日米のキャスト・スタッフが集結し、アカデミー賞脚色賞はじめ各国の賞に輝いた名作『サイドウェイ』を日本版として新たに誕生させた『サイドウェイズ』が10月31日(土)、公開初日を迎えた。初回上映前には主演の小日向文世をはじめ、生瀬勝久、鈴木京香、菊地凛子らキャストとチェリン・グラック監督が舞台に登壇し、映画に因みワインで乾杯し門出を祝った。ワインの聖地、カリフォルニア州・ナパを舞台に、そこで出会った男女4人の恋愛と友情、珍道中を描いた本作。現地での撮影を通して意気投合した様子の4人だが、主演の小日向さんは「こんなに宣伝プロモーションで回ったことはないので、正直疲れました」と、公開初日に少々お疲れ気味?劇中で印象に残った台詞を聞くと、「『最短距離がベストな道とは限らない』という言葉が好きです。遠回りしたって結果的には良いことが待っているとポジティブに思えたら、それは素敵なことだと思います」と笑顔で語った。ワインショップに勤務する麻有子を演じた鈴木さんは、映画をワインに例えて「この映画は、良く出来た年のワインのように、素敵な雰囲気といい思い出を醸し出してくれるような作品に仕上がっています。まずは採れたてのボジョレー・ヌーボーのように味わってください。そして、この先も味わっていただける映画なので、DVDになっても楽しんでもらえると思います」と、早くも本作のDVDまでアピールし、会場を和ませた。アメリカを拠点に活躍するグラック監督は、この日のためにわざわざカリフォルニアから来日。観客に向けて「我々、映画ファミリーへようこそ。“手づくり映画”を楽しんでください」とアピールし、4人の日本人キャストを称えた。オリジナル版に劣らず、まさにハマリ役と言える一同だが、お調子者の大介を演じた生瀬さんは役そのままの調子のよさを発揮。この映画出演の功績として「ハリウッドからのオファーがちょこちょこ来てるんだけど、まだ日本でやり残してることがあるのでお断りしてるんです」と告白するや、「今日はみなさんにご紹介しようと思って写真がここにあるんです」と言ってポケットから取り出したのは携帯電話。「釣りでこんなのを釣ったり、あと京香さんとお買いものしたのがこの写真ね…」とちっちゃい画面を披露し、客席を沸かせた。4人の中で一番年下の菊地さんは、撮影について「お兄ちゃんとお姉ちゃんの下で、何しても許される自由な環境で、一番楽しんでました。プレッシャーとか責任とか感じない、こんな現場が続いたらいいなと思います」とマイペースぶりを見せた。舞台上でも小日向さんたちに温かく見守られる中、「ナパは私一人だったらもう二度と行きたくない場所ですが、この4人でならまた一緒に行きたいです」と無邪気な笑顔で語った。最後には、巨大グラスを手に小日向さんの「お客様は神様でーす!」の合図で、一同ワイングラスを交わすと、盛大な拍手に包まれた。『サイドウェイズ』は全国にて公開中。■関連作品:サイドウェイズ 2009年10月31日より全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox Film Corporation and Fuji Television Network, Inc.■関連記事:小日向文世『サイドウェイズ』インタビュー海外苦手でも鈴木京香さんなら断れない!ジェイク・シマブクロインタビュー天才ウクレリストが奏でる“ワインのある風景”【TIFFレポート】小日向、通訳の英語にタジタジ凛子は監督を「いい加減」と暴露ワインをおいしく!『サイドウェイズ』特製ワインサーモメーターを3名様にプレゼント菊地凛子『サイドウェイズ』インタビューオスカー候補女優が海外に挑戦し続けるワケ
2009年10月31日出演するどの作品でも、常に独特の存在感を示している俳優・小日向文世。その小日向さんが、今度はアカデミー賞を受賞したハリウッド映画の日本版、という画期的な作品に挑んでいる。1か月にも及んだ海外ロケ、俳優としての挑戦について語ってくれた。思わず“ハリウッド映画に出てる気分”に!2人の男がカリフォルニア・ワインの聖地ナパ・バレーのワイナリーを巡るロードムービー、『サイドウェイ』の基本設定はそのまま、キャラクターを日本人に置き換えて新たなストーリーとともに展開される『サイドウェイズ』。本作の撮影が、オリジナル同様にナパ・バレーで行われたのは約1年前のこと。インタビュー部屋に飾られていた映画のポスターを眺めて「『よく行ったなぁ』って感じです…」と小日向さんはつぶやいた。「何か夢のような気分なんですよ。『あー、綺麗なところに行ったんだね〜』って」。最初にプロデューサーからオファーを受けたときは、「ワイナリー巡りよりは九州の焼酎蔵巡りの方が日本人にウケるのでは?」とおもわず考えてしまったほど想像がつかなかった、といまだからこそ明かす。しかし、そんな彼を惹きつけたのは、何よりも海外での撮影だった。「監督含め、スタッフ全員が海外の方。それは確かに面白いと思いましたね。実際、監督はチャーリー・シーンみたいな顔をしているのに、日本語ペラペラなんですけど(笑)。でも監督が『Rolling!Action!』なんて指示を出すと、『おぉ〜何だかハリウッド映画に出てる気分だな〜』って感じがしましたよ」。ところが、「実は海外はあまり好きじゃない」という驚き(!)の告白。「どんなに仕事がハードでも必ず家に帰る、というのは必須条件。でも今回ばかりは『僕はあまり海外が好きじゃないから』って断ったら、後で後悔するんじゃないかなって思いました。しかも、僕が好きになってしまう相手役が鈴木京香さん!これはやっぱり断れないでしょ?案の定キスシーンもありましたし(笑)」。小日向さんの意見も取り入れられながら、何度も書き直されたという脚本。結果、より共感できる、等身大の『サイドウェイズ』が生まれた。オリジナルと比較して観るのも面白いが、ひとつの新しい映画としても、大いに楽しめる作品となっている。「ウジウジしながらも、それなりにもがいて、何とかしたいって思っている。それを1週間ワインを飲みながら、何かひとつ見つけて帰るというところをうまく演じきれたらいいな、と思っていました。僕が思い描いた道雄を、アメリカ版とは違う形でね。どっかで『頑張れよー』ってうしろから後押ししてあげたくなるような人にはなれたかな、って思うんですけど」。「本物のワインを飲ませてくれ!」もちろんオリジナル版同様、映画のキーとなっているのが「ワイン」。とにかくワインを飲むシーンがたくさん登場するが、小日向さん自身もかなりのワイン好きだそう。「カリフォルニア・ワインがこんなにおいしいものだとは、今回の撮影で初めて知りました。フランスワインよりもおいしい!オススメ?僕はナパのピノ・ノワールが好きです。『ニュートン』という銘柄は日本にも輸入されていますよ」。ちなみに、撮影で飲んでいるワインは基本的に中身は全てグレープジュース。しかし、中には本当にワインを飲んでいるシーンもある、と裏話を教えてくれた。「夜、この撮影で今日はもう終わり、というときは『本物を飲ませてくれ!』って頼みました。酔いつぶれるシーンは、本当にワインを飲んでいましたよ(笑)」。ホテルのルームサービスでハンバーグを頼むのが大変だったという話、緊張から一週間便秘になってしまった話、撮影がオフの日にサンフランシスコに遊びに行った話…取材中、たくさんの思い出話を聞かせてくれたが、それだけ、本作は小日向さんの俳優としてのキャリアにも大きな影響を与えたことは間違いない。「1か月間も日本を離れたのは初めて。僕のプロフィールの中で、『サイドウェイズ』という作品は、とても大きな存在になると思います。海外の方が映画を観て、『フミヨを使いたいからこっち来て』って言われたらどうしよう…って言われないか(笑)。これはこれで、僕がいままで色々やってきた中のひとつなので、この映画を足がかりに海外進出したいなんて、これっぽっちも思っていないんです。今度はまた違う、日本に生活している日本人を演じたいと思っています。本当にささやかな家族の話とか演じてみたいですね」。(photo:Yoshio Kumagai/hair & makeup:Yuko Tomioka)衣裳協力:マリテ+フランソワ・ジルボー(タカセ商事)化粧品:アクセーヌ『サイドウェイズ』菊地凛子インタビュー『サイドウェイズ』ジェイク・シマブクロインタビュー■関連作品:サイドウェイズ 2009年10月31日より全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox Film Corporation and Fuji Television Network, Inc.■関連記事:ジェイク・シマブクロインタビュー天才ウクレリストが奏でる“ワインのある風景”【TIFFレポート】小日向、通訳の英語にタジタジ凛子は監督を「いい加減」と暴露ワインをおいしく!『サイドウェイズ』特製ワインサーモメーターを3名様にプレゼント菊地凛子『サイドウェイズ』インタビューオスカー候補女優が海外に挑戦し続けるワケ菊地凛子&鈴木京香、仲良くぶどう柄でペアルック?『サイドウェイズ』舞台挨拶
2009年10月29日オール海外ロケ&海外スタッフで撮影された、ハリウッド映画の日本版、という海を越えて生まれた作品にふさわしく、『サイドウェイズ』の音楽を手がけているのは、世界で活躍するハワイ出身の天才ウクレリスト、ジェイク・シマブクロ。大人の青春物語・ワイナリーの風景・ジェイクのウクレレ。意外なようで、ぴったりとマッチする組み合わせ。軽快にウクレレを披露してくれるとともに、映画音楽について語ってくれた。華麗なウクレレプレイで、唯一無二の存在として世界に名を馳せるジェイク。日本にもファンの多い彼が、初めて映画音楽を手がけたのは2006年夏に公開され、数々の賞を受賞した日本映画、『フラガール』。そして『サイドウェイズ』は2作目となる。『フラガール』はテーマからしてウクレレとすぐに結びつくが、『サイドウェイズ』と聞いて、ジェイク自身もとても驚いたという。「プロデューサーが僕の音楽が映画に合うと推してくれたそうで…お声がけいただいてとても光栄でした。確かに、ウクレレが簡単に想像つくような映画でないですよね。でもだからこそ、僕にとっては新しい挑戦で、とても嬉しいです」。ジェイクがオファーを受けたとき、ちょうどカリフォルニアで行われていた撮影が終盤に差し掛かっていた。それから映画が編集に入るとほぼ同時に、彼は音楽を作っていったという。イメージしたものは“ナパ・バレーの景色”そのもの。「僕自身、何度かナパ・バレーに行ったことがありますが、とてもエネルギーのある素敵な場所なんです。実際に自分がそこで過ごした時間を考えながら、イメージを膨らませていきました」。出来上がった映画を観て、「キャラクターはみんな大好きで、キャストも全員素晴らしかった!相性がすごく良かったと思います」と絶賛するジェイク。好きなシーンを聞くと、「たくさんあるけど…」と少し考えながら、「大介と道雄が二人で女性警察官の家に忘れ物を取りに行くシーン」、「道雄が落ち込んでワイナリーの池の中に入って暴れてしまうシーン」といずれもコミカルなシーンを選んでくれた。「映画は大好きなので、また機会があればぜひ映画音楽に携わりたい」と話すジェイク。ちなみに日本の映画も好きだそうで、最近観たものだと、「『ハンサム★スーツ』と『20世紀少年』が面白かった!」と挙げてくれた。日本映画とジェイクの音楽のコラボをまた観れる日はそう遠くないかも?先ずはウクレレの優しい音色がストーリーを美しく包み込む、『サイドウェイズ』の世界をたっぷりと堪能してほしい。ジェイク・シマブクロから独占動画メッセージが到着!■関連作品:サイドウェイズ 2009年10月31日より全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox Film Corporation and Fuji Television Network, Inc.■関連記事:【TIFFレポート】小日向、通訳の英語にタジタジ凛子は監督を「いい加減」と暴露ワインをおいしく!『サイドウェイズ』特製ワインサーモメーターを3名様にプレゼント菊地凛子『サイドウェイズ』インタビューオスカー候補女優が海外に挑戦し続けるワケ菊地凛子&鈴木京香、仲良くぶどう柄でペアルック?『サイドウェイズ』舞台挨拶菊地凛子、流暢な英語で「ワイン大好き」『サイドウェイズ』、本場ナパで大盛況
2009年10月28日山崎豊子の長編小説を映画化した『沈まぬ太陽』が24日(土)に公開初日を迎え、主演の渡辺謙自らの演出による舞台挨拶が行われた。渡辺さんのほか三浦友和、松雪泰子、鈴木京香、石坂浩二、若松節朗監督が登壇、観客と共に3時間22分のこの大作を観終えたばかりの渡辺さんは、感極まって壇上で号泣!込み上げる涙と共に熱い思いを訴えた。「本当にたくさんの方にお集まりいただいてありがとうございます。3時間22分がどういうものなのか、みなさんと体感しようと思いまして…」と途切れ途切れに語る渡辺さんの頬を熱い涙が伝う。「自分の(出演した)映画に感動して泣いてるんじゃないんです。ここまで来るのに、どれだけみんなが大変な思いをしたか、どうかご理解いただければ…」と言葉を搾り出し、さらに劇中に出てくる御巣鷹山での飛行機墜落事故で失われた命とその遺族に思いを馳せ、客席からは温かい拍手がわき起こった。これまでにない悪役を演じ、劇中では渡辺さんをさんざん苦しめた、行天役の三浦さんは「いろいろひどいことして申し訳ございません。どういう顔をして舞台挨拶をすればいいものか…。今日、ここに立っている他のみなさんは、イメージ通りの清く正しい方々でうらやましいです。まあ、こういう屈折した役も楽しいですが」とユーモアたっぷりに語った。石坂さんは「(自身が演じた)国見が感じたであろう挫折感で、今日までモヤモヤしてましたが、これだけ多くのお客さんが来てくださったことは救いになります。この物語は“日本”というものを相手にした物語です」とホッとした表情を見せつつ語ってくれた。女優陣2人も渡辺さんの号泣する姿、そして多くの観客の温かい声援に心打たれた様子。渡辺さんと夫婦役を演じた鈴木さんは「とにかく、(渡辺さん扮する)恩地元という男が素晴らしい。こういう人の妻なら、ちゃんとしなきゃという思いでした。現場でも謙さんは家族をまとめ、引っ張ってくださって、私は斜め後ろを付いて行けば、自然とりつ子になりきることが出来ました。謙さんと手をつないだりできて、楽しかったです(笑)」と嬉しそう。さらに、「謙さんの目が赤くて…。監督と抱きあって、男同士で称え合っている姿を見て、この映画に参加できてよかったな、と感激もひとしおです」と語った。一方、松雪さんも「謙さんの言葉から、震えるような思いが伝わってきました」と興奮気味に語り、自身の役柄については「私が演じた役も、決して純粋ではなく、行天を支えるポジションにあり、微妙な心情を持って演じました」と明かした。また、この作品は記念の映画では珍しく、途中でインターミッション(休憩)が入るが、そのときに流れるバイオリンの曲「祈り [永遠の記憶]」を演奏しているのは、英国在住のバイオリニスト、ダイアナ湯川。彼女は、生まれる1か月前に御巣鷹山の飛行機事故で父親を亡くしている。この日の舞台挨拶には湯川さんも来場。渡辺さんの紹介を受けて、バイオリンを手に壇上に上がり、「祈り [永遠の記憶]」を演奏。映画を観終えたばかりの観客は美しい音色に耳を傾けた。『沈まぬ太陽』は全国東宝系にて公開中。■関連作品:沈まぬ太陽 2009年10月24日より全国東宝系にて公開© 2009 「沈まぬ太陽」製作委員会■関連記事:渡辺謙はL.A.から中継で登場!激動の“いま”こそ『沈まぬ太陽』と一同アピールファッション小噺vol.112日本女優の美肌のヒミツはこれだった!渡辺謙が渾身の直球を投げ込んだ『沈まぬ太陽』三浦友和は悪役がお似合い?
2009年10月24日ワインの本場、カリフォルニア州のナパを舞台にした日米合作のロードムービー『サイドウェイズ』が、10月22日(木)、現在開催中の東京国際映画祭(TIFF)の特別招待作品として上映され、主演の小日向文世と菊地凛子が舞台挨拶に登場!この日のチケットは発売日に即完売となっており、2人は満席の客席から盛大な拍手に迎えられた。全編ナパでのロケで、アメリカ人のスタッフによって撮影が行われた本作。国際映画祭とあって、この日はコメントの後に英語の通訳が入ったが、小日向さんは「英語が飛び交う場所にいると撮影の頃を思い出してドキドキする。(現地では)帰国日を指折り数えていたのですが、あんまり帰りたいと思うとパニックになるので芝居している最中が一番楽しかった」と海外での撮影を思い出しながら同時通訳の流暢な英語に感心するばかり。対照的に菊地さんは「先輩方に囲まれてのびのびと出来た」と語り、初のTIFF参加に喜びを表した。アカデミー賞脚本賞を受賞したオリジナル作との比較も焦点になりがちな本作だが、小日向さんは「オリジナルよりもとっても面白く出来た」と自信のコメント。演じたキャラクターも「おでこが広いのが似ているのは意識しましたけど(笑)。最初はウジウジしてて嫌いでしたが、一生懸命生きてるところが愛おしくなってきて、中年になっても夢を捨てずに恋愛を思い切りしてもいいなと」と、オリジナルとは一線を画しつつ、自身の役柄への愛着を感じさせた。また、本作のメガホンを取ったチェリン・グラック監督との仕事に話が及ぶと、「僕らには優しいが、スタッフには女性でも怒鳴りつけていたのでどうなんだろうと…」と小日向さんが明かせば、菊地さんは「セットを離れるといい加減。一番いい加減な人に『いい加減だ』って言われたので、どんだけ自分がいい加減なんだろ?と」と監督の素顔を暴露。すると、待ってましたとばかりに客席からグラック監督本人が登場!小日向さんに向かって早口の英語で怒鳴りつけるなり「便秘は治った?」と日本語で挨拶を交わし、会場を沸かせた。ハワイの映画祭から駆けつけたばかりだという監督は、仰天する2人にレイ(首飾り)のプレゼントを贈り「この国際的な作品を日本の国際映画祭で上映できて嬉しい」と喜びを語った。そして流暢な日本語で語り、自ら、通訳を介さず英語で翻訳するなどユニークな人柄も見せ、和やかなムードの中、映画が上映された。『サイドウェイズ』は10月31日(土)より全国にて公開。東京国際映画祭2009特集■関連作品:サイドウェイズ 2009年10月31日より全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox Film Corporation and Fuji Television Network, Inc.■関連記事:ワインをおいしく!『サイドウェイズ』特製ワインサーモメーターを3名様にプレゼント菊地凛子『サイドウェイズ』インタビューオスカー候補女優が海外に挑戦し続けるワケ菊地凛子&鈴木京香、仲良くぶどう柄でペアルック?『サイドウェイズ』舞台挨拶菊地凛子、流暢な英語で「ワイン大好き」『サイドウェイズ』、本場ナパで大盛況舞台挨拶&生演奏付き!『サイドウェイズ』プレミア試写会に25組50名様ご招待
2009年10月23日オスカー候補になったあの『バベル』への出演以降、菊地凛子の活躍は世界へ広がっている。ライアン・ジョンソン監督、エイドリアン・ブロディ共演の『The Brothers Bloom』、イザベル・コイシェ監督の『Map of the sounds of Tokyo』、マイケル・ハフストローム監督、渡辺謙共演の『Shanghai』、村上春樹のベストセラーを映画化するトラン・アン・ユン監督の『ノルウェイの森』──待機作のいずれも海外の監督との仕事だ。そして、国際女優として一歩、また一歩、前進していく彼女が新たに興味を示したのは、第77回アカデミー賞で脚本賞に輝いたアメリカ映画の名作『サイドウェイ』を日本人キャスト、外国人スタッフ、オール海外ロケで作った異色の日本映画である。「タフになるために作品を選んでいきたい」「海外だからという理由で作品を選んでいるわけではないんです。ただ、自分ができないなと思うものや、怖くてイヤだなと思うような演技に挑戦したい時期なんですよね。海外の作品は海外であるだけで大変な思いがあるから…タフになるために国内外問わずそういう作品を選んでいきたい。でも、個人的には日本食が好きなので、撮影が終わって美味しいものが食べられる日本が本当は一番いいんですけどね(笑)」と、穏やかな口調、やわらかな物腰で話すが、その志はかなり高い。今回の『サイドウェイズ』でももちろん挑戦はあった。彼女が演じるミナ・パーカーという役は、生まれも育ちもアメリカという設定。流暢な英語とたどたどしい日本語を会話に混ぜ込む演技は「すっごく大変でしたね」とふり返るが、そんな苦労を微塵も感じさせない演技はさすがだ。さらに、言葉だけでなく細かな動きも研究したのだという。「向こうの人の独特な動きがあるので、撮影現場にいたミナっぽい女性の動きを参考にしたり、ハーフの友達に『このセリフ言ってみて』と微妙なアクセントを聞いたりしました。難しい役柄ではあったけれど、ミナは前向きで明るい女の子。痛みや辛さがない分、楽しかったですね」。「大変だったけれど、楽しかった」と笑顔を見せる背景には、小日向文世、生瀬勝久、鈴木京香という実力ある俳優が共演陣に揃っていたこと、やり甲斐のある環境だったことも挙げられるだろう。「ほんとに。日本映画でこれだけ有名な俳優さんと仕事をするのは久々だったので、最初はちょっと緊張しましたけど、小日向さんが笑うとみんながフワ〜っとして心地いい気分になったり、生瀬さんは役柄通り英語もすぐに覚えて積極的に話していたし、京香さんはマイペースに生きている面倒見のいいお姉さんという感じで、すごくいい現場でした」。撮影は約1か月間カリフォルニアで行われ、「時間があるときはみんなでご飯を食べに行ったりしました」と、キャラクター同様に密な関係を築けたと語る。「毎日美味しいワインが飲めて、いい現場!」特に共演が多かった生瀬さんについては、彼のアドリブ力に「新鮮な気持ちになれた」と驚きを隠さない。「生瀬さんのアドリブはすごいんです。セリフは一緒なのに毎回動きとかちょっとしたことを変えてくる。『この人、すごいなぁ』って思っていました」。中でも笑えるのは、大介とミナの喧嘩シーンだ。「生瀬さんがお兄ちゃん的な優しい方だったので、遠慮なくブッていこうと思ってブッたら赤くなっちゃって。あっ、でも(打つ瞬間は)本当のフライパンじゃないですよ。あのシーンを本物のフライパンを使っていたら殺しかねないですからね(笑)」と、撮影時のエピソードを語ってくれた。「洋酒全般は何でも飲みますね」という菊地さん。今回の撮影を通してカリフォルニア・ワインの美味しさを知り「毎日美味しいワインが飲めて、いい現場でした!」と幸せな笑顔を見せる。そして、“菊地凛子”流の映画『サイドウェイズ』の見方をこう提案する。「この映画を観るとワインを飲みたくなると思うんです。だから、ワイン好きな人は夕方頃に映画を観て、その後に1本のワインを誰かと開ける…そういうのもひとつの見方かなって思います。あと、ナパ・バレーはワイナリー以外何もないところですけど、観たらナパに行きたくなる人、多いと思いますよ」。(text:Rie Shintani/photo:Hirarock/stylist:Yuta Kaji/hair & makeup:Yasushi Miyata)■関連作品:サイドウェイズ 2009年10月31日より全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox Film Corporation and Fuji Television Network, Inc.■関連記事:菊地凛子&鈴木京香、仲良くぶどう柄でペアルック?『サイドウェイズ』舞台挨拶菊地凛子、流暢な英語で「ワイン大好き」『サイドウェイズ』、本場ナパで大盛況舞台挨拶&生演奏付き!『サイドウェイズ』プレミア試写会に25組50名様ご招待ファッション小噺vol.112日本女優の美肌のヒミツはこれだった!
2009年10月14日第77回アカデミー賞脚本賞に輝いた傑作ロードムービー『サイドウェイ』を、日本人キャストを迎えて新たに誕生させた『サイドウェイズ』。映画の公開に先駆けて10月5日(月)に完成披露試写会が開催され、主演の小日向文世、生瀬勝久、菊地凛子、鈴木京香の4人と、チェリン・グラック監督、そして本作の音楽を手がけたウクレレ・プレイヤーのジェイク・シマブクロが登壇し、和やかな雰囲気のもと舞台挨拶が行われた。キャストの登壇前には、ジェイクさんによる本作の主題曲「サイドウェイズ」を含むオリジナル・スコア3曲が生演奏で披露された。映画の舞台となるワインの本場・ナパの情景を想起させるような、素晴らしい演奏にたちまち観客は釘付けになり、拍手喝采が贈られた。作曲に際して映画を100回以上も観たというジェイクさんは、「観るたびに発見がありました。才能ある方々と競演できて感謝しています」と笑顔で語った。約1か月にわたり、全編カリフォルニアで現地のスタッフによって撮影された本作。主人公・道雄役の小日向さんは、実は海外は苦手のようで、「家が好きなもので、海外旅行はあまり好きじゃないんです。スタッフの英語が全く分からず、『OK』ってとりあえずニコニコ笑ってました。それがかなりのストレスだったらしく、1週間完璧に便秘になりました。顔では笑って、下はガチガチに…」と撮影時の苦労を明かし、会場を沸かせた。一方、積極的に英語で交流を図っていたという生瀬さんは、1か月の間にいろんな思い出ができたようで、「(男性の)助監督が、ラコステのポロシャツを見て『このワニは噛むんだよ』って胸をつまんできまして…、それ以来ホテルのドアを閉めるようになりました」と現地スタッフとの楽しい(?)交流をふり返った。キャスト4人だけという状況で、のどかな風景の中で結束を深めた様子の一同。菊地さんが「末っ子根性丸出しで、みなさんに甘えさせていただいて楽しい思い出でいっぱいです」と言えば、鈴木さんも「ワインも好きで、海外旅行も好きで、お仕事を忘れてエンジョイしてました」と満面の笑みを見せた。菊地さんによると、鈴木さんはご飯を全員にふるまっていたとのこと。またこの日、赤と白のぶどうの画が入った、自前の着物を身にまとって登場した鈴木さんだったが、菊地さんはそれを見て思い出したかのように、「ちなみに、アンダーウェアはぶどうです。何なら…」と大胆にも見せるふりをし、男性陣をドキッとさせた。このユニークなキャスト陣とスタッフの架け橋となったグラック監督は、「僕は添乗員みたいな気分で、これはみんなで作った手作りの映画です」と満足の出来栄えをうかがわせた。小日向さんが「アメリカ版『サイドウェイ』よりも本当に素敵な映画になったと自信を持って言える」と胸を張る『サイドウェイズ』。公開は10月31日(土)より全国にて。■関連作品:サイドウェイズ 2009年10月31日より全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox Film Corporation and Fuji Television Network, Inc.■関連記事:菊地凛子、流暢な英語で「ワイン大好き」『サイドウェイズ』、本場ナパで大盛況舞台挨拶&生演奏付き!『サイドウェイズ』プレミア試写会に25組50名様ご招待ファッション小噺vol.112日本女優の美肌のヒミツはこれだった!
2009年10月06日山崎豊子の長編小説を映画化した『沈まぬ太陽』の完成披露試写会が17日(木)に都内で開催された。上映前には舞台挨拶が行われたが、主演の渡辺謙はアメリカで新作ハリウッド映画を撮影中とあって、現地からの生中継で大画面を通して参加、共演の三浦友和、松雪泰子、鈴木京香、石坂浩二、そして若松節朗監督も出席し、会場は大きな盛り上がりを見せた。冒頭、場内が暗転し、渡辺さんの低い声が響き渡る。「ようこそいらっしゃいました。お忙しい中、新内閣発足のさなか、そして騒がしいスケジュールの中、足を運んでいただきありがとうございます」との挨拶に続いて、渡辺さん自らがひとりひとりのキャストを呼び込んだ。渡辺さんの紹介に合わせて、三浦さんらが客席の中を歩いて登場すると、会場は歓声に包まれた。そして、スクリーンにはロサンゼルスにいる渡辺さんの姿が!渡辺さんは、撮影で初めてアフリカのサバンナに立ったときの心境を尋ねられ「深い海に、ボンベもマスクもつけずに降り立ったような気持ちでした。『もしかしたら僕らが立ってはいけない場所なのかも?』という思いと共に、一個の“動物”として動物たちと同じ目線でサバンナに立ったことは、役を作り上げていく上ですごく大きなインパクトがありました」と感慨深げにふり返った。三浦さんは本作で、主人公・恩地(渡辺さん)とは対照的な道を歩む“悪役”的な存在・行天を演じているが「行天は、日本の礎を築いた世代の功罪の“罪”の部分の象徴的存在。でもいま冷静に考えたとき、間違っているけど、当時はそういう風にしか生きられなかったのではないかと思っています」と語った。監督曰く「行天はまさしく三浦さん!ピッタリの悪役でした」とのこと。松雪さんは、恩地を尊敬しつつ、行天と愛人関係になる美樹を演じた。2人との共演について「全体で4か月半の撮影の中で、私はひと月に1回のペースで現場に行っていました。すると、2人が身にまとっている空気や雰囲気が、時間と共に濃密になっていくのを身近に感じることができました」とふり返った。石坂さんは、ここ数年、日本を襲った激動をふり返りつつ「“沈まぬ太陽”とは日本のことではないか?いま西に傾きかけ沈もうとしているではないか?」と憂いの表情を見せ「それを沈めないために努力するのか?それとも、たとえ沈んでもまた明日の朝、新たな太陽が東に昇ることを期待するのか?時代がいま問うているのではないかということを鳩山さんに代わって申し上げたい」と力強く語った。恩地の妻・りつ子を演じた京香さんは「とにかく、りつ子として謙さんが演じる元(はじめ)を見つめていればいいか、という思いでした。意志を貫く素晴らしい男性として、尊敬して見つめていました」と撮影時の気持ちを明かした。渡辺さんは「男たちには会社があって、役職や場所で変化を表現することができるけど、りつ子がそれを表現できるのは、子供の成長くらい」とりつ子という役の難しさを説明し「一緒に年をとった感じです」と“夫”として妻への感謝と労いの気持ちを口にした。若松監督は完成披露を迎え感無量といった面持ち。「1年前のいまごろは“進まぬ太陽”なんて言われていましたが…」と自嘲気味にふり返りながらも「男の矜持を描きました」と誇らしげ。さらに「最近の芸能界は、男が逃げたり、責任を取らなかったり。そんな若い人たちにこそ観てほしい」と踏み込んだ言葉で作品を送り出した。渡辺さんは最後に、遠くロサンゼルスから「もしこの映画が明日への希望になればありがたいです」と作品をアピール!『沈まぬ太陽』は10月24日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:沈まぬ太陽 2009年10月24日より全国東宝系にて公開© 2009 「沈まぬ太陽」製作委員会■関連記事:ファッション小噺vol.112日本女優の美肌のヒミツはこれだった!渡辺謙が渾身の直球を投げ込んだ『沈まぬ太陽』三浦友和は悪役がお似合い?
2009年09月19日離れて暮らす母親を探すため、はるか500キロの冒険に出た一人の少年の成長と家族の深い絆を描き、ベストセラーとなった新堂冬樹著の感動作「僕の行く道」。この小説を原作とした待望の映画化作品『ぼくとママの黄色い自転車』が8月22日(土)、公開初日を迎え、メガホンを取った河野圭太監督に主演の武井証、阿部サダヲ、鈴木京香、そして原作者の新堂さんによる舞台挨拶が行われた。会場は夏休み中の子供の姿もたくさん見られ、満員の客席の前で一同は初日を迎えた喜びを語った。主人公・大志を演じた武井くんは、「たくさんの人が来てくれて、ありがとうございます。どう感じてもらえるか不安でドキドキしています。昨日は緊張してよく眠れなかったけど、嬉しいです。大志はとても勇気のある子だと思います」と満面の笑みを見せた。弱冠11歳の武井くんだが、「演じることとは?」と尋ねると、「もう一人の自分を見つけることができます。(将来は)また共演したいと思われる役者になりたいです」と大人顔負けのコメント、「この映画を観て、身近な人に優しくしてくれたら嬉しいです」としっかりと映画をアピールした。そんな証くんに対し、河野監督は「一番信頼できる俳優でした。何も言わなくてもパーフェクトに表現してくれて、こんなに楽をさせてもらっていいのかなと思いました。彼の演技には泣かされると思います」と大絶賛。父親役の阿部さんは、優秀な愛息に「武井くんの後だとコメントのクオリティが下がります」と平伏しつつ、映画俳優として先輩の武井さんに「またご一緒できたらいいと思います(笑)。この役を演じて、役者として新しい面ができました」とコメント。隣の、真っ黒に日焼けした新堂さんとは対照的なビジュアルとなったが、「僕はあまり日焼けしないタイプなので、ちょっとびっくりしてます」と恐縮気味に語り、笑いを誘った。これに乗じて(?)、母親役の鈴木さんも「夏真っ盛りの方にお会いして、もっと日焼けすればよかったと思いました」と一笑。観客に向けて「子供のために大きな選択をするところを、みなさんがどう感じるか興味があります。夏が子供を成長させるところに注目して見てもらいたいです。観てないお友達にも勧めてください!」と優しい表情で語りかけた。一際黒さが目を引いた新堂さんはというと、「アットホームな客層だと聞いて、僕が出ていいのかなと思いました(笑)」と挨拶。待望の映画化に「この作品には思い入れがあり、2回観て、2回とも号泣しました。自分の書いたものを超える演技で感動しました。愛の形は一つじゃないというところを見てほしいです」と太鼓判を押した。『ぼくとママの黄色い自転車』は新宿バルト9ほか全国にて公開中。■関連作品:ぼくとママの黄色い自転車 2009年8月22日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2009「ぼくとママの黄色い自転車」製作委員会■関連記事:阿部サダヲが新たに見せる“父”の顔「自分の子供にも冒険させてやりたいと思った」阿部サダヲ、自分よりも大人っぽい“息子”に脱帽!鈴木京香と親子3人浴衣で登場温かくて強い、家族愛を描く『ぼくとママの黄色い自転車』試写会に5組10名様ご招待阿部サダヲ、鈴木京香とのアンバランス夫婦に「お前とそれか?みたいなパターン…」
2009年08月24日あるときはパンクコントバンド「グループ魂」のフロントマン“破壊”として、またあるときは個性派俳優として舞台上、スクリーンを、俊足と超ハイテンションで所狭しと駆け巡り、異彩を放つ阿部サダヲ。天性のコメディアンとも言うべき彼が、どの作品でも見せてこなかった顔とは――?現在、39歳。“不惑”と言われる40歳を目前にして、『ぼくとママの黄色い自転車』で、父親役という新境地に挑んだ彼に話を聞いた。「明るく淡々とした、愛情表現に心打たれた」これまで見せてきた、“飛び抜けた”役とは一線を画す今回の役。いたって普通の父親を演じたが、オファーを受けたとき、阿部さんは素直に「うれしかった」と話す。「みなさんの印象として、阿部サダヲという俳優は“突き抜けてる”と思われてることが多いと思うのですが、こういう役もやりたかったし、普段からテンションがずっと高いように思われたりするので(笑)。俳優として、だんだん年を取ってきて、子供がいる役や家族の話もやりたいと思ってた時期だったので、うれしかったですね」。記憶を失う病を患い離れて暮らす妻と、その理由を知らない幼い息子の間で苦悩しながらも明るくふるまう父親、一志。演じる上で気をつけた点は?「子供のことはちゃんと考えてる父親なんですけど、表向きは普通に見えるようにつらい部分はあまり出さないようにしてました。撮影に入る前に、記憶障害の方のドキュメントを見たときに、明るく淡々と生活をしている、(記憶を)忘れているということを笑いとばしてしまうくらいの明るさ、その愛情表現に胸を打たれて、そういう所が出せたらという気持ちで演じました」。今回、阿部さんと夫婦を演じるのは、鈴木京香。一見、異色の組み合わせとも思えるのだが、阿部さんはそのアンバランスさを敢えて前面に出していった。「見た目的に、京香さんと僕のアンバランスさがうまい具合に出せればいいかなとは思ってました。この人間にこの綺麗な女性が惹かれたワケというのを、何となく納得してもらいたいなって。お客さんが観て、何でこいつ?っていうよりは、しょうがないなという感じに思ってもらえたらと。完璧な人じゃない方がいい気がして、ちょっと抜けた感じにしたいなと思いました。上から物が落ちてきて頭にぶつかるとか、パンに醤油かけちゃうとか、そういうところでちょっとずつ出していけたかなと思います」。息子・大志に扮する天才子役、武井証は奇しくも自身のお子さんと同年代という。撮影が行われたのはちょうど1年前、真夏の小豆島。武井さんとの撮影での思い出について尋ねると、頬をゆるませた。「こんな子供がいたらいいなと思いますけど、本当にしっかりしてるんですよ、武井くん(笑)。相当暑かったと思うんですけど、文句も言わないですし、犬(愛犬アン役)も文句を言わないですし、ただ頭が下がる思いです。かわいい一面もあるんですけどね。証くんが自動販売機でジュースを買おうとして、お金を入れたら出てこなくなっちゃって、みんなして悔しくなっちゃってね。何とかしたくなって業者さんを呼ぶまでになったんです。僕が120円出そうか?と言ってもそれは出来ないと言う男ですから、かっこいいです」。夏の冒険を通して育まれる子供の“成長”に共感母親に会うため、ひとり自転車で、犬を供に横浜からはるか500キロ先の小豆島へと旅に出る、息子の大志。親の知らないところで育まれる、子供の成長というのも、本作のひとつのテーマである。“かわいい子には旅をさせよ”と言うが、阿部さんも自身のお子さんについて近頃、変化を感じているという。「9歳になってどんどん成長していく感じがしますね。家の中より外で教わってくることが増えるじゃないですか。習い事だったり、遊んできたりして、自分の家にずっといた人が外に出ていってすごい勢いで成長してくるのでびっくりします。でも、映画(の大志)みたいに関西の人と喋って変わったり、家族以外の人と接するのはいいことだと思うので、自分の子供にも冒険させてやりたいなと思いましたね。僕も小学生のとき、学校に『ガキ大将行進曲』という映画が来て、それを観てすっげーかっこいいなと思って山を登ったりしてすごくいい経験になったので、大志くんと同じくらいの子にも、冒険に憧れてほしい。外で家族で一緒にいてもずっとゲームばかりやってるのとかを見るとゾクっとするんですよね。ゲームを1時間やってもいいけど、1時間は外で自転車を漕いでほしいですね」。ちなみに、阿部さんが子供の頃の夏休みの“冒険”の思い出はというと…?「いま思うと、野球ばっかりやってたので、一人で冒険に行ったりはなかったですけど、夏休みにトラックの荷台に勝手に乗ってどこまで行けるか、というのはやったことがありました。でも、2個目の信号で怖くなって降りました(笑)。大人になってからは、道に迷うのが好きなので、よく知らない道を歩きます。すごい小さい冒険ですけど、行ったことのない所で、散歩ばっかりしてますね」。本作について「家族で観て、一緒に話し合える映画」と語る阿部さん。「犬を飼おうか話し合うこともできるでしょうし、犬を飼ってほしいんですよね。動物を飼うのはいいと思うので、この映画も家族会議をするのにちょうどいいんじゃないかと。と言いながらうちは猫を飼ってるんですが(笑)」。“阿部サダヲ”の代名詞とも言うべきハチキレぶりとは裏腹に、とても穏やかな笑顔を浮かべて言葉を連ねる阿部さん。これまでに見せたことのない、彼の新たな顔を本作では発見することができる。(photo:HIRAROCK)■関連作品:ぼくとママの黄色い自転車 2009年8月22日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2009「ぼくとママの黄色い自転車」製作委員会■関連記事:阿部サダヲ、自分よりも大人っぽい“息子”に脱帽!鈴木京香と親子3人浴衣で登場温かくて強い、家族愛を描く『ぼくとママの黄色い自転車』試写会に5組10名様ご招待阿部サダヲ、鈴木京香とのアンバランス夫婦に「お前とそれか?みたいなパターン…」
2009年08月21日母親に会うために、愛犬を連れて横浜から自転車で、遠く香川県の小豆島を目指す少年の成長と、その地で彼が知る切ない真実――。新堂冬樹のベストセラー「僕の行く道」を映画化した『僕とママの黄色い自転車』が8月22日(土)に公開を迎える。8月12日(水)、映画に因んで本作の親子試写会が開催され、上映前には主演の武井証、阿部サダヲ、鈴木京香による舞台挨拶が行われた。親子を演じた3人は、浴衣姿で登場。また、武井くん演じる大志の旅の相棒である愛犬のアンも、武井くんに連れられて一緒に登壇し、会場は歓声に包まれた。撮影時、アンとどのように仲良くなっていったのか?という質問に武井くんは「(現場は)すごく暑かったので、アンはベロを出していて、かわいそうでした。氷をくっつけてやったり、うちわで扇いだりして自然と仲良くなりました。今日も、ちゃんと僕のことを覚えていてくれれて嬉しかったです!」と笑顔で語った。アンを自転車の前かごに乗せて漕ぐのは大変だったようで「アンが結構重くて、フラフラしちゃうんです。だから家で、10キロの米をかごに乗せて漕いだりして練習しました」と努力家の一面も見せた。大志は父親に黙って旅に出るが、武井くん自身、親に黙ってどこかに出かけた経験は?と尋ねると「まだそれはないです」とのこと。だが「かくれんぼやみんなを驚かせるのは好きですね。体が小さいので、机の下の狭い隙間に隠れてみんなをびっくりさせたりしたことはあります」と得意げに語った。阿部さんはなぜか、“机の下”というのが気になったらしく「ベッドの下じゃなくて机?」と尋ねたが、武井くん曰く「ベッドは見つかりやすい」とのこと。子供たちの事情に阿部さん「なるほどね…」と納得の様子。阿部さん自身は子供の頃を思い返し「秘密基地を作って、家の目覚まし時計を持ち込んだりしてました。でも、親って気づくものなんですね。いつのまにか時計は家に戻ってました(苦笑)」と懐かしむような口調で語った。そしていざ、自分が大人になって、父親になってみると、親に黙って旅に出る子供については「びっくりですね。親に黙って小豆島まで行く子供って…」と心配そうな顔も。「成長してくれたら嬉しいですが、少し怖くもありますね。でも、この映画は怖いことばかりじゃないって教えてくれます」と優しい表情で語った。鈴木さんは、この日の浴衣について「クレマチスの花の柄です。実家の母が育てていたので嬉しいです」と笑顔を見せた。「最近は、夏を感じることも少なくなってしまい、このイベントのおかげで今年初めての浴衣です。こんなことではいけないな、と思ってます」と苦笑交じりに語った。自転車で旅するならどこに行きたいか?という質問を3人にすると、武井くんは「空気がおいしいところがいいです。川とかがあって涼しいところで、アンと一緒に水遊びがしたいです」とコメント。一方、阿部さんと鈴木さんは共に「自転車を持ってない」そう。阿部さんは「まずは自転車が欲しい」と語り、さらに武井くんの浴衣を見て「自転車の柄の浴衣もほしいですね」と付け加えた。鈴木さんは「犬を2匹飼ってるんですが、若い方の犬をかごに乗せて走りたいですね」と答えたが、これに阿部さんは「若くない方の犬はダメなんですか?」と少し哀しげにツッコミを入れた。鈴木さんは笑いつつ、「おばあちゃん犬なんで、かごに乗せると負担がかかるかな、と思ったんですが、むしろ彼女をかごに乗せてやって、若い方の犬は、走って付いてきてもらいましょうか…」と想像を膨らませていた。最後に3人に、これから映画を観る観客に向けてのメッセージを求めると、武井くんは「この映画は、いろんな人と出会い、助けられながら旅をする物語なので、観た人がいろんな人に優しくしてあげられるようになると嬉しいです。夏の思い出にしてください!」と呼びかけた。11歳とは思えない完璧な挨拶に阿部さんも鈴木さんもタジタジ。阿部さんは「いや、もういいです。本当にその通りです。なんか、いいなぁ…(笑)」となぜか照れくさそう。鈴木さんも「全て武井くんが言ってくれました」と息子の姿に感動した様子だった。『僕とママの黄色い自転車』は8月22日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。■関連作品:ぼくとママの黄色い自転車 2009年8月22日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2009「ぼくとママの黄色い自転車」製作委員会■関連記事:温かくて強い、家族愛を描く『ぼくとママの黄色い自転車』試写会に5組10名様ご招待阿部サダヲ、鈴木京香とのアンバランス夫婦に「お前とそれか?みたいなパターン…」
2009年08月12日