米Appleは現地29日、iTunesの最新版となる「iTunes 12.1」の提供を開始した。Mac版ではOS X Yosemiteの通知センターに対応するウィジェットを追加、Windows版ではWindows 8/7/Vistaの64ビット版に最適化される。「iTunes 12.1」にアップデートすることで、Mac版ではOS X Yosemiteの通知センターに対応するウィジェットが追加される。ウィジェットからは、iTunes Radio(日本非対応)を聞いている場合でも、再生されている楽曲の確認、楽曲のスキップ、再生中の楽曲の購入が可能となる。Windows版の「iTunes 12.1」では、Windows 8/7/Vistaの64ビット版に最適化されるほか、バグ修正が含まれている。また、Mac版、Windows版どちらもiPhone/iPad/iPod touchと同期する際のパフォーマンスが改善している。
2015年01月30日Appleの腕時計型デバイス「Apple Watch」が4月に出荷される――。そんなニュースが日本時間28日に入ってきた。2015年度第1四半期(2014年10月-12月)決算のカンファレンスコールで、同社CEOのTim Cook氏がコメントしたという。注目されるApple Watchだが、購入意向は、発表当初の2014年9月から、「情報不足」により、若干の下落が伝えられてきた。しかし、iPhone 6、iPhone 6 Plus購入者に対してCredit Swissが行った調査では、購入意向について「はい」と答えたのは29%、「おそらく」と答えた人を含めると56%に上った。iPhone 6、iPhone 6 Plusの販売台数は、2014年末までで6000万台前後とみられ、この56%という数字の通りであれば、Apple Watchは初年度で少なくとも、3000万台の販売が見込める。Appleにとって、戦略上も重要となるデバイスとなることに間違いない。このAppleにとっても重要なデバイスとなるApple Watchだが、今回はApple Watchの初期の可能性について述べてみたい。まずは"セキュリティ"という側面から触れていく。○セキュリティ対策に気を配る理由米国で生活していると、Apple Payの快適さが日々身に染みて感じられる。財布からカードを取り出し、スワイプするといったルーティンから解放され、iPhoneをかざすだけで済ませることができる。Apple Watchにも、Apple Payに利用できるNFCが内蔵されており、Apple Watchを使えば、iPhoneすら取り出さず、手首だけで決済が済ませられる。またPassbookに入っている米Starbucksのプリペイドカードや航空券なども、手首だけで通過できるという。Apple Watchは、iPhoneと連係することを前提にしているため、iPhoneの体験をそのまま手首に移転させることができることが非常に多い。裏を返せば、Apple Watchの機能を有効にする際のパスコードは重要な要素となる。そのパスコードだが、Apple Watchの発表当日、9月9日に見た際に受けた説明では、Apple Watchを腕から外して再びつけるごとにパスコードの入力を求めることができるという。本体をアクティベートしなければApple Watchは機能せず、Apple Payも利用できない。一方、iPhoneからは、ペアリングしているApple Watchのロックを解除できるようだ。Apple Watchがセキュリティ対策に気を使っている理由として考えられるのは、iPhoneの今後の使われ方が、オンラインだけでなく、個人の生活に関わるプライベートやセキュリティに関わる機能を扱うようになるから、と考えられる。Apple Watchは内蔵NFCでApple Payに対応している。これを皮切りに、SiriとHomeKitを活用した家のドアの解錠や、将来CarPlayを活用した自動車との連携も視野に入る。財布、家や車の鍵、そして何より自分の運動や心拍といった体の状態など、よりセンシティブで気を配るべき情報を扱ううえで、Apple Watchのセキュリティ機能は非常に重要なのだ。○あなたを補佐をするiPhoneのアシスタント繰り返しになるが、Apple WatchはiPhoneと連携するウェアラブルデバイスだ。Androidでも、Macでも、iPadでもない、iPhoneと組み合わせて利用する。そして、Apple Watchによって、iPhoneを握りしめる時間が大幅に減る可能性があるのだ。先ほど、Apple Payの話でApple Watchをかざせば決済が完了することを述べたが、iPhoneに通知されるメッセージ等の確認のあり方も変わる。iPhoneの通知機能は優秀で、iOS 8になって、通知ごとに返信などのアクションが可能になるなど便利になった(これはロック画面からも行える)。アプリも新着情報が届いた際に、たとえば最近では起動していないゲームが「市長、税金を回収して下さい」と通知してくる(Sim City Build Itより)。便利な反面、こうした通知のたびに、机の上のiPhoneの場所を確認して、iPhoneの画面に注目する。しかし、これがApple Watchの登場で変わる。Apple Watchはその優秀な通知機能を手首に持ってくることができるのだ。よりパーソナル、プライベート、あるいはセンシティブで身の回りの情報を、iPhoneよりも先に、即座に確認できるようになる。つまり、Apple Watchは単なる腕時計以上の存在感を帯びることになる。これはiPhoneユーザーにとって大きな魅力だ。あなたのアシスタントをしているiPhoneに増える、新たな秘書。これがApple Watchの初期の可能性であると考えられるだろう。松村太郎(まつむらたろう)1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2015年01月28日米Appleは1月27日(現地時間)、「Apple Watch」を4月に発売することを発表した。同日行われた2015年度第1四半期 (2014年10月-12月)の決算発表会で、CEOのTim Cook氏が明らかにした。Apple Watchは、Appleがウェアラブルデバイス用に開発したOS「Watch OS」を搭載したスマートウオッチ。2014年9月の製品発表時には、米国で2015年初頭に発売するとしていた。「Apple Watch」「Apple Watch Sport」「Apple Watch Edition」の3つのコレクションがあり、価格は349ドルから。
2015年01月28日米Appleが指紋認証システム「Touch ID」に関して申請した特許が2015年1月15日(現地時間)、米特許商標局(USPTO)によって公開されている。基本的にはTouch IDが持つ指紋登録機構や、Apple PayやサードパーティへのAPI公開で提供されるようになったサービス認証やオンライン/オフライン決済に関するものが中心だ。だが「iCloud経由での指紋同期」「BluetoothやNFCによる指紋データのデバイス間での直接転送」といった仕組みも示されており、Touch IDの将来的な拡張が期待される。申請番号は20150016697で「FINGER BIOMETRIC SENSOR DATA SYNCHRONIZATION VIA A CLOUD COMPUTING DEVICE AND RELATED METHODS」の特許名が示されている。発明者はGreg Kerr氏となっているが、同社が2012年に買収したAuthenTecのエンジニアだった人物だ。申請日は2013年7月10日となっており、AuthenTec買収後にAppleが提出したものだと考えられる。ただしLinkedInのプロフィールによれば、Kerr氏はAuthenTecが買収された後にAppleへと移籍したが、その後わずか5カ月ほどで同社を辞め、少しの休眠期間の後に米InmarのCTOとなっている。そのため、この買収前後のタイミングで準備された特許申請だったのかもしれない。冒頭の説明のように、本特許における記述内容は指紋登録から認証まで、Touch IDの基本的な動作を記したものであり、特記事項はない。特にApple Payが発表された今日においては、「Touch IDの指紋センサーを使った店舗やオンラインでの決済」という仕組みが特にニュースになることもないだろう。注目すべきは指紋データの扱いの部分で、現在は各デバイス内の専用領域に保存され、基本的にデバイスに結びつけられている指紋登録データが、iCloudに保存されたり、あるいはiCloudを介してデバイス間で同期できるような仕組みが提案されている。またiCloudを介さずとも、BluetoothやNFCといった近距離通信を使った指紋登録情報の転送が行えるようになっている点が特徴だといえる。この機能が実際に将来のiOSバージョンで導入されるかは不明だが、セキュリティ的な議論も含め、今後の注目となるのは間違いない。
2015年01月21日米Appleが米国時間6日に米特許商標庁より「Flexible electronic devices(柔軟性のある電子デバイス)」という特許を取得したことが明らかになった。取得した特許の書類には、端末が湾曲したもの、折りたたまれた図も含まれ、将来のiPhoneの姿は大きく変わるかもしれない。Appleはこの特許を2011年9月30日に申請、2015年1月6日に認められた。特許番号はUS 8929085。米特許庁が公開した書類では「柔軟性(Flexible、以下同じ)のあるディスプレイ、柔軟性のあるケーシング、柔軟性のある電子デバイスの変形を可能にするために設計された1つあるいはそれ以上の柔軟性のある内部コンポーネントなどを含む」としている。柔軟性のあるディスプレイは、柔軟なディスプレイレイヤー、柔軟なタッチ対応レイヤー、柔軟なカバーレイヤーなどが含まれ、柔軟性のある内部コンポーネントとしては、柔軟性のあるバッテリー、柔軟性のあるプリント基板などが含まれるという。定義として「変形可能な素材から作られた柔軟なケーシング」「柔軟なプリント基板を含むプリント基板」「少なくとも1つの曲がらない部分と少なくとも1つの柔軟な部分を含むプリント基板」などの言葉が並んでいる。特許は製品化を約束するものではないが、「柔軟なディスプレイは柔軟なOLEDディスプレイ技術により作成できる。柔軟なディスプレイをもつ電子デバイスは通常、曲がらない電子デバイスを構造する曲がらないケーシング構造またはその他の曲がらない構造とともに提供される」などとあり、「曲がらない電子デバイスは、デバイスを固い表面に落下したときなどの衝撃におけるダメージには弱い。そのため、電子デバイスを改善できることが望ましい」と続いている。また、ユーザーインターフェイスについても「柔軟なデバイスに加わる曲がりを検出するよう設定でき、検出したらそれに対する反応を起動できる」としている。例として、デバイスのオン/オフ、アクティブ/スタンバイモードの切り替え、着信への応答、ソフトウェアアプリケーションの起動、オーディオや動画再生の音量調節、オーディオ再生のスタート/停止などを挙げている。曲面ディスプレイを採用したスマートフォンは、Samsungが2013年10月に「GALAXY Round」として発表、LGも「LG G Flex」ラインで展開している。だがこれらのデバイスは最初から曲面になっており、ユーザーが実際に曲げる柔軟性には乏しい。Appleの特許申請書類を見る限り、折りたたみ式も含まれ、従来の曲面ディスプレイを超えるデバイスが登場するかもしれない。
2015年01月08日iPhoneといえば近年のAppleを象徴するフラグシップモデルだ。OSには説明書がなくても使いやすくわかりやすいことが特徴のiOSを搭載している。そしてなによりiPhoneにはAppleのブランド力と洗練されたデザインのファンも多い。ただスマートフォンを代表するOSと言えばiOSだけではない。自分好みのカスタマイズが可能なOS、Androidがそれだ。様々なメーカーから端末が発売されており、ユーザーはお気に入りの端末を選ぶことができる。そこでApple製のAndroidスマートフォンが発売されたら欲しいと思うか、スマートフォンユーザーのマイナビニュース会員533人にアンケートを実施した。○iPhoneはやっぱりiOS!ずばり、Apple製のAndroidスマートフォンが発売されたら欲しいと思うか聞いてみた。結果は「いいえ」(購入しない)が圧倒的に多く、533人中76.4%となる407人が回答した。なぜ「いいえ」と回答したのか理由を聞くと、「Androidにあまり興味がない」、「iOSだからこそiPhone」、「iOSじゃないiPhoneなんて嫌だ」、「iOSが好きだから」など、iPhoneといえばiOSという意見が多かった。他には、「独自OSであるiOSにAppleは誇りを持っているから、Android端末なんてありえない」、「AppleがAndroidを出すのは軸がブレている感じがして嫌だ」、「そんなApple見たくない」、「Apple魂売ったな……と思って残念だから」などAppleには独自路線を貫いて欲しいという意見も目立った。また、「みんなが買いそうだから嫌だ」、「行列に並ばなければならなくなりそうで嫌だ」、「信者ではないので」、「流行に流されたくない」など、Apple製品が人気だからこその意見もあった。違った角度からは、「日本企業に頑張って欲しいから」、「SONYなど日本企業を応援している」、「日本のメーカーのほうが安心できる」、「Appleに特別な何かを感じない」、などの意見も散見された。では、「はい」(購入したい)と回答した23.6%、126人はどのように考えているのだろうか。多かったのはやはり「デザインがいいから」、「Androidの方が使いやすいんだけど、あまりいいデザインの端末がないから、Apple製のスマホなら良さそう」、「AppleのシンプルさがAndroidにハマりそう」、「デザインを見てみたい」、「おしゃれそう」など、Apple製品のデザインを評価し、使ってみたいという意見が多かった。他には、「Apple大好き」、「Apple信者なので絶対買う」、「Appleの製品が大好きなので」、「Appleのものならなんでも欲しい」などAppleのブランド力の強さを示す意見もあった。実現することはないとは思うが、実際に発売されたらユーザーはどのように流れるのか。今回の結果の通り、人気は出ないのか、それともiPhoneのように人気が出るのか、実に興味深いところだ。調査時期:2014年12月22日~2014年12月25日調査対象:スマートフォンユーザーのマイナビニュース会員調査数:533件調査方法:インターネットログイン式アンケート(記事提供: AndroWire編集部)
2015年01月02日Appleは、2015年1月2日午前8時より全国8店舗の直営店にて毎年恒例の福袋「Lucky Bag」を数量限定で発売する。「Lucky Bag」はAppleが毎年販売している福袋。直営店である、表参道、銀座、渋谷、心斎橋、名古屋栄、福岡天神、仙台一番町、札幌の8店舗で販売される。通常10時からオープンするが、2日は2時間繰り上げられ8時よりオープンする。購入は1人につき1日1個。なお、中に入っているハードウェアまたはアクセサリに瑕疵があった場合、購入から14日以内に、Lucky Bagの領収書原本と購入時の製品パッケージおよび瑕疵がある製品をApple Storeへ持って行くと、返品/返金/交換に応じる場合がある。
2014年12月26日米Appleは12月22日(現地時間)、緊急セキュリティアップデート「OS X NTP Security Update」をリリースした。対象となるのは、OS X Yosemite(v10.10.1)、OS X Mavericks (v10.9.5)、OS X Mountain Lion(v10.8.5)など。NTP (Network Time Protocol)サービスを提供するソフトウエアの致命的なセキュリティの問題を解決するアップデートで、対象となるユーザーに可及的速やかにアップデートを実行するように呼びかけている。アップデートはApp Storeアプリの「アップデート」タブから行う。セキュリティアップデートの対象となっている問題についてAppleは調査を継続しており、ユーザー保護を優先して詳細を公開していない。セキュリティアップデートの概要によると、バッファオーバーフローが引き起こされる問題が存在し、ntpdプロセスの権限で第三者が遠隔から任意のコードを実行できる危険がある。アップデートは、この問題を悪用した攻撃を防げるようにエラーチェックを改良する。NTP(時刻同期)はPCやサーバーなどネットワークに接続する機器が正確な時間を取得するためのプロトコルである。昨年後半からNTPの仕組みを悪用する新たなDDoS攻撃が話題になり始め、NTPサーバーを探索するパケットが増えているという報告もあり、NTPを悪用した攻撃の増加が予想されていた。12月19日にUS-CERTがNTPに複数の脆弱性が存在すると報告しており、今回のNTPセキュリティアップデートは、その脆弱性を狙った攻撃への対策である可能性が高い。NTPセキュリティアップデートを実行すると、ntpdのバージョンがOS X Yosemite (ntp-92.5.1)、OS X Mavericks (ntp-88.1.1)、OS X Mountain Lion (ntp-77.1.1)になる。ntpdのバージョンを確認するには、ターミナルを起動し、what /usr/sbin/ntpd というコマンドを入力してリターンを押すと、「PROJECT: ntp-(バージョン番号)」が表示される。
2014年12月23日AppleとIBMは12月10日、新しいクラスのビジネス向けアプリケーションである、IBM MobileFirst for iOSソリューションの第1弾を提供すると発表した。両社の協業の成果である同ソリューションは、銀行、小売、保険、金融サービス、通信、行政、航空分野の顧客向けに提供され、IBMの顧客であるCiti、Air Canada、Sprint、Banorteがソリューションへの支援を表明している。また、同アプリは、iPhoneおよびiPad専用に構築され、業務用モビリティのレベルをさらに深め、社員が顧客とやりとりする場合に、より速く容易に安全に、会社のすべての機能にアクセスができ、アナリティクスが組み込まれ、中核の業務プロセスにつながる。
2014年12月15日Wall Street JournalのDigitsで3日に公開された記事「AppleがユーザーのiPodからライバルの楽曲を削除(Apple Deleted rivals’ songs from users’ iPod)」によると、Appleが2007年から2009年にかけて(正確には2006年-2009年)に、競合する音楽サービスから購入したデジタル音楽をユーザーに知らせることなくiPodから削除していたという。これが事実なら、明らかにユーザーの権利の侵害である。このニュースは瞬く間に拡散し、日本の媒体も報じていたので、ご存じの方も多いと思う。Digitsの記事には、どのサービスから購入した音楽が削除されたかは書かれていない。でも、DRM(デジタル著作権管理)に関心があって当時のことを覚えている人は「エっ!」と思ったはずだ。だって、2007年当時、購入した音楽をiPodに転送できたiTunes Storeに競合するサービスは、米国でいち早くDRMフリーのMP3形式で音楽を販売し始めたAmazon MP3しかない。もし、Amazonの曲を排除していたのであれば、ひと悶着ありそうだ。たしか、Amazonで購入したLed Zeppelinの「Mothership」をiPodに入れっぱなしにしていたはずだから、すぐにiPod nanoを調べてみた……はたして、Mothershipは消えてはいなかった。Appleに音楽を削除されたと主張しているのは、iPodユーザーを集めた集団訴訟の原告団である。AppleがDRM技術を用いてiTunes Storeにユーザーを囲い込み、ユーザーに不利益を与えたとして損害賠償を求めている。この裁判、10年近く前から続くが、最近になって原告の代表者が資格を持ってない(個人的にiPodを購入していなかった)ことが判明して次々に去っていき、急遽、新たな代表者が加わるというドタバタぶり。そのため裁判自体、まったくフォローしていなかった。でも、消されたファイル騒動が気になったので、あらためて調べてみた。競合するサービスというのはReal Networksが提供していた音楽ストア「Real Music Store」で、原告側が削除されたと主張しているのはどうやらDRM変換技術「Harmony」を使ってiPodで再生できるようにしたファイルのことらしい。そうだとしたら、ライバルを排除するように削除したと書いているDigitsの記事には納得しかねる。00年代の前半Real Networksはメディアプレーヤー市場で大きな勢力だったが、iPodの大ヒットの影響で伸び悩み、そこで2004年にHarmony技術を投入した。AppleのDRM「FairPlay」をライセンスするのではなく、リバースエンジニアリングしてRealから購入したデジタル音楽をiPodでも再生できるようにした。明らかなハッキング行為である。Realは同時に「Freedom of choice(選択の自由)」というキャンペーンを展開し、消費者の選ぶ権利を主張することで自らの違法性をかわそうとした。実際、当時の消費者はDRMによってPCのメディアプレーヤーと転送できるポータブル音楽プレーヤーが制限されていたので、Realの主張には一理あり、DRMに対する非難を呼び込むことに一定の成功を収めた。Appleはというと、Realを攻撃者の1つと見なし、iTunesのアップデートのたびに淡々とHarmonyファイルを無効化し続けた。その延長がDigitsの記事にあるファイル削除になる。2007年にAmazonがAmazon MP3でDRMフリーのデジタル音楽販売を開始し、AppleもiTunes StoreでDRMフリーの音楽を販売し始める。では、その変化にRealのHarmonyが貢献したかというと、同意する人はほとんどいないと思う。結局、RealはReal Music Storeの利用者を増やすために、iPodを利用しようとしていたにすぎなかった。「選択の自由」と言いながら、自分たちもDRMを採用し続けてReal Music Storeにユーザーを呼び込もうとした。もし、RealがDRMフリーのデジタル音楽配信実現を目的に活動し続けていたら評価も変わっただろう。当時のRealはハッキング行為で問題提起したものの、そこから次のステップに進む素振りはなく、同社の掲げた"選択の自由"はやがて偽善と見なされるようになった。つまり、AppleがiPodからファイルを削除した真相はDigitsの記事が煽っているようなAppleによるライバル排除ではなかった。実際、2007年に筆者がAmazonから購入したMP3形式の音楽は今もiPodの中で健在なのだから、Digitsの記事はミスリード以外の何物でもない。では、なぜAppleはHarmonyファイルの排除を徹底したのだろうか。CDから取り込んだ音楽やAmazonから購入した音楽など他のDRMフリーの音楽ファイルと共に残しておいても良かったのではないか。裁判でAppleのコンシューマーアプリケーション担当のバイスプレジデントであるJeff Robbin氏が「(ハッキングを認めたら)そこでiPodは立ち往生してしまう」と述べていたそうだ。RealはHarmonyだけではなく、iPodをPCに接続したら起動するメディアプレイヤーをiTunesからRealPlayerに変更させようとしていた。iTunesと分断されたらiPodはスムーズにアップデートを受けられなくなる。iPodは音楽ファイルを再生するだけのデジタル音楽プレーヤーではない。iTunesと組み合わせることで、より豊かな音楽体験を実現し、アップデートを通じてそれはさらに広がっていく。セキュリティ面を含めて、そこに価値があるというわけだ。Appleが守ろうとしたのはiTunes Storeの売上ではなく、iTunesプラットフォームでユーザーに提供しようとしている体験だった。ちなみに、Harmonyがちゃんと機能していたかというと、Realのような立場の会社が堂々とハッキングするのは前代未聞なことで、2004年に筆者もすぐに試してみたが、iPodではきちんと再生できなかった。原告側はファイル削除によってユーザーの体験が損なわれたと主張しているが、そもそもHarmony自体の体験に難ありだった。「DRMを無効化したファイルをユーザーが使う権利」の議論はさておき、それ以前にリバースエンジニアリングされたHarmonyファイルは障害の原因になる可能性があった。個人的にAppleは削除する前にユーザーに通知するべきだったように思うが、セキュリティ上の理由でHarmonyファイルを削除したのは妥当だったと思う。
2014年12月15日アドビ システムズは、製品担当者ブログ「いわもとぶろぐ」にて、イラストアプリ「Adobe Illustrator Draw」が、Apple主催の「BEST OF 2014 今年のベスト」に選ばれたことを発表した。「Adobe Illustrator Draw」は、同社が2014年10月にリリースしたiOS向けのデジタルスケッチブックアプリ。名称通りデスクトップ上のIllustratorと連携し、モバイルデバイス上で描いた物をパスデータとして扱える。加えて、アドビのハードウェア「Adobe Ink & Slide」にも対応。手書きの暖かい風合いや、正確な直線を自由に描くことができるほか、カメラで撮られた素材をトレースするアプリ「Adobe Shape CC」とも連携が可能となっている。なお、「BEST OF 2014 今年のベスト」は、毎年Appleがその年に生まれた優れたアプリを選出しているもので、2014年版のセレクションのひとつに同アプリが選ばれた。このセレクションについてはApp Store上で公開されている。ちなみに、「Adobe Illustrator Draw」は「Adobe Ideas」というアプリのリブランドとしてリリースされたもの。旧アプリからの移行に関しては「CC道場ブログ」を参照してほしい。
2014年12月12日米Appleは、日本国内に研究開発拠点を設置することを明らかにした。場所は横浜で、これにより、同社の日本における事業が拡大し、雇用創出にも繋がるだろうとしている。Appleはこの件について、正式なステートメントを提出している。以下は、そのステートメントの日本語訳。私たちの日本における事業が横浜に設立するテクニカル・デベロップメント・センターにより、さらに拡大されることを大変嬉しく思っています。これは数多くの雇用創出にもつながり、彼らは現在日本で働く、8つの直営店スタッフを含む数多くの社員の仲間に新しく加わることとなります。私たちは日本でのこれまでの歩みを誇りに思いますと共に、Appleが日本でビジネスを行なってきた30年以上の間、私たちを支えてくださった多くのお客様に心から感謝申し上げます。日本時間9日、20時30分の時点では、上記以上のコメントはなくApple側も対応を行っていない。研究開発拠点は横浜市に開設されるということだけで、具体的な所在や開設時期は明らかにしていない。
2014年12月09日Appleは、Lightningケーブルの偽造品または模倣品を識別する方法を紹介した製品サポートページを公開した。Appleは、サードパーティ製のアクセサリに対し、同社が認可したことを証明する「Made for iPod/iPhone/iPad(MFi)」のロゴを付け、ユーザーへ利用を勧めている。認定を受けていない、製品を使用するとデバイスの損傷/同期の問題/ケーブルの損傷/充電の問題/ケーブルが正しくはまらない/コネクタの端が外れる/コネクタが加熱するといった、問題が起きる可能性があるという。製品サポートページでは、「Lightning - USB ケーブル」、「Lightning - USB ケーブル(Lightning コネクタ側)」、「Lightning - USB ケーブル(USB コネクタ側)」、「Lightning - 30 ピンアダプタ」、「Lightning - Micro USB アダプタ」といった観点から偽造品または模倣品を識別する方法を紹介している。詳細は以下の通り。○Lightning - USB ケーブル本物の特徴パッケージにMFiのロゴがついている。USB コネクタから約18cmの部分に「Designed by Apple in California Assembled in China」と印字され、末尾に12桁または、17桁のシリアル番号が印字されている。○Lightning - USB ケーブル(Lightning コネクタ側)本物の特徴単一の部品が使われている。接続部分が丸くスムーズに仕上がっている。ブーツのサイズが均等(7.7mm×12mm)。フェイスプレート挿入部がグレイ。偽造品または模倣品の特徴複数の部品が使われている。粗く、不均一な仕上がり。接続部分が角ばっていて、表面が不均等。さまざまな幅、長さ、厚さ。フェイスプレート挿入部が白または黒。○Lightning - USB ケーブル(USB コネクタ側)本物の特徴USB シェルの接合部が台形。端から接合部までの間隔が均等。USB 接触面が金メッキ。USB 表面はスムーズで均一。USB シェル表面が平坦。USB コネクタの絶縁体の表面が均一で平坦。偽造品または模倣品の特徴USB シェルの接合部が四角形。接合部の間隔が不均等。USB 接触面が銀メッキ。USB 表面が粗いか、ザラザラ。USB シェル表面にツメがある。USB コネクタの絶縁体に切り欠き、またはくぼみがある。○Lightning - 30 ピンアダプタ本物の特徴30 ピン Dock コネクタのアイコンが明確にレーザー刻印されている。アダプタ本体とLightning コネクタが直接接合されている。偽造品または模倣品の特徴レーザー刻印がぼやけている、または欠落している。アダプタ本体とLightningコネクタの間に段差がある、または素材に大きな刻み目がある。Lightning コネクタの外観の差異○Lightning - Micro USB アダプタ本物の特徴USBのマークがレーザー刻印されている。アダプタ本体とLightning コネクタが直接接合されている。偽造品または模倣品の特徴USBのマークがエンボス加工されている、または欠落している。アダプタ本体とLightning コネクタの間に段差がある、または素材に大きな刻み目がある。Lightning コネクタの外観の差異。
2014年12月08日Appleはこのほど、一部の企業が製造するアクセサリの中に、Apple Lightningアクセサリに似ていながら、Appleの認定を受けていないものがあるとして、偽造品・模倣品を識別する方法を公開した。Apple製のケーブルおよびアクセサリには、Lightning コネクタが付いているだけでなく、他社製のケーブルやアクセサリとは異なる独自の特徴があるので、それらを探すことで、偽造品および模倣品のケーブルやアクセサリを見分けることができるという。その特徴としては、以下が挙げられている。認定を受けた他社製アクセサリのパッケージには、MFi ロゴ が付いている。Apple製Lightning - USBケーブル上のUSB コネクタから約18cmのところに「Designed by Apple in California Assembled in China」と印字されており、このテキストの末尾に、12桁または17桁のシリアル番号が印字されている。認定を受けた他社製Lightning - USBケーブルには、通常、Lightningコネクタのブーツ部に社名が入っている。Webサイトでは、Lightning - USB ケーブル、Lightning - 30 ピンアダプタ、Lightning - Micro USBアダプタについて、Apple純正品と偽造品・模倣品の写真を掲載して、それらを参考に、Lightningアクセサリの偽造品および模倣品を見分けてほしいとしている。
2014年12月05日米特許商標局(USPTO)は12月2日(米国時間)、Appleが「Protective mechanism for an electronic device」の名称で出願していた特許を正式に認可した。落下破損の事故は昨今のスマートフォンではごく身近なものとなりつつあるが、この特許ではスラスターなどの機構を用いることで落下時の位置修正でガラス面を保護したり、接続ケーブルからの巻き添えでの落下を防ぐためにケーブルを強制射出する仕組みを用意したりと、落下による被害を最小限に食い止めるべく、さまざまなアイデアが提案されている。以前のレポートでも紹介したように、もともとは2011年9月に登録された特許が2013年3月に開示されて話題になったもので、このたび正式に認可となった。特許番号は8,903,519で「Protective mechanism for an electronic device」の名称が付与されており、USPTOの該当ページで参照できる。冒頭での説明のように、この特許のポイントは落下検出と、その動きが落下と認められた場合の保護運動の2つにある。加速度センサーやジャイロスコープを組み合わせることで本体が落下状態にあるかを判断しつつ、その状態を認識し、衝突が発生するまでにベストな保護状態がどの体勢かを瞬時に計算する。基本的に落下に対して一番"弱い"と考えられるのはタッチスクリーンのあるガラス面やスイッチ、そしてコネクタ部のため、比較的頑丈なフレーム付近を衝突面とし、弱い部分への直撃を避けるべく内蔵スラスターなどで微妙に衝突位置を修正する。2年間の契約縛りが解けておらず、ガラス面にヒビが入っても端末を使い続けなければならないことに苦痛を感じていたユーザーには朗報だろう。問題は特許の実現性だが、iPhone採用は難しいと考えている。仕組み的に直撃は逃れられても本体へのダメージは避けられないこと、iPhoneの設計思想が薄型軽量化に進むなか、各種ギミックを搭載することによる重量やコスト増と比較し、本体交換のほうがコストや手間的にもメリットが大きいため、あくまでアイデア止まりというわけだ。一方でApple InsiderはiPhone 6とiPhone 6 Plusにバイブレーション用の専用モーターが取り付けられており、もし本体の姿勢制御に使える装置に接続されれば、こうした特許で示された姿勢制御は容易という見方を示している。自動姿勢制御による落下衝撃吸収という仕組みは非常に夢がある一方で、数千円の投資で保護ケースを購入して比較的安価に対策できるという状況で、ユーザーはどちらを望むだろうか?
2014年12月04日Appleは、iWork for iCloudのアップデートを行った。今回のアップデートでは、日本語のUI(メニュー)でPages、Numbers、Keynoteが編集可能になったほか、50以上の新しいフォントが追加されている。今回のアップデートでは、Pages、Numbers、Keynoteともに日本語を含む8カ国語に対応し、50以上の新しいフォントが追加された。また、ツールバーのデザインが変更され、ドキュメントの名前の変更などの編集作業が可能となっている。
2014年11月21日英Financial Timesの報道によれば、米Appleは来年2015年前半にも同社が買収したBeatsの音楽サブスクリプションサービスをiOSに取り込む計画だという。買収総額が30億ドル超とAppleにとっては過去最大規模の案件ながら、その目的や効果が不明瞭だったBeats買収だが、その具体的な姿が比較的近いタイミングで見られるようになるかもしれない。同件はFTの初報を引用する形でReutersなどが報じている。「Beats by Dre」のヘッドフォンで有名なBeatsブランドだが、同社のもう1つの主力事業として、2012年のMOG買収をきっかけに2014年にスタートした「Beats Music」が挙げられる。いまオンライン音楽サービスで大きな勢力となりつつある有料サブスクリプションによる音楽配信だが、従来型の音楽ダウンロードサービスをiTunes Muiscとして提供しているAppleにとって、この新しい潮流をブランドごと取り込むことがBeats買収の一因だったともいわれる。もしiOSそのものにBeats Musicをベースにした有料サブスクリプションサービスへの接続機能が標準搭載されれば、iOSアップデートが開始されたタイミングで大量のユーザーが同サービスへとなだれ込み、SpotifyやPandora等が先行する業界勢力図に変化が起きる可能性がある。FTによれば、3月にも同サービスを取り込んだアップデートが提供される見込みだという。
2014年11月20日米Appleは、Apple Watch用の開発ツールセット「WatchKit」の提供開始を発表した。これにより、デベロッパはApple Watch向けのアプリを開発できるようになる。WatchKitが含まれるiOS 8.2 ベータSDKは、iOS Developer Programメンバーに対し、 developer.apple.com/watchを通じて提供が始まっている。WatchKitのWebサイトにはプログラミングガイド、ヒューマンインターフェイスガイドライン、テンプレートなどが用意されている。また、来年後半からは、Apple Watch向けの完全ネイティブアプリケーションが作成可能となる予定だ。デベロッパはWatchKitを使って、アプリケーションやアクション通知、ユーザが気にかけている情報を素早く見せる「グランス」を作成できるとともに、軽いタップと深く押す操作の違いを判別する「Force Touch」、ズームやスクロールを行う「デジタルクラウン」、アラートや通知を受け取ったり、デジタルクラウンを回す、ディスプレイを押すといった操作を感知する「Taptic Engine」といった新しいテクノロジーを使った開発もできるようになる。
2014年11月19日米Appleは11月18日(米国時間)、Appleのスマートウォッチ「Apple Watch」向けのソフトウェア開発キット「WatchKit」の提供を開始した。Apple Watchは2015年に発売を予定しており、開発者はこれを利用してApple Watchが登場する前にApple Watch向けのアプリを構築できる。WatchKitは、Appleの開発者向けプログラム「iOS Developer Program」向けに公開したiOS 8.2ベータSDKに含まれる。開発にはXcodeが必要。SDKには、プログラミングガイド、ヒューマンインターフェイスガイドライン、テンプレートなどを含む。同SDKを利用することで、画面のタップの力の違いを識別できる「Force Touch」、リューズを回すことでズームやスクロールを行う「Digital Crown」、アラート受信や操作に対して反応する「Taptic Engine」などのApple Watchのインターフェイスと連動するアプリを開発できる。タイムリーに通知するスマートなリマインド機能「Glances」などのApple Watchの特徴も活用できる。スポーツの試合スコアなどユーザーにとって重要な情報をクイック表示できるほか、空港でフライトの詳細情報を取得するなど、通知に対してユーザーが行動できるようなアプリ(Actionable Notifications)も開発可能という。Appleによると、2015年後半よりApple Watch向けにネイティブのアプリを構築できるという。
2014年11月19日米Apple傘下のBeats Electronicsは12日(現地時間)、ワイヤレスヘッドフォン「Beats Solo2 Wireless」を発表した。価格は299.95ドル。11月中にApple.comなどで販売開始になる。色はブラック、ホワイト、ブルー、レッド。Solo2 Wirelessは流線型デザインとダイナミックなサウンドで人気の高いBeats Solo2に、ワイヤレス機能としてBluetoothを採用した。iPhoneなどオーディオデバイスから最大30フィート(約9.14メートル)までの距離で使用でき、フル充電で最大12時間のワイアレス再生が可能。イヤーカップ部分にある「b」ボタンと音量ボタンで、電話の着信、曲のスキップ、音量調整などを行える。また付属のRemoteTalkケーブルを使ってオーディオデバイスとケーブル接続することも可能だ。Beatsはまた、Solo2にロイヤルエディションとしてストーングレー、ハンターグリーン、インペリアルバイオレット、ブラッシュローズ、サファイアブルーの5色を追加する。これらも11月中にApple.comなどで発売される。
2014年11月14日2014年9月19日に発売がはじまったAppleのiPhone 6と同Plus。発売日は各国のAppleストアに転売を目的とした来客が殺到し、行列を守らないなど大きな混乱も起きたようだ。転売目的で購入されたiPhoneはそのほとんどが中国市場に流れていったと見られている。では中国ではそれらのいわば"闇取引"で輸入されたiPhoneはどのようにして販売されているのだろう? 中国の首都、北京を訪れその現場を見てきた。○販売場所はAppleストアの前、iPhone6の転売人が集まるまずはiPhone6の正式発売前の状況を見ようとAppleストアを訪れて状況を見ることにした。中国では2014年10月19日からようやくiPhone6が発売だが、筆者が現地を訪れたのは9月末。なので、本稿の内容は9月末時点のものだ。北京にはいくつかの店舗があるが、その中でもおしゃれなお店が集まり外国人買い物客も多いAppleストア三里屯を訪れることにした。Appleストアの入り口前に行ってみると、店に出入りする客の動きを妨げるかのように数名の人間が一定の間隔で立っていた。そして各自はそれぞれ右手に白い箱を持っており、Appleストアに入る客や出てくる客を取り囲むかのように話しかけていた。近寄ってみると手に持っているのはiPhone 6かiPhone 6 Plusの箱。なんとAppleストアの入り口で彼らは海外から輸入したiPhoneを販売してるのである。彼らが売っているのはコピー品などではなく、SIMフリーのきちんとした正規ルートで購入されたiPhoneだ。ここで売られていることは意外にも知られているのか、この転売人からiPhoneを買う客の姿もちらほら見られた。また客が希望の色や容量を伝えると転売人同士で手に持ったiPhoneを交換するして客に渡していた。各々が独立してやっているのではなく共通の仕入れ元からここで販売しているようだ。試しに客を装って1人の転売人に声をかけたところ「iPhone6 Plusゴールド、16GB、1万元(約17万4000円)」とすかさず返してきた。そして販売は現金のみ。値段が高いと伝えると値引きは無し、高いと思ったら買わなくていい、とまで言い切られた。ある程度の相場が決まっており、その価格で買う客のみに販売をしているようである。Appleストアには裏側にも入り口があるので、そちらに行ってみるとやはりそこにも転売人がちらほらと見えた。しばらく見ていると大きい布の袋をかかえた人間がやってきて、その場にいた手持ちぶたさにしている人間に白い箱を渡していた。そしてそれと引き換えに各自から現金を回収。どうやらこの布袋を持ってきた人間が総締めのようだ。なお、たまにAppleストアから警備員が出てきて「ここから立ち去るように」と転売人に注意していたが、店外を警備員が取り締まることはできないのだろう。裏側の入り口付近では転売人たちはのらりくらりとそれを交わし、警備員が店内に戻ると再び入り口前に集まる始末。見ていると店から出てくる客に群がるなど、Appleストアとしては迷惑な行為だろう。だがそれを阻止するすべは無いようだ。○電脳ビルでは普通に転売されている一方、北京の秋葉原とも呼ばれる中関村の電脳ビルでもiPhone6や6Plusは普通に販売されていた。各ビルの一階はPCメーカーの店が並ぶなど普通の家電店に見えるが、地下に潜ると小さいショーケースを並べた店が100店舗以上も入っている。それらの店では香港や日本から輸入されたiPhoneがそれぞれの店で当たり前のように販売されているのである。中関村のような電脳ビルは他の中国の都市やアジア各国でもごく一般的にみられるものであり、ここで転売品の販売は珍しいものではない。だが大胆にもAppleストアの目の前で転売人たちによって販売されるなど、こっそりと売られるような状況ではなく、むしろ堂々と販売されているのである。売る場所を選ばないとあっては、中国のiPhone人気が続く限り転売は無くならないのだ。
2014年11月13日スロバキアのセキュリティベンダーであるESETはこのほど、同社のブログにおいて、Appleのモバイル決済サービス「Apple Pay」のセキュリティに関する記事を公開した。記事では、カード情報の格納場所、情報漏洩のリスク、データのプライバシーなどについて説明している。Apple Payは、iOS 8.1を搭載するiPhone 6、iPhone 6 Plus、iPad Air 2とiPad mini 3で利用できるモバイル決済サービスだ。米国では10月より提供が開始されているが、日本ではまだ利用できない。モバイル決済サービスで気になるのは、クレジットカードやデビットカードの情報の保存方法だが、Apple Payはユーザーの端末やAppleのサーバにカード情報を保持していないという。ここが、サーバにカード情報を抱えるGoogleのモバイル決済サービス「Googleウォレット」とは異なる点だ。カード情報は、ユーザーが利用する銀行によって異なるデータとしてトークンに置き換えられるため、Apple Payはデータを危険にさらすことなく、既存の決済システムとシームレスに連携できるという。また、端末のカメラを用いてクレジットカードを追加する際は、画像はアプリに保存されず、暗号化して送られる。昨今、大規模な企業による情報漏洩が絶えないが、Apple Payは情報漏洩を防ぐために対策が講じられているという。例えば、店舗でApple Payをアクティブにするには、Apple Payの専用端末において、手動でカードを選択してPINコードやタッチIDのいずれかを用いて支払いを有効にする必要がある。支払いの際は、クレジットカードやデビットカード番号ではなく、銀行が生成したデバイス・アカウント番号で処理が行われる。これにより、昨今発生しているPOSレジからの情報漏洩の被害にあうことを免れるというわけだ。なお、Appleは、2015年初めに発売予定のウェアラブル端末「Apple Watch」でもApple Payが利用できるようにするとしている。ただし、Apple WatchのOSにおいて、PassbookとApple Payがどのような動作をするのか、情報が乏しいという。
2014年11月10日パロアルトネットワークスは11月6日、AppleのiPhoneユーザー向けオペレーションシステムiOSとデスクトップ向けオペレーションシステムOS Xを標的とした、新しいマルウェア「WireLurker(ワイヤーラーカー)」を発見したと発表した。WireLurker(周到に準備する悪人)は、Appleプラットフォームを標的としたこれまでのマルウェアにない特徴である「インストール済みのiOSアプリケーションに感染」「ジェイルブレイクしていないiOSデバイスに、企業内アプリ配信機能によりサードパーティー製のアプリケーションをインストール可能」「OS X のUSB経由でiOSデバイスを攻撃」「バイナリファイルの置換で悪意あるiOSアプリケーションを自動生成する」といった行動を見せる。Appleのデスクトップやモバイルデバイスを狙ったマルウェアの歴史を変えるマルウェアで、これにより、世界中の企業や政府、Appleユーザーが潜在的な脅威にさらされる。WireLurkerは、パロアルトネットワークスのセキュリティ脅威インテリジェンスチーム「Unit 42」のクロード・シャオ(Claud Xiao)が発見し、レポート[「WireLurker:OS X とiOS向けマルウェアの新時代」]で詳細を公開している。
2014年11月07日Appleの腕時計型デバイス「Apple Watch」の発売が9月の発表からだいぶ先になるという噂は以前からあり、実際に同社は「Coming Early 2015」と2015年前半での登場を予告しているわけだが、この実際の発売時期が「2015年春」となる可能性が高いと最新の噂は示唆している。先月10月にはWatchKitの提供開始も発表され、そこから半年程度での製品登場が見込まれていたが、春シーズンはこの周辺が少し賑やかになりそうだ。同件は9 to 5 Macが報じている。これは米Appleシニアバイスプレジデントでリテール&オンラインストア担当のAngela Ahrendts氏が同部門従業員に宛てたメッセージを同誌が入手したもので、それによれば「チャイニーズ・ニューイヤー(旧正月)終了後の春に新しい時計商品を投入する」という文面が含まれており、これが製品投入のターゲット時期になるとみられている。2015年の旧正月は2月19日で、タイミングを考えると3月ないしは4月上旬くらいが当該時期とみられる。先ほどWatchKitの話題を出したが、iOSデバイスがSDK提供開始から3カ月ほどで新OSと新iPhone/iPadリリースというサイクルを維持している一方で、Apple Watchはまったく新しいカテゴリの製品であり、半年と幾分か長いリードタイムを持ってサードパーティへの開発を促している様子がうかがえる。それを考えれば、2014年10月に開発キット提供で、その半年後の2015年3~4月というのは妥当なタイミングではないだろうか。9 to 5 Macによれば、Appleは当初は2月のバレンタインデイのタイミングを見計らっていた可能性があるというが、少なくとも旧正月前にこの記念日はやってきてしまうため、よりリードタイムを確保したのかもしれない。
2014年11月04日米AppleのCEOであるTim Cook氏が、Bloomberg Businessweekに寄稿した手記を通じて自身が同性愛者であると公表した。「私はゲイであることを誇りに思っている。ゲイであることは、神が私に与えた最高の賜物の1つだと考えている」と述べている。公表理由についてCook氏は「私自身は活動家ではない」とした上で、「自分自身を受け入れることに苦労している人を助け、孤独を感じている人を慰められるなら、私のプライバシーを犠牲にする価値があると考えた」と述べている。手記の中で「Appleでは大勢の同僚が、私が同性愛者であることを知っている」と述べているが、これまで同氏が同性愛を公に認めたことはなく、同氏が同性愛者であるのはシリコンバレーでは公然の秘密のようになっていた。多様性(diversity)と包括性(inclusion)を推進する動きが活発になっているものの、保守派の多い州では同性愛を否定する動きが根強い。世界的にも同性愛のような性的指向に不寛容な国・地域は多い。2007年にBPのCEOだったJohn Browne氏が同性愛パートナーの訴訟をきっかけにプライベートが報道されるにようになり、混乱を避けるために辞任した。2011年にUrban OutfittersのCEOだったGlen Senk氏が同性愛を初めて公表したCEOとしてニュースになったが、翌年に同氏は辞任した。Human Rights CampaignのディレクターであるDeena Fidas氏によると、Fortune 1000企業で同性愛を公表しているCEOはいない。Cook氏の公表によって、世界的にビジネスを展開するグローバル企業であるAppleは困難にも直面するだろう。だが、Appleは多様性を重んじることで創造と革新を実現してきており、リベラルで包括性に富むことは同社の武器でもある。Apple取締役会のチェアマンであるArthur Levinson氏は「ティム(Cook氏)個人の勇気ある公表に対して、われわれは心から拍手を送り、そしてサポートする」という声明を公表した。
2014年10月31日米Appleは、同社のWebサイトに教育に関するページを開設した。「教育は、すべての人にとっての根源的な権利である」という見出しとともに、同社の教育に関する理念、取り組みが綴られている。開設された教育に関するページでは、"Education is a fundamental human right for everyone."(教育は、すべての人にとっての根源的な権利である)というメッセージとともに、Appleの教育に関する理念、取り組みが記載されている。そこでは、米国内での教育制度の格差に触れ、教師や家族の奮闘にも関わらず生じているテクノロジーや知識にアクセスすることについての不平等な状況、特に人種的マイノリティ、低所得者層の不利益な状況は、どうにかして改善すべきだと語気を強めている。そして、「私たちは、世界中のもの凄い数の、可能性ある未来の発明家、未来の夢を描く人、未来のリーダーのために、道を切り開きたい」と気勢を上げている。Barack Obama米大統領は、幼稚園から高校までの公立学校に通う、人種的マイノリティを中心とした低所得家庭の生徒がインターネットや教育ツールにアクセスできるように支援する"ConnectED"プログラムを推進しているが、Appleもこの支援活動に参加しており、iPadやMac、Apple TVなど1億ドル相当の機材提供を行うことを確約している。最初のステップとして、今回、29の州、114の学校に支援を行った。これらの学校の92%はヒスパニック、黒人、ネイティブアメリカン、アラスカンネイティブ、アジア系の生徒たちが通学しているという。また、単に機材を提供するにとどまらず、支援する学校が、その教育目標を達成するために、学校を支援するパートナーとともに専門知識を提供し、積極的に人材も投入していくとしている。同社CEOのTim Cook氏はTwitterのアカウントで「ConnectEDのパートナーになった114校の生徒、教師、および理事らに触発された」いうツイートを投稿しているAppleは教育市場でのシェア拡大を睨んでいると言うより、この"ConnectED"への参加、さらに従業員の人種的多様性の改善、環境問題への対応もあわせて考えると、単にマーケットにフォーカスするのではなく、企業としての責務を全うするべく社会貢献に取り組んでいると評価するのが妥当なのかもしれない。
2014年10月30日米Appleのクラウドサービス「iCloud」がサイバー攻撃を受けたことが確認された。New York TimesやWall Street Journalなどの複数の海外メディアがこれを報じる一方、Appleも同社のWebサイトで声明を発表している。報道によると、iCloudの中国ユーザーが中間者攻撃(Man-In-the-Middle)を受けて、不正アクセスを受けたという。Appleは同社のiCloudのサポートページで、「われわれは、ユーザーの情報を得ることを目的とした、不正な認証を悪用した組織的な攻撃を認識している」と述べている。同社によると、iCloudのサーバはこの攻撃の影響を受けておらず、OS X YosemiteでSafariによってiCloudにサインインすれば問題ないという。さらに、iCoudのサイトはデジタル証明書で保護されているので、Webブラウザに無効な証明書の警告が出た場合はApple IDとパスワードを入力しないよう警告している。正規のiCloudのサイトにアクセスしている場合、Webブラウザのアドレスバーの左端に表示される鍵マークが緑色になっている。中国の監視団体「GreatFire.org」は、中国政府がiCloudiCloudに保存されているデータを窃取するため、中間者攻撃を行っていると指摘しており、Appleにコメントを求めるためメッセージを送っているという。なお、Appleは攻撃者について触れていない。
2014年10月23日10月16日に「OS X Yosemite」の最終版の提供が始まった。Yosemiteの開発でAppleはパブリックベータ・プログラムを用意したが、パブリックベータ登録者に対して同社はOS X Yosemiteのベータアップデートの提供を継続することを伝えた。OS X Yosemiteのパブリックベータ・プログラム登録者がパブリックベータ版をインストールしたMacに対してAppleは引き続きベータアップデートを提供する。トラブルが起こる可能性のあるベータアップデートをインストールしたくない場合は、システム環境設定の「App Store」の「プレリリースのソフトウエア・アップデート・シードを受信」という欄で「変更」をクリックし、App Storeにプレリリース・アップデートを表示しないようにすると通常のOS X Yosemiteと同じバージョンでアップデートされるようになる。プレリリース・アップデートを表示しないようにした後に、プレリリース・アップデートを受け取るように設定し直すことはできない。
2014年10月21日米Appleは米国および英国で販売する「iPad Air 2」と「iPad mini 3」のWi-Fi+Celluarモデルに「Apple SIM」というSIMカードをプリインストールして出荷する。Apple SIMは1枚のSIMカードで、提携する複数の通信キャリアを利用できるようにする。米国のAT&T、Sprint、T-Mobile、英国のEEなどがプログラムに参加している。これまで米国のApple Storeでは、iPadのWi-Fi+Celluarモデルを購入する際にデータサービスを使用する通信事業者を選ぶ必要があった。Apple SIMを備えたiPad Air 2とiPad mini 3の場合、購入時に通信事業者を選択する必要はなく、ユーザーがいつでもiPad上でApple SIMプログラムに参加する通信事業者のサービスを選んで契約できる。契約した通信キャリアが認めれば、SIMカードを交換せずにそのままiPad上で別のApple SIMをサポートする通信事業者のサービスに変更することも可能になり得る。米通信キャリア・トップ2の内の1社であるVerizonがApple SIMには参加していない。iPad AirやiPad mini 2までのiPadならVerizonのSIMカードがプリインストールされたiPad Wi-Fi+CelluarモデルをApple Storeから購入できるが、Apple SIM入りで販売されるiPad Air 2とiPad mini 3ではVerizonのサービスを選択できない。Re/codeによると、Apple SIM入りのiPad Air 2とiPad mini 3でVerizonのデータサービスも使用できるが、VerizonからSIMカードを入手して交換する必要がある。
2014年10月17日米Appleが10月16日(米国時間)に、カリフォルニア州クパチーノにあるApple本社でスペシャルイベントを開催する。開始時刻は現地時間の午前10時、日本時間の10月17日午前2時だ。9月にフリントセンターで行われたiPhone 6、iPhone 6 Plus、Apple Watchの発表イベントに続く、Appleにとって今年2回目のスペシャルイベントになる。今回はiPadとMacの新製品、そしてOS X Yosemiteのリリース日の発表などが予想されている。会場の大きさだけで判断すると、本社講堂で行われる今回のイベントは前回よりも小さな規模になるが、前回に劣らず重要なイベントになりそうだ。報道関係者などに配布されている招待状にはカラフルなリンゴのイラストに「It’s been way too long」と書かれており、今年30周年を迎えたMacが新たな歴史に踏み出すのを予感させる。また、OS X Yosemiteの最終版の登場によってiOS 8とOS X Yosemiteの優れた連携が実現するため、Appleのプラットフォームも新たなフェーズへ進むことになる。
2014年10月09日