キレイを意識する女子にとって、切っても切り離せないのはご存じ
「女性ホルモン」。でも、女性ホルモンがどんな役目を担っているのか、正しく理解している人は意外と少ない様子です。
女性らしさを保つために必要なホルモンですが、それ以外にも
記憶力を高めたり、肥満を防いでくれるなどの
目からウロコ! の働きがあるのです。
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今回この「女性ホルモン」の底力について教えてくださったのは、女性ホルモンに詳しい婦人科医、
小山嵩夫先生です。
小山嵩夫先生 プロフィール
婦人科医。専門は生殖内分泌学、女性の健康増進。日本のHRT(女性ホルモン補充療法)の第一人者として知られる。1996年、女性の健康管理を目的としたクリニック「小山嵩夫クリニック」を銀座に開業。「NPO法人 更年期と加齢のヘルスケア」および「一般社団法人 日本サプリメント学会」理事長として、更年期前後から元気に生きるための啓発活動を行っている。著書に『遺伝子を調べて選ぶサプリメント』『女性ホルモンでしなやか美人』(ともに保健同人社)、『40歳であわてない! 50歳で迷わない!もっと知りたい「女性ホルモン」』(角川学芸出版)など。
http://koyamatakaoclinic.jp
カギを握るのは「エストロゲン」
女性ホルモンには、
エストロゲン(卵胞ホルモン)と
プロゲステロン(黄体ホルモン)があり、2つがバランスを取りながら女性の体をコントロールしています。
2つの役割を簡単に言えば、エストロゲンは
「女性らしさを司るホルモン」、プロゲステロンは
「妊娠のために必要なホルモン」です。
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「一般的に、女性ホルモンと言えば、
エストロゲンのほうを指します。女性の一生にとても大きな影響を与えているホルモンだからですね。女性としての魅力をアップして
男性を引きつけるホルモンですから、さまざまな働きをすることは想像がつくでしょう。
しなやかな髪、きめ細かい肌、豊かなバストにくびれたウエスト… それらはエストロゲンの作用によるもの。ですが、女性ホルモンが担っている大切な役割は、まだまだたくさんあるんですよ」
小山先生に、その役割を挙げていただきました。
【 女性ホルモン(エストロゲン)のおもな役割 】
●肌や 髪などの潤い・ツヤを保つ。
●女性らしい体つきをつくる。
●骨を強くする。
●頭の働きを活発にする。
●自律神経を安定させる。
●気持を明るくする。
●記憶力を高める。
●新陳代謝をを促進する。
●糖脂質代謝を促す。
●血流を良くする。
●免疫系を強化する。
●肥満を予防する。
●血管をしなやかに保ち、動脈硬化を予防する。
●悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす。
このように驚くほど働き者のエストロゲン! 女性らしさを司っているどころか、骨や血管、脳、肝臓、皮膚など、人間にとって重要な器官に関わり、機能の維持に務めていることがわかります。
もちろん、
エストロゲンは男性の体内でも分泌され、同じように健康の維持に役立っているのです。しかもその量は、
40代後半の女性と変わらないとか!
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ちなみに、プロゲステロンのほうはそれとは逆に、女性にとって悩みの種になることも少なくないホルモンです。
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受精卵をキープし、妊娠を維持するのが重要な役割なので、体温を上げたり、水分や栄養分をため込む、皮脂の分泌を促す、腸の働きを抑える、食欲をアップさせる、眠気を促す… など、好ましくない影響も。排卵後の時期に肌が荒れたり、便秘、胸の張りなど不快な症状を感じるのはこちらのホルモンのためです。
アラフォー女子こそ、女性ホルモンを取り戻せ!
先に挙げたように、体のあらゆる場所で働いている女性ホルモン。残念ながら、
分泌量のピークは20代〜30代前半まで。アラフォー世代では、卵巣の働きが徐々に衰え、分泌量も低下しています。
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もちろん個人差がありますが、あれほど働き者の女性ホルモンが減るということは、肌がカサカサになる、髪につやがなくなる、ウエストにくびれがなくなる、という見た目の老化に加えて、
冷え性になったり、
イライラする、
うつっぽい、
悪玉コレステロールが増える、
骨量が減少するなど、心や体に影響します。
年齢による原因の他に、ホルモン分泌量に大きく関わるのは、その人の置かれた
生活環境。特に、栄養状態は問題で、無理なダイエットによって無月経になったりすれば、女性ホルモンが急激に減ることを意味します。
また、
ストレスもかなり大きく影響します。そもそも卵巣に対して、女性ホルモンを出せと指令しているのは
脳の視床下部。仕事が上手く行かない、恋人や夫との関係に問題が起きている…などストレスフルな状態が長引くと、視床下部は女性ホルモンの分泌指令をストップさせてしまうのです。
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無月経に限らず、大きなストレスを受けて心も体も弱っているなと感じたら、一度立ち止まって、自分と向き合いましょう。
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また、月経不順や月経痛などの
トラブルが続く場合は、迷わず婦人科を受診して。アラフォー世代にとっての正常な月経、正常な女性ホルモン分泌を取り戻すことが、
美と健康を守る一番の近道です。