【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第58回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】私は保育士で、今は保護者を支援する立場にいます。年々、対応に難しさを感じる保護者は増えており、試行錯誤の毎日です。そうした中、最近、保護者からきつい一言を言われました。その保護者はなかなか子どもの爪を切ってきませんでした。保育士は子どもの爪を切るのは禁じられています。そこで、私は担当と一緒に2カ月近く「寝ている時に切ってはいかがでしょうか」などと、色々な声掛けをしてきました。ただ、それでも切っていただくことはできず、本人や周囲の子を傷つけてしまう恐れもあるため、次に私は「お忙しいところ申し訳ないのですが、○○ちゃん自身もお友だちも傷をつけてしまうといけないので、切っていただけないでしょうか」とお伝えしました。すると翌日、突然、周囲にほかの保護者もいる中、『私が忙しさにかまけて、何もしてないように言って!出来ないから出来ないんです!私の心に寄りそってない!』と言われてしまったんです。その言葉に私は唖然としてしまって……。今まで保護者の心に寄りそうように心掛けてきましたが、もう訳がわからなくなりました。玉置先生、心に寄りそうとはどういうことでしょうか?(47歳・女性・保育士)【回答】大変でしたね。保護者さんの心に寄りそうように努めていらしたのに、どこでボタンを掛け違ってしまったのでしょうか。ご相談いただいたので、私からひとつの可能性をご提示しますね。“答え”ではないですよ。今回のことをあなたがお考えになるための“材料”です。あなたが保護者さんにかけた言葉、「寝ているときに切ってはいかが」は“方法”の提示。「傷つけてしまうといけないので、切って」は“評価”。ここに、相手の心に寄りそう要素は残念ながらひとつもありません。保護者さんは、あなたに寄りそってもらっているとは微塵も感じていなかったかもしれませんね。保護者さんの心に寄りそうなら、まずは保護者さんの話を聴くことです。たとえば、5分でいいから二人きりになれる場所を確保して、座ってもらって、できればお茶を用意して、「お疲れさまです。毎日どうですか?」と。眠れているか、食べられているか、楽しめているか、とにかく保護者さんを話題の中心にする。特に保護者さんの“感情”を真ん中に置いて話をする。その中から、子どもの爪を切れない理由を一緒に探す。どうやったら切れるのか方法を一緒に考える。問題を抱えている方は、ものすごく敏感で鋭いセンサーを持っています。だから、こちらに少しでも上から目線の気持ちがあれば、すぐにバレてしまいます。人の心に寄りそうとは、自分の心の中をつまびらかに知ることである。私はこんなふうに考えていますが、いかがでしょうか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年01月08日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第57回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】先輩社員の働き方に疑問を感じています。入社して15年の私は、今の仕事を4年前くらいからやっていて、先輩2人と私の2人チームで担当しています。仕事の内容はエクセルを使ったデータの整理と分析で、先輩2人はどちらも私より一回りほど上のベテラン。仕事自体は難しいこともありますが、その分やりがいもあって満足しています。ただ、最近、一方の先輩の働き方が目に付くようになって……。私より2年も前から同じ仕事をしているのに、基本的なことを私に繰り返し聞くようになり、新しい作業が増えると、「自分にはできない」からと最初から理解しようとせず、人任せをするようになったんです。もちろん協力しあうことは大事ですが、これではもう一方の先輩社員や私にしわ寄せが来るばかり。もう一方の先輩は「努力するかどうかは本人の向上心次第だから」と達観しており、私もそうなろうと思ったんですが、そういう姿が目に入るとどうしてもイライラしてしまいます。こういうとき、どうやったら気持ちを切り替えられるでしょうか。(38歳・女性・会社員)【回答】え~と、ずいぶんと先輩さんのことが気になって仕方がないご様子ですね。よっぽど先輩さんのことがお好きなのか、はたまたあなたがお暇なのか……。入社して15年。今のお仕事で4年目。もう脂の乗り切った働き盛りですね。しかも、今のお仕事に「やりがいがあって満足している」とは、本当に素晴らしいです。なかなかないですよ、そういう職場は。うらやましい限りです。で、最近先輩の働き方が目に付いて、イライラして仕方ないと。イライラする原因は、「しわ寄せが来る」ことでしょうか。やりがいがあって満足している仕事だけど、人よりも多く働くのは嫌だということかしらね。チームメンバーの仕事量は全員同じでないと、ダメですか。さて、一般論で恐縮ですが、イライラの周りにはいろんなものがくっついちゃっているように思うんです。私たちはよく「あの人がこうだから」とか「このやり方がどうだから」と、人のせいにしたり、仕組みのせいにしたりしますけれどね、イライラの根っこは実はそういうことではないような気がするのです。案外、自分自身の考え方や物事のとらえ方にイライラの根っこがある場合が多いのではないでしょうか。ですから、気持ちを切り替える方法を探すというのももちろん「あり」ですが、その前に、なぜイライラするのか、自分自身の心の中をじっくり観察してみることをお勧めしたいと思います。自分の中にある根っこに気づいたら、すう~っとラクになれるかもしれませんよ。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2021年01月01日2012年、第13回全日本国民的美少女コンテストでグランプリを受賞し、芸能界入りを果たした女優・吉本実憂。近年では、映画『HiGH & LOW THE RED RAIN』で出会ったアクション監督・坂口拓に師事し、アクションや殺陣の腕を磨き続けている。女優として着実にステップアップする吉本が2020年を振り返り、2021年の展望への意気込みを語った。映画『罪の余白』(15)、『レディ in ホワイト』(18)、『瞽女 GOZE』(20)で単独主演を務め、2019年公開の『透子のセカイ』では2020年のフランス・ニース国際映画祭最優秀外国映画主演女優賞を受賞。8日公開の映画『大コメ騒動』に出演するなど、女優として着実に経験を積んでいる。2020年は模索しながらも、「充実していたようなしてなかったような、色でいうと“グレー”な1年だった。だけど黒と白の2色だけでつくられたグレーではなく、たくさんの色が混ざり合ってのグレー」と得るものはあった様子。ステイホーム期間は海外ドラマ『The 100』をはじめさまざまな作品を見たり、ブームとなった『あつまれ どうぶつの森』などのゲームをしたり、アニメや漫画を読んだりとたくさんのインプットをしたそう。そして改めて「“今”と“未来”について、たっぷり考えることができました」とのことで「この状況になる前と後で、自分の軸となる部分の気持ちにブレがなかったので安心しました。好きな芝居をとことん追求していきたいと」と芝居への思いを再認識した。そんな吉本のモットーは「リアル」。「芝居は決してウソをつくことではない。“自分”という人物たちが集まって、自分の人生の一部を真実の心で表現していく」と芝居について持論を展開する。2021年もあくまで「土台は、芝居、アクション。共にリアルを追求する」と軸はぶれない。そのうえで「洋服、メイク、ネイルが好きなのでファッションに関わることもやっていきたい。広く深く重く、色んなものを表現し、届けられるような人に」とさらなる成長を誓った。
2021年01月01日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第56回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】今年に入ってから手洗いの回数が異常に増えて困っています。私は元々神経質なところがあるんですが、今年に入って新型コロナウイルスが流行すると、帰宅後はすぐに服を着替えて手を洗うようになりました。最初はそれだけで済んでいたんですが、テレビやネットの情報を目にするにつれ、それだけでは不十分な気がしてきて……。手洗いを2回繰り返すようになり、必ず洗顔をするようになり、しまいにはシャワーを浴びないと落ち着かなくなってしまい、帰宅後に1時間以上体を洗う生活が普通となってしまいました。理屈ではこんなに洗う必要ないことは分かっています。でも、どうしても心の中で「サボった結果、感染するかも」という声が聞こえてきて、不安を拭うことができません。こういう時、どうしたら心の声を鎮めることができるでしょうか。(男性・23歳・会社員)【回答】1時間以上体を洗うって……あなた。「どうしたら心の声を鎮めることができるでしょうか」なんて言っていないで受診した方がよかあないですか。私たちは、ふたつのエンジンを持っていると思うのです。ひとつは、科学。もうひとつは、感性。なにかトラブルが起きたとき、科学のエンジンを使って、薬や道具の力で解決するのがいいときもあれば、感性のエンジンを使って、美味しいものを食べたりゆっくり寝たりして解決するほうがいいときもあります。もちろん、両方のエンジンをバランスよく併用するときもあるでしょう。「智慧」というのは、このふたつのエンジンをうまいこと使い分ける判断を誤らない力のことだと思うのです。さて、ではその判断基準は?私はこんなふうに考えているのでご紹介します。(1)困っているか自分自身にしろ、家族や友人など自分の周りにいる人にしろ、誰かが困っていたら、科学のエンジンを使いはじめる。(2)昨日よりひどくなっているのか、良くなっているのか、かわらないのか状況なり症状なりが、昨日と比べて“良くなっている”、もしくは“かわらない”なら、もうすこし様子を見ていても大丈夫。でも、“ひどくなっている”なら、科学エンジン使用開始、です。あなたの場合、状況はだんだんとひどくなっていらっしゃるようですね。そして、ここにご相談くださるくらい、あなた自身が困っている。つまり、科学エンジンの使用開始時期がきているということです。数多ある科学の道具の中でも、今回使うのは、まずは医療でしょう。というわけで、私だったら近所のクリニックにアクセスしますが、いかがでしょうか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年12月25日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第55回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】父が大事にしていた庭の花木を兄にすべて刈られて喪失感を感じています。5年前に他界した父は庭いじりが大好きでした。実家の庭には四季折々の花が咲き、それを見るのは私の実家に帰る楽しみの1つでもあります。ただ、実家を継いだ兄は植物に全く興味がないようで、父が亡くなってから植物の世話は専ら高齢の母任せ。以前は父の自慢であった白蓮を枯らしてしまったこともあります。ーーそして今年の彼岸。新型コロナウイルスの影響でなかなか帰れなかった実家に久しぶりに帰ってみると、庭の花木が一本もなくなっていたんです。花壇の小さな花々も含めて全部……。理由はカーポートを作りたいからということでした。家を管理しているのは兄なので責めることはできず。庭を見ては父を思い出していた私は、もう一度父を失ったような、実家を失ったような感じがしてただただ悲しかったです。今後は心のよりどころをどこに求めたらよいのでしょうか。(55歳・女性・会社員)【回答】諸行無常。この世の中に同じかたちで在り続けるものなどなにひとつないとわかっていても、変わりゆくさまを見ると悲しくなります。胸の奥の奥のそのまた奥から、じわああっと湧いてくる、この抑えようのない気分をいったいなんといったらいいのでしょうね。お父さまのお庭が変わっていくさまをご覧になって、そんな思いでいらっしゃるのではないかと想像します。でも、変わっていくのは世の理。うっかりお兄さんのせいにしたくなりますが、お兄さんでさえ、移り変わる万物の流れの中のひとつでしかないのです。ああ、あなたさまのご相談のおかげさまで、なんだか今日はものすご~く悠久な気分になっています。エネルギー保存の法則って、ご存じでしょう。私はそっちの方面はからきしなんですが、自分なりにこの法則を「すべては地球という器の中でグルグルしている」ということだと解釈しています。つまり、さっき飲んだ水が、体の中で尿になって、トイレから海に流れて、蒸発して雲になって、まとまって雨になって降り、山の上の湖に貯まって、溢れ流れ出して川を下り、浄水場に入って、水道管から私の手にしたコップにそそがれ、ふたたび私のからだの中へ……。こんな感じで、かたちは変われども、本質は決してなくならない。その法則からすると、おとうさまのお庭は、なくなりません。かたちは変わるけど、なくならない。そうかしらと思って眺めると、お父さまの思いがこもった花々があちらにも、こちらにも、ありはしませんか。お父さまもそのことに「早く気づいて」と、「オレの白蓮はあちこちにあるよ」と、おっしゃっているような気がします。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年12月18日スポティファイ(Spotify)が、サセックス公爵ヘンリー王子と公爵夫人メーガン妃が新たに創設したオーディオ制作会社「Archewell Audio」と複数年にわたるパートナーシップを締結した。本パートナーシップでは、サセックス公爵ヘンリー王子と公爵夫人メーガン妃が自ら番組を制作およびホストを務め、多くの人に共通する経験やストーリー、価値を通じたコミュニティ構築を目的とした全く新しいポッドキャストをスポティファイ限定で配信していくという。Archewell Audioとスポティファイによるポッドキャストシリーズの初回公開は来年の予定とされているが、それに先立ち、早速今月、サセックス公爵ヘンリー王子と公爵夫人メーガン妃がホストを務めるホリデースペシャル番組をスポティファイで配信。新年の訪れを祝し、心に響く希望と思いやりのストーリーを届ける。なお、今回のパートナーシップ締結に関して、サセックス公爵ヘンリー王子と公爵夫人メーガン妃より共同コメントも到着。内容は以下の通り。サセックス公爵ヘンリー王子と公爵夫人メーガン妃による共同コメント「ポッドキャストの魅力は、何かに邪魔されることなく、時間をとってしっかり聴くことでお互いにつながることができるということを思い出させてくれることです。2020年の試練に直面し、今こそそうすることが重要です。なぜならお互いに耳を傾け、話を聴くことで、私達はみんながつながっていることに気づくことができるからです。」初回公開を楽しみに、まずはホリデースペシャル番組を聴いてみたい。Archewell Audioポッドキャスト>>その他のSpotifyの記事はこちらから
2020年12月16日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第54回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】自身のがんと発達障害の長男に関する悩みで心がぐちゃぐちゃです。私は6年前に乳がんを患って、胸の全摘手術や抗がん剤治療をした後も、ホルモン治療を続けてきました。ですが最近、それが骨と肝臓に転移していることがわかりました。主治医からはステージ4だと言われています。そこで、一番心配になったのがこれからの長男の生活です。息子は今、発達障害(自閉症スペクトラムと多動性障害)を抱えており、就労ができずに人生の迷路をさまよっています。どうも本人に就労意欲がない(ように見える)ようで、何度話し合ってもラチがあかなくて。「私が死んだら、この子はどうやって生きていくんだろう?」と心配でなりません。ただ、自分自身の病気のこともまだ折り合いがついていなくて。病気になったことや残された時間の過ごし方、今後の長男の生活など、悩みの種が同時に襲ってきて気持ちがぐちゃぐちゃになってしまいました。この気持ちを整理するにはどうすればいいでしょうか。(女性・54歳・経営者)【回答】ご自分のご病気、ご長男のこと、どんなにぐちゃぐちゃなお気持ちでいらっしゃることでしょう。少しでもわかりたいと思うのですが、わたくしごときには想像もつきません。その“ぐちゃぐちゃ”をどう整理したらよいだろうか、ということですね。う〜ん……一発解決の大正解は……う〜ん……見つかりそうにありません。この世の中には、どうにもならないことが歴然と存在しています。自然災害もそう、病気もそう。私たち人間ごときにはどうこうできないものがたくさんあります。でも、こうして世の中は続いている。これまでにだって何度も全生命絶滅の危機はあったはずですが、こうして続いている。つまり、成るようになる。思い悩んだところで、成るようにしかならない、ということなのではないかと思うのです。私たちは、どうなるかわからないものをわからないままにしておくことがとても苦手です。いつだって、わかりたい、なんとかしたいと四苦八苦しています。でもね、この先どうなるかはやっぱりわからないのです。わからないことを思い悩んで多大なエネルギーを無駄遣いするより、同じように使うならもっと実のある使い方をした方がいい気がしませんか。この先残された時間がどれくらいあるのかはわからない。息子さんがどうやって生きていくのかもわからない。それは、どうしたってわからないので、わからないままそっと置いておく。そのかわり、一緒にいられる“今”の時間をどう過ごすか。散歩に誘ってみようか、ランチをしようか。それなら私たちの範疇です。勝手なことを言って申し訳ない。でも心から、あなたの“今”が万事うまくいくことを願っています。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年12月11日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第53回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】在宅勤務で同僚とのコミュニケーションの取り方に悩んでいます。私の会社はコロナ禍でテレワークが本格化し、今ではほとんどの社員が自宅で働くようになりました。それ自体は、往復1時間の通勤がなくなるなど嬉しいこともあるのですが、一方で同僚とのコミュニケーションが取りづらくもなって……。今までは相手に余裕がありそうな時を狙って雑談をしていたのですが、テレワークになってからは仕事に関係のある話しかしなくなりました。一応、パソコン上には顔を見ながら話せるオンライン休憩室もありますが、わざわざ休憩時間を合わせてまで話すことでもないので、いまいち活用はできていません。雑談が仕事に直結するというわけではないのですが、そうした他愛のない話を通して相手との信頼関係を維持していたところもあったので少し困っています。玉置先生ならこういうとき、どうやって相手とコミュニケーションを取りますか。(48歳・男性・会社員)【回答】あの〜……。雑談って仕事に必要なコミュニケーションなのでしょうか。もし私だったら、余裕がありそうなそぶりを見せるとすかさず狙って雑談をふっかけてくる同僚や上司がいたら、間違いなく逃げ出しますけれどね。「他愛のない話を通して相手との信頼関係を維持していた」と思っているのは、あなたです。雑談で気分が落ち着いて、相手との信頼関係が維持できているといい気分になって、仕事が円滑に回っていると満足する。それぜんぶあなたのフレーム(価値判断基準)を通してみた世界のありようなのですが、果たして、お相手の方々はいかがでしょうか。みなさんあなたと同じフレームをもって世の中をご覧になっているのかしら。オンライン休憩室にどなたもいらっしゃらないのが、その答えのような気もします。人と人との信頼関係というのは、雑談ごときの長短に左右されるものではないと思います。どんなに距離が離れていようとも、どんなに長く声を聞かずにいようとも、そのことでどうにかなる間柄なら、そこには信頼関係など最初からなかったのでしょう。2020年を呑み込んだコロナ禍。私たちはたしかに大きな打撃を受けました。しかし、「禍」ばかりではないとお思いになりませんか。さまざまなことを変えざるを得ない状況の中で、私たちはより「本質」を見る力をつけさせてもらっていると感じています。働き方、学び方、人間関係、家族の在り方、そして生き方、死に方。これまであたりまえのようによく考えもせずやってきたことを、ひとつひとつ見直す絶好の機会になっていると感じるのです。あなたのお困り事もその一つ。これを機に信頼関係とはいったいなんなのか、秋の夜長にじっくりと考え直してごらんになってはいかがでしょうか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年12月04日女優の吉本実憂が2日、東京・明治記念館で行われた「オスカープロモーション2021年新春晴れ着お披露目」に出席した。芸能事務所・オスカープロモーションが毎年12月に開催しているマスコミ向けイベント「晴れ着撮影会」。今年は新型コロナウイルス感染予防対策を重視し、撮影会形式ではなく、同事務所による撮影素材がマスコミ各社に配布された。映画『透子のセカイ』で2020年のフランス・ニース国際映画祭最優秀外国映画主演女優賞を受賞するなど、さらなる飛躍を遂げた吉本。今年嬉しかったことについて、アクション俳優で監督・坂口拓のもとで学び始めたことを挙げた。この出会いについて「『HiGH & LOW THE RED RAIN』の時、アクション監督で入られてた拓さんの姿を見てアクションを勉強したいと思い、その思いが坂口さんに出会わせてくれたと思います。それは決して偶然ではなく必然だと思っています」と熱弁。現在、坂口のYouTube公式チャンネル「狂武蔵たくちゃんねる」でも見事なアクションや殺陣を披露している。今年の漢字にも、アクションで実際に強くなろうとしていることから「闘」を挙げたが、「精神面では不安になってしまう時間が多かった」とも。だがここでも坂口の存在が大きかったようで「坂口拓さんと出会い練習していくうちに“気持ちでもちゃんと闘う”ということが深く身についた気がしています。物理的な強さだけでなく内面も進化していくということに気づかされた」と語った。この日は吉本のほか、小芝風花、高橋ひかる、本田望結、尾碕真花、井頭愛海、井本彩花、宮本茉由、本田紗来が参加した。
2020年12月03日1981年、英国のチャールズ皇太子とダイアナ・スペンサーの結婚式が挙行され、世界中の耳目を集めた。ダイアナ妃のブライズメイドは王室に縁のある5人の少女が務めたが、その内の1人、インディア・ヒックスが53歳で結婚したと英Daily Mailが報じている。ヒックスはマウトバッテン伯爵ルイスの孫で、母のパメラ・マウントバッテンは1947年のエリザベス女王の婚礼においてブライズメイドを務めた。チャールズ皇太子はヒックスの従兄弟にあたり、「インディア」と名付けたゴッドファーザーでもあった。13歳のときに皇太子から直にブライズメイドを引き受けて欲しいと電話で依頼され、世紀のロイヤルウェディングに参加したという。年4万ポンド(約550万円)という高額な学費で知られるスコットランド北部の名門寄宿学校ゴードンストウンスクールで学んだが、自室に男子を招いて退学処分に。その後はモデルとして活躍し、ラグジュアリーなライフスタイルを提案するデザイナーとしてキャリアを積んだ。大手広告代理店サーチ&サーチの元経営者デイヴィッド・フリント・ウッドとの間に4人の子どもをもうけ、養子も1人迎えながらも籍を入れずに約25年間、パートナー兼子どもたちの父母という関係を貫いてきた。しかし11月29日、ヒックスは突如Instagramで「デイヴィッドと私は結婚しました。数カ月前、ひそかに決めていました。揺るぎない愛に祝福を。死が2人を分かつまで」と発表。女優のナオミ・ワッツやケイト・ウォルシュ、エル・マクファーソンなどセレブリティがこぞってお祝いコメントを寄せている。
2020年11月30日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第52回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】定年を迎えて子どもも巣立った今、これからの生活が不安でなりません。私は15年前に離婚してから女手一つで2人の子どもを育ててきました。今ではその子どもたちも成人に。自分の元から巣立っていきました。私は若い頃から子どもだけが生きがいで、これといった趣味もなく、親しい友人もいません。今では定年を迎えて仕事もなくなり、一言も言葉を発せずに終わってしまう日もあります。以前の職場で受けた退職後の生活に関する研修では、趣味やボランティア、地域活動、人との会話が重要であることを教えられましたが、その重要性はわかっても、人付き合いが苦手な私には、いまひとつ前に踏み出せません。ですが、それを理由に子どもを私の話し相手にするのも迷惑がかかるのであまり頼りたくなくて……。元気な老後を過ごしたいと思うのに、この先の老いていく私に希望が持てません。(女性・61歳・無職)【回答】子どもは間違いなく生きがいですよね。女手一つでお二人のお子さんを立派に育てあげられたのなら、趣味なんて持つ余裕もかったことでしょう。ご立派でした。おかあさん、頑張りましたね。心から尊敬します。その子どもたちも無事巣立って、仕事も定年。一言も話をしないで終わる日もある。そうですか。こころもからだも、今、完全休業でいらっしゃるのですね。ところで、戦闘ゲームはなさいますか?携帯やパソコンを使ってポチポチとやる、あれです。私は最近、ヒーローと怪物が闘うゲームを熱心にやっているのですが、有能なヒーローにも休業時間があります。エネルギーを使い果たしてしまうと、次に攻撃するエネルギーがたまるまで怪物からの攻撃を避けながらただひたすらじっとしてなければなりません。そうしますとね、いずれエネルギーがたまりましてね、またどど〜んと打って出ることができるのです。同じじゃないですかね。あなたとヒーロー。これまで子育てに仕事に、わき目もふらずエネルギーを注いできたターンが終了して、今はじっとエネルギーをチャージするターンになった。でも、いずれエネルギーがたまれば、また動き出すターンになります。それまで、気楽にぼーっとしていましょうよ。「誰とも話していないから駄目だ」「子どもに迷惑がかかるから頼りたくない」などとネガティブに考えていると、せっかくたまりはじめているエネルギーが端から駄々洩れです。あ、それから。研修でお聞きになった趣味やボランティアや地域活動。ちっとも重要じゃないです。一歩踏み出す必要なんて、さらさらありません。ひとの退職後の生活にまで口を出すなって、言ってやりましょう。あなたの「これから」ですから。エネルギーがたまれば、あなたの中のなにかがきっと動きはじめます。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年11月27日メーガン妃が「ニューヨーク・タイムズ」紙にコラムを寄稿し、7月に第2子を流産したことを明かした。第1子アーチーくんのおむつ替えをしていたときに、腹部に鋭い痛みを感じ、アーチーくんを胸に抱きながら床に倒れ込んでしまったという。数時間後、病院のベッドに横たわっていたメーガン妃は、ヘンリー王子とともに涙を流したことなど、詳細を明らかにした。これまで英紙に対してプライバシー侵害訴訟を起こすなどして、プライバシーの尊重をたびたび訴えてきたメーガン妃。今回流産というプライベートな事柄について赤裸々につづったことに、「注目してほしいのか、そうでないのかわからない」と批判めいたコメントもSNSで多数見られ賛否両論があるが、下記のセレブはメーガン妃を支持している。女優のミア・ファローはツイッターで「メーガン・マークルによる賢く、痛みを伴う、寛大なコラム」と評してコラムを紹介。ビル・クリントン元大統領との不倫スキャンダルで注目されたモニカ・ルインスキーは「公にシェアされた個人的な痛みは、あなたの助けにはならないかもしれないけれど、だれかの助けになる」とツイート。9月に第3子を流産したモデルのクリッシー・テイゲン、流産経験がある女優のミン・ナもメーガン妃を擁護。メーガン妃は、「だれかに『調子はどう?』と聞かれたときに、彼らが心をオープンにして本当にその答えを聞こうとしてくれれば、悲しみはしばしば軽減される」と学んだといい、「私たちの痛みを共感してもらうことが、癒しへの一歩となる」とつづっている。(Hiromi Kaku)
2020年11月26日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談< 特別編(2)>「看取り」について発信し続け、悩み相談の名手としても知られる看護師・僧侶の玉置妙憂さんが、新刊『心のザワザワがなくなる比べない習慣』の発売を記念して、コラムニストの辛酸なめ子さんとトークイベントを開催!先週から2週にわたって連載特別編として、その対談の内容を紹介しています!今週はコロナ禍が揺さぶった看取りの在り方についてお二人が話し合いました。■「自分にとってのベスト」を見つけることの大切さ辛酸なめ子(以下、辛酸)「いま、コロナで仕事の仕方や日常生活が大きく変わってしまってつらい、という方も多いようなんですけども、妙憂さんのお仕事はどうですか?」玉置妙憂(以下、玉置)「私は普段は看取りの現場にいるんですけど、やっぱり影響を受けました。緩和ケア病棟は、毎日家族がお見舞いに来て、できるだけ長い時間一緒にいるもの。そうするのが看取り。というイメージが皆さんにあったと思うんですけど、それが無理やりな力でできなくなりました。『ご家族も面会できません』という事態になっているのは、皆さんご存知だと思います」辛酸「『看取りに立ち会えない』問題があると聞き及んでおります」玉置「病室には入れないので、画面越しに看取るということはありますね。病院によっては、最期は入っていただいたりするところもあるようですが」辛酸「病院によっても対応は異なるということですね」玉置「『看取りに立ち会えない』ということは医療現場にとって問題ですし、ご家族や患者さんにとってつらいし、悲しいことです。けれど、ここからあえて、あえて学びを得ようとするならば、『いままでと同じではないやり方』を問われている機会でもあると思うんですつまり、いままでは『定番』としてこうするのが普通だよね。と、私達が錯覚していたことが全然普通ではなくて、しかも全然それがベストでもなくて、それぞれの人がそれぞれのやり方で自分自身のベストなやり方を探す機会を貰ったような気がするんです」辛酸「看取りも、コロナ以前にも、『臨終の場面に全員が全員集合しなくてもいいのではないか』『亡くなる際をみんなに見てもらわなくてもいいのではないか』と心の中で思っていた方もいるかもしれませんよね」玉置「そう考えていたけど、これまでとても言い出せなかった方もいらっしゃいますよね。実際に、あるおばあさまが亡くなる、もう少しですねって話になりまして。そうしたら一族郎党集まってこられて、ベッドの周りに鈴なりなんです。『おばあちゃんありがとう』と。ところが、こう言っては失礼かもしれませんが、あえて表現すると、おばあちゃん“頑張る”んですよ。そうすると周りにいた人たちが、一人二人と欠けていくんですね。『すみません、どうしても仕事が抜けられなくて』とか、『ちょっとシャワーだけ浴びてきます』とか。ひとり欠け。ふたり欠けて、誰もいなくなったらすっと逝かれた、ということもありました」辛酸「周りでずっと見られているのが気になられたんでしょうね。死に姿を見られたくない、というプライドを感じさせます」玉置「おっしゃるとおりですね。誰もが周りに見守られて逝きたいというわけではないと思うんですよ。ひとりで亡くなることを『孤独死』と言ってすごくいけないことのように、「孤独死にならないように」と言いますけれども、孤独死じゃなくて孤高死かもしれないですよね」辛酸「ひとりでそっと亡くなりたい方も、みんなに見送られたい方もいろいろでいいということですよね」玉置「そうです。ところがこれまでは、何十年も生きてきて幸せなこともあったでしょうし、いい思いもされてきたのに、最期の亡くなった姿だけを見て「不幸な孤独死」と言っていた。それは、私たちがすごく失礼だったと思うんです」辛酸「一説によるとひとりで亡くなる方のほうが早く成仏できるとか」玉置「『逝かないで』と現世に引き留める人がいないからでしょうか?」辛酸「そんなことを聞いたことがあります」玉置「そう言われると、そうかもしれない。このように、私は『コロナで看取りに立ち会えなくなった』ということも事実なんですけど、反面、コロナで『看取りの方法が多様化した』とも言えると思うんです。ですから、いろいろ難しい問題はあるのですが、それぞれの人がそれぞれのいいと思うものをもう一回見つけ直してくださいという機会でもあるのではないでしょうか。自分にとっていいもの、ベストなものを見つけたら、人と比べてねたむことは減ると思うんです。これを本の中では『自分の軸を持つ』と説明しているのですが。」辛酸「コロナという災厄を通して、多様な価値観があることに気づければ、自分の軸を持つ第一歩になるのかもしれません」【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。辛酸なめ子(しんさんなめこ)漫画家、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。恋愛からアイドル・スピリチュアルまで幅広く執筆。著書に『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)、『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎文庫)、『霊道紀行』(角川文庫)、『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)などがある。
2020年11月20日メーガン妃が公務で使用した事でも知られる英国のラグジュアリーブランド「ストラスベリー」は2020年12月5日に、全米オープン女子チャンピオン大坂なおみ選手とのコラボレーションによるミニコレクション<NAOMI OSAKA x STRATHBERRY>をリリースします。デザインやイラストが好きでいつも移動中の車の中で、同じくテニス選手である姉のまりさんと一緒に絵を描いていたという大坂選手。ストラスベリーは以前から大坂選手のファッションへの純粋な関心と、唯一無二の個性、カラフルなセンスに注目しており、新作コレクションやカスタマイズバッグを提供してきましたが、ついにコラボレーション企画を昨年始動。ストラスベリーデザインの中から、大坂さんお気に入りの数点をピックアップ。スッキリ無駄のないデザインや丁寧な仕上げはそのままに、アクティブで現代的なテイストをプラスした魅力的なコレクションを完成させました。エース ブラック/ライム/シルバーエース フラミンゴ/コバルト/バニラカラーパレットは、コートでのしなやかでパワフルな動きを思わせるブラック/ライム/シルバーと、おしゃれでカラフルな感性を反映したコバルト/バニラ/フラミンゴの二種類。このコレクションには大坂選手のために特別に作られた、テニスラケットのグリップをモチーフにしたユニークな持ち手のバッグ、エースが初登場しますアレグロミニアレグロマイクロノースサウス ブラック/ライム/シルバー他にも使いやすくエレガントな形が特徴のアレグロミニ、愛らしいサイズのアレグロマイクロ、必需品がぴったり収まる軽量マイクロバッグのノースサウスなど、計5点のオリジナルバッグが登場します。さらに使いやすさ抜群のフラグメントケースも同様のカラーパレットで登場する予定。スペイン産の最高級のレザーを使用し、1点ずつスペインの熟練工が手作り。スポーティさとエレガンスを兼ね備えた、大坂選手のデザインやファッションへの愛を反映したミニコレクションに仕上がりました。<NAOMI OSAKA x STRATHBERRY>は2020年12月5日に全世界のECサイト、ロンドンとエディンバラのストラスベリー直営店で販売が展開される予定です。<NAOMI OSAKA x STRATHBERRY>販売:全世界のECサイト、ロンドンとエディンバラのストラスベリー直営店で販売予定。発売予定日:2020年12月5日(金)価格:エース ブラック/ライム/シルバー 9万3,000円エース コバルト/フラミンゴ/バニラ 7万8,000円アレグロミニ 7万4,000円アレグロマイクロ 6万2,000円ノースサウス 5万3,500円(価格はすべて税、送料込み)ウェブサイト:ストラスベリー社についてストラスベリーは、英国スコットランドの首都で世界遺産の街、エディンバラ発の高級バッグブランド。ゴールドのバーで留めるバークロージャを特徴とし、国際的な革アクセサリー業界の注目ブランドとして急成長。欧州の革工芸技術と品質へのこだわりを信条としており、一つ一つが伝統技術を熟知した職人による手作り、一つのバッグを仕上げるのに最高で20時間を費やしています。企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年11月20日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談< 特別編(1)>「看取り」について発信し続け、悩み相談の名手としても知られる看護師・僧侶の玉置妙憂さんが、新刊『心のザワザワがなくなる比べない習慣』の発売を記念して、コラムニストの辛酸なめ子さんとトークイベントを開催!そこで、今週から2週にわたっては連載特別編として、その対談の内容を紹介していきます!今週は「つい比べてしまう人」へ向けて、お二人が“処方箋”を送りました。■臨終の現場にも現れる「比べて妬む」人たち辛酸なめ子(以下、辛酸)「いま、コロナで仕事の仕方や日常生活が大きく変わってしまいつらい、という方も多いようなんですけども、妙憂さんのお仕事はどうですか?」玉置妙憂(以下、玉置)「私は普段は看取りの現場にいるんですけど、やっぱり影響を受けました。緩和ケア病棟は、毎日家族がお見舞いに来て、できるだけ長い時間一緒にいるもの。そうするのが看取り。というイメージが皆さんにあったと思うんですけど、それが無理やりな力でできなくなりました」辛酸「『看取りに立ち会えない』問題があると聞き及んでおります」玉置「病室には入れないので、画面越しに看取るということはありますね。病院によっては、最期は入っていただいたりするところもあるようですが」辛酸「病院によっても対応は異なるということですね」玉置「そうですね。そうすると、ここでも比べるという気持ちが入ってきてしまうんですよね。『あの病院は看取れるのに』というクレームが入るケースもあるようです。私がいる病院では、緩和ケア病棟は面会の時間を30分取り、一般病棟は全くゼロという時期もあったんです。そうすると、『あの方は3日前にも来て、30分超えても滞在してましたよね?だったらうちもいいですか?』とか、『緩和病棟の患者さんばっかりずるい』とか、そういうふうに比べる方もいらっしゃったりするんです。大切なご家族のそばに一秒でも長くいたい気持ちはすごく分かるんですけど、ご状況が少し違うわけじゃないですか。生死の境にいらっしゃる方と、回復の見込みが高い治療中の方だと違いが出るんですけど、「平等にしてほしい」となるわけです。でも、そうなるとすごく苦しいですよね。本当は。比べて同じようにしてくださいって言ってしまうと、今度、ご自分のところが切迫した状態になったときにも、その例外を認められないこともあり得るわけではないですか?」辛酸「条件が厳しいほうに合わせると、そうなりますね」玉置「ですから、看取りの現場と日常生活を全部同じには言えないですけど、『人に厳しくする』『比べて厳しくしちゃう』ということは、それが自分にも返ってくると私は思うんです」辛酸「自粛警察も、そうですね。人を厳しく戒めると、結果的に自分の自由も制限されるという」■コロナ疲れ撃退には「新しい流れ」に乗ることも大事辛酸「私たちはいままで、自分たちが思う以上に『普通』や『常識』に囚われてきたのでしょうか。でも、コロナによって囚われから解放されると」玉置「そうなんです。そしてコロナ禍のポイントは、そういう状況に強制的になったということですよね。出社なんて最たるもので、いままではこれに沿っていれば間違いはないと思ってた価値観からぽんと放り出されたということですよね。そうするとやっぱり迷い始めますよね?」辛酸「そうですね。突然なくなる戸惑いはあるでしょうね。私は出社はしませんけども、海外取材やパーティが突然なくなって、戸惑いはありましたね」玉置「いままでと違うので、最初はどうしていいかわからなくなったり、恐れを感じたり、やる気が無くなったり。ひどいと体調も悪くなったりとか。そういうような出方をしてモヤモヤなさっているのが、いまの皆さん、「コロナ疲れ」の状態だと思うんですね」辛酸「そうですね。ですから「早く元に戻らないかな」と思う方も多いと思うのですが、元に戻るでしょうか?」玉置「多分元には戻れないですよね?どう思います?」辛酸「そう思いますね。もう全部が元には戻らないような気が……」玉置「たとえばリモートワークだって、コロナ収束の見通しが立っても、『じゃあリモートやめて、全員出社』というふうにはならないと思います。万物は、絶対的に流れている時間の中でどんどんどんどん変わっていくわけじゃないですか。だからまた過去に戻らないで、違う形になっていくと思うんです」辛酸「また印鑑に戻そうとか、ならないですよね?多分」玉置「そうですね。だからこそいまは変化の時期だと思うしかないですよね。コロナの状況をつらいな、嫌だなと思っていらっしゃる方もいると思うんですけど、逆に新しく生まれるタイミングだと、思うこともできるんじゃないでしょうか」辛酸「では、早く元に戻ってほしい、疲れる……と思うのだったら、新しい流れに乗ってみるのもありだと」玉置「そうですね。それができれば、多様なあり方を認めることができるので、いろいろなことを人と比べなくなると思いますよね」辛酸「コロナによって生まれた多様性ですね」玉置「やっぱり、自分のこともOKだったら人のこともOKだし、あの人がOKなことが私にとってOKじゃないっていうのもありだな、ということが分かってくると、いまよりもっとずっと精神的に穏やかな、そして豊かな世界になる可能性があるんじゃないでしょうか」【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。辛酸なめ子(しんさんなめこ)漫画家、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。恋愛からアイドル・スピリチュアルまで幅広く執筆。著書に『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)、『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎文庫)、『霊道紀行』(角川文庫)、『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)などがある。
2020年11月13日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第51回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】実の娘のことで相談です。いま高校1年なのですが、言うことを聞きません。自分のバイトや趣味のことはフレンドリーに話しかけてくれるので、関係が悪いわけではないのですが、こちらがやってほしいことはほぼやりません。片付け、整理整頓、最低限の勉強、最低限の気遣い……。ちゃんと教えてきたつもりですが、何度言っても生返事で、厳しく注意すれば(主人に対しても)毒も吐いてくるので、嫌になります。特に勉強については私たちも困り果てていて。中学受験もして、勉強ができないわけではないのですが、やりません。成績も酷く、宿題もやらず、学校も行ったり行かなかったり。当然、先生からはしょっちゅう電話がかかってきます。本人は「嫌いな勉強をするより、今を楽しみたい」などといっちょまえのことを言っていますが、このままではとても大学への進学は無理です(そもそも高校卒業も)。思春期でもあり、多少は大目に見ているのですが、常軌を逸しているように思います。夫婦ともども途方に暮れているので、よい対処法を教えていただけないでしょうか。(48歳・女性・主婦)【回答】極めて正常な高校1年生ですね。「こちらがやってほしいことはほぼやりません」って、お母さん、あたりまえでしょう。しかも「最低限の勉強」「最低限の気遣い」って、どこからが最低限ですか?あなたが考える「最低限」は、全国共通の定義かなにかになっていますか?相手はもう自分というものを持っている年齢ですよ。こちらの価値観を押し付けて、「はい、そうですか」と言うわけがありません。むしろ、そう言わないことを「おお、まともに育っている」と喜ばなくちゃ。厳しく注意すると、いやな言葉を吐いてくるのもあたりまえです。どんなにかわいい子犬だって、しつこくこねくりまわされれば噛みついてくるんです。こねくりまわす方が悪い。これが世の常、あたりまえのことです。なのに、バイトや趣味のことはフレンドリーに話してくれるんでしょう?いい子じゃないですか。もうこれ以上変な風にかまって、いじけさせないでくださいね。今の世の中、大学に行ったからって安泰じゃありません。働き方だって、私たちには想像もつかなかった形態に変わっています。いろんなものの価値が変換して、世の中そのものが大きなパラダイムシフトに呑み込まれているのです。その波に果敢に立ち向かい、自力で泳いでいこうとしているのが彼女ですよ。私たちが持っている経験値なんて、彼女にはなんの役にも立たない。私たちにできるのは、彼女が泳ぎ疲れたときに休める安全地帯でありつづけること。あったかくて、やわらかくて、心も体も休まる場所でありつづけることだけなのではないでしょうか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年11月06日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第50回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】引っ越してきてから近所の人にずっと怯えて暮らしています。20年前です。引っ越しの挨拶回りをしていたとき、私は向かいの人から初対面にも関わらず、車のドアを閉める音がうるさい、玄関の開閉音がうるさい、子ども外で遊ばせるな、などの文句を言われました。私はそれだけでも怖かったのですが、向かいの家の中からは、よくその人の怒声も聞こえてきて。その矛先が私たちに向かうと思うと怖くて仕方がなかったので、子どもが小さいころは、窓を閉め切って、大きな物音を立てないように気を張って生活していました。今では子どもも成人して家を離れ、以前のように文句を言われることは少なくなりました。けれども、得体のしれない怖さは自分自身の中に残っていて、未だに何か言われるのではないかと不安を抱えて生活しています。この不安な気持ちをどうにか軽くすることはできないでしょうか。(53歳・女性・会社員)【回答】20年!?20年ですか……。あまりの時の長さに、走馬灯のようにいろんなことが頭に浮かんでしまいました。あなた、20年って、本当に大変なことですよ。これまでの人生の3分の1を不安な気持ちで過ごしてきたということではないですか。それはもう……お気の毒としか言いようがない。この不安な気持ちを軽くすることはできないか、ということですね。私だったら、私だったらですよ。持ち家だろうが家のローンが残っていようが、全力で引っ越す方向で動きます。だってね、困り事の元凶からは距離を置くに限るんです。でも、最近は以前のように文句を言われることは少なくなったんですね。でも、得体のしれない怖さが残っていると。となると、これは、あなたの心の「クセ」の問題ですね。長きにおよんで「文句を言われる」ことを警戒して生活してきた心には、文句を言われるんじゃないかと警戒するクセがついてしまったのでしょう。これはクセですから、事実とは関係なく回路が回ってしまいます。だから漠然とした不安がいつも生成されているのです。どうにかしたいクセを消すためには、あたらしいクセで上書きする方法があります。「不安にならなくても大丈夫」と考えるクセをつけるのです。クセをつけるためには繰り返しが大切です。毎朝10回「私は安全なところにいる」と唱えるとか。「文句を言われたとしても平気」と書いた紙を貼って、目に入るたびに「そうだそうだ」と思うようにするとか。見て、聞いて、声に出して、五感をフル活用しながら新しいクセをつけていきましょう。まだお若いんだもの。人生あと半分以上ありますからね。いい「クセ」つけて、らく〜に生きていっていただきたいと思います。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年10月30日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第49回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】実の兄から絶縁を迫られています。最近、母が亡くなりました。母は父が他界してからずっと兄との二人暮らしで、長いあいだ介護が必要でした。そこで、もっぱら母の世話を焼いていたのが兄。自分自身が持病を持ちながらも、優しい性格の持ち主であった兄は、とても献身的に母の世話をしていました。しかし、母の死後、そんな兄から私は絶縁を言い渡されました。理由は私が介護の手助けをしなかったことだと言います。ただ、私たち家族もやれる範囲で精一杯やってきましたし、なによりこれから独りになる兄が心配でなりません。門前払い覚悟で話し合いに行くべきか、今は時をおくべきか。関係を修復するためにはどうしたらよいでしょうか。(64歳・女性・無職)【回答】人生いろいろありますね。さぞかしお気持ちの晴れない日々を送っていらっしゃることでしょう。胸がふさがる思いで読ませていただきました。お兄さまからの絶縁宣言。門前払い覚悟で話し合いに行くべきか、今は時をおくべきか……。私は、時をおくべきと思います。二人暮らしで献身的にお世話されてきたお母さまを亡くされて、お兄さまは今、その事実を消化することに精いっぱいでいらっしゃるのでしょう。大切な人を失ったあとの虚無感というのは、一緒にいた時間の物理的な長短に比例すると思っています。24時間一緒に暮らしていた方ならば、そのぽっかり空いてしまった穴は、ちょっとやそっとじゃ埋めきれない大きさでしょう。それを埋めるために、人は泣いたり、怒ったり、ときには当たり散らしたりして、四苦八苦します。時間をかけて、“時間薬”の力を借りて、もがきながらすこしずつ穴を埋めていくのです。お兄さまは、今まさにその作業の真っただ中。押しかけていって、さらなる負荷をかけるのはお気の毒ですよ。話し合いといっても、つまるところは「私たち家族もやれる範囲で精一杯やってきた」ということをお兄さまに認めさせたいだけでしょう?今は時をおきましょう。お兄さまの作業を見守りましょう。思いつめすぎてお体を壊すことはないか。病的にお気持ちが沈んでいる様子はないか。注意しながら静かに見ていましょう。大切なのは、かたくなに背を向けているお兄さまがふと振り返られたときに、そこにあなたさまが変わらずにいることだと思います。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年10月23日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第48回>数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】母の延命治療をやめられなくて困っています。昨年6月、母は脳梗塞で倒れ、後遺症で食事をすることができなくなりました。そのとき、病院からは胃ろうにするか、経鼻経管栄養にするか、そのままにするかの3つの選択肢が。私たち家族は突然のことでうろたえてしまい、看護師の「経鼻経管栄養にすると元気になる」という言葉にすがって経鼻経管栄養を選択しました。けれど、それから1年が経ったいまも、母は食事どころか一滴の水を飲むこともなく、病院のベッドで横になって苦しい日々を過ごしています。私としては、母の人生の最期がこんなにも苦しいもので終わってほしくないので、延命治療は中止したいと思っています。ただ、看護師からは中止できないと言われています。私たちが延命治療を選択したのだから自分たちの責任であることは重々承知ですが、治る見込みのない延命治療に意味はあるのでしょうか。玉置先生ならこんなときどうしますか。(59歳・女性・主婦)【回答】大変なご状況ですね。ご心労いかばかりかと、胸が痛みます。気になりましたのは、「看護師の経鼻経管栄養にすると元気になるという言葉にすがって」「看護師からは中止できないと言われて」ということですが、お話しされているのは医師ではなく看護師ですか?お話の内容は治療方針に関わる重要な部分です。治療の専門家は医師ですから、このようなご相談は最終的には主治医となさった方がいいですね。看護師はあくまでもケアの専門家ですから。それから、延命治療は中止できない、経鼻経管栄養を延命治療と解釈できるのはおっしゃる通りですが、現場では経鼻経管栄養を中断することはいくらでもありますよ。なぜなら、経鼻経管栄養=延命治療ではないからです。私ならどうするか。まず、主治医と話をします。そして、今がどういう状況なのか理解する努力をします。少し厳しい言い方ですが、患者側も賢くならなければいけません。「看護師の言葉にすがって」とか、「看護師からは中止できないと言われて」とか、看護師から得た情報だけに縛られて右往左往するのはいかがなものでしょう。世の中は便利になっているのですから、本でもネットでも、もっと多角的に情報を集められるようおすすめします。ところで、お母さまには意識がおありなのでしょうか。コミュニケーションはおとりになれますか。「病院のベットで横になって苦しい日々」「人生の最期がこんな苦しいもので終わってほしくない」と、お母さまがおっしゃっておいででしょうか。そうであれば、お母さまの心のケアが必須です。もし、そうでなく、あなたがそう考えてしまっていらっしゃるなら、お伝えしたいことはふたつです。ひとつは、お母さまはそうは思っていない可能性があるということ。もうひとつは、あなたの心も手厚くケアされなければいけないということです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、ニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年10月16日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第47回>TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】保育園に通うひとり娘がなかなかうまく言葉を喋れなくて悩んでいます。私の娘は今年で2歳になりますが、周りの同じ年ごろの子たちと比べて喋り方がかなり拙く、私も気にはかけていました。でも先日、自治体の健康相談室の人から「普通と比べてかなり話し方の成長が遅いですね。たくさん話かけてあげてください」と、はっきり言われてしまって……。両親からも病院に連れていったほうがよいのではと、しょっちゅう言われるようになりました。私としては、自分なりに仕事以外の時間は娘と接して、いろいろ手を尽くしているつもりだったので、育児の至らなさを責められているようでなりません。こんな気持ちをどう整理すればよいでしょうか。また娘を病院に連れて行ったほうがよいのでしょうか(36歳・女性・会社員)。【回答】ご相談くださって、ありがとうございます。ご心配のあまりこんがらがってしまっているところもあると思うので、整理していきましょう。まずは、「普通と比べて」ということですが、もともと子供の成長には個人差がありますからね。なにをもってして「普通」とするかは難しいところがあります。まずは、そこをふまえておきましょう。次に、とはいえなにかあるのかもしれませんから、医者に相談してみるのはよいことだと思います。万が一なにかあったような場合には、対処が早ければ早い方が良いということもありますから、気軽に相談してみてください。私は看護師で病院にいましたけれど、こういったご心配で受診なさる親子さんはたくさんいらっしゃいましたよ。そして、「子どもがなかなかうまく喋れない=母親の育児に問題がある」ではないことをしっかりわかってください。あなたの耳が、そうねじ曲げて聞いてしまっているだけです。ご両親様だって、かわいいお孫ちゃんのことを思って受診を勧めてくださっているだけですよ。それなのに、「至らなさを責められている」と思って聞いてしまうと、それを認めることになりそうで、なかなか病院にも行きづらいでしょう?子育て中のお母さんは子どもを守りたいばっかりに、時に視野が狭くなって自分で自分を追い詰めてしまうことがあるようです。孤軍奮闘。全責任を自分がとらなきゃならない、すべては自分のせい、みたいなね。でも、丸投げできることはしちゃいましょう。医者に頼れることなら医者に。そのほかのことだって、どんどん身近にいる人の手を借りちゃいましょうよ。だって、育児なんてね、我が子を「かわいい!」と思ったらそれだけでパーフェクトですから。まずは、肩の力を抜きましょう。深呼吸して。大丈夫。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年10月09日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第46回>TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】学生のころにいじめをしてしまった記憶に苛まれています。私は中学生時代にいじめグループに所属していたことがあります。当時の私は、自分が無視されてしまうことがほんとうに怖くて、自分が標的にならないようにと、同じクラスの子を集団で無視したり、筆箱や上履きを隠したり、影で悪口を言ったりと、いじめに加担していました。その結果、標的となった彼女は不登校になったのち、別の学校へ転校。その後どうしているのかは全くわかりません。それから20年ーー。私は結婚して子どもができたのですが、子どもを見ていると、何であんなことをしてしまったのかと、後悔がどっと押し寄せてきています。こんな私にいまできることは何かありますでしょうか。(34歳・女性・主婦)【回答】そうですか。いじめる側でしたか。愛おしい子を待つ身となって、その時のことを後悔されていらっしゃるのですね。私は、いじめる側といじめられる側は対極にあるように見えて実は同じだと思っています。どちらも道の端っこから転がり落ちてしまっているという点では、ですけれども。でも、若く経験の足りない頃は自分の歩いている位置がわからないので、どこが端っこか見当がつかず、うっかり落ちてしまうことがしばしばあります。何度も何度も落ちているうちに、「あぁ、ここが端っこだ」とわかるようになり、落ちないように真ん中を歩くことができるようになるのです。いじめに加担しなければ自分がいじめられる側になってしまうと思って、いじめる側だったあなたには、両者が同じということがよくおわかりいただけるのではないでしょうか。20年たって、そのからくりがようやく腹に落ちたのですね。さて、こんな私に今できることはあるか。いろいろあると思います。こうやって質問してきてくださるほど深く考えることも「できること」でしょう。我が子を見守り、必要であれば経験から得た助言をすることも「できること」でしょう。経験したからこそわかる当事者の気持ちを活かして、いじめ問題に取り組むことだってできると思います。ただ、なかったことにすることはできません。誰かに許しを請うのも、違うような気がします。やってしまったことはやってしまったこととして、後悔の念に七転八倒しながら、一歩でもまっとうな人間に近づけるように日々精進していく。もう二度と道を踏み外さないようにしっかり真ん中を歩いていく。それが、一番重要な「できること」のような気がします。彼女、幸せになってくれているといいですね。彼女の人生が、豊かで、穏やかで、順調でありますように。私も祈ります。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年10月02日咲妃みゆが、藤田俊太郎の演出によるミュージカル『NINE』に出演する。役どころは、城田優が演じる主人公グイド・コンティーニの妻ルイザ。作品について予習し、イメージを膨らませる稽古前の思いを語ってもらった。【チケット情報はこちら】アーサー・コピットが脚本、モーリー・イェストンが作詞・作曲を手がけた本作は、フェデリコ・フェリーニの自伝的映画『8 1/2(はっかにぶんのいち)』を原作としたミュージカル。1982年の初演はトニー賞10部門にノミネートされ、作品賞、作詞・作曲賞、助演女優賞、衣装デザイン賞、演出賞の5部門で最優秀賞を獲得した。スランプに陥り迷走する映画監督グイドが、妻・愛人・女優など彼を取り巻く女性たちと“愛”の物語を繰り広げる本作。女性の影が絶えない夫を持つルイザを「観客の同情を得やすい立場」としながらも、咲妃は「彼女にも人間じみた一面があるので、単なる悲劇のヒロインと捉えないようにしたい」と意気込む。ではルイザの感情がスパークする劇中のナンバー「My Husband Makes Movies」を、どんな気持ちを込めて披露するか──。そう尋ねると、咲妃は「いろんな感情が楽曲の中で歌われますが、言いたいことは“I Love You”ひとつだと思います」とまっすぐにコメント。「グイドへの揺るぎない絶対的な愛を意識しながら、彼を翻弄しつつ振り回されたいですね」と言葉を重ねた。夫グイド役を務める城田とは初共演。しかし、彼の出演作をよく鑑賞している咲妃は「嘘のない真心からのお芝居に、毎回胸を打たれます」とその印象を述べる。劇中では結婚して年月を重ねた二人の葛藤が描かれることから「時間の積み重ねが舞台上で自然に表れるよう、稽古場から信頼関係を育みたい」と笑ってみせた。「女性の生きる力強さを表現したい」と藤田が打ち出す演出の方向性にも、咲妃は共感の姿勢を見せる。男性優位思想の残る時代に生まれた『8 1/2』の世界をそのまま踏襲すると、現代の観客は違和感を覚えるかもしれない──。そんな藤田の懸念を紹介し「グイドに“翻弄される”というより、主体的に彼へ“陶酔していく”女性たちの姿が描かれます」と構想の一端を覗かせた咲妃。ルイザとしてどのように役を立ち上げるか、ぜひ劇場で確かめてほしい。公演は11月12日(木)~29日(日)に、東京・TBS赤坂ACTシアターにて。その後、12月5日(土)~13日(日)に大阪・梅田芸術劇場 メインホールと巡演する。11月20日(金)のぴあ貸切公演の先着先行を10月8日(木)まで受付中!取材・文:岡山朋代ヘアメイク:本名和美スタイリスト:中村美保
2020年09月30日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第45回>TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】最近、弟夫婦の暮らしが心配でなりません。義妹の母は以前の病気の後遺症で、1人で自由に出歩くことができません。父も認知症を患っているようで、生活のサポートが必要です。そのため義妹は仕事と家事の傍ら、休みのほとんどを2人の通院や日々の買い物のサポートに当てています。一方で、私の弟とはというと、仕事以外なにもしません。家事を手伝うことはなく、休みの日も趣味に明け暮れてばかり。また、弟夫婦は90歳近い私たちの母とも暮らしているのですが、弟は母の世話はもちろん、話し相手になることもありません。それでも義妹はとても前向きな性格で周りに不満を漏らすことはなく、母も身の回りのことは自分でできているので、いまは何とかなっています。ただ、義妹の負担や母の寂しそうな様子を見ると、この先がとても心配で……。弟夫婦の問題なので、気安く口出しするのもあれなんですが、もう少し弟に積極的に向き合ってほしいと思っています。自分はどういう風に関わっていけばよいでしょうか。(61歳・女性・会社員)【回答】義妹さんの負担がご心配で、なんとか弟さんに変わって欲しいと思っていらっしゃるのですね。そのお気持ちは伝わってきました。でも、残念ながら人を変えるということは、私たちには120%できません。人は変わるけれど、変えられないのです。こちらがいくらあれこれ気を揉んだところで、弟さんご自身がそう思わなければ変わりません。だから、弟さんを変えようという方法は、早々にあきらめましょうね。今のところ、義妹さんからのSOSも出ていないようですね。ご両親に加えて義母さまの面倒まで見ていらっしゃるのですから、本当に大変なことと思いますが、持ち前の前向きな性格でこなしていらっしゃる。たいしたものです。救援信号が出ていないとなると、あなたのご心配は杞憂である可能性もあります。さて、これからどういう風に関わっていけばよいのか、とのことですね。ものすごく短絡的で恐縮なのですが、義理の妹さんを手伝いに行ってさしあげればよいのでは?「弟夫婦の問題なので気安く口出しするのもあれ」とのことですが、こうやってもうすでに首を突っ込んでいらっしゃるわけですから、ね。お母さまが寂しそうだと感じていらっしゃるなら、お話しをしに訪ねてみるのもよいでしょう。なんとなく、それが憚られるご状況がおありなのでしょうか。もしそうだとすると、問題は弟さんではなく、義妹さんとあなたとのご関係ということになるかもしれませんね。きっといろいろな背景がおありでご苦労の多いことと思いますが、最後に、ひとつの言葉をご紹介させてください。「菩提心を因となし、大悲を根本とし、方便を究竟となす」これは弘法大師空海の教えで、意訳すると“人のためという気持ちで愛に基づき行動することこそが一番大事”という意味になります。この言葉の中にこれからの関わり方のヒントがあれば幸いです。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月25日仲村トオル、杉野希妃、斎藤工、中村ゆりが共演する映画『愛のまなざしを』が来年公開されることが決定。場面写真も到着した。貴志は、患者の話に耳を傾けてくれると評判の精神科医だが、6年前に亡くした妻・薫のことを想ってはむせび泣き、薬で精神を安定させる日々を過ごしていた。患者としてやってきた女・綾子は、治療関係を超えて貴志と気持ちが通じ合い、やがて貴志に寄り添うようになる。しかし綾子は、貴志の亡き薫への断ち切れない思いや薫との子ども・祐樹の存在を知るや猛烈な嫉妬心にさいなまれ、独占欲がふくらむ。そして、前妻の弟・茂に近づき…。本作は、亡き妻への思いを捨てきれない男と、その男に恋をする女、嫉妬と復讐と救済の劇を描く物語。これまでも強烈な自我を持つ女性を軸に、狂気ともいえる愛を描いてきた万田邦敏監督が、『UNLOVED』『接吻』に続き、共同脚本・万田珠実と3度目のタッグを組んだ。キャストには、『UNLOVED』『接吻』でキーパーソンを演じた仲村さんが、現実と幻想の区別がつかなくなる精神科医・貴志役。貴志からの愛を切望する綾子役は、監督としても活動する杉野さんが演じ、本作の発案・プロデュースも務めている。また、亡くなった姉に恋焦がれる内山茂役を斎藤さん。6年前に亡くなった貴志の妻の亡霊を、中村さんが強く儚く演じる。ほかにも、貴志の息子・祐樹役は、オーディションで選ばれた藤原大祐が演じ、映画デビュー。片桐はいり、ベンガル、森口瑤子らベテランが脇を固める。仲村さんは「『愛のまなざしを』の撮影現場は過去の自分が出演した万田邦敏監督の作品と比べると『答えなど最初からないのです』と言われ、『迷宮を駆け抜けたような』日々でした。過去の万田組の現場の雰囲気と共通していたのは涼しさより少し冷たさに近いような、ひんやりとした緊張感、でしょうか。ただそれも、過去の現場にあった張りつめていたものが、時に歪んだり捻じれたりするような新鮮な瞬間が何度もありました」と今回の撮影をふり返っている。『愛のまなざしを』は2021年公開予定。(cinemacafe.net)
2020年09月19日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第44回>TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】このコロナ禍で、東京にある大学に戻ろうかどうか悩んでいます。私は今年の4月に東京の大学院に進学しました。でも、入学早々にコロナの影響で大学からは極力来ないでほしいとの連絡が……。私も感染するのが怖かったので、一週間も経たずに地元の浜松に戻ってきました。それから5カ月、私は今も浜松の実家にいます。修士1年である私は2年間の研究テーマを決めなければいけません。けれど、指導教員とはオンラインで一度しか話ができておらず、いまだに方向性を定められていません。また、専門書などがない実家ではできることも少なくなってきました。でも、東京に戻ることを考えると、どうしても感染することが頭にチラついて、なかなか一歩踏み出すことができません。玉置先生ならこんなとき、実家に残りますか。それとも研究を進めるためにリスクを取って東京に戻りますか。(23歳・女性・学生)【回答】2020年。今年がこんな年になるとは本当に思ってもいませんでしたよね。晴れて大学院に進学され、修士1年目の華々しいスタートだったはずなのに、出端をくじかれたお気持ちはいかばかりかとお察しいたします。さて、感染することが頭にチラついてなかなか一歩を踏み出すことができない、とのことですが、その根拠についてはもう調査済みでしょうか。あなたもこれから大学院で研究論文をまとめようという方ですから、立派な科学者の一員です。感染を怖れるにはその根拠がなくてはいけません。どうでしょう。新型コロナウイルスの感染者数は毎年流行しているほかの感染症と比べてどうですか。重症化率は?致死率は?後遺症の報告数は?もうすでに分析済みとは思いますけれど、結果はいかがでしたでしょうか。まさかとは思いますが、危険を煽るワイドショーの報道だけを根拠にしてはいませんよね?それとも、踏み出せない理由には回りの方の強い反対もあるのかしら。私たちはひとりで生きているわけではありませんから、周りの方の心情も慮らねばなりません。お父さまやお母さまのご心配もおありでしょうし、地域の人の目もあります。好き勝手にはできない、しちゃいけないってこともありますよね。でも、だからこそ、しっかりした根拠でもって安心させてあげるのがあなたの役割なんじゃないかなあ、とも思います。たったの2年しか時間がないのに、指導教員とも話せず、テーマも決まらないとあっては焦るでしょう。でも、その停滞をコロナのせいにばかりにしていては逃げになってしまうのではないかしら。大学院にいってまで研究したいことがあったから、進学したのでしょう?方向性を決めるのに重要なのは、専門書でも指導教員の助言でもなく、あなたのパッションですよ。それがあれば、今の時代、どこにいるかは何の障害にもならないはずです。「実家に残るかリスクをしょって東京に戻るか」なんて二者択一に自分を追い込まないで、もっと視野を広く持っていきましょうよ。ね。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月18日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】上の階からの騒音に困っています。郊外のマンションに暮らし始めて20年目。今年の3月に、6歳と2歳の男の子を持つご夫婦がマンションの上階に引っ越してきました。子どもたちはとにかく元気なようで、朝から晩まで、家の中を走り回る音やボールを床について遊ぶ音が響いてきます。一方こちらは夫婦ふたりの静かな生活。最初は緊急事態宣言もあって仕方ないと思っていたのですが、さすがに耐えかねて奥さんに今の状況をお伝えしました。しかし、宣言が解除されても相変わらず走り回る音は響きわたってきて……。どうにか穏便に解決できないでしょうか。(53歳・女性・主婦)【回答】朝から晩まで、家の中を走り回る音やボールを床について遊ぶ音。いやあ、これは気になりますね。大変でしょう。人間の耳は選択透過性です。すべての音を聞いているのではなく、自分に必要な音だけを聞いています。でもこの選択は好ましい音だけを選ぶわけではなく、自分にとって嫌な音を積極的にピックアップしてしまうこともあります。例えば、耳鳴りの原因のひとつに“自分の血流の音”というのがあります。誰にもその音は発生しているのですが、ほとんどの人がその音をシャットアウトして生活することができています。でも、ひょんなことから気になりはじめてしまうと、今度は進んでピックアップしてしまい、つらい耳鳴りになってしまうのです。このように、一度気になりはじめてしまった音を私たちは積極的に聞いてしまうようにできているのです。厄介ですね。さて、本来、子どもというのは元気なものです。そして、そんな子ども、とくに我が子が走り回る様子などは見ていて幸せを感じませんか。ほかにも、ペットちゃんだって好きならその鳴き声も足音も気になりませんでしょう。ところが「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」で、負の回路が回りだすと笑い声も鳴き声も不快な雑音になってしまうのです。また、あなたの旦那さまはこのことについてどんな反応をしていらっしゃいますか?まったく気にならない様子? それともやはり気にしているご様子でしょうか。というのも、もし旦那さまが上階の物音で不機嫌になられるとしたら、あなたはその旦那さまの不機嫌が嫌で上階の物音に困っていらっしゃるのかもしれません。あれこれと言いましたが、ここでお伝えしたかったのは、困りごとの根本の原因は「上階の物音」ではないかもしれないということです。ご自分のもののとらえ方だったり、旦那さまの態度に対するご自分の気持ちだったり。つまりは「自分」なのです。私たちは他人を変えることは一切できません。上階の奥さまにいくら苦情を訴えても、あなたの思うようには改善しないでしょう。でも、自分の在りようならば、変えることができるのです。決して我慢をしろと言っているのではありません。自分をリセットする方が楽で、得で、確実だからご紹介いたしました。上階のドタバタもあと2〜3年でしょう。でも、大変ですよね。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月11日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】次女のスマホの使い過ぎをやめさせることができません。高校生の娘は本当に四六時中、スマホを片手に持っていて、トイレに行くときもお風呂に入るときも、スマホを手放すことができません。みかねて「我が家のスマホルール」を作ったのですが、守ってくれることはほとんどなく、友人家族のやり方を参考にしたり、インターネットで調べた方法を試したりもしましたが、まったく効果はありませんでした。この状況に妻はかなりイライラしているようで、私たちの目を盗んで娘がスマホを使っていることに気づくと、露骨に口数が減り、家の中がギクシャクします。ただ、娘にとってスマホが大事なコミュニケーションツールということもわかっているので、思春期の娘の気持ちもないがしろにしたくないと思っています。みんなが幸せになれる効果的な方法はないのでしょうか。(49歳・男性・会社員)【回答】うーん……四六時中スマホ。母としてご心配のあまり奥さまがイライラするお気持ち、察するに余りあります。そして、間に立ってなんとかみんなが幸せになれる効果的な方法はないかとお考えになっているあなたさまのご心労、いかばかりか。我が家にも娘さんと同じ年ごろの愚息がおりますが、やっぱり息をするように一日中スマホをいじっています。ただ、それは、時代が完全に変わったからだと私は思うのです。あなたさまも電車に乗ったときご覧になったことがあるでしょう。箱の中の9割の人間がスマホを見ています。良い悪いではなく、そういう時代になったのです。ひと世代前の私たちとしては、なかなかその変化に対応できない。朝から晩までスマホをいじっていることを真っ向から否定したくなります。なぜなら、自分の中にその文化が無いから。そこには、事の良し悪しの公平な判断ではなく、やみくもに自分の持っている文化を相手に押し付けようとしているところがないでしょうか。当然のことながら、共通の基盤を持たない者がつくった「ルール」というのは、得てして守られないものです。まずは、お嬢さんが身を置いている時代の波に私たちも乗ってみませんか。「すごいね。面白そうだね。何をやっているのか教えてよ」と。そうして、あなたの文化を認めているよ、共有したいと思っているんだということを伝えます。次に、「あなたはスマホばっかりいじって!」という言葉を「私は一日中スマホをいじっているあなたが心配なの」と言い換えて、お話をしてみてください。ポイントは「あなたは」を「私は」にすることです。「あなたは!」は相手に防御態勢をとらせてしまいます。まずは「私は」で壁を壊してこちらの思いが相手に届くようにしましょう。そして、ぜひ娘さんに、電源さえ落とせばあなたが見ている世界からいつでも離れることができると、脱出ルートを教えてあげておいてください。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年09月04日ヘンリー王子&メーガン妃夫妻がNetflixと複数年にわたる契約を結び、ドキュメンタリーやTV番組を制作することが明らかになった。「The New York Times」紙が伝えた。メーガン妃は今年「Disney+」の作品『ディズニーネイチャー/ゾウの足跡を追って』でナレーションを務め、女優復帰の可能性も取りざたされていたが「演技をする」予定はなく、製作陣として活動するという。すでに自然に関するドキュメンタリーシリーズやアニメ番組など、複数の作品の企画が進行しているとのこと。夫妻は「親になったばかりの自分たちにとって、インスピレーションの源になるようなファミリー向け番組を作ることはとても重要です。信頼・共感できるレンズを通してパワフルな物語を紡ぎます」と声明を発表。Netflixの共同最高経営責任者で最高コンテンツ責任者のテッド・サランドスは「ハリーとメーガンは、信頼性、楽観主義、リーダーシップを持って世界中の何百万人という人たちに刺激を与えてきました。彼らが創作の拠点にNetflixを選んでくれたことを、私たちは大変誇りに思っています」とコメントしている。平穏な生活を求め、イギリス王室から“離脱”し、北米へと拠点を移したヘンリー王子一家。しかし、7月には息子アーチーくんの写真をドローンで盗撮されたとしてパパラッチを提訴したり、最近では引っ越し先のモンテシトにパパラッチが押し寄せ近隣住民の怒りを買ったりなどトラブルが絶えない。今回のNetflixの件についてもネット上に辛らつなコメントが多数寄せられている。(Hiromi Kaku)
2020年09月03日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】結婚して23年。会社員で3歳年上の夫と会話が成立しません。交際していたときは普通に話ができていたのですが、結婚してからというもの夫の口数はどんどん減るばかり……。子どもを挟まないとコミュニケーションが成り立たず、夫婦2人きりなったリビングは真空のように無音の状態で、地獄の時間が続きます。子どもが独立したあとの生活を考えると、今では熟年離婚も選択肢の一つとして真剣に考えるようになりました。これからの暮らしをより良くするために、私はどうすればいいのでしょうか。(52歳・女性・パート)【回答】真空状態とは一大事ですね。命に係わります。さて、「これからの暮らしをより良くするためにどうすればいいか」とのことですが、まずは、あなたさまにとって「より良い暮らし」とはどういった暮らしなのか、具体的に考えてみようではありませんか。会話が成立しない無音の状態を地獄と感じていらっしゃるのですから、少なくとも今より良くなるためには会話が必要そうですね。して、その会話の内容は何でもOKですか?たとえば、旦那さまが職場のことを一方的に話してくれるとか、旦那さまのご両親やご兄弟についてあれこれ話してくれるとか、旦那さまの趣味や得意分野のこととか。とにかく話をしてくれればいい?あなたさまがそれを興味深く熱心に微笑みながら聞いて相づちを打ってくだされば、きっと会話の絶えない幸せなリビングになりますよ。さあ、他にはどんなビジョンがあるでしょうか。どんどん具体的に「より良い暮らし」のイメージをふくらませてみてください。ところで、あなたさまが思い描く「より良い暮らし」があるように、旦那さまにも旦那さまの思い描く「より良い暮らし」が必ずあります。双方のすり合わせは、済んでいらっしゃいますか。他人は自分の鏡と申します。ご夫婦ならましてやのこと。つまり、相手の態度は自分の態度の“映し”なのです。旦那さまの口数は勝手にどんどん減っていったのではなく、あなたさまが減らさせたという捉え方もできるということです。若いころの情熱は沈静し、子育ても終わってしまって、なんの役割も期待もなくなってしまってからが「その人と一緒にいるかどうか」の正念場のような気がします。相手がひとりの人間として存在していることだけにOKが出せるかどうか。一緒にいたのではお互いにそれぞれの「より良い暮らし」を実現できないことが確定なら、離婚もいいでしょう。反りが合わなくなってしまった人と一緒にいるより、ひとりのほうがずっと「より良い暮らし」を実現しやすいと思いますから。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年08月28日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】遠く離れてひとりで暮らす母に介護が必要になりました。これからも母の要介護度が高くなることを考えると、いつかは帰郷して母の面倒を見たいと思っています。そんな折、私の勤務先の会社が早期希望退職の募集を開始。退職金も上乗せになるとのことで、いっそ会社を辞めて故郷に帰ろうかという気持ちが日増しに強くなっています。一方で上洛してから25年。子どもたちを育てた家は京都にあり、都会に深い愛着があるのも事実。ふん切りがつかない状態でいます。このような判断を迫られたとき、どのような基準で決断するのがよいのでしょうか。(58歳・男性・会社員)【回答】親の介護。頭の痛い問題ですね。あれこれ悩まれ、ふん切りがおつきにならないのも無理ありません。心中、お察し申し上げます。さて、そのようなとき、どのような基準で決断すればいいのかということですね。あくまでも私の感覚で申しますが、判断基準は「ケツを持てるか」です。人間は5秒で損得を考えだすそうです。行動を起こそうとしたとき、ほんの5秒間躊躇するだけでもう「どっちが有利だろう」「こうしたほうが得なんじゃないか」「世間体というのもある」「長男の立場としてはどうするべきか」と、まあ数えきれないくらいの損得を考えはじめてしまうそうです。それが「人間というものだ」とのことですから損得を考えるのはよいのですが、問題なのは損得に振り回されて本当のところ「自分はどうしたいのか」が抜けてしまうことだと思うのです。決断するということは、ひとつを選んで、そのほかを捨てるということです。そして、そのひとつを選んだことによって生じるすべての結果に対してケツを持つ覚悟をするということです。「自分はどうしたいのか」に忠実に従って選んだ末の結果でなければ、覚悟を持ち切らんでしょう。そして、そのケツを持つ覚悟があれば、自らが下した決断はすべて「最良の決断」になります。たとえすべてを失い、世間様には大失敗だとせせら笑われようともです。ここで今一度、ご自分が大切にしているもの、守りたいもの、失いたくないもの、貫きたいもの、譲れないもの、愛しているもの、それがなんなのかをすべての外界をシャットアウトして考えてみてください。あなたさまが「ケツを持つ」と覚悟できる方へ進めば、あなたさまの周りの方々もみな安定します。場が安定すれば、未来は開けます。私はそう思っています。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。
2020年08月21日