愛が残る』のカップル限定試写会の上映後のトークショーに出席。観客約30人からの質問に答える形で“夫婦愛指南”を行った。作品は、人の死を予見する不思議な能力に触れ、自分の死期が近いことを知ったネイサン(ロマン・デュリス)が、疎遠にしていた妻と娘との時間を持つ中で愛することの大切さを再認識していく物語。香山さんは、職業柄の探究心が疼いたのか鑑賞後の観客に「自分の死期って知りたいですか?」と尋ねつつ、「私は今年で半世紀生きまして、この歳になるとせっかくなら死期を知ってやるべきことをやりたい。いろんな人に会いに行きたいですね。初めての人ではなく、これまにで会ってきた人たち。こんなにたくさんの人に支えられてきたんだ、とか考えたい」としみじみした調子で感想を語った。劇中で妻への愛を再認識するネイサンを引き合いに、夫婦愛を保つコツについて「一時の沸騰した感情だけで離婚したり家を出たりするわけだけど、その人がいなかったら?と、過去、未来と長い目で見てふり返ってみたりすると、嫌で嫌でしょうがない夫が少し輝いて見えたりするかも。駅でやりあっているカップル見ていると、ああ恥ずかしいって思うでしょ?人のことだと分かるんですよね」と思考法をアドバイス。「一種類の愛情の形に縛られなくても。愛情のパターン、関係性が変わってもいいと思えれば。男と女だけでなく、趣味友とか」と男女間における柔軟さの必要性も訴えた。観客からの「永く愛し、愛される秘訣は?」の質問には「無償、万能の愛を求めちゃいけない。どんなときも味方してくれる、何をしても受け入れてくれる、寄り添ってくれる、なんて実は一番難しいし、現実的にムリ。求め過ぎない、要求水準を高くしないことが大事。相手も人間で限界があるんだから。相手にも自分にも欠点がある、それを知ることです」と専門医らしくキッパリ。「人生観が変わるような恋愛経験は?」と自身の体験を聞かれ「うーん、そんなに私…」と一瞬ひるんだが、恋愛観の変化を赤裸々に語るひと幕も。「年齢によって恋愛に求めるモノが違う。変わってきます。若いときは自分の好みに合っていないと嫌とか問題外とかあったけど、いまはルックスとかじゃないってつくづく思うし、親の介護の話ができるとか『昔、こんなことがあったね』、『あったあった』とか話せたりすると楽しい」。締めで司会者から「後悔しない人生のためのコツは?」と聞かれ、「えっ!?」と驚きながらも、「こうなったら成功とか失敗とか決めつけない。しかもそれを人間が決めることは傲慢」とさばさば答えていた。映画『メッセージそして、愛が残る』は9月25日(土)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:メッセージそして、愛が残る 2010年9月25日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開© 2008 FIDELITE FILMS - AFTERWARDS PRODUCTION INC - AKKORD FILM PRODUKTION - WILD BUNCH - M6 FILMS■関連記事:香山リカトークショー付き『メッセージ』カップル限定試写会に15組30名様ご招待ロマン・デュリスが大人の苦悩を演じ上げる!『メッセージ』予告編を独占先行配信
2010年09月13日日本でも高い人気を誇るフランス人俳優、ロマン・デュリスを主演に迎え、本国フランスで120万部を売り上げたベストセラーを映画化した『メッセージそして、愛が残る』の予告編がシネマカフェに独占先行で到着した。デュリスが演じるのは、幼い息子を突然失ったショックから、残された妻と娘を遠ざけ、仕事に逃避する日々を送る弁護士・ネイサン。そんな彼の前に、ケイと名乗る医者が現れる。彼は、人々の死を予見するという不思議な能力を持っており、彼のそんな力を目の当たりにしたネイサンは、自分にも死期が迫っていると直感し、離れて暮らす妻と娘との絆を取り戻そうとするのだが…。『青春シンドローム』、『スパニッシュ・アパートメント』のセドリック・クラピッシュ監督作品をはじめ、数々の作品で“青春の苦悩”を演じてきたデュリスが、30代半ばにさしかかり、愛すること、生きることに思い悩む大人の男を熱演!本作で、全編英語による演技に初めて挑戦している。人の死を予見する能力を持つ医師・ケイを、脚本に惚れ込んで出演を熱望したジョン・マルコヴィッチ、さらに「LOST」、オスカー受賞作『ハート・ロッカー』で注目を集めるエヴァンジェリン・リリーが、ネイサンの妻・クレア役で確かな存在感を放っている。アジアを代表する撮影監督、リー・ピンビンによる叙情的な映像にも注目!『メッセージそして、愛が残る』は9月25日(土)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開。※こちらの予告編映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:メッセージそして、愛が残る 2010年9月25日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開© 2008 FIDELITE FILMS - AFTERWARDS PRODUCTION INC - AKKORD FILM PRODUKTION - WILD BUNCH - M6 FILMS
2010年08月02日1977年に米国で少女にわいせつ行為をした容疑で、昨年9月からスイスで身柄を拘束されていたロマン・ポランスキー監督が12日、釈放されたことがスイス司法省により発表された。スイスのヴィドマー・シュルンプフ司法大臣は、米国の身柄引き渡し要求に誤りがある可能性があるとして、要請を拒否したと発表した。「彼は12日午前11時30分から自由の身です。(自宅のある)フランスでも、(故郷の)ポーランドでも行くことができます。逮捕されることもありません」と大臣はスイスの首都ベルンで行われた記者会見で語った。ポランスキーは1977年、ロサンゼルスのジャック・ニコルソン邸で当時13歳だったモデルの少女にわいせつ行為をした容疑で逮捕され、有罪判決を受けたが、保釈中にヨーロッパへ出国、以後アメリカには一度も戻っていない。2003年に『戦場のピアニスト』でアカデミー賞監督賞を受賞した際にも入国しなかった彼は昨年9月26日、チューリヒ映画祭出席のためスイスに入国した際に上記の容疑でスイス司法当局に身柄を拘束された。昨年12月からはスイス国内の山荘で当局の監視下に置かれていた。ロイター通信が別荘を訪ねたところ、ポランスキーのアシスタントを名乗る女性がインターフォン越しに対応し、ポランスキーはすでに別荘を後にしたと話したが、詳細は不明。(text:Yuki Tominaga)© AFLO■関連作品:それぞれのシネマ〜カンヌ国際映画祭60回記念製作映画〜 2008年5月17日よりユナイテッド・シネマ豊洲にて2週間限定公開/8月2日より渋谷ユーロスペースほか全国にて順次公開© 2007 Festival de Cannes-Elzevir Films.All Rights Reserved.■関連記事:巨匠33名の短編が1本の映画に!『それぞれのシネマ』招待券を5組10名様にプレゼント今月はカンヌがテーマ!映画ファン投票でシネマギフトカードを10名様にプレゼント
2010年07月13日女優の層は厚いのに、若手男優の層がちょっと寂しいフランス映画界。美形にしろ、個性派にしろ、大物感を漂わせる次世代俳優がなかなか登場しないのが個人的に気になるところです。現在、六本木エリアで開催中のフランス映画祭でも、作品、来日ゲストともに、どことなく女優たちの活躍の方が目立つ気が…。でも、ちょっと心もとない次世代を支えるかのように、がっちりと地盤を固めているのが、アラフォー世代の俳優たち。フランス映画祭で来日中のマチュー・アマルリック、シャルロット・ゲンズブールの夫で監督でもあるイヴァン・アタル、監督業にも進出したブノワ・マジメルら、容姿、特徴も多彩な人々が、この世代ならすぐに思い浮かびます。中でも個人的に注目しているのは、ロマン・デュリス。個性的な風貌と強い目ヂカラを持ち、セドリック・クラピッシュ、トニー・ガトリフ、ジャック・オディアール、パトリス・シェローら名監督たちに愛されている演技派。最近では、『ルパン』や『真夜中のピアニスト』で、繊細さやいい男ぶりも披露し、幅の広い演技力と魅力を感じさせました。そんな彼が今回挑んだのは“喜劇の神様”モリエール。映画『モリエール恋こそ喜劇』は、貧乏な劇団の俳優として、「もっと魂を追及できる真面目な作品に取り組みたい」と考えていた若き日のモリエールが、笑いの中に人間の本質を描き出す名作づくりへとどのように辿り着いたのかを描いたドラマ。製作者たちは、モリエールの人生の中で、空白となっている22歳当時の数ヶ月に着目し、どんな出会いがあり、どんなものを見て、聞いたのかを想像しながら、モリエールの内面に迫っていきます。ちょっと乱暴に言うなら、フランス・モリエール版『恋に落ちたシェイクスピア』という感じでしょうか。とはいえ、ロマンの存在がこの作品をフランス映画らしい、良い意味での“ひと癖”を生み出しています。何せ、ロマンスも含まれる物語の主役なのに、髪型は似合っているのか似合っていないのか、容易には判断できないほどに微妙な感じの長髪。でも、かっこいいのか、悪いのかなんてどうでもいいと感じさせるほどのインパクトが、やっぱりロマンらしいのです。以前、インタビューで会った際、何の前触れもなく、いきなりスキンヘッドで登場してきて驚かされたことがありましたっけ。インタビューの直前に見た作品とはあまりに違う印象だったので、「あっ、髪型が…」と言うと、「へへへ」といたずらっ子のように笑っていました。最初は、「うっ、くりくり坊主だ。いままで見てきた彼とイメージが違う」と違和感を覚えて戸惑っていたのですが、いつしか髪形なんてどうでもよくなり、彼らしい愛嬌と絶妙の話術に引き込まれてしまいました。彼の場合、似合う、似合わないということなど別次元のことにしてしまい、すべて自分のものにしてしまう力がお見事。そほれほどまでに、人間として、役者として個性的なパワーに満ちているということなのでしょう。今回、実在した喜劇の神様を演じるロマンですが、彼の演技はいたってシリアス。彼自身がコミカルな演技をする場面は、意外なほどに少しです。でも、コメディの達人たちが持つ、登場するだけで、ちょっと動いただけで何だか可笑しいという雰囲気を上手くかもし出しています。特に楽しいのは、馬になりきる演技をする場面。本人(モリエールですが)は真剣に馬になりきっているのですが、あまりに馬に似すぎていて怖い…。それが何ともおかしいのです。さらには、共演者たちとのちょっととぼけた演技、やりとりの間合いも絶妙で、まさにこの作品自体がモリエールの喜劇のよう。モリエールを良く知る人は、細部に登場するちょっとした仕掛けにも思わずにんまりさせられるのではないでしょうか?ロマンが魅力的に演じてくれたおかげで、もっと知りたくなったモリエール。「町人貴族」、「人間嫌い」、「タルチュフ」、「スカパンの悪だくみ」…、いろいろ調べてみようかな。そして、再度『モリエール恋こそ喜劇』を観たら、さらに面白く感じられるはずですから。(text:June Makiguchi)フランス映画祭2010開催期間:3月22日(月・祝)まで開催中会場:TOHOシネマズ 六本木ヒルズ公式サイト:■関連作品:モリエール恋こそ喜劇 2010年3月6日よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開© 2006 FIDELITE FILMS-VIRTUAL FILMS-WILD BUNCH‐FRANCE 3 CINEMA-FRANCE 2 CINEMA
2010年03月19日スイス司法省は25日、1977年の13歳の少女に対するわいせつ行為容疑で9月下旬から拘束中だったロマン・ポランスキー監督の保釈申請承認を発表した。保釈金は、450万スイスフラン(約3億9,000万円)。32年前、アメリカのロサンゼルスで13歳の少女と性的関係を持った容疑で有罪判決を受けた直後の1978年にポランスキーは渡仏。国際手配されていたため、活動範囲はヨーロッパにほぼ限定され、『戦場のピアニスト』がアカデミー賞に輝いたときも、ポランスキー本人は渡米しなかった。ところが、9月26日にチューリヒ映画祭参加のためにスイスへ入国した際に当局から身柄を拘束され、アメリカへの身柄引き渡しが要請されている。今回の保釈の条件は、身柄引渡しに関する決定が出るまで身分証明書類を当局に預け、保釈中はスイス国内にポランスキーが所有する山荘に滞在すること。監視用の電子機器がつけられ、別荘から離れることは出来ないという。ポランスキー夫人の姉で女優のマティルド・セニエはラジオに出演し、義弟保釈の報に安堵しながらも「(ポランスキーが)逃亡すると考えるなんて、ばかばかしい」と語った。ポランスキーは今週にも保釈される見込みだ。(text:Yuki Tominaga)写真は今年の6月、パリで行われた『ブルーノ』のプレミアに出席した際のポランスキー。© Rex Features / AFLO■関連作品:ブルーノ 2010年3月、新宿バルト9ほかにて公開© 2009 Universal Studios■関連記事:各方面に多大な影響を及ぼした、マイケル・ジャクソンの急逝
2009年11月30日