■ 前回 のあらすじようやく夫に大変さを理解してもらうことができ、ついに療育園へ通えることに…!■療育園初日、ショックを受ける右も左も分からず、koto子は暴れまくり、初日はショックを受けた記憶しかありません…。■療育園2日目、空気のような存在?みんな同じ悩みを抱えているはずなのに、普通に集団活動をしている…。koto子を周りの子たちと比べずにはいられない…そんな状況でした。すると、帰り際に声をかけられて…■2人ぼっちだと思っていたけど…慣れない場所でいきなり馴染める子なんていない…。koto子が自分から参加できるようになるまで見守り、あえてそっとしてくれていたんだと気付きました。そしてこの一言に、とても救われた気持ちになりました。あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は専門機関にご相談ください。次回に続きます。【同じテーマの特集はこちら】 〜子どもの発達障害を知ろう、考えよう〜 【同じテーマの連載はこちら】 産後の話 この連載の全話を見る >>
2021年01月26日■ 前回 のあらすじ改めて夫に娘を預けて出かけることに。しかし、帰ってくるとそこにいたのは…。■ようやく娘の大変さが理解された普段から人に弱みを見せない夫が、私の母を頼るほど大変な思いをしたということ…。そして大変さを理解し、私に時間を作ってくれようとする夫の気持ちが嬉しかったです。■夫の「療育園」に対する考えが変わったこうして、療育園にいくことを了承してくれた夫。最後まで強がっていましたが、koto子が困り感のある子だとしっかり理解してもらえました。そして、koto子のためにもいち早く何かをしてあげたい気持ちでいっぱいでした。■療育園に連絡すると…ついに療育園へ通うことになりました!そしてこれから、色々なことが巻き起こります…!あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は専門機関にご相談ください。次回に続きます。【同じテーマの特集はこちら】 〜子どもの発達障害を知ろう、考えよう〜 【同じテーマの連載はこちら】 産後の話 この連載の全話を見る >>
2021年01月25日■ 前回 のあらすじすぐの入園は難しいとのこと。まずは入園するために夫に相談することに…。■激務の夫は娘の現状を知らない…夫に少しでも休んでもらうために、育児はほぼ自分でやってきた。だから、夫はまだkoto子の困り感を知らないのです…。■夫に理解してもらうためにとった私の作戦とは夫はオムツ替えやミルクなど、一通りのことはやったことはありましたが、完全にひとりで子守をするのは初めてでした。果たして、夫は本当に「楽勝」で子どもを見ることができるのか…!?あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は専門機関にご相談ください。次回に続きます。【同じテーマの特集はこちら】 〜子どもの発達障害を知ろう、考えよう〜 【同じテーマの連載はこちら】 産後の話 この連載の全話を見る >>
2021年01月21日■ 前回 のあらすじ普段の娘の様子や、今まで感じていた不安を園長先生にお話しすると…。■園長先生からの言葉は…残念ながら定員一杯ですぐの入園は難しそうでした。まだ発達障害かどうかもわからない段階でしたが、娘のためにも療育園に通わせたい。そのことを夫に相談すると、まさかの大反対…!? あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は専門機関にご相談ください。次回に続きます。【同じテーマの特集はこちら】 〜子どもの発達障害を知ろう、考えよう〜 【同じテーマの連載はこちら】 産後の話 この連載の全話を見る >>
2021年01月20日■ 前回 のあらすじ療育園に通うことに、初めから自信のある親子はいないと園長先生に教えられます。するとある女の子がやってきて…■話しかけてくれた見知らぬお母さん■初めて出会った、同じ気持ちを持つ人私と同じ思いで日々頑張っている人たちがここにはいるんだ…。初めて一筋の光が見えた気がしました。でもここは療育園。支援が必要とされる子しか通えません。果たして、園長先生の判断は…あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は専門機関にご相談ください。次回に続きます。【同じテーマの特集はこちら】 〜子どもの発達障害を知ろう、考えよう〜 【同じテーマの連載はこちら】 産後の話 この連載の全話を見る >>
2021年01月18日■ 前回 のあらすじ療育園を案内して頂くと、私の想像とは違い、娘のような困り感のある子どもはいないように見えました。■園長先生に言われたのは…「頑張ってきたんですね」その言葉にハッとさせられ、どれだけ心に響いたか…■初めはみんな同じ、不安を持っているふと、園長先生のところにお花を持ってきた可愛らしい女の子。一見、困り感のない子に見えたのですが…あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は専門機関にご相談ください。次回に続きます。【同じテーマの特集はこちら】 〜子どもの発達障害を知ろう、考えよう〜 【同じテーマの連載はこちら】 産後の話 この連載の全話を見る >>
2021年01月17日■ 前回 のあらすじ周りの人から言われる「普通」という言葉にモヤモヤし涙する日々。そこで私はある行動にでることにしました。■ある所に電話をかけてみることに育児の悩みが尽きず、誰かに頼りたい気持ちでいっぱいでした。年齢制限があったり、診断がついている子どものみ受け入れの園が多かったけれど、そんな中見つけたこちらの療育園…。さっそく電話をかけてみることに。■療育園を見学してみたいと伝えると…すぐに見学させてもらえることになり、少しほっとしました。専門の知識がある先生に見てもらえば、また何か道が開けるかもしれない…ドキドキしながら、ついに療育園へ…。あくまでも筆者の体験談であり、症状を説明したり治療を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は専門機関にご相談ください。次回に続きます。【同じテーマの特集はこちら】 〜子どもの発達障害を知ろう、考えよう〜 【同じテーマの連載はこちら】 産後の話 この連載の全話を見る >>
2021年01月15日息子が生後6カ月から通っている保育園は、おむつなし育児を推奨しています。寝返りができるようになったら、パンツ生活のスタートです。入園してから1年が経ち、このような変化が見られるようになりました。 相変わらず洗濯物は多いけど…生後6カ月から保育園に通い始め、もうすぐ1年。「寝返りができるようになったらパンツになります」と説明されたときには「え、ウソでしょ!?」と思いましたが、本当に息子のパンツ生活はすぐにスタートしたのでした。わかっていはいたものの、大量の洗濯物に最初は言葉を失うこともありました。 でも最近では私も慣れてきて、「あれ、今日はおしっこの回数少なめだな~」と洗濯物の量を見て判断できるようになってきました。たくさん外遊びをする園なので洗濯物の量は相変わらず多いのですが、入園当初よりはおしっこの回数自体が減ってきて、パンツの洗濯は2~3枚程度の日も多くなりました。 度々おまるに座って…おしっこの回数自体が減ったのだと思っていましたが、どうやらタイミングを見ておまるに座らせてくれることも多くなったようです。おまるでおしっこが成功することも増えてきたよう。 また、1歳過ぎからおしっこやうんちのときに「でたー」「ちっち」と言いながらお尻を押さえて教えてくれることも多くなりました。自宅ではおむつをしてるので教えてくれたあとにおむつを替えるのですが、保育園の先生方は出る前のサインをなんとなく察知し、おまるに座らせてくれているようです。 個人差はありますが、同じ0歳児クラスで月齢が早い子は、日中ほとんどおまるで用を足せる子もいるようです。 2歳児のお姉ちゃんは…お姉ちゃんも2歳から同じ保育園に入園し、1年になります。入園当時はまだまったくトイレトレーニングはしておらず、おむつで生活していました。入園して2~3カ月後にはすっかりトイレでおしっこができるようになり、今では夜寝るとき以外おむつが必要なくなりました。 早生まれで体も小さく、「大丈夫かな……?」と最初は心配しましたが、親が考えている以上に子どもの適応能力は高く、成長が早かったです。 わたしは元々おむつなし育児をするつもりもありませんでした。おむつなし育児にはメリットもデメリットもいろいろとあるのは確かです。ただこれからくる暑い夏の時期は特に、紙おむつよりも綿のパンツのほうが通気性が良く、蒸れた紙おむつをずっとしていることはないので、子どもたちは快適そうです。 監修/助産師REIKO イラスト:imasaku 著者:ライター 岩崎未来三児(女・女・男)の母。出版社・編集プロダクションの勤務を経たのち、第一子出産を機にフリーランスに。現在は会社役員という肩書きを持ちながらも、ライター・編集者としても活動中。
2020年04月29日「ちょっと気になる子」を理解できると関わり方が変わるこの本には、「ちょっと気になる子」を理解するために必要なことが書かれています。1章「ちょっと気になる子の理解」では、「ちょっと気になる子」は、具体的にどんな子どもなのかが見えてきます。発達障害の名称をつけるのではなく、たとえば「こだわり・興味の狭さが気になる子」とか、「ことば(コミュニケーション)が気になる子」として、園でよくある風景の描写から、どんな様子が見える子なのかがこまやかに紹介されています。そして、こういう子に共通して想定される「脳の中のちょっとした不具合」について、感覚統合の考え方から分かりやすく説明されています。Upload By 発達ナビBOOKガイド大脳が働くとは、豆電球がピカピカ光ることなのですが、そのためには、豆電球に向かって電気がスムーズに流れるよう電線を整備しなくてはなりません。「脳の働き方に、ちょっとした不具合があるかもしれない子どもたち」は、電線が細くて電気がうまくながれなかったり、つまりぎみだったりする可能性があります。そういう子どもたちには、意識的に体を動かして元気に遊ぶことで、電気が通りやすいよう電線を整備することができます。これが、感覚統合を進めるかかわりということです。(P66)この「配線」について理解することが、気になる子の理解に通じることになります。2章「子どもを支える配慮と工夫」では、「ちょっと気になる子」に有効な支援「目で見て分かる支援」と「分かりやすい話し方」について、簡潔に説明されています。また、それは「ちょっと気になる子」だけでなく、特に気になるところのない子も含めて、すべての子どもたちにとって、いいことだと述べられています。たとえば、「ひとりへの配慮が、みんなのために」として、こんなエピソードが紹介されています。ちょっと早口なある先生が、難聴の子どもがクラスにいたときに、はっきりゆっくり分かりやすく話すように心がけていたことがあったそう。そのときは「クラス全体が落ち着いて、子どもたちも授業に集中してくれていたような気がします」(P68)と書かれています。また、「目で見て分かる支援」では、いくつもの工夫が示されていますが、「お部屋の中の装飾を見直す」として、こんな例もあります。先生の説明に注目したくても、お部屋の飾りつけやロッカーからはみ出したバッグ、床に散らばっているブロックなどが視野に入って注目を阻害していることもあります。カーテンはひもで固定してはためかないようにする、室内装飾は少なめに、ロッカーの整理かごは色をそろえるなど、過剰な刺激を避ける工夫をします。(P78) By 発達ナビBOOKガイド絵を見ると、一見落ち着いているように見えた子も、部屋がすっきりすると前よりちゃんと先生の方を見ていることが分かります。すべての子どもは「地続き」で、白黒はっきりわかれているのではない、ということも伝わってきます。3章「こんなときどうすればいい?」では、さまざまなシーン別に、対処法が紹介されています。「席から離れてしまうとき」「大人から離れられないとき」「外遊びに出たがらないとき」など、保育の日常の中にありそうな、子どもの姿と、具体的にどうしたらいいか、について書かれています。「登園しぶりがあるとき」では、もしかしたら先生の声かけが元気すぎるのかも、ということから、子どものそばに行って小さな声で「おはよ」と言ってみたり、Upload By 発達ナビBOOKガイド自由遊びは「ほんとうの自由を保障する」時間として、お友だちの輪に入りたがらない子には、無理をさせずに見守ってあげたりといった保育者からのアプローチが提案されています。Upload By 発達ナビBOOKガイド4章「つながりの中で育てる」では、ここまでの3章を受けて、子どもたちの園以外の場にいるときの姿へとつながっていきます。子どもの居場所だけでなく、過去と未来についても考えられています。「子どもたちは成長とともに居る場所が変わる」ということをふまえ、今まで受けてきた支援や配慮、これから入って行く学校生活への見取り図が示されています。ここでは、なんとなく敬遠してしまいがちな、保護者と保育者が、お互いに協力していくための具体的な話し方も示されています。1秒だって気を抜けない息子のことを「まったく疲れちゃうんです」と愚痴った時、保育園の先生は笑顔でこう言ってくださいました。「○○ちゃんの頭の中、開けてみてみたいって、私たちはいつも言ってるんですよ。次々と新しいことを思いついて、ほんとうにおもしろいから!」。(P156) By 発達ナビBOOKガイド同じ子どもでも、保育の場からと家庭からでは、違う角度で見えるものです。子どもの未来、特に就学を考えるときに、「就学までにできるようにしておかなければ」と焦るのではなく、「就学してからも、支援を受けてのびのび育っていけばいいんだ」と思えてくる、希望を持つことができる。この本にはそのためにできる具体的な工夫や例が、たくさん登場するのです。保育と療育の間にいる子どもたちをどう見守るか、という課題ところで、この本の内容はもともと、臨床育児保育研究会発行の隔月刊誌「エデュカーレ」で、特別支援教育をテーマに連載されていたものだそう。実はこの「ちょっと気になる子」というタイトルとも、関連しているそうです。著者の中川信子先生にお話を伺いました。Upload By 発達ナビBOOKガイド発達ナビ編集部(以下――)「気になる子」は、保育と療育の間にいる子どもとして、この本では書かれていますが、もう少し詳しく、「気になる子」はどんな子どもなのか、あらためて教えてください。中川先生:『気になる子』とは『気にしている大人の目から見て気になる』です。はっきりした障害名がつき、『気になる子』が『障害のある子』になると、大人の中では気にならなくなるということもあります。でも、障害名の助けを借りなくても、どういう子なのかが理解でき、どう接してあげればいいのかが分かれば『気にならない、かわいい一人の子』になるのではないかと思います。『気になる子』という名称は、『エデュカーレ』の発行母体である『臨床育児保育研究会』と関係があります。保育の現場から上がってきた『子どもたちにもっと的確な保育ができるようになりたい』という願いから始まった『気になる子研究会(気に研)』が発展して『臨床育児保育研究会』になりました。私はずっと『障害』の側から子どもたちを見てきたので、『気になる子』がいたら、可能性のある障害特性を仮定し、それにもとづいた適切な対応をさぐろうとしました。それに対して、保育者の方たちは、子どもたちの行動を見て『なぜ?』『どうして?』『どうしてあげたらいいの?』と『気になる』様子だったのです。『気になる子研究会』では、『気になる子』について、『あてはまる障害名を探す』『白黒はっきりさせる』ではなく『気になる』行動の背景に想定される、さまざまな行動特性や障害の特徴などを、私からお伝えしました。そのことで、目の前の子どもたちが単に『気になる子』ではなく『こういうふうに対応したらいい子ども』となっていく。連載を依頼されたときには、そのことを読者にお伝えしたいと考えて書きました。「気になる子」には、安心できる環境が必要――現状では、療育は、保育とは別の場所で行われていることが多いと思います。このことについてはどう思われますか。中川先生:本来、障害児保育と一般保育は同じところを目指すはずだと思います。私は発達障害ということばをあまり使いたくないので、「発達系」と呼んでいるのですが、この発達系かも?という子が増えて、今、療育はパンク気味です。これを転換期ととらえ、今後は、保育園・幼稚園などの生活の場で、療育に近い関わりが行われ、わざわざ別の場所での訓練に通わなくてもすむようになればいいと思います。保育園、幼稚園での「療育に近い関わり」「ていねいな配慮のある関わり」をこの本では提案したつもりです。でも、そのためには、集団の人数の問題は避けてはとおれません。どうしても大人数だと配慮は行きとどきにくいし、子どもの側の集中もとぎれがちになるからです。また、『分からない』と声をあげればちゃんと助けてもらえる環境があって、安心して『分からない』『教えて』と言えることが大事なんですよね。そこで子どもの学びは進むのですから。それはやはり、大人数のクラスでは、かなえられないことだと思っています。安心できる環境はとても大切です。『アタッチメント』ということばは、日本語では愛着と訳されて、何だか「母の愛」というようなイメージがありますね。でも本来アタッチメント(attachment)とは、しがみつくという意味。風が強いときに飛ばされないように柱のようなものにしがみつく、そのことがアタッチメント。困ったときや不安なときでも、頼れる人がいれば安心していられます。集団生活の中でも子どもが安心して過ごせるかどうか、園の先生の態度が大きな意味を持つと思います。感覚の違いを理解できたら、「気になる子」の理解は進むはずUpload By 発達ナビBOOKガイド――本の中には、感覚が敏感な子どもへの理解についての話も登場します。過敏さを理解するには、どんな風に考えたらいいですか。中川先生:たとえば、私たちだって、押し入れに頭をつっこんで探し物をしているようなときに、急にうしろから背中をたたかれたりすれば、びっくりして飛び上がりますよね。でも、後ろに人がいることが分かってさえいれば、そんなにびっくりはしないものです。過敏さがある子たちはいつもこんな感じなのでしょう。不安な環境にいるからびっくりして、大人から見ると気になる行動に出てしまう。でも、安心できる環境にいれば、そんなに過敏にはならずにすむ。本の中でふれた、感覚統合の考え方を知ると分かりやすいと思います。保育士さんは、元気な人が多いので、大きな声で『おっはよー!』って挨拶なさいますよね。でも、耳が敏感で音に過敏な子は、その声にびっくりしてしまうわけです。前向きな方には、遊びが嫌いな子、みんなのところに参加したがらない子の気持ちも分かりづらいんじゃないかなと思います。この本を読んでくださる保育者には、『気になる子』はこう感じているかもしれないと気づいていただけたら、と思っています。子育てには正解はないから、保護者がひとりぽっちにならない子育てを――ところで、保護者の方たちは、保育者よりも長い時間子どもと接する中で、どうしていいか分からなくなることも多くあります。そんなときはどうしたらいいでしょうか。中川先生:保護者の方は、子どもの発達について『自分の育て方が悪いのではないか』と悩むことが多いのも事実です。だからこそ、脳の働きについて正しく理解することが、すべての子どもの育ちがよく見える助けになるのではないでしょうか。それでも、こうしたことは頭で理解していても、日々の子育ての中でやっぱりイライラしたり怒ってしまうことはありますね。人間は感情の動物、カッとなることはありますよ。でも、手はあげないでください。もし、つい手が上がってしまったら、その手はそのまま自分の頭にのせておいてくださいね。腹が立ったときは、じょうずに感情を別のところに吐き出して。クッションや枕に口を当てて『もうやだー!』って20回くらい叫んでごらんなさい、だんだんクールダウンしますよ。つらいことは、体で表現すると楽になります。理屈をこねても鎮静しません。『怒っている私』を、子どもに当たる以外の方法で解放してあげてほしいです。子育てには、正解はありません。叱って育てても、その子らしさを受け入れて育てても、結果は親子ごとに違うかもしれない。でもあとになって、できなかったことをいろいろと引っ張り出してもしょうがないことなんです。『みんなとちがう』ことが心配になるのは親であれば誰しもですが、どうか、分かってくれる人や、同じ思いをしている人を見つけて、『ひとりぽっちじゃない』状態で、長丁場の子育てに取り組んでいってほしいと願っています。そして、保護者の方はお子さんのことがよく分かっていても、先生に伝えるのはなかなか難しい場合がありますよね。この本の中に、お子さんにあてはまるような例があったら、コピーを先生に渡していただき、『こんな風に書いてある本がありました。うちの〇〇と似ているので、お持ちしました』と、『さりげなく』お伝えになる助けになればと思います。「気になる子」を理解することが、幸せにつながってほしい――気になる子は、その子自身が困っていることが多いです。どうしたら、気になる子自身も周りのお友だちや大人たちも、困ることがなくなるでしょうか。中川先生:昔から、『いっぷう変わった子』や『元気過ぎる子』や『ひとつのことに熱中すると他のことが目に入らない子』というのは、たくさんいましたし、今もいます。私自身もそうです。私は家族全員がちょっと変わった人たちだったので、特に問題視されない恵まれた環境だったと思いますが、それでも悩み深い少女でした。自分のそういう部分を、もしかしたら心理学を勉強したらコントロールできるかな?と思い、『人の幸せのために役立つ心理学』を学ぶことができたことで、今の私があります。ところが、今はちょっとでも『みんな』から外れていると、親も保育者・先生方も『発達障害ではないでしょうか?』と、心配するようなご時世になってしまいました。『多様性の尊重』とか『一人ずつに合わせた教育(保育)』と言いながら、その一方で社会の規範がどんどん狭まり、そこから少しでもはみ出た子には『障害』のレッテルを貼って『特別な支援』につなげなくては!と焦る風潮が強まっていると感じます。障害は、英語ではdisorderで、これは本来、列の乱れ、列からちょっと外れた状態を意味します。今の日本では、ちょっとでも列から外れると、列に入れようと、ぎゅーぎゅー引っ張るやり方をしていますが、ほんとうは、列には入ったり、戻ったりすればいい。列への参加のしかたはいろいろでいいはずなんです。『全ての子を、こういうふうに見て、こういう配慮をすればいいのね』と『集団の中での個別配慮』についての認識を、子どもを理解することで深めていってもらえたらと願っています。そのために、例えばこの本の中の一つのお子さんの例を題材に、保育の場で先生方同士でお話しいただき、『○○組さんの○○くんのこともこんなふうに見ると分かりやすいね』と共通認識を持つために役立てていただけることもできるのではないかと思います。ある意味『ふつうとは違う』側の中に、人間としての豊かな可能性や、人と協力し合いながら生きていく大切さが潜んでいると思います。これから育っていく子どもたちと、そのご家族が『幸せだなぁ』って思っていただけるといいなと思いながら、この本を書きました。Upload By 発達ナビBOOKガイド絵によっても、子どもへの理解がより深まるこの本には、たくさんの場面についてのイラストが登場します。子どもがどんな風に感じているのか、子どもの表情や、ちょっとした体の使い方に表現され、「こういう子、いるね」「こういうことある!」というリアルさがあります。大人の接し方によって、子どもはこう変わるといった様子も、おおげさではなく描かれています。また、実は表紙には違うイラストが入る予定だったそうです。子どもはニコニコして前を向き、ママもスカートをはいていて余裕が感じられる様子でした。(p148にあります)。でも、中川先生は「ちょっと気になる子は、なかなかこうはいかないでしょう」と提案され、その結果、ちょっと不機嫌そうな子どもの様子と、笑いつつもちょっと困り顔のお母さんの表情の絵となったのだそうです。こういう子いるね、うちの子と似てる、と思ったら、そのページからまずは読んでみてもいいかもしれません。育児する人、保育する人へ、「この子はこんな風に感じているかもしれないから、こうしてみたら?」という温かい提案を、少し先の成長した姿とともに見せて、安心させてくれる「保育園・幼稚園のちょっと気になる子」です。取材・文/関川香織写真/鈴木江実子
2020年03月31日かわいい盛りの赤ちゃんを保育園へ預けるのは後ろ髪を引かれる思いですが、いいこともたくさんあります。筆者が長女を赤ちゃん時代から保育園へ預けてよかったこと、また長男を保育園に預けない理由などをお伝えします。 ママの子育てストレスも軽減保育園に通うとママの子育てストレスが軽減するというのは私にとって事実で、本音です。 赤ちゃんから保育園で過ごすことで、先生や周囲の大人の言うことをよく聞いてくれるようになるので、その後に待っている「イヤイヤ期」や「トイレトレーニング」「お箸のトレーニング」などのしつけが本当にラクだったと感じています。 そして、あくまで私の場合ですが、仕事を持つことで「24時間ママ業」という重圧感や閉塞感から開放されました。社会と接点を持つことで、「子育ても頑張ろう」という前向きな気持ちになりました。 同志のような、親しいママ友ができる働くママ同士では、仕事や家事・育児の両立の難しさや大変さが、お互い痛いほどよくわかるので、共感し合える部分が多いです。長くお付き合いが続く親しいママ友ができやすいと思います。 私の場合、自宅で長女を子育てしていたころはママ友がいませんでした。しかし、働き出してから、職場でも保育園でもわかり合えるママ友と出会い、仕事を離れた現在も助け合って親しいお付き合いが続いています。 第二子長男を保育園に預けない理由長女を約6年間保育園に預けましたが、その間に長女が大病を患ったことが、私自身の子育てに対する考え方を大きく変えました。いろいろな意味で、長女には感謝の気持ちでいっぱいです。子どもは親に実にいろいろことを教えてくれますね。 そしてやっと授かった長男は、なるべく近くで成長を見守りたいと思い、3歳まではどこにも預けないことに決めました。経済的には大変ですが、一時的なことと割りきって日々楽しく子育てしています。 赤ちゃんを保育園に預けるのに、「正しい」「間違い」はないと思います。大切なのは、ママやパパが「本心で」どうしたいのかです。ママとパパの選択なら、きっとわが子も納得してくれる、私はそう信じています。著者:伊川 遥女の子と男の子の二児の母。家事や子育てのかたわら、自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。趣味は読書、音楽、料理、ボルダリング、絵を描くこと。
2019年11月19日何かできないか…その想いが療育グッズ製作の始まり2歳半の時、発育の遅れを指摘された娘は、すぐ、言語訓練に通い始めました。しかし、言語訓練は予約がいっぱいで、1か月に1回しか受けることができませんでした。娘は2歳半のころ、ほとんど発語がありませんでした。少しでも発達を促すことができたらと、言語訓練を希望していたものの、療育施設での言語訓練は月に1回しかできないと言われてしまいました。私は言語訓練に通うことができない状況に焦りました。少しでも娘の発語を促すため、何かしなければと考え続ける日々…。そこで、言語訓練で使っていたカード訓練をヒントに、自宅で真似してカードを作りました。Upload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURA最初は、無関心だった娘でしたが…。Upload By SAKURA全く興味を示さない娘に、繰り返しカードを見せ、ほぼ独り言のような状態で、カードに描いてある絵の名前を読み上げ続けると…娘はだんだんと、カードに目を向けるようになりました。そして、少しずつ私の読み上げる言葉に反応を示し始め…。数日後には、カードを自主的に持ってくるようになりました。このカードは、私たちの療育の始まりでもあります。私が初めて作った思い出深いカードです。この後、さらに制作したカードと一緒に、今も大切にしまってあります。Upload By SAKURA現在、カードはおもちゃ箱に保管されていて、娘は(小学3年生になった)今も時々、出して遊んでいます。Upload By SAKURAその光景を見るたび、なかなかしゃべらなかったあのころを思い出し、スラスラと話す今の娘を見ながら、成長を感じ、嬉しくなります。小学校に向けて「自分で」の準備娘が幼稚園の年長になり、「ついに来年は小学生!」というころ…。私は、娘の小学校入学にいくつか不安がありました。そのうちの一つが、「(学校の)準備が一人で、できないこと」でした。そこで、小学校入学にむけて、「準備」を練習することにしたのですが…。Upload By SAKURA一緒に取り組んでも、娘は心ここにあらず。何とかやる気を出してもらおうと、明日の持ち物準備のチェックリストを作りました。Upload By SAKURAこのチェックリストにしてから自主的に、準備に取り組むようになった娘。準備を視覚化することで、「明日の準備」は娘が主体的にできる日課になりました。Upload By SAKURA小学生になった現在、スムーズに「明日の準備」ができているのは、このチェックリストが少なからず影響を与えたのだと、私は思っています。朝、言われなくても動けるようにするために小学校に入学した娘。朝起きるのがとても遅く…支度にも時間がかかり…いつも出発はギリギリでした。「早くして~!」「遅刻する~!」とイライラしながら声をかける日々を毎日繰り返し、私は精神的にいっぱいいっぱいでした。Upload By SAKURA何とかしなければと娘の様子を観察していると、あることに気がつきました。娘は、次の行動にうつる前に必ず、止まって固まっていたのです。次に自分が何をしたらいいかわからないんだ…と気づいた私は、あるものを作りました。Upload By SAKURA作ったのは、朝、娘がしなければならない支度や準備を、すべて描いたカード。娘には、終わったカードを裏返してもらいます。そうすることで、あとは何が残っているかはっきりわかり、全体の見通しも立ちやすくなることが狙いでした。カードを使い始めてから、全部クリアしようとゲーム感覚で楽しく準備してくれるようになり、朝のイライラは激減しました。そして、私が何も言わなくても、カードを自分で出してきて、自主的に身支度を始めるようになったのです。カードを使った支度は、小学1年生から2年生までの半年ほど続き、小学3年生になった今は、声かけをしなくても、出発の時間までテレビを見たり、ゲームをして過ごすことができるほど、余裕をもって支度を終えられています。Upload By SAKURA大切なのは完成度よりも、親の想い私はこれまで、娘に何か課題が発生するたびに、娘の手助けになれば…と、いろいろ作ってきました。その中には、全く娘に響かなかった失敗作も、たくさんありました。しかし、大事なのは、我が子を観察し、どうすれば過ごしやすくなるか、「考えること」ではないでしょうか。子どものために、一生懸命作ったものなら、絵がうまくいかなくても、コピーして切って貼ったものでも、子どもにとっては特別なのです。親の愛情が含まれてこそ、効果があると思います。親が子どものために、試行錯誤してやることに不正解はない。すべて正解だと私は思っています。
2019年08月21日最近は、子供を幼稚園に通わせない選択をするご両親が増えているのをご存知ですか?子供をあえて幼稚園に通わせない理由は、家庭によって様々ありますが、経済的な理由で諦めたり、独自の保育をさせるために幼稚園に通わないと決める親も増えてきているようです。実際に、幼稚園に通わせないことにどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?この記事では、子供を幼稚園に通わせないことによるメリットやデメリット、通わせない場合に家でしておくべきことを解説していきます。近年、あえて子供を幼稚園へ通わせない選択肢を選ぶご両親が増えています。幼稚園へ通わないメリット・デメリット、家でやっておくべきことも併せてご紹介します。目次 1 子どもが幼稚園に通わないことによるメリットやデメリットはある?1.1 幼稚園に通わないメリット1.2 幼稚園に通わないデメリット2 子どもを幼稚園に通わせない場合に家でしておくべきこと2.1 一時保育・幼稚園を利用する2.2 好きな習い事をさせる3 まとめ子どもが幼稚園に通わないことによるメリットやデメリットはある?「幼稚園」は文部科学省の管轄で、幼稚園教諭の資格を持って働いている先生が在籍する小学校入学前の教育施設です。資格を持った先生が在籍している施設ではあるものの、義務ではないため幼稚園に通わせない選択をする親も一定数いるのも事実です。義務教育ではない幼稚園へあえて子どもを通わせないとどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?●幼稚園に通わないメリット通常、子供が成長したら幼稚園または保育園へ入れる家庭がほとんどですが、通うことは義務ではありません。義務教育は小学校からなので、小学校に上がるまでの幼稚園や保育園は親の判断に委ねられ、親が保育園や幼稚園には預けずに、自宅で教育・保育をしたい場合はそういった選択肢もあるのです。実際に、幼稚園や保育園へ行かずに小学校に入学する子供が増えています。幼稚園に通うのが一般的である中で、通わせない事によるメリットも存在します。●費用がかからない幼稚園へ行かなければ、もちろん費用がかからないのは大きなメリットです。教育料や保育料が必要ないのでお金がかかず、家計が厳しい家庭はやむを得ずに諦めることもあります。●親の愛情をより注げる家にいる時間が多いことで、親が理想とする教育方針で育てることができるのもメリットです。愛情をたっぷりかけて一緒に色々な所へお出かけもできるので思い出にもなります。●感染症にかかりにくい幼稚園は集団生活なのでインフルエンザや胃腸炎のリスクがありますが、通わせずに人の多い場所を避けることで感染症にかかりにくくなります。●幼稚園に通わないデメリットメリットがある一方で、幼稚園へ通わないデメリットももちろん存在します。デメリットには以下の項目が挙げられます。●集団行動・協調性を学べないずっと自宅にいるので集団生活が経験できず、友達ができにくい性格になってしまう可能性があります。自立心や協調性が育ちにくく、小学校で孤立してしまうことも考えられ、外の世界を怖がったり、視野が狭くなる可能性があることもデメリットと言えます。●変わり者と思われる幼稚園へ通うことが一般的な時代ですので、幼稚園へ行かせないと周囲の人が聞いたら変わり者扱いされることもあるかもしれません。子どもだけではなく親に関しても、小学校へ上がったときにママ友がいなくて困ったときに誰にも聞けず、周囲と溶け込めなくなる可能性があります。●馴染めず、友達ができにくい場合がある人と行動することに慣れていないため、友達ができずに適応性に欠けるのがデメリットです。協調性も学べず、わがままで自己中心的な性格になることもあります。子どもを幼稚園に通わせない場合に家でしておくべきこと何らかの理由で子供を幼稚園へ通わないと決めたら、家でどんなことに気をつければ良いでしょうか?なるべく集団行動に慣れさせたり、親離れさせるための対策をとっておくことが大切です。●一時保育・幼稚園を利用する幼稚園へ通わず、家庭で子育てを行っている場合も、急な用事で家庭で子どもを見ることが困難になるときがあります。保護者が子どもを見ることが一時的に困難になった時には、「一時保育」を利用すると便利です。極度なストレスや育児疲れにより、子どもを見ることが難しい家庭の状況に対応するため、自治体が主体となり行っています。一時的に預ける制度ではありますが、一定の人数の中で時間を過ごすことになりますので、集団行動や協調性を磨くいい機会になるでしょう。●好きな習い事をさせる幼稚園へ行かない選択肢をしても、子供が好きな習い事をさせると協調性が高まり、集団行動にも慣れていきます。興味を持っていることや得意なことから実際に体験させてみると良いでしょう。運動神経やバランス感覚が養われるスイミングスクールは、宿題や自宅での練習がなく長く続けやすいのがポイントです。音楽に合わせて体を動かしたりリズムをとるリトミックは、3歳ころからから始めるコースが一般液です。また、小さなうちから英語スクールに通うと、正しい発音が自然とできるようになったりコミュニケーション能力を養うことができます。まとめ幼稚園へ行かない選択肢は、メリットよりもデメリットが多いのが気になるところですが、育て方によっては問題なく小学生を迎えることが可能です。経済的な理由で諦めているご家庭であれば、「1年保育」や「2年保育」を検討すると、費用をある程度抑えることができ、デメリットを解消することができますので、一度、検討してみてはいかがでしょうか?●ライター/高須 亮
2019年08月20日特別支援学校入学に向けて、療育手帳を取得することに現在、特別支援学校に通う5年生の長男。療育園年長時、就学相談で、特別支援学校に入学するには入学前に療育手帳を取得するようにと説明がありました。それまで療育手帳を取得していなかった長男。手続きについて聞くと、私たちの住む地域ではまず市役所を通してから、児童相談所で発達検査を受けなければいけないとのことでした。自閉症の長男の進学先が特別支援学校になるだろうということは早い段階から考えていたことでしたが、療育手帳を取ることによって、確実に障害があると認定を受けることになる...母である私には、息子の障害をはっきりと社会的に認めることになるように感じられ、正直少しためらう気持ちがありました。複雑な気持ちを抱えつつ夫に「特別支援学校に入学する前に、療育手帳を取る必要があるんだって」と相談したところ、「手帳があることでシュウにとって必要な支援が受けられるなら、申請したほうがいいね」Upload By シュウママと賛成してくれました。夫の言葉に背中を押され、手帳取得に向けて実際に手続きを進めていくことになりました。児童相談所での発達検査。果たして長男は...児童相談所での検査当日。長男の検査の前に、先に母親である私と心理士さんとの面談がありました。洋服を自分で着脱できるか、トイレはできるか、ごはんやお風呂は介助が必要かなどの生活面の確認と、パニックを起こさないか、自傷や他害はないかといった精神面・行動面の確認がありました。そしてその後、長男自身が検査を受けました。まず、心理士さんがいろんな絵の描かれたカードを長男に見せます。そこに描かれた動物や乗り物などについて答える問題でした。長男は自分が好きなものだけ大きな声で答えます。発音が聞き取りにくいので、私が横で「これはひこうきと言っています」と心理士さんに通訳しながらすすんでいきました。ただ、出されるカードのほとんどのものは答えることができませんでした。次は組(対)になっているものを答えよという問題。心理士さんは、えんぴつを指して「これは何かな?」と長男に聞きます。...長男は無言。Upload By シュウママ長男が反応せずとも質問はどんどん続きます。「えんぴつとセットになるものは何かな?」...正解のノートを長男は指せません。検査を終え、心理士さんからはおそらく療育手帳はA判定になるだろうというお話がありました。療育手帳の判定結果、親としての思い後日、市役所に行き療育手帳を受け取りました。やはり判定はAでした。私の住む地域では、最も重い丸Aから最も軽いCまであります。A判定であるなら、特別支援学校に通うには問題ありません。けれど分かってはいたものの、長男が重度の知的障害と認定されることにわずかなかなしさがありました。療育手帳を取得して。長男の育ちに必要な支援が受けられるようにそれでも、療育手帳を持つことで受けられるサポートはたくさんありました。市役所で説明されたのは、特別児童扶養手当があることや、バスや電車での本人と介助者の運賃割引、ガソリン代あるいは車を運転しないのであればタクシーチケットの支給もあるということ。私は車が運転できないので、このタクシーチケットは特にありがたかったです。長男は病院からの帰り道、歩きたくなくて道端で「歩くのイヤ~!」と叫ぶときがあります。そんなときにタクシーを利用するのですが、初乗り分の料金を支払えるチケットは経済的にとても助かりました。自治体によってはオムツが支給されるところなどもあるようですので、お住まいの自治体の窓口等に確認するとよいかもしれません。Upload By シュウママ療育手帳を取得することで、自分のお子さんの障害が公的に認定されてしまう、そのことに不安を抱いている方がいるかもしれません。その気持ちは同じ立場として痛いほど分かります。けれど最初の判定から5年経った今は、手帳の取得は障害のレッテルを貼るためのものではなく、子どもの成長や子どもにとって過ごしやすい環境の整備のために必要なものなのだと感じています。また、判定結果がたとえ重度だとしても、特別支援学校に通いながら長男は長男のペースでゆっくりだけれど着実に成長している。それを親である自分が分かってさえいればいい、それが何より大切だと、そう思えるようになりました。Upload By シュウママ
2019年05月31日息子が生後6カ月から通っている保育園は、おむつなし育児を推奨する保育園。寝返りができるようになったら、パンツ生活のスタートです。入園してから1年が経ち、こんな変化が見られるようになりました。 相変わらず洗濯物は多いけど…生後6カ月から保育園に通い始め、もうすぐ1年。息子が通っている保育園は、おむつなし育児を推奨しています。「寝返りができるようになったらパンツになります」と説明されたときには「え、ウソでしょ!?」と思いましたが、本当に息子のパンツ生活はすぐにスタートしたのでした。 わかっていはいたものの、大量の洗濯物に最初は言葉を失うこともありました。 でも最近では私も慣れてきて、「あれ、今日はおしっこの回数少なめだな~」と洗濯物の量を見て判断できるようになってきました。 たくさん外遊びをする園なので洗濯物の量は相変わらず多いのですが、入園当初よりはおしっこの回数自体が減ってきて、パンツの洗濯は2~3枚程度の日も多くなりました。 度々おまるに座って…おしっこの回数自体が減ったのだと思っていましたが、どうやらタイミングを見ておまるに座らせてくれることも多くなったようです。おまるでおしっこが成功することも増えてきたよう。 また、1歳過ぎからおしっこやうんちのときに「でたー」「ちっち」と言いながらお尻を押さえて教えてくれることも多くなりました。自宅ではおむつをしてるので教えてくれたあとにおむつを替えるのですが、保育園の先生方は出る前のサインをなんとなく察知し、おまるに座らせてくれているようです。個人差はありますが、同じ0歳児クラスで月齢が早い子は、日中ほとんどおまるで用を足せる子もいるようです。 2歳児のお姉ちゃんは…息子の上にいるお姉ちゃんも2歳から同じ保育園に入園し、1年になります。入園当時はまだまったくトイレトレーニングはしておらず、おむつで生活していたのですが、入園して2~3カ月後にはすっかりトイレでおしっこができるようになり、今では夜寝るとき以外おむつが必要なくなりました。 早生まれで体も小さく、「大丈夫かな……?」と最初は心配しましたが、親が考えている以上に子どもの適応能力は高く、成長が早かったです。 わたしは元々おむつなし育児をするつもりもありませんでしたし、おすすめしようとも思っていません。メリットもデメリットもいろいろとあるのは確かです。ただこれから来る暑い夏の時期は特に、紙おむつよりも綿のパンツのほうが通気性が良く、蒸れた紙おむつをずっとしていることはないので、子どもたちは快適そうです。 著者:ライター 岩崎未来三児(女・女・男)の母。出版社・編集プロダクションの勤務を経たのち、第一子出産を機にフリーランスに。現在は会社役員という肩書きを持ちながらも、ライター・編集者としても活動中。
2019年04月21日認知度が上がり、世間の理解が深まりつつある、発達障害。ですが、まだまだネガティブな受け取り方をされることが多く、発達障害の子を持つ親として、ちょっとだけ残念な思いを抱いていました。そんなモヤモヤを解決してくれたのが、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授である本田秀夫先生の著書 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 でした。第2回のインタビューでは、本田先生が考える「療育の本当の意味とは?」についておうかがいします。お話をうかがったのは…本田秀夫(ほんだ・ひでお)先生信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授特定非営利活動法人ネスト・ジャパン代表理事精神科医師。医学博士。1988年、東京大学医学部医学科を卒業。東京大学医学部附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院を経て、横浜市総合リハビリテーションセンターで20年にわたり発達障害の臨床と研究に従事。発達障害に関する学術論文多数。英国で発行されている自閉症の学術専門誌『Autism』の編集委員。2011年、山梨県立こころの発達総合支援センターの初代所長に就任。2014年より現職。日本自閉症協会理事、日本自閉症スペクトラム学会常任理事、日本児童青年精神医学会代議員。■発達障害「早期発見・早期療育は子どもではなく親のため?」―― 前回 、親が早期に子どもの特性を知っておくことの重要性を教えてもらいましたが、早期発見は早期療育の効果へとつながるのでしょうか? よく、療育を始めるのは早ければ早いほど良いなどと言われますが…。本田秀夫先生(以下、本田先生):僕は、絶対そういうことは言わないようにしています。――なんと…(驚)。そういったお話も聞いたことがありますが、臨床の現場で約30年、幼児期から成人期まで一貫して診てきた先生がそうおっしゃるのは、また違った重みを感じます。本田先生:そもそも早期に発見される子の方が、大人になった時の障害は重いのですよ。なぜなら、症状が重い子の方が早く発見されるから。症状が軽くて、知的障害がない発達障害の場合は、就学時健診でもわからないことも多いのです。ですから、早く発見された人ほど良くなるというのは正確ではありません。――確かに…。本田先生:でも、僕は早期発見・早期療育を推進しています。理由はただ一つ、親御さんの認識を変え、親御さんが学ぶチャンスが早くなる、ということです。実は僕、子どもを療育しているフリをして、親の認識を変えることこそが療育だと思っていますから。つまり、子どもをどうこう療育するというより、親がコペルニクス的に認識を変えられるかどうかが非常に大事なのです。――深いお話…。本田先生:早期に親御さんがわが子の特性を知れば、対処法を学ぶこともできます。例えば、たびたびパニックを起こすようなお子さんだと、親御さんは疲弊してしまいますよね。でも、これを防ぐのは意外と簡単で、パニックを起こしたくなるような刺激を与えなければいいのです。例えば、子どもが好きなことをやっている最中に止めさせようとするとパニックを起こすということがわかれば、大好きなことはある程度切りのよいところまでやらせて次の活動に切り替えさせればよいわけです。ほかの子が近づくとたたいてしまう場合は、ほかの子が近くにきたら、その間に親御さんがスッと割って入って、その子の手が届かないようにすればいい。知っていれば未然に防げるけれど、知らないと結局、親子ともども嫌な思いを重ねることになってしまいます。■「療育でグレーは白にならない」子どもファーストの環境を――親への効果はよくわかりましたが、子どもにとっては本当に効果がないのでしょうか?本田先生:私たちの療育では、基本的に子どもファーストで考えてプログラムを組みます。例えば、一般の子育てなら、2歳の子どもに箸を使う練習はさせませんよね? 2歳くらいならスプーンを使ったり、大人がフォローしてあげればいいわけです。それが、成長につれて箸を使うようになったり、だんだん変わっていくのですが、そのペースが発達障害の子たちはほかの子と違います。ですから、今何を教えたらその子に身につくのかということを、一人ひとり厳密に考えていきます。そうして子どもに合った環境やプログラムを整えてあげれば、情緒的に安定して、活動に意欲的に取り組め、子どもも伸びると思いますよ。――ということは…? と、親はつい期待してしまいますが。本田先生:ただし、ここで一つ注意が必要です。親御さんは「療育で子どもが良くなった! このままいけば治るのでは…?」と思ってしまいがちですが、子どもが良い状態にあるのは、こちら側が相当に配慮した環境だからであり、環境が変われば元の木阿弥です。前回も言いましたが、「グレーとは 白ではなくて 薄い黒」ですから。特性そのものは消えません。ですから、そこまで伝えるために、僕たちの療育では親御さんにも時々参加してもらって、どういう状態だったら子どもが落ち着いた良い状態になるのかを学んでもらうようにしています。■発達障害「どのような大人になるかは、親の育て方次第」――いかに子どもを取り巻く環境が大事か、ということなのですね。本田先生:そうです。発達障害というのは、もともともの原因は育て方のせいでなるわけではないのですが、「どのような大人になるのかは、育て方次第」と僕は思っています。例えば、背が低いことで悩んでいる人がいるとして、「別にいいじゃん」と言ってもらえるのと、「このままじゃヤバいよ! 早くなんとかしないと!」と言われるのでは、本人の受け取る印象はずいぶん変わってきますよね。それと同じで、親御さんがなんとか子どもの苦手を克服させたい、平均にそろえたいと思えば思うほど、克服できない部分が残った時に、子どもは親の期待に応えられない自分を責めてしまうのです。否定的な雰囲気の中で育つと、自己肯定感も低くなりますし、さらに責めたてられるような雰囲気の中で育つと、抑うつ的になってしまったり、逆に、自己防衛する意味で攻撃的な性格になってしまう危険性があります。――確かに…。でも、親は、わが子に対して「こう育ってほしい」という理想を持ってしまうものなのかもしれません。良かれと思って、つい…(苦笑)。本田先生:申し訳ないけれど、いかに親の価値観や考え方をリセットできるかが大事なのです。難しいかもしれませんが、先に理念を変えるというより、実践しながらの方が価値観は変わりやすいと思いますよ。どんな時に子どもが情緒的に不安定になって、どんな時に落ち着いているのか、その両方の状況の違いがわかれば、だんだんと親御さんのとらわれが溶けていくと思います。そのプロセスをなるべく幼児期のうちに通過しておくと、学校に入ってからが楽になると思います。――学童期になると、別の難しさが発生するのでしょうか?本田先生:学校に入ると、親御さんだけではなく先生の中にも「学校ではこういう子どもを育てるべき」という考えを持つ人がいるので、子どもは、家でも学校でも問題児というレッテルを貼られてしまう危険性があります。子どもがトラブルを起こして、先生に怒られて、親御さんも学校から「家庭のしつけが悪い」などと責められて心が病んでしまったり…。そうなってからですと、非常に対応が難しくなります。――確かに…。自由な幼児期と違って、学校では勉強が始まるので、クラスの雰囲気を乱すような子に対して、先生だけはなく保護者の目も厳しくなるように感じます。本田先生:実際のところ、文部科学省の発表では、通常学級の生徒の中になんらかの発達障害を持つ子が6.5%いるということですからね。クラスに必ず数名はいるということになります。早いうちに子どもの特性を理解して、周囲にきちんと説明できるような親御さんが増えて、そういう子がいるのがむしろ当たり前、という雰囲気になってきたらよいですよね。そして、学校もそういう子がいるという前提で、活動内容を組み立てるのが、当たり前になってほしいと思います。社会集団には、個性の凸凹がある程度存在します。「よくある個性」と認める範囲が広い集団では、「少数派」の人がそれほど目立たなくなります。発達障害の人も、その他のさまざまな個性がある人も、それぞれが自分のことをよく理解し、それが自分の普通だと思って生きていけるような社会が、本来あるべき社会の姿だと、僕は思っています。今回のお話や本を通して、いろいろな普通があることを、多くの人に理解してもらえればと思います。もし、わが子の発達に不安を感じている方や、すでに子どもが発達障害と診断され悩んでいる方がいたら、ぜひ一度、本田先生の著書を手に取ってほしいと思います。本を読む前と読んだ後では、きっと発達障害への印象がガラリと変わることでしょう。もちろん、そんな気持ちの部分だけではなく、「発達障害とはどんな障害か」ということもわかりやすく解説し、具体的な環境設定や支援方法まで紹介してあり、発達障害への理解と対応力が一段と深まることと思います。「どのような大人になるかは育て方次第」――その言葉に改めて、発達障害児の子育てにおける、親の役割の重要さを感じた取材でした。参考図書: 『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』 (SBクリエイティブ)精神科医として30年以上、臨床経験の大半を発達障害の診療に費やし、乳幼児から成人まで、さまざまなライフステージの方たちによりそってきた、本田秀夫医師による著書。発達障害とは、なんらかの機能や能力が劣っているのではなく、「病気」というよりも、「選好性の偏り」と考えるほうが、ずっと当事者の理解に役立つ。そんな視点から発達障害を理解し、発達障害の人の行動や心理、支援の方法までをわかりやすく解説。まちとこ出版社N
2019年04月02日見知らぬ土地での、初めての子育て私は結婚してすぐに夫の転勤で引越し、実家から離れた土地で娘を育てていました。そこは社宅が多く、私のように実家が遠かったり、パパの帰りが遅かったりして、ワンオペ育児をしている家庭が多い地域でした。娘が1歳の頃、私は公園で知り合ったママ友と仲良くなり、お互いの家を行き来して過ごしていました。この頃の娘は同世代の子どもと一緒にごっこ遊びなどはせず、いつもマイペースに遊んでいました。それでも皆と同じ空間にいることを嫌がる様子はなく、気が向けば遊びに参加したりして、本人はそれなりに楽しんでいるようでした。2歳頃になると、私はママ友に誘われて、地元の子育てサークルが主催する読み聞かせの会や、自治体主催の親子体操、工作教室などに行くようになりました。お友達が楽しそうに参加する中、娘は何度通っても部屋の端っこに隠れたり、外に出ようとしたりして、活動に加わろうとしませんでした。音楽教室の無料体験レッスンに参加させてみると…?出典 : そんなある日のこと。友達に誘われて、音楽教室の無料体験レッスンに行ってみました。講師の先生は、並べられたタンバリンや鈴などの楽器を“順番に”鳴らしていくよう口頭で指示しましたが、娘にはそれが理解できませんでした。そして先生に「お嬢さんには、こちらの教室は無理のようですね」と入会を断られたのです。どうしても入会したいという気持ちはなく、友達に誘われて「無料お試しキャンペーン中だし、楽しめたら良いなぁ」くらいの軽いノリで参加したとはいえ、この言葉に私は大きなショックを受けました。親子の“居場所”を探し求めた日々その後も私は、親子で楽しめる場所はないかと児童館や保育園の園庭開放、短期保育体験、プレ幼稚園など、娘と一緒にいろいろなところに行って相談しました。ですがなかなか、居場所は見つかりませんでした。ある時、自治体の相談窓口で「子どもの発達の相談に乗ってくれるところが最近できたんですよ。よかったらそちらに電話してみてはいかがですか?」と、ある施設で行われている親子教室を紹介されました。そこは今でいういわゆる「療育センター」だったのですが、名称に「療育」の文字もなく(そもそも当時私は「療育」という言葉も知りませんでした)、私は「娘と一緒に体を動かしたり遊んだりできる場所があるなんて、ラッキー!」という気持ちで電話をしました。その親子教室に見学に行った時、娘は一瞬入室を一躊躇しましたが、実際に体験してみると、そこはやはり娘にぴったりの場所でした。嬉しいことがいっぱい。できることがいっぱい。仲間がいっぱい。私は娘が興味を持つ絵本や紙芝居、遊びや体操など、たくさんのことを知りました。毎回楽しく過ごせる上に、そこでおむつ外れもスプーンの使い方も無理なく身につけられたことを、本当に嬉しく思いました。娘と一緒に帰省した時の出来事私と娘が実家に帰省していたある時、親戚から食事に誘われました。キッズコーナーのないレストランでの食事は、娘にはまだ無理ではないかと躊躇したのですが、「せっかく久しぶりに地元に帰ってきたんだから、いらっしゃいよ。個室だし、同じくらいの年の子も来るから大丈夫。身内の集まりなんだから、もし子どもがぐずっても誰も気にしないわよ。」と言われ、私は娘を連れて行くことにしました。ところが、いざ行ってみるとそこはホテルで、個室といってもホールをパーテーションで仕切っただけの、円卓を並べた会場でした。娘が食べられるメニューも少なく、遊ぶものもほとんどありません。同じくらいの子どもといっても、年上の子どもが1人だけ。娘は徐々にむずがり始めましたが、他の利用客もいるので、ロビーに出て遊ぶこともできません。ある程度覚悟していた私は、自分の食事もそこそこに、会場の隅で娘の遊び相手に専念しました。そして食事会が終わるまでの2時間を、親子教室で身につけたスキルをフル稼働して何とか乗り切ったのでした。親戚からの電話で言われた、きつい一言実家から自宅に戻ったある日、食事会を企画した親戚から電話がありました。そしてこんなことを言われたのです。Upload By 荒木まち子私は言葉に詰まりまりながらも「娘については関係各所に相談などもしているし、やれることはやっています。」とだけ言って電話を切りました。実はこの頃、娘は医師から“自閉傾向”と言われていました。遠くに住む親戚、しかも数年に1度しか会わないその人は、普段の私たちの様子を知りません。医師でも支援者でない相手の言葉を気にする必要はなかったかもしれません。でも、私の心は深くえぐられました。それが子育ての先輩としての“親切心”で発した言葉だったとしても、私にはとてもきつい言葉でした。一人で抱えきれないショックと悲しみでいっぱいになった私は、親子教室の先生に電話をしました。「帰省した時、親戚に『あなたの子は施設に入れた方がいい』と言われました。娘はすぐにどこかの施設に入れなければならないほどなのでしょうか?」話をしている途中で何度も言葉に詰まってしまったので、私が泣いていることは気づいていたでしょう。でも、先生はじっと話を聞いてくれました。そして穏やかにこう言ったのです。「ここも“施設”なんですけどね。」私たちにとって、親子教室はどんな存在だったのか今思えば、親子教室で行っていた遊びや体操は、療育そのものでした。例えば、教室の時間中は、子どもが勝手に開けて出て行かないように、ドアには「×」マークの紙が貼られていました。口頭で「部屋の中で過ごします」「一人で外に行きません」と言うだけでなく、視覚的にも分かりやすい工夫がされていたのです。また、親子教室は、子ども達がおのおの好きなおもちゃ遊びを堪能した後に始まるのですが、そのためにおもちゃを片づける時も、次の「楽しいこと」に向けて見通しを持たせたうえで、親子で一緒に片づけをしていましたし、片づけが済んだらサッとおもちゃの棚を布で目隠しして、子ども達が次の活動に集中できるような工夫がされていました。始まりの会では、ピアノに合わせて名前を呼びます。子どもが返事をできると、自然と先生や参加している親子から拍手が沸き起こりました。昔ながらの童謡に合わせた親子体操では、普段は抱っこや手つなぎを嫌う子どもたちと自然に触れ合うことができました。紙芝居は、『じゃあじゃあびりびり』や『もこもこもこ』など、物語重視というよりも視覚優位の子どもの興味を引くものを中心に選ばれていました。先生は私が娘の行動への対応に困った時、さり気なくフォローをしてくれました。でも決して、「こうした方がいい」とか「こうしなければならない」などと言うことはありませんでした。だから私はプレッシャーを感じることなく、自分のできる範囲で先生のすることをまねたりしていました。親子教室で行われていることや工夫には、障害のある子どもとの接し方に悩む親へのヒントがたくさんありました。また、それだけでなく、教室ですごす時間は、純粋に親子で楽しく過ごせ、悩みを相談でき、元気をもらい、笑顔になれる、かけがえのないものでした。私が「療育」という言葉を知らなかったためか、はたまた大らかな土地柄のせいもあったのか、そこにはいつも穏やかな空気が流れていて、ほんわかしていました。通っている他の保護者も皆気負うことなく、お互いの子どもの成長を喜び合う優しい雰囲気がありました。子育てサークルや音楽教室、親戚との食事会…そこでは気をつかったり、落ち着かなかったりして、穏やかな気持ちで娘と接することができませんでした。ですが、親子教室では、自然と笑顔になれました。私にとって、療育センターの親子教室で過ごすひとときは、“外”の世界で傷ついた心を癒すオアシスだったのです。ひとしきり泣いたら、前へ進める親戚の言葉に傷つき「遠くの親戚よりも近くの他人」を実感した私。この経験をもとに、「障害の話はとてもデリケート。私は相手から求められない限り、自分の意見は言わないようにしよう」と心に決めました。とても辛かったけれど、そうやって気持ちを切り替えて前に進めたのは、やはり近くに「プロフェッショナルな理解者」の存在があったからだと思います。娘が小さい頃、私は本当によく泣いていました。年を重ね、心も体も(?)図太くなった今。振り返ると、あの頃は怒り、落ち込み、喜びなどのさまざまな感情すべてをひっくるめて、大きく見守られていたように思います。療育センターの親子教室で、私も娘と一緒に育ててもらったのだと感じています。
2019年03月25日ウーマンエキサイトの読者のみなさま、こんにちは、ぎゅうにゅうです。今回は娘の習い事のことを書かせていただきました。上の子が幼稚園に入る頃、何か一つくらい習い事をしようかな~と考えて小さいうちは付き添って通うから私も楽しい方がいいな~と一緒に歌ったりして参加できる音楽教室を探しました。でもこの頃、お腹に2人目がいて、そのことを相談してみると「ぜひ下の子を連れて通ってください~!」と快く受け入れてくれました。そして年少の春から通い始めることに。下の子が生まれてからも毎回連れて参加していて、泣いたりぐずったりしたらと心配していましたが、音楽が心地いいのか、毎回ほとんど寝ていました。なので安心してしばらく通っていたんですが成長していくにつれ次第に寝なくなっていって(当たり前だけど)最近は…とにかく鍵盤に触りたい下の子。それを阻止するのに必死の私。そんな状況がしばらく続いていてレッスンの迷惑にならないように…と気を使うしどうにかならないものかと悩んでいます。
2019年02月19日保育園に通っていない場合、集団生活のスタートは幼稚園からとなります。3年保育の場合は満3歳になってから。しかし最近では、入園する1年前にプレ保育を実施している幼稚園が増えており4年保育とまで呼ばれることも。プレ保育を選ぶ際はどのようなことに気を付けると良いでしょうか。また、プレ保育のメリット・デメリットはどんなことでしょうか。プレ保育を考える人が増えている?プレ保育は一部の幼稚園で実施されていますが、理由は「園を知ってもらう」「環境に慣れてもらう」「子育て支援をする」などを目的としています。登園頻度は、4年保育とまで呼ばれる程毎日通う場合や、週や月に1回、数ヶ月に1回など様々です。また保育時間も、数時間や半日、1日など園により大きく異なり、母子同伴の場合も分離の場合もあります。2~4歳の子どもを持つ保護者のアンケートによると、利用経験のある人が約3割、利用を考えている人が約2割で、合わせると半数以上となります。また、通わせた場合複数の園を利用した人は約4分の1で、より良い園を選ぶ為にプレ保育を利用する人が増えていることが分かります。本入園とは違い、かけもちが可能とされる園が大半です。週1や月1などの頻度であれば、複数をかけもちして園を比較するのも良いでしょう。プレ保育のメリット・デメリットプレ保育に通わせるにはどんなメリットがあるのでしょうか。幼稚園というのは、子どもが初めて他人と集団生活をする場所です。産まれてから毎日ママと一緒だった子どもが突然ママと離れて幼稚園生活を送るのですから、慣れるまでには時間がかかることが多いでしょう。入園前に少しでも先生やお友だちと触れ合う機会を持つことで、やがて始まる幼稚園生活をスムーズに送ることができやすくなるというのが一番のメリットでしょう。他にもこんなメリットがあります。・幼稚園の雰囲気や先生との人柄が分かる・入園前から先生に子どものことを知ってもらえる・同じ年頃の友達ができる・ママ友ができる・入園後の送迎イメージがわく・家庭ではできない集団行動や季節ごとのイベントなどの経験ができる・優先的に入園できる権利がもらえる実際に通ってから「合わないな」と思っても転園することは難しいですが、プレ幼稚園であれば園を変えることも可能です。しかし園によっては、プレ保育に通うには入園することを条件としている場合もありますし、プレであっても制服等が必要な場合は通ってからの転園は躊躇されることもあるでしょう。「まだプレ保育だから」と考えず、プレ保育が始まる前から近所の幼稚園について調べておくことが必要です。3年保育を考えているなら、2歳になる前から調べておくことが必要です。プレ保育は費用がかかる?プレ保育自体が頻度も時間も様々な為、当然かかる費用も様々です。私立か公立かということもあり、補助金が出るため無料の園もあれば週5日通う園では2~3万必要な場合もあります。通う頻度の少ない場合は、月謝ではなく年会費として徴収することもあります(基本的には途中でやめても返金不可のことがほとんどです)。その他の費用として、入会金・昼食費・バス代などの交通費・保険料などが別途かかる場合もあります。また、必要な持ち物の購入や、プレ保育であっても園指定の服を購入する必要がある場合もありますので確認が必要です。また、幼児教育無償化が始まりますが、対象は3歳以上の為プレ保育では対象外となる期間があります。週5日通う場合の負担をしっかりと把握しておくことが必要です。我が家の場合は、入園を考えている幼稚園が月1回のプレ保育を行っていた為通いました。月1度で1時間、母子同伴の為、入園というよりはたまに行く習い事という感じでしたが、園の雰囲気を知ることは出来ました。しかし別の園で週2~5日を選択できるプレ保育を実施していることを後から知り、知っていたらそこに通うことも検討したかもしれないなと思いました。「幼稚園は3歳から」と考えていると情報収集が遅くなってしまいます。調べるだけなら1歳からでも早すぎることはないと思います。情報収集をしっかり行った上で、気になる園があり費用などの負担が問題なければプレ保育に通わせることもオススメですよ。
2019年02月04日長女ひなは、体操教室に通って2年になります。そんな我が家の習い事事情です。なにこれ…きっっっつ!毎回見学しながら「動きっぱなしでみんな凄いな~」と思ってはいたけど、実際やってみると想像以上…!今まで「笑顔でね~」なんて声をかけていたのは軽率でした…。笑顔でやるのは大事だけど、そう容易いもんじゃなかった!習い事とはいえ、本人が楽しんでいることが何より大切。時には親も子どもと一緒に楽しんじゃいましょう!【お知らせ】 第2話 の記事下アンケート「Q1.園でのお友達トラブルを経験したことはありますか?」のアンケート結果はこちら↓≫ 「保育園・幼稚園トラブル、7割以上が経験! 明日、当事者になるかも…?」
2019年01月25日息子が受けた療育と私の思い出典 : 私の息子は自閉症スペクトラム障害と診断を受けてすぐ、3歳になると同時に早期療育を受けました。専門家から「早期療育を受けてください」と言われたのです。私はすぐに言語療法や音楽療法にアプローチし、息子にできる限りの療育を授けました。特に助けられたのはABA(応用行動分析学)でした。人と目を合わせる、人の模倣をする、人の話に耳を傾けて適切に返答をする…等々、「好ましい行動」を増やし、「好ましくない行動」を減らしていく方向で療育を進めました。それまでただただ手こずった息子の育児が、療育を受けて大きく変わりました。息子の表現力やソーシャルスキルが格段に上がったことで、パニックになることもなくなり、行動の幅もグーンと広がりました。それまで苦手だった他者との協力ができるようになったことで、出かけられる場所もやれることもどんどん増えていきました。療育を受ける前の息子は、他者との協力など全く受けつけない子どもだったため、親子で何かを一緒に楽しむということがほとんどできなかったのです。あの療育があったから、今の息子と私の生活があると思っています。療育は私たちと同じような親と子を救ってくれているに違いない。そう思っていた私にとって療育について別の考え方があるなんて思ってもみないことでした。ある小説から調べ始めた「ニューロダイバーシティ」出典 : 療育に対する別の考え方との遭遇…。それは、自閉症スペクトラム障害の子どもが主人公の海外小説を読んでいたときのことです。その小説の主人公の男の子は、幼少期から多くの療育を受け、普段の生活でも努力して「好ましい行動」をし続けていました。療育で教わった通りの行動をすると、家族は喜びます。すると、主人公の男の子が母親にこう言うのです。「自閉症(発達障害)は治すべき病気なの?」そして、自閉症は「ニューロダイバーシティ」の一つなのだと母親に訴えるのです。私はこの場面を見て、「ん?」と手が止まりました。小説の中で使われている「ニューロダイバーシティ」という言葉が気になったからです。そういえば…私は思い出しました。ここ1~2年でしょうか。発達障害関連の研究会やNPO団体等の講演会やニュースレターなどでも「ニューロダイバーシティ」という言葉をたまに見かけるようになりました。あれ?「発達障害」ではなく「ニューロダイバーシティ」?調べてみたところ「神経多様性」や「神経学的多様性」といった日本語訳があてられていました。どうやら、発達障害は脳の神経学的な構造が異なっているだけであり、病気でもなければ「治すべき」ものでもない、というような考え方がもとになって使われるようになった用語のようです。「ニューロダイバーシティ」の背景を知って、自問自答出典 : ニューロダイバーシティという言葉が生まれた背景を探っていくほど、複雑な気持ちになっていきます。そもそもの始まりは、定型発達の人たちの振る舞いやコミュニケーション手段を「正しいもの」として、発達障害の子どもたちをそこに近づけるように矯正する療育に対して発達障害当事者たちが声をあげたことがきっかけだったようです。特に「子どもの行動を変えようとする」という点で、「ABA(応用行動分析学)」は厳しい批判の対象となったようです。けれども私は覚えています。アイコンタクトを嫌がる息子がABAを受けた後に初めて目を見て話してくれて、涙が出るほど嬉しかったこと。自分の好きな話を一方的に喋るばかりでコミュニケーションがほとんど成り立たなかった息子が、きちんと私の話を聞いて応答してくれるようになったときのこと。私はABAを施してくれた先生方には足を向けて寝られないと思うほど感謝していました。私はあのとき、息子を「普通」に近づけたかっただけだったのか…?彼の神経学的な多様性を握りつぶしてしまうことをし続けてきたのか…?私は療育の成果について「息子の成長」として喜んできたことに自問自答しました。社会の変化として考える私なりの受け止め方出典 : ニューロダイバーシティの議論について知ったとき、私は何度も考えました。ではあのまま療育を受けさせずに「ありのままの息子」でいさせれば、それが発達障害という脳の多様性を尊重することになったのでしょうか。確かに息子に施した早期療育は私にとって 「定型発達」に近づけるという目的が見え隠れしていたかもしれません。けれども、療育を受けさせたことによって、辛いことばかりだった息子の育児がなんとも愛おしく充実したものに変わりました。ですから、私は個人的には療育について批判する気にはなりません。課題はあれども、私と息子のクオリティ・オブ・ライフは確かに向上したのです。「ニューロダイバーシティ」という言葉を取り上げるとき、私は療育の可否について議論するのではなく、今この言葉が日本の各所で使われ始めているということの意味について考えたいと思っています。発達障害が「障害」や「疾患」ではなく、多様性の中の一つであり、その人の生き方の一つであるという捉え方が、少しずつ浸透し始めているきざしなのかもしれません。「定型発達」に対立する言葉としての「発達障害」ではなく、究極的には誰もが「異なる」存在である――そんな考え方の潮流が社会の中で生じ始めているのかもしれません。「うちの息子は発達障害」ではなく「うちの息子はニューロダイバーシティ」と言い換えてみると、息子は異質な存在なのではなく、多様性の中の一つであるような心地よい響きがあります。神経的な多様性を表す「ニューロダイバーシティ」という言葉。それは「みんな違ってみんないい」という考え方が根底にあります。そう考えると、その子がその子らしく、尊重されて生きていくスキルをつけられる療育とニューロダイバーシティは、何ら相反するものではないように思います。私はこの二つの言葉がうまく融合し共存していくような希望ある未来を信じたいと思います。"What is Neurodiversity?"(ニューロダイバーシティとは何か)"What Is The Neurodiversity Movement and Autism Rights?"(ニューロダイバーシティ運動と自閉症者の権利とは何か?)
2018年12月13日私と娘のコミュニケーション法は?今回は、私と娘のコミュニケーションの方法についてお話したいと思います。娘の苦手をサポートする私のやり方は、「教える」というよりは『一緒にやる』という感じです。Upload By SAKURA何か娘の苦手な課題が出てきたら、どうすればわかるか考え、一緒に取り組みます。私が「先生」になるのではなく、娘と同じ位置に立つことで、そのやり方が難しくないか、理解しやすいかを娘と同じ目線で見ることができるからです。どうしたら娘が理解できるか、伝えやすいかを考え、娘のそばでそれを確かめながら、方法を模索しています。どんなことも、ありのまま伝える私は、娘に自分の気持ちを正直に話すようにしています。私が自分を抑えて接するのではなく、ありのまま接し、とにかく何でも話します。自分に余裕がないときでも、そのまま娘に伝えます。Upload By SAKURA「察して」「考えて」と言いっぱなしにすることは、私と娘の間では、ほとんどありません。それは、私が、「親だから」「大人だから」と言って自分が一歩引いたり、自分の思いを隠して娘に接することができなかったからでもあります。Upload By SAKURA私自身が、思ったことをそのまま娘に言うスタイルの方がやりやすく、娘に自分の思いを話すことで、私も冷静になれていたのです。このやり方はだんだんと、私と娘のコミュニケーションの方法として定着していきました。それが一般的に良いか悪いかは、わかりませんが、私にとって背伸びをせず、無理もしなくていい、負担にならない方法でした。親がなんでも話すことって、娘にとっては負担かも?しかし娘にとっては…?どうなんだろう?親である私が、我が子に感情をぶつけていいのか?私の負担にはならないけど、娘は負担になっているのではないか?内心そんな風に思っていたとき、こんなことがありました。娘に、宿題の「かけ算の音読」をしてもらっていたときのことです…。Upload By SAKURA私と娘の関係には、何でも【話すこと】が当たり前。自分の気持ちを話すこと、相手の気持ちを予測することが苦手な娘。いつものように、私がまず娘の気持ちを代弁し、何でこんなことをするのか、言うのか…お互いの気持ちや真意を丁寧に説明しました。目には見えない気持ちを、口に出して言うことが大事だと思っていたのです。すると…Upload By SAKURA今まで、いろんな場面で娘に話してきましたが、娘からこんな返事が返ってきたのは初めてでした。娘が私にかけてくれたこの言葉で、私は、「ちゃんと私の気持ちをわかってくれていた…話してきて良かった…」と、娘との間に信頼関係がちゃんと築けている実感を感じました。そしてまた娘が一つ大きくなったと感じました。同じ目線で一緒に取り組み、なんでも話すことで築けた信頼関係私の療育で行きついたのは…・娘の苦手も個性と認める→周りと比べることもなく、落ち込まない・同じ目線で一緒にやる→娘にとって、きついかどうかがわかりやすい・気持ちはたくさん話す→相手の気持ちを見えるようにし、予想ができるようになる+信頼関係を築くということです。同じ目線で接する…たくさん話す…と言えば聞こえはいいですが、私が大人になりきれていない面もあります(笑)だから私は、娘とよく喧嘩をします。嫌な気持ちがしたらすぐ言うからです。最近では、おしゃべりが上手になった娘から、言い返される回数も増え、もういい!とお互いそっぽを向くこともしばしば。でも築いてきた信頼関係のおかげか、最後は「大好き」とハグして終われています。Upload By SAKURA娘が教えてくれた大切なもの…といろいろと偉そうに言ってきましたが、結局は、娘が答えてくれたことと、出してくれた結果から学んだことです。私が娘からもらったものはたくさん。物事の考え方やとらえ方…一つできるたびに胸が温かくなること。…そして、人に対する優しい気持ち。私はこれからも娘からいろんなものをもらいながら、一緒に歩いていきたいと思います。
2018年12月12日映画、講演、体験ブースなど療育を知って楽しめる企画がいっぱい!Upload By 発達ナビ編集部2018年11月17日(土)に大阪で開催される療育をテーマにしたイベントの紹介です!「リョーフェス」は、療育を正しく知ることができる場、子育てについて新たな発見や新しいつながりが生まれる場をつくりたいという願いのもと、箕面市を拠点に活動しているNPO法人ダウン症ファミリー総合支援めばえ21が主催しています。子どもたちの療育にかかわる人、いろいろな療育を知りたい人、わが子の療育を考えている人、子育てについて一緒に考える仲間とつながりたい人など、どなたでも、来場を歓迎しています。当日は、子どもも大人も楽しめる企画がいっぱい!その中から、いくつかをピックアップしてご紹介します。「自分のされていやなことは人にしない」というたったひとつの校則と、「すべての子どもの学習権を保障する」という教育理念を掲げる大阪市の大空小学校に密着したドキュメンタリー映画。障害のある子もない子もすべての子どもが同じ教室で学びます。同級生や教職員、地域とのかかわり合う中で、子どもたちはどう成長していくのか。すべての子どもたちに居場所をつくるということを考えさせられる映画です。(映画鑑賞は有料で事前に予約が必要です)患者さんの病気や障害よりも、まずその人を知る、そして社会に知ってもらおうと多彩な活動を続けている、大阪医科大学小児科の玉井浩教授の講演会です。ダウン症やウィルソン病を研究する医師として、そしてダウン症のお子さんをもつ父として、障害のある子どもの子育てについて講演されます。学習障害(LD)やADHDの子どもたちの課題改善などのために用いられている「ビジョントレーニング」。もともとプロスポーツ選手のパフォーマンス向上のための視覚機能訓練を福祉と教育の世界に展開し、注目された北出勝也先生がビジョントレーニングのメニューなどを紹介してくれます。日本ミュージック・ケア協会認定指導者の浦川暁美先生によるミュージック・ケアの体験教室です。ミュージック・ケアには、個人を尊重しながら、関係性を広め深めるための要素がたくさん含まれています。また、子どもの発達には欠かせない動作が多く取り入れられていて、楽しみながら発達が促進されます。一度、ミュージック・ケアを通じた療育を体感してみてください。リョーフェスでMCも努める田村美波さんによる紙芝居。ダウン症の当事者でもある田村さんの懐かしくてあたたかい紙芝居の世界をぜひ感じてみてください。ほかにも、LITALICO発達ナビを含んだ、療育に関わる15団体がさまざまなブースを開設。障害者や高齢者のためのネイルブースやお絵かきワークショップ、物品販売などもあるので、お楽しみください。イベントを主催する「めばえ21」の想いUpload By 発達ナビ編集部めばえ21代表の永田和子さんは、ダウン症のお子さんのお母さんです。お子さんがダウン症だったことをきっかけに、障害についての正しい知識、悩みを共有できる仲間、障害の特性を理解し子どもの可能性を最大限引き出せる環境の重要性を感じ、ダウン症の子を持つ親たちで2014年にボランティア団体として立ち上げられました。では、なぜ療育のイベントを開催するに至ったのか。それは、「療育」に対するマイナスイメージやよくわからないものという印象を変えていきたいということがきっかけでした。正しく療育を知ることは、障害の有無にかかわらず、子どもをより豊かに育むための手助けになります。また、実際に療育を行う医師の方と話すことで、当事者よりもむしろ、親自身の悩みの解決にもつながることも少なくないそうです。ぜひ会場に足を運んで、たくさんの人と交流してください。子どもたちをより豊かに育めるようなヒント・つながりが見つかるかもしれません。開催概要【日時】 2018/11/17(土) 10:00〜15:00【会場】箕面市立箕面文化・交流センター8階大会議室/地下1階多目的室/2階和室阪急箕面駅から徒歩1分〒170-8445大阪府箕面市箕面6-3-1会場マップ【対象】関心がある方はどなたでも【参加費】 入場無料映画をご覧になる方は大人700円/小中高300円(未就学児無料)が必要です。【タイムテーブル】『みんなの学校』上映会10:00 8階大会議室(定員180人*車いす、ベビーカー入場可能)13:00 2階和室(定員40人)*希望の上映時間とともに必要事項をご記入の上、メールでお申し込みください。詳細はイベントホームページをご覧ください。メインステージ11:00 障がいをもつ子どもの子育てについて玉井浩大阪医科大学小児科教授12:25 シングアハッピーソング!中尾亜矢子さんシンガーソングライター・ヒルシュスプルング病の次男の母13:00 ビジョントレーニング北出勝也視機能トレーニングセンターJoy Vision代表14:15 ダウン症のある美波さんによるほっこり紙芝居田村美波14:40 ミュージック・ケア体験浦川暁美NPO法人日本ミュージック・ケア協会認定指導者ブース出展11:00~15:00療育に関わる15団体がさまざまなブースを出展*「めばえ21」ブースでは、小児科医・オプトメトリスト(視覚機能)・作業療法士・理学療法士など専門の先生方による相談を受けていただけます。【お問い合わせ】NPO法人 ダウン症ファミリー総合支援めばえ21Email: mebae21event@gmail.com
2018年11月09日『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションの題材となった立石美津子です。「子どもが不器用であること」を心配しすぎて、「子どもの将来のために家でも練習させなくては!」とつい一生懸命になってしまうことがあります。療育を辞書で引くと「障害をもつ子どもが社会的に自立することを目的として行われる医療と保育」と出てきます。障害者だって社会で生きていかなくてはならないのですから、本人が暮らしやすいように練習するのが本来の療育の姿だと思うのですが、「〇〇できるようになってほしい」とこちら側の思いばかりが強くなり、療育の目的がズレてきてしまっている人もいると思うんです。私自身が、そうでした。完璧主義者だった私私の性格は完璧主義。一生懸命で努力家でした。療育施設に通わせていたころは、「週1回通っているときだけ訓練するんじゃダメ。効果を上げるためには家庭でも同じことをしなくては!」と考えていました。例えば、療育施設ではハサミを使う、折り紙を切る・折る、縄跳び、自転車などさまざまな訓練がありました。ピアノのレッスンなどの習い事と同じで、週1回施設で練習したからって身につくものではありません。熱心で真面目な私が思っていたのは「毎日の積み重ねが大事」ということでした。ですから「おうちでも体験させてあげてくださいね」と、療育の先生が軽く言った言葉を重く受け止めました。Upload By 立石美津子息子は5歳だった当時、手先が不器用でハサミを使えませんでした。そこで私が考えたのがこれ。おやつを封筒に入れてハサミで切らせる練習です。ハサミを使えなければ、おやつを口にできないしくみです。当時は「グッドアイデア~。毎日の生活の中でできる療育!」なんて自画自賛していました。息子の気持ちは?Upload By 立石美津子結果的に息子はハサミを使えるようになりましたが、もしかしたら家でやらなくても使えるようになっていたかもしれません。今、振り返ってみると“楽しみなおやつタイムが訓練の時間”と化してしまった息子は、しんどかったと思います。当時、息子は言葉を話すことはできませんでした。もし言葉を話せていたら、「もう嫌だ。おやつや食事のときくらい、好きなようにさせてよ!」と怒っていたかもしれません。もちろん日常生活を送っていくために、ある程度のことをできるようにすることは大切です。でも、それだけを目的にするのはどうなのでしょうか。ある児童精神科医が、「今の療育はできないことをできるようにする療育。でも、本当にすべきなのは得意な部分を伸ばすこと。脳が喜ぶことをすればいい」と、テレビで言っていました。これは、ストレングス(本人の強み)視点とか、ストレングスアプローチという考え方です。つまり、“何らかの問題を抱える人が潜在的に保持する強み”を伸ばす療育をしようというもの。息子が幼かった当時は、こうした考えに基づく療育はあまりなかったような気がします。療育施設の中での競争同じしんどさ、悩みを抱えている親どうしであっても、子どもの年齢が同じだったりすると、競争心や妬みの気持ちが湧き起こることもあります。「あの子ができているのに、同じ自閉症の息子ができない訳がない」とさらに拍車がかかります。「どうして○○ちゃんができることが、あなたにはできないの」と声を荒げているお母さんもいました。そして療育風景を窓越しに見学しながら「あれができて、これができない」と目先のことに一喜一憂し、私の心は翻弄されていました。子どもとの”今”を楽しんでもし、過去に時間を戻せるのだったら幼児期に戻り、「今、ハサミを上手に使えなくたって大丈夫。さあ、ゆっくり温かいミルクティーとお菓子を楽しんで」と息子に言ってやりたいです。そして、過去の私にも、今一生懸命なお母さんたちにも伝えたいのです。「そんなに気張らないで大丈夫。可愛い子どもとの時間を、楽しみましょ」と。2018年9月10日、医師・松永正訓氏が立石親子を取材、書き上げた新刊が発売に。発達障害がある子と母の、幼児期から今までに渡る育児について綴られています。
2018年11月05日わが家の息子、「ロボットが相手だと安心する」?出典 : わが家の8歳の息子が療育に行くとき、いつもとても楽しみにしていたことがあります。それは、病院の受付のところに「Pepper」くんというロボットがいてくれたことです。息子は療育に慣れるまで、「今日は何をやるのだろう」「先生に叱られないかな」と予測できないことへの恐怖で、落ち着きがなくなっていました。けれども、「Pepper」くんと話をすると、心なしか少し気持ちが落ち着いているように見えました。その後、息子の希望で犬のロボットを買いました。息子はこの犬のロボットのことも好きで、その後本物の犬を飼ったあとも、「僕はロボット犬のほうが好き」と言っていたほどでした。それは、本物の犬はどういう反応をするのか、どういう動きをするのか読めないから、怖かったのだそうです。(今はもう慣れました)また、一時期、私のスマートフォンの「Siri」に話しかけることにハマっていました。「Siri」が相手だと、何時間でも話ができるようで、なかなかスマートフォンを返してくれないこともありました。そのときに私は思ったのです。人間と違い、感情や態度がいつも一定のAIが相手だと、人間と話すときのような緊張感がなく、いくらでも話ができるのだな、と。心理的な負荷なくコミュニケーションが取れるのであれば、AIロボットが療育をしてくれたり、AIロボットが友達だったりしてもいいのかもしれない…とも。漠然とそんなことを考えていた私に、なんと「発達障害児の療育を行うAIロボットが開発された!」というニュースが飛び込んできたのです。開発者に聞く!QTrobot開発の背景は?発達障害児の療育は人間がするもの、だって人間との関わり方を学んでいかなければならないのだから…そんな固定概念が私たちの中にあるかもしれません。その考えを覆す「QTrobot」というロボットがルクセンブルクの企業で開発され、注目を集めているのです。オランダのアムステルダムで開催された「欧州CES 2019」(International Electronics Commercial Show/国際家電見本市)では、”Tech for Better World”部門でイノベーション・アワードを受賞しました。 récompensée par le CES pour son robot (LuxAI社のロボット CESで入賞(フランス語))Upload By 林真紀私は居ても立ってもいられなくなり、開発した企業の共同設立者のアイダ・ナザリー(Aida Nazarikhorram)さんに連絡を取ってみました。アイダさんによると、療育用ロボットの開発は2016年にルクセンブルク国立研究基金の助成対象となり、そこからLuxAIという会社を設立したとのことです。増加している発達障害児の療育ニーズに対して、療育を担当できる専門家が不足しており、これを解決するためにAIロボットの開発が進められました。ロボットが発達障害児の支援に高いポテンシャルを持つということは、これまでも多くの研究でいわれてきたそうです。QTrobotはこんなことができる !では、具体的にQTrobotはどのような形で療育を行うのでしょうか。こちらの紹介動画を見ると、QTrobotを使った療育で以下のことを教えることができるといいます。・表情・コミュニケーション・好ましい行動・日常的生活スキル人間が話すときには、たくさんの表情とボディランゲージを同時に発信します。それが発達障害の子どもにとって、習得が非常に難しいものであるとアイダさんは言います。しかし、QTrobotは人間のボディランゲージを上半身だけのシンプルな動きで表現するため、発達障害児が簡単に模倣できるそうです。またQTrobotの表情は36種類もあり、多様な表現が可能です。その他にも、相手の言葉と顔と表情を認識する機能がついているので、発達障害児との相互コミュニケーションが可能です。実際に使用する際には、療育の担当者や学校の先生などが操作をすることになります。そこで、ITやプログラミングの知識がない人でも、戸惑うことなく簡単にロボットの動作を組み込むことができるようになっています。担当者が自由に、その日の療育プログラムをつくることができるのです。アイダさんは、QTrobotについて「発達障害児が安全でコントロールされた環境の中で、ソーシャルスキルを学ぶことができる」と話していました。つまり、ロボットが相手だと、発達障害児にとっての「想定外」のコミュニケーションが起きづらいのだと思います。ロボットは、決して相手を否定したり、叱ったりもしません。様々なことができるけれども、決してパターン以上のことはしません。それが、発達障害児にとっては「安全でコントロールされた環境」なのかもしれません。社のホームページ(英語)実際に使っている子どもたちの反応は?Upload By 林真紀QTrobotは現在、英語、フランス語、ドイツ語、ルクセンブルク語に対応していて、既にアメリカやヨーロッパの発達障害児の療育に用いられているそうです。そこで療育を受けている子どもたちの反応は驚くべきものでした。例えば、数分もセラピーを受けることができなかった子どもが、40分も集中して受けることができたとか、セラピーをどうしても受けたがらなかった子どもが、自分から熱心にセラピーに参加するようになったそうです。また、親御さんからもとてもポジティブなフィードバックが沢山きているようです。例えば、子どもが落ち着いてきた、社交的になった、人に対して共感的になった…など。実際にルクセンブルク大学の研究で実証実験が行われたそうですが、ロボットのほうが発達障害児の注意を引きつけることができ、さらに破壊的な行動や自閉症児特有の自己刺激行動が軽減するという研究結果が出たとのこと。 Field Test Report: Case Study - EIPA, Luxembourg (QTrobot実地試験ー欧州行政研究所)言葉や地域を越えて、発達障害のある子への支援をUpload By 林真紀さて、QTrobotが日本の療育現場にやってきてくれる可能性はあるのでしょうか?アイダさんにお聞きしたところ、日本からも問い合わせが相次いでいるそうです。現段階では専門家向けの販売がメインですが、実際に問い合わせをしている方の多くは一般の親御さんなのだとか。今後は、さらにグローバル展開ができるよう生産能力を上げ、輸出入を請け負ってくれる商社を探している最中とのことでした。日本でQTrobotが療育を担当してくれる日も、遠くはないのかもしれません!「住んでいる場所や言葉は関係なく、発達障害の子どもたちを支援していきたいのです」このアイダさんの言葉がとても印象的でした。療育のみならず、発達障害児の大切な友達として、AIロボットが気持ちを癒してくれるような未来がくるかもしれませんね。販売に関する問い合わせフォーム | LuxAI (英語)
2018年10月26日お世話になった療育園からのお誘い自閉症のある長男は、3歳から6歳まで通っていた療育園が大好きです。私自身も本当にお世話になりました。なので、園から「在園児の保護者に向けて何かお話してもらえませんか?」というお誘いをいただいたときは、引き受けたいと思う気持ちが強かったものの、話下手な自分に出来るのか?という不安もありました。しかし、ふと長男が療育園にいた当時、卒園した先輩ママのお話が、とても参考になったことを思い出しました。大した話はできないかもしれないけど、少しでも役に立ちたいという気持ちでやってみようと思ったのです。Upload By シュウママ座談会当日。あるお父さんから投げかけられた質問Upload By シュウママ座談会では私を含めて3人の卒園児のお母さんが、現在の子どもの状況についてお話しました。ホールは、在園児の保護者の方が30~40人ほど集まっていていっぱいです。そして、真剣な顔で私たちの話に耳を傾けていました。子どもたちの現状についてお話したあとは、質疑応答の時間。いろんな質問があったのですが、その中で1人のお父さんから「自分はまだ子どもの障害を完全に受け止めきれていません。皆さんはどうやってお子さんの障害を乗り越えてこられましたか?」と問われました。発達障害の子を育てる親は皆、悩むけれど2人のお母さんは、とても真摯にそれぞれの乗り越え方を話してくれました。そして、いよいよ私の番になったのですが、いろんな思いが頭の中を巡り、答えに困ってしまいました。果たして私は長男の障害を乗り越えたといえるのだろうか。乗り越えるどころか長男の癇癪やこだわりにふり回されて、今ももがいている最中ではないだろうか…。そう思ったので素直にそう言うことにしました(笑)「私自身が息子の障害を乗り越えられた瞬間というのはなくて…」Upload By シュウママそう答えたのですが、それだけではここに集まった方々を失望させてしまいます。園の先生にも申し訳ないです。一生懸命考えました。乗り越えるために私が支えにしているものはなんだろう…第一に浮かんだのは家族の姿でした。わが子の障害を乗り越えるため、私を支えたのは家族や先生だったUpload By シュウママ長男が自閉症と診断されたとき、「自閉症だろうがなんだろうが、かわいい息子であることに変わりはない」と言って支えてくれたのは夫でした。長男のパニックで疲弊していたとき、「病気の子どもは優しいお母さんを選んで生まれてくるんだよ」と言って気持ちを救ってくれたのは次男でした。そして長男がはじめて療育園の門をくぐったとき、優しい笑顔で包んでくれたのは、この療育園の先生たちでした。Upload By シュウママ壁にぶつかるたび私が自力ではい上がったのではなく、いつも周囲の人間が手をさしのべてくれていました。私だけで乗り越えた壁などひとつもなかったのです。伝えようとする中で、私自身が気づいたことご夫婦一緒に参加された方、ママ友同士でメモを取られている方…いろんな方が集まっていましたが、その空間は障害のある子どもを育てる人たちの一体感がありました。わが子のために何ができるか模索する親の姿がそこにはありました。その光景を見て、もうひとつ大きな支えがあったことを、話しながら思い出したのです。「この療育園で知り合ったお母さんやお父さんたちと悩みを打ち明けあうことも、精神的な助けになると思います」Upload By シュウママそう伝えました。人には経験しなければ分からない苦しみというものがあると思います。実際に発達障害のある子どもを育ててはじめて分かる、特有のやるせなさがあるのです。私は大した助言はできないけれど、先輩ママの声に耳を傾けることでもいいと思います。辛いときは辛い、苦しいんだと言い合える相手はきっといると思います。どうかお母さん、お父さん、一人で背負わないでくださいね。
2018年09月06日毎日のようにTVで塾のCMを見かけます。高校・大学受験や浪人している人向けだけではなく、最近では小学生の通塾率が増加しています。自分の子どもは通わせた方がいいのか、通わせるならいつからがいいのか。また塾の種類はどんなものがあるのかなど、疑問がたくさん浮かびます。最近の小学生の塾事情はどうなっているのでしょうか。1. 小学生の通塾率とは小学生の通塾率は、平均50%となっていて、都心部に近い程高くなる傾向にあります。その中で、公立小学校に通う小学生の割合は41%、私立小学校に通う小学生の割合は71%となっています。これは、授業内容が公立では比較的易しく塾に通わずついていけるのですが、私立では塾で補強を行わないとついていけないほどハイレベルであるということが一因です。さらに公立に通う子は中学受験をする子どもがそこまで多くないため通塾率も下がります。さらに学年別で見てみましょう。・一年生公立:27%私立51.8%・二年生公立:27.4%私立60.5%・三年生公立:32%私立67.2%・四年生公立:36.8%私立72.7%・五年生公立:40%私立72.8%・六年生公立:49.8%私立76.6%※文部科学省「子どもの学習費調査平成26年」私立では一年生でも半分以上が塾に通っているということになります。公立でも、四年生からはほぼ4割が、六年生には半数が通うようになっています。2. 塾のタイプを知ろう一口に“塾”と言っても、小学生が通う塾には3タイプあります。通わせる場合には目的を持ち、タイプを把握して選ぶ必要があります。 (1) 進学塾中学受験を見据えて、入試問題で点数を取れるようにする塾です。三年生の冬からカリキュラムをスタートする塾が多く、大手進学塾の場合は入塾テストに合格する必要もあります。比較的受講料が高い場合が多いです。(2) 補修塾学校の授業内容を理解し、試験で点数を取れるように指導する塾です。学校の授業についていけない部分があるが特に中学受験を考えているわけではないという場合は補修塾に通うことが多いようです。不得意な教科を強化して教えてくれたり、学校の授業をスムーズに受けられるように教えてくれるので、勉強の楽しさを知ってほしいと思う親が選ぶことが多いです。低学年のうちは補習塾、高学年になるタイミングで進学塾へ切り替えるという場合もあります。(3) 専門塾最近人気が高まっている個別指導塾です。マンツーマンか生徒2~3人という少人数の授業となるため、子どものレベルに合った授業を受けることができます。他の習い事とのスケジュール調整がしやすいというのも利点です。進学塾の中で個別指導コースを設けているという場合も最近ではあります。3. 小学生に塾は必要なの?特に低学年は遊び盛りの時期で、塾に通わせるかどうかは意見が分かれると思います。本当に小学生に塾は必要なのでしょうか?答えは「その子と状況によって異なる」ということで、一概には言えません。● 塾が必要な子・中学受験を考えている・高学年で学校のテストが60点以下中学受験をする場合でも必ず塾が必要というわけではありませんが、難関中学や公立の中高一貫などを考えている場合は入試対策に沿った授業を行ってくれる塾を選ぶことが合格への近道でしょう。また、義務教育である小学校では成績の優劣をつける必要がない為80点前後を取れるようなテストが作られています。そこで60点以下しか取れていないのであれば、中学校でついていけなくなる可能性もあるため、塾で補強を行う方が良いでしょう。● 塾が必要ない子・中学受験をしない・学校のテストで80点前後を取れている・勉強する時間を確保できている塾に通わないとしても、高学年になったら自宅で勉強する習慣を身につけておく方がよいでしょう。ちなみに、小学生に必要な勉強時間は「学年×10分」です。一年生だと10分、三年生だと30分という感じで、最低でもその時間は机に向かう習慣をつけておきましょう。塾が必要かな、と親が思った場合でも子どもの意見は欠かせません。無理やり通わせても長続きはしません。しっかりと親子で意思疎通を行い、意思を尊重しましょう。通わせる時期についても意見は様々ですし本人の意見もあるので一概には言えません。しかし一般的には、受験を行う場合は三~四年生から通うというケースが多いようです。4. 塾選びで聞いておくこと塾に通うとなった場合、塾はどのように選べばよいのでしょうか。まずは塾の雰囲気がとても大切です。気になっている所には必ず訪問し雰囲気を見ましょう。パンフレットをもらいに行くだけでも、雰囲気や対応方法などが分かります。数軒見てみると良いでしょう。気になることは事前に聞いておきましょう。聞いておいた方が良い項目は「月謝」「振替可否」「クラスの人数・クラス分けの基準(集団の場合)」「使用する教材」「宿題の量」「担任制かどうか」「実績」などです。塾側からここまで説明してくれることはそうありませんので、これ以外にも気になることがあれば事前にメモをしてしっかり確認しておきましょう。現在6年生の子がいて塾に通っているママが、今の塾は方針が合わずに変えたいが本人が気に入っているので迷っているという話をしていました。通ってみないと分からない部分もあり、塾選びは本当に難しいと感じます。私の息子は叶えたい夢のために中高一貫校に通いたいと言っています。受験や通塾は考えていなかったのですが、高学年になっても同じ考えでいるのなら四年生くらいから塾に通わせることも考えています。小学校は公立ですが、通塾・受験率が高い学校なので周囲とのバランスも多少は考える必要があるのかなと思います。どちらにせよ、本人の意見も尊重しながら、慎重に考える必要がありますね。
2018年08月03日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。障害基礎年金は自動的に受給はできない!申請のために必要なものとは…Upload By 立石美津子障害のある人は障害基礎年金を20歳から受け取ることができるのは、知っていますか?息子は現在17歳。年金受給できる年齢まであと2年ちょっとです。私は「療育手帳を持っていれば、障害基礎年金は自動的に受け取れるもの」と勘違いしていました。学校の個人面談で担任から、「立石さん、主治医はいますか?いないのであれば、20歳になったら障害基礎年金を受給できるように、申請に必要な診断書を書いてくれる医師を、今から探しておいてください」と言われました。私は、障害基礎年金の受給の申請のためには療育手帳だけ持っていてもダメで、主治医の診断書が必要なのだとこのとき初めて知りました。参考:日本年金機構小児科・児童精神科には年齢制限がある出典 : 私の家の近所に小児専門の国立病院があります。もちろん、発達障害児のための専門外来もあります。でも高校生以上の初診は受けつけていないそうです。発達障害のある子どものかかりつけは、小児科や児童精神科が多いと思います。ですが小児科や児童精神科は、原則として中学生までしか受診ができません。以前は成人期になっても小児科・児童精神科にかかる場合もあったようですが、発達障害の診療ニーズが高まる中、継続しての支援が難しくなってきたという背景もあるようです。また、幼児期は療育に通ったり病院を受診していたりしたけれど、小・中学校時代にはトラブルなく過ごせ、思春期以降も問題行動などの二次障害もなく落ち着いている場合、投薬もなく、主治医を持たないケースもあるでしょう。友人にも「子どもが小さい頃は病院に行っていたけれど、今は定期通院していない」という人が多くいます。そうすると、「障害はあるのに問題行動が落ち着いて病院を離れていた結果、主治医がおらず、年金申請に必要な書類を書いてもらえない」という状態になり、慌てることになってしまうのです。つまり、20歳を迎える前に年金受給申請することになりますが、それまでに成人を診られる病院で主治医を見つけておく必要があります。障害のある子を育てているママ友のなかには、子どもが幼い頃から「年金申請のこと」まで見越して、最初から大人の精神科が併設されているクリニックに通わせている人もいます。でも私は、担任に言われるまで、まったくその知識がありませんでした…。主治医探しの旅へ出典 : 現在、息子は強迫性障害のために大学病院に通院しています。ただ、この病院は「病気の診断を確定して治療方針を立てるところ」です。定期的に通う場合は、住まいの近くのクリニックに転院する必要があるようです。そういう意味ではずっと診てもらえる主治医がいない状態です。わが家の場合、大学病院から他の病院への紹介などはないため、自力で見つける必要があります。都内の精神科のクリニックに電話をしてみました。しかし、まず電話がつながりません。30分電話をかけ続け、やっとつながったとしても「来月の初診枠は満員となりました!」と言われてしまいました。さらに「年金申請の診断書記入目的の新患は受けつけていません」と言われてしまったのです。こうして、病院探しの放浪の旅の途中にあるわが家ですが、医師の立場に立てば、18歳になっていきなり来られても「幼い頃からずっと診てきている訳ではないので、受診してすぐ診断書を書くことは難しい」と考えるのも頷けます。参考:発達障害診療における小児科から精神科へのトランジション | 精神科治療学 第32巻12号(星和書店)精神科医へのスムーズな引継ぎがあれば…出典 : 障害基礎年金の申請支援までして引き継いでもらうことができたら…小児科で診られる年齢と、年金申請までの期間があることなどによって、このような問題が出てきてしまいます。せめて、小児科・児童精神科医が、患者の状態を要約して書面にして成人期の病院へ引き継いでくれたら、精神科医も対応しやすくなると思います。「障害のある人が月に6.5万円(※)を稼ぐことはとても大変です。障害基礎年金があることで、無理なく働くことができるのです」と、知人の社会保険労務士は言います。私もそう思います。ライフラインともいえる障害基礎年金の申請がままならない、制度のはざまでもがく、わが家のような家族はたくさんいると思います。障害基礎年金の申請にも関わる社会の仕組みが、改善されてほしいと強く願っています。そしてまた、わが家のように路頭に迷わないよう、発達障害のある子どもを育てている保護者のみなさんには、中学生になるぐらいから、成人期を見据えた主治医探しをはじめておいてほしいとも思います。(※)「障害基礎年金」年額より算出。障害基礎年金は1級で年額974,125円、2級で779,300円(2018年度)
2018年05月26日療育入園初日。椅子から脱走し走り回る長男3歳当時、自閉症の長男は一日中走りまわっているような子どもでした。多動の特性も強いゆえ、仕方のないことだと思うのですが、母親の私も追いかけるのに一苦労。公園に連れていくと立ち止まったり座ったりすることもなくひたすら駆け回ります。Upload By シュウママ既に療育の通所支援に通うことが決まっていたので、まあ訓練で多動はおさまってくれるだろう…と思っていたのですがそれは甘かった!療育施設の入園日、何度座らせようとしても椅子からおりて脱走する長男を見ながら目の前が真っ暗になりました。Upload By シュウママ他にも座れずに泣いている子もいます。けれど長男ほど活発に動き回る子はいなかったのです。「1か月で座れるようになりますよ!」先生の言葉に半信半疑だったけど…現実をつきつけられたような気がして「この子が椅子に座れる日が来るんでしょうか」思わず尋ねると先生は笑顔で答えてくださいました。Upload By シュウママ「みんなそうです。大丈夫ですよ」優しい先生の言葉にうなずきながらもそう簡単にいくのだろうか――不安が募りました。少しずつ少しずつ。変化があらわれてきた長男それから長男は毎日療育施設に通いました。私は週に2回ある親子通園日に長男の様子を見ることができるのですが、「あの多動がおさまるはずがない…」とやはり半信半疑でした。けれど先生方の日々の取り組みはまさに目から鱗だったのです。その療育施設では手を洗って牛乳を飲み、椅子に座ってみんなで手遊び歌を行うのが日課になっています。はじめ長男は牛乳を泣いて嫌がり、吐き出したりコップを倒したりしていました。けれど先生は牛乳が嫌ならお茶にしようかという妥協は一切なく、他の子と同じ牛乳を飲ませていました。「一口だけでも飲むんだよ」と先生はスプーン1さじから始め、1さじ飲めたら次の日は2さじという風に量を増やしていきました。Upload By シュウママその間、飲み終わった子ども達は自分の椅子を並べて先生と手遊び歌をしています。そうすると不思議なもので自分も遅れを取りたくない、みんなと一緒に手遊びしたい!という意識が芽生えてきたのでしょうか――長男は徐々に牛乳を飲める量が増えていき、最後には一人で全部飲み干し、自分で椅子を持って手遊びに参加できるようになったのです。Upload By シュウママ大切なのは妥協しないことそして長男は、教室以外の大きなホールでお誕生日会をする時でもきちんと座って待つことができるようになったのです。「あの子がちゃんと椅子に座って待てるようになるなんて…」と私は先生に言いました。すると先生は「園では基本みんなと同じものを食べ、同じ行動をするよう促します。そうするとね…」先生はくすりと笑って言いました。Upload By シュウママそして「ご家庭でも、お母さんが子ども用に別におかずを作ったりするのは控えたほうがいいんです。家族みんな同じものを食べるほうが楽しいし、苦手なものも食べられるようになるんですよ」とアドバイスしてくださいました。そういえば療育の給食の時間、子ども達は「シュウちゃんにんじん食べられたね~」とおしゃべりしながら食事していました。お友達が食べられたなら自分も食べれるかもしれない、と感じながらお互いを育てあうのかなと感じました。療育施設ではたくさんのことを教えてもらったのですが、子どもの自主性は重んじても妥協はしないという姿勢や向き合い方も、教えて頂いた大切なことでした。
2018年03月28日その日の施術だけでは綺麗になり続けることは難しい皆様の中には、エステやトリートメントやヘッドスパ等を受けるだけで綺麗になるとお思いの方も多いかもしれません。確かに、その日はお肌はプリプリになったり、髪がツルツルになったり、頭皮が柔らかくなって顔がリフトアップしたりはします。でも、帰って今までの生活と何も変わらない生活をしてしまうと時間が経てば、また行く前と同じ状態に戻ってしまいます。なぜなら、肌の悩みや体型の悩み、そして髪の悩みは、その方の生活習慣や間違った美容習慣によって引き起こされていることが殆どだからです。僕はそれがすごくお客様に申し訳ないと思うので、ケアの方法を絶対にお伝えするということをしています。その方が知らず知らずのうちにしてしまっている美容に悪い習慣をやめてもらったり、また少しでも美容にいい習慣を増やして頂くと、その方は次回来られる時には綺麗になってやって来られます。そして、僕たちがまた綺麗にして差し上げて益々綺麗になられます。そうやって、そのお客様はどんどん綺麗になっていくんです。対して、美容に悪い習慣をそのままにしてしまったり、間違ったケアを続けてしまう方は次回来られる時も前回来た時と同じ状態で来られます。そして僕たちが施術をして一時的には綺麗になります。改善スピードはとっても緩やかか、現状維持になります。というのも、お客様はサロンで過ごすよりも圧倒的に長い時間を別の場所で過ごすからです。正しい知識が得られるエステでもヘアサロンでも、なるべく施術者とお話しされることをオススメします。僕はお節介なので今のケアやライフスタイルを聞いてしまうのですが、意外とご自身の肌状態や頭皮状態、髪の状態が今どうなのかという根本的な時点でわからないとおっしゃる方が多いです。そんな状態なので、もちろん100%自信を持って「私は正しいケアをしています!」とおっしゃる方は少数派です。きっちりわかってらっしゃる方は大丈夫ですが、自信のない方は自信のないケアを続けるより、今一度自分のケアや生活習慣の不安な点、またはお悩み等をとことん担当者と相談してみてほしいのです。そして、もやもやを取り除いて正しい知識をたくさん吸収して肌や髪にいいことを一つでも多く生活に取り入れていただきたいのです。1番大切なのは美意識顔や髪や体に悪いとはわかっていても、やめられないことってありますよね?例えば、顔を熱いお湯で洗ってしまったり、髪を乾かさずに寝てしまったり、お菓子を食べ過ぎてしまったり。逆に、顔や髪や体にいいとわかっていても、続かないことってありますよね?せっかく教えてもらった顔の体操、頭皮のマッサージの仕方、スーパーフードやエクササイズ。でも、ヘアサロンやエステサロンに行って自分が綺麗になったあとは頑張ろうって思いませんか?完璧にはできなくても、綺麗になった自分を大事にしたいって思いますよね。エステや美容室に行かれる方が綺麗になるのは、その美意識の賜物なのです。僕は健康オタクなところや美容オタクなところがあるので、カラー中などもよくそんな話をしているのですが、ある日、お客様が僕にこう言いました。「夜中にラーメンが食べたくなったけど、あなたの顔が浮かんできたので思いとどまりました」その時に、僕は髪を切るだけの人ではないんだ。と思いました。美容室はただ髪を可愛くするだけのところであっては本当の美容室ではないと思いました。美容室は施術者による、その場の綺麗は大前提として正しい美容の知識をお教えしたり、お客様の美意識を刺激し続けて、通って頂くたびに、髪だけじゃなく、お客様自信がどんどん綺麗になるのが本当の美容室の存在意義だと思います。美容室やエステサロンを最大限活用しよう美意識は、お金では買えません。しかし美容にとっては、おそらく1番大切なこと。元気がない時や美容のモチベーションが上がらない時は、美容室に行って、髪と同時に心も綺麗になってくださいね。頻繁にサロンに行けない方や、どうしてもモチベーションが続かない方はコチラの美容の応援ブログをチェックしてみてください。一緒に頑張りましょう!
2018年03月06日アナログゲーム療育って何?出典 : クリスマスにお正月と、年末年始は家族や親戚で集まることも多い時期。みんなでゲームをして遊ぶ機会も多いのではないでしょうか。そんな季節にぴったりな、「アナログゲーム療育」をご紹介します。アナログゲーム療育は、療育アドバイザーであり、発達ナビでも記事を執筆する松本太一さんが提案している療育方法です。ゲームと聞くとテレビやゲーム機で遊ぶデジタルゲームを連想する方も多いかもしれませんが、アナログゲーム療育で用いるのはトランプなどのカードゲームや、すごろくなどのボードゲームです。アナログゲームがデジタルゲームと違う点は、自分たちでルールを守らなければいけないということです。デジタルゲームではゲームのプログラムによって、ルールに沿ったプレイしかできないようなつくりになっています。対して、アナログゲームではプレイヤー同士でルールを守りあう必要があります。この「ルールの守りあい」をすることが、子ども同士のコミュニケーション能力を伸ばすことに繋がるのです。アナログゲーム療育のメリットって?出典 : 学校の授業などは、指示をする先生と指示に従う子どもという上下関係、タテのつながりのなかで行われます。これによって大人との関わり方は学べても、友達同士などの対等な関わり方を学ぶ機会はなかなかありません。アナログゲーム療育では、ゲーム中のルールの守りあいを通して、友達同士のヨコのつながりや対等な関わり方を学ぶことができます。現代社会では、いろんな価値観を持った人々と互いに理解しあったり交渉する力が求められます。ですが、発達障害がある子どもの中には、相手の気持ちや集団の中のルールを察することが苦手な子どももいます。そんな場合も、アナログゲームなら、明文化されたゲームのルールを守りながら遊ぶことができ、集団の中でのコミュニケーションの機会を持てるので、対等な会話や交渉する経験を楽しく積むことができます。できる!を増やす、家族で遊べるアナログゲーム出典 : ここからは子どもの伸ばしたいスキルごとにいくつかおすすめのゲームをご紹介します。友達と遊ぶ前の段階として大人がリードして、ゲームを楽しむためのスキルを獲得していきましょう。ゲームをして遊ぶには、「勝ちと負けを理解する」「ルールを守る」ことが必要です。まずは勝ち負けが分かりやすくルールもシンプルなゲームを、大人と一緒にやってみましょう。◇スティッキーリングでスティックを束ねたタワーから、サイコロで出た色のスティックを引き抜き、タワーを倒してしまった人が負けです。勝ち負けが視覚的に分かりやすく、ルールも簡単です。まずは大人と一対一で遊んでみましょう。スティックをうまく引き抜けたときは大げさによろこび、タワーを倒してしまったときは大げさに残念がるアクションを大人が見せることで、子どもは勝ち負けを理解していきます。子どもがルールを理解できたらほかの大人や友達も誘って一緒にやってみることで、集団への参加もスムーズになります。なかなか友達の輪に入れなかったり、友達とゲームをすることに抵抗を感じる子どもにおすすめのゲームです。初めは遊んでいる様子を見てみることや、大人と二人で遊ぶことから初めてみましょう。ある程度ゲームに慣れてから友達や他の大人を誘うことで、集団で遊ぶことにチャレンジします。◇キャプテン・リノ配られたカードを積み上げて、崩した人が負けというゲームです。積み上げたカードの見た目のインパクトといつ崩れるかという緊張感は、見ているだけでもドキドキしてしまうほど。他の子どもたちがゲームを楽しみ、一喜一憂する様子や、ゲーム中の歓声を聞くことで、ゲームへ興味を感じやすくなります。ゲームに参加したがらない子は、まず見学してみることからはじめましょう。ほかの子が遊んでいる様子からゲームのルールを理解したり見通しを持つことができれば、子どもの安心感や興味に繋がります。参考:集団参加への勇気を取り戻すキャプテン・リノ|アナログゲーム療育のススメ◇禁断の砂漠プレイヤー全員で協力しながら、古代の砂漠都市を発掘して飛行機の部品を集め、脱出するゲームです。プレイヤー同士が競い合うのではなく、協力してクリアを目指すゲームなので、友達に負けてしまうことで癇癪を起こしやすい子にもおすすめです。また年齢の違う子どもたちで混ざってプレイすることで、年下の子をフォローしたり、年上の子に交じって活躍できたという成功体験を得る場にできます。大人が司会役をして、おとなしい子やほかの子のプレイに口を出したくなってしまう子どもをサポートし、参加する子どもたちが、平等に発言したり考える時間を持てるようにするのがポイントです。参考:協力して一つのゴールを目指す「禁断の砂漠」|アナログゲーム療育のススメ自分のターンを待ったり、ゲームの順位を理解したり、順番の概念はゲームに欠かせません。ゲームを通して数の概念を理解し、順番が分かるようになるという効果も期待できます。◇雲の上のユニコーン1から3までのサイコロを振って進む、すごろくのようなゲームです。特定のマスにとまったときにもらえる宝石の数で勝ち負けが決まります。「いくつ宝石がもらえるかな?」といった声掛けをして、サイコロの目に書いてある数の宝石を取らせることで、数の概念を身につけていくことができるのです。自分から発言したり話をすることが苦手な子に、ゲームを通して発語を促すこともできます。ゲームの中のコミュニケーションを通して、相手のことを考えたり自分を表現するコミュニケーションを学ぶことができるゲームを紹介します。◇かたろーぐカタログや一覧から好きなもののランキングをつくって当ててもらうゲームです。身近にあるチラシや本などなんでも題材にできるので、興味に偏りがある子どもでも楽しく遊ぶことができます。初めは子どもの好きなものを誰かに当ててもらって、楽しくなってきたらほかの子の好きなものをあててみることで、自分を理解してもらったり他人を理解しようとしたりする機会につながります。ゲームの後にどうしてそれが好きなのか、という会話をするのも楽しいですよ。かたろーぐ|すごろくや◇わたしはだあれ?まず、一人がほかの子に見えないようにカードを一枚引きます。残りのプレイヤーは、何のカードが引かれたのか、「はい」か「いいえ」で答えられる質問をすることで当てるゲームです。初めは質問をするのが難しいかもしれませんが、大人の質問をまねしてしているうちに、だんだん質問できるようになっていきます。答えを間違えてしまったときも「どんな質問をすれば分かったかな?」などの声掛けをして思考を促すことで、質問力が身についていきます。年齢別・子ども同士で遊びたいゲーム出典 : 暗黙の了解や明文化されないルールが多くある、子ども同士の集団遊びには入りにくい子は、ルールがはっきりしているアナログゲームを集団遊びの入り口にしてみましょう。ここでは子どもの年齢別に、おすすめのゲームを紹介します。勝敗や順位の概念を覚えることを目標に遊んでみましょう。勝ち負けが分かりやすく、ある程度運で決まるようなゲームがおすすめです。◇虹色のヘビヘビのあたま、胴体、しっぽの描かれたカードを一枚ずつめくって場に出し、色が合うようにつなげてヘビを完成させるゲームです。ヘビを完成させると自分のカードにできて、めくるカードがなくなるまでにいちばん多くカードを持っている人が勝ちです。色が鮮やかできれいなので、目で見る情報につよい視覚優位の子どもにおすすめです。◇坊主めくり百人一首の読み札を一枚ずつめくり、自分の札にしていきます。坊主を引いたら手札をすべて場におき、姫を引いたら場にあるカードをすべてもらえて、さらにもう一枚札を引けます。百人一首に親しむこともできる、お正月にぴったりのゲームです。「どちらがより有利か」などといった判断が求められるゲームに挑戦してみましょう。自分で考えて勝つことで、ゲームをより楽しめるようになっていきます。◇パカパカお馬道具を集めながら進むすごろくのようなゲームで、数字が書かれたものと道具の絵がかかれたものの2つのサイコロを振ります。出た目に応じた道具をもらうか駒を進めるかを選びながら、一番先に道具をすべてそろえてゴールした人が勝ちです。2つのサイコロの出目を見比べてより効率的な方を選ぶ、客観的思考を身に付けるきっかけになります。参考:客観的思考の芽生えを促す「パカパカお馬」|アナログゲーム療育のススメ◇カヤナック氷上の魚釣りをモチーフにした盤上で、サイコロに合わせて進んだり、穴をあけたり魚を釣ったりして、釣った魚に応じて与えられる得点を競うゲームです。氷の代わりにボードの下に敷いた紙に実際に穴をあける感覚や、磁石で魚代わりの小さな鉄球を釣る動作の楽しさが魅力です。相手の立場や意図を考えることは、実際の社会生活でも求められる重要なスキルです。相手の考えを読み取ったり、自分の役割を演じたりなど、より高度なコミュニケーションを求められるゲームに挑戦してみましょう。◇ディクシット抽象的な絵が描かれた手札から話し手となるプレイヤーが1枚をえらび、カードの絵を元にお話を語ります。そのお話に合うカードをほかのプレイヤーが手札から1枚ずつだして、シャッフルした中から話し手のカードを探し出すゲームです。「この人ならこんな表現をするはず」と推理することで、相手に対する理解が自然と深まっていきます。参考:互いの距離を縮める「dixit(ディクシット)」|アナログゲーム療育のススメ◇ワンナイト人狼村人の中に紛れ込んだ人狼を探し出す「人狼ゲーム」を短く手軽に遊べるようにしたものが「ワンナイト人狼」です。与えられた役割によって嘘をついたり見破ったりしなければならないので、より高度なコミュニケーション能力を伸ばす機会にできます。まとめ出典 : 家族や親戚で集まりやすく、屋内遊びが多くなる冬休みは、アナログゲーム療育のチャンスです。自分から集団に入っていくのが難しい子どもとは一対一で遊ぶことから初めて、そこに友達を巻き込んでいきます。勝ち負けが分からない子どもに対しては、大人が失敗や成功のリアクションを大きくして見せることで、少しずつ勝敗を学んでいけるようにします。子どもに合わせた小さな工夫で、ボードゲームやカードゲームのゲームを楽しみながら、療育をすることができます。この機会にぜひお気に入りのアナログゲームを見つけて、家族や友達と楽しく療育に取り組みましょう!
2017年12月22日