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株式会社バート・英語高速メソッド(R)アカデミー(本社:東京都世田谷区)の代表取締役であり、英語教育の最前線で活躍する笠原 禎一(MBA/MA)は、ASD、ADHD、自閉症などで療育に通うお子様向けの新オンライン講座「英語高速メソッド(R) Kids版・療育編」を2025年9月に開講します。ASD、ADHD、自閉症などで療育に通うお子様の中に、実は英語の習得に非常に優れた感覚を持っている子どもたちが多くいることをご存じですか?本講座では、そんなお子様たちの“英語力の可能性”を引き出すことを目指し、英語高速メソッドを応用した療育版 Kidsコースを開講します。「私は英語の発音が苦手だから、一緒に学べない…」というご家庭でも大丈夫。お子様と保護者が「一緒に楽しむことで生まれる“学びと絆”」が、この講座の特徴です。笠原 禎一 ニューヨークで、Top Educators AwardとAlbert Nelson Marquis Awardをダブル受賞【本講座の特徴】対象 : ASD、ADHD、自閉症など、療育に通うお子様(12歳まで)受講方法 : 動画視聴による自宅学習(1日15分)期間 : 3ヶ月~12ヶ月内容 : 英語の歌、フォニックス、一語文など、子どもでも自然に覚えられるプログラム価格 : 198,000円(税込)お申込み方法: 【こんなお悩みを持つ保護者様へ】・どこから英語を始めればいいのか分からない・子どもが言葉に苦手意識を持っている・発音が悪くて、子どもに教えるのが怖い・家庭学習がうまくいかない・親子で楽しく学べる英語を探しているそんなお悩みを解決するのが、「英語高速メソッド(R) Kids版」です。【注目ポイント】1.ASD、ADHD、自閉症などのお子様は、実は英語の習得がとても得意です!英語高速メソッドアカデミーでは、すでに多くの療育に通うお子様たちが高い成果を上げています。英語の一語文やフォニックスなど、シンプルな表現から楽しみながら学ぶことができ、自然に英語力を身につけています。2.「ダメな私の発音が、子どもに移ったらどうしよう…」そんな心配、いりません。お子様と一緒に学ぶことが、親子の絆を深め、英語を“楽しい遊び”として自然に取り入れる最高の方法です。「お母さんと一緒に英語の歌を歌った」― そのひとつひとつの体験が、お子様にとって一生の宝物になります。3.対象年齢は12歳まで。今すぐ、お子様の“英語の才能”を見つけてみませんか?本講座では、「語順理解」+「加速度学習法」+「フォニックス」この3本柱によって、発音・読解・リスニング力が飛躍的に向上します。【講師プロフィール】笠原 禎一(かさはら よしかず)MBA/MA英語教授法修士(サウサンプトン大学)・MBA(ハートフォードシャー大学)著書累計160万部突破「英語高速メソッドアカデミー」主宰『Millennium Magazine』第9号の表紙と特集タイムズ・スクエアビルボードにてセレブレーション国際特許取得(日本・オーストラリア・韓国)『Millennium Magazine』第9号の表紙と特集タイムズ・スクエアビルボードにてセレブレーション著書累計160万部突破【公式サイト・お問い合わせ】英語高速メソッドアカデミー公式サイト お問い合わせフォーム YouTubeチャンネル 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2025年04月08日学童へ行かなくなった太郎ASD(自閉スペクトラム症)の太郎は、小学1年生から放課後等デイサービス(以降、放デイ)と学童に通い始めた。小学校2年生の途中から、太郎が学童へ行かず帰宅することが増えていった。学童では、太郎が一人浮いている感じがあった。太郎に対して一人のスタッフが付いている状態であると、学童の先生から困り顔で報告があった。困り顔をされると私も心苦しくなるので、きっと太郎も居心地が良くない状況だったのではと今となっては思う。Upload By まゆん困り顔で「特に周りの子どもたちに何かするわけでもなく、どこに座ろうかと長いことクルクルと動き回っている」と報告を受けた時は、回らせておいてくれれば良いのでは……と正直思った。プールの催しの時は、「サポートで来ていたスタッフから離れませんでした。独占欲が強いですね」と嫌な感じで言われた。それは太郎が水が怖いからなのに……事前に伝えたことを覚えてくれていないのか。太郎は独占欲が弱いし、私への執着も薄くて寂しいくらいなのに……と私は思った。そうして、「子どもを見る視点がどうも違うな」という気持ちが大きくなっていった。Upload By まゆん放デイでの先生たちとの出会い放デイでは、困り顔で太郎の行動について報告されることはなかった。「面白いことがあったんです」「かわいいです」などポジティブな報告が多かった。保護者のメンタル援助を考えているのかと想像したが、それでも先生たちの子どもを見る視点がやはり違うと感じた。Upload By まゆん時には、太郎の特性によるこれからの課題について真剣な報告もあったが、決して困り顔ではなく、太郎や私の将来を考えてくださっているのを感じとることができた。専門的知識を持ったスタッフの方の存在、個性を認めてれる環境が、私と太郎にとって居心地がとても良かった。その後、学童に通うのはやめた。放デイは、通わない時期もあったが、小4から再び通い始めて今に至る。放デイが、いつしか太郎の心の拠り所に太郎と放デイのスタッフの方々の関係性は、日を重ねるにつれて深まっている。自分の特性を理解し、サポートしてくれる先生方の前では素の自分を出している様子だ。放デイに「毎日でも行きたい」という気持ちがあるようで、中学生になっても、ほぼ休むことなく、週に4~5日通っている。同級生には秘密にしている「コマが好き」ということも、放デイの先生たちには伝えているし、放デイ内でコマの大会まで開催してもらっているようだ。その日、帰宅した太郎は「全然勝てんかった。先生は強かった」と悔しそうに、そしてどこか楽しそうに感想を聞かせてくれた。「高校生になってからは、放デイどうする?」数ヶ月前に太郎に聞いてみた。すると太郎は「うん」と、すぐに返事をした。もちろん今と同じ放デイに。まとめUpload By まゆんここまで太郎が放デイに通い続けている理由は、やはりデイサービスの先生たちとの信頼関係にあると思います。先生たちは自分を受け入れてくれる安心できる人たちであり、放デイという場所もまた居心地がいいものとなっているようです。高校に進学後も、今と変わることなく、週に4日~5日通う予定です。家族のようなつながりができているため、私も頼りにしている場所になっています。あと3年間、きっとあっという間ですが大切に通所をしていきたいと思います。太郎自身は、あと3年という期間をどう思っているのか……気になるところです。執筆/まゆん(監修:新美先生より)放課後等デイサービスの利用について聞かせていただきありがとうございます。放課後等デイサービスの利用年齢は制度上は原則6才~18歳となっています。事業所によってまちまちではありますが、ほかに高校生の姿があまり見えなくても、継続利用は受け入れているという事業所は多いので希望があれば聞いてみるとよいかもしれません。慣れた人間関係があり、信頼できる職員のいる放デイに、思春期以降も通いたいとご本人が思えている場合、小学生の時はただ楽しく遊ぶだけだったのが、ちょっとした日常のことや進路のことなどを話したり相談したりといったことがしやすい場になるかもしれません。家庭でも学校でもない第三の居場所(サードプレイス)として、ホッと一息できる場所はかけがえのないものです。多くの場合は中学、高校と年長するにつれて、放デイはもういいよと言われることが多いかもしれませんが、お子さんご本人が行きたいと思える場に放課後等デイサービスがなっているのだとしたら、よい関係が築けていてラッキーといえるかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年03月26日知的障害を伴う自閉症息子の就学先には、3つの選択肢が知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の長男りーは幼稚園に通っていましたが、年長から療育園に通うことになりました。そして転園してすぐの頃、とある案内が届きます。それは小学校入学の案内でした……。Upload By かし りりあ知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されているりーが行ける小学校は3種類ありました。地域の小学校の通常学級か特別支援学級、そして特別支援学校の小学部です。私たちが住んでいる地域の就学担当の方が、りーの様子を見たうえで、就学先についてアドバイスしてくれるとのことでしたが、まずは夫婦で入学先について話し合うことにしました。とはいえ、私たち夫婦二人の考えは特別支援学校小学部一択でした。Upload By かし りりあ特別支援学校がいいと考えていた理由まず、地域の小学校の通常学級は難しいだろうと考えていました。りーは身辺自立ができていないこと、集団での指示が通らないこと、授業中椅子に座っているのが難しいこと、また危険予測もできないので休み時間が不安ということがありました。そして、りーは人数が多いところが苦手です。次に特別支援学級ですが、通っている療育園では先生がほぼマンツーマンでりーの対応をしてくれていること、私の住んでいる地域では特別支援学級の先生によって指導内容の差が大きいこと(先生の転勤に合わせて転校する子もいるほどだと知り合いから聞いていました)から、特別支援学級も違うのかなあということになりました。私自身、地域の小学校に就学するとなると、幼稚園に通っていた時と同じように周囲の目が気になるという不安もありました。そこで、特別支援教育にくわしい先生方が多く、個別や少人数の対応ができる特別支援学校の小学部を希望先としました。検討した特別支援学校は2つ。決め手になったのは?早速療育園へ希望を伝えたところ、私たちの住んでいる地域には公立と私立の特別支援学校が1校ずつあるということが分かりました。そのため、今度はどちらの特別支援学校がりーにとって良いのか検討することになりました。調べてみると、どちらの特別支援学校でも、朝の準備や身支度をする時間、国語や図工などの教科学習の時間のほかに、個別の課題に取り組む時間や買い物体験に行く時間は共通してありました。違いとしては、私立の特別支援学校は制服登校(将来仕事で制服に着替えるのに慣れるため)、自宅からは近いのですが朝は保護者が送迎する必要がありました。また、保護者の手伝いが多く、地域交流がさかんであるほか、入学や中学への進学の際には面接とテストによる試験があることを聞きました。Upload By かし りりあ一方、公立の特別支援学校は私服登校、自宅からは遠いのですがバス送迎あり(中高校生と一緒)、入学・進学の時に特に面接もなし。面談時には夫が説明会に行ったことを覚えていてくれ、「せっかくなら皆さんで校内を見てみませんか」というお誘いを受け、家族で校内を見学させてもらいました。先生や上級生の子も温かく、りーを受け入れてくれました。そうしてもらうことで人見知り、場所見知りのりーがうれしそうにあちこちの教室を探索する、ということがありました。どちらも見学して良いところがありましたが、りーがより楽しそうに過ごす様子が見られた公立の特別支援学校が良いなという結論になりました。Upload By かし りりあ私たち家族の方針もかたまり、療育園へ希望を伝えると同時に地域の教育センターへ就学相談の予約をして、就学相談の日を待つことになりました。その後の就学相談については、また別の機会に書いていきたいと思います。執筆/かしりりあ(監修:鈴木先生より)知的な遅れの程度によりますが、療育手帳を持っているならば、特別支援学校のほうが学習面や生活面のきめ細やかな指導が期待できます。多くの先生方が「特別支援学校教諭」という免許状を持っているほか、地域の公立小学校に比べ生徒一人に対する先生の割合も高いので、生徒一人ひとりに密に関わることができるからです。一方、特別支援学校では、さまざまな地域から集まったお子さんと共に学ぶため、近所に住む同年代の子どもとの交流が少なくなる場合があります。地域の公立小学校に進学すれば、近所の子と一緒に遊んだり学んだりするので、顔を覚えてもらいやすいと言えるでしょう。また、特別支援学校へ進学すると、地域の公立小学校に転籍することが難しくなるという面もあります。このように、それぞれにメリット・デメリットがありますが、特別支援学校には特別支援教育を専門とする先生方がたくさんいらっしゃいますので、親子共に安心して過ごせる環境であると思います。特別支援学校で社会性を身につけ「生きる力」をはぐくむことで、将来の就職などにも役立つかもしれませんね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月24日わが子の発達が気になる……保健センターなどの施設で早めに相談する理由は?わが家の次男Pは知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されています。Pが1歳半を過ぎたあたりから、長男の時との違いをはっきりと感じるようになった私は、地域の保健センターへ行き、Pの発達について相談をすることにしました。Upload By みん保健センターでは、健診などを受けた後、市が開催している発達支援の親子教室や、児童発達支援センターなどの発達支援施設を紹介してもらい、必要な手続きを手伝っていただきました。しかし、私たちの住む地域では希望したからといってすぐに早期療育を開始できるわけではなく、手続きをしてから半年から1年ほど待たなければいけない場合も多いとのことでした。Pのように2歳と年齢が低く、まだ発達障害と診断されたわけでもない子どもは優先順位も低くなると聞いていたので、専門的な場所で児童発達支援を受けるためには、とにかく早めに動いて手続きをする必要がありました。早期療育を開始することはできたけれど、すぐには効果が出ないことを痛感……幸いにも3ヶ月ほど待ったところで、週2回の親子登園の枠に偶然空きが出たため、Pは2歳半から療育園と繋がることができました。しかし、早いタイミングで児童発達支援施設へ通所できたものの、すぐにその効果を感じられたわけではありませんでした。療育園に通い始めたばかりの頃、Pは療育園の門に入る前から泣き、玄関に入っても靴を脱ごうともしませんでした。何とか教室に入ることができても、外へ出たいとずっと泣き続けていました。発達支援を受けるようになってからもすぐには椅子に座ることはできませんでしたし、トイレへ行くことも、お茶を飲むことも、とにかく全てのことを拒否していました。支援を拒否している子どもはPだけではなく、ほかにもいました。中には数回通っただけで「受けても何も意味がない」「この施設はうちの子には合わないから良い効果が見られない」とすぐに辞めてしまう親子もいましたが、私自身は、焦らずゆっくりと場所や人に慣れて、まずは土台をつくることが大切だと考えていました。嫌がるPを連れて行くのは大変でしたが、あきらめず何度も通い、何度も同じことを繰り返し、やっと落ち着いて支援を受けられる形ができてきました。そうやって積み重ねるうちに、徐々にPの成長も感じられるようになってきました。早期療育は子どもにとっても親にとっても必要なことだったまた、早期療育は、親子の「居場所を見つける」という意味でも大切でした。児童発達支援センターなどの発達支援施設は、Pと同じように課題を抱えたお子さんと、私のように悩みを抱えた保護者たちが集まる場所です。だからPがどれだけ荒れていても、どれだけ何もできなくても周りの目はあたたかく、Pひとりだけが悪目立ちをしているというわけではありませんでした。「できなくても当たり前」という優しい空気が流れていて、わが子がわが子のまま自然体でいても受け入れてもらえる場所でした。通い続けていくうちにずっと孤独だった私たち親子の居場所が見つかり、救われたような気がしました。Upload By みん一般的には、できるだけ早期に発達支援を受けることで、より高い効果が期待できると言われています。保護者にとっても、日々の不安や悩みをほかの誰かと共有できる場所ができること、発達支援の先生たちの豊富な経験や知識に裏付けされたアドバイスを得られること、そしてスモールステップで子どもの発達を促し、成長の土台をゆっくりとはぐくんでいけることは、大きなメリットだと思います。Upload By みん時間は待ってくれない!一人で悩まずに前を向いてみてもしかしたら、発達支援について「まだ早い?」あるいは「今さら受けても遅い?」と悩んでいる方がいるかもしれません。ですが、親御さんとお子さんにとって、悩んでいる今こそが、発達支援をスタートするタイミングなのだと思うのです。私がPの通所を通じて得たものは、子どもの成長だけではなく、それを一緒に見守ってくれる人たちとの出会い、自分自身の知識や経験であったと思います。その結果、より良い支援を受けることができ、子どもの発達にもつながっていると実感しています。お子さんの発達に悩んでいる方は一人きりで悩まずに、まずは一歩、勇気をもって踏み出してみていただけたらと思います。執筆/みん(監修:新美先生より)幼児期早期に発達支援につながったことで感じた思いなどを詳しく聞かせて下さりありがとうございます。発達支援というと、お子さんの苦手なところ、発達がゆっくりなところが、苦手じゃなくなる、追いついて「普通になる」というイメージを持たれるかもしれません。実は、発達支援はお子さんに適切な環境や関わり方を保護者の方が学んだり、子育ての不安を相談して、安心して子育てできるようにするという、保護者へのアプローチも大きいです。もちろんお子さん自身もご本人に適切な環境を提供されて、よいやり方をスモールステップで教えてもらえることで、ご本人もできることが増えていくことがたくさんあります。「早期療育」というワードが独り歩きして、こんなに大きくなってからでは遅いのでは?と焦ってしまうことがあるかもしれませんが、発達支援において、遅いということはそれほどはありません。みんさんもおっしゃっていたように、保護者の方が、必要性を感じた時につながっていけたらよいのではないでしょうか。何歳ぐらいでどのような施設で発達支援を受けることできるかは、地域差がとても大きく悩ましいところです。自らかなり調べて動いて訴えていかないとつながれないという地域も少なくないのが実情かもしれません。今回の記事でみんさんがご紹介いただいたことが、読者の方の動き出すモチベーションになるかもしれないですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月14日療育ってどんなことをするの?ドキドキしながら見学へUpload By よいこASD(自閉スペクトラム症)の長男あー、3歳の夏。当時はまだ診断前ではありましたが、療育に通うことにしました。地元で有名な児童精神科には予約を入れたものの、診察まで半年待ち。そこにお世話になる予定ではあるけれど、はよ療育は受けたいよ!てなわけで、近所の小児科で意見書を書いてもらい、通所受給者証を申請し、お目当ての療育施設へ見学に行きました。療育というもの自体に無知で、若干緊張している母子を職員さんは温かく迎えてくれました。そして療育施設に一歩踏み入れて驚いたのが、その表示の多さです。文字が読めない小さな子どもでも分かりやすいように、一つひとつ丁寧に表示があるんですよね。例えば玄関一つとっても、ここで挨拶できるようにという足マーク。靴箱には一人ひとりの顔写真。荷物を入れるロッカーにはお手本の写真が掲示してあって、それに沿って片づけることができるようになっている……など。Upload By よいこあとで先生にお話を聞くと、あーのように発達に特性がある場合、耳から得られる情報よりも目から得られる情報のほうが入りやすい、「視覚優位」であることも多いそうで……!!そーなの!?あとは、パーテーションで区切られた個室とオープンスペースがあるのも印象的でした。余計な情報を遮断したほうがやるべきことに集中できるから……という理由でつくられた個室と、小集団で行う療育用のオープンスペース。そうかー、何かするとき絵本やテレビやおもちゃがあったら気が散るよね……!と言う根源的な気づき。たしかに大人だってそうだよね……と終始驚きの連続の療育見学。見学した一部の場所だけでも、至るところに発達に特性がある子の育児ヒントが散りばめられてる……!実際に療育へ通うことになった後も、こんなふうに初めて知ることや気づきを得ることがたくさんありました。無意識のうちに抱いていた「発達障害」へのネガティブなイメージを変えた、療育の先生の言葉Upload By よいこ療育に通い始める前に、療育の先生に聞かれたことがあります。「ご両親は発達障害についてどうお考えですか?」と。 私たちは答えられませんでした。そんなこと聞かれても、どう考えてるんだろう……どうとも考えていないような気がしました。しいて言えば、目の前にある取り払いたい、それが無理なら飛び越えたい大きな壁。強敵。ラスボス。そんな、よくないイメージ……。先生は言いました。「僕は、発達障害はその人の個性と捉えています。みんなと同じじゃなくていい、合わせなくていい。その子の良いところをもっと伸ばして、苦手なことのお手伝いをしていけたらなあと思っているんです」ハッ……と、目が覚めた思いでした。その当時の私にとって発達障害は「悪」で、取り除きたい何かでしかありませんでした。あーとコミュニケーションが取れないことに歯痒さを感じ、あーが友達の輪に入れずみんなと仲良く遊べないことに悲しみを抱き、アニメのあるセリフを延々と繰り返す様に苛立っていた私。個性……。そうか、そんな捉え方が……?思えば療育施設との出合いが、私の発達障害育児人生の扉が開いた瞬間だったように思います。執筆/よいこ(監修:室伏先生より)よいこさん、療育見学でのご感想や、療育での工夫の様子、発達障害へのイメージの変化の契機などについて共有してくださり、ありがとうございました。効果的な視覚情報の示し方、今すべきことに対して不要な情報のシャットアウトなどは、知識として知っているとご自宅での生活にも活かせる部分がありそうですね。療育施設への通所は、その施設での療育ももちろん重要ですが、その施設での工夫、スタッフの方々のお子さんへの関わり方とその時のお子さんの反応などから、親御さんに学んでいただくこともとても重要なことの一つと考えています。療育を受けたいけれど、通所受給者証の発行には医療機関での診断書や意見書が必要で(医療機関での発行が必要かどうかは地域によります)、でも専門の医療機関の受診はあと1年先で……なんて途方にくれていらっしゃる親御さんもいらっしゃることと思います。あーくんの場合は、小児科の先生が意見書を書いてくださったのですね。小児科のクリニックの先生で書いてくださる先生は多くはないかもしれないですが、かかりつけの先生に聞いてみていただくこともよいかもしれませんね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年08月26日音楽を使った発達支援を始めるまでのまゆみ長女のまゆみには、ASD(自閉スペクトラム症)と中等度の知的な遅れがあります。療育へつながるまでの流れは前回の記事にさせていただきましたが、今回は同時期に始めた音楽を使った発達支援のお話です。私は、まゆみがお腹にいた頃から「豊かに生きる一環として、音楽を好きになってくれたらいいなぁ」と思っていました。「この歌を歌うとこんな表情になった」とか、「親子番組のこの歌で揺れていた」とか、まゆみの変化を読み取りながら歌のレパートリーを増やしていくことは私の楽しみにもなっていて、まゆみの発達の遅れに気付き始めた頃もあちこちのリトミックイベントや体験教室に顔を出していました。Upload By にれが、これが親子で泣いて帰ることの連続!参加するどころかその場にいることもできないまゆみの姿にはショックを受けながらも、「集団になると参加できないだけで、この子は音楽が好きなはず」という直観だけはあり、どうしたらその気持ちに応えられるのか分からず無力な気持ちで過ごしていました。音楽を活用した児童発達支援に通い始めてひだまり児童園(仮称)に親子通所を始める直前、相談支援の先生から連絡をいただきました。「音楽特化型発達支援の事業所を設けている楽器店さんがあるんです。まゆみちゃんは音楽が好きだとおっしゃっていたので……こちらもどうですか?」もちろん二つ返事でお願いしました。一般のリトミック教室には参加できなかったまゆみも、発達支援という枠組みでなら音楽を楽しむことができるかもしれない。そんな期待に胸を膨らませて、まゆみと二人で音楽を活用した児童発達支援事業所「ぴあちぇ~れ」(仮称)の扉を叩きました。当時1歳8ヶ月のまゆみには同年代の生徒さんがおらず、個別療育でのスタート。先生方はあたたかく迎え入れてくれて、とことんまゆみに合わせたプログラムで対応してくれました。最初は入室拒否して『大文字泣き』していたまゆみも、次第に「どうやらここは楽しい場所らしい」と気付いたようで、3回目くらいからは自分でドアを押して入ろうとしていたように記憶しています。重いガラスのドアで、しかも引くタイプだったので押しても開かないのですが、進んで入ろうとしてくれる姿が嬉しくて涙が出ました。音楽を使った発達支援の内容Upload By にれ1)まずは教室の隅に用意された小さな椅子を親子で運び、着席できたらご挨拶です。「今日は○月○日○曜日、お天気は○○。よろしくお願いします」という先生の声にはあまり反応しませんが、その後の「はじまりの歌」では、渡されたタンバリンをリズムよく鳴らしたり振ったりしていました。この歌は毎回同じなので、「これからはじまる」という導入のサインにもなっていたのだと思います。2)歌・楽器遊びでは、毎回違う歌と楽器が用意されます。1曲につき数種類の楽器が並べられ、そのうち1つを選んで先生のピアノ・歌に合わせて自由に演奏を楽しみます。カスタネットや鈴といったお馴染みの楽器に加え、ウインドチャイムやスリットドラム、カホン、セミーヤといった珍しい楽器も。鳴らしてみたい楽器が複数あるときは同じ歌でもう一度トライできたり、柔軟に対応していただきました。3)2~3曲、歌と楽器を楽しんだあとは、形の違う4つの太鼓を用意します。大きな太鼓、平べったい太鼓、細長い太鼓、小さな太鼓……音の違いや感触の違いを楽しみながら、こちらもピアノに合わせて手やマレットで演奏を楽しみます。4)その次は、細長い太鼓だけを教室に残して体を動かす遊びです。太鼓の周りを、ピアノの調べに合わせて走ったり歩いたりしながらグルグル回ります。やがてグループ療育にも参加するようになると、年齢や参加人数に合わせて「音が止んだら太鼓を叩く」「名前を呼ばれた人が太鼓を叩く」などバリエーションが増えていきました。5)太鼓をしまうと、回によって内容は変わりましたがリラックスできるような遊びが多かったと思います。まゆみを仰向けに寝そべらせた状態で行う手遊びを教えてもらったり、リトミックスカーフを使う遊びなどを教えてもらいました。6)終わりの挨拶と歌も毎回同じなので、まゆみにとって「これでおしまい」というのが分かりやすかったようです。教室内をウロウロしていても、終わりの歌が始まると先生の前に戻ってくるようになりました。まゆみの変化まず驚いたのは、楽器を選んだことでした。二択でも「選ぶ」という行為が難しいまゆみにとって、並べられたものから一つを手に取るだけでも珍しいことでした。選んだすぐあとでほかのものが気になって手を伸ばしたりしてしまう姿は今も見られますが、少しずつ「選ぶ」「順番」の概念を学んでいってくれているように思います。さらに、表情が乏しかったまゆみが、太鼓の周りを走りながら満面の笑みを見せてくれたことも衝撃でした。リラックスタイムで、たくさんの造花の花びらをまき散らしながら嬉しそうに寝そべっていた様子も忘れられません。Upload By にれ一番の変化は、教わった手遊びを家でも繰り返すうちにまゆみから催促してくれるようになったことです。一緒に遊びたくてもまゆみが受け付けてくれない日々が続いていた中で、初めて「わが子と遊んでいる」という実感が持てました。あまりに嬉しくて、自宅用に買ったリトミックスカーフがボロボロになるほど相手をしました。触れ合いが増えていくにつれてまゆみの表情が柔らかくなっていき、笑顔が増えていきました。振り返りと、現在ぴあちぇ~れさんには音楽を通して「楽しい」という感覚を育ててもらえたのではないかと思います。そうして1年4ヶ月ほど楽しく通わせてもらいましたが、まゆみが3歳になる直前に一旦卒業することになりました。メインとなる療育先を移って単独通所を始めることになり、平日昼間の予定が埋まることになったためです。それから2年ほど経ったまゆみ5歳3ヶ月のとき、ぴあちぇ~れから「金曜夕方のクラスを開設することになったのでいかがですか?」と連絡がありました。またも二つ返事でお願いし、まゆみは2年4ヶ月ぶりに音楽を使った発達支援を再開しました。ぴあちぇ~れが楽しい場所だと覚えていたまゆみは、入るなり大興奮!……復帰第1回目はひたすら跳ね回っているうちに終わってしまいました……。それから数ヶ月通い続けていますが、楽しすぎて動き回ってしまうことが多く、なかなか身を入れて参加とはいかない日が続いています。けれど、音楽が好きという気持ちはまゆみの中で育っているようで、家では自分からピアノに向かったり、クリスマスプレゼントにハープを欲しがるような女の子に成長しました。コミュニケーションは相変わらず独特で何かを教えることは難しいのですが、いつの間にか一人で覚えた『きらきら星』や『ハッピーバースデー』を演奏してくれます。これも、楽しく楽器に向かう気持ちを音楽を使った発達支援が種まきしてくれたからかもしれません。まゆみが音を楽しむ様子を、これからもじっくり見守りたいと思います。Upload By にれ執筆/にれ(監修:室伏先生より)にれさん、音楽を使った発達支援の内容や、まゆみちゃんがそれらを楽しむご様子について詳しく共有くださり、ありがとうございました。ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは、周りの方との関わりに興味が向きにくい傾向にありますが、音楽を使った発達支援には、音楽を使った関わり遊びやふれあい遊びを通して、ご家族や支援者との関係性の改善や、コミュニケーションスキルの向上によい影響があることが分かってきています。そのほかにも、聴覚過敏のお子さんがさまざまな楽器の音に楽しく慣れることができたり(感覚過敏のお子さんにとってさまざまな刺激を受け取ることを楽しめるというのは貴重な機会です)、音楽に合わせて体を動かすことで運動能力の向上なども期待できます。これらは、お子さんがこの活動を楽しめる場合に得られる効果です。好きなもの、好きな遊びはお子さんによって異なりますので、その子の趣向に合わせた療育や活動の場を選ぶことができるといいですね。前の記事はこちらUpload By にれ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月19日療育を受けるきっかけになった1歳半健診今年6歳を迎えた長女のまゆみは、1歳半健診をきっかけに療育につながりました。健診を受ける際、これだけは聞こうと決めていたことがあります。Upload By にれまゆみの発達の遅れに気づいて以来、ずっと恐れてきた1歳半健診でしたが……ジタバタしきったと思えるところまでジタバタしたこともあり、「逃げられないのだから、何か成果を得て帰ろう」という気持ちになっていました。健診での問診中に心配事を伝えると、ありがたいことに発達相談をその日のうちに受けさせてもらえることになりました。そして心理士さんとの面談の結果、まゆみは「少し発達に心配のある子」として療育の申請をすることになったのです。しかし実は私、この時点では「とにかく療育につながろう」ということしか頭になく、多少調べてきたのは「自治体によっては3歳になるまで受けられなかったり、医師の診断書が必要」という療育を受けるための条件ばかり。市内にどういった施設があって、どういった内容のことをするのかはちっとも調べていなかったのでした。保健師さんによる聞き取り相談支援員の方との面談の前に、保健師さんによる聞き取りがありました。もう4年以上前のことなので詳しい内容は思い出せないのですが、ひとつハッキリと覚えているのは「公立の施設と民間の施設、どちらがいいですか?」と聞かれたことです。おそらく、保健師さんは「特色のある支援を希望しているか」という意味で尋ねたのだと思うのですが、当時の私はこの質問の意味を「経済面での希望を聞かれている」と勘違いしてしまい、勢いよく答えました。Upload By にれ公立よりも私立の学校のほうが学費がかかるというイメージをそのまま適用してしまい、あまり経済的に余裕のあるほうではないわが家は公立一択だと思い込んでしまったのです。実際には、公立・民間に関わらず所得に応じて定められている自己負担額で療育を受けられることになっているのですが……そのことを知ったのは後になってからでした。相談支援員さんとの面談数日後、自宅に相談支援員さんが来てくれました。当時、自宅外でまゆみを見ながら面談をするには数々のハードルがそびえ立っていたので、面談場所を発達支援センターと自宅の二択から選べる配慮がとてもありがたかったのを覚えています。相談支援員さんの話では、まゆみの年齢で通える公立の児童発達支援施設は市内に2ヶ所あるものの、1ヶ所は定員いっぱいのため自動的に「ひだまり児童園」(仮称)という施設になるということでした。私は「まずは療育につながることだ」と考えていたので、二つ返事でOKしました。あとは、日頃のまゆみの家での様子や1日のタイムスケジュール、療育を受けるにあたりどんな希望があるかなどの聞き取りでした。ひだまり児童園での面談契約のためには現地に赴く必要があったため、「療育って何をするんだろう。どんなところだろう……」と今更ながらドキドキしつつ、親子でひだまり児童園へ向かいました。見学と説明会を兼ねた内容の面談があり、実際に療育で使われている一室で施設長の先生とお話ししました。部屋にはボールやおままごとなどのおもちゃが置かれていて、先生はまゆみが遊ぶ様子を観察しながら「まゆみちゃん、赤が好きなんですね」「ボールを両手に掲げて歩きたいんですね」「こうしたい、というビジョンがしっかり彼女の中にありますね」など、「発達の遅れた子」としてではなく、まゆみ自身を見てくれているなと感じる言葉をたくさんかけてくれました。そして何より、「ああ、ここに通うことにして正解だな」と感じた出来事がありました。まゆみがおもちゃに飽きて部屋を出ようとしたので、思わず「コラ!勝手に出て行かないの」と捕まえようとした時、施設長の先生が「いいんですよ。うちは子どもファーストなので、好きにさせてあげてください」と笑ったのです。どこへ行っても居心地の悪さを感じて人目を気にしてばかりいた当時の私は、その言葉に「やっとまゆみの居場所を見つけてあげられたかもしれない」と思いました。Upload By にれそうして、施設の中を探検するまゆみの後ろを歩きながら面談の続きをしました。いま振り返っても、この時は素敵な体験をさせてもらったなと思います。まとめ以上、まゆみが児童発達支援施設に通所するまでのお話しでした。当時の私の場合、公立を選んだ時点で選択の余地はなく、希望というと「とにかく居場所がほしい」という願いだけでしたが……後々学んだことを含めて以下にまとめましたので、これから療育へ通うことを考えていらっしゃる方のお力になれましたら幸いです。Upload By にれひだまり児童園にはまゆみが3歳になる直前まで1年以上通わせていただきましたが、初めて通った児童発達支援施設がひだまり児童園で、ここの先生方に出会えて、本当に幸運だったなぁと思います。まゆみもひだまり児童園を気に入ってくれて、毎週楽しそうに通っていました。(ひだまり児童園に通う様子や卒業するきっかけになった出来事は私の著作で漫画にしておりますので、もしご興味のある方は是非ともチェックしてみてください♪)ちなみに、ひだまり児童園へ通い始めてから2ヶ月後、まゆみは私の希望で音楽療育にも通い始めました。次回はこちらのお話もさせていただければと思います。執筆/にれ(監修:新美先生より)児童発達支援につながるまでについて具体的に聞かせていただきありがとうございます。この年代ではまだお子さんの発達特性について気にし始めて間もないことが多く、福祉制度について知らないことが多いので、このような具体的なエピソードが聞けるとイメージが湧いて参考になりますね。児童発達支援は、主に小学校入学前の障害のあるお子さんが利用できる福祉サービスの一つです。利用の手順は市町村によって多少異なりますが、正式な診断名がなくても療育の必要性があると認められて、市町村から「受給者証」を発行してもらえると利用できます。コラムで紹介してもらっているように、公立と民間の施設があり、また親子で通うところ、保育園・幼稚園と同様に子どもだけが通えるところ、ふだんは保育園・幼稚園に通っている子が週に数回~月に数回、一定時間定期的に通うところなどさまざまです。集団療育、小集団療育、個別療育など形態もさまざまで、専門性の高さについてもまちまちです。また、児童発達支援は就学前までですが、同じ事業所内で放課後等デイサービスもやっているところもあり、就学後まで同じところで通う希望があればそういう観点も考慮するといいかもしれません。施設によって、かなりいろいろなカラーがあるので、候補になる施設を複数、見学に行ったり、できれば体験してみたりして、親子にあっていそうなところを見つけていけるといいですね。前の記事はこちらUpload By にれ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年05月20日中学生になった次女の初めての授業参観に行ってきました~次女のお友達のお母さんとあいさつができて安心しました。するとその日の夕飯時に次女が…私が「おだやかで優しそう」だってー!?真実の姿と真反対すぎて、家族は爆笑!そうです、私は…めちゃめちゃ猫をかぶってたんですよ。そりゃね、最初が肝心だから…良いイメージを持たれたいからね!次女の中学校への道のりが結構遠い…毎日通学するのも大変だ~次女~がんばって~!
2024年05月11日娘が2歳のころの話です。保育園に通っており先生から電話がありました。前歯2本が…!?「娘さんが水道で水を飲むために待っていたところ、お友だちに後ろから押され水道に歯をぶつけてしまいました。給食は問題なく食べられていますがどうしますか?」との内容でした。ごはんを食べていて歯も揺れてはいないということだったので、私は通常のお迎えを選びました。帰宅後も出血や歯の揺れがないため受診せず様子をみておりました。その後、約1年が経過して歯医者を受診した際にレントゲンを撮りました。すると、前歯2本の歯の根っこが折れる寸前と言われ、1年前の出来事を思い出しました。あのとき、様子を見ることなくすぐに受診をすればよかったと感じました。 ◇◇◇ 子どもが何かあったとき、様子をみることなく受診をするべきだと学びました。今回は乳歯なので大きな問題にはなりませんでしたが永久歯でなく良かったと思いました。 著者:櫻井 花/30代女性・主婦。2歳、5歳を育てる母。以前は勤務しておりましたが、現在は主婦です。イラスト:まげよ ※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
2024年04月06日2歳半から早期療育!親子通園クラスで学んだことわが家の息子は1歳半健診の時点で指差しがなく、発語はほぼ喃語の単語のみ、 何事にも興味が薄い子どもでした。保健センターの発達教室に通い、1歳10ヶ月で受けた発達検査で「10ヶ月程度の発達年齢」と分かりました。その後、2歳半でASD(自閉スペクトラム症)と診断され、親子通園クラスがある療育園に通うことにしました。まだ0歳児だった娘と、喃語しか話せず意思疎通が難しい息子を連れての通園は、肉体的にも精神的にも本当ーーーーに大変でした。しかし、療育の専門家である先生が、息子へどのように関わっているのかを間近で見られたことは、大きな学びとなりました。療育園では、あの手この手で反応の少ない息子の気をひいて、"人と関わることはこんなに楽しいんだよ"ということを、遊びやプログラムの中でも教えてくれました。また、親子で一緒に活動する中で、家庭では気づかなかった息子のさまざまな面を知ることができました。例えば、息子が特にリトミックとミュージックケアという音楽療法が好きなことを知りました。逆に、スライム遊びはあまり得意ではないことも分かりました。苦手な活動でも息子なりに取り組み、克服していく姿を間近で見守れたことは、発達の遅れに闇雲に焦っていた私の心を落ち着かせてくれたように思います。Upload By 海乃けだま就学先を見据えての園選び息子は2歳9ヶ月になった頃、喃語から少しずつ2語文を話し始めましたが、まだまだ発音が不明瞭で、ママしか理解できないレベルでした。衣服の着脱はズボンを履けるのみ、食事はスプーンをなんとか握るように持つことはできましたがほぼ手づかみ、排泄に至っては尿意の訴えもなく完全にオムツ……。このように、言葉の発達も身辺自立も進んでいませんでした。私たちの住んでいる地域では、多くの子どもが3歳児から幼稚園の年少クラスに入りますが、その時点では、地域の幼稚園は息子には難しいと考えていました。そのため、年少の間は少人数で手厚くサポートしてくれる療育園の単独通園クラスに通うことを決めました。療育園の単独通園クラスで過ごした1年間で、息子はできることがかなり増えました。言葉については、まだ一方通行な会話でしたが、発音もしっかりしてきて、ママ以外の人にも聞き取れるようになりました。身辺の自立も、衣服は前後ろを間違えることはあれど、自分で着脱できるようになり……なんとオムツも外れました(療育園の先生方には感謝してもしきれません…(涙))!!自分でできることが増えてきたので、年中の年は地域の幼稚園に転園することも視野に入れ始めた時、療育園の先生との面談がありました。先生は「ひとでくんは、地域の小学校に行けると思います。なので、地域の小学校に通うなら、もう1年療育園の単独通園に通って、集団に対応する力をつけてから幼稚園に転園するほうが、ひとでくんにとっても良いと思います」と話してくれました。その頃の息子は、療育園で自信をたくさんつけてもらい、みんなの前で発表する時や当番などに俄然やる気を出していました。先生からのアドバイスを受け、今はまだ、より大きな集団で過ごすことを目指すよりも、少人数で手厚くサポートしてくれる環境のほうが息子にとってプラスが多いと感じました。その結果、年中の間は引き続き療育園に通い、年長から地域の幼稚園に転園することに決めました。Upload By 海乃けだま年長で療育園から幼稚園へ転園した息子は?そして小学校入学へ……さらに1年間療育園へ通った後、息子は地域の幼稚園の年長クラスに転園しました。息子が転園した幼稚園は、1クラス十数人ほどの比較的少人数の園です。1学期の間は、まるで息子専属のように、加配の先生がぴったりついていてくれました。転園してきて最初の2ヶ月ほどは、息子も新しい環境にすぐにはなじめず、幼稚園での活動に参加しないことや、家で不機嫌になったりすることもありました。今では、多少の登園しぶりをすることはあるものの(家でマイペースに遊びたいため)、幼稚園に着いてしまえば笑顔で「ママいってきます!」と言ってクラスに入っていきます。運動会・保育参観・展示作品の製作・音楽会・劇の発表……この1年間でさまざまな行事がありました。しかし、息子は自分の出番まできちんと椅子に座って待っていたり、セリフを言って役を演じたり、楽器をリズムに合わせて鳴らしたり……思わず目頭が熱くなる思いでした(涙)。加配の先生も、3学期の今では息子に付きっきりではなく、少し遠くからの見守りで対応してくれています。このように息子の成長を感じる一方で……当然ながら同級生のお友達も、年長の1年間でぐんぐん成長していきました。療育園の時にはあまり気にならなかった周囲との差に驚かされ、内心ショックを受けることも多々あります。しかし、小学校へ入学する際に顔見知りのお友達がいることは、息子にとって安心材料となっているようです。そして、1年間幼稚園で一緒に過ごしたお友達は、息子のことをよく分かってくれているので、息子が困っている時に声をかけるなど気を配ってくれて、とてもありがたく思っています。先日小学校の体験入学があり、息子がどんな感想を伝えてくるのかドキドキしていましたが、小学生のお兄ちゃんお姉ちゃんにも優しくしてもらい、とても楽しかったようでホッとしています。Upload By 海乃けだま今回は、発達ゆっくりマイペースなわが家の息子の、就学に向けた園選びの経験をお伝えしましたが、同じように悩んでいらっしゃる方の参考になれば幸いです。執筆/海乃けだま(監修:鈴木先生より)言葉の遅れがあるお子さんを診た時、小児科医がまず考えるのは「難聴」の有無です。2歳までに単語が、3歳までに2語文が出てくれば正常範囲内と考えます。聴性脳幹反応(ABR)という寝かせて行う検査で難聴の有無は判定可能です。もし難聴が判明すれば耳鼻科で補聴器などの相談に入ります。先天的な難聴は新生児期に産婦人科で行うスクリーニング検査でほぼ分かりますが、後天的には中耳炎後などが多いため、ABR検査が必要になります。言葉が出ていたとしても、一度はABR検査をすることをお勧めします。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月15日早期療育とは?療育とは、障害のある子どもや、発達の遅れや偏りのある子どもに対して行われる支援です。それぞれの子どもの発達状況や特性などに応じて今現在の困りごとの解決や将来の自立に向けて支援を行います。知的発達症やASD(自閉スペクトラム症)の子どもが早期に療育を始めることで、社会的コミュニケーションの能力などが伸びるとも言われています。参考:就学前早期の自閉症児への療育介入は、社会予後を改善させる可能性|国立成育医療研究センター3歳児健診で「要観察」。療育に通うのは早い?Q:子どもが3歳児健診で「要観察」となり、療育機関を紹介されました。まだ要観察なので療育に通うのは早いのではと悩んでいます。「早期療育」のメリットなどが知りたいです。A:子どもに合った早期療育を行うことで、子どもにとって発達を促進し、困難を減らしていく可能性が高まり、保護者にとっても子どもに合わせたかかわり方が相談できるというメリットがあります発達障害者支援法においても早期支援の重要性が示されています。診断がなくても主治医の意見書によって早期から児童発達支援が受けられるようになってきました。早期療育にも個別支援や集団支援などさまざまな形態があります。子どもの発達や特性には個人差があるので、一人ひとりの子どもに合わせたプログラムが必要です。自発的、意欲的に周囲とかかわれるような環境を作り、自信や意欲、コミュニケーション能力の向上、自己選択、自己決定などを伸ばす支援を行います。子どもに合った早期療育を行うことで、子どもにとって発達を促進し、困難を減らしていく可能性が高まり、保護者にとっても子どもに合わせたかかわり方が相談できるというメリットがあります。Upload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月27日2歳目前、保健所へ発達相談の電話をした娘が2歳になる目前、発達に何かあると確信した私は、保健所へ発達相談の電話をかけました。数日後、家に保健師さんが来て、娘の様子を詳しく確認してくれました(もともと1歳半健診で要観察になっていたのでそこまでの流れはスムーズでした)。保健師さんに娘の今までのことや発達で不安なことを伝えたところ、市でやっている「親子教室」をすすめられました。ですが話をよく聞いてみると、親子教室へ半年通ったあと、さらに支援が必要なお子さんに対しては、発達支援センターでの約3ヶ月間の療育プログラムをすすめるということでした。わが家は転勤族で5ヶ月後に引っ越しすることが決まっていました。そのため、私は親子教室を飛ばして、発達支援センターへすぐに通えないか聞いてみました。娘の様子を見ていた保健師さんは、少し考えたあとに「お母さんにならお伝えしても大丈夫そうなので……」と前置きしてから「しぇーちゃんは、発達支援センターに通うことをおすすめします」と言って、発達支援センターのパンフレットをくれました。これ以上モヤモヤする期間を過ごしたくなかったので、保健師さんが柔軟に対応してくれたことには感謝しかありません。いよいよ発達支援センターへUpload By マミヤ私は翌日、保健師さんに教えていただいたとおり、さっそく発達支援センターに電話をかけました。発達支援センターでは、未就園児を対象にした親子通所の発達支援プログラムを提供しているとのことでした。週に1回2時間、全12回で構成されていて、最後の12回目は発達検査を受けた上で、医師が診察をするとのことでした。緊張と期待を込めて参加した初回は、娘の多動が大爆発し、とにかく室内を追いかけ回した日でした。親子で一緒に運動をするのですが、娘はたくさんの刺激に興奮して声を上げ、私のことは全く視界に入りません。ほかのお子さんが遊ぶおもちゃすべてに興味を示し、おやつの時間も少ししか座らず(偏食で食べない)、終わった時には親子で汗だくでした。ほかのお子さんもそれぞれ発達に不安な部分があるからこそ、ここに通っているのだと理解してはいましたが、正直なところ、娘はその中でもとんでもなく突出していると思いました。唯一の救いは、ここでは娘の大変さを誰もが分かってくれているということでした。先生方もフォローをしてくれるし、ほかのお母さん方も見守ってくれている気がしました。私は誰よりも激しく動き回る娘を追いかけながらも「ここで療育を受けたら、娘に何かいい変化があるかもしれない」という希望を捨てず通い続けました。発達支援センターでの娘の成長Upload By マミヤそれからも、発達支援センターではいろんな経験をさせてもらいました。初めは興奮して走り回っているだけだった娘ですが、だんだんと先生の指示が聞こえるようになり、ダンスなどにも参加するようになりました。そして、そんな娘の変化を先生方やほかの保護者の方が一緒に喜んでくれ、今まで孤独だった育児が変わりました。その日その日をなんとか過ごすのではなく、今日は家で娘と絵カードをやってみようとか、療育でやった体遊びをしてみようとか、娘との時間を意識した生活に変わったと思います。そして、発達支援センターの最後の療育の日、絵本の活動の時間に椅子に座ったことがない娘がしっかりと座って聞いていました。発達検査を受けた娘。医師から結果の説明を受けるUpload By マミヤそしてプログラムの最終日、娘は発達検査を受けました。検査が終わると医師から結果の説明と合わせて診察がありました。先生は療育中の娘の多動や目の合いづらさなどが気になるとのことでしたが、まだ2歳なので、現時点で診断するかどうかはあくまで保護者の希望を優先しますと言われました。引っ越し先で療育に通うためには受給者証が必要だったため(引っ越し先の自治体では、受給者証発行には医師の診断書が必要でした)、そのことを伝えると、その場でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。結果的に、2歳目前で自ら発達相談の電話をかけたことで、その後の早期療育や発達検査、診断へとつなげることができました。今回はわが家の娘が2歳4ヶ月という比較的早い段階で診断を受けた経緯を書きましたが、お子さんの発達に悩んでいらっしゃる方の参考になれば幸いです。執筆/マミヤ(監修:新美先生より)2歳前に発達に何かあると感じ、積極的に動いて早期療育・診断に結びついたエピソードを聞かせていただきありがとうございます。発達障害の概念自体、ここ10数年で急速に広まってきたため、保護者の方の認識は非常に幅広くまちまちです。地域のシステムとしては、あまりそういうことを感じていない保護者の方が戸惑わないように、ゆっくり、段階的に、マイルドに療育などにつなげていくような仕組みになっているところが多いかもしれません。なのでマミヤさんのように、すでに自ら発達に関する情報を求められて、お子さんに必要なことはなんでも早めに受けたい知りたいという場合は、記事にあったように積極的にこちら側の思いを伝えていくのは良かったと思いました。発達支援センターのように、お子さんのさまざまな特性に対応してもらえる場があると、余計な気をつかわず親も子も安心して、さまざまな経験を積むことができますよね。また発達検査や診断を受けることで、よりお子さんに適した情報や支援にたどり着くメリットも大きいと思います。そのあたりが詳しく伝わるエピソードを聞かせていただき、ありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月16日再判定の発達検査は受けなくて良いの!?Upload By カタバミまちゃが特別支援学級の小学2年生の秋、児童相談所から電話が来て「そろそろ療育手帳の更新の時期です。再判定のために来所して発達検査を受けますか?」と聞かれました。今の等級のまま、あまり変動のなさそうなお子さんには検査受診の希望を聞いているとのことでした。更新のためには必ず発達検査が必要だと思っていたので驚いたと私が伝えると「では検査は受けるんですね」と少し素っけなく言われました。(本音を言うと行かないほうが楽なんだけど……)と思いつつ、少し迷いながら再判定の検査を受けることにしました。そして検査が終わった直後、心理士さんからの話では「今回の判定で療育手帳の等級は重度になるかもしれない」と言われました。検査中のまちゃは、テーブルの上に置いてあった物を手で払って落として喜んでいたと伝えられました。正式な判定は会議の結果にて、私たちには数週間後に知らされるとのことでした。療育手帳2度目の更新、判定はUpload By カタバミ発達検査から数週間後、わが家に封書が届いて、等級が「重度」になったと知らされました。その時、私は少しショックを受けました。実はまちゃは1番初めの手帳判定の発達検査の時に、検査直後には「中度」と言われたのに数週間後に「会議の結果、軽度になりました」と電話が来たことがありました。今回も同じように、結果はくつがえって「中度のままになるのではないか」と期待していた自分に気がついたのです。そして、療育手帳の等級が重度になると受けられる支援が増えると聞いていたので、新しい手帳を受け取りに市役所に行った時に、新たに受けられる支援の手続きも一緒に全て行ってきました。聞いていた通り中度から重度になって受けられる支援は増えました。中でも、とても助かるのが雨の日の学校の送迎です。まちゃの通う小学校には車を停車できるスペースはあるのですが、そこは駐車は禁止エリアになっています。ですので、天気が悪い日に車で送っても、まちゃは車から降りて、その停車スペースから1人で昇降口まで行くことができません。今回、療育手帳の等級が重度になったことで、その停車スペースに駐車できるようになりました。これは、大変助かるなと思っています。<参考>駐車禁止等除外標章(身体障害者等用)の申請手続き及び使用方法について(警視庁サイトより)療育手帳が重度判定になり、周りの反応はUpload By カタバミ療育手帳の更新手続きを終えてすぐ、私の姉に電話をしました。「そっか。まちゃは重度になったんだね。でも、まちゃに毎日接している人から見ると、毎日ちゃんと成長してるんだからショックだよね」と姉。「でも客観的に見たらやっぱりできないことだらけなんだよね」と私。忙しいなかでも姉は可能な限りはよく私の電話に付き合ってくれます。「でもさ、望んでも支援に繋がれない人もいることを考えたら、母親のあんたとしては複雑だろうけど、そんなに悪いことだとは言い切れないかもしれないよ」と、姉。姉は、これまで私がまちゃの療育などを頑張ってきたことも知っています。それからしばらくして実家に行くと姉から報告を受けた父から「落ち込むなよ!」と何度も言われて、手づくりだというカチカチになった干柿をたくさん持たされました。母は5年前に他界していますが、私の実家はこれまで障害のある方とほぼ全く接しないで暮らしてきているので、分からないことだらけでみんな困っていると思います。目の前のまちゃだって自分が重度になったことなんて分かっていないと思われます。そして、父から「年末に高級なお節料理を注文したけれどお前にあげるから取りにきなさい」と言われました。甘える相手がいることは本当にありがたいと思っています。手厚い支援を得てUpload By カタバミショックを受けるなら電話だけで更新を済ませて、中度のままでいれば良かったのにと思います。私は重度になって手厚い支援もほしかったのですが、心の奥底では、きちんと再判定の検査を受けて、それで中度という結果で療育手帳を更新したかったんだなと思いました。われながら分かりにくくて面倒臭い気持ちだと思います。まちゃと暮らしていくことは確かに手がかかります。ですので、手厚い支援を受けながら、成長を促して、とても時間がかかったとしてもまちゃのできることを増やして、困ることは減らすようにやっていくしかないと思っています。執筆/カタバミ(監修:新美先生より)療育手帳の再判定に関してお話をお聞かせいただきありがとうございます。療育手帳は主に知的発達症(知的障害)の方に交付される障害者手帳です。自治体により交付基準や等級なども異なるのですが、知能指数(IQ)と日常生活の困難さの基準をもとに交付の有無や等級が判定されます。一度交付されても、年齢によって数年ごとに再判定が定められており、今回お伺いしたような再判定を数年ごとに受けることになります。判定の基準となる知能指数や日常生活の困難さは、年齢相応の平均水準が年齢ごとに上がっていくので、お子さん個人で見れば数年間の間にできることが増えて確実に成長を実感していても、相対的に判定が重いものになることはあるかもしれません。カタバミさんは、お子さんの療育手帳区分が中度から重度になり、受けられる支援サービスが増えるというメリットを知りながらも、心の奥ではショックで切ない気持ちを感じているということを聞かせて下さいました。そんな中で、実家のお姉さんやお父さんがさまざまに気づかいあたたかく見守ってくださっているのは頼もしい支えですね。療育手帳はあくまでも行政上のものですから、まちゃくんがマイペースに着実に日々の生活を重ねていくことの大切さに変わりはないと受け止めて、必要な福祉サービスを使っていけるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月14日星河ばよさんの長男・タロくんが3歳だったころのこと。ばよさんは保育園の先生から「療育相談センターに行ってみますか?」と告げられます。保育園でのタロくんは、ほかの園児と同じ行動ができず、自分の興味のあることしかやらない、すぐに自分の世界に浸ってしまい、集中力が続かないというのです。それは暗に、タロくんが発達障害であることを示すような内容でした。ばよさんはショックを受けますが、保育園の提案を受けてから1カ月が経ち、ついにタロくんを連れて療育センターを訪れました。そして、発達検査の結果は「発達障害の特性をお持ちです」。結果を受け、保育園には加配の先生が配置されることとなり、ばよさん親子は月に1度、療育センターに通い始めます。療育センターに通い始めた当時、タロくんは保育園の年中さん。翌年には年長さんを迎えるにあたり、センターの人から「小学校入学を見据えた療育教室が始まります」との話が。どんどんと進んでいく現実に戸惑うばよさんでしたが、それでも加配の先生や療育センターの人たちのサポートにより、少しずつ前を向けるようになっていたのです。月に1度、療育センターに通う、ばよさんとタロくん。 ばよさん親子が通う療育センターでは、子どもの課題活動が終わると、臨床心理士の先生と親との面談時間が設けられています。 保育園には息子専用の席が設けられていて… 療育教室の初日。タロくんは最後まで気分がのらず、その様子を見守っていたばよさんは、どっと疲れを感じてしまうのでした。 ばよさん親子が参加を始めた療育教室。しかし、“療育教室”という取り組みに、決まったひとつの定義はないようです。自治体が運営している機関もあれば、民間が運営している施設もあり、必ずしも「小学校入学を見据えた活動」という前提があるわけではなく、教室でおこなう活動の内容もそれぞれ。 ただ、多くの場合、療育教室に通うために必要になるのが「通所受給者証」です。これは、福祉サービスを利用するために市町村から交付される証明書。医療機関から発達障害の診断を受けていない、いわゆるグレーゾーンの場合でも、療育の必要性が確認できる書類(医師の意見書など)があれば申請可能なので、気になる方は自治体に問い合わせてみてもいいかもしれません。 >>次の話 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年12月14日療育手帳を取得、更新するために受ける発達検査!息子を連れて行くだけでも大変だったわが家の次男Pは知的障害を伴う自閉スペクトラム症です。初めて療育手帳を取得したのは3歳の時で、当初は「軽度」と判定されました。その2年後、Pが5歳の時に手帳の更新があり、その時には「中度」と判定されました。そしてさらに3年後の今年、Pは8歳になり2回目の更新の時期がやってきました。私は、市役所で手続きをし、発達検査を受けるためにPを連れて児童相談所へ行きました。思えば初めて療育手帳の検査を受けに行った時は、Pを児童相談所へ連れて行くというだけでも大変でした。知らない場所で、知らない心理検査員さんと発達検査を受けるのはかなり難しく、大人しく座れないし、検査もやりたいことしかしないし、分離不安もあったので、私はPの側から離れることができませんでした。5歳の更新の時も同じように大変で、Pは療育園を休んだことでルーティンが崩れ、いつもと違う雰囲気に戸惑い、ずっと泣きながら検査を受けていました。Upload By みん8歳になってから受けた発達検査は、想像以上にスムーズで……しかし今回、8歳の更新の時は前回までと違い、児童相談所へ行く前に建物の写真を見せて、ここへ行くから学校はお休みするということを伝えると、すんなりと向かうことができました。到着してからも「この先生と一緒にお勉強するんだよ。その間お母さんとはバイバイします」と伝えると、心理検査員さんと2人だけで発達検査を受けることができました。私は別室で検査が終わるのを待ちながら、Pの成長を実感していました。無事に検査が終わり心理検査員さんからも「最初から最後までずっと座って集中していて、こちらの指示通りに検査を行なってくれました」と言ってもらえて本当にうれしかったです。Upload By みん障害の等級により支援内容が変わる福祉サービス。療育手帳を取得、更新するメリットは?その後、保護者である私へのヒアリングがあり、生育歴や日常生活についての質問を受け、これらを総合的に判定した結果、A(重度)判定となりました。今回の更新で等級は下がりましたが、Pは確実に成長していてスムーズに検査を受けられたことのほうがうれしかったし、中度と重度では受けられるサービスも変わってくるので、やっと正確に判定されたことにも安心しました。重度になると税金控除の減税額も変わり、旅客運賃の減額、施設の割引など、さまざまなサービスがありますが、高速道路の割引も受けられるようになったので、車で旅行やお出かけをするのが大好きなPのために、ありがたく利用させていただきたいと思っています。支援内容やサービスは自治体によって異なりますが、療育手帳を持つことでさまざまな支援を受けやすくなります。療育手帳の取得は必ずしないといけないものではないし、取るか?取らないか?は本人や家族の考え方にもよりますが、わが家の場合は取得するメリットの方が大きいと感じています。このような制度があることに感謝しながら、これからも有効活用させていただきたいと思っています。Upload By みん執筆/みん(監修:森先生より)療育手帳の判定というのは、あくまでも「支援のために総合的に判断されるもの」であって、決して「お子さんの能力そのもの」を示すものではありません。お子さんの健全な成長のために必要なサポートをしっかりと考えて、適切な支援を受けられていて素晴らしいです。保護者の方だけでなく、自治体などの専門家の方もお子さんの成長を見守ってくれていると思うと頼もしいですね。療育手帳の取得に関して、ご家庭によってさまざまな考え方がありますが、自治体がお子さんの成長のために設けているサポート制度ですので、ぜひ有効活用してみてくださいね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年12月14日星河ばよさんの長男・タロくんが3歳だったころのこと。ばよさんは保育園の先生から「療育相談センターに行ってみますか?」と告げられます。保育園でのタロくんは、ほかの園児と同じ行動ができず、自分の興味のあることしかやらない、すぐに自分の世界に浸ってしまい、集中力が続かないというのです。それは暗に、タロくんが発達障害であることを示すような内容でした。ばよさんはショックを受けますが、保育園の提案を受けてから1カ月が経ち、ついにタロくんを連れて療育センターを訪れます。そして、発達検査の結果は「発達障害の特性をお持ちです」。結果に動揺すると同時に、ばよさんは「保育園に報告したら、私自身がタロの発達障害を認めることになる……」と葛藤します。それでも勇気を振り絞って保育園に伝えると、タロくんのために加配の先生が配置されることになったのです。発達検査を受け、その結果を保育園に報告したばよさん。以来、ばよさんとタロくんは月に1度、療育センターに通うようになります。 最初のうちはやる気があるけれど… 「その場にいられるだけでもいいんです。いられない日があってもいいんです」。 臨床心理士の先生もソーシャルワーカーの方も、保育園の先生も、ばよさん親子のことをあたたかく、前向きにサポート。タロくんの発達障害をなかなか受け入れることのできなかったばよさんですが、当時を振り返り、少しずつ、でも着実に、自身の心が溶けつつあったことに気づいたのでした。 ばよさんが「皆さんが少しずつ、私の心を溶かしていってくれた」と振り返るように、何事も一歩ずつ変化していくのかもしれません。自分ゴトとして考えてみても、特に人との信頼関係は、ゆっくりと築かれていくものですよね。 不安なときは気持ちが急いでしまいますが、皆さんにも「振り返ってみれば、少しずつ変化していたのかも?」と思えるような経験があるのではないでしょうか? 小児神経専門医の松井先生によると、今回のタロくんのように、早い時期から療育をおこなうことで徐々にいろいろなことができるようになりますが、これを“早期介入”と言うそうです。発達障害においては、早期発見、早期介入が重要とされています。 >>次の話 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年12月13日星河ばよさんの長男・タロくんが3歳だったころのこと。ばよさんは保育園の先生から「療育相談センターに行ってみますか?」と告げられます。保育園でのタロくんは、ほかの園児と同じ行動ができず、自分の興味のあることしかやらない、すぐに自分の世界に浸ってしまい、集中力が続かないというのです。それは暗に、タロくんが発達障害であることを示すような内容でした。ばよさんはショックを受けますが、保育園の提案を受けてから1カ月が経ち、ついにタロくんを連れて療育センターを訪れます。そして、発達検査の結果は「発達障害の特性をお持ちです」。涙を浮かべながらセンターを後にすると、同じ育児の悩みを抱えたママ友に遭遇。互いに共感し合うのもつかの間、ママ友から「センターには行かず、民間の療育施設に通ってる」と打ち明けられ、ばよさんはまたも心細くなってしまったのです。ママ友との会話のひとときを終え、帰宅したばよさん。仕事から帰ってきた夫に、検査の結果を伝えます。 発達検査の結果は出たけれど… 保育園に検査結果を伝えるということは、自分自身がタロくんの発達障害を認めることになると葛藤するばよさん。「特性にあった関わり方が重要」という療育センターのソーシャルワーカーさんの言葉を思い出し、勇気を出して、担任の先生に検査結果を伝えました。 園長先生や主任先生の態度にはデリカシーのなさを感じつつも、ばよさんは発達検査の報告を前向きに捉えることができたのでした。 一方、ばよさんは加配の先生が配置されたことに対し、申し訳なさを感じてしまいます。「自分の子どものためだけに……」と思うと、ついつい萎縮してしまうのは、親のサガなのかもしれませんが、引け目を感じる必要はありません。 保育園や幼稚園における加配制度は、国や自治体が支援する取り組みのひとつ。厚生労働省は昭和49年、つまりは50年近くも前から、加配の推進に努めてきた歴史があります。決して“自分の子どもだけ”ではなく、多くの人たちが利用してきた制度なのです。 小児神経専門医の松井先生によると、加配制度によって子どもへのよりきめ細かい保育、対応が可能になるそうですよ。 >>次の話 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年12月12日星河ばよさんの長男・タロくんが3歳だったころのこと。ばよさんは保育園の先生から「療育相談センターに行ってみますか?」と告げられます。保育園でのタロくんは、ほかの園児と同じ行動ができず、自分の興味のあることしかやらない、すぐに自分の世界に浸ってしまい、集中力が続かないというのです。それは暗に、タロくんが発達障害であることを示すような内容でした。自分の息子に発達障害の可能性があるとは思いもせず、ばよさんは大きなショックを受けます。そこに追い打ちをかけるように保育園の主任先生は、ばよさんとタロくん自身が療育センターに足を運ぶのか、それともセンターの人に保育園に来てもらうのか、畳み掛けるように決断を迫ります。 ショックに打ちひしがれるばよさんは、さらに混乱してしまうのです。 家では、そんな様子はないのに… 答えの出ない理由を探してはネット検索を続け、夜になっても考えることをやめられない……。ばよさんは、枕を濡らす毎日を過ごしていたのでした。 悩みの種は違ったとしても、ばよさんと同じような経験のある人は、決して少なくないはずです。ましてや、ばよさんにとって、息子に発達障害の可能性があるとは思ってもみなかったこと。発達障害とは何なのか、療育センターとはどのような場所なのか、あらゆる情報が氾濫したネット上に答えを求めてしまうのも仕方ありません。 しかし、ひと口に「発達障害」といっても、その特性には個人差があります。また、お子さんの発達障害に気づいたり、その可能性を告げられたりするタイミングやきっかけもさまざまなようです。 先輩ママたちの経験談は、発達障害と向き合おうとする親御さんの強い味方。一方、特性には個人差があることを忘れず、医師をはじめとする専門家が監修した情報に目を通すことも大切です。 小児神経専門医の松井先生によると、軽度の発達障害のお子さんは保育園や幼稚園で「ちょっと気になる」お子さんとして見つけられることが多いそう。発達障害の可能性があると気づいた際には、療育センター・小児科・保健師さん等に相談するのが良いとのこと。療育センターで検査を受け、療育をおこなうことで、弱い部分があっても、発達が伸びていきます。また、お子さんの苦手なところ、得意なところがわかり、家族も子どもへの関わり方がより具体的になっていくことでしょう。 >>次の話※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年12月08日彼に伝わる?心を通わせるLINEのコツLINEは対面での会話とは異なり、直接顔を見てコミュニケーションをとることはできません。だからこそ、言葉遣いや文章表現で自分らしさを伝えることが重要になります。今回は、彼を惹きつける「好印象のLINE」を紹介します。ミスに対する優しいフォロー男性の中には、自分のミスに厳しい人も少なくありません。そのため、一度失敗をしただけで、彼自身が自己嫌悪に陥り、落ち込むこともあるかもしれません。そんなとき、あなたの優しい言葉が彼を励まし、立ち直らせることもできます。ただし、男性のプライドを傷つけないよう、適切な表現を心掛けましょう。「お疲れ様、次回に活かそうね」などの一言が効果的です。タイムリーなエール人生のうち、大切な瞬間で、あなたの気遣いを感じたら、彼はあなたをより一層気にかけるようになるはずです。例えば、重要なプレゼンテーションがある日「頑張ってくださいね」の一言や、出張のときは「気をつけてくださいね」というメッセージを送りましょう。彼はそんなメッセージを受け取ったときに感動し、あなたを一層好きになる可能性が高いでしょう。体調管理に配慮するちょっとした体調の変化を察し、心配してくれる姿は「思いやりの深い女性だな…」と男性に感じてもらえるでしょう。たとえば、彼がちょっとした咳をしたとき「大丈夫ですか?」「何か困ったことはない?」というメッセージを送ってみましょう。明らかに健康状態が悪いときだけでなく「すこし咳が出ていますね」くらいのときでも心配することで「この子、ささいなことまで気にかけてくれるんだ」と彼に感じてもらえるはずです。まずは相手のことをよく観察しましょうまずは「さりげなさ」や「センス」が最も重要です。彼の言動に耳を傾け、フレンドリーでシンプルなメッセージを送ることで、あなたの優しさを伝えることができます。あなたらしさ、そして愛情があふれるLINEが、彼にとって心地よいものになるでしょう。(愛カツ編集部)
2023年11月17日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受け、次男は多動傾向がありました。幼稚園に通い始めると、兄弟2人とも発達医療をすすめられて困惑します。長男は就学のため小学校の支援級の見学や知能検査を受けるも結果は普通級。幼稚園からは次男の検査も急かされ、兄弟で診察を受けに児童発達センターへ。長男はADHD、次男は多動という診断を受け、医師から的確な助言ももらって、息子の育て方に悩んでいた心が少し救われます。結果を伝えると、園長は自分の手柄と言わんばかり。年中になる次男は幼稚園から園外療育を提案され、幼稚園と療育園の並行通園を始めました。夏休みに次男の就学に向けた会議がおこなわれ、幼稚園をやめるという選択肢を提示され、幼稚園の面談でその決断を迫られてーー。夫婦で話し合った結果、幼稚園の退園を決めたと報告すると、主任先生は安心した様子で、園長は笑みを浮かべていました。退園を決めた一番の理由を聞かれ、衝撃を受けるゆーとぴあさん。さんざん退園を迫ってきたのに、最終的な判断は両親が決めた形にしたいようにしか思えませんでした。当の次男は療育園を行きしぶり、幼稚園に行きたいと泣く日が続きます。そんなわが子を見て、息子や自分を責める気持ちと同時に母としての申し訳なさ、これまでの苦悩などいろんいろな気持ちがあふれて、次男を抱きしめて涙が止まらず……。 「安心してくださいね」療育園からの温かい言葉に心から感謝 ※エビリファイ:一般名「アリピプラゾール」。抗精神病薬。心の具合を調整し、気持ちを穏やかにする薬。気持ちのたかぶりをしずめる作用がある。強い不安感や緊張感、興奮状態、うつ状態などさまざまな精神症状に応用され、副作用も比較的少ないとされている。対象は小児期の自閉症スペクトラムに伴う易刺激性で年齢6歳以上18歳未満の使用を目安にしておくとよい。 療育園だけの通園になり、しばらくしてからの面談にて。担任から次男のうれしい報告を受けたあとに幼稚園での様子を聞かれ、園からの逃亡や大変な出来事を話すと驚かれるとともに、園長からは人数の多い幼稚園では時間をかけることができずに、何をすべきかが理解できなかったのだろうが、療育園ではわかるようにきちんと教えていくので安心するようにとの言葉をもらったゆーとぴあさん。幼稚園を退園する時は、療育園に通うことで周りの目が気になったり、将来のことを不安に思うこともありましたが、息子が過ごしやすい支援があるここを選んだことが心からよかったと感じていました。 1年後、次男が年長になった12月。小学校の支援学級の見学でまた幼稚園の園長と偶然再会することに。イキイキしている園長とは対照的に、彼女が引率していた幼稚園の保護者はどんよりした様子。支援級の見学が終わり質問時間になると、幼稚園の保護者が質問をする様子を見てその母親の気持ちが痛いほどよくわかりました。 見学会が終わり、少し園長と話したゆーとぴあさん。次男の様子を聞かれ、園長から提案のあった支援学校も考えたが、病院から処方された薬が息子に合って落ち着いたことを話すと、勉強熱心な園長はその薬の名前をメモしていました。今となっては、次男には療育が必要だったので園長の判断は正しかったし、療育をすすめてくれてよかったと思えていました。 帰り際、一緒に見学をしていた幼稚園の保護者が声をかけてきて、療育に通っていたことを知らなかったと告げられます。支援級にするかどうか尋ねられますが、わが子の支援級は決まっていると答えたゆーとぴあさん。そのママは悩んでいたようでしたが、結局子どもは普通級を選択したようでした。 一緒に見学した幼稚園の保護者のように、幼稚園から療育をすすめられても普通級に通うケースは多いものの、支援級に入る選択もあるよう。長男のように判断に悩むケースもあり、幼稚園や保護者にとって難しい判断を迫られることに違いはありません。 ◇◇◇ 幼稚園から療育園に至るまでの経緯は、ゆーとぴあさん家族にとって生活の負担や気持ちのアップダウンが大きく、決して平坦な道ではありませんでしたが、療育園では息子の理解はもちろん成長をよく見てくれ、保護者の気持ちにも寄り添ってくれるという、ずっと追い求めていたものがありました。 発達障害について義家族や実母からの無理解、幼稚園の園長からの療育への一方的なすすめ。兄弟ともに発達障害の検査を受け、紆余曲折ありたくさん悩んだゆーとぴあさん。できれば幼稚園には療育の勉強だけでなく、保護者の不安な気持ちの共感や寄り添いがあればと思いますが、最終的には理解ある療育園にたどり着けて本当によかったですよね。次男が成長でき、そんなわが子を見ているのも幸せに違いありません。今はまだ大変なこともあるようですが、お子さんと一緒にゆっくり歩んでいってほしいですね。 ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年11月12日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受け、次男は多動傾向がありました。幼稚園に通い始めると、兄弟2人とも発達医療をすすめられて困惑します。長男は就学のため小学校の支援級の見学や知能検査を受けるも結果は普通級。幼稚園からは次男の検査も急かされ、兄弟で診察を受けに児童発達センターへ。長男はADHD、次男は多動という診断を受け、医師から的確な助言ももらって、息子の育て方に悩んでいた心が少し救われます。結果を伝えると、園長は自分の手柄と言わんばかり。年中になる次男は幼稚園から園外療育を提案され、幼稚園と療育園の並行通園を始めていましたが、夏休みに次男の就学に向けた会議が行われ一波乱が起きていましたーー。療育園での大規模な会議で出された懸案事項「幼稚園をやめて、全日療育園にするか?」。来年度の話だったので、夏休みの今すぐに答えを出さなければいけないとは考えてはいませんでしたが、園長からの要請で幼稚園で面談をすることに。面談では、次男の療育サポートに積極的だった主任先生から、幼稚園での加配は予算がなく、しっかり療育したほうがいいと言われて、その変貌ぶりに衝撃を受けるのでしたーー。 「絶対に療育園に行った方がこの子のため」ほんとに? 「中学、高校、大人になるまでのことを考えているか?」「このままでは小学校の支援学級も通えない」「療育園に行った方がこの子のため」 立て続けで責めるような口調の園長の言葉に、思わず涙があふれてしまったゆーとぴあさん。異変に気づいた主任先生が、もう一度夫婦で話し合うように告げました。 自宅で話を聞いた夫は、今すぐにでもやめてほしいという幼稚園側の意向を受けて、やめればいいと言い、ゆーとぴあさん自身も、あんな言い方をする園長の元へ通うのはもう限界の時が来ていました。 ◇◇◇ これまで園長の厳しい発言に耐えてきたゆーとぴあさんでしたが、もう心が限界でした。園長は発達障害のことを自ら勉強をして、幼稚園の図書室に私物の関連書籍を置くなど熱心ではありますが、発達障害の疑いを持つ子どもを育てている親の不安な気持ちには寄り添ってはくれません。親がわが子が大人になるまでのことを考えていないわけがありません。通っているわが子の気持ちも大切ですが、通わせているゆーとぴあさんの気持ちも大切にして判断してほしいですね。 次の話ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年11月10日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受け、次男は多動傾向があり、幼稚園に通い出すと担任から医療センター行くよう告げられ、さらに長男も園から発達医療をすすめられて困惑。幼稚園の指導により、長男の就学のため小学校の支援級の見学や知能検査を受けますが、結果は普通級。長男の検査が終わるや次男の検査を急かされ、兄弟で診察を受けに児童発達センターへ。医師からの助言を受け、息子の育て方に悩んでいた心が少し救われます。長男はADHD、次男は多動という診断を幼稚園に伝えると、自分の手柄と言わんばかりの園長の態度に、これまでの性急な指示は園長によるものと合点がいきます。新年度、幼稚園から次男の園外療育として新たな提案を受け、6月から幼稚園と療育園との並行通園がスタートしました。コロナ禍の影響で通園当初は全日療育園に通い、6月から本格的に幼稚園との「並行通園」を開始。療育園に慣れたころだったので、両方の通園に泣いたり混乱したりする次男を見て、ゆーとぴあさんは幼稚園のすすめを受け入れたことがよかったのか不安に。しかし、幼稚園側も以前に比べて療育に配慮した対応が増えて助かったと思っていたのですがーー。 夏休み。平穏に療育に通っていたところへ突然の電話が 夏休み。幼稚園は1カ月以上あり、療育園は8月の2日間のみのため、期間中次男は全日療育園に通うことに。 夏休み中に療育園の園長からの電話で、大事な会議があるので夫婦で参加するようにとの連絡が入ります。今後に関わる重要なもので、幼稚園の園長や教育委員会も参加するという大掛かりなもの。 夫に伝えると、「えーーー!」と言いつつ、まあすぐに終わるだろうと気楽な様子。対照的にゆーとぴあさんは何か一波乱起きそうな気配を感じ取りますがーー。 ◇◇◇ 息子が全日で療育に通ってくれることでゆーとぴあさんは短期バイトを入れて身軽に動けていましたが、療育園の園長から大事な会議があると告げられます。夫だけでなく、幼稚園の園長や教育委員会など参加メンバーが多いことから只事ではない雰囲気を感じ取りますが、夫はそこまで深く考えていないよう。杞憂に終わればいいですが、どんな会議になるのでしょうか? 次の話ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年11月06日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受け、次男は多動傾向があり、幼稚園に通い出すと担任から医療センター行くよう告げられ、さらに長男も園から発達医療をすすめられて困惑。幼稚園の指導により、長男の就学のため小学校の支援級の見学や知能検査を受けますが、結果は普通級。長男の検査が終わるや次男の検査を急かされ、兄弟で診察を受けに児童発達センターへ。医師からの助言を受け、息子の育て方に悩んでいた心が少し救われます。長男はADHD、次男は多動という診断を幼稚園に伝えると、自分の手柄と言わんばかりの園長の態度に、これまでの性急な指示は園長によるものと合点がいきます。新たな面談で次男の担任から園外療育として、聞き慣れない並行通園という提案をされてーー。当初の療育から、「並行通園」に急きょ提案変更され戸惑ったものの、しっかりとした療育ができるため見学をして受け入れることに。2020年4月、長男は小学校入学、幼稚園年中の次男も療育園との並行通園を開始しますが、コロナ禍で幼稚園が自由登園になってしまい、次男は全日療育園に。療育園はやることすべてが可視化され、教室はもちろん給食に至るまで配慮が行き渡り、次男の様子からこのまま療育園に切り替えてもいいかもと思うほどでした。そして6月にコロナ休園が明け、本来の幼稚園との並行通園が始まりますが……。 並行通園スタート。慣れないこともある一方、よい変化も ※加配とは:保育園や幼稚園で、障がいのある子どもや集団生活において困りごとを抱えている子どもに対し、サポートができるよう通常の職員数に加えて保育士を配置すること。 全日療育園に通い始めて3カ月。すっかり慣れたころに幼稚園が再開し、週2日の並行通園がスタート。ゆーとぴあさんの予想通り、次男ははじめは泣いたものの、慣れてくると療育がない自由な幼稚園がよくて、療育園に行くと泣くという状況に。と言っても、幼稚園では療育園とやり方が違って混乱したり、ダラーッとしたりで、果たして並行通園が次男にとっていい選択だったのか悩むところでした。 そんなころ、幼稚園に新しく入った主任の先生は自ら療育園の見学に行き、さっそくロッカーに可視化方式を取り入れてくれたり、次男に対して加配の先生が入ってくれたりするように。幼稚園の方針が以前より療育に寄り添ってくれるように変化し、ゆーとぴあさんはとても助かっていたのですが、この後次男は幼稚園をやめることになるのでしたーー。 ◇◇◇ コロナ禍の影響もあって通園当初は並行通園ではなく全日となり、慣れてきたころに本来の並行通園に戻ることに。環境の変化に弱い次男にとってベストな選択だったのかと悩むゆーとぴあさんでしたが、幼稚園側も、療育に寄り添った対応を取り入れてくれていることにありがたい思いでいっぱいでした。現在の体制であれば、理想的な並行通園生活が送れるように思えたのですが、一体何があったのでしょうか? 次の話ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年11月05日医師の診断を受けるため、療育医療センターへUpload By プクティわが家の長男は、4歳の時に発達支援センターで知能検査を受け、精神年齢が約2歳遅れていることが分かりました。その際、IQの数値から「療育手帳」を申請することができると案内してもらいました。療育手帳を持っていると、今後いろいろと話がスムーズに進む場合が多いとのことだったので、さっそく申請することにしました。私たちの住んでいる自治体では、療育手帳の申請には「医師の診断書」の提出が必要でした。息子のことを詳しく診てもらいたかったこともあり、すぐに専門病院である療育医療センターに診察の予約をしました。しかし、発達支援センターや療育施設と同様、療育医療センターもとても混んでいるようで、診察の予約が取れたのは、最短で3ヶ月後だったのでした……。3ヶ月待ちの療育医療センター。いよいよ診察開始Upload By プクティ3ヶ月後、待ちに待った診察の日がやってきました。どのような診察が行われるのかドキドキしながら診察室へ……担当してくださったのは男の先生でした。診察室は特に普通の病院とは変わらず、ただ部屋の隅にちょっとした畳のスペースがありました。先生とのお話中、なかなかじっと座れずだらだらしている息子を見かねて、その畳のスペースでお絵描きさせてもらえることに。おかげで、息子はお絵描きに夢中になり大人しくしてくれていたので、私たちは先生とのお話に集中することができました。Upload By プクティ先生とのお話は、事前に記載しておいてほしいと言われていた息子に関する成長の記録と、知能検査の結果を元に進んでいきました。Upload By プクティ先生は非常に慣れているようで、息子の様子を少し見ただけで即座に判断していてすごく説得力がありました……。私たちが心配していた多動も集中力も心配ないとのことで、「好きなことへのめりこむ集中力があるのだから、集中できないことに関してはまだ楽しさを見いだせていないだけ。なので、周りが興味を持てるようサポートしていくことが必要」というお話でした。医師の診断結果は・・・?Upload By プクティそして診察の結果は、IQの低さや息子の様子から、ASDやADHDの疑いもなく、診断を出すとしたら知的発達症(知的障害)に該当するとのことでした。こうして診断名も分かり、診断書もいただき、無事療育手帳の申請をすることができたのでした。執筆/プクティ(監修:新美先生より)診断名決定と療育手帳取得についてのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。療育手帳の取得の手順や基準は、都道府県によって若干異なることがあります。プクティさんの地域では、療育手帳取得のために、療育医療センターでの医師の診断が必須なんですね。プクティさんは、診察の日を「待ちに待った」と書いておられますから、息子さんについて有用なアセスメント、診断名が分かることに期待していたのですね。診断名が分かることで、息子さんについての見通しが持てたり、手帳を取得することで受けられる支援の幅が増えるなどメリットがありますよね。診断が出ること自体を不安に思ったり、手帳の取得を迷ったりする方もおられると思いますので、プクティさんのエピソードも一つの参考にしていただければと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月05日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受け、次男は多動傾向がありました。幼稚園に通い出すと、次男の担任から医療センター行くよう告げられ、さらに長男も園から発達医療をすすめられ困惑。幼稚園の指導により、長男の就学のため小学校の支援級の見学や知能検査を受けますが、結果は普通級。長男の検査が終わるや次男の検査を急かされ、兄弟で診察を受けに児童発達センターへ。医師からの助言を受け、息子の育て方に悩んでいた心が少し救われます。長男はADHD、次男は多動という診断を幼稚園に伝えると、手柄と言わんばかりの園長の態度に、これまでの性急な指示は園長によるものと合点がいくのでした。新たな面談で次男の担任から園外療育の提案を受け、ちょうど療育を増やしたいと思っていたので願ってもない案だったのですがーー。幼稚園のお迎えで、ゆーとぴあさんは次男の担任から急きょ面談を打診されます。先生によると、療育の時間が短いけれど、次男にはじっくり療育の時間が取れる「並行通園」はどうかという提案でした。ゆーとぴあさんは急な方向転換に戸惑いを隠せません。 希望していなかった並行通園だけど、恩恵はいろいろあってーー 1週間の中で幼稚園と療育園の通う日を決めて両方の園に行く「並行通園」。最初の提案からは内容が大きく異なりますが、次男を思えばしっかりとした療育を受けられることは望むところ。見学をしたうえで、新年度から週の前半は療育園、後半は幼稚園に通うことにしました。 2020年4月、コロナ禍の中、長男は小学校に入学。年中の次男も療育が始まるため、入園式がありました。しかし、コロナ禍の影響で、長男の小学校は5月まで休校。幼稚園は自由登園だったものの、事実上の休園という状況に。幼稚園からは全日療育園に通うよう指導されますが、ゆーとぴあさんにとっては長男の面倒をみるだけで済むため、ありがたいことでした。 療育園ではおこなうことがすべて可視化され、園児の支援が手厚く、個別の部屋があり集中できたり、給食は個別に好き嫌いや量、切り方に至るまで把握されているという徹底ぶりに驚くゆーとぴあさん。すべてに配慮が行き届き、先生は常に忙しそうですが、やさしくてにこやかでした。次男も何をやるかがわかってくるようになり、このまま幼稚園を退園して療育園に切り替えてもいいと思うほどでしたが、6月になり自由登園に。コロナ休園が明けてまた幼稚園が再開するのですがーー。 ◇◇◇ 幼稚園と療育園の両方に通う並行通園を始めてすぐにコロナ禍に突入。予想外の全日療育園という事態になりますが、小学校は休校となり兄弟のうち長男のみ面倒をみればよいので、ゆーとぴあさんにとっては好都合でした。さらに療育園は園児が迷うことなく過ごせるよう支援や配慮が行き届いていることに感動します。次男も慣れてきているようでこのまま療育園に切り替えてもいいと思うほどですが、休園が明け、本来の並行通園へ。幼稚園が再開したときにスムーズに戻れるかを心配していたゆーとぴあさんでしたが、さてどうなるでしょうか?ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年10月21日年中から始まった個別療育Upload By まるついに念願の個別療育が始まった。過去に記事にも書いたことがあるのだが、去年の夏頃から個別療育に行きたいと思い、見学を始めたのだがどこも定員がいっぱいだったり、都合の悪い時間帯1コマしか空いていなかったり……。結局、個別療育を始められたのが今年の4月からだったのだ。ちなみに、夏頃に3ヶ所ほど気になる療育施設の予約を入れて、どこも1月〜3月あたりに空きが出たと連絡がきたので、気になっている療育施設がある方は早めに見学に行って予約を取ることをおすすめしたい。現在は週1回の個別療育と月2回ほどのST(言語聴覚士)の授業を受けている。ひとり親で働きながらという事情もあり、2ヶ所も通えるのかと悩んだが、療育で他人との関わり方やルールを学び、STさんに発音や言葉の引き出しの増やし方を教えてほしいと思い親子で頑張って通っている。個別療育と集団療育の違いUpload By まるUpload By まる息子が行っていた集団療育は幼児数人でリトミックをしたり、功技台(はしごや滑り台などを組み合わせて、いろいろな運動ができる室内遊具)を使って体の動きなどをサポートして教えてくれる感じだった。集団療育だとお友達との関わり方や集団行動でのルールなどが強化できる印象があるが、まだ息子が今よりも幼かったこともあり、子どもたちがお互いにあまり興味がなく、そこまで他人との関わり方を学べる感じではなかった。個別療育はそれとは違って、息子のレベルに合わせたトレーニングをマンツーマンで細かく指導してくれる。椅子に座ってお絵描きやシール貼り、先生とゲームなどをやったり、体を動かすようにボールや平均台などを使用したりもする。ちなみにSTの授業は、基本的には椅子に座って行い、物の写真やイラストを見て名称を答えるゲーム形式のもの、発音の練習、鉛筆を使ってなぞり描きなどが主になっている。現在加配保育で保育園に通っていることもあり、集団でのルールなどは保育園で学ぶことができる。ある程度指示が入るようになってきた息子にとって、とてもいいタイミングで個別療育を受ける機会に恵まれたと思っている。息子の個別療育での様子Upload By まる現在通っている個別療育では、親は別室でモニターを見ながら療育の様子を見ることができる。1時間のうち45分が先生と息子との授業、残りの15分で保護者へ本日の授業の振り返りを行う。挨拶から始まり、絵本を読んだり先生とゲームをしたり体を動かしたりして過ごしている。その一つひとつにも息子との関わり方で勉強になるなぁと感じることが多い。例えば、絵本の読み聞かせをしながら、登場人物のおじいさんは今なにしてる?の問いかけに息子は答えることができないが、おじいさんは立ってる?座ってる?の問いかけには「座ってる!」と答えることができた。先生とゲームをした後に、今のゲーム楽しかった?悲しかった?の問いかけに「楽しかったー」と答えることができた……など、私も知らない息子の言葉を引き出してくれるのだ。おもちゃの順番の貸し借りなども「リュウちゃん使ったから次先生の番だね?貸してくれる?」の問いかけにすんなりとおもちゃを渡すなど、毎回私が『おお……こんなことできるんだ……』という発見がある。もちろん場合によって不機嫌になってしまうこともあるが、これはできるけど、これはできない、と息子の反応を注意深く見てくれて、この声かけ方法なら伝わるかなど息子に合った支援に繋げてくれているので、私は息子の成長がとても楽しみになっている。参考:施設情報執筆/まる(監修:新美先生より)個別療育の実際について詳しく教えて下さりありがとうございます。個別療育と集団療育、それぞれに目的があり、お子さんの特性や発達段階、療育以外の生活環境によってどちらが適しているかはさまざまです。個別療育では、お子さんの発達段階や興味に合わせて、マンツーマンで適した活動を行ってくれるというのがなによりいいですね。ほかのお子さんなどの刺激に左右されず、お子さんのその日のコンディションに合わせて対応してもらえるメリットもあります。個別療育では環境も関わり方も、お子さんに合わせてやっていただける分、普段見られないようなお子さんのベストパフォーマンスを見られるのもうれしいですね。普段の生活にも役に立つ、お子さんに適した環境設定や関わり方などを教えてもらえるのもいいです。保護者さんとの振り返り、相談の時間が設定してある場合、ちょっとした気になることなどを気軽に相談しやすいのもいいですね。まるさんが書いていただいたように、個別の療育で、お子さんのことをよく分かって専門的にアドバイスももらえることで、お子さんの成長をさらに楽しみに思えるのは何よりよかったと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月18日療育手帳って?発達障害娘は取得できるの?中学1年生の娘は、4歳の時に広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)と診断されました。コミュニケーション能力が低く、情報を聞き取ること、自分の考えを口に出してしゃべることが苦手な特性があります。発達障害の診断を受けている娘ですが、療育手帳は持っていません。というより、取得することができませんでした。※「療育手帳」とは、知的障害がある人に発行される障害者手帳です。自治体によっては「愛の手帳」「緑の手帳」という名前で発行されています。療育手帳を持つことで、療育や支援をはじめとしたさまざまな障害福祉サービスを受けることができます。娘は2歳から療育畑を歩いてきました。Upload By SAKURAしかし、恥ずかしながら私は、療育手帳の存在を、娘が小学生になるまで知りませんでした。放課後等デイサービスに通うために必要な「受給者証」というものが、療育手帳と似たようなものだと勘違いしていたこともあります。Upload By SAKURA小学生になると「療育手帳持ってる?」と聞かれることが増え、「あれ?持っていないとまずいものなのかな?」と思い始めました。Upload By SAKURA療育手帳の取得方法を調べてみると……療育手帳の存在をちゃんと知らなかった私は、「取れるものなら取ろうかな」とその時は軽く思いました。Upload By SAKURAあとから知ったのですが、この療育手帳の取得は、親御さんにとって、「障害を認めたことになるようで、取得を躊躇する」ということがあるようでした。Upload By SAKURA私は、グレーゾーンの時から「早く診断名がついてほしい」と思っていましたし、療育手帳の存在は、診断を受けて3、4年経ってから知りました。躊躇することはまったくなく、前向きな気持ちでした。Upload By SAKURAそれから私は、療育手帳を取るため、取得方法を調べました。しかし、知的障害がない場合、療育手帳は取得はできないということが分かりました。※療育手帳は、各自治体によって療育手帳の取得基準や、受けられるサービスが違います。Upload By SAKURAそれ以降も、療育手帳について聞かれる場面はありましたが、「娘の場合、取れないみたいです」と答えていました。その後、娘が小学6年生の時、中学に向けて発達テストを受けることになり、テスト結果と(特別支援学級の在籍に必要な)診断書をもらうため、発達外来の受診をした時、療育手帳について確認してみると……Upload By SAKURA娘は療育手帳も精神障害者保健福祉手帳も取得はできないと言われました。やっぱり……。事前に調べていたので、確認のため……という感じの質問でしたが、帰宅後、私はふと思いました。障害者手帳が取得できない=困りごとがない訳ではないのに……Upload By SAKURAじゃあ……障害者手帳を取得できない娘は……どの位置にいるのだろうか。昔……まだ娘に診断がついていないグレーゾーンの時、発達障害なのか、そうではないのかという、中途半端な位置がとても嫌でした。その時のことを思い出しました。娘は知的障害がありません。IQも通常範囲内。しかし、しゃべれば、言葉の並びがぐちゃぐちゃだし、出てこない言葉も多い。口頭の指示は、一度では絶対に聞き取ることができないし、言われたことを覚えるのもとても苦手で、すぐに忘れてしまいます。Upload By SAKURA相手の立場になって考えることが苦手で、空気が読めないため、信じられないタイミングで、とても感じが悪いことを言ってしまうこともよくあります。自分の中の感情や、思いついた言葉を頭に留めておくことができないので、叱られているのにニヤニヤしてしまったり、一人でぶつぶつと独り言を続けてしまうこともあります。Upload By SAKURA娘は発達障害ではあるけど、障害者手帳を取得する基準にない……。今まで、手帳を持っていなくて、損したことや、受けたいけど受けられない福祉サービスがあったわけではありません。しかし、娘には、苦手なこと、困りごとが多くあります。それを証明する代わりになるような手帳は、持たせてもらえないのか……と思いました。知的障害がなくても、困っていないわけではありません。どうやってもできないことがあります。娘が大きくなった時、コミュニケーション面でなにか困ったら……。Upload By SAKURAなんてことにならないか……。考えすぎかもしれませんが、言葉で説明できない娘が心配になりました。知的障害がなくても、困ってること、助けて欲しいことはあります。日常生活に支障をきたすほどのパニックがなくても、冷静に対応できるわけではありません。そのことを証明するような……それぞれの特性や、困りごとにそった手帳があるといいのになーと思います。執筆/SAKURA(監修:新美先生より)療育手帳取得にまつわる、いろいろな思いを聞かせてくださりありがとうございます。あまりいいことではないと思いますが、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の取得基準については、地域による違いがあったりして、なかなかコメントがしにくいところがあります。多くの自治体において、療育手帳は原則として知的障害のある方が対象ですが、地域によっては発達障害がある場合、知的障害の基準が緩和されることもあるようです。知的障害を伴わない発達障害の方の場合、コラム内の漫画にも書いてありましたが、精神障害者保健福祉手帳が取得できる場合があります。これについても地域による基準がまちまちだったり、時代によって変化してきていることもあります。発達障害特性があって、生活面で何らかのサポートが必要な場合、精神障害者保健福祉手帳は取得できる可能性は十分にあります。一般的に、義務教育年代は、障害者手帳がなくても多くの福祉サービスは、コラムにあったように受給者証があれば利用できることが多いので、必要性をそこまで感じないかもしれません。ですが義務教育年代以降、福祉サービスを利用するためには、障害者手帳が必要になる場面が多くなります。こうしたことから義務教育年代を主に担当する支援者が精神障害者保健福祉手帳の取得は重度なケースのみと認識している地域でも、成人期にはもう少し柔軟に取得できる幅が広がるということもあるかもしれません。この先義務教育年代以降、就労などにあたって、精神障害者保健福祉手帳があったほうがいいと考える場合は、改めて地域の相談窓口等に当たってみてもいいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月04日どんな遊びが息子に響くのか模索していた日々おっとりマイペースな息子は、あやしてもあまり笑わず、どんなおもちゃにも反応が薄い赤ちゃんでした。1歳半健診の時点で指差しもなく、発語はほぼ喃語の単語のみで、名前を呼んでも10回に1回振り向くかどうか……運動面の発達もゆっくりで、1歳5ヶ月の時点でようやくひとり歩きができたところでした。もともと怖がりで慎重派な性格だったので大きな怪我はもちろん、小さな怪我もほとんどしなかったように思います。おうち遊びでは、「今日は絶対これで遊びたい!!」という意思もなく、目の前に出したおもちゃで遊び、目の前から隠せばあっけなく諦め(忘れてる?)、そしてどんなおもちゃへの興味ももって5分程でした。お外遊び(公園など)はどうかというと……まず運動面の発達もゆっくりだったので、息子が遊ぶにはまだレベルの高い遊具がほとんどでした(ちなみに砂場は嫌いなようで、全然遊びませんでした。笑)。滑り台を一緒に滑ったり、ブランコに乗ったり……つきっきりで遊んでみるも、そんなに喜んでなさそう……(チーン)。Upload By 海乃けだまそんな息子が唯一ハマっていた遊びは、体を使った触れ合い遊び。お馬さんや高い高い、くすぐったり抱っこしてぐるぐる……などなど。しかし当時、娘を妊娠中だった私にはその遊びを何度もすることはできず……。ほぼ毎日のように児童館に通い、ママ友とそのお子さんと一緒に遊んでいました。1歳半頃から少しずつ好きなものが出てきた息子。2歳半で療育に通うまで1歳半を過ぎると、その当時見ていたテレビアニメの影響からか、息子は電車にハマり出しました。最初こそアニメのキャラクターそのものに興味があった息子ですが、そのうちに本物の踏切を見たり、電車が走っているところを見たりするのが好きになっていきました。家にはみるみるうちに電車のおもちゃが増えていき、指先の力が弱く上手くおもちゃを連結できない息子に代わり、レールの組み立て・電車を連結するのが私の日課でした。あの頃は部屋のあちこちでおもちゃの電車のモーター音が響いていたなぁ……(そしてそんな騒音の中でも赤ちゃんだった娘は熟睡していたなぁ……笑)。2歳を過ぎると、少しずつ単語が増え、簡単なやり取り(ちょうだい、どうぞ、順番や、ゴミ箱に捨ててきてなど)ができるようになってきました。ついに療育へ。親子通園した1年間。息子は2歳半で自閉スペクトラム症と診断され、療育へ通うことになりました。単語は少しずつ出ていましたが、初めのうちはお名前を呼ばれてももちろん返事なんてできません。一緒に手を添えて挙手を促し、私が代わりに返事をしていました。まだまだ体力の少ない息子と午前中2時間みっちり療育のスケジュールをこなすことになるのですが、最初の半年くらいは最後まで体力が持たず寝てしまうことも何度かありました。それでも活動自体を嫌がることは少なく(自我の成長もゆっくりだったことも関係ありそうです)、療育自体は私と行くことで楽しんでいるように思いました(特に活動の中でも、息子はリトミックとミュージックケアという音楽療法が好きでした)。3歳目前になると、2語文が出るようになり、表情や反応も見違えるように出てきました。Upload By 海乃けだま大変だった親子通園……そこで得たもの。1歳の娘を連れながらの親子通園は本当に本当に大変でした。家から遠い園だったので、車で往復1時間強。療育が終わってから家までの間に空腹で不機嫌になるので、車内で昼食を2人分食べさせたり、お昼寝に失敗して泣き叫びながらの帰り道になったり……家に着いてからも自分のごはんもままならないまま家事をこなしたり……。しかし、一緒に通園したからこそ、先生の関わり方や息子の成長を間近で感じられたと思います。特に療育の先生方の子どもたちの興味を惹く関わり方・一人ひとりの発達具合に合わせた関わり方は本当に学びになるものばかりでした。そして、同じ療育に通うお子さんの親御さんと話したり、悩みに共感したりすることで、私の心も軽くなったと感じています。Upload By 海乃けだま2年間の単独通園、そして幼稚園への転入。1年間の親子通園の期間が終わる頃には、お名前のお返事もしっかりとできるようになっていた息子。療育への通園にも慣れ、いよいよ単独通園することになりました。初日は私がいないことに不安で泣いてしまったようですが、3日で泣かないようになりました(早!)。徐々にお友達の名前も覚えてきて、今日はどんなことをして遊んだとか、時々話してくれるようになりました。できなかった線路の組み立てができるようになり、それを1周ぐるっと繋げられるようになり……。そして電車にしか興味がなかったのが、おままごとやブロックなど遊びの幅も格段に広がりました。単独通園最初の1年は1人で遊ぶことがほとんどでしたが、2年目には好きなお友達もでき、一緒に仲良く遊んでいることも多かったようです。お友達に興味を持ち始めたタイミングで、今年の4月(年長)から幼稚園に転入となりました。最初の2ヶ月は環境の変化に戸惑い、幼稚園の活動ができなかったり、家で不機嫌になったりすることも多かったですが、6月あたりから"お友達と一緒に"という意欲が出てきて、活動も息子なりに頑張っているようです。たまーに、スーパーやお店で息子のクラスのお友達とばったり会うと、「あ!〇〇(息子の名前)くん!!」とニコニコ笑顔で挨拶してくれ、それに対して息子も少し恥ずかしそうにニコニコしています。Upload By 海乃けだま4月の時点の新版K式発達検査では、実年齢5歳の息子の発達年齢は4歳前後でした。そして、もともとマイペースでゆっくりした性格の息子なので、クラスのお友達に助けてもらうことも多いのですが、療育で3年間頑張ってきて、そしてお友達にも恵まれて良かったと思っています。執筆/海乃けだま(監修:初川先生より)療育に通園する前、通園させての成長、親子通園のご苦労とありがたみ、そして幼稚園に転園しての成長と一連のプロセスのシェアをありがとうございます。お子さんの成長にとってよき関わりを安心安全な環境の中で提供してくれる療育は、その内容のみならず、先生の関わりからの保護者にとってモデリングとしての学びや、保護者同士のつながりなどさまざま良いところがありますね。小さい子を連れて数時間親子で家を空けて通うとなるとその分の負担も保護者の方にはありますね。そこについてもお知らせくださり、参考になった方や共感される読者の方も多いのではないでしょうか。療育というと、例えば苦手なことの多い子が訓練するために通う場所のように捉えられることもあるかもしれませんが、そこに通い、そしてそこを卒業(卒園)していくプロセスや保護者の方の体験談をうかがえるのは読者の方にとって参考になりますね。ありがとうございます。(※お住まいのエリアの療育がどのようになされているかは、ぜひそこに通われている方やスタッフの方、子育て支援担当の方などからお話をうかがってみてください)(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月30日2歳まで発語ほぼなし、3歳から療育へ…不安でいっぱいだった私しのくんは、2歳まで意味のある発語がなかったことがきっかけで、ことばの教室へ通うことになり、5歳になった現在も続けています。また、集団行動が苦手だったため、3歳からは療育センターにも通うようになりました。初めの頃は、どうしたらいいのか全く分からないことばかりで、私のメンタルはボロボロ。不安でいっぱいの毎日を過ごしていました。そんなしのくんも気づけば5歳。心も体もずいぶんと成長しましたが、まだまだ同じ年の子どもと比べて言葉の遅れがあるなと感じます。たまたま出会った同い年の男の子。初めは楽しそうにしていたけれどそれはゴールデンウィークに家族で海に釣りに行った時のこと。偶然にも、しのくんと同じ年の男の子と出会いました。当時しのくんが大好きだったキャラクターの描かれた服をしのくんが着ていて、そのキャラクターの話で男の子と盛り上がっていたのですが……しのくんが何を言っているのかうまく伝わらず、男の子が相手をしてくれなくなってしまったのです。Upload By keikoしゃべっても相手に伝わらない、聞いてくれないと思ったしのくんは、相手を振り向かせるために大きな声で話しかけます。Upload By keikoUpload By keikoそして、その想いは虚しく……男の子に「声が大きくてびっくりする!」と言われてしまいました。その後しのくんは、小さな声でその男の子に話しかけていましたが、やはりしのくんの思いは伝わりにくいようでした。以前の私だったら落ち込んでいたはずの出来事。でも今は…しのくんは、自分の言葉で物事を表現することが苦手で、考えたことをそのまま口に出しやすい傾向があります。特にサ行とラ行の発音が苦手なこともあって、余計に何をしゃべっているのか、親は理解できるけどほかの人には分からないことが多いです。この時は、コミュニケーションの相手が同じ年の子どもだったので、なおさら伝わらなかったんだと思います。そして、そんなしのくんを見て一人で不安になって焦っているのが以前の私でした。以前の私だったら、「どうしよう!どうしよう!」と不安になって落ち込んでいたと思います。でも……今の私は違います。しのくんが男の子とうまく話せなかったときも、「いつかできるようになるさ」と、落ち込まずに割り切ることができました。Upload By keikoほかにも、以前はママ友からしのくんと同い年の子どもを連れて映画を観に行ったと聞いて、ざわざわしていたのが、今では「まぁ、いつか一緒に観に行けるさ」と思うことができるようになりました。こんなふうに「いつかはできるようになるさ」と、メンタルを揺さぶられなくなってきた自分に気がついた時は驚きました。「あれ?昔と違うな……?私のメンタルが成長している!?」と……(笑)「いつかはできるようになるさ」母としてのメンタルの成長。その理由は?こんな風に思えるようになったのは、今までしのくんの成長を見てきて、いろんな経験を重ねて、たくさんの支援と繋がって、安心していられることが大きいのかな?と思います。しのくんが今通っていることばの教室は、小学生になっても続けることができます。また、小学校に上がってからは、言葉に苦手がある子どもたちが通える「通級指導教室」もあります。何かあってもすぐに相談できる環境って本当にありがたいと思います。これからも前向きに「いつかはできるようになるさ」と思い、しのくんと頑張っていこうと思います。Upload By keiko執筆/keiko(監修:室伏先生より)keikoさんの心の変化を、具体的なエピソードを交えつつ分かりやすく伝えてくださり、ありがとうございます。以前のkeikoさんと同じように不安な気持ちでいらっしゃる親御さんの気持ちをほっとほぐしてくれるような、そんなあたたかいメッセージになるのではないかと思います。ここまでの道のりは簡単なことではなかったと思いますが、周りの方々の支援、そして何よりkeikoさんとしのくんの頑張りの賜物ですね。keikoさんがしのくんの成長を信じる、前向きなお気持ちは、きっとしのくんに大きな安心とkeikoさんへの信頼、そして安定した心の成長をもたらしていることと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年09月13日面談で「ここは最後の砦です。断ることはありません」Upload By カタバミ息子のまちゃは現在、特別支援学級に通う小学2年生です。未就学の頃は、年少で2歳年上のお姉ちゃんと同じ幼稚園に入りましたが、登園日はどんどん減らされました。さらに、年中になってもコロナの影響で6月まで幼稚園が再開しないことが分かり、年少の春休みの間に週5日間で預かってくれていた児童発達支援事業所に幼稚園を辞めて正式に通うことにしました。しかし11月に入ると、ここもコロナ禍を理由に預かり時間は3月末まで半分にすると言われてしまいました。発語もあまり増えておらずお友達とも遊ばない、偏食もひどいままのこの状態で就学がどうなるのか不安だと相談支援員さんに話したところ、療育園への転園を提案されました。療育園に年長から入園するのは難しいと聞いていましたが、面談でまちゃのこれまでの幼稚園や児童発達支援事業所での様子を話したら「ここは最後の砦です。断ることはありません」と言われました。療育園への入園を希望しても入れない子どもはたくさんいると聞いていたので、「まちゃは入れるんだな」と、ぼんやり思ったのを記憶しています。感じの良い施設。私自身も積極的になるUpload By カタバミまちゃの通う療育園の教室はマジックミラーになっていて保護者は授業風景をいつでも見学自由でした。設備としては、遊具の多い園庭に、雨が降っても活動ができる体育室と、その中には実用的な遊具の数々。室内温水プールもあって水療育や、月に1回くらい専門家による音楽療法などもありました。保育士の先生方はいろいろな特性があるお子さんとの接し方に慣れていて、送迎バスの運転手さんも以前は療育園に勤めていた経験もあり、反応の少ないまちゃに気さくに声をかけ続けてくださいました。年長からの入園なので、母親の私も卒業アルバム委員に立候補して園の様子を撮影したり、卒園アルバムの制作のお手伝いをすることにしました。車で片道30分弱の距離でしたが、「まちゃも頑張っているから」と多いときには週3回、苦手な運転をして療育園に行き、委員の仕事やまちゃの様子を見ることにしました。委員を引き受けたことで、ほかのママたちとも話すきっかけになりました。まちゃの変化と気になる点Upload By カタバミまちゃは入園して半月ほどの面談では「大人しくて控えめですね」と言われていましたが、夏休み前には笑顔で「抱っこして」などの発語が出てきて先生にかなり甘えるようになっていました。先生方も「だいぶ積極的になりました」とうれしそうに報告してくださいました。まだお友達と遊ぶことはありませんでしたが「◯◯くんに持っていって」とお願いされるとお友達のところまで持っていけるように!先生から「クラスメイト全員の名前は覚えています」とも言われ、まちゃの成長を感じることができました。ただ良いことばかりではなく、偏食は入園前とほとんど変わらずでした。保育士の先生は給食をめちゃくちゃにしてしまうお子さんの対応に忙しそうでしたし、本来なら言語聴覚士や臨床心理士さんたちも頻繁に様子を見てくれることになっていましたが、コロナ禍で保護者以外の大人の入園も制限されてしまいました。そして、いつでもできた保護者の見学もコロナ禍で年度途中から中止。さらに、まちゃが大好きなプールもコロナ禍で閉鎖に……。結局、卒園まで一度も入ることは叶いませんでした。1年間通って就学へUpload By カタバミ授業風景を見学していても、まちゃはふざけ合うお友達の間に座っていても、大人しく座って紙芝居や絵本などを集中して見ていました。担任の先生は20年以上療育園に勤務されていて、就学も担当するベテランでした。就学に向けた面談では「まちゃくんは45分座っていられそうですから特別支援学級を考えてみてください」と、担任の先生がアドバイスをしてくださったことが心強かったのを覚えています。夏はプールはなくても外で水遊びがあり、うれしそうにはしゃぐまちゃの姿を見ることができました。運動会や卒園式などの行事は子どもたち全員が参加できるおおらかなもので、親もハラハラすることなく落ち着いて観覧することができ、とてもありがたかったです。私自身も卒業アルバム委員になったことで、障害があるお子さんのママたちと穏やかに交流することができました。それは、幼稚園でも児童発達支援事業所でも、叶えられなかったかけがえのない出会いでした。1年間通ってみて、療育園は施設も内容も含めて、私とまちゃどちらにも、とても合っていたのだと思います。そして、私たち親子にたくさんの経験をくれた大切な思い出の場所になりました。執筆/カタバミ(監修:室伏先生より)療育園でのまちゃくんの成長の様子やカタバミさんのお気持ちなどを共有してくださり、ありがとうございました。コロナ渦のためにさまざまな制限があったことは残念でしたが、お二人にとって合った療育園に通園できましたこと、幸いでしたね。カタバミさんもまだ十分に慣れない環境での委員のお仕事、大変なことも多かったことと思いますが、頑張られましたね。中には、入園に不安を感じられる保護者の方もいらっしゃるかもしれませんが、療育園での丁寧で適切な関わりは、発達を伸ばしてくれることはもちろんですが、お子さん、そして親御さんの情緒的な安定にも繋がるのではないでしょうか。もし相談などを通じて選択肢に挙がりましたら、ぜひ積極的に見学などしてみていただけるとよいかと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年09月09日