7月5日、「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして世界文化遺産に登録された八幡製鐵所。その八幡製鐵所から生まれたとあるお菓子が、北九州で長い歴史を持つ伝統銘菓として名を馳せていることをご存じだろうか?そのお菓子とは、「くろがね堅パン」と「くろがね羊羹(ようかん)」。商品名の「くろがね」は「鉄」の古称で、いずれも大正時代に官営八幡製鐵所(現在の新日鐵住金八幡製鐵所)で誕生した。そして現在はスピナが製造・販売している。○製鐵マンたちの栄養補給目的で誕生それにしても、なぜ製鐵所が本業と無関係の堅パンや羊羹を開発することになったのだろう? その答えはずばり、数万人もいた従業員のカロリー補給のため。工場内の過酷な労働環境下で、長時間働き続けるためには十分な栄養摂取が必須。そこで、当時の栄養事情をかんがみた会社が従業員に栄養補助を行ってもらうべく、購買会で販売するようになったのだ。長く保存できるよう、極力少ない水分で作られている堅パンは、鉄のような堅さであることが大きな特徴。堅い食べ物はアゴの強化のためにもいいと言われるが、実際、地元には、乳幼児期のアゴの発育や歯固めを目的に給食に取り入れている幼稚園もあるとのこと。口にしてみると、確かに咀嚼(そしゃく)にかなりの労力を要すため、小顔になりたい女性にもオススメできる。定期的に食べることでアゴが鍛えられるばかりか、シャープな顔立ちになれるといううれしい副次効果も得られそうだ。しかも、よく噛(か)んで食べることで満腹中枢が刺激されるので、適量でおなかが満足するゆえに健康維持にも一役買ってくれそうだ。1袋5枚入りから展開している。○万が一の時のために備えておきたいもちろん、保存食としても大いに役立つこと間違いなし。阪神・東北の震災発生時にも現地に送って喜ばれたというが、いざ何か起きた時に慌てず済むよう、各家庭で備えておくのもいいだろう。保存用としてうってつけは、スチール缶タイプ(堅パン5枚入り×34袋入り)。蓋をすれば椅子にもなることから、災害時の移動中にも役立つこちらのタイプは、3月に幕張メッセで開催されたアジア最大級の食のイベント「FOODEX JAPAN2015」において、「ご当地缶詰グランプリ」の銀賞とビジュアル審査賞をW受賞している。一方の羊羹は、重さ160g・長さ13cmというコンパクトサイズ。従業員のポケットにすっぽり入る形状だったことから、作業の合間にかじってスタミナを補給した製鐵マンもいたんだとか。また、昼夜を問わず稼働し続ける工場を支える労働者の疲れを癒やして体力を回復させる狙いで、敢えて甘みの強い上白糖を使っていることもポイント。もちろん、肉体だけでなく、オーバーワーク気味な現代人の脳の疲れを取るためにもうってつけ。渋めの緑茶なんかと合わせて食べると、頭が瞬時にシャキっとしそう!堅パン・羊羹ともに、商品が誕生した当時の堅さ・甘さにこだわっていることから、「北九州の味」として市民に定着しているため、進学や就職のために故郷を離れた人にとっては「懐かしの味」ともいえるだろう。福岡出身者もそうでない人も、世界遺産登録のおめでたいこのタイミングで、ぜひ一度味わってみてほしい。※記事中の情報・価格は2015年6月取材時のもの
2015年07月06日©TRIPPING!ドイツで開催されたユネスコの世界遺産委員会は、シンガポールの「シンガポール植物園(Singapore Botanical Gardens)」を世界遺産に登録することを発表!シンガポールに初めての世界遺産が誕生した。シンガポール植物園とは?©TRIPPING!シンガポールの中心地に位置するシンガポール植物園は、74haもの広大な敷地に、熱帯ならではの美しい花々が咲き、市民の憩いの場として愛されて来た。設立は1859年。農業開発の場として利用されていたシンガポール植物園で初期に盛んに実験栽培されたのが「ゴム」。これが後の自動車産業の発展期に重要な役割を果たした。そのような歴史的背景も今回の世界遺産登録の要因となっている。1928年からは、「蘭」の品種改良に力を入れるようになり、その技術力は世界を牽引。蘭を集めた庭園「ナショナル・オーキッド・ガーデン」は旅行者からも人気の観光スポットとなっている。ナショナル・オーキッド・ガーデン©TRIPPING!また、シンガポール植物園は、国の政策の一つである「シンガポール緑化計画(Singapore’s Garden City programme)」を実現させる上で、園芸技術の研究、開発の重要な拠点でもある。目的地をあらかじめ決めてからでかけようオーチャードエリアからタクシーで5分程度とアクセスもしやすいので、一度は訪れたい観光スポット。但し、広大な園内の移動は想像以上にハード。目的地をあらかじめ決めてから出かけることをおすすめする。園内にはカフェやレストランも。「Casa Verde(カーサ・ヴェルデ)」©TRIPPING!園内のカフェCasa Verde(カーサ・ヴェルデ)の記事はこちら>12歳以下の子供と保護者のみ入園できるキッズガーデン©TRIPPING!
2015年07月06日6月28日からドイツのボンで開催されている世界遺産委員会で7月5日、審査延期を経て『明治日本の産業革命遺産』が国内19番目となる世界遺産に決定した。8県にまたがる23資産からなる同遺産は、複数の連続性のある遺産「シリアル・ノミネーション」として国内初の事例となる。そこで今回、この23資産はどんなものなのか紹介しよう。23資産は8県11市(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、山口県、静岡県、岩手県)に分散して立地しており、それぞれは主に造船・製鉄・石炭産業といった重工業分野において、西洋から非西洋への産業化に貢献した産業遺跡(一部、稼働中の工場あり)となっている。○現役の工場も - 八幡製鐵所(福岡県)まずは福岡県の資産から。国の威信をかけた官営製鐵所として明治34年(1901)に創業された八幡製鐵所からは、「八幡製鐵所 旧本事務所」「八幡製鐵所 修繕工場」「八幡製鐵所 旧鍛冶工場」(福岡県北九州市)、そして「八幡製鐵所 遠賀川水源地ポンプ室」(福岡県中間市)の4資産が世界遺産に登録された。特に八幡製鐵所 修繕工場は創業から現在までの110年以上の間、現役の工場として稼働しているため、一般の見学は制限されている。○近代化を支えた炭鉱遺構 - 三池(福岡県・熊本県)また、日本の近代化を支えた炭鉱遺構の三池炭鉱関連では、「三池炭鉱宮原坑」「三池港」(福岡県大牟田市)、「三池炭鉱万田坑」「三池炭鉱専用鉄道敷跡」(福岡県大牟田市・熊本県荒尾市)、「三角西(旧)港」(熊本県宇城市)の5資産が世界遺産に登録された。中でも、国内最大規模の堅坑の三池炭鉱万田坑は、映画『るろうに剣心』のロケ地としても有名である。○近代造船の礎 - 三重津海軍所跡(佐賀)日本の近代造船の礎を築いた佐賀県佐賀市の「三重津海軍所跡」も、今回の構成遺産のひとつだ。海軍の人材育成や西洋の船舶技術の拠点として安政5年(1858)に設立された。○造船や炭鉱、西洋住宅と多種多様(長崎県)今回の構成遺産の中で最大となる8つの資産を抱えているのが長崎県だ。全て長崎市内にあり、長崎造船所関連として「長崎造船所 小菅修船場跡」「長崎造船所 第三船渠」「長崎造船所 ジャイアント・カンチレバークレーン」「長崎造船所 旧木型場」「長崎造船所 占勝閣」、炭鉱関連として「高島炭鉱」「端島炭鉱」、日本に西洋美術を伝えたグラバーの拠点として「旧グラバー住宅」が世界遺産に登録された。特に端島は通称"軍艦島"と呼ばれるところで、映画『進撃の巨人』のロケ地になったこともあり、このところ観光客でにぎわっているという。また、2016年には同じ長崎県の「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を世界遺産に推薦しており、その構成遺産である大浦天主堂を今回の旧グラバー住宅とともに合わせてめぐってみるのもいいだろう。○資産は桜島と共に(鹿児島県)鹿児島県内の資産もまた多種にわたる。全て鹿児島市にあり、巨大プラントの「旧集成館」や日本最古の洋式工場「旧集成館機械工場」、堅牢な石積で築造された「寺山炭窯跡」、機械の動力を支えた「関吉の疎水溝」、英国技師たちが暮らしコロニアルスタイルの宿舎「旧鹿児島紡績所技師館」がある。旧集成館は桜島の目の前にあるので、あわせて風景を楽しんでみるのもいいだろう。○幕末の志士の魅力にも迫る - 萩(山口)今度は本州の地から。鉄製大砲や西洋式軍艦の製造を目指し、社会全体の近代を夢見た吉田松陰ゆかりの地として、山口県萩市からは「萩反射炉」「恵美須ヶ鼻造船所跡」「大板山たたら製鉄遺跡」「萩城下町」「松下村塾」が世界遺産に登録されている。萩城下町には高杉晋作旧宅や木戸孝允(桂小五郎)旧宅など、幕末の志士たちの関連史跡が多くあり、その城下町から少し離れたところに吉田松陰の主宰した松下村塾がある。○日本の近代製鉄発祥の地より - 橋野高炉跡(岩手県)今回の世界遺産は東北にもわたる。それが、日本の近代製鉄発祥の地である岩手県釜石市の「橋野高炉跡及び関連遺跡」だ。西洋の技術書からの情報を参考にして洋式高炉を建築し、日本で初めて連続出銑に成功した。その流れを受けて、後に八幡製鐵所で近代製鉄が確立されていったという。○唯一現存する幕末の反射炉 - 韮山反射炉(静岡県)最後は、静岡県伊豆の国市にある耐火レンガで覆われた「韮山反射炉」。この反射炉は、実際に稼働した幕末の反射炉として国内で唯一現存するものとなっている。建設にあたっては、西洋の書物をもとにしながらも日本の伝統技術が用いれたとされている。これら23資産が今回、新しく"日本の宝"と世界遺産に認定された。現在も稼働している工場などは一般の来場が制限されるが、場所によってガイドツアーを設けているところもあるので、事前に各エリアについて調べてから訪れることをおススメしたい。協力: 世界遺産アカデミー研究員本田陽子
2015年07月05日古都ホイアン photo:ひさほ ゆうベトナムには、8つの世界遺産があります。前回の記事では、ベトナム北部のハノイから観光できる世界遺産4つを紹介しましたが、今回の記事ではベトナム中部にある4つの世界遺産を取り上げます!・古都ホイアン(文化遺産)・ミーソン聖域(文化遺産)・フエの歴史的建造物群 (文化遺産)・フォンニャ‐ケバン国立公園 (自然遺産)この4つの世界遺産はベトナム中部の大都市ダナン近郊を拠点として観光することができます。何と今年の7月から9月までベトナム航空の成田~ダナン線の直行便が週7日毎日運行されるんです。成田からダナンは飛行機で約5時間半!ベトナム旅行と言えば、ハノイやホーチミンが一般的ですが、思い切ってダナン近郊に絞って楽しむのもいいですね。ちなみにベトナム南部のホーチミン周辺には世界遺産はないのです。意外ですね!ダナン近郊の世界遺産は、街歩きに、遺跡に、王宮に、洞窟にと多種多様なので、毎日違ったものを楽しめるのも特徴です。そんなわけでこの夏セカイェがイチオシの世界遺産4つをご紹介します!記事の最後にセカイェが行くならこんな日程とルートで行きますってのもご紹介しちゃいまーす!イェーイ!古都ホイアン(文化遺産)登録基準: 「文化交流」、「伝統的集落」セカイェが大・大・大好きな"街の世界遺産"、古都ホイアン!ラオスのルアン・パバンと同じく、宿を一歩出たらそこは世界遺産!朝食やおやつを探しに行くだけで世界遺産が堪能できる、そんな素敵な街なのです!ホイアンでは、是非、街の中心部に泊まって、早朝、昼、夕方、夜と色々な顔のホイアンを楽しんで下さい!photo:ひさほ ゆうホイアンはベトナム中部にある港町で、ホイアン保存地区の大きさは東西500m、南北150mくらいと歩いて楽に回れます。そしてホイアンは日本人にもゆかりのある街なんです!古くは海のシルクロードの拠点として栄え、17世紀には日本町、中国町などが形成され国際貿易港として繁栄しました。最盛期には1000人以上の日本人が居住していたそうですが、江戸幕府の鎖国政策で帰国してしまいます。そのため日本人町は衰退し、現在の町並みはその後移り住んできた中国人の影響が強く残っています。■ 来遠橋(日本橋)photo:ひさほ ゆうこちらは、街の西にある日本の職人が建築したと言われている来遠橋です。ホイアンのシンボル的存在で、多くの観光客で賑わっています。こんな感じで夜のホイアンもノスタルジックで素敵なんです!■ 陳祠堂チャン家の祠堂photo:ひさほ ゆうホイアンは、家の中を見るのも楽しいんです!こちらの陳祠堂は、19世紀に中国系の方が建てた、祖先礼拝をする場所兼住居です。ホイアンでは、チケットを買うと、陳祠堂のようなベトナム、日本、中国の建築様式が混在した伝統的家屋をいくつか見学することができます。・アクセス成田からダナンまで直行便で約5時間半。ホーチミン、ハノイからダナンは飛行機で約1時間。ダナンからホイアンはバスで1時間弱。・必要日数日帰りで1日あれば十分まわれますが、ぜひ1泊して夕方、早朝のホイアンを堪能して欲しいです!ミーソン聖域文化遺産登録基準: 「文化交流」、「文明の証拠」ミーソン聖域は2~19世紀までと長~い間栄えたチャム人の国「チャンパー王国」の聖地で、ヒンドゥーの神々を祀るために造営された宗教建築遺跡です。四方を山に囲まれた森の中にレンガ造りの建造物が眠っています。ホイアンの南西約40kmとホイアンからバスで1時間ほどで行ける距離です。私達は、ホイアン発の半日ツアーを現地で申し込んで行きました。朝8時にホイアンを出発してバスでミーソンへGO!現地で2時間くらい観光し、再びバスでホイアンに13時半頃に戻ってきます。ミーソン観光はホイアンやダナンからツアーで行くのがお薦めです!photo:世界遺産イェーイ!ミーソンの建造物はレンガを少しずつずらして積み上げて屋根を支える独自の構造で、接着剤を使わずに建てられているのが特徴です。photo:世界遺産イェーイ!緑に囲まれた感じが素敵なんです!こんな神秘的な遺跡の中でたたずんでいたいところなのですが、実はミーソンはめっちゃ暑かった!!ちょうどお昼時に行ったからか、日陰もなく炎天下をヒーヒー言いながら観光しました。帽子は必須ですよ!・アクセスホイアンからバスで約1時間。ダナンからは2時間弱。・必要日数ホイアンかダナンからの日帰りツアーがおすすめ。半日のツアーが多いです。ダナンからバスで約3時間のところにある古都フエ。お次はフエに宿を取って観光できる2つの世界遺産をご紹介します。フエの歴史的建造物群(文化遺産)登録基準: 「文明の証拠」、「建築技術」「フエの歴史的建造物群」は、1802年から1945年まで続いたベトナム最後の王朝、グエン(阮)朝の都だったフエに残る建造物群です。建造物群というだけあっていくつかの見所で構成されており、大きく分けると、「グエン朝王宮」、「グエン朝各皇帝の陵墓」、「ティエンムー寺」の3つに分けることができます。そのうち「グエン朝王宮」は新市街から川を渡ってすぐ近くにありますが、その他は郊外に点在しており、効率よく回るにはやはりツアーの利用が便利!私達は朝8時から16時30分までの1日ツアーで観光しました。■ グエン朝王宮の大和殿photo:ひさほ ゆうフエ観光のメインとなる王宮は、北京の紫禁城(故宮)の4分の3の縮尺でつくられたと言われています。門の奥に見えるのが、皇帝が政務を行った大和殿。左右には池があります。■ カイディン帝陵photo:世界遺産イェーイ!グエン朝第12代皇帝カイディンのお墓、「カイディン帝陵」。こちらはヨーロッパ風のお墓でカッコいいんです!また建物の中の装飾も素敵で、天井と壁が陶磁器の破片のモザイクで埋め尽くされているのも必見です!その他、中国風な造りの「ミンマン帝陵」や、大きなハスの池が美しい「トゥドッグ帝陵」などもあります。・アクセスダナンからフエまでバスで約3時間。フエから1日のツアーが便利。・必要日数フエに丸1日滞在が必要。フォンニャ‐ケバン国立公園(自然遺産)登録基準: 「地球の歴史」フォンニャ-ケバン国立公園はアジアで最も古いカルスト地帯で、鍾乳洞と地下湖が見所です!国立公園内の数ある洞窟の中では「フォンニャ洞窟」が一番有名であり、船に乗って洞窟内を見て回れるんです。まるで地底湖の探検をしているかのような気分が味わえますよ!■ フォンニャ洞窟入口photo:ひさほ ゆうフォンニャ洞窟は、フエから北西へ約200kmのところにあります。これまたフエなどからのツアーが便利。フエからだと少々遠いので早朝から夜までのツアーになります。フォンニャ洞窟の近くにドンホイという街もあり、ドンホイからもツアーがあります。9月から11月は雨期で川が増水して洞窟に入れなくなることもあるので時期に注意!ベストシーズンは3月~8月です。photo:ひさほ ゆう・アクセスフエからフォンニャ洞窟まで車で約4時間。フエ発6:00~20:00の丸1日のツアーに参加。ドンホイからフォンニャ洞窟までは車で約1時間。ドンホイからもツアーがあるのでそちらを利用しても良い。・必要日数フエ、ドンホイどちらを拠点としても、移動と観光合わせて丸一日かかるので、1泊2日必要。最後にセカイェだったらこんな風にベトナム中部の世界遺産をまわりたい!という日程表です!セカイェツアー日程表 6泊7日 ベトナム中部4つの世界遺産を巡る旅1日目:成田→ダナン ダナン泊2日目:ダナン→フエ バスで移動 フエ王宮など市内を観光 フエ泊3日目:フエ1日ツアー フエ泊4日目:フォンニャ洞窟1日ツアー フエ泊5日目:フエ→ホイアン バスで移動 ホイアン観光 ホイアン泊6日目:ミーソン遺跡半日ツアー ホイアン観光 ホイアン泊7日目:ホイアン→ダナン バスで移動 ダナン→成田(text : 世界遺産イェーイ!鈴木かの子)※記事中の情報は、全て2015年6月現在のものです。(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 <上・下> 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、『るるぶ』】4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラム>バックナンバーはこちら
2015年07月02日○世界遺産データ『マチュ・ピチュ』(複合遺産)。ペルー。1983年登録。一生に一度は行ってみたい世界遺産のトップ3には間違いなく入るマチュ・ピチュ。インカ帝国が築いた天空都市、というのは言わずもがな。実は複合遺産なんですよ!マチュ・ピチュに至るには、麓の温泉街から急峻な坂道をバスで上っていくのですが、その道中はジャングルとなっています。今でこそ遺跡の周辺は切り開かれて見通しもいいのですが、1911年にアメリカ人探検家のハイラム・ビンガムが発見するまでは、ジャングルの中に埋もれていたのです。遺跡の周辺では、アンデスイワドリなどの絶滅危惧種が生息し、手つかずの自然が残されていることから自然遺産としての価値も評価されました。国外からマチュ・ピチュを訪れる際には、やはり世界遺産であるクスコという都市が起点となりますが、この間を結ぶ列車の名は「ハイラム・ビンガム号」となっています。○筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。○世界遺産検定とは?世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。主催:世界遺産アカデミー開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)開催地:全国主要都市受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込みその他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて
2015年06月29日グーグルは6月22日、一般のユーザーがPCやスマートフォンなどでキーワード検索した国内の世界遺産の検索数を集計し、トップ30を公開した。ランキングは、2015年1月1日~6月8日に、日本国内で最も検索された世界遺産を対象としている。期間中に最も検索された世界遺産は「世界一美しい城」とも言われる「姫路城」で、3月に改装工事が完了したことで注目度が上昇し、堂々のトップとなった。惜しくも2位となったのは「高野山」。弘法大師が修行場として開創し、2015年は1200年を迎えることから注目を集めており、10月には金堂と金剛峯寺等の御本尊特別公開が予定されている。注目すべきは、5月に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)に世界遺産への登録を勧告された「明治日本の産業革命遺産」も含まれており、その1つである長崎県の「軍艦島(端島炭鉱)」が3位にランクインしている。明治日本の産業革命遺産は、6月末に開催される世界遺産委員会では、世界文化遺産として大方登録される見通しで、さらなる注目が集まることが予想される。○2015年「世界遺産」検索ランキング トップ 301.姫路城2.高野山3.軍艦島(端島炭鉱)4.平等院5.薬師寺6.醍醐寺7.向島8.東大寺9.東寺10.下鴨神社11.松下村塾12.韮山反射炉13.春日大社14.仁和寺15.延暦寺16.本栖湖17.原爆ドーム18.上賀茂神社19.興福寺20.西本願寺21.龍安寺22.天竜寺23.唐招提寺24.高山寺25.西芳寺26.宇治上神社27.今帰仁城跡28.三池炭鉱29.日光二荒山神社30.識名園
2015年06月23日ハ・ロン湾photo:ひさほ ゆう4年間世界遺産巡りの旅をした世界遺産イェーイ!が、お届けする連載第4弾はベトナム北部の世界遺産でございます!!ベトナムには、8つの世界遺産があるのですが、今回ご紹介するのは、ベトナム北部にある以下4つの世界遺産です。・ハ・ロン湾 (自然遺産)・ハノイ-昇龍(タン・ロン)皇城遺跡の中心地 (文化遺産)・胡朝の要塞 (文化遺産)・チャン・アンの景観美関連遺産群 (複合遺産)この4つの世界遺産はベトナムの首都ハノイ近郊を拠点として観光することができます。文化遺産2件、自然遺産1件、複合遺産(文化と自然両方の基準を満たす)1件とバラエティ豊富なのがすごい!世界遺産には、文化遺産と自然遺産と複合遺産の3種類があり、東南アジアでは全世界遺産36件中、文化遺産22件、自然遺産13件、複合遺産1件!となっています。(2015年5月現在)件数の少ない自然遺産、そして東南アジア唯一の複合遺産まで観光できるとはすごいことなのです!そんなわけで日本からの直行便もあるハノイにビューンと飛んで4つの世界遺産を観光しちゃいましょう!記事の最後にセカイェが行くならこんな日程とルートで行きますってのも勝手に書いちゃいまーす!イェーイ!1. ハ・ロン湾(自然遺産)登録基準: 「自然の景観美」、「地球の歴史」photo:ひさほ ゆうハ・ロン湾の「ハ」は「降りる」、「ロン」は「龍」を意味しています。昔、天から龍が降りてきて侵略者たちを撃退した際に、辺りの山が砕け、深い谷ができ、そこに海水が流れ込んでハ・ロン湾の景観ができたという伝説を持っている世界遺産です。大小様々な形をした島が無数にあり、その景観は中国の桂林にも例えられ「海の桂林」とも言われてます。ハ・ロン湾は、ハノイからの日帰りクルーズツアーが人気!ハノイからクルーズの船乗り場までバスで4時間弱かけて行き、昼頃に乗船し、船から奇岩を見学したり、ランチを食べたり、洞窟の中を歩いたりして夕方頃に下船し、再びハノイに戻ります。色鮮やかにライトアップされたティエンクン洞窟photo:ひさほ ゆうカルスト地形特有の鍾乳石が美しい!ライトアップがカラフルなのに少々驚くかもしれません。洞窟って涼しいイメージですが、中は意外と蒸し暑いのにもびっくり!ゴリラ岩photo:ひさほ ゆう横から見るとゴリラっぽいので、そのように呼ばれています。ハ・ロン湾にはこのように不思議な形をした岩や島が多く、それぞれに面白い名前がつけられています。こんな感じでボートから絶景奇岩を堪能できます!実はハ・ロン湾ツアーには船の上で1泊するツアーもあるので、夕陽のハ・ロン湾とか月夜のハ・ロン湾を見てみたいですね!・アクセス羽田からハノイまで直行便で約5時間半。ハノイからの日帰りもしくは1泊2日のクルーズツアーに参加するのが一般的。ハノイから船乗り場があるバイチャイまではバスで約4時間弱。・必要日数ハノイからの1日ツアーに参加する場合早朝から夜まで丸一日必要なので、ハノイに2泊3日はしたいところ。2. ハノイ-昇龍(タン・ロン)皇城遺跡の中心地(文化遺産)登録基準: 「文化交流」、「文明の証拠」、「出来事や宗教、芸術」こちらは、ハノイ中心部旧市街の西側、ホーチミン廟から歩いて約15分のところにある、アクセス良好な世界遺産!かつて栄えたベトナム王朝の美しい皇城や発掘の現場を見ることができます。ハノイはその昔タン・ロン(昇龍)と呼ばれ、長い間政治の中心地であり続けました。そのため中国などから影響を受けた各時代の遺跡が残されているのが特徴です。端門photo:ひさほ ゆう第一城壁にある正門。登ることができるので、ぜひ登って上からの眺めを楽しんで下さい!よーく見ると屋根の上には龍がいますよ!ハ・ロン湾も龍に由来していますし、ベトナムでは龍は特別なものとされています。敬天殿photo:ひさほ ゆうこちらの龍の手すりの石階段の上に皇帝の宮殿があったそうです。この龍の階段を境にして上段が皇帝の政庁、下段が役人の政庁と分けられていました。その他2002年に国会議事堂を移転するために土地の調査をした時に発見されたホアンディウ考古遺跡などもあり、8世紀以降の柱の土台や井戸を見ることができます。・アクセスハノイ市内。ホーチミン廟から徒歩約15分。・必要日数ハノイ滞在数時間でも観光できます!!3. チャン・アンの景観美関連遺産群(複合遺産)登録基準: 「伝統的集落」、「自然の景観美」、「地球の歴史」photo:ひさほ ゆうベトナム北部世界遺産めぐりのハイライト!東南アジア唯一の複合遺産チャンアンでございます! チャンアン一帯は、石灰岩で構成された大地が水に浸食されてできたカルスト地形です。ハ・ロン湾のように海に沈んでいた時代もありましたが、現在は隆起によって地上に出ていることから「陸のハ・ロン湾」とも呼ばれています!こういった自然の景観美などだけではなく、渓谷内の洞窟から約3万年前の人類の生活の跡が発見されたことなどにより文化遺産としても認められ、2014年に複合遺産として登録されました。そんな複合遺産チャンアンは、ハノイからバスで1時間半のところにあるニンビンから手漕ぎのボートに乗って観光するのが一般的。ハノイから車で4時間弱のところから船に乗るハ・ロン湾よりも、実はアクセス良好なんです!ニンビンからは同じく複合遺産チャンアンの一部として登録されている古都ホアルーにも立ち寄ることができます。お寺の見学もできます!photo:ひさほ ゆう船を下船しての寺院見学などもあり、参拝もできます。船にずっと乗りっぱなしではないので小さな子供でも飽きずに楽しめそうですね。このような感じでボートツアーは大体3時間くらいで終了します。古都ホアルーphoto:ひさほ ゆうニンビンの市内から約6kmのところにある古都ホアルー。11世紀、ハノイに遷都されるまでは、ホアルーに都があったのです。こちらの写真は当時の皇帝ディン・ティエン・ホアンの祠の門です。古都ホアルーも世界遺産として登録されているので、ぜひ足を延ばして観光したいところです。チャンアン観光の拠点となるニンビンの郊外には「エメラルダ・ニンビン・リゾート&スパ」というリゾートホテルもありますよ!・アクセスハノイからニンビンまでバスで約1時間半。ニンビンからボートツアー。ハノイからの日帰りツアーも便利。丸一日でハノイからニンビンに移動しボートツアー、ホアルー観光をして夕方にハノイに戻ります。・必要日数ニンビン拠点であれば1泊。ハノイ拠点の場合は丸一日必要なので、ハノイに2泊したいところ。4. 胡(ホー)朝の要塞(文化遺産)登録基準: 「文化交流」、「建築技術」ハノイから南へ車で約3時間、ベトナムのタインホア州に胡朝の要塞が残されています。この地には1400年から1407年という短い間ですが、胡朝という王朝の首都が置かれていました。ハノイが都であった時代が長いのですが、実はその間に色々あったのです!そんなわけで、短命で中国(明)に滅されてしまった胡朝ですが、その建築技術は大変高く、要塞の四方に作られた堅牢な石造りの門や城壁などが残されています。南門photo:ひさほ ゆう城壁も残されています!photo:ひさほ ゆう近くには博物館もあり瓦などが展示されています。世界遺産に登録されていますが、この門は普通に近くに住んでいる方々が利用しています。門の上に登ることもできるのですが、見渡す限り田んぼが続いていたりのどかな風景が広がっています。ハノイからのんびり足を延ばしてみたいですね!・アクセスハノイから車で3時間。車のチャーターが便利。チャンアンも観光するのであれば、チャンアン観光の拠点となる街、ニンビンに泊まって日帰りで胡朝の要塞に行くのがおススメ。ニンビンからタインホアという街までバスで約1時間半。タインホアから胡朝の要塞までバスで約1時間。・必要日数ハノイ、ニンビンどちらを拠点としても、移動と観光合わせて丸一日かかるので、1泊2日必要。最後にセカイェだったらこんな風にベトナム北部の世界遺産をまわりたい!という日程表です!セカイェツアー日程表 6泊7日ベトナム北部4つの世界遺産を巡る旅1日目:東京→ハノイ ハノイからニンビンにバスで移動 ニンビン泊2日目:胡朝の要塞とホアルー観光 ニンビン泊3日目:チャンアンクルーズ ニンビン泊4日目:ニンビン→ハノイ バスで移動 タンロン遺跡観光 ハノイ泊5日目:ハ・ロン湾クルーズ1日目 クルーズ泊6日目:ハ・ロン湾クルーズ2日目 ハノイ市内観光 ハノイ泊7日目:ハノイ→東京初日は頑張ってニンビンまで移動してニンビンで少しのんびり。チャンアンクルーズは天気の良い日に行きたいので、3日目の天気が悪かった場合はもう一泊ニンビンに泊まって回復を待ち、その後のハ・ロン湾ツアーを日帰りのツアーに変更します!チャンアンとハ・ロン湾はツアーを利用しますが、それ以外の宿や移動は自分で手配するので少し余裕のある日程となっています。(text : 世界遺産イェーイ!鈴木かの子)※記事中の情報は、全て2015年5月現在のものです。※参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 <上・下> 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、『るるぶ』4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラム>バックナンバーはこちら
2015年06月02日○世界遺産データ『タリンの歴史地区』(文化遺産)。エストニア。1997年登録。世界遺産を紹介する仕事をしていてつらいのが、「どの世界遺産が一番好きですか? 」という質問です。好きなところがたくさんあるので、とてもひとつに絞りきれません。ですから、「自然遺産では○、遺跡であれば○」とジャンル別にご紹介するようにしています。ただ、強いて好きな世界遺産を3つあげるとするならば、ひとつにはこの『タリンの歴史地区』を挙げたいと思います。なんといっても、中世から続く街並みがそのまま残っているのですから! この街を訪れた時には、大切にしたい宝箱を発見したような気になりました。てくてくとお散歩をするのに最適の大きさですし、ちょっと脇道にそれるとかわいらしいカフェや雑貨屋に出合えます。フィンランドの首都ヘルシンキからは日帰りの船旅も可能です。ぜひタリンにも足をのばしてみてください。○筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。○世界遺産検定とは?世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。主催:世界遺産アカデミー開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)開催地:全国主要都市受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込みその他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて
2015年05月25日世界に数ある世界遺産の中でも、誰でも自由に入浴できる"世界遺産の公衆浴場"はひとつしかない。トルコ? タイ?? いえいえ、実は和歌山県にあるのだ。それも、約1,800年前に発見されたという日本最古の温泉なんだとか。どんな温泉なのか、車を走らせて行ってみた。○熊野本宮大社の湯垢離場その温泉は和歌山県田辺市にある「湯の峰温泉」。湯の峰温泉へは熊野本宮大社から車で15分程度で、公共交通機関を利用するならJR紀勢本線新宮駅からバスで約1時間というアクセスになる。細い山道の先に開けた温泉街は、旅館が14軒、飲食店・土産屋がともに3軒と、こぢんまりとした素朴な味わいがある。街の中心には湯の谷川が流れており、川からはもくもくと湯気が立ち上っている。湯の峰温泉には2種類の公衆浴場があるが、世界遺産に登録されているのは「つぼ湯」の方。湯の峰温泉は熊野本宮大社の南西約2kmの山間にある湯垢離場(ゆごりば)で、薬師信仰の地でもあるという。参詣者の記録によると、12世紀初期には湯屋が置かれていたことが確認されている。このつぼ湯は、湯の谷川の河原に建つかやぶき屋根の中にある。2~3人入るといっぱいになってしまうため、入浴は30分交代の予約制だ。つぼ湯の営業時間は6:00~21:30だが、筆者は観光客の多いゴールデンウィーク中だったこともあり、午後の予約は16:00ですでに予約がいっぱいに。「朝一で入浴を! 」と考えたところ、「5:00から並んでいる人もいますよ」ということだったので、その夜は早めに就寝することにした。○1日で7変化するにごり湯翌朝、同じように5:00から並ぶ人もいるかと思い、それより10分程度早く起きて受付前に行くと、すでに並んでいる人が。タッチの差で一番風呂を明け渡してしまったが、6:00までの間にすでに10組程度並んでいたことを考えれば、早く起きたことはいい判断だったように思われる。特に混みあっていたこともあってか、この時は30分よりも早めの交代をお願いされた。番台で番号札を受け取り、いよいよ世界遺産の湯である。天然岩をくりぬいて作られた湯船はつるつるで、さわり心地も気持ちがいい。ほのかに硫黄が香る湯は、1日で7色に変化するという。筆者が訪れた時はうっすらと青みがさしたにごり湯だったが、これがどんな風に変わるのか想像するのも楽しい。湯は熱いため入るのには少々気合が必要だが、そばには加水用の蛇口があり、自由に温度を調整できる。「薄めすぎたな」と思っても足元からどんどん湯が湧いてくるので、しばらくするとじわりと熱い湯へ。つぼ湯そのものの風情と相まって、「日本最古の温泉」「世界遺産」というスペシャルな温泉はより一層神秘を感じられた。なお、 つぼ湯の入湯料(770円)を払うと、隣接された「一般公衆浴場」(250円)か「くすり湯」(390円)のどちらか好きな方に無料で入ることができる。つぼ湯で風情と湯を楽しみ、くすり湯で身体を伸ばしてじっくり湯を楽しむ、という2度おいしい楽しみ方ができるのも魅力のひとつ。また、温泉水を購入することもできるので、ポリタンクの持参もオススメだ(10L=100円)。○手作り温泉玉子に熊野古道散策も街の中心部には手すりで囲われた源泉自噴口があり、そこでは温泉玉子やゆで野菜を作る光景も。周辺の飲食店や土産屋で玉子などが売られているのはそのためだ。温泉玉子の目安は11~13分程度。源泉自噴口には常時、温泉玉子が出来上がるのを待っている人たちがいるので、「どちらからいらしたんですか? 」などと会話を楽しんでみるのもいいだろう。また、この湯の峰温泉は全て未舗装路となった熊野古道「赤木越」の起点でもある。赤木越は船玉神社辺りに続く「赤木越分岐」までの5.9kmで、通常、熊野本宮大社を出発して赤木越を歩く、または、湯の峰温泉を出発して「中辺路」に合流し、小広峠に抜けるルートとなる。赤木越を5分程度歩いてみるだけでも、熊野の自然は十分感じられるはず。一歩ずつ踏みしめて、古の旅人たちの想いに馳せてみるのも楽しいひとときだ。※記事中の情報・価格は2015年5月取材時のもの。価格は税込
2015年05月21日「明治日本の産業革命遺産」に対して、世界遺産への登録可否を調査する国際的な諮問機関「イコモス」が5月4日、日本政府に対して登録勧告を行った。2014年に登録された「富岡製糸場と絹産業遺産群」に続き、今年も産業遺産の推薦となる。8県にまたがる23資産からなる遺産だが、全体で見た時には具体的にどのような魅力があり、世界遺産になることでどう変わるのだろうか。世界遺産に詳しい世界遺産アカデミー/世界遺産検定事務局の研究員・本田陽子さんにうかがってみることにした。―2014年は「富岡製糸場と絹産業遺産群」が登録されましたが、2015年も日本から、新たな遺産の登録の動きがすすんでいますね。「『明治日本の産業革命遺産』ですね。日本が幕末から明治にかけて近代化を進めていく上で特に大きな役割を果たした、製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業に関連する遺産です。2014年に登録された『富岡製糸場と絹産業遺産群』に続いて、2015年も産業遺産の推薦となりました。異なるのは、富岡が軽工業だったことに対して、今回は重工業である点です。ヨーロッパ以外の地域では一番早く、しかも短期間で近代化したことが評価されています」。―5月4日に行われた勧告では、名称の変更が求められたようですが、これはどんな理由からなんでしょうか?「もともと遺産名は『明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域』だったのですが、遺産価値をより明確にするために『明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業』とすることをイコモスから求められています。このような遺産名の変更は、2013年に富士山が登録勧告されたときにもありました。そして『富士山─信仰の対象と芸術の源泉』になっています。ただし、いま提示されている遺産名だと、長崎県の『旧グラバー住宅』や山口県の『萩城下町』『松下村塾』あたりは、立ち位置が少し分かりにくいかもしれません。日本の主要産業の近代化に貢献しているという意味では、これらも工場などの施設と同様に価値があるとみなされているんですよ」。―この遺産ならでは、という特徴はなにかあるのでしょうか?「実は、これまでの日本の世界遺産とは異なる点がいくつかあるのが注目ポイントです。ひとつは8県にまたがっている点です。これまで、『白川郷・五箇山の合掌造り集落』や『紀伊山地の霊場と参詣道』のように、隣り合っている複数の県から登録されたというケースはあったのですが、今回は九州の5県と山口県に加えて岩手県、静岡県にまたがります。共通した価値をもっていれば、必ずしも地理的に隣り合っていなくても世界遺産になるケースがあるのですが、登録されれば日本では初のケースとなります。これを専門用語で『シリアル・ノミネーション』と呼んでいます」。―そのほかの、これまでに登録されている日本の遺産と違うところとは何でしょう?「日本で初めてのケースなのですが、構成資産の中に現役で稼働している工場が含まれている点です。北九州市の八幡製鐵所や三菱長崎造船所が該当します。稼働中ですから、管理する企業は大半の公開を制限しているわけです。一方で世界遺産には、教育や広報の側面も求められます。自分たちの社会の中で生きている地域の資産として学び伝えることも大切な役割とされているのです。生産現場に見学者を入場させることは現実的に考えられないので、どこまで開放公開して遺産の価値を伝えていくか、ということに現在試行錯誤しているところですね」。―稼働中ということは、保存の面でもいろいろ難しそうですね。「その通りです。施設を使用していけば当然どんどん劣化していきます。そもそも、通常日本の文化遺産は文化財保護法で保護されることが求められるのですが、稼働中の施設はその法律の対象外となるのです。そのため文化財保護法ではなく、港湾法や景観法を適用しています。ただこれらの法律は、施設の保護を目的としているわけではないので、実際に世界遺産登録されるとなると、どう運用していくのかは正直なところ未知数ですね。そのあたりは大きな課題と言えます」。―海外には、稼働中の産業遺産が世界遺産となっているケースはあるのでしょうか?「数は少ないのですがあるにはあります。スイスとイタリアにまたがる『アルブラとベルニナの景観とレーティッシュ鉄道』や『インドの山岳鉄道群』などは現在運行しています。また、イタリアの『クレスピ・ダッダの企業都市』は、登録時には紡績工場が稼動していました」。―2015年に「明治日本」が世界遺産に登録される勝算はどのくらいあるのでしょうか?「私の個人的な見解にはなりますが、登録の可能性はかなり高いと思います。これまでに諮問機関から登録勧告をされて、それが世界遺産委員会の審議でひっくり返ったということはほとんど前例がないんですね。ただ過去には、イスラエルの『ダンの三連アーチ門』が、登録勧告をされつつも国境問題などを理由に審議を先送りされたケースがあります。今回、『明治日本』に対して、韓国人が強制徴用された施設があることから韓国政府が反発しています。イスラエルのケースと単純に比較することはできませんが、これからそのあたりがうまく調整されればと思います」。―登録されればどんなメリットがありますか?「2015年に続きまた産業遺産の登録ということで、まさに日本の『ものづくり大国』のルーツを知ることができるいい機会になると思います。また、施設が日本各地に点在していることから、遺産価値を点ではなくて面でみたり、関連性をつなげてゆくという楽しみがある遺産だと思います。登録勧告が出た直後からすでに各地の施設は観光客が急増しているようですが、それぞれの地域が活性化することにもつながりますし、岩手県の釜石が含まれていることから(『橋野鉄鉱山・高炉跡』)、震災後の復興にも貢献することが期待されています。私もこれまでに23の構成資産のうち3分の1ほどは訪問しているのですが、時間をかけて少しずつ訪問していって、各地の魅力を発見したいと思っています」。○筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。
2015年05月18日女優の原田知世が、5月8日、京都最古の神社のひとつで、世界文化遺産でもある上賀茂神社の「世界文化遺産 上賀茂神社 式年遷宮記念文化事業 Supported by AGF Blendy」立ち上げ発表会に出席。この日ふるまわれた京都の名水・神山湧水を使用した“世界にひとつの珈琲”に舌鼓を打ち、頬をほころばせていた。スペシャルサポーターの原田さんは、この日、緑のドット柄が鮮やかな初夏を感じさせる和装姿で登壇し、会場に華を添えた。この日発表された「式年遷宮記念文化事業」は、原田さんが長年にわたりCMイメージキャラクターを務める「Blendy」などのコーヒー事業を展開するAGFがサポート。神山湧水を使用して開発されたというコーヒー「神山湧水珈琲」を、5月(9日、10日)、7月(25日、26日)、10月(17日)の計5日間にわたって上賀茂神社で提供する。原田さんは、「歴史ある上賀茂神社から湧き出る清らかな水を使った神山湧水珈琲を、先程飲ませていただきました。澄んだ香りと深い味わいがありました。ジャパニーズコーヒーを支えているのは“水”であるということを再確認しました。みなさまもぜひ、上賀茂神社にてこの貴重な珈琲を味わっていただければ幸いです」とコメントを寄せていた。
2015年05月08日「壺の部分を落とし穴のようにして虫をパクリ!」食虫植物ウツボカズラ(キナバル自然公園にて)photo:Miho Shimizu4年間世界遺産巡りの旅をした「世界遺産イェーイ!」がお届けする連載第3弾は、マレーシアの自然遺産でございます!!マレーシアの国土は「マレー半島南部」と「ボルネオ島の北部」で構成されております。ボルネオ島の北部には、ブルネイという小さな国も位置しています。前回の記事では、マレー半島にあるマレーシアの文化遺産2つについてご紹介しましたが、今回は、熱帯雨林のジャングルが広がるボルネオ島にある「キナバル自然公園」と「グヌン・ムル国立公園」という2つの自然遺産についてご紹介致します! (さらに…)グヌン・ムル国立公園登録基準: 「自然の景観美」、「地球の歴史」、「固有の生態系」、「絶滅危惧種」洞窟探検を楽しもう! photo:マレーシア政府観光局グヌン・ムル国立公園は、標高約2,400mのムル山を中心としたカルスト地域です。ここではドラクエさながらの洞窟探検に、キャノピー・ウォーキング(吊り橋を歩く)に、トレッキングなど大自然を体感できるんです!グヌン・ムル国立公園を観光する拠点となるムルは、コタ・キナバルから飛行機を乗り継いで(曜日によっては直行便あり)行くようなところですが、それだけに豊かな自然が広がっています。ボートに乗って洞窟の入り口へGo! photo:マレーシア政府観光局公開されている洞窟は整備されているので中を歩いたりすることができます。洞窟探検はガイドの同行が義務付けられているため、ツアーに参加するのが一般的!ムルを拠点にして、主な洞窟を1日でまわるツアーなどがオススメです。絶対に見逃せないのは夕暮れ時のドラゴンダンス! photo:マレーシア政府観光局夕方頃になるとディア洞窟から、な、何と、数百万匹!のコウモリ達が食べ物を求めて出てくるのです。その姿はまるで巨大なドラゴンが空に登っていくようなことからドラゴンダンスと呼ばれています。夕方スコールが降って見られなくなる可能性もあるので、ドラゴンダンスを見るには、ムルに2泊くらいして予備日を作っておきたいところです。ムルには、ムル・マリオット・リゾートという高級リゾートホテルもあるのでホテルライフも楽しめますよ!ディア洞窟に行く途中には、約500mのキャノピー・ウォークがあります。人数が制限されているので、早めに予約しましょう!また上級者向けには、3泊4日かけてムル山を登るツアーや、石灰岩から成る奇岩がナイフのようにそびえ立っているピナクルスを望むアピ山に2泊3日かけて登るツアーなんかもあります。こちらは歩いて川を渡ったりちょっとアドベンチャーな感じなので、アウトドア上級者にお勧めです。・アクセスコタ・キナバルからグヌン・ムル国立公園の拠点となるムルまで、週3回直行便があり約1時間。直行便がない曜日はミリという都市などを経由して約2時間。・必要日数主要な洞窟をめぐるツアーに丸1日かかるのでムルに1泊はしたいところ。ドラゴンダンスの予備日として2泊3日あると安心。山登りをするならそれに応じた日数が必要。ブルネイの世界遺産実は、ブルネイには世界遺産はありません!東南アジアでは、ブルネイとシンガポールが世界遺産を保有していないのです。ブルネイは2011年に世界遺産条約を締約しましたが、暫定リスト(世界遺産への候補案件)に登録されている物件は今のところありません。美しいモスクに豊かな熱帯雨林もあるブルネイ。未来の世界遺産を探しに行ってみたいですね!※記事中の情報は、全て2015年4月現在のものです。(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 <上・下> 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、マレーシア政府観光局)4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラム>バックナンバーはこちら
2015年05月07日イコモス(ICOMOS/International Council on Monuments and Sites、国際記念物遺跡会議)は5月4日、日本が世界遺産に推薦している「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」(福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島、山口、岩手、静岡の8県の23資産)全てに関して、世界遺産リストに「記載」すべきだと勧告した。ただし、現状の名称は「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」となっているが、イコモスとしては「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」と変更した上で登録することがふさわしいとしている。今後、6月28日~7月8日までドイツで開かれる世界遺産委員会において正式に決定となり、日本の遺産については、7月3日~5日の間に審議される見通しとなっている。今回の遺産が世界遺産に登録された場合、日本国内では19件目、また、『富士山―信仰の対象と芸術の源泉』『富岡製糸場と絹産業遺産群』に続く、3年連続での登録となる。加えて今回登録されれば、現在も稼働中の施設を含めた国内初めてのケースとなる。
2015年05月04日紀陽銀行は27日、創立120周年を記念した大阪地区における地域社会向け貢献活動の一環として、「世界遺産登録応援定期預金~百舌鳥・古市古墳群~」の取扱いを開始した。期間は9月30日まで。同定期預金を取扱うことにより、地域の人たちに百舌鳥・古市古墳群に対する認知度を高めてもらうとともに、世界遺産登録推進への気運を盛り上げていきたいとしている。また、この世界遺産登録応援定期預金は、顧客から預け入れられた総額の0.01%相当額を、同行より堺市世界文化遺産登録推進基金に寄付(顧客の負担はない)をする商品となっており、顧客の預け入れが世界遺産登録への応援につながるものとなっているという。紀陽銀行では、銀行をこえる銀行を目指すべく、今後も地元に密着した社会貢献活動に積極的に取り組んでいくとしている。○「世界遺産登録応援定期預金~百舌鳥・古市古墳群~」の商品概要対象:個人の顧客預入期間:1年預入金額:20万円以上募集総額:200億円。200億円に到達次第終了適用金利:スーパー定期(スーパー定期300)1年もの店頭表示金利+0.20%(税引前)満期時の取扱い:自動継続方式(元金継続・元利継続)預金種類:スーパー定期(スーパー定期300)寄付額:取扱終了後、定期預金預入総額の0.01%相当額寄付先:堺市世界文化遺産登録推進基金取扱店舗:大阪府下店および奈良県下店(関西国際空港出張所・インターネット支店を除く)。ATMでは、預け入れできない
2015年04月27日写真提供:インドネシア共和国観光省来月5月から10月までの期間、ユネスコの世界遺産に登録されているプランバナン寺院群の中心となる寺院、ロロ・ジョングラン寺院の屋外ステージ(Outdoor Theater)でジャワの伝統芸能であるラーマヤナ舞踊劇が上演される。(さらに…)
2015年04月20日○世界遺産データ『アンコールの遺跡群』(文化遺産)。カンボジア。1992年登録。東京23区ほどもある敷地の中に点在する、カンボジアのクメール朝遺跡群。その中でも特に有名なのが『アンコールの遺跡群』のひとつ、アンコール・ワットでしょう。観光拠点となるシェムリアップからトゥクトゥク(三輪タクシー)で30分、はるかかなたからも、この5つの祠堂(しどう)が見え隠れするではありませんか! 後にも先にも、筆者が遺跡を見て興奮の叫び声をあげてしまったのはココだけです。○筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。○世界遺産検定とは?世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。主催:世界遺産アカデミー開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)開催地:全国主要都市受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込みその他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて
2015年04月09日photo:世界遺産イェーイ! ジョージタウンにある「カピタン・クリン・モスク」4年間世界遺産巡りの旅をした世界遺産イェーイ!が、お届けする連載第2弾はマレーシアでございます!!世界遺産も食も楽しいマレーシアはまた行きたい国の一つです。マレーシアの国土は「マレー半島南部」と「ボルネオ島の北部」で構成されております。マレー半島南部の先端にはシンガポール、ボルネオ島の北部にはブルネイが位置しています!そんなマレーシアには、4つの世界遺産があります。◯マレー半島---------------------1)メラカ(マラッカ)と、ペナン島のジョージタウンを合わせた「メラカとジョージ・タウン:マラッカ海峡の歴史都市」2)200万年前の遺跡を見ることができる「レンゴン渓谷の考古遺跡」※どちらも文化遺産◯ボルネオ島---------------------1)キナバル自然公園2)グヌン・ムル国立公園※どちらも自然遺産今回の記事では、マレー半島にある2つの文化遺産ついてご紹介していきたいと思います。最後に同じくマレー半島に位置するシンガポールの世界遺産についてもちょっとだけ触れちゃいまーす!イェーイ!■メラカとジョージ・タウン:マラッカ海峡の歴史都市(文化遺産)登録基準: 「文化交流」、「文明の証拠」、「建築技術」まずちょっとだけマレーシアの歴史について触れてみます。マレーシアはまずアラブ、インドからのイスラム教徒の影響を受けイスラム化し、その後ポルトガル、オランダ、イギリスに統治されます。そしてイギリス東インド会社の東南アジア進出の拠点となると、働き手として中国やインドから多くの人がやってきて、イスラム文化、西洋文化、中国文化、ヒンドゥー文化が共存する独特の雰囲気を持つ街並みが形成されたわけです。世界中の船が行き交うマラッカ海峡沿いにあるマラッカとジョージタウンの2つの都市は、この多様な宗教、文化の共存を良く語っている(証言している)ということで世界遺産として登録されました!マレーシアで一番行きやすい世界遺産「マラッカ」マラッカはクアラルンプールからバスで2時間とアクセス良好!そんな古都マラッカには、15世紀にイスラム教国家マラッカ王国、そして16世紀にポルトガル、オランダ、イギリスに支配された時の建物が残されています。●オランダ広場photo:ひさほゆうマラッカで一番のメインとなるのは、オランダ広場でございます!このオランダ広場を中心としたエリアが世界遺産として登録されているのです。こちらの写真で、真ん中の教会が、オランダ建築の代表例とされるムラカ・キリスト教会で、右側の建物がオランダの旧総督邸であるスタダイスです!●サンチャゴ砦photo:ひさほゆうこちらは、1511年にポルトガルの総督によって建てられた砦。当時は高い塀で囲まれていましたが、現在は門と大砲が残されています。オランダ広場から歩いて行けますよ!他にもマラッカ王国時代のスルタン(王)の王宮を再現した建物「マラッカ・スルタン・パレス」、日本に初めてキリスト教を伝えたことで有名なフランシスコ・ザビエルの像が立つ「セント・ポール教会」なども近くにありまーす!マルチに楽しめる街ジョージタウン世界遺産、食、リゾートと全部楽しめちゃって、イェーイ!な街、それがジョージタウン!そんなジョージタウンはマレー半島の西部マラッカ海峡に浮かぶペナン島の東部にあります。ここには18世紀後半からのイギリス植民地時代の建物と、様々な文化が混じり合った街並みが残されています。●コーンウォリス要塞photo:世界遺産イェーイ!こちらは、1786年にイギリス東インド会社の総督フランシス・ライトが上陸したところに設けられた要塞にある大砲です。彼の上陸以後、ペナン島は東インド会社に譲渡され自由港として発展していったのです!●マハ・マリアマン寺院photo:世界遺産イェーイ!1883年に建てられたジョージタウンで最古のヒンドゥー寺院です。この寺院は「マスジット・カピタン・クリン通り」にあります。ここの通りはヒンドゥー教寺院あり、イスラム教のモスクあり、中国寺院ありと、ジョージタウン世界遺産観光のハイライトなんです。中国寺院、「ヤップ・コンシ」、「クー・コンシ」、マレーイスラムの「アチェ・モスク」、「カピタン・クリン・モスク(写真一番上)」などもこの通りにありまーす!暑い中の観光は体力を使うので、ちょこちょこ休憩して屋台で美味しい麺を食べたり、絶品カレーを食べたり、甘いコーヒー飲んだりしちゃいましょう!何を食べてもめっちゃ美味しいんですよ!ジョージタウンは、クアラルンプールから飛行機で1時間、バスや鉄道だと5時間~8時間程。photo:世界遺産イェーイ!■レンゴン渓谷の考古遺跡登録基準: 「文明の証拠」、「建築技術」マレー半島の緑あふれるレンゴン渓谷からは、200万年近くに及ぶ初期人類の生活の跡が発見されました。こちらは、アフリカ大陸以外では最も古い初期人類遺跡であり、その生活を現代に伝える貴重な世界遺産なんです!そんな貴重な先史時代の洞窟の壁画や、石器をレンゴン考古学博物館で見ることができます!●レンゴン考古学博物館入口photo:ひさほゆうクアラルンプールから車で約3時間、イポーからも車で約2時間かかります。車をチャーターするか、ツアーに参加するか、公共のバスを利用するかとなります。公共のバスの場合は、最寄りのバス停からかなり歩くことになるので、車かツアーが便利そうです。●人骨「ペラ・マン」photo:ひさほゆう博物館で最も有名なのは、東南アジアで最古の完全な人骨(ペラ・マン/約100万年前)です。その他にも岩絵や石器などが展示されております!■シンガポールの世界遺産本当はシンガポールの世界遺産をご紹介したいところだったのですが、実はシンガポールには世界遺産はありません!しかし2012年に世界遺産条約を締約し、「シンガポールの植物園(ボタニック・ガーデン)」が暫定リスト(世界遺産への候補案件)に入ったので、シンガポール初の世界遺産誕生も近いかもしれません!また先ほどご紹介したマレーシアのマラッカには頑張れば(車で片道約4時間)日帰りできるので、シンガポール拠点で世界遺産へ行くこともできますよ!(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 <上・下> 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、マレーシア政府観光局)4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラム>バックナンバーはこちら
2015年04月01日●農業支援クラウドサービス「食・農クラウドAkisai」モバイルやスマートフォンとの連携が農業を変えるかもしれない。26日、富士通はクラウド技術を農業に生かす事業に関する説明会を開催。富士通とオリックス、増田採種場、静岡県磐田市は農業による地方創生の実現を目指し、スマートアグリカルチャー事業の立ち上げに向けた検討を開始することで基本合意した。○富士通の農業支援クラウドサービス「食・農クラウドAkisai」とはIT企業である富士通が農業を手掛けるという話はイメージしがたいかもしれない。しかし、発表会で登壇した富士通執行役員イノベーションビジネス本部の廣野充俊本部長によると、企業的農業経営を支援するICTサービス「食・農クラウドAkisai」を開発し、2008年に実証実験を2012年にイオンアグリ創造やJR九州ファームといった農業法人にサービスを提供しているとのこと。この「食・農クラウドAkisai」では、農場やビニールハウスといった施設にセンサーを取り付けてLANにつなぎ、ネットを使ってどこからでも施設の状況が確認できるだけでなく、農産物の販売や農業経営のコンピューターによる管理や、空調や温度・水といった栽培において重要な要素をパソコンや携帯を使ってリモート制御が可能だ。また、クラウドに蓄積したデータを活用することで栽培技術の向上も目指しているという。廣野充俊本部長は「空調や風のコントロール、温度のコントロール水のコントロールを標準化して、どこのベンダーさんや施設でも誰でも安くつなげられることを目指している」とコメントしている。また、富士通のイノベーションビジネス本部、須藤毅本部長代理は、事業立ち上げのため4月1日に「磐田スマートアグリカルチャー事業準備株式会社」を設立し、自身が代表者になると発表。須藤本部長代理によると、新たな作物の研究開発するところからスタートして、農業らしい情報を活かした産業モデルと情報を基盤にした経営モデルを確立していくという。●各企業も期待○農業の企業化で強い農業を目指すまた発表会には、富士通と基本合意した企業の首脳陣も登壇し、スマートアグリカルチャー事業に対する期待を述べた。オリックスの執行役松崎悟氏は、同社が加太菜園やカゴメなどと植物工場の運営や、農業用機械のシェア・レンタルにおける取り組みを行なっている実績を挙げ、農業に事業会社としての経営という観点・視点を入れていることを強調。「我々、オリックスとしての農業への思いと、今回のスマートアグリカルチャー事業というものには非常に共通点が多い。そのコンセプトに非常に共感し、我々もこれに参画させていただこうと思った」とコメントしている。また、キャベツなど葉物野菜の種苗メーカーで機能性野菜などの品種改良も行っている増田採種場は、参画した理由として、スマートアグリカルチャー事業が品種の創出から行い、種子生産技術のシェアリングモデルの実現を目指すという2点を挙げている。同社専務取締役の増田秀美氏は「流通されにくい品種に付加価値をつけ、安定生産まで実現するこの事業はこれからの農業に新しいビジネスモデルを創出すると期待している」と話した。●地方創生に繋がるか○地方の雇用創出につながるスマートアグリカルチャーまた、富士通の取り組みは企業だけでなく、地方自治体においても大きな期待が寄せられている。今回の事業の場となる静岡県磐田市の渡部修市長は、地方創生が叫ばれる中でも地域や雇用を守るため、各自治体の首長が苦戦していることを挙げ、「農業を見ると地域に根の張った方たちが多い。今はグローバル社会なので製造業は、生き残るため、世界制覇のために海外展開をしているが、日本発そして地元に根を張ったような雇用形態、そして産業を育成したい」と農業の企業経営について期待するコメントをした。企業経営としての農業はすでにオランダなどで行なわれているが、IT技術を大規模に導入した農業は世界に類を見ないものになっている。須藤本部長代理は「農業ダイバーシティを目指す」とコメントしているが、はたして新たな農業の形はどんなバリュー築いていくだろうか。
2015年03月26日photo:世界遺産イェーイ!4年間世界遺産を巡る旅をした私達、世界遺産イェーイ!ことセカイェ夫婦が、1週間の休暇がとれた時に真っ先に旅行先の候補にあげる国、それがラオス!ゆったりとした雰囲気の中で、世界遺産を堪能しつつ、メコン川を眺めつつ、ラオスの国民的ビール、ビア・ラオを飲みたいイェイ!そんなラオスには、2つの世界遺産があります。北部にある煌びやかなワット(寺院)が美しい街の世界遺産「古都ルアン・パバン」と、南部のヒンドゥー教寺院の遺跡「チャムパーサックの文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺跡群」です。この2つの世界遺産は、北部と南部と離れていますが、両方とも東南アジアを悠々と流れるメコン川のすぐ側にあるんです!そこで、今回は、街歩きも遺跡巡りも楽しめちゃうラオスの世界遺産の紹介をしていきたいと思います。イェーイ!■古都ルアン・パバン (文化遺産)登録基準: 「文化交流」、「建築技術」、「伝統的集落」ラオス北部の街ルアン・パバンは、ラオス最初の統一国家で上座部仏教を国教としたランサン王国の都として繁栄しました。多くの寺院が残るこの街は、街自体が世界遺産として登録されています。私達は、このルアン・パバンやベトナムのホイアンのように、街そのものが世界遺産の場所が大好きなんです。宿を一歩出たらそこは世界遺産!朝食を探しに行くついでに世界遺産が堪能できちゃうなんて世界遺産好きにはたまりません!そんなルアン・パバンで一番のメインとなるのが14世紀に創建された寺院「ワット・シェントーン」!photo:世界遺産イェーイ!ワット・シェントーンには、いくつか建物があるのですが、こちらは本堂!ラオスにあるお寺の屋根は、こんな感じで2段3段と重なっているのが特徴です。本堂の背面の壁には「マイ・トーン(黄金の木)」のモザイク画があるので必見です!(写真一番上)ちなみに、日差しが強くてめっちゃ暑かったので帽子を忘れずに!その他にも黄金のレリーフが素晴らしい寺院、ワット・マイや、ルアン・パバン市内を一望できる高さ150mの小高い丘プーシー、フランス植民地時代を思い起こさせるモダンなコロニアル建築など見どころ満載です。photo:世界遺産イェーイ!かつての宗主国フランスとラオス、両方の雰囲気が感じられるのがいいんです!photo:世界遺産イェーイ!市内中心地のサッカリン通りでは、早朝に僧侶達の托鉢を見ることができます。夜はナイトマーケットも出ているので、1日中楽しめるルアン・パバン。暑い観光を終えた後は、ビア・ラオで乾杯!ルアン・パバンはラオスの首都ビエンチャンから飛行機で1時間、バスですと10時間くらいです。タイ、ベトナムなどから直行便もあるので、他の国とセットで訪れるのもいいですね。■チャムパーサックの文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺跡群(文化遺産)登録基準:「文明の証拠」、「建築技術」、「出来事や宗教、芸術」かつてラオス南部チャムパーサック平原に住んでいたクメール人達は、カオ山を神の宿る地として信仰していました。そのカオ山のふもとに建てられたヒンドゥー教寺院、ワット・プーを中心とした遺跡群と、カオ山やメコン川を含む広い範囲が文化的景観の広がる地域として、世界遺産に登録されています。何と言ってもメインは、ヒンドゥー教寺院「ワット・プー」。ワット・プーは、参道、聖池から成る山麓部、大回廊十字型テラスなどがある中間部、そして本殿を擁する山腹部に分かれています。photo:Kimiharu Sato参道からはカオ山を望むことができます。photo:Kimiharu Sato上からの眺めもいい感じ!ワット・プーへは、ラオス南部の中心都市パークセーから日帰りすることができます。パークセーからワット・プーまでは、車をチャーターして約2時間。帰りのことを考えるとチャーターがオススメです。ツアーに参加するのも良さそうです。汗をかいて観光した後は、車でパークセーに戻りメコン川に落ちる夕日を見ながらやっぱりビア・ラオで乾杯!ワット・プーから一番近い街(10キロ程度)チャンパーサックに泊まることも可能で、泊まると早朝の托鉢も観光できます。パークセーまでは、北部の世界遺産ルアン・パバンから飛行機で約90分。短期の旅行でも2つの世界遺産を楽しめますよ!ラオスの世界遺産を全制覇だぜ、イェーイ!(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 <上・下> 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』)
2015年03月14日「前編」「中編」そしてこの「後編」で、デリー・ジャイプール・アーグラの3都市を1日1都市ずつ巡るインド弾丸ツアーを、世界遺産に寄せてレポートしています。2日目午前中にジャイプールの観光を終え、ツアー客を乗せたミニバンはいよいよ最後の地・アーグラを目指します。その途中、アーグラから1時間くらい手前のところで世界遺産『ファテープル・シークリー』に立ち寄りました。○コロコロ変わるムガル帝国ここはムガル帝国3代目の皇帝が遷都した都市です。そもそもムガル帝国ってなんなんでしょう。世界史の授業で聞いたかも? というぼんやりした記憶をお持ちの方がほとんどだと思います。長らくヒンドゥー教が信仰されてきたインドの地に、16世紀前半に乗り込んできたイスラム王朝です。ここでひとつ、とっておきの情報を披露しましょう。ムガル帝国が成立したのは1526年。「アイ(1)・ゴー(5)・ツー(2)・ム(6)ガール」、ほら一発で覚えられたでしょう?……痛い視線を感じつつ話を進めますと、ムガル帝国はその後300年近く続くのですが、人民はみんなヒンドゥー教徒なのでとってもアウェーなわけです。皇帝によっては人民との融和政策を図ったり、別の皇帝はイスラム教を強要したり、コロコロ対応が変わります。そして都もコロコロ変わっています。そのうちのいくつかが世界遺産になっている、という次第です。○占い師への感謝のために建てられた都『ファテープル・シークリー』は3代皇帝アクバルが築きました。ムガル帝国を代表する偉大な皇帝と言われています。領土も拡大し、人民からも人気があり、全てを手に入れたと思いきや、唯一の悩みは世継ぎに恵まれないことでした。ところが、シークリーという地に住む占い師が、子宝を授かると予言してその通りになったんです! アクバルはそれを記念して、占い師の住む小さな村に遷都しました。たった14年しか使われなかったんですけどね。偉大な皇帝たるもの、決断は素早く(気まぐれ? )というのがポイントなのでしょうか。廃虚となった後も打ち壊されることがなかったので、遺跡の保存状態が非常にいいです。アクバルがヒンドゥー教徒と融和を図ろうとしたことは建築からも見て取れます。この遺産に着いたのは閉館間際の夕暮れ時でした。そしてアーグラに到着して向かったのはホテル、ではなくお土産屋さんだったんですね~。そこで希望者はサリーなどの民族衣装をオーダーし、翌朝訪れる『タージ・マハル』に着ていきましょう、という流れになっていました。はい、筆者ももう空気を読んでオーダーいたしました! 「日本に帰ってからいつ着るんだ」などとカタイことを考えるのはやめて、布地を選び出すとはまってしまい、1時間近く悩んでしまいました。○タージ・マハルへいざ出陣!翌朝、例のお土産屋さんにまず立ち寄り、女性陣は仕立てあがった民族衣装に身を包みました。お互いを「似合うよー」とほめあいながらついに『タージ・マハル』へ。ここは5代皇帝シャー・ジャハーンが愛するお妃を失った悲しみから、20年という膨大な時間と途方もないお金をかけて造った霊廟です(詳しくは「世界で最も愛にあふれた世界遺産って? ただし、その後が……」を参照)。ガイドさんいわく、持ち物に制限があり厳格にチェックされるとのことで、ペンも本(紙類)も持ち込めませんでした。ツアー中は始終ガイドさんのトークをメモしていたので、これには参りましたが仕方ないです。遺産保護の方法としてこういう考え方もあるのだな、と思いました。正門をくぐると『タージ・マハル』が目の前に姿を現します。思わずため息が漏れたのですが、この感覚、「アンコール・ワット」を目にした時にもありました。実物はあまりにも圧倒的で、地上にひらりと舞い降りた楽園のようでした。強制ではありませんが、カメラマンが5枚1,000円で撮影してくれるということで、はい、空気を読んで撮ってもらいました。「せっかく民族衣装を着てるんだし」と、自分なりに頑張ってポーズを作っては見たものの、受け取った写真はことごとく顔が能面のようでした……。写真一枚撮るのにもキャッキャキャッキャ盛り上がれる女子大生がうらやましい!○皇帝が8年間幽閉された悲しみの城今回のツアーの最後を締めくくる世界遺産は『アーグラ城』です(筆者はさすがに恥ずかしいので事前に服を着替えました)。ここはアクバルが築いた城で、『ファテープル・シークリー』に遷都する前に居城としていたところです。『タージ・マハル』から2kmほど離れているのですが、それぞれの位置からはお互いの姿を確認することができます。『アーグラ城』には、『タージ・マハル』を建てたシャー・ジャハーンが晩年に息子に幽閉され、日々『タージ・マハル』を遠くに眺めながら思いにふけった、という有名な「囚われの塔」があります。それから城の中には、『タージ・マハル』から離れれば離れるほどなぜか大きく見える、という摩訶不思議な場所がありますので、現地を訪れる人は必ずガイドさんに教えてもらってくださいね!その後はデリーへと戻り、あっという間に旅は終わりました。それぞれの世界遺産のイスラム様式やヒンドゥー様式の装飾が非常にすばらしく、ひたすら感動した3日間でした。しかしインドってどんなところ? という問いには何も答えることができません。今筆者に言えることは、インドの世界遺産はスゴイ、そしてガイドがイケメンだった、ということだけです。だからまた、アイ・ゴー・ツー・ムガール!世界遺産データ: ファテープル・シークリー(文化遺産)インド。1986年登録。「勝利の都」という意味をもつ。イスラム建築とインドの伝統様式を融合させた建造物群が評価された。この都市は水不足が深刻となり、1574年に遷都されて以降わずか14年で放棄された。世界遺産データ: タージ・マハル(文化遺産)インド。1983年登録。インド・イスラム建築の最高傑作と称される。世界各地から集められた職人が建設に関わり、中にはフランスの金細工師やイタリアの宝石工もいた。石材は1,000頭のゾウに運ばせたという。1632年に着工し、1653年に完成した。世界遺産データ: アーグラ城(文化遺産)インド。1983年登録。3代皇帝アクバルが16世紀半ばに首都アーグラに建設した城塞。赤砂岩の城壁に囲まれている。堅固な外部と対照的に内部は豪華で、シャー・ジャハーンが改築した白大理石の宮殿などがある。○筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。○世界遺産検定とは?世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。主催:世界遺産アカデミー開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)開催地:全国主要都市受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込みその他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて
2015年03月09日キーウェアソリューションズ(キーウェア)は3月4日、自治体向けに、農作物の品質・生産性向上や栽培技能の継承を支援する農業ICTサービス「OGAL(オーガル)」シリーズの提供を開始した。参考標準価格は、5年分のライセンス込みで約200万円だ。同サービスは、圃場に設置した各種センサーから収集する環境情報を、遠隔からリアルタイムでモニタリングできるクラウド型サービス。リアルタイムでハウスの内外をモニタリングする「OGALモニター」と、生産者間だけでなく自治体などの農業関係者間でのコミュニケーションが可能な「OGALリンク」、作業情報の収集・管理ができる労務管理サービス「OGAL-TM」にて構成する。これにより、農作物の品質や生産性の向上を実現するほか、経験と勘に頼らず長期間の環境情報を蓄積することが可能なため、次世代の担い手を支援することにも役立つという。また、経験と勘に頼らず長期間の環境情報を蓄積することが可能なため、次世代の農業の担い手を支援することにも役立つ。あわせて、農業情報共有サービスや農業向け労務管理サービスを提供することにより、生産ネットワークの強化と効率的な農業経営を支援する。同社は今後5年間で、売上1億円、OGALシリーズ導入累計100ライセンスを目指す。
2015年03月05日インド。そこそこ海外渡航歴がある筆者にとって、そこは未踏の地でした。ですが行ってきましたよ! 効率よく世界遺産を回るために、5日間のツアーを利用して。インドの文化遺産を大ざっぱに分けると、仏教がらみとそれ以外、ということになります。前回は「それ以外」にあたるデリーを含む3都市をめぐる「ゴールデン・トライアングル」を紹介しました。今回もその続きです。○街全体がピンクに染まった「ピンク・シティ」デリーの『レッド・フォート』から引きはがされるようにして、次に向かったのはジャイプールという都市です。デリーから車で6時間です。午前中に世界遺産観光、昼にカレーを食べて午後は6時間移動というスケジュールは、3日間連続で続きました……。ジャイプールは「ピンク・シティ」と呼ばれます。その名の通り、旧市街の建造物がピンク一色だからです。ピンクといってもショッキングピンクではなく、スモーキーな落ち着いたピンクです。そして、ジャイプールが面白いのは外観だけではありません。イギリスがインドを植民地化した際にこの地は自治が保たれたこともあり、伝統工芸の技術が継承されました。特にブロックプリントと言われる版画のような工法で染められたテキスタイルが有名です。柄もとってもかわいいし、他にも宝石の集積地なのですてきなジュエリーショップがあったり、ラクダの革でつくったカラフルなサンダルが売られていたり、女子は目移りすること間違いなし!○マハラジャのお城にクラクラする「マハラジャ」という言葉はみなさん聞いたことがあると思います。あ、ディスコじゃないですよ(古!)。"インドの王様"というイメージかと思いますが、皇帝のように全域を統率しているのではなく、各領土を支配している藩主を意味します。日本でいうところの戦国時代の大名のようなもの、といってもいいかもしれません。ジャイプールで早朝から目指したのは、そのマハラジャの城だった「アンベール城」です。ラージプート族によって築かれたインド北西部に点在する城砦は『ラジャスタンの丘陵砦群』として世界遺産に登録されており、そのひとつがアンベール城となります。ここの名物は「象タクシー」です。マハラジャも象に揺られたかどうかは分かりませんが、象に乗ってえっちらおっちらと麓から坂道を上がって丘陵上部にある城へと向かうのはテンションが上がります。標高があがるにつれ、周囲の山に築かれた城壁が目に入るのですが、『万里の長城』をほうふつとさせました。そして城に到着するのですが、まあ装飾のすばらしいことといったら! ラージプート族はヒンドゥー教を信仰していたので、建築様式はヒンドゥー様式をベースとしつつ、イスラム様式も融合した感じです。美しい城から下界を見下ろすのもとっても爽快です。マハラジャ気分を味わいたい方、ジャイプールへゴー!!○へんてこな公園……ではなく天文台が世界遺産に次に向かったのはジャイプールの街の中心部にある「ジャンタル・マンタル」。呪文みたいでしょう? サンスクリット語で"魔法の仕掛け"という意味だそうです。ここは18世紀にジャイプールに遷都したマハラジャが築いた天文台です。当時国家の未来を占う上で占星術は欠かせないものであり、そこで天文台が必要とされたということなのです。施設内はまるで児童が遊ぶ公園のような感じです。ジャングルジムや滑り台の代わりに様々な器具が置かれていると思ってください。他の名だたる世界遺産と比べてしまうと小物感は否めませんが(そもそも世界遺産は、観光地であるかメジャーであるかということは全く問いません)、世界でも当時最先端の天文観測装置であり最もよい保存状態であることを思うと、じわじわとスゴさが伝わってくるかもしれません。200年以上前に、マハラジャがこの地で太陽の位置を観測したり、様々な星の動きを観察して国の将来を思い描いていた、秘密基地のようなところだったのかもしれませんね。次なる地はアーグラ。なんといっても『タージ・マハル』です! その前にまた6時間移動しないと。トホホ……。世界遺産データ: ラジャスタンの丘陵砦群(文化遺産)インド。2013年登録。広大な砂漠地帯が広がるインド北西部に点在する、ラージプート族が築いた城塞のうち6カ所が登録されている。アンベール城は16世紀に築かれ、ジャイプールに遷都するまで都として繁栄した。世界で最も美しいと門と言われるガネーシャ門や「鏡の間」の美しい装飾は特に有名。世界遺産データ: ジャイプールのジャンタル・マンタル-マハラジャの天文台(文化遺産)インド。2010年登録。18世紀初頭にこの地を治めていたマハラジャ、ジャイ・シン2世によって建造された、20以上の建造物からなる天体観測施設群。レンズを通してではなく裸眼で星の動きを観察することが目的であり、建築や部材においても当時の最新技術が導入された。○筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。○世界遺産検定とは?世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。主催:世界遺産アカデミー開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)開催地:全国主要都市受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込みその他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて
2015年02月23日ジャン=ポール・エヴァン(JEAN-PAUL HEVIN)が、「フォリ ドゥ ショコラ」と題して新作ショコラを期間限定で発売する。このアイテムは世界最大規模のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ 2015」で先行販売されたもの。“世界遺産”“オリジン カカオ”“MOF(フランス国家最優秀職人章)”の三つのテーマを元に、計13点のショコラが提供される。ジャン=ポール・エヴァンブティックで2月16日から3月31日まで販売。世界遺産をテーマとした七つのショコラでは、進化し続けるブランドの味覚と、エヴァンが思い描く未来へのオマージュを表現。ボンボンショコラ「パトリモワンヌ ユニヴェルセル」(452円)では、ソバの花から採ったハチミツをガナッシュに加え、それをショコラノワールでコーティングした。更に、「ユズ」(714円)では柚子風味の爽やかなクレームに、トンカ豆のサブレのスパイシーな香りがマッチ。「サロメ」(674円)では、バニラムースの風味をビターなビスキュイショコラが引き立てている。その他、さくさくのクルスティアン、ビスキュイ、キャラメリゼしたクレームシブーストなどを重ねた「ゲランド」(697円)、キルシュに漬けたグリオットとビターなカカオムースが大人の味わいを演出する「アンジュ」(697円)、マンダリンの爽やかな後味とアクセントの胡椒がマリアージュした「ランコントル」(683円)と計5品のガトーが登場。これに、ジャン=ポール・エヴァンでは珍しいミルフィーユ「ミルフィーユ ショコラ」(882円)が加わり、ショコラを世界遺産と捉えたクリエートを締めくくる。一方、ショコラの原点となるカカオの魅力を追及した“オリジン カカオ”のテーマの元、豆の個性や産地を生かしたショコラも用意。ボンボンショコラ「オリジン カカオ」(452円)では、ショコラノワールのガナッシュに、マダガスカル産のカカオを使用した。更に、ベリーのような酸味が特徴のエクアドル産カカオを使った「タルト ショコイン エクアトゥル」(738円)、ナッツのような香ばしさとフローラルな香りが特徴のペルー産カカオを使用した「タルト ショコイン ペルー」(738円)、苦味の中にコーヒーやミルクキャラメルを思わせる味わいのコロンビア産カカオを使った「タルト ショコイン コロンビイ」(738円)と三つのタルトが提供される。また、“MOF”のテーマではヘーゼルナッツ風味のガナッシュに、アクセントとして柚子を加えた「MOF」(452円)に加え、エヴァンを代表するガトー「グアヤキル」(686円)が提供となる。このガトーではレシピを従来のものからリニューアルし、アーモンド風味のチョコレート生地と、ビターチョコレートのムースを積み重ねた。
2015年02月15日インド。そこそこ海外渡航歴がある筆者にとって、そこは未踏の地でした。バッグパッカー時代、インドでぼられたとかうざかったとかいう話を散々旅人から聞き、なんとなく敬遠していたのです。しかし、世界遺産的にはやはり外せません。2014年夏、ついにインドビザを取得しました。がタイミングを逸し2月3日にビザが切れるという事態に。せっかく時間もお金もかけてとったビザを無駄にしないためにも、有効期限内にインドに行くことにしました。○効率よく巡るならツアーをインドは仏教発祥の地です。インドの文化遺産を大ざっぱに分けると、仏教がらみとそれ以外、ということになります。今回は「それ以外」にしました。インドの首都・デリーを含む3都市をめぐる「ゴールデン・トライアングル」といわれる一帯です。各250kmずつ離れた3都市には多くの世界遺産が集中しています。そこを短期間で効率的に、かつリーズナブルに回るには、個人旅行よりもツアーが適していることが分かりました。筆者は団体行動があまり得意でないのでほとんどツアーを利用したことがないのですが、今回は素直にツアーを利用することにしました。5日間の超弾丸ツアーの始まりです!○力を誇示する赤い塔まずはデリーに降り立ちました。深夜に到着して翌日朝から市内観光です。世界遺産1カ所目は『デリーのクトゥブ・ミナールとその関連施設』。市内から10kmほど南に行ったところにあります。「クトゥブ・ミナール」は72.5mあり、インドに現存する最も高い石塔です。朝もやの中に赤い塔が見えてきました! 赤砂岩で作られているので、青空に映えます。今の感覚で言えば、高い建物といえばビルやタワー、灯台など何かしら用途があることが普通です。あるいはモスクの隅に建つミナレットなど装飾的な意味合いがある塔もありますが、この塔は権力を示すために築かれました。1200年頃、インドを征服した外国からの侵略者が戦勝記念に建てたのです。800年も前に、いったいどうやってこんなに高い塔を建てたのかと現地ガイドに尋ねたところ、遠方から傾斜をつけた坂道を作って石を運んだそうです。最終的には2km先から運んだとか! ピラミッドでも同様の説があります。○元祖タージ・マハルの霊廟とは?クトゥブ・ミナールの周辺施設には、インド最古のモスクなどいろんな見どころがあります。しかし、ツアーの宿命で駆け足で見学して、次は「フマユーン廟」へ。これは先ほどの遺産とは時代が異なり、16世紀にムガル帝国がインドを支配して以降の建造物です。今回のツアーでは、ムガル帝国期に建てられた遺産を多く見ることになっています。フマユーンは2代皇帝であり、その霊廟が世界遺産に登録されています。彼は図書館の階段から転落して亡くなってしまいました……。フマユーン廟にも赤砂岩が使われています。形は「タージ・マハル」に似ていると思いませんか? 左右対称でペルシア式庭園の中に霊廟が建てられるスタイルは、そのまま後のタージ・マハルに引き継がれました。大都会デリーの中で、緑豊かな霊廟はちょっとしたオアシスになっているのかもしれません。さらにデリーにはもうひとつの世界遺産、「レッド・フォート」という名前通り赤い城があるのですが、ここは時間の都合で外観のみでした。フェンスのはるかかなたに、メインゲートが見えています。せめてあと10分あれば門の正面から写真が撮れるのに……。非常に日本語が達者な現地ガイドさんも、ひきつって笑うしかなかった筆者を見て「なんで笑うの? 」と不思議そうでした。「日本人はツライときは笑うんです! 」。「はい、じゃあ次ね~」と情け容赦なく旅は進むのでした。世界遺産データ: デリーのクトゥブ・ミナールとその関連施設(文化遺産)インド。1993年登録。インド最初のモスクとクトゥブ・ミナールは、12世紀後半にデリーを征服し奴隷王朝を開いたアイバクがつくった建造物。敷地内には、築かれて800年たつ「さびない鉄柱」があることでも有名。世界遺産データ: デリーのフマユーン廟(文化遺産)インド。1993年登録。ムガル帝国2代皇帝フマユーンのため、王妃の命により1570年に完成した。インド初の本格的なイスラム廟建築で、ペルシア様式の融合もみられる。約1世紀後のタージ・マハルにも多大な影響を与えた。○筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。○世界遺産検定とは?世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。主催:世界遺産アカデミー開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)開催地:全国主要都市受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込みその他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて
2015年02月10日銀座農園とスペースデザインは2月18日、日本初の農業・食品をテーマに掲げるコワーキングスペース「銀座ファーマーズラボ」を東京都・有楽町駅前にオープンする。○オープン日には記念イベントを実施同施設は、専属コーディネーター常駐のレセプションや2名用ブース、貸し会議室、会員専用ラウンジからなるスペース。内装は農場の納屋をイメージした素材や食用の観葉植物、可動式のキッチンなどで、「農」や「食」を喚起するようなデザインとなる予定。2月18日には、オープニング記念トークイベントとして、「農業6次産業化と販路拡大による地域活性」を開催。地域活性や地方創生の事例を多数手がける6次産業化プランナー 天野良英さんと、山口県周防大島でジャム専門店「瀬戸内ジャムズガーデン」をオープンした松嶋匡史さんが登壇し、これからの地域活性の課題や展望についての講演を行う。場所は東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館 6階。記念トークイベントの開催日時は18日14時~14時40分。定員は60名。
2015年01月26日りそな銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行はこのたび、19日より「ユネスコ70周年記念世界遺産コインシリーズ」の申込み受付を開始すると発表した。○記念コインの概要ユネスコ憲章の採択70周年を記念した貴重な世界遺産コイン近年、富士山、富岡製糸場などの登録が話題を集めた世界遺産を取り上げ、カナダ・オーストラリア・フランスの「山」「海」「街」をテーマとしたデザイン売上の一部が世界遺産を守り、未来へ引き継ぐ活動に役立てられるユネスコ(国際連合教育科学文化機関/UNESCO)を通じて、世界遺産の保護・保存および修復活動の基金として売り上げの一部が寄付される1月19日(月)から2月6日(金)まで、各銀行の本支店店頭に申込書類を設置。申込みしたコインの受け渡し時期や方法などについては、申込書類にて確認するか、輸入元(泰星コイン)に問合わせる。
2015年01月15日●国が星空を守っているレイク・テカポは、おとぎの国のような街だった!「星空を世界遺産に」。そんなロマンチックな取り組みを街、そして国が進めている場所がある。それが、ニュージーランドの南島の中央付近に位置するレイク・テカポだ。極上の星空を求めて、星をめぐる旅に出掛けてみた。○世界に誇れる星空保護区日本の旅行会社の中には、レイク・テカポの星空観賞をメインにしたニュージーランドツアーを企画しているところもあるが、個人でレイク・テカポに行くなら、南島のクライストチャーチ国際空港から車で約3時間半の道のりとなる。レイク・テカポは季節や時間によって色が変わる湖や、石造りの小さな教会「善き羊飼いの教会」があることでも知られている。街は高台の盆地に作られており、周囲を山脈で囲まれている。人口400人程度の小さな街は、おとぎ話などに出てくる"ひっそりとした隠れ里"のような印象を受けた。このレイク・テカポで「星空を世界遺産に」と構想したのには訳がある。レイク・テカポは空気が非常に澄んでおり、夜間の晴天率が高いことなど、世界的に見ても星空鑑賞に適した環境条件がそろっている。1965年には街の近くにマウントジョン展望台も設立された。レイク・テカポで2000年に始まった光害のない暗い環境保全の活動は、2013年にはニュージーランド首相から国の予算が振り分けられることで国の取り組みとなっている。現在、この活動には大勢の人が参加し、それぞれの分野で活動している。また、国際ダークスカイ協会が行っている世界中の暗い夜空の保護・保存を目指した取り組み「ダークスカイプレイス・プログラム」では、2012年にレイク・テカポを含めた「アオラキ/マウントクック国立公園とマッケンジー盆地周辺」が「ダークスカイ・リザーブ」に認定された。なお、2014年11月現在、同協会が世界を対象に定めているプログラムの認定地は、「ダークスカイ・コミュニティ」が8カ所、「ダークスカイ・リザーブ」が9カ所、「ダークスカイ・パーク」が20カ所である。●星が空を覆うレイク・テカポで南十字星に天の川、そしてオーロラも!?○あまりに身近にあった宝世界遺産への取り組みの最前線にいるのが、実はレイク・テカポで星に魅せられた日本人の小澤英之さんである。小澤さんはレイク・テカポでEarth&Skyを起こし、星空鑑賞ツアーを実施している。「私が『この星空を世界遺産にしたい』と言った時、地元の人に笑われてしまいました。地元の人にとってはあまりに身近にありすぎて、これが世界に誇れるニュージーランドの宝であることを自覚できなかったんだと思います。現在、世界遺産に向けてユネスコへの取り組みとともに、地元の人への働きかけをしているところですが、地元の人の中では世界遺産への取り組みに対して賛否が分かれています」「というのも、世界遺産になれば今よりももっと多くの観光客が街を訪れるというメリットがありますが、星空鑑賞のために光の制限が必要なため、ビジネス的にはデメリットになりえます。市民の協力なしでは世界遺産は夢のまままです。どのようにすれば地元の人にもメリットを感じてもらえるのか思案しながら、私たちはレイク・テカポの星空を見守っています」(小澤さん)。そんな小澤さんにもっとも星空鑑賞に適した時期はいつなのかうかがってみた。そもそも日本とニュージーランドは季節が逆であり、ニュージーランドでは12月~2月が夏、3月~5月が秋、6月~8月が冬、9月~11月が春となっている。小澤さんの感覚では、夏だと8割程度、冬だと6~7割程度の確率で星空鑑賞に最適な空に恵まれるという。ただ、満天の星を狙うなら冬の方がベストだそう。つまり、何日かレイク・テカポに滞在できるのであれば、冬にトライしてみるといいだろうが、限られた時間の中でレイク・テカポに訪れるなら、夏の方が星空に遭遇できる確率は高いようだ。ちなみに、「1日の中に四季がある」と言われるほど、ニュージーランドは1日の気温差が激しい。夏でも夜になると5度くらいまで下がる場合もあるので、しっかりとした防寒対策は必須だ。○南十字星にオーロラも!今回筆者は1夜だけの滞在でレイク・テカポを訪れたが、残念ながら空には雲が残っており、満月に近い頃だったため月明かりが強い夜となった。とはいえ、月が沈んで太陽が昇る4時15分~4時45分の間、雲が消えていることを願いながら鑑賞したのが下の写真である。「善き羊飼いの教会」の上に昇ったオリオン座は、北半球にある日本とは逆転して見える。ニュージーランドで見られる星といえば、南十字星(サザンクロス)である。南十字星は全天88星座の中で一番小さな星座であり、大航海時代以来、南極星を探すのに使われてきた。ニュージーランドでは地平線に沈むことなく、一年を通して南極星を見ることができる。ちなみに、ニュージーランドの国旗には4つの星で作る南十字星が描かれているが、オーストラリアやサモア、パプアニューギニア、ブラジルの国旗には5つ目の星も描かれている。また、南半球から肉眼で見ることができる小さな銀河「マゼラン雲」や、天の川(ミルキーウェイ)もぜひチェックしておきたい。さらに、レイク・テカポでは運が良ければオーロラも見ることができるという。淡い光のオーロラは現れる時間も気ままなため、夜の長い冬の方がチャンスが大きいと言える。ちなみに、北半球で見られるオーロラは「Aurora Borealis(northern lights)」、南半球で見られるオーロラは「Aurora Australis(southern lights)」と呼ばれている。山脈に囲まれた情緒ある街で、冷たい風を受けながらのんびり夜空を見上げる。ただそれだけでもロマンチックなのだが、そこに満天の星が広がっていたら、「これを世界遺産に!」と思わずにはいられなくなるかもしれない。※1NZドル=91.9円で換算。記事中の価格・情報は2014年12月取材時のもの
2015年01月14日旅の目的のひとつに、「世界遺産を見に行こう!」と考える人は多いのではないでしょうか。東南アジアにも特徴的な世界遺産の数々があります。せっかく旅に出るなら正しい「世界遺産の見方」も知っておきたいもの。NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員の目黒氏は世界遺産の「個性」に注目してほしいと言います。©ASEAN-Japan Centre古都ホイアン(ベトナム)大切なのはそれぞれの世界遺産が持つ「個性」「世界遺産には『ナンバーワン』ではなく『オンリーワン』の価値が必要です。オンリーワンの価値はその世界遺産の『個性』になります。『個性』を知るには、世界遺産の『登録基準』を見るとわかりやすいでしょう。」photo:yoko hondaアユタヤ遺跡(タイ)世界遺産は10項目の登録基準によって定められていて、例えば自然遺産の登録基準は「地球の歴史」「自然の景観美」「固有の生態系」などの項目があります。©ASEAN-Japan Centreコモド国立公園のコモド大トカゲ(インドネシア)「気になる世界遺産がどんな基準によって登録されたのかを前もって知っていれば『綺麗な景色を観に来たのに想像していたのと違った…』なんていうこともなくなりますよね。また『個性』がわかれば、現地に行った際に世界遺産を壊すようなこともなくなるでしょう。是非これからは、『登録基準』で世界遺産を見てほしいですね」「危機遺産」と私たちがやるべきこと世界遺産に登録されたものの、なんらかの理由で「個性」が壊れてしまった遺産があるのも現状です。そんな世界遺産を「危機遺産」と言います。©ASEAN-Japan Centreコルディリェーラ山脈の棚田(フィリピン)危機遺産の原因のほとんどは「人間の行い」。内戦や観光開発、都市開発、密漁などがその原因です。人間の勝手な行動が、せっかく登録された世界遺産を危機遺産に変えてしまっているのです。「日本でも富士山や富岡製紙場が世界遺産登録され盛り上がっていますが、その一方で『これから世界遺産を保全するための大きな責任と義務が、日本国民に生じた“スタート”』であるということを忘れてはいけません。世界遺産の本来の意味、向き合い方を知り、みんなで世界遺産を守っていかなければなりません」※東南アジアの危機遺産はコルディリェーラ山脈の棚田(フィリピン)とスマトラの熱帯雨林遺跡(インドネシア)の2つ(2014年12月現在)(text:Tomomi Kimura)PROFILE目黒正武MEGUROMasatakeNPO法人 世界遺産アカデミー主任研究員。明治大学商学部卒。旅行会社に就職後、国内外多数の世界遺産で現地経験を積む。2005年より現職。青山学院大学・文化学園大学・八洲学園大学非常勤講師。メディア出演:TBS『みのもんたの朝ズバッ!』、テレビ朝日『そうだったのか!学べるニュース』、フジテレビ『知りたがり!』、フジテレビ『アゲるテレビ』等で世界遺産について解説。
2014年12月24日ボロブドゥールの仏教寺院郡 photo:yoko honda前回は「私たちが知らない。世界遺産の本当の目的」をNPO法人世界遺産アカデミー主任研究員の目黒正武氏にお伺いしました。今回はTRIPPINNG!的「東南アジアの“世界遺産の特徴”」についてお届けします。東南アジアの世界遺産からは「寛容性」「融合性」が見えてくるバリ州の文化的景観 photo:yoko honda東南アジア文化遺産の他の地域とは異なる特徴とは国、地域によって建物の特徴の違いが顕著な文化遺産。「東南アジアの文化遺産」は、特に「歴史的視点」で見てみると、他の地域とは異なる「東南アジアらしさ」が見えておもしろい、と目黒氏は言います。「インドシナ半島の、東南アジア諸国は、インドと中国に挟まれていることから両国の文化の影響を受け、ヒンドゥー教と仏教に関連する文化遺産が多いのが特徴です。中でも、ヒンドゥー教は多神教の面があることからも、他の宗教の建物を壊さずに並立させていたり、壊しにくいという理由で使いまわしていたりします。」ボロブドゥールの仏教寺院郡 photo:yoko honda東南アジアの「今、見に行くべき」世界遺産“今、見に行くべき世界遺産”として、カンボジアの「アンコールワット」をあげた目黒さん。photo:sumio koizumi「アンコールワットはもともとヒンドゥー教の寺院でしたが今は仏教寺院です。隣接するアンコールトムは、逆に仏教寺院でしたが今はヒンドゥー教寺院です。これは建設時の国王の信仰心と、後世の国王の信仰心の違いが大きな要因ですが、そこにはインド、中国という強国の影響も見逃せません。ですが、同時に「様々な宗教や価値観を受け入れようとする「寛容性の強さ」や「融合」しようとする「柔軟性」があった」ということを表しているとも言えますよね。世界遺産を見ながらそんなことに思いを馳せてみるのも面白いですね」東南アジアの自然遺産グヌン・ムル国立公園 photo:yoko honda「東南アジアは、「カルスト地形」(石灰岩などの水に溶解しやすい岩石で構成された大地が雨水、地下水などによって侵食されてできた地形)のため、石灰質に関係する自然遺産、特に「鍾乳洞」が多いことが特徴ともいえます。マレーシアのグヌン・ムル国立公園には世界最大の鍾乳洞靴がありますし、ベトナムのフォンニャーケバン国立公園は、アジア最古最大と言われるカルスト地帯です。ちなみに、個人的には、東南アジアの自然遺産の中では、マレーシアの「キナバル自然公園」にある世界一大きな花「ラフレシア」はおすすめです。©ASEAN-Japan Centre人類700万年の歩みを伝える物件が「文化遺産」、地球46億年の歴史を表す物件が「自然遺産」です。世界遺産を知ることは、人類と自然の関係から、世界の成り立ちを理解することに繋がります。(text:Tomomi Kimura)PROFILE目黒正武MEGUROMasatakeNPO法人 世界遺産アカデミー主任研究員。明治大学商学部卒。旅行会社に就職後、国内外多数の世界遺産で現地経験を積む。2005年より現職。青山学院大学・文化学園大学・八洲学園大学非常勤講師。メディア出演:TBS『みのもんたの朝ズバッ!』、テレビ朝日『そうだったのか!学べるニュース』、フジテレビ『知りたがり!』、フジテレビ『アゲるテレビ』等で世界遺産について解説。
2014年12月14日©ASEAN-Japan Centre世界遺産を深く知るなら「登録基準」で見よう世界遺産を訪れるということは、ときに旅をドラマチックなものにしてくれます。到着するまでのドキドキ感、いざ目の当たりにした時の充実感、そしてそこに流れる空気を肌で感じてしみじみとその遺産に思い巡らす・・・しかし、そんな感動も束の間、気がついたら写真を撮ることに必死になって、写真を撮ることがメインになっている・・・そんな経験はありませんか?思い出を写真に残すことも大切ですが、せっかく訪れたなら時空を超えて遺産を旅してみませんか。そのために、その土地や歴史、建物のことを事前に学んでおくのも旅の重要なウォーミングアップ。今回は、そのスターターとも言うべく世界遺産の基本情報をお届けします。世界遺産には、3つの分類がある一口に世界遺産と言っても、その種類は3つに分かれます。1)文化遺産人類が生み出した素晴らしい建造物や遺跡、また自然環境に順応しながら人類がつくり上げた文化的景観など。ジョージタウン(マレーシア・ペナン島)上段のグエン朝の王宮(ベトナム、フエの歴史的建造物群)もそれに当たります。2)自然遺産地球の歴史や動植物の進化を伝える自然環境や景観などを指します。©yoko hondaハ・ロン湾(ベトナム北東部)3)複合遺産文化遺産と自然遺産、両方の価値を有しているものになります。※2014年12月現在、東南アジアにはありません。世界遺産を証明する10項目の登録基準誰が見ても同じように素晴らしいと感じる価値である「顕著な普遍的価値」を有している世界遺産ですが、これを証明するものとして「10項目の登録基準」が定められています。世界遺産に登録されるには、最低でもこの基準の1つ以上にあてはまることが条件となります。訪れる世界遺産が、どの分類に属していて、登録基準は10項目の内、どの項目に当てはまっているものなのか?を事前に知っておくことが、あなたを旅通にさせてくれるでしょう。「顕著な普遍的価値」を証明する10の登録基準登録基準① : 「人間がつくった傑作」人間がつくり上げた素晴らしい傑作である遺産に認められる。登録基準② : 「文化交流」さまざまな国や地域の間で文化交流が行われてきたことを示す遺産に認められる。交易路や文化・文明の接する場所などにある遺産など登録基準③ : 「文明の証拠」文明や特徴的な時代が存在していたことを証明する遺産に認められる。登録基準④ : 「建築技術」建築技術や科学技術の発展を伝える遺産に認められる。登録基準⑤ : 「伝統的集落」それぞれの文化や気候風土に合った伝統的集落が残っている遺産に認められる。登録基準⑥ : 「出来事や宗教、芸術」歴史上の重要な出来事や宗教、芸術などと関係する遺産に認められる。登録基準⑦ : 「自然の景観美」美しい自然景観や独特な自然現象が見られる遺産に認められる。登録基準⑧ : 「地球の歴史」地球の歴史を伝える遺産に認められる。登録基準⑨ : 「固有の生態系」それぞれの環境に合った動植物の進化の過程や固有の生態系を示す遺産に認められる。ガラパゴス諸島など。登録基準⑩ : 「絶滅危惧種」絶滅危惧種が生息する地域や生物多様性を示す遺産に認められる。(参考文献:『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』より)「世界遺産を決める」世界遺産委員会世界遺産リストに記載する遺産は、一年に一度開催される「世界遺産委員会」で審議され、決定します。21ヵ国からなる世界遺産委員会は、専門機関の事前審査をもとに、各国から推薦された遺産について話し合い、「1)登録」「2)情報照会」「3)登録延期」「4)不登録」の4つのいずれかの決定をします。1)の場合、無事に世界遺産登録となります。2)と3)の場合、翌年以降に再挑戦となりますが、4)の場合は、世界遺産になることはできません。
2014年12月13日