2010年に宝塚歌劇団で日本初演され、大ヒットしたフランス産のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』。シェイクスピアの悲恋の名作を、アクロバティックな激しいダンスと印象的な音楽で、若さと愛と情熱をロックに乗せて描き出した。2011年と2013年には、小池修一郎の潤色・演出により日本オリジナルバージョンを上演。鉄骨組みの舞台セット、クラシカルモダンなデザインの衣裳、そして、ロミオたちに影のように寄り添う妖しく美しい“死”のダンサーなど、物語をさらにドラマチックに彩る演出が大きな話題を呼んだ。ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」チケット情報今回、4年ぶりに新キャスト、新バージョンでの上演が決定。オーディションにより、ほぼ全配役が新たになる中、前回と同じロミオ役を続投するのが、古川雄大。「今はどんな作品に出来上がるんだろうと、すごく楽しみです」と語る彼が、稽古開始直後に来阪、再挑戦となる作品への意気込みを語った。「新演出で衣裳も変わり、舞台セットも違うし、キャストも一新。台本も少し変わるらしいので、新作のつもりでやっています」と古川。時代は近未来となるらしい。「『エリザベート』のルドルフから、いきなりロミオという重みがのしかかってきた感じ」だった前回。「歌の技術が劣っていて、悔しい思いもしました。だから、もう一回やりたいとずっと思っていたので、今回はリベンジです」。衣裳では色、ダンスではスタイルの違う振付で、対立するそれぞれの家などを表現。「ロミオのモンタギュー家は、ヒップホップ系のダンス。僕はほぼ初めてですが、踊ることは好きなので大丈夫です」。古川の恋愛観は「恋愛に真剣になったら、仕事したくないとかって思っちゃうタイプだと思います。だから、周りが見えなくなったりするロミオの気持ちは少しわかります」。その大恋愛の末に死んで結ばれる役。毎日演じ続けて、どんな気持ち?「幸せの最高潮と地獄の絶望の幅がすごくて、精神的に大変でした。気分が落ちてしまうので、ダウンタウンとかさまぁ~ずのDVDを何回も見て、笑って忘れてました(笑)。で、次の日、頑張って気持ちを上げる。毎回、新鮮に純粋に反応したいというのがモットーなので、一度気持ちをフラットに戻してから臨みたいと思っていて。今回も続けます(笑)」。Wキャストでロミオを演じる大野拓朗とは、『エリザベート』のルドルフ役でもトリプルキャストで一緒だった。「仲いいです。一緒に頑張ろうという感じ。でも、もし、大野くんの舞台と僕のと迷って1回しか観れないなら、僕の方を観に来てほしいけど(笑)。今回は、この作品に賭けたい、ロミオとして思いっきり生きて、ロミオを演じ切りたいという気持ちなので、楽しみにしていてください」。ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』は、1月15日(日)から2月14日(火)まで東京・TBS赤坂ACTシアター、2月22日(水)から3月5日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:高橋晴代
2016年12月21日1992年にウィーンで初演され、日本でも1996年の宝塚歌劇団での初演以来、幾度となく上演を繰り返しているミュージカル『エリザベート』。宝塚歌劇団だけで9度、ほかに東宝製作の男女混合ミュージカルとしても上演を重ねている大ヒット作だ。この『エリザベート』の日本初演20周年を記念し、宝塚版の歴代キャストが集結、『エリザベートTAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート』が年末から年明けにかけて上演される。11月4日、その制作発表会見が都内にて開催された。エリザベート TAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート チケット情報『エリザベート』は、ハプスブルク家の滅亡の時代に生きた美貌の皇后エリザベートの生涯を軸に、架空の存在・トート(死)と皇后の愛憎を描く作品。歴代のトップスター9名が顔を揃え壮観な会見となったが、それでも、主役のトートとエリザベートを演じるキャストの一部のみ。公演には総勢25名の元トップスターが出演する。『エリザベート』という作品が宝塚で深く愛され、大切に上演を重ねているからこその、今回のこの豪華なガラ・コンサートの上演なのだろう。会見で流れた、過去9回の『エリザベート』のダイジェスト映像を見て、演出の小池修一郎も「それぞれが自分たちの青春、宝塚歌劇団での男役人生・女役人生すべてを燃焼させてこの公演をやってくれたんだな、その積み重ねで20周年に繋がったんだなと改めて思いました」としみじみ。さらに今回の公演については「若き日の青春の情熱とは違うものになるかもしれませんが、演技経験や人生経験を加え、厚みのある『エリザベート』になるのではと期待しています」と語った。今回の公演は1996年雪組初演メンバーによる<モニュメントバージョン>、扮装でのコンサート形式<フルコスチュームバージョン>、歴代出演者が競演する<アニヴァーサリーバージョン>の3バージョンで上演される。初演の雪組公演でトートを演じた一路真輝は、「今、初演の記者会見を思い出していました。トートの扮装をして出て来ましたら、「宝塚の男役トップスターが死神をやるのか」という、皆さま(記者)からの、恐ろしいほどの殺気を感じました(笑)。命がけで『エリザベート』という作品を、雪組全員で作ったことをしみじみと思い出します。20年経った今、愛される『エリザベート』になったこと、本当に嬉しく思います」と挨拶を。ほか、「初演の雪組公演が素晴らしく、プレッシャーに耐えられず辛かったが、あの時にトートを演じさせて頂いて本当に良かった」(麻路)、「試練がまたやってきました」(姿月)、「当時は毎日(プレッシャーに)押しつぶされ、必死で立っていた」(春野)等、口々に当時の思いや、作品への思いを語った出演者たち。また、9月に退団したばかりの元月組トップスター・龍真咲は、過去に演じたルキーニ役のほか、エリザベート役にも初挑戦。「楽曲のエネルギーに負けないように、しっかり演じたい」と意気込みを語った。公演は、12月9日(金)から18日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、2017年1月8日(日)から20日(金)まで東京・オーチャードホールにて。
2016年11月07日宝塚歌劇団雪組の『私立探偵ケイレブ・ハント』『Greatest HITS!』が10月7日、兵庫・宝塚大劇場にて幕を開けた。トップスター、早霧(さぎり)せいなを筆頭に、トップ娘役咲妃(さきひ)みゆ、望海風斗(のぞみ・ふうと)ら、芝居巧者が揃う雪組の久しぶりのオリジナル作品で、新たな一面を見せている。宝塚歌劇雪組『私立探偵ケイレブ・ハント』/『Greatest HITS!』チケット情報第一幕の『私立探偵ケイレブ・ハント』は、正塚晴彦作・演出による、大人の色気漂うミュージカル。20世紀半ばのロサンゼルスを舞台に、探偵事務所の所長ケイレブと仲間たちが危険な事件解決に挑む様と、ケイレブを支える恋人・イヴォンヌとの大人の恋の行方が描かれている。スーツにハットを被った男役たちのクールなダンスシーンから始まる小粋な演出も、正塚作品らしい見どころのひとつ。今作で軸となるのは、ケイレブとイヴォンヌの恋模様。スタイリストとして自立した仕事をする大人の女性イヴォンヌとの、心地いい会話のテンポ感や情熱的なラブシーンは、息の合った早霧・咲妃コンビならではで、観客の心をときめかせる。早霧が演じるケイレブは、自分が信じたことに対して猪突猛進。正義のために迷わず突き進みながらも、仲間や恋人を思う優しさを持ち合わせていて、早霧にピッタリ。咲妃のイヴォンヌも、これまでの作品では見られなかった大人の雰囲気を漂わせ、新境地を開いている。さらに、ケイレブと探偵事務所を共同経営するジム・クリード役の望海と、カズノ・ハマー役の彩風咲奈(あやかぜ・さきな)もケイレブを支える仲間を好演。猪突猛進なケイレブに対して、冷静に見守るジム、フットワーク軽く捜査するカズノの関係性の良さも、時に頼もしく、時に微笑ましい。他、刑事のホレイショーを演じる彩凪翔(あやなぎ・しょう)、捜査線上に上がるマクシミリアンを演じる月城(つきしろ)かなとら、実力と個性を備えたスターが粒ぞろいだ。第二幕のショー『Greatest HITS!』は、アップテンポでキャッチーなメインソングを歌い、エネルギッシュに幕開け。プロローグからトップスピードで、次々と、目まぐるしくシーンを展開していく。早霧と望海の艶っぽく妖しげな雰囲気のダンス、ハロウィンやクリスマスをテーマにしたシーン、早霧と咲妃の爽やかなデュエット、男役の群舞など、見応えも見どころもたっぷりに繰り広げられる。誰もが聴いたことある名曲の数々で構成された、熱いパワーが充満するステージだ。兵庫・宝塚大劇場は11月7日(月)まで。東京宝塚劇場では、11月25日(金)から12月25日(日)まで上演される。東京公演のチケットは、10月23日(日)の一般発売に先駆け、10月13日(木)11:00から19日(水)11:00まで先行抽選販売(プレリザーブ)を実施。取材・文:黒石悦子
2016年10月13日今年大劇場公演『るろうに剣心』をヒットさせ、『ローマの休日』でも好演を見せた宝塚歌劇団雪組トップスター・早霧せいなが、久々のオリジナル作品二本立てに臨む。宝塚歌劇団雪組 チケット情報『私立探偵ケイレブ・ハント』は20世紀半ばのロサンゼルスを舞台に、探偵仲間との友情や大人の恋愛をベテラン演出家・正塚晴彦が描くミュージカル。「(舞台の)盆が回り場面がずっとつながっていくような中で展開します。アメリカのドラマをイメージするようなお洒落な探偵ものです」。男役のさり気ない格好良さが際立つ正塚作品ならではの舞台。「台詞の交わし方などもお洒落。特に私はいろんな職業の人と絡むので楽しいです」と、芝居巧者が揃った雪組生と充実の稽古に励んでいる。早霧が演じるのは、正塚が彼女そのものをイメージしたという探偵事務所のリーダー格、ケイレブ・ハント。「危険を顧みず突き進んでいくところはかなり私に近いです(笑)。でもそういう役こそ“慣れない”ように気を付けています」。望海風斗や彩風咲奈が扮する探偵と共にある事件に立ち向かっていくが、「3人とも自己主張が激しい探偵です! でもケンカにはならず、コミカルにときにシリアスに進み面白いですよ」。さらにケイレブは戦争経験というバックボーンも持つ。「会話の中だけでその部分が描かれるので難しい。戦争を経験した想いや深みがあるうえでそこに存在している、というものを醸し出したいです」トップコンビを組む咲妃みゆとは、今回初めて最初から恋人同士という関係。「新鮮です。これまで彼女が演じてきた役柄と違って、ココ・シャネルがバーンと登場するような印象の役。芯のある女性でお互い意見をぶつけ合うのでお客様も新鮮だと思います。ふたりの関係が最終的にどうなるのかも楽しんで」と笑顔を見せる。数々の名曲で彩るショーグルーヴ『Greatest HITS!』は、早霧がサンタクロースに扮するクリスマスメドレーがあるのも見どころ。「100キロマラソンも走っちゃいそうな快活なサンタを目指します!」と笑わせる。クリスマスより早い時期の宝塚大劇場公演、クリスマスシーズンの東京宝塚劇場公演で曲目が変わるのも注目だ。「シックな部分コミカルな部分と、緩急のあるショーなので飽きさせないと思います」。ショーでのエネルギッシュな早霧を楽しみにしている観客は多いだけに盛り上がるだろう。雪組トップスターとなって2年が経った。「作品を創る過程は山あり谷ありで大変だけど、お客様の前に立つとその苦しみや悩みが吹き飛びます。一作ごとにますます感謝の気持ちは膨らんでいますし、だからこそ次の作品も絶対期待を裏切りたくないです」。「皆と共に妥協せず諦めず、信じることをやり続ける」と、舞台人としての信念を語った早霧の輝きは増すばかりだ。公演は兵庫・宝塚大劇場にて10月7日(金)から11月7日(月)まで上演。チケット発売中。東京宝塚劇場公演は11月25日(金)から12月25日(日)まで。10月23日(日)より一般発売開始。取材・文:小野寺亜紀
2016年09月28日こんにちは、ライターの齋藤惠です。夢の世界、宝塚歌劇団。清く、正しく、美しい女性たちが彩る華やかな舞台です。芸能人にも熱烈なファンが多く、100周年を超えてもなおその人気は衰えることがありません。今回はそんな宝塚の世界に浸りきったファンならではの楽しみ方をご紹介します。●(1)休日の予定は公演しだい宝塚ファンにとって、公演こそ生活の中心。その合間に他の予定を入れなければいけません。毎年8月ごろに年間の公演スケジュールが発表されるので、宝塚ファンにとっては8月から来年の予定はすでに決まっている のです!●(2)好きになったジェンヌさんと添い遂げる覚悟である一度ファンになったタカラジェンヌは退団まで見届け、思いを貫くのが宝塚の掟!アイドルにありがちな“推し変”などご法度 です。もちろんファンクラブはいつでも辞めることができますが、別のタカラジェンヌへ心変わりすることは清く正しい宝塚のファン精神が許さないのです。●(3)新人公演で原石の発掘に燃える宝塚には通常の公演の他に『新人公演 』というものがあり、初々しい若手の生徒たちが上級生と同じ演目をおこないます。そこはまるで、磨かれていない原石たちの巣窟。宝塚ファンは親目線で未来のスターを探し、いち早く応援しているのです。●(4)男役が美しすぎて、実際の男性とのギャップに苦しむこれは宝塚ファンであるがゆえのジレンマです。本物の男以上に男らしいタカラジェンヌの演技を見てしまうと、自分の周りにいる彼氏や夫とついつい比べてしまい、苦しい現実を突きつけられることに……。それだけ宝塚の男役は、女性たちの理想を結集させた、究極の男性像 なのです。●(5)興奮すると専門用語が出てしまう宝塚にはファンにしか通じない独特の言葉があります。たとえば、本拠地である宝塚大劇場を「ムラ」、好きなタカラジェンヌのことを「ご贔屓さん」など、一般の人には伝わらないものばかりです。普段の会話の中で宝塚が話題に上がると、ファンはいったん平静を装うようなのですが、話に熱が入ってくるとつい専門用語を口にしてしまい、気がついたら周りをあ然とさせることもある とか……。●(6)宝塚ファンであることに誇りを持っている宝塚歌劇団の歴史は、タカラジェンヌたちを支えてきたファンの歴史でもあります。長い時がたっても変わらずに舞台を見守り続けるファンの存在が、宝塚を宝塚たらしめるゆえんなのです。ファンもまた「清く、正しく、美しく」の精神で、その伝統と誇りを受け継ぐ役目 を担っています。----------いかがでしたか?宝塚は知れば知るほど奥深い世界のようです。あなたも一度、その夢の世界を覗いてみては?【参考文献】・『タカラヅカファンあるある』空野りか・著●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)●モデル/SAYA
2016年08月24日11月に上演されるアラン・エイクボーン作のコメディー『扉の向こう側』で、宝塚歌劇団雪組の歴代男役・娘役トップスター3人が顔を揃える。ホテルのスイートルームに呼び出され、見知らぬ実業家から「二人の妻を殺した」という告白文の証人になってくれるよう頼まれる娼婦のフィービー。逃げ出そうとして隣の部屋に繋がる扉を開けると、そこにはとっくの昔に死んだはずの妻たちが…!?三つの年代を行き来しながら進むタイムワープものだが、演出の板垣恭一が「大胆な仕掛けを決して安っぽくない形で使った、とてもとても面白い戯曲」と惚れ込む傑作だ。【チケット情報はこちら】フィービーを演じるのは、宝塚を退団後、これが3作目の舞台となる壮一帆。「1作目で男役、2作目で性別のない役を演じ、やっと女性の役が来たと思ったらSMクイーン役(笑)。普段使わない言葉が並ぶ台詞の中で、壮一帆の人となりをどれだけ出せるかがテーマです」と新たな挑戦に意欲を燃やす。タイムワープ先の40年前の世界に生きる、最初の妻ジェシカ役の紺野まひるは、「舞台は6年ぶりなので緊張します。見た目も内面も、90年代っぽい雰囲気を出して演じられたら」。そして20年前の世界=現代に生きる二番目の妻ルエラ役の一路真輝は、「この3人で良かったと言われる舞台にしたい」と意気込みを語った。この3人、壮と紺野は同期だが、二人が一路と本格的に共演するのは今回が初めて。だが現場には、とてもそうは思えない和やかな空気が漂っていた。役に対する不安を覗かせる壮に、「未来のSMクイーンなんだから何でもアリなんじゃない?」と一路が言えば、「それもそうですね。じゃあ触覚とかつけましょうか(笑)」(壮)、「楽しくなってきた!」(紺野)と二人が乗っかって大盛り上がり。また、一路が「私、出ハケが苦手で色々やらかすと思うからよろしくね」と意外な告白をすると、壮が「この中ではまひるがいちばんしっかりしてると思う」、紺野が「いえ、私もそう見えるだけで、私生活なんてハチャメチャです(笑)」とパスを回し、最後には「みんなで力を合わせて頑張りましょう」という何とも平和なゴールを決めるひと幕も。この空気感は、今回の舞台にも生きてくるのでは、と一路は分析する。「歌劇団出身の方とご一緒すると、在籍した時代が違っても、不思議な共通意識が流れているのを感じるんです。物語の中の3人も、同じ男性を知っているという共通点からか、初対面なのにすぐに理解し合って協力するようになる。そういう意味でも、非常にいいメンバーだと思います」。一路の言葉に、壮と紺野、そして板垣も深く頷いていた。『扉の向こう側』は11月11日(金)兵庫・兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールより開幕。その後、東京、愛知を周る。なお、現在チケットぴあでは東京・愛知公演の先行抽選受付中。兵庫公演発売中。取材・文:町田麻子
2016年08月12日1998年の初舞台以来、数々の名演を残し『桜華に舞え』『ロマンス!!』で宝塚歌劇団を退団する星組トップスター・北翔海莉(ほくしょう・かいり)。稀代の実力派エンターテイナーがラストステージに挑む心境を本人に聞いた。【チケット情報はこちら】「この作品に出合うために宝塚歌劇団に入ったのだと思える台本でした」。北翔が語ると重みがある。明治維新の立役者のひとりで、西郷隆盛と共に西南戦争へと身を投じた薩摩藩士、桐野利秋の生き様を描く『桜華に舞え』。演出家・齋藤吉正が、入団時の試験で提出した作品がベースだという。「愛する者のために命を賭ける精神や忠誠心、義などがテーマで、私が一番演じたいと思うような役でした」。“人斬り半次郎”という異名を持つ剣豪でありながら、「敵にも立派な侍だったと敬意を払う愛情深さがあった。それらをしっかり立ち回りでも表現したい」と話す。稽古開始前に2日間鹿児島へ行き、桐野と同じ示現流(じげんりゅう)の道場で学んだ。「相手のエリアに瞬時に入り逃げ場なく追い詰めるという流派で、正直驚きました。精神統一のために笛を吹いて自分をコントロールするそう。それでいて心の広さがあるのが薩摩隼人だと知ることができ良かったです」。飽くなき探究心を持つ北翔。「本物を分かったうえでの宝塚バージョンをやらないと!」と頼もしい。同時に退団するトップ娘役・妃海風(ひなみ・ふう)は、敵対する会津藩の娘・大谷吹優役。彼女の父を殺めてしまった桐野は、記憶喪失を患い彼を慕う彼女を前に苦悩する。「最終的に心と心で繋がる関係は、ふうちゃん(妃海)とでなければできない芝居です」。侍の言葉で好きなのは“最も愛あるものは最も勇気あるもの”。「それが今回自分が見せたい全てかな。守るもの未来に託すもの、色んなものを全部自分の中に受け入れて次に命を引き継ぐという…」。サムライ魂が“北翔魂”に重なる。約1年半の星組トップ在任だったが、海外ミュージカルやオペレッタを元にしたミュージカルへの挑戦など凝縮された時間だった。「星組生はみんな柔軟性があり、難しくても挑戦すれば結果が出るということを分かってくれた。日々の成長を感じ、私の方が支えてもらいました」としみじみ話す。岡田敬二が手掛けるロマンチック・レビュー・シリーズ第19作品目『ロマンス!!』では「アメ車の前で英語でポップスを歌うとか、『イル・モンド』の壮大なデュエットなど私ならではというものを用意してくれました」と。卒業だからとしめっぽい演出は好きではない。「先生も私の性格をよく分かっているから、全部が潔いいんです!」と朗らかに笑う。宝塚人生を振り返ると「1%だけの可能性みたいな状況の時にこそ奇跡が起こる。試練や壁はもう忘れたけど(笑)、それ以上の宝物を見つけられました」。常に前だけを向いている北翔が男役としてどんな有終の美を見せてくれるか楽しみだ。公演は兵庫・宝塚大劇場にて8月26日(金)から10月3日(月)まで。チケット発売中。東京公演は10月21日(金)から11月20日(日)まで。9月18日(日)より一般発売開始。取材・文:小野寺亜紀
2016年08月10日ウィーンで初演され、1996年に宝塚歌劇団雪組により日本初上演されたミュージカル『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』。再演を繰り返し20周年の節目となる今年、この大作に宙組が挑む。ミュージカル『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』チケット情報主演の宙組トップスター・朝夏まなとは、9代目のトートとしてビジュアルからオリジナリティを追求。「鬘の色は赤と青とを合わせて濃い紫にしています。宙組のテーマカラーである紫をぜひ使いたかったので。衣装も現代的なレザーでスタイリッシュなイメージです」と話す。数奇な運命を辿るオーストリア皇后・エリザベートと、黄泉の帝王・トート(死)との“愛”を描いた本作。「現実世界ではあり得ない関係だからみなさん惹かれるんでしょうね。トートはとてつもない生命力を持った少女のエリザベートにひと目で惹かれますが、その最初の出会いである『愛と死の輪舞』のナンバーは特に大事にしたいです」。全編珠玉の音楽で綴られる高度なミュージカルだけに、基礎の歌稽古からきっちりとこなし楽譜に向き合っている。「計算し尽くされた音楽ですごいなと思います。自分が歌うところ以外に“トートの音階”というのが潜んでいたり。新しい発見がたくさんあります」と、『エリザベート』の奥深い魅力を実感している様子。「みんなこの作品に出られる喜びを感じ作品に没頭しています。士気が高く宙組のスケール感が出るのでは」。朝夏がトップになり大劇場公演3作目。『王家に捧ぐ歌』など大作も成功に導いた“組力”がさらに発揮されそうだ。また今回から日本初演より潤色・演出を手掛ける小池修一郎に加え、小柳奈穂子も演出に名を連ねている。「小柳先生には『一幕では(エリザベートを手のひらで転がすように)もっと遊んだら』とアドバイスを頂きました。エリザベートを追い詰めようという意識だけに囚われていましたが、遊び的な部分も取り入れてみたくなり、すごく視野が広がりました」。稽古の前にはオーストリアへ行き、舞台となるアウグスティーナ教会などを訪れた。「ヒヤッと冷気が漂い『ここにならトートはいるな』と感じました(笑)。そういう空気感はトートの登場シーンなどで意識しています」今は“死”やエリザベートに関する本なども熟読。「エリザベート自身、死に近付きたいと思い、その興味からトートというキャラクターが引き出されたので。彼女の精神状態などを読んで勉強しています」。死後の世界には色んな解釈があるが、朝夏は「美しい世界だと捉えています。だからこそトートは美しい存在として描かれているし、そこを表現したいです」。怖ろしいはずの“死”に惹かれるエリザベート。何ともいえないロマンティシズムを、クレバーな朝夏が万全の役作りでタカラヅカの舞台上に創出する。公演は宝塚大劇場にて7月22日(金)から8月22日(月)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は9月9日(金)から10月16日(日)まで。8月7日(日)より一般発売が開始される。取材・文:小野寺亜紀
2016年07月13日元タカラジェンヌの赤裸々な悩み株式会社ドクターフィル コスメティクスは、宝塚歌劇団で活躍した元タカラジェンヌ101名を対象に「肌の悩み」に関する意識・実態調査を実施。元月組娘役・城咲 あいさん、元宙組男役・初嶺 麿代さん、元花組娘役・神津 見佳さんの3名を招き、エイジングケアや同社の集中エイジングケアシリーズ「フイルナチュラントIC.U」についてインタビューを行った。華やかなスポットライトや豪華絢爛な衣裳にも負けない、独特の美しさを持つ「宝塚メイク」。実はタカラジェンヌ自身でメイクを行っているのだそう。メイクや肌へのこだわりは人一倍の元タカラジェンヌへのアンケートにて「最近『素肌』を見て実感したこと」をきくと、「年齢を感じる」(57%)が最も多く挙げられた。次いで「若いころの肌が懐かしくなる」(41%)が挙がるなど、「年齢」に関する回答が目立った。タカラジェンヌにも集中ケアが必要?!具体的に「年齢が気になっているポイント」としては、1位に「目の下のくま」(51%)、2位に「ほうれい線」(50%)、3位に「肌全体のくすみ」(49%)がランクイン。全体的な印象を左右する「肌くすみ」よりも、くまやほうせい線といった集中的な箇所が気になるという人が多いようだ。インタビューに応じた神津さんも、鏡を見るたびに目尻のシワが気になり「最近また多くなったな…」と落ち込むのだそう。初嶺さんは保湿を念入りに行うことに加え、ミュージカルのように歌いながら表情を動かすトレーニングを行うことで、顔の筋肉を鍛えてシワやくすみを撃退していると、美の秘訣を語った。劇場に足を運ぶ際はファンの目もあるため、特にメイクを念入りにするなど、退団後も高い美意識は衰えない元タカラジェンヌたち。3人の詳しいインタビューや「IC.U」シリーズへの感想などは、同社のホームページやプレスリリースにて公開されている。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社 ドクターフィル コスメティクスプレスリリース※フイルナチュラント IC.U アルジェックス
2016年07月05日宝塚歌劇団宙組の初代トップとして絶大な人気を博した姿月あさと。『エリザベート』のトート役を本場オーストリア、ハンガリー、日本と3ヵ国語で演じ、日本でも根強い人気を誇るマテ・カマラス。そして同じく『エリザベート』ルドルフ皇太子役でミュージカル界の本流に躍り出た伊礼彼方。この3人がタッグを組んで贈るスペシャル・ライブ「姿月あさと×マテ・カマラス×伊礼彼方 -Musical Songs and Pop Galore!-」がこの秋、開催される。姿月、伊礼に話を聞いた。チケット情報はこちら彼らの出会いは、日本ミュージカル界から3名、ウィーン・ミュージカル界から3名が出演し、2009年に上演されたコンサート『LOVE LEGEND』。この時も出演者の素晴らしい歌唱力とともに、息のあったトークや、彼らの個性的な素の表情が堪能でき、大いに盛り上がった。「マテさんはマツケンサンバをやっていましたね(笑)。あの時は彼自身が、テレビでマツケンサンバを見て『これがやりたい』って言ったんですよ」と姿月が振り返る。確かに、ウィーン・ミュージカルの貴公子がマツケンサンバを歌い踊る姿は衝撃的だった。「でも、『LOVE LEGEND』は皆さんの個性の強烈さが、面白かった」(伊礼)、「ずっと、ああいうのをまたやりたいね、って言ってました」(姿月)。そんな待望のライブである。今回の構想を問うと、「ちょうど9月だし、『夏の終わりのハーモニー』を歌いたいね。彼方くんのリクエストは『あずさ2号』でしょ(笑)?」(姿月)、「そうそう、マテとふたりでやりたいんですよ。姿月さんには、10代の女の子が歌いそうな可愛い曲を歌って欲しいなぁ」(伊礼)、「じゃあ彼方くんは『男の子女の子』を(笑)」(姿月)……と、ミュージカル俳優らしからぬラインナップが次々と飛び出す。しまいには「北島三郎さんがやっているような座長芝居みたいなものをやるのも、面白くないですか!? 前半・寸劇、後半・ロックショー」(伊礼)と、冗談か本気かわからない話で盛り上がるふたり。だが、あながちすべてが冗談ではないようで、「ミュージカル俳優だから、こういうことをやるに違いないと決め付けられるのはイヤなんです。型にはまりたくもないし、今の私たちにしか出来ないライブをやりたい」と姿月。伊礼も「いわゆる“ミュージカル俳優さんたちがやるようなコンサート”には絶対ならないはずです。ノンジャンルで、ノンスタイルなライブになると思いますので、楽しみにしていてください」と、ここにしかないステージを約束してくれた。それぞれミュージカル界の王道と呼べそうな、煌びやかな経歴を誇る3人だからこそできる“型破り”なライブ。ただし、人気のミュージカルナンバーも、きっちり盛り込む予定。「私たちは遊びながら、ちゃんとしたこともきちんとやるんです。今回も“大人の遊び場”という感じのライブになるといいですよね」(姿月)。公演は9月13日(火)から15日(木)まで東京・草月ホール、9月28日(水)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで行われる。
2016年07月01日湖月わたるら宝塚歌劇団OGを中心とする“BAD GIRLS”がフラメンコに挑戦する『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』が、6月25日(土)の開幕に先がけ、公開稽古で4曲を披露した。「フラメンコ・カフェ・デル・ガト」チケット情報本作は、2012年の『BAD GIRLS meets BAD BOYS』、2014 年の『Argentango』に続くダンスレジェンドシリーズの第3弾。今回は、第1弾から出演する湖月わたる、水夏希、原田薫に加え、昨年2月に宝塚歌劇団を退団した緒月遠麻が初参戦。さらに、2014年公演で“BAD BOYS”に参加した大貫勇輔と、本場スペインのダンサー4人で作り上げられる。構成・演出・振り付けは、フラメンコの名門マリア・パヘス舞踊団の舞踊手・振付家であるホセ・バリオス。ホセは、スペインフラメンコ界で最も権威のある賞「フラメンコ・オイ賞」男性舞踏家部門・最優秀賞を受賞したばかり。フラメンコの本場・マドリッドでの稽古を終え、6月13日に帰国したばかりというキャスト達。稽古場には、約1か月間の稽古を共に過ごす中で生まれたであろう濃厚な空気が漂う。ACT1は、19世紀に存在したフラメンコショーを観劇できる酒場「カフェ・デル・ガト」で起きる愛と悲劇の物語。その中から披露されたM1「GALLARDO」、M2「Carmen Overture」は大迫力の群舞。まず振動を感じるほどのサパテアード(足を踏み鳴らす動き)に圧倒され、そして情熱的なダンスに心を奪われる。照明もセットもない稽古場でも、その熱い空気に飲み込まれてしまいそうなフラメンコは、実際のステージでは更に強烈な魅力を放つはずだ。M4「Yo solo quiero caminar」は芝居仕立てで、湖月演じるローラと闘牛士が互いに惹かれ、想いを伝え合うように踊る姿がセクシーで印象的。その仲を裂こうとするローラの弟役・大貫の演技にも注目だ。ACT2は、アンダルシアをイメージしたダンスショウ。披露されたM6「FLAMENCO JAZZ」では、ACT1から雰囲気をガラリと変え、BAD GIRLSの4名がマニッシュなパンツスタイルで登場。宝塚歌劇団時代の男役を彷彿させる姿で披露されたクールなダンスは必見だろう。稽古後の囲み取材では日本人キャストの5人が本作について、「言葉より、観て、感じていただくと魅力がわかる」(湖月)、「フラメンコは難しいイメージがあるかもしれないが、気負いなく楽しんでもらえるはず」(水)、「東京に戻ってまたいい雰囲気になった。楽しむ雰囲気が伝われば」(原田)、「スペインチームの足さばきはすごい」(緒月)、「僕らにしかできないフラメンコを観てもらいたい」(大貫)と話した。公演は、6月25日(土)・26日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼ、6月29日(水)から7月4日(月)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。撮影・取材・文:中川實穗
2016年06月22日オーストリア皇后エリザベートの数奇な運命をドラマティックに描いたミュージカル『エリザベート』。元宝塚歌劇団花組トップ娘役の蘭乃はなが、昨年の帝国劇場公演に続き、ダブルキャストでタイトルロールを演じる。3年連続で大役に挑む彼女に話を聞いた。ミュージカル「エリザベート」チケット情報宝塚歌劇で1996年に日本初演、2000年には東宝ミュージカルとしても開幕した屈指の人気作『エリザベート』。蘭乃は2014年の花組公演、キャストや舞台美術、衣装が一新された昨年の東宝版でエリザベートを演じた。「3年も続けて演じられて光栄です。東宝版はより人間のドロドロした感情が渦巻き、リアルですよね」。特に東宝版で印象的だと話すのが、宝塚版にはないコルフ島でのシーン。宮廷から逃れるように旅を続けたエリザベートが、自由に生きた父を想って歌う場面だ。「あのシーンは50歳ぐらいですが、最初の少女時代と同じく『パパみたいになりたい』と歌っているんです。根本的に変わっていない。彼女はずっと自分を認めることができなかったんです」とその心に寄り添う。昨年ダブルキャストということで先に自身の千秋楽を終え、翌日に公演最終日の大千秋楽を観劇したとき「彼女は“愛”を求めていたんだ」と改めて感じたという。「誰かへの愛ではなく自分への愛。“自分を愛せるか”というのは普遍的なテーマですよね。昨年小池(修一郎)先生が『“私だけに”というのを色濃く出したい』とおっしゃり、自我という部分を掘り下げていきました。それも私にとって欠かせないステップでしたが、新たに自分への愛というテーマも掘り下げたいです」と力を込める。昨年に続きトートを演じるのは城田優と井上芳雄。「普段は賑やかな城田さんはトートを演じると一瞬で静のエネルギーを放たれ、引きずり込まれそうになります。井上さんは普段は落ち着いているのに、トートになると激しく燃え盛る炎のようになって、私もそれに反発するから力強い演技になります」と、相手によって変化する面白さを実感している。またダブルキャストでエリザベートを演じるのは、日本初演で同役を演じた花總まり。「私の中では“レジェンド”。その花總さんだけでなく、なぜ私もエリザベート役に呼ばれたのか、考えれば考えるほどプレッシャーです(苦笑)。昨年はエリザベート自身と同じく自己否定というか、肉体的にも精神的にもせめぎ合いの中で演じていましたが、今は新たなテーマも見つかり、どうなるのか私自身楽しみです」。公演中はオフも役が抜けないという蘭乃。「この肉体を通してエリザベートの魂をお客様に味わっていただくことが、私のやるべきこと」と笑顔で言い切る彼女に期待したい。6月28日(火)から7月26日(火)まで東京・帝国劇場、8月6日(土)から9月4日(日)まで福岡・博多座、9月11日(日)から30日(金)まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、10月8日(土)から23日(日)まで愛知・中日劇場にて上演。チケットは順次発売。取材・文:小野寺亜紀
2016年06月20日トップスター早霧せいな、トップ娘役 咲妃みゆを中心とした宝塚歌劇団雪組が、名作映画『ローマの休日』をミュージカル化。大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演される。宝塚歌劇雪組公演 タカラヅカ・シネマティック「ローマの休日」チケット情報名優グレゴリー・ペックとオードリー・ヘプバーンによる、映画史に残る不朽の名作。イタリアのローマを舞台に、新聞記者ジョーとヨーロッパ各国を訪問中の某小国の王女アンとの束の間の恋を描いた物語で、早霧は「映画を観て、タカラヅカでやるのにピッタリなラブストーリーだなと思った」と語る。そして自身が演じるジョーは、映画とは異なるイメージになるという。「映画では渋い大人の男の印象ですが、宝塚版では、若くて野心家の新聞記者を作ろうとしています。スクープを撮って名声を手に入れて、早くローマからアメリカに帰りたいという欲望を強く持っているジョーが、アン王女に出会うことで純粋で素直だった頃の自分が現れる。お客様にジョーの変化を感じとっていただけるように演じたいと思っています」。『ルパン三世』や『るろうに剣心』をはじめ、原作がある作品にはこれまでにも何度も出演してきているが、映画のイメージが強い本作に手強さも感じている。「私の場合、原作がある作品に挑むときは、原作は最初に一度見るだけで、あとは舞台の台本を読んで自分がイメージするキャラクターを作り上げていきます。そこから、見返したいところだけを見返して、取り入れられそうな要素を取り入れるんです。ただ今回の作品は、皆さんの中に映画の印象が強くあると思いますので、そこが難しいところだと思っています。あまりイメージに引っ張られ過ぎず、自分なりのジョーを作り込んでいきたいです」。宝塚大劇場公演は基本的に芝居とショーの2本立てだが、今回は芝居だけの1本物。その1本で何を伝えたいかを一番大切にしていると話す。「1本物の場合、お芝居だけでお客様の心を動かさないといけないので、その作品で何を伝えたいかをよりしっかりと念頭に置いて作っています。『ローマの休日』では、ジョーとアンとの繋がりから、ジョーが見失っていたものを見つけたり、新しい自分に気付いたり、人が持っている素直な部分などを感じていただいて、少しでもお客様にほっこりして帰っていただきたいですね」。6月14日(火)から19日(日)まで愛知・中日劇場、6月25日(土)から7月10日(日)東京・赤坂ACTシアター、7月30日(土)から8月15日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2016年06月16日美しさの基準は人それぞれ。しかし、年齢を重ねるにつれて求められるのは、外見の美しさよりも内面の豊かさです。夫婦生活においても同じことが言えます。「美人は3日で飽きる」ということわざがあるように、円満な夫婦関係を築くためには“心の美しさ”をもつことが大切です。■タカラジェンヌ美しい女性のシンボルとして日本を代表する存在といえば、宝塚歌劇団。これまで数々のスターを生みだし、品があって思わず見とれてしまうような女性が多く在籍しています。踊りや演技、歌のほかにも礼儀や礼節、作法、所作などを厳しく教えられ、美しい女性であり続けるための基本を徹底的にたたきこまれます。そうした日々の積みかさねによって、品のある立ちふるまいや上品な雰囲気が生まれているのです。そのうえ、見た目の美しさだけではなく内面を美しく磨くためにも、宝塚歌劇団ならではの“決まり”があります。それが、「ブスの25箇条」です。女性の内面を汚してしまう要素が25箇条書きつづられている教訓で、美しい女性へと育てるために避けては通れない道です。■宝塚歌劇団「ブスの25箇条」笑顔がない御礼を言わない美味しいと言わない目が輝いていない精気がないいつも口が「へ」の字の形をしている自信がない希望や信念がない自分がブスであることを知らない声が小さくイジケている自分が最も正しいと信じている愚痴をこぼす他人を恨む責任転嫁がうまいいつも周囲が悪いと思っている他人を嫉妬する他人に尽くさない他人を信じない謙虚さがなく傲慢(ごうまん)である人のアドバイスや忠告を受けいれないなんでもないことに傷つく悲観的に物事を考える問題意識をもっていない存在自体が周囲を暗くする人生においても仕事においても意欲がない内面を磨いて美しい女性に当てはまる項目が多いほど“心がブス”ということ。つまり、すべて真逆に考えて行動すれば、内面美人に近づけるというわけです。職場や家庭はもちろん、すべての人間関係において魅力を底上げしてくれる内面の豊かさ。アラサー女の自分磨きは、心を鍛えることが重要なポイントになってくるでしょう。夫や周囲の人たちも、雰囲気の変化に気づくと思いますよ。
2016年04月23日宝塚歌劇団星組公演のミュージカル『『こうもり』…こうもり博士の愉快な復讐劇…』とショー『THE ENTERTAINER!』が、3月18日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。本公演は第102期初舞台生のお披露目公演でもあり、幕開きには羽織袴姿で口上を行い、ショーではラインダンスを披露した。宝塚歌劇星組『『こうもり』…こうもり博士の愉快な復讐劇…』/『THE ENTERTAINER!』のチケット情報『こうもり』は、ヨハン・シュトラウス二世の傑作オペレッタ『こうもり』をミュージカル化したもので、笑いがたっぷり散りばめられた大人の喜劇だ。ある夜、友人のアイゼンシュタイン侯爵と共に仮装舞踏会へ出かけた、高名な物理学者・ファルケ博士。美酒に溺れ、酔いがまわった彼らは飲み明かす約束をするが、侯爵は迎えにやってきた執事アルフレードから、妻が鬼の形相で帰りを待っていることを聞かされ、我に返る。妻が怖くて帰宅すると言いにくい侯爵は、こうもりの扮装をしたままの博士を公園のニケ像に縛り付けて置き去りに。翌朝目覚めた博士は“こうもり博士”と笑われて怒りが収まらず、侯爵に仕返しをすることに…。いたずらを仕掛けていくファルケ博士を演じるのはトップスター・北翔海莉(ほくしょう・かいり)。歌、ダンス、芝居と3拍子揃った北翔は、クラシックの発声を使いながら、聴き心地のいい温かみのある歌声で歌いこなす。そしてこの笑いたっぷりの喜劇で魅力を発揮したのが、アイゼンシュタイン侯爵役の紅ゆずるだ。博士にいたずらされているとは気づかず、翻弄される姿をコミカルに演じ、楽しませてくれる。侯爵家に仕えるメイド役を務めるトップ娘役の妃海風(ひなみ・ふう)も、高音域の歌を安定した歌唱力で歌い届ける。ファルケ博士との恋模様も宝塚らしいアレンジとして取り入れられ、見どころのひとつとなっている。さらに、専科から参加の星条海斗(せいじょう・かいと)が、ロシア皇太子オルロフスキー侯爵役を務め、芸達者な演技で笑いを誘い、歌唱力の高さでも魅せる。第二幕のショーでは、北翔を中心とした星組のメンバーがそれぞれに“エンターテイナー”ぶりを発揮。シルクハットにケーン、羽根扇を持つ王道スタイルで、幕開けから観客を宝塚らしいショータイムに引き込んでいく。他にも、北翔扮するエンターテイナーになりたい男の子が、どんどん成長していく過程をショーで表すストーリー性のあるシーン、ラテンの中詰め、セリと盆を使って100人以上で魅せる壮大なシーン、北翔がピアノで弾き語るシーンなど、盛りだくさんで展開。両作共に、個性あふれる星組の魅力が余すところなく引き出されたステージになっている。兵庫・宝塚大劇場公演は4月25日(月)まで。また、5月13日(金)から6月19日(日)まで、東京宝塚劇場にて上演される。取材・文:黒石悦子
2016年03月25日2012年、ラスタ・トーマス率いるBAD BOYSと、宝塚歌劇団OGを中心とするBAD GIRLSの共演で話題を呼んだDANCE LEGENDシリーズ『BAD GIRLS meets BAD BOYS』。14年にはBAD GIRLSがタンゴに挑むシリーズ第二弾『Argentango』を、BAD BOYSの『Rock the Ballet 2』とほぼ同時期に上演した。第三弾の今回は、フラメンコの名門マリア・パヘス舞踊団の舞踊手・振付家ホセ・バリオスを構成・演出・振付に迎える『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』。第一弾からの湖月わたる、水 夏希、原田 薫、第二弾のBAD BOYSに参加した大貫勇輔らに加え、昨年2月に宝塚を退団した元宙組男役スター、緒月遠麻が初参戦する。『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』チケット情報「自分が出演するなんて、まだ信じられません。だって、ご覧下さい、このメンバーに私が入っているチラシ……(深いため息)」と、緒月は公演への期待と不安をのぞかせる。彼女にとって、共演者の湖月、水は宝塚時代からの大先輩だ。「湖月さんは憧れの方。私がいた雪組にも専科から出演され、芸事においても人間性においても本当に素晴らしくて、多くを学ばせていただきました。水さんは私の雪組時代のトップスター。私はありがたい事に絡む場面が多かったり、水さんが本公演で演じられた役を私が新人公演で演じたりとご縁が深くて。当時から、ご自身を高めながら周囲も見ている方でした。偉大なおふたりの胸を借り、だいぶ頼ってしまいそうです(笑)」一方、原田、大貫とは初顔合わせ。「先日、過去のダンス映像を拝見しました。あまりの凄さに、ビックリして映像を止めてしまったほど。基礎も身体能力も桁違いのお二方とご一緒するのはとんでもない挑戦になりますが、宝塚時代、男役としての演技を、上級生の真似をしながら積み上げたのと同じように、今回もとにかく見習い、色々なものを吸収したいです」日本での稽古のほか、公演前には本場スペインでもリハーサルが行われるという。「宝塚でもフラメンコのシーンがありましたが、リズムも独特ですし、足と手を別々に動かすのも難しくて。本場の方に教わるのは貴重な機会なので、しっかり成長できたらと思います。少し落ち着いたら生ハムと白ワインも楽しみたい。その余裕ができるよう、まずは稽古に打ち込みます!」今回は退団後初のダンス公演だ。「お芝居が特に好きなので、この1年はストレートプレイをさせていただいていたのですが、歌も踊りもまたやりたいという気持ちが出てきた時にこの機会をいただき、恵まれていると思います。私は稽古場でもマイペースで、納得できるものができるまで時間がかかるタイプなので、周囲を心配させてしまうかもしれないのですが、なんとか足を引っ張らないよう頑張りたいですね」公演は、6月25日(土)・26日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼ、6月29日(水)から7月4日(月)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。チケットは4月16日(土)10:00より一般発売開始。取材・文:高橋彩子
2016年03月22日2012年、ラスタ・トーマス率いるBAD BOYSと、宝塚歌劇団OGを中心とするBAD GIRLSの共演で話題を呼んだDANCE LEGENDシリーズ『BAD GIRLS meets BAD BOYS』。14年にはBAD GIRLSがタンゴに挑むシリーズ第二弾『Argentango』を、BAD BOYSの『Rock the Ballet 2』とほぼ同時期に上演した。第三弾の今回は、フラメンコの名門マリア・パヘス舞踊団の舞踊手・振付家ホセ・バリオスを構成・演出・振付に迎える『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』。第一弾からの湖月わたる、水 夏希、原田 薫、第二弾のBAD BOYSに参加した大貫勇輔らに加え、昨年2月に宝塚を退団した元宙組男役スター、緒月遠麻が初参戦する。『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』チケット情報「自分が出演するなんて、まだ信じられません。だって、ご覧下さい、このメンバーに私が入っているチラシ……(深いため息)」と、緒月は公演への期待と不安をのぞかせる。彼女にとって、共演者の湖月、水は宝塚時代からの大先輩だ。「湖月さんは憧れの方。私がいた雪組にも専科から出演され、芸事においても人間性においても本当に素晴らしくて、多くを学ばせていただきました。水さんは私の雪組時代のトップスター。私はありがたい事に絡む場面が多かったり、水さんが本公演で演じられた役を私が新人公演で演じたりとご縁が深くて。当時から、ご自身を高めながら周囲も見ている方でした。偉大なおふたりの胸を借り、だいぶ頼ってしまいそうです(笑)」一方、原田、大貫とは初顔合わせ。「先日、過去のダンス映像を拝見しました。あまりの凄さに、ビックリして映像を止めてしまったほど。基礎も身体能力も桁違いのお二方とご一緒するのはとんでもない挑戦になりますが、宝塚時代、男役としての演技を、上級生の真似をしながら積み上げたのと同じように、今回もとにかく見習い、色々なものを吸収したいです」日本での稽古のほか、公演前には本場スペインでもリハーサルが行われるという。「宝塚でもフラメンコのシーンがありましたが、リズムも独特ですし、足と手を別々に動かすのも難しくて。本場の方に教わるのは貴重な機会なので、しっかり成長できたらと思います。少し落ち着いたら生ハムと白ワインも楽しみたい。その余裕ができるよう、まずは稽古に打ち込みます!」今回は退団後初のダンス公演だ。「お芝居が特に好きなので、この1年はストレートプレイをさせていただいていたのですが、歌も踊りもまたやりたいという気持ちが出てきた時にこの機会をいただき、恵まれていると思います。私は稽古場でもマイペースで、納得できるものができるまで時間がかかるタイプなので、周囲を心配させてしまうかもしれないのですが、なんとか足を引っ張らないよう頑張りたいですね」公演は、6月25日(土)・26日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼ、6月29日(水)から7月4日(月)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて上演。チケットは4月16日(土)10:00より一般発売開始。取材・文:高橋彩子
2016年03月22日宝塚歌劇団が、名作映画『ローマの休日』をミュージカル化する。3月17日、その制作発表会見が開催され、雪組トップスター・早霧せいな、トップ娘役・咲妃みゆら出席、意気込みを語った。【チケット情報はこちら】新聞記者ジョーと、お忍びでヨーロッパを訪れたアン王女のつかの間の恋……。世紀を超えて映画ファンから愛される『ローマの休日』だが、何よりも印象的なのは、主演のグレゴリー・ペックとオードリー・ヘップバーン。この名優たちが演じた物語に挑む早霧率いる雪組は、小川友次 歌劇団理事長によると「(早霧のトップ就任)お披露目公演から3作連続、観客動員率100パーセントを超える(※全公演完売し、さらに立見も出ているという意味)という、歌劇団の新記録を作った。今ノッている組」とのこと。演出を手がける田渕大輔も「いま充実しているトップコンビ。すでに出来上がった作品を、宝塚の新たな作品として作り上げる芝居の力を持っているので、新たな『ローマの休日』を生み出してくれることを私自身も期待している」とコンビでの力量を高く評価した。そのふたりは、作品について「もちろん映画の世界観は大切にしたいと思いますが、グレゴリー・ペックさんの真似にならず、宝塚で、この雪組で、そして相手役が咲妃だからこそ早霧のジョーはこういう風になったと納得していただけるような役にしていきたい」(早霧)、「あまりにも有名な話で、お客さまもどういう展開になるかご存知の方も多いと思う。でも名作の再現に走るのではなく、きちんとその瞬間ごとに息づくことが舞台化する意味だと感じています。新鮮に、早霧さんの演じるジョー・ブラッドレーさんとの24時間の淡い恋を私自身も楽しみつつ演じられたら」(咲妃)とそれぞれ語った。雪組は『ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―』『るろうに剣心』と、有名な原作がある作品の上演が続いている。人気作を宝塚版として上演することについて、早霧は「皆さんの中ですでにイメージがある作品を演じる時は、自分の役もより多くの方が抱いているイメージの中に入ることがベストだと思っている。皆さんがその作品・その役をどう捉えているか、客観的に引いて見て、そこを自分自身が楽しみ、役に近づいていく。何度も原作ものを経験しているからこそ、役へのアプローチの仕方を身体で覚えてきた感覚があります。おかげさまで楽しんでやっています」と話していた。今回も、雪組ならではの『ローマの休日』が出来上がるのを、期待したい。公演は6月14日(火)から19日(日)まで愛知・中日劇場、6月25日(土)から7月10日(日)まで東京・赤坂ACTシアター、7月30日(土)から8月15日(月)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演。
2016年03月18日宝塚歌劇団が、名作映画『ローマの休日』をミュージカル化する。3月17日、その制作発表会見が開催され、雪組トップスター・早霧せいな、トップ娘役・咲妃みゆら出席、意気込みを語った。【チケット情報はこちら】新聞記者ジョーと、お忍びでヨーロッパを訪れたアン王女のつかの間の恋……。世紀を超えて映画ファンから愛される『ローマの休日』だが、何よりも印象的なのは、主演のグレゴリー・ペックとオードリー・ヘップバーン。この名優たちが演じた物語に挑む早霧率いる雪組は、小川友次 歌劇団理事長によると「(早霧のトップ就任)お披露目公演から3作連続、観客動員率100パーセントを超える(※全公演完売し、さらに立見も出ているという意味)という、歌劇団の新記録を作った。今ノッている組」とのこと。演出を手がける田渕大輔も「いま充実しているトップコンビ。すでに出来上がった作品を、宝塚の新たな作品として作り上げる芝居の力を持っているので、新たな『ローマの休日』を生み出してくれることを私自身も期待している」とコンビでの力量を高く評価した。そのふたりは、作品について「もちろん映画の世界観は大切にしたいと思いますが、グレゴリー・ペックさんの真似にならず、宝塚で、この雪組で、そして相手役が咲妃だからこそ早霧のジョーはこういう風になったと納得していただけるような役にしていきたい」(早霧)、「あまりにも有名な話で、お客さまもどういう展開になるかご存知の方も多いと思う。でも名作の再現に走るのではなく、きちんとその瞬間ごとに息づくことが舞台化する意味だと感じています。新鮮に、早霧さんの演じるジョー・ブラッドレーさんとの24時間の淡い恋を私自身も楽しみつつ演じられたら」(咲妃)とそれぞれ語った。雪組は『ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―』『るろうに剣心』と、有名な原作がある作品の上演が続いている。人気作を宝塚版として上演することについて、早霧は「皆さんの中ですでにイメージがある作品を演じる時は、自分の役もより多くの方が抱いているイメージの中に入ることがベストだと思っている。皆さんがその作品・その役をどう捉えているか、客観的に引いて見て、そこを自分自身が楽しみ、役に近づいていく。何度も原作ものを経験しているからこそ、役へのアプローチの仕方を身体で覚えてきた感覚があります。おかげさまで楽しんでやっています」と話していた。今回も、雪組ならではの『ローマの休日』が出来上がるのを、期待したい。公演は6月14日(火)から19日(日)まで愛知・中日劇場、6月25日(土)から7月10日(日)まで東京・赤坂ACTシアター、7月30日(土)から8月15日(月)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演。
2016年03月18日柚希礼音が、宝塚歌劇団退団後初のソロコンサート『REON JACK』を開催。3月10日、大阪・梅田芸術劇場メインホールで公開舞台稽古と囲み取材が行われた。「REON JACK」チケット情報シーンごとにテーマを持たせた場面構成。合間には、星組の下級生時代から共に時間を過ごしてきた陽月華、音花ゆり、鶴美舞夕とのトークやクイズコーナーも展開し、柚希のさまざまな“表情”を見せてくれる。オープニングでは映画のようなストーリー性のある映像とリンクさせる形で柚希が登場。オリジナル楽曲の『DIAMOND IS YOU』ではクールにカッコ良いダンスで魅せ、2月24日にリリースされたCD『R+』の収録ナンバー『REON JACK』ではキャストもペンライトを持ち、ノリノリのダンスを披露。客席を回り、ひとりひとりの顔を見ながらコミュニケーションを楽しむ。ダンスの振付もしてくれるので、一緒に踊ったり、3色に光るペンライトを事前に購入しておけば、より楽しめること間違いナシだ。また、蛍光色のカラフル&ド派手な衣裳をまとったシーンでポップに見せたかと思えば、タンゴではスタイリッシュかつセクシーに。タンゴダンサー、クリスティアン・ロペスと踊るシーンは、柚希自身の中でも「挑戦」と位置付けたもの。黒のスーツ&ハットでタバコをふかして男っぽく見せる曲がある一方で、深いスリットの入ったセクシーなドレスをまとい、しっとりと情熱的に踊る姿にはドキドキさせられる。さらにこの日は“A期間”のプログラムのため、宝塚時代に出演した『太王四神記』『オーシャンズ11』などから雰囲気の異なる楽曲を披露。後半では誰もが耳にしたことあるような楽曲やCD収録曲を使いながら、柚希の“今”を見せる。特に、最後に届けたバラード曲『希望の空』は、宝塚退団後の自身の思いがたっぷりと詰まった1曲。心を込めて歌い上げる声、そして、その心情を表す踊りにグッと心を掴まれた。“男役”という皮を脱ぎ、『プリンス・オブ・ブロードウェイ』出演を経て、アーティストとしての魅力がグンと増した柚希礼音。カッコ良くも美しく、ときにコミカルに自分らしく歌い踊り、イキイキと輝く姿に引き込まれた。囲み取材では、「お客様とコミュニケーションがとれる“REON”コンサートは、現役中からとても大切にしていた公演。場面ごとに全然違う“REON”をお楽しみいただきたいです」とコメント。そして「大阪は生まれ育った場所ですし、梅田芸術劇場は宝塚時代からたくさんの思い出が詰まった場所。宝塚時代の曲を歌っていると、ここでスタートできることが幸せだなと思います。熱い関西のお客様に囲まれて大盛り上がりで終え、東京公演につなげたいです」と意気込みを語った。公演は、3月11日(金)から17日(木)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて、3月26日(土)から4月11日(月)まで東京・東京国際フォーラム ホールCにて上演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2016年03月15日柚希礼音が、宝塚歌劇団退団後初のソロコンサート『REON JACK』を開催。3月10日、大阪・梅田芸術劇場メインホールで公開舞台稽古と囲み取材が行われた。「REON JACK」チケット情報シーンごとにテーマを持たせた場面構成。合間には、星組の下級生時代から共に時間を過ごしてきた陽月華、音花ゆり、鶴美舞夕とのトークやクイズコーナーも展開し、柚希のさまざまな“表情”を見せてくれる。オープニングでは映画のようなストーリー性のある映像とリンクさせる形で柚希が登場。オリジナル楽曲の『DIAMOND IS YOU』ではクールにカッコ良いダンスで魅せ、2月24日にリリースされたCD『R+』の収録ナンバー『REON JACK』ではキャストもペンライトを持ち、ノリノリのダンスを披露。客席を回り、ひとりひとりの顔を見ながらコミュニケーションを楽しむ。ダンスの振付もしてくれるので、一緒に踊ったり、3色に光るペンライトを事前に購入しておけば、より楽しめること間違いナシだ。また、蛍光色のカラフル&ド派手な衣裳をまとったシーンでポップに見せたかと思えば、タンゴではスタイリッシュかつセクシーに。タンゴダンサー、クリスティアン・ロペスと踊るシーンは、柚希自身の中でも「挑戦」と位置付けたもの。黒のスーツ&ハットでタバコをふかして男っぽく見せる曲がある一方で、深いスリットの入ったセクシーなドレスをまとい、しっとりと情熱的に踊る姿にはドキドキさせられる。さらにこの日は“A期間”のプログラムのため、宝塚時代に出演した『太王四神記』『オーシャンズ11』などから雰囲気の異なる楽曲を披露。後半では誰もが耳にしたことあるような楽曲やCD収録曲を使いながら、柚希の“今”を見せる。特に、最後に届けたバラード曲『希望の空』は、宝塚退団後の自身の思いがたっぷりと詰まった1曲。心を込めて歌い上げる声、そして、その心情を表す踊りにグッと心を掴まれた。“男役”という皮を脱ぎ、『プリンス・オブ・ブロードウェイ』出演を経て、アーティストとしての魅力がグンと増した柚希礼音。カッコ良くも美しく、ときにコミカルに自分らしく歌い踊り、イキイキと輝く姿に引き込まれた。囲み取材では、「お客様とコミュニケーションがとれる“REON”コンサートは、現役中からとても大切にしていた公演。場面ごとに全然違う“REON”をお楽しみいただきたいです」とコメント。そして「大阪は生まれ育った場所ですし、梅田芸術劇場は宝塚時代からたくさんの思い出が詰まった場所。宝塚時代の曲を歌っていると、ここでスタートできることが幸せだなと思います。熱い関西のお客様に囲まれて大盛り上がりで終え、東京公演につなげたいです」と意気込みを語った。公演は、3月11日(金)から17日(木)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて、3月26日(土)から4月11日(月)まで東京・東京国際フォーラム ホールCにて上演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2016年03月15日元宝塚歌劇団月組トップスターで女優の紫吹淳が、エンターテイナーの玉野和紀が作・演出・振付を手掛けるSHOW HOUSE『GEM CLUB(ジェムクラブ)』に出演する。最近では、セレブ感覚にあふれつつも、天然の浮世離れしたキャラクターが受け、バラエティー番組でも引っ張りだこの紫吹。「街を歩いていて、『あ、何もできない人だ』と声をかけられる。テレビって怖いですね(笑)。ちょっと違うんですよ!というところを見てほしい」と舞台にかける思いを語ってくれた。SHOW HOUSE『GEM CLUB』チケット情報2003年から10回にわたりダンスやコメディなどが満載のエンターテインメントショー『CLUB SEVEN』を作り続けてきた玉野が、その要素を引き継ぐ新しいショーとして『GEM CLUB』を立ち上げる。若者たちが集まるショーハウスを舞台に、玉野がその総支配人、紫吹はオーナー役を務める。「玉野さんが私にあて書きしていらっしゃるので、厳しいながらも温かくておとぼけな人。スターを目指す若者たちの後押しをする母親的な存在です。普通のショーとは違い、泣ける場面やコメディなども盛り込まれた作品なんです」。紫吹が得意とするダンスや歌にも注目だ。「これだけ多くのダンスを披露するのは久しぶり。若い男の子たちをとっかえひっかえして踊るタンゴでは、宝塚時代はリフトをしていたのに、される側。『こうやって私を支えて』と伝授できるのは嬉しいですね」。また、ラップを歌い踊るシーンもあるという。「ラップはお経にしか聞こえなくて全然分かんないんです(笑)。そのノリを若い方々に教えてもらいたい。頑張っていますよ、もう47歳なのに(笑)。宝塚時代では、どうしたらきれいに見えるかを常に追求していて、以前ヒップホップを踊ったら、きれいすぎると言われたことがあるんです。崩すところも追求するのがヒップホップだと。玉野さんは、ジャンルを問わずダンスをおもちゃみたいな感覚で捉えられている方。苦手なラップやヒップホップを違う視点で見て踊れたら」「料理を一度もしたことがない」「洗濯を最近初めてした」などテレビで公言し、宝塚時代とは異なったキャラクターを確立している。「役者なので、舞台では役を“降ろして”作って演じています。でもバラエティーは素で、何の計算もしていない。私の何が面白いのか全然分からなくて、何で番組に呼ばれるかも分からないんですよ(笑)」と至っておおらかに答える。しかし、宝塚時代から、誰かに似ているのではなく、自身の個性を出すことにこだわってきた。「バラエティーで少しずれちゃった気もしますが(笑)、私というオンリーワンを貫いてきたことに後悔はない。この舞台で若い俳優と玉野さんと共に、新たな扉を開ける瞬間を見ていただきたいですね」公演は、3月19日(土)から4月1日(金)まで東京・シアタークリエ、4月8日(金)から10日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼ、4月11日(月)愛知・愛知県芸術劇場 大ホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:米満ゆうこ
2016年03月14日元宝塚歌劇団月組トップスターで女優の紫吹淳が、エンターテイナーの玉野和紀が作・演出・振付を手掛けるSHOW HOUSE『GEM CLUB(ジェムクラブ)』に出演する。最近では、セレブ感覚にあふれつつも、天然の浮世離れしたキャラクターが受け、バラエティー番組でも引っ張りだこの紫吹。「街を歩いていて、『あ、何もできない人だ』と声をかけられる。テレビって怖いですね(笑)。ちょっと違うんですよ!というところを見てほしい」と舞台にかける思いを語ってくれた。SHOW HOUSE『GEM CLUB』チケット情報2003年から10回にわたりダンスやコメディなどが満載のエンターテインメントショー『CLUB SEVEN』を作り続けてきた玉野が、その要素を引き継ぐ新しいショーとして『GEM CLUB』を立ち上げる。若者たちが集まるショーハウスを舞台に、玉野がその総支配人、紫吹はオーナー役を務める。「玉野さんが私にあて書きしていらっしゃるので、厳しいながらも温かくておとぼけな人。スターを目指す若者たちの後押しをする母親的な存在です。普通のショーとは違い、泣ける場面やコメディなども盛り込まれた作品なんです」。紫吹が得意とするダンスや歌にも注目だ。「これだけ多くのダンスを披露するのは久しぶり。若い男の子たちをとっかえひっかえして踊るタンゴでは、宝塚時代はリフトをしていたのに、される側。『こうやって私を支えて』と伝授できるのは嬉しいですね」。また、ラップを歌い踊るシーンもあるという。「ラップはお経にしか聞こえなくて全然分かんないんです(笑)。そのノリを若い方々に教えてもらいたい。頑張っていますよ、もう47歳なのに(笑)。宝塚時代では、どうしたらきれいに見えるかを常に追求していて、以前ヒップホップを踊ったら、きれいすぎると言われたことがあるんです。崩すところも追求するのがヒップホップだと。玉野さんは、ジャンルを問わずダンスをおもちゃみたいな感覚で捉えられている方。苦手なラップやヒップホップを違う視点で見て踊れたら」「料理を一度もしたことがない」「洗濯を最近初めてした」などテレビで公言し、宝塚時代とは異なったキャラクターを確立している。「役者なので、舞台では役を“降ろして”作って演じています。でもバラエティーは素で、何の計算もしていない。私の何が面白いのか全然分からなくて、何で番組に呼ばれるかも分からないんですよ(笑)」と至っておおらかに答える。しかし、宝塚時代から、誰かに似ているのではなく、自身の個性を出すことにこだわってきた。「バラエティーで少しずれちゃった気もしますが(笑)、私というオンリーワンを貫いてきたことに後悔はない。この舞台で若い俳優と玉野さんと共に、新たな扉を開ける瞬間を見ていただきたいですね」公演は、3月19日(土)から4月1日(金)まで東京・シアタークリエ、4月8日(金)から10日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼ、4月11日(月)愛知・愛知県芸術劇場 大ホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:米満ゆうこ
2016年03月14日元宝塚歌劇団トップスターの霧矢大夢が一人芝居に初挑戦する。作家スコット・F・フィッツジェラルドの妻・ゼルダの生涯を描いた『THE LAST FLAPPER』(4月、東京・赤坂RED/THEATER)でゼルダを演じる。舞台『THELAST FLAPPER』チケット情報米国の劇作家ウィリアム・ルースが書いた一人芝居シリーズの代表作である本作は、ジャズエイジのシンボルとして社交界の花形でありながら、繊細な内面を持て余し狂気に落ちていくゼルダの波乱の人生を描いた作品。奔放に力いっぱい生きたゼルダの姿を通して、現代にもつながる多彩な女性の生き方、生命力を提示する。演出は、蜷川幸雄の演出助手を務める大河内直子が手掛ける。霧矢と大河内は、読売演劇賞優秀女優賞を受賞した2014年のミュージカル『I DO!I DO!』でもタッグを組んだコンビ。本作にかける意気込みについて、霧矢からコメントが寄せられた。「初めての一人芝居で、未知な世界に挑戦する気持ちです。今はまず、膨大なセリフと、格闘しています。ゼルダが語りながら、自分の生涯を振り返っていく物語です。ひとりの女性の一生を表現するというのは、エネルギーも使うし、ゼルダと自分がどれだけ歩み寄れるか、不安もありますが、その分、挑みがいもありますね。生ピアノでの音楽も楽しみです。南部の厳しい家庭に生まれた令嬢が、ジャズエイジの象徴の破天荒なフラッパーになっていく。ゼルダは、しばられずに、自由を求めて生きた女性。彼女の持つ激しさ、スコットとの恋愛模様に加え、世間の持つゼルダのイメージとは違う柔らかな少女のような部分など、いろんな姿をお届けしたいですね。そして、精一杯生きたゼルダの中に流れる、だれもが共感できる人間らしさを表現していければと思っています」公演は4月6日(水)から13日(水)まで東京・赤坂RED/THEATERにて。なお、前売チケット好評につき、11日(月)18:30の回に急遽追加公演が決定。追加公演のチケットは2月27日(土)10時より発売開始。
2016年02月25日元宝塚歌劇団トップスターの霧矢大夢が一人芝居に初挑戦する。作家スコット・F・フィッツジェラルドの妻・ゼルダの生涯を描いた『THE LAST FLAPPER』(4月、東京・赤坂RED/THEATER)でゼルダを演じる。舞台『THELAST FLAPPER』チケット情報米国の劇作家ウィリアム・ルースが書いた一人芝居シリーズの代表作である本作は、ジャズエイジのシンボルとして社交界の花形でありながら、繊細な内面を持て余し狂気に落ちていくゼルダの波乱の人生を描いた作品。奔放に力いっぱい生きたゼルダの姿を通して、現代にもつながる多彩な女性の生き方、生命力を提示する。演出は、蜷川幸雄の演出助手を務める大河内直子が手掛ける。霧矢と大河内は、読売演劇賞優秀女優賞を受賞した2014年のミュージカル『I DO!I DO!』でもタッグを組んだコンビ。本作にかける意気込みについて、霧矢からコメントが寄せられた。「初めての一人芝居で、未知な世界に挑戦する気持ちです。今はまず、膨大なセリフと、格闘しています。ゼルダが語りながら、自分の生涯を振り返っていく物語です。ひとりの女性の一生を表現するというのは、エネルギーも使うし、ゼルダと自分がどれだけ歩み寄れるか、不安もありますが、その分、挑みがいもありますね。生ピアノでの音楽も楽しみです。南部の厳しい家庭に生まれた令嬢が、ジャズエイジの象徴の破天荒なフラッパーになっていく。ゼルダは、しばられずに、自由を求めて生きた女性。彼女の持つ激しさ、スコットとの恋愛模様に加え、世間の持つゼルダのイメージとは違う柔らかな少女のような部分など、いろんな姿をお届けしたいですね。そして、精一杯生きたゼルダの中に流れる、だれもが共感できる人間らしさを表現していければと思っています」公演は4月6日(水)から13日(水)まで東京・赤坂RED/THEATERにて。なお、前売チケット好評につき、11日(月)18:30の回に急遽追加公演が決定。追加公演のチケットは2月27日(土)10時より発売開始。
2016年02月25日宝塚歌劇団月組公演『NOBUNAGA<信長>-下天の夢-』『Forever LOVE!!』の制作発表が2月15日、都内にて行われた。本作は月組トップスター龍真咲のサヨナラ公演。会見では、宝塚のテーマでもある“夢”と“愛”を、龍と月組メンバーが一丸となって描き出す意気込みが語られた。2012年から月組トップスターとして数々の舞台で主演を務めている龍。宝塚歌劇団創立100周年という大きな節目であった2014年4月時点のトップとして、大いに劇団を盛り上げたひとりである。5つある組のうち、この時トップを務めていたほかのスターたちはすでに退団しているため、龍は最後の“100周年トップスター”。また今回の月組公演はかんぽ生命が協賛につき、<簡易生命保険誕生100周年 かんぽ生命 ドリームシアター>と銘打たれていることから、小川友次 歌劇団理事長が「(龍は)100周年の申し子のような気がする(笑)。ツキを持った月組のトップ」とコメント。それに呼応するように、龍本人も「100周年の申し子の名に恥じぬように最後まで責務をまっとうしたい」と意気込んだ。公演は芝居とショーの2本立てで、前半は戦国乱世を駆け抜けた織田信長を主人公にした『NOBUNAGA』。「単純に織田信長を演じてみたかったんです。ただ、彼が抱いた天下統一という夢は、私が宝塚歌劇に入ってひとつの夢を成し遂げるラストには相応しいのでは」と龍。様々な愛の形を綴るショー『Forever LOVE!!』については「宝塚で15年やってきましたが、私がテーマとしてきたものは、ハートであり愛でした。愛を形にするのはとても難しいですが、私たちが宝塚の舞台で演じることで、決して見ることのできない“愛”を、最後に皆さまにどのようにプレゼントできるのかと考えて、今からとてもワクワクしています」と話した。会見には月組トップ娘役・愛希れいか、男役スター珠城りょう、凪七瑠海、美弥るりからも出席。「全身全霊でしっかり龍さんについて頑張っていきたい」(愛希)、「本当に寂しい思いですが、最後まで龍さんの背中を追い続け、支え、龍さんの愛を感じ、龍さんに自分の愛を伝えながら演じたい」(珠城)、「いま月組は龍さんを中心としたいいピラミッドが出来ていますので、それを最後まで支え続け、お屋形さま(信長役の龍)についてきたい」(凪七)、「自分の演じる秀吉は、懐で草履を温めて信長様に差し出したというエピソードがあります。真咲さんは大人気なので、みんなで草履の争奪戦になると思いますが、秀吉として一番に草履を奪い、毎日温めて差し出したい」(美弥)と、それぞれ龍のさよなら公演への思いを語っていた。公演は6月10日(金)から7月18日(月・祝)まで兵庫・宝塚大劇場、8月5日(金)から9月4日(日)まで東京宝塚劇場にて。チケットは兵庫公演が5月7日(土)、東京公演が7月3日(日)に一般発売を開始する。
2016年02月16日宝塚歌劇団星組の次回作の制作発表が2月8日、宝塚バウホールにて行われた。今回上演するのは、名曲の数々で彩られるオペレッタの傑作『こうもり』をミュージカル化した『『こうもり』…こうもり博士の愉快な復讐劇…』と、星組の魅力を余すところなく見せるショー・スペクタキュラー『THE ENTERTAINER!』。会見では最初にトップスター・北翔海莉(ほくしょう・かいり)、トップ娘役・妃海風(ひなみ・ふう)、紅ゆずるがパフォーマンスを披露。トップコンビが滑らかなハーモニーを聴かせたり、思わず身体が揺れるアップテンポの爽快な楽曲で楽しませてくれた。宝塚歌劇星組『『こうもり』…こうもり博士の愉快な復讐劇…』/『THE ENTERTAINER!』のチケット情報『こうもり』の作・演出を手掛けるのは谷正純。2013年にオペレッタとして有名な『メリー・ウィドウ』を谷がミュージカル化し、北翔主演で上演した際、北翔が「今度は『こうもり』をやってみたい」と谷に話したことが上演に繋がった。「夢を叶えていただいて、本当に光栄です。私が演じるのは物理学者のファルケ博士で、計算違いのない愉快な復讐劇を繰り広げていきます。いつもの発声とは異なるクラシックな発声で、なおかつ歌の中できちんとストーリーをお伝えすることを大切にして取り組み、お客様に楽しんでいただける作品にしたい」と北翔。相手役の妃海はアイゼンシュタイン公爵家に仕えるメイド・アデーレ役だが、ファルケ博士との恋模様も描かれる。「本格的なオペレッタは初めてですので、大きな課題だと思っています。初日までにハッピーな気持ちで演じられるように日々全力で取り組みたい」とコメント。そしてファルケ博士にさまざまな復讐を仕掛けられるアイゼンシュタイン公爵役の紅は「復讐を仕掛けられていることに気付かず、欲望のままに動く楽しいおじさんの役です(笑)。周りの状況にうまく巻き込まれていきたい」と語った。また、第2幕は作・演出家、野口幸作の大劇場デビュー作で、北翔主演の星組にとって初めての大劇場ショー作品。そして、102期生の初舞台公演でもある。「トップハット、羽根扇、大階段といった王道アイテムを詰め込んだプロローグ、初舞台生のロケット、盆やセリを使った100人以上の大スペクタクルな人海戦術。北翔のマルチぶりを見せる歌、ダンス、笑い、楽器演奏、他にも…」と、とめどなく出てくる野口の構想を聞くだけでも期待が高まる。そして野口の「初舞台生に対する応援歌を紅に歌ってもらう」という言葉を受け、紅は「初舞台を踏んだときの初心を、ここでまた思い出せるのではないかなと思っています。初舞台生への応援歌を自分自身に向けても歌いたいと思います」と語った。兵庫・宝塚大劇場公演は3月18日(金) ~ 4月25日(月)まで。チケットは発売中。また、東京宝塚劇場公演は5月13日(金) ~ 6月19日(日)まで。チケットは4月10日(日)より一般発売開始。取材・文:黒石悦子
2016年02月15日シリーズ売上累計5900万部以上を誇る、和月伸宏原作の大ヒットコミック『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』が、小池修一郎脚本・演出により宝塚歌劇団雪組で初のミュージカル化。2月5日、兵庫・宝塚大劇場で幕を開けた。宝塚歌劇雪組『るろうに剣心』チケット情報幕末に“人斬り抜刀斎”として恐れられ、明治維新後は“不殺”を誓って生きる剣客・緋村剣心と、彼を取り巻く人たちの物語。流浪の旅を続ける剣心が、“偽・人斬り抜刀斎”を追う神谷活心流の師範代・神谷薫と出会い、彼女と共に騒動を鎮火。剣心は神谷道場に居候することになり、新時代を生きるさまざまな人々と関わりを持つようになる。そんな中、かつて幕末の京都で対峙した元・新撰組隊士、加納惣三郎と再会して…。宝塚歌劇では、惣三郎をオリジナルキャラクターとして取り入れ、物語をドラマチックに展開している。トップスター・早霧せいなを中心に、娘役トップ・咲妃みゆ、二番手男役・望海風斗ら芝居巧者がそろう雪組。これまでに『ルパン三世』でもアニメが原作のキャラクターものに挑戦。アニメから抜け出てきたかのような演技で大反響を得た他、和物のオリジナル作品『星逢一夜』では、観客の胸をグッと締めつける繊細な芝居で大好評を博した。そんな雪組が挑む『るろうに剣心』は、個性あふれるビジュアルや軸となる人物像に、宝塚歌劇らしい華やかさや恋愛のトライアングルが合わさり、原作ファンも、宝塚ファンも楽しめるものに仕上がっている。剣心のスピーディーで軽やかな立ち回りのカッコ良さは秀逸で、早霧の美しい佇まいも相まって、幕開きから観る者を惚れぼれさせる。一方で、薫との微笑ましい掛け合いは漫画そのもの。また、剣心と行動を共にすることになる相楽左之助(鳳翔大)と出会うシーンでは、拍子木を使い、見得をする歌舞伎仕立ての演出も取り入れて楽しませてくれる。咲妃はふんわりと可憐な雰囲気の娘役だが、舞台に立つと一変するスター。本作では漫画に忠実に、芯の通った一本気な女性を演じ、高い歌唱力でも魅せる。望海演じる惣三郎は、明治維新後、フランス貿易商を営む男。クールで陰のある雰囲気が望海にピッタリとハマる役柄で、剣心と惣三郎が相見えるクライマックスも迫力たっぷりに見せてくれる。他、彩風咲奈、彩凪翔、大湖せしる、鳳翔大らも、原作のキャラクターにしっかりと寄り添いながら演じ、脇を固めている。今回は1本物のため、フィナーレはギュッと凝縮したものに。望海のソロからはじまり、娘役によるロケット、大人っぽくクールな男役の群舞、デュエットなどを展開。本公演で、また雪組の底力を見せつけられた。兵庫・宝塚大劇場公演は3月14日(月)まで。東京宝塚劇場では4月1日(金) から 5月8日(日)まで上演される。東京公演のチケットは2月28日(日)より一般発売開始。取材・文:黒石悦子
2016年02月12日今、宝塚歌劇団雪組が一本立ての大劇場公演『るろうに剣心』の稽古に励んでいる。緋村剣心を演じる雪組トップスター・早霧せいな。和月伸宏氏の大ヒットコミック「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」の初ミュージカル化に向け、「ひとつのことに集中してしまう性分」で剣心一色の日々を送っている。宝塚歌劇雪組『るろうに剣心』チケット情報「剣心はお茶目な部分と人斬り抜刀斎と恐れられていたクールな部分とがあり、そのバランスをどうとるか試行錯誤中。やはり原作に忠実でいたい、というのが一番の目標です」。脚本・演出の小池修一郎は妥協を許さない。「久しぶりに小池先生とご一緒して、こんなに転んだりジャンプしたり、稽古場で実演して下さる先生だったかなと驚きました(笑)。先生の熱い思いが伝わってくるので私も負けていられません! 今回初めて曲のカウントに合わせての立ち回りや歌舞伎調の立ち回りにも挑戦。小道具とはいえ先の尖ったものを向け合うので、気が抜けず、神経を張っています」。明治初期の東京下町、流浪人となった緋村剣心の前に様々な人物が現れる。今作では新選組隊士・加納惣三郎(望海風斗)というキャラクターが新たに書き加えられた。「惣三郎が登場することで幕末の部分が広がりました。明治になると彼は政治面でもボス的な存在で、剣心と神谷 薫との仲を裂く黒い設定になっています」。恋愛でも絡むタカラヅカ的な役どころが加わり、アニメや実写映画版とも違うものに。「剣心が歌っているのだから、もうそこで別ものだとふっきれました(笑)。ただ、アニメだとカット割りができる。原作では剣心の丸い大きな目が、(つり上がって)ギンッとなるのを舞台でどう見せるか。一瞬後ろを向いて目にテープを張るわけにもいかないですし」と豪快に笑う。昨年ルパン三世を好演した早霧だけに勝算はある。「漫画が原作の作品を演じることが多かったので、そのときの勘を信じてやっていきたい。やはり大切なのは内面です」。制作発表会で原作者を感服させたビジュアルに加え、彼女の根底にある明るさと芝居心で大作を成功へと導くはずだ。「『るろうに剣心』では“悪”のキャラクターもみんな信念があり、過去の自分と闘っている。その筆頭に剣心がいて、身近な仲間とのささやかな幸せや笑顔を求めて生きています。そういう剣心の生き様をきちんとお見せしたい」。過去のトラウマと笑顔…。観客の胸を焦がす新たなヒーローが誕生する。公演は宝塚大劇場にて2月5日(金)から3月14日(月)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は4月1日(金)から5月8日(日)まで。2月28日(日)より一般発売が開始される。取材・文:小野寺亜紀
2016年01月27日宝塚歌劇団が1987年の初演より上演を重ねる人気作『ME AND MY GIRL』が、明日海りお率いる花組で今年、上演される。ロマンチックでハッピーなストーリーと、『ランベス・ウォーク』など数々の名曲で知られる、ロンドン生まれの名作ミュージカル。1月22日、その制作発表会見が都内にて開催され、出演者らが意気込みを語った。宝塚歌劇花組『ME AND MY GIRL』チケット情報物語は、1930年代のイギリスを舞台に、伯爵家の跡継ぎだと判明した下町育ちの青年・ビルが、一人前の紳士に成長するまでの過程を、恋人サリーとの恋物語を絡めて描いていくもの。これまで剣幸、天海祐希、瀬奈じゅんら、錚々たるスターたちが演じてきたビルに挑むのは、花組トップスター明日海りお。明日海は、2008年の月組公演で本作に出演しており、新人公演(公演期間中に1日のみ、入団7年目までの若手だけで本公演とほぼ同じ内容の公演を行う、宝塚伝統の上演形態)では主人公のビルを演じている。明日海はその時のことを「とてもとても、楽しかった思い出」と語り、その理由を「やはりビルという人がとても素敵で、今まで演じてきた役の中で一番理想に近い。とても温かく、芯がまっすぐで、そしてサリーへの愛がすべて。彼のふざけているようでいて、とても誠実なところが大好きだったので、また出会えることがすごく幸せ。『ME AND MY GIRL』は夢の世界ですので、お客さまに「『ME AND MY GIRL』には変わらないハッピーがあり、ハートが飛んでいるな」と感じてもらえたら」と笑顔で話した。会見では明日海をはじめ、トップ娘役の花乃まりあ、二番手男役の芹香斗亜ら花組メンバーが劇中ナンバーを歌うパフォーマンスも披露し、会見場を盛り上げた。花乃は「今日歌わせて頂いた主題歌『ミー&マイガール』の歌詞にある「ふたりの愛、ハッピー」というところが、印象的で素敵。“ふたりの愛、ハッピー”を大切に演じていきたい」と話し、ジョン卿とジェラルドというタイプの異なる二役を役替りで演じる芹香は「いままでたくさんの上級生が演じてきた役ですが、それをプレッシャーに感じず、楽しんで演じていけたら」と意気込みを。そして演出を担当する三木章雄は「今回、明日海りおという、今絶好調のスターが演じるビルが登場する。大変期待しています」と話した。公演は、4月29日(金)から6月6日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、6月24日(金)から7月31日(日)まで東京宝塚劇場にて上演される。チケットは兵庫公演が3月26日(土)、東京公演が5月22日(日)に一般発売開始予定。なお、公演に先立ち、花組出演者に加え、剣幸、こだま愛、麻乃佳世、彩乃かなみら、過去本作に出演した顔ぶれを特別ゲストを迎えて贈る『ME AND MY GIRL 前夜祭』の開催も決定。こちらは4月8日(金)に宝塚大劇場にて行われる。
2016年01月25日