元宝塚歌劇団・雪組トップスター早霧せいなが、退団後初主演そして初の女性役をつとめるミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』の公開稽古が行われた。作品は1981年にブロードウェイで上演され、トニー賞4冠に輝いたミュージカルコメディだ。早霧演じるテスにひと目惚れして、のちに結婚する夫サムを相葉裕樹が、テスの運命を変える男アレクセイを宮尾俊太郎(Kバレエ カンパニー)が演じる。主人公のテスはバリバリのキャリアウーマン。サムと運命的な出会いを果して結婚するが、テスは仕事まっしぐらで早くも離婚危機に陥ってしまう。猪突猛進なテスに振り回される夫。「サムは庶民代表。共感してもらえるんじゃないかな」(相葉)この日披露されたのは3曲。仕事と家庭を両立し女性たちの憧れの的であるテスだが、1曲目の『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』ではケンカ中の夫のサムへの恨みを込め熱唱。勝気なテスに対して、2曲目の楽曲『戻らない時間』ではサムがテスとすれ違う切なさを囁く。対照的なふたりの様子が披露された。3曲目『女だけど男』は、サムの仕事仲間たちが登場。敵対していたテスを受け入れる賑やかな楽曲で、早霧演じるテスは「男には負けない!私は女だけど男!」と男たちの中心に立つ。使用される楽曲は1980年代に発表されたものが中心で、どれも華やか。作詞作曲はジョン・カンダー&フレッド・エッブによるもので、これまでに『シカゴ』『キャバレー』『蜘蛛女のキス』など数多くのミュージカルで耳に残る楽曲を生み出し多くの人を魅了してきた。「楽しいナンバーが多い。全曲堪能できるお客様がうらやましい」(早霧)と歌う姿も楽しそうだ。ダンスシーンも多く「こんなに歌いながら踊るなんて」(宮尾)と本人は驚いた様子だが、“バレエ王子”宮尾の踊りも堪能できる。早霧は宝塚退団後、初めて女性役を演じるが「男でも女でも、自分と違う人であることは同じ」と、性別にこだわらずひとりの人間として役作りに挑む。見どころは「ひとりの男性と出会い、仕事と家庭の両立をはかりながら、どうテスが変わっていくのか」(早霧)。30年近く前の作品だが、仕事に人生を注ぐ女性の増えた現代により強く共感できるパワフルなミュージカルだ。公演は5月19日(土)から27日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、6月1日(金)から10日(日)まで東京・TBS赤坂ACTシアターで上演される。取材・文:河野桃子
2018年05月09日元宝塚歌劇団のスターと、音楽大学出身の男性ヴォーカル・グループ、LE VELVETS(ル ヴェルヴェッツ)が共演を果たす『SHOW STOPPERS!!』。『オペラ座の怪人』『レ・ミゼラブル』など有名な作品を中心に、歌とダンスでおくる今作について、稽古開始間もない元雪組トップスター・壮一帆に話を聞いた。「SHOW STOPPERS!!」チケット情報壮は『GEM CLUBⅡ』で、力強い歌声から粋な男役ダンスまで多彩なパフォーマンスを披露したばかり。「現役時代とは違う私の姿をお客様も楽しく観てくださり良かったです。身体もどんどん慣れましたし、この感覚が冷めないうちにまた全然雰囲気の違うショーに出る事が出来るのは嬉しいです」近年ミュージカルでも大活躍のLE VELVETSとは初共演。「デュエットもあり早速音合わせをしましたが、素敵な歌声でドキドキしちゃいました。今回は必然的に女性パートを歌うのですが、デュエットのバランスの為にキー調整が難しい事や、男役時代にはメロディラインを歌うことが多かったので、はもり慣れておらず、今は必死です」と打ち明ける。重厚な歌声が印象的なLE VELVETSだが、宮原浩暢は水泳のジュニアオリンピックで活躍、佐藤隆紀は剣道2段と意外な一面も。「え!? それは頼もしいですね。私剣道初段だから負けたー! 体育会系だったらすぐ打ち解けられそうで楽しみです」と明るく笑う。「第1幕では『ハロー・ドーリー!』などジェリー・ハーマンの曲を、2幕は女優になったからこそ歌わせて頂く事が出来る曲を歌わせていただきます。王道ミュージカルのナンバーでは“ヒャホ!”となりますね」と肩をすくめ、壮流に喜びを表現する。「自分の中でまだ納得できていない高いキーのボイスを、いかにお聴かせ出来るか課題です。『男役で歌ってほしい』と言われているところもあるので、両方の声を使い分け芸のキャパシティを広げたいです」と意欲的だ。湖月わたるを筆頭とする男役OG(メインキャスト)の中では最下級生に。「今、元男役の方がどのように女優へと変化されているのか、自分自身も含め興味津々なので、間近で研究しちゃいそう。私は2番手時代に動物や悪人など色んな役をさせて頂き、退団後もまるで同じ運命のように、様々な役を経験させて頂いていますが、それを楽しんでいる自分がいます。ファンの方も想像の斜め上をいく姿を(笑)、楽しみにしてくださりありがたいですね」。そんな壮一帆というパーソナリティを、ショーでは常に意識したいと話す。「目上の方への礼節は忘れず、宝塚の時以上に一個人として輝きたい」。女優として舞台人として、さらにステップアップした姿を見られるに違いない。6月1日(金)から8日(金)まで東京国際フォーラム ホールC、6月19日(火)から24日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。チケットは発売中。取材・文:小野寺亜紀
2018年04月25日宝塚歌劇団宙組が誕生20周年を迎えた今年、新トップコンビに真風涼帆(まかぜ・すずほ)、星風(ほしかぜ)まどかが就任。その大劇場お披露目公演『天(そら)は赤い河のほとり』『シトラスの風-Sunrise-』が、3月16日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。宝塚歌劇宙組『天(そら)は赤い河のほとり』『シトラスの風-Sunrise- ~Special Version for 20th Anniversary~』チケット情報第一幕の『天(そら)は赤い河のほとり』は、1995年から2002年まで『少女コミック』(小学館)で連載された篠原千絵の人気少女漫画をミュージカル化。紀元前14世紀、古代オリエントのヒッタイト帝国を舞台にした歴史ファンタジーで、国内外の覇権争いを、第三皇子カイル・ムルシリと現代からタイムスリップした女子高生・鈴木夕梨(ユーリ)の恋愛を絡めて描いた物語だ。さまざまな人間関係やエピソードを凝縮させ、スピーディーにテンポよく展開している。登場人物たちが歌い継ぎ、観客を物語の世界へと引き込むプロローグ。真風が扮するカイルは、知的で爽やかな佇まいで、古代のコスチュームもぴったりとハマっている。カイルとユーリが出会う序盤では、カイルの失脚を狙うナキアのたくらみを察知し、壁ドンでユーリを匿った後、軽々とお姫様抱っこをして去っていく…という漫画から飛び出してきたかのような美しさとカッコよさ、惚れ惚れするほどの包容力で魅せる。芹香斗亜(せりか・とあ)扮する、敵対するエジプト軍の隊長ウセル・ラムセスとの迫力ある立ち回りも見どころのひとつだ。ラムセスは一見軽い印象だが、自国への熱い思いを持った男で、芹香が緩急のバランスよく表現している。星風が演じるユーリは純粋で真っ直ぐ。華奢ながらも正義感にあふれ、敵にも臆することなく立ち向かっていく快活な少女を好演している。ほかにも、冷酷無比な黒太子マッティワザを演じる愛月(あいづき)ひかる、ナキアに仕える神官ウルヒ役の星条海斗(せいじょう・かいと)など、それぞれに存在感があり、漫画から抜け出たようなビジュアル、佇まいでも魅せる。第二幕は1998年の宙組誕生時に上演されたレビューで、誕生20周年を迎え、新場面を加えての上演となる。プロローグは、グリーン、ブルー、イエローなど、シトラスカラーの爽やかな衣装をまとった青年と娘たちがズラリ。テーマ曲を歌い継ぎながら、総踊りで華やかに幕開けする。本公演で退団する星条の見せ場、名場面「明日へのエナジー」、男役が白燕尾姿で踊る場面など、見どころたっぷりのロマンチック・レビューを展開している。真風を筆頭に、新生宙組の輝きを堪能できる『天(そら)は赤い河のほとり』『シトラスの風-Sunrise-』は、4月23日(月)まで兵庫・宝塚大劇場にて。東京公演は5月11日(金)から6月17日(日)まで東京宝塚劇場にて開催。東京公演のチケットは4月8日(日)発売開始。取材・文:黒石悦子
2018年04月03日現在、東京スカイツリー(R)では宝塚歌劇との限定タイアップ企画が開催中。「宝塚歌劇 in TOKYO SKYTREE(R)」と題された、この企画展。フロア350の天望デッキでは、今回のために撮り下ろした5組のトップスターの映像などが上映。さらに上の天望回廊に上がると、実際に舞台で使われた衣装や、100年以上に及ぶ宝塚歌劇団の歴史をひもとく展示なども充実。期間中には、カフェやショップで、ここだけの限定メニューやグッズの販売も。ファンならずとも興味深い企画になっている。美しい眺望とともに、宝塚の夢世界に足を踏み入れてみては。天望回廊 フロア445-450「宝塚歌劇 タカラジェンヌ◇輝きの軌跡展」と題し、天望回廊に向かう天望シャトル(エレベーター)から、歌劇を象徴する楽曲が流れ、気分を盛り上げる。回廊には、宝塚歌劇の魅力に迫る展示のほか、トップスターのパネルと撮れるフォトスポットも。天望デッキ フロア350窓ガラスを巨大スクリーンに仕立て、夜景をバックに映像を投影する「SKYTREE ROUND THEATER(R)」は、日没以降のお楽しみ。トップスターの撮り下ろしのダンスやメッセージに、各組の舞台映像をコラージュしたオリジナルスペシャル映像を上映。カフェやショップでも宝塚の世界を堪能!天望デッキの『SKYTREE CAFE』では、各組をイメージした限定カフェメニューを販売。天望回廊には『THE SKYTREE SHOP』特設ショップが開設され、ここでしか買えない限定グッズの販売も。宝塚歌劇をイメージした豪華な衣装をまとったソラカラちゃんグッズはファンなら欲しいアイテム。東京スカイツリー 天望デッキ、天望回廊東京都墨田区押上1-1-2開催中~5月13日(日)8:00~22:00(天望デッキへの入場~21:00。天望回廊は最終入場21:20)一般・天望デッキ2060 円、天望回廊1030円ほかTEL:0570・55・0634(9:00~20:00)※『anan』2018年3月14日号より。文・望月リサ(C)宝塚歌劇団(C)宝塚クリエイティブアーツ(C)TOKYO-SKYTREE
2018年03月13日元宝塚歌劇団雪組トップスター・壮一帆が、玉野和紀の作・演出・振付によるSHOW HOUSE『GEM CLUBⅡ』に出演する。2014年に宝塚歌劇団を退団し、2016年に女優デビュー。次々とミュージカルなどに出演し、昨年はソロライブを開催するなど、活動の幅を広げてきた。今作について、「最近はお芝居が続いていたので、久しぶりにショーができるのは楽しみ。私自身ディナーショーでは構成も考えるので、玉野さんの考え方が刺激になります」と声を弾ませる。SHOW HOUSE 「GEM CLUBⅡ」チケット情報今作は、10年以上の人気を誇る『CLUB SEVEN』シリーズの新機軸、多彩なジャンルの歌やダンス、コメディ要素の芝居などを盛り込んだショー・ミュージカルだ。壮は若い才能の原石(=GEM)が集まるショーハウスのオーナー役となり、若手キャストたちとも絡む。「私のディナーショーに出演してくれた木戸邑弥くん以外、初共演の方ばかりですが、私は人見知りしないのでなんのストレスもないです(笑) 。1回のステージに女性キャストはふたりしか出ないけど、“男性メンバーにも絶対に負けない!”という思いはあります」と、明るく話す。ショー形式となる2部では、今年公開の洋画のナンバーをソロで披露する予定。「とてもいい曲なので歌いこんでいきたい。今、高いキーの歌も頑張っているところで、シフトチェンジしているこの時期に、歌や踊りに挑戦できるのはありがたいです」。2016年に上演された第1弾の、名前順メドレーのようなメドレー場面もあるそうで、ノンストップのショーになるのは必至。玉野とのタップダンスのデュエットもあるという。タップの名手である玉野から、「そこまでできたら大丈夫」と太鼓判を押されたそうだが、タップは苦手意識があり、男役の時にショー『ON THE 5th』などで踊っていたものの特訓中だ。「玉野さんは本当に凄い!振付もハード! 『今の日本ではショーで公演を打つのは厳しいけど、僕はできる限りずっと続けたい』と仰っていたのが印象的です」と、尊敬の念を込める。宝塚時代もショーが好きだったと話す壮。もともと歌やダンスに定評があり、何より大らかな人柄が滲み出る存在感で魅了してきた。「大澄賢也さんが『踊りで人となりが見える』と仰っていたのですが、私も普通に話す以上に相手のことが見える、と感じます。だから今回も歌や踊りを通して共演させていただくみなさまとの交流を楽しみたいです。ライバルは自分。負けそうになっても打ち勝ち、人間性に磨きをかけたいです」3月16日(金)から18日(日)まで東京・THEATRE1010、3月24日(土)から4月5日(木)東京・シアタークリエ、4月14日(土)・15日(日)大阪・サンケイホールブリーゼ、4月18日(水)愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールにて上演。チケットは発売中。取材・文:小野寺亜紀
2018年03月09日ミュージカル『Romale ~ロマを生き抜いた女 カルメン~』の制作発表会見が2月14日、都内で開催された。主役のカルメンは、元宝塚歌劇団トップ娘役の花總まりが扮する。ホセ役は松下優也。ミュージカル「Romale」チケット情報オペラなどでもよく知られる物語だが、今回の舞台では、演出・振付の謝珠栄が新たな視点でカルメンを描くという。謝は「カルメンという女性の印象が強い物語ですが、私はホセとカルメンの愛の絆についてもっと知りたかった。またメリメの原作も“白人の男性から見たカルメン像”であって、女性の私から見るとカルメンはもっと違う女だったのではという疑問を抱きました。そのことがこの作品を作り出すきっかけ。情熱的で男を魅了する恋多き女の代名詞のように言われているカルメンですが、その光の部分ではなく影の部分、そして(虐げられながらも誇り高く生きる)ロマ族として生きた女・カルメンに焦点を当てたい」と創作意図を熱く語る。そのカルメンに扮する花總は1999年、宝塚時代に同じく謝が演出した『激情-ホセとカルメン-』でカルメンを演じ、好評を得ている。脚本・音楽は違えど同じ役に再び挑むことになるが「カルメンを知り尽くした謝先生と一緒に、もっと深く深く、カルメンという女性を作っていきたい」と意気込みを。またカルメンについては「すべてが魅力。その魅力をたくさん皆さまにお見せできるような作品にできれば。いい意味で皆様の期待を裏切りたいですし、期待通りのところにもいきたい」と話した。ホセ役にはNHK朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』栄輔役でも話題になった松下が抜擢された。この日は会見冒頭で劇中歌を花總とデュエットで披露、まずは「歌い終わってほっとしています」と心境を語る。そして「今回、このように素晴らしい役を演じさせていただくこと、すごく嬉しく思っています。このメンバーの中では一番若いので、自分で言うのは変ですが“若いパワー”で頑張っていきたい」と話した。さらに「役者人生初、ヒゲをはやしました。今回はドスケベな役。自分も少し前だったらホセのポジションだったんですが、こうやってヒーローからヒールにシフトチェンジしていくんですね」と語った伊礼彼方、「僕は根っからの悪役でヒーローをやったことがない」と迫力のメイク姿でボヤいたKENTAROらが場を盛り上げ、カンパニーの和気藹々とした空気感も伝わってくる会見だった。ほか、太田基裕、福井晶一、団時朗らが出演する。公演は3月23日(金)から4月8日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウス、4月11日(水)から21日(土)まで梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。チケットは発売中。
2018年02月15日宝塚歌劇団月組トップスター・珠城(たまき)りょうが、大劇場公演では珍しい現代の日本を舞台にしたミュージカルと、ストーリー仕立てのショーに挑む。「今の月組、そして私と愛希(まなき)のコンビだから冒険を、と思っていただけるなら、役者としてこれほど嬉しいことはありません」と目を輝かせる。【チケット情報はこちら】『カンパニー-努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-』は、伊吹有喜の小説「カンパニー」を舞台化。珠城は製薬会社の青年サラリーマンで、バレエ団への出向を命じられ、公演を陰で支えていく青柳誠二役だ。「彼はとても誠実で温かい人。自分の思うことをストレートに相手に伝え、その言葉に人々が背中を押され、救われてます」。そんな青柳に愛希れいか扮するバレリーナ・高崎美波は惹かれる。「宝塚歌劇ならではの作品と違い、登場人物も等身大。男性より女性の方が押しのある設定なのも新鮮で面白いです。ナチュラルな表現で大劇場の空間を埋めなくてはならないので難しいですが、とても勉強になります」と語る。華やかなバレエや、街の人々が急に踊り出すという原作でも印象的なフラッシュモブの場面も盛り込み、様々な悩みを抱えた人物のリアルな日常を描いている今作。「“全くの夢の世界”とは異なりますが、『うちの会社にも青柳さんいないかな』など、いつもと違う余韻に浸っていただけるのでは」。日常を懸命に生きる人々を描いた、温かさに満ちた作品になりそうだ。同時上演の『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』は、新進気鋭の演出家・上田久美子初のショー作品。全大陸が平和に統一された近未来の地球に、大悪党のバッディが月から乗り込む芝居仕立てのショーだ。珠城扮するバッディはクールなヘビースモーカーで、愛希扮するグッディ捜査官に追われるという異色の役柄。「悪役ですがコミカルな部分もあり、想像していたものとは全然違いました(笑)。みんなに追いかけられながらも楽しんで色々なことをする、その自由さを出せたら。公演ごとに様々な役柄を与えていただき光栄です。いつも想像をかき立てられる役者でいたいと思います」。トップスターに就任して約1年3か月、男役10年目の珠城は、「今自分がどんどん解放されていくのを感じています。基本伸び伸びとした気質なので(笑)、今年も新しいことに挑戦していきたい」と、充実感に溢れた笑顔を見せた。公演は兵庫・宝塚大劇場にて2月9日(金)から3月12日(月)まで。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は3月30日(金)から5月6日(日)まで開催。2月25日(日)より一般発売される。取材・文:小野寺亜紀
2018年01月26日宝塚歌劇団花組の『ポーの一族』が1月1日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。宝塚歌劇花組『ポーの一族』チケット情報『ポーの一族』は、漫画家・萩尾望都の代表作であり、漫画史上に残る不朽の名作。本作を「いつかミュージカル化したい」と夢見て宝塚歌劇団に入団した演出家・小池修一郎による、念願の舞台化だ。永遠に年を取らず生き永らえていくバンパネラ“ポーの一族”。人間であった主人公エドガー・ポーツネルが、唯一の肉親である妹・メリーベルを守るために一族に加わり、哀しみをたたえつつ仲間と共に時空を超えて旅を続ける物語。トップスター・明日海(あすみ)りお扮するエドガーが一輪の赤いバラを手に持って現れるプロローグ。漫画の雰囲気そのままの、美しくも妖しい、憂いを帯びた佇まいに引きつけられ、思わずため息がこぼれる。バンパネラの一族に育てられていることを知らず、メリーベルと共に無邪気に過ごしていた日常から一転、一族の儀式を覗き見し、自身の運命を悟るエドガー。バンパネラとなった後もその運命を受け入れられない思い、人間の血に反応してしまう身体、終わりのない命を持つことの哀しさ…。そのひとつひとつの感情を明日海は繊細に表現。血を吸う姿もゾクッとするほどになまめかしい。トップ娘役・仙名彩世(せんな・あやせ)が演じるシーラ・ポーツネル男爵夫人は、ポーツネル男爵との愛を貫き、婚約のために一族に身を捧げる女性。色気のある妖艶な佇まいで魅せる一方、エドガーの義母として、孤独なエドガーを優しく包み込む存在でもある。権力者の息子のアラン・トワイライトを演じる柚香光(ゆずか・れい)も作品の幻想的な世界観にナチュラルに溶け込み、複雑な環境の中で孤独に生きるアランを好演。傲慢な振る舞いの裏で見せる寂しさ、エドガーやメリーベルと出会ってからの変化を丁寧に見せている。宝塚歌劇だからこそ表現し得る神秘的な世界観。中でも、エドガーとアランのふたりが並ぶシーンは息を呑む美しさだ。エドガー、シーラ、アランのほか、華優希(はな・ゆうき)演じるメリーベル、瀬戸かずや演じるフランク・ポーツネル男爵など、すべてのキャラクターが漫画から抜け出してきたようなオーラを放つ。満を持して、小池修一郎と花組生が心血を注いで作り上げた『ポーの一族』。その世界にどっぷりと浸ってほしい。公演は、2月5日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、2月16日(金)から3月25日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。宝塚大劇場では枚数限定で当日券を販売。ご観劇当日の10:00(11:00公演実施日に限り9:30)からおひとり様1枚、先着順で販売いたします。詳細は劇場ホームページ(まで。
2018年01月18日戦後の大スター・越路吹雪の波乱万丈の人生を綴る、帯ドラマ劇場「越路吹雪物語」が、1月8日(月・祝)より放送スタート。この度、そのナレーションを同じく宝塚歌劇団で男役トップスターとして活躍した真矢ミキが務めることが決定した。今回、ドラマのナレーション初挑戦となる真矢さんは、「非常に光栄です。台本が面白く、自分がナレーションだということを忘れて一気に読んでしまいました」とコメント。また、ナレーションを担当する上で最も大切にしたのは、“ヒロインへの愛しい思い”だそうで、「人よりも何十倍も何百倍も好奇心いっぱいな少女時代の越路さんが、本当にかわいらしくて…。そんな愛しさや温もりを込めて読みたいなと思いました。戦争が影を落とす時代の物語でもあるので、歴史的な事実については感情をこめずに淡々と読むべきなのかもしれませんが、越路さんの熱、明るさ、力が感じられるようにナレーションを入れたいなと考えました」と語り、収録中は監督と声のトーンについて確認しあいながら、作品のナビゲーションを務めたという。宝塚退団後、しばらく不遇の時代があったと言う真矢さん。そのとき越路さんの活躍にヒントを求め、越路さんの映像を借り集めて片っ端から鑑賞したそう。「好きすぎて困る越路さんを、これまた大好きな大地さんが演じられるなんて…本当に困ってしまいます。ナレーションを担当するのに当たって第1話を拝見しましたが、冒頭のステージシーンからたまらない空気が流れてきました!」と興奮気味に語る。ドラマの見どころについては、「越路吹雪さんをご存知の方もそうでない方も、古きよき時代にこういうスターが存在したという“灯”が心にともると、とても楽しいと思います。時代によってスターは変わっていくのでしょうが、“不動とはこのことよ”という力強さが感じられますし、どんな時代もパイオニアとして発信してきた人は魅力的。そういうことがひとりでも多くの皆さんに伝わると思うとうれしくて仕方がないですね。いま私の心は、少女時代の越路さんのように躍っています!」とコメントを寄せている。ドラマは、昭和の歌姫・越路吹雪(本名・河野美保子、愛称“コーちゃん”)がたどった波乱万丈の人生と、盟友の作詞家・岩谷時子との濃密な友情を綴っていく物語。“落ちこぼれ”といわれた宝塚時代、生涯の友・時子との運命的な出会い、戦争を乗り越えた2人が新しい歌の世界を切り拓き、二人三脚でトップスターへと駆け上がっていく軌跡。昭和という激動の時代を背景に、誰もが耳にしたことのある名曲の数々をちりばめながら、華やかなるものの“光と影”を紡いでいく。そんなヒロイン・越路さんの青年期を瀧本美織が、絶頂期を大地真央が演じる。帯ドラマ劇場「越路吹雪物語」は1月8日(月・祝)より毎週月~金曜日12時30分~テレビ朝日にて放送。再放送は毎週月~金曜日7時40分~BS朝日にて放送。(cinemacafe.net)
2018年01月05日漫画史上に燦然と輝く萩尾望都の『ポーの一族』が、宝塚歌劇団花組によって初ミュージカル化される。トップスターの明日海りおは、永遠の時を生きるバンパネラのエドガー・ポーツネル役。「エドガーは巻き毛と青い瞳が印象的。舞台の照明が当たるとどんな効果があるかを考えて、舞台メイクにもこだわりたいです」と、ビジュアルから徹底し役作りに励んでいる。宝塚歌劇花組『ポーの一族』チケット情報『ポーの一族』は1972年に第1作目が登場、2016年に40年ぶりの新作が発表され話題となった名作漫画。人間だったエドガーは唯一の肉親である妹を守るためバンパネラ“ポーの一族”に加わり、時空を超えて旅をする。「周りに理解してもらえない苛立ちや孤独感が彼にはあり、演じていて人恋しさも湧いてきます。少年でありながらふとした表情で人を惹きつける圧倒的なオーラや、物事を達観しているところも。そのような独特の雰囲気を醸し出せたらと思います」と話す。漫画が原作だけに声や動きひとつまで悩む日々。「常にイマジネーションが途切れないよう漫画を読み返し、この角度のほうがきれいに見えるんだ、など役作りのヒントにしています。血を吸う場面はドラマティックに美しく、セクシーにみえるように小池先生にご指導いただいています」。30年以上舞台化を夢見ていた演出家・小池修一郎はどの役にもこだわり、稽古場でも一段と熱が入っている様子。「とても楽しそうにしていらっしゃいます」というから期待が募る。トップ娘役の仙名彩世が演じるのはシーラ・ポーツネル男爵夫人。「エドガーが初めて目にする魅力的な女性で、憤りや葛藤をぶつける相手でもあります、その気持ちの変化が演じていて面白いです」。柚香光扮するアラン・トワイライトもバンパネラの宿命を背負う。「アランはエドガーにとって唯一無二の存在なのに、埋められない溝があります。柚香自身、神秘的なオーラがある人なので、ふたりの関係性を表現しやすいです」。特に1幕のラストが好きだという。「登場人物がほぼ全員出てきて、盆が回りセリが上下するなかで『二つの魂』という素敵な曲を歌います。壮大なナンバーで心がしめつけられます」。宝塚ならではの演出で立ち現れる『ポーの一族』の世界。「きっとお客様に舞台化されて良かったと言っていただけると思います」という明日海の力強い言葉が、すべてを物語っている。公演は兵庫・宝塚大劇場にて2018年元日より2月5日(月)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は2018年2月16日(金)から3月25日(日)まで。1月14日(日)より一般発売が開始される。取材・文:小野寺亜紀
2017年12月18日第1弾「やすらぎの郷」に続き、第2弾となる「トットちゃん!」が大好評を博している“帯ドラマ劇場”。2018年1月からスタートする第3弾として、昭和の歌姫にして名曲「愛の賛歌」で知られるシャンソンの女王・越路吹雪を瀧本美織が演じることになった。■圧倒的な歌唱力と表現力で日本中を魅了した戦後の大スター・越路吹雪の一代記「♪あなたの燃える手で あたしを抱きしめて ただ二人だけで 生きていたいのただ命の限りあたしは愛したい命の限りにあなたを愛するの――♪」名曲「愛の讃歌」を世に送り出した大スター・越路吹雪と稀代の作詞家・岩谷時子。出会うべくして出会った2人の偉大な天才がたどる、数奇な運命と友情を描く本作。越路吹雪こと本名・河野美保子(瀧本美織)、愛称“コーちゃん”は、子どものころから歌が大好き。少女時代は勉強はキライでおてんば。でも、とても純粋な女の子だった。そんなコーちゃんは、父の勧めで宝塚音楽歌劇学校を受験。見事合格したものの、踊りもできないコーちゃんは、落第寸前の“落ちこぼれ”に。しかし、天性の歌唱力と明るい性格で先輩スターや同期に支えられ、男役トップスターへの階段を駆け上っていく。退団後は歌手、女優として活動。日本を代表する作詞家・岩谷時子(木南晴夏)とタッグを組み、「愛の讃歌」などシャンソンを多くカバーしたことから、“日本シャンソン界の女王”とよばれ、まさに日本の音楽シーンの歴史を変えた稀代の歌手となった。■2つの“才能”が出会った!作詞家・岩谷時子との二人三脚の軌跡越路のマネージャーとして彼女を終生支え続けた大親友・岩谷時子は、「愛の讃歌」の訳詞や、加山雄三の「君といつまでも」、「ピンキーとキラーズ」の「恋の季節」など数多くのヒット曲を作詞。さらに、「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」などの上演訳詞も手掛け、日本のミュージカルの歴史を作った訳詞家としても知られる。“落ちこぼれ”といわれた宝塚時代、生涯の友・時子との運命的な出会い、戦争を乗り越えた2人が新しい歌の世界を切り拓き、二人三脚でトップスターへと駆け上がっていく軌跡…。激動の昭和を背景に名曲をちりばめながら、華やかなる者の“光と影”を紡いでいく。■まさにハマり役!瀧本美織×木南晴夏が2人を熱演!そんな越路吹雪の若き日を演じるのは、瀧本さん。かつては5人組ガールズバンド「LAGOON(ラグーン)」のボーカルを務めたこともあり、ミュージカルの舞台でも活躍。抜群の歌唱力を誇る彼女には、まさにピッタリの役どころといえる。また、少女期を演じる岩淵心咲も、ミュージカルの舞台に立つなど歌と芝居の才能にあふれ、元気いっぱいに熱演、熱唱を披露する。一方、岩谷時子を演じるのは、木南晴夏。子ども時代、宝塚歌劇団の大ファンだったという木南さんは、岩谷氏が編集部に在籍していた歌劇団発行の機関誌「歌劇」に夢中になった経験があり、こちらもハマリ役といえそう。さらには、美保子の小学校時代の親友、いわば越路吹雪のファン第1号・片桐八重子役に市川由衣、美保子の父母・友孝と益代には尾美としのりと濱田マリ、時子の母・岩谷秋子役に原日出子、美保子にとって“新潟の母”ともいうべき村上静役に宮崎美子ら、実力派豪華キャストたちが勢ぞろい。脚本は、ヒットメーカー・龍居由佳里が2人の女の激しくも濃密な人生を紡ぐ。瀧本さんは、越路さんについて「本を読んだり、昔の映像を拝見したりして、これが“シャンソンの女王なのか…!”と感動しているところです。越路さんの人生を歩ませていただけるなんて、とてもありがたいことだなと実感しています」と謙虚にコメント。「いま、“コーちゃん”として存在することがすごく楽しい!」そうで、「コーちゃんらしく自由に楽しく生きて、越路さんの人生から皆さんに感動をお伝えできれば…。歌うシーンも多いのですが、越路さんは情感たっぷりに歌い、どの曲からも感情が伝わってくるので、私も表現力豊かに歌いたい」と意気込みを明かす。そして、木南さんと「2人で物語を作りあげていくことを、私自身とても楽しみにしています」と語る。また、木南さんは「宝塚歌劇団を観て育ってきたので、宝塚のドラマに関われるなんて夢のようで、とてもうれしく思っています。宝塚の舞台で初めて観たのが『ベルサイユのばら』でしたが、現実とはかけ離れた華やかな異世界が目の前に広がり、そのきらびやかさに心を奪われ、大ハマりしました!岩谷時子さんは『歌劇』の編集部からキャリアをスタートしますが、私も『歌劇』を買ってウキウキと読む子ども時代を過ごしていたので、そういうところは “素”で演じられるかなと思います」と嬉しそうに語る。瀧本さんとは「以前、NHKの連続テレビ小説『てっぱん』で親子役」だったそうで、「回想しか登場せず、現場でご挨拶しただけという状態でした。今回はガッツリ2人でお芝居できるのが、すごく楽しみです。これからもっともっと“バディ”とよべる関係になっていきたいと思っています」と、同じく意気込みを明かしてくれた。「越路吹雪物語」は2018年1月より毎週月~金曜日12時30分~テレビ朝日にて放送。毎週月~金曜日7時40分~BS朝日にて再放送。(text:cinemacafe.net)
2017年11月21日宝塚歌劇団雪組新トップスター・望海風斗(のぞみふうと)と新トップ娘役・真彩希帆(まあやきほ)のお披露目公演『ひかりふる路(みち)~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~』『SUPER VOYAGER!-希望の海へ-』が11月10日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。宝塚歌劇雪組『ひかりふる路(みち) ~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~』『SUPER VOYAGER!-希望の海へ-』チケット情報第一幕の『ひかりふる路』は、フランス革命後のパリを舞台に、革命家マクシミリアン・ロベスピエールの生涯を仲間との絆や運命的なロマンスを絡めて描いた物語。『ジキル&ハイド』『スカーレット・ピンパーネル』などを手がける作曲家フランク・ワイルドホーンが全曲を書き下ろしたミュージカルで、優しい楽曲から力強い楽曲まで終演後も心地いい余韻を残すものばかり。抜群の歌唱力を誇る望海と真彩の魅力も存分に引き出されている。人々の平穏な暮らしを守ろうと、弁護士から政治家に転身。理想を追い求め、革命に身を投じたロベスピエール。ジャコバン派に所属し、革命の指導者としてフランスを新しい時代へと導いた彼に人々は熱狂する。一方で、罪なく人生を狂わされた革命の犠牲者マリー=アンヌは、“革命そのもの”であるロベスピエールを暗殺しようと機をうかがっていた…。自分の理想を追い求め続け、辿り着いたのは恐怖政治。共に戦ってきた仲間のダントンやデムーランとも次第に距離が生まれてくる。それでもただ理想を信じて突き進むしかないロベスピエール。彼の情熱、温かさ、孤独、その心の変化を望海は情感あふれる演技と歌で繊細に表現する。一方の真彩は、ロベスピエールを恨みながらも、そのまっすぐな心に触れたことで変化していくマリー=アンヌ。憂いを漂わせつつ、気品と芯にある強さを持たせて演じている。運命的に出会ったこのふたりが迎えるラストシーンの美しさも強く印象に残る。また、彩風咲奈(あやかぜさきな)が扮するダントン、専科・沙央(さおう)くらまが扮するデムーランとの友情も見どころのひとつ。同じ方向を向いていた同志がいつしかすれ違っていく様、その心の痛みは観る側にも響いてくる。第二幕のレヴューは、新生雪組の“船出”をイメージ。豪華客船が海へと出航するシーンで爽快に幕開けし、客席降りの演出でも楽しませてくれる。その後もジャズの音色に乗せて踊るクラシカルなシーンや、冬の港町で望海がしっとりと歌い上げるシーン、白燕尾姿の群舞、スパニッシュのシーンなど、緩急つけたステージを展開。両作を通して、新生雪組の魅力がたっぷりと詰まったステージに仕上がっている。公演は12月15日(金)まで兵庫・宝塚大劇場、2018年1月2日(火)から2月11日(日・祝)まで東京宝塚劇場にて上演。宝塚大劇場公演のチケットは発売中。東京公演のチケットは11月26日(日)10:00より一般発売開始。11月21日(火)11:00まで先行抽選受付中。
2017年11月17日宝塚歌劇団花組が、漫画史上に残る傑作『ポーの一族』の初の舞台化に挑む。11月16日、原作の萩尾望都も臨席する中、制作発表会が開催された。宝塚歌劇花組『ポーの一族』 チケット情報永遠に年をとらず、哀しみをたたえつつ時空を超え旅を続けるバンパネラ“ポーの一族”の姿を描いた物語。会見冒頭ではエドガー役の明日海りお、シーラ役の仙名彩世、アラン役の柚香光が劇中歌2曲を披露。幻想的なパフォーマンスで報道陣を魅了したが、原作の萩尾も「この世のものとも思えぬものを見て、頭がどこかへ行ってしまった」と感激しきり。特に花組トップスター、明日海が扮するエドガーには「心臓がバクバク(笑)。言葉になりません」と絶賛の言葉を惜しまなかった。一方で原作者を前に劇中の登場人物に扮した明日海は「漫画のキャラクターを立体にしてしまうという、ことの重大さを感じ緊張しました」と語り、「先生の描かれる絵の表情、目の寂しさ、結んだ口の薄さ、後頭部に感じるオーラ……エドガーの存在すべてに魅力を感じています。稽古場でエドガーと呼ばれて「はい」と返事することすら恐れ多いほど特別な役。自分のイマジネーションをフル活用し、小池先生と話しながら、自覚を持って役を作り上げたい」と意気込みを。仙名も「シーラは美しい貴婦人ですが、愛に生きようとする強さやエドガーたちを包み込む優しさがある。女性として魅力的にみえるように作っていきたい」と役作りについて語った。また、エドガーたちの仲間になるアラン役の柚香は「今回の宝塚での舞台では、アランは一族に入る前の“人間”の状態が長い。今日、エドガーを演じる明日海さんが照明を浴びているのを舞台袖から観て、ゾクっとした。アランもバンパネラを初めて観たときに、このように身の毛がよだつ思いをしたのかもしれない。この感情を新鮮に覚えておきたいと思った」と感想を話した。演出を手がけるのは、『エリザベート』などのヒット作を数々送り出している鬼才・小池修一郎。『ポーの一族』を上演するために宝塚歌劇団に入ったという逸話を持ち、舞台化を申し出てから30余年を経ての実現となったが、「1985年に宝塚の公演後にコーヒーショップに行ったら、隣の席が打ち合わせ中の萩尾先生だった。こんな機会は二度とないと思い「ファンなんです」とお伝えし、名刺をお渡しした。確かその時に「いつか(舞台化を)やらせてください」とお伝えしたはずです」というエピソードを明かす。その後、当時ミュージカルの脚本を書いていた萩尾が小池に意見を求めたことからふたりの付き合いが始まったそうで「小池先生の作品はとてもセンスが良く、私ごのみ。小池先生ならいつでもOKですよと言っていたのに、(実現まで)こんなに待たされました(笑)」と萩尾。「私のイメージを超えた美しい世界が目の前に広がるというのが予感できて、今からドキドキワクワクしています」と原作者も期待大の公演は1月1日(月・祝)から2月5日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、2月16日(金)から3月25日(日)まで東京宝塚劇場で上演される。
2017年11月17日宝塚歌劇団雪組新トップスター・望海風斗(のぞみ・ふうと)の、宝塚大劇場お披露目公演初日が近づいている。2003年に初舞台後、色濃い役まで自在にこなし、特に表現力豊かな歌唱力で魅了してきた望海が、世界的な作曲家、フランク・ワイルドホーンの全曲書き下ろしミュージカル『ひかりふる路(みち) ~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~』に主演する。望海自身、大きなギフトをもらったような感慨があるといい、「ワイルドホーンさんの『一緒にやろう』というお気持ち、温かさに感謝しています」と顔をほころばせる。【チケット情報はこちら】本作は無名の弁護士からフランス革命の中心人物の一人となり、恐怖政治を進めたロベスピエールの生涯を描いた物語。仲間との絆、運命的なロマンスなどを通し人類の歩むべき路を問いかける意欲作だ。「彼は弁護士でもあったので、理想のために闘う、というところがすごい人。上を目指して進むという部分は自分と似ていると思います」。制作発表会の前にワイルドホーン氏から「感じたまま作りこまず、音楽に身を委ねて歌ってほしい」とアドバイスを受けた。「(ワイルドホーン氏のピアノ)生演奏で歌うと、どんどん心が解放され導かれるように歌えました。役についても『ひとりの熱い男が出会ってはいけない人と出会うのが、この作品のドラマティックでセクシーなところ。史実上の人物を演じる気持ちはなくてもいいんじゃないか』と仰ってくださり、とても気持ちが楽になりました」と打ち明ける。「この時代、民衆や議員も現代の想像以上のエネルギーをもって生きているからこそ、楽曲の強さが合うと思います。みんなでクリアしていこうという姿勢が、大きなエネルギーになっています」と、作品力が新生雪組の勢いにつながっている。同時上演のレヴュー『SUPER VOYAGER! ―希望の海へ―』は、“望海風斗”の名前にまつわる場面を綴った作品。「ラテン調の中詰だけでも『ショーを観た』という満足感を覚える熱量があります。私自身大好きな、哀愁漂う男役の格好いいシーンもあり嬉しいですね」と笑顔。ただ「たくさん歌わせていただける喜びと共に、これまでの歌の量との違いに追いつけなくて。今までは1曲にとても時間をかけて作ることが出来たんですけど…」と、真面目な彼女らしい悩みも。トップとして「自然体でいさせてくれる」という雪組。「だからこそ芯として強く立てるように、自分自身強くなりたい。いい意味で気負わずにいたいです」。キャリアを重ねた望海ならではの舞台がいよいよ幕を開ける。公演は兵庫・宝塚大劇場にて11月10日(金)から12月15日(金)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は2018年1月2日(火)から2月11日(日・祝)まで。11月26日(日)より一般発売が開始される。取材・文:小野寺亜紀
2017年11月02日宝塚歌劇団星組トップスター・紅ゆずるが、自身初の宝塚大劇場オリジナル主演作に挑む。ミュージカル『ベルリン、わが愛』は、演劇賞を受賞した『For the people ―リンカーン 自由を求めた男―』の原田諒による新作。1920年代から30年代のベルリンを舞台に、ナチスの圧力に抗い映画作りに邁進した人々が描かれる。【チケット情報はこちら】ポスターの扮装でもクラシカルで粋な雰囲気を出していた紅。「私はコスチューム系が多く、スーツものでの主演作はあまりないので、(スーツものならではの)様式美や佇まい、レトロな格好良さを出せたらと思います」と新たな男役像に意気込む。紅が演じるテオ・ヴェーグマンは、のちにヨーロッパ初のトーキ―映画を手掛ける映画監督。陰と陽、両方の面がある大人の男性だという。「“芯”が燃えているからこそ行動に出る情熱的な人。戦争との距離感など役作りは難しいです。ただ最初は戦争の影がないところから始まりますし、決して重たい作品ではありません。色々な困難を乗り越えて彼自身成長していく物語です」映画監督の「こだわりが強いところ」は自身と似ているとも。「稽古をしていて“違う”と思ったら、そのままにせず『もう一度させてください』と先生にお願いします。つかみきれないまま、スーッと流れてしまうのが嫌なんです」と笑う。星組トップスターに就任し約10か月。「組全体をすごく見るようになりました。例えばお稽古場でも『あの早替わりは間に合うのかな』とか、自分の場面だけではなく他の場面も気になります」。その広い視野とモチベーションの高さは今作の役で存分に活かされるだろう。同時上演の『Bouquet de TAKARAZUKA(ブーケ ド タカラヅカ)』は、ベテラン演出家・酒井澄夫が手掛けるレビュー。タカラヅカレビュー90周年を記念し、宝塚の名曲や新しいスパニッシュの場面などでバラエティ豊かに綴る。「最近の宝塚のショーとは一風違う、王道のレビューです。酒井先生は歌や踊りにも“どういう物語を感じるのか”など、内面からのアプローチを要求されるので、お稽古も楽しいです」と充実した笑顔を見せる。今年11月には紅と同期である宙組トップスター・朝夏まなとが退団する。先日朝夏の舞台を観劇した紅は、「(宝塚音楽学校の)予科のときから仲が良かったんです。トップスターとして今すごく輝いていて、『あの時の女の子が、よくぞここまで』と思いました」と嬉しそうに話す。来年は台湾公演も控えている紅。「私も頑張ります!」と明るく言い放つ言葉の裏に、宝塚歌劇団を頼もしく導く覚悟を感じた。公演は兵庫・宝塚大劇場にて9月29日(金)から11月6日(月)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は11月24日(金)から12月24日(日)まで。10月22日(日)より一般発売が開始される。取材・文:小野寺亜紀
2017年09月25日宙組トップスター・朝夏(あさか)まなとが、大劇場公演『神々の土地』『クラシカル ビジュー』で宝塚歌劇団を退団する。稽古に励む今、「最後の作品を最高の舞台にしたい、と没頭しています。芝居とレヴュー、それぞれの世界が濃くて切り替えが大変です」と笑顔で語る。宝塚歌劇宙組 チケット情報ミュージカル・プレイ『神々の土地』は、朝夏の主演作『翼ある人びと ―ブラームスとクララ・シューマン―』を手掛けた演出家・上田久美子の書き下ろし。革命の気運が高まるなか、ロマノフ家の一員として王朝を救う道を模索するドミトリー・パブロヴィチ・ロマノフを演じる。「皇族側と民衆側の両方を客観的に見ながら最良の道を考える人物です。行動力があり、機が熟すまで待つ大人の男性。上田先生には『明るくて聡明な中に少し翳りのあるところが持ち味に合うのでは』と仰っていただきました」。彼の国を想う部分が、組を想うトップという立場と自然に重なると言う。またドミトリーに大きく絡む女性がふたりいることも今作の興味深いところ。伶美(れいみ)うらら演じる大公妃イリナと、星風(ほしかぜ)まどか演じる皇女オリガだ。「愛なのか恋なのか家族愛なのか…はっきり言葉にできない深い想いがイリナに対してあり、オリガにも情愛を抱き、それぞれに軽いうわついたものでない愛情があるところが描かれています」と熱い眼差しで語る。レヴューロマン『クラシカル ビジュー』は、宙組らしく宇宙のプロローグから始まる。「夢の扉が開くようなワクワクする音楽とダンスです」。ダンスの名手でもある朝夏に、黒燕尾でのソロのダンスも用意された。「自分の培ってきたものを下級生に継承する意味でも大切な場面ですし、今できるこれ以上ない表現を追究したいです」。2015年のトップ就任以降、『TOP HAT』『王家に捧ぐ歌』などに主演し様々な魅力を見せてきた。「自分自身ここまで来れると思っていなかった。支えてくれた周りの方々のおかげです。毎公演大きな壁を乗り越える感じでしたが、とても充実していました」。次期宙組トップスターの真風涼帆(まかぜ・すずほ)にも、「彼女がいてくれて作品の幅なども広がり、すごく感謝しています」と言葉を紡ぐ。「今の宙組は一人一人の意識が高く、いい意味でリラックスしていると思う」。そんな宙組での毎日が満たされているからこそ、退団後のことは全く考えが及ばないと明るく言い切る。「今はただ、宝塚で得たものを最後の舞台で表現し尽くしたいという想いです」。公演は兵庫・宝塚大劇場にて8月18日(金)から9月25日(月)まで。チケット発売中。東京宝塚劇場公演は10月13日(金)から11月19日(日)まで。9月10日(日)より一般発売が開始される。取材・文:小野寺亜紀
2017年08月08日「千秋楽の幕が下りて『この幕はもう二度と開かない』と思ったときが、実は本当に嬉しかったのです。やり終えたという満足感と、初日を迎えるときの、新しい幕が開くという毎回のドキドキ感が終わったこと。常に神経を研ぎ澄ましてきたので、最後のご挨拶が終わった瞬間にすごく心が軽くなりました」 そう語るのは、昨年9月に16年間在籍していた宝塚歌劇団を卒業した元『月組』男役トップスター・龍 真咲。中性的魅力と圧倒的歌唱力でトップスターに就任すると、14年に行われた宝塚歌劇団100周年記念式典公演では全5組を代表して主演に抜擢。その立ち位置は文字通り一時代を築いた。突然の卒業から間もなく1年、胸の内を初めて本誌に語った。 「卒業を意識し始めたのは100周年公演のとき。主演を務めさせていただいたときに『これ以上幸せな思いは味わえない』と感じました。それなりの重責を背負ってやりましたし、それぞれの組が結果を出してやっていくということがどれだけ大変なことかも分かりました。その後に『1789』という新作ミュージカルの主演も決まっていたので、自分のなかに“これ以上やりたいことが見つからない”という思いが正直あったんです」 卒業を決断すると、まわりからも「なぜ今辞めるの?」と聞かれたという。その答えについて、彼女はこう続けた。 「トップというのはいつか終わりがきます。それが現実です。両親やファンの方、最後まで応援してくださる方々がいてくれて、私は一つの世界を駆け抜けることができた。こういう形で終えられることが、いちばんうれしいことだと思いました」 中学時代から宝塚に魅せられ、憧れのステージに立つことを“将来の夢”として持ち続けてきた龍。当時は先輩方のポスターを部屋に貼り、毎日妄想していたという。 「ずっと天海祐希さん(49)と真矢ミキさん(53)のファンでした。おふたりの舞台も観に行きましたし、写真集も買いました。100周年公演のときに真矢さんとお会いできて『頑張ってね!』と声をかけていただきましたが、その後は何を話したか覚えてないくらい。今も憧れは変わりませんし、突然現れたらぱっと隠れて陰から見ていると思います(笑)」 青春のすべてを宝塚に捧げてきた彼女にとって、次の夢を見つけることは簡単なことではなかった。卒業後は、時間を大切にゆっくりと今後のことを考えた。 「宝塚時代は全体稽古や自主稽古、打ち合わせなど時間が足りな過ぎて食事の時間を削るしかありませんでした。実は卒業後に4~5キロ太ってしまい、体重計の電池を抜いてしまいました(笑)。お酒が大好きなので、帰ったらとりあえずプシュ!ですね(笑)。これまでは公演や稽古で汗をかいていましたが、ヨガやジムに通い始めました。時間がある生活のなかで色々なことを考えるようになると、やっぱり“表現したい!”という思いが日に日に強くなっていきますね」 “表現者”としての再スタートを決意した彼女はこれまで舞台、歌手、モデルなど肩書にとらわれない活動をしてきた。そして8月23日には待望のファーストアルバム『L.O.T.C 2017』リリース。26・27日には東京Bunkamuraオーチャードホールでコンサートも行う。 「最後の舞台で『夢をまた見つけることが出来たら皆さんにお会いしたいです!』と挨拶をしましたが、今回のアルバムやコンサートが私の再起動のときだと思います。歌というものを通して自分自身を表現し、色々なジャンルに挑戦して自分の実力をつける。そして宝塚時代と同じように気持ちで通じ合っていきたいです。今までのファンの方、そして新しい人たちにも私自身を身近に感じて知っていただけるように頑張っていきたいです。結婚願望ですか?しばらくはお仕事ですね。将来的に自分の子供は見てみたいですが(笑)」 肩書を外した龍 真咲の活躍に期待したい。ヘアメイク:猪狩友介(Three PEACE)スタイリスト:RyokoKishimoto衣装:Aula アクセサリー:Yokokitagawa
2017年08月07日宝塚歌劇団星組トップスター・紅ゆずるが主演するマサラ・ミュージカル『オーム・シャンティ・オーム ―恋する輪廻―』が、7月22日(土)に梅田芸術劇場メインホールで開幕した。世界的に大ヒットしたインド映画『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』の舞台化で、初日の公演を原作映画の監督ファラ・カーン氏も観劇し、カーテンコールでは真っ先に立ち上がって拍手を送った。本場のトップ舞踊監督さえ興奮する星組のパワーは、真夏の熱風よりも熱かった!宝塚歌劇星組公演 マサラ・ミュージカル「オーム・シャンティ・オーム-恋する輪廻-」チケット情報今年1月に東京で紅のプレお披露目公演として上演、大劇場公演『THE SCARLET PIMPERNEL』を経ての再演だけに、星組生がより濃厚なスパイスを作品に降り注ぎパワーアップしているのを感じた。1幕では紅の表情豊かに歌い踊る姿が一層エネルギッシュで、脇役俳優オームの個性を際立たせる演技では観客の大きな笑いを誘う。綺咲愛里(きさき・あいり)扮するスター女優シャンティに恋をし、夢は叶うと信じている真っ直ぐな心も、ピュアな芝居や歌からより強く伝わってきた。30年後の2幕では、オームの生まれ変わりのスター俳優となって堂々登場、女性たちをはべらせ数々のナンバーを披露する。あらゆる場面でセンターオーラを放ち、ラブロマンの色が深まる綺咲とのデュエットではふたりの絆もしっかり見せた。綺咲は顔立ちや佇まいが華やかで、エキゾチックな雰囲気がヒロインにぴったり。切ない女心を巧みに演じた。また新キャスティングの七海(ななみ)ひろきが、妻のシャンティにひどい仕打ちをする大物プロデューサーのムケーシュを熱演。歩き方、煙草をくわえる仕草、決して本音で笑わない目の表情など、真のヒール役の凄みを存分に表現した。美稀千種(みき・ちぐさ)演じるオームの母親の温かさと柔軟な演技も観客の心をつかむ。インド特有の節に多彩なジャンルをミックスした音楽性の豊かさ。指先や首の動きまで見入ってしまうノリのいいダンス。コメディからサスペンス、ホラーまでとことん振り切り観客を引き込む展開。中毒性のあるボリウッドの粋が詰まった今作に、大阪の観客はときに笑い、大いに引き込まれていた。また今回初演ではなかった客席降りのアンコールフィナーレが加わった。軽妙なツッコミも入る振付レクチャーの後、音楽がかかると自然に観客も体が揺れ出演者と共にマサラ気分で踊り出す。曲が終わると「ウワーッ!」と劇場全体が大歓声に包まれた。紅もとびきりの笑顔を見せ、「インドの心をもって千穐楽まで突っ走ります!」と明るく宣言した。公演は、8月7日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて。チケットは発売中。取材・文:小野寺亜紀
2017年07月25日宝塚歌劇団が7月12日、花組公演『ハンナのお花屋さん ―Hanna’s Florist―』の制作発表会を行った。花組トップスター・明日海りおが主演するオリジナルミュージカル。ハートウォーミングで、21世紀を生きる我々が求める本当の幸せとは何かを問いかける作品になるという。作品の舞台はロンドンの閑静な高級住宅地ハムステッドヒースの一角にある花屋。明日海はデンマーク人のフラワーアーティスト、クリス・ヨハンソンを演じ、相手役の仙名彩世はクロアチア出身の少女ミアを演じる。会見の冒頭ではふたりによるパフォーマンスも披露。生花で飾られたステージで、ピアノとバイオリンによる生演奏をバックに、穏やかな曲調のナンバーをふたりが優しく歌い上げた。明日海の花好きはファンにも広く知れわたっているが、本人は「次の公演がどうやらお花屋さんになりそうだと聞いたときには本当にびっくりしてしまいました。色々な取材の場で花を飾るのが趣味だ、お花屋に行くのが大好きだと言っていました。まさか舞台の上でお花屋さんになれるなんて! 今まで(花好きを)宣伝してきた良かった(笑)」と喜びもひとしおの様子。一方、この物語を生み出す作・演出の植田景子は「実は今回の公演の企画は、色々悩みました。一番時間がかかった企画かもしれません。海外ミュージカルなどの案もありましたが、すごく悩んだあげく「最初に明日海で現代もの…と言われ思ったのは“花屋の王子様”だったんですよね」とポロっと言ったら、プロデューサーたちがが「それ、いいじゃないですか!」と…。私としては「花組で、花屋の王子ってベタですよ」と言ったのですが(笑)」と、企画の第一歩のエピソードを披露。とはいえ「自分自身も作家として、テーマも含め、非常にやりがいのあるもの。新たな挑戦をできる作品になれば」と意気込みも。花組は今年、仙名が新トップ娘役に就任し、新たな体制で動き出したばかり。その仙名は「花組でお花屋さん。なんて素敵なんだろうと思いました。幸せを求めて生きている登場人物を、皆さまに共感していただけるように作りたい」と話した。公演は10月9日(月)から29日(日)まで、TBS赤坂ACTシアターにて上演。チケットは9月3日(日)に一般発売を開始する。
2017年07月13日宝塚歌劇団星組トップスター・紅ゆずるのプレお披露目公演として1月に東京で上演されたマサラ・ミュージカル『オーム・シャンティ・オーム ―恋する輪廻―』が、梅田芸術劇場メインホールで再演される。インド舞踊、ディスコミュージック、ラップなど多彩なエンターテインメントがミックスされたミュージカル。紅は東京初演の観客の熱い反応に「よし!」と手応えを感じたそうで、「関西のお客様にも面白いときは大いに笑っていただき、気楽に観てほしいです」と楽しさをアピールした。宝塚歌劇星組公演 マサラ・ミュージカル「オーム・シャンティ・オーム-恋する輪廻-」チケット情報舞台は1970年代と現代のインド映画界。脇役俳優のオーム・プラカーシュ・マキージャーが、スター俳優オーム・カプールとなって生まれ変わり、人気女優シャンティへの愛のために奮闘する。ふたりのオーム役を演じる紅はガラリと人格が変わるのがポイント。「1幕は周りに翻弄されている“のび太”くんのような感じですが(笑)、2幕は苦労を知らないワガママな御曹司。初演では典型的な嫌われ者としてコメディ風に演じていたのですが、今回はどうしようかなと考えているところです」。それぞれのキャラクターが個性的であればあるほど、盛り上がるのがこの作品の面白さだという。「1幕と2幕で役の年代が違うので全員でガラっと雰囲気を変えることができたらと思います。場面ごとに素敵なナンバーがあるので、各場面のキーポイントを定めて魅せていきたいです」。シャンティを裏切る夫のプロデューサー、ムケーシュ役は七海ひろきが新たに演じる。「大人の男を目指してほしいですね。オームから見たムケーシュは、“どこまで根が腐ってるんだ!”という悪代官のようで…(笑)」。ムケーシュとのサスペンス映画ばりの展開も見ものだ。今作はインド映画の傑作『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』の舞台化。そのストーリーラインがかなり忠実に再現されているので、映画ファンも喜ぶであろう箇所が随所に散りばめられている。さらに“夢を叶える”という普遍的なテーマが、様々なナンバーや台詞にのせて展開し、観客の胸を打つ。「小柳(奈穂子)先生の作品はコメディな部分はもちろん、ホロッとさせる場面も多いので、お客様に楽しんでいただきたいです」。大劇場お披露目公演『THE SCARLET PIMPERNEL』を経て感じたのは「宝塚歌劇という世界観を壊してはいけない」ということ。幼い頃から宝塚歌劇を愛してきた紅が、褐色の肌で歌い踊るマサラ・ミュージカルで夢の世界の裾野を広げる。公演は、7月22日(土)から8月7日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて。チケットは発売中。取材・文:小野寺亜紀
2017年07月10日昨年、入団9年目の早さで宝塚歌劇団月組のトップスターに就任した珠城(たまき)りょう。鬼才・小池修一郎が手掛ける浪漫活劇『All for One ~ダルタニアンと太陽王~』では恵まれた体躯と運動神経を活かし、無敵のヒーロー・ダルタニアン役に挑む。「立ち回りが好きなのでお稽古が楽しいです」と明るく意欲的な姿が頼もしい。宝塚歌劇月組『All for One ~ダルタニアンと太陽王~』チケット情報デュマの「三銃士」をベースに新たな着想で描く娯楽大作。銃士隊のダルタニアンはバレエに熱中気味のルイ14世に剣術を教えているが、ある日ブルボン王家を揺るがす王の秘密を知ることになる。「この作品は小池先生の完全なオリジナルです。これほどコメディ要素が強いとは想像していませんでした(笑)。周りのキャラクターが濃くて個性豊か。ダルタニアンは純粋で真っ直ぐな青年なので、シンプルに演じるほど際立つかなと思います」と話す。トップ娘役の愛希(まなき)れいかがルイ14世に扮するのも話題だが、「私はいつも通り役を演じるだけですんなり作品に入り込めています。愛希は元男役ということも活きているし、国王陛下だけどお茶目な憎めないキャラクターとして描かれているので、お客様にも楽しんでいただけるはず」と笑顔を見せる。また三銃士との信頼関係は冒頭から出来上がっている設定ゆえ、「チームワークの良さをきちんと見せたい」と意気込む。敵対するベルナルド役は雪組から組替えとなった月城かなと。「彼女も私と同じですごく芝居が好きなのを感じます。後半のがっつりとした絡みが楽しみです」と語る。立ち回りは中世の時代の長い剣・レイピアを使ったものから宮廷剣術まで幅広い。体力勝負とも言えるが、学生時代水泳部などに所属し活躍していた珠城。「体育会系でストイックなところがあります。相手の戦法を自分なりに分析し、校内マラソン大会で1位を取り返したことも(笑)。前向きな精神はスポーツで養いました」と。その姿は「芯のぶれない強さがある」というダルタニアン役に通じる。「この1年、私をトップとして受け入れてくれる人たちがいたから、伸び伸びとさせていただけました。『グランドホテル』のときより肩の力が抜けて、舞台を作るのがどんどん楽しくなっています。私が真剣に作品に取り組んでいる姿を見せるのが大事だと思います」と話す若きリーダー。この夏、舞台人としてさらに大きく飛躍する。公演は兵庫・宝塚大劇場にて7月14日(金)から8月14日(月)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は9月1日(金)から10月8日(日)まで。7月30日(日)より一般発売が開始される。取材・文:小野寺亜紀
2017年07月03日漫画家・萩尾望都の名作『ポーの一族』が、宝塚歌劇団により舞台化されることが23日、わかった。上演は2018年1~3月の予定。同作は1970年台に小学館『別冊少女コミック』にて連載された、少年の姿のままで永遠の時を生きる吸血鬼・エドガーを主人公とする物語。少女漫画の枠を超えて幅広い世代から愛され、2016年には40年ぶりの新エピソード『ポーの一族 ~春の夢~』が月刊コミック誌『flowers』にて掲載され、反響の大きさに重版が決定した。宝塚歌劇花組にて、トップスター・明日海りお、トップ娘役・仙名彩世を主演に、脚本・演出を小池修一郎が務める。公演は宝塚大劇場、東京宝塚劇場を予定。同作をいつかミュージカル化したいと夢見て入団した小池が、1985年に舞台化を申し出て以来、萩尾があらゆる上演希望を断り続けた幻の舞台が実現となる。また、『ポーの一族 ~春の夢~』はフラワーコミックススペシャルとして7月10日に発売が決定した。さらに27日ごろ発売の「月刊flowers」7月号にて舞台化速報が掲載される。
2017年05月23日朝海ひかる女優10周年記念ツアーDANCE LIVE『will』が6月に上演される。2006年に宝塚歌劇団を卒業し、2007年に女優として歩き始めた朝海の10年間を歌やダンスで振り返る内容となる本作。朝海に話を聞いた。【チケット情報はこちら】『エリザベート』から『私はだれでしょう』(こまつ座)まで幅広い作品に出演してきた朝海。「10年間で出演してきた舞台の音楽を使って構成します。『これはあの作品の曲ね』と楽しんでいただきながら、私が歩んできた道をお客様と一緒に振り返っていく、プロフィールのようなショーになると思います」。豪華なゲスト陣にも注目。「思い出深い作品の相手役をしてくださった方やお世話になった方にお声がけしました。忙しいスケジュールを縫ってご出演いただけるのが本当に嬉しくて。私自身も楽しみにしています」。それぞれの印象を聞いてみると、『DNA-SHARAKU』で相手役を演じたSpiは「ふたりとも初めて演じるような役どころで。一緒に『ああでもないこうでもない』と試行錯誤しながら作っていったので、戦友みたいな感じです」、『エリザベート』で共演した伊礼彼方は「お互いこんな大きなミュージカルに出るのも初めてだったので、そんなところから仲良くしていただいて。気心知れている方です」、『蜘蛛女のキス』と『天翔ける風に』で相手役を演じた石井一孝は「楽しくて明るくてエネルギーが溢れていて。いつも引っ張ってくれる、お兄さんみたいな方です」、石川禅は「初めての『エリザベート』で禅さんにいろんなことを教わって、そして支えてもらいました。本当に大変お世話になった方です」と朝海と縁の深い俳優ばかり。ゲストコーナーを設け、トークとミニライブをするという。10年という節目にファンへの“感謝”と“これからもよろしく”という想いをこめて作り上げる本作。これまでで印象的だったファンの言葉を聞いてみると、「私はありがたいことにいろんなジャンルのお芝居、いろんな劇場に出演させていただいているのですが、私のファンでいることでいろいろな世界を見ることができる、という風におっしゃってくださって。それがすごく嬉しかった。私の世界も広がってますが、一緒にファンの方たちの世界も広がっていってくれてるんだなって。一緒に歩んでいる感がすごくあって嬉しかったですね」。「この10年、宝塚を卒業して舞台に立てたことは本当にファンの方々あってのことです。その感謝の気持ちをこの作品にすべて込めますので、受け取っていただきたいなと思います」公演は、6月7日(水)・8日(木)に東京・よみうり大手町ホール、6月11日(日)に大阪・ナレッジシアター、6月14日(水)に宮城・仙台イズミティ21小ホールにて。取材・文:中川實穗
2017年05月02日2014年に宝塚歌劇団雪組トップスターに就任後、『ルパン三世』『るろうに剣心』などに主演。快進撃を続けた早霧せいなの退団公演『幕末太陽傳』『Dramatic“S”!』の初日がいよいよ近づいている。稽古中の早霧は「“いつも通り”と思いながらも日々の感情が騒がしいです!」と明るい笑顔を見せる。【チケット情報はこちら】鬼才・川島雄三監督による日本映画の名作がベースの『幕末太陽傳』。古典落語を組み合わせ、品川の遊郭・相模屋での様々な人間模様を描いたコメディで、早霧は一文無しのまま居残りを決め込む佐平次を演じる。「立っているだけで格好いい二枚目とは違うので、生き方の格好良さで魅せていくしかない。最後にこんな大物が来たかと(笑)。培ってきた男役のしぐさをあえて崩し、ふざけていてもそこが粋なんだよと思っていただけたら」と新たな挑戦を語る。「“いい人感”が出ていないところが好き」と佐平次への愛着も増す一方のようだ。同時退団の雪組トップ娘役・咲妃みゆとは抜群のコンビネーションで、数々の名演を残してきた。今回咲妃演じる女郎おそめは佐平次にとって大きな存在に。「おそめが強く生きていく姿に刺激を受け、病気で死を覚悟している佐平次だけどまだまだ生きられると思うようになる」という。また、次期雪組トップスターに決まった望海風斗扮する高杉晋作との芝居も。「佐平次は町人、高杉は武士で身分的・立場的な違いはあるけれど、気持ちとしては同等で最終的に尊重し合う」という間柄。温かな場面が生まれるだろう。『Dramatic“S”!』は早霧の頭文字でもある“S”をキーワードに展開するショー。といっても早霧が何か要望を出すことはなかった。「私は自分の限界を作りたくないので、先生方が私のために用意してくださるものを“料理して出す”のが仕事だと思っています」と潔い。そんな中注目なのが、早霧がよくカーテンコールで行う掛け声である“絆”をテーマにしたシーン。「“皆の温かさを忘れないよ”というメッセージの中で、組子ひとりひとりと目を合わせていくようなシーンに。とても照れくさいです」と、照れ隠しのように大きく笑う。細身の端正な容姿とは裏腹に、豪快で大胆な役作りでファンの心を捉えて離さなかった早霧。「フェアリータイプとか言われても自分としてはそちら側ではなく、いわゆる男性に見える男役になりたかった。今があるのは、自分の想いが貫けたからだと思います」。稀代の演技者・早霧ならではの最後の男役像を見届けたい。公演は兵庫・宝塚大劇場にて4月21日(金)から5月29日(月)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は6月16日(金)から7月23日(日)まで。5月14日(日)より一般発売が開始される。取材・文:小野寺亜紀
2017年04月13日昨年11月に宝塚歌劇団を退団した元星組トップスター北翔海莉が主演を務める舞台、ミュージカル・コメディ『パジャマゲーム』の記者懇親会が2月27日、大阪市内で行われ、北翔と共に演出家トム・サザーランドが作品にかける思いを語った。ミュージカル・コメディ「パジャマゲーム」チケット情報本作は1954年にブロードウェイで初演され、トニー賞最優秀作品賞などを受賞。振付家ボブ・フォッシーが初めて振付を手掛けた作品としても有名で、1957年には映画化、ブロードウェイやイギリス・ウエストエンドでも再演が重ねられている名作のひとつ。アメリカのパジャマ工場を舞台に、7セント半の賃上げを望む労働者と雇用者の闘いと恋模様を絡めて、コミカルに描いた作品だ。女優として初舞台となる北翔は「自分が女優としてデビューすることよりも、トム・サザーランドさんが演出される『パジャマゲーム』に参加できることに喜びを感じています」と期待を表す。そして、演じる苦情処理係のベイブについては「仕事に命をかけて、男性と対等に闘ったり、工場の仲間を守ろうという正義感がある女性。それでいて、恋に対しては不器用。男役を21年間やってきた私にぴったりの役かなと思っています。相手役の新納さんに身を任せて、リードしないように気を付けたいですね(笑)」と笑う。トムはそんな北翔の魅力を「パフォーマンスがとてもユニークで、声もダンスのテクニックも素晴らしい。本当にパーフェクトなベイブが出来上がるんじゃないかと期待しています。男性と対等に闘うキャラクターという点でも、世界中で北翔さんほどぴったりな人はいないと思う」と、絶賛。その言葉を受けて北翔は「自分では気付いていない新たな引き出しを、トムさんはじめ共演者の方が引き出してくださると思うので、とにかく身を委ねて新しい北翔海莉をお見せしたいです」と、語った。また、初演から60年以上経つ作品だが、その魅力について北翔は「『スチーム・ヒート』というナンバーが有名ですが、他にも耳にしたことがあるような曲が何曲もありますし、衝撃を受けるようなダンスシーンもある。こんなにも歌って踊って、それでいて日常で起こるストーリーだからこそ感情移入してもらえると思います」とコメントし、「宝塚在団中にも出演したドラマシティの舞台に、卒業後も、立たせていただけるのはすごくうれしく思いますし、関西のお客様に元気で明るいコメディミュージカルを楽しんでいただけるように精進してまいりたいと思います」と意気込みを語った。公演は、9月25日(月)から10月15日(日)まで東京・日本青年館ホール、10月19日(木)から29日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。チケットは5月27日(土)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、3月15日(水)11:00より最速抽選先行(いち早プレリザーブ)の受付開始。取材・文:黒石悦子
2017年03月06日宝塚歌劇団星組新トップスター・紅(くれない)ゆずるが、本拠地・宝塚大劇場でのトップお披露目公演『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』を控え、今稽古に励んでいる。2002年に初舞台後、満を持してのトップ就任だが、「千秋楽に作品が成功したと実感できた時、“夢が叶った”と思うのではないでしょうか」と、表情を引き締めた。宝塚歌劇星組『THE SCARLET PIMPERNEL』チケット情報本作は1997年にブロードウェイで初演、2008年に宝塚バージョンとして星組で日本初上演。2010年の月組公演とも好評を博した名作が、7年ぶりに再演される。紅はフランス革命の勃発後、恐怖政治に反感を抱いて立ち上がるパーシー・ブレイクニー役。9年前の星組で、新人公演初主演を務めた思い出深い役だ。「当時は本公演中、舞台袖から(本役の)安蘭けいさんをずっと見ていました。その時には気付かなかったパーシーの動きの意味など、新しい発見がいっぱいあります」と話す。パーシーは“スカーレット・ピンパーネル”と名乗り、妻にも正体を隠し、無実の罪で捕らわれた貴族たちを国外へと救い出す。変装して敵の目を欺くなど、飄々と痛快にやってのける異色のヒーローだ。「剣で戦うより、愉快にあっという間に助け出すところが魅力。正義感はもちろん、それだけではない一癖ある部分が出せたらいいですね。イギリス貴族という色々な面で余裕のある身分ならではの行動という部分も、うまく表現できればと思います」。フランク・ワイルドホーン作曲のドラマティックな楽曲で綴られる本作には、『ひとかけらの勇気』という宝塚版で生まれた名曲がある。「新人公演では一番のみだったのですが、フルバージョンで歌うと全く違うものに感じます。本当に新しい作品を創り上げている感覚。“到底できそうにないものを乗り越える”という意味を含む『ひとかけらの勇気』は、作品全体の、そして私自身にとってもメインテーマとなっています」と力を込める。下級生の頃、安蘭けいに自分の良さを“体当たりなところ”と言われた。「今もたまにそういう下級生がいると可愛くて仕方がない」と笑う。型にはまらない個性を持つ紅だけに、新たな星組カラーが生まれるだろう。星組トップとしては組子とのコミュニケーションを大切にしている。「自分をオープンにできないとお芝居もこもってしまいますので、メンタル面まで気にかけてあげたい。星組は一人一人の個性が強い組。それをぜひ舞台にも生かしたいです」。常に温かな目を組子に向ける紅。同じ関西出身のトップ娘役、綺咲愛里(きさき・あいり)には、潤色・演出の小池修一郎氏による「愛情溢れる喝」を共に受けつつ、「絶対に引いたら駄目、 前のめりで聞こう」と言っている。「前向きに、ポジティブに」と話す紅の想いが大作を成功へ導くだろう。兵庫・宝塚大劇場にて3月10日(金)から4月17日(月)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は5月5日(金・祝)から6月11日(日)まで。4月2日(日)より一般発売が開始される。取材・文:小野寺亜紀
2017年02月28日この泥棒猫! 昨年のTBS系ドラマ『せいせいするほど、愛してる』の”捨て台詞”で視聴者を縮み上がらせた女優・木南晴夏(31)。テレビ東京系『勇者ヨシヒコ』シリーズをはじめ、数々の怪演ぶりで注目を集める木南が、歌手・一青窈の姉・一青妙のエッセイを原作とした映画『ママ、ごはんまだ?』(2月11日公開)の主演に挑んだ。演じるのは、原作者本人の一青妙。世間にイメージが浸透していない人物とどのように向き合い、表現したのか?台湾人の父と日本人の母、そしてかわいい妹。家族4人で暮らした家を取り壊す時、木箱の中にあった亡き母の台湾料理レシピ帳を手にした妙の心には、家族とのさまざまな思い出がよみがえる。今回、「怪演」「姉」「木南家の食と絆」のテーマで3回にわたってインタビュー。第2回は、『勇者ヨシヒコと導かれし七人』(テレビ東京系・16年)の第7話で初共演が実現した、実の姉で女優・木南清香との秘話を聞く(第1回は「この泥棒猫! 怪演で話題の木南晴夏、本当はどんな女性? 家族愛を演じる思い」)。――4つ歳上のお姉さんでしたよね。『勇者ヨシヒコと導かれし七人』の第7話で、初めて共演したことが話題になっていました。木南さんがアンドレ役で、お姉さんがアンサンブル。お二人は子供の頃、「ベルばら」ごっこに夢中だったそうですね。宝塚歌劇団を観て育ちました。初めて観たのが『ベルサイユのばら』。たしか、私が幼稚園生ぐらいで、姉が小学校3年生ぐらいだったと思います。布団を腰に巻いてお姫様になりきったり、トイレットペーパーの芯に引越し用のテープみたいなものを巻いてフィナーレで使う鈴を作ってみたり(笑)。それをシャンシャンシャンシャン使って。2人で仲良く踊ってたなぁ。姉は舞台にのめり込み、その流れで劇団四季に入って、今は『ミス・サイゴン』など東宝系ミュージカルで活躍しています。私は大人になるにつれて、テレビの方に。活躍する場が違うので、共演することは絶対にないだろうと思っていたんですけど……。福田(雄一)さんはミュージカルの演出もされるので、アンサンブルで登場した方々や姉とも面識があったそうです。『ヨシヒコ』の第7話の台本をいただいた時にミュージカルの回だと分かって、福田さんに「このアンサンブルに、お姉ちゃんを入れられませんか?」とお願いしてみたんです。福田さんは「ぜひぜひ!」「むしろ、ありがたいです!」とおっしゃってくださいました。二度とない……ラストチャンスのつもりでのお願いでした。前回のヨシヒコにて、幼少からの夢であった姉妹共演を果たしました。しかも二人の大好きなベルばらごっこ。ごっこにも関わらず夢が叶ったと号泣する姉に、いや叶ってないから!ヨシヒコだから!と、福田さん。ごもっともです。 pic.twitter.com/HFJU4xpv32— 木南晴夏 (@kinamiharuka) 2016年11月23日――お姉さんにはどのように伝わったんですか。私から直接伝えました。舞台のスケジュールと重なってしまったら出られなくなるので、一応先に聞いておかないと、と。姉はすぐに「出たい!」と即答でした。それを受けて、福田さんは正式に事務所を通してオファーをしてくださいました。――お姉さんは現場で涙されたそうですが、どのような状況だったんですか?私がアンドレの扮装をして現場に到着すると、そこにはオスカル役の壮(一帆)さんもいました。それを見た姉が「『ベルばら』だ!」と言いながらいきなり泣き出して(笑)。「本当に夢だったんですよ!」「宝塚の舞台に立つのが夢だったので、叶って良かった!」と。福田さんもたまらず、「いや、叶ってないから! 『ヨシヒコ』のコントだから!」とツッコミを入れてました(笑)。でも、コントとはいってもクオリティが高くて。実際のタカラジェンヌの方が相手役をやってくださって、すばらしいキャスティングでした。みなさん、夜中までダンスレッスンを重ねていたみたいで、姉も感謝していました。姉が私の仕事場を見たのも初めてでした。16歳の時に受かった事務所オーディションで、付き添いで来てくれたのが姉でした。その時も、私より先に号泣して(笑)。それから15年。「こんな立派にお芝居して……」「すばらしいスタッフさんに囲まれて……」みたいなことを言って。成長した妹の姿を見ることができたのもうれしかったみたいです。――今回の作品では木南さんが姉役。ご自身のそういう姉妹関係も参考になりましたか。そうですね。妹って両親の愛に疑問を抱かないというか。愛されることが当たり前じゃないですけど、そういうことにあまり不安を感じたことがないんです。でも、姉はなぜか「兄妹で一番愛されていない」みたいに言う。そういう不安や疑問を抱くみたいで、そのあたりは参考にしました。最終回となる第3回は木南家の食、そして家族との絆がテーマ(2017年2月16日掲載予定)。彼女が抱く理想の女優像、将来像が見えてくる。■プロフィール木南晴夏(きなみ・はるか)1985年8月9日生まれ。大阪府出身。2001年「第一回ホリプロ NEWSTAR AUDITION」でグランプリを受賞し、芸能界入り。堤幸彦監督作品『20世紀少年』(08年)で小泉響子役を演じ、注目を浴びる。 2013年に公開された、『百年の時計』で映画初主演。その後も、『闇金ウシジマくん Part2』(14年)、『エイプリルフールズ』(15年)、『秘密 THE TOP SECRET』(16年)などの映画に出演。これまでNHK連続テレビ小説『風のハルカ』(05年)、『てっぱん』(10年)、『マッサン』(15年)、テレビ東京系『勇者ヨシヒコ』シリーズのほか、近年では『火の粉』(フジテレビ系・16年)、『せいせいするほど、愛してる』(TBS系・16年)、『視覚探偵 日暮旅人』(日本テレビ系・17年)、などドラマに出演している。
2017年02月15日井上芳雄が主演するミュージカル『グレート・ギャツビー』の製作発表会見が1月30日に都内にて行われた。1991年に本作の“世界初のミュージカル化”を宝塚歌劇団で成功させた小池修一郎が、キャストのみならず脚本・演出・音楽を一新して再び名作に挑むというのも話題。井上が「『エリザベート』や『レ・ミゼラブル』のように、日本のミュージカル界を支える大きな作品になれば」と語る大作が誕生する。ミュージカル『グレート・ギャツビー』チケット情報20世紀文学史における最高傑作のひとつと言われるF・スコット・フィッツジェラルドの名作小説『グレート・ギャツビー』。1920年代のNYで、毎夜豪華絢爛なパーティを開く謎の大富豪、ジェイ・ギャツビーを中心に、様々な愛や思いが錯綜する物語だ。映画ではロバート・レッドフォードやレオナルド・ディカプリオが演じたギャツビーを演じるのは、ミュージカル界きってのスター井上芳雄。「ギャツビーという役は、男優ならば誰もがやりたいと思う、素晴らしい役。もうプレッシャーしかない」と話しつつも、「僕がこの作品を最初に観たのは、小池先生が演出した宝塚の初演版。(ギャツビーを演じた)杜けあきさんの背中が大きかった印象で、“背中で語る”役だと思いました。ギャツビーはただ自分のロマンスのために嘘をつく、ロマンチックな人。自分がどう演じられるかわからないが、まだ誰も観たことのない『グレート・ギャツビー』を皆さんにお見せすることが楽しみでなりません」と心境を語った。その井上は、2000年に小池演出の『エリザベート』で俳優デビューしたのは有名な話。小池演出で井上主演、という形は“黄金タッグ”のように思えるが、小池は「ある意味一番私がプレッシャーを感じるのは井上芳雄という存在」と意外な告白を。「(再演作はあるが)2002年の『モーツァルト!』以来、彼とは新作を作っていない。その間彼は俳優として、確固たる地位を築いている。着実に歩みを進め、成功している彼が演じるギャツビーはどう見せれば成立するか、構築を考えているところ」と話した。また音楽はアメリカの作曲家を起用し、全曲書き下ろしになることも注目。作曲を担当するリチャード・オベラッカー氏はシルク・ドゥ・ソレイユの『KA(カー)』ラスベガス公演のミュージカル・ディレクターで、今春『バンドスタンド』でブロードウェイ・デビューを果たす気鋭の音楽家。演出の小池によると「アメリカを代表する物語なので、音楽はアメリカの方にお願いしようということになった。何人かの立候補がありましたが、彼は一番オーソドックスなタイプの音楽を書いてくれて、いい意味でノスタルジック」とのこと。この日は井上による楽曲披露もあったが、井上も「綺麗なメロディでとても心地いい。でも一方的に出来上がった音楽を頂くのではなく、気持ち的には“一緒に作っていく”ということが重要で、日本ミュージカル界にとってもエポックになる」と話していた。共演は夢咲ねね、田代万里生ほか。公演は5月8日(月)から29日(月)まで東京・日生劇場で上演。チケットは2月11日(土・祝)に一般発売開始。その後、愛知、大阪、福岡でも上演。
2017年01月31日宝塚歌劇団星組が今年、ミュージカル『スカーレット ピンパーネル』を上演する。1997年にブロードウェイで初演され大ヒットを記録した作品。宝塚歌劇団にとっては7年ぶり3度目の上演で、今回は星組新トップコンビ・紅(くれない)ゆずる、綺咲愛里(きさきあいり)の大劇場お披露目公演でもある。1月23日、制作発表会見が開催され、紅らが意気込みを語った。宝塚歌劇星組公演『スカーレット ピンパーネル』チケット情報物語は恐怖政治が敷かれるフランス革命後の18世紀末、無実の罪で断頭台に送られていくフランス貴族を助けようと立ち上がったイギリス貴族、パーシー・ブレイクニーが主人公。正体を隠し“スカーレット・ピンパーネル”として暗躍するパーシーや仲間たちの冒険活劇と、大人の男女の三角関係を軸に展開していくドラマチックなストーリーに加え、巨匠フランク・ワイルドホーンが手がけた音楽にも人気が高い作品だ。満を持しての再々演だが、小川友次歌劇団理事長が「『スカーレット ピンパーネル』は日本名にすると『紅はこべ』。紅がこの作品を運んできたんだと思っています」と語り、演出の小池修一郎は「日本初演だった2008年の星組公演で、紅は新人公演(入団7年目までの若手だけで本公演同様の内容を1日のみ上演する、宝塚伝統の公演)で主役のパーシーを演じたが、それが好評を得て今日の彼女(のトップというポジション)に繋がった」と語ったように、紅にとても縁のある作品である。その紅は「星組主演男役としてのお披露目公演で、この作品が出来ることが大変光栄です。私は初舞台から星組で、星組しか経験がない。星組の良さや伝統はよくわかっているので、歴代の素晴らしい上級生から頂いたたくさんの教えを下級生に伝えていくべく、この立場になったと思っています。15年間星組で培ってきたものを、この作品で皆さまの前にお披露目できたら」と“星組愛”を熱く語る。相手役となる綺咲も生粋の星組っ子。「私もずっと星組で育ってきました。下級生の時から紅さんにはたくさんのことを学ばせていただき、今日がある。紅さん率いる星組の一員として、日々精進したい」と意気込んだ。この日は紅、綺咲、星組男役スターの礼真琴の3人による劇中歌披露もあったが、そのパフォーマンスを観て小池は「紅は2002年初舞台。21世紀になって入団した人たちが宝塚のトップスターを担う時代になりました。彼女は21世紀型と言いますか、それまでのスターたちとどこか違うものがある。有名なのはお笑いのセンスだが(笑)、意外と憂いのある感じも魅力になるのではと、今日のパフォーマンスを観て思った。綺咲も一見すると“アイドル性”みたいなところが魅力に思えるが、今日の彼女の歌声や艶やかさに驚いた。ふたりは一般的なトップコンビ像から逸脱したイメージがあるかと思いますが、実際には意外と大人っぽいものになるかも」と、期待を語っていた。公演は3月10日(金)から4月17日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、5月5日(金・祝)から6月11日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。
2017年01月24日宝塚歌劇団が1月16日、雪組公演『幕末太陽傳』『Dramatic“S”!』の制作発表会見を開催した。この公演はゴールデンコンビとして多くの人に愛されている雪組トップスター・早霧せいな、トップ娘役・咲妃みゆの退団公演。早霧は「いよいよ私と咲妃の退団公演が始まろうとしています。…ですが! さらに身を引き締めて、今まで以上に進化する舞台を務めていきたい」意気込みを話した。宝塚歌劇雪組『幕末太陽傳』チケット情報2014年にトップスターに就任、大劇場のお披露目公演では『ルパン三世』、その後も人気漫画をミュージカル化した『るろうに剣心』や名作映画をもとにした『ローマの休日』など、立て続けに大ヒットを飛ばした早霧。相手役の咲妃とともに、雪組を、そして歌劇団全体を盛り上げた。歌劇団の小川友次理事長も「平成の雪組をひっぱってくれたゴールデンコンビ。我々もふたりのコンビが永遠に続けばと思ったのですが、そうもいかない(笑)。今でしか見られないふたりの姿を見てほしい」と最大限の賛辞を贈ったふたりのサヨナラ公演は、日本映画史に残る日活映画のミュージカル化作品と、ドラマチックなショーの2本立てだ。鬼才・川島雄三監督の代表作である『幕末太陽傳』は、「居残り佐平次」を中心に、複数の古典落語を組み合わせ、幕末の品川宿を舞台に起こる様々な人間模様を描く名作。この日はその世界観をひと足早く伝えるべく早霧、咲妃、そして雪組男役スター・望海風斗がパフォーマンスも披露。早霧は羽織を宙に放り投げてすばやく着る“羽織芸”も。退団公演には珍しい日本物だが「最後の公演が日本物になるとは想像しておらず最初は戸惑ったのですが、もしかしたらこの作品をやるために今まで和物の経験を積んできたのかも。私たち自身、日本人だからこその“和の心”を大切にお届けしたい。映画はとても面白いお話で、そこに宝塚らしさ、華やかさ、雪組らしさを加えたら、お客さまにとても喜んでいただける作品になるんじゃないかなと思いました。そのためには居残り稼業の佐平次がいかに皆さんに愛されるキャラクターになるかが肝になる」と語った。早霧と同時退団する咲妃は「雪組で過ごさせていただく時間にも限りがあります。早霧さん、出演者の皆さまと作品を作り上げられることに感謝して、一日一日を過ごしていきたい」と意気込みを。ふたりを支える望海は「映画では石原裕次郎さんが演じていらした高杉晋作役。このような大きな役をどう作り上げるか悩むこともあると思いますが、楽しんで作っていきたい。今回は早霧さんと咲妃の退団公演であり、初舞台生のお披露目公演でもあります。普段より感情の揺れ幅が大きくなりそうですが、いつもどおり、早霧さん、咲妃が突き進む方向にしっかりついていきたい」と話していた。公演は4月21日(金)から5月29日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、6月16日(金)から7月23日(日)まで東京宝塚劇場にて。
2017年01月18日