2020年4月1日、安倍首相は新型コロナウイルス(以下、コロナウイルス)の影響でマスクが品薄になっていることを受け、全国の約5千万世帯を対象に、1住所当たり2枚の布マスクを配布することを発表しました。ほか、月7億枚のマスクの供給を確保する見込みであることや、医療機関に1500万枚のマスクを配布する予定も明かしました。また、高齢者施設、障害者施設、全国の小学校・中学校にも順次マスクを供給するといいます。近藤春菜「郵送のお金を別のところで…」同月2日に放送された情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)では、このニュースを報道。ゲストで出演した日本感染症学会の専門医で加藤哲朗さんは、布マスクの配布について、使い捨てマスクと違って使いまわしできる点からも「ないよりは効果あると思う」とコメントしました。コメンテーターとして出演しているお笑いコンビ『ハリセンボン』の近藤春菜さんは、若い世代からの目線でこのようにコメントしています。今マスクが手に入らないということで、朝から薬局などに並んで、そこで集団(感染)になってしまうという状況をおさえたかったのかなということを思うんですけど。ご高齢の方とか特に、「マスクがないのにマスクをつけろってどうしたらいいのよ」っていう不安を払拭するためこういうことをするのかなと思うんですけど。私とか若い世代からしたら、すごいそれにも配るのにも何十億とかかかるわけじゃないですか。そこのお金はちょっと別で使えないのかなという気持ちはあります。スッキリーより引用「開店前に並ぶ人たちの感染を抑えるための意味もあるのではないか」と考察した近藤さん。しかし、郵送にかかる金額に疑問を感じるといいます。また、同じくコメンテーターの加藤浩次さんは率直な感想を述べました。マスク2枚ってもっと前から準備していたのかもしれないけど、結局みんなに5千万世帯に配れるっていうようになったのが昨日だったのかもしれないけど…。もうちょっと、すっとんきょな感じが僕はしちゃうんですよ。「今、布マスク2枚家に届くの?」って。「じゃあ、届くの明日来ないでしょ」って。「また届くのに一週間ぐらいかかるでしょ」って。それ今いわれてもさあって…。スッキリーより引用4月中旬以降に、感染者の多い都道府県から順次発送をするという布マスク。すぐには届かないこともあり、困惑を見せました。【ネットの声】・本当に、郵送料を別のところに回してほしいですね。・突然配布の話が出てきた感じ。ポストから布マスクを盗む人が出てきそうで怖いです。・朝行列を作っているところで感染しそうですもんね。安倍首相は「世帯においては必ずしも十分な量ではなく、洗濯などの御不便をお掛けします」と、今後マスク不足の対策には早急に取り組むと発表しています。コロナウイルスが一刻も早く収束し、安心して過ごせる日々が戻ってきてほしいですね。[文・構成/grape編集部]
2020年04月02日2世帯を左右にわける芳賀邸は2世帯住宅。芳賀さん夫妻から出された要望は「子世帯の建物とは離してほしいけれども、どこかでつなげてください」というものだった。「よくある世帯が上下で分かれるつくりには音の問題とかあるのでしないでくださいって言ったんですね」と話すのは奥さん。「あと目線が合わないようにしてくださいとお願いしました」その要望通り、芳賀邸は左右に分かれて2階部分に設けたブリッジによって連結されている。2つの棟がずれて配置され、かつレベルの違いもあって目線が合いにくくなっているが、このレベル差は最初のプランではなかったものという。2世帯を連結するブリッジ下に庭へのアプローチがつくられている。地形をつくる「最初のプランでは直接目線が合わないようにしたいということで子世帯のリビングは2階にしていたんですが、途中でリビングは庭に面してほしいという要望が出てきた。1階にしたら当然目線が合ってしまうので、それで丘をつくって子世帯の建物自体の高さを上げることを思いつきました」(建築家の岸本さん)そこで、2棟をつなぐブリッジの下の部分まで傾斜を上りそこから今度は庭に向かって下がるようなかたちで新たに小さな丘のような地形がつくられ、この地形と2つの建物とが一体化するように計画が練り直された。小さな丘状になった部分を上っていくと徐々に風景が変わりもう少し進むと庭が現れる。左が子世帯のリビング。丘の最高地点から子世帯前に広がる庭を見る。親世帯と同様に開口部分に巡らされた縁側。「縁側に出て食事をしたりしたい」との希望から途中で付加された。親世帯の建物前からアプローチ方向を見る。右上が子世帯の建物。親世帯の開口外部には縁側がつくられている。この新たにつくられた起伏によって、庭は道路側からは直接見ることができなくなったが、敷地に奥行きをつくり出し、さらにはその奥に何かあるという雰囲気をつくり出すことになった。庭の奥側の緑には手を入れていないが、建物に近い側の緑は配色にも気を遣って新たに配置されたもの。奥へと人を誘うように、また奥行き感が増すように、アプローチ部分からの流れが巧みにデザインされた。子世帯の建物前から親世帯と庭を見る。親世帯1階のコーナーにつくられたベンチ付近から庭を見る。玄関からこのコーナー部分までタイルの床と簾天井が続く。手前の柱は構造的な役割およびDK部分とベンチ付近のスペースを分節する役割をもたせられている。親世帯の開口部分に縁側が巡らされている。平屋の屋根部分にはウッドデッキが張られて大きめのテラスとなっている。対照的な2つの建物建物の方の設計コンセプトはまず2つの建物の性格を変えることだった。岸本さんは「親世帯はどちらかというと暗がりのある空間、そして子世帯のほうは対照的にオープンで明るい空間としました」と説明する。奥さんは当初、親世帯の空間の暗さに少し抵抗があったようだが、いまは「まったくOK」どころか「帰宅のときはウキウキしながら家に入ってくる」ほど気に入っているという。親世帯の玄関は庭に面した空間と比べかなり暗めだが、入って左右に長い空間になっていて、右へ行くと2階上る階段とともにDK、和室へとつながる。そして左手はそのままダイレクトにDKへ。この部分は床にタイルを張り、天井に簾を使用していて玄関からずっと外部的な空間が回り込む仕掛けになっている。そしてその終点となるコーナー地点には大きめの開口に接してL字形のベンチが設けられている。芳賀さん夫妻がともにお気に入りの場所は開口近くに設けられたベンチ付近という。壁には和紙が貼られている。DKと和室を見る。和室が小上がりになっているためちょっと腰かけることもできて便利という。右が親世帯の玄関扉。入って右に進むと階段やDK、和室に、左へ行くとDKに至る。壁に沿ってベンチが設けられている。子世帯の玄関ホール。右上の窓の建具は以前の家のものを活用している。いっぽうの子世帯のほうも玄関のつくりが特徴的だ。広い土間的空間は天井が高くつくられていてギャラリー的な空間でもある。玄関入って右手には幅広の階段が設けられていてそれを上ると庭に面したLDKへと到る。LDKは親世帯以上に庭に面した開口が大きく取られていて、そこから下部に位置する庭への眺めは緑を十二分に満喫できる格別のものだ。明るい空間にアイランドキッチンをうまく配したつくりもこの空間の心地良さを増幅させている。子世帯のリビングから玄関を見る。家形の空間の部分に幅広の階段がつくられている。キッチンの近くにウェブデザイナーをされている奥さんの仕事場が確保されている。コーナー部分に大きく開けられた開口に沿って木のベンチがつくられている。ここからの庭を見下ろす眺めは格別だ。壁・天井には珪藻土が塗られている。大きめにつくられたアイランドキッチンがこの空間の中心的存在となっている。丸鋼(断面が丸い棒状の鉄筋)を使ったデザインがこの明るくてオープンな空間に軽快感をもたらしている。住み始めてから1年と数カ月。奥さんは庭へと向かって丘状にせり上がる庭へのアプローチ部分を見るのがお気に入りという。「住めば住むほど気に入ってきました」という内部空間ではコーナー部分に設けられたベンチのあたりが「この家でいちばん気持ちが良くて気に入っている」と話す。芳賀さんが「ここから庭を見るのはすごく気持ちがいい」というのも奥さんと同じベンチのあたり。ベンチに座って庭を眺めることが多いという。起伏のある庭に緑が巧みに配置された景色はめったにあるものではない。この家の心地良さは家のつくりと庭への眺めがセットになっているのである。子世帯の軒下にはビカクシダが付けられた流木が吊り下がる。植物は息子さんが趣味で育てている。子世帯の縁側に鉢に植えられたディッキアが並ぶ。温室から親世帯部分につくられたテラスを見る。親世帯の2階の壁にも息子さんが育てる植物が掛けられている。右が温室で外壁にはガルバリウム鋼板が張られている。2世帯をつなぐ温室内には息子さんが育てる植物が並ぶ。道路側から芳賀邸を見る。左に子世帯、右に親世帯の建物が配置されている。芳賀邸設計acaa所在地神奈川県横浜市構造木造規模地上2階延床面積211.65㎡
2019年08月26日「住居費や、生活費のある部分を共有できる二世帯同居には経済的なメリットが多くありますが、いっぽうで、お金にまつわる“落とし穴”も少なくありません。後々もめないため、同居前からの勉強やルール作りは不可欠です」こう語るのは、二世帯同居世帯の家計相談を受けることも多いファイナンシャルプランナーの北見久美子先生。二世帯住宅で特に気をつけたいのが固定資産税と相続税だという。実際、都心に住むある主婦からは、「お舅さんの没後、お姑さんが名義を夫に変更したため、大変な額の固定資産税が……」という相談があったそう。「この相談者の方は、多額の固定資産税が発生してしまうことに不満を訴えていましたが、同時に、資産価値の高い不動産を相続したわけですから、むしろ感謝してもいいくらいなんですよ」(北見先生・以下同)このように、税金に対する知識が当事者間で共有できていないと、せっかくの善意が、筋違いの恨みのタネにもなりかねない。また、水道・光熱費、あるいは生活費をどう折半するか、といった家計のルールは、一度決めても定期的に見直すことが大切だと北見先生は言う。「家計にかかる費用というのは、それぞれの世帯のライフステージに合わせて変わっていくもの。どちらかの世帯が『割を食っている』と感じないためにも、負担額の定期的な見直しは欠かせません。『同居記念日』を設けて、毎年その日を見直しのタイミングにするのがおススメです」ただし、生活費の分担額を見直す際には、その根拠が「なんとなく」ではお互いにいっそう不満が募るもの。そうならないためにも、同居をはじめる前からしっかりと家計簿をつけ、同居の「前」と「後」でそれぞれの支出がどのように変化したのかを把握しておきたい。さらに北見先生が「要注意」と強調するのが住宅ローンだ。たとえば北見先生への相談ではこんなケースもあったという。長男がローンを組み、両親の土地に二世帯住宅を建てたものの、嫁姑の折り合いが悪く、長男夫婦はそれがもとで離婚。長男もその後家を離れてしまい、ローンの返済が不能に。結局、せっかくの二世帯住宅は競売にかけられてしまう結果に……。「お姑さんはお孫さんたちとの幸せな同居生活を夢見ていたのに、とてもお気の毒なケースです」たしかに二世帯同居には、経済的なもの以外にもたくさんのメリットがあるが、そこで暮らすのは、あくまでも不器用な「人」である。当然、同居での生活がうまくいかないこともある以上、どこかに「引き返す」余地を残しておく必要があるのだ。背伸びして手に入れた二世帯住宅が原因で、「金の切れ目が縁の切れ目」となってしまっては、元も子もない。これから二世帯住宅を検討している人は、くれぐれもご注意あれ。
2019年08月13日「二世帯同居」と聞くと、恨み骨髄の「嫁姑バトル」や、肩身の狭い「マスオさん」を想像してしまう人が多いが、そんなイメージはもう古い!親世帯にも子世帯にもメリット満載。「二世帯同居」で失敗しないコツを読者の実例から学ぼう!【ケース1】姑(67歳)× 嫁(35歳)の場合「夫が数年前に他界し、寂しさはありますが、毎日がとてもにぎやか。寝室は孫娘と一緒ですし、やはり大家族でよかったと思います」そう話すのは、隅田川を望むマンションに長男家族と暮らすMさん(67)。間取りは3LDKで、中1を頭に3人の孫も含めた家族は総勢6人だ。一昨年、夫が他界したのを機に、それまで夫婦で営んでいた飲食店を同居する長男夫婦に譲ったという。現在、Mさんは土日だけ店を手伝い、夕食作りをはじめとした家事全般を担当。空いた時間は自転車で日本橋まで買い物へ行くなど悠々自適に暮らしている。そんなMさんは二世帯同居についてどう感じているのだろうか。「にぎやかな暮らしが大好きなので、家族のご飯を作るのが苦になったことは一度もありません。それに、自分自身が大家族で育った経験を踏まえ、同居していくうえでのルールを作っているので、お嫁さんともめることもほとんどありませんよ」そんなに広いとは言えないマンションで二世帯が暮らしていくためには、みんなが納得できるルールを決めておく必要があるというのだ。たとえば台所の使い方。Mさんは早朝5時半には起床し、掃除や洗濯の前に朝食を済ませているという。こうすることで、6時半に起きてくるお嫁さんとは台所を使うタイミングがかち合わない。また、買い出しの担当はMさんだが、牛乳や調味料といった重い物は、長男夫妻が適宜買ってくることになっている。ほかにも、冷蔵庫の中はカゴで仕切ったうえで食材名をラベリングしたり、自分の靴は1足以上、玄関に置いておかないようにしたりなど、ルールは多岐にわたる。「うちはお嫁さんと同居していますが、もともと他人だった同士がいっしょに暮らすわけですから、生活のお作法が違うのは当たり前。だからこそ、お互いが気持ちよく過ごせるよう、ルールを作っておくことが大切なんです」ややもすると窮屈になりがちな、マンションでの二世帯同居を円滑に保つために、Mさんがたどり着いた結論だ。もちろん、ルールを決めればなんでもうまくいくわけではない。「行き違いや誤解がまったくないわけではありませんが、それはお互いさまと受け入れなくてはいけません。だって一緒に暮らす“家族”なんですから」
2019年08月12日「二世帯同居」と聞くと、恨み骨髄の「嫁姑バトル」や、肩身の狭い「マスオさん」を想像してしまう人が多いが、そんなイメージはもう古い!親世帯にも子世帯にもメリット満載。「二世帯同居」で失敗しないコツを読者の実例から学ぼう!【ケース1】嫁(36歳)× 姑(72)× 義理の弟夫婦の場合「先日、息子を迎えに行ったらお義母さんに『チョコレート食べさせちゃったけど、大丈夫?』と聞かれたんですけど、『はい、大丈夫です!私、そういうの全然こだわっていませんから』って(笑)。子どものお世話をしてくれるだけでもう十分ですから」結婚直後から、夫の母親、義理の弟夫婦といっしょに三世帯住宅で暮らしているというメーカー勤務のWさん(36)。同居開始からすでに6年、一見窮屈にも思える三世帯ライフをつつがなく過ごせている理由は、何事も「こんなものかなぁ」と受け止めるおうような性格にありそうだ。親の建てた三世帯住宅に独身時代から住んでいた夫のTさんはもともと会社の上司。そのTさんと結婚するのだから、「当然ここへ住むんだなぁ」と、二世帯同居も自然に受け入れていたとか。「子育てしながら仕事を続けたかったので、むしろありがたい環境だと思って」とWさんは言う。いっぽう、これまで嫁姑関係に大きなトラブルが起きていないのは、Wさんの性格だけではなく、姑である義母の存在も大きいそう。完全同居で10年近く姑に「仕える」よう暮らした経験のある義母が、「お嫁さんに同じ思いをさせたくない」と気遣いをしてくれているというのである。「一つ屋根の下での暮らしといっても、そんなにストレスはないんですよ。別々のフロアで生活しているので適度な距離感も保てますし、義理の両親はボランティアなどで忙しくしていますから。強いて言えば、階下に住んでいる義理の弟夫婦には、生活騒音で迷惑をかけないよう気をもみますが、休日は主人と子どもの3人で外出してしまうことが多いので、そもそも接点が少ないんですよ」そう聞くと、なんだか疎遠な同居にも思えるが、互いの家族の絆を維持するために、大切にしている行事があるという。「義理の両親は必ず家族の誕生会を開いてくれるんですが、そこでお義母さんが振る舞ってくれる手料理がとても楽しみで」同居に際しては「けじめ」として住居の賃貸借契約書を取り交わしているほか、光熱費は折半、通信回線や自動車関連の費用はすべて義父母負担という取り決めに。「どうしても経済的には義父母の負担のほうが大きいので、パソコンまわりのトラブル対応や、駅までの送迎という形でお返しをしていくよう心がけています」
2019年08月12日「二世帯同居」と聞くと、恨み骨髄の「嫁姑バトル」や、肩身の狭い「マスオさん」を想像してしまう人が多いが、そんなイメージはもう古い!親世帯にも子世帯にもメリット満載。「二世帯同居」で失敗しないコツを読者の実例から学ぼう!【ケース1】娘(43歳)× 母(75歳)の場合「保育園に入れなかったら仕事に戻れない。とりあえず私の親と同居してもらえる?」30歳で出産し、復職を目前に控えていたSさん(43)は、夫にこう告げた。当時住んでいた区で保育園に落ちてしまったのだ。「二世帯住宅で両親と暮らしていた祖母が他界し、家の1階が空き家に。そこへ『あなたたちどう?』と声をかけてもらったので渡りに船だったんです」夫は激しく抵抗したが、「小学校入学まで」という条件でしぶしぶ承諾。同居先の区で娘を保育園に入れることもできた。復職後はSさんの仕事が深夜まで及ぶこともあり、お迎えは両親と夫のローテーションに。「すると意外なことに、両親と夫の間にはいつの間にか強い絆が生まれてきたんです。きっと、3人だけに通じる育児の話題が多くなったからでしょう」そんなSさんが、二世帯同居を円滑にするための注意点として挙げるのがお金の問題。両親からは「お金はいらない」と言われたものの、夫婦で相談し、家賃・駐車場・子どもの食事代など、すべて込みで10万円を生活費として渡すことにしたという。さらにSさんは、お互いに不満をため込まないよう、生活ルールを小まめに見直してきたそう。「当初は夜まで子どもを預けることが多かったのですが、両親にとってもけっこう重労働だったようで、いつも疲れた顔をしていました。そこで両親と話し合い、遅くとも夜8時までにお迎えに行くことにしました」ほかにも、同じく育児中の姉のフォローもしてあげられるよう、休日には両親への頼み事をセーブしたり、誕生日やクリスマスといった行事を大切にするなど、気配りを欠かさないSさん。最近の課題は、両親から『階段がつらくなったのでフロアを交換したい』と申し出があったこと。「両親は家財道具が多いので、すんなりはいかないでしょう(笑)」長女はすでに中学2年生になるが、依然として同居は継続中。夫の口から家を出る話は一度も出ていない——。
2019年08月11日「二世帯同居」と聞くと、恨み骨髄の「嫁姑バトル」や、肩身の狭い「マスオさん」を想像してしまう人が多いが、そんなイメージはもう古い!親世帯にも子世帯にもメリット満載、令和時代の新しい「二世帯同居」のカタチとは?「近年では共働き夫婦の増加にともない、親世帯からのフォローを期待した『近居』や『二世帯同居』の割合が増えていますが、ひとつ屋根の下で大家族がわいわい暮らすといった、昭和の“べったり型”同居は、減ってきているという印象です」こう話すのは旭化成ホームズ株式会社の研究機関である二世帯住宅研究所の松本吉彦所長。ちなみに同社の主力商品である「ヘーベルハウス」が二世帯住宅の販売を開始したのは’75年のことで、「キッチンが2つある間取り」と定義している。「ひと昔前は、同居するとお嫁さんがいじめられたり、お婿さんの肩身が狭くなるという話がありましたが、最近同居を始めた方では、そうしたケースは少なくなっているようです。おそらく、現在の親世代には核家族の第一世代が多いので、子世帯を尊重する意識が強いのでしょう」時代の移り変わりによって変化が生じてきたのは、親世帯と子世帯の距離感だけではない。二世帯同居によるメリットも、やはり時代を反映したものになっている。子世帯のメリットとして代表的なのが「保育園の送迎」「夕食の準備」といった、親世帯による育児サポートだろう。「遠くに住む親世帯に育児をサポートしてもらっていたが、お互いのメリットを考えて二世帯同居に踏み切った、というケースも少なくありません」共働き家庭の割合が、専業主婦家庭の割合を上回る現在、働く女性がキャリアを継続していくうえで、親からの育児サポートは何ものにも代えがたい恩恵だといえる。いっぽう、本格的な超高齢社会を迎え、親世代にとっても二世帯同居のメリットは計り知れない。介護や生活面におけるサポートはもちろん、かわいい孫たちと日常的に触れ合える暮らしは、それこそプライスレスなものだ。さらに付け加えると、’15年に実施した初期の二世帯住宅居住者への調査では、二世帯同居が孫世代に与えた影響について、「1位・年配者と自然に話ができる」「2位・高齢者に優しい子に育つ」「3位・生活文化や習慣に関心を持つ」という結果も出ている。二世帯同居は親、子、孫の三世代にわたって大きなメリットをもたらしているのだ。こうして見ていくと、いいことずくめのように思える二世帯同居だが、やはり二世帯住宅というのは、気軽に手を出すには大きな買い物。同居がうまくいかない可能性も考えると、ちょっとしり込みしてしまう……。そんな方におススメなのが中古の二世帯住宅という選択肢だ。「二世帯住宅というのは、親世代が亡くなった時点で、どうしても一世代分の空きスペースが出てしまいます。お孫さんの世代が新たに住み始めるケースも多くありますが、売却というのも一つの選択肢です。当社では、’99年ごろから中古の自社物件の販売事業も手掛けていますが、きちんとメンテナンスされた中古の二世帯住宅はお買い得だと思いますよ」二世帯同居を考えている向きにはなんともうれしい情報だ。結婚、出産、育児や介護を経て親との別れ。変化するライフステージに「二世帯同居」を上手に取り入れていくのが、令和の時代の賢い暮らし方なのかもしれない。
2019年08月11日「近年では共働き夫婦の増加にともない、親世帯からのフォローを期待した『近居』や『二世帯同居』の割合が増えていますが、ひとつ屋根の下で大家族がわいわい暮らすといった、昭和の“べったり型”同居は、減ってきているという印象です」こう話すのは旭化成ホームズ株式会社の研究機関である二世帯住宅研究所の松本吉彦所長。ちなみに同社の主力商品である「ヘーベルハウス」が二世帯住宅の販売を開始したのは’75年のことで、「キッチンが2つある間取り」と定義している。松本所長によれば、’15年に実施した、初期の二世帯住宅居住者への調査では、「二世帯住宅にしてよかった」という回答が9割を超えていたそうだが、さらに翌’16年におこなった別の調査では、じつに興味深い結果が出たという。「玄関や生活スペースを別々にした、いわゆる“分離型”の二世帯住宅のほうが、親世帯と子世帯の会話の密度が濃くなっていたんです」(松本所長・以下同)親子二世帯での同居というと、生活スペースを共有する“べったり型”をまだまだイメージしがちだが、実際には、スープが冷めない程度の“適度な距離感”での同居を選択するケースも出てきているのだ。とはいえ、二世帯同居では必ず「元他人」という存在が生まれてしまう。そこから派生する、いわゆる「嫁姑バトル」や「マスオさん状態」を考えると、“適度な距離感”はそれほど簡単には保てないような気もするのだが……。「ひと昔前は、同居するとお嫁さんがいじめられたり、お婿さんの肩身が狭くなるという話がありましたが、最近同居を始めた方では、そうしたケースは少なくなっているようです。おそらく、現在の親世代には核家族の第一世代が多いので、子世帯を尊重する意識が強いのでしょう」さらに、ニーズの増加にともない、二世帯住宅自体が進化していることも、同居を成功させるための大きな要因になっている。二世帯住宅の構造は、主として「共用二世帯1階に共用玄関(世帯別に各階に分かれていく)」「独立二世帯(内階段型)」「独立二世帯(連棟型)」「独立二世帯(外階段型)」の4つのタイプに大別されるが、同居する両世帯の人数や年代、ライフスタイルに合わせたタイプの住宅を選ぶことで、より円滑な同居生活を送れるというわけだ。「ひと口に二世帯といっても、各家庭のニーズは異なります。たとえば、世帯ごとのプライバシーを重視するのであれば独立二世帯がいいでしょうし、将来的に親世帯の介護を視野に入れているなら、行き来のスムーズな共用二世帯にしておいたほうがあとあと便利でしょう。このように、それぞれの事情に合った住宅を選ぶことも、これからの二世帯同居には欠かせないポイントだと思います」
2019年08月10日二世帯が同居すると、いろいろなメリットが生まれます。ここでは、二世帯住宅にすることで大幅な節税対策もなる優遇税制について。小規模宅地の特例や固定資産税、不動産取得税などの減税の適用など、その仕組みとポイントを解説します。「土地の購入費がかからない」「子育てを親に協力してもらえる」「親の介護がしやすい」などのほか、税制面でも優遇されるのです。■ 1. 相続時の「小規模宅地の特例」で相続税評価額が最大8割安くなるmmm / PIXTA(ピクスタ)亡くなった人が事業または居住していた宅地等のうち、一定面積までの部分については相続税の課税価格として計算される額を一定のパーセンテージで減額する制度が「小規模宅地の特例」です。1-1 被相続人等の事業用に供されていた宅地等適用の条件は?適用の条件は次のようになります。a.貸付事業以外の事業用の宅地等特定事業用宅地等に該当する宅地等 は400平米を限度に 80%減額b.貸付事業用の宅地等【一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等】特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 は400平米を限度に 80%減額貸付事業用宅地等に該当する宅地等は 200平米を限度に 50%減額【一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等】貸付事業用宅地等に該当する宅地等は 200平米を限度に 50%減額【被相続人等の貸付事業用の宅地等】貸付事業用宅地等に該当する宅地等は 200平米を限度に 50%減額1-2 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等特定居住用宅地等に該当する宅地等は 330平米を限度に 80%減額となっています。詳しくは国税庁のホームページを参照してください。もし、二世帯が一緒に暮らしていたら、自宅にこの優遇税制が適用になります。つまり、自宅の土地の相続税評価額が最大8割安くなるのです。ただし、二世帯で居住している場合と、玄関を別にしている完全な二世帯住宅に住んでいる場合ですと、判断が異なりますので注意が必要です。「小規模宅地の特例」は建物には適用にならず、自ら申告をしなくてはならないので注意が必要です。■ 2. 二世帯住宅の場合に受けられる税制優遇措置maruco / PIXTA(ピクスタ)次に二世帯住宅の場合に受けられる優遇措置をご紹介します。この優遇税制を受けられるのは「壁やドアで構造上二世帯に仕切られていて、台所やバス、トイレなどが2つずつあって、利用上も独立している」二世帯住宅です。登記の方法には「共有」「区分登記」などがありますが、登記の形態に関係ありません。2-1 不動産取得税haku / PIXTA(ピクスタ)住宅の不動産取得税率は固定資産税評価額の3%ですが、要件を満たした新築住宅は建物価格から1,200万円(長期優良住宅は1,300万円)控除後、税率を乗じます。二世帯住宅を購入して構造上独立していると認められたならば2戸分の控除を受けられることができます。各戸の固定資産税評価額が3,000万円とすると3,000万円-1,200万円×2件分×3%=18万円/年となりますが、一世帯だと3,000万円-1,200万円×1件分×3%=54万円/年つまり36万円もの差があるのです。面積の要件があり、登記上の床面積が50平方メートル以上、240平方メートル以下であることが必要です。2-2 固定資産税土地の固定資産税に関しては、毎年1月1日に一定の要件を満たす住宅用地については、200平米までの部分を6分の1に評価額を減じて税率を乗じ、新築住宅については120平米まで、当初3年間固定資産税が半分になる特例があります。不動産所得税同様、これらの制度も二世帯住宅と認められると2戸分が適用になります。■ 3. まとめ写真AC二世帯が同居することで、小規模宅地の特例や固定資産税、不動産取得税などにおいて、減税の適用を受けられます。しかし、これらの優遇税制を受けるためには、土地や床面積の平米数の規定などの要件がありますので、確認すべきです。不安な人は税理士などの専門家に相談しましょう。
2019年07月03日家計相談でよく話題になるテーマの一つに「夫の小遣い」がありますが、〇万円が正解という考え方が難しい性質のものです。そのため、家庭の状況やご主人の置かれている状況を考慮して決める必要があります。 今回は子育て世帯の夫のお小遣いについて、新生銀行グループ『2018年サラリーマンのお小遣い調査結果』のデータを交えながら、お伝えします。 子育て世帯の小遣いは全体平均より少ない結果新生銀行グループ『2018年サラリーマンのお小遣い調査結果』によると、男性会社員のお小遣い月額の平均は39,836円でした。これは前年より2,408円の増加で2015年から3年連続の上昇となりました。 しかし、子どものいる世帯で見ると、未就学児のみいる世帯では月額26,477円、小学生のみいる世帯では月額35,059円と平均より低い結果となりました。理由としては、①子育て・教育費への家計への負担、②対象者の年齢が若く(子どもが大学生や社会人の親より若い)、比較的所得が少ないためと考えられます。 また、小遣いがダウンした要因を問う調査では、「子どもの教育費がかかるようになったから、増えたから」との回答は「給与が減ったから」「生活費に掛かるお金が増えたから」についで3位となりました。上記の金額や要因は言われなくても想像できる内容かもしれませんが、統計面からでも子育て世帯の小遣いは、平均より少ないことがご理解できたと思います。 小遣いの範囲は家庭や働き方等で変わる小遣いの平均を見て、夫の現在の小遣いが多いからといって早速減らそうとは思わないでください。なぜなら、夫の小遣いの範囲が家庭や働き方等で異なるからです。小遣いの範囲としてご家庭ごとの差が出やすいのは、主に以下の4点です。①昼食費が含まれているか(弁当持参、社員食堂、外食、などで費用に差が出やすいため)②仕事上の付き合いなどの費用は含まれているか(社内での飲み会、営業先・得意先の交際費も小遣いから出すかどうか)③ガソリン代や衣料費、身だしなみ費用等は含まれているか(生活費やその他の費用と分けられるものあるかどうか)④携帯電話や年会費等は含まれているかどうか(個人で利用しているものを小遣いから出すかどうか) ①~④をすべて小遣いから出す場合と出さない場合では、数万円程度変わるケースもあります。そのため小遣い制度を始める時や金額を見直すときはどの程度必要かを夫婦でしっかり話し合いをするようにしましょう。 ライフプランで必要な金額を設定してから決める方法も子育て世帯は、将来の教育費の準備や住宅ローンまたは家賃の支払いにと現在と将来に向けてお金を振り分ける必要がある場合がほとんどです。そのため、受け入れ難い人もいると思いますが、小遣いの金額設定は、以下のように考えられれば、現在と将来のバランスがとりやすいです。 小遣い=収入-(生活費+将来への貯蓄) 家計相談の際にお話しをお伺いすると、「収入―(生活費+小遣い)=将来への貯蓄」と考えている人も少なくなりませんが、将来への貯蓄がしっかりできていないと、お子さんの進学費用や自動車の買い替え・住宅のリフォーム・修繕等に借入をする可能性が出てきます。やむを得ない場合や予定と異なった場合には借入も必要かもしれませんが、あらかじめ準備できる場合は将来の貯蓄を固定化すると、まとまったお金が必要な場合にも対応がしやすくなります。 また、夫の小遣いを下げるのは、固定費の見直し(光熱費、通信費、住宅ローン、生命・損害保険等)をした上で、食費や日用品等の日々の節約でも無理な場合に取る手段と思います。家計のやりくりが厳しい場合にはやむを得ませんが、他にできることがないか考えてみることをお勧めします。 データ出典:新生銀行グループ『2018年サラリーマンのお小遣い調査結果』 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2019年06月08日二世帯住宅には3つのタイプがあるってご存知ですか。1.完全分離タイプ、2.部分共有タイプ、3.完全同居タイプの3つです。コストの高さは、1.完全分離>2.部分共有>3.完全同居、の順になります。経済的な事情もあってか、近年は二世帯住宅の依頼が多くなってきたと感じています。税金の優遇措置も整備されたということも一因としてあるでしょう。二世帯住宅といってもそのタイプはいくつかあり、家族同士の関わり方にも影響してくる大事なポイントになってきます。そこで今回は二世帯住宅の3つのタイプを詳しくご紹介していきたいと思います。■ 1.完全同居はにぎやかに楽しく暮らしたい方向きこのタイプはにぎやかに楽しく暮らしたい方に適したタイプです。ごはんも玄関もいっしょ、まさにひとつ屋根の下というスタイルです。kou / PIXTA(ピクスタ)特に近年では子世帯の夫婦両方が仕事をする場合が増え、親が孫の面倒を見たり、また親の介護、看病などの世話が必要な場合など、家族がお互いに助け合える関係をつくることができるパターンではないかと思います。■ 2.部分共有はほどよく距離を取りたい方向き部分共有はキッチン、リビングなど皆が使用する場所を決めて共有し、個室は分けるというパターンです。プライベートな部分と、相互のコミュニケーションという部分がある程度両立できることがこのパターンの特徴になるかと思います。cba / PIXTA(ピクスタ)皆で空間を使うということから、共有スペースを広く余裕ある大きさとすることになるでしょう。そうすることで通常よりも豊かな空間を創出できるメリットがあると思います。■ 3.完全分離は干渉し合わない距離感を設定したい方向き最後は親と子それぞれの世帯がはっきり分かれているタイプです。玄関も別々で、親と子各々の住居が合体しているイメージですね。この形態にする理由は、世帯間で干渉し合わないような距離感を設定するためです。千和 / PIXTA(ピクスタ)人によっては働き方などにより、生活時間帯にもある程度ずれがありますので、それらを解消するうえでは適していると思います。たとえば2階建てなのであれば、1階は親世帯、2階は子世帯というように世帯が住む階層を明快に分けるかたちがわかりやすいでしょう。■ 3つのパターンの建設コストの比較3つのタイプについては大まかに理解できたかと思いますが、プランニング以外に大きく比較対象となるのは建設コストです。大小をあらわすと、完全分離>部分共有>完全同居の順となります。完全分離パターンですとキッチンや水周り等を世帯ごとにそれぞれ設けないといけません。つまり家2軒分まるまる建てるのに近いため、それだけコストが発生します。反対に部分共有パターンではたとえば玄関や水まわりが共有であればその分はコストが削減されますし、完全同居パターンになってきますと個室以外は共有のスタイルとなるのでさらにコストが削減されます。しかしながら完全分離パターンは建物を運用していくことも視野に入れて考えると、将来的に親世帯の場所を賃貸として活用することが可能になります。実際そう考えて建設する人が多くなりました。いかがでしたか?二世帯住宅の基本タイプは3つですが、これからより多様な生活スタイルが生まれてくることが考えられます。時間の経過によって家族やライフスタイルも変化します。そのとき、家をどうしていくかを考えなくてはいけない時代になっている、ということをご計画の際はぜひ検討していただければと思います。
2019年05月13日小さな商店街の途中にある、3層から成る間口の狭い建物。ここは、設計事務所のアトリエ+二世帯住宅です。1階は建築家の清水貞博さん、松崎正寿さん、清水裕子さんの3人が共同で営む「atelierA5建築設計事務所」。2・3階には清水さん夫妻と中学生の長女、貞博さんの両親が二世帯で暮らしています。たくさんの要素が詰まった建物ですが、その敷地は間口が狭い31坪、さらに三方に隣家が迫った「うなぎの寝床」。「室内はさぞコンパクトなのでは?」と思いながらドアを開けると、そこには驚くほど明るく開放的な空間が広がっていたのです。■ RC造と木造でパブリックとプライベートを切り替える2つの世帯の住宅、そして事務所。3つのスペースが快適さとほどよい距離感を保っている秘密は、プランと構造の工夫にあります。1つが、1階のアトリエはRC造、その上に木造2階建ての住まいが載る混構造にしたこと。2階の住まいには、玄関からアトリエ隣の階段を上がってアクセスします。「2階から1階に下りてくるとスイッチが切り替わります」と裕子さん。コンクリート打ち放しのアトリエは両サイドの壁に扁平な柱が入った特殊な構造で、室内に柱や梁の出っ張りがないトンネル状の大空間を実現しています。■ 「外」を挟んで光と風を採り入れ、適度な距離感をつくる構造上、1階左右の壁に開口部は少ないですが、中央に中庭がありガラス越しに光が入るため、閉塞感はありません。この中庭を挟んで手前が打ち合わせ室、奥が設計室になっています。2階に上がると、中庭の上はグレーチング(金属の格子)を張ったテラスになっていて、テラスを挟んで道路側に親世帯、奥に子世帯のLDKをレイアウトしています。まるで路地を挟んで2軒の小さな家が建っているような佇まい。テラスは両世帯と階下のアトリエにも光と風をもたらし、世帯間のほどよい緩衝帯にもなっています。「上下で完全に分離した二世帯住宅は、ろくに顔も合わせない生活になりがちですよね」と貞博さん。テラスを挟むことで「おいしそうなものを食べてるなとか具合が悪そうだなとか、相手の様子がちらちら見えるぐらいがいいと思いました」と裕子さんが続けます。普段の暮らしは別々ですが、子世帯のダイニングで一緒に食事をすることもあるそう。こちらは親世帯のLDKからテラスを見たところ。長女が2階にひとりでいるときも、テラス越しに見守ってくれる祖父母の存在に安心できそうですね。■ 特殊な構造で室内がぐんと広く、伸びやかにもう一つの工夫が、住宅部分の構造です。周りに見える斜めの柱で建物を支えることで邪魔になる柱や壁をなくし、木造ながらここまで開放的な空間を叶えました。テラスに面して全面開口があるうえ、残り3面にも高窓があるので2階全体が半戸外のよう。バスルームは使う時間帯がずれるため、二世帯共有にすることでゆとりある広さを確保しました。正面のハイサイドライトや左手にある小さなテラス越しに入る光で、明るさも十分です。家具のようにシンプルで美しいキッチンは二世帯で同じデザインに。こちらは親世帯のキッチンです。■ プライベートスペースは広がりと落ち着きの空間にガラス張りの開放的な2階とは対照的に、寝室などプライベート空間を集約した3階はガルバリウム鋼板張りに。子世帯の3階にあるプライベートリビングは高い天井高を確保し、開口部を抑えて広がりと落ち着きを両立しています。子世帯の主寝室は、上に予備室のロフトを作ったため天井高を抑えてコンパクトに。正面に見える壁際の配管スペースをニッチとして活用しました。主寝室の隣は中学生の長女の部屋。トップライトから吹き抜け越しに光が注ぎ、コンパクトながら開放的です。寄棟状の屋根の形を表しにした親世帯の寝室は、伸びやかで気持ちのいい空間です。シャワールームを設ける案も検討したそうですが、清水さんの妹や弟一家が頻繁に泊まりにくるため、部屋の広さを優先しました。外部空間をうまく織り交ぜることで適度な距離を保ち、自然に気配を伝え合う住まい。職住近接に二世帯同居と、これからの暮らしを考えるヒントになりそうですね。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2018年3-4月号」を参考にしてみてくださいね。設計/清水貞博+松崎正寿+清水裕子(atelierA5建築設計事務所)撮影/桑田瑞穂住まいの設計2018年3-4月号豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「だって大好きなんだもん!猫と暮らす、犬と暮らす幸せな家のつくり方」 【第二特集】「家にも働いてもらおう!併用住宅と二世帯住宅」
2019年03月20日神奈川県横浜市に二世帯住宅を新築したHさん一家。長年マンション住まいだったご両親が庭のある暮らしを叶えるため実家のリフォームを計画していたところ、息子家族から同居の申し出を受け、二世帯住宅への建て替えを決めたのでした。建築家の岸本和彦さんに伝えた要望は、「互いの視線が合わないようにしたい」「音に気を使う上下の住み分けは避けたい」「リビングは庭に近い位置がいい」と、一見相いれないもの。それらを叶えるべく岸本さんが提案したのが、「人工の丘」のある庭を介するプランです。そんな二世帯をつないで仕切る「人工の丘」のある庭をご紹介いたしましょう。■ 丘の頂上とふもとに2世帯の縁側が向かい合うHさん宅を道路から見ると左右2棟をブリッジがつなぎ、その下をくぐるように石段のある上り坂が続いています。「奥はどうなっているんだろう?」と足を進めて振り返ると、目の前にはこんもりとなだらかな芝生の丘!この丘は基礎工事で出る残土を活用してつくられていて、頂上に子世帯の縁側、ふもとには親世帯の縁側が突き出しています。床のレベルも外壁の色も異なり、丘を挟んで2軒の家が建っているかのよう。高さと向きを変えているため正面に向かい合わず、お互いの視線は気になりません。こちらが丘を見上げる親世帯の1階。L字型の開口部を全開すると室内と庭が一体になる気持ちのいい空間です。■ サンルームと屋上テラスで室内外が一体に親世帯の屋上テラスから一段高い場所にあるのが、2世帯をつなぐブリッジです。内部はサンルームになっていて、子世帯の夫(息子)が趣味で集めた多肉植物や観葉植物がぎっしり!植物好きの母の血を引いて結婚前からコレクションしていたもので、このサンルームも設計の要望のひとつだったそう。子世帯の2階寝室からブリッジを見たところ。窓の外の左手に見えるのは、親世帯の屋上テラスです。庭に面した子世帯のリビングは、縁側と同じ高さのL字型のベンチに囲まれた落ち着けるスペースです。丘と開口部の高さを揃えるため基礎を高くし、玄関から1.5m上がった位置にLDKを設けています。庭の緑が眺められるアイランドキッチンは、大勢で囲めるサイズになっています。■ 表情が違う2つの庭が楽しめる!この配置とランドスケープがもたらしたのが、しっとりした半日陰の北の庭と、陽光あふれる南の庭という対照的な2つの庭。北側の庭はプライバシーを守る役割も果たしています。ガーデンデザインを手がけたのは、造園家の徳光充子さん。北側に道路がある敷地の場合、北側に建物、南側に庭を配置すると、せっかくの庭の緑も通りから見えませんが、親世帯と視線をずらすため子世帯側を半階持ち上げたことで、両者をつなぐブリッジの下に道路と庭をつなぐ通り道が生まれました。「両者をつなぐ風穴を介して、道行く人が『ちら見』したくなる庭にしたかった」と岸本さんが話せば、「2棟の間をすり抜ける気持ちのいい空気感が出せたらと思って施工しました」と徳光さん。2つの世帯を見守る庭は、時とともに自然の丘のようなたたずまいに変わっていくことでしょう。もっと詳しく見たい方は、ぜひ「住まいの設計2018年12月号」を参考にしてみてくださいね。設計/岸本和彦(acaa)撮影/伊藤美香子住まいの設計2018年12月号豊富な実例ときめ細やかな情報で快適・便利な住スタイルを提案。家作りの夢が広がる!住まいのお役立ちマガジン【巻頭特集】「だから選びました!ハウスメーカーで建てたこだわりの詰まった家」 【第二特集】「毎日緑に触れられる幸せ…ガーデンハウスで暮らそう!」
2019年02月21日煙突との出会いが始まりだった吉祥寺の賑やかな商店街から1歩入ると、そこは閑静な住宅街。以前は鍼灸院だった築20年程の3階建て鉄筋コンクリートの建物を、2世帯で暮らす戸建てにリノベーション。住人は店舗のディレクションや空間設計を手掛ける鈴木善雄さん、舞さんご家族と、舞さんのご両親の引田ターセンさん、かおりさんのご夫婦だ。「結婚した当初は、いつか古い物件を改装して暮らせたらなと考えていましたが、義父母からいい物件があるから一緒に住まないかという話をいただいて。訪れてみると、1階に暖炉のある住宅でした。煙突のある家なんて、東京ではなかなか建てられないけれど、ここならずっと自分が憧れていた薪ストーブも設置できるだろうと」そう語るのは、新木場で複合施設「CASICA」のディレクションを手掛ける鈴木善雄さん。1階はご両親の住居、2階はゲストルーム&作業場、3階を鈴木さんご家族の住居に。2世帯それぞれの、思い思いのリノベーションが始まった。ヨーロッパの古い照明に、日本の古道具の作業台など、年代を感じさせるインテリアが味わい深い3階。昨年11月、新木場にオープンした複合施設「CASICA」は100%LIFEでも掲載。「CASICA」「スタンダード トレード」にリノベーションを依頼。ホテルのように洗練されたシンプルで居心地のいい1階。古家具を独自に再構築鈴木さん家族が暮らす3階のフロアは、3LDKだった間取りを70㎡ほどのワンルームに変更。荒々しい古材を敷いた床に工業的なペンダントライト、日本の古い家具などがあしらわれた空間は、おふたりが手掛ける店舗の世界観のよう。「何風というのではなく、好きなものを選んで、縛られることなく構築したいんです。インダストリアルと和家具が合わないわけではないし、トルコのラグもあればアメリカのソファなど、国も色々とミックスしていいと思っています」。リノベーションは、善雄さんと大工仲間達とDIYで少しずつ着手していったそう。壁づけのキッチンは、和箪笥や小引き出しなどをパズルのようにはめこんだ棚に目を奪われる。「日本のものをどう現代的にアレンジするか、と常に考えています。畳からイスの生活になった今、和箪笥は床の上じゃなくてもいいですよね」。斬新なアイデアの溢れる空間を彩るのは、仕事の買い付けで見つけた古道具だったり、全国を車で旅する中で出会ったものだったり。愛着のあるものたちが、素朴な素材感が活かされた空間に味わいを加える。「キレイすぎると落ち着かないんです」と善雄さん。キッチンという境を設けず多様性のある空間にしたかった、という暮らしの中心にあるダイニングテーブルで。南北に開口があり光が通り抜ける。床には室内用ではないインドネシアのチーク材を張った。キッチンには、少しずつ集めた古家具などをパズルのようにはめ込み、独創的な棚をアレンジ。抜けのあるワンルームにスケルトンにした空間に、あえて1カ所仕切りを設けたのはアトリエ。「鉄加工ができる友人に頼んで、窓枠を作ってもらい、わざと錆びさせてガラスをはめ込みました」。現在は仕事部屋にしているが、保育園に通うお子さんがもう少し大きくなったら、いずれ子供部屋にする予定だそう。「壁は後からいくらでも作れるので、最低限に。ベッドルームにも仕切りは設けませんでした」。床と同じ古材を面材にして、壁一面に収納を設けたベッドルームは、サンルームからの明るい日差しで満たされる。「ここに暮らすようになって、グリーンを育てるのも楽しくなりました」。薪ストーブが鎮座するリビングで、家族で語らう暖かな時間も偲ばれる。「1階には両親がいることで、一緒に食事をしたり、息子を見てくれたり、たくさんの時間を共にするようになりました。仕事の話も夫も交えて色々と話せる関係なので、いつもたくさんの刺激をもらっています」と舞さん。LDKの一角に仕切りを設け、アトリエを設置。ガラスの窓を光が通過する。現在、仕事部屋にしているアトリエは、いずれは子供部屋にする予定だそう。リビングに隣接したベッドルーム。壁のように見えるよう、床と同じ素材で収納を設けた。南側のサンルームは植物がよく育つ。お子さんの遊び場にも。ESSE社の「THE IRONHEART」が置かれたリビング。クックオーブンなど機能も充実。チェーンソーと斧で薪割りをしているそう。北欧テイストの1階「早期リタイア後がこんなに充実するとは思っていませんでした」。と語るのは、舞さんのご両親、引田ターセンさんとかおりさん。人気のパン屋さんとギャラリーを営みつつ、2世帯での暮らしを楽しんでいる。140㎡ある1階は、3階と打って変わって、北欧テイストで統一されたシンプルでナチュラルな空間が広がる。「以前からおつきあいがあって、家具のデザインなどが好きだったスタンダードトレードさんにリノベーションをお願いしました」。薄い緑の混ざった珪藻土の壁、オークの天井や家具、麻混の絨毯の敷き詰められた床。穏やかで居心地のよい空気が流れる。「私たちが求めたのはやりすぎない、主張しないインテリア。和でも洋でもなじんで、ずっと使い続けられるテイストが好きなんです」。1階は床面積140㎡の広々空間。暖炉のある山小屋風の空間だったのを、北欧テイストに。コンクリートの冷たい躯体に、木とガラスで温もりを加えた。ハンス・J・ウェグナーのテーブル、フリッツ・ハンセンのイスなど、内装に合わせて家具もセレクト。吉祥寺で「ギャラリーフェブ」、パン屋さん「ダンディゾン」を営む、ターセンさんとかおりさん。普段はキッチンとリビングの間の空間で仕事をすることが多いそう。ワンルームを半オープンの仕切りと床の段差が緩やかに分ける。人の集まる居心地のいい家に鍼灸院だった南側のスペースは、外構の緑とルーバー状になったガラス窓から光が差し込む、明るいベッドルームに。暖炉のある広々としたLDKは、大人数でパーティーを開いたり、何人かで料理をしたりも可能な余裕のスペースを確保した。「婿の誕生日会には40人くらい集まりましたよ。キッチンはアイランドにシンクを入れるかどうか悩みましたが、オープンなキッチン台にして正解でした。お料理を運んだりするのを、みんなが手伝ってくれるんです」。一部分には仕切りを立てて、キッチン内すべてを見せないよう細かな計算も。「家は私たちにとって充電をするところ。明るくて風が通って、“ああ、家に帰りたい”と思えるような快適な場所にしておきたいですね」。その願いが結集した1階には、家族や友人たちが集まってくる。個性の違う2つのフロアのそれぞれの生活を、コンクリートの堅牢な建物が包み込んでいる。明るい日差しに包まれるベッドルームには、ウォークインクローゼットを設けた。ベッド脇のステップは、年を取った愛犬用。ベッドルームの入り口。ルーバー状になったガラス窓から光が差し込む。パーツにこだわり、イタリア製のグレーのタイルを貼ったバスルーム。微妙な陰影が奥行きを出す。余裕の幅を確保したキッチンでは、普段おふたり一緒に料理するそう。キッチン台の黒の面材がアクセントとなっている。パントリーにキッチンまわりのものを一括に。以前は勝手口だったところを塞いで、ガラスブロックを採用した。窓辺には、「ギャラリーフェブ」でもかかわりのある陶芸家・内田鋼一や、ガラス作家・イイノナホの作品を飾る。十字型のガラスをはめ込むようオーダーしたドア。玄関にあるイイノナホの照明がガラス越しに見えるのが、かおりさんのお気に入り。約100坪の敷地に建つ、鉄筋コンクリート3階建ての建物。元オーナーとは知り合いで、縁あってリノベーションが実現。
2019年02月18日”共働きの世帯数”が”夫が正社員・妻が無職”の世帯数を上回ったのは、今から21年前の平成9年以降だったそうです。妻の勤務形態がパートタイムのみならずフルタイムである世帯も珍しくなくなりました。そこで気になるのが”家事分担の実態”。“父親は働き、母親は家事というイメージのもと育ってきた世代”と”母親が働く姿を見て育った世代”では、大人になったときの家事分担の価値観は違ってくるものなのでしょうか?今回は、「世代別の家事分担」についてのお話です。■ フルタイム世帯の家事分担の実態株式会社「マクロミル」が調査した、“共働き夫婦の家事分担”。まずは、夫婦の就業状況を”世代別”に見ていきましょう。”共働き世帯”(フルタイム勤務、フルタイム勤務以外の合計)は、20代が46%、30代が52%、40代が61%と年代が上がるに連れて増加しています。また、共働きではない世帯は年代が上がるに連れ減少しており、夫婦のどちらかが“フルタイム以外”の形態で就業する家庭が増加している傾向がうかがえます。次に調査対象のうち、”夫婦ともにフルタイム勤務世帯”の家事分担上昇を見てみると……、家事を”妻がほとんど担う”と回答した世帯は約27%。”妻が主だが、夫も少し分担”が38%で、妻メイン家事を担っている家庭は全体の64%。”妻と夫で分担”とハッキリ回答できている世帯は31%という実態が明らかになりました。saki / PIXTA(ピクスタ)■ 家事分担比率の理想と現実”フルタイム世帯で家事分担できていると回答した世帯が31%”という結果は、筆者からするとそれほど悪くはない結果という印象を受けますが、実際はどう感じているのでしょうか?”理想”では、「夫50%:妻50%」と夫婦平等に分担したい人が4割でトップ。次いで「夫40%:妻60%」が2割、「夫30%:妻70%」が2割となりました。Yannamelissa / PIXTA(ピクスタ)反対に、”現実”を見てみると、最多は「夫10%:妻90%」が2割、次いで「夫20%:妻80%」も2割弱と、やはり家事をメインに担当するのは妻であることがわかります。そして、理想のトップに挙がった「夫50%:妻50%」を実現している夫婦はわずか1割程度。理想と現実の間には大きな開きがあることがわかりますね。ヒロシ / PIXTA(ピクスタ)■ 若い世代ほど家事分担をしている!家事分担の現実を見てみると、理想へたどり着くには程遠い……という印象を受けてしまいますが、家事分担の比率を”世代別”に焦点を当ててみると、大変興味深い結果が明るみになりました。”20代の家事分担の現実”を見てみると、「夫50:妻50」というアンケート対象者が理想としていた家事分担の比率の割合が他の世代よりも高い結果となりました。「夫40%:妻60%」の割合もこの世代は高く、さらに「夫10%:妻90%」の割合が、30代、40代のそれと比較すると最も低く、若い世代ほど家事分担は進み、妻に協力的である傾向であることがわかりました。Graphs / PIXTA(ピクスタ)共働き世帯の増加により、”家事分担”については結婚と同時に夫婦間で協議してきたであろう若い世代。家事分担が身近なテーマであるからこそ、家事に協力的なのかもしれませんね。大切なのは、家事分担の比率ではなくお互いを思いやる気持ちや行動であると感じますが、仮に家事分担の比率が50:50になれば、今以上に社会での女性の活躍が期待できそうですね。【参考】※2018年 共働き夫婦の家事分担調査(定量調査編)。若い夫婦ほど家事分担が進んでいることが明らかに(マクロミル調べ)-PRTIMES※共働き等世帯数の推移-内閣府男女共同参画局
2018年12月21日家事分担というのはどこの家庭においても、かなりデリケートな問題なのではないでしょうか。とくに二世帯住宅の場合、ひとつの屋根の下に、メインで切り盛りする司令塔が二人いるというのは、なかなか厄介なものです。筆者の二世帯住宅に住む知り合いには、それが原因で義母との仲が悪くなったという人もいるくらいです。逆に、二世帯住宅になったおかげで家事をひとりで全部しなくても良くなり、楽になったと言う人もいます。つまり、家事分担のやり方次第で生活の質そのものが良くも悪くもなるということなのでしょう。そこで、今回は「二世帯住宅での家事分担」について、うまくいっている人たちのリアルな声を集めてきました。■ 「共有スペースの掃除」は分担してする「トイレ、風呂、洗面所の掃除は私の仕事。リビング、キッチンの掃除は義母の仕事です」(30歳/フルタイム)naka / PIXTA(ピクスタ)それぞれの部屋は自分たちで掃除するのがが基本。それ以外の共同スペースは、はじめから割り振ってしまうという潔い試みです。TATSU / PIXTA(ピクスタ)しっかりと相談した上での取り決めならばトラブルも少なくなるでしょう。ただ、相手にお任せしている以上は、お互いに掃除のやり方や仕上がりに口を出さないことも大切です。■ 「ゴミ出し」は交代制で「ゴミ出しは親世帯と子世帯で月交代です」(35歳/パート)YNS / PIXTA(ピクスタ)ゴミ出しって、とくに二世帯住宅の場合、どこまで踏み込んでいいものかどうかというのもデリケートな部分だと思います。ゴミを集めてまとめるところから行うのか、それとも出すだけなのか――。ゴミを見られたくないという人もいると思いますので、決めるときにはそのあたりへの配慮も必要です。特にゴミが多くなる月というのは、ゴミ出し作業が普段よりも大変になります。その辺りも含め、全員が納得できる落とし所を見つけるようにしたいものです。■ 「料理」の担当はその都度相談して決める「昼は時間が合わないのでそれぞれですませます。朝はいつも義母が作ってくれます。夜は基本的に私ですが、仕事が遅かったり疲れてしまったりして作れないこともあるので、そういう時は義母にお任せ。相談しながら作っているので、コミュニケーションもとれて良いです」(33歳/フルタイム)プラナ / PIXTA(ピクスタ)筆者が二世帯住宅に住む友人たちにリサーチした限りでは、料理に関しては臨機応変に、けっこうアバウトなルール決めにしている家庭が多い印象を受けました。■ 町内会の仕事は家にいる人が行う「今は義父も義母も働いているので、町内会の役員の仕事は私が担当しています。以前は私と主人が働いていたけど、その時は義母の役目でした」(33歳/専業主婦)田舎の写真屋 / PIXTA(ピクスタ)定期的にまわってくるこのお役目。町内会役員の仕事というのは、平日の昼間の時間帯に行われることが多いので仕事をしているとキツいんですよね。家にいる人に頼れるのであれば、それが最善策なのではないでしょうか。いかがでしたか?二世帯住宅において、自分たちに合った家事分担のスタイルを見つけることは、“共同生活を上手く送るための秘訣”なのでしょう。今回の記事が、少しでもそれを見つけるための参考になればと思います。
2018年11月18日二世帯住宅には分離型と融合(共用)型がありますが、親世帯のどちらかが亡くなり、残された親も介護が必要となったら、融合型のほうが暮らしやすいようです。共用部が多い融合型の二世帯住宅における介護しやすい空間づくりについて紹介します。■ リビングの隣に母の自立した空間を配置親世帯の父のほうが亡くなり、残された母と子世帯とが暮らす二世帯住宅の例を考えてみましょう。千和 / PIXTA(ピクスタ)介護が必要といっても、ある程度のことは自分でできる軽度の認知症を発症し、デイサービスにも通う母とその息子夫婦というケースです。1階は共用のLDKと共用の浴室、そしてリビングの隣に母の部屋を、2階は子世帯の寝室と孫の個室を配置しています。maruco / PIXTA(ピクスタ)母の部屋には、トイレ、洗面所、洗濯室、納戸を設け、庭に面したところを縁側とし、洗濯物の干場にします。miya227 / PIXTA(ピクスタ)洗濯や掃除はこれまで毎日のように行ってきた母に、できるだけ自分の身の回りのことはひとりでやってもらうような環境としています。■ 「引き戸」を使ってゆるやかに閉じる母の部屋はリビングの隣にあることで、話し声や物音が伝わってきて人の気配が感じられるようになります。一緒に過ごしたいと思えばすぐに行けるし、休みたいと思えばすぐに部屋に戻ることができます。両方の間仕切りには引き戸を採用しています。pu- / PIXTA(ピクスタ)引き戸は開き戸に比べて、急に開いても人にぶつかることもなく、余計なスペースも必要ないので気軽に開け閉めできるのが特徴です。病気などで寝込んでしまっても、少しだけ隙間を開けておくと、母の呼ぶ声や行動がわかりやすくなります。完全に閉じるのではなく、ゆるやかに閉じることで人の気配が伝わるようになり、母のほうも不安なく過ごせるのです。■ 高齢者のための配慮と工夫母の部屋とリビングの床はできるだけ近い色調にしています。freeangle / PIXTA(ピクスタ)視力が衰えると、床の色が急に濃くなると、そこが段差だと勘違いしてしまうからです。ダイニングテーブルの定位置は母の部屋に近い位置にしています。リビングには母がくつろげるソファがあり、テレビを観ながら傾眠することもよくあります。リビングの外には庭があり、ソファに座ってゆっくり外を眺めています。polkadot / PIXTA(ピクスタ)キッチンは調理しながら母を見守ることができるよう、対面式キッチンにしています。■ 将来の「車椅子」利用も考慮しておくこともしリビングと母の部屋が少し離れた距離にある場合、歩きやすい幅や車椅子が直角に曲がるための有効開口は廊下・入口ともに80㎝以上となり、幅の広い建具にしておく必要があります。kou / PIXTA(ピクスタ)廊下を歩くということになれば手すりを設置することも想定し、あらかじめ下地を施しておくと良いでしょう。ヨシヒロ / PIXTA(ピクスタ)高齢になると人との付き合いも煩わしくなり、ひとりで過ごすことが多くなります。そのため家族が集まるリビング・ダイニングと母の部屋との距離は近いほうが良いように思われます。その場合、子世帯との距離を考え、孤立しない場所と閉じ込めない工夫が必要です。リビングや浴室など共有できるよう工夫し、空間を完全に分離せず、ほどよい世帯間の距離を保つことが大切だと考えられます。
2018年11月06日親と同居しようと思っている人の中には、二世帯住宅を建てる人が多くいます。それらの人たちには、やがて介護という現実と向き合うことになります。では、介護者とどのようにして家に住めばいいのでしょうか?そこで、気になる介護がしやす住まい「介護住宅」についてご紹介します。■ 同居の最も多い理由は「親の老後が心配だから」日本人の平均寿命が90歳に迫りそうな昨今ですが、すべての人の老後が明るいわけではありません。なぜなら、2025年には65歳以上の人の5人に1人は認知症を発症するという現実が立ちはだかっているからです。つまり、今は大丈夫でも10年後、介護している可能性は高いということです。親と別々に暮らしていた息子や娘が、再び親との同居を考える理由として最も多いのが、「親の老後が心配だから」というもの。Ushico / PIXTA(ピクスタ)特に片親だけになってしまった場合、同居の可能性はより高くなります。ちなみに、父一人または母一人という片親比率について旭化成ホームズが調べたところ、50代・60代では2割ほどですが、80代になると8割にも達します。また、親子同居経験者に限ると、じつに7割以上が介護を経験しているという調査結果もあります。■ 介護がしやすい「共用型」二世帯住宅親世帯と子世帯が同居となった場合、二世帯住宅を新築するという人も多くいます。二世帯住宅には独立型と共用型があります。独立型はキッチン、浴室、玄関などすべてが親世帯と子世帯とで別々になっている住宅です。千和 / PIXTA(ピクスタ)親世帯が元気なうちは互いのプライバシーが保ちやすい独立型がよいかもしれません。一方の共用型は、基本的な生活空間を共用し、サブキッチンやサブリビングなどのサブ空間を設けた住宅です。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)3階建住宅では、2階に共有のLDKをつくり、1階に親世帯、3階に子世帯の居室をつくることがよくあります。2階で互いに交流するよう、メインとサブの空間を使い分けています。老親の介護に向いているのは、共有部分が多い共用型二世帯住宅でしょう。共用型は食事を一緒にとったり、リビングでくつろいだりと親を常に見守りながら生活することができます。■ 「娘夫婦同居」と「息子夫婦同居」の違いは何?同じ同居でも娘夫婦と息子夫婦とでは親子関係がかなり違ってきます。息子夫婦同居の場合、嫁姑問題に配慮して独立型にすることが多いようです。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)娘夫婦の場合もそれなりに互いの立場を考えなければならないでしょう。息子夫婦同居の特徴として、親は子世帯のところへあまり行かないという傾向があります。これは、お嫁さんへの気遣いの表れでもあります。いざ介護することになっても親は自分たちだけで介護することが考えられますので、一人だけで介護しないよう、協力しあうことを心がけましょう。■ 主介護者の負担を軽くするルールづくり認知症を発症すると実の親子でも仲が悪くなったり、介護放棄したりするなど、これまでの関係が悪化することがあります。意外にも血縁関係のない夫や妻のほうが介護しやすいこともあるでしょう。認知症の初期には親も元気なのでよく動き、いろいろな問題を起こしやすいので、見守りや付き添いで主介護者は心身ともに疲れます。freeangle / PIXTA(ピクスタ)家族みんなが協力できるところは分担し、主介護者の負担を軽くするようルールを作ることも大切です。家事や見守りは子どもでもできる部分はたくさんあります。つむぎ / PIXTA(ピクスタ)介護で家族が一つにまとまるチャンスであると考えれば、協力は得られると思われます。■ 移動のスムーズさがカギ!介護がしやすい加齢配慮の二世帯住宅現在の住宅は家族の成長に合わせて、間仕切りや空間が変化しやすいよう設計されていることが多いといわれます。同じように、二世帯住宅を新築する場合、加齢による体力の変化にスムーズに応じられる住まいであることが重要です。介護で最も問題なのは移動で、想定すべきルートは3つあります。トイレへの移動リビングへの移動外への移動トイレの中では車椅子が回転できる広さを得るため、洗面と間仕切りを設けないワンルームにするなどの工夫が必要です。shizuka / PIXTA(ピクスタ)リビングは家族との団らんを楽しむ場であり、できるだけ一緒に過ごせるよう通行しやすいルートにします。外出のルートは、デイサービスや病院のほかに買い物や行楽に出かけやすいよう、玄関、階段、玄関アプローチに配慮が必要です。YNS / PIXTA(ピクスタ)これらのルートについては、車椅子でも通れる幅であることが大切です。段差や障害物をなくして、スムーズに通れるようにしておきましょう。介護住宅について、まだまだ個々の家庭で対処している状況ですが、親との同居やリフォームを考えている方は、ぜひ参考にしてください。【参考】※旭化成ホームズ 二世帯住宅研究所二世帯同居・この10年※旭化成ホームズ 二世帯住宅研究所親子同居スタイル・多様化の実態
2018年10月05日今では、マイホームの選択肢のひとつが二世帯住宅になっています。二世帯住宅を検討する際の心配事は、一緒に暮らし始めたはいいけど本当にうまくいくの?という暮らし方の悩みから、生活費や税金、相続などのお金のこと敷地活用や間取りのこと、介護や孫とのコミュニケーションなど、多岐にわたります。今回は、二世帯住宅の間取りの特長から考える住まいのコツや暮らし方まで、専門家から聞いた快適に過ごせる住まいの基本のコトを紹介!また、二世帯住宅を考える際によくあるお悩みについてもQ&Aで解説します。■ 間取りから学ぶ二世帯住宅の基本タイプ~特長と暮らし方のコツ二世帯住宅は、多くが親の家の建て替えと合わせたタイミングがいいようです。初めて二世帯住宅を考える方へ、間取りの特長や暮らし方のコツを基本から解説します。間取りから学ぶ二世帯住宅の基本タイプ~特長と暮らし方のコツ二世帯住宅の基本のタイプから間取り別メリットと注意点など、知っておきたい基本のコトを紹介。間取りから学ぶ二世帯住宅の基本タイプ《あわせて読みたい実例記事》>築80年の実家をリノベ。古材を生かして、快適な二世帯に【住まいの設計】>あたらしい「バリアフリーリノベ」【リライフプラスarchive】■ うまくいく二世帯住宅の建て方・暮らしの秘訣今は義理両親ともうまくいっているけれど、二世帯住宅にしたら本当にうまくいくの?建築家の米倉拓生さんに「うまくいく二世帯住宅の秘訣」をお聞きしました。うまくいく二世帯住宅の建て方・暮らしの秘訣【建築家米倉拓生さんに聞きました】二世帯住宅を建てる際には、気にするべきポイントがいくつかあります。娘夫婦、息子夫婦のどちらと同居するかでも建て方は変わるようです。うまくいく二世帯住宅の建て方・暮らしの秘訣《あわせて読みたい実例記事》>安心感と好きなインテリアを両立させた二世帯住宅【住まいの設計】■ ハウスメーカー業務経験者が語る!二世帯住宅を建てる前に抱えやすい悩みと解消ポイント二世帯住宅を建てる際、ハウスメーカーに依頼するケースが多くあります。ここでは、ハウスメーカーに5年勤めた経験のあるライターの川添さんに、二世帯住宅を建てる前に多くの人が抱えやすい悩みや不安、その解消ポイントをお聞きしました。ハウスメーカーで二世帯住宅を建てる前に起きる多い悩みと解決法多くの人が抱えやすい悩みや不安の解消ポイントを解説。ハウスメーカーで二世帯住宅を建てる前に起きる多い悩みと解決法二世帯住宅で義両親・夫側と妻側がうまくいくカタチとは?Q&A二世帯住宅を建てる前に、夫側、妻側どちらの義両親のどちらの場合でも、うまくいく「住まい」のあり方について確認しておきたい基本ポイントを解説。夫側、妻側どちらの義両親と住んでもうまくいく「住まい」のあり方《関連記事》>「二世帯住宅」ってどう?住んでから分かるメリット・デメリット>「お金、家事、介護…etc.「同居」の前に親と話し合って決めるべきこと《あわせて読みたい親とのコト》>親の介護ではいい嫁になるな!妻が「介護うつ」にならない方法6つ>約55%が相続先が未確定!「実家の相続」親子のホンネとは?>実家の片付けは親を監督兼助手にするとうまくいく!?【実践編】>2025年には5人に1人が認知症に!介護問題って何から始めればいい?>「実家」が汚すぎて片付けが無理…という人は必見!親も納得する整理術とは?
2018年10月05日二世帯住宅の設計には細やかな心配りが必要です。あらゆる方向から物事を見る必要があるからです。二世帯住宅を建てるには、何から始め、何を考え、何に気をつければよいのか……。二世帯住宅を建てる際に、事前の心得やプランニング、一緒に暮らす際のルール決めなど、気にするべきポイントがあります。今回は、建築家の米倉拓生さんに「うまくいく二世帯住宅の秘訣」をお聞きしました。Q.二世帯住宅を建てる前に心得ておきたいことは?A.二世帯住宅を建てる理由を明確にしましょう「高齢の親の面倒を見るため」「病気になったときに子どもがそばにいてくれたら安心だから」「共働きなので、子どもの面倒を見て欲しいから」「親はまだ若く元気だけれど、今ある土地を活用できるから」…など、二世帯住宅を建てるきっかけはさまざまあることでしょう。maroke / PIXTA(ピクスタ)ここで気にとめておきたいことは、親子間に「依存」があるかどうかです。前者の3例は親子間に依存関係が生じますし、後者の1つは個々に独立した関係にあるといえます。この違いによって、二世帯住宅の建物の形態が変わってくるのです。依存関係がなければ、玄関もキッチンも浴室もすべてを分ける完全分離型も成立しますが、子どもの面倒を親に見てもらいたいという場合、また親に介護が必要な場合は、つながりを重視したプランニングを提案します。「二世帯住宅を建てる理由」をあやふやにせず、しっかりと確認をしておくこと。これができてから家づくりにとりかかることをおすすめします。Q.二世帯住宅のプランニングで考慮したい点は?A-1.せっかくの二世帯です。つながりをつくりましょう「一部をつなげる」「共有スペースをつくる」……。この場合、どこをどのようにつなげるかがポイントになります。また共有スペースをつくろうという場合、両親、息子、嫁の立場でそれぞれ思惑があり、意見に食い違いが出るケースが多いのです。例えば、両親側は「孫の顔が見たいから共有スペースをできるだけ多くしたい」、息子は「キッチンを分ければいいだろう」、嫁は「行き来ができるドアだけ設けて、キッチンや浴室はしっかり分けたい」……などと家族間で考えがまちまちということです。しかし、せっかくの二世帯住宅です。マンションのような個別のつくりでは、血のつながった親子ですし、近くに住んでいる意味がありません。下の2点のスケッチのように、吹き抜けやテラスなどに「呼びかけ空間」をつくったらいかがでしょうか。さりげないコミュニケーションが自然にとれます。「ほどよい距離でほどよい交流」が二世帯住宅の理想です。建物をコの字型にし、中央に共有できるテラスを設けた。1階が親世帯、2階が子世帯となっており、テラスがあることで孫も行き来しやすくなる。またこのプランは、都市の密集地の場合にも光と風を取り込むことができる1階と2階のそれぞれにLDKのある分離した二世帯住宅。1階の一部に吹き抜け空間をつくり上下で呼びかけができるようにしたA-2.特に注意したいのは生活音の問題です1階に親世帯、2階に子世帯が配されるケースはよくありますが、やはり特に悩まされるのは「生活音」の問題ではないでしょうか。子どもが走り回る音が気になったり、親世帯が寝静まったあとに、遅く帰った子世帯のシャワーの音が響いたり、といったことが考えられます。このほか、テレビの音、キッチンで洗いものをするときの音、トイレの音、ドアの開け閉めの音なども「生活音」です。また、音楽を聴きたくても遠慮しなくてはいけないようなら困ったものです。プラナ / PIXTA(ピクスタ)対策としては、水回りの上には水回り、寝室の上には寝室と、同じ用途の居室を上下階で重ねること。寝室の上がDKであったりすれば、椅子を引く音なども気になるかもしれません。遮音性のある床材を張れば、ある程度の効果は期待できます。freeangle / PIXTA(ピクスタ)もうひとつの対策としては、2階に親世帯、1階に子世帯を配することで、前述のような音の問題はある程度解決できます。Q.息子夫婦と娘夫婦で建て方は変わりますか?A-1.娘夫婦との二世帯も増加。同居型も多いですね女性が嫁いで長男の家に入るという風潮は、時代の流れで変わりつつあります。よって、娘夫婦と暮らす二世帯住宅もここ近年増えてきました。母娘なら本音で話し合えて、不満があってもためなくてすみます。家づくりの段階でも、一緒に住みはじめてからもそれはいえるでしょう。「娘がそう言うならいいわ」と、歩みよれるのです。結果、同居型でもうまくいく場合が多いのです。こちらの娘夫婦と暮らす二世帯住宅の間取り図は、玄関、キッチン、浴室のすべてを共有している娘夫婦との同居型の一例。とても仲のいい家族なので、米倉さんはあえて「気配の感じる」プランを提案し、それが実現しました。1階のLDKの隣には両親の部屋がありますが、普段から扉を開けて生活しているとのこと。広い納戸を間に置くことで、ゆるやかに空間分けがなされています。この家族は仲がいいので、特に子世帯のご主人の居場所をつくっていませんが、一般的にはご主人が息抜きできるように、狭くても書斎などを設けるようにするとよいでしょう。A-2.息子夫婦と同居する場合、分離したほうが無難嫁姑の関係は、今も昔もさほど変わるものではなく、現実を見据えて言えば意思の疎通はなかなか難しいものです。気の合う義母と嫁の場合は別にして、完全分離型にするほうが気遣いは少なくてラクでしょう。ですが、前述したとおり、子どもの面倒を見て欲しいとか、介護の必要があるといったときには、同居型もありえます。この場合、ご主人が奥さんを理解してあげることが大事だと私は思います。こちらの間取り図は、玄関、浴室を共有し、キッチンを別々に設けた、息子夫婦と暮らすプランの一例。「浴室を一緒にしたのは使用する時間帯がずれていた点と、奥さまの性格によるところが大きい」と米倉さん。奥さまの温和な性格によりこうした共有箇所を設けたとのこと。東側の親世帯はドアを閉めれば独立した空間になり、それぞれの時間を過ごすことができます。また玄関の上を吹き抜けにして、来訪者があれば2階からも確認できるようにしています。次ページ>Q.二世帯の暮らしのルールはどのように決めたらいいのですか?Q.バリアフリーのほかに高齢者に配慮する点は何かありますか?Q.二世帯の場合、登記はどのようになるのですか?
2018年10月04日二世帯住宅は、多くが親の家の建て替えと合わせたタイミングがいいようです。初めて二世帯住宅を考える方へ、間取りの特長や暮らし方のコツを基本から解説します。特に都市部の子世帯にとっては土地代なしで家を持てるメリットが大きく、さらに子育ての協力も得やすいため、検討する人が増えています。また、将来的に相続がスムーズになる点も見逃せません。今では、マイホームの選択肢のひとつが二世帯住宅になっています。費用面の優遇、子育てや家事などで協力し合える……と、メリットもいろいろあるようです。■ 二世帯住宅は、数年先より10年先、20年先を視野に入れた計画を!二世帯住宅は、誰と住むのか、その関係性で設計プランが違ってきます。妻にとって夫の親と暮らす場合、独立タイプが賢明です。妻側の親だと同居で大丈夫と思いがちですが、自分たちの空間にサブ的なダイニングキッチンやご主人がくつろげるスペースがあると良いです。もし親を呼び寄せて二世帯を建てる場合は、親が寂しくならない配慮が大切です。子世帯と顔を合わせやすい間取りを考えたいもの。さらに長期的な視野も入れ、いずれ部屋が空いた際、どう使うのか。例えば、ある程度の広さがあり玄関が2つで水回りも独立していれば賃貸転用も可能になります。数年先より、10年先、20年先まで予想して二世帯住宅を建てることをオススメします。■ 知っておこう!二世帯住宅の基本タイプ基本タイプは3つ。分離型の独立タイプと一部共有の共用タイプ、同居に近いけど専用空間も充実させた融合タイプとなります。独立タイプ壁で仕切り、あるいは上下で分けて外階段をつけ、完全に生活空間を分離させたタイプ。玄関をはじめ水回りや食事空間も別で、言わばマンションの隣同士に近いイメージです。千和 / PIXTA(ピクスタ)メリット家族がすぐ近くにいる安心感を持ちつつ、プライバシーを保ちやすい2世帯それぞれの生活時間のリズムや習慣を崩さず暮らしやすいここに注意!壁や天井で完全に仕切り、玄関も設備も2軒分必要になるので、建築コストがアップ!共有タイプ玄関、浴室などの設備を一部共有しながら、お互いの生活ゾーンを分離させたタイプ。同じ玄関を入り、1階に親世帯、内階段を上がった2階に子世帯が住むパターンが一般的K.M.S.P. / PIXTA(ピクスタ)メリット適度にプライバシーが保たれ、お互いの空間への行き来もスムーズ玄関や水回りなどの設備を共有するぶん、建築コストが抑えられるここに注意!設備を共有で使うため、お互いの生活時間帯や動線を邪魔しない間取りの工夫が必要!融合タイプ基本的な生活空間を共有し、家事・育児や生活コストの効率化を図るタイプ。それぞれサブリビングやミニキッチンなど専用空間も設け、完全同居とならない間取りが特長K.M.S.P. / PIXTA(ピクスタ)メリット共有部分が多いので、3タイプのなかで最も建築コストを抑えられる専用空間があるため、同居に近くても適度にこもれてストレスをためにくいここに注意!全員が集まる場所と専用空間のメリハリをつけ、とくに義理の間柄でも居心地よくできる工夫が必要■ 間取りから学ぶ二世帯住宅共用タイプ共有の玄関からホームエレベーターで昇降。親世帯を日当たりのよい3階に!玄関共有の二世帯住宅。親世帯は日当たりのよい3階、共働きと学校で昼間は家を留守にしている子世帯は1・2階とし、お互いの暮らしを尊重する住まいを実現しています。3階への移動はホームエレベーターの活用でラクラク!ゆったりとした2階の子世帯LDKにも行き来しやすく、3世代での食事も楽しめます。ポイント1. エレベーターで親世帯のムリのない3階住まいが実現以下の写真は、3階建ての外観。玄関ポーチを広く取り、親が近所の人と気軽に会話を楽しみやすい工夫になっています。そして、3階を親世帯に充てられたのは、ホームエレベーターがあるから。重い荷物運びにも大助かりなのです。ポイント2. 子世帯のLDK はアイランドキッチンで広々と開放的!3世代でゆったりと食事や会話を楽しめる2階の子世帯LDK。アイランドキッチンは数人で囲みやすく、壁沿いの長いベンチで大人数のホームパーティもOK!(設計/設計事務所アーキプレイスプロデュース/OZONE家design撮影/大槻夏路)融合タイプ小さくても専用空間を確保し、玄関と水回りは共有で気配がよくわかる親世帯は山が望めるよう角度をつけた平屋、子世帯は2階建てとした二世帯住宅です。両世帯の間に共有の玄関と水回りを設け、高齢の親の気配を感じつつ、子世帯の専用空間も十分にキープしています。親世帯は広いワンルーム仕様で、動きやすさと見渡しのよさが特長です。ポイント1. ゆったりとして動きやすい水回り。着替えもスムーズ!水回りは広めの設計で動きやすく、壁と天井にはサワラの板を張ってまるで和風旅館のよう。洗面室兼脱衣室に設けたベンチで、高齢の親も着替えがスムーズにできます!玄関ホールから子世帯と親世帯が視界に。親世帯は引き戸とフィックス窓の設置で、出入りしやすく、見守りもしやすいポイント2. 庭のテラスは二世帯が出会う共有のリビング親世帯はキッチンから、子世帯はリビングからそれぞれ出られるデッキと石張りのテラス。二世帯が顔を合わせてくつろげる、庭と一体化した第2のリビングになっています。(設計/熊澤安子撮影/大槻夏路)独立タイプ家を挟む2つの接道を生かし、それぞれの玄関を建物の反対方向に設置。将来は賃貸への転用も可能!高低差のある敷地に建てられた二世帯住宅です。東西2方向の接道を利用し、玄関を世帯別に設置。1階を親世帯、2階を子世帯の完全分離型を実現。子世帯南側のデッキは孫たちの遊び場になっていて、ここから1階の親世帯の気配を感じられ、声をかけられる仕組みになっています。ポイント1. 仲はいいけれど玄関は別にして、適度な距離をキープ親世帯は平らな西側道路、子世帯は高低差のある東側道路から外階段でアクセス、と振り分けて適度な距離をキープ。将来的に賃貸への転用も可能なように、生活機能を完全に分離させた設計になっています。ポイント2. 親世帯の暮らしを思いやるアイデアと仕様をプラス2階バルコニーは1階親世帯の天窓とつながり、明かりが消えると就寝の合図。子世帯は静かにするよう配慮されています。子世帯の廊下は床下に防音シートを敷き、音漏れを軽減しています。(設計/中村高淑 撮影/中村風詩人)次ページ>親世帯に配慮した最新設備を取り入れましょう!二世帯住宅とお金のメリット実はお得がいっぱい!
2018年10月03日二世帯住宅を建てることになり、夫側、妻側どちらの義両親と一緒に住むかどうかでも、いろいろと悩みがあるようです。今回は二世帯住宅を建てる前に、夫側、妻側どちらの義両親のどちらの場合でも、うまくいく「住まい」のあり方について確認しておきたい基本ポイントをご紹介します。実際、義両親とは良好な関係だけど、二世帯住宅をきっかけに仲が悪くなってしまうのではないか?価値観がまったく合わずストレスになってしまうのではないか?など悩みは耐えないもの。上下階か左右で生活空間を分けたとしても、同じ屋根の下に暮らすのですから不安があるのは当たり前です。だからこそ事前に話し合うなどをして準備をしておくことが大切なのです。■ 二世帯住宅を建てるときに、「義両親・夫側」と「妻側」とで考えておく基本ポイントKY / PIXTA(ピクスタ)ここでは、二世帯住宅を建てることを決めたら、建てる前に事前に考えておきたいポイントを紹介します。1.夫、妻共通のまず考えておく基本ポイントQ.二世帯住宅をどのタイプにするか?千和 / PIXTA(ピクスタ)二世帯住宅のタイプは、「完全同居型」「部分同居型」「完全分離型」の3つがあります。まずはどのタイプの暮らし方にするのか話し合いましょう。今までの事例として、夫婦が完全分離を検討していたところ、それを聞いた義両親はあまり良い思いをしなかったということもありました。お互いの考えや価値観に相違がないか、しっかり確認が必要です。Q.もし部分同居型なら、どの部分を共用するのか?部分同居型は多く選ばれるタイプです。どこを共用するのか話し合いが必要です。例えば、玄関は共用にすることで、出掛けたり帰宅する様子をお互いに把握できます。K.M.S.P. / PIXTA(ピクスタ)それがゆえに生活スタイルや時間が異なることでストレスになったり、気を使って暮らしにくくならないのか、どこまで許容できるのかを考えておかないければいけません。Q.電気・ガス・水道のメーターは分けるのか?一緒にする場合は月々の支払いをどうするのか?CORA / PIXTA(ピクスタ)光熱費は毎月かかるもの。事前に検討しておかないと、あとで分けたいと思っても、かえって手間がかかってしまいます。費用面は特にシビアなものなので、必ず話し合いましょう。Q.義両親世代の寝室の上は収納にする?両親は遅くまで起きている方もいますが、早く寝る方が多いのではないでしょうか。そんな中、二世帯住宅では気になるのが音問題です。特に親が寝ている中、足音などに気を使うのも疲れてしまいますよね。間取りを検討する段階で、親の寝室の上はあまり物音を立てにくい収納スペースや書斎、もしくは寝室にするなど考えておくといいでしょう。スムース / PIXTA(ピクスタ)Q.一階と二階の廊下の行き来は開放するのか、それとも扉をつけるのか?イグのマスタ / PIXTA(ピクスタ)基本的に二世帯住宅は一階と二階が行き来できるようにしないといけません。ですが、あまりにも開放してしまうのは嫌だという方もいますし、その逆もしかりです。扉をつけるのか、または鍵もつけるのかなど小さなことですが、意外と大切なところでもあります。Q.相続問題は解決できているか?吉野秀宏 / PIXTA(ピクスタ)二世帯住宅で懸念されるのが兄弟(兄妹)問題です。土地の名義や建物の名義をどうするか兄弟(兄妹)を含めて話し合いをしておかないと、相続が争続に発展することも珍しくありません。二世帯住宅にする上で1番大切な話し合いといっても過言ではありません。1-1. 同居するのが夫の両親の場合考えておく基本ポイントxiangtao / PIXTA(ピクスタ)夫の両親と住むパターンで、やはり義両親と妻がうまくいかないことが多いです。しかし事前に考えておくことで、軽減されますので、準備しておきましょう。キッチンを共有するかどうかを話し合うYUMIK / PIXTA(ピクスタ)キッチンは女性にとって1番大切なスペースといっても過言ではありません。もしキッチン部分を共用するならば、どちらに合わせるのか確認が必要です。例えば、人それぞれ快適なキッチンの高さや広さは異なります。どちらが長くキッチンに立つか?など確認しましょう。またキッチンを別々にするとしても、キッチンにどのような設備を入れたいのか、一緒にショールームに行って確認しましょう。息子夫婦が資金をすべて支払う予定なのに、妻がある程度我慢して、義両親が良いキッチンにしていて、納得がいかなかったという事例もあります。収納部分をある程度決めておくチンク / PIXTA(ピクスタ)収納はいくらあっても多すぎることはないほど大切なスペースです。決められた土地の大きさの中、お部屋を確保しつつも、収納もしっかりと確保しなければいけません。もし収納を共用すると、どちらか世帯が知らずのうちに占領してしまうかもしれません。譲り合う部分も出てくるので、それぞれが納得のいくまで確認しておきましょう。せっかく新しく家を建てたのに、かえって不満が増えた、という風にはなりたくないですよね。子育ての方針などを話し合うucchie79 / PIXTA(ピクスタ)もし妻も働いており、子どもの面倒を四六時中見れない場合は、義両親の理解も必要です。「忙しくて夜ご飯を作ってあげられない」「送り迎えに行けないときがある」など協力してもらいたいときもありますよね。どうしても気を遣ってしまうところではあるので、事前にどの程度面倒見てもらえるのか、といったことについて話し合うかどうか夫に相談しておきましょう。1-2. 同居する義両親が妻側の場合考えておく基本ポイントEKAKI / PIXTA(ピクスタ)プライバシー空間を検討するどうしても妻側の夫婦との二世帯住宅となると、肩身が狭くなる人もいます。夫が快適に暮らせるように、プライベートな空間を検討すると良いでしょう。二世帯住宅を建てる時の資金についてローンは夫婦で組むこともありますが、夫が組むことが多いのではないでしょうか?家族とはいえ、費用についてはシビアに考える必要があります。息子(夫婦)がほとんどの費用を支払うのか、援助はどの程度してくれるのか?また、その費用の割合で、どこまで自分たちのしたいことなどを主張できるのかまで話し合えたら理想的です。■ うまくいく二世帯住宅事例から見た、親夫婦との生活と関係性xiangtao / PIXTA(ピクスタ)お互いの距離感をうまく保っている家族の生活スタイルでまったく同じスタイルの家族なんてひとつもありません。お互いに理解をして、遊びにきたいときはいつでも来ても良い、くらいのスタンスで干渉しすぎないことが二世帯住宅のうまくいくコツです。コミュニケーションを大切にする深く関わるのはお互いに負担が大きくなりますが、朝の挨拶や子どもの誕生日のときは集まるなどして、メリハリをつけてコミュニケーションをとることで良い関係を保つことができます。■ まとめEKAKI / PIXTA(ピクスタ)筆者はハウスメーカーでさまざまなご家族の住まいづくりをお手伝いさせていただきましたが、ひとくちに二世帯住宅といっても、どのご家族も同じ暮らしはありませんでした。ですが、それぞれに悩みや不安を抱えつつも、大切な家族との暮らしを守るためにお互いに理解しようと努力している人がほとんどのようです。話し合えばわかること、話し合ってもわからないこともありますが、不満を抱えているよりも、しっかりと話し合えている家族の方が結局はうまく暮らしていけるのかな、と感じました。これから二世帯住宅を検討される方は、ぜひ参考にしてみてください。
2018年09月30日家族のあり方も変化していき、最近では二世帯住宅も増えています。二世帯住宅が増えた理由は「女性の社会進出による子育ての変化」「親の介護」などさまざまです。それらを互いに支えるために二世帯住宅を検討する家族が増えました。しかし、義両親と住むことは必ずしもうまくいくわけではなく、悩みや不満を抱えているケースも多くあります。ハウスメーカーに5年勤めた経験から、二世帯住宅を建てる前に多くの人が抱えやすい悩みや不安、その解消ポイントを解説します。あわせて、うまくいくケース事例もご紹介。■ 義両親と同居、どんな暮らしになる?暮らし方が変わる二世帯住宅の種類千和 / PIXTA(ピクスタ)二世帯住宅における、義両親との暮らし方は以下の3つです。それぞれのメリットと実際の暮らしなどの本音も見てみましょう。完全同居型EKAKI / PIXTA(ピクスタ)個室以外、ほとんどの生活空間を共用するタイプです。コストはあまりかかりませんが、生活となると気を使う部分もあるそうです。部分同居型Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)玄関やキッチンなどの一部を共用しつつも、リビングなどは分けるタイプです。玄関などは、どの程度のスペースをお互いに使うのかを遠慮してしまいがちになるそうです。完全分離型千和 / PIXTA(ピクスタ)義両親との生活空間を完全に分けた暮らし方です。生活リズムがほとんど異なる義両親との生活ですから、完全に分離することで相手を気にせず済むようです。■ 二世帯住宅を建てる前、実際に多い悩みや不満U-taka / PIXTA(ピクスタ)1.光熱費の支払いの不満Naoaki / PIXTA(ピクスタ)家を建てると、ほとんどの方は住宅ローンを組むでしょう。月々の負担が増えるため、毎月支払う水道、ガスなどの光熱費についてもシビアになります。そんな中、二世帯住宅で義両親との共同生活において、光熱費について話し合えていなかったり、なかなか言えずにうやむやにしてしまったことで、不満が募っていくケースがあります。今後ずっと支払っていく光熱費ですから、事前に話し合うか、義両親であるがためになかなか言い出せない場合は、夫もしくは妻に相談して言ってもらいましょう。2.部分同居型にしたが、それに対する不満二世帯住宅では敷地が十分に確保できて、コストもかけられるのならば、完全分離型にしたい方が多いでしょう。ですが、なかなかそれが難しい方もおり、一部を共用スペースにします。多いのは玄関とキッチンと水回りです。YUMIK / PIXTA(ピクスタ)生活スタイルやリズムがそれぞれの世帯で異なりますから、どこを共用しても息の詰まるような気分になってしまうケースが多いです。例えば玄関を例に出すと、収納部分がどちらかの世帯の物で占領されてしまったり、または逆に占領してしまうことを気遣ってしまったりと快適に暮らせなくなる恐れがあります。言いにくいことでも、暮らしてから不満を抱いたり、もめ事が起きるよりも事前に確認しておく必要があります。3.建築費の支払いの割合freeangle / PIXTA(ピクスタ)どちらがどれだけ支払うか細かく話し合っていないパターンです。子世帯がほとんど支払うパターンや義両親が資金を一部援助するパターンもあるでしょう。支払いで不満が出る多くのパターンは、義両親が打ち合わせにて、知らず知らずのうちに最新設備を入れたり、窓を大きくしたり増やしていたりして、コストが上がっているパターンです。子世帯はそれを否定しにくいため、我慢してしまうケースが多いです。設備や建具など金額が増えそうな打ち合わせの際に一緒に打ち合わせをして、確認するのがオススメです。4.友人やママ友を呼ぶのに遠慮してしまうUshico / PIXTA(ピクスタ)自宅に頻繁に友人を招き入れる方は、話し声などの騒音で義両親に気を遣ってしまうケースがあります。二世帯住宅にしてからできなくなってしまっては不満が溜まってしまいますよね。こちらも一緒に住む以上、事前に理解してもらうことが必要です。5.義両親から干渉されてストレスを感じるFast&Slow / PIXTA(ピクスタ)いくら完全分離型の二世帯住宅にしても、一つ屋根の下に暮らしているわけですから、お互いの暮らしを監視しやすい面もあります。特に多いのが、子どもができてからの義両親からの干渉や口出しです。夫婦2人とも家を留守にしなければならないときなどは、すぐに頼めるので助かりますが、普段の暮らしも干渉されてしまうと不満の原因になってしまいます。直接言いにくかったら、遠慮せずに夫または妻に相談しましょう。■ 二世帯住宅で義両親と本当にうまくいくケース事例maroke / PIXTA(ピクスタ)ここで義両親との生活が成功したケースをいくつかご紹介します。1. 夫または妻がしっかりと仲介役になってくれる本当の親ではなく、さらにパートナーの両親には直接言いにくいこともたくさんあるでしょう。そんなときにしっかりと仲介役を引き受けてくれるパートナーだと、成功しているケースが多いです。2. どんなに仲が良くてもガスメーターは別々にしている義両親の理解もあり、事前にガスメーターを別々にする話し合いができている家族はあまりモメていません。3.共用されたら困る部分や、共用せざるを得なくなってもお互いのスペースを決める暮らし方は人それぞれですから、靴が大好きな人は玄関周りを占領してしまうでしょう。そういった譲れない部分は事前に伝えておく必要があります。4.家を建てるまでの打ち合わせは、一緒のときと別々の日を分けてするハウスメーカーで建てる場合は完成まで打ち合わせをします。毎回別々で打ち合わせをしていると知らない間に色々な設備を入れてしまったりすることもありますし、反対にいつも一緒だとそれぞれの本音を担当スタッフに言えないこともあります。スタッフに、分けたいときと一緒にしてほしい日などを事前に調整してもらいましょう。5.お金に関することを事前に話し合う費用はとても重要な部分です。どれだけ支払うのか、義両親が出してくれるのか納得するまで話し合いましょう。■ まとめYUMIK / PIXTA(ピクスタ)二世帯住宅の悩みや不満についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?事前に話し合うなど準備をしておかないと、どんなに仲の良い家族でも、もめ事に発展する恐れもあります。不満は少しのキッカケから生まれてくるものなので、それをお互いにスルーせず、お互いの快適な暮らしのためにも納得行くまで話し合いをしましょう。
2018年09月29日築80年の木造2階建てを二世帯住宅にリノベーションした石渡・中村邸。古い材を所々で生かしながら、家族5人が快適に暮らせるよう、驚きのアイデアがちりばめられています。改装したのは、かつて宮大工が手がけたという妻の実家。リノベーション費用は1265万円でした。1階は父と母の個室のほか、水回りとみんなが集えるリビングダイニングを配置。2階は娘夫婦とその長男のプライベートスペース、という間取りです。■ 南向きの縁側と日当たりのいいダイニングに家族全員が集うリノベーションを依頼されたショセット建築設計室の山川紋さん。1階北東にあったダイニングキッチンを、家の中で一番日当たりがよく、縁側がある南側に移動するプランを提案しました。縁側や建具など、以前の家の雰囲気を残しながらも、シンプルでモダンなテイストでまとめられたLDKは、家族全員が集まる場所です。床に座るタイプの低いダイニングテーブルは掘りごたつ式。脚を外して天板で蓋をすれば、フラットになる優れものです。大きな開口部が南を向いているため、明るく暖かいリビングとなりました。今回、予算の都合で外壁や庭には手を加えませんでした。一見すると昔ながらの普通のお宅ですね。玄関脇にあったトイレを別の場所に移動したことで、広くなった玄関。神棚も設置しました。右手奥には階段とその先に洗面室・浴室があるため、視線を遮れるようロールスクリーンを設置しています。■ 古材を上手に活用して、雰囲気のある「和モダン」な空間に!「宮大工が手がけた家ということで、とても立派なつくりだった」と山川さん。大きな柱や建具など、古い材の良さを生かしているのも今回のリノベの特徴です。こちらの写真は、リビングから玄関方向を見たところ。葦簀(よしず)を再利用してつくった建具の奥は、収納スペースです。葦簀が風を通すので、収納の中に湿気がこもらず快適。左手の扉の中には仏壇が収められています。リビングと縁側を仕切る建具や欄間は既存を利用。知り合いの建具屋さんに洗ってもらい、障子を貼り替えたらすっかりきれいになりました。キッチン横の柱につぎはぎのような跡が見えるのも、古材を再利用した証です。柱をそのまま残して、梁を補強することにしたため、柱にいくつか穴ができてしまいました。その穴に埋め木を施してあるのです。年月を経た柱のあめ色がいい雰囲気ですね。ちなみに、座って過ごすことの多い家族のため、床を中心に断熱材を入れたり、北側の窓は2重サッシにしたりと、温熱環境もしっかりと整えました。■ 刷新された水回りと、父母がそれぞれのんびり過ごせる個室構造上の問題で位置は変えられなかった洗面室とバスルームは、設備を一新して快適に。そのすぐ横に階段があるので、「遅く帰ったときでも家人に迷惑をかけずにお風呂に入れます」と夫は言います。母と娘がふたりで立てるようにと要望してできたオリジナルキッチン。キッチンの裏に部屋がある父がトイレに行くときの動線にもなるため、通路を広めに取ってあります。キッチンカウンターや吊り戸棚も造作しました。カウンターのリビング側には棚を設けて食器などを収納しています。1階の北側には父と母の個室を配置。着物のリメイクが趣味、という母の部屋には作業台を、北向きの父の部屋には大きなWICと小窓を設けました。階段が親世帯と子世帯の生活の場を分けている石渡・中村邸。階段の途中にある小さな収納が、いかにも昔ながらの家、という雰囲気です。■ 2階は10坪に3人が暮らすためのアイデアが満載!2階は中村さん親子3人が暮らすプライベートスペース。10坪(33平米)の広さしかなく、小さくてもキッチンやトイレ、子ども室もほしい、との要望だったため、山川さんは様々な工夫を凝らしました。階段を上るとそこは、親子3人のミニLDK。コンパクトなキッチンがあり、造作したダイニングテーブルは何と壁に収納できる折りたたみ式です。キッチン側からLDKを見るとこんな感じ。右手が夫婦の寝室、左手が子ども室となっています。引き戸で仕切っているので、開け放てば大きなワンルームに。奥には音楽鑑賞が趣味の妻のために、レコードが楽しめるスペースが設けられています。右手前にダイニングテーブルが折りたたんであるのも見えますね。寝室は空間を広く使えるよう畳敷きに。奥にはWICがあり、キッチン側に通り抜けできるようになっています。引き戸を開ければリビングの延長のように使え、寝転がってのんびりできるので「畳にしてよかった」と妻。ミニキッチンにはエレクトロラックス社の2口IH調理器を採用しました。窓に面しているので明るく、コンパクトながら心地よい空間となっています。階段横にあったトイレは位置をそのままに設備を一新しました。リビングには、折りたたまれたテーブルが(写真右手)。収納式にしたことで、使わないときは広々と使うことができるのがわかります。たくさんの作品が置いてあるのは、工作が大好きな長男の部屋。「いっそみんなで一緒に住んだらいいんじゃない?」という夫のひと言から始まった、二世帯住宅へのリノベーション。すぐそばに家族の気配を感じながら、3世代が仲よく暮らす家に生まれ変わりました。設計/ショセット建築設計室(山川紋、伊藤康行)撮影飯貝拓司【住まいの設計2017年7・8月号】
2018年04月11日完全分離型二世帯住宅を、自分達で設計しました。間取りのパターンによるメリット・デメリット、間取りを決める時にぜひ考慮して欲しいことなど、大切だと感じたことをまとめてみました。実際に住んでいる二世帯住宅の間取りも、すこし公開します。完全分離型二世帯住宅の間取りパターンわたし達夫婦は、完全分離型二世帯住宅を自分達で設計して建てました。一級建築士の資格を持っていても、それまで住宅の設計にはまったく縁がなかったわたし達。いろいろ試行錯誤しながら、設計を進めていきました。完全分離型二世帯住宅の間取りにも、いろいろなパターンが考えられます。上下分離型左右分離型よく想定されるのは、1つの建物を上下または左右で分ける方法でしょうか。その他には土地の広さや予算に余裕があれば、まったくの別棟で建てるという方法も考えられます。家は田舎で土地には余裕があったので別棟という案もありましたが、費用や維持のことなどいろいろ考慮した結果、最終的には親世帯は1階で子世帯は2階という上下分離型に近い間取りとなりました。上下分離型の間取りのメリット・デメリット住宅の設計において間取りは、住みやすさなどに直接影響するとても大切なもの。そして二世帯住宅の設計では、単独の世帯の住宅の設計する場合とは違った考え方も必要となりました。親世帯・子世帯それぞれの暮らし方が異なるため、間取りの点でも気をつけなければならないことがあります。まず二世帯住宅では、いずれ高齢者となる親世帯と住むことを配慮した間取りにすることが必要だと思いました。上下分離型では親世帯のスペースを1階に配置することができ、この点ではメリットになります。また各世帯の主たる部屋がワンフロアで完結するため、それぞれが平屋のような生活動線の短いコンパクトな間取りを実現することができます。逆に上下分離型では、2階の音が1階に伝わりやすいというデメリットもあります。親世帯と子世帯では、生活習慣に大きな違いが生じることもあります。入浴時間や就寝時間の違いなど生活時間帯の違いを考慮し、間取りに反映させることが大切だと感じました。二世帯住宅を建てたあとお互いに気持ちよく過ごせるように、間取りの決定には十分な配慮が必要です。上下分離型の間取り例では実際の我が家の間取りを、少しご紹介します。家は玄関ポーチを共有し、1階にそれぞれの玄関を設けました。子世帯が1階に設けたのは、玄関と納戸のみとなっています。玄関から階段を上ると、子世帯のLDKが広がります。2階に設けた、子世帯のLDK+子供部屋の間取りです。LDKの先には、もう1つの子供部屋・寝室・トイレ・浴室などを配置しました。このワンフロアの間取りは、子供は小さい時期こそメリットが多いと感じました。ドアを開ければLDKとひと続きの空間になる子供部屋の存在は、おもちゃの収納や幼稚園・学校の準備のために大活躍してくれています。さらになにかとお世話が必要な乳幼児期は、お風呂やトイレがワンフロアにあることが本当に便利でした。ほぼすべてがワンフロアで完結する間取りは、上下分離型の二世帯住宅だからこそ実現できたものだと思っています。まとめ二世帯住宅の設計には、間取りにおいても何かと制限や考慮しなければならない点が多くなります。そして二世帯住宅というと、何かとデメリットのイメージが先行することも多いと思います。実際に二世帯住宅を建てたと話すと、真っ先に「大変でしょう?」と聞かれることがとても多いです。でも二世帯住宅だからこそのメリットもあると、わたしは感じています。二世帯住宅を建てる方には、ぜひ1つでもメリットを感じることのできる二世帯住宅を建てて欲しいと思っています。ライター:usagi works1級建築士の夫婦が自分たちで設計した、こだわりの2世帯住宅に住んでいます。住まい・インテリア・収納など日々の暮らしを、ライブドア公式ブログ『usagi works』にて綴っています。ブログ:usagi works家購入の決め手や近居に関する人気記事⇒【メリット・デメリット】完全分離型二世帯住宅の費用は2倍!子育て面ではメリットも⇒【体験談】新築マンション購入の決め手は横長リビングの間取り!妥協点は日当たりでした⇒【体験談】妻の実家から徒歩8分の近居に家購入はメリットしかない
2018年03月08日完全分離型の二世帯住宅を建て、今まさに住んでいる筆者。メリットとデメリット、二世帯住宅を建てる前にぜひ考えておいて欲しいことなど。わたしが実体験にもとづいて、大切だと感じたことをまとめてみました。二世帯住宅を建てることになった経緯2010年に、二世帯住宅を建てました。結婚後は夫の実家から近い場所にアパートを借り、夫婦二人で生活していました。その後娘が生まれたことから幼稚園入園前に、そろそろマイホームをと考え始めました。夫は長男でいつかは家に入るものだと思っていたのを知っていたので、わたしもこの機会に夫の実家で暮らすことに同意しました。そして始まった、夫の両親との話し合い。夫の実家がちょうど建て替え時期だったこともあり、自然と二世帯住宅を新築する方向で話しは進んでいきました。二世帯住宅の形態一言で二世帯住宅とはいっても、その形態は様々です。・完全同居型:寝室などの個室以外を全て共有・部分共有型:玄関や浴室など一部の設備を共有・完全分離型:全く設備を共有しないわたし達夫婦は、同居の条件として完全分離型を提案しました。といっても実は、夫は玄関くらい共有してもいいと思っていたようですが。でもわたしは、中途半端に共有することでお互いに気を使うと考えていたため、完全分離型しか想定していませんでした。そんなふうに夫婦でも意見の違いがでるくらいなので、親世帯との話し合いは慎重に時間を掛けて行いました。お互いの譲れない部分を主張しあって、妥協点を探すことが大切だと思いました。費用は全て通常の2倍?完全分離型のメリット・デメリットお互いのプライバシーを保ちやすいことが、最大のメリットとなる完全分離型。そのデメリットは、やっぱりお金だと思います。家の費用の中で大きな比率を占める設備が、すべて通常の2倍。そしてやはり床面積も大きくなるので、基礎や屋根などの費用も大きくなります。費用が安くなることが二世帯住宅のメリットと考えていた場合は、注意したほうがいいかもしれません。二世帯住宅でどの形態を選ぶにしても、そのメリットとデメリットをよく理解したうえで、形態を選ぶことがとても大切だと思いました。どの形態を選ぶかで、その後の暮らしは大きく変わると思います。意外と忘れがちで大切な電気・ガス・水道・電話の分離そして、完全分離型の二世帯住宅の設計が始まりました。設計では間取りが決まると一安心してしまいがちですが、まだ忘れてはいけないポイントがあります。それが、電気・ガス・水道・電話などの分離です。間取りを分離してもそれらの設備を共有していると、毎月の光熱費を共有することになります。せっかく完全分離型を選んでも光熱費の請求が一緒だと、生活するうえでお互いに気を使うことになりかねません。もちろんメーターの設置費用や基本料金がそれぞれ掛かるなど、デメリットもありますのでそこでもよく検討が必要です。でも家が完成してしまってから分離することはなかなか難しい部分なので、十分な検討を設計段階でしておくべきだと思います。二世帯住宅に住んでみて、率直な感想二世帯住宅に住んで、約7年が経ちました。普段はお互い干渉しすぎず、それぞれの生活スタイルで生活できています。そして二世帯だからこそ、子供達は自然と親世帯と関わり見守られて大きくなっています。それも完全分離型のおかげと感じることも多く、完全分離型を選んで本当によかったと思っています。違う世帯が一緒に暮らす二世帯住宅は、通常のマイホームを建てる場合よりも考えなければいけないことがたくさんあります。気持ちよく一緒に暮らすことができるように、設計前に話し合いをたくさんしてお互いの考え方を伝えることがとても大切だと思います。これから二世帯住宅を建てる方の、参考にしていただけたら嬉しいです。ライター:usagi works1級建築士の夫婦が自分たちで設計した、こだわりの2世帯住宅に住んでいます。住まい・インテリア・収納など日々の暮らしを、ライブドア公式ブログ『usagi works』にて綴っています。ブログ:usagi works家購入の決め手や近居に関する人気記事⇒【体験談】新築マンション購入の決め手は横長リビングの間取り!妥協点は日当たりでした⇒【体験談】妻の実家から徒歩8分の近居に家購入はメリットしかない
2018年02月22日二世帯住宅の定義二世帯住宅と聞くと、おそらく「親世代と子世代が同居することのできる住宅」と想像されると思います。しかし正しくいえば、「長屋」と称されます(建築基準法)。長屋とは、1つの建物に独立した住戸が連なり、これらが「敷地の外に出られるような構造」を指します。一般的な長屋では、1階建てのものが多く、それぞれの住戸が直接道路に面するよう造られています。しかし二世帯住宅のような2階建てのものに至っては、専用の階段を設けて、外に出られるような構造をとります。これを「重層長屋」といいます。昔ながらのイメージがある長屋ですが、実は最近話題の「テラスハウス」なんかも、この長屋にあたります。二世帯住宅は、法律的な定義でいえば「重層長屋」と称しますが、建物の運用上、これを「二世帯住宅」と称しています。そんな二世帯住宅は、2種類に大別することができます。二世帯住宅の種類同居型完全同居型完全同居型は、キッチンやお風呂などの設備を共有する形のことをいいます。また設備のみにとどまらず、家計簿も一括管理するのが特徴的といえます。これにおけるメリットとしては、キッチンやお風呂などの設備を2つ用意する必要がないので、住宅取得費を安く抑えられることが挙げられます。しかし同時に、そこにプライバシーがないといったデメリットも存在します。部分同居型部分同居型は、キッチンやお風呂などを部分的に共有する形のことをいいます。完全同居型と比べ、まだ多少なりとも自由の効く点が特徴といえます。たとえば表札や郵便ポスト、玄関を別共有として、リビングなどそれ以外の部屋・設備は共有とする、などがこれにあたります。別居型完全分離型ともいえるでしょうか。それぞれの住空間を別に切り分ける形をいいます。そのため、プライバシーを保つことができます。居住自体は隣り合わせなので、いつでも顔を合わせることができます。近年、このスタイルの需要が高いです。また完全分離とまではいわずともリビングのみ共有するなど、別居型でも一部の居室をシェアするスタイルも、最近では需要が高いです。親世代(子世代)と応相談したうえで、建築士や担当営業マンと打ち合わせするようにしましょう。二世帯住宅のメリット・デメリットメリット・デメリット双方において、生活面や精神面においては上記でも挙げたように想像は容易です。ここでは、少し専門的なメリット・デメリットについてご紹介したいと思います。メリット税金を軽減できる【不動産取得税の場合】たとえば中古住宅を購入し、二世帯住宅にリフォームしたいとします。通常、物件を取得する場合には「不動産取得税」というものがかかります。もしこの物件が、床面積50㎡以上240㎡以下で居宅要件を満たす場合には、1,200万円が控除されます。しかし今回のような二世体住宅にリフォームする場合は、1,200万円ではなく、なんと『2,400万円』が控除されます。かなりおトクですね!【相続税の場合】二世帯住宅の場合、相続税の課税価格の計算の特例である「小規模宅地等の特例」の適用対象となります。これにより、被相続人が自己の名義の土地を同居している子が遺産分割を整えたうえで相続し、かつ相続税の申告期限までに居住と所有を継続するとこの特例が適用され、評価額を最大80%減額することができます。デメリット売却しにくい二世帯住宅は一般の住宅よりも特殊なため、どうしても売却が難しくなります。理由としては、「間取りが特殊な中古物件」であることが挙げられます。中古物件を求めている買手が、二世帯住宅を求めているとは限りませんし、一般の住宅と比べて間取りも特殊なので、通常より買手が見つかりにくいといえます。「二世帯住宅から一世帯住宅にリフォームする」といった考え方もありますが、もとよりリフォームによって設置した機能等を撤去することはこのうえなく、生産性がないといえるでしょう。これを行うには、膨大な費用がかかるためです。まとめ二世帯住宅におけるメリットは多くありますが、それに伴ったデメリットを無視することもできません。親世代・子世代ともにストレスのかからない生活を送るには、共有部分と専有部分とをしっかりと区別するなど、話し合いを重ねて居住スタイルを決めるのが良いでしょう。
2017年12月13日今や1,000万世帯を超えると言われている共働き世帯。「男は仕事、女は家事」という概念が主流だった時代は終わりを迎えようとしています。夫婦で共働きだと経済的な余裕が生まれますが、それぞれ別の収入源を持つことになるため、お金の管理方法も多様化する傾向にあります。「妻に一任している」という昔気質な人もいれば、「収入は別々で管理している」という人もいるでしょう。そこで今回は、パピマミ読者の共働き世帯に「お金の管理はどうしているか」という質問をしてみました!●共働き世帯に質問! お金の管理はどうしていますか?・1位:妻がすべてを管理……50%(91人)・2位:項目別に負担するものを決めている(夫は家賃、食費は妻など)……19%(34人)・3位:家計管理はしていない(なんとなく払っている)……9%(16人)・4位:夫がすべてを管理……8%(15人)・5位:夫婦で折半……6%(10人)・6位:二人の口座を作り一定額を入金(残りは個人のお金)……5%(9人)・7位:家賃や光熱費など共用部分のみ折半(残りは個人のお金)……3%(6人)※有効回答者数:181人/集計期間:2016年7月12日〜2016年7月14日(パピマミ調べ)●妻がお金を管理している世帯が一番多い結果に『うちは妻に一括管理してもらっています。どちらか一方が管理した方が全体を把握しやすく無駄が少なくなるから 』(30代男性/営業)『夫は別々がいいと言っていたけど、どうせろくなことに使わないだろうから一括で管理させてもらってます。毎月お小遣いを渡していますが、いまだに夫は不服そうです笑』(20代女性/接客)共働き世帯の半数が妻にお金の管理をしてもらっているようです。女性は男性に比べて節約上手な人が多いので、自然とお金の管理を一任されやすいのかもしれません。また、家計の全体像を把握したいために自ら志願する女性も少なくないようです。それぞれの収入を一括で管理すると、支出や貯蓄の状況が一目で分かるため、無駄使いを減らしたりお小遣いの金額を適切に設定できたりといったメリットがありますね。計画的に管理しやすい特性から、とくに子育て世帯に向いている管理方法かもしれません。●2位:項目別に負担するものを決めている世帯は2割『わが家は財布を別々にしていますが、夫婦間で収入の差が大きいので、夫が家賃と光熱費を払い、私が食費と娯楽費を払っているという感じです。余ったお金はそれぞれ好きに使っています』(30代女性/広告)『結婚する前に「それぞれ毎月○万円貯金しよう」と約束したのですが、収入の少ない妻にとっては不利な制度なので、なるべく負担の比率が同じになるように工夫しています。家や車のローン、主な生活費は私が持ち、その他の細々としたものは妻にお願いしています』(40代男性/公務員)費用項目別に分担して負担しているという世帯は約2割という結果になりました。全体的に収入に差のある夫婦に多く見られる管理方法のようです。収入の多い方が家賃や光熱費などの固定料金を支払い、少ない方が日用品や食費を担当するというケースが多く見られました。この管理方法のメリットには、収入のバランスに合わせて負担する金額を柔軟に変えられる ことや、自分の収入を自分で管理できることが挙げられます。自分の負担分を出せばあとは自由に使えるので、一括で管理するよりもお互いの不満が生まれにくい方法だといえます。しかし、財布を別々にしていることから家計の全体像が見えづらく、計画的な貯蓄にはあまり向いていないかもしれません。子どもがいる家庭がこれを採用する場合は、二人の毎月の貯金額をきちんと設定しておく必要があるでしょう。●家計管理をしていない家庭も1割いる『家賃は必ず折半!とか毎月これぐらい貯金しよう!とかキッチリ決めてません。一応折半みたいな形にはなってますけど、大体僕の方が少し多く払っていますし、明確なルールみたいなものはありません』(20代男性/建築関係)『うちは夫が一旦すべての費用を払って、あとから「これぐらいちょうだい」と請求されるので、その分を渡しています。きっちり家計管理とかはしてません』(20代女性/美容師)意外にも家計管理をしていない世帯は1割近くもいるようです。これは 信頼関係あっての管理方法 ですね。どちらかに負担が偏って不満が募りやすい方法ですから、よっぽど関係性がよくないとできないでしょう。また、支出した額が不透明なため、計画的な貯金にも不向きです。とはいえ、人によってはきっちりルールを設けられるのが嫌という場合もあるので、そういう人同士であれば良い選択なのかもしれません。----------いかがでしたか?共働きだと収入が増えて貯金しやすいように思えますが、財布を別にすることで浪費が増えてなかなか貯金できないというケースも多いといいます。自分たちに適した方法でお金を管理するようにしたいですね。【参考リンク】・【アンケート結果(1位〜7位)】共働き世帯に質問! お金の管理はどうしていますか?()●文/パピマミ編集部
2016年07月15日日本生活協同組合連合会は3月17日、「生協組合員の世帯負担消費税額」の調査結果を発表した。対象は34生協585世帯(給与所得世帯が349世帯、年金世帯が211世帯)。期間は2015年1月~12月。○生協組合員の世帯負担消費税額、1世帯あたり年間平均25万6,267円2015年の年間消費税額は、1世帯あたり平均25万6,267円となり、2014年の平均24万893円から1万5,374円増加した。消費支出に占める割合は5.76%、収入に占める割合は3.83%となった。さらに、世帯別の負担率では「年金世帯」が4.94%、「給与世帯」が3.49%となり、「年金世帯」の負担率が「給与世帯」を上回った。所得階層別の消費税負担額は、最多の「1,000万円以上」世帯が42万674円。次いで、「800万~900万円台」世帯が30万3,222円、「600~700万円台」世帯が27万3,069円。以降「400万~500万円台」世帯が21万4,495円、「400万円未満」世帯が16万8,660円と続いた。収入に占める消費税負担の割合をみると、「年収400万円未満」世帯が5.44%で最多に。最も低かった「年収1,000万円以上」世帯の3.12%と比較すると、1.74倍となった。
2016年03月22日日本の世帯数が約5,000万世帯として、資産1億円以上の富裕層は100万世帯。そんななか、「お金持ちになりたいけれど、上位2%には入れるわけがない」とあきらめてはいないでしょうか?『使えば使うほどお金が増えるお金の使い方』(中桐啓貴著、ワニブックス)の著者は、会社員時代から経営者になった現在まで、富裕層を中心とした顧客に資産運用のアドバイスを行ってきたファイナンシャル・プランナー(FP)。たくさんのお金持ちのお金の使い方を目の当たりにしてきた人物です。著者によれば、ほとんどのお金持ちはただ“お金を生むお金の使い方”をしていた結果、お金持ちになったというのです。さっそく本書から、“1代でお金持ちになる人”が守っている8つの絶対ルールをチェックしましょう。■1:お金を増やす「習慣」をつける著者は、多くのお金持ちは“お金を増やすためにお金を使う”ことが習慣になっているといいます。問題はその使い方。無理のない金額を賢く使っていくことで、お金はどんどん増えるもの。使うことを恐れてはいけないのです。■2:今の預金残高は気にしない著者のクライアントはほとんどが富裕層ですが、みな若いころはお金がなかったという人ばかりだそう。むしろお金がない経験をしているからこそ、新しいアイデアを生む力が身につき、弱い立場の人の気持ちがわかるようになるのだと著者はいいます。お金がないということは、将来お金持ちになるためのステップなのです。■3:お金がないうちから貯蓄をがんばりすぎない著者は「過度な貯蓄はおススメしません」といい切ります。支出をギリギリに抑えて貯金するよりも、自分の価値を高めるために使うことの方が大事。少額でも、自分の専門性や人間関係の充実のためにお金を使えば、やがてほかの誰にもできないモノを生み出すことができ、収入も増えるという考え方。お金を貯めるのはその後で大丈夫なのです。■4:自分のお金で社会の変化を感じる社会はものすごいスピードで変化しているもの。変化を感じることは、自分自身の価値を高める助けになります。海外などへ出かけて見聞を広めるのもそのひとつ。著者自身、創業後すぐのお金がない頃から身銭を切ってアメリカに毎年視察に行き、いまではアメリカの事情に詳しいFPとして業界でも知られるようになったそう。■5:月収の5%は自己投資するお金を生むお金の使い方といえば投資が浮かびますが、著者にいわせれば、金融商品や不動産よりも効果が高いのは“自分自身への投資”。お金持ちには、若いころから収入の5~10%を自己投資に向けていた人が多いとのこと。収入アップに結びつけたいなら、あまりマニアックすぎないものがベター。中国語やスペイン語など使う人の多い言語を学ぶ、汎用性の高いパソコンスキルを身につける、などです。■6:目標をわかりやすく言い換える著者が考えるお金持ちとは「お金を稼ぐ力がある人」のこと。漠然と「お金持ちになりたい」と考えるより、「自分の価値を高めてお金を稼ぐ力を身につけよう」と考えた方が現実的です。いわゆる富裕層とは資産1億円以上の人。だいたい年収1,500万円を超えれば、資産1億円が見えてくるそう。お金持ちになる=年収1,500万円以上稼ぐためのスキルを身につけること。すると、お金持ちになるためにはどうすべきかが具体的に見えてきます。■7:自分に還ってくる「生き金」を見極めるお金には「生き金」と「死に金」がある、と著者。生き金とは、自分に還ってくるお金の使い方です。生き金になる使い方の目安は、「仕事の専門性を高められるか」、「人間性を高められるか」。そして「人間関係を構築できるか」、「ワンランク上の体験ができるか」、「モチベーションアップにつながるか」。1つめと2つめは文句なしの生き金ですが、あとの3つは、やりすぎたり使い方を間違えるとただの浪費(=死に金)になってしまうので注意が必要。見極めるには、将来どんなかたちで自分に還ってくるかをイメージすることが大切です。■8:浪費を「投資的」に使うお金持ちほど、浪費を投資に変えるのがうまいと著者はいいます。たとえば贅沢なランチを食べに行ったとして、「あ~、おいしかった」で終わってしまったら浪費ですが、そこに目指すスキルを身につけた先輩を誘って話を聞いたり、ランチの経験からアイデアを得れば、それは投資になります。浪費はなかなか減らせないもの。投資的に使えないかという視点を持つことが、お金持ちになるお金の使い方のポイントです。*「攻撃は最大の防御」という言葉がありますが、お金についても同じことがいえます。貯めるためには、稼ぐこと。そのためには積極的に使うことが有効。数多くのお金持ちを見てきた著者の考え方は一貫していて、説得力があります。8つのルールのうち、納得できたもの、実践できるものから取り入れていけば、“お金が増えるお金の使い方”を実感できるのではないでしょうか。(文/よりみちこ) 【参考】※中桐啓貴著(2016)『使えば使うほどお金が増えるお金の使い方』ワニブックス
2016年03月19日