●遺伝子検査は一生に一度でOKハリウッドスターのアンジェリーナ・ジョリーさんが受けたことで一気に注目を集めることとなった遺伝子検査。アンジェリーナ・ジョリーさんは乳がんの遺伝子検査の結果、乳房切除手術を決断した。一方、日本国内へと目を向けると、ヤフーやディー・エヌ・エーでも一般向けの遺伝子検査サービスを開始し、話題となっている。筆者は1年半ほど前に出産を経験したアラフォーママだ。出産後、子どもへの愛情が増すにつれて、「子どものためにもいつまでも元気でいないと」という気持ちが強くなった。しかし、もともと体力には全く自信がなく、健康への不安は常に抱えていた。そんな時に知った遺伝子検査。「自分に何かしらのリスクがあるのなら、早めに対処したい」という気持ちから受けることにした。○遺伝子検査は"一生もの"今は唾液を郵送するだけで結果が送られてくる遺伝子検査もあるが、結果が悪かった場合、医師からしっかりとしたアドバイスを受けたいと思い、今回はクリニックで受けることにした。向かったのは東京・銀座にある「AACクリニック銀座」。同クリニックは、薄毛や抜け毛で悩む人向けの女性専門頭髪外来と、アンチエイジング外来があり、今回お世話になったのは後者。同クリニックの遺伝子検査は、生活習慣病の発症リスクを調べるためのもの。検査項目によって費用は異なるが、「肥満」「脂肪代謝」「脂肪代謝異常による動脈硬化」「その他の原因による動脈硬化」「高血圧」「血液凝固・血栓」「メタボリックシンドローム」「酸化ストレス症」「慢性腎臓病」「感染抵抗低下」「自己免疫・アレルギー」の11項目の場合、16万2,000円(税込)となる。正直「安い」とはいえないが、これで将来の発病リスクがわかるのなら受けてみる価値はある。それに、同クリニック院長・浜中聡子医師によると「遺伝子に変化はないので、遺伝子検査は一生に一度でいいのです」とのこと。「一生ものの検査」と考えれば、この金額も前向きに考えられるのではないだろうか。しかし、検査項目に「がん」がないのはなぜだろうか。浜中医師に聞くと、同クリニックではアンチエイジングドックやホルモンドックの検査項目として、乳がん・卵巣がんといった女性向けのものに加え、肝臓がん、すい臓がん、大腸がんの腫瘍マーカーも調べることができる。こういった検査の人気も高いのだが、生活習慣病に関する遺伝子検査を受けるメリットとしては、ハイリスクという結果が出たとしても対処の方法があるという点。今すぐに治療の必要がなくても、これからの生活習慣を改めることで発症リスクを低くすることが可能なのだ。そして、AAC生活習慣遺伝子検査を受ける場合、アンチエイジングドッグ(10万8,000円)の併用を勧めている。アンチエイジングドッグでは、「血管年齢検査」「骨年齢検査」「酸化ストレス度・抗酸化力測定」「筋肉・体脂肪量検査」「ホルモン量検査」を受け、身体の現状を把握する。そして遺伝子検査では、その名の通り遺伝子情報を知る。セットで実施することで、より深く自身の身体を知ることができるのだ。●「風邪をひきやすい人」と遺伝子的にも証明さて、いよいよ検査スタートだ。まず問診表を記入した後にカウンセリングを受け、医師による診察へ。そこで生活習慣や健康に関する悩みなどを伝え、必要があればAAC生活習慣遺伝子検査の他にもアンチエイジングドック等を実施。採血の他、前述の通り骨年齢検査や筋肉・体脂肪量検査などを受けていく(アンチエイジングドック併用の場合)。○「感染抵抗低下」の項目が突出結果は約1カ月~2カ月後に判明する。筆者は人間ドックなら何度か受けたことがあるが、遺伝子検査は初めて。大病こそないが、風邪は頻繁に引く。ひどい時だとひと冬に4、5回は風邪をひく。最近では子どもが風邪をひけば100%移る。この抵抗力のなさも何か悪い結果として出てくるのではないだろうか……。大きな不安を抱えながら再びクリニックへと向かう。浜中院長から受け取った検査結果を見ると……レーダーチャートの「感染抵抗低下」が飛び抜けている。健康な人ならほとんど感染しないようなウイルスや細菌に、人より感染しやすいらしい。「風邪をひきやすいということはありませんか」と浜中医師に聞かれ、「はい! 」と即答する。それも、この感染抵抗力の低さと関係しているのだという。なるほど……。しかし、抵抗力が日本人の平均より低いということは、何か重大な病気にかかりやすいということではないのだろうか。それに関しては、「高齢者を除くと、その心配はほとんどないですよ」とのこと。高齢になると抵抗力がなくなっていき、例えば肺炎を発症して命の危険につながることもあるというが、現在筆者は37歳。この年齢なら、命にかかわるような病気に人よりかかりやすいということはないのだという。ひとまず安心だ。他の項目を見ると、「酸化ストレス」も日本人の平均値より高く、抗酸化力が不足している状態とのことだ。これにより、早期の老化、慢性的な炎症などにつながる可能性が高くなるそうだ。それ以外の項目は、「メタボリックシンドローム」「糖尿病」「高血圧」「慢性腎臓病」「心筋梗塞」「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」といった項目で発症リスクは平均的か低めで、骨密度や筋肉バランス、動脈硬化度などの項目も心配するような結果ではなかった。浜中医師は、「病気の発症に遺伝子が起因するのは2~3割。あとの7~8割は生活習慣によるものです」という。今回は生活習慣遺伝子検査なので、ハイリスクという結果が出たとしても、生活習慣を見直すことで改善が可能だ(もちろん要治療レベルであれば、専門医を紹介してくれる)。○日々の生活に取り入れられる方法を私の場合は、抵抗力や抗酸化力を上げるためのアドバイスが浜中医師からあった。全身の筋肉量が少ないため、まずはこまめな運動が必要。「多忙な人は、ジョギングや水泳をしようと思っても長続きしませんよね。エレベーターを使っていたところ階段にする、といった小さな積み重ねが有効ですよ」とのこと。また、「とにかく風邪をひきたくない! 」という私の要望には、「即効性を求めるなら高濃度ビタミンC点滴ですね。高い抗酸化作用で免疫力の強化も期待できます」。さらに続けて、「おなかの調子はいかがですか? 」と聞かれ「過敏性腸症候群です」と答える。実は、腸の働きが悪いと抗酸化成分を腸が吸収できず、抗酸化力が低下するのだという。これに関しては、「納豆を摂取したり、整腸剤を試してみてはいかがでしょう」とのアドバイス。また「水分はしっかり摂取できていますか」とも聞かれ、こちらも「いえ、あまり……。オフィスのトイレが遠くて、行くのが億劫なので……」。水分は、こまめにとることで代謝がアップするのだという。こちらも今日から見直すとしよう。日常の中で取り組める具体的なアドバイスをたくさんいただいた。帰り道、早速整腸剤を買った。そして、実は検査結果を聞いた1週間後、秋に入ってもう3度目になる風邪をひいたことから、AACクリニック銀座に高濃度ビタミンC点滴を受けに来た。ビタミンC15g配合で1万800円(初診料、検査費別)。診察と検査、点滴で所要時間は90分ほどだ。あくまでも私個人の場合だが、いつもは風邪薬を飲まなければ1カ月ほどは引きずる風邪が、今回は服薬しなくても3日後には完治。その後のハードな仕事もらくらく乗り切れた。定期的に高濃度ビタミンC点滴をしていきたいと考えている。また、出社時には9階にあるオフィスまでエレベーターを使わず階段でのぼるようにもした。日ごろ運動をしていないので、2回ほど休憩を入れないとのぼりきれない情けない状況なのだが、今回の検査結果を受けて日々の生活に少し運動を取り入れられた。子どもはまだ1歳。これから子どもと一緒に元気に生活するために受けた今回の検査、生活によい影響を与えられていると思う。食生活も徐々に改善しながら、健康維持に取り組んでいきたい。
2014年12月11日ノーリツ鋼機グループのNKメディコとサインポストは12月10日、遺伝子検査ビジネスで提携し、サインポストの遺伝子検査サービスをNKメディコが販売すると発表した。この遺伝子検査は肥満、高血圧、動脈硬化など生活習慣病と関連性の高い14分野の遺伝子を分析し、遺伝的な体質リスクを評価するというもの。同サービスでは遺伝的な体質リスクを踏まえ、受診者ごとに推奨されるライフスタイルや栄養素を提案する。同サービスは、全国の医療施設、検診・人間ドック施設などに向けて販売される予定で、受診したい場合は、医療機関にて申し込むこととなる。また、保険適用外の自由診療となり、医療機関によってコースや料金が異なるため、詳しく知りたい場合は各医療機関に問い合わせる必要がある。
2014年12月11日順天堂大学の服部信孝教授、今居譲先任准教授らの研究グループはこのほど、若年性遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子として知られているPINK1(ピンクワン)が、同じく原因遺伝子として知られるParkin(パーキン)をすばやく不良ミトコンドリアへ呼び寄せ、効率よく分解する仕組みを持つことを明らかにした。同研究結果は、科学雑誌『PLoS Genetics』に発表されている。若年性遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子としては、同病気を発症する家系の解析からPINK1遺伝子とParkin遺伝子の2つが見つかっていた。これらの遺伝子に傷がつき正常に機能しない場合には、不良ミトコンドリア(※1)が蓄積することで中脳ドーパミン神経(※2)の変性が生じ、パーキンソン病になると考えられているという。そこで同研究所を含む複数の研究グループは、不良ミトコンドリアが生じるとPINK1とParkin(※3)が共にそれを感知し除去することを明らかにした。その分子メカニズムでは、PINK1がParkinにリン酸を付加(リン酸化)すると、Parkinにスイッチが入りミトコンドリアの分解に働くが、Parkinのリン酸化だけでは、なぜか効率よくミトコンドリアが除去されなかった。同研究所はこのことから、ParkinとPINK1の働きには未解明のメカニズムがあるはずだと考え今回の研究を行ったという。PINK1は、リン酸化する酵素(キナーゼ)でParkinをリン酸化することで活性化のスイッチを入れるという(※4)。同研究所が6月に発表した「ショウジョウバエ分子遺伝学による研究」から、PINK1によってリン酸化されるタンパク質がParkin以外にもあることが想定されており、京都大学の石濱泰教授との共同研究によりPINK1がリン酸化する新たなターゲットとなるタンパク質を探索し、ユビキチンを同定した。ユビキチンはタンパク質に鎖状に付加(ポリユビキチン化)されることによりタンパク質の分解シグナルとなる特殊なタンパク質だが、PINK1はユビキチンだけでなくポリユビキチン鎖をもリン酸化することがわかったという。さらに、ミトコンドリア上にリン酸化ポリユビキチン鎖を形成させると、それを目印にParkinが呼び寄せられ、リン酸化ユビキチンやリン酸化ポリユビキチン鎖でParkinの2つ目のスイッチが入ることを明らかに。つまり、PINK1とParkinが協業でミトコンドリア上にリン酸化ポリユビキチン鎖を形成することにより、すばやく残りのParkinが呼び寄せられスイッチが入るという、効率の良い不良ミトコンドリア除去の仕組みを発見したとのこと。今回の発見に基づき、ミトコンドリアにリン酸化ポリユビキチン鎖を人工的に付加することを試みた結果、パーキンソン病モデルショウジョウバエのミトコンドリアの変性を改善させることに成功したという。同研究所は、「今後は、PINK1やParkinと同じような作用をしタンパク質のスイッチを操作する人工的な方法を開発し、不良ミトコンドリアの除去によるパーキンソン病の効果的な早期予防に向けて、さらなる研究をしていく予定です」とコメントしている。※1 ミトコンドリア細胞の活動に必要なエネルギー(ATP)を作る細胞小器官。不良ミトコンドリアとは、損傷をうけて機能が低下した状態のミトコンドリアを示す。この器官の損傷や老化が進むと、酸化ストレスの原因となる活性酸素種が器官内部から漏えいする。※2 中脳ドーパミン神経パーキンソン病において神経変性が起こる神経。この神経が変性するとパーキンソン病で見られる運動機能障害(手足の震え、筋肉の硬直、姿勢制御の障害など)が起こる。※3 PINK1、ParkinPINK1遺伝子、Parkin遺伝子から作られるタンパク質は、それぞれ同名のPINK1、Parkinと名付けられている。ここでは、遺伝子はPINK1遺伝子、Parkin遺伝子/タンパク質はPINK1、Parkinと表記する。※4 Parkinの働きParkinは、ユビキチンというタグをタンパク質に付加する酵素(ユビキチンリガーゼ)であり、ユビキチンを付加されたタンパク質は分解や輸送などさまざまな制御を受ける。
2014年12月10日ディー・エヌ・エーの子会社、DeNAライフサイエンスはこのほど、「遺伝子検査」に関する調査の結果を公表した。同調査は、同社と東京大学医科学研究所との共同研究で、8月より遺伝子検査サービスの提供を開始し約3カ月が経過したことに伴い行った。調査は、全国の20代から70代の一般の男女を対象に10月、ディー・エヌ・エーが主体となり実施。1,200人の有効回答を得た。○知りたいことは三大疾病のリスク遺伝子検査の認知率は、6月実施の調査から12.7%アップして、100%に到達した。「遺伝子検査を受けてみたい」(32.5%)が、「受けてみたいと思わない」(23.8%)を上回る結果となった。一方で「今はわからない」(43.7%)が最も多い回答だった。「受けてみたい」と回答した世代別ランキングでは、1位が「20代」で50.5%となった。以下、2位が「30代」(49.0%)、3位は「50代」(30.5%)となった。遺伝子検査商品を選択する際に重視する上位項目は、「公的な研究機関が行っている」(63.5%)、「有名な検査機関が行っている」(56.7%)、「アフターケアが充実している」(52.6%)と、6月実施の調査と変わらない結果となった。遺伝子検査で知りたいことは、「病気のリスク」という回答が、「体質」関連の項目を大きく上回った。また、遺伝子検査で三大疾病のリスクを知りたくないと感じているのは、6.3%という回答になった。一般消費者は遺伝子検査で病気のリスクを「知りたい」という意識が、「知りたくない」を大きく上回っていることがわかったという。女優のアンジェリーナ・ジョリーが、遺伝子検査を受けて乳房を予防切除したことを知っている人は79.1%。遺伝子検査に関する知識のレベルに関する質問では、「ない」(21.7%)、「あまりない」(60.2%)という結果となった。多くの人が遺伝子検査に関する知識は自信がない、ということが浮き彫りになったという。
2014年11月25日慢性炎症と長寿遺伝子サーチュイン(SIRT1)の関係が明らかに2014年11月12日、東京医科歯科大学の研究グループは、ハーバード大学マサチューセッツ総合病院との共同研究で、老化に伴って起こる病気が発症する原因が、SIRT1の S-ニトロソ化による活性低下によることを発見したと発表した。研究成果は、Science Signalingに、2014年11月11日からオンライン版で公開されています。老化と高齢に従って増加する疾患の原因糖尿病やアルツハイマ-型認知症やパーキンソン病といった神経変性疾患、筋肉量の減少(サルコペニア)および老化過程そのものに慢性炎症が関与している。慢性炎症がなぜ病気を引き起こすかあるいは年齢により慢性炎症が起こる仕組みは不明。今回の研究研究グループはS-ニトロソ化が老化に伴って起こる生体変化の共通の仕組みであることを明らかにした。研究はモデル動物と培養細胞を用いて、急性炎症や慢性炎症によりSIRT1の働きが弱くなり、炎症や細胞死が起こりやすくなることを観察。炎症によって増加したSIRT1のS-ニトロソ化を、薬剤あるいは遺伝子操作によって減少させることにより、SRIT1の活性が復活し、炎症を部分的に抑制することを明らかにした。本研究の意義SIRT1の活性がS-ニトロソ化によって低下することが老化や老化に伴う病気の原因である可能性を見いだした。SIRT1のS-ニトロソ化は可逆的であることから、レスベラトロールを摂取したり、カロリー制限をしたりするSIRT1量を増やす方法では効果を示すことができないと研究グループは述べている。SIRT1のS-ニトロソ化を特異的に阻害する方法が、老化に伴う新規治療薬あるいは治療方法となる可能性があり、老化に対しても効果を発揮する可能性があるとのこと。(画像はプレスリリースより)【参考】・東京医科歯科大学プレスリリース・発表文献
2014年11月16日睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンは、海外では健康食品もあるほどですが、実は身近な食品からも摂取できるって知ってましたか?また、実は朝の散歩もメラトニンの分泌を促すそうです。今回は、聖マリアンナ医科大学麻酔学教室講師・内田和秀先生のお話を紹介します!カイワレダイコンなど野菜類に多くのメラトニンが!メラトニンの健康食品は、安全で自然な睡眠が得られることで、米国でブームになりました。しかし、中毒患者が新聞報道されるなど、安全性が疑問視されています。そこで、錠剤の服用に不安を感じる人におすすめしたいのが、食品からメラトニンをとる方法です。メラトニンを多く含むのはカイワレダイコンやシュンギク、アシタバなどの野菜だといいます。とはいえ、メラトニンを多く含む食品も、錠剤と比較するとメラトニン含有量はきわめて微量で、多量に食べたとしても効果はなかなか期待できません。メラトニンの前駆体、トリプトファンを含む食品ならたくさんあり!そこで、メラトニンを食べなくても代用できる方法があります。それは、メラトニン生合成の前駆物質、すなわち私たちの体内で、日常メラトニンがつくられるときの「材料」であるトリプトファンを食品から摂取する方法です。メラトニンに比べて多量に食品に含まれています。しかも、トリプトファンを摂取することにより、体内のメラトニン量が増加することが、実験で証明されているそうです。トリプトファンとは、必須アミノ酸の1つ。トリプトファンを比較的多く含む食品には、ふ、クルミ、ゴマ、落花生、ゆば、カジキ、カツオ、カツオ節、サンマ、タラコ、ブリ、トリレバー、チーズ、ノリ、ココアなどがあります。これらも、普段の食生活に取り入れることはそんなに難しくなさそうです。快眠のためにバランスの良い食生活を心がけましょう。午前中の散歩は夜間のメラトニン分泌を促す食品以外で快眠に有効な方法が、午前中の散歩です。午前中の散歩は、体内のメラトニン分泌に影響を及ぼします。なぜなら、午前中に散歩して太陽にあたると、目の網膜から神経連絡された信号が、メラトニンの合成器官である脳の「松果体」に運ばれ、メラトニン合成を強く抑制するからです。これにより、日中のメラトニン分泌が低下し、夜間のメラトニン分泌が上昇します。一部のホテルなどで時差ボケ対策として用いられている光療法は、この原理に基づくものです。なお、夜間、入眠直前まで強い光にあたるのは、メラトニンの分泌を低下させる原因になりますから、寝室は暗くしておくのが良いでしょう。散歩の効用は、メラトニン分泌の抑制のみならず、適度な運動の確保と食欲増進にも貢献し、しかも気分転換といった精神的効果も期待できるので、ぜひ日常生活に取り入れましょう。Photo by Francisco Osorio
2014年11月08日農業生物資源研究所(生物研)、九州大学および名古屋大学は10月30日、イネにとって害虫であるトビイロウンカに対するイネの抵抗遺伝子を特定することに成功したと発表した。同成果は英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。トビイロウンカはイネの害虫の一つで、梅雨期に中国南東部などから日本に飛来して増殖し、甚大な被害をもたらしている。近年、殺虫剤が効きにくいトビイロウンカが出現したため、被害が深刻化しており、新たな薬剤、またはトビイロウンカに抵抗性を示すイネの品種開発が必要となっている。また、国内で栽培されている一般的な日本型イネ品種は、トビイロウンカ抵抗性を持たず、抵抗性遺伝子をもつインドやスリランカなどの品種と交配して単一の抵抗性遺伝子を導入した栽培イネが育成され、東南アジアで利用されている。しかし、このイネにも害を与えるトビイロウンカが出現したため、さまざまな加害性を示すトビイロウンカに対応した抵抗遺伝子を持つイネ品種の開発が望まれている。これまでの研究で、インドのイネ品種が持つ「BPH25」と「BPH26」という2つの遺伝子が同時に存在すると、現在問題となっている加害性バイオタイプのトビイロウンカにも抵抗性を示すことがわかっている。今回の研究で、「BPH26」遺伝子を導入したイネでは、トビイロウンカが針のような口をイネの師管(栄養分を輸送する組織)まで挿入するものの、師管液を吸汁できず、餓死することが判明した。研究チームは「BPH26」の染色体上の位置を特定し、育種に有用なDNAマーカーの開発にも成功。「BPH25」のDNAマーカーも作成されつつあり、これら2つの遺伝子の DNA マーカーを用いて、日本に飛来するトビイロウンカに対して幅広い抵抗性を示すイネの開発が、今後2~3年中に開始できる見込みだという。
2014年10月30日凸版印刷は10月23日、組織標本から全自動でがん遺伝子の変異型の検出を行う小型全自動遺伝子解析システムを開発したと発表した。現在、抗がん剤の効果予測などのために、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルからがんの遺伝子変異の検出が行われているが、DNAを分離し取り出す操作が、非常に煩雑であるとともに、劇物薬品の取り扱いも必要となるため、熟練した技術が要求され、検査センターや一部の病院検査室で行われている。今回、同社は、理化学研究所、理研ジェネシスと共同開発してきた全自動小型遺伝子型解析システムを応用し、FFPEサンプルから、がん組織細胞の遺伝子変異を全自動で検出するシステムを開発した。これにより、検査工程の大幅な簡易化を実現し、検査時間を従来方法の約4分の1となる、約2時間に短縮することができるという。また、10月下旬からがん研究会有明病院と共同で、臨床検体を用いた本解析システムの実証試験を実施する予定だ。同社は「今後も臨床現場でのニーズが高まっている解析困難な遺伝子検査、たとえば、血清中に存在する極微量のがん遺伝子の変異を検出できる全自動解析システムの研究開発にも着手していく」とコメントしている。
2014年10月23日理化学研究所(理研)は10月21日、無汗症患者の原因遺伝子を発見したと発表した。同研究成果は理研脳科学総合研究センター 発生神経生物研究チームの御子柴 克彦チームリーダー、久恒智博 研究員とスウェーデンのウプサラ大学との共同研究グループによるもの。10月21日付け(現地時間)の米科学雑誌「The Journal of Clinical Investigation」オンライン版に掲載される予定。人間は汗をかいて体温を調節するが、汗をかくことができないと熱中症やめまいを発症しやすく、重症化すると意識障害やけいれんなどを起こすことがある。このような無汗症の原因として、これまでに汗腺の形成不全や交感神経の異常などが報告されているが、その他の原因は明らかになっていなかった。同研究チームは、パキスタンで先天性無汗症を発症する家系を発見。この先天性無汗症患者は、汗腺の形成不全や交感神経の異常が見られず、発汗の異常以外は健常者と変わらなかった。また、家族全員には症状が出ていないことから、この先天性無汗症の原因遺伝子は常染色体劣性遺伝子であると推測された。そこで近親婚家系のDNAサンプルを用いてさらに詳しく解析を行ったところ、細胞内のカルシウム濃度に関わる「2型IP3受容体」の発現する遺伝子のDNA配列に変異があることが判明。その患者においては細胞外の刺激に応じてカルシウムイオンを放出する機能が完全に欠落していたという。また、マウスを使った実験を行い、「2型IP3受容体」を欠損したマウスでは、汗腺の細胞内カルシウム量が低下し、汗の分泌量が減少することが確認された。これらの発見から、ヒトやマウスで「2型IP3受容体」が発汗に重要な機能を果たしていると結論付けられた。同研究チームによると、今回の研究成果は無汗症だけでなく、多汗症の治療法確立にもつながることが期待されるという。
2014年10月21日エバージーンは、がんや生活習慣病、体質などに関係する遺伝子を解析してスマートフォンやPCなどで結果を知らせる遺伝子解析サービス「ディアジーン」の「がん遺伝子解析サービス」に、7種類の体質に関する解析項目を追加した。「ディアジーン」は自宅で手軽に実施できる、がん遺伝子解析サービス。Webサイト上で解析キットを購入し、採取容器に少量の唾液を入れて返送するだけで解析結果が閲覧できる。がんのほかに生活習慣病、体質などの遺伝子を解析することも可能。価格は9,800円(税込)。今年4月に提供が開始されたディアジーンのがん遺伝子解析サービスに、新たに7種類の体質に関する解析を追加された。これにより価格は据え置きのまま、がん8種類と合わせ計15項目の解析が可能になる。また、11種類の生活習慣病をプラスし計26項目の解析ができる「がん+生活習慣病 遺伝子解析サービス」も用意。こちらの価格は19,800円(税込)となる。なお同社では、すでに解析キットを購入済のユーザーで、今回の追加項目の解析を希望するユーザーを対象に、追加料金および検体の発送なしで結果を通知するとしている。同サービスの詳細は、「ディアジーン」のWebサイトで確認可能。同社は、今後も解析項目の追加など価値向上を図り、「多くの人々の生活習慣の見直しや、健康意識を高めるきっかけに役立つサービスの提供を目指す」としている。
2014年10月14日(画像はプレスリリースより)顔のたるみのケアをしている?『遺伝子と肌の老化』に関連する役立つ調査結果!株式会社ドクターシーラボは『遺伝子と肌の老化』の関連性について調査を実施した。調査の方法はウェブアンケート方式で、360名の女性が調査の対象になった。最初に『自身のフェイスのたるみを感じているか?』の質問について、8割以上の人が【感じている】と答えた。次いで【感じている】と回答した人を対象として、『積極的に、フェイスのたるみケアを実施しているか?』の問いでは【実施している】を選んだ人はおよそ7%で、【まあまあ実施している】が約29%である。一方で【実施していない】は6割以上だった。シッカリとフェイスのたるみケアを実施しているのに、効果を感じられない理由は?さらに『キチンとフェイスのたるみケアを実施しているのに、効果が見られないと感じたことはあるか?』の質問では、88%以上の人が【ある】と答えている。そして“効果を感じられない”理由について、【ケアの努力不足】【スキンケアが自分に適していない】【キチンとケアは実施しているが、ストレスを感じている】【上質のスキンケアを用いていない】などがランクインされた。さらに『自身の肌質は、遺伝子に関係している部分があると思うか?』と質問したところ、全体の約9割の人が関係していると思っているようだ。また85%以上の人が、肌老化に関連する遺伝子を調べる“検査キット”があることを知らないことが判明した。シワやたるみなどの、肌老化の原因は?ドクターシーラボは調査結果とともに、シワやたるみの要因は素肌ケアによる環境的および日々の生活環境のほかに、「肌老化遺伝子」(肌質)も要因の一つだと述べている。そして“遺伝子レベルでの、たるみケア”を考慮する場合に実施すべきことについて【美容成分を見直す】【外的および内的原因の解決】【プロビタミンC】など、あわせて4つをあげている。肌のたるみを気にしている人は、このような調査結果を参考にして、肌のたるみの原因を研究してみては。【参考】・株式会社ドクターシーラボ プレスリリース
2014年10月04日理化学研究所(理研)は9月12日、ヒトの頭皮から採取した毛根の細胞に、ヒトの脳の細胞と共通する遺伝子が発現していることを発見し、これらの遺伝子の発現量の変化が、統合失調症や自閉症などの精神疾患の早期診断を補助する指標となる可能性を示したと発表した。この成果は理研脳科学総合研究センター 分子精神科学研究チームの前川素子 研究員、同 吉川武男 チームリーダー、東京都医学総合研究所、浜松医科大学、山口大学、慶応義塾大学からなる共同研究グループによるもので、米科学雑誌「Biological Psychiatry」のオンライン版に掲載された。統合失調症や自閉症などの精神疾患では、遺伝子の発現状態を含めて脳に何らかの変調が生じることが原因と考えられている。しかし、脳の一部を採取することはできないため、現在の診断は患者の行動や体験、家族の情報などに基づくところが大きく、客観的な「生物学的診断ツール」がないため、精神疾患の早期診断を補助する「バイオマーカー」の開発が待たれていた。同研究グループは、脳の細胞と同じ外胚葉由来であり、サンプルの採取が容易な頭皮の毛根細胞に着目。解析の結果、脳だけで発現していると考えられていた遺伝子の多くが、毛根細胞でも発現していることを見いだし、毛根細胞が脳内の遺伝子発現の状態を反映している可能性を突き止めた。さらに詳しく調査した結果、統合失調症の人では脂肪酸結合タンパク質(FABP)の1つであるFABP4をつくる「FABP4遺伝子」の発現量が対照群に比べ約40%低下し、自閉症の方の毛根細胞では神経系の細胞同士の結合に関与する「CNTNAP2遺伝子」の発現が低下していることが判明した。毛根細胞は血液と比べて外部からの刺激や体の状態に影響されにくく、採取も簡単なため、生きた脳の状態を反映している可能性のある、簡便なバイオマーカー診断法の基盤となる可能性が高い。同研究グループは、今後この方法で疾患の発症をどこまでさかのぼれるかを検証することにより、精神疾患の予防法開発や早期治療導入の判定、さらに新しい角度からの創薬のヒントを提供できる可能性があると考えているという。
2014年09月16日「遺伝子組み換えではない」の表記。スーパーで加工品を買う時によく見かけます。でも「遺伝子組み換え」という表記は見かけませんよね。実際私達の食卓に、遺伝子組み換え食品は、届いているのでしょうか。■え? 実はもう食べている?遺伝子組み換え作物とは、生物の細胞から有用な遺伝子をとりだし、他の生物の細胞に導入する、遺伝子組換え技術によってできた作物のことで、これらを使用した食品のことを遺伝子組換え食品といいます。国際アグリバイオ事業団(ISAAA)の報告によると、2013年時点で、遺伝子組み換え作物を商業栽培している国は、19カ国の開発途上国、8カ国の先進工業国の、合計27カ国だとのこと。日本は栽培こそしていませんが、実はなんと遺伝子組み換え作物の輸入大国なのです。食品添加物とは違い、目にはみえないからこそ、自覚なく体に入れてしまっているであろう、遺伝子組み換え食品。今の時代、目に見えない脅威が増えすぎて、かえって麻痺をしてしまっているかもしれません。■そもそも私達は、遺伝子組み換え食品を食べているの?実は思っている以上に生活に浸透しているのが現状です。アメリカでは、スーパーマーケットに陳列された加工食品のうち、約70~80%が遺伝子組み換え食品といわれています。特に、豆やトウモロコシを使用した食品の約90%は、遺伝子組み換えなのだそう。そして、そんなアメリカを超えるレベルで家庭に浸透している国がなんと日本なのです。■トウモロコシが危ない現在日本に輸入が許可されている遺伝子組換え作物は、まず代表的なものとして、大豆・トウモロコシ・菜種、そしてさらに、綿実・ジャガイモ・アルファルファ・テンサイと、計7種類。日本では遺伝子組み換え品使用の表示が義務付けられてる食品はわずか30種類ほどだけで、他の食品には一切表示されることがないのです。例えば油や醤油などもそう。表示だけでは、使われていることさえ知ることができないのです。また、豆腐・納豆などに「遺伝子組み換えでない」と表示されているものも、実際には5%までの混入が認められています。また私達が口にする遺伝子組み換え作物として圧倒的に多いのは、トウモロコシ。そのルートの1つは、牛肉、豚肉、鶏肉、そして牛乳などの乳製品です。なぜなら、家畜の餌はほとんどを輸入に頼っており、海外産の遺伝子組み換えのトウモロコシを食べて育った家畜から作られたものが非常に多いからです。しかし、「この牛は遺伝子組み換え農作物を食べて育ちました」とは残念ながら書いておらず、それに気づくこともない人の方が圧倒的に多いでしょう。またジュースなどに含まれている、ブドウ糖果糖液糖などの異性化糖の材料であるトウモロコシは90%以上がアメリカ産のトウモロコシからできたコーンスターチが原料です。そうなると、お菓子やジュースなど子供が食すものにも意識を高くもつ必要があります。■原子力と遺伝子組み換えの共通点とは…動物実験によって、発がん性やホルモン異常など、有害だと結論づける研究結果も発表されています。フランスのカーン大学教授であるジル・エリック・セラリーニさんは、遺伝子組み換えトウモロコシのラットに対する毒性を発表した教授なのですが、彼は次のように述べています。原子力と遺伝子組み換えという2つのテクノロジーには、3つの共通点がある。その一つとは、二度と後戻りができないこと。その二つは世界中に拡散してしまったこと、その三つは、体内に蓄積されやすいこと。すでにここまで世界中に広まってしまった2つのテクノロジー。自然に背いたこの技術が私達の未来にどう影響を与えるのでしょうか。まずは現状を知り、今起きている問題について興味をもつということから始めてみてはいかがでしょうか。
2014年08月31日農業・食品産業技術総合研究機構・花き研究所と鹿児島大学は7月2日、アサガオの花の寿命を調節する遺伝子を発見したことを発表した。植物には、エチレンが花弁の老化を早める働きを持っている種類とエチレンが花弁の老化の調節に関係しない種類がある。そのため、エチレンによる調節とは別に、開花後の時間経過に伴って花弁の老化を制御する仕組みがあると考えられていた。そこで両者は、短命の花として代表的であるとともに、エチレンの影響を受けにくいアサガオ品種「紫」を用いて、時間経過に伴う花弁の老化を制御する遺伝子とその機能を明らかにした。研究の結果、EPHEMERAL1遺伝子がNAC転写因子をコードしており、細胞の死に関わると考えられている遺伝子の発現を調節していることがわかった。EPHEMERAL1遺伝子の発現を抑制した組換え体では、花弁がしおれ始めるまでの時間が約2倍に延長し、組換え体では、栽培室内で2日目の朝(開花後約24時間目)まで花が咲いていた。実験に用いたアサガオの品種「紫」の花は、開花後時間が経つにつれて赤色に変化するため、2日目の朝には前日に咲いた花(赤色)と当日に咲いた花(紫色)が同時に観察された。今後、花の老化を調節する仕組みの解明が加速し、現在流通に困難を伴う切り花の品質を保持する新技術の開発に繋がることが期待される。
2014年07月03日(画像はプレスリリースより)ダイアナから新ダイエット食品ダイエットをする上で、食事はとても大切です。でも美味しくないダイエット食品では続かないことがほとんど……。そんな悩みを解決してくれる新商品が発売されます。5月15日、プロポーションづくりで定評のあるダイアナは、新商品「ナインニュートクリームシチュー味」を発売すると発表しました。本商品はモンドセレクションの「ダイエットならび健康製品カテゴリー」において優秀品質銀賞を受賞したとのこと。味とダイエット機能が両立した、今までにないダイエット食品が登場しました。ナインニュートクリームシチュー味ダイアナが掲げるプロポーションづくりのコンセプトのひとつが「継続は命」。本商品の味はモンドセレクションのお墨付き。クリーミーでコクのある旨みは審査員であるミシュランスターシェフ達の舌をもうならせる美味しさです。また、しっかりした味わいに仕上がっているため、主食を食べることなく満足でき、自然と長く続けられます。また、本商品はタンパク質の他9品目もの食材が含まれており、機能食品としても優れています。世界が認めた「ナインニュートクリームシチュー味」。ダイエットに悩んでいるのなら、こちらの商品を手に取ってみてはいかがでしょうか。【参考】・ダイアナ プレスリリース
2014年05月17日北海道大学(北大)は2月6日、クワガタムシのオス/メスの性別を決定するために必要な遺伝子の同定に成功したと発表した。同成果は、同大の後藤寛貴氏、宮川一志氏、三浦徹 准教授、石川麻乃氏、石川由希氏、杉目康広氏、ワシントン州立大学のLaura C. Lavine氏、モンタナ大学のDouglas J. Emlen氏らによるもの。詳細は「PLoS Genetics」に掲載された。生物の中にはオスとメスで大きく異なった姿をしている種類が多く存在しているが、なぜそうした差が発生しているのかはよくわかっていなかった。そこで今回研究グループは、オスは大きな「ハサミ」と呼ばれる一対の大顎を持つが、メスではそうした大顎の発達が見られないクワガタムシに着目。その性決定遺伝子の1つである「doublesex (dsx)遺伝子」に注目し研究を行ったという。具体的には、これまでの研究からクワガタムシでは幼若ホルモン(juvenile hormone:JH)がオスの大顎発達を引き起こすことが報告されていたことを受け、性決定遺伝子が大顎のJH応答性制御を通して、雌雄の大顎発達の違いを生じさせているという仮説を立て、材料として用いた「メタリフェルホソアクワガタ(Cyclommatus metallifer)」より、dsx遺伝子を単離し、配列の同定を実行。その後、RNA干渉(RNAi)法を用いてdsxの機能阻害を行い、その機能を解析したほか、dsxの機能阻害とJH処理を組みあわせた実験を行い、dsxの機能阻害で大顎のJH応答性が変化するかの調査を行ったという。配列同定と発現解析の結果、同クワガタではdsxは少なくとも4種類の異なるタンパク質へと翻訳されることが判明し、そのうち2つは主にオスで作られ、残りの2つは主にメスで作られることも確認されたとのことで、これにより、性特異的に作られるオス型とメス型のdsxタンパクは、それぞれオスへの分化とメスへの分化を促進することが示されたとする。また、幼虫の期間中(成虫の形態が形成される前)にRNAiによりdsxの機能阻害を行ったところ、dsxの機能を抑制した個体では、オスでもメスでも、雌雄の中間的な特徴を持つ成虫になることも確認された。さらに、dsxの機能阻害とJH処理を組み合わせた実験として、dsxの機能阻害を行っていない場合では、オスではJH処理により大顎の過剰発達が引き起こされたが、メスでは大顎サイズに変化はないことを確認したほか、dsxを機能阻害した場合では、オスでもメスでもJH処理により大顎の発達が引き起こされることも確認。この結果から、dsxが働かない状態ではオスでもメスでも大顎はJHに応答して発達を起こすことが示され、メスで発現するメス型dsxに大顎のJH応答性を抑制する働きがあることが示唆された。今回の成果について研究グループでは、「性決定遺伝子が大顎のJH応答性制御を通して、雌雄の大顎発達の違いを生じさせている」という仮説を支持するものであり、性決定遺伝子とホルモン経路の関係についてのこの新たな知見により、さまざまな昆虫で雌雄間の形態差を生じさせる発生メカニズムに関する研究が進むことが期待されるようになるとコメントしている。
2014年02月07日※画像は、本田朋子オフィシャルブログよりアスリートの食事の参考にもフリーアナウンサーの本田朋子さんが、オフィシャルブログで体質遺伝子検査をした事を報告している。自分の体質を知る事で、食事や栄養の摂り方の注意するポイントがわかり、さらに管理栄養士のアドバイスも貰う事が出来たと言う。本田朋子さんは、フジテレビのアナウンサーとして人気を得ていたが、男子プロバスケットボールの五十嵐圭さんとの結婚を機に退社。現在はフリーで仕事をしながら、五十嵐さんの拠点である名古屋で生活をしている。今回の体質遺伝子検査を受けたのも、プロのアスリートであるご主人のサポートの為の意味合いもあったようだ。太りやすい、太りづらい、筋肉がつきづらい、脂質の代謝が苦手な為脂っこい食べ物の食べ過ぎに注意、など、それぞれの人の体質を遺伝子レベルで解説してくれる。体質に合ったダイエット法を知る事も可能遺伝子検査、と聞くと抵抗を感じる人もいるだろう。しかし、自宅にいながら綿棒で口腔内の細胞をとり、郵送するだけで結果が届くと言う簡単さもあり、最近は利用する人が増えた。かかるリスクが高い病気を調べたり、自分のルーツを調べたりと、項目は多岐に亘る。本田さんが受けた体質遺伝子検査では、食事のとり方や体質に合った食材を教えてくれているようだ。自分の思っている体質と実際の体質が違う事もある。身体に合った食事を知る為に、検査を受けてみるのも面白いだろう。【参考リンク】▼本田朋子オフィシャルブログ
2014年02月06日誰しもが避けて通ることのできない老化現象。でも、実際の年齢より若く見える人や、老けて見える人がいるのは事実です。見た目に違いが現れてしまうのは、“長寿遺伝子”によるものかもしれないという研究がすすめられ、今、注目を集めています。■若々しさの鍵を握るのは長寿遺伝子!? 長寿遺伝子は、サーチュイン遺伝子とも呼び、さまざまな実験データーから、体の代謝や老化、寿命などに関わるメカニズムに作用すると考えられています。老化以外にも、アルツハイマーなどの神経疾患や、動脈硬化、心不全、肥満などの研究結果も判明しています。長寿遺伝子は、年齢や性別に関係なく、誰の体にも存在しますが、遺伝子にはスイッチがあり、オン(活性化された状態)にしていないと効果が発揮されません。■長寿遺伝子のスイッチをオンにする方法! 長寿遺伝子のスイッチをオンにするには、いくつかの方法がありますが、一番手っ取り早い方法は、朝から夕方まで何も食べないこと。6時間以上何も食べない状態であれば、長寿遺伝子はオンになると考えられています。ただ、ずっとそんな生活を続けるのは難しいので、毎日継続するためには、日々のカロリーを制限することが効果的です。その他には、適度な運動や、抗酸化物質を含む食材を毎日の食事に取り入れることも重要だと考えられています。ただし、一番大切なのは、一時的にスイッチをオンにすることは誰にでも簡単にできるのですが、コンスタントにオンの状態を保つことが出来るかどうかがということ。長寿遺伝子をオンにする生活習慣を心掛けて、若々しさと美しさを手に入れてみませんか?
2013年10月08日昨年9月に公開され、話題を呼んだドキュメンタリー映画「モンサントの不自然な食べもの」に続き、今年6月に再び遺伝子組み換え食品の実態に迫るドキュメンタリー映画が公開される。一瞬ドキリとなる、そのタイトルは「世界が食べられなくなる日」。監督は「未来の食卓」「セヴァンの地球のなおし方」などで知られる、フランス人のジャン=ポール・ジョー。彼は自らが結腸がんを患ったことをきっかけに、カメラを通して、食の重要性を強く訴え続けている監督だ。本作で扱う題材は遺伝子組み換え食品とさらにもう一つ、原子力である。いずれも20世紀に生まれたテクノロジーで、よく似た特徴を持っている。それは「後戻りができないこと、すでに世界中に拡散していること、そして生物の体内に蓄積されやすいこと」だ。驚くべきはこの2つを開発したのは米国を中心とする250の同じ企業グループで、世界の半分もの富を支配するのだという。カメラは、フランスのカーン大学教授による、あるラットの実験を追い続ける。米国モンサント社の遺伝子組み換えトウモロコシ「NK603」と除草剤「ラウンドアップ」を組み合わせて、2年間ラットに与え続けるという実験だ。2年はラットの寿命に相当する。現在、遺伝子組み換え食品の安全基準は「ラットに遺伝子組み換え作物を3ヶ月与え続けても問題がないという実験結果」を元にしている。ラットの3ヶ月は、人間の寿命に置き換えると10年。つまり、人間が一生摂取した場合の安全基準には何の役にも立たないということだ。実験中、ラットは3ヶ月のうちは元気に生きている。ラットに異常が出始めるのは4ヶ月目からだ。そして月日を重ねるごとに、ラットの多くに腫瘍ができ始め、それがこぶのように肥大化していく…。カメラは、日本の福島県へと移る。奇しくも監督が本作を制作中に、東日本大震災が発生。私たちがまざまざと見てきた、福島第一原発事故が起きた。事故後も地元に残り続ける、農家や酪農家たちにインタビューする。「私たちは、安全が“担保”されていない状況で物を作っていいのだろうかと毎日揺れています」。「私たちはもっと不便な生活でも我慢しなくてはなりません。さもなければ、世界の終わりです」。とつとつと語る、彼らの言葉にいたたまれない気持ちに包まれる。あらゆる命の根幹を脅かすかもしれない2つのテクノロジーについて、もう一度じっくりと考える良い機会となるだろう。「世界が食べられなくなる日」2013年6月8日(土)より、渋谷・アップリンクほかにて全国順次公開監督:ジャン=ポール・ジョー製作:ベアトリス・カミュラ・ジョー2012年/フランス/118分/原題:Tous Cobayes?協力:大地を守る会、生活クラブ生協宣伝・配給:アップリンク 取材/杉江あこ
2013年05月17日「栄養機能食品」と書かれた食品を、コンビニやドラッグストアで見かけことがあると思います。手軽に栄養補給ができ、お菓子として食べられるようなおいしいものも多いです。ですが、この「栄養」が何を指しているかご存じでしょうか?これは食品衛生法(飲食による危害の発生を防止するための法律)で、「ミネラル、ビタミンの補給を主な目的として定められた基準に従ってその栄養成分について機能の表示をしている食品」と定義されています。つまり、対象となる栄養素をミネラルやビタミンに限定していることが特徴です。また、その量については絶対量ではなく、上限値と下限値を設定しています。写真の「クリーム玄米ブラン」を見ると、「カルシウム」と「鉄」について「個包装1袋あたりカルシウム238mg、鉄2.5mg」と書かれています。今回のカルシウムと鉄についての栄養機能食品としての量的基準は、・カルシウム……210mg~600mg・鉄……2.25mg~10mgとなり、その基準値を満たしているため栄養機能食品という表示ができるというわけです。足りなくても多すぎても駄目で、仮にカルシウムが601mg以上入っていたとしても、「栄養機能食品」と表記することはできません。ただし、栄養機能食品については別の特徴もあります。それは、・カロリーや糖質(糖類)についての量的規制があるわけではない・特定保健用食品(以下、トクホ)のように消費者庁の許認可等は必要なく、数値設定をクリアしてさえいれば表示が可能となるということです。栄養機能食品といった言葉を見ると、なんとなく「カロリーや糖質(糖類)を抑え、普段足りないとされる栄養素を補える」といったイメージを持ちがちですが、実のところはそうとも言えません。写真の「クリーム玄米ブラン」を見てみると、1商品中にはカロリー370kcal、糖質34gが含まれています。これは、おつまみとしても食べられているクラッカー「リッツチーズサンド ハンディパック」(カロリー390kcal、糖質39g)とさほど変わりません。「身体にいいものだからたくさん食べないと」と思っていたら、実はカロリーのとり過ぎにつながっていた、という事態にもなりかねません。こういった「栄養機能食品」を利用する場合にはしっかり栄養表示まで確認し、カロリーや糖質などの量も換算して、上手に利用することを心掛けたいものです。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月06日日清食品ホールディングスおよび日清食品は3日、サンヨー食品および太平食品工業に対して、サンヨー食品の一部製品について、特許権侵害訴訟を大阪地方裁判所に提起した。同訴訟において、同社は特許権の侵害行為の差止と2億6,652万円の損害賠償を請求している。同社によれば、従来の即席麺は製造効率を高めるため、麺にウエーブを付けざるを得ず、そのため、そばやうどんなど、本来、真っすぐであるべき麺にもウエーブが付いていた。しかしながら、本件特許にかかる「ストレート麺製法」は、湯戻し時に麺同士がきれいにほぐれ、喫食時に真っすぐになる即席麺の大量生産を可能とし、滑らかな麺の「のどごし感」を味わえる革新的な製造技術であるとしている。同社はかねてからサンヨー食品と交渉を続けてきたが、残念ながら解決には至らず、やむを得ず提訴することとなったものであると説明している。なお、この訴訟提起による同社の業績に与える影響は軽微であるとのこと。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月04日ゼビオは自分の体質に合ったスポーツ・トレーニングを見つけられる、「スポーツ関連遺伝子検査」の運用を開始する。検査は同社が全国に展開しているスポーツショップ「スーパースポーツゼビオ」内、スポーツドラッグストア「Xiasis」にて行う。同社によると、遺伝の影響を受けると考えられている筋繊維は2タイプに分かれているという。1つは持久力はないが大きな力が出せる「速筋」で、もう1つは大きな力は出せないが持久力のある「遅筋」だ。その速筋の発達と遅筋の形成に関連するのが「ACTN3遺伝子」といわれている。同検査ではこの遺伝子が作り出す“アクチニン3タンパク質”が、遺伝的にどう作り出されているかを検査した。この検査によって、「速筋の発達と遅筋の形成に関わる遺伝子のタイプ」「どんなスポーツが自分に向いているか」「スポーツでより高いパフォーマンスを出すための、トレーニング方法」が分かる。適性からスポーツを限定するのではなく、その中でもより適したポジション・役割を見極めることができる。そのため、より有効なトレーニング方法を見つけることができるのが特徴とのこと。同検査は店頭で検査の申し込み受付し、その場で綿棒を使って簡単に口腔(こうくう)粘膜を採取。口腔粘膜を検査機関に送り検査を行う。検査は約2~3週間かかり、検査結果を基に作成された報告書が依頼者に渡される。サービス開始は9月1日から。実施店舗は長岡千秋店(新潟県・2012年9月中旬オープン)、キャナルシティ博多店(福岡県・2012年9月中旬オープン)、あすと長町店(宮城県)、横浜みなとみらいクイーンズイースト店(神奈川県)など全国11店舗。料金は5,800円。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月27日この秋、食の安全を考えるうえで見逃せないドキュメンタリー映画「モンサントの不自然な食べもの」が公開される。冒頭でスクリーンに映し出されるのは、パソコンを立ち上げ、インターネットで「モンサント」と打ち込んで検索する女性。彼女はフランスのドキュメンタリー映像作家、マリー=モニク・ロバンだ。モンサントとはアメリカの多国籍バイオ化学メーカー。かつては枯れ葉剤や牛成長ホルモンなどを開発したことで知られるが、現在の主力商品は除草剤「ラウンドアップ」と遺伝子組み換え作物だ。モンサントは大豆、トウモロコシ、綿、ナタネ、カボチャ、トマトなど、実に20数種あまりの遺伝子組み換え作物を開発してきた。人為的に遺伝子を操作することで、除草剤「ラウンドアップ」に耐性のある性質、殺虫剤を生成する性質などを生み出した。 例えば除草剤「ラウンドアップ」と遺伝子組み換え大豆を一緒に使えば、雑草はすべて枯れて、大豆だけが収穫できるというわけだ。農家にとっては非常に効率的で便利なように思えるが、しかし遺伝子組み換え作物の安全性については賛否両論。健康や環境への安全性は、確実には立証されていないのだ。 さらにモンサントは自社開発した種に対して特許権を取得。モンサントの種を使った農家は、作物を収穫した後に自家採種することは認められていない。もしも自家採種した場合は、特許権侵害として訴えられ、多額の賠償金を命じられることになる。 マリー=モニク・ロバンはインターネット検索で得たモンサントに関するさまざまな公式文書を元に、それらに関係する政府高官や学者、専門家、農家たちへ会いにいく。彼らの証言によって、モンサントの実態が次々と明らかになるのだが、果たしてモンサントの本当の狙いとは…。ちなみに日本でも遺伝子組み換えの種が一部認可されているが、ほとんど試験栽培のみで、商業栽培はされていない。しかし大豆、トウモロコシ、ナタネ、綿実などの遺伝子組み換え作物自体は輸入していて、多くは食用油や液糖の原料、家畜飼料として使われている。通常、食品の原料に遺伝子組み換え作物を使用した場合は表示義務があるが、組み替えられたDNAや、それによって生成したたんぱく質が含まれない場合は表示しなくてもよいと決められている。したがって表示がないために、知らず知らずのうちに植物油や飲料水、肉を通して口にしていることはある。 豆腐や納豆の原料に表示されている「遺伝子組み換えではない」。今のところ、私たちはそうした表示を見ることでしか判断ができない。しかし国産トウモロコシや菜種を使った油を選ぶとか、肉を食べるのを控えるとか、少し知識を身につけるだけで判断材料は増える。果敢な女性ジャーナリストによる本作は、食への意識を高めるきっかけになるはずだ。「モンサントの不自然な食べもの」監督:マリー=モニク・ロバンカナダ国立映画制作庁・アルテフランス共同製作2008年/フランス、カナダ、ドイツ/108分/原題:Le monde selon Monsanto協力:作品社、大地を守る会9月1日より、渋谷・アップリンクにて公開 取材/杉江あこ
2012年08月24日遺伝子組み換え食品の流通による食汚染、その根底にある農業の工業化と、アメリカの異常な食事情にメスを入れ、食の安心と安全を考えるフード・ドキュメンタリー『フード・インク』。今年1月より東京での上映を皮切りに全国30館で順次公開中の本作だが、国内でも食の問題に揺れるいま、多数の問い合わせを受けて、都内近郊で再上映することが決定した。本作で描かれるのは、より安く、より効率良い食物の収穫というスタイルが生み出した、アメリカの農業システムの弊害。確かな取材に基づき、数社のみが莫大な利益を得る業界のおかしな構造と苦しい下請け農家が生み出された背景、そして遺伝子組み換え食品にまつわる問題に目を向ける。都内では渋谷イメージフォーラムほか全国の主要都市で上映終了後に、都内近郊を中心に本作を見逃した人から再上映を求める声が相次いだ。現在、食肉の安全管理をめぐる食中毒問題がニュースで連日報道されているが、本作ではまさに、牛肉の0−157食中毒で幼児を失ったひとりの母親の姿が描かれている。改めて食品について国民が「知る」権利の重要性、そして“食の安全”のために消費者は何をすべきか、という事を考えさせられる。連日の報道の反響も大きく、Twitterでは映画を観た観客から、「いま、まさに映画のままのことが起きている」という声も多数つぶやかれている。この反響を受け、再上映を決定した『フード・インク』は、現在埼玉・川越スカラ座にて上映中、都内は下高井戸シネマにて5月21日(土)より公開。■関連作品:フード・インク 2011年1月22日より全国にて順次公開© Participant Media■関連記事:映画鑑賞前と後で驚愕の変化!?『フード・インク』で変わった食への意識を大発表『フード・インク』宣伝会社社長が40日で約11キロダイエット成功!秘密は…?“オーガニックコンシェルジュ”が明かす食の現実に驚愕!『フード・インク』試写会オーガニックワイン&お食事付!『フード・インク』試写会に5組10名様ご招待『フード・インク』宣伝会社社長が映画公開に合わせて食で肉体改造を実践!
2011年05月10日スーパーに並ぶお手頃価格の食品とオーガニックフードの違い、スーパーの食品の70%で使用されているという遺伝子組み換え食品の実態、家畜を“モノ”として大量生産するシステム…などなど食にまつわる危険な真実を描き、昨年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされ、本国アメリカで大ヒットを記録した『フード・インク』。日本での公開を前に、シネマカフェでは本作の特別試写会を開催した。そこで、この映画を観る前と観た後での“食”に対する意識の変化などについて、アンケートを実施。その結果を大発表!“オーガニック”という言葉は昨今、頻繁に聞くようになったが、映画鑑賞前、オーガニックフードに対してどのようなイメージを持っていたか?という質問にほとんどの人が「体に良い」、「環境に良い」と答える一方で「値段が高い」と記す人も、かなりの割合で見られた。この値段の違い、正確にはお手頃価格の肉が、なぜそれほどまでに安価で供給されることが可能なのか?といったことが映画では描かれる。では実際に映画を観て、食に関する意識は変わったか?という質問に8割以上が「はい」と回答。特に「安い食べ物に関して、企業の論理、パワーが大きく働いていることに恐怖を覚えた」、「大企業が世界の食をここまで支配している、という事実がショックでした」など、生産・流通の“裏事情”に関して書かれた内容が多く見られたほか、「これまで意識していなかったが、産地や製法にまで留意する必要を感じた」、「自給自足、地産地消ということの重要性を認識した」、「安い食品への恐怖が強まった」といった声も多く集まった。なお、普段から食に関して気を付けていたことは?という項目を見ると「国産の食品を買う」、「季節のものを食べる」、「添加物のなるべく入ってないものにする」など、映画鑑賞前から7割以上の人が何らかの形で安全な食を心がけていたという結果が。この日の試写会後には、日本における“オーガニックコンシェルジュ”第1号として知られる岡村貴子さんによるトークイベントも開催。「そもそもオーガニックの定義とは?」、「野菜だけでなく、肉にも当てはまるオーガニック製法」など、今回の映画とも深く関わる内容のトークが展開され、多くの観客にとって映画と共に安全な食への理解を深める機会となった様子。映画全体の感想を見てみると「食と労働問題との関係に深く考えさせられました」、「食べ物自体のことは考えていたが、システムまでは考えていなかった。途中、思わず目をそむけたくなるような現実もありました」、「自分が食べるものを選ぶことで、健康な食品を作るようにできるという発想はいままでありませんでした」、「(牛肉からの感染で息子を失い)裁判を行っている人の歯がゆい表情が印象的。大企業も安いものだけでなく品質にもこだわったものを売ってほしい」など、様々な意見が並び、映画から強いメッセージを受け取った様子。特に食に関して「健康」、「環境」、「倫理」といった一見、別々の事柄のように見える要素が、実は深く関わり合っているという事実に衝撃を受けた、そしてそれらの点を踏まえて今後、食を考えたいという声が目立った。あなたの食への意識はどれくらい?気をつけているつもりでも、この映画を観たらさらに変わるかも…?『フード・インク』は2011年1月22日(土)より全国にて順次公開。特集「映画で考える私たちの“食”『フード・インク』、『ありあまるごちそう』」■関連作品:フード・インク 2011年1月22日より全国にて順次公開© Participant Media■関連記事:『フード・インク』宣伝会社社長が40日で約11キロダイエット成功!秘密は…?“オーガニックコンシェルジュ”が明かす食の現実に驚愕!『フード・インク』試写会オーガニックワイン&お食事付!『フード・インク』試写会に5組10名様ご招待『フード・インク』宣伝会社社長が映画公開に合わせて食で肉体改造を実践!観たら食生活が変わる!?オスカー候補作『フード・インク』予告編を初公開
2011年01月18日2000年代初頭に発生したBSE問題や遺伝子組み換え食品をめぐる問題などに端を発し、最近では自然食ブームなど、食の安全が叫ばれて久しいが、映画界でも然り。近年、日本で劇場公開されている映画でも、『ファーストフード・ネイション』や『未来の食卓』、『キング・コーン』など知られざる食と人、そして市場の繋がりに注目した作品が数多く世に送り出されている。そんな中、アメリカの国産食糧市場の実態に追ったドキュメンタリー『Food, Inc.』(原題)が第82回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートを果たした。本作で初メガホンをとるのは、アメリカでTVプロデューサーとして活躍するロバート・ケナー。『ファーストフード・ネイション』の原作者、エリック・シュローサーや、アメリカの“肥満”事情に注目し全米で大ベストセラーになった「雑食動物のジレンマ 上──ある4つの食事の自然史」の著者、マイケル・ポーランら食事情のエキスパートとタッグを組み、企業への取材を敢行している。そこから見えてくるのは、普段私たちが口にしているものがどのようにして生産され、消費者の元に届けられているのか――。食の市場を司る企業の実態、人間都合で歪められた食の事情、突き詰めれば人間の健康に関わる問題へと発展するこの状況に警鐘を鳴らしている。オスカー同部門には、『Food, Inc.』のほかに『ビルマVJ 消された革命』(写真)など社会派ドキュメンタリー4作品が候補入り。いずれも世相を映し出す作品とあって、受賞のゆくえが気になるところ。アカデミー賞授賞式は3月7日(現地時間)開催。第82回アカデミー賞特集■関連作品:第82回アカデミー賞 [アワード]ビルマVJ 消された革命 2010年5月、シアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開© 2008 Magic Hour FilmsFood, Inc. (原題)■関連記事:日本人初!『コララインとボタンの魔女』アニメ界のアカデミー賞で美術賞受賞毎年恒例、オスカーに対抗して“最低映画”を選出するラジー賞も候補を発表!西田敏行、モーガン・フリーマンの主演男優賞ノミネート祝福「絶対獲る!」アカデミー賞候補が決定!キャメロンVSビグローの元夫婦が最多9部門で対決ファーギーVSテイラー女優としても大活躍の歌姫がグラミー賞でガチンコ対決!
2010年02月09日