静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で「あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―」が開かれています。本展では、静嘉堂文庫美術館が所蔵する仏教美術の名品を一挙に公開。冥界や地獄の様子などを描いた作品が展示されています。“あの世”に行く前に、ぜひ見ておきたい展覧会をご紹介!「地獄の十王」をイッキ見!「あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―」展示室入り口※本記事の写真はプレス内覧会で許可を得て撮影しています。【女子的アートナビ】vol. 309「あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―」では、静嘉堂文庫美術館が所蔵するコレクションのなかから、仏教美術の名品を紹介。「十王図・二使者図」と「地蔵菩薩十王図」全13幅を一挙に展示するほか、江戸絵画の人気作品や円山応挙の《江口君図》、おなじみの国宝《曜変天目(稲葉天目)》も出品。重要文化財や重要美術品なども含まれた、見ごたえある展覧会です。企画を担当された静嘉堂文庫美術館学芸員の吉田恵理さんは、次のように解説してくれました。吉田さん当館が所蔵する仏画は、質が高く珍しい作品があるのが特徴です。静嘉堂の創設者・岩﨑彌之助は、明治時代、廃仏毀釈などによる文化財の海外流出や、散逸を憂い、仏教美術も集めていました。中国や朝鮮半島、そして日本の仏画もコレクションに含まれています。本展では、今回はじめて十王図をまとめて展示しましたので、ぜひ味わってみてください。意外に楽しい!?冥界ツアー河鍋暁斎《地獄極楽めぐり図》より「田鶴の臨終」明治2年(1869)では、各展示室の見どころをいくつかご紹介。第一章「極楽浄土への招待」では、中国、朝鮮半島、日本のさまざまな仏画などを展示。ここでの見どころは、河鍋暁斎の作品《地獄極楽めぐり図》のうち「田鶴の臨終」です。この作品は、日本橋の小間物問屋である勝田五兵衛の娘・田鶴を供養するため、暁斎が描いたもの。勝田は暁斎のパトロンでした。展示されている場面は、14歳で亡くなった田鶴を、阿弥陀三尊が迎えにきたところ。この後、田鶴は地蔵や弘法大師をお供にして冥界ツアーに出かけます。地獄を見物したり、閻魔大王と宴会したりとさまざまな場面が登場。作品の隣に複製が置いてあるので、暁斎が描いた冥界ツアーを自分の手でめくりながら楽しめます。石臼で砕かれる残酷場面も…!「あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―」展示風景第二章「地獄の十王ここにあり」では、本展のハイライトである十王図が勢ぞろい!十王とは、人が亡くなったあとに行く冥界にいる裁判官のこと。亡くなった人は、冥界の十王によって現世の罪を裁かれ、その後どこに行くのか、何に生まれ変わるのかが決まります。有名な閻魔大王も十王のひとりです。「十王図」の見どころについて、吉田さんは次のように解説してくれました。吉田さん十王図では、王が堂々と大きく配置され、手前には、裁きを受ける亡くなった人が描かれています。亡くなった人が、少しでも良い場所に行けるよう、縁者が王に仏像や掛け軸などを持参する様子もたくさん描かれています。功徳を積んでください、とアピールをする意味も含まれていると思います。また、石臼で砕かれる人を描いた残酷な場面もあり、細かく見ていくと非常におもしろい作品です。応挙の大人気作品が登場!「あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―」展示風景第三章「昇天した遊女―円山応挙筆『江口君図』の謎に迫る」では、重要文化財の「普賢菩薩像」と、円山応挙の「江口君図」を並べて展示。さらに、応挙型の幽霊を写した「幽霊図」や、重要文化財の「西行物語」、さらに国宝の「建窯 曜変天目(稲葉天目)」も同室にあり、貴重な作品が集まるゴージャスな展示空間になっています。応挙の《江口君図》は、遊女・江口君の亡霊を普賢菩薩に見立てて描いた作品です。吉田さん描かれている江口君は、遊女の面影もありますが、普賢菩薩でもあり、幽霊画であるとも考えられ、いくつもの意味がこめられています。本展では、極楽世界から展示がはじまります。冥界のなかの「あの世」をぜひ探検してみてください。会期は9月24日まで!この展覧会は、9月24日まで開催。功徳を積めば地獄行きを免れるなど、将来、役に立つコトも作品から学べるかもしれません。ぜひ、美術館で“あの世”を探検してみてください。Information会 期:~9月 24 日(日)会 場:静嘉堂@丸の内開館時間:10:00~17:00 ※金曜は 18:00 閉館。※入館は閉館時間の 30 分前まで休 館 日:月曜日、9 月 19 日(火) ※9 月 18 日(月・祝)は開館観覧料:一般¥1,500大学・高校生¥1,000中学生以下無料
2023年08月30日気になる話題の映像作品をおすすめするコラム【テレビっ子の窓】第8回。日本の作品から韓国の作品まで日々チェックしている、テレビウォッチャーで、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりがお届けします。【テレビっ子の窓】vol. 8夏はアウトドアでのアクティビティに出かけた方もいるかもしれませんが、ちょっとひと息つきたいときや、おうちでリラックスしながら、いま話題のドラマや映画をじっくり鑑賞するのもオススメです。今回は、いま話題の最新ドラマと映画を3作ご紹介します。爽快ゾンビコメディ『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』Netflix映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』Netflixにて独占配信中。©️麻生羽呂・高田康太郎・小学館/ROBOT小学館「月刊サンデーGX」連載中の麻生羽呂原作、高田康太郎作画による同名コミックを、赤楚衛二主演で実写化した爽快ゾンビコメディのNetflix映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』。ブラック企業に勤める天道輝(てんどうあきら/赤楚衛二)は、上司からのいびりと連日の残業で憔悴していたある朝、突然ゾンビであふれる街を見て「もう、今日から会社に行かなくてもいいんじゃね!?やったー!」と、歓喜。Netflix映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』Netflixにて独占配信中。©️麻生羽呂・高田康太郎・小学館/ROBOTその後、憧れの先輩までゾンビ化し、ゾンビになるぐらいならやりたいことをしようと一大決心。「ゾンビになるまでにしたいこと」リストを作り、絶体絶命の状況のなか、ひとつずつ夢を実現して人生を謳歌するアキラの運命とは?ゾンビ化するというネガティブな状況下で、逆にいきいきとポジティブに活動するアキラの姿に、スリルと笑いと勇気をもらえるはずです!復讐ミステリー「御手洗家、炎上する」Netflixシリーズ「御手洗家、炎上する」Netflixにて独占配信中。Netflixの週間グローバルトップ10(テレビ・非英語部門)に3週連続ランクインし、世界から注目されたNetflixシリーズ「御手洗家、炎上する」。藤沢もやしの同名コミックを原作に、病院を経営する裕福な御手洗家が全焼するという、不幸な炎上事件からすべてが始まる復讐サスペンスです。Netflixシリーズ「御手洗家、炎上する」Netflixにて独占配信中。炎上事件から13年後、家事代行業の村田杏子(永野芽郁)は、新規顧客となる御手洗家へ。美しくも凄味のある御手洗家の後妻、真希子(鈴木京香)が出迎え、無事に採用されて働くことになった杏子。でも、彼女が御手洗家に潜入したのには、ある目的があって…。過去の謎が解き明かされ、すべてが白日の下に晒されたとき、驚愕の事実が! ハラハラする展開に息をのむはず。純愛ラブストーリー『SEE HEAR LOVE見えなくても聞こえなくても愛してる』『SEE HEAR LOVE見えなくても聞こえなくても愛してる』 Prime Videoにて独占配信中。©2023「SHL」partnersウェブ漫画家NASTY CATの『見えなくても聞こえなくても愛してる』を原作に、韓国映画『私の頭の中の消しゴム』のイ・ジェハン監督が実写映画化した純愛ラブストーリー『SEE HEAR LOVE見えなくても聞こえなくても愛してる』。漫画に心血を注ぐ漫画家の泉本真治(山下智久)は、ある日、自分の作品が映画化されると聞き、アシスタントの中村沙織(山本舞香)と喜んでいました。『SEE HEAR LOVE見えなくても聞こえなくても愛してる』 Prime Videoにて独占配信中。©2023「SHL」partnersしかし、その喜びも束の間、次第に視力を失い、連載漫画も休載。一緒に暮らす祖母(夏木マリ)の面倒も見られないなか、衝動的にある行動を取り、真治の漫画のファンで、耳が聞こえない相田響(新木優子)に助けられ、不思議な共同生活を始めることに…。真治と響が貫く純愛に胸を揺さぶられます。一風変わったゾンビコメディから純愛物語まで、この機会に、気になった作品をぜひチェックしてみてくださいね。きっと時間を忘れて見入ってしまう、あなたにマッチする作品があるはずです。文・かわむらあみり文・かわむらあみり
2023年08月29日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第152回は、彼の浮気が発覚した女性のお話をお届けします。1.サプライズで彼の家に行くと女がいた【結婚引き寄せ隊】vol. 152せっかく恋人ができても、相手がみんな誠実な人ばかりだとは限りません。なかには、彼がコッソリ浮気していることも…。そんな不届き者の行為に彼女が気づくのは、どういうパターンがあるのでしょうか。今回、これまで見聞きしたなかで印象的だったり多かったりしたパターンをご紹介します。同い年の彼と付き合っていた20代のAさんは、なかなかの美人。彼も整った顔立ちで、美男美女のカップルとして有名でした。そんなふたりが付き合って1年ほど経った頃のこと。もともとサプライズ好きな彼女は、とくにデートの約束をしていなかった日曜日の昼下がり、急に思い立って「何してるかな?」と、あえて連絡を入れずに彼の家に出向いたのです。ピーンポーン。アパートの玄関のベルが勢いよくなりましたが、彼は出てきません。そっとドアに耳をあてたAさんは、彼の部屋の中からガサゴソとする音が聞こえたそうです。思わず、もう一度ベルを押し、ピーンポーンと鳴らすと、慌てた様子で彼が出てきましたが…。連絡しなかったが来てしまったことを話すと、アタフタしながら「急に来られても困るし、今日は無理」と言って、なぜか玄関のドアを少ししか開けない彼の様子に、通常とは違う状態だとピンと来たというAさん。玄関にさえ入れない、部屋の様子がわからないようにチェーンをかけたままドアをちょっとだけ開けるなど、あまりにも不自然な彼の様子に、「部屋に女がいる」と察知。Aさんは、浮気を疑って彼の家にアポ無し訪問したわけではなかったものの、思い返せば「なんとなく虫の知らせがあった気がする」とか。あとからわかったのは、やはり彼は最近知り合った女性と彼女との二股をかけていたということ。バレないように二股していた彼だったけれど、いつもはしない彼女の行動で一気に最終局面に突入したのでした。何も問題ないふたりならそのまま家に行っても受け入れるワケですし、問題があるなら何かしら発見するワケで、いつもと明らかに異なる彼の様子をチェックしておくべし!2.共通の友人から聞かされた30代のBさんは、少し年下の彼と付き合い始めて、数か月。ワイルドで精悍な彼は、恋も仕事も精力的で、知り合ったときから惹かれていたBさんの気持ちを知ってか知らずか、彼のほうからがんがんアプローチされて付き合ったのだとか。仕事を通して出会ったふたりは、共通の知り合いも多かったものの、まだ付き合っていることをオープンにはしていなかったそうです。そんなある日のこと、彼の行きつけのバーに「連れていきたい」と言われたそうで、もしかしてそこでやっと付き合っていることをお披露目するのかと思っていたというBさん。もともと引っ込み思案で、あまり夜の街に繰り出すこともなかった彼女でしたが、ウキウキしながら洋服選びをしたそうです。そして夜。彼とレストランで食事をしたあと、行きつけのバーに連れていかれた彼女。慣れた様子で「どうも!」と店に入る彼に続いて、彼に促されてバーカウンターに座ると、あちこちで彼の顔見知りと思われる男性にチラチラと見られるBさん。突然、髭面の男性が横に座り、「あいつと一緒に来たの?彼女いるよ」と半笑いで言われたそうで…。頭がパニックになったBさんは、急に恥ずかしさとみじめさでいっぱいになって店を飛び出したそうです。それから彼と音信不通にしたというBさんでしたが、結局のところ、それまでの彼女と乗り換えようとしていた時期だったのか、逆に遊ばれただけだったのか、考えたくもないそう。でも、ワイルド系の彼のようにパワーがありあまっている男性の場合、ほかの女性関係はクリーンなのか?本気で自分のことを思っているのか?という点は少なくともチェックしておきたいところだと言えます。3.自分でもなんとなく気づいている30代半ばのCさんは、同世代の彼と出会ったばかり。大人の恋ということもあって、最初から結婚観についても話す機会があるなど、落ち着いた恋愛がスタートしたと思っていたのですが…。デート中だというのに、ときどき彼がコソコソと携帯電話を見ていたり、誰かと電話していたりすることがあったそうです。せっかくふたりで一緒にいる時間だというのに、誰からの連絡なのかと問うと、「仕事の電話だよ」と言う彼。もともと彼が多忙だということはわかっていたCさんなので、はじめのうちは素直にその言葉を信じていたCさん。ですが、休みの日にまで頻繁に連絡があるなんてなんだろうなと、次第に浮気を疑いはじめたCさんは、あるときストレートに「もしかして他に女がいるんじゃないの?」と切り込むと、しばらく無言が続いた後に観念したようにうなずいたのだそう。いや、そこは隠し通すか、すぐにバレるような行動を取るなよ、と思ったCさん。でも、結婚を考えると「時間がない」と浮気男をバッサリと切ったのでした。この元カレのように単純なタイプだと、怪しい行動をチェックするに越したことはありません。もしも不実に気づいたら、今すぐその恋を捨てて、新しい恋を考えるのも手です。たとえ恋人同士になったとしても、不誠実な男性なら、サッサと捨ててしまいましょう。そして本当に自分を愛してくれる男性と素敵な恋をしてくださいね。文・かわむらあみり©YuriF/Getty Images文・かわむらあみり
2023年08月27日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。今回は先週コペンハーゲンで行われたファッションウィークで、北欧ならではの夏ファッションをピックアップ。今回は北欧サマーファッションをクローズアップいたします。大胆さを忘れないかっこよさ二人とも夏らしく肌を露出する部分は出しながらも、比較的寒い夏の北欧らしく、ジャケットやブーツなどを愛用しています。確か、この日の気温は8月でも18度前後だったと思うので、けっこう寒いかも!?大人クールファッション夏らしく、そして清潔感もありかっこいいスタイル。ベストをトップスとして着ている、こちらも大胆なファッション。長めのベストに長めのパンツが、より大人っぽく見せてくれているようです。見せるブラトップを上手に愛用やはり寒いこの日も、トレンチコートは人気のジャケット。しかし、やはり8月はまだ夏ということで、上手にブラトップを愛用しながら、寒い夏を楽しんでいるようです。寒い夏はジャケット必須こちらも、大胆でいて寒い夏にぴったりなスタイル。日本と違って、今年の北欧はかなり寒い夏なので、どこへ行くにもジャケットは必須。日本の場合もクーラーの効き過ぎでジャケットやカーディガンが必須かもしれませんね。ヘソ出しルックがなんともキュート!上下お揃いのスーツスタイルだけど、ヘソ出しすることで、夏らしさも出て可愛い!全体的に淡い色で統一している点も、夏らしくて魅力的!ただし、やはり寒い北欧の夏には、長袖がベストですね。日本と北欧の夏はだいぶ違いますが、寒くても夏らしさを忘れないファッションには共感がもてそう。参考になる点があれば幸いです!写真・文 平野秀美
2023年08月27日袖ありのトップスに比べて肉感が目立ちやすく、アイテム選びに困ってしまうのがノースリーブトップス。「肌を露出させたくないから、ノースリーブは絶対に着ない!」と、決めている方も少なくないほどです。ですが、もしかするとそう決めつけるのはもったいないことかも...!というのも、ご自身の体型・骨格に合ったデザインを選べばオシャレに可愛く着こなせるからです。そこで今回は、肩幅・首の長さで選ぶ、ノースリーブトップスの着こなし方についてご紹介します。肩幅広めさんが似合うノースリーブトップス肩幅が広い方にとってNGとされるノースリーブトップスはキャミソールのようにストラップが細く、襟ぐりが大きく開いたデザイン。鎖骨・肩のラインが目立つほどに露出されているデザインは避けるようにすると良いでしょう。では、似合うデザインはどのようなものか。それはまた首の長さによっても変わります。首が短く、肩幅が広い方はカウルネックといわれる襟にドレープが入ったデザインのトップスがおすすめ。ドレープが大きく取られていると肩幅と首の短さへの視線が分散されます。反対に首が長い肩幅広めさんは、アメリカンスリーブトップスがおすすめ。アメリカンスリーブは、首のつけ根から脇下に向かって斜めにカットされた袖ぐりのことを指します。本来、肩幅が広い方には似合いにくいとされていますが、首が長い肩幅広めさんにとっては逆に首から肩のラインが美しく表現されるのでおすすめのアイテムとなります。なで肩さんに似合うノースリーブトップスなで肩さんは、肩の丸みが目立つと肉感が出やすいので、シンプルなデザインほど注意が必要です。例えば至って普通のストラップ幅でラウンドネックのタンクトップなど。合わないわけではありませんが、肉感が強くなるので実際よりも太って見えやすくなります。なので肩まわりを立体的に見せてくれるデザイン性のあるストラップや胸元が隠れているタイプのほうがより似合いやすいですね。首が短めのなで肩さんは、鎖骨は適度に露出させつつもだらしなく見えないスクエアネックのノースリーブトップスがおすすめです。また、ストラップはやや太め幅、タックやギャザーの入ったデザインだと肩の落ち感をカバーできます。首が長めの方は首から鎖骨、肩の起点にかけてが間延びして見えやすいです。そのため、胸元を隠すハイネックタイプのノースリーブトップスで露出を抑えると頼りない印象がなくなります。真夏で暑苦しさを感じる場合はシアー素材のノースリーブトップスを採用してもOK。ネックライン、ストラップのデザインに注目ノースリーブトップスといっても、そのデザインは非常にバリエーションが豊富です。二の腕の太さも、身につけるノースリーブトップスのネックラインやストラップの幅感によっては気にならなくなるケースもあります。ぜひ、今回ご紹介したポイントを参考に、自分に似合うノースリーブトップスを探してみてくださいね。イラスト・文 角 佑宇子
2023年08月27日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。今回は先日コペンハーゲンで行われたファッションウィークで、ファッショニスタがどんなブランドバッグを愛用しているかチェックしてみようと思います。FENDIのロゴが大胆!大きめの革バッグに書かれたFENDIのロゴバッグ。ちょっぴりビジネスマンを思わせてくれるスマートでクールな彼女のスタイルにぴったりなハンドバッグ。目を惹く大胆なバッグは、荷物が多い人にもおすすめ。やっぱりどこでも見かけるLOEWE!ミニチュアサイズのロエベバッグは、ファッションにぴったりなカーキ色で。携帯やリップグロスなど、必要最低限なもの以外は持ち歩かない派にはぴったりの、最近人気のサイズ。可愛いLOEWEのショルダーバッグ一瞬でロエベと変わるデザインに、可愛らしいカラーが目を奪う!デートなどにぴったりの、手ぶら好きにおすすめのショルダーバッグ。シンプルで使いやすいPRADAプラダの三角ブランドロゴの付いた、真っ白なハンドバッグ。スタイリッシュで彼女の服装にぴったり。定番の形なので、どんなシーンにも使える優秀バッグです。個性的なJW Andersonハンドバッグユニークな形と色が大人気のJW Andersonのマイクロ バンパー ハンドバッグ。丸いフォルムが印象的で、フォーマルな印象よりカジュアルな服装に似合いそうなデザイン。人と異なるものが好きな方に愛されています。DIORは世界中で愛されているディオールのバッグは数多く発売されていますが、やっぱり荷物が多い女性には、こちらのようなしっかりと荷物が入るタイプのバッグがおすすめ。ディオールのチャームがとっても可愛い!海外で人気爆発!BOYYバッグBOYYのバッグは数多く見てきましたが、こんなミニチュアバッグは初めてというほど、可愛らしくファッション小物として使えそうなバッグ。荷物はほとんど入らないと思いますが、ファッションの一部として楽しめそう!王道!LOUIS VUITTONのバッグ日本でも知らない人がいないほど大人気のルイヴィトン。なかでもスピーディは数十年にわたって人気ですよね。荷物も入るし持っていても可愛いし!さらにこちらのバッグは目を惹く可愛いチェリーがたくさん。普通のヴィトンではないものをお探しの方にはぴったりのバッグです。今回は、コペンハーゲンのインフルエンサーやファッショニスタが愛用しているハイブランドバッグをご紹介しました。比較的日本と似たブランドが好きなんですね!写真・文 平野秀美
2023年08月26日真夏シーズンから秋口まで長く活躍できるカットソーワンピース。動きやすくて、お手入れも簡単。何より一枚でコーディネイトが完結する手軽さが魅力ですよね。しかし、そのいっぽうで着こなしがワンパターン化、カジュアル過ぎて上品さが損なわれるというデメリットも...。そこで今回はカットソーワンピースに“コレ“をプラスすれば一気にオシャレ見えする!カットソーワンピの格上げコーデテクニックをご紹介します。“メッシュニット”をプラス!秋対応の上品コーデ形のキレイなノースリーブのカットソーワンピースは、ファストファッションで気軽に手に入るアイテム。とはいえ、どんなにシルエットが美しくても一枚で着ると、どうにもパジャマみたいな印象が拭えません。その原因はカットソーワンピースの“素材”です。使用している素材がパジャマや部屋着に使われるような生地だと、デザインのシンプルさも相まってオシャレ要素がなくなってしまうのです。そこでプラスしたいのが編み目の粗いメッシュニット。素肌が透けて見えれば夏に重ね着をしてもそんなに暑苦しい印象にはなりません。メッシュ素材という複雑なデザインがカットソーワンピースに加わることで、コーデ全体に程よい厚みと立体感が生まれて、ただのワンピースからオシャレなワンピースに仕上がるのです。晩夏を迎えるこれからの時期に取り入れる場合は、オールブラックもしくはオールホワイトなど季節を問わないモノトーンで配色構成を。すると、宵が深まる秋の季節まで楽しめます。“ジレ”をプラス!体型カバーにも役立つ夏コーデに半袖、Iラインシルエットのカットソーワンピースをお持ちの方は、ジレをプラスすると一気にコーデが格上げされます。ジレはミドル丈、ややオーバーサイズのものを合わせるとコーデが今っぽいシルエットに。トレンドを意識するならツイード(もしくはサマーツイード)素材のジレを取り入れると手っ取り早く旬なオシャレコーデが完成!カットソーワンピースは薄くて柔らかい素材なので、一枚で着るとのっぺりと間延びした印象になりやすいです。なので、メッシュニットと同じく、コーデに立体感が生まれるジレをプラスするとカットソーワンピースの野暮ったさが軽減されます。バケットハットや厚底サンダルなど、トレンドの夏小物を加えればより完成度の高い着こなしへと昇華されます。一枚だと単調に見える服こそ重ね着を楽しむ暑いからこそ一枚で着られるワンピースへの需要が高まるのはもっともです。しかし、やはり楽ちんさを追求し過ぎると、オシャレな着こなしからほど遠くなってしまいます。もちろん、猛暑日に重ね着は難しいかもしれませんが、カットソーワンピースでもオシャレさを損いたくない!そんな時は、今回ご紹介したようなアイテムをプラスしてみてくださいね。イラスト・文 角 佑宇子
2023年08月26日沢木耕太郎さんが手掛けた作品のなかでも、幅広い読者から人気の高い小説「春に散る」がついに映画化。ボクシングの世界で命をかけて再起を誓った2人の男を主人公に描いた本作は、リアルを追求した白熱のボクシングシーンが繰り広げられていることでも注目が集まっています。そこで、重要な役どころを託されたこちらの方にお話をうかがってきました。坂東龍汰さん【映画、ときどき私】 vol. 596ドラマ『王様に捧ぐ薬指』や映画『スパイの妻』など話題作への出演が続き、昨年には『フタリノセカイ』で映画初主演も果たした坂東さん。主演を務めた横浜流星さんにとって、最初のライバルとなるボクサーの大塚に抜擢され、見事に演じ切っています。今回は、激しいボクシングシーンの裏側や豪華共演者の方々とのエピソード、そして自身にとって最高のご褒美などについて語っていただきました。―脚本を読んで心が震えたそうですが、どういったところに魅力を感じましたか?坂東さん今回のオファーをいただく前に、『未来への10カウント』というボクシングを題材にしたドラマに出演していたことがあり、自分もボクシングの練習をしていたのでいろいろとリアルに想像してしまったのだと思います。しかも、本作でボクシング指導をされている松浦慎一郎さんと実際にプロの試合を何度か観に行く機会があったこともあり、戦っている方々が抱えている人生と重なるような感覚もありました。―横浜流星さんとのボクシングシーンについては脚本のト書きを読みながら、自分の演じ方次第ですごいシーンになると感じていたとか。それだけに相当プレッシャーもあったのではないかなと思うのですが。坂東さん求められているレベルが高いこともあって、確かに最初はプレッシャーのほうが大きかったかもしれないですね。しかも、僕がボクシングを始めたのは撮影に入る1年くらい前のこと。その状況で大塚という大事な役を任せていただけることが、最初は信じられませんでした。でも、そんなことを言っている暇があるなら、練習しようと。なるべくジムに通って、黙々とサンドバッグやパンチングボールを打つようにしていました。脚本にはとにかく細かく生々しく試合のシーンが描かれていましたが、それを松浦さんがどういうふうに組み立てていくのかを考えているうちにワクワクしていった感じです。ボクシングシーンは、みんなで一緒に作ることができた―松浦さんは坂東さんに対して「最初は1ラウンドももたなかったのに、陰ですごく努力しているのを感じた」とおっしゃっていますが、実際にどのような準備をされて挑みましたか?坂東さん多いときで週4日くらいジムに行き、長くて5~6時間は汗を流していました。でも、できないことができるようになるのが実感できるので、本当に楽しかったです。二重跳びも気がついたら100回もできるようになっていました。そんなふうに何も考えず、ひたすら取り組んでいました。そのうえで、たまに練習を見に来てくださった瀬々敬久監督からも的確なアドバイスをいただけたのはありがたかったです。「もっと何かに憑りつかれたように動いて」とか「顔が優しすぎる」とか。普段の練習では役と切り離していた部分がありましたが、練習の段階から大塚という役を自分のなかに落とし込んでいく作業がいかに大切かを知ることができました。―それほど入念な役作りがあったからこそ、真に迫る演技であったのもうなずけます。ボクシングシーンでは、どのくらい細かく動きは決められていたのでしょうか。坂東さん基本的には事前にすべて決められていますが、「アドリブ」とされた時間だけはお互いに好きなように動いています。ボクシングでは殴り合っている時間よりも、相手の感情を探っている時間のほうが意外と長かったりするので、僕たちを信用してくださっている松浦さんだからこそそういう時間を設けてくださったんだと思っています。そのほかは、かっこよく見える動きや得意な動きを松浦さんが組み込んでくださいましたが、みんなでとことん話し合い、意見を出し合ったので、一緒に作っている感覚は強かったかなと。あとは、流星くんとあうんの呼吸で動けていたような気がします。先輩方の現場でのメリハリはすごかった―そういう意味では、流星さんとコミュニケーションを普段からどのように取るかも大切だったかなと。共演してみて、印象に残っていることはありますか?坂東さん流星くんとはたくさん話をしましたが、とにかく優しいですし、周りがすごく見えていて引っ張っていく力がすごくある方だなという印象でした。あと、練習中に楽しんでいるときもありますが、ふと見たときにガチの格闘家の目をしているときもありましたね…。なので、実は流星くんとはスパーリングしたくないなと思っていました(笑)。おそらく流星くんが本気になったら、僕なんて足元にも及ばないですから。ただ、練習のときからそういう雰囲気をバシバシ出してくれていたからこそ、僕も「この人と互角に戦っているさまを映画として残さなきゃいけない」という気持ちになりました。流星くんの気迫を感じたり、集中した顔を見たりするだけで目標がしっかりと見える感覚はあったと思います。―坂東さんといえば、ほかの現場ではムードメーカーと呼ばれていることが多い印象ですが、本作では錚々たる先輩方が揃っているなかで、どのようにして現場では過ごされていましたか?坂東さん今回も僕は普段のまま、マイペースでいることができました。佐藤浩市さんや片岡鶴太郎さん、哀川翔さんなど、みなさんとても気さくでおもしろい方々で、撮影の合間も、みんなで輪になってお茶を飲みながら昔の話を聞かせてもらったりしました。本当に和気あいあいとしたなごやかな雰囲気でしたが、いざ本番になるとピリッとした空気感になるので、そのメリハリはすごかったです。30歳まではどんなことも果敢にトライしたい―本作では、どのキャラクターも闘志をむき出しに、自分のやりたいことへと情熱を燃やしている姿が映し出されていましたが、ご自身にもそういう瞬間はありますか?坂東さんやっぱりボクシングの試合を観に行ったときは、アドレナリンが半端じゃないくらい出ているので、気がついたら号泣していたことはよくありました(笑)。会場の歓声やリングの上にいる人に感情移入して、熱くなりすぎてしまうんでしょうね。―そんななか、20代も折り返しましたが、いまのうちにしたいことなどがあれば教えてください。坂東さん30歳という節目までに経験できることは逃さず、果敢にトライしていきたいなと思っています。自分がサボったらサボっただけ恥をかきますし、がんばったらがんばっただけ映像にも残りますから。いくつになってもいろんなことにがむしゃらに挑めるので、おもしろい職業だなと改めて思っています。いまは時代劇にもすごく興味があるので、殺陣や乗馬などにも挑戦して、幅広く活躍できる俳優になりたいと考えているところです。自然のなかにいると、心が満たされる―忙しい日々が続いていると思いますが、いま坂東さんが癒しを感じる瞬間といえば?坂東さんこの前、北海道の実家に1週間ほど帰省しましたが、「実家が北海道でよかったなぁ」と思いました。近くはないので、なかなか行けないというのはありますが、だからこそ行ったときの回復できる感じがすごくあるなと。そんなふうに、ゆっくり充電できる時間を過ごすためにがんばろうと思いますし、本当にいいリフレッシュになりました。―確かに、自然があったり、おいしい食べ物があったりするのはいいですよね。がんばっている自分に対して、ご褒美にしたこともあったのでは?坂東さん6000円くらいする海鮮丼を食べました。「めちゃくちゃ高い!」と思いましたが、そのぶんすごくおいしかったです。あとは、回転寿司に行ったり、星空の下でバーベキューをしたり、湖で泳いでみたり。北海道をかなり満喫しましたね。実家に住んでいた15年間では当たり前のことでしたが、北海道から離れて10年くらい経って久しぶりにするとこんなにも心が満たされるのかと感じました。別に東京が嫌いというわけではありませんが、自分は単純に自然が好きなんだなというのを再認識したところです。負けることも悪いことじゃない坂東さん僕もつねに悩んでいますし、壁にぶち当たることも多いですが、そういうときはみなさんもぜひ自然のなかに飛び込んだり、好きなものをたくさん食べたりしてリフレッシュしてください。そして、この作品を観ていただければ、「負けることも悪いことじゃない」と感じていただけると思っています。なので、うまくいかなくて落ち込んでいる人がいたら、ぜひ僕が演じる大塚から何かを受け取ってもらえたらうれしいです。インタビューを終えてみて…。とても気さくで、笑顔が似合う坂東さん。「おしゃべりをするのが好きだから聞き上手な女性にグッとくる」とも教えてくれましたが、終始楽しそうに話す姿に現場でも先輩たちから愛されている様子が目に浮かぶようでした。それだけに、普段のお茶目な坂東さんとはまったく別の表情を見せる渾身のボクシングシーンは必見です。戦いのゴングに胸が熱くなる!生きていれば挫折やどん底を味わうことはあるけれど、誰でもふたたび立ち上がることができると感じさせてくれる本作。人生という名のリングで最後まで戦うことの意味、そしていまを生きる尊さに、込み上げてくる思いを止められなくなるはずです。写真・園山友基(坂東龍汰)取材、文・志村昌美スタイリスト・李靖華ヘアメイク・原みさとジャケット¥73,700、パンツ¥37,400(ともにsuzuki takayuki TEL:03-6821-6701)、その他スタイリスト私物ストーリー40年ぶりに故郷に戻ってきた元ボクサーの広岡仁一。引退後はアメリカで興した事業で成功を収めたが、不完全燃焼の心を抱えて突然帰国したのだった。かつて所属したジムを訪れたのち、広岡はすっかり落ちぶれた二人の仲間に会いに行く。そんな広岡の前に現れたのは、不公平な判定負けに怒り、一度はボクシングをやめた黒木翔吾。広岡の指導を受けたいと懇願する黒木に広岡の姪である佳菜子も加わり、不思議な共同生活が始まる。やがて翔吾をチャンピオンにするという広岡の情熱は、夢を諦めた周りの人々を巻き込んでいく。果たして、それぞれが命がけで歩き出した新たな人生の行方は…。気持ちが高ぶる予告編はこちら!作品情報『春に散る』8月25日(金)全国ロードショー配給:ギャガ(C)2023映画『春に散る』製作委員会写真・園山友基(坂東龍汰)
2023年08月24日連日続く暑さによって心身ともに疲れがたまってくる時期ですが、そんなときにオススメの1本は、親子の愛に心が温まると話題の映画『高野豆腐店の春』です。今回は、現在公開中の注目作についてこちらの方々にお話をうかがってきました。藤竜也さん & 麻生久美子さん【映画、ときどき私】 vol. 595豆腐屋を舞台に描かれている本作で、職人気質の頑固な父・高野辰雄を演じる藤さんと、明るくて気立てのいい娘・春を演じている麻生さん。日本映画界に欠かせないおふたりが共演するのは、実に26年ぶりとなります。そこで、お互いに現場で感じていたことや役作りのこだわり、そして長年のキャリアにおけるそれぞれの転機などについて語っていただきました。―今回、藤さんは三原光尋監督からシナリオが送られてきた際、その2日後には監督のもとに届くように速達でお戻しされたほど出演を即決されたそうですね。藤さん三原監督とは三度目になりますが、20年ほどかけて3本も主演作を作ってくれるなんてありがたいことですし、お礼は早いほうがいいですから(笑)。最初はいつ撮れるかわからないということでしたが、それでも「待ちます」と伝えました。―麻生さんにとって、出演の決め手となったものは何ですか?麻生さんそれは、藤さんです。もちろん脚本もすごくおもしろかったですが、私はいつも誰とお仕事ができるかで選ばせていただいているので、今回は藤さんとご一緒できるからお受けしました。藤さんいやー、うれしいですね!麻生さんとは一緒にいるだけで呼応し合えた―藤さんも「麻生さんの演じる春だから心が動いた」とおっしゃっていますが、現場で麻生さんとのやりとりで忘れられない瞬間といえば?藤さんたくさんありますよ。やっぱり人には合う合わないがありますが、麻生さんとは一緒にいるだけで呼応し合うことができました。「娘がいたらこんな感じなんだろうな」と思ったくらいです。―26年ぶりの共演で、麻生さんは藤さんの背中から学ぶこともあったのではないでしょうか。麻生さん今回は、改めて「初めまして」の気持ちでご一緒させていただきましたが、藤さんがとにかくかっこよくて…。ご本人の前で言うのは恥ずかしいですが、それでいてとてもチャーミングな方でもあるんですよね。本当にすごい役者さんだと思いましたし、いろんな藤さんを見せていただきました。―本物の親子のような息の合ったやりとりが印象的でしたが、アドリブなどもありましたか?麻生さん基本は台本通りですが、ときには藤さんがご自身のアイディアやアドリブを入れていることもありました。藤さんたとえば、商店街を2人で歩いているシーンでは鼻歌を用意していきましたが、はじめは「どんぐりころころ」だったのを「ずいずいずっころばし」に変えてみたことも。自分でもなんでそうなったのかはわからないけど、何となくそれがいいかなと思ったんです。演じるなかで、辰雄が春といる時間をどれだけ大切にしているのかをひしひしと感じていました。麻生さん私は、そういうところもすごく好きでしたね。想像とは違った藤さんのお芝居が見られて楽しかった―親子の関係性を象徴する素敵なシーンですよね。藤さんは職人の役を演じるのがお好きということで、これまでにさまざまな職人を演じられてきましたが、本作の豆腐屋に関してはどのような準備をされましたか?藤さん今回はあまり時間がなかったので、ある豆腐屋のお店を借りてそこのお父さんに2日間ほど教えてもらいました。麻生さんそれだけで長年やっているような空気感を出せるのが、本当にすごいですよね。私もお豆腐屋さんで作業を見せていただきましたが、大きな鍋のかき混ぜ方やにがりを入れるタイミングなど、思っていた以上に大変だということがよくわかりました。―藤さんはいつも脚本にはないキャラクターの背景もご自身でかなり細かく考えられるそうですが、辰雄はどんな人物として分析されましたか?藤さん今回も、これまでと同じように役のプロファイリングを自分なりにしました。脚本には豆腐屋さんになる前に造船所で働いていたと書かれていましたが、そのほかに思い浮かんだのは、「この人はきっと橋の工事などをしていて、高いところで働いていたんだろうな」とか「小学校はここに通っていたかな」とか。若いときに奥さんとどんな話をしていたかまで想像してドキドキしていましたが、そんなふうに物語と関係ないことで遊ぶなかでいろいろと思いついてしまうんですよね。麻生さん本当にすごいことです。そういうお話を聞くと、私は何もしていないんじゃないかと思ってしまいますが、私が一番大事にしているのは脚本から何を感じ取るか。そのうえで、現場に行ったときに自分がどう感じるかを大切にしたいなといつも考えています。―そういう意味では、藤さんとご一緒されることで予想しない感情が出てくることもあったのでは?麻生さんはい、いっぱいありました。というのも、藤さんは私が想像していたお父ちゃんとは違うお芝居をされることが多かったので。でも、それがすごく魅力的だと感じました。思っていたよりも可愛かったり、怖かったりするので、楽しかったです。「春が来た!」と感じる瞬間とは?―本作のタイトルにある「春」は、親子2人に恋が訪れる意味の春であり、監督にとってはまた映画を撮るチャンスを得られたという意味の春でもあるそうですが、最近おふたりにとって「春が来た!」と感じるほどうれしかった出来事はありましたか?麻生さん6歳になった下の子が剣道をしていますが、3歳で始めた頃は体育館で寝転がっているだけでほとんど何もしていなかったのに、最近すっかり形になってきたので、いまはそれがとにかくうれしいです。「春が来た」と言えるほど大きなことではないかもしれないですが、もうすぐ試合もあるので感慨深いなと思って見ています。藤さん私は、毎朝起きるたびに春ですよ!ちゃんと目覚められるだけでありがたいです(笑)。―以前、ananwebでお話をおうかがいした際に、奥さまと寝る前に握手するのが習慣だとおっしゃっていましたが、それも続けていらっしゃいますか?藤さんコロナ禍前は握手でしたが、最近はグータッチになりました。麻生さんいいですね!―もともとは奥さまに触れたいというお気持ちから始められたそうですが、いまでは毎日しないと寝つきが悪くなってしまうほどだとか。藤さん年齢的に、翌日どちらかが目覚めない可能性もありますからね(笑)。なので、「おやすみ」と言ってグータッチをしています。―本当に奥さまを大切にしていらっしゃるのが伝わってきます。藤さん年を取ると自然とそうなりますよ。若いときはよそ見もしますが、そういう時間はもう終わりました(笑)。いまは、妻一筋です。麻生さんあはは!素敵すぎます。役者をやめたいと思ったことはない―今年は藤さんにとってデビューから60周年となりますが、これまでを振り返ってみて、苦しかった時期などもありましたか?藤さんやめたいと思ったことは、ありません。というのも、飽きちゃいけないと思って、あえてそんなにたくさん仕事してこなかったんですよ。―若いときから作品の数をご自身でコントロールするというのは、なかなかできないことだと思いますが…。藤さんあんまりやりすぎると、当たり前になってありがたみを感じられなくなってしまいますから。それに、そのほうがつねに新鮮なんですよ。待ちに待ってから脚本をもらうと、読むだけで「ありがたい!」と興奮してきます。麻生さんいま、すごくいいヒントをいただいた気がします!藤さんいやいや、そんなに仕事がこなかっただけですよ。それに、若いときは遊びやよそ見で忙しかったので…。麻生さん(笑)。『時効警察』で新しい世界があると知った―麻生さんもデビューから30周年が近づいてきましたが、これまでご自身が大切にしてきたことは?麻生さんもうそんなになるんですね。何十周年とか考えたことないですし、いままで自分が何本の作品に出たかもわかっていないくらいなんです。なので、気がついたらここまで来た感じではありますが、これからも1本1本大切にやっていきたいなとは思っています。―ここまで続けてこれた原動力になっていたものといえば?麻生さん実は、私は20代半ばにやめたいと思っていた時期がありました。それを乗り越えてのいまですが、そんなときにドラマ『時効警察』に出会って、「こんな新しい世界がまだあったのか!」と知ることができたのが大きかったなと。そこでお芝居の奥深さや難しさ、そしてワクワクする気持ちを改めて感じられたので、「自分の限界を勝手に決めてはいけない」と反省して、そこから改めてスタートした感じです。藤さん僕も同じく20代半ばくらいの頃、行き詰っていて何をやっていいのかわからなかったことがありますよ。―そこで突破口になった出来事などがあったのでしょうか。藤さん「このままじゃダメだな」と思っていたときに、周りで評価されていた監督に「僕を使ってください」とお願いしたんです。そしたら「君には使いたいと思わせるものがないんだよな」と。でも、自分でもわかっていたので、そこから「“ない”ってなんだろう」「“ある”ってなんだろう」と役者っぽく悩み始めたのがきっかけです。生きていく楽しさを感じてもらえるはず―本作では「甘くてちょっと苦みがある豆腐は人生に似ている」としていますが、もしご自身の人生を何かに例えるとしたら?藤さん自分でもはっきりとわかっているのは、僕はサラブレッドではないということ。どちらかというと駄馬やロバみたいに輝かしくはないけれど、のんびりゆっくりと前に進んで行く感じですね。麻生さんうーん、なかなか難しいですね…。じゃあ、私も映画と同じお豆腐でお願いします(笑)。―最後に、仕事や恋愛に悩むananwebの女性読者に向けてメッセージをお願いします。藤さん『高野豆腐店の春』を観ていただければ、きっとわかっていただけるのではないかなと思っています。ぜひ、ご覧ください。麻生さん年齢層高めの方々がターゲットの作品に見えるかもしれませんが、30代の女性たちにとっても親の問題や人間関係などこれから先の人生で起こるであろうことが描かれています。そして、「生きていくっていいな」とも感じられるはずです。それから私がよくしているのは、ネガティブをポジティブに変換すること。実は、私はみなさんが思うよりもダメダメで、いろんなことを心配しすぎてしまうほうなんです。でも、それが取り越し苦労に終わると、逆に「いまの自分って何て幸せなんだろう」と気づかされるんですよね。みなさんもネガティブになってしまうときは、そんなふうに考えてもらうといいかなと思っています。インタビューを終えてみて…。劇中同様に、本当の親子のような空気感を醸し出していた藤さんと麻生さん。相手に対する信頼感の高さはもちろんですが、お互いのことが大好きな気持ちがひしひしと伝わってきました。いつまでも見ていたいと思わせるチャーミングなおふたりのやりとりは、ぜひスクリーンでも堪能してください。誰の人生にも、春は必ずやってくる!純白の愛情を持つ父と柔らかくて優しい娘が繰り広げる甘くて少し苦い人生を描いた本作は、シンプルでありながら奥が深い豆腐のような味わいのある1本。お互いを大切に思うからこそ、ときにはぶつかってしまうこともある親子の姿に、共感するとともに心がじんわりと温かくなるのを感じるはずです。写真・園山友基(藤竜也、麻生久美子)取材、文・志村昌美麻生久美子 ヘアメイク・ナライユミスタイリスト・井阪恵(dynamic)ドレス¥59,400(ルーム エイト ブラック/オットデザイン TEL:03-6824-4059)他アクセ(スタイリスト私物)ストーリー尾道の風情ある下町の一角に店を構えている高野豆腐店。そこで働く父の辰雄と娘の春は、陽が昇る前から工場に入り、二人三脚で毎日おいしい豆腐を作っていた。ところがある日、辰雄はもともと患っている心臓の具合が良くないことを医師から告げられてしまう。そこで、出戻りの一人娘である春のことを心配した辰雄は、昔ながらの仲間たちに協力を依頼。春の再婚相手を探すため、本人には内緒でお見合い作戦を企てることに。そんななか、辰雄は偶然が重なって知り合ったスーパーの清掃員として働くふみえと言葉を交わすようになるのだった…。優しさに包まれている予告編はこちら!作品情報『高野豆腐店の春』シネ・リーブル池袋、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開中配給:東京テアトル(C)2023「高野豆腐店の春」製作委員会写真・園山友基(藤竜也、麻生久美子)
2023年08月23日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第151回は、出会った女性に揺らぎそうになりつつも、男性から「こういうタイプは苦手…」と恋に結びつかない女性の特徴をご紹介します。1.身なりにばかり気を遣う女性【結婚引き寄せ隊】vol. 151出会いを探していろいろなところに顔を出していると、たとえ気になる男性がいなくても、相手の男性と友達のようになったり、違う飲み会があると誘い合ったりと交流が広がっていくことがあります。そんなおたがいに異性としては意識しない婚活仲間になっていると、男性から「こんな女性はちょっとね…」というタイプを耳にすることもあるなか、「身なりにばかり気を遣う女性は厳しい」という話がありました。どの年代の女性も恋活や婚活の場にくるときはきれいにメイクしてファッションにも気を遣っている人が多いのですが、ルックスがいい女性ほど“男性から何かをしてもらって当然”という態度が垣間見えたり、“妙に自信満々で接してくる”ような女性も少なくないのだとか。外見がよければよいぶんだけ、クセが強いところのギャップで萎えてしまうというのですが…。外見を着飾ることはできても、内面を偽ることは意外と難しいということでしょうか。きっとどの女性も出会いの場にはきちんとした装いで行くはずですが、ちょっとした言動がアダとなり、相手の男性から内心、マイナス査定されていることがあるのかもしれません。2.すぐにか弱さを出す女性続いての敬遠されがちな女性は、すぐにか弱さを出してくるタイプ。男性に甘えたい気持ちがある女性が自然と困っていて頼るのであればいいらしいのですが、「ここで甘えるとカワイイかも」とか、本当は勝ち気なところがあるにも関わらずそれを隠してあえてしおらしく振る舞うといった、わざとらしいか弱さをちょっとでも感じさせると、テンションが下がってしまうようです。でも、女性に頼られると「守ってあげたい」という気持ちになる男性もいるのではと思いながらも、たとえば「あまり働きすぎると疲れてしまって」といったカラダが弱いアピールや、一緒に食事をする機会があってもあまりご飯に手をつけず「普段からあまり食べないんですよ」といった小食アピールをするなど、それってか弱さの演出なのか…?というようなアピールをしてくる女性は思いのほかいるのだとか。いまは女性をグイグイと「俺が引っ張っていく!」という男性よりも、一緒に歩きたいと考える男性も多く、か弱いことが可愛さに結びつくわけでもないですよね。もちろん個人の性格によるので、どういったタイプを気に入るかは人それぞれですが、出会いの演出をしてもいずれはバレてしまうものですから、それならばなるべく自然体でいることが一番安全な方法なのかも。3.オープンすぎる女性さらに、男性から「これはNGだよ」と思われるのは、オープンすぎる女性です。婚活をしていると、いろいろな場所で知り合いが増えるため、自分と同じように女性の婚活友達も増えて、女性同士ではけっこうあけすけに恋愛事情をおしゃべりする女性は多いですよね。でも、男性の前でも、なんでもオープンに話してしまう女性がときどきいるようで…。ある男性は、聞いてもいないのに別の男性との婚活の話をしてきたとか、前カレはこういう人だったからイヤだった、というような愚痴や別の男性の情報をペラペラと話してくる女性にびっくりしたのだとか。へんに隠しごとをされるよりも、以前の恋人の話や現在の婚活情報を聞いて、相手がどんな人なのかを知るきっかけにしようという前向きな考えの男性ならいいですが、だいたいにおいて、聞かれるならまだしも、聞かれてもいないのにオープンに過去の恋愛について話すのはタブー。うっかり情報過多にならないよう、気をつけたいものです。出会いを探していると、知らない間に異性から見てNG行動をしてしまっていることもあるかもしれません。人のフリ見て我がフリなおしつつ、素敵な人との恋をぜひつかんでくださいね!©standret/Getty Images文・かわむらあみり
2023年08月18日田村淳さんが2020年に亡くなったお母さまの死やお葬式について動画を配信し話題となっています。田村さんの母・久仁子さんは、余命宣告を受けてから、自分のお葬式にきてくれる方を自分らしくもてなせるような準備や遺書動画などを遺していったと田村さんは語ります。このように自分らしいお葬式をプロデュースする人も増え、お葬式のスタイルが大きく変わりつつあります。今回は最近のお葬式のスタイルやマナーついて、全日本葬祭業協同組合連合会 松本さんにうかがいました。誰もが迎える死だからこそ、どうやって終わりを迎えたいか、家族や周りの死と向き合うきっかけになるかもしれません。母親が生と死をセットで考えさせてくれていた田村さんのお母さまは癌を患い、約2年くらいかけて死の準備をしてきました。「お坊さんはこの人の声が好きだからこの人にしてほしい。お弁当はいいもの食べさせてあげたいからこのランク、BGMもこの曲にしてほしい」と自分で決定。その姿に対して田村さんは、動画内で次のように話しています。「母ちゃんは最後の時間の使い方がうまかったんです。母ちゃんは食卓で『淳、人間はね、いつかは絶対、死ぬんよ』と言っていたし、親戚が葬儀屋でもあったこともあり、死が身近にあった。母ちゃんは誕生日は生まれた日でもあるけれど、死ぬことを意識する日としていて、自分がどう死にたいかというのを伝えてくれていました。生と死をセットで考えさせてくれていたんです。そういう考えをもっていた母ちゃんだったこともあり、自分の死をプロデュースし、準備もしてくれていたのでしっかりお別れもできました。そのため、母ちゃんが亡くなった時もぽっかり穴が空いて何もできないという状況にはならなかったんです」少しずつ変わりつつあるお葬式のスタイル、マナー田村さんのお母さまのように自分自身でプロデュースするお葬式は新しいスタイルと言えます。今回のお話をベースに、全日本葬祭業協同組合連合会 専務理事 松本勇輝さんに変わりつつあるお葬式のマナー、スタイルについて聞いてみました。最近のお葬式のスタイル・傾向・インターネットでの葬儀社検索、葬儀社を紹介する、葬儀仲介サイトの出現・親族を中心としたお葬式「家族葬」・通夜などを行わず一日で完結させる葬儀形式「一日葬」・故人が生前に好きだった音楽や選曲した音楽を流したり、バンドやアーティストを呼んで生演奏してもらう葬儀形式「音楽葬」・しきたりに捉われず、自由な形式で行う葬儀形式・お葬式のオンライン配信、オンライン参列・時間に制限をつけない事前焼香松本さん葬儀社やお葬式の形態、費用面を決めておくことで送る側の負担が軽減され、故人としっかりお別れできるということにつながり、事前に故人が準備をするスタイルも増えています。 一方で、一部の仲介サイトの中には表示価格とは違い多くの追加の費用が請求されるようなことや、希望する葬儀社とは違うところを紹介されるなど、消費者トラブルも起こっているのでしっかりと信頼できる葬儀社を選ぶことが大切です。また、親族など人数を限った葬儀だと後日、多くの弔問者があり対応に追われるようなこともあるのでその点も念頭に入れておくことをおすすめしてます。田村さんのお母さまのように事前に準備した好きな音楽を流すスタイル「音楽葬」も最近では見かけます。また、コロナ禍では、時間を制限しないかたちで、弔問することができる事前焼香や、どうしても参列できない方に対し、オンライン配信ができるようになったことも新しい取り組みのひとつなのかもしれません。オンラインなどでの参列者のマナーとはコロナ禍でのお葬式のオンライン配信は新しい取り組みですよね。それにあたり参列者のマナーも松本さんに聞いてみました。ーー喪服は着るべきでしょうか?松本さん双方向のオンライン葬儀の形態もありますので、通常の参列と同等の対応をされた方がよろしいかと思われます。ーーお香典はどうするのでしょうか?松本さん事前に現金書留で郵送する場合もあれば、最近ではオンライン(クレジット決済)でお香典をお送りできるサービスをご利用いただいている場合もございます。ーーオンライン参列を気をつけることはありますか?松本さん通常の参列と同様に、故人ならびにご遺族へ弔意をしめすことが大切です。双方向のオンラインの際は、服装だけでなく、オンライン参列される側の音声や背景にも配慮することが大切です。これからのお葬式の形で重要なこと松本さん事前にお葬式の準備や生前整理、遺書動画撮影等をされることは、遺される家族への気遣い、愛情を感じます。また、田村さんのお母さまのように葬儀で流れた明るい音楽の選曲は、悲しみを和らげるための優しさや、故人自身もご家族に涙ではなく、笑顔で見送ってもらいたいという想いがあったのかもしれません。お葬式はやり直しができません。生前のうちから、どのようなお別れ方をしたいか、家族で話し合う等、機会づくりが重要だと感じております。お葬式を自分でプロデュースすることやオンラインでの参加など、今後も少しずつ変わっていきそうなお葬式のスタイルやマナー。昔よりも双方にとって選択肢が広がっている印象です。生も死も誰にでも存在する身近なことだからこそ、考えさせられるお話を聞けました。(C)Yuuji/Getty Images
2023年08月15日猛暑続く夏。この時期に新しい服を買うとなると、とにかく手頃な価格で楽ちんな服が欲しい。そして、秋まで着られる服なら文句なし!...ですよね。そこで今回は、秋まで着られる美人見え確実なUNIQLO&GUトップスをご紹介します。【UNIQLO】リブボートネックノースリーブTノースリーブは襟の開き具合やアームホール(袖を通す部分の穴)の大きさなど、ディティールへの配慮がないアイテムを着ると安っぽく見えてしまいます。この手のデイリーに着られる服は安い価格で手に入れたくなるのですが、洗濯するとすぐヨレたり、だらしなく見えたりもするのでデザイン・耐久性ともに優れたアイテム選びが重要です。その点をクリアしているのが、この夏にUNIQLOから登場した「リブボートネックノースリーブT」です。なんと、1枚1000円(税込)という驚きの安さ...!それでいて、どんな骨格にも対応してくれる美シルエットなんです。特筆すべきは襟が開きすぎないボートネックライン。鎖骨の肌みせがラウンドネックよりも少ないので肩幅が広いかたやバストが大きい方が着ると、いつも以上にすっきりと美しい印象を作り出します。袖と襟にはパイピングが施されているので、洗濯機で洗ってもヨレにくさを実現。秋にはジャケットやシャツのインナーに使えるので、これこそ色違いで何着か大人買いしても良さそうです。【GU】フレンチスリーブプルオーバーシャツ夏トップスだけど、秋まで着られるシルエットの美しいプルオーバー。GUはUNIQLOよりもややトレンドを意識したデザイン性の高いアイテムが豊富です。そのなかでも、大人が着て高見えするような上品さとほんの少しのトレンドが相まったアイテムを選ぶと長く着続けられること間違いなし!なかでもこの夏登場したアイテムでおすすめなのが「フレンチスリーブプルオーバーシャツ」。フレンチスリーブは肩先が少し尖っている立体的なフォルムで二の腕を細く見せます。素材はポロシャツに似た生地ですが、形の美しさとシンプルなデザイン。ボトムスの組み合わせをキレイめなパンツにすれば通勤時にも使えそうですね。秋はジャケットを羽織って着こなして。上半身をコンパクトに見せてくれるので、ハイウエストのタックワイドパンツで脚長効果を出すと背丈アップ&スタイル良く見えるコーデが完成します。クリーンなトップスは秋に持ち越せる今回ご紹介した2アイテムのように、シンプルでシルエットが美しいデザインのトップスは汎用性が高いので秋コーデにも対応できます。また、8月からは秋色・夏素材の新作アイテムが続々登場するので、グレーやブラウンなど秋に似合うような深みのある色のトップスをゲットするのもおすすめです。ぜひ、新しいアイテムの購入を検討している方は今から活躍できて秋まで持ち越せるトップスを探してみてくださいね!Information・商品紹介UNIQLO リブボートネックノースリーブT ¥1,000(税込)GU フレンチスリーブプルオーバーシャツ+E ¥1,990(税込)
2023年08月14日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。今回はファッションウィークでおなじみのイケメン達のメガネ&サングラス姿をピックアップしてみました!トレンディなキャットアイメガネ全体のスタイルを見ただけで、とんでもないお洒落さんだなとわかりますよね。コートのディテールも、スーツも個性的な柄。そんな彼の愛用メガネは今でも大人気のキャットアイ型メガネ。丸みを帯びたデザインなので、優しい印象を与えてくれます。個性爆発!ラウンドメガネ一瞬メガネをしていないように見えるほど小さめのメガネは、縁が透明なデザイン!なかなか似合う人はいなさそうですが、この方とっても似合ってますよね。さらにまん丸の形がよりお洒落度を高めているようです。全体のスタイルにもピッタリ!定番サングラスはいつでも優等生やっぱりボストン型サングラスはメンズにも人気!全身を黒でまとめた彼のスタイルにピッタリあった形。カッコ良すぎる形のサングラスだと、それなりに尖って見えますが、あえて丸みのあるボストン型だと、お洒落度が増すんですね。彼の愛用サングラスはアビエーター / Aviatorいつもサングラスを愛用している彼、いつだってアビエーター / Aviator愛用者。それにこのかたのスタイルにピッタリなじんでますよね!もう顔の一部のような印象です。それにしても、なかなか似合う人がいないのに、こんなに似合うなんてうらやましい限りです。ラウンドサングラスでお洒落度マックス全体をブラウンでまとめた、ビーガンレザージャケットが決まってる彼、ここに小さめラウンドサングラス!最後のファッションの決め手となるようなピックアップの仕方。もう本当にお洒落さんだと一目でわかりますよね。ラウンドサングラスは、着用するだけで一瞬でお洒落に見えちゃうから、ファッショニスタには大人気!彼しか似合わない!もう何型というんでしょうか。彼が他の形のサングラスをしているイメージが湧かないくらい、このサングラスがピッタリ似合っています。全体的にクールでかっこいい印象が強いので、サングラスがビシッと決まってます。今回はファッションウィークで発見したメンズのお洒落メガネ&サングラスの着用スタイルをスナップしてみました。お洒落さんは選ぶメガネ&サングラスも独特なのがわかりますよね。ファッションの重要なアクセサリーのひとつなので、ぜひ今後の参考になれば幸いです。写真、文・平野秀美
2023年08月13日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。ビシッと決めたい日には、レッドスタイルが人気!インフルエンサーのレッドスタイルを参考にしてみましょう!素材違いを上手に組み合わせるお洒落なシルキー素材のプリーツスカートに、ニット系で少しカジュアル感を出したスタイル。素材を上手に変えて、雰囲気を楽しんでいるようです。またこちらのニットがふんわりしたスタイルなので、より女性らしい印象を与えてくれます。アウターでレッド使い全身を赤にするには勇気がいる…という場合は、まずはアウターだけをレッドにするのもいいかもしれません。こちらのアウターは長めタイプですが、ショートタイプの赤でも目立ってお勧め!スーツでビシッと決めたい!実は海外でよく見かけるのが、この上下レッドスーツスタイル。目立つだけでなくかっこいいですよね!しっかりと主張する場面ではファッションはとても重要なので、大切なイベントなどにはレッドスーツが人気のようです。上品なワンピーススタイルどんな色でも可愛らしい襟付きのプリーツワンピース。ブーツやベルトなどの小物の色に対しても、主張するレッドが、インパクトあって魅力的!どんな柄ものよりも目を引くカラーで印象深いスタイルにしてくれます。ハーフパンツでカジュアル感出してこちらはなかなか難しいハーフパンツスタイル。さらにレッドスタイルでもお洋服に当たるライト次第で、ツートーンに見せてくれるお洒落なデザイン。うっすら見え隠れする柄が上品で、パーティなどにもってこい!今回は、とても人気の高いレッドスタイルをピックアップしてみました。目を引くレッドはパーティなど重要な時に印象深く存在感を感じさせてくれるので、TPOに合わせて使ってみるといいですね。写真、文・平野秀美
2023年08月12日サントリー美術館で、「虫めづる日本の人々」が開かれています。本展では、古くから日本の美術作品に描かれてきた「虫」たちに注目。和歌や物語にも登場し、日本で愛されてきた虫の文化に触れられる展覧会です。美術館で「虫」探し!「虫めづる日本の人々」会場入り口風景【女子的アートナビ】vol. 308「虫めづる日本の人々」では、古くから物語や和歌、美術作品のなかで季節感や人の心を表すものとして描かれてきた虫に焦点をあて、中世から近現代までの絵画や工芸、着物などさまざまな作品が紹介されています。サントリー美術館学芸員の宮田悠衣さんは、本展について次のように教えてくれました。宮田さん近年、雑誌『ブルータス』で昆虫の特集があったり、虫の展覧会が開かれたりと虫に注目が集まっています。とはいえ、展覧会は花鳥画に比べると少なく、当館でもはじめての取り組みとなります。虫は古来の日本美術において重要なモチーフであり、例えば『源氏物語』や『伊勢物語』など古典文学のなかでは鈴虫や松虫などの鳴く虫や蛍が登場人物の心情を表す重要な役割を果たしています。絵のなかで、いろいろな虫を探してみてください。きりぎりすの恋バナ!「虫めづる日本の人々」展示風景手前:住吉如慶《きりぎりす絵巻》二巻 江戸時代 17世紀 細見美術館蔵(全期間展示・場面替えがあります)では、いくつか見どころをピックアップしてご紹介。まず第一章「虫めづる国にようこそ」では、江戸時代の絵巻や硯箱などを展示。虫をめでる文化は宮廷を中心に発展し、鳴く虫を捕まえて宮中に献上する虫撰(むしえらみ)も行われていました。また、虫の音を楽しむ虫聴(むしきき)や蛍狩(ほたるがり)などの娯楽も宮廷を中心に育まれたそうです。この章での見どころは、美しい玉虫姫をめぐる虫たちの恋物語を描いた《きりぎりす絵巻》。宮田さん場面の展示替えがありますが、前期では上巻のクライマックス場面が展示されています。セミの右衛門督(うえもんのかみ)が恋の争いに勝ち、玉虫姫と一夜の逢瀬をしたあと、玉虫姫に後朝(きぬぎぬ)の文を届け、その返歌を玉虫姫がしたためている場面です。擬人化した虫たちが、さまざまに活躍する様子を楽しめます。夫婦円満のデザインとは?《梅樹熨斗蝶模様振袖》江戸時代 19世紀女子美術大学美術館蔵(展示期間7/22-8/21)続く第二章「生活の道具を彩る虫たち」では、酒器や染織品などの身近な道具にデザインされた虫たちに注目。華やかな蝶の模様が入った打掛や生活道具などが展示されています。宮田さん熨斗蝶(のしちょう)とは、夫婦円満の印として認識されていた蝶の文様です。2羽の蝶が仲睦まじく飛ぶ様子が夫婦円満を意味する文様となるなど、蝶は昔から縁起が良いものとされてきました。婚礼の衣裳にも蝶がデザインされています。江戸末期になると、裕福な町人階級も婚礼をするようになり、さまざまな階層の人たちに婚礼衣装が広がり、同時に熨斗蝶の意味も広がり、縁起の良い文様として広く認識されるようになりました。「秘めたる恋心」を表す虫とは?喜多川歌麿《夏姿美人図》江戸時代寛政6-7年(1794-95)頃遠山記念館蔵(展示期間:7/22-8/21)第三章「草と虫の楽園―草虫図の受容について―」では、中国から伝わった「草虫図」がどのように日本で愛されたのかについて紹介。会場では、重要文化財に指定されている草虫図などを見ることができます。さらに、3階の展示室にある第四章「虫と暮らす江戸の人々」では、庶民の娯楽として広まった虫聴や蛍狩について紹介。虫をめでる文化は宮廷を中心に育まれていましたが、江戸時代中頃になると庶民も楽しむようになっていきました。町には虫売りが増え、虫聴や蛍狩の名所も登場。そんな虫に親しむ人々の様子を描いた浮世絵などが展示されています。宮田さん喜多川歌麿の《夏姿美人図》では、足元に蛍籠が描かれています。この女性は、身支度を整えていて、これから夜の蛍狩りに恋人と行くところです。さらに踏み込むと、蛍は「秘めたる恋心」を象徴する虫として古くから和歌に盛り込まれてきたものです。蛍という虫が持つ文化的な側面が絵の中にこめられています。ユルッとした若冲の大人気作品!重要文化財伊藤若冲《菜蟲譜》江戸時代寛政2年(1790)頃佐野市立吉澤記念美術館蔵(展示期間:8/9-9/18※場面替えがあります)次の第五章「展開する江戸時代の草虫図―見つめる、知る、喜び―」では、江戸時代に制作された多彩な虫の絵を展示。伊藤若冲の大人気作品《菜蟲譜(さいちゅうふ)》も、この章で楽しめます。東京では7年ぶりの公開となる本作品について、宮田さんが見どころを教えてくれました。宮田さんこの作品には、56種類ほどの虫たちが登場します。9月4日までの前半期間では、葛の葉で遊ぶ虫たちの様子を描いた場面を展示しています。たくさんの虫たちの特徴をしっかりと捉えながらも、生き生きとユーモラスに描かれている点が見どころです。例えば、キリギリスは顔をこちらに向けて視線を投げかけているので、目が合ったりします。表情などもおもしろく、ユルッとしたところも魅力です。西洋人が驚いた!満田晴穂左:《自在精霊蝗虫》令和4年(2022)、中央:《自在鬼蜻蜓》令和4年(2022)、右:《自在大蟷螂》令和5年(2023)すべて作家蔵全期間展示最後の第六章「これからも見つめ続ける―受け継がれる虫めづる精神―」では、明治以降から現代までの虫モチーフ作品を展示。絵画や屏風、自在置物などを見ることができます。明治期には、西洋から影響を受け、新たな技法や表現が盛り込まれた虫作品が生み出されていきました。また、江戸時代に親しまれた虫聴や蛍狩もさらに人々の間に広がり、その様子を見た小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)など西洋の人たちを大変驚かせたそうです。昔から現代まで続く虫に対する人々の気持ちを、さまざまな美術作品をとおして楽しめる展覧会は9月18日まで開催。なお、作品保護のため、会期中に展示替えがあります。詳しくは、公式サイトでご確認ください。Information会期:~9月18日(月・祝)休館日:火曜日※9月12日は18時まで開館会場:サントリー美術館時間:10:00~18:00(金・土は10:00~20:00)※8月10日(木)、9月17日(日)は20時まで開館※いずれも入館は閉館の30分前まで観覧料:一般¥1,500大学・高校生¥1,000中学生以下無料
2023年08月12日人形業界に革命を起こし、「世界でもっとも有名なファッション・ドール」と呼ばれるバービー。その世界観を初めて実写化した映画『バービー』が、いよいよ日本でも公開を迎えました。そこで、日本版吹き替えを担当したこちらの方にお話をうかがってきました。高畑充希さん【映画、ときどき私】 vol. 594本作で、マーゴット・ロビー演じる主人公バービーの声を演じた高畑さん。舞台やミュージカル、映画、ドラマなどで幅広く活躍されている高畑さんですが、洋画作品で吹き替えを担当するのは2015年の『シンデレラ』以来、2回目となります。今回は、映画を通して感じたことやハッピーになる瞬間、そして完璧よりも大切なものについて語っていただきました。―久しぶりのアフレコでかなり緊張されたそうですが、どのような意識で挑まれたのかを教えてください。高畑さん私は声優さんと違って普段生身でお芝居をしているので、慣れない声での表現はどうしたらいいんだろうと思い、ほかの吹き替え作品やマーゴット・ロビーさんの出演作を観たりして準備をしました。それと同時に、映画のなかでキャラクターがどういう感情になるのかにも寄り添えたらいいなと思ったので、そのあたりも手探りで演じました。―実際、苦労したシーンなどはありましたか?高畑さん「Hi, Ken」というセリフがものすごく多いんですが、そこで最初につまずきました。というのも、「ハーイ」と言うとどうしても「ケン」まで英語の発音になってしまうのですが、そこも日本語っぽくしゃべってほしいと言われたので。「健康の『健』みたいな感じです」と何度も注意されました(笑)。―逆に、気分が上がったシーンといえば?高畑さんバービーたちは、ガールズナイトやパーティを毎晩していてハイテンションなので、ブースのなかで私も1人で絶叫していました。そんなときは、自分で「何してるんだろう」と思ったことも(笑)。でも、普段ではないようなテンションだったので、すごく楽しかったです。ダメな自分のほうが好きだと思えるようになった―完成した作品を観たときの感想についても、お聞かせください。高畑さん私はもともとグレタ・ガーウィグ監督が大好きですが、彼女がバービーを実写化するというのが最初は全然つながりませんでした。でも、ポップな世界観が見事に完成されているうえに、ストーリー性もある。こんなふうにかけ合わせられることに感動しましたし、当初思い描いていたより何倍も大人向けの作品になっていると思いました。観る方によってかなり印象が変わる作品ですし、見どころを説明するのも難しいので、「とりあえず観てください!」という感じです。―そのなかでも、共感するところはありましたか?高畑さんあるシーンで「あなた変わったわね」とバービーが言われるんですが、そこで「いまの私は完璧じゃないから」と答えるところは響きましたね。というのも、私が10代だったころ、自信に溢れていて完璧だと思っていましたが、大人になるにつれて、それが崩れ始めて動揺したことがあったからです。でも、そのときに「ダメなところがいいね」と言ってくださる人がいて、自分でも「こっちの私のほうが好きだな」と思えたので、そういうところはわかるなと。10代は無敵でしたけど、人生は崩れてからのほうがおもしろいなと感じています。アクシデントがあるほうが、テンションが上がる―つまり、完璧でいるよりも大切なものがあることに気づいたと。高畑さんといっても、そもそも私は完璧であることを求めたことがないのかもしれません。それは小さい頃からずっと舞台に立つなかで、お客さんのテンションや共演者によって毎日すべてが変わり、完璧を目指してもなかなかそうならないことを感じていたからです。でも、それによって100点じゃなくて120点が出る日もあったので、自分が完璧にするよりも、一緒に演じている人たちのことを完璧に信頼したいという気持ちのほうが強くなりました。もちろん、バービーみたいに完璧であるがゆえの美しさもありますが、私自身は完璧ってワクワクできないんじゃないかなと。―なるほど。劇中にはさまざまなタイプのバービーが登場しますが、なれるとしたらどのバービーになりたいですか?高畑さん私は、腕を上げると胸が大きくなるバービーです(笑)。大きくしたいときは膨らませて、洋服によってはへこませられたら最高だなと。女性の夢じゃないですかね。―確かに、それは最高ですね!バービーだけでなく、恋人のケンも魅力的なキャラクターでしたが、どういう印象を受けましたか?高畑さんバービーのことが大好きだけど、それがなかなかうまくいかないので強がってしまうときもありますが、単純でかわいくて憎めないですよね。私は穏やかで柔らかい仕草をする男性が好きなので、ケンみたいに素直でチャーミングな人はいいなと思います。「生きているだけで偉い」と感じるようになった―本作ではキラキラした要素だけでなく「男女とは?」「生きるとは?」というところまで描かれていると感じたそうですが、ご自身のなかで新たな発見もあったのでしょうか。高畑さん「女だから」とか「男だから」というテーマも描かれていますが、最終的には所属や出身に関係なく「個人としてどう生きるか」という部分にたどりつくので、それがいまの時代には合っている作品だなと感じました。あと、最近は「生きているだけで偉いんじゃない?」と思っています(笑)。私もめちゃくちゃ落ち込む日はありますが、その翌日にめっちゃハッピーになることもあるので、まだまだ生きてみないとわからないなと。これから先の人生も、いっぱい発見があるのかなと考えると楽しみです。―ちなみに、落ち込んだときの対処方法やハッピーになるために心がけていることがあれば教えてください。高畑さんそういうときは何もしません。落ちるときは落ちますし、ネガティブなときはすべての思考がネガティブに傾きますから。ただ嵐が通りすぎるのを待ちます。でも、私は洋服が大好きで、毎朝何を着て出かけるかを考える時間が幸せなので、それが人生の楽しみになっているのかなと。もし全人類が裸で生活するようになったら、私の楽しみはすごく少なくなってしまうと思います(笑)。限られた時間を大切に使いたい―また、現代はSNSなどもあり、多くの人がバービーのように完璧であることを目指そうとしていますが、こういった環境のなかで生きづらさや窮屈さを感じたことはありますか?高畑さん何をやっても何かを言われるような世の中ですし、完全に賛同されることはおそらく1つも存在しないとも感じています。でも、そこに引っ張られてしまうのではなく、それを切り離して、自分の周りにいる人を大事にするほうが有意義ではないでしょうか。時間は限られているので、大切にしたいですね。―そういうふうに考えられるようになったきっかけなどもあったのでしょうか。高畑さん経験を積み重ねるなかで少しずつではありますが、そのなかでも大きかったのは20代前半に舞台に出演していたときのこと。内容がけっこう過激だったので、途中で帰ってしまうお客さんもいたのですが、最後まで見てくださる方にはものすごく楽しんでいただけた作品でした。そのときに賛否両論であることには意味があるんだと実感したので、みんなが何となくいいと思うものよりも、私はそういう作品にこそ価値があると感じています。よくなるかもしれないし、空振るかもしれないような作品でも、怖がらずに受けてみようという精神になったのはその頃からです。どん底まで落ちたら、あとは上がるだけ―それでは最後に、同世代のananweb読者に向けてメッセージをお願いします。高畑さん私もみなさんと同じで、いい日もあれば悪い日もあるので、どん底まで落ちたときは上がるだけだと思うようにしています。それにそういう時期がずっと続くことはなかなかありませんし、あとで「ああいう時期もあったな」と思える日が来る。落ち込むよりも、そのときのよかったことを見つけるほうが大事だと伝えたいです。実際、私も29歳で謎の焦りがありましたが、それを超えたら何もなくなって、毎日が俄然おもしろくなりました。旅行をしたり、仕事をしたり、新しい人と出会ったり、30代のほうが楽しいです。繰り返しになりますが、本当に生きているだけで偉いので、悩める女子たちにはぜひこの映画を観てほしいと思います。インタビューを終えてみて…。バービーのカウガールファッションを彷彿とさせるかわいらしい姿で登場した高畑さん。ユーモアを交えつつ、核心をついた言葉の数々にたくさんの元気をいただく取材となりました。30代を満喫し、公私ともに充実している高畑さんのさらなる飛躍が楽しみなところです。悩みも吹き飛び、気分はピンク一色!オシャレでかわいいだけじゃなく、自分にとってハッピーな生き方とは何かを教えてくれるドリームファンタジー。夢のようなバービーランドで、みんなと一緒に笑って泣いたら、もっと輝く明日にきっと出会えるはずです。写真・園山友基(高畑充希)取材、文・志村昌美ジャケット¥89,000、ブラウス¥89,000、スカート¥58,000(すべてMARANT ETOILE)、ピアス¥75,000、ブーツ¥194,000(ともにISABEL MARANT/すべてISABEL MARANT AOYAMA STORE TEL: 03-6427-3443ストーリーすべてが完璧で、毎日がハッピーで夢のような世界が広がっているバービーランド。そこで暮らすバービーとボーイフレンドのケンは、連日繰り広げるパーティやドライブ、サーフィン、デートを楽しんでいた。ところがある日、突然バービーのカラダに異変が起きる。原因を探るために2人が向かったのは、悩みの尽きない人間の世界。しかし、そこはバービーランドとはすべてが違う現実の世界だった。行く先々で大騒動を巻き起こすなか、バービーが最後に選んだ道とは…。キュートでパワフルな予告編はこちら!作品情報『バービー』8月11日(金)全国ロードショー配給:ワーナー・ブラザース映画(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.写真・園山友基(高畑充希)
2023年08月11日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第150回は、婚活していると出会う“男性”についてのエピソードです。なかでも、いまでも印象に残っている「婚活男性3選」その51をお届けします。1.面接官のような男【結婚引き寄せ隊】vol. 150それは30代から40代の大人の男女が集まる婚活パーティに参加したときのこと。最初の自己紹介タイムでは、パーティが始まる前に記入したプロフィールカードと飲み物を持って、女性が座っている席に男性が順番に動いていくというローテーションで進行していました。あるとき、目の前にメガネをかけた40代後半の男性がまわってきて、「こんにちは」とペコリ。穏やかな話し方をする人で、外見はちょっと地味な印象ながら、ガツガツしていないぶん落ち着いて話せるのは安心できると思っていたら…。「おやすみの日は何してるんですか?」と聞かれて、「おいしいものを食べに行ったりしますね」と、いたって普通のことしか答えていなくても、何やら持参してきたらしい小さなメモ帳に何かを書いています。何か質問されて、ひとつ答えると、すぐにメモを走らせる男性。え?もしかしてこっちの話をメモってるの?と「何してるんですか?」とたずねると、「気にしないで!」という返事が…。いや、婚活の席で、しかも初対面で会話の途中で何度もメモされたら気になるわ、面接官か! と、心の中でひとりでツッコんでいたら、「ハイ、男性の方は次の席へ〜」とスタッフの方の合図で席移動になり、「では!」と隣の席へその男性は移動。あっけに取られながらも、もちろんその後また話すことはなかったのでした。2.ずっと会えない男それは婚活サイトで出会いを探していたときのこと。希望の条件に近い30代後半の男性がいたので、軽いあいさつから始まり、趣味の話などをメールでやりとりするようになりました。すると、その男性は絵を観に行くのが好きで、ときどきは展覧会にひとりで行くこともあるらしく、アートも好きな私としてもそれなら、「今度美術館へ行こう」ということに。いつなら行けそうか、という話になると、その男性のほうから「来週の土曜日は何も予定がありません」とメールが来たので、「じゃあ土曜日に」と待ち合わせ場所と時間を決めて、だんだんと約束の日が近づいてきたある日のこと。あさってが約束の日、というときに「すみません、土曜がちょっと難しくなって……」というメールが来ました。なぜなのか理由が書いていないものの、事前に連絡が来たということもあり、「急がないので、また空いている日教えてくださいね」とメール。後日、「今週末はいけそうです」と連絡が来て、ちょうどこちらもいけそうだったので、「今度こそ会いましょうね」とメールしていたのですが…。今度は前日の夜になって、「すみません、明日が難しくて」というメール。ええ?と、さすがに2度目の直前のキャンセル連絡にテンションがダダ下がりになってしまい、しばらく放置していると、「日なら空いているんですが…」とメールがきたので、でもまた直前NGじゃないかと疑っていること、気分がよくはないことなどを正直にメール。さすがに怒っていることが伝わったのか、その後はパタリと連絡は途絶えました。うーん。ものすごく人見知りなのか、それともただの暇つぶしなのか、謎。いろんな人がいるよね……と、無理矢理自分を納得させた夜なのでした。3.人の話を聞かない男それは20代から40代までの男女が集まる合コンに参加したときのこと。ちょっと遅れて到着した私は、たまたま空いていた席に座ったところ、横に座る男性から「おつかれさまー」とビールジョッキを渡されて、そのテーブルの男女と乾杯しました。遅ればせながら軽く自己紹介を済ませ、同じテーブルの参加者は30代の男女だということがわかり、仕事の話を始めると、さっき「おつかれ」と言ってきた男性が、どれだけいまの仕事が大変か力説。何やら営業職で毎日疲れるという話のようで、最初は普通に話を聞いていたものの、とにかく話が長い…。20分置きぐらいに、他の参加者の女性が「ちょっとトイレ」と言って席を立つと、しばらくして戻ってきたかと思いきや、違うテーブルに潜り込んでこのテーブルには戻ってきません。そんな調子で、2人の女性は違うテーブルへ移動し、ひとり語りが長いこの男性に呆れて移動しているの!?と気づいたときには、なかなか逃げにくい状態に。とはいえ、さすがにその男性の話だけを聞く担当でもないわけで、他の女性たちと同じく「トイレ行きます〜」と言って脱出。酔うとおしゃべりが好きなタイプもいるでしょうけど、限度があるよねえとゲッソリしたのでした。出会いを探していると、思いがけないタイプと遭遇することもあるものです。たとえヘコむ日があっても、絶対に笑顔の日もあるはず! みなさんの恋愛がうまくいきますように。文・かわむらあみり©GaudiLab/Getty Images文・かわむらあみり
2023年08月09日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。今回は、職場でもおすすめなお洒落でかっこいいパンツスタイルをご紹介します。落ち着いたカラーの組み合わせこちらは異なる色を上手に組み合わせたパンツスタイル。グレーのパンツとブラウンのジャケットは似合わないのではと思っていましたが、こうしてみると、ネイビーのシャツがとってもバランスよくカラーの組み合わせを保っているようです。上級者の組み合わせでとっても参考になります。レザー系パンツスタイルこちらのトレンディなレザーパンツは、かっこよさが増す印象!ジャケット選びをうまくすれば、オフィスにだって着用していける万能パンツ。お洒落度はグンと上がりますよね!ホワイトで清楚な雰囲気にやっぱり全身ホワイトは清潔感あふれる品のあるファッション。パンツスタイルで、カジュアルにもオフィスにも合わせていけそうです。日本のようにかなり暑い夏には、ホワイト系スーツスタイルは見ている人も、着ている人にも爽やかな印象があって本当におすすめ!定番のグレースーツ!グレーのスーツは、ネイビーやブラック系のスーツよりも柔らかな印象なので、女性に人気!カジュアルにTシャツと組み合わせるのもいいかもしれません。重要な仕事時にはシャツで、通常のオフィスワークにはTシャツで、なんてインナーを変えるだけでファッションを楽しませてくれますよ!温かみのあるブラウンスーツこちらは素材が夏にも人気の麻を使用したお洒落なスーツ。特に暖かな印象のブラウン系は1年中使える人気のカラー。海外ではスーツスタイルにもスニーカーで合わせたりしているのがいいですよね。この方は珍しいシルバー系のシューズに合わせて自己流の組み合わせを楽しんでいるようです。いかがでしたでしょうか?本日はパンツスタイルでも、特にオフィスにも着用できるファッションをピックアップしてみました。会社によってルールがあると思いますが、お洒落でかっこいいスタイルをぜひ参考にしてくだされば幸いです。写真、文・平野秀美
2023年08月06日東京国立近代美術館で、「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が開かれています。本展では、スペインの建築家アントニ・ガウディ(1852-1926)が建設に携わったサグラダ・ファミリア聖堂にフォーカス。日本人が愛するガウディ建築の魅力に迫る展覧会です。日本人彫刻家も活躍!サグラダ・ファミリア聖堂外尾悦郎さん【女子的アートナビ】vol. 307「ガウディとサグラダ・ファミリア展」では、完成の時期が視野におさまってきたスペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリア聖堂に焦点をあて、建築家ガウディの創造の源泉や、進行中の建設プロジェクトについても紹介。図面や模型、彫刻、写真など多彩な作品や資料に加え、最新映像も見ながら、サグラダ・ファミリア聖堂の魅力にたっぷりと触れられる展覧会です。本展の開幕前日に開かれたプレス内覧会では、彫刻家の外尾悦郎さんが登壇。外尾さんは、サグラダ・ファミリア聖堂の彫刻家として現地で長年活躍され、ミケランジェロ賞や文化庁長官表彰など国内外で多くの賞を受賞されている方です。外尾さんは、次のようにコメントされました。外尾さん私は1978年にヨーロッパに渡り、3か月で日本に帰る予定でしたが、サグラダ・ファミリアに出合い、45年、仕事をさせていただくことになりました。なぜ、45年間もいたのか。サグラダ・ファミリアをはじめとするガウディ作品に魅力があるからです。魅力どころではない、いま我々人類が必要としている大切なヒントが、ガウディにはありました。それが私を惹きつけているのです。その一端を、今回の展覧会で見ていただければ、明るいヒントが見つかるのではないかと期待しています。サグラダ・ファミリア聖堂とは?「ガウディとサグラダ・ファミリア展」展示風景まず、本展の主役であるサグラダ・ファミリア聖堂について、ざっくりとご紹介。サグラダ・ファミリア聖堂は、1882年に起工式が開かれ、ガウディは1883年に二代目の建築家として就任。聖堂は献金で建設資金を得ていたため、彼は設計や建設に携わるだけでなく、資金集めなどにも奔走しました。聖堂は未完のまま、ガウディは73歳のとき路面電車にはねられて亡くなってしまいます。その後、スペイン内戦時にはガウディの模型などが破壊され、またフランコ独裁政権時代には建設資金も集まらず、聖堂は何度も建設中止の危機に陥ります。スペイン王政復古後には経済も上向き、2005年には聖堂が世界遺産に登録されて観光客も増加。その入場料などで資金も増えて工事が進み、コロナ禍で中断しながらも少しずつ完成に近づいています。サグラダ・ファミリアは総合芸術!「ガウディとサグラダ・ファミリア展」展示風景では、展覧会の見どころについて、ピックアップしてご紹介していきます。1章「ガウディとその時代」では、図版やガウディの愛読書などを展示。学生時代のガウディがどのようにして建築家になっていったのか、その形跡をたどれるようになっています。東京国立近代美術館 企画課長の鈴木勝雄さんは、ガウディについて次のように教えてくれました。鈴木さんいかに天才ガウディといえども、彼独自の世界を築くにあたり、古今東西さまざまな建築やイメージソースを吸収し、そこから理論や造形をつくりだしていきました。前半の章では、ガウディの頭の中をのぞくことができます。そこで見えてきたガウディの独創性が、サグラダ・ファミリアへとつながります。ガウディが生きた時代は万国博覧会の時代で、世界各地の文化や技術、さまざまな様式の建築が見られました。そこから異文化を吸収しつつ、彼は自分の世界をつくっていきました。サグラダ・ファミリアは、まさに総合芸術なのです。自然や植物も好きだった「ガウディとサグラダ・ファミリア展」展示風景2章「ガウディの創造の源泉」では、歴史・自然・幾何学に注目。ガウディのスケッチや模型、彼がデザインした椅子などが展示されています。ガウディは、スペインのイスラム建築の歴史に関心もち、くだいたタイルで建物を彩る多彩色建築に取り組み、独自のスタイルを生み出しました。鈴木さんガウディは、自然や植物を丁寧に研究し、自分の装飾パターンに入れていきました。また、当時は洞窟や浸食された大地の奇妙な形に人々が関心を持ちロマンを抱く時代で、ガウディも洞窟にロマンを感じていました。洞窟を思わせるものが、彼の建築の随所に出てきます。さらに、彼は造形を自由に展開するだけでなく、幾何学にも長けており、建築構造に深い知識を持っていました。放物線の形をした超高層ビルの模型もつくり、その形が後のサグラダ・ファミリアの構造にもつながっていきます。聖堂を飾っていた石膏が登場!外尾悦郎《サグラダ・ファミリア聖堂、降誕の正面:歌う天使たち》サグラダ・ファミリア聖堂、降誕の正面に1990-2000年に設置作家蔵3章「サグラダ・ファミリアの軌跡」では、ガウディ独自の制作方法などを紹介。彼は、図面だけでなく多くの模型をつくって自分の構想を練り上げていきました。会場では、大小さまざまな模型や、聖堂を飾った彫刻も展示されています。鈴木さんガウディは、彫刻をつくる際、実際のモデルから型を取っていました。モデルは、バルセロナの市民たちでした。彼が亡くなったあとは後世の人たちに受け継がれていき、外尾悦郎さんは聖堂の「降誕の正面」に設置されている「歌う天使たち」の石膏像をつくられました。会場にある作品は、10年間、聖堂に設置されていたものです。ぜひ、天使の表情や所作などをじっくりご覧ください。4K画像で空中散歩も!《サグラダ・ファミリア聖堂、身廊部模型》2001-02年制作:サグラダ・ファミリア聖堂模型室西武文理大学3章の最後では、NHKが最新技術を使って撮影したサグラダ・ファミリア聖堂の美しい映像を楽しむことができます。また、4章「ガウディの遺伝子」では、ガウディ建築が現代に与えている影響や意義を探り、インタビュー映像なども紹介。最後は、ガウディの言葉が映像で映し出されて展示が終わります。なお、この展覧会は連日大盛況で、会場内は混雑しています。公式サイトに混雑状況も載っていますので、チェックしてからお出かけください。Information会期:~9月10日(日)休館日:月曜日(8月28日、9月4日は開館)会場:東京国立近代美術館時間:10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)※入館は閉館の30分前まで観覧料:一般¥2,200大学生¥1,200高校生¥700中学生以下無料※熱中症対策及び混雑緩和のため8月3日以降は日時予約推奨(8月25日以降は休まず夜間開館を実施)。詳細は展覧会公式サイトへ。巡回情報:滋賀会場:2023年9月30日(土)~12月3日(日)佐川美術館愛知会場:2023年12月19日(火)~2024年3月10日(日)名古屋市美術館
2023年08月06日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。今回はやっぱり大人気のデニムファッションについて、最新スタイルをご紹介します。オーバーサイズのデニムジャケット!数多くのブランドがオーバーサイズのデニムジャケットを販売している通り、ストリートスタイルでも多くの方が愛用しているのが伺えます。また、オーバーサイズはやっぱり今も人気。着るだけでトレンディなスタイルになるのもいいですよね。こちらの写真のデニムは、さらにロゴが柄になったお洒落デニム。全体のスタイルにピッタリ合っててかっこいい!デニムベストは男女共に人気キラキラとした飾りがついているデニムベストは、カッコ良さにきれいがプラスされて強調されたような印象。この方はブラトップスを着用していますが、Tシャツだったりワンピースを合わせても可愛く着こなせそうです。手ぶらでOK!実用も兼ねてこちらの男性のベストは、仕事でも使用できちゃいそうなポケットだらけの使い勝手がよさそうなベスト。男性の全体のスタイルにピッタリ合っていて、さすがお洒落さんという感じ。ロングジャケットにもワンピースにも大きめデニムシャツのいいところは、実はこのようにジャケットとしてもワンピースとしても使えちゃうところ。この日はワンピースのように使用していますが、前を開けてアウターとしても使える万能タイプ。またデザインはシンプルながらも色がタイダイ風なので、お洒落度はよりアップ!上下お揃いのホワイトデニム上下お揃いでデニム着用は今や定番スタイル。今回はホワイトデニムというところがポイント!ラインやフリンジが入った小洒落たデザインも珍しく、飽きのこないスタイリッシュさがポイント。夏でも涼しげに見えて素敵!穴あきデニムはいつだって使える!私も持っていますが、穴あきデニムはちょっとスタイルを崩したい時にもってこい。この方のようにビシッと決めたジャケットスタイルにも似合ってしまう不思議な存在なんですよね。もしこれが普通のデニムならインパクトは少ないと思いますが、穴あきデニムのお陰で全体がより遊び心を感じるスタイルになっています。いかがでしたでしょうか?デニムといってもズボンだけではなく、今はほとんどのファッションアイテムで使われています。使い方次第で、いろんなスタイルを楽しめるのがわかりますよね。今後のスタイルの参考になりましたら幸いです。写真、文・平野秀美
2023年08月05日ペットランキングや数多く配信されている動物動画のなかでも、幅広い層からつねに高い人気を誇っている猫。そこで、オススメの1本としてご紹介するのは、猫好きにはたまらないと話題のドキュメンタリーです。『猫と、とうさん』【映画、ときどき私】 vol. 593俳優兼インフルエンサー、ベイエリアの技術者、路上で暮らす男性、消防士、スタントマン、トラック運転手など、一見何のつながりもない男性たち。それぞれ異なる背景を持つ彼らだが、その共通点は家や職場でともに生活する猫たちをこのうえなく愛していることだった。そんな彼らに立ちはだかったのは、誰にとっても経験したことのない試練となった2020年。9人の男性たちは、コロナ禍で愛猫とともにさまざまな困難を乗り越えようとしていた…。ダラス国際映画祭2021やサンフランシスコインディーフェスト2022などで観客賞に輝き、各地で好評を博している本作。そこで、見どころなどについてこちらの方にお話をうかがってきました。マイ・ホン監督手がけたのは、ロサンゼルスを拠点に活動しているマイ・ホン監督。自身も、6匹の猫と暮らす愛猫家でもあります。今回は、キャリアにおいて初の長編ドキュメンタリー映画となる本作が誕生したきっかけや猫が男性たちに与える影響、そしてアメリカの猫事情などについて語っていただきました。―本作は、猫好きではなかった監督のパートナーが猫を飼い始めたことによって変わっていく様子を目の当たりにしたことが制作のきっかけだったとか。実際、どういう変化があったのかを教えてください。監督私は彼のことを長年知っていますが、優しい人ではあっても、動物に関心があるタイプではないと思っていました。なので、猫との強いつながりを見たときに「こんなにも思いやりがあって、動物を愛せるキャパがある人だったのか」と私も周りの人たちもみんな驚いたんです。あと、夫は仕事人間で働きすぎなところがありましたが、以前よりもゆったりとした暮らしをするようになったことで、自分の時間を大切にするようにもなりました。そんなふうに、猫とかかわることによって変わっていく姿を見て感動しましたし、重要な意味を持つことでもあると感じたのです。男性が猫を飼うことは、まだあまり一般的ではない―ただ、アメリカでは「猫を飼う男性は変わっている」と見られてしまう傾向があるそうですね。監督SNSに猫を飼う男性の投稿が増えていることによって、少しずつ変わってきたとは思いますが、それでも男性が猫を飼うことはまだあまり一般的とは言えないかもしれません。実際、飼っていたとしても、そのことを男性がオープンに話さないこともあるくらいですからね。私の兄がいい例ですが、実は彼が猫を飼っていることも、猫をかわいがっていることも知らなかったんです。でも、この映画によって彼はそのことを話してくれるようになりましたし、猫との写真をSNSに載せるようにもなりました。そんなふうに、身内にも猫のことを言わない男性もいるほどです。―驚きのエピソードですが、その背景には「猫を飼っていることを知られるとモテない」と男性が思い込んでいる部分もあるのかなと。監督それもありますね。おそらく、テレビや映画が与える影響が大きいと思いますが、男性には猫ではなく、犬がキャスティングされることが大半です。そうなると、男性と猫というのは見慣れない光景になるので、それが彼らにとっては恥ずかしさにつながってしまうのかもしれません。あと、アメリカでは猫好きの女性を「クレイジーキャットレディ」と呼び、非常識な描かれ方をされることがよくあるので、そういうイメージが広まってしまったことも原因だと感じています。最近は、有害な男らしさも改善されつつある―ちなみに、日本でも「猫を飼う女性は結婚できない」と言われていたこともあるので、猫好き女性に対する偏見は似ている部分があるのかもしれないです。監督そうですね。アメリカでも猫好きの女性は、1人で猫と住んでいるように思われたり、少し哀れみを持って見られたりする部分もありますから…。でも、私としては、猫の面倒もちゃんと見ることができる自立した女性で、より解放されている人として捉えています。―そう思います。また、本作では男性と猫を通して、“現代における男性らしさ”について探求したいという意図もあったそうですが、制作過程で新たな発見などもあったのでしょうか。監督いわゆる「トキシック・マスキュリニティ(有害な男らしさ)」については、だいぶ改善されているように感じました。それは、MeToo運動のように女性が声を上げられるようになり、男女平等を求めるようになったことも大きいのではないでしょうか。ただ、進化した部分があるのと同時に、伝統的な男らしさとされるマッチョイムズについては、まだまだかなと思うところも…。その1つの例が銃規制ですが、そういったところは、もっと改善すべきだと考えています。とはいえ、なかなか打破するのが難しい分野ではありますね。日本には、共通の“猫愛”があると感じている―なるほど。ただ、本作に登場する男性たちを見ていると、猫にはそれを変える可能性があるのではないかとさえ感じるところもありました。監督確かに、そうですね。男性と猫というイメージが広がることによって、もっと男性のソフトな面が出てほしいですし、もっとそこを評価してほしいと思っています。そうすれば、男性もマッチョでいることよりも、動物や人に対して愛情を持って接することに価値を見い出せるようになるからです。そして、それが有害な男らしさによるいじめなどを減らしていくきっかけになったらいいなと考えています。それから、男性が問題を解決する際のアプローチ方法においても、そういった変化は重要だと言えるのではないでしょうか。映画のなかに、野良猫の問題に取り組む男性が出てきますが、その姿から問題解決においても男らしさではなく、愛情や優しさを持って向き合う大切さを知ってほしいです。―日本についてもおうかがいしますが、これまでたびたび来日されているということなので、どのような印象をお持ちかをお聞かせください。監督日本人は勤勉で職人気質ですし、食をはじめとする文化の発信の仕方も素晴らしいので、私も映画という分野で同じように極められたらいいなと考えています。それと、猫が文化の一部に入り込んでいる国だなという印象です。ロゴや広告など、いたるところに猫がいるので、共通の“猫愛”を感じられて、猫好きの私としてはとても落ち着きます。楽しみながら仕事をする大事さを伝えたい―そういった共通点から、今後日本のアーティストと仕事をしてみたいと思うこともあるのでは?監督美的感覚が優れた方が多いので、機会があればぜひコラボレーションしてみたいですね。好きな方がいっぱいいすぎて困るのですが、映画監督であれば三池崇史監督のファンです。以前、私はアジア映画祭のプログラマーをしていたこともありますが、そのときにも三池監督の作品は多くかけていましたし、私の周りにも好きな人はたくさんいます。なので、アメリカでも監督の作品は愛されていることを伝えたいです。―それでは最後に、ananweb読者にメッセージをお願いします。監督言い尽くされた表現ではありますが、やっぱり大切なのは「ネバーギブアップ」の精神。私自身も諦めそうになったことはありましたが、40代半ばでジャンルをドキュメンタリーに変更したことでやっと自分に合うものに出会うことができた経験があるからです。「気づくまでにどうしてこんなに時間がかかったんだろう」と思うこともありました。でも、そんなふうにちょっとした調整をしただけで答えが見えてくることもあると知れたので、いまはよかったなと感じています。この作品も自分の楽しみのために撮り始めたものなので、成功しても失敗しても関係ないという気持ちでしたが、いつの間にか多くの人が共感してくれました。そうやって輪が広がっていき、同時に評価されていることもうれしいですが、その源にあるのは何かというと、自分自身が楽しむこと。キャリアを築くうえではそういうこともつい忘れがちですが、楽しみながら仕事をする大事さをみなさんにも伝えたいです。“ニャン”とも言えない幸せな気持ちに満たされる!猫好きはもちろん、まだ猫の魅力に気づいていない人も虜になること間違いなしの本作。思わず釘付けになってしまうかわいさに癒されるだけでなく、個性豊かな猫たちが起こす奇跡の瞬間にも心を奪われる珠玉のドキュメンタリーです取材、文・志村昌美目が離せない予告編はこちら!作品情報『猫と、とうさん』YEBISU GARDEN CINEMA、シネ・リーブル池袋、ヒューマントラストシネマ有楽町他にて公開中配給:ファインフィルムズ️(C) Gray Hat Productions LLC 2021.
2023年08月03日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。この夏に欲しい珍しいサングラスから定番デザインまで一挙にご紹介します。フェスやイベントに!ハート型のサングラスが可愛い!ブラックだと意外と普通の時でも使えそうなくらい、ファッションアイテムとして定着しそう。特にフェスやイベントなどではいつも人気の変形サングラス。ハート型はやっぱり可愛いですね。定番スクエアサングラス最近は一風変わったサングラスが人気ではありますが、やはり定番のスクエアタイプはちょっとお出かけの時に主張しすぎずにバランスが取れるので、愛用する人も多いのところ。1つ持っていたら、本当に重宝します。大きめのフレームは小顔効果抜群!今も人気の大きめフレームは、やはり小顔効果抜群ですね。また目が大きく見える印象があるので、ファッションアイテムとしては持ってて損なし!ラウンドサングラスは今年再注目!こちらのサングラスは、完全なるラウンドタイプではないけれど、こういう丸タイプのサングラスは本当に最近よく見かけます。比較的お洒落さんがかけている感じが強いので、ぜひ真似してみたいですね。細長タイプのサングラス目尻あたりが細くなったタイプのサングラスも、ここ最近人気のようです。多くのファッションショップで見かけますよ!また甘辛な印象なのも魅力的。個性的すぎないのでどんなファッションにも合わせやすく、毎日でも愛用できちゃいそう!フレームが透明系のサングラス形はよく見かけるタイプですが、フレームが透けたタイプのサングラスやメガネが人気急上昇中。印象も重くなりすぎず、夏にはぴったりな印象です。キャットアイサングラス今でも大人気のキャットアイサングラス。特に最近は目尻部分がより上がったものが流行っている模様。カラフルなフレームを選ぶのも今年の特徴です。ファッションを選ぶ印象なので、印象づけたい時にはもってこいです!いかがでしたでしょうか?今回は今年の夏にぜひお勧めしたいサングラスをご紹介しました。数ある中でどんなサングラスを選べばいいかわからない場合は、上記を参考にしてみてください。写真・文 平野秀美
2023年07月30日気になる話題の映像作品をおすすめするコラム【テレビっ子の窓】第7回。日本の作品から韓国の作品まで日々チェックしている、テレビウォッチャーで、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりがお届けします。【テレビっ子の窓】vol. 7春が過ぎ夏を迎え、暑い日が続くようになると、クーラーのきいた涼しい部屋でゆっくりしたくなる方もいるはず。そんなときにオススメしたい、2023年発表の注目の韓国ドラマと韓国映画をご紹介します。ときめく王道ラブストーリー『キング・ザ・ランド』Netflixシリーズ『キング・ザ・ランド』独占配信中作り笑いが苦手なキンググループの御曹司ク・ウォン(イ・ジュノ)は、いつも笑顔をふりまくホテル従業員のチョン・サラン(ユナ)と最悪な出会いをして険悪な関係に。ある日、2年連続で親切社員&優秀社員に選ばれるほどの逸材であるサランは、従業員の憧れの部署「キング・ザ・ランド」に配属され、上司となるウォンと衝突しながらも次第に惹かれあっていくという、王道のラブストーリー『キング・ザ・ランド』。Netflixシリーズ『キング・ザ・ランド』独占配信中御曹司と従業員という立場の違いがあるなかで、ウォンとサランの距離がどんどん縮まっていく様子がなんともロマンチック。そもそもK-POPスターの2PM ジュノと少女時代のユナという、容姿端麗なふたりが恋に落ちるさまは、観ているだけでも目の保養になって、ときめきスイッチがオン! いま現在ドラマが配信途中ということで、結末がどうなるのか、今後の展開が待ち遠しいです。ラブコメディ『ボラ!デボラ~恋にはいつでも本気~』Amazon Original『ボラ!デボラ~恋にはいつでも本気~』 Prime Videoで独占配信中。©KT StudioGenie恋愛コラムニストで恋愛コーチとして知られるボラ(ユ・インナ)とともに、恋愛にうとく無愛想な出版社のスヒョク(ユン・ヒョンミン)がボラの担当企画者となって、ふたりで恋愛指南書を作ることに。恋愛には戦略が必要だと世間にアピールしていたボラは、実生活では浮気者の恋人ジュワン(チャンソン)と別れの危機が訪れます。その一方でボラとスヒョクは、だんだんと恋愛の駆け引きをするようになるというラブコメディ『ボラ!デボラ~恋にはいつでも本気~』。Amazon Original『ボラ!デボラ~恋にはいつでも本気~』 Prime Videoで独占配信中。©KT StudioGenieボラを演じるユ・インナといえば、『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』(2016年)で死神と切ない恋をしたサニー役で魅力を開花させた印象。主演作となる今回は、自立した女性ながら恋愛にとまどうボラ役を好演していて、恋をしている女性は共感できる部分が多いかも。ボラの妹の彼氏役として登場し、初めて演技に挑戦したK-POPグループ「iKON」のジュネや、ジュワン役の2PMチャンソンらにも注目です。ファンタジーロマンス『ハートビート』Amazon Original『ハートビート』 Prime Videoで独占配信中©KBS「人間になって、心躍る恋がしたい」と願うヴァンパイアのウヒョル(オク・テギョン)は、サンザシで作った棺の中で100年間眠ると人間になれる秘術を知り実行したものの、あと1日の99日目に人間の女性イネ(ウォン・ジアン)に棺を開けられて“半人ヴァンパイア”になってしまいます。イネは血の通わないようなドライな女性でウヒョルとは折り合わないものの、ひょんなことから同居して心が通い合っていくという、ファンタジーロマンス『ハートビート』。Amazon Original『ハートビート』 Prime Videoで独占配信中©KBSウヒョルとイネが、どんなふうに恋愛関係になっていくのか? 現在配信途中ということもあって、今後のなりゆきに期待大。以前『ヴィンチェンツォ』で魅せた悪役での怪演が鮮烈で印象深いテギョン。今作では、人間になる秘術を教えてくれた1000年生きる猫のコ・ヤンナムのことを「コ先生〜」と呼んで探す姿、100年前と現代とのギャップに驚く古風なウヒョルをテギョンが演じ、コメディとの相性もバッチリです。青春コメディ『ドリーム ~狙え、人生逆転ゴール!~』Netflix映画『ドリーム ~狙え、人生逆転ゴール!~』7月26日(水)より独占配信中常識のないサッカー選手のユン・ホンデ(パク・ソジュン)は、相手チームの選手に暴行し、選手生命の危機に陥ることに。その罰として、ホームレスのワールドカップの監督を任されます。そんなサッカー未経験者を寄せ集めたチームのドキュメンタリー制作が決まり、放送局のプロデューサーである、情熱のないイ・ソミン(IU)は、彼らに密着。果たして、彼らは世界大会に出場できるのか?Netflix映画『ドリーム ~狙え、人生逆転ゴール!~』7月26日(水)より独占配信中最弱チームが人生を逆転させるために次第に結束していく様子、ホンデとソミンもだんだんと本気で夢を叶える彼らとともに変化してく姿が見どころの青春コメディ『ドリーム ~狙え、人生逆転ゴール!~』。初共演となるIUの愛らしさとパク・ソジュンがサッカーをプレーする姿も必見で、さらに、ふたりとそれぞれ共演経験のあるカン・ハヌルの特別出演も見逃せません。ラブストーリーから青春物語まで、涼しい部屋でゆったりと、気になる作品をチェックしてみてくださいね。きっとあなたにぴったりの韓国作品があるはずです!文・かわむらあみり文・かわむらあみり
2023年07月30日国立西洋美術館の常設展示室で、小企画展「美術館の悪(わる)ものたち」が開かれています。本展では、国立西洋美術館が所蔵する膨大なコレクションのなかから、「悪ものたち」が登場する作品を展示。まがまがしい悪魔から、心惹かれる魅力的なキャラクターまで、さまざまな悪党が登場します。このユニークな展覧会を担当された研究員さんに、展示の見どころなどお聞きしてきました!西洋の「悪ものたち」が勢ぞろい!「美術館の悪ものたち」展示風景【女子的アートナビ】vol. 306「美術館の悪(わる)ものたち」では、国立西洋美術館が所蔵するコレクションからセレクトされた作品を49件展示。デューラーやルーベンス、クラーナハ、ドーミエ、ゴヤなど、ルネサンス期から20世紀までの名作版画のほか、油彩画も紹介されています。描かれている「悪もの」は、悪魔や怪物だけではありません。怠惰や大食い、嫉妬、貪欲、淫欲などもキリスト教会では「大罪(悪徳)」とされ、それらを描いた作品も展示。また、「死」をイメージ化した不気味な版画や、悪徳政治家を揶揄した風刺画もあり、多彩な西洋の悪ものたちが勢ぞろいしています。この楽しい展覧会を企画された国立西洋美術館 学芸課長の渡辺晋輔さんに、見どころや版画の楽しみ方をお聞きしてきました。悩みに悩んで「悪ものたち」に…――まず、本展開催の経緯について教えてください。渡辺さん国立西洋美術館の版画素描展示室では、大きい展覧会を開催するたびに、当館の所蔵作品を使った小さい展覧会をしています。今回、企画展示室では学術的なスペイン版画の展覧会をしているので、その裏番組として、この小企画展ではやわらかめのテーマで版画などを出すことにしました。――「美術館の悪ものたち」というタイトルにとても惹かれます。なぜ、「悪もの」をテーマにされたのですか?渡辺さん夏休みの期間とも重なるので、子どもが楽しめるものにしようと思いました。テーマは悩みに悩み、「悪魔と魔女」も考えましたが、それだけで作品を集めるのは難しく、もう少し広めのテーマとして出てきたのが「悪ものたち」でした。「悪い奴ら」にしようかとも思いましたが、最終的には「悪ものたち」となりました。「悪もの」は自由に描ける!――作品には、悪魔や怪物などキャラクターたちがたくさん登場しています。今のように簡単に情報が得られない当時の芸術家たちは、どんな風に個性的なキャラクターを生み出したのでしょうか?渡辺さん当時も、少ないながらも情報は得られました。その役割を果たしたのが版画です。ルネサンス期は、版画により情報の伝達が進み、各地で描かれている変わった怪物などを知ることができました。例えば、ユニークな怪物を描いたヒエロニムス・ボスの版画を見た画家が、それをもとに工夫を重ねて発展させて描いたりしています。また、16世紀はローマ時代の壁画などが発掘され、古代の変わった装飾模様が見つかった時期でもあるので、そのデザインを発達させたという可能性もあります。――西洋文化のなかで「悪ものたち」のイメージが受け継がれ、発展していったのですね。渡辺さん悪いものや醜いものは、「こう描かなければならない」という制約がありません。例えばキリストや聖人は、描き方が厳密に決まっています。また、美しい人の描き方もある程度決まっています。「悪ものたち」はそれらと正反対にあり自由なので、画家たちは創意工夫を発揮しやすく、自分の能力を示すきっかけにもしていました。不倫の濡れ衣を着せられた人妻の絵…スケッジャ(本名ジョヴァンニ・ディ・セル・ジョヴァンニ・グイーディ)《スザンナ伝》15世紀――本展の構成を教えていただけますか?渡辺さん会場では、セクションにわけながら、ルネサンス期から20世紀へと時代が下がるように展示していますが、時代の流れは厳密ではありません。また、本展では、当館コレクションのなかでもかなり良い版画を選んであります。テーマを設けていますが、名品展にもなっていて、基本的にどれを見ても良い作品です。――どれも名品とのことで、そこからセレクトするのは難しいと思いますが、各セクションのおすすめ作品を教えていただけますか?渡辺さん最初のセクション「罪深い人々」では、一番目に展示してあるテンペラ画が見どころです。描かれている「スザンナ伝」は、当時とてもメジャーな話です。旧約聖書に題材をとったもので、長老たちに言い寄られ、不倫の濡れ衣を着せられた人妻スザンナの様子などが描かれています。その長老たちが、典型的な悪人とわかるようになっているので、おもしろい作品です。――この絵は、部屋に飾って楽しむためにつくられたのですか?渡辺さん本作品は、もとは「カッソーネ」と呼ばれる、衣服などを入れる長持ちの前面を飾る装飾パネルでした。これは嫁入り道具です。スザンナは貞節を守った女性なので、花嫁のお手本のようなイメージとして、当時の花嫁道具に好んで描かれました。版画史に残る名品!アルブレヒト・デューラー《騎士と死と悪魔》1513年エングレーヴィング――次のセクション「悪魔と魔女」のおすすめ作品を教えていただけますか?渡辺さんデューラーの《騎士と死と悪魔》は、版画のなかで最高峰作品という位置づけで、版画史に残る重要な作品です。技法も優れていますし、「死」をデューラーが工夫して発展させ、あのような版画に仕上げた点もすばらしいです。右側に、ブタの鼻をもつ悪魔も描かれています。「美術館の悪ものたち」展示風景渡辺さんまた、このセクションでは、版画によってイメージがイタリアからドイツへ、そしてドイツからイタリアに伝わったことがわかる作品も3点展示しています。イタリアのマントヴァで制作されたマンテーニャの版画がドイツに運ばれ、それをデューラーが入手し、あるイメージを引用して「魔女」を描きます。その版画が、今度はローマに流通し、ヴェネツィアーノという画家が魔女の作品を描きました。会場では、パネルで詳しく解説してありますので、そちらもご覧ください。ずっと見ていて飽きないイチオシ版画ジョルジョ・ギージ《人生の寓意》1561年 エングレーヴィング――続いて、「魔物」のセクションについて、見どころを教えてください。渡辺さんギージの作品は、16世紀の版画のなかでは非常に有名で、とても魅力的だと思います。作者の空想がすごく発揮され、画面が謎めいていて、今でも何が描かれているのかよくわからない部分もあります。技術力も高く、細かなところまで描き込まれていて、見ていて飽きませんし、純粋に楽しいです。また、本作品は自分が購入を担当したものでもあり、ぜひ見ていただきたかったという思い入れもあります。――この作品は、大きなパネルにもされて、描かれている「生き物」を探すというクイズも出されていますね。渡辺さん動物や怪物だけでなく、よく見ると、「ラファエロ作」という文字も書いてあります。モチーフをラファエロから引用しているところもあり、いろいろな解釈が盛り込まれています。当館ホームページの作品検索ページでも本作品を拡大して見ることができますので、ゆっくり動物など探してみてください。男の醜さを際立たせた作品ウィレム・ファン・スワーネンブルフ、マールテン・ファン・ヘームスケルク の原画に基づく《『世俗財産の悪用についての寓意』より、男に矢を放とうとする死》1609年エングレーヴィング――「死」のセクションのおすすめ作品も教えてください。渡辺さんスワーネンブルフの作品は、世俗財産の悪用を寓意として表しているところがおもしろい作品です。「死」の訪れで財産が崩れ去り、結局死んでしまえば何も残らないという教訓がこめられています。――このような版画は、当時の人たちは飾って楽しんでいたのですか?渡辺さん版画は、本来は手元に置いて、見て楽しむものです。例えば、16世紀に入ると素描のコレクションをする人たちが出てきますが、これは一点ものでなかなか手に入らないので、その代わりに版画をコレクションしていました。今の切手帳みたいに帳面に版画を貼って、鑑賞するというやり方です。裕福な人の趣味ですが、安い物もありました。フェリシアン・ロップス《ポルノクラテスあるいは豚を連れた女》1881年エッチング、アクアティント――最後のセクション「近代都市の悪ものたち」の見どころを教えてください。渡辺さんロップスの作品はインパクトがあります。裸の女性が目隠しをしてブタを連れて歩いている版画です。「ポルノクラテス」とは「娼婦政治家」のことで、自分の利益しか見ていない政治家を風刺している作品です。近代都市の堕落したところを見せつけているように思います。左:フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス《『ロス・カプリーチョス』より、何たる犠牲か》1799年エッチング、アクアティント(一部掻き落とし)、ドライポイント右:オノレ・ドーミエ《『表情のクロッキー』より、(39)なあ、いいだろう…ご主人様に接吻しておくれ…今すぐに…》1838年リトグラフ渡辺さんゴヤやドーミエが描いた、中年男性が若い女性を口説く作品もおもしろいです。「不釣り合いなカップル」という主題は歴史が長く、ルネサンスのころからあります。年寄りの男性と若い女性、醜い男性と美しい女性など、いろいろなところが対比となっています。醜い男性を描くとき、いかにして醜さを際立たせるかが画家に求められていました。ゴヤもドーミエも、その部分をうまく表現していると思います。深く考えずに楽しんで!――最後に、版画の鑑賞法について教えてください。版画は、木版やエングレーヴィング、エッチングなどさまざまな技法があり、少し難しいイメージがあります。初心者は、どんなふうに見ればよいのでしょうか?渡辺さんあまり深く考えずに見ていいと思います。技法がわからないと作品がわからない、ということではないと思います。見ていると、素描とは違うというのはわかると思いますので、何か違うなという感じを楽しんでいただければ、それで十分だと思います。例えばデューラーの版画は、純粋に画像が醸し出す雰囲気がすごいと思います。風格があり、見ていると圧倒されます。その魅力を、会場で見て感じていただけたらうれしいです。――詳しく解説していただき、ありがとうございました。クビーンのポスターも見てください!渡辺さんのお話、いかがでしたか。モノトーンの版画は、一見すると地味ですが、描かれているテーマやストーリーを知ると、大変おもしろいアートだと思いました。本展は、タイトルもユニークですが、ポスターも非常にインパクトがあります。アルフレート・クビーンという画家が制作した、不敵な笑みを浮かべた骸骨の版画がデザインされているのですが、残念ながら本作品は著作権の関係で、ポスターも含めて写真を掲載できません。クビーンの作品はネットでも話題になっていて、「あの版画のグッズが欲しい」というコメントもちらほら。間違いなく、本展で一番キャラ立ちのスゴい「悪もの」です。会場で、クビーンの版画は最後に登場するので、ぜひ直接美術館でご覧になってみてください。「美術館の悪ものたち」は9月3日まで開催。Information会期:~9月3日(日)休館日:月曜日※8月14日(月)は開館会場:国立西洋美術館新館2階版画素描展示室時間:9:30~17:30※毎週金・土曜日:9:30~20:00※入館は閉館の30分前まで観覧料:一般¥500大学生¥250※本展は常設展の観覧券または企画展「スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた」(7月4日(火)~9月3日(日))観覧当日に限り、同展観覧券でご覧いただけます。
2023年07月30日国立新美術館で、「テート美術館展光— ターナー、印象派から現代へ」が開かれています。本展のアンバサダーは、俳優の板垣李光人(いたがきりひと)さん。ご自身でもデジタルアートを手がけるなど、アートが大好きな板垣さんに、展覧会の感想や楽しみ方について、語っていただきました!板垣李光人さんがアンバサダー!板垣李光人さん【女子的アートナビ】vol. 305「テート美術館展光— ターナー、印象派から現代へ」では、英国・テート美術館から「光」をテーマにセレクトされた作品が来日。イギリスが誇る風景画家のターナーやコンスタブル、印象派のモネ、室内の淡い光を描いたハマスホイなどの油彩画や、近代の写真作品、現代アートのインスタレーションなど多彩な作品をとおして、光とアートをめぐる200年の流れを体感することができます。今回、テート美術館から来日する約120点の作品のうち、およそ100点が日本初出品です。本展は、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドをめぐってきた世界巡回展。最終会場の日本では、大人気のロスコやリヒターの作品も特別に出品されます。そんな注目の展覧会でアンバサダーと音声ガイドを務めるのが、NHK大河ドラマ『どうする家康』でモテモテの井伊直政役を演じている俳優の板垣李光人さん。ドイツ語で「光」を意味する「Licht(リヒト)」という名をもつご縁でアンバサダーに選ばれた板垣さんが、プレス内覧会に登場。その後、インタビューも実施しましたので、まとめてご紹介します。すごく不思議な感じ――展覧会のアンバサダーになられて、いかがでしたか?板垣さんすごく不思議な感じです。アートが好きなので、美術館はプライベートでもよく来ている場所です。そこでこうしてお仕事をさせてもらってるというのが不思議な感じですし、本当に光栄で嬉しいです。国立新美術館もよく来ていて、展示室で作品を見たあとは、余韻に浸りながら館内のカフェでお茶しています。そこでケーキを食べたりもしています(笑)。――音声ガイドも担当されています。特に、収録で心がけたことなどありましたか?板垣さん音声ガイドは、作品を鑑賞するための手助けで、作品が主役という意識はありました。また、自分で美術館に来たときにもいつも聴いていたので、どういうテンポがいいのか、どんな感じがいいのか、ある程度はわかっているつもりでいましたので、割とスムーズにできました。完成したものはまだ聴いていないので、また来て聴いてみたいです。――音声ガイドの収録で、特に印象に残った作品解説はありましたか?板垣さん原稿を読んでいて興味深かったのは、草間彌生さんの鏡の作品《去ってゆく冬》です。草間さんの作品は、有名な水玉の絵や立体かぼちゃのイメージでしたが、今回の作品ははじめて知りました。無限を表している作品で、彼女が水玉を描く理由も原稿で触れられいて、興味深かったです。――その作品を実際にご覧になってみて、いかがでしたか?板垣さん会場で作品を見てみると、鏡の奥に続く水玉が、直線で続くのではなく曲線を描くことで、その先が円になるように想像できました。それにより、輪廻というか循環を連想できて、おもしろかったです。あの作品は、写真で見るよりも、やはり実際に本物を見ないとわからないと思いました。解脱したような感じ…――展覧会の全体をご覧になって、いかがでしたか?板垣さんとにかく幅が広いな、と思いました。時代の幅もそうですけど、油絵から現代アートまであり、いろいろな世代の方に楽しんでいただけるのではないかと思います。――お気に入りの作品を教えていただけますか?板垣さんいろいろあるのですが、まずジェームズ・タレルの《レイマー、ブルー》という作品はよかったです。見る人によって解釈や感じ方が全然違うと思うのですけど、ぼくはすごく高尚なもののように感じました。白い無垢な空間に青い光が映し出されるのですが、それがあの世への入り口のような感じで……。安らかで清らかで、煩悩がなくなり、解脱したというか、解脱の入り口にいるような感じがしました。――解脱できるような作品というのはすごいですね。ほかには、どんな作品がよかったですか。板垣さんジョン・ブレットの《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》も好きでした。海に光が降り注ぐ絵で、画家自身が航海に出て見た海の風景を描いたそうで、陸や港から見る海の景色とはまた違う力強さがありました。海の美しさだけでなく、航海に出ているからこそ海の恐ろしさ、厳しさ、力強さみたいなものがわかり、そのうえで描いている絵なので印象的です。波の質感や、光が降り注いで光が波に反射している様子など、ディテールを近くで見るのもいいし、少し離れて全体の力強さを楽しむのもいいです。――鑑賞方法が本格的ですね!板垣さん自分も絵を描いたりするので、ディテールとか見てしまいます。――絵を描かれる立場からご覧になって、すごいと思った作品はありましたか?板垣さんゲルハルト・リヒターの《アブストラクト・ペインティング(726)》はおもしろいと思いました。キャンバスを2個つなげている作品で、アナログで描いているので筆の跡もあるのですが、その筆の動きがデジタルな電子的なものにも思えました。解説を聴いたら、専用のスキージーで描いているそうで、機械的な動きによりその質感が出ているとのこと。油彩的なアプローチによるインクの飛び方とか筆の運び方とかのバランスがおもしろいと感じました。画家自身で自分の色も確立されていますよね。――本展をご覧になり、ご自身のアート制作などでトライしてみたいことなど出てきましたか?板垣さんぼくはデジタルアートを描いているのですが、キャンバスに描きたいなと思いました。リヒターを見たらいいな、と(笑)。専用の部屋を借りてアトリエみたいにして、壁をブルーシートで覆って汚れてもいいようにして、そんな環境が欲しいな、と思いました。衝撃を受けたアートは…――板垣さんは、デジタルアートで現代仏画をお描きになってNFTでリリースされていました。なぜ仏画というジャンルにされたのですか?板垣さんもともと仏教だけでなく宗教画が好きなんです。キリスト教絵画は、印象派などと違う質感があり、おもしろいと感じます。例えば、人物のバランスが、概念的な偉大さや存在の大きさにより描かれるサイズが決まったりして、そのめちゃくちゃ大胆な感じがおもしろいです。色の使い方も、絵の具の発達により変わってきますが、古いものは、その描かれた当時の独特の色の出し方があり、そんな色使いも好きです。ヨーロッパだけでなく、アジアの曼荼羅などもおもしろいですね。だから、もともと宗教画に興味があり、デジタルでイラストを描いていて、さらにファッションも好きなので、その自分の好きなものを組み合わせて紹介したいと思い、たどりついたのが現代仏画でした。――では、お寺などにも行かれたりするのですか?板垣さんお寺も仏像も好きです。お寺や神社にもいろいろ様式があり、例えば仏像でも攻めている感じのものもあったりして、見ていておもしろいです。――アートは、描くのも見るのも好きとのことですが、いつからアートに興味があったのですか?板垣さん絵は、覚えていないくらいのころから描いていました。アーティスティックなものが好きだと自覚したのは、ティム・バートンの『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を見てから。この映画がとても好きでした。小さいころからティム・バートンの作品が好きで、それが今にも通じてくるのかなと思いました。――これまでに見た展覧会で、印象に残っているものはありますか?板垣さん以前、森美術館で開催されていた「塩田千春展:魂がふるえる」。あれは衝撃的でした。今回のテート美術館展でも、大きな卵のような作品《イシーの光》(アニッシュ・カプーア作)がありましたが、あのような生命とかエロティシズムを感じるような作品もすごく好きで、塩田さんの作品も血のような肉体的なものを感じ、そんな作品が好きで強烈だったので覚えています。――たくさん美術展に行かれていますが、アートの楽しみ方を教えていただけますか?板垣さん例えば今回のターナーの作品など、百数十年以上も前に描かれたものです。その時代に生きていた人たちが感じていたもの、考えていたこと、におい、五感などすべて表現されているのが絵なので、その時代にタイムスリップできる感覚を味わえるのが美術だと思います。来たことがない方は、とにかく一回来てみると、自分なりの楽しみ方が絶対に見つかると思います。――では、最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。板垣さんこの展覧会には、はじめて日本にくる作品もたくさんあり、絵だけでなく立体作品もあります。ふだん絵や美術に興味がない方や、美術館に来る機会がない方でも、すごく楽しみやすいと思います。いろいろな時代のものがあり、何か自分のなかにビビッとくる、心惹かれる作品が絶対にあると思うので、いろいろなテートの光を感じに来ていただけたらと思います。――ありがとうございました!取材を終えて…アートについて、非常に造詣の深い板垣さん。作品についての感想も、ひとつひとつがとても深く、でもわかりやすい言葉で話してくださり、聴き惚れてしまいました。容姿だけでなくお声も優しく美しいので、音声ガイドも心地よく聴くことができます。ぜひ、板垣さんのガイドを聴きながら、作品をご覧になってみてください。Information会期:〜10月2日(月)休館日:毎週火曜日会場:国立新美術館企画展示室2E時間:10:00〜18:00※毎週金・土曜日は20:00まで※入場は閉館の30分前まで観覧料:一般¥2,200大学生¥1,400高校生¥1,000
2023年07月30日東京駅周辺の便利なエリアには、ステキな美術館がいくつか集まっています。今回は、そのなかから夏のおでかけにおすすめしたい「ゾクゾクする」アートが見られる展覧会を2つご紹介!あやしい絵にゾクゾク!「甲斐荘楠音の全貌」東京ステーションギャラリー【女子的アートナビ】vol. 303まずは、東京駅直結の美術館、東京ステーションギャラリーで開催中の「甲斐荘楠音の全貌」。大正から昭和にかけて活躍した日本画家、甲斐荘楠音(かいのしょうただおと/1894-1978)の代表作が集まる過去最大規模の展覧会です。甲斐荘は、京都生まれ。御所近くの裕福な家庭で育ち、幼少のころから歌舞伎好きで劇場に通うような子どもでした。その後、京都市立絵画専門学校(現:京都市立芸術大学)に進学。ルネサンス美術にも関心をもち、《モナリザ》の模写などもしていました。卒業後は、革新的な日本画を次々と発表し、注目を集めます。《幻覚(踊る女)》1920年頃、京都国立近代美術館彼が描く「あやしい」雰囲気の作品は、おもに大正時代に制作されました。女性の姿が独特な色彩やタッチで表現され、かなりのインパクト。ちょっと官能的でもあり、ゾクゾク鳥肌が立ちます。《春宵(花びら)》1921年頃、京都国立近代美術館ゾクゾクを通り越して、ギョッとする作品もあります。白粉をたっぷり塗った顔がやや不気味にも思える《春宵(花びら)》は、花魁を描いた作品。描きかけの部分もあるので、未完作といわれています。この花魁と似たような姿をした画家自身の写真も、参考資料として展示されています。太夫に扮する楠音、京都国立近代美術館芝居好きの甲斐荘は、ときどき女形として素人歌舞伎の舞台に出ることもありました。さらに、異性装で「女性」として振る舞うこともあり、彼が遊女や女形に扮した写真も多く残っています。《春》1929年、メトロポリタン美術館、ニューヨークPurchase, Brooke Russell Astor Bequest and Mary Livingston Griggs and Mary Griggs Burke Foundation Fund, 2019 / 2019.366また、本展には海外からの出品作もあります。展覧会のメインヴィジュアルにも使われている《春》は、アメリカのメトロポリタン美術館から来日。本作品は、甲斐荘が所属した絵画団体「新樹社」の第1回に出品された作品です。描かれている女性の顔は、以前の画風にあったあやしい雰囲気が薄まり、優しく微笑んでいます。本作は、新しい画風を切り拓いたといわれる作品で、2019年にメトロポリタン美術館所蔵となりました。映画衣裳の世界でも活躍!『旗本退屈男 謎の南蛮太鼓』衣裳、東映京都撮影所 ©東映(映画公開:1959年、監督:佐々木康、製作・配給元:東映株式会社、衣裳着用者:市川右太衛門)あやしい絵のイメージが強い画家ですが、本展では知られざる後半生についても紹介しています。甲斐荘は、風俗の考証家として、時代劇映画の衣裳制作にも携わっていました。会場では、「旗本退屈男」シリーズの豪華衣裳を多数展示。甲斐荘が映画『雨月物語』(溝口健二監督)のために考案した衣裳は、アカデミー賞衣裳デザイン賞にもノミネートされました。世界も認めたデザインセンスをもつ甲斐荘の着物は必見です。《虹のかけ橋(七妍)》1915-76年、京都国立近代美術館最終章では、画家が60年もかけて描き続けた大作《虹のかけ橋》を展示。21歳のときに構想した作品で、少しずつ手を入れたり、顔を描き直したりしながら、最後まで女性の美を追求していたようです。まさに、甲斐荘の「全貌」を見ることができる展覧会は、8月27日まで開催。クールな絵にゾクゾク!「ABSTRACTION抽象絵画の覚醒と展開」アーティゾン美術館外観続いてご紹介するのは、東京駅から徒歩圏内にあるアーティゾン美術館で開催中の「ABSTRACTION抽象絵画の覚醒と展開」。本展では、印象派から1960年代ごろまでのアート作品をとおして抽象絵画の歴史を紹介しています。展示されている作品は、ヨーロッパやアメリカ、アジアの作家など多岐にわたります。各作品は、ポンピドゥー・センターやフィリップス・コレクションなど、海外の美術館や個人コレクションから30点も来日。国内からも、国公立、私立美術館、個人コレクションもあわせて約70点が出品されています。さらに、アーティゾン美術館が新収蔵した作品95点を一挙に公開。あわせて約250点ものクールな抽象絵画を楽しめる大規模展覧会です。ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》1904-06年頃石橋財団アーティゾン美術館展示構成は、12のセクションに分かれています。最初のセクション「抽象芸術の源泉」では、マネ、ゴッホ、モネなどの印象派作品を展示。まず1作品目は、セザンヌの作品が紹介されています。セザンヌは印象派を代表する画家のひとりですが、やがて印象派の仲間から離れて独自の革新的な絵画を制作します。彼の作品は、その後キュビスムやフォービスム、抽象絵画へと影響を与えることになりました。抽象絵画の創始者は…フランティセック・クプカ《赤い背景のエチュード》1919年頃石橋財団アーティゾン美術館【新収蔵作品】セクション3「抽象絵画の覚醒」では、抽象絵画の世界を切り拓いた代表的な画家カンディンスキーやモンドリアン、ドローネーなど、巨匠たちの作品が多数登場。なかでも必見作は、展覧会のメインビジュアルにも使われているクプカの作品です。抽象絵画の創始者のひとりといわれるクプカは、当初、挿絵画家として生計を立てながら絵画のスタイルを模索。構図を単純化してしき、やがて作品は抽象絵画へと変化していきました。ほかにも、古賀春江や岡本太郎、ミロ、デュシャン、草間彌生、白髪一雄、瀧口修造など、巨匠たちの作品や、現在活躍している作家の絵画も展示されています。なお、各フロアへの入り口にもぜひ注目してみてください。ポロックやアルトゥングの作品が大きくデザインされ、展示への期待感がグッと高まります。抽象絵画を心ゆくまで楽しめる展覧会は、8月20日まで開催。Information展覧会名:甲斐荘楠音の全貌絵画、演劇、映画を越境する個性会期:~8月27日(日) ※会期中、展示替え有[前期7/1~7/30、後期8/1~8/27]休館日:月曜日[7/17,8/14,8/21は開館]、7/18(火)会場:東京ステーションギャラリー時間:10:00~18:00(金曜日~20:00) *入館は閉館30分前まで観覧料:一般¥1,400高校・大学生¥1,200中学生以下無料展覧会名:「ABSTRACTION抽象絵画の覚醒と展開」会期:~ 8月20日(日)休館日:月曜日、7月18日(火)※ただし、7月17日(月・祝)は開館会場:アーティゾン美術館時間:10:00~18:00(8月11日を除く金曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで観覧料:日時指定予約制ウェブ予約チケット ¥1,800 、窓口販売チケット¥ 2,000 、学生無料(要ウェブ予約)*予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットを購入可能*中学生以下の方はウェブ予約不要
2023年07月30日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。今回はお洒落さん必見の、ネックレスやペンダントの身につけ方をピックアップ!長めペンダントを重ねづけ!こちらは大人気のイニシャルペンダントに、チャーム付きのペンダントの重ねづけ!比較的長いチェーンなのも印象的ですね。Tシャツにも似合いそうな重ねづけです。極太チェーンネックレス彼女のファッションにも目が行ってしまいますが、極太のネックレスの重ねづけもかなりインパクト大!雰囲気にぴったり合った重ねづけスタイル。リング以外の他のジュエリーはあえて身につけていないのは、あまりゴツゴツとしたジュエリーを重ねると、雰囲気が変わってしまうからかもしれません。とてもバランスの取れたジュエリーの選択だと思います。男性にも人気のパールネックレスヨーロッパでは、パールネックレスをしている男性もたまに見かけます。最近ジュエリーだって男女関係なくどんなデザインも身につけている感じがトレンディです。特にパールネックレスや揺れるタイプのピアスなど、本当によく見かけるようになりました。時代の変化でしょうか。とても素敵です!華奢ネックレスはヨーロッパでも人気胸元が大きくあいたロエベのニットワンピースに、華奢なネックレスを合わせているのは、ファッションウィークの常連エミリー。ちょっぴり物足りない感もありますが、あえて華奢なネックレスを選んだのは、ニットを強調したいからかも!?その日のファッションにあったジュエリーの選択って大切なんですね。個性的なパールネックレス全体的に上品でシックなスタイルにぴったり合ったパールネックレスは、デザインが一般的なものとは異なるロザリオタイプのようなネックレス。黒のワンピースにぴったり!色の組み合わせも素敵です。今回は海外のインフルエンサー達が愛用するネックレスの身につけ方をご紹介しました。次回は他のジュエリーも見てみたいと思います。写真・文 平野秀美
2023年07月29日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第149回は、ふとしたことで男性を意識させてしまう女性の特徴をご紹介します。1.体調を気遣ってくれる【結婚引き寄せ隊】vol. 149たとえば、たまたま友人たちと食事する場で会う知り合い程度の異性や、好みのタイプではなくてノーマークだった同僚など、まったく意識していない存在に、ふとしたことで「ドキッ」とさせられてしまことがあります。どんなときに男性は“恋愛スイッチ”が入るのか、ご紹介しましょう。Aくんは、運動神経バツグンのスポーツマンで、時間があるときは仕事帰りのジム通いを欠かさないような男性。もともとあまり恋愛に興味がないらしく、デートをしている時間があったら筋トレしたい、というぐらいにそれほど女性にも興味がなさそうでした。そんなAくんは健康体に見えていたのですが、だんだんと仕事が忙しくなってきて、心身ともに疲れがたまっていきました。あるとき、仕事中にふらふらしてデスクでグッタリしていたら、たまたま通りかかった他部署の同僚の女性がAくんに気づいて、「どうしたの? 元気ないね」と声をかけてきたのだとか。同僚でよく知った仲の女性のうえ、それまでも何度も職場の飲み会などで一緒になる機会があっても、なんとも思わなかった相手だったのに、声をかけてくれたときにドキッとしたAくん。さらに、いつも元気なのに珍しく体調が悪そうだからと、栄養ドリンクを差し入れてくれたそうで、その日を境に“ただの同僚”から“気になる同僚”に一気に変化。弱っているときに、体調を気遣ってくれる相手に、ときめいてしまうこともあるようです。2.帰り際にそっとボディタッチインドア派のBくんは、プラモデル作りやDIYが趣味で、話を聞いていても興味深く、人生を楽しんでいる感じが伝わってくるような男性。趣味の友達も多いらしく、誰かの家に集まっては、何人かで何かを作っているのが楽しいようでした。そんなBくんですが、趣味にしか興味がないというわけではなく、たまに「彼女が欲しいなあ」ともらしていることもあり、男友達に飲み会に誘ってもらうこともしばしばあったようです。あるとき誘われた飲み会にシングルの女性が何人か参加していたそうで、フレンドリーな場ということもあって、すぐ仲良くなりました。でも、なんとなく彼女が欲しいと思っていても、恋愛にガツガツしているタイプではないBくんは、たとえ女性から気に入られても相手のアピールに気づきません。恋愛の機微にうといところがあるため、BくんさえOKであればうまくまとまりそうなのに……という出会いもいくつかあったようです。そんななか、久しぶりに参加した飲み会がお開きの時間になり、そそくさと支度をし始めたBくんに帰り際、「また絶対Bくんに会いたいな」と、同席していた女性がそっと腕をつかんだそうです。すると、不意打ちだったことと、そっとボディタッチされたこと、そして明確ながら帰り際のひとことが効いたのか、突然異性として相手を意識したBくん。その後ふたりはうまくいったようで、きっと最初からベタベタとあからさまなボディタッチをせず、帰り際のさりげないアピールが功を奏したのでしょう。3.落ち込んだときになぐさめてくれた30代前半のCくんは押しに弱いタイプで、だいたいの恋愛では相手から告白されて、断る理由もないから…ということでなんとなく付き合っては、手応えがないからかフラれるという繰り返しだったそうです。Cくんは1年ほど同棲していた彼女がいましたが、好きな人ができたとフラれて、彼女は荷物をまとめて出ていきました。ふたりで暮らしていた部屋はひとりだとよけいに広く感じるらしく、日に日に暗い表情になっていくCくんを見かねて、友人たちは「恋を癒すのは新しい恋だ」と、気弱なCくんを包みこんでくれるような女性を紹介。別れてからそれほど日が経っていないから、新しい恋なんてできないと思っていたCくんでしたが、その女性を含めて友人たちと何度か食事や飲みに行っていると、ふと「いつも落ち込んでいるボクをなぐさめてくれている」と、相手の優しさに気づいたのだそう。それからはとんとん拍子にうまくいったふたりなのでした。自分の性格に合う相手と出会い、弱っているときに変わらず優しさを示してくれる相手なら、心を開いてみようと思うものですよね。それに、自分がどん底にいるとまわりの優しさに気づきづらいこともありますが、ふと人の善意がわかるぐらい少し余裕ができると、恋をする余裕も生まれるのかもしれません。いつ恋愛スイッチが入るのかわからないからこそ、気になる相手の状況に合わせた言動を心がけると、ご縁がつながりやすいのかも。みなさんの恋も、うまくいきますように!文・かわむらあみり©Prostock-Studio/Getty Images©PeopleImages/Getty Images©zoranm/Getty Images文・かわむらあみり
2023年07月25日ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。本日は海外インフルエンザーが選ぶ夏シューズをご紹介します。やっぱりビーチサンダル!海外ではビーチサンダルをドレスやかっちりした服に合わせている人をたまに見かけます。こちらもベルベットでしっくりとした雰囲気のドレスにビーチサンダルと、一見似合わないように感じますが、足元がすっきりしていい感じ!紐付きサンダル本当によく見かけるのが、この紐のついたサンダル!紐の巻き方は自由自在、足首に巻いてもよし、ズボンの外から巻いてもよし。特にズボンの外から紐を巻く方法は、最近人気です。種類も増えてきているので、今後さらに人気が高くなること必須!厚底サンダルは夏の必需品夏らしいサンダルに、さらに脚長効果抜群の厚底タイプが人気!特にビーチなどでも砂がかかりにくかったり、クッション性が高いものも多いので、脚長効果以外でもベネフィット多数!夏でも欠かせないドクターマーチン!やっぱり海外では1年中人気のあるドクターマーチン!特にアンクルブーツがやはり人気ですよね。日本の夏はヨーロッパよりジメジメしているので、ブーツは避けた方が無難かもしれませんが、写真のように紐を大きく開けておくと通気性がよく、ルーズ感があってかっこいいですね。ヒールありのアンクルブーツレザー、またはビーガンレザーでできたアンクルブーツは、ドクターマーチンのようにヨーロッパでは1年中人気。ズボンとの相性がよく、特にデニムにはぴったり!キレイめに着こなしたい時は、いつだってアンクルブーツは正しい選択です。革ペタンコサンダル夏の時期にだけ愛用できるのが、このタイプのサンダル。マキシワンピースにだってズボンにだって合わせやすく、トレンド関係なしに長く愛用できるのも嬉しいですよね。また素材的にも長く愛用すればするほど味が出て、毎年履くのが楽しみになるんですよね。高めのピンヒールサンダル石畳が多いヨーロッパでは、比較的見ることは少ないのですが、やっぱりピンヒールのサンダルは凛とした雰囲気に見せてくれてかっこいい!1つあればパーティや特別な日に使用できていいかもしれません。今回は夏の足元ファッションスナップをご紹介しました。ヨーロッパと日本の気温や湿度事情もありますが、真似できる点が多いので、新しいシューズが欲しい方にはぜひ参考にしてみてください。写真、文・平野秀美
2023年07月23日渋谷区立松濤美術館で、「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」が開かれています。本展では、平安時代から現代までの日本のさまざまな人形を紹介。なじみのあるお雛さまやマネキン、リアルな生人形、さらに性を扱う人形など多彩な造形物が展示されています。会場の様子や学芸員さんのお話など、詳しくレポートします!ボーダーラインを飛び越えた人形が集結!「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」会場入り口【女子的アートナビ】vol. 304「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」では、民俗や考古、玩具、芸術など各ジャンルのボーダーラインを飛び越えた日本のさまざまな人形を展示。多様性をもつ人形をとおして、日本の立体造形表現の変遷を知ることができる展覧会です。本展を担当された松濤美術館学芸員の野城今日子さんは、本展の趣旨について次のように解説。野城さん人形にはさまざまな分野があり、表現方法も役割もすべて違います。ふだん、美術や芸術という枠組みで私たちは考えていますが、美術館に人形を並べてみると、「何が芸術なのか」と概念が揺さぶられるのではないでしょうか。人形の造形表現をとおして、カテゴライズできないところにも日本のモノづくり精神が宿るということをお伝えできればと思います。衝撃的な呪詛人形からスタート!《人形代[男・女]》平安京跡出土平安時代前期京都市指定文化財京都市蔵本展は10章構成。いくつか見どころをピックアップして、ご紹介していきます。第1会場(2階展示室)にある第1章では、考古や民俗資料としての人形を中心に展示。平安時代につくられた《人形代(ひとかたしろ)[男・女]》は、京都で出土したもので、人を呪い殺すためにつくられた人形です。本展のポスターにも使われています。野城さん人形代は、薄い木に顔を描いたシンプルなものが京都などでたくさんつくられ、儀式などで使われていました。約10年前に平安京跡の井戸から出土した人形代は、立体的で肉感もあり、精巧につくられ体に名前も書かれています。リアルにつくることにより、より強く呪いをかけられると当時の人は思っていたようです。大きなお雛さま!末吉石舟《古今雛》文政10(1827)年東京国立博物館蔵続く第2章では、おなじみの雛人形や五月人形を展示。雛人形は、貴族や公家社会の行事で、子どもの健康を願うため、また社会の規範を子どもに教えるためにも使われました。野城さんお雛さまは、小さなものや、子どもの健康を願うものなど、いろいろな種類があります。例えば、「古式立雛」は、今のドールハウスのように、子どもたちがお雛さまで遊んでいたルーツもあるようです。「古今雛」のような大きなお雛さまなどのバリエーションもあり、サイズや表現を変化させながら人々の生活に根づいていきました。彫刻と人形の違いは…小島与一 《三人舞妓》 1924年アトリエ一隻眼蔵前章は江戸時代までの人形でしたが、第3章からは明治に入り、西洋化を推し進める日本でつくられた人形が展示されています。野城さん江戸時代まで、彫刻的なものであった人形は、近代に西洋から彫刻の概念が入ると変化が生じていきます。例えば、展示されている博多人形はどこから見ても破綻のない形で、彩色も美しく、彫刻といっても人形といってもいい存在です。彫刻と人形の差はどう区別するのか、と感じていただきたいです。ギョッとする生人形「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」展示風景第2会場(地下1階展示室)に入ると、生人形(いきにんぎょう)が登場。生人形とは、幕末から明治にかけて流行したリアルな人形で、ギョッとするほど精巧につくられています。野城さん生人形は、見世物として架空の物語や歴史の物語のひとつの場面を表したりしているエンタメのひとつでした。お祭りなどのためにつくられた生人形もあれば、地域伝承に使われるものもあります。例えば、《生人形松江の処刑》は、松山市三津浜地区に伝わるものです。松江さんという女性が地域の乱暴な男に襲われそうになり、男性を殺めてしまいます。それで自分も処刑してほしいと父親に頼み、首を切られる場面を生人形で表しています。松江さんのお墓の横にこの人形を置き、供養のためにみなで踊ったりしていました。マネキンや現代アートも!「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」展示風景第8章では、商業で活躍した「人形」としてマネキンを紹介。さらに、最後の10章では、現代美術家、村上隆さんのアート作品とフィギュアが展示されています。野城さん初期の洋装マネキンは、実は彫刻家がつくっていました。向井良吉は彫刻家で、七彩というマネキンをつくる会社の創業者でもあります。会場では、彼のつくったマネキンと彫刻を並べて展示しています。また、最後の章では、村上隆さんのアート作品とフィギュアを展示。人形に対する思いは、いろいろな分野に分散しながら日本の根底に流れていき、今は現代アートとして世界に発信されています。大人の展示コーナー「私たちは何者?ボーダレス・ドールズ」展示風景第9章は、1階の特別エリアに作品が展示され、大人だけが入場できます。この展示室では、多くの人の心身に寄り添ってきたラブドールなど、性愛を対象にした人形が紹介されています。(18歳未満の方は、ご覧になれません)野城さんラブドールは、性行為をする相手としてつくられた人形で、生きているような血色、肉感がわかり、どこかリアルな感じがあります。生人形から流れている「人をつくりたい」という気持ちが現代にも受け継がれています。役割も表現の仕方も分野もすべて違いますが、人形は私たちと近い距離にあります。美術や芸術という枠組みでカテゴライズできないところにも造形精神が宿る、というのをこの展覧会で感じていただければうれしいです。展覧会は8月27日まで!本展は、前期と後期にわかれ、一部展示替えがあります。また、担当学芸員さんによるトークイベントなども予定されています。ぜひ、多様な人形の世界を楽しんでみてください。Information会期:~8月27日(日) ※前期:7月1日(土)~7月30日(日)後期:8月1日(火)~8月27日(日)※会期中、一部展示替えがあります休館日:月曜日[7/17は開館]、7/18(火)会場:渋谷区立松濤美術館時間:10:00~18:00(金曜日~20:00) *入館は閉館30分前まで観覧料:一般¥1,000大学生¥800高校生・60歳以上¥500※土・日曜日、祝休日及び夏休み期間は小中学生無料※毎週金曜日は渋谷区民無料
2023年07月23日